説明

道路情報取得装置、道路情報取得方法および道路情報取得プログラム

【課題】正確にカーブに関する情報を取得することができなかった。
【解決手段】自車両の動作を示す自車両動作情報を取得し、前記自車両動作情報に基づいて、前記自車両が走行している道路において曲率が一定になっている定曲率カーブ区間の開始位置を取得し、前記定曲率カーブ区間の曲率に基づいて、前記定曲率カーブ区間に連結しているクロソイド区間を示す情報を取得し、前記クロソイド区間を示す情報と前記定曲率カーブ区間の開始位置とに基づいて、前記自車両が走行している道路において曲率が変化し始める曲率変化開始位置を取得する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路に関する情報を取得する道路情報取得装置、方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、地図情報として予め登録された点データを参照し、当該点データから曲率指標を算出して閾値と比較することにより道路がカーブ路や直線路であることを判別する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平9−50597号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の技術においては、正確にカーブに関する情報を取得することができなかった。
すなわち、地図情報として予め登録された点データは、通常、その位置を示す情報を含むが、当該位置は人為的に設定されることも多く、位置の誤差や点自体の誤設定を含む可能性がある。このため、地図情報に登録された点データに基づいてカーブに関する情報を取得してもその情報は不正確な情報となる可能性がある。特に、カーブの開始位置を取得し、当該カーブの開始位置に基づいて車両の制御や案内を行う場合、例えば、カーブの開始位置からサスペンションの固さを変更する制御を行うなどの場合に、カーブの開始位置が不正確であると、不適切な制御や案内を行ってしまう。
本発明は、上記課題にかんがみてなされたもので、正確にカーブに関する情報を取得することが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の目的を達成するため、本発明においては、自車両が走行している道路において、曲率が一定になっている定曲率カーブ区間の開始位置を取得し、当該定曲率カーブ区間の曲率に基づいて定曲率カーブ区間に連結しているクロソイド区間を示す情報を取得し、クロソイド区間を示す情報と定曲率カーブ区間の開始位置とに基づいて当該自車両が走行している道路において曲率が変化し始める曲率変化開始位置を取得する。すなわち、本発明においては、自車両の動作情報から得られる自車両動作情報に基づいて定曲率カーブ区間の開始位置を示す情報を取得した上で曲率変化開始位置を特定している。
【0005】
従って、地図情報等において人為的に設定され、不正確な情報を含み得る地図情報のみを参照して曲率変化開始位置を取得する構成と比較して、正確に曲率変化開始位置、すなわち、カーブの開始位置を取得することができる。このため、当該曲率変化開始位置に基づく制御や案内を適切に行うことができる。
【0006】
ここで、自車両動作情報取得手段は、自車両が走行している道路における定曲率カーブ区間に関する情報を取得するための情報として自車両動作情報を取得することができれば良く、自車両の現在位置を示す情報や自車両におけるステアリングの操作を示す情報等を取得する構成を採用可能である。むろん、各情報を取得するためには、公知の種々のセンサやカメラを採用可能であり、例えば、自車両の現在位置をセンサやカメラによって特定する構成や、GPSからの信号や地図上での自車両の軌跡等によって位置を取得する構成や、ステアリングセンサによってステアリングの操作を示す情報を取得する構成等を採用可能である。
【0007】
定曲率カーブ区間情報取得手段は、自車両が走行している道路において、曲率が一定になっている定曲率カーブ区間の開始位置を取得することができれば良い。すなわち、道路上でその曲率が一定になっている区間を取得し、自車両動作情報に基づいてその区間の開始位置を特定することができれば良い。道路の曲率を特定するための構成は、種々の構成を採用可能であり、例えば、自車両におけるステアリングの舵角を取得し、ステアリングの舵角が一定となっている区間を取得し、その区間の開始位置を定曲率カーブ区間の開始位置とする構成を採用可能である。
【0008】
また、自車両に搭載されたセンサやカメラによって当該自車両が走行する道路の形状を特定し、その形状から定曲率カーブ区間および定曲率カーブ区間の開始位置を取得する構成であっても良い。さらに、曲率については地図情報に定義されたノードや形状補間点を参照する構成であっても良い。すなわち、曲率と定曲率カーブ区間の開始位置との双方をセンサやカメラにて取得した情報から特定しても良いし、少なくとも定曲率カーブ区間の開始位置を取得するためにはセンサやカメラにて取得した情報を用いる構成としても良い。
【0009】
クロソイド区間情報取得手段は、定曲率カーブ区間の曲率に基づいてクロソイド区間を示す情報を取得し、曲率変化開始位置取得手段は、クロソイド区間を示す情報と定曲率カーブ区間の開始位置とに基づいて、自車両が走行している道路において曲率変化開始位置を取得することができれば良い。すなわち、道路が直線(曲率が0)から曲線(曲率が非0)に移行する位置を取得すればよい。
【0010】
