遺伝子
本発明者らは、細胞のアポトーシスを仲介することが可能なチャイニーズハムスター(Cricetulus griseus)の配列であって、配列番号1に示されるFAIM配列;配列番号2に示されるFADD配列;配列番号3に示されるPDCD6配列;および配列番号4に示されるRequiem配列から選択される配列を含んでなる、単離されたポリペプチドを提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はバイオテクノロジーおよび分子生物学の分野に関する。本発明は詳細には、アポトーシス過程の仲介に関与するチャイニーズハムスター、Cricetulus griseus由来の新規遺伝子に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒトゲノムプロジェクトの完了によって、治療上の潜在能力を有するいっそう多くのタンパク質が日々発見されている。これらの新たなバイオ療法薬の多くでは、世界的需要を満たすため高度に生産的な製造過程の開発が必要になることが多い。複雑な治療用生物製剤の生産に最もよく使われる細胞株の1つが、もとはチャイニーズハムスター(Cricetulus griseus)に由来するチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞である。
【0003】
しかしながら、チャイニーズハムスター(Cricetulus griseus)のゲノムは、十分には明らかになっておらず、具体的には、生理学的に重要な過程を制御する、その生物の遺伝子に関する知識が欠如している。
【0004】
米国特許第6,562,797号は、Fas受容体の細胞質領域またはドメインを結合する能力を有するFADDと名付けられた哺乳動物の精製タンパク質について記述している。この文献は、FAS関連アポトーシスを調節する方法についても記述している。しかしながら、開示されている唯一の配列はヒト由来のものである。
【0005】
米国特許第6,683,168号および米国特許出願公開第2004/0121389号は、FAIM配列の配列をいくつかの形で、すなわち短いもの、長いもの、非常に長いものおよび肺がんに関連したものを記述している。これらの配列はヒトおよびマウス配列である。
【0006】
米国特許第6,544,523号は、FasリガンドをコードするDNAの配列を記載している。米国特許第6,451,759号は、そのようなリガンドの非切断性の変形物について記述している。
【発明の開示】
【0007】
概要
本発明者らは、チャイニーズハムスター(Cricetulus griseus)FAIM、FADD、PDCD6およびRequiemの配列を初めて記述する。
【0008】
本発明の第1の態様によれば、本発明者らは以下のもの:(a)配列番号1に示される配列に対して少なくとも97%の配列同一性を有するcgFAIM配列;(b)配列番号2に示される配列に対して少なくとも69%の配列同一性を有するcgFADD配列;(c)配列番号3に示される配列に対して少なくとも89%の配列同一性を有するcgPDCD6配列;(d)配列番号4に示される配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するcgRequiem配列;(e)上記(a)〜(d)のいずれかの少なくとも15個の連続した残基からなる断片である配列より選択される配列であって、細胞のアポトーシスを仲介することが可能な配列を含んでなる、単離されたポリペプチドを提供する。
【0009】
本発明の第2の態様によれば、細胞のアポトーシスを仲介することが可能なチャイニーズハムスター(Cricetulus griseus)の配列であって、配列番号1に示されるcgFAIM配列;配列番号2に示されるcgFADD配列;配列番号3に示されるcgPDCD6配列;および配列番号4に示されるcgRequiem配列から選択される配列を含んでなる、単離されたポリペプチドが提供される。
【0010】
本発明の第1の態様によれば、本発明者らは、細胞のアポトーシスを仲介することが可能なチャイニーズハムスター(Cricetulus griseus)の配列であって、配列番号1に示されるcgFAIM配列;配列番号2に示されるcgFADD配列;配列番号3に示されるcgPDCD6配列;および配列番号4に示されるcgRequiem配列から選択される配列を含んでなる、単離されたポリペプチドを提供する。
【0011】
本発明の第2の態様によれば、以下のもの:(a)配列番号1に示される配列に対して少なくとも97%の配列同一性を有するcgFAIM配列;(b)配列番号2に示される配列に対して少なくとも69%の配列同一性を有するcgFADD配列;(c)配列番号3に示される配列に対して少なくとも89%の配列同一性を有するcgPDCD6配列;(d)配列番号4に示される配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するcgRequiem配列;(e)上記(a)〜(d)のいずれかの少なくとも15個の連続した残基からなる断片である配列より選択される配列を含んでなる、単離されたポリペプチドが提供される。
【0012】
本発明の第3の態様によれば、本発明者らは、前記配列が、好ましくは、配列番号5、配列番号6、配列番号7および配列番号8からなる群より選択される、前記ポリペプチドをコードする配列を含んでなる、単離されたポリヌクレオチドを提供する。
【0013】
本発明の第4の態様として、以下のもの:(a)配列番号5に示される配列に対して90%以上の配列同一性を有するcgFAIM配列;(b)配列番号6に示される配列に対して90%以上の配列同一性を有するcgFADD配列;(c)配列番号7に示される配列に対して93%以上の配列同一性を有するcgPDCD6配列;(d)配列番号8に示される配列に対して89%以上の配列同一性を有するcgRequiem配列;(e)上記(a)〜(d)のいずれかの少なくとも15個の連続した残基からなる断片である配列からなる群より選択される配列、またはそれに相補的な配列、ストリンジェントな条件下でそれにハイブリダイズ可能な配列、もしくは遺伝コードによるその縮重である配列を含んでなる、単離されたポリヌクレオチドが提供される。
【0014】
本発明の第5の態様によれば、本発明者らは、調節配列に機能的に連結された、上記に記載のポリヌクレオチドまたはその一部分を含んでなる発現配列であって、該調節配列は該ポリヌクレオチドの発現を誘導することが可能なものである発現配列を提供する。
【0015】
好ましくは、そのような発現配列は発現ベクターである。
【0016】
第6の態様において、本発明は、上記に記載のポリヌクレオチドを含んでなるベクターであって、細胞に曝露した場合に、該細胞によるcgFAIM、cgFADD、cgPDCD6またはcgRequiemの発現を変化させることが可能なベクターを提供する。
【0017】
好ましくは、上記ベクターは、チャイニーズハムスター(Cricetulus griseus)FAIM配列またはその一部分を含んでなり、細胞でのcgFAIMのアップレギュレーションを行うことが可能であり、好ましくはpcDNA3.1(+)FAIM(配列番号37)である。
【0018】
好ましくは、上記ベクターは、チャイニーズハムスター(Cricetulus griseus)FADD配列またはその一部分を含んでなり、細胞でのcgFADDのダウンレギュレーションを行うことが可能であり、好ましくはpcDNA3.1(+)FADD DN(配列番号38)である。
【0019】
好ましくは、上記ベクターは、チャイニーズハムスター(Cricetulus griseus)PDCD6配列またはその一部分を含んでなり、細胞でのcgPDCD6のダウンレギュレーションを行うことが可能であり、好ましくはpSUPER.neo.PDCD6 siRNA(配列番号39)である。
【0020】
好ましくは、上記ベクターは、チャイニーズハムスター(Cricetulus griseus)Requiem配列またはその一部分を含んでなり、細胞でのcgRequiemのダウンレギュレーションを行うことが可能であり、好ましくはpSUPER.neo.Requiem siRNA(配列番号40)である。
【0021】
本発明の第7の態様において、前記発現配列または前記ベクターを含んでなる細胞であって、好ましくは前記発現配列が導入されている細胞が提供される。
【0022】
本発明の第8の態様によれば、本発明者らは、前記ポリペプチド、前記ポリヌクレオチド、前記発現配列、前記ベクター、または前記細胞を、製薬上許容される担体もしくは希釈剤とともに含んでなる、医薬組成物を提供する。
【0023】
本発明の第9の態様によれば、本発明者らは、以下のステップ:(a)前記ポリヌクレオチド配列と調節配列とを含んでなる発現配列であって、該調節配列は該ポリヌクレオチド配列からのポリペプチドの発現を誘導することが可能なものを用意するステップ、(b)該調節配列の制御下に該発現配列から該ポリペプチドを発現させるステップ、および(c)任意により該ポリペプチドを精製するステップを含む、ポリペプチドの生成方法を提供する。
【0024】
好ましくは、前記発現配列が発現ベクターを含み、該発現ベクターは、細胞に、好ましくはチャイニーズハムスター(Cricetulus griseus)細胞にトランスフェクトされることにより該細胞による前記ポリペプチドの発現を可能にするものである。
【0025】
本発明の第10の態様によれば、配列番号1に示される配列を有するcgFAIMポリペプチドまたは配列番号5に示される配列を有するcgFAIMポリヌクレオチドの、細胞での、好ましくはチャイニーズハムスター(Cricetulus griseus)細胞での発現を変化させるステップ、好ましくはアップレギュレートするステップを含む方法が提供される。
【0026】
本発明の第11の態様として、本発明者らは、配列番号2に示される配列を有するcgFADDポリペプチド、配列番号3に示される配列を有するcgPDCD6ポリペプチドもしくは配列番号4に示される配列を有するcgRequiemポリペプチド、または配列番号6に示される配列を有するcgFAIMポリヌクレオチド、配列番号7に示される配列を有するcgPDCD6ポリヌクレオチドもしくは配列番号8に示される配列を有するcgRequiemポリヌクレオチドの、細胞での、好ましくはチャイニーズハムスター(Cricetulus griseus)細胞での発現を変化させるステップ、好ましくはダウンレギュレートするステップを含む方法を提供する。
【0027】
好ましくは、上記方法は、前記ベクターを細胞に曝露するステップ、好ましくは該ベクターで細胞をトランスフェクトするステップを含む。
【0028】
本発明の第12の態様によれば、本発明者らは、配列番号1に示される配列を有するポリペプチドまたは配列番号5に示される配列を有するポリヌクレオチドの発現を、改変されていない細胞と比較してアップレギュレートするように改変されている、好ましくは遺伝子操作されている細胞、好ましくはチャイニーズハムスター(Cricetulus griseus)細胞を提供する。
【0029】
本発明の第13の態様によれば、本発明者らは、配列番号2、3もしくは4に示される配列を有するポリペプチドまたは配列番号6、7もしくは8に示される配列を有するポリヌクレオチドの発現を、改変されていない細胞と比較してダウンレギュレートするように改変されている、好ましくは遺伝子操作されている細胞、好ましくはチャイニーズハムスター(Cricetulus griseus)細胞を提供する。
【0030】
本発明の第14の態様によれば、前記細胞、またはその子孫細胞を含んでなる細胞株、好ましくはチャイニーズハムスター(Cricetulus griseus)細胞株が提供される。
【0031】
本発明の第15の態様によれば、本発明者らは、前記細胞、もしくはその子孫細胞、または記載の細胞株を含んでなる細胞培養物を提供する。
【0032】
本発明の第16の態様によれば、本発明者らは、前記細胞、またはその子孫細胞を含んでなるトランスジェニック非ヒト動物、好ましくはチャイニーズハムスター(Cricetulus griseus)を提供する。
【0033】
前記ポリペプチドの発現が変化させられていない細胞と比較して、(i)前記細胞の細胞生存率が増大しているかもしくは上昇しており、好ましくは該細胞のアポトーシスが減少しており;(ii)該細胞のタンパク質回収量、好ましくは組換え発現タンパク質回収量が増大しているかもしくは上昇しており;かつ/または(iii)細胞により発現されるタンパク質の糖化、好ましくはシアル化が増大しているかもしくは上昇していることが好ましい。
【0034】
本発明の第17の態様によれば、本発明者らは、タンパク質、好ましくは異種タンパク質、より好ましくは外来性に導入された配列由来のタンパク質、最も好ましくは組換えタンパク質の生成のための、記載の方法、記載の細胞、記載の細胞株、記載の細胞培養物、または記載のトランスジェニック非ヒト動物の使用を提供する。
【0035】
本発明の第18の態様によれば、本発明者らは、組換えタンパク質の生成方法であって、前記細胞を用意するステップ、該組換えタンパク質を発現させることが可能な発現ベクターを用いて該細胞をトランスフェクトするステップ、および該細胞での該組換えタンパク質の発現を引き起こすステップを含む、上記方法を提供する。
【0036】
本発明の第19の態様によれば、本発明者らは、配列番号9に示されるcgFADDドミナントネガティブ配列を含んでなるポリペプチド、もしくは当該ポリペプチドをコードすることが可能なポリヌクレオチド、好ましくは配列番号10に示されるポリヌクレオチド、またはその断片、ホモログ、変異体もしくは誘導体を提供する。
【0037】
本発明の第20の態様として、本発明者らは、本発明の第17または第18の態様に記載の方法により生成可能なポリペプチド、好ましくは組換えタンパク質、より好ましくはインターフェロンγであって、改変されていない細胞から生成可能なポリペプチドと比較してシアル化が増大しているポリペプチドを提供する。
【0038】
前記シアル化は、2.9モルシアル酸/モル生成ポリペプチドより多く、好ましくは約3.5モルシアル酸/モル生成ポリペプチドであることが好ましい。
【0039】
本発明のさらに詳しくかつ好ましい実施形態は、独立項および従属項として添付の特許請求の範囲に記載されている。従属項の特徴は、必要に応じて独立項の特徴と、また特許請求の範囲に明記されているもの以外の組み合わせで組み合わせることができる。
【0040】
