説明

選択的グルココルチコイド受容体調節物質としての17−カルバモイルオキシコルチゾル誘導体

本発明は、様々な自己免疫及び炎症性疾患若しくは病気を治療する選択的グルココルチコイド受容体リガンドとして有用である式(I)の化合物、又は薬剤として許容されるその塩若しくは水和物を包含する。薬剤組成物及び使用方法も含まれる。
【化15】


【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
細胞内受容体(IR)は、遺伝子発現の調節に関与する、構造的に関係のあるタンパク質の一クラスである。ステロイドホルモン受容体は、その天然リガンドが一般にエストラジオール、プロゲステロン及びコルチゾールなどの内因性ステロイドを含むこのスーパーファミリーのサブセットである。これらの受容体に対する人工リガンドは、ヒトの健康に重要な役割を果たし、これらの受容体のうち、グルココルチコイド受容体は、ヒトの生理及び免疫応答の調節に本質的な役割を果たす。グルココルチコイド受容体と相互作用するステロイドは、強力な抗炎症剤であることが判明している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
本発明は、強力な抗炎症性及び免疫抑制活性を有し、副作用、効力、毒性及び/又は代謝の点で、ステロイド性グルココルチコイドリガンドを上回る利点を有する選択的グルココルチコイド受容体調節物質である化合物の新規クラスを対象とする。
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明は、様々な自己免疫及び炎症性疾患若しくは病気を治療する選択的グルココルチコイド受容体リガンドとして有用である式I
【0004】
【化5】

の化合物、又は薬剤として許容されるその塩若しくは水和物を包含する。薬剤組成物及び使用方法も含まれる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
一側面において、本発明は、式Iの化合物、又は薬剤として許容されるそれらの塩若しくは水和物を包含する。
【0006】
【化6】

(式中、
は−C(O)−Rであり、
は−O−C(O)−N(R)(R)であり、
或いは、RとRは、これらが結合している炭素原子と一緒に結合して、
【0007】
【化7】

からなる群から選択される基を形成し、
13は水素又は−C(O)−CHであり、
、R、R及びR12は、
(1)水素、及び
(2)C1−3アルキル
からなる群から独立に選択され、
は、
(1)C1−10アルキル、
(2)C2−6アルケニル、
(3)フェニル及びナフチルからなる群から選択されるアリール、
(4)ピリジル、フラニル、チエニル及びイミダゾイル(imidazoyl)からなる群から選択されるヘテロアリール、
(5)アリールがフェニル及びナフチルからなる群から選択されるC1−6アルキル−アリール、
(6)ヘテロアリールがピリジル、フラニル、チエニル及びイミダゾイルからなる群から選択される−C1−6アルキル−ヘテロアリール
からなる群から選択され(ここで、選択(1)及び(2)並びに選択(5)及び(6)のアルキル部分は、−OH,−OCH、−OCF、−COCH、−COCH、−CONH、−CN、−SOCH、−SOCH、−SONH、F、Cl、Br及び−CFからなる群から独立に選択される置換基で場合によっては一置換二置換又は三置換されていてもよく、選択(3)及び(4)並びに選択(5)及び(6)のアリール及びヘテロアリール部分は、−OH、−OCH、−OCF、−COCH、−COCH、−CONH、−CN、−SOCH、−SOCH、−SONH、F、Cl、Br及び−CFからなる群から独立に選択される置換基で場合によっては一置換又は二置換されていてもよい。)、
或いは、R3とR4は、これらが結合している窒素原子と一緒に結合して、−C1−6アルキル又は−C1−6アルケニルで場合によっては置換されていてもよい5、6、7又は8個の炭素原子の環を形成し、
は、
(1)水素、
(2)C1−6アルキル、
(3)ヒドロキシで置換されたC1−6アルキル、
(4)ハロで一置換又は二置換されたC1−6アルキル、
(5)−C1−6アルキル−O−C(O)−C1−4アルキル、
(6)ハロ、ヒドロキシ又はメチルで場合によっては一置換又は二置換されていてもよい−C1−6アルキル−O−C(O)−C1−4アルキル、
(7)ハロ、ヒドロキシ又はメチルで場合によっては一置換又は二置換されていてもよい−C1−6アルキル−S(O)−C1−4アルキル、及び
(8)C2−6アルケニル
からなる群から各々独立に選択され(式中、nは0、1又は2である。)、
及びRは、
(1)水素、
(2)ハロ、
(3)ヒドロキシ、
(4)C1−6アルキル、
(5)C2−6アルケニル、及び
(6)フェニル
からなる群から各々独立に選択され(ここで、選択(4)、(5)及び(6)は、−OH、−OCH、−OCF、−COCH、−COCH、−CONH、−CN、−SOCH、−SOCH、−SONH、F、Cl、Br及び−CFから独立に選択される置換基で場合によっては一置換又は二置換されていてもよい。)、
10は、
(1)C1−6アルキル、
(2)ヒドロキシ又は−OR13で置換されたC1−6アルキル、
(3)ハロで一置換又は二置換されたC1−6アルキル、
(4)−C1−6アルキル−O−C(O)−C1−4アルキル、
(5)ハロ、ヒドロキシ又はメチルで場合によっては一置換又は二置換されていてもよい−C1−6アルキル−O−C(O)−C1−4アルキル、
(6)ハロ、ヒドロキシ又はメチルで場合によっては一置換又は二置換されていてもよい−C1−6アルキル−S(O)−C1−4アルキル
からなる群から選択され(式中、nは0、1又は2である。)、
11は、
(1)水素、
(2)ヒドロキシ、
(3)C1−6アルキル、
(4)ヒドロキシで置換されたC1−6アルキル、
(5)ハロで一置換又は二置換されたC1−6アルキル、
(6)−C1−6アルキル−O−C(O)−C1−4アルキル、
(7)ハロ、ヒドロキシ又はメチルで場合によっては一置換又は二置換されていてもよい−C1−6アルキル−O−C(O)−C1−4アルキル、
(8)ハロ、ヒドロキシ又はメチルで場合によっては一置換又は二置換されていてもよい−C1−6アルキル−S(O)−C1−4アルキル
からなる群から選択される(式中、kは0、1又は2である。)。)
この側面の範囲内で、Rが水素又はメチルである属がある。
【0008】
この側面の範囲内で、Rが水素である別の属がある。
【0009】
この側面の範囲内で、Rが水素である別の属がある。
【0010】
この側面の範囲内で、Rがハロである別の属がある。
【0011】
この側面の範囲内で、Rがヒドロキシである別の属がある。
【0012】
この側面の範囲内で、Rが水素であり、Rがメチルであり、Rが水素である別の属がある。
【0013】
この属の範囲内で、式Iaの化合物の亜属がある。
【0014】
【化8】

【0015】
本発明の別の側面は、式Ibの化合物、及び薬剤として許容されるそれらの塩である。
【0016】
【化9】

(式中、Rは−C(O)−Rであり、
は−O−C(O)−N(H)(R)であり、
は、
(1)C1−10アルキル、
(2)C2−6アルケニル、
(3)フェニル及びナフチルからなる群から選択されるアリール、
(4)ピリジル、フラニル、チエニル及びイミダゾイルからなる群から選択されるヘテロアリール、
(5)アリールがフェニル及びナフチルからなる群から選択されるC1−6アルキル−アリール、
(6)ピリジル、フラニル、チエニル及びイミダゾイルからなる群から選択される−C1−6アルキル−ヘテロアリール
からなる群から選択され(ここで、選択(1)及び(2)並びに選択(5)及び(6)のアルキル部分は、−OH、−OCH、−OCF、−COCH、−COCH、−CONH、−CN、−SOCH、−SOCH、−SONH、F、Cl、Br及び−CFからなる群から独立に選択される置換基で場合によっては一置換、二置換又は三置換されていてもよく、選択(3)及び(4)並びに選択(5)及び(6)のアリール及びヘテロアリール部分は、−OH、−OCH、−OCF、−COCH、−COCH、−CONH、−CN、−SOCH、−SOCH、−SONH、F、Cl、Br及び−CFからなる群から独立に選択される置換基で場合によっては一置換又は二置換されていてもよい。)、
は、ヒドロキシ又はC1−6アルキル−O−C(O)−C1−4アルキルで置換されたC1−6アルキルである。)
点線は必要に応じて導入される二重結合であり、二重結合があってもなくてもよいことを意味する。式Iの化合物のサブセットを以下に示す。
【0017】
【化10】