一般の道路においては、直線から定曲率のカーブ区間に移行する際の遠心力が過大になることを防止するなどのため、直線区間と定曲率のカーブ区間との間に緩和曲線によって構成された区間が設けられている。
【0011】
当該緩和曲線は、通常、クロソイド曲線によって構成されており、公知の式や統計等に基づいて、曲率をパラメータとしたクロソイド曲線の定義規則を予め規定することができる。従って、この定義に基づいてクロソイド曲線を特定すれば、当該クロソイド曲線に基づいてクロソイド区間の形状を取得することができる。
【0012】
そこで、クロソイド区間の形状を示す情報と定曲率カーブ区間の開始位置とに基づいて定曲率カーブ区間と直線区間との間のクロソイド区間を特定すれば、曲率変化開始位置を取得することができる。例えば、道路の曲率に基づいて定曲率カーブ区間の開始位置に連結されるとともに当該開始位置を一方の端点としたクロソイド曲線の形状を取得し、当該クロソイド曲線の他方の端点を前記曲率変化開始位置とする構成を採用可能である。
【0013】
なお、曲率変化開始位置における曲率の変化は一般的に極めて小さく、瞬間的に現れるため、ステアリングの舵角やカメラにて取得した画像情報等に基づいて当該曲率変化開始位置を取得することは困難である。しかし、上述の定曲率カーブ区間は、曲率が一定になっている部分がある程度の長さで連続しており、道路を走行しながら曲率が一定であることを取得することは比較的容易である。従って、定曲率カーブ区間の開始位置を検出して曲率変化開始位置を取得する構成においては、当該曲率変化開始位置を正確に判定することができる。
【0014】
さらに、上述のクロソイド区間に基づいて曲率変化開始位置を特定するための例として、地図情報として記録されたノードおよび形状補間点を利用する構成を採用しても良い。すなわち、曲率に基づいてクロソイド区間の形状を特定した後、当該定曲率カーブ区間の開始位置より手前に存在するノードおよび形状補間点に対してクロソイド区間の形状をフィッティングさせれば、道路におけるクロソイド区間を容易に特定することができる。なお、フィッティング対象となる点には、少なくとも定曲率カーブ区間の開始位置より手前に存在するノードおよび形状補間点が含まれていれば良く、当該ノードおよび形状補間点に加え、定曲率カーブ区間の開始位置がフィッティング対象となる点に含まれていても良い。
【0015】
さらに、曲率変化開始位置を正確に取得するための構成例として、自車両が走行している道路の地物を基準位置として定曲率カーブ区間の開始位置を特定する構成を採用しても良い。例えば、自車両の周囲の画像情報を取得すれば、当該画像情報および自車両動作情報に基づいて前記自車両の周囲に存在する地物の位置を取得することができる。
【0016】
そこで、当該地物の位置からの距離によって前記定曲率カーブ区間の開始位置を特定すれば、地物の位置を基準にして定曲率カーブ区間の開始位置を特定することができる。また、曲率変化開始位置は、クロソイド区間を示す情報に基づいて特定することができるため、当該曲率変化開始位置は定曲率カーブ区間の開始位置に対する相対位置として特定することができる。従って、曲率変化開始位置は、地物の位置に対する相対的な位置として定義することができ、不正確な情報を含み得る地図情報に規定された座標値を含まない状態で曲率変化開始位置を定義することができ、正確に曲率変化開始位置を定義することができる。
【0017】
なお、画像情報に基づいて抽出する地物は、曲率変化開始位置や定曲率カーブ区間の開始位置に対して相対的な位置が変わらない地物であれば良く、例えば、道路上の線,矢印,文字,数字,記号,横断歩道,道路鋲,石などの道路標示や、高速道路の壁,路肩,歩道,中央分離帯,建築物,標識,看板,信号機などの道路上の構造物を上述の地物として採用することができる。
【0018】
さらに、本発明のように自車両の動作に基づいて定曲率カーブ区間の開始位置を取得し、クロソイド区間を特定して曲率変化開始位置を取得する手法は、プログラムや方法としても適用可能である。また、以上のような道路情報取得装置、プログラム、方法は、単独の道路情報取得装置として実現される場合もあれば、車両に備えられる各部と共有の部品を利用して実現される場合もあり、各種の態様を含むものである。例えば、以上のような道路情報取得装置を備えたナビゲーション装置や方法、プログラムを提供することが可能である。また、一部がソフトウェアであり一部がハードウェアであったりするなど、適宜、変更可能である。さらに、道路情報取得装置を制御するプログラムの記録媒体としても発明は成立する。むろん、そのソフトウェアの記録媒体は、磁気記録媒体であってもよいし光磁気記録媒体であってもよいし、今後開発されるいかなる記録媒体においても全く同様に考えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)ナビゲーション装置の構成:
(2)道路情報取得処理:
(2−1)曲率変化開始位置取得処理:
(2−2)サスペンション制御処理:
(3)動作例:
(4)他の実施形態:
【0020】
(1)ナビゲーション装置の構成:
図1は、本発明にかかる道路情報取得装置を含むナビゲーション装置10の構成を示すブロック図である。ナビゲーション装置10は、CPU,RAM,ROM等を備える制御部20と記憶媒体30とを備えており、記憶媒体30やROMに記憶されたプログラムを制御部20で実行することができる。本実施形態においては、このプログラムの一つとしてナビゲーションプログラム21を実施可能であり、当該ナビゲーションプログラム21はその機能の一つとして自車両が走行する道路における曲率変化開始位置を取得して、地図情報として登録済みの情報を補正する機能を備えている。
【0021】