本発明の実施では、特に指定のない限り、当業者の能力の範囲内である、化学、分子生物学、微生物学、組換えDNAおよび免疫学の従来技術を利用することができよう。そのような技術は文献の中で説明されている。例えば、J. Sambrook, E. F. Fritsch, and T. Maniatis, 1989, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Second Edition, Books 1-3, Cold Spring Harbor Laboratory Press; Ausubel, F. M. et al. (1995および定期的追補版; Current Protocols in Molecular Biology, ch. 9, 13, and 16, John Wiley & Sons, New York, N.Y.); B. Roe, J. Crabtree, and A. Kahn, 1996, DNA Isolation and Sequencing: Essential Techniques, John Wiley & Sons; J. M. Polak and James O'D. McGee, 1990, In Situ Hybridization: Principles and Practice; Oxford University Press; M. J. Gait (編), 1984, Oligonucleotide Synthesis: A Practical Approach, Irl Press; D. M. J. Lilley and J. E. Dahlberg, 1992, Methods of Enzymology: DNA Structure Part A: Synthesis and Physical Analysis of DNA Methods in Enzymology, Academic Press; Using Antibodies : A Laboratory Manual : Portable Protocol NO. I by Edward Harlow, David Lane, Ed Harlow (1999, Cold Spring Harbor Laboratory Press, ISBN 0-87969-544-7); Antibodies : A Laboratory Manual by Ed Harlow (編), David Lane (編) (1988, Cold Spring Harbor Laboratory Press, ISBN 0-87969-314-2), 1855, Lars-Inge Larsson 「Immunocytochemistry: Theory and Practice」, CRC Press inc., Baca Raton, Florida, 1988, ISBN 0-8493-6078-1, John D. Pound (編); 「Immunochemical Protocols, vol 80」, シリーズ中:「Methods in Molecular Biology」, Humana Press, Totowa, New Jersey, 1998, ISBN 0-89603-493-3, Handbook of Drug Screening, Ramakrishna Seethala, Prabhavathi B. Fernandes (2001, New York, NY, Marcel Dekker, ISBN 0-8247-0562-9)編; Lab Ref: A Handbook of Recipes, Reagents, and Other Reference Tools for Use at the Bench, Jane Roskams and Linda Rodgers編, 2002, Cold Spring Harbor Laboratory, ISBN 0-87969-630-3; およびThe Merck Manual of Diagnosis and Therapy (第17版, Beers, M. H., and Berkow, R(編), ISBN: 0911910107, John Wiley & Sons)を参照されたい。これらの一般的なテキストの各々は、参照により本明細書に組み入れられる。
【0041】
配列表
配列番号1はチャイニーズハムスター(C. griseus)FAIMのアミノ酸配列の配列である。配列番号2はチャイニーズハムスター(C. griseus)FADDのアミノ酸配列である。配列番号3はチャイニーズハムスター(C. griseus)PDCD6のアミノ酸配列である。配列番号4はチャイニーズハムスター(C. griseus)Requiemのアミノ酸配列である。
【0042】
配列番号5はチャイニーズハムスター(C. griseus)FAIMの核酸配列である。配列番号6はチャイニーズハムスター(C. griseus)FADDの核酸配列である。配列番号7はチャイニーズハムスター(C. griseus)PDCD6の核酸配列である。配列番号8はチャイニーズハムスター(C. griseus)Requiemの核酸配列である。
【0043】
配列番号9はチャイニーズハムスター(C. griseus)FADDドミナントネガティブのアミノ酸配列である。配列番号10はチャイニーズハムスター(C. griseus)FADDドミナントネガティブの核酸配列である。配列番号11はチャイニーズハムスター(C. griseus)FADDドミナントネガティブ5’−PCRプライマーの配列である。配列番号12はチャイニーズハムスター(C. griseus)FADDドミナントネガティブ3’−PCRプライマーの配列である。配列番号13はチャイニーズハムスター(C. griseus)PDCD6抑制ベクターインサート5’の配列である。配列番号14はチャイニーズハムスター(C. griseus)PDCD6抑制ベクターインサート3’の配列である。配列番号15はチャイニーズハムスター(C. griseus)Requiem抑制ベクターインサート5’の配列である。配列番号16はチャイニーズハムスター(C. griseus)Requiem抑制ベクターインサート3’の配列である。
【0044】
配列番号17はチャイニーズハムスター(C. griseus)FAIM 5’PCRプライマーの配列である。配列番号18はチャイニーズハムスター(C. griseus)FAIM 3’PCRプライマーの配列である。配列番号19はチャイニーズハムスター(C. griseus)FADD 5’PCRプライマーの配列である。配列番号20はチャイニーズハムスター(C. griseus)FADD 3’PCRプライマーの配列である。配列番号21はチャイニーズハムスター(C. griseus)PDCD6 5’PCRプライマーの配列である。配列番号22はチャイニーズハムスター(C. griseus)PDCD6 3’PCRプライマーの配列である。配列番号23はチャイニーズハムスター(C. griseus)PDCD6 3’−RACEプライマーの配列である。配列番号24はチャイニーズハムスター(C. griseus)Requiem 5’PCRプライマーの配列である。配列番号25はチャイニーズハムスター(C. griseus)Requiem 3’PCRプライマーの配列である。配列番号26はチャイニーズハムスター(C. griseus)Requiem 3’−RACEプライマーの配列である。
【0045】
配列番号27はチャイニーズハムスター(C. griseus)FAIMの定量的リアルタイムPCRプライマー5’の配列である。配列番号28はチャイニーズハムスター(C. griseus)FAIMの定量的リアルタイムPCRプライマー3’の配列である。配列番号29はチャイニーズハムスター(C. griseus)FADDの定量的リアルタイムPCRプライマー5’の配列である。配列番号30はチャイニーズハムスター(C. griseus)FADDの定量的リアルタイムPCRプライマー3’の配列である。配列番号31はチャイニーズハムスター(C. griseus)PDCD6の定量的リアルタイムPCRプライマー5’の配列である。配列番号32はチャイニーズハムスター(C. griseus)PDCD6の定量的リアルタイムPCRプライマー3’の配列である。配列番号33はチャイニーズハムスター(C. griseus)Requiemの定量的リアルタイムPCRプライマー5’の配列である。配列番号34はチャイニーズハムスター(C. griseus)Requiemの定量的リアルタイムPCRプライマー3’の配列である。配列番号35はβ−アクチンの定量的リアルタイムPCRプライマー5’の配列である。
【0046】
配列番号36はβ−アクチンの定量的リアルタイムPCRプライマー3’の配列である。配列番号37はプラスミドpcDNA3.1(+)FAIMの核酸配列である。配列番号38はプラスミドpcDNA3.1(+)FADD DNの核酸配列である。配列番号39はプラスミドpSUPER.neo.PDCD6 siRNAの核酸配列である。配列番号40はプラスミドpSUPER.neo.Requiem siRNAの核酸配列である。
【0047】
本明細書中に記載されている方法および組成物は配列表に示された配列のうちのいずれか1つまたは複数を好適に用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0048】
詳細な説明
チャイニーズハムスター配列
本開示は全体として、細胞でのアポトーシスを変化させることが可能な、チャイニーズハムスター(Cricetulus griseus)由来のある種の核酸、ポリペプチド、ならびにその断片、ホモログ、変異体および誘導体を提供する。
【0049】
具体的には、本発明者らは配列表に記載のチャイニーズハムスターFADD、FAIM、PDCD6およびRequiemのポリペプチドおよび核酸配列を提供する。さらに本発明者らはそのような遺伝子、断片、ホモログの使用を提供する。
【0050】
特に好ましい使用は、生存率の増大、タンパク質(特に組換えタンパク質)を発現する能力の増大およびそのようなタンパク質の糖化、好ましくはシアル化の増大などの、特性の増強のための、細胞、特にチャイニーズハムスター卵巣細胞の改変を含む。そのような改変細胞およびこれらの誘導体(コロニー、クローン、細胞株などのような)は、以下にさらに詳細に記述されており、組換えタンパク質の生成のためのアポトーシス耐性細胞として使用することができる。
【0051】
cgFAIM、cgFADD、cgPDCD6およびcgRequiemポリペプチド
本明細書に開示されるポリペプチド配列は、配列表に記載されている特定の配列、もしくはその断片、またはcgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/もしくはcgRequiemタンパク質から得られる配列に限定されるものだけではなく、場合によっては、任意の供給源、例えば、関連する細胞ホモログ、その他の種由来のホモログおよびその変異体または誘導体から得られる相同配列も、それらがcgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemの生物学的活性の少なくとも1つを有するならば、含まれることが理解されるであろう。
【0052】
本開示はしたがって、配列表に記載されているアミノ酸配列の変異体、ホモログまたは誘導体、ならびに本明細書に開示されるヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列の変異体、ホモログまたは誘導体を包含する。そのような配列は、場合によっては、「cgFADD配列」、「cgFAIM配列」、「cgPDCD6配列」、または「cgRequiem配列」と一般に称される。
【0053】
生物学的活性
非常に好ましい実施形態において、配列は、場合によっては、cgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemの少なくとも1つの生物学的活性を含む。
【0054】
好ましくは、cgFAIMの場合、生物学的活性は、好ましくはカスパーゼ活性のダウンレギュレーションによってアッセイされる、アポトーシス阻害活性を含む。すなわち、本明細書に記述されるcgFADD配列は、アポトーシスを阻害できることが、具体的には細胞との関連でカスパーゼ活性をダウンレギュレートできることが好ましい。
【0055】
非常に好ましい態様において、そのような方法を用いてアッセイされる場合、cgFAIM配列は、細胞にトランスフェクトされたとき、当該cgFAIM配列でそのようにトランスフェクトされていない細胞と比較して、少なくとも10%、好ましくは20%、より好ましくは30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%またはそれ以上だけアポトーシスを阻害できる。
【0056】
cgFADD、cgPDCD6およびcgRequiemの場合、生物学的活性は、好ましくはカスパーゼ活性のアップレギュレーションによってアッセイされる、アポトーシス刺激活性を含むことが好ましい。すなわち、本明細書に記述されるcgFADD、cgPDCD6およびcgRequiem配列は、アポトーシスを上方刺激できることが、具体的には細胞との関連でカスパーゼ活性をアップレギュレートできることが好ましい。
【0057】
非常に好ましい実施形態において、そのような方法を用いてアッセイされる場合、cgFADD、cgPDCD6およびcgRequiem配列は、細胞にトランスフェクトされたとき、当該cgFADD、cgPDCD6またはcgRequiem配列でそのようにトランスフェクトされていない細胞と比較して、少なくとも10%、好ましくは20%、より好ましくは30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%またはそれ以上だけアポトーシスを刺激できる。
【0058】
非常に好ましい実施形態において、cgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiem配列によるアポトーシスの活性化または抑制は、カスパーゼ活性のアッセイによりアッセイされる。すなわち、上記に示されるアポトーシスの刺激または抑制の割合は、非常に好ましい態様においてカスパーゼ活性の刺激または抑制の割合として測定されることができる。
【0059】
すなわち、比色法または蛍光法を利用したカスパーゼ活性測定アッセイなどのアポトーシス活性モニタリング法を用いて、cgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemの生化学的活性を確認することができる。そのような方法を、例えば当技術分野において公知の手段により、または実施例に示されるプロトコルを利用し、適切な発現構築物でトランスフェクトされた細胞で行って、アポトーシスが影響を受けているかどうかおよび/またはカスパーゼ活性がアップレギュレートもしくはダウンレギュレートされているかどうかを判定することができる。
【0060】
