説明

遮光部材制御装置

【課題】この発明は、太陽光を遮断する遮光部材を自動開閉するための遮光部材制御装置に関する。
【解決手段】本発明に係る遮光部材制御装置1は、太陽光を遮断するために住宅の屋内側の窓枠2の上部に取付けられた遮光部材3を自動開閉するためのものであって、太陽光を受けて該太陽光を電力に変換する太陽光パネル4と、該太陽光パネル4の光起電力により生ずる電力を蓄電する蓄電手段5と、該蓄電手段5により蓄電された電力により駆動し、前記遮光部材3を開閉自在な駆動手段6と、前記太陽光パネル3から生じる起電力が予め設定された閾値を越えたか否かを判断して前記駆動手段6を駆動させる制御手段7と、を具備している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、太陽光を遮断する遮光部材を自動開閉するための遮光部材制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば夏には冷房効率を向上するために、住宅の窓のカーテンやブラインド等の遮光部材を閉め、太陽光の室内への入射を遮断して室温の上昇を抑制したり、冬には暖房効率を向上するために、前記遮光部材を開け、太陽光を室内に入射させ室温を上昇させる等の工夫がなされてきた。しかし、前述のように遮光部材を開閉するためには住人自らが行う必要があり、日中仕事等で外出する場合に該遮光部材の開閉を行うことが困難であるばかりでなく、在宅している場合であっても遮光部材の開閉には手間がかかっていた。これらの問題を解決するために、以下のような日照センサが考案されている。
【0003】
この日照センサは、図7に示すように、太陽光が照射される受熱板100と、該受熱板100の温度を検出する第1の温度検出素子101と、周囲温度を検出する第2の温度検出素子102とを本体103に設ける。制御回路104は、第1の温度検出素子101および第2の温度検出素子102により検出された温度の関係に基づいて負荷105を制御する。受熱板100の上方には太陽の高度に応じて受熱板100への太陽光の入射量を制限するひさし106を突設する。これにより、室内への太陽光の入射量と周囲温度とに応じて負荷105を制御できるようにし、カーテン等の遮光部材を自動開閉を適切に制御するものである。(例えば、特許文献1)。
【0004】
【特許文献1】特開平6−137946号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、前述の日照センサを駆動させるためには住宅の電源を使用するため、冷暖房効率は向上できるものの、住宅の電気配線から電源が供給されていることから待機電力が必要なるという問題がある。
【0006】
この発明は上記のような種々の課題を解決することを目的としてなされたものであって、住宅の電気配線から独立した太陽光発電により電力を得て、太陽光を遮断する遮光部材を自動開閉するための遮光部材制御装置に関する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1記載の遮光部材制御装置は、太陽光を遮断するために住宅の屋内側の窓枠付近に取付けられた遮光部材を、自動開閉するための遮光部材制御装置であって、太陽光を受けて該太陽光を電力に変換する太陽光パネルと、該太陽光パネルの光起電力により生ずる電力を蓄電する蓄電手段と、該蓄電手段により蓄電された電力により駆動し、前記遮光部材を開閉自在な駆動手段と、前記太陽光パネルから生じる電力が予め設定され、若しくは、周囲条件より算出された閾値を越えたか否かを判断して前記駆動手段を駆動させる制御手段と、を具備することを特徴としている。
【0008】
請求項2記載の遮光部材制御装置は、外気温を検知する外気温センサと、室温を検知する室温センサと、を具備し、前記制御手段が、前記外気温センサで検知された外気温と前記室温センサで検知された室温との温度差、及び、前記太陽光パネルから生じる電力がそれぞれ予め設定され、若しくは、周囲条件より算出された閾値を越えたか否かを判断して前記駆動手段を駆動させることを特徴としている。
【0009】
請求項3記載の遮光部材制御装置は、請求項1又は2記載の遮光部材制御装置が住宅の屋内側に設けられたことを特徴としている。
【0010】