本実施形態における車両(ナビゲーション装置10が搭載された車両)は、ナビゲーションプログラム21による機能を実現するためにカメラ40とGPS受信部41と車速センサ42とステアリングセンサ43とサスペンション44とを備えており、これらの各部と制御部20とが協働することによってナビゲーションプログラム21による機能を実現する。
【0022】
カメラ40は自車両が走行している道路を視野に含むように自車両に対して取り付けられ、撮影した画像を示す画像データを出力する。制御部20は、図示しないインタフェースを介してこの画像データを取得する。GPS受信部41は、GPS衛星からの電波を受信し、図示しないインタフェースを介して車両の現在位置を算出するための情報を出力する。制御部20は、この信号を取得して車両の現在位置を取得する。
【0023】
車速センサ42は、車両が備える車輪の回転速度に対応した信号を出力する。制御部20は、図示しないインタフェースを介してこの信号を取得し、車両の速度を取得する。ステアリングセンサ43は、車両のステアリングの回転角に対応した信号を出力する。制御部20は、図示しないインタフェースを介してこの信号を取得し、ステアリングの回転角を示す情報を取得する。車速センサ42やステアリングセンサ43は、各センサの出力信号が示す情報を取得するために利用されるとともに、GPS受信部41の出力信号から特定される車両の現在位置を補正するためにも利用される。
【0024】
むろん、車両の現在位置を取得するための構成は上述の構成に限られず、ジャイロセンサ等を利用して車両の動作を取得する構成を採用してもよいし、車速センサやジャイロセンサ等の出力信号や車両の軌跡に基づいて現在位置を補正する構成を採用しても良い。なお、車両の動作を示す情報を取得するための構成は、ほかにも種々の構成を採用可能であり、自車両の現在位置をセンサやカメラによって特定する構成や、GPSからの信号や地図上での車両の軌跡,車車間通信,路車間通信等によって自車両動作情報を取得する構成等を採用可能である。
【0025】
サスペンション44は、自車両に搭載された防振機構であり、路面から自車両に作用する外力の伝達特性を調整可能な機構を備えている。制御部20は、図示しないインタフェースを介してサスペンション44に対して制御信号を出力し、上述の伝達特性を調整することができる。すなわち、サスペンション44による外力の伝達程度(サスペンションの固さ)を調整することができる。
【0026】
制御部20は、ナビゲーションプログラム21を実行することにより、GPS受信部41の出力情報や後述する地図情報等に基づいて車両の経路探索等を行い、図示しない表示部やスピーカーを介して経路案内等を行う。また、このとき、上述のように、自車両が走行する道路における曲率変化開始位置を取得して、地図情報として登録済みの情報を補正する機能を実現するため、ナビゲーションプログラム21は画像情報取得部21aと自車両動作情報取得部21bと定曲率カーブ区間情報取得部21cとクロソイド区間情報取得部21dと曲率変化開始位置取得部21eを備えている。さらに、上述の補正後の曲率変化開始位置に基づいてサスペンション44を制御するため、サスペンション制御部21fを備えている。
【0027】
また、記憶媒体30には、ナビゲーションプログラム21による案内を実施するため地図情報30aが記憶されている。地図情報30aは、車両が走行する道路上に設定されたノードを示すノードデータ,ノード間の道路の形状を特定するための形状補間点データ,ノード同士の連結を示すリンクデータ,道路やその周辺に存在する地物を示すデータ等を含み、自車両の現在位置の特定や目的地への案内等に利用される。さらに、記憶媒体30には、補正後の曲率変化開始位置を示す情報(曲率変化開始位置情報30b)が記録される。本実施形態において、当該曲率変化開始位置情報30bは、路面上のペイントからの距離によって表現される。なお、本実施形態における曲率変化開始位置情報30bは、地図情報30aに記録されたノードや形状補間点に基づいて特定可能な曲率変化開始位置ではなく、定曲率カーブ区間の開始位置に基づいて後述のようにして特定される曲率変化開始位置である。従って、本明細書では、地図情報30aに基づいて特定可能な曲率変化開始位置を補正した情報として曲率変化開始位置情報30bを定義している。
【0028】
画像情報取得部21aは、カメラ40が出力する画像情報を取得するモジュールであり、取得した画像情報は定曲率カーブ区間情報取得部21cに受け渡される。自車両動作情報取得部21bは、GPS受信部41,車速センサ42,ステアリングセンサ43が出力する信号に基づいて自車両の動作を示す各種の情報を取得する。
【0029】
定曲率カーブ区間情報取得部21cは自車両の動作に基づいて当該自車両が走行している道路において曲率が一定になっている定曲率カーブ区間に関する情報を取得するモジュールであり、本実施形態においてはステアリングセンサ43の出力情報に基づいて定曲率カーブ区間を検出するとともにその開始位置を取得する。また、当該定曲率カーブ区間における曲率を示す情報を取得する。
【0030】
なお、本実施形態においては、ステアリングセンサ43の出力値が示すステアリングの舵角が一定になっている状態が所定時間(あるいは所定距離)以上継続したときに自車両が走行している道路が定曲率カーブ区間であることを検出する。この検出によれば、ステアリングの舵角が一定である状態になった時点での自車両の位置が定曲率カーブ区間の開始位置であると見なすことができるが、本実施形態においては、さらに、特定の基準位置からの距離に基づいて定曲率カーブ区間の開始位置を特定している。