カスパーゼは、アポトーシスを仲介するシステインプロテアーゼの大きなファミリーである(Nicholson & Thornberry 1997; Thornberry & Littlewood 1998)。カスパーゼ−8は、受容体介在性アポトーシス経路の最も上流に作用するイニシエーターカスパーゼである。細胞表面受容体の活性化によって、カスパーゼ−8は、カスパーゼ−3などの下流のエフェクターカスパーゼのタンパク質分解活性を直接的にまたは間接的に惹起する(Srinivasula et al 1996およびCohen 1997)。同様に、別の上流カスパーゼであるカスパーゼ−9は、ミトコンドリアからのシトクロムcのサイトゾルへの放出を介して活性化される。放出されたシトクロムcはアポトーシスプロテアーゼ活性化因子APAF−1に結合し、プロカスパーゼ−9を活性化する複合体を形成する(Zou et al 1999およびHu et al 1999)。活性型カスパーゼ−9は、カスパーゼ−3およびその他の下流カスパーゼを同様に活性化するプロテアーゼカスケードを惹起する。
【0061】
好ましい態様において、アポトーシス活性のアップレギュレーションまたはダウンレギュレーションを判定するためにアッセイされるカスパーゼ活性は、カスパーゼ−8またはカスパーゼ−9を含む。
【0062】
カスパーゼ−8およびカスパーゼ−9活性をアッセイする方法は、当技術分野において公知であり、例えば、Nicholson DW and Thornberry NA (1997) Caspases: killer proteases. Trends Biochem Sci. 272: 2952-2956およびThornberry NA and Littlewood Y (1998) Caspases: Enemies within. Science 281:1312-1316に明確に記述されている。先行技術において示されるプロトコルのいずれかを用いて、カスパーゼ活性をアッセイすることができる。
【0063】
しかしながら、好ましい実施形態では、以下に示される「カスパーゼアッセイプロトコル」を利用して、カスパーゼ−8および/またはカスパーゼ−9活性をアッセイする。
【0064】
カスパーゼアッセイプロトコル
カスパーゼ活性は、ウェルに固定化された種々のカスパーゼに特異的な蛍光発生基質を利用することでアッセイすることができる。活性カスパーゼを含有する細胞溶解液のウェルへの添加によって、基質が切断され、標準的な蛍光プレートリーダーを用いて検出できる蛍光生成物が放出されるであろう。
【0065】
具体的には、BD ApoAlertTMカスパーゼアッセイプレート(カタログ番号K2033-1、BD Biosciences Clontech、Palo Alto、California、USA)では、それぞれの活性カスパーゼにより認識される短いペプチドで構成される種々のカスパーゼ基質を使っている。それらのペプチドは蛍光色素7−アミノ−4−メチルクマリン(AMC)に共有結合している。ペプチド結合AMCはUV領域(λmax=380nm)で発光し、その一方で未結合AMCは緑色領域(λmax=460nm)で発光する。これによって、460nmでの蛍光強度の増大を試験サンプル中の各カスパーゼの活性の増大と関連づけることが可能になる。カスパーゼ−8活性をアッセイする場合、使われる基質はVDVAD−AMCであり、その一方、カスパーゼ−9活性のアッセイでは、その基質としてLEHD−AMCを用いる。
【0066】
BD ApoAlertTMカスパーゼアッセイプレートを用いてカスパーゼ活性をアッセイするため、サンプルからの細胞を遠心分離によってペレットにし、その後、1×細胞溶解緩衝液(BD Biosciences Clontech)に再懸濁し、氷上で10分間インキュベートする。次いで、細胞残屑を4℃で5分間の遠心分離によって除去する。次に、2×反応緩衝液/DTT混合物50μLを、使用されうる96ウェルプレートの各ウェルに加える。このプレートを37℃で5分間プレインキュベートする。次いで、適切な細胞溶解液50μLをウェルに加え、37℃で2時間インキュベートする。次に、蛍光プレートリーダーを用いて、放出されたAMCの量を測定する(380nmで励起、460nmで発光)。
【0067】
カスパーゼ活性は、参照サンプルの460nmでの絶対発光の減算後のサンプルの460nmでの絶対発光と定義される。参照サンプルは、時間基準ゼロで回収されたサンプルである。
【0068】
cgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiem発現ベクターでトランスフェクトされた細胞のカスパーゼ活性を空のベクターでトランスフェクトされた(またはトランスフェクトされていない)細胞と比較して、場合により、アポトーシスが刺激されているかまたは抑制されている割合を測定することができる。
【0069】
好ましい実施形態において、そのような方法を用いてアッセイされる場合、cgFAIM配列は、細胞にトランスフェクトされたとき、当該cgFAIM配列でそのようにトランスフェクトされていない細胞と比較して、少なくとも10%、好ましくは20%、より好ましくは30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%またはそれ以上だけカスパーゼ−8、もしくはカスパーゼ−9、またはその両方の発現を阻害できる。
【0070】
非常に好ましい実施形態において、そのような方法を用いてアッセイされる場合、cgFADD、cgPDCD6およびcgRequiem配列は、細胞にトランスフェクトされたとき、当該cgFADD、cgPDCD6またはcgRequiem配列でそのようにトランスフェクトされていない細胞と比較して、少なくとも10%、好ましくは20%、より好ましくは30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%またはそれ以上だけカスパーゼ−8、もしくはカスパーゼ−9、またはその両方の発現を刺激できる。
【0071】
膜変化、DNA断片化およびその他アポトーシスの生化学的特徴などのアポトーシス関連事象を検出するその他のアッセイを、記述のアッセイに代えて、または加えて、用いることもできる。
【0072】
ホモログ
開示されるポリペプチドは、任意の供給源から得られる相同配列、例えば、関連するウイルス/細菌タンパク質、細胞ホモログおよび合成ペプチド、ならびにその変異体または誘導体を含む。すなわち、ポリペプチドは同様に、哺乳動物(例えば、マウス、ラットまたはウサギ)、特に齧歯類などの動物を含めたその他の種由来のcgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemのホモログをコードするものを含む。
【0073】
本明細書との関連で、相同配列またはホモログは、場合によって、例えば本明細書において配列表に示されるcgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemと少なくとも30、好ましくは40、50、60、70、80、90または100アミノ酸にわたりアミノ酸レベルで少なくとも60、65、70、75、80、85、86、87、88、89または90%同一である、好ましくは少なくとも91、92、93、94、95、96、97、98または99%同一であるアミノ酸配列を含むと解釈される。本明細書との関連で、相同配列はcgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemの配列と、好ましくは、少なくとも15、25、35、50または100、好ましくは200、300、400または500アミノ酸にわたり、アミノ酸レベルで少なくとも15、20、25、30、40、50、60、65、70、75、80、85、86、97、88、89または90%同一である、好ましくは少なくとも91、92、93、94、95、96、97、98または99%同一であるアミノ酸配列を含むと解釈される。例えば、配列は、cgFADD(好ましくは配列番号1に示される配列を含む)、cgFAIM(好ましくは配列番号2に示される配列を含む)、cgPDCD6(好ましくは配列番号3に示される配列を含む)またはcgRequiem(好ましくは配列番号4に示される配列を含む)に対し表示の配列同一性を有することができる。
【0074】
相同性は類似性(すなわち、類似の化学的特性/機能を有するアミノ酸残基)という点でも考慮されうるが、本明細書との関連では、相同性を配列同一性という点で表現することが好ましい。非常に好ましい実施形態において、配列同一性は関連配列長の全体に対して、すなわち、例えば関連遺伝子の全長または完全長配列にわたって判定される。
【0075】
相同性比較は目測で、またはより一般的には、容易に利用可能な配列比較プログラムの助けで行うことができる。これらの市販のコンピュータプログラムでは、2つまたはそれ以上の配列間の%相同性を計算することができる。
【0076】
%相同性は連続した配列にわたって計算することができ、すなわち、一方の配列を他方の配列と整列させ、一方の配列中の各アミノ酸を、一度に1残基ずつ、他方の配列中の対応するアミノ酸と直接的に比較する。これは「ギャップなしのアライメント」と呼ばれる。典型的には、そのようなギャップなしのアライメントは、比較的短い残基数(例えば50未満の連続したアミノ酸)にわたってのみ行われる。
【0077】
これは非常に単純かつ一貫した方法であるが、例えば、別の方法で同一な配列の対において、1つの挿入または欠失は、それ以降のアミノ酸残基がアライメント外に配される原因となり、それによってグローバルアライメントが行われる場合に%相同性の大幅な低下を引き起こす可能性があることを考慮に入れることができない。その結果、大部分の配列比較法は、全体の相同性スコアに過度に不利益をもたらすことなく、可能性のある挿入および欠失を考慮に入れた最適なアライメントをもたらすようデザインされている。これは、配列アライメントに「ギャップ」を挿入して、局所相同性を最大限にするよう試みることで達成される。
【0078】
しかしながら、これらのより複雑な方法では、アライメント中に生じる各ギャップに「ギャップペナルティ」を割り当てるが、その結果、同じ数の同一アミノ酸の場合、2つの比較配列間のいっそう高い関連性を反映する、可能な限り少ないギャップを有した配列アライメントは、多くのギャップを有したものよりも高いスコアを達成することになる。ギャップの存在には比較的高いコストおよびギャップ中のその後の各残基にはもっと小さなペナルティを課す「アフィンギャップコスト」が典型的に使われる。これは最もよく使用されているギャップスコアリングシステムである。高いギャップペナルティでは、もちろん、ギャップがより少ない最適化アライメントがもたらされよう。大部分のアライメントプログラムは、ギャップペナルティの改変を可能にする。しかしながら、そのようなソフトウェアを配列比較のために用いる場合、デフォルト値を使用することが好ましい。例えば、GCG Wisconsin Bestfitパッケージ(以下参照)を用いる場合、アミノ酸配列に対するデフォルトのギャップペナルティは、ギャップに対し−12および各伸展に対し−4である。
【0079】
最大の%相同性の計算ではしたがって、ギャップペナルティを考慮に入れた、最適アライメントの生成が最初に必要になる。そのようなアライメントを実行するのに適したコンピュータプログラムは、GCG Wisconsin Bestfitパッケージ(ウィスコンシン大学、米国; Devereux et al., 1984, Nucleic Acids Research 12:387)である。配列比較を行うことができる以外のソフトウェアの例としては、BLASTパッケージ(Ausubel et al., 1999 前記−18章)、FASTA(Atschul et al., 1990, J. Mol. Biol., 403-410)および比較ツールのGENEWORKSスイートが挙げられるが、これらに限定されることはない。BLASTもFASTAもオフラインおよびオンライン検索で利用可能である(Ausubel et al., 1999 前記、7-58から7-60頁を参照のこと)。しかしながら、GCG Bestfitプログラムを使用することが好ましい。
【0080】
最終の%相同性は同一性という点で測定されうるが、アライメント過程それ自体は、典型的には、全か無かの対比較に基づいていない。その代わりに、化学的類似性または進化距離に基づき各対比較にスコアを割り当てるスケール付きの類似性スコアマトリックスが一般的に使用される。よく使用されているそのようなマトリックスの例は、BLOSUM62マトリックス、つまりプログラムのBLASTスイートのためのデフォルトマトリックスである。GCG Wisconsinプログラムでは、通常、一般のデフォルト値または提供されるならカスタムシンボル比較表のいずれかが使われる(さらに詳しくはユーザーマニュアルを参照のこと)。GCGパッケージには一般のデフォルト値、またはその他のソフトウェアの場合には、BLOSUM62などの、デフォルトマトリックスを使用することが好ましい。
【0081】
ソフトウェアが最適なアライメントを生成したら、%相同性、好ましくは%配列同一性を計算することが可能である。ソフトウェアは、典型的には、これを配列比較の一環として行い、計算結果を作出する。
【0082】
好ましい態様において、配列の類似性、同一性、相同性または相補性は、比較のために使われる関連配列の全長に対して判断される。
【0083】
変異体および誘導体
本明細書に記述されるアミノ酸配列に関して「変異体」または「誘導体」という用語は、配列からのまたは配列への1つ(または複数)のアミノ酸の任意の置換、変異、改変、交換、欠失または付加を含む。好ましくは、得られるアミノ酸配列は、未改変配列と実質的に同じ活性を保持し、配列表に示されるcgFAIM、cgFADD、cgPDCD6およびcgRequiemポリペプチドと少なくとも同じ活性を有することが好ましい。したがって、配列の重要な特徴、すなわち、それらが1つまたは複数のアポトーシス過程を変化させることが可能なことは、保持されるのが好ましい。
【0084】
実施例に示されるアミノ酸配列を有するポリペプチド、またはその断片もしくはホモログは、本明細書に記述される方法および組成物で用いるために改変することができる。典型的には、配列の生物学的活性を維持する改変がなされる。アミノ酸置換は、改変配列が未改変配列の生物学的活性を保持するという条件で、例えば1、2または3から10、20または30個の置換までなされうる。アミノ酸置換は、例えば治療的に投与されるポリペプチドの血漿中半減期を増大させるため、非天然の類似体の使用を含むことができる。
【0085】
cgFAIM、cgFADD、cgPDCD6およびcgRequiemの天然変異体は、同類アミノ酸置換を含む可能性が高い。同類置換は、例えば下記表によって定義することができる。第2カラム内の同一ブロック中のおよび好ましくは第3カラム内の同一列中のアミノ酸を相互に置換することができる:
断片
本明細書に開示されかつマーカーとして有用なポリペプチドは同様に、配列表に示される配列の断片をはじめとする、上記の完全長のポリペプチドおよびその変異体の断片を含む。
【0086】
ポリペプチドは同様に、cgFAIM、cgFADD、cgPDCD6およびcgRequiemポリペプチドのいずれかの完全長配列の断片を含む。好ましくは、断片は少なくとも1つのエピトープを含む。エピトープを同定する方法は、当技術分野において周知である。断片は、典型的には、少なくとも6アミノ酸、より好ましくは少なくとも10、20、30、50または100アミノ酸を含むであろう。
【0087】
cgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemアミノ酸配列由来の5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145もしくは150、またはそれ以上の残基を含む、好ましくはそれらの残基からなる断片が含まれる。
【0088】
cgFAIM、cgFADD、cgPDCD6およびcgRequiemタンパク質ならびにその対立遺伝子変異体および種変異体のポリペプチド断片は、同類置換を含めて、1つまたは複数(例えば、5、10、15、または20)の置換、欠失または挿入を含むことができる。置換、欠失および/または挿入が、例えば、異なる種で起こる場合、配列表に描かれるアミノ酸残基の50%、40%または20%未満が改変されることが好ましい。
【0089】
cgFAIM、cgFADD、cgPDCD6およびcgRequiem、ならびにその断片、ホモログ、変異体および誘導体は、組換え手段によって作出することができる。しかしながら、それらは同様に、固相合成などの当業者に周知の技術を用いた合成手段によって作出することができる。それらのタンパク質を、例えば、抽出および精製を補助するため、融合タンパク質として生成することもできる。融合タンパク質パートナーの例としては、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)、6×His、GAL4(DNA結合ドメインおよび/または転写活性化ドメイン)およびβ−ガラクトシダーゼが挙げられる。融合タンパク質パートナーと対象となるタンパク質配列との間にタンパク質分解的切断部位を含めて、融合タンパク質配列の除去を可能にすることも好都合でありうる。融合タンパク質は、対象とする配列のタンパク質の機能を妨げないことが好ましいであろう。タンパク質は、動物細胞からの細胞抽出物の精製によって得ることもできる。
【0090】
本明細書に開示されるcgFAIM、cgFADD、cgPDCD6およびcgRequiemのポリペプチド、変異体、ホモログ、断片および誘導体は、実質的に単離された形態であってよい。そのようなポリペプチドは、タンパク質の所期の目的を妨害することのない担体または希釈剤と混合されてもよく、それでもなお、実質的に単離されたと見なされることが理解されるであろう。cgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemの変異体、ホモログ、断片または誘導体は、実質的に精製された形態であってもよく、この場合には、それは一般に、調製物中の90%を超える、例えば、95%、98%または99%のタンパク質が1種のタンパク質である調製物中のタンパク質を含むであろう。
【0091】
本明細書に開示されるcgFAIM、cgFADD、cgPDCD6およびcgRequiemのポリペプチド、変異体、ホモログ、断片および誘導体は、明示的な標識で標識することができる。明示的な標識は、ポリペプチドなどが検出されることを可能にする任意の適当な標識とすることができる。適当な標識は、放射性同位体、例えば、125I、酵素、抗体、ポリヌクレオチドおよびビオチンなどのリンカーを含む。標識されたポリペプチドを免疫アッセイなどの診断的方法に用いて、サンプル中のポリペプチドの量を判定することができる。ポリペプチドまたは標識されたポリペプチドは、標準的なプロトコルを用いた動物およびヒトでのそのポリペプチドに対する免疫反応性の検出のため血清学的なまたは細胞を介した免疫アッセイで用いることもできる。
【0092】
任意により標識されてもよい、本明細書に開示されるcgFAIM、cgFADD、cgPDCD6およびcgRequiemのポリペプチド、変異体、ホモログ、断片および誘導体は同様に、固相、例えば免疫アッセイウェルまたは浸漬試験紙(dipstick)の表面に固定することができる。そのような標識されたおよび/または固定化されたポリペプチドは、適当な試薬、対照、使用説明書などと一緒に、適当な容器に入れてキットの中に包装することができる。そのようなポリペプチドおよびキットは、免疫アッセイによるポリペプチドまたはその対立遺伝子変異体もしくは種変異体に対する抗体の検出方法で用いることができる。
【0093】
免疫アッセイ法は当技術分野において周知であり、一般的に、(a)タンパク質に対する抗体によって結合可能なエピトープを含むポリペプチドを用意するステップ;(b)生物学的サンプルをそのポリペプチドと、抗体−抗原複合体の形成を可能にする条件の下でインキュベートするステップ;および(c)そのポリペプチドを含む抗体−抗原複合体が形成されるかどうかを判定するステップを含むであろう。
【0094】
本明細書に開示されるcgFAIM、cgFADD、cgPDCD6およびcgRequiemのポリペプチド、変異体、ホモログ、断片および誘導体をin vitroまたはin vivoの細胞培養系で用いて、疾患でのそれらの機能を含めた、細胞機能でのそれらの対応遺伝子およびそのホモログの役割を研究することができる。例えば、切断されたかまたは改変されたポリペプチドを細胞に導入して、細胞内で行われる正常な機能を破壊することができる。ポリペプチドは組換え発現ベクターからのポリペプチドのin situ発現によって、細胞に導入することができる(以下参照)。発現ベクターは、任意によりポリペプチドの発現を制御するための誘導性プロモーターを保有してもよい。
【0095】
昆虫細胞または哺乳動物細胞などの、適切な宿主細胞の使用は、組換え発現産物に最適な生物活性を与えるのに必要とされうるような翻訳後修飾(例えば、ミリスチン化(myristolation)、糖化、切断、脂質化(lapidation)およびチロシン、セリンまたはトレオニンリン酸化)をもたらすと期待される。本明細書に開示されるcgFAIM、cgFADD、cgPDCD6およびcgRequiemのポリペプチド、変異体、ホモログ、断片および誘導体が発現されるそのような細胞培養系をアッセイ系で用いて、細胞でのポリペプチドの機能を妨害するかまたは増強する候補物質を同定することができる。
【0096】
cgFAIM、cgFADD、cgPDCD6およびcgRequiem核酸
本発明者らは全体として、いくつかのcgFAIM、cgFADD、cgPDCD6およびcgRequiem核酸を、その断片、ホモログ、変異体および誘導体とともに提供する。これらの核酸配列は、本明細書に、および特に配列表に開示されるポリペプチド配列をコードすることが好ましい。
【0097】
好ましくは、ポリヌクレオチドは、配列番号5、配列番号6、配列番号7および配列番号8からなる群よりそれぞれ選択されることが好ましい、cgFAIM、cgFADD、cgPDCD6およびcgRequiem核酸を含む。
【0098】
具体的には、本発明者らは、本明細書に開示されるチャイニーズハムスター(Cricetulus griseus)のポリペプチドのいずれかをコードする核酸またはポリヌクレオチドを提供する。したがって、「cgFADD配列」、「cgFAIM配列」、「cgPDCD6配列」および「cgRequiem配列」という用語は、それ相応に解釈されるべきである。しかしながら、好ましくは、そのような核酸またはポリヌクレオチドは、配列番号5〜16ならびに配列番号37、38、39および40として示される配列のいずれか、または対応するポリペプチドのいずれかをコードする配列、およびそのような核酸の断片、ホモログ、変異体または誘導体を含む。それ故、上記の用語は、好ましくは、これらの配列を指すものと解釈されるべきである。
【0099】
本明細書において用いられる「ポリヌクレオチド」、「ヌクレオチド」、および核酸という用語は、相互に同義であることが意図される。「ポリヌクレオチド」は、通常、任意のポリリボヌクレオチドまたはポリデオキシリボヌクレオチドをいい、これらは未修飾RNAもしくはDNAまたは修飾RNAもしくはDNAであってもよい。「ポリヌクレオチド」には、非限定的に、一本鎖および二本鎖DNA、一本鎖および二本鎖領域の混合物であるDNA、一本鎖および二本鎖RNA、ならびに一本鎖および二本鎖領域の混合物であるRNA、一本鎖もしくは、より典型的には、二本鎖または一本鎖および二本鎖領域の混合物であってよいDNAおよびRNAを含むハイブリッド分子が含まれる。さらに、「ポリヌクレオチド」は、RNAもしくはDNAまたはRNAとDNAの両方を含む三本鎖領域をいう。ポリヌクレオチドという用語は同様に、1つまたは複数の修飾塩基を含有するDNAまたはRNAおよび安定性のためにまたはその他の理由のために修飾された骨格を有するDNAまたはRNAを含む。「修飾」塩基は、例えば、トリチル化塩基およびイノシンなどの普通でない塩基を含む。様々な修飾がDNAおよびRNAになされており、すなわち、「ポリヌクレオチド」は、自然界において典型的に見られるように化学的に、酵素的にまたは代謝的に修飾されたポリヌクレオチド形態、ならびにウイルスおよび細胞に特有なRNAおよびDNAの化学的形態を包含する。「ポリヌクレオチド」は同様に、多くの場合、オリゴヌクレオチドと称される、比較的短いポリヌクレオチドを包含する。
【0100】
多数の異なるポリヌクレオチドおよび核酸が、遺伝コードの縮重の結果として同一のポリペプチドをコードできることを当業者は理解するであろう。さらに、当業者は、日常的な技術を利用し、ポリペプチドが発現されることになる任意の特定の宿主生物のコドン使用頻度を反映させるよう、本明細書に記述されるポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチド配列に影響を与えないヌクレオチド置換をなしうることが理解されるべきである。
【0101】
変異体、誘導体およびホモログ
本明細書に記述されるポリヌクレオチドは、DNAまたはRNAを含むことができる。それらは一本鎖または二本鎖とすることができる。それらは同様に、その内部に合成または修飾ヌクレオチドを含んだポリヌクレオチドとすることができる。オリゴヌクレオチドに対するいくつかの異なるタイプの修飾は、当技術分野において公知である。これらはメチルホスホネートおよびホスホロチオエート骨格、分子の3’および/または5’末端でのアクリジンまたはポリリジン鎖の付加を含む。本明細書の目的で、本明細書において記述されるポリヌクレオチドは、当技術分野において利用可能な任意の方法により修飾できることが理解されるべきである。そのような修飾は、ポリヌクレオチドのin vivoでの活性または寿命を増強するために行うことができる。
【0102】
ポリヌクレオチドが二本鎖である場合、二重鎖の両鎖は、個別的にまたは組み合わせで、本明細書に記述される方法および組成物によって包含される。ポリヌクレオチドが一本鎖である場合、そのポリヌクレオチドの相補配列も含まれることが理解されるべきである。
【0103】
ヌクレオチド配列に関して「変異体」、「ホモログ」または「誘導体」という用語は、配列からのまたは配列への1つ(または複数)のヌクレオチドの任意の置換、変異、改変、交換、欠失または付加を含む。好ましくは、得られる配列は、アポトーシスメディエーター活性を有するポリペプチドをコードすることができる。
【0104】
上記に示されるように、配列同一性に関して、「ホモログ」は、配列表に示される対応する配列に対し少なくとも5%の同一性、少なくとも10%の同一性、少なくとも15%の同一性、少なくとも20%の同一性、少なくとも25%の同一性、少なくとも30%の同一性、少なくとも35%の同一性、少なくとも40%の同一性、少なくとも45%の同一性、少なくとも50%の同一性、少なくとも55%の同一性、少なくとも60%の同一性、少なくとも65%の同一性、少なくとも70%の同一性、少なくとも75%の同一性、少なくとも80%の同一性、少なくとも85%の同一性、少なくとも90%の同一性、または少なくとも95%の同一性を有することが好ましい。
【0105】
少なくとも95%の同一性、より好ましくは少なくとも96%の同一性、より好ましくは少なくとも97%の同一性、より好ましくは少なくとも98%の同一性、より好ましくは少なくとも99%の同一性が存在することがより好ましい。ヌクレオチド相同性比較は、前述のように行うことができる。好ましい配列比較プログラムは、前述のGCG Wisconsin Bestfitプログラムである。デフォルトのスコアリングマトリックスは、各同一のヌクレオチドに対し10および各ミスマッチに対し−9の適合値を有する。デフォルトのギャップ作製ペナルティは−50であり、デフォルトのギャップ伸長ペナルティは各ヌクレオチドに対し−3である。
【0106】
好ましい実施形態において、cgFAIMポリヌクレオチドは、配列番号5として示される配列に対し少なくとも90%またはそれ以上の配列同一性を有する。好ましくは、cgFAIMポリヌクレオチドは、配列番号5として示される配列に対し91%もしくはそれ以上、好ましくは92%もしくはそれ以上、93%もしくはそれ以上、94%もしくはそれ以上、95%もしくはそれ以上、96%もしくはそれ以上、97%もしくはそれ以上、98%もしくはそれ以上、99%もしくはそれ以上または99.5%もしくはそれ以上の配列同一性を有する。
【0107】
同様に、好ましい実施形態において、cgFADD配列は、配列番号6として示される配列に対し少なくとも90%の配列同一性を有する。好ましくは、cgFADDポリヌクレオチドは、配列番号6として示される配列に対し91%もしくはそれ以上、好ましくは92%もしくはそれ以上、93%もしくはそれ以上、94%もしくはそれ以上、95%もしくはそれ以上、96%もしくはそれ以上、97%もしくはそれ以上、98%もしくはそれ以上、99%もしくはそれ以上または99.5%もしくはそれ以上の配列同一性を有する。
【0108】
好ましい実施形態において、cgPDCD6配列は、配列番号7として示される配列に対し少なくとも93%またはそれ以上の配列同一性を有する。好ましくは、cgPDCD6ポリヌクレオチドは、配列番号7として示される配列に対し94%もしくはそれ以上、95%もしくはそれ以上、96%もしくはそれ以上、97%もしくはそれ以上、98%もしくはそれ以上、99%もしくはそれ以上または99.5%もしくはそれ以上の配列同一性を有する。