請求項4記載の窓枠構造は、請求項1乃至3記載の遮光部材制御装置が窓枠付近に取付けられたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の遮光部材制御装置によれば、太陽光を受けて該太陽光を電力に変換する太陽光パネルを具備している。これにより、住宅の電気配線から独立した電源を確保することができるので、電気配線が煩雑になることがなく施工が容易であり、また、待機電力を太陽光パネルからの電力で補うことができるので省エネルギー化に大きく貢献することができる。
【0012】
また、太陽光パネルの光起電力により生ずる電力を蓄電する蓄電手段を具備している。これにより、太陽が沈み太陽光パネルからの電力を得ることができない夜や、太陽が雲に遮られ太陽光パネルからの電力を多く得ることができない曇りの日等にも、蓄電手段に蓄電された電力を使用することによって、絶えず遮光部材制御装置を駆動することができる。
【0013】
そして、蓄電手段により蓄電された電力により駆動し、前記遮光部材を開閉自在な駆動手段と、前記太陽光パネルから生じる電力が予め設定され、若しくは、周囲条件より算出された閾値を越えたか否かを判断して前記駆動手段を駆動させる制御手段と、を具備している。これにより、太陽光パネルが太陽光を受けて電力を発生させると共に、この電力をもって日照量の判断を行うことができ、例えば、夏には、太陽光パネルによる電力が大きい場合には日照量が多いと判断して遮光部材を閉め、室内への太陽光の入射を遮り室温の上昇を抑制し、冬には、太陽光パネルによる電力が大きい場合には日照量が多いと判断して遮光部材を開け、室内へ太陽光を入射させ室温を上昇させる。そのため、冷暖房効率を向上することができると共に、太陽光パネルが、日照量センサも兼ねるので、遮光部材制御装置をコンパクトにすることができる。
【0014】
そして、住人が留守中にも遮光部材が自動で開閉するので、外部の通行人等からは、あたかも住人が在宅であるかのように装うことができ、防犯対策の一環としても貢献することができる。
【0015】
請求項2記載の遮光部材制御装置によれば、外気温を検知する外気温センサと、室温を検知する室温センサと、を具備し、前記制御手段が、前記外気温センサで検知された外気温と前記室温センサで検知された室温との温度差、及び、前記太陽光パネルから生じる電力がそれぞれ予め設定され、若しくは、周囲条件より算出された閾値を越えたか否かを判断して前記駆動手段を駆動させる。これにより、複数の要素で遮光部材の開閉を制御するので冷暖房効率をより向上させることができる。
【0016】
請求項3記載の遮光部材制御装置によれば、前請求項1又は2記載の遮光部材制御装置が住宅の屋内側に設けられている。これにより、太陽光パネル等の配線を室内から外部に引出す際の手間を省略することができ、遮光部材制御装置の取付けを容易に行うことができる。
【0017】
請求項4記載の窓枠構造によれば、請求項1乃至3記載の遮光部材制御装置が窓枠付近に取付けられている。これにより、本発明の窓枠構造を、住宅やマンション等に取付けることで、省エネルギー化に貢献することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
この発明における遮光部材制御装置の最良の実施形態について、以下に説明する。本発明に係る遮光部材制御装置1は、図1に示すように、太陽光を遮断するために住宅の屋内側の窓枠2の上部に取付けられた遮光部材3を自動開閉するためのものである。そして、図1、図2に示すように、太陽光を受けて該太陽光を電力に変換する太陽光パネル4と、該太陽光パネル4の光起電力により生ずる電力を蓄電する蓄電手段5と、該蓄電手段5により蓄電された電力により駆動し、前記遮光部材3を開閉自在な駆動手段6と、前記太陽光パネル3から生じる電力が予め設定され、若しくは、周囲条件より算出された閾値を越えたか否かを判断して前記駆動手段6を駆動させる制御手段7と、を具備している。
【0019】
前記遮光部材3は、住宅の窓枠2の屋内側上部に取付けられ、太陽光の室内への入射を遮るための両開き、若しくは片開きカーテン、ブラインド、襖、簾等である。そして、本実施形態では、遮光部材3として片開きのカーテンが使用され、該カーテンは、図1に示すように、窓枠2の屋内側の上部に設けられた略直方体形状のカーテンボックス8内のカバー8aに吊下げられている。
【0020】