当業者であれば、CとC11の間に二重結合がないときにのみ、RがC上に存在でき、RがC11上に存在できることが自明であろう。
【0018】
本発明の実例は以下の化合物である。
【0019】
(11β,16β)−9−フルオロ−11,21−ジヒドロキシ−16−メチル−3,20−ジオキソプレグナ−1,4−ジエン−17−イルエチルカルバメート、
(11β,16β)−21−(アセチルオキシ)−9−フルオロ−11−ヒドロキシ−16−メチル−3,20−ジオキソプレグナ−1,4−ジエン−17−イルエチルカルバメート、
(11β,16β)−9−フルオロ−11,21−ジヒドロキシ−16−メチル−3,20−ジオキソプレグナ−1,4−ジエン−17−イル(1R)−1−フェニルエチルカルバメート、
(11β,16β)−21−(アセチルオキシ)−9−フルオロ−11−ヒドロキシ−16−メチル−3,20−ジオキソプレグナ−1,4−ジエン−17−イルプロピルカルバメート、
(11β,16β)−9−フルオロ−11,21−ジヒドロキシ−16−メチル−3,20−ジオキソプレグナ−1,4−ジエン−17−イルプロピルカルバメート、
(11β,16β)−9−フルオロ−11,21−ジヒドロキシ−16−メチル−3,20−ジオキソプレグナ−1,4−ジエン−17−イルイソプロピルカルバメート、
(11β,16β)−9−フルオロ−11,21−ジヒドロキシ−16−メチル−3,20−ジオキソプレグナ−1,4−ジエン−17−イルアリルカルバメート、
(11β,16β)−21−(アセチルオキシ)−9−フルオロ−11−ヒドロキシ−16−メチル−3,20−ジオキソプレグナ−1,4−ジエン−17−イルブチルカルバメート、
(11β,16β)−9−フルオロ−11,21−ジヒドロキシ−16−メチル−3,20−ジオキソプレグナ−1,4−ジエン−17−イルブチルカルバメート、
(11β,16β)−21−(アセチルオキシ)−9−フルオロ−11−ヒドロキシ−16−メチル−3,20−ジオキソプレグナ−1,4−ジエン−17−イルsec−ブチルカルバメート、
(11β,16β)−9−フルオロ−11,21−ジヒドロキシ−16−メチル−3,20−ジオキソプレグナ−1,4−ジエン−17−イルsec−ブチルカルバメート、
(11β,16β)−21−(アセチルオキシ)−9−フルオロ−11−ヒドロキシ−16−メチル−3,20−ジオキソプレグナ−1,4−ジエン−17−イルtert−ブチルカルバメート、
(11β,16β)−9−フルオロ−11,21−ジヒドロキシ−16−メチル−3,20−ジオキソプレグナ−1,4−ジエン−17−イルtert−ブチルカルバメート、
(11β,16β)−21−(アセチルオキシ)−9−フルオロ−11−ヒドロキシ−16−メチル−3,20−ジオキソプレグナ−1,4−ジエン−17−イルペンチルカルバメート、
(11β,16β)−9−フルオロ−11,21−ジヒドロキシ−16−メチル−3,20−ジオキソプレグナ−1,4−ジエン−17−イルペンチルカルバメート、
(11β,16β)−9−フルオロ−11,21−ジヒドロキシ−16−メチル−3,20−ジオキソプレグナ−1,4−ジエン−17−イルシクロペンチルカルバメート、
(11β,16β)−9−フルオロ−11,21−ジヒドロキシ−16−メチル−3,20−ジオキソ−プレグナ−1,4−ジエン−17−イル1,1,2,2−テトラメチル−プロピルカルバメート、
(11β,16β)−21−(アセチルオキシ)−9−フルオロ−11−ヒドロキシ−16−メチル−3,20−ジオキソプレグナ−1,4−ジエン−17−イル(1R)−1−フェニルエチルカルバメート、
(11β,16β)−21−(アセチルオキシ)−9−フルオロ−11−ヒドロキシ−16−メチル−3,20−ジオキソプレグナ−1,4−ジエン−17−イル(1S)−1−フェニルエチルカルバメート、
(11β,16β)−9−フルオロ−11,21−ジヒドロキシ−16−メチル−3,20−ジオキソプレグナ−1,4−ジエン−17−イル(1S)−1−フェニルエチルカルバメート、
(11β,16β)−9−フルオロ−11,21−ジヒドロキシ−16−メチル−3,20−ジオキソプレグナ−1,4−ジエン−17−イル(1S)−1−(メトキシカルボニル)−エチルカルバメート、
(11β,16β)−9−フルオロ−11,21−ジヒドロキシ−16−メチル−3,20−ジオキソプレグナ−1,4−ジエン−17−イルフェニルカルバメート、
(11β,16β)−9−フルオロ−11,21−ジヒドロキシ−16−メチル−3,20−ジオキソプレグナ−1,4−ジエン−17−イルシクロヘキシルカルバメート、
(11β,16β)−9−フルオロ−11,21−ジヒドロキシ−16−メチル−3,20−ジオキソプレグナ−1,4−ジエン−17−イル1−アダマンチルカルバメート、
(11β,16β)−9−フルオロ−11,21−ジヒドロキシ−16−メチル−3,20−ジオキソプレグナ−1,4−ジエン−17−イル2−(1−アダマンチル)−1,1−ジメチルエチルカルバメート、
(11β,16β)−9−フルオロ−11,21−ジヒドロキシ−16−メチル−3,20−ジオキソプレグナ−1,4−ジエン−17−イルジシクロプロピルメチルカルバメート、
(11β,16β)−9−フルオロ−11,21−ジヒドロキシ−16−メチル−3,20−ジオキソプレグナ−1,4−ジエン−17−イルスピロ[2.4]ヘプタ−1−イルメチルカルバメート、
(11β,16β)−9−フルオロ−11,21−ジヒドロキシ−16−メチル−3,20−ジオキソプレグナ−1,4−ジエン−17−イル1,1−ジメチルブチルカルバメート、
(11β,16β)−9−フルオロ−11,21−ジヒドロキシ−16−メチル−3,20−ジオキソプレグナ−1,4−ジエン−17−イル1−メチルブチルカルバメート、
(11β,16β)−9−フルオロ−11,21−ジヒドロキシ−16−メチル−3,20−ジオキソプレグナ−1,4−ジエン−17−イル1,3−ジメチルブチルカルバメート、
(11β,16β)−9−フルオロ−11,21−ジヒドロキシ−16−メチル−3,20−ジオキソプレグナ−1,4−ジエン−17−イルイソペンチルカルバメート、
(11β,16β)−9−フルオロ−11,21−ジヒドロキシ−16−メチル−3,20−ジオキソプレグナ−1,4−ジエン−17−イル3,3−ジメチルブチルカルバメート、
(11β,16β)−9−フルオロ−11,21−ジヒドロキシ−16−メチル−3,20−ジオキソプレグナ−1,4−ジエン−17−イルtert−ペンチルカルバメート、
(11β,16β)−9−フルオロ−11,21−ジヒドロキシ−16−メチル−3,20−ジオキソプレグナ−1,4−ジエン−17−イルネオペンチルカルバメート、
(11β,16β)−9−フルオロ−11,21−ジヒドロキシ−16−メチル−3,20−ジオキソプレグナ−1,4−ジエン−17−イル1,2−ジメチルプロピルカルバメート、及び
(11β,16β)−9−フルオロ−11,21−ジヒドロキシ−16−メチル−3,20−ジオキソプレグナ−1,4−ジエン−17−イルプロピルカルバメート。
【0020】
本発明の別の実施態様は、薬剤として許容される担体と組み合わせた式Iの化合物を含む薬剤組成物を包含する。
【0021】
本発明の別の実施態様は、グルココルチコイド受容体によって媒介される疾患又は病気を治療するのに有効な量で式Iの化合物を哺乳動物患者に投与することを含む、そのような治療を必要とする前記患者におけるグルココルチコイド受容体によって媒介される前記疾患又は病気を治療する方法を包含する。
【0022】
グルココルチコイド受容体によって媒介される前記疾患又は病気は、組織拒絶反応、白血病、リンパ腫、クッシング症候群、急性副腎不全、先天性副腎皮質過形成症、リウマチ熱、結節性多発性動脈炎、肉芽腫性多発性動脈炎、骨髄細胞系の阻害、免疫増殖/アポトーシス、HPA軸の抑制及び調節、高コルチゾール血症(hypercortisolemia)、卒中及び脊髄損傷、高カルシウム血症、高血糖症、急性副腎不全、慢性原発性副腎不全、続発性副腎不全、先天性副腎皮質過形成症、脳浮腫、血小板減少症、リトル症候群(Little’s syndrome)、肥満症、代謝症候群、炎症性腸疾患、全身性エリテマトーデス、結節性多発性動脈炎(polyartitis nodosa)、ウェゲナー肉芽腫症、巨細胞性動脈炎、リウマチ様関節炎、若年性関節リウマチ、ブドウ膜炎、枯草熱、アレルギー性鼻炎、じんま疹、血管神経性浮腫、慢性閉塞性肺疾患、喘息、腱炎、滑液包炎、クローン病、潰瘍性大腸炎、自己免疫性慢性活動性肝炎、臓器移植、肝炎、硬変、炎症性頭皮脱毛症、皮下脂肪組織炎、乾せん、円板状エリテマトーデス、炎症性嚢胞、アトピー性皮膚炎、壊そ性膿皮症、尋常性天ぽうそう、水ほう性類天疱瘡(buflous pernphigoid)、全身性エリテマトーデス、皮膚筋炎、妊娠性ヘルペス、好酸球性筋膜炎、再発性多発性軟骨炎、炎症性血管炎、サルコイドーシス、スイート病、I型反応性ライ病(type I reactive leprosy)、毛細血管腫、接触性皮膚炎、アトピー性皮膚炎、扁平苔せん、剥脱性皮膚炎、結節性紅斑、挫創、多毛症、中毒性表皮壊死症、多形性紅斑、皮膚T細胞リンパ腫、ヒト免疫不全症ウイルス(HIV)、細胞アポトーシス、癌、カポジ肉腫、網膜色素変性症、認知能力、記憶及び学習向上、うつ病、耽溺、気分障害、慢性疲労症候群、統合失調症、睡眠障害及び不安からなる群から選択される上記方法は、この実施態様に包含される。
【0023】
本発明の別の実施態様は、式Iの化合物を、グルココルチコイド受容体を調整するのに有効な量で哺乳動物に投与することを含む、前記哺乳動物における前記グルココルチコイド受容体の活性化、抑制、アゴニズム及びアンタゴニズム効果を選択的に調整する方法を包含する。
【0024】
本発明を例示するのは、以下に開示する実施例の化合物である。
【0025】
本発明は、別段の記載がない限り以下の定義を用いて記述される。
【0026】
「ハロゲン」又は「ハロ」という用語は、F、Cl、Br及びIを含む。
【0027】
「アルキル」という用語は、表記された数の炭素原子を有する線状又は分枝構造及びそれらの組み合せを意味する。したがって、例えば、C1−6アルキルは、メチル、エチル、プロピル、2−プロピル、s−及びt−ブチル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、1,1−ジメチルエチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル並びにシクロヘキシルを含む。
【0028】
「アルコキシ」という用語は、表記された数の炭素原子を有する直鎖、分枝又は環式配置のアルコキシ基を意味する。例えば、C1−6アルコキシは、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシなどを含む。
【0029】
「アルキルチオ」という用語は、表記された数の炭素原子を有する直鎖、分枝又は環式配置のアルキルチオ基を意味する。例えば、C1−6アルキルチオは、メチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオなどを含む。
【0030】
「アルケニル」という用語は、少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を有し、水素がさらに別の炭素−炭素二重結合で置換されていてもよい、表記された数の炭素原子の線状又は分枝構造及びそれらの組み合せを意味する。例えば、C2−6アルケニルは、エテニル、プロペニル、1−メチルエテニル、ブテニルなどを含む。
【0031】
「アルキニル」という用語は、少なくとも1個の炭素−炭素三重結合を有する、表記された数の炭素原子の線状又は分枝構造及びそれらの組み合せを意味する。例えば、C3−6アルキニルは、プロペニル、1−メチルエテニル、ブテニルなどを含む。
【0032】
「シクロアルキル」という用語は、線状又は分枝構造と場合によっては組み合わせられていてもよい、表記された数の炭素原子の単環、二環又は三環式構造を意味する。シクロアルキル基の例は、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘプチル、アダマンチル、シクロドデシルメチル、2−エチル−1−ビシクロ[4.4.0]デシルなどである。
【0033】
「アリール」という用語は、単環又は二環式芳香環系と定義され、例えば、フェニル、ナフチルなどを含む。
【0034】
「アラルキル」という用語は、アルキル水素原子の1個が置換された上記アリール基を有する1から6個の炭素原子の上記アルキル基、例えば、ベンジルなどを意味する。
【0035】
「アリールオキシ」という用語は、酸素原子によってある分子に結合した上記アリール基(アリール−O)を意味し、例えば、フェノキシ、ナフトキシなどを含む。
【0036】
「アラルコキシ(aralkoxy)」という用語は、酸素原子によってある分子に結合した上記アラルキル基(アラルキル−O)を意味し、例えば、ベンジルオキシなどを含む。
【0037】
「アリールチオ」という用語は、硫黄原子によってある分子に結合した上記アリール基(アリール−S)として定義され、例えば、チオフェニオキシ(thiophenyoxy)、チオナフトキシ(thionaphthoxy)などを含む。
【0038】
「アロイル」という用語は、カルボニル基によってある分子に結合した上記アリール基(アリール−C(O)−)を意味し、例えば、ベンゾイル、ナフトイルなどを含む。
【0039】
「アロイルオキシ」という用語は、酸素原子によってある分子に結合した上記アロイル基(アロイル−O)を意味し、例えば、ベンゾイルオキシ又はベンゾキシ、ナフトイルオキシなどを含む。
【0040】
「HET」という用語は、O、S及びNから選択される1から4個のヘテロ原子を含有し、1から2個のオキソ基で場合によっては置換されている5から10員環芳香族、部分芳香族又は非芳香族単環又は二環式環として定義される。「HET」は、O、S及びNから選択される1から3個のヘテロ原子を含有する5若しくは6員環芳香族若しくは非芳香族単環式環、例えば、ピリジン、ピリミジン、ピリダジン、フラン、チオフェン、チアゾール、オキサゾール、イソオキサゾールなどであり、又は、HETは、O、S及びNから選択される1から3個のヘテロ原子を含有する9若しくは10員環芳香族若しくは部分芳香族二環式環、例えば、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、ピラノピロール(pyranopyrrole)、ベンゾピラン、キノリン、ベンゾシクロヘキシル、ナフチリジンなどであることが好ましい。「HET」は、以下のもの、すなわち、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾピラゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチオフェニル、ベンズオキサゾリル、カルバゾリル、カルボリニル(carbolinyl)、シンノリニル、フラニル、イミダゾリル、インドリニル、インドリル、インドラジニル(indolazinyl)、インダゾリル、イソベンゾフラニル、イソインドリル、イソキノリル、イソチアゾリル、イソキサゾリル、ナフチリジニル(naphthyridinyl)、オキサジアゾリル、オキサゾリル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリドピリジニル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジル、ピロリル、キナゾリニル、キノリル、キノキサリニル、チアジアゾリル、チアゾリル、チエニル、トリアゾリル、アゼチジニル、1,4−ジオキサニル、ヘキサヒドロアゼピニル(azepinyl)、ピペラジニル、ピペリジニル、ピロリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ジヒドロベンズイミダゾリル、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロベンゾチオフェニル、ジヒドロベンズオキサゾリル、ジヒドロフラニル、ジヒドロイミダゾリル、ジヒドロインドリル、ジヒドロイソオキサゾリル、ジヒドロイソチアゾリル、ジヒドロオキサジアゾリル、ジヒドロオキサゾリル、ジヒドロピラジニル、ジヒドロピラゾリル、ジヒドロピリジニル、ジヒドロピリミジニル、ジヒドロピロリル、ジヒドロキノリニル、ジヒドロテトラゾリル、ジヒドロチアジアゾリル、ジヒドロチアゾリル、ジヒドロチエニル、ジヒドロトリアゾリル、ジヒドロアゼチジニル、メチレンジオキシベンゾイル、テトラヒドロフラニル及びテトラヒドロチエニルも含む。
【0041】
上記定義のすべてについて、本明細書で参照するときには、ある基に対する各表記は、同じ基に対する他のすべての表記とは無関係である。例えば、RとRの両方がHETの場合、HETの定義は互いに無関係であり、RとRは異なるHET基、例えばフランとチオフェンとすることができる。
【0042】
「治療する」という用語は、患者を治療してその患者から疾患又は病気の徴候及び症状を取り除くだけでなく、無症候性患者を予防的に治療して、疾患又は病気の発生を防止し、或いは疾患又は病気の進行を防止し、遅らせ、又は逆転させることを包含する。「治療に有効な量」という用語は、研究者、獣医師、医師又は他の臨床家によって求められる、組織、系、動物又はヒトの生物学的又は医学的応答を誘発する薬物又は薬剤の量を意味するものとする。この用語は、研究者、獣医師、医師又は他の臨床家が組織、系、動物又はヒトにおいて防止しようと努力している生物学的又は医学的現象の発生リスクをなくし、又は減少させ得る医薬薬物の量も包含する。
【0043】
以下の略号は、次の意味を有する。
【0044】
AIBN = 2,2’−アゾビスイソブチロニトリル
B.P. = 過酸化ベンゾイル
Bn = ベンジル
CCl = 四塩化炭素
D =−O(CHO−
DAST = ジエチルアミン硫黄トリフルオライド(diethylamine sulfur trifluoride)
DCC = ジシクロヘキシルカルボジイミド
DCI = 1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド
DEAD = ジエチルアゾジカルボキシラート
DIBAL = 水素化ジイソブチルアルミニウム
DME = エチレングリコールジメチルエーテル