【0031】
すなわち、本実施形態においては、カメラ40が出力する画像情報に基づいて路面上のペイントを検出し、当該ペイントが撮影された時点での車両の位置(基準位置)からの走行距離を取得し続け、上述の定曲率カーブ区間の開始位置に到達するまでの走行距離(距離L0)を特定する。そして、基準位置と当該基準位置からの距離L0とによって定曲率カーブ区間の開始位置を特定することとする。
【0032】
また、本実施形態においては、地図情報30aに記録されたノードや形状補間点に基づいて定曲率カーブ区間の曲率を取得する。すなわち、定曲率カーブ区間に対応する位置に存在する少なくとも3個の点に適合する円形を取得し、当該円形の半径の逆数を定曲率カーブ区間の曲率とする。なお、ここでは定曲率カーブ区間の曲率を取得することができれば良く、自車両の動作、例えば、ステアリングセンサ43が示すステアリングの舵角に基づいて定曲率カーブ区間の回転半径を取得し、その逆数を曲率として取得する構成など、種々の構成を採用可能である。
【0033】
クロソイド区間情報取得部21dは、定曲率カーブ区間の曲率に基づいて、定曲率カーブ区間に連結しているクロソイド区間を示す情報を取得するモジュールであり、曲率をパラメータとしたクロソイド曲線の定義規則に基づいてクロソイド区間の形状を特定する。なお、本実施形態においては、統計的に決定されたクロソイド係数の定義規則とクロソイド曲線の近似式とに基づいてクロソイド曲線を特定し、当該クロソイド曲線に基づいてクロソイド区間の形状を特定する。
【0034】
具体的には、式(1),(2)に示す近似式に基づいてクロソイド曲線を描画することとしている(特開2005−214839参照)。
【数1】

【数2】

なお、ここで、Lはクロソイド曲線の開始点からの距離、すなわち、曲線長であり、X0及びY0はクロソイド曲線の開始点のX座標及びY座標である。なお、また、φは次の式(3)で表される。
φ=α+2kL ・・・(3)
ここで、αは開始点の方位であり、kはA2をクロソイド係数として次の式(4)で表される。
k=28/A2 ・・・(4)
【0035】
また、本実施形態において、クロソイド係数A2は定曲率カーブ区間の曲率あるいは半径に対して予め対応付けられており、例えば、道路設計地図によって複数の箇所の道路について定曲率カーブ区間の曲率あるいは半径を取得し、各道路を設計する際に使用されたクロソイド曲線のクロソイド係数A2を取得する。そして、当該定曲率カーブ区間の曲率あるいは半径と、クロソイド係数A2との対応関係を示すテーブル情報あるいは関数を取得し、予め当該テーブル情報あるいは関数を記憶媒体30に記録しておけばよい。
【0036】
以上の近似式によれば、クロソイド曲線の開始点から渦巻き状に延びるクロソイド曲線の形状を特定することができ、当該開始点から所定距離の区間を道路におけるクロソイド区間の形状と見なすことができる。
【0037】
曲率変化開始位置取得部21eは、以上のようにして特定されたクロソイド区間を示す情報と定曲率カーブ区間の開始位置とに基づいて自車両が走行している道路において曲率が変化し始める曲率変化開始位置を取得する。本実施形態においては、前記クロソイド区間の形状とノードおよび形状補間点とのフィッティング処理を行ってクロソイド区間を特定し、当該クロソイド区間の端点(定曲率カーブ区間の逆側の端点)を曲率変化開始位置とみなす。
【0038】
すなわち、地図情報30aを参照し、定曲率カーブ区間の開始位置より手前に存在するノードおよび形状補間点(自車両が走行する道路における直線区間と定曲率カーブ区間の開始位置との間に存在する道路に対応したノードおよび形状補間点)を抽出する。そして、当該抽出したノードおよび形状補間点とクロソイド区間の形状を示すクロソイド曲線とをフィッティングさせ、最も適合する状態が実際の道路におけるクロソイド区間のカーブ形状であると見なす。なお、フィッティングにおいては種々の公知技術を利用することができ、例えば、クロソイド曲線の位置を変更しつつ、各位置において複数のノードおよび形状補間点からクロソイド曲線までの最短距離の累積値を取得し、当該累積値が最も小さいときに最も適合した状態であると見なす処理等を採用可能である。
【0039】
以上のようにして曲率変化開始位置取得部21eがクロソイド区間のカーブ形状を特定すると、当該クロソイド区間の端点から定曲率カーブ区間の開始位置までの距離L1をクロソイド曲線の長さに基づいて特定する。そして、上述の基準位置から定曲率カーブ区間の開始位置までの距離L0から距離L1を減じることにより、基準位置からの距離L0−L1を取得し、当該基準位置からの距離L0−L1によって曲率変化開始位置を特定する。すなわち、道路が直線(曲率が0)から曲線(曲率が非0)に移行する位置である曲率変化開始位置を基準位置からの距離によって特定する。当該曲率変化開始位置を示す情報は記憶媒体30に記録される。
【0040】
なお、曲率変化開始位置における曲率の変化は一般的に極めて小さく、瞬間的に現れるため、ステアリングの舵角やカメラにて取得した画像情報等に基づいて当該曲率変化開始位置を取得することは困難である。しかし、上述の定曲率カーブ区間は、曲率が一定になっている部分がある程度の長さで連続しており、道路を走行しながら曲率が一定であることを取得することは比較的容易である。従って、定曲率カーブ区間の開始位置を検出して曲率変化開始位置を取得する構成においては、当該曲率変化開始位置を正確に判定することができる。
【0041】