前記太陽光パネル4は、光が照射されることにより電力を生じる光起電力効果を利用した周知の太陽光パネル4を使用することができ、太陽光の光エネルギーを電力に変換することが可能である。これにより、例えば太陽光パネル4から発生する電流値と日照量とは比例関係にあるので、太陽光パネル4から蓄電手段5へ流れる当該電流値を測定することでこれを日照量に変換するようにしてもよい。そして、太陽光パネル4は、駆動手段6が遮光部材3を開閉自在とする際に必要とされる電力を得ることができる程度の大きさに形成する必要があり、また、設置した際に邪魔にならないように、例えば300mm×400mm程度の大きさに形成されていることが好ましい。
【0021】
また、太陽光パネル4は、例えば図1、図3に示すように、開閉自在な窓W1の上部に設けられ開閉することのない採光用の小窓W2等の屋内側面に取付けられることが好ましく、これにより、窓W1を開閉する際にも該太陽光パネル4が邪魔になることがない。また、屋外に庇や塀等が設けられている際には、これらに太陽光が遮蔽されて太陽光パネル4の発電量が小さくならないように留意する必要がある。尚、本実施形態においては、太陽光パネル4を室内に設けたが、該太陽光パネル4を屋外に設けてもよく、その際には、配線Hを窓W1や小窓W2のサッシS等を貫通させ、小窓W2の屋外側面、庇、住宅の外壁等に該太陽光パネル4を設置してもよい。
【0022】
前記蓄電手段5は、駆動手段6の駆動部9に内蔵され、太陽光パネル4の光起電力により生ずる電力を蓄電するためのものであり、リチウムイオン二次電池等の小型の二次電池を好適に使用することができる。
【0023】
前記駆動手段6は、蓄電手段5に蓄電された電力により駆動し、遮光部材3を開閉自在とするものであり、内部に周知のモーター等を内部に有(不図示)する駆動部9を具備している。また、駆動手段6は、図1、図3に示すように、外部から視認することができないようにカーテンボックス8内に設けられており、該カーテンボックス8、及びその上面に長手方向に設けられたカバー8a等と一体となるように形成されている。そして、駆動手段6は、カーテンボックス8の長手方向の一端側内部に取付けられた駆動部9と、カバー8aの長手方向の一端側内部において、該駆動部9の上部に設けられこれによって駆動されるプーリー10と、該カバー8aの他端側内部に設けられた回転自在なプーリー11と、該プーリー10と該プーリー11とに巻回されて、カバー8aの長手方向に亘って、遮光部材3の他端部が該プーリー10と該プーリー11との間を往復して該遮光部材3の開閉を行うことができるように、これらの間に掛け渡されたワイヤ12を具備している。
【0024】
また、図1、図3に示すように、ワイヤ12には所定間隔でリング状の係止具13aが設けられており、遮光部材3の上端部に所定間隔で設けられた鉤状の引掛け具13bが該係止具13aに引掛けられ、遮光部材3が吊下げられる。尚、遮光部材3の一端側の引掛け具13cはカバー8a等に固定されており、ワイヤ12が動いた場合にも遮光部材3の一端部が動くことがない。また、ワイヤ12に設けられた係止具13aのうち、他端側の係止具13dはワイヤ12に固定されているので、該他端側の係止具13dに引掛けられた遮光部材3の他端部は、該ワイヤ12が動いた場合にはこれと連動して動く。
【0025】
そのため、駆動部9が駆動しプーリー10がA方向に回転すると、ワイヤ12に固定された係止具13dと連結された遮光部材3の他端部がB方向に移動し、折畳まれた遮光部材3がこれに引張られて広げられるように、該遮光部材3が閉められる。この際には、プーリー11はワイヤ12でプーリー10と連結されているので、該プーリー11は該プーリー10と連動してC方向に回転する。この際には、遮光部材3の一端側の引掛け具13cは固定されているので、該遮光部材3の一端部が開くことがない。また、駆動部9が駆動しプーリーがD方向に回転すると、ワイヤ12に固定された係止具13dと連結された遮光部材3の他端部がE方向に移動し、広げられた遮光部材3が折畳まれるようにして、該遮光部材3が開けられる。この際には、プーリー11はプーリー10と連動してF方向に回転する。
【0026】