DMAP = 4−(ジメチルアミノ)ピリジン
DMF = N,N−ジメチルホルムアミド
DMSO = ジメチルスルホキシド
EtN = トリエチルアミン
LDA = リチウムジイソプロピルアミド
m−CPBA = メタクロロ過安息香酸
NBS = N−ブロモスクシンイミド
NSAID = 非ステロイド性抗炎症薬
PCC = クロロクロム酸ピリジニウム
PDC = 二クロム酸ピリジニウム
Ph = フェニル
1,2−Ph = 1,2−ベンゼンジイル
Pyr = ピリジンジイル
Qn = 7−クロロキノリン−2−イル
= −CHSCHCHPh
r.t. = 室温
rac. = ラセミ
THF = テトラヒドロフラン
THP = テトラヒドロピラン−2−イル
アルキル基の略号
Me = メチル
Et = エチル
n−Pr = ノルマルプロピル
i−Pr = イソプロピル
n−Bu = ノルマルブチル
i−Bu = イソブチル
s−Bu = 第二級ブチル
t−Bu = 第三級ブチル
c−Pr = シクロプロピル
c−Bu = シクロブチル
c−Pen = シクロペンチル
c−Hex = シクロヘキシル
本明細書に記載する化合物の一部は、1個以上の不斉中心を含有し、したがってジアステレオマー及び光学異性体を生じ得る。本発明は、そのような考えられるジアステレオマー、並びにそれらのラセミ及び分離された鏡像異性的に純粋な形、並びに薬剤として許容されるそれらの塩を含むものとする。
【0045】
本明細書に記載する化合物の一部は、オレフィン二重結合を含有し、別段の指定がないかぎり、E幾何異性体とZ幾何異性体の両方を含むものとする。
【0046】
本発明の薬剤組成物は、活性成分として式Iの化合物、又は薬剤として許容されるその塩を含み、薬剤として許容される担体も含有することができ、場合によっては他の治療成分を含んでいてもよい。「薬剤として許容される塩」という用語は、無機塩基及び有機塩基を含めて、薬剤として許容される無毒の塩基から調製された塩を指す。無機塩基から誘導される塩としては、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、第二鉄、第一鉄、リチウム、マグネシウム、第二マンガン塩、第一マンガン、カリウム、ナトリウム、亜鉛などがある。特に好ましいのは、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、カリウム及びナトリウム塩である。薬剤として許容される無毒の有機塩基から誘導される塩としては、アルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチル−モルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミンなどの第一級、第二級及び第三級アミン、天然に存在する置換アミンを含めた置換アミン、環式アミン及び塩基性イオン交換樹脂の塩などが挙げられる。
【0047】
本発明の化合物が塩基性のときには、塩は、無機酸及び有機酸を含めて薬剤として許容される無毒の酸から調製することができる。そのような酸としては、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、臭化水素酸、塩化水素酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、硝酸、パモン酸、パントテン酸、リン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸などがある。特に好ましい酸は、クエン酸、臭化水素酸、塩化水素酸、マレイン酸、リン酸、硫酸及び酒石酸である。
【0048】
以下の治療方法の考察において、式Iの化合物という表記は、薬剤として許容される塩も含むものであることを理解されたい。
【0049】
式Iの化合物の予防的用量又は治療用量の規模は、治療すべき病気の性質と重篤度、式Iの具体的な化合物及びその投与経路に応じて変わることは言うまでもない。これは、年齢、体重、全般的健康状態、性別、食事、投与時間、代謝排泄速度、薬物の組み合せ、及び個々の患者の反応を含めた様々な要因に応じても変わるであろう。一般に、約0.001mgから約100mg/kg哺乳動物体重、好ましくは0.01mgから約10mg/kgの一日量。一方、これらの限度外の投与量を使用することが必要な場合もある。
【0050】
単一剤形を製造するために担体材料と組み合わせることができる活性成分の量は、治療する相手、及び具体的な投与方法に応じて変わるであろう。例えば、ヒトへの経口投与を目的とした製剤は、全組成物の約5から約95パーセントとすることができる適切で好都合な量の担体材料と配合された約0.5mgから約5gの活性薬剤を含有することができる。単位剤形は、一般に、活性成分約1mgから約2g、典型的には25mg、50mg、100mg、200mg、300mg、400mg、500mg、600mg、800mg又は1000mgを含有するであろう。
【0051】
グルココルチコイド受容体によって媒介される疾患を治療するためには、式Iの化合物は、従来の無毒の薬剤として許容される担体、アジュバント及びビヒクルを含有する単位用量製剤として、経口、局所、非経口、吸入噴霧又は直腸投与することができる。本明細書において使用する非経口という用語は、皮下、静脈内、筋肉内、胸骨内注射又は注入法を含む。マウス、ラット、ウマ、ウシ、ヒツジ、イヌ、ネコなどの温血動物の治療に加えて、本発明の化合物は、ヒトの治療に有効である。
【0052】
活性成分を含有する薬剤組成物は、経口用途に適した剤形、例えば、錠剤、トローチ剤、舐剤、溶液剤、水性又は油性懸濁液剤、分散性散剤又は顆粒剤、乳剤、硬又は軟カプセル剤、シロップ剤又はエリキシル剤とすることができる。経口用組成物は、薬剤組成物の製造の分野で公知の任意の方法によって調製することができ、このような組成物は、薬剤的に優れた、口当たりの良い製剤を提供するために、甘味剤、矯味矯臭剤、着色剤及び防腐剤からなる群から選択される1種類以上の薬剤を含有することができる。錠剤は、錠剤の製造に適切である、薬剤として許容される無毒の賦形剤と混合された活性成分を含有する。これらの賦形剤は、例えば、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウム又はリン酸ナトリウムなどの不活性希釈剤;顆粒化剤及び崩壊剤、例えば、コーンスターチ又はアルギン酸;結合剤、例えば、デンプン、ゼラチン又はアラビアゴム、及び潤滑剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸又はタルクとすることができる。錠剤は被覆されていなくてもよく、消化管内での崩壊及び吸収を遅らせ、それによって長時間の持続作用をもたらす公知の技術によって被覆することもできる。例えば、モノステアリン酸グリセリン、ジステアリン酸グリセリンなどの遅延材料を使用することができる。これらは、米国特許第4,256,108号、同第4,166,452号及び同第4,265,874号に記載の技術によって被覆して、放出を制御する浸透圧治療錠剤(osmotic therapeutic tablet)を形成することもできる。
【0053】
経口製剤は、活性成分が不活性固体希釈剤、例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム若しくはカオリンと混合されている硬質ゼラチンカプセル剤、又は活性成分が、プロピレングリコール、PEG及びエタノールなどの水溶性溶媒、若しくはオイル媒体、例えば、落花生油、流動パラフィン若しくはオリーブオイルと混合されている軟質ゼラチンカプセル剤として与えることもできる。
【0054】
水性懸濁液剤は、水性懸濁液剤の製造に適切な賦形剤と混合された活性材料を含有する。このような賦形剤は、懸濁剤、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントゴム及びアラビアゴムであり、分散剤又は湿潤剤は、天然に存在するリン脂質、例えば、レシチン、又はアルキレンオキサイドと脂肪酸の縮合物、例えば、ポリオキシエチレンステアレート、又はエチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールの縮合物、例えば、ヘプタデカエチレンオキシセタノール、又はポリオキシエチレンソルビトールモノオレアートなどの脂肪酸とヘキシトールから誘導される部分エステルとエチレンオキシドの縮合物、又は脂肪酸と無水ヘキシトールから誘導される部分エステルとエチレンオキシドの縮合物、例えば、ポリエチレンソルビタンモノオレアートとすることができる。水性懸濁液剤は、1種類以上の防腐剤、例えば、エチル又はn−プロピル,p−ヒドロキシ安息香酸、1種類以上の着色剤、1種類以上の矯味矯臭剤、及びスクロース、サッカリン又はアスパルテームなどの1種類以上の甘味剤を含有することもできる。
【0055】
油性懸濁液剤は、植物油、例えば、落花生油、オリーブオイル、ゴマ油若しくはヤシ油、又は流動パラフィンなどの鉱物油中に活性成分を懸濁させることによって調剤することができる。油性懸濁液剤は、増粘剤、例えば、蜜ろう、固形パラフィン又はセチルアルコールを含有することができる。上述したものなどの甘味剤、及び矯味矯臭剤は、口当たりの良い経口調製物を提供するために添加することができる。これらの組成物は、アスコルビン酸などの抗酸化剤を添加することによって保存することができる。
【0056】
水を添加することによって水性懸濁液剤を調製するのに適切な分散性散剤及び顆粒剤によって、分散剤又は湿潤剤、懸濁剤及び1種類以上の防腐剤と混合された活性成分が提供される。適切な分散剤又は湿潤剤及び懸濁剤は、上述したものによって例示されている。追加の賦形剤、例えば、甘味料、矯味矯臭剤及び着色剤も加えることができる。
【0057】
本発明の薬剤組成物は、水中油型乳剤の形とすることもできる。油相は、植物油、例えば、オリーブオイル若しくは落花生油、又は鉱物油、例えば、流動パラフィン、又はこれらの混合物とすることができる。適切な乳化剤は、天然に存在するリン脂質、例えば、ダイズ、レシチン、及び脂肪酸と無水ヘキシトールから誘導されるエステル又は部分エステル、例えば、ソルビタンモノオレアート、及び前記部分エステルとエチレンオキシドの縮合物、例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアートとすることができる。乳剤は、甘味料及び矯味矯臭剤を含有することもできる。
【0058】
シロップ剤及びエリキシル剤は、甘味剤、例えば、グリセリン、プロピレングリコール、ソルビトール又はスクロースとともに処方することができる。このような製剤は、粘滑薬、防腐剤及び矯味矯臭及び着色剤を含有することもできる。薬剤組成物は、無菌注射用水性又は油脂性懸濁液剤の形とすることができる。この懸濁液剤は、上述した適切な分散剤又は湿潤剤及び懸濁剤を用いて既知の技術によって処方することができる。無菌注射用調製物は、無毒の非経口的に許容される希釈剤又は溶媒、例えば1,3−ブタンジオール溶液の無菌注射液又は懸濁液剤とすることもできる。使用することができる許容されるビヒクル及び溶媒は、水、リンゲル液及び等張性塩化ナトリウム溶液である。エタノール、プロピレングリコール又はポリエチレングリコールなどの共溶媒も使用することができる。さらに、従来、無菌不揮発性油が溶媒又は懸濁媒体として使用されている。この目的のために、合成モノ又はジグリセリドを含めて刺激のないあらゆる不揮発性油を使用することができる。さらに、オレイン酸などの脂肪酸も注射剤の調製に使用される。
【0059】
式Iの化合物は、薬物を直腸投与するための坐剤の形で投与することもできる。これらの組成物は、周囲温度では固体であるが、直腸温度では液体であり、したがって、直腸内で溶融して薬物を放出する適切な非刺激性賦形剤と薬物を混合することによって調製することができる。このような材料は、カカオ脂及びポリエチレングリコールである。
【0060】
局所に使用する場合は、式Iの化合物を含むクリーム剤、軟膏剤、ゲル剤、溶液剤又は懸濁液剤などが使用される。(本願では、局所適用は、洗口及びうがいを含むものとする。)局所製剤は、一般に、薬剤担体、共溶媒、乳化剤、侵入促進剤、防腐剤系及び皮膚軟化剤を含むことができる。
【0061】
式Iの化合物は、グルココルチコイド受容体を選択的に調整することができるので、様々な炎症性及び自己免疫性の疾患及び病気を治療し、予防し、その進行を逆転させるのに有用である。したがって、本発明の化合物は、以下の疾患又は病気、すなわち、炎症、組織拒絶反応、自己免疫、白血病及びリンパ腫などの様々な悪性腫瘍、クッシング症候群、急性副腎不全、先天性副腎皮質過形成症、リウマチ熱、結節性多発性動脈炎、肉芽腫性多発性動脈炎、骨髄細胞系の阻害、免疫増殖/アポトーシス、HPA軸の抑制及び調節、高コルチゾール血症、卒中及び脊髄損傷、高カルシウム血症、高血糖症、急性副腎不全、慢性原発性副腎不全、続発性副腎不全、先天性副腎皮質過形成症、脳浮腫、血小板減少症、リトル症候群、肥満症及び代謝症候群を治療し、予防し、改善するのに有用である。
【0062】
本発明の化合物は、炎症性腸疾患、全身性エリテマトーデス、結節性多発性動脈炎、ウェゲナー肉芽腫症、巨細胞性動脈炎、リウマチ様関節炎、若年性関節リウマチ、ブドウ膜炎、枯草熱、アレルギー性鼻炎、じんま疹、血管神経性浮腫、慢性閉塞性肺疾患、喘息、腱炎、滑液包炎、クローン病、潰瘍性大腸炎、自己免疫性慢性活動性肝炎、臓器移植、肝炎及び硬変などの全身的炎症を含めた病態を治療し、予防し、又はその進行を逆転させるのにも有用である。
【0063】
本発明の化合物は、炎症性頭皮脱毛症、皮下脂肪組織炎、乾せん、円板状エリテマトーデス、炎症性嚢胞、アトピー性皮膚炎、壊そ性膿皮症、尋常性天疱瘡、水ほう性類天疱瘡、全身性エリテマトーデス、皮膚筋炎、妊娠性ヘルペス、好酸球性筋膜炎、再発性多発性軟骨炎、炎症性血管炎、サルコイドーシス、スイート病、I型反応性ライ病、毛細血管腫、接触性皮膚炎、アトピー性皮膚炎、扁平苔せん、剥脱性皮膚炎、結節性紅斑、挫創、多毛症、中毒性表皮壊死症、多形性紅斑、皮膚T細胞リンパ腫などの様々な局所的疾患を治療し、予防し、又はその進行を逆転させるのに有用である。
【0064】
本発明の化合物は、ヒト免疫不全症ウイルス(HIV)、細胞アポトーシス、及びカポジ肉腫を含めて、ただしこれらだけに限定されない癌に関連する病態を治療し、予防し、又はその進行を逆転させること、免疫系活性化及び調節、炎症反応の脱感作、IIL−I発現、ナチュラルキラー細胞発生、リンパ性白血病、及び網膜色素変性症の治療にも有用である。認知及び行動プロセスもグルココルチコイド治療が可能であり、認知能力、記憶及び学習向上、うつ病、耽溺、気分障害、慢性疲労症候群、統合失調症、卒中、睡眠障害、不安などのプロセスの治療に拮抗物質が潜在的に有用なはずである。
【0065】
本発明は、式Iの化合物と1種類以上の薬剤とをそのような治療を必要とする患者に同時に投与することを含む、グルココルチコイド受容体によって媒介される疾患を治療する方法も包含する。喘息又は慢性閉塞性肺疾患を治療し、又は予防するために、式Iの化合物は、J−作用物質(例えば、サルメテロール)、テオフィリン、抗コリン薬(例えば、アトロピン及び臭化イプラトロピウム)、クロモリン、ネドクロミル及びロイコトリエン調節剤(例えば、モンテルカスト)からなる群から選択される1種類以上の薬剤と組み合わせることができる。炎症を治療し、又は予防するために、式Iの化合物は、1種類又は以下のもの、すなわち、アセチルサリチル酸を含めたサリチラート、インドメタシン、スリンダク、メフェナム酸、メクロフェナム酸、トルフェナム酸、トルメチン、ケトロラック、ジコフェナク(dicofenac)、イブプロフェン、ナプロキセン、フェノプロフェン、ケトプロフェン、フルルビプロフェン(flurbiprofin)及びオキサプロジンを含めた非ステロイド性抗炎症剤、エタネルセプト及びインフリキシマブを含めたTNF阻害剤、IL−1受容体拮抗物質、メトトレキセート、レフルノミド、アザチオプリン及びシクロスポリンを含めた細胞毒又は免疫抑制薬、金化合物、ヒドロキシクロロキン又はスルファサラジン、ペニシラミン、ダルブフェロン(darbufelone)及びρ38キナーゼ阻害剤と組み合わせることができる。式Iの化合物は、アレンドロネートなどのビスフォネートと併用してグルココルチコイドによって媒介される疾患を治療することもでき、同時に、破骨細胞によって媒介される骨吸収を阻害することもできる。
【0066】
本発明を以下の非限定的な実施例によって説明する。別段の記載がない限り、
(i)すべての操作は、室温又は周囲温度、すなわち、温度18から25℃で実施され、
(ii)溶媒の蒸発は、ロータリーエバポレーターを用いて、減圧(600から4000パスカル:4.5から30mmHg)下、最高60℃の浴温度で実施され、
(iii)反応経過は、薄層クロマトグラフィー(TLC)によって追跡され、反応時間は説明のためにのみ与えられ、
(iv)融点は補正されておらず、「d」は分解を示し、与えられた融点は、記載したように調製された材料について得られ、多型によって一部の試料においては異なる融点を有する材料を単離することができ、
(v)すべての最終生成物の構造及び純度は、以下の技術、すなわち、TLC、質量分析法、核磁気共鳴(NMR)分光測定又は微量分析データの少なくとも1つによって確認され、
(vi)収率は説明のためのみに与えられ、
(vii)NMRデータが記載されているときには、主要な特徴的プロトンに対するデルタ(δ)値の形であり、内部標準のテトラメチルシラン(TMS)に対する百万分率(ppm)で与えられ、表記された溶媒を用いて500MHz又は600MHzで測定され、信号形状については従来の略語が用いられ、すなわち、s.は一重線、d.は二重線、t.は三重線、m.は多重線、br.はブロードなどであり、また、「Ar」は、芳香族シグナルを意味し、
(viii)化学記号は、それらの通常の意味を有し、以下の略語、すなわち、v(体積)、w(重量)、b.p.(沸点)、m.p.(融点)、L(リットル)、mL(ミリリットル)、g(グラム)、mg(ミリグラム)、mol(モル)、mmol(ミリモル)、eq(当量)も使用された。
【実施例】
【0067】
(実施例1)
(11β,16β)−9−フルオロ−11,21−ジヒドロキシ−16−メチル−3,20−ジオキソプレグナ−1,4−ジエン−17−イルエチルカルバメートの合成
【0068】
【化11】