【0109】
好ましい実施形態において、cgRequiemポリヌクレオチドは、配列番号5として示される配列に対し少なくとも90%またはそれ以上の配列同一性を有する。好ましくは、cgRequiemポリヌクレオチドは、配列番号8として示される配列に対し90%もしくはそれ以上、好ましくは91%もしくはそれ以上、92%もしくはそれ以上、93%もしくはそれ以上、94%もしくはそれ以上、95%もしくはそれ以上、96%もしくはそれ以上、97%もしくはそれ以上、98%もしくはそれ以上、99%もしくはそれ以上または99.5%もしくはそれ以上の配列同一性を有する。
【0110】
ハイブリダイゼーション
本発明者らはさらに、本明細書において示されている配列のいずれか、またはその任意の変異体、断片もしくは誘導体に、あるいは前記のいずれかの相補体に選択的にハイブリダイズすることが可能なcgFAIM、cgFADD、cgPDCD6およびcgRequiemヌクレオチド配列について記述する。ヌクレオチド配列は、好ましくは長さが少なくとも15ヌクレオチド、より好ましくは長さが少なくとも20、30、40または50ヌクレオチドである。
【0111】
本明細書において用いられる「ハイブリダイゼーション」という用語は、「核酸の鎖が塩基対合を通じて相補鎖と結び付く過程」およびポリメラーゼ連鎖反応技術で実行されるような増幅の過程を含むものとする。
【0112】
本明細書において示されているヌクレオチド配列に、またはその相補体に選択的にハイブリダイズすることが可能なポリヌクレオチドは、通常、少なくとも20、好ましくは少なくとも25または30、例えば少なくとも40、60もしくは100またはそれ以上の連続ヌクレオチドの領域にわたり、本明細書において示されている対応ヌクレオチド配列に対し少なくとも70%、好ましくは少なくとも80または90%およびより好ましくは少なくとも95%または98%相同であろう。
【0113】
「選択的にハイブリダイズ可能な」という用語は、プローブとして用いるポリヌクレオチドを、標的のポリヌクレオチドがバックグラウンドを有意に上回るレベルでプローブにハイブリダイズすることが認められる条件の下で、使用することを意味する。バックグラウンドのハイブリダイゼーションは、例えば、スクリーニングされているcDNAまたはゲノムDNAライブラリーの中に存在するその他のポリヌクレオチドについて起こりうる。この場合、バックグラウンドは、プローブとライブラリーの非特異的なDNAメンバーとの間の相互作用によって生じるシグナルのレベルであって、これが標的DNAとで観測される特異的な相互作用の10倍未満、好ましくは100倍未満の強度であることを意味する。相互作用の強度は、例えば、プローブを、例えば32Pで放射能標識することによって測定することができる。
【0114】
ハイブリダイゼーション条件は、Berger and Kimmel (1987, Guide to Molecular Cloning Techniques, Methods in Enzymology, Vol 152, Academic Press, San Diego CA)に教示されているように、核酸結合複合体の融解温度(Tm)に基づいており、以下に説明されるように規定の「ストリンジェンシー」を与える。
【0115】
最大のストリンジェンシーは、典型的には、約Tm−5℃(プローブのTmよりも5℃低い)で行われ、高度のストリンジェンシーはTmの約5℃〜10℃より低い温度で行われ、中度のストリンジェンシーはTmの約10℃〜20℃より低い温度で行われ、および低度のストリンジェンシーはTmの約20℃〜25℃より低い温度で行われる。当業者には明らかなように、最大のストリンジェンシーでのハイブリダイゼーションを用いて同一のポリヌクレオチド配列を同定するかまたは検出することができ、その一方、中度(または低度)のストリンジェンシーでのハイブリダイゼーションを用いて類似のまたは関連のポリヌクレオチド配列を同定するかまたは検出することができる。
【0116】
好ましい実施形態において、本発明者らは、ストリンジェントな条件(例えば、65℃および0.1×SSC{1×SSC=0.15M NaCl、0.015M クエン酸三ナトリウムpH7.0})の下でcgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiem核酸、またはその断片、ホモログ、変異体もしくは誘導体にハイブリダイズできるヌクレオチド配列を開示する。
【0117】
ポリヌクレオチドが二本鎖である場合、二重鎖の両鎖は、個別的にまたは組み合わせで、本開示によって包含される。ポリヌクレオチドが一本鎖である場合、そのポリヌクレオチドの相補配列も開示され包含されることが理解されるべきである。
【0118】
本明細書に開示される配列に100%相同ではないが、開示の範囲に入るポリヌクレオチドは、いくつかの方法で得ることができる。本明細書において記述される配列のその他の変異体は、例えば、一連の個体、例えば異なる集団由来の個体から作製されたDNAライブラリーをプローブすることによって得ることができる。さらに、その他のウイルスの/細菌のホモログ、または細胞のホモログ、特に哺乳動物細胞(例えば、ラット、マウス、ウシおよび霊長類細胞)で見られる細胞のホモログを得ることができ、そのようなホモログおよびその断片は、一般に、本明細書において配列表に示される配列に選択的にハイブリダイズすることが可能であろう。そのような配列は、その他の動物種から作製されたcDNAライブラリーまたはゲノムDNAライブラリーをプローブすることにより、およびそのようなライブラリーを、中度から高度のストリンジェンシーの条件の下で配列番号1〜40の全部または一部を含むプローブでプローブすることにより得ることができる。同様の検討がcgFAIM、cgFADD、cgPDCD6およびcgRequiemの種ホモログおよび対立遺伝子変異体を得るのに当てはまる。
【0119】
本明細書に記述されるポリヌクレオチドを用いてプライマー、例えばPCRプライマー、選択的な増幅反応用のプライマー、放射性標識もしくは非放射性標識を利用し従来の手段によって明示的な標識で例えば標識された、プローブを生成してもよく、またはそれらのポリヌクレオチドをベクターにクローニングしてもよい。そのようなプライマー、プローブおよびその他の断片は、長さが少なくとも15、好ましくは少なくとも20、例えば少なくとも25、30または40ヌクレオチドとなるはずであり、本明細書において用いられるポリヌクレオチドという用語によって同様に包含される。好ましい断片は、長さが500、200、100、50または20ヌクレオチド未満である。
【0120】
DNAポリヌクレオチドなどのポリヌクレオチドおよびプローブは、組換え的に、合成的に、または当業者が利用可能な任意の手段により生成することができる。それらは同様に、標準的な技術によりクローニングすることができる。
【0121】
一般に、プライマーは、一度に1ヌクレオチドずつの所望の核酸配列の段階的製造を含む、合成手段によって生成されよう。自動化技術を用いてこれを達成するための技術は、当技術分野において容易に利用可能である。
【0122】
より長いポリヌクレオチドは一般に、組換え手段を用いて、例えば、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)クローニング技術を用いて生成されよう。これには、クローニングすることが望まれる配列の領域に隣接する(例えば、約15〜30ヌクレオチドの)プライマーの対を作出するステップ、プライマーを動物またはヒト細胞から得られたmRNAまたはcDNAと接触させるステップ、所望の領域の増幅をもたらす条件の下でポリメラーゼ連鎖反応を行うステップ、増幅された断片を単離するステップ(例えば、反応混合物をアガロースゲル上で精製することにより)および増幅されたDNAを回収するステップが含まれよう。プライマーは、増幅されたDNAを適当なクローニングベクターにクローニングできるよう適当な制限酵素認識部位を含むようにデザインすることができる。
【0123】
CG配列の使用
実施例に示されるように、本発明者らは、これらの4種の遺伝子が細胞中でのアポトーシスの仲介に関与していることを証明した。
【0124】
本発明者らは同様に、そのような遺伝子の、その活性の調節による標的化がアポトーシスの低下をもたらし、それ故に、細胞生存率の改善をもたらすことを明らかにする。それらの遺伝子およびポリペプチドならびにその生成物は故に、いくつかの分野で、例えば細胞培養で有用性を有する。
【0125】
すなわち、米国特許第6,586,206号では、培養宿主細胞を用いた組換えタンパク質の生成でのアポトーシス阻害剤の使用、その結果、所望のタンパク質の回収量向上の効果について記述している。したがって、チャイニーズハムスター(Cricetulus griseus)FAIM、FADD、PDCD6およびRequiem配列の開示によって、細胞培養でのこれらの遺伝子の標的化は、細胞生存率を上昇させ、組換えタンパク質生成の回収量上昇を促進させることができる。具体的には、本発明者らが本明細書に記述するcgFAIM、cgFADD、cgPDCD6およびcgRequiem改変細胞、好ましくはチャイニーズハムスター(Cricetulus griseus)細胞、より好ましくはチャイニーズハムスター卵巣細胞を回収量の改善された組換えタンパク質の生成のために適当に利用することができる。
【0126】
cgFAIM、cgFADD、cgPDCD6およびcgRequiem改変細胞
本明細書に記述される方法および組成物によれば、細胞でのcgFAIM、cgFADD、cgPDCD6およびcgRequiemのいずれかの1つまたは複数の調節により、個体群、好ましくはチャイニーズハムスター(Cricetulus griseus)個体群の細胞生存率が改善される。具体的には、本発明者らは、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemの発現の低下、ならびにcgFAIMの発現の増大が細胞生存率の改善を引き起こすことを実施例のなかで明らかにする。
【0127】
しかしながら、アゴニストおよびアンタゴニストなどのモジュレータ実体の使用を含む、これらの遺伝子のいずれかの制御の方法をポリペプチド発現の調節に加えて、またはこれに代わる手段として利用できることを理解されたい。
【0128】
これらの遺伝子のいずれかの1つまたは複数の発現が調節される細胞は、便宜上「改変」細胞と称されるが、これらはそれ自体が物理的に改変されなくてもよく、しかし改変された細胞の子孫であってもよいことを理解されたい。本発明者らは具体的には、cgFAIM発現がアップレギュレートされる細胞を提供し、ならびにcgFADD、cgPDCD6および/もしくはcgRequiem、またはその任意の組み合わせの発現がダウンレギュレートされる細胞を提供する。すなわち、cgFAIM、cgFADD、cgPDCD6およびcgRequiemの1つ、2つ、3つ、または4つ全ての発現が改変細胞で改変されうることを理解されたい。改変は一過性であってもよく、あるいはそれは改変の様式に応じて、永続性または長期であってもよい。
【0129】
改変細胞は、哺乳動物細胞、好ましくはチャイニーズハムスター(Cricetulus griseus)細胞、最も好ましくはCHO細胞を含むことができる。それらは、齧歯類細胞、好ましくはマウスまたはラット細胞を含むことができる。好ましくは、そのような改変細胞は、チャイニーズハムスター(Cricetulus griseus)細胞、最も好ましくはCHO細胞を含む。しかしながら、それらはサル細胞またはヒト細胞などの、霊長類細胞を含むことができる。
【0130】
対応する細胞が、当技術分野において公知の任意の手段により、対応する遺伝子を標的化することによって改変されてもよい。
【0131】
考えられる手法の1つは、遺伝子機能を阻害するためおよび対応するポリペプチドの発現を阻止するため、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemに対して作製されたアンチセンス構築物を発現することである。別の手法は、細胞死機構の細胞成分に関して内因性の遺伝子産物と競合し、その結果、機能の阻害を引き起こす、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemポリペプチドの非機能的な変異体を使用することである。あるいは、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemポリペプチドに結合することが前述のアッセイによって明らかにされた化合物を細胞に投与して、そのポリペプチドの機能を阻止することができる。これは、例えば、組換えDNA技術を用いてまたは化合物の直接投与によって行うことができる。cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemに対して作製された適当な抗体を作用物質として使用することもできる。
【0132】
または、二本鎖(ds)RNAは、一連の生物での遺伝子発現を妨げる効果的な方法であり、これは哺乳動物で成功することが最近になって明らかにされている(Wianny and Zernicka-Goetz, 2000, Nat Cell Biol 2000, 2, 70-75)。cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemポリヌクレオチドの配列に対応する二本鎖RNAを細胞もしくは細胞株に導入するかまたは細胞もしくは細胞株で発現させるかして、細胞生存率を上昇させることができる。
【0133】
具体的には、本発明者らは、一本鎖干渉RNA(siRNA)の使用および発現の低下が望まれるドミナントネガティブ突然変異体の使用による改変について記述する。本発明者らはさらに、関連遺伝子の発現を増大させるために関連配列の過剰発現を可能にするベクターの使用について記述する。改変は一過性であってもよく、またはそれは永続性であってもよい。このように、本発明者らは、cgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemにおけるゲノムのおよび遺伝性の改変を有する細胞を含む細胞株を提供する。そのような細胞株を樹立するための詳細なプロトコルは、実施例に記載されている。
【0134】
改変細胞は単一の細胞、細胞の群、クローン、クローン系統、コロニー、細胞株または組織として提供されうる。本発明者らはさらに、ダウンレギュレートされたcgFADD、cgPDCD6および/もしくはcgRequiemの発現、またはアップレギュレートされたcgFADDの発現、あるいはその両方を細胞が含む、トランスジェニック動物を提供する。
【0135】
好ましくは、ドミナント突然変異体は、配列番号9に示される配列を含んだcgFADDドミナント突然変異体を含む。あるいは、またはさらに、配列は以下を含むことができる:
ドミナント突然変異体は、配列番号10に示される配列、またはあるいは、
によってコードすることができる。
【0136】
細胞生存率の増大
改変細胞は、同系の非改変細胞、または野生型細胞、またはそれらが由来する親細胞と比較した場合にいくつかの有益な特性を有する。それらは、細胞生存率が改善しているという特性を有することができる。すなわち、それらは時間または世代数という点で、培養においていっそう長く生存することができる。
【0137】
好ましくは、細胞生存率は、すなわちcgFAIM、cgFADD、cgPDCD6およびcgRequiemを標的化することによって改変された細胞の集団の生存細胞密度を定量化することによって測定される。好ましくは、改変細胞は、改変されていない細胞(例えば、対照の集団)に比べて、いっそう高い細胞生存率を維持する。細胞生存率は当該細胞集団での生存可能な細胞の割合として測定されることが好ましい。
【0138】
好ましい態様において、細胞生存率は「トリパンブルー排除による生存率アッセイ」によって判定される。このアッセイは、細胞培養の分野において細胞生存率の判定によく使われている。詳細なプロトコルは実施例に記載されているが、手短には、細胞懸濁液を0.4%トリパンブルーのリン酸緩衝液と混合し、血球計を用いて計測する。生存細胞は円形かつ青色色素の着色がなく屈折性に見えるのに対し、死細胞は色素を吸収し、青色に見える。その結果、生存率は、計測された全細胞に対する生存細胞の割合として表現される。
【0139】
生存細胞は、トリパンブルー排除による生存率アッセイにおいて、膜完全性がトリパンブルーの吸収を依然として阻止できる細胞と定義される。
【0140】
好ましくは、改変細胞は対照の集団に比べて少なくとも5%、好ましくは10%またはそれ以上、より好ましくは15%、20%、30%、40%、50%またはそれ以上の生存細胞を有する。あるいは、またはさらに、改変細胞は、改変されていない細胞に比べていっそう長い時間、細胞生存率を維持する。例えば、改変細胞は対照細胞に比べて、いっそう長い期間ある割合の細胞生存率(例えば、95%)を維持することができる。
【0141】
好ましくは、改変細胞は対照細胞に比べて、少なくとも1時間、より好ましくは少なくとも6時間、最も好ましくは少なくとも12時間またはそれ以上、例えば、少なくとも24時間、少なくとも36時間または少なくとも48時間、延長された細胞生存率を有する。非常に好ましい態様において、改変細胞は対照細胞に比べて、生存率が95%を下回り始める前に少なくとも24時間、延長された生存率を有する。
【0142】
改変細胞は未改変の対照細胞に比べていっそう高い、生存培養密度の能力があることが好ましい。好ましくは、改変細胞は対照細胞に比べて10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、150%、200%またはそれより高い生存細胞密度の能力がある。例えば、改変細胞は、細胞9.6×106個/mlもの高い密度を達成することができる。
【0143】
改変細胞は、アポトーシスマーカー、好ましくはカスパーゼ2、カスパーゼ3またはカスパーゼ8の発現開始の遅延を示すことが好ましい。改変細胞は、個々の細胞に対するいっそう長い生存時間、またはアポトーシスを示す細胞の数という点で、アポトーシスの低減を示すという特性を有することができる。好ましくは、それらはアポトーシスに耐性であるという特性を有する(以下参照)。
【0144】
タンパク質回収量の増大
好都合には、改変細胞では、実施例21で実証されるように、未改変の対照細胞に比べてタンパク質回収量の増大、好ましくは組換え発現されたタンパク質回収量の増大が可能である。好ましくは、改変細胞では、対照細胞に比べて10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、150%、200%またはそれ以上のさらなる高収率が可能である。より好ましくは、改変細胞では対照細胞に比べて2.5倍、3倍、5倍、10倍またはそれ以上のさらに高収率が可能である。好ましくは、組換え発現されたタンパク質は、インターフェロンγを含む。本発明者らはそれ故、記載したような改変細胞において、組換えタンパク質、好ましくはバイオ療法分子を発現させる方法を提供する。
【0145】
改変細胞はバッチ培養、フェドバッチ培養または好ましくはその両方においてその特性のいずれかの1つまたは複数を示すことが好ましい。
【0146】
糖化の増大
改変細胞は同様に、対照の未改変細胞に比べて発現タンパク質の糖化増大の能力があることが好ましい。実施例では、細胞培養物の生存性の喪失が起こったか否かにかかわらず、改変細胞が長期の細胞培養時間にわたってタンパク質糖化を維持できることが明らかにされる。非常に好ましい態様において、糖化はシアル化を含む。
【0147】
より低度のシアル化では、タンパク質に基づく薬物のin vivo半減期が短縮することがあるので、改変細胞株のこの特徴はバイオ療法薬の製造において特に好都合である(Varki, 1993, Biotechnol Bioeng 43:423-428; Gramer et al., 1995, Glycobiology 3:97-130)。
【0148】
好ましい実施形態において、発現タンパク質の糖化は、実質的に細胞培養の1つまたは複数の増殖期を通じて、好ましくは少なくとも対数増殖期の部分を通じて(好ましくは少なくとも対数増殖中期を通じて)維持されるが、より好ましくは同様に最大の生存細胞密度が起こる時点を通じて、より好ましくは同様に細胞死が親のまたは未改変の細胞で起こるようになる時点を通じて維持される。そのような場合、糖化のレベルは、それが親のまたは未改変の細胞で減少するようになるレベルで維持されることが好ましい。好ましい態様において、糖化は、発現タンパク質1モル当たり糖が少なくとも2.7、好ましくは少なくとも2.9モルのレベルで維持される。
【0149】
好ましい実施形態において、改変細胞による発現タンパク質の糖化は、親のまたは未改変の細胞に比べて、増殖期における同種の時点で増大する。そのような好ましい実施形態において、糖化は、発現タンパク質1モル当たり糖が少なくとも2.9、好ましくは少なくとも3、3.1、3.2、3.3、3.4または3.5モルのレベルで達成されることができる。
【0150】
本発明者らはさらに、記載された改変細胞を用いて作出された、糖化の増大、好ましくはシアル化の増大を有する組換えタンパク質を提供する。そのようなポリペプチドは、そのように改変されていない細胞から生成可能なポリペプチドに比べて、シアル化の増大を有する。好ましくは、糖化またはシアル化は、2.9モルシアル酸/モル生成ポリペプチド、好ましくは約3.5モルシアル酸/モル生成ポリペプチドより多い。非常に好ましい実施形態において、発現タンパク質はインターフェロンγを含む。
【0151】
本発明者らはさらに、cgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemの細胞発現を調節することによって、上記の特性のいずれかの1つまたは複数を示すよう細胞を改変する方法を提供する。
【0152】
アポトーシス
本発明によれば、cgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiem改変細胞の細胞生存率の増大は、改変された細胞集団におけるアポトーシスの減少から生じる。そのような改変細胞は、アポトーシスの低下を示してもよく、またはアポトーシスに耐性であってもよい。改変細胞は対照細胞に比べて、好ましくはいっそう長い時間、いっそう高い生存細胞密度を維持できることが好ましい。好ましくは、改変された集団内の生存細胞の数は未改変の対照集団に比べていっそう高く、例えば10%、20%、30%、40%、50%、100%、200%、500%、またはそれ以上である。
【0153】
好ましくは、改変細胞は対照細胞に比べて少なくとも6時間、少なくとも12時間、好ましくは少なくとも18時間、および最も好ましくは少なくとも24時間、生存率の延長を示す。非常に好ましい実施形態において、カスパーゼ2および/またはカスパーゼ3および/またはカスパーゼ8の発現が、対照細胞に比べてそのような時間だけ遅延される。
【0154】
したがって、好ましくは、改変された細胞集団におけるアポトーシスは、対照集団に比べて少なくとも10%、好ましくは25%またはそれ以上、より好ましくは40%、50%、75%、95%またはそれ以上減少する。好ましい実施形態において、改変された細胞集団におけるアポトーシス細胞の割合は、そのような量だけ減少する。非常に好ましい実施形態において、改変細胞はアポトーシスに耐性であり、すなわち、顕著なアポトーシスをほとんどまたは全く示さない。
【0155】
アポトーシスをアッセイする方法は当技術分野において公知であり、以下および実施例のなかで詳細に記述されている。アポトーシスをアッセイする好ましい方法は、「実施例14 アポトーシスアッセイ」に記載されている。
【0156】
代替的なアポトーシスアッセイは、当該細胞でのカスパーゼ2、カスパーゼ3およびカスパーゼ8のいずれかの1つまたは複数のレベルの定量化または測定を含む。すなわち、好ましくは、これらのカスパーゼのいずれかの1つまたは複数のレベルは、そのように改変されていないものに比べて、改変された細胞または集団において10%、20%、30%、50%、70%、80%、90%またはそれ以上だけ減少する。好ましくは、改変細胞は、改変されていない対照細胞に比べて、好ましくは少なくとも1時間、より好ましくは少なくとも6時間、より好ましくは少なくとも12時間またはそれ以上、例えば、少なくとも24時間、少なくとも36時間、少なくとも48時間、少なくとも72時間、少なくとも144時間、少なくとも288時間、またはそれ以上の時間だけカスパーゼ2、カスパーゼ3およびカスパーゼ8のいずれかの1つまたは複数の発現の遅延を示す。カスパーゼレベルは、RT−PCR、RNAse保護、SDS−PAGE、免疫アッセイなどをはじめとする、当技術分野において公知の任意の手段によりアッセイすることができる。
【0157】
細胞死は2つの異なる機構、つまりネクローシスまたはアポトーシスのいずれかによって起こりうる。さらに、ある種の化学物質および細胞は、細胞にとって細胞傷害性である、すなわち、その死を引き起こすといわれている。
【0158】
「細胞傷害性」とは、化学物質(食品、化粧品、もしくは医薬品などの)またはメディエーター細胞(細胞傷害性T細胞)の殺細胞特性をいう。ネクローシスおよびアポトーシスとは対照的に、細胞傷害性という用語は、必ずしも特異的な細胞死機構を指すものではない。例えば、細胞介在性細胞傷害(すなわち、細胞傷害性Tリンパ球[CTL]またはナチュラルキラー[NK]細胞のいずれかにより介在される細胞死)では、ネクローシスとアポトーシスの両方のいくつかの態様が組み合わされる。
【0159】
「ネクローシス」(「事故的な」細胞死とも称される)とは、細胞が重大な物理的または化学的傷害に曝露されたときに起こる病理学的過程をいう。ネクローシスは、形質膜に損傷を引き起こしうる生理学的条件(例えば、低体温、低酸素)由来の極端な変化に細胞が曝露されたときに起こる。生理学的条件の下での形質膜への直接的損傷は、補体および細胞溶解性ウイルスのような作用物質によって引き起こされる。ネクローシスは恒常性を維持する細胞の能力の機能障害から始まり、水および細胞外イオンの流入に至る。細胞内オルガネラ、最も顕著にはミトコンドリア、および細胞全体が膨潤し、破裂する(細胞溶解)。形質膜の最終的な破壊によって、リソソーム酵素を含む細胞質の内容物が細胞外液に放出される。それ故に、in vivoにおいて、ネクローシス細胞死は、激しい炎症反応をもたらす広範な組織損傷と関連していることが多い。
【0160】
「アポトーシス」(「正常な」または「プログラムされた」細胞死)とは、不要なまたは無用な細胞が発生およびその他の正常な生物学的過程の間に除去される生理学的過程をいう。アポトーシスは、正常な生理学的条件の下で起こる細胞死の様式であり、細胞はそれ自体の消滅(「細胞の自殺」)において積極的な参加者となる。それは正常な細胞ターンオーバーおよび組織恒常性、胚形成、免疫寛容の誘導および維持、神経系の発達ならびに内分泌依存的な組織萎縮の間に見られることが最も多い。アポトーシスを起こしている細胞は、特有の形態学的および生化学的特徴を示す。これらの特徴には、クロマチン凝集、核および細胞質の凝縮、リボソーム、形態学的に無傷のミトコンドリアおよび核物質を含有する膜結合小胞(アポトーシス小体)への細胞質および核の分配が含まれる。in vivoにおいて、これらのアポトーシス小体は、マクロファージまたは隣接する上皮細胞のいずれかにより速やかに認識され貪食される。in vivoでのアポトーシス細胞の除去に関するこの効率的な機構によって、炎症反応が誘発されることはない。in vitroにおいて、アポトーシス小体および残存する細胞断片は、最終的に膨潤し、最後には溶解する。in vitroでの細胞死のこの最終相は「二次的なネクローシス」と呼ばれている。
【0161】
表1はネクローシスとアポトーシスとの間で観測可能な種々の相違を要約している。好ましくは、改変細胞はこれらの特徴の1つまたは複数の低下を示す。これらの相違のいずれかを、単独でまたは組み合わせで、細胞死がアポトーシスによりまたはネクローシスにより起こっているかどうかを判定するためにアッセイすることができる。
【表1】
【0162】
以下の文献を参照されたい。それらはアポトーシスについて詳細に記述しているだけでなく、アポトーシスによる細胞死を測定するための様々なアッセイについても記述している:Schwartzman, R. A. and Cidlowski, J. A. (1993). Endocrine Rev. 14, 133; Vermes, I. and Haanan, C. (1994). Adv. Clin. Chem. 31, 177; Berke, G. (1991). Immunol. Today 12, 396; Krahenbuhl, O. and Tschopp, J. (1991). Immunol. Today12, 399; Van Furth, R. and Van Zwet, T. L. (1988). J. Immunol; Methods 108, 45. Cohen, J. J. (1993) Apoptosis. Immunol. Today14, 126; Savill, J. S. et al. (1989). J. Clin. Invest. 83, 865; Wyllie, A. H. (1980). Nature 284, 555; Leist, M. et al. (1994) Biochemica No. 3, 18-20; Fraser, A. and Evan, G. (1996) Cell 85, 781-784; Duke, R. C. (1983). Proc. Natl. Acad. Sci. USA 80,6361; Duke, R. C. & Cohen, J. J. (1986). Lymphokine Res. 5, 289; Trauth, B. C. et al. (1994) Eur. J. Cell. Biol. 63, 32, Suppl 40; Matzinger, P. (1991). J. Immunol; Methods 145, 185; Kaeck, M. R. (1993); Anal. Biochem. 208, 393; Prigent, P. et al. (1993). J. Immunol; Methods 160, 139; Huang, P. & Plunkett, W. (1992), Anal. Biochem. 207, 163; Bortner , C. D. et al. (1995) Trends Cell Biol. 5, 21; Gold, R. et al. (1994); Lab. Invest. 71, 219。