一方、駆動部9の内部には、前記モーター(不図示)の回転をプーリ10に伝達するためのクラッチ(不図示)等が設けられており、このクラッチを接続、若しくは、切るためのスイッチ14が、図1、図3に示すように、住宅の内壁15に設けられている。そのため、スイッチ14をONの状態している場合にはクラッチが接続され、モーターの回転をプーリー10に伝達することができ、スイッチ14をOFFの状態にした場合にはクラッチが切れるため、モーターの回転がプーリー10に伝達されることがなく、遮光部材3を手動で開閉することができる。また、この実施形態における遮光部材3の開閉を行う駆動手段6は一例であり、この実施形態に限定されるものではなくその他の構成でもよい。
【0027】
そして、以上のような太陽光パネル3、蓄電手段4、駆動手段5を具備する、図1、図2に示すような、第1の実施形態に係る遮光部材制御装置1の制御手段7は、駆動手段6の駆動部9に内蔵され、太陽光パネル4から生じる電力に応じて駆動手段6を駆動させて遮光部材3の開閉を行うものであり、以下のような制御を行う。
【0028】
制御手段7は、日付、及び時間を判断するクロックが内蔵されており、該クロックから出力される月によって季節を判断する。例えば、3月〜5月は春、6月〜8月は夏、9月〜11月は秋、12月〜2月は冬であると判断する。
【0029】
そして、太陽光パネル4から生じる電力が、各季節ごとに予め設定された所定の閾値W1〜W3を越えたか否かを判断して遮光部材3の開閉を行う。
ここで、季節を冬と判断した場合には、暖房効率を向上させるため、できるだけ太陽光を室内へ入射させ室温を上昇させると同時に、夜間の熱の放熱を避けるために遮光部材3を閉める。すなわち、太陽光パネル4の電力Wが予め設定された所定の閾値W1を超えた場合(W1<W)には遮光部材3を開け、該閾値W1を下回った場合(W1≧W)には遮光部材3を閉める。
【0030】
また、季節を夏と判断した場合には、冷房効率を向上させるため、できるだけ太陽光の室内への入射を遮り室温の上昇を抑制する。すなわち、太陽光パネル4の電力Wが予め設定された所定の閾値W2を超えた場合(W2<W)には遮光部材3を閉め、該閾値W2を下回った場合(W2≧W)には遮光部材3を開ける。
【0031】
また、本実施形態においては、季節を春や秋と判断した場合には、前述の冬と同様に太陽光パネル4の電力Wが予め設定された所定の閾値W3を超えた場合(W3<W)には遮光部材3を開け、該閾値W3を下回った場合(W3≧W)には遮光部材3を閉めるように設定している。しかし、地域によって気温等が異なるので、夏と判断した場合のように、太陽光パネル4の電力Wが予め設定された所定の閾値W3を超えた場合(W3<W)には遮光部材3を閉め、該閾値W3を下回った場合(W3≧W)には遮光部材3を開けてもよい。
【0032】
これにより、冬には太陽光を室内に積極的に採り入れ室温を上昇させ、夏には太陽光パネル4の電力が大きくなる日中の太陽光が室内へ入射するのを遮り室温の上昇を抑制し、さらに、春と秋では太陽光を採り入れ室温を快適な温度にすることができる。
【0033】
第2の実施形態に係る遮光部材制御装置1は、図3、図4に示すように、太陽光パネル3、蓄電手段4、駆動手段5に加えて、住宅の小窓W2の屋内側面に設置され外気温を間接的に検知する外気温センサ16と、住宅の屋内側に内壁15等に設置され室温を検知する室温センサ17と、を具備している。
【0034】
尚、本実施形態においては、外気温センサ16を室内に設けたが、外気温を直接検知するために該外気温センサ16を屋外に設けてもよく、その際には、配線Hを窓W1や小窓W2のサッシS等を貫通させ、小窓W2の屋外側面、庇、住宅の外壁等に該外気温センサ16を設置してもよい。しかし、前述のように外気温を間接的に検知するために、外気温センサ16を住宅の小窓W2の屋内側面に設置し、外気温の変化による小窓W2からの輻射熱の変化を測定しても、外気温を直接検知するのと同等の効果を得ることができる。
【0035】
そして、制御手段7には、第1の実施形態に係る遮光部材制御装置1の制御装置7と同様に日付、及び時間を判断するクロックが内蔵されており、該クロックから出力される月によって季節を判断する。例えば、3月〜5月は春、6月〜8月は夏、9月〜11月は秋、12月〜2月は冬であると判断する。
【0036】
そして、太陽光パネル4から生じる電力が、各季節ごとに予め設定された所定の閾値W4〜W6を越えたか否かを判断し、さらに、室温Tと外気温Tとの差T(T=T−T)が各季節ごとに予め設定された所定の閾値T1〜T3を越えたか否かを判断して遮光部材3の開閉を行う。