【0069】
段階1:(11β,16β)−9−フルオロ−16−メチル−3,20−ジオキソ−11,17−ビス[(トリメチルシリル)オキシ]プレグナ−1,4−ジエン−21−イルアセテート
(11β,16β)−9−フルオロ−11,17−ジヒドロキシ−16−メチル−3,20−ジオキソプレグナ−1,4−ジエン−21−イルアセテート(18.79g、43.25mmol)及びイミダゾール(58.89g、864.9mmol)の200mL無水N,N−ジメチルホルムアミド溶液に、純粋な塩化トリメチルシリル(55.0mL、433mmol)を15分間滴下した。得られた淡黄色溶液を室温で16時間撹拌した。
その溶液を酢酸エチルで希釈し、水、飽和NHCl、水、飽和NaHCO、水及び塩水で連続して洗浄した。その有機相をNaSOを用いて脱水し、ろ過し、減圧蒸発させて、淡黄色オイルの標記化合物26gを得た。
【0070】
H−NMR(500Mz、CDCl):δ 0.25(s、9H)、0.26(s、9H)、0.94(s、3H)、1.15〜1.25(m、1H)、1.21(d、J=7.3Hz、3H)、1.49(s、3H)、1.50〜1.65(m、1H)、1.61(d、J=13.7Hz、1H)、1.85〜2.0(m、3H)、2.18(s、3H)、2.15〜2.25(m、1H)、2.25〜2.50(m、3H)、2.55〜2.65(m、1H)、4.35〜4.40(m、1H)、4.75(d、J=17.5Hz、1H)、4.84(d、J=17.5Hz、1H)、6.13(s、1H)、6.36(dd、J=10.1、1.8Hz、1H)、7.06(d、J=10.1Hz、1H)
MS(ESI):m/z=579.3 (MH
【0071】
段階2:(11β,16β)−9−フルオロ−17−ヒドロキシ−16−メチル−3,20−ジオキソ−11−[(トリメチルシリル)オキシ]−プレグナ−1,4−ジエン−21−イルアセテート
(11β,16β)−9−フルオロ−16−メチル−3,20−ジオキソ−11,17−ビス[(トリメチルシリル)オキシ]プレグナ−1,4−ジエン−21−イルアセテート(26g、約43mmol)の430mLテトラヒドロフラン(THF)溶液を0℃に冷却し、純粋な酢酸(4.95mL、86.5mmol)を添加し、続いて1.0Mフッ化テトラ−n−ブチルアンモニウムのTHF(43.3mL、43.3mmol)溶液を滴下した。0℃で4時間撹拌した後に、氷浴を除去し、反応物を室温に加温し、さらに16時間撹拌した。ロータリーエバポレーターを用いてTHFの大部分を減圧除去し、その残渣を酢酸エチルと水に分配させた。その有機層を、水、飽和NHCl、水、飽和NaHCO、水及び塩水で連続して洗浄した。NaSOを用いて有機層を脱水し、ろ過し、減圧蒸発させて、オフホワイトの固体を得た。フラッシュクロマトグラフィーにかけて、1.6kgシリカゲルカラムを通して4%MeOHのジクロロメタン溶液で溶出させて精製して、白色固体の標記化合物16.1gを得た。
【0072】
H−NMR(500Mz、CDCl):δ 0.25(s、9H)、1.06(s、3H)、1.15〜1.25(m、1H)、1.17(d、J=7.1Hz、3H)、1.49(s、3H)、1.45〜1.60(m、1H)、1.64(d、J=14Hz、1H)、1.85〜2.2(m、5H)、2.18(s、3H)、2.35〜2.55(m、3H)、2.55〜2.65(m、1H)、4.35〜4.40(m、1H)、4.94(AB、2H)、6.11(s、1H)、6.35(dd、J=10.3,1.8Hz、1H)、7.05(d、J=10Hz、1H)。
【0073】
MS(ESI): m/z=507.2 (MH)。
【0074】
段階3:(11β,16β)−21−(アセチルオキシ)−9−フルオロ−16−メチル−3,20−ジオキソ−11−[(トリメチルシリル)−オキシ]プレグナ−1,4−ジエン−17−イルエチルカルバメート
(11β,16β)−9−フルオロ−17−ヒドロキシ−16−メチル−3,20−ジオキソ−11−[(トリメチル−シリル)オキシ]−プレグナ−1,4−ジエン−21−イルアセテート(3.11g、6.15mmol)の混合物の41mLトルエン溶液に、純粋なイソシアン酸エチル(20.5mL、259mmol)を添加し、その混合物を48時間還流させた。得られた溶液を室温に冷却し、減圧蒸発させてわずかにゴム状の固体を得た。フラッシュクロマトグラフィーにかけ1kgシリカゲルカラムを通してt−ブチルメチルエーテル/へキサン/クロロホルム(1:1:1)で溶出させて白色固体の標記化合物2.22gを得た。
【0075】
H−NMR(500Mz、CDCl):δ 0.26(s、9H)、0.94(s、3H)、1.1〜1.3(m、4H)、1.34(d、J=6.7Hz、3H)、1.48(s、3H)、1.45〜1.60(m、1H)、1.78(d、J=13.5Hz、1H)、1.8〜2.1(m、3H)、2.16(s、3H)、2.15〜2.55(m、4H)、2.55〜2.65(m、1H)、3.1〜3.3(m、2H)、4.35〜4.45(m、1H)、4.54(d、J=16Hz、1H)、4.82(d、J=16Hz、1H)、5.0〜5.1(m、1H)、6.11(s、1H)、6.34(d、J=10Hz、1H)、7.04(d、J=10Hz、1H)。
【0076】
MS(ESI): m/z=578.3 (MH)。
【0077】
段階4:(11β,16β)−9−フルオロ−11,21−ジヒドロキシ−16−メチル−3,20−ジオキソプレグナ−1,4−ジエン−17−イルエチルカルバメート
固体(11β,16β)−21−(アセチルオキシ)−9−フルオロ−16−メチル−3,20−ジオキソ−11−[(トリメチルシリル)オキシ]−プレグナ−1,4−ジエン−17−イルエチルカルバメート(2.22g、3.84mmol)を、あらかじめ混合したメタノール/クロロホルム/6N HCl(10:2:1)の溶液128mLに溶解し、室温で撹拌した。16時間後に、6N HCl 2mLを追加した。さらに5時間後に、その溶液を酢酸エチルと水に分配させた。その有機層を、飽和NaHCO、水及び塩水で連続して洗浄した。NaSOを用いて有機層を脱水し、ろ過し、減圧蒸発させて、淡黄色オイルを得た。フラッシュクロマトグラフィーにかけ、500gシリカゲルカラムを通して、へキサン/酢酸エチル/ジクロロメタン/メタノール(3:3:3:1)で溶出させて精製して、白色粉末の(11β,16β)−9−フルオロ−11,21−ジヒドロキシ−16−メチル−3,20−ジオキソプレグナ−1,4−ジエン−17−イルエチルカルバメート0.890gを得た。
【0078】
H−NMR(500Mz、CDCl):δ 0.96(s、3H)、1.15(t、J=7Hz、3H)、1.15〜1.30(m、1H)、1.41(d、J=7.3Hz、3H)、1.47(d、J=13.9Hz、1H)、1.56(s、3H)、1.50〜1.65(m、1H)、1.9〜2.1(m、3H)、2.2〜2.7(m、7H)、3.1〜3.3(m、2H)、4.03(d、J=18Hz、1H)、4.26(d、J=18Hz、1H)、4.30〜4.45(m、1H)、5.2〜5.3(m、1H)、6.14(s、1H)、6.34(dd、J=10,1.6Hz、1H)、7.21(d、J=10Hz、1H)。
【0079】
MS(ESI): m/z=464.2 (MH)。
【0080】
(実施例2)
(11β,16β)−21−(アセチルオキシ)−9−フルオロ−11−ヒドロキシ−16−メチル−3,20−ジオキソプレグナ−1,4−ジエン−17−イルエチルカルバメートの合成
【0081】
【化12】