サスペンション制御部21fは、サスペンション44に対して制御信号を出力してサスペンションの固さを調整する。すなわち、カメラ40が出力する画像情報を取得して画像を解析し、上述のペイントが抽出された場合には、その画像情報を取得した時点での自車両の位置からの走行距離を計測し、走行距離が距離L0−L1に達した段階でサスペンション44の固さを直線走行時の固さよりも固くする。以上の構成によれば、自車両がカーブに進入する時点にて正確にサスペンション44の固さを変更することができる。
【0042】
(2)道路情報取得処理:
次に、以上の構成においてナビゲーション装置10が実施する道路情報取得処理を説明する。ナビゲーション装置10によってナビゲーションプログラム21が実行されているとき、当該ナビゲーションプログラム21が備える各部は一定時間(例えば、100ms)毎に図2〜図4に示す処理を実施する。
【0043】
ナビゲーションプログラム21は、自車両が走行している間に図2に示す処理を実行し、地図情報30aを参照して自車両の現在位置より前方の道路に関する情報を取得する(ステップS100)。そして、自車両の現在位置より前方の所定距離(例えば、150m)以内にカーブ区間が存在するか否かを判別する(ステップS105)。なお、カーブ区間であるか否かは、ノードや形状補間点の並びから道路の曲率を取得し、当該曲率が所定値以上になっているか否かを判別する等の構成によって実現可能である。ステップS105にて、カーブ区間であると判別されないときにはステップS110以降をスキップし、図2に示す処理を終了する。
【0044】
ステップS105にて、カーブ区間であると判別されたとき、ナビゲーションプログラム21は、曲率変化開始位置が補正済であるか否かを判別する(ステップS110)。すなわち、本実施形態においては曲率変化開始位置が補正済、あるいは未補正であることを示す補正済フラグを設定してあり、当該補正済フラグがオンであるときに曲率変化開始位置が補正済であると判別し、フラグがオフであるときに曲率変化開始位置が未補正であると判別する。
【0045】
ステップS110にて、曲率変化開始位置が補正済であると判別されないときには、曲率変化開始位置取得処理を行い(ステップS115)、曲率変化開始位置を取得して補正済フラグをオンにするための処理を行う。一方、ステップS110にて、曲率変化開始位置が補正済であると判別されたときには、補正後の曲率変化開始位置に基づいてサスペンション44の固さを制御するための処理を行う(ステップS120)。
【0046】
(2−1)曲率変化開始位置取得処理:
次に、ステップS115における曲率変化開始位置取得処理を説明する。図3は、当該曲率変化開始位置取得処理を示すフローチャートであり、この処理においては、まず、画像情報取得部21aがカメラ40の出力信号に基づいて自車両の周囲の画像情報を取得する(ステップS200)。次に、定曲率カーブ区間情報取得部21cは、当該画像情報を取得して解析し、路面上のペイントが検出されたか否かを判別する(ステップS205)。すなわち、取得した画像情報に基づいてエッジ抽出やパターンマッチング等の画像解析を行い、予め決められたペイント(数値や記号等)が検出されるか否かを判別する。
【0047】
ステップS205にて、路面上のペイントが検出されたと判別されないときには、カーブ区間を通過したか否かを判別する(ステップS240)。すなわち、地図情報30aを参照してノードや形状補間点を抽出し、当該ノードや形状補間点の並びから道路の曲率を取得し、当該曲率が所定値以上になっている区間を通過して曲率が略"0"になっている区間に到達したか否かを判別する。そして、ステップS240にて、カーブ区間を通過したと判別されないときにはステップS200以降の処理を繰り返し、ステップS240にてカーブ区間を通過したと判別されたときにはステップS245にて補正済フラグをオフにする。
【0048】
一方、ステップS205にて、路面上のペイントが検出されたと判別されたとき、定曲率カーブ区間情報取得部21cは、当該ペイントの位置を取得する(ステップS210)。すなわち、定曲率カーブ区間情報取得部21cは、自車両動作情報取得部21bにて取得された自車両の現在位置を示す情報を取得し、上述のペイントが含まれる画像情報をカメラ40にて取得した時点での自車両の位置を取得する。なお、定曲率カーブ区間情報取得部21cは、自車両動作情報取得部21bが取得する情報に基づいて当該ペイントの位置を通過した後の自車両の走行距離を特定する。
【0049】
次に、自車両動作情報取得部21bは、ステアリングの舵角を取得する処理を行う(ステップS215)。そして、定曲率カーブ区間情報取得部21cは、当該ステアリングの舵角を示す情報を取得し、ステアリングの舵角が一定であり、かつ、当該舵角が一定の状態が所定期間以上継続したか否かを判別する(ステップS220)。すなわち、自車両が定曲率の定曲率カーブ区間を走行しているか否かを判別する。
【0050】
ステップS220にて、ステアリングの舵角が一定であり、かつ、当該舵角が一定の状態が所定期間以上継続したと判別されないときには、ステップS240以降の処理を実行する。ステップS220にて、ステアリングの舵角が一定であり、かつ、当該舵角が一定の状態が所定期間以上継続したと判別されたときには、定曲率カーブ区間の開始位置を取得する(ステップS225)。
【0051】
すなわち、定曲率カーブ区間情報取得部21cは、上述のペイントの位置を通過した後、上述のステアリングの舵角が一定になるまでに自車両が走行した距離L0を特定し、ペイントの位置と当該距離L0とによって定曲率カーブ区間の開始位置を特定する。なお、定曲率カーブ区間情報取得部21cは、このとき、上述のように、定曲率カーブ区間に対応する位置に存在する少なくとも3個の点に適合する円形を取得し、当該円形の半径の逆数を定曲率カーブ区間の曲率として取得する。