ここで、季節を冬と判断した場合には、暖房効率を向上させるため、できるだけ太陽光を室内へ入射させ室温を上昇させる。すなわち、太陽光パネル4の電力Wが予め設定された所定の閾値W4を超えた場合(W4<W)において、さらに、室温と外気温との差Tが予め設定された所定の閾値T1を下回った場合(T1>T)には遮光部材3を開ける。そして、電力Wが閾値W4を下回った場合(W4≧W)、若しくは、室温と外気温との差Tが閾値T1を超えた場合(T1≦T)には遮光部材3を閉める。これは、外気温が低く室温が高いと、外気温と室温との間に大きな差があり、この場合には外気温に冷やされた窓ガラス等がその輻射熱で室温を下げる可能性があるためである。
【0037】
また、季節を夏と判断した場合には、冷房効率を向上させるため、できるだけ太陽光の室内への入射を遮り室温の上昇を抑制する。すなわち、太陽光パネル4の電力Wが予め設定された所定の閾値W5を超えた場合(W5<W)には、室温と外気温との差Tの値に関らず遮光部材3を閉める。そして、電力Wが閾値W5を下回った場合(W5≧W)において、さらに、室温と外気温との差Tが閾値T2を超えた場合(T2≦T)には遮光部材3を開ける。これは、電力Wが低下しても、室内で冷房等を用いている場合に、室温が低く外気温が高いと、室温と外気温との間に大きな差があり、この場合には外気温に暖められた窓ガラス等がその輻射熱で室温を上げる可能性があるためである。
【0038】
また、本実施形態においては、季節を春や秋と判断した場合には、前述の冬と同様に太陽光パネル4の電力Wが予め設定された所定の閾値W6を超えた場合(W6<W)において、さらに、室温と外気温との差Tが予め設定された所定の閾値T3を下回った場合(T3>T)には遮光部材3を開ける。そして、電力Wが閾値W6を下回った場合(W6≧W)、若しくは、室温と外気温との差Tが閾値T3を超えた場合(T3≦T)には遮光部材3を閉める。
【0039】
しかし、地域によって気温が異なるので、夏と判断した場合のように、太陽光パネル4の電力Wが予め設定された所定の閾値W6を超えた場合(W6<W)には、室温と外気温との差Tの値に関らず遮光部材3を閉める。そして、電力Wが閾値W6を下回った場合(W6≧W)において、さらに、室温と外気温との差Tが閾値T3を超えた場合(T3≦T)には遮光部材3を開けるように設定してもよい。
【0040】
これにより、冬には太陽光を室内に積極的に採り入れつつ、外気温が室温よりも低く、窓からの輻射熱によって室温が上昇しない場合等には、遮光部材3を閉めることができる。そして、夏には太陽光パネル4の電力が小さく日照量が少ない場合においても、外気温が室温よりも高く、窓からの輻射熱によって室温が極度に上昇する場合等には、遮光部材3を閉めることができる。
【0041】
また、これらの閾値W1〜W6の値は日当たりのよさや、その土地の平均気温、太陽光パネル4の大きさ等によって適宜変更することができ、さらに閾値T1〜T3の値も日当たりのよさや、その土地の平均気温によって適宜変更することができる。そして、閾値W3、W6、及び閾値T3は春と秋とで異なる値とすることができるのは勿論である。そして、このような閾値W1〜W6や閾値閾値T1〜T3は、気温、日照量、湿度、地域、時間等の周囲条件により算出され閾値、若しくは、使用者自らが予め設定した閾値を適宜使用することができる。
【0042】
以上のような制御手段7の制御方法は一例であり、地域や使用者の目的に応じて適宜変更することが可能であり、また、第1、及び第2の実施形態に係る遮光部材制御装置1の制御手段7は、内蔵するクロックによって予め指定された所定時間に駆動手段6を駆動させ遮光部材3の開閉を行うこともできる。
【0043】
また、小窓W2の室内側面に屋外側に向けて屋外の照度を検知するための屋外照度センサ、及び、内壁15に室内側に向けて室内の照度を測定するための室内照度センサを設けてもよい。これにより、室内が屋外よりも明るいと制御手段7が判断した場合には、既述の条件に関わらず、遮光部材3を閉めることで屋外から室内への視線を遮断することができる。尚、照度センサとして太陽光パネル3を使用し、照度を該太陽光パネル3の電力をもって判断することができるのは勿論であり、この場合には、図1、図3の外壁15にさらに太陽光パネル3を設ければよい。
【0044】