(11β,16β)−21−(アセチルオキシ)−9−フルオロ−16−メチル−3,20−ジオキソ−11−[(トリメチルシリル)−オキシ]プレグナ−1,4−ジエン−17−イルエチルカルバメート(138mg、0.239mmol)の2.5mLアセトニトリル溶液に、三フッ化ホウ素エーテラート(0.12mL、0.96mmol)を添加した。室温で5時間撹拌した後、三フッ化ホウ素エーテラート(0.060mL、0.47mmol)を追加した。その溶液を室温でさらに15時間撹拌し、次いで酢酸エチルと水に分配させた。有機層を水(2回)及び塩水で洗浄し、NaSOを用いて脱水した。ろ過及び減圧蒸発して淡黄色オイルを得た。シリカゲル上でクロマトグラフィーにかけ、へキサン/酢酸エチル/ジクロロメタン/メタノール(5:2:2:1)で溶出させて、白色フィルムの(11β,16β)−21−(アセチルオキシ)−9−フルオロ−11−ヒドロキシ−16−メチル−3,20−ジオキソプレグナ−1,4−ジエン−17−イルエチルカルバメートを得た。
【0082】
H−NMR(500Mz、CDCl):δ 1.01(s、3H)、1.18(t、J=7Hz、3H)、1.15〜1.30(m、1H)、1.37(d、J=7Hz、3H)、1.58(s、3H)、1.55〜1.65(m、1H)、1.8〜2.1(m、5H)、2.20(s、3H)、2.20〜2.35(m、1H)、2.35〜2.55(m、3H)、2.6〜2.7(m、1H)、3.15〜3.35(m、2H)、4.35〜4.50(m、1H)、4.54(d、J=17Hz、1H)、4.91(d、J=17Hz、1H)、4.95〜5.05(m、1H)、6.16(s、1H)、6.37(dd、J=10,1.6Hz、1H)、7.22(d、J=10Hz、1H)。
【0083】
MS(ESI): m/z=506.3 (MH)。
【0084】
(実施例3)
(11β,16β)−9−フルオロ−11,21−ジヒドロキシ−16−メチル−3,20−ジオキソプレグナ−1,4−ジエン−17−イル(1R)−1−フェニルエチルカルバメートの合成
【0085】
【化13】