【0163】
アポトーシスおよび細胞介在性細胞傷害は、細胞膜が分解する前にゲノムDNAが不連続断片へと切断されることによって特徴づけられる。したがって、アポトーシスはDNA断片化を測定することにより、例えば、DNAラダーの存在を観察することによりアッセイすることができる。DNA断片は、例えば、細胞の集団に由来する「ラダー」として(ラダーの「段」として180bpの倍数体とともに)、または、例えば、ELISAを介したヒストン複合型DNA断片の定量化によってアッセイすることができる。そのようなアッセイは、ヌクレオソームを検出する1ステップのサンドイッチ免疫アッセイに依る。その手順は、遠心分離により細胞をペレットにするステップおよび上清(これはインキュベーションの間に膜を通じて漏出したネクローシス細胞由来DNAを含有する)を捨てるステップを伴う。細胞を溶解緩衝液に再懸濁し、インキュベートする。溶解後、無傷の核を遠心分離によりペレットにする。上清の一定分量をマイクロタイタープレートのストレプトアビジン被覆ウェルに移し、上清中のヌクレオソームを2種のモノクローナル抗体、つまり抗ヒストン抗体(ビオチン標識)および抗DNA抗体(ペルオキシダーゼ結合)と結合させる。抗体−ヌクレオソーム複合体は、ストレプトアビジンによってマイクロタイタープレートに結合する。固定化された抗体−ヒストン複合体を3回洗浄して、免疫反応性でない細胞成分を除去し、このサンプルをペルオキシダーゼ基質(ABTS(登録商標))とインキュベートする。次いで、着色生成物の(すなわち、固定化された抗体−ヒストン複合体の)量を分光光度的に測定する。
【0164】
いくつかのプロテアーゼがアポトーシスの初期段階に関与している。アポトーシスはそれ故に、カスパーゼ、例えば、カスパーゼ3などのアポトーシス誘導プロテアーゼの活性をアッセイすることに加えて、またはそれに代えて、そのプロテアーゼの存在を検出することによってアッセイすることもできる。カスパーゼ活性化はさまざまな方法で、例えば、カスパーゼの捕捉と適当な基質のタンパク質分解的切断の測定によって、例えば、細胞溶解物のin vitroでの酵素アッセイによって分析することができる。さらに、カスパーゼはPARP(ポリ−ADP−リボース−ポリメラーゼ)などのin vivoのカスパーゼ基質の切断の検出によってアッセイすることができる。切断されたPARP断片を抗PARP抗体などの適当な抗体で検出することができる。プロテアーゼアッセイおよびDNA断片化アッセイは、細胞集団でのアポトーシスをアッセイするのに特に適している。
【0165】
ISNTおよびTUNEL酵素標識化アッセイなどの、個々の細胞でのアポトーシスを研究する方法も利用可能である。上記のとおり、広範なDNA分解は特徴的な事象であり、これはアポトーシスの初期段階で起こることが多い。DNAの切断によって、二本鎖の低分子量DNA断片(モノおよびオリゴヌクレオソーム)および高分子量DNAでは一本鎖切断(「ニック」)が生ずる。TUNELでは、そのようなDNA鎖切断を、適当な修飾ヌクレオチド(例えば、X−dUTP、X=ビオチン、DIGまたはフルオレセイン)を用いた遊離3’−OH末端の酵素標識化によって検出する。適当な標識化酵素としては、ISNT(「in situニックトランスレーション」)ではDNAポリメラーゼ(ニックトランスレーション)およびTUNEL(「TdT仲介X−dUTPニック末端ラベリング」; Huang, P. & Plunkett, W., 1992, Anal. Biochem. 207, 163; Bortner , C. D. et al., 1995, Trends Cell Biol. 5, 21)では末端デオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(末端ラベリング)が挙げられる。
【0166】
アポトーシスは同様に、新たな糖残基を曝露させる、細胞表面糖タンパク質の側鎖からの末端シアル酸残基の喪失;トロンボスポンジンなどのマクロファージ分泌接着分子に対する受容体として機能しうる表面糖タンパク質の出現;および膜表面の疎水性と電荷の両方を変化させる、細胞膜リン脂質における非対称性の喪失を含め、膜変化を測定することによってアッセイすることができる。具体的には、ヒト抗凝固アネキシンVは、ホスファチジルセリン(PS)に高い親和性を有する35〜36キロダルトンのCa2+依存的なリン脂質結合タンパク質である。正常な生存細胞では、PSは細胞膜の細胞質側表面に位置している。しかしながら、アポトーシス細胞では、PSは形質膜の内側から外側に移行され、それによってPSを細胞外環境に曝露させる。それ故に、アネキシンVを用いて、アポトーシス細胞の表面に非対称的に曝露されたホスファチジルセリンを検出することができる(Homburg, C. H. E. et al. 1995, Blood 85, 532; Verhoven, B. et al., 1995, J. Exp. Med. 182, 1597)。さらに、DAPI、エチジウムブロマイドおよびヨウ化プロピジウムなどのようなDNA染色を生存細胞と非生存細胞とを区別するための鑑別染色に用いることができる。DNA含量のプロファイルを用いることもできる;すなわち、透過性アポトーシス細胞は低分子量DNAを漏出するので、「サブ−G1ピーク」、または「A0」細胞(G1細胞のDNA染色よりも低いDNA染色を有する細胞)の検出を、例えば、フローサイトメトリーによって行うことができる。同様にしてアポトーシスに特徴的な形態学的変化を検出することもできる。
【0167】
抗体の使用によるced−3、ced−4、ced−9(Ellis, H. M. and Horvitz, H. R., 1986, Cell 44, 817-829; Yuan, J. Y. and Horvitz, H. R., 1990, Dev. Biol. 138, 33-41; Hentgartner, M. O., Ellis, R. E. and Horvitz, H. R., 1992, Nature 356, 494-499.)、Fas(CD95/Apo−1;Enari et al., 1996, Nature 380, 723-726)、Bcl−2(Baffy, G. et al., 1993, J. Biol. Chem. 268, 6511-6519; Miyashita, T. and Reed, J. C., 1993, Blood 81, 151-157; Oltvai, Z. N., Milliman, C. L. and Korsmeyer, S. J., 1993, Cell 74, 609-619)、p53(Yonish-Rouach, E. et al., 1991, Nature 352, 345-347)などのようなアポトーシス関連タンパク質の検出を利用して、アポトーシスをアッセイすることもできる。
【0168】
ヌクレオチドベクター
ポリヌクレオチドを組換え複製可能なベクターに導入することができる。このベクターを用いて、適合性の宿主細胞内で核酸を複製させることができる。すなわち、さらなる態様において、本発明者らは、ポリヌクレオチドを複製可能なベクターに導入し、ベクターを適合性の宿主細胞に導入し、ベクターの複製をもたらす条件の下で宿主細胞を増殖させることによってポリヌクレオチドを作製する方法を提供する。ベクターは宿主細胞から回収することができる。適当な宿主細胞としては、大腸菌(E. coli)などの細菌、酵母、哺乳動物細胞株およびその他の真核細胞株、例えば昆虫Sf9細胞が挙げられる。
【0169】
ベクター中のポリヌクレオチドは、宿主細胞によるコード配列の発現をもたらすことができる制御配列に機能的に連結される、すなわち、ベクターは発現ベクターであることが好ましい。「機能的に連結された」という用語は、記述される成分が、それらをその意図する形で機能させることを可能にする関係にあることを意味する。コード配列に「機能的に連結された」調節配列は、制御配列と適合する条件の下でコード配列の発現が達成されるような方法でライゲーションされる。
【0170】
制御配列を、例えばさらなる転写調節エレメントの付加によって、制御配列により命令される転写のレベルを転写調節物質により強く応答するよう改変することができる。
【0171】
ベクターを下記のように適当な宿主細胞に形質転換またはトランスフェクトして、タンパク質の発現を供与することができる。この過程は、タンパク質をコードするコード配列の、ベクターによる発現をもたらす条件の下で、上記のように発現ベクターで形質転換された宿主細胞を培養するステップ、および任意により発現タンパク質を回収するステップを含むことができる。
【0172】
ベクターは、例えば、複製起点、任意により前記のポリヌクレオチドの発現用プロモーターおよび任意によりプロモーターのレギュレーターが備えられたプラスミドまたはウイルスベクターとすることができる。ベクターは1つまたは複数の選択可能なマーカー遺伝子、例えば細菌プラスミドの場合にはアンピシリン耐性遺伝子または哺乳動物ベクターの場合ネオマイシン耐性遺伝子を含むことができる。ベクターを用いて、例えば、宿主細胞にトランスフェクトまたは形質転換することができる。
【0173】
タンパク質をコードする配列に機能的に連結された制御配列としては、プロモーター/エンハンサーおよびその他の発現調節シグナルが挙げられる。これらの制御配列は、発現ベクターが使用されるようにデザインされている宿主細胞に適合するよう選択することができる。「プロモーター」という用語は、当技術分野において周知であり、サイズと複雑性が最小プロモーターから上流の要素およびエンハンサーを含むプロモーターに及ぶ核酸領域を包含する。
【0174】
プロモーターは、典型的には、哺乳動物細胞において機能的であるプロモーターから選択されるが、原核生物プロモーターおよびその他の真核細胞において機能的なプロモーターを用いてもよい。プロモーターは、典型的には、ウイルスのまたは真核生物の遺伝子のプロモーター配列に由来する。例えば、それは、発現が行われることになる細胞のゲノムに由来するプロモーターであってもよい。真核生物プロモーターに関して、それらは、全身的な形で機能するプロモーター(α−アクチン、β−アクチン、チュブリンのプロモーターなど)または、あるいは、組織特異的な形で機能するプロモーター(ピルビン酸キナーゼに対する遺伝子のプロモーターなど)であってもよい。それらは同様に、特異的な刺激に応答するプロモーター、例えばステロイドホルモン受容体に結合するプロモーターであってもよい。ウイルスプロモーター、例えばモロニーマウス白血病ウイルス末端反復配列(MMLV LTR)プロモーター、ラウス肉腫ウイルス(RSV)LTRプロモーターまたはヒトサイトメガロウイルス(CMV)IEプロモーターを用いてもよい。
【0175】
異種遺伝子の発現のレベルを細胞の寿命の間に調節できるように、プロモーターが誘導可能なことも好都合であるかもしれない。誘導可能とは、プロモーターを用いて得られる発現のレベルを調節できることを意味する。
【0176】
さらに、これらのプロモーターのいずれかをさらなる調節配列、例えばエンハンサー配列の付加により改変してもよい。上記の2つまたはそれ以上の異なるプロモーター由来の配列エレメントを含むキメラプロモーターを用いてもよい。
【0177】
cgFAIM、cgFADD、cgPDCD6およびcgRequiemポリペプチドの発現
生物学的に活性なcgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemポリペプチドを発現させるため、チャイニーズハムスター(Cricetulus griseus)FAIM、FADD、PDCD6またはRequiemポリヌクレオチド配列を、調節配列と、そのポリヌクレオチドの発現を調節配列が命令するのを可能とするように結合させる。その後、調節配列の制御下にポリペプチドの発現が行われるようにできる。任意により、そのように生成されたポリペプチドは精製されてもよい。
【0178】
好ましくは、調節配列は、FAIM、FADD、PDCD6またはRequiemポリヌクレオチド配列が天然には結び付いていないものである。
【0179】
本発明者らはそれ故に、チャイニーズハムスター(Cricetulus griseus)FAIM、FADD、PDCD6またはRequiemポリヌクレオチド配列を、調節配列と、そのポリヌクレオチドの発現を調節配列が命令するのを可能とするように結合させた細胞、好ましくはチャイニーズハムスター(Cricetulus griseus)細胞を用意するステップ、およびポリペプチドの発現を可能にする条件の下で細胞を培養するステップ、任意によりポリペプチドを精製するステップを含む、ポリペプチドを生成する方法について記述する。
【0180】
本発明者らはさらに、(a)チャイニーズハムスター(Cricetulus griseus)FAIM、FADD、PDCD6またはRequiemポリヌクレオチド配列を、調節配列と、そのポリヌクレオチドの発現を調節配列が命令するのを可能とするように結合させることによって生成された発現配列を用意するステップ;(b)調節配列の制御下に発現配列からのポリペプチドの発現を可能にするステップ、および(c)任意によりポリペプチドを精製するステップを含む、ポリペプチドを生成する方法について記述する。
【0181】
具体的には、それぞれの核酸またはそのホモログ、変異体、もしくは誘導体をコードするヌクレオチド配列を適切な発現ベクター、すなわち、挿入されたコード配列の転写および翻訳に必要な要素を含むベクターに挿入することができる。
【0182】
本発明者らは同様に、上記の方法のいずれかによって生成されたポリペプチドを提供する。
【0183】