さらに、第1、及び第2の実施形態に係る遮光部材制御装置1の制御手段7は、無線方式の遠隔操作によって遮光部材3の開閉を行う指令手段と、該指令手段からの指令信号を受信し、その受信した指令信号を制御手段7へ伝達する受信手段と、を具備している。これにより、指令手段からの指令信号を受信手段が受信し、制御手段7に伝達された指令信号に基づき、該制御手段7が駆動手段6を駆動させて遮光部材3の開閉を行うことができる。
【0045】
また、制御手段7の内部に気圧計を内蔵しておけば、例えば過去6時間の気圧の推移から天気を予測して、この予測が晴れである場合にのみ駆動手段6を駆動させ遮光部材3の開閉を行うこともできる。尚、この天気予報は、制御手段7に受信手段を備えておけば、外部から天気情報を受信し制御手段7がその天気情報に基づき駆動手段6を駆動させ遮光部材3の開閉を行うこともできる。
【0046】
以上のように遮光部材3としてカーテンを使用した場合には、遮光部材制御装置1をカーテンボックス8と一体として、室内側の窓枠2の上部に取付けたが、該遮光部材制御装置1の位置はその他の位置でもよいのは勿論である。そして、以上のような遮光部材制御装置1を窓枠付近に取付け窓枠構造とし、当該窓枠構造をマンションや住宅等で使用することで、冷暖房効率を向上させると共に、待機電源を太陽光パネル4による電力を使用することができるので省エネルギー化に大きく貢献することができ、また、留守中の防犯対策としても使用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明に係る遮蔽部材制御装置1は、住宅だけでなく、ホテル、学校、病院等の施設でも利用可である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】第1の実施形態に係る遮光部材制御装置が取付けられた遮光部材の全体斜視図
【図2】第1の実施形態に係る遮光部材制御装置の概略図
【図3】第2の実施形態に係る遮光部材制御装置が取付けられた遮光部材の全体斜視図
【図4】第2の実施形態に係る遮光部材制御装置の概略図
【図5】遮光部材制御装置が取付けられた遮光部材の他の全体斜視図
【図6】図5に示すカーテンボックスのA−A断面図
【図7】従来技術を示す図
【符号の説明】
【0049】
1 遮光部材制御装置
2 窓枠
3 遮光部材
4 太陽光パネル
5 蓄電手段
6 駆動手段
7 制御手段
16 外気温センサ
17 室温センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽光を遮断するために住宅の屋内側の窓枠付近に取付けられた遮光部材を、自動開閉するための遮光部材制御装置であって、
太陽光を受けて該太陽光を電力に変換する太陽光パネルと、
該太陽光パネルの光起電力により生ずる電力を蓄電する蓄電手段と、
該蓄電手段により蓄電された電力により駆動し、前記遮光部材を開閉自在な駆動手段と、
前記太陽光パネルから生じる電力が予め設定され、若しくは、周囲条件より算出された閾値を越えたか否かを判断して前記駆動手段を駆動させる制御手段と、
を具備することを特徴とする遮光部材制御装置。
【請求項2】
外気温を検知する外気温センサと、室温を検知する室温センサと、を具備し、
前記制御手段が、前記外気温センサで検知された外気温と前記室温センサで検知された室温との温度差、及び、前記太陽光パネルから生じる電力がそれぞれ予め設定され、若しくは、周囲条件より算出された閾値を越えたか否かを判断して前記駆動手段を駆動させることを特徴とする請求項1記載の遮光部材制御装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の遮光部材制御装置が住宅の屋内側に設けられたことを特徴とする遮光部材制御装置。
【請求項4】
請求項1乃至3記載の遮光部材制御装置が窓枠付近に取付けられたことを特徴とする窓枠構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−225827(P2009−225827A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−71211(P2008−71211)
【出願日】平成20年3月19日(2008.3.19)
【出願人】(000198787)積水ハウス株式会社 (748)
【Fターム(参考)】