【0086】
段階1:(11β,16β)−21−(アセチルオキシ)−9−フルオロ−11−ヒドロキシ−16−メチル−3,20−ジオキソプレグナ−1,4−ジエン−17−イル(1R)−1−フェニルエチルカルバメート
(11β,16β)−9−フルオロ−17−ヒドロキシ−16−メチル−3,20−ジオキソ−11−[(トリメチル−シリル)オキシ]−プレグナ−1,4−ジエン−21−イルアセテート(100mg、0.197mmol)と塩化銅(I)(0.5mg、0.005mmol)の混合物の1mL N,N−ジメチルホルムアミド溶液に純粋な(R)−1−イソシアン酸フェニルエチル(0.085mL、0.60mmol)を添加した。その淡緑色反応混合物を室温にて暗所で4.5時間撹拌し、次いで酢酸エチルと水に分配させた。有機層を水(2回)、飽和NHCl、水及び塩水で連続して洗浄し、次いでNaSOを用いて脱水した。ろ過及び減圧蒸発させて発泡体を得た。その発泡体を、フラッシュクロマトグラフィーにかけ、40gシリカゲルカラムを通して、へキサン/1−ブチルメチルエーテル/クロロホルム(1:1:1)で溶出させて精製して、無色オイルの標記化合物67mgを得た。
【0087】
MS(ESI): m/z=654.4 (MH)。
【0088】
段階2:(11β,16β)−9−フルオロ−11,21−ジヒドロキシ−16−メチル−3,20−ジオキソプレグナ−1,4−ジエン−17−イル(1R)−1−フェニルエチルカルバメート
(11β,16β)−21−(アセチルオキシ)−9−フルオロ−11−ヒドロキシ−16−メチル−3,20−ジオキソプレグナ−1,4−ジエン−17−イル(1R)−1−フェニルエチルカルバメート(42mg、0.064mmol)を、あらかじめ混合したメタノール/クロロホルム/6N HCl(10:2:1)溶液1.25mLに溶解し、室温で24.5時間撹拌した。次いで、この溶液を酢酸エチルと水に分配させ、その有機相を水(2回)及び塩水で洗浄し、NaSOを用いて脱水した。ろ過及び減圧蒸発させて白色フィルムを得た。このフィルムを、シリカゲル上で分取薄層クロマトグラフィーにかけ、酢酸エチル/へキサン/ジクロロメタン/メタノール(95:95:95:15)で溶出させて精製して、白色固体の(11β,16β)−9−フルオロ−11,21−ジヒドロキシ−16−メチル−3,20−ジオキソプレグナ−1,4−ジエン−17−イル(1R)−1−フェニルエチルカルバメート20mgを得た。
【0089】
MS(ESI): m/z=540.3 (MH)。
【0090】
(実施例4−37)
上記実施例に記載の方法と類似した方法によって以下の化合物を調製した。
【0091】
【表1】