【0052】
次に、クロソイド区間情報取得部21dがクロソイド区間の形状を取得し、曲率変化開始位置取得部21eが曲率変化開始位置を取得する処理を行う(ステップS230)。すなわち、クロソイド区間情報取得部21dは、定曲率カーブ区間の曲率および式(1)〜式(4)に基づいて、定曲率カーブ区間の曲率に対応したクロソイド曲線を取得する。そして、曲率変化開始位置取得部21eは、当該クロソイド曲線と、定曲率カーブ区間の開始位置より手前に存在するノードおよび形状補間点とをフィッティングさせ、最も適合する状態をクロソイド区間の形状として取得する。
【0053】
以上のようにしてクロソイド区間のカーブ形状を特定すると、当該クロソイド区間の端点から定曲率カーブ区間の開始位置までの距離L1をクロソイド曲線の長さに基づいて特定し、上述のペイントの位置から曲率変化開始位置までの距離L0−L1を曲率変化開始位置情報30bとして記憶媒体30に記録する。そして、補正済フラグをオンにする(ステップS235)。
【0054】
(2−2)サスペンション制御処理:
次にステップS120におけるサスペンション制御処理を説明する。図4は、当該サスペンション制御処理を示すフローチャートであり、この処理においては、まず、画像情報取得部21aがカメラ40の出力信号に基づいて自車両の周囲の画像情報を取得する(ステップS300)。次に、サスペンション制御部21fは、当該画像情報を取得して解析し、路面上のペイントが検出されたか否かを判別する(ステップS305)。すなわち、ステップS300にて取得した画像情報に基づいてエッジ抽出やパターンマッチング等の画像解析を行い、上述のペイントが検出されるか否かを判別する。ステップS305にて、前記ペイントが検出されたと判別されないときには、ステップS300以降の処理を繰り返す。
【0055】
一方、ステップS305にて、前記ペイントが検出されたと判別されたとき、サスペンション制御部21fは、曲率変化開始位置情報30bを参照して自車両が走行中の道路におけるペイントから曲率変化開始位置までの距離L0−L1を取得する(ステップS310)。また、このとき、上述の画像情報を取得した時点での自車両の位置に基づいて前記ペイントの位置を取得し、走行距離の累積を開始する。そして、サスペンション制御部21fは、曲率変化開始位置におけるサスペンション制御を実施する(ステップS315)。すなわち、上述の走行距離の累積値が距離L0−L1に達した段階で、サスペンション制御部21fはサスペンション44に対して制御信号を出力し、サスペンションの固さを予め設定された通常の固さよりも固くなるように設定する。
【0056】
(3)動作例:
次に、上述の曲率変化開始位置取得処理およびサスペンション制御処理による動作例を説明する。図5は、自車両が走行する道路の例を示しており、道路の延びる方向を曲線および直線にて示すとともに、地図情報30aに記録されたノードあるいは形状補間点を黒丸によって示している。また、図5においては、道路の直線区間を実線、クロソイド区間を破線、定曲率カーブ区間を一点鎖線にて示している。なお、同図5においては、自車両Cの前方に規制速度(図の例では40km/h)を示すペイントPが存在する例を示している。
【0057】
同図5に示す道路を自車両Cが走行しているとき、当該自車両がこの道路を始めて走行するのであれば、図2に示す処理において、ステップS110にて曲率変化開始位置が未補正であると判別され、ステップS115に示す曲率変化開始位置取得処理が実行される。曲率変化開始位置取得処理においては、自車両Cの走行中にステップS200およびステップS205が実施され、カメラ40にて上述のペイントPを撮影すると、その画像情報が取得され、ステップS205の判別を経てペイントPの位置が取得される。
【0058】
その後、自車両Cによる走行とともにその走行距離の累積値が取得され、ステップS215,S220にてステアリングの舵角が検出される。自車両Cが走行を続けて一点鎖線で示す定曲率カーブ区間を所定時間以上走行すると、ステップS220にてステアリングの舵角が一定である状態が所定時間以上継続したと判別される。そして、ステップS225にて、走行距離の累積値に基づいてペイントPの位置から定曲率カーブ区間の開始位置(図5にて白丸で示す点S0)までの距離L0が特定される。また、定曲率カーブ区間のノードあるいは形状補間点(図5に示す点P0,P1,P2)に基づいて定曲率カーブ区間の曲率(1/R(Rは定曲率カーブ区間の半径))が特定される。
【0059】
そして、ステップS230において、曲率(1/R)に対応したクロソイド曲線(図5に示す太い実線)が特定され、当該クロソイド曲線をクロソイド区間におけるノードあるいは形状補間点(図5に示す点P3,P4,P5)にフィッティングさせることにより、破線で示すクロソイド区間の形状が特定される。以上のようにしてフィッティング処理が行われると、当該クロソイド区間の端点S1から定曲率カーブ区間の開始位置S0までの距離L1をクロソイド曲線の長さに基づいて特定し、距離L0−L1を曲率変化開始位置情報30bとして記憶媒体30に記録する。また、ステップS235にて補正済フラグがオンに設定される。
【0060】
以上のようにして曲率変化開始位置を取得し、補正済フラグがオンに設定された後、自車両Cにて再び図5に示す道路を走行すると、図2に示す処理において、ステップS110にて曲率変化開始位置が補正済であると判別され、ステップS120に示すサスペンション制御処理が実行される。サスペンション制御処理においては、自車両Cの走行中にステップS300およびステップS305が実施され、カメラ40にて上述のペイントPを撮影すると、その画像情報が取得され、ステップS305の判別にてペイントPの位置が取得される。