【0092】
(実施例38)
「環化」(11β,16β)−9−フルオロ−11,21−ジヒドロキシ−16−メチル−3,20−ジオキソプレグナ−1,4−ジエン−17−イルプロピルカルバメートの合成
【0093】
【化14】

【0094】
(11β,16β)−21−(アセチルオキシ)−9−フルオロ−11−ヒドロキシ−16−メチル−3,20−ジオキソプレグナ−1,4−ジエン−17−イルプロピルカルバメート(8.5mg、0.016mmol)の0.3mLテトラヒドロフランと0.1mLメタノールの溶液に、0.1M炭酸カリウムのメタノール/水(9:1)溶液0.030mLを添加した。室温で10分後に、この溶液を酢酸エチルと水に分配させ、その有機相を水(2回)及び塩水で洗浄し、NaSOを用いて脱水した。この溶液をろ過し、減圧蒸発させてオイルを得た。このオイルを、シリカゲル上で分取薄層クロマトグラフィーにかけ、酢酸エチル/へキサン/ジクロロメタン/メタノール(3:3:3:1)で溶出させて精製して、半固体の標記化合物4.6mgを得た。
【0095】
MS(ESI): m/z=478.3 (MH)。
【0096】
バイオアッセイ
グルココルチコイド受容体の調節物質としての本発明の化合物の活性を、以下のアッセイによって評価することができる。
【0097】
リガンド結合アッセイ
hGRIリガンド結合アッセイのために、組換えバキュロウイルス発現受容体から細胞質ゾルを調製した。凍結細胞ペレットを、氷冷KPO緩衝剤(10mM KPO、20mMモリブデン酸ナトリウム、1mM EDTA、5mM DTT及びBoehringer Mannheim製完全プロテアーゼ阻害錠剤)中で「B」プランジャーを用いてダンス型ホモジナイザーにかけた。ホモジネートを、JA−20ローターを用いて35,000xgで1時間、4℃で遠心分離した。IC50は、2.5nM[1,2,4,6,7−H]デキサメタゾンの最終濃度で漸増濃度(10−11から10−6へ)の冷デキサメタゾン又はリガンドの存在下、4℃で24時間、細胞質ゾルをインキュベートすることによって求められた。結合したものと遊離のものをゲルろ過アッセイによって分離した(Geissler等、私信)。1mg/ml BSAを含有するKPO緩衝剤とあらかじめ平衡化され、1000xgで5分間遠心分離されたセファデックスG−25ビーズを含むゲルろ過プレート(MILLIPORE)に反応物の半分を添加した。反応プレートを1000xgで5分間遠心分離し、反応物を第2の96ウェルプレートに収集し、シンチレーションカクテルを添加し、(Wallac)二重一致(double coincidence)ベータカウンターで計数した。4−パラメータフィットプログラムによってIC50を計算した。
【0098】
式Iの化合物のIC50は、0.1nMから1.0μMの範囲である。直前の実施例の化合物のIC50は、1nMから400nMの範囲である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物、又は薬剤として許容されるその塩若しくは水和物。
【化1】

(式中、
は−C(O)−Rであり、
は−O−C(O)−N(R)(R)であり、
或いは、RとRは、これらが結合している炭素原子と一緒に結合して、
【化2】

からなる群から選択される基を形成し、
13は水素又は−C(O)−CHであり、
、R、R及びR12は、
(1)水素、及び
(2)C1−3アルキル
からなる群から独立に選択され、
は、
(1)C1−10アルキル、
(2)C2−6アルケニル、
(3)フェニル及びナフチルからなる群から選択されるアリール、
(4)ピリジル、フラニル、チエニル及びイミダゾイル(imidazoyl)からなる群から選択されるヘテロアリール、
(5)アリールがフェニル及びナフチルからなる群から選択されるC1−6アルキル−アリール、
(6)ヘテロアリールがピリジル、フラニル、チエニル及びイミダゾイルからなる群から選択される−C1−6アルキル−ヘテロアリール
からなる群から選択され(ここで、選択(1)及び(2)並びに選択(5)及び(6)のアルキル部分は、−OH,−OCH、−OCF、−COCH、−COCH、−CONH、−CN、−SOCH、−SOCH、−SONH、F、Cl、Br及び−CFからなる群から独立に選択される置換基で場合によっては一置換、二置換又は三置換されていてもよく、選択(3)及び(4)並びに選択(5)及び(6)のアリール及びヘテロアリール部分は、−OH、−OCH、−OCF、−COCH、−COCH、−CONH、−CN、−SOCH、−SOCH、−SONH、F、Cl、Br及び−CFからなる群から独立に選択される置換基で場合によっては一置換又は二置換されていてもよい。)、
或いは、R3とR4は、これらが結合している窒素原子と一緒に結合して、−C1−6アルキル又は−C1−6アルケニルで場合によっては置換されていてもよい5、6、7又は8個の炭素原子の環を形成し、
は、
(1)水素、
(2)C1−6アルキル、
(3)ヒドロキシで置換されたC1−6アルキル、
(4)ハロで一置換又は二置換されたC1−6アルキル、
(5)−C1−6アルキル−O−C(O)−C1−4アルキル、
(6)ハロ、ヒドロキシ又はメチルで場合によっては一置換又は二置換されていてもよい−C1−6アルキル−O−C(O)−C1−4アルキル、
(7)ハロ、ヒドロキシ又はメチルで場合によっては一置換又は二置換されていてもよい−C1−6アルキル−S(O)−C1−4アルキル、及び
(8)C2−6アルケニル
からなる群から各々独立に選択され(式中、nは0、1又は2である。)、
及びRは、
(1)水素、
(2)ハロ、
(3)ヒドロキシ、
(4)C1−6アルキル、
(5)C2−6アルケニル、及び
(6)フェニル
からなる群から各々独立に選択され(ここで、選択(4)、(5)及び(6)は、−OH、−OCH、−OCF、−COCH、−COCH、−CONH、−CN、−SOCH、−SOCH、−SONH、F、Cl、Br及び−CFから独立に選択される置換基で場合によっては一置換又は二置換されていてもよい。)、
10は、
(1)C1−6アルキル、
(2)ヒドロキシ又は−OR13で置換されたC1−6アルキル、
(3)ハロで一置換又は二置換されたC1−6アルキル、
(4)−C1−6アルキル−O−C(O)−C1−4アルキル、
(5)ハロ、ヒドロキシ又はメチルで場合によっては一置換又は二置換されていてもよい−C1−6アルキル−O−C(O)−C1−4アルキル、
(6)ハロ、ヒドロキシ又はメチルで場合によっては一置換又は二置換されていてもよい−C1−6アルキル−S(O)−C1−4アルキル
からなる群から選択され(式中、nは0、1又は2である。)、
11は、
(1)水素、
(2)ヒドロキシ、
(3)C1−6アルキル、
(4)ヒドロキシで置換されたC1−6アルキル、
(5)ハロで一置換又は二置換されたC1−6アルキル、
(6)−C1−6アルキル−O−C(O)−C1−4アルキル、
(7)ハロ、ヒドロキシ又はメチルで場合によっては一置換又は二置換されていてもよい−C1−6アルキル−O−C(O)−C1−4アルキル、
(8)ハロ、ヒドロキシ又はメチルで場合によっては一置換又は二置換されていてもよい−C1−6アルキル−S(O)−C1−4アルキル
からなる群から選択される(式中、kは0、1又は2である。)。)
【請求項2】
が水素又はメチルである、請求項1に記載の化合物又は薬剤として許容されるその塩若しくは水和物。
【請求項3】
が水素である、請求項1に記載の化合物又は薬剤として許容されるその塩若しくは水和物。
【請求項4】
が水素である、請求項1に記載の化合物又は薬剤として許容されるその塩若しくは水和物。
【請求項5】
がハロである、請求項1に記載の化合物又は薬剤として許容されるその塩若しくは水和物。
【請求項6】
がヒドロキシである、請求項1に記載の化合物又は薬剤として許容されるその塩若しくは水和物。
【請求項7】
が水素であり、Rが水素又はメチルであり、Rが水素である、請求項1に記載の化合物又は薬剤として許容されるその塩若しくは水和物。
【請求項8】
【化3】

である、請求項7に記載の化合物又は薬剤として許容されるその塩若しくは水和物。
【請求項9】
式Ibの化合物又は薬剤として許容されるその塩若しくは水和物。
【化4】

(式中、
は−C(O)−Rであり、
は−O−C(O)−N(H)(R)であり、
は、
(1)C1−10アルキル、
(2)C2−6アルケニル、
(3)フェニル及びナフチルからなる群から選択されるアリール、
(4)ピリジル、フラニル、チエニル及びイミダゾイルからなる群から選択されるヘテロアリール、
(5)アリールがフェニル及びナフチルからなる群から選択されるC1−6アルキル−アリール、
(6)ピリジル、フラニル、チエニル及びイミダゾイルからなる群から選択される−C1−6アルキル−ヘテロアリール
からなる群から選択され(ここで、選択(1)及び(2)並びに選択(5)及び(6)のアルキル部分は、−OH、−OCH、−OCF、−COCH、−COCH、−CONH、−CN、−SOCH、−SOCH、−SONH、F、Cl、Br及び−CFからなる群から独立に選択される置換基で場合によっては一置換、二置換又は三置換されていてもよく、選択(3)及び(4)並びに選択(5)及び(6)のアリール及びヘテロアリール部分は、−OH、−OCH、−OCF、−COCH、−COCH、−CONH、−CN、−SOCH、−SOCH、−SONH、F、Cl、Br及び−CFからなる群から独立に選択される置換基で場合によっては一置換又は二置換されていてもよい。)、
は、ヒドロキシ又はC1−6アルキル−O−C(O)−C1−4アルキルで置換された各々独立なC1−6アルキルである。)
【請求項10】
(11β,16β)−9−フルオロ−11,21−ジヒドロキシ−16−メチル−3,20−ジオキソプレグナ−1,4−ジエン−17−イルエチルカルバメート、
(11β,16β)−21−(アセチルオキシ)−9−フルオロ−11−ヒドロキシ−16−メチル−3,20−ジオキソプレグナ−1,4−ジエン−17−イルエチルカルバメート、
(11β,16β)−9−フルオロ−11,21−ジヒドロキシ−16−メチル−3,20−ジオキソプレグナ−1,4−ジエン−17−イル(1R)−1−フェニルエチルカルバメート、
(11β,16β)−21−(アセチルオキシ)−9−フルオロ−11−ヒドロキシ−16−メチル−3,20−ジオキソプレグナ−1,4−ジエン−17−イルプロピルカルバメート、
(11β,16β)−9−フルオロ−11,21−ジヒドロキシ−16−メチル−3,20−ジオキソプレグナ−1,4−ジエン−17−イルプロピルカルバメート、
(11β,16β)−9−フルオロ−11,21−ジヒドロキシ−16−メチル−3,20−ジオキソプレグナ−1,4−ジエン−17−イルイソプロピルカルバメート、
(11β,16β)−9−フルオロ−11,21−ジヒドロキシ−16−メチル−3,20−ジオキソプレグナ−1,4−ジエン−17−イルアリルカルバメート、
(11β,16β)−21−(アセチルオキシ)−9−フルオロ−11−ヒドロキシ−16−メチル−3,20−ジオキソプレグナ−1,4−ジエン−17−イルブチルカルバメート、
(11β,16β)−9−フルオロ−11,21−ジヒドロキシ−16−メチル−3,20−ジオキソプレグナ−1,4−ジエン−17−イルブチルカルバメート、
(11β,16β)−21−(アセチルオキシ)−9−フルオロ−11−ヒドロキシ−16−メチル−3,20−ジオキソプレグナ−1,4−ジエン−17−イルsec−ブチルカルバメート、
(11β,16β)−9−フルオロ−11,21−ジヒドロキシ−16−メチル−3,20−ジオキソプレグナ−1,4−ジエン−17−イルsec−ブチルカルバメート、
(11β,16β)−21−(アセチルオキシ)−9−フルオロ−11−ヒドロキシ−16−メチル−3,20−ジオキソプレグナ−1,4−ジエン−17−イルtert−ブチルカルバメート、
(11β,16β)−9−フルオロ−11,21−ジヒドロキシ−16−メチル−3,20−ジオキソプレグナ−1,4−ジエン−17−イルtert−ブチルカルバメート、
(11β,16β)−21−(アセチルオキシ)−9−フルオロ−11−ヒドロキシ−16−メチル−3,20−ジオキソプレグナ−1,4−ジエン−17−イルペンチルカルバメート、
(11β,16β)−9−フルオロ−11,21−ジヒドロキシ−16−メチル−3,20−ジオキソプレグナ−1,4−ジエン−17−イルペンチルカルバメート、
(11β,16β)−9−フルオロ−11,21−ジヒドロキシ−16−メチル−3,20−ジオキソプレグナ−1,4−ジエン−17−イルシクロペンチルカルバメート、
(11β,16β)−9−フルオロ−11,21−ジヒドロキシ−16−メチル−3,20−ジオキソ−プレグナ−1,4−ジエン−17−イル1,1,2,2−テトラメチル−プロピルカルバメート、
(11β,16β)−21−(アセチルオキシ)−9−フルオロ−11−ヒドロキシ−16−メチル−3,20−ジオキソプレグナ−1,4−ジエン−17−イル(1R)−1−フェニルエチルカルバメート、
(11β,16β)−21−(アセチルオキシ)−9−フルオロ−11−ヒドロキシ−16−メチル−3,20−ジオキソプレグナ−1,4−ジエン−17−イル(1S)−1−フェニルエチルカルバメート、
(11β,16β)−9−フルオロ−11,21−ジヒドロキシ−16−メチル−3,20−ジオキソプレグナ−1,4−ジエン−17−イル(1S)−1−フェニルエチルカルバメート、
(11β,16β)−9−フルオロ−11,21−ジヒドロキシ−16−メチル−3,20−ジオキソプレグナ−1,4−ジエン−17−イル(1S)−1−(メトキシカルボニル)−エチルカルバメート、
(11β,16β)−9−フルオロ−11,21−ジヒドロキシ−16−メチル−3,20−ジオキソプレグナ−1,4−ジエン−17−イルフェニルカルバメート、
(11β,16β)−9−フルオロ−11,21−ジヒドロキシ−16−メチル−3,20−ジオキソプレグナ−1,4−ジエン−17−イルシクロヘキシルカルバメート、
(11β,16β)−9−フルオロ−11,21−ジヒドロキシ−16−メチル−3,20−ジオキソプレグナ−1,4−ジエン−17−イル1−アダマンチルカルバメート、
(11β,16β)−9−フルオロ−11,21−ジヒドロキシ−16−メチル−3,20−ジオキソプレグナ−1,4−ジエン−17−イル2−(1−アダマンチル)−1,1−ジメチルエチルカルバメート、
(11β,16β)−9−フルオロ−11,21−ジヒドロキシ−16−メチル−3,20−ジオキソプレグナ−1,4−ジエン−17−イルジシクロプロピルメチルカルバメート、
(11β,16β)−9−フルオロ−11,21−ジヒドロキシ−16−メチル−3,20−ジオキソプレグナ−1,4−ジエン−17−イルスピロ[2.4]ヘプタ−1−イルメチルカルバメート、
(11β,16β)−9−フルオロ−11,21−ジヒドロキシ−16−メチル−3,20−ジオキソプレグナ−1,4−ジエン−17−イル1,1−ジメチルブチルカルバメート、
(11β,16β)−9−フルオロ−11,21−ジヒドロキシ−16−メチル−3,20−ジオキソプレグナ−1,4−ジエン−17−イル1−メチルブチルカルバメート、
(11β,16β)−9−フルオロ−11,21−ジヒドロキシ−16−メチル−3,20−ジオキソプレグナ−1,4−ジエン−17−イル1,3−ジメチルブチルカルバメート、
(11β,16β)−9−フルオロ−11,21−ジヒドロキシ−16−メチル−3,20−ジオキソプレグナ−1,4−ジエン−17−イルイソペンチルカルバメート、
(11β,16β)−9−フルオロ−11,21−ジヒドロキシ−16−メチル−3,20−ジオキソプレグナ−1,4−ジエン−17−イル3,3−ジメチルブチルカルバメート、
(11β,16β)−9−フルオロ−11,21−ジヒドロキシ−16−メチル−3,20−ジオキソプレグナ−1,4−ジエン−17−イルtert−ペンチルカルバメート、
(11β,16β)−9−フルオロ−11,21−ジヒドロキシ−16−メチル−3,20−ジオキソプレグナ−1,4−ジエン−17−イルネオペンチルカルバメート、
(11β,16β)−9−フルオロ−11,21−ジヒドロキシ−16−メチル−3,20−ジオキソプレグナ−1,4−ジエン−17−イル1,2−ジメチルプロピルカルバメート、又は
(11β,16β)−9−フルオロ−11,21−ジヒドロキシ−16−メチル−3,20−ジオキソプレグナ−1,4−ジエン−17−イルプロピルカルバメートである化合物又は薬剤として許容されるそれらの塩若しくは水和物。
【請求項11】
請求項1に記載の化合物と薬剤として許容される担体とを含む薬剤組成物。
【請求項12】
グルココルチコイド受容体によって媒介される疾患又は病気を治療するのに有効な量で請求項1に記載の化合物を哺乳動物患者に投与することを含む、そのような治療を必要とする前記患者におけるグルココルチコイド受容体によって媒介される前記疾患又は病気を治療する方法。
【請求項13】
グルココルチコイド受容体によって媒介される前記疾患又は病気が、組織拒絶反応、白血病、リンパ腫、クッシング症候群、急性副腎不全、先天性副腎皮質過形成症、リウマチ熱、結節性多発性動脈炎、肉芽腫性多発性動脈炎、骨髄細胞系の阻害、免疫増殖/アポトーシス、HPA軸の抑制及び調節、高コルチゾール血症、卒中及び脊髄損傷、高カルシウム血症、高血糖症、急性副腎不全、慢性原発性副腎不全、続発性副腎不全、先天性副腎皮質過形成症、脳浮腫、血小板減少症、リトル症候群、肥満症、代謝症候群、炎症性腸疾患、全身性エリテマトーデス、結節性多発性動脈炎、ウェゲナー肉芽腫症、巨細胞性動脈炎、リウマチ様関節炎、若年性関節リウマチ、ブドウ膜炎、枯草熱、アレルギー性鼻炎、じんま疹、血管神経性浮腫、慢性閉塞性肺疾患、喘息、腱炎、滑液包炎、クローン病、潰瘍性大腸炎、自己免疫性慢性活動性肝炎、臓器移植、肝炎、硬変、炎症性頭皮脱毛症、皮下脂肪組織炎、乾せん、円板状エリテマトーデス、炎症性嚢胞、アトピー性皮膚炎、壊そ性膿皮症、尋常性天疱瘡、水ほう性類天疱瘡、全身性エリテマトーデス、皮膚筋炎、妊娠性ヘルペス、好酸球性筋膜炎、再発性多発性軟骨炎、炎症性血管炎、サルコイドーシス、スイート病、I型反応性ライ病、毛細血管腫、接触性皮膚炎、アトピー性皮膚炎、扁平苔せん、剥脱性皮膚炎、結節性紅斑、挫創、多毛症、中毒性表皮壊死症、多形性紅斑、皮膚T細胞リンパ腫、ヒト免疫不全症ウイルス(HIV)、細胞アポトーシス、癌、カポジ肉腫、網膜色素変性症、認知能力、記憶及び学習向上、うつ病、耽溺、気分障害、慢性疲労症候群、統合失調症、睡眠障害及び不安からなる群から選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項14】
グルココルチコイド受容体によって媒介される前記疾患又は病気が、組織拒絶反応、クッシング症候群、炎症性腸疾患、全身性エリテマトーデス、リウマチ様関節炎、若年性関節リウマチ、枯草熱、アレルギー性鼻炎、喘息、臓器移植、炎症性頭皮脱毛症、乾せん、円板状エリテマトーデス及びうつ病からなる群から選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
請求項1に記載の化合物を、グルココルチコイド受容体を調整するのに有効な量で哺乳動物に投与することを含む、前記哺乳動物における前記グルココルチコイド受容体の活性化、抑制、アゴニズム及びアンタゴニズム効果を選択的に調整する方法。
【請求項16】
請求項1に記載の化合物の有効量を哺乳動物に投与することを含む、前記哺乳動物におけるグルココルチコイド受容体を部分的に又は完全に拮抗し、抑制し、アゴナイズし、又は調整する方法。

【公表番号】特表2006−516290(P2006−516290A)
【公表日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−502867(P2006−502867)
【出願日】平成16年1月16日(2004.1.16)
【国際出願番号】PCT/US2004/001191
【国際公開番号】WO2004/066920
【国際公開日】平成16年8月12日(2004.8.12)
【出願人】(390023526)メルク エンド カムパニー インコーポレーテッド (924)
【氏名又は名称原語表記】MERCK & COMPANY INCOPORATED
【Fターム(参考)】