【0061】
ペイントPが検出されたと判別されたときには、ステップS310にて、サスペンション制御部21fが曲率変化開始位置情報30bを参照し、ペイントPから曲率変化開始位置S1までの距離L0−L1を取得する。また、ペイントPを通過した後の走行距離の累積を開始する。そして、走行距離の累積値がL0−L1に達した段階で、サスペンション制御部21fはサスペンション44に対して制御信号を出力し、サスペンションの固さを予め設定された通常の固さよりも固くなるように設定する。
【0062】
本実施形態において、地図情報30aに記録されたノードあるいは形状補間点の位置は人為的に設定されており、誤りを含み得る。そして、クロソイド区間を構成するノードあるいは形状補間点の位置が不正確な場合、これらのノードあるいは形状補間点のみからクロソイド区間の開始位置(曲率変化開始位置)を特定してもその位置は誤りとなる。従って、この場合にはサスペンションの固さを調整するタイミングが不適切なタイミングとなる。
【0063】
しかし、本実施形態においては、上述のように、地図情報30aに記録されたノードあるいは形状補間点ではなく、カメラ40によって取得したペイントPの位置を基点にして曲率変化開始位置を特定している。従って、地図情報30aに記録されたノードあるいは形状補間点の位置のみに基づいて曲率変化開始位置を特定する構成と比較して正確に当該曲率変化開始位置を特定することができる。このため、サスペンションの固さを適切なタイミングで調整することができる。
【0064】
(4)他の実施形態:
以上の実施形態は本発明を実施するための一例であり、自車両の動作に基づいて定曲率カーブ区間の開始位置を取得し、クロソイド区間を特定して曲率変化開始位置を取得する限りにおいて、他にも種々の実施形態を採用可能である。例えば、自車両の現在位置を特定するための情報はGPS受信部41が出力する情報に限定されず、公知の種々のセンサやカメラを採用可能であり、例えば、自車両の現在位置をセンサやカメラによって特定する構成や、地図上での自車両の軌跡等によって位置を取得する構成等を採用可能である。
【0065】
定曲率カーブ区間に関する情報を取得するための構成としても、ステアリングセンサに限らず各種のセンサやカメラを採用可能である。例えば、自車両に搭載されたセンサやカメラによって当該自車両が走行する道路の形状を特定し、その形状から定曲率カーブ区間および定曲率カーブ区間の開始位置を取得する構成であっても良い。
【0066】
さらに、クロソイド区間の形状を特定するための構成は、上述の近似式を利用する構成に限定されず、クロソイド曲線の定義式を利用する構成であっても良い。すなわち、一般の道路においては、直線から定曲率のカーブ区間に移行する際の遠心力が過大になることを防止するなどのため、直線区間と定曲率のカーブ区間との間に緩和曲線によって構成された区間が設けられているので、当該緩和曲線としてのクロソイド曲線を定義できる限りにおいて種々の構成を採用可能である。
【0067】
また、曲率変化開始位置を取得する際には、道路の曲率に基づいて定曲率カーブ区間の開始位置に連結されるとともに当該開始位置を一方の端点としたクロソイド曲線の形状を取得し、当該クロソイド曲線の他方の端点を前記曲率変化開始位置とする構成を採用すればよく、種々の構成を採用可能である。
【0068】
さらに、上述のフィッティング処理において、フィッティング対象とする情報は少なくともクロソイド区間におけるノードおよび形状補間点が含まれていれば良く、これらに加えて定曲率カーブ区間の開始位置がフィッティング対象となる点に含まれていても良い。むろん、これらのフィッティング対象はノードあるいは形状補間点のみであっても良い。
【0069】
さらに、上述の実施形態においては、自車両が走行している道路の地物を基準位置として定曲率カーブ区間の開始位置を特定する構成を採用しており、上述の例においてはペイントの位置を基準としていたが、むろん、地物はペイントに限定されない。すなわち、画像情報に基づいて抽出する地物は、曲率変化開始位置や定曲率カーブ区間の開始位置に対して相対的な位置が変わらない地物であれば良く、例えば、道路上の線,矢印,文字,数字,記号,横断歩道,道路鋲,石などの道路標示や、高速道路の壁,路肩,歩道,中央分離帯,建築物,標識,看板,信号機などの道路上の構造物を上述の地物として採用することができる。
【0070】
さらに、曲率変化開始位置を取得するための構成例として他の構成を採用しても良い。例えば、定曲率カーブ区間の開始位置をGPS受信部41の出力信号やカメラ40が出力する画像情報に基づいて特定し、当該定曲率カーブ区間の開始位置に対する相対的な位置関係によって曲率変化開始位置を定義する構成を採用しても良い。
【0071】
さらに、曲率変化開始位置の利用対象はサスペンション制御に限られない。例えば、自車両が光の照射方向を変更可能なヘッドライトを備える車両の場合に、上述の図1に示す構成においてサスペンション制御部21fの替わりにヘッドライトの照射方向を制御するヘッドライト制御部を構成する。すなわち、ヘッドライト制御部においては、ヘッドライトに対して制御信号を出力して光の照射方向を所望の方向に変更できるように構成する。そして、自車両が曲率変化開始位置に到達した時点でその前方のカーブ区間の曲率に合わせてヘッドライトの照射方向を制御する。この構成によれば、カーブ区間の曲率に応じて正確にヘッドライトの照射方向を調整することができる。
【0072】
さらに、シートポジションや搭乗者の腰や背中のサポート程度を調整可能な機構を備える自車両において、サスペンション制御部21fの替わりにシートポジションやサポート程度を制御するシート制御部を構成する。すなわち、シート制御部においては、シートに対して制御信号を出力してシートポジションやサポート程度を変更できるように構成する。そして、自車両が曲率変化開始位置に到達した時点でその前方のカーブ区間の曲率に合わせてシートポジションやサポート程度を制御する。この構成によれば、カーブ区間の曲率に応じて正確にシートポジションやサポート程度を調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】道路情報取得装置を含むナビゲーション装置のブロック図である。
【図2】道路情報取得処理のフローチャートである。
【図3】曲率変化開始位置取得処理のフローチャートである。
【図4】サスペンション制御処理のフローチャートである。
【図5】動作例を示す図である。
【符号の説明】
【0074】
10…ナビゲーション装置、20…制御部、21…ナビゲーションプログラム、21a…画像情報取得部、21b…自車両動作情報取得部、21c…定曲率カーブ区間情報取得部、21d…クロソイド区間情報取得部、21e…曲率変化開始位置取得部、21f…サスペンション制御部、30…記憶媒体、30a…地図情報、30b…曲率変化開始位置情報、40…カメラ、41…受信部、42…車速センサ、43…ステアリングセンサ、44…サスペンション

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の動作を示す自車両動作情報を取得する自車両動作情報取得手段と、
前記自車両動作情報に基づいて、前記自車両が走行している道路において曲率が一定になっている定曲率カーブ区間の開始位置を取得する定曲率カーブ区間情報取得手段と、
前記定曲率カーブ区間の曲率に基づいて、前記定曲率カーブ区間に連結しているクロソイド区間を示す情報を取得するクロソイド区間情報取得手段と、
前記クロソイド区間を示す情報と前記定曲率カーブ区間の開始位置とに基づいて、前記自車両が走行している道路において曲率が変化し始める曲率変化開始位置を取得する曲率変化開始位置取得手段と、
を備える道路情報取得装置。
【請求項2】
前記自車両動作取得手段は、前記自車両におけるステアリングの舵角を取得し、
前記定曲率カーブ区間情報取得手段は、前記ステアリングの舵角が一定となっている区間を取得して当該区間の開始位置を前記定曲率カーブ区間の開始位置とする、
請求項1に記載の道路情報取得装置。
【請求項3】
前記クロソイド区間情報取得手段は、前記曲率をパラメータとした前記クロソイド曲線の定義規則に基づいて前記クロソイド区間の形状を特定する、
請求項1または請求項2のいずれかに記載の道路情報取得装置。
【請求項4】
前記曲率変化開始位置取得手段は、記憶媒体に記録された地図情報に基づいてノードおよび道路の形状を再現するための形状補間点を取得し、前記定曲率カーブ区間の開始位置より手前に存在する前記ノードおよび前記形状補間点に対して前記クロソイド区間の形状をフィッティングさせ、当該クロソイド区間における前記定曲率カーブ区間の開始位置と逆側の端点を前記曲率変化開始位置とする、
請求項3に記載の道路情報取得装置。
【請求項5】
前記自車両の周囲の画像情報を取得する画像情報取得手段を備え、
前記自車両動作取得手段は、前記自車両の現在位置を取得し、
前記定曲率カーブ区間情報取得手段は、前記画像情報に基づいて前記自車両の周囲に存在する地物を検出し、当該地物を検出したときの前記自車両の現在位置からの距離によって前記定曲率カーブ区間の開始位置を特定する、
請求項1〜請求項4のいずれかに記載の道路情報取得装置。
【請求項6】
自車両の動作を示す自車両動作情報を取得する自車両動作情報取得工程と、
前記自車両動作情報に基づいて、前記自車両が走行している道路において曲率が一定になっている定曲率カーブ区間の開始位置を取得する定曲率カーブ区間情報取得工程と、
前記定曲率カーブ区間の曲率に基づいて、前記定曲率カーブ区間に連結しているクロソイド区間を示す情報を取得するクロソイド区間情報取得工程と、
前記クロソイド区間を示す情報と前記定曲率カーブ区間の開始位置とに基づいて、前記自車両が走行している道路において曲率が変化し始める曲率変化開始位置を取得する曲率変化開始位置取得工程と、
を含む道路情報取得方法。
【請求項7】
自車両の動作を示す自車両動作情報を取得する自車両動作情報取得機能と、
前記自車両動作情報に基づいて、前記自車両が走行している道路において曲率が一定になっている定曲率カーブ区間の開始位置を取得する定曲率カーブ区間情報取得機能と、
前記定曲率カーブ区間の曲率に基づいて、前記定曲率カーブ区間に連結しているクロソイド区間を示す情報を取得するクロソイド区間情報取得機能と、
前記クロソイド区間を示す情報と前記定曲率カーブ区間の開始位置とに基づいて、前記自車両が走行している道路において曲率が変化し始める曲率変化開始位置を取得する曲率変化開始位置取得機能と、
をコンピュータに実現させる道路情報取得プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−32031(P2009−32031A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−195246(P2007−195246)
【出願日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】