cgFAIM、cgFADD、cgPDCD6およびcgRequiemポリペプチドの発現を可能にする方法を以下に記載する。これらの方法は、ポリペプチドのアップレギュレーション、例えば、細胞生存率の上昇を達成するためにcgFADDのアップレギュレーションが望まれる、本明細書に記述される方法および組成物の態様で用いるのに適しうることを理解されたい。
【0184】
発現ポリペプチドを提供するための1つの方法は、発現ベクター、すなわち、発現ベクターにクローニングされた対象となるポリペプチドをコードする配列に機能的に連結されている、任意によりエンハンサーなどのその他の調節配列とともに、調節可能なプロモーターを含有するベクター(例えば、プラスミド)を用いるものである。
【0185】
当業者に周知である方法を用いて、cgFAIM、cgFADD、cgPDCD6およびcgRequiemならびに適切な転写および翻訳制御エレメントをコードする配列を含有する発現ベクターを構築することができる。これらの方法は、in vitro組換えDNA技術、合成技術、およびin vivo遺伝子組換えを含む。そのような技術はSambrook,J.ら(1989; Molecular Cloning, A Laboratory Manual, ch. 4, 8, and 16-17, Cold Spring Harbor Press, Plainview, N.Y.)およびAusubel,F.M.ら(1995および定期的追補版; Current Protocols in Molecular Biology, ch. 9, 13, and 16, John Wiley & Sons, New York, N.Y.)に記述されている。
【0186】
様々な発現ベクター/宿主系を利用して、cgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemをコードする配列を含有させ、発現させることができる。これらは、組換えバクテリオファージ、プラスミド、またはコスミドDNA発現ベクターで形質転換された細菌などの微生物;酵母発現ベクターで形質転換された酵母;ウイルス発現ベクター(例えば、バキュロウイルス)で感染された昆虫細胞系;ウイルス発現ベクター(例えば、カリフラワーモザイクウイルス(CaMV)もしくはタバコモザイクウイルス(TMV))でまたは細菌発現ベクター(例えば、TiもしくはpBR322プラスミド)で形質転換された植物細胞系;あるいは動物細胞系を含むが、これらに限定されることはない。任意の適当な宿主細胞を利用することができる。
【0187】
「制御エレメント」または「調節配列」は、転写および翻訳を実行するために宿主の細胞タンパク質と相互作用するベクターの非翻訳領域(すなわち、エンハンサー、プロモーター、ならびに5’および3’非翻訳領域)である。そのようなエレメントは、その強さおよび特異性が異なりうる。利用されるベクター系および宿主に応じて、構成性および誘導性プロモーターをはじめとする、任意の数の適当な転写および翻訳エレメントを使用することができる。例えば、細菌系にクローニングする場合、BLUESCRIPTファージミド(Stratagene, La Jolla, Calif.)またはPSPORT1プラスミド(GIBCO/BRL)などのハイブリッドlacZプロモーターのような誘導性プロモーターを使用することができる。バキュロウイルス・ポリヘドリンプロモーターを昆虫細胞で使用することができる。植物細胞のゲノムに由来するプロモーターもしくはエンハンサー(例えば、熱ショック、RUBISCO、および貯蔵タンパク質遺伝子)または植物ウイルスに由来するプロモーターもしくはエンハンサー(例えば、ウイルスプロモーターもしくはリーダー配列)をベクターにクローニングすることができる。
【0188】
哺乳動物細胞系では、哺乳動物遺伝子由来のまたは哺乳動物ウイルス由来のプロモーターが好ましい。cgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemをコードする配列の複数コピーを含有する細胞株を作出する必要があるなら、SV40またはEBVに基づくベクターを、適した選択可能なマーカーとともに使用することができる。
【0189】
細菌系では、cgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemを対象とする用途に応じて、いくつかの発現ベクターを選択することができる。例えば、抗体の誘導のために大量のcgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemが必要とされる場合、容易に精製される融合タンパク質の高レベル発現をもたらすベクターを使用することができる。そのようなベクターとしては、ハイブリッドタンパク質が生成されるように、cgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemをコードする配列を、アミノ末端のMetに対する配列およびその後の7残基のβ−ガラクトシダーゼとインフレームでベクターにライゲーションできるBLUESCRIPT(Stratagene)のような多機能の大腸菌クローニングおよび発現ベクター、pINベクター(Van Heeke, G. and S. M. Schuster (1989) J. Biol. Chem. 264:5503-5509)などが挙げられるが、これらに限定されることはない。pGEXベクター(Promega, Madison, Wis.)を用いて、外来ポリペプチドをグルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)との融合タンパク質として発現させることもできる。一般に、そのような融合タンパク質は可溶性であり、グルタチオン−アガロースビーズへの吸着、引き続いて遊離グルタチオンの存在下での溶出によって溶解細胞から容易に精製することができる。そのような系で作出されるタンパク質は、クローニングされた対象となるポリペプチドをGST部分から自由に放出できるように、ヘパリン、トロンビン、または第XA因子プロテアーゼ切断部位を含むようデザインすることができる。
【0190】
酵母サッカロマイセス・セレビジエ(Saccharomyces cerevisiae)では、α因子、アルコールオキシダーゼ、およびPGHなどの、構成性または誘導性プロモーターを含有するいくつかのベクターを使用することができる。概説としては、Ausubel(前記)およびGrantら(1987; Methods Enzymol. 153:516-544)を参照されたい。
【0191】
植物発現ベクターが使われる場合、cgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemをコードする配列の発現は、いくつかのプロモーターのいずれかによって推進することができる。例えば、CaMVの35Sおよび19Sプロモーターなどのウイルスプロモーターを単独でまたはTMV由来のωリーダー配列(Takamatsu, N. (1987) EMBO J. 6:307-311.)と併せて使用することができる。あるいは、RUBISCO小サブユニットなどの植物プロモーターまたは熱ショックプロモーターを使用することができる(Coruzzi, G. et al. (1984) EMBO J. 3:1671-1680; Broglie, R. et al. (1984) Science 224:838-843; およびWinter, J. et al. (1991) Results Probl. Cell Differ. 17:85-105.)。これらの構築体は、直接的なDNA形質転換または病原体を介したトランスフェクションによって植物細胞に導入することができる。そのような技術は、いくつかの一般に利用可能な概説に記述されている(例えば、Hobbs, S. or Murry, L. E. in McGraw Hill Yearbook of Science and Technology (1992) McGraw Hill, New York, N.Y.; pp. 191-196.を参照のこと)。
【0192】
昆虫系を用いて、cgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemを発現させることもできる。例えば、そのような1つの系では、オートグラファカリフォルニア核多角体病ウイルス(AcNPV)をベクターとして用いて、外来遺伝子をヨウトガ(Spodoptera frugiperda)細胞でまたはトリコプルシア(Trichoplusia)幼虫で発現させる。cgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemをコードする配列を、ポリヘドリン遺伝子などのウイルスの非必須領域にクローニングし、ポリヘドリンプロモーターの制御下に置くことができる。cgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemの挿入成功は、ポリヘドリン遺伝子を不活性にし、外皮タンパク質を欠いた組換えウイルスを生成させるであろう。次いで、この組換えウイルスを用いて、例えば、cgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemが発現されうるヨウトガ細胞またはトリコプルシア幼虫に感染させることができる(Engelhard, E. K. et al. (1994) Proc. Nat. Acad. Sci. 91:3224-3227.)。
【0193】
哺乳動物宿主細胞では、いくつかのウイルスに基づく発現系を利用することができる。アデノウイルスが発現ベクターとして使われる場合には、cgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemをコードする配列を、後期プロモーターおよひ三分割リーダー配列からなるアデノウイルス転写/翻訳複合体にライゲーションすることができる。ウイルスゲノムの非必須E1またはE3領域中の挿入を用いて、感染宿主細胞においてcgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemを発現することが可能な生存ウイルスを得ることができる。(Logan, J. and T. Shenk (1984) Proc. Natl. Acad. Sci. 81:3655-3659.)さらに、ラウス肉腫ウイルス(RSV)エンハンサーなどの、転写エンハンサーを用いて、哺乳動物宿主細胞での発現を増大させることができる。
【0194】
このように、例えば、cgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemタンパク質をヒト胎児腎臓293(HEK293)細胞または接着性dhfr CHO細胞のいずれかで発現させる。受容体発現を最大限にするため、典型的には、pCDNまたはpCDNA3ベクターへの挿入前に全ての5’および3’非翻訳領域(UTR)を受容体cDNAから除去する。細胞をリポフェクチンにより個々の受容体cDNAでトランスフェクトし、400 mg/mlのG418の存在下で選択する。3週間の選択後、個々のクローンを拾い、さらなる分析のために増殖させる。ベクターのみをトランスフェクトされたHEK293またはCHO細胞は、陰性対照として役立つ。個々の受容体を安定に発現する細胞株を単離するため、典型的には、約24クローンを選択し、ノザンブロット分析により分析する。受容体mRNAは一般に、分析されるG418耐性クローンの約50%において検出可能である。
【0195】
ヒト人工染色体(HAC)を利用して、プラスミド中に含有させ、発現させることができるよりも大きなDNA断片を送達することもできる。約6kb〜10MbのHACを構築し、治療目的のための従来の送達方法(リポソーム、ポリカチオン性アミノポリマー、または小胞)により送達する。
【0196】
特異的な開始シグナルを用いて、cgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemをコードする配列のより効率的な翻訳を達成することもできる。そのようなシグナルはATG開始コドンおよび隣接する配列を含む。cgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemをコードする配列ならびにその開始コドンおよび上流配列が適切な発現ベクターに挿入される場合には、さらなる転写または翻訳制御シグナルは必要とされないかもしれない。しかしながら、コード配列、またはその断片だけが挿入される場合には、ATG開始コドンを含む外因性の翻訳制御シグナルが供与されるべきである。さらに、開始コドンは、インサート全体の翻訳を確実とするよう正しい読み枠の中にあるべきである。外因性の翻訳エレメントおよび開始コドンは、天然および合成の両方の、様々な起源のものとすることができる。発現の効率は、文献に記述されているものなどの、使用される特定の細胞系に適したエンハンサーの包含によって上昇させることができる(Scharf, D. et al. (1994) Results Probl. Cell Differ. 20:125-162.)。
【0197】
さらに、宿主細胞菌株を、挿入された配列の発現を調節するかまたは発現されたタンパク質を所望の様式でプロセシングするその能力について選択することができる。ポリペプチドのそのような修飾としては、アセチル化、カルボキシル化、糖化、リン酸化、脂質化、およびアシル化が挙げられるが、これらに限定されることはない。タンパク質の「プレプロ」型を切断する翻訳後プロセシングを用いて、正しい挿入、折り畳み、および/または機能を促進することもできる。翻訳後活性に特異的な細胞機序および特徴的な機構を有する異なる宿主細胞(例えば、CHO、HeLa、MDCK、HEK293、およびWI38)は、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC, Bethesda, Md.)から入手可能であり、外来タンパク質の正しい修飾およびプロセシングを確実とするよう選択することができる。
【0198】
長期で、高回収量の組換えタンパク質生成の場合、安定発現が好ましい。例えば、cgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemを安定に発現することが可能な細胞株を、ウイルス複製起点および/または内因性の発現エレメントならびに選択可能なマーカー遺伝子を同一のベクター上にまたは別のベクター上に含みうる発現ベクターによって形質転換することができる。ベクターの導入後、選択培地に切り替える前に、細胞を富化培地中で約1〜2日間増殖させてもよい。選択可能なマーカーの目的は耐性を選択に付与することであり、その存在によって、導入された配列を成功裏に発現する細胞の増殖および回収が可能になる。安定に形質転換された細胞の耐性クローンは、細胞型に適した組織培養技術を用いて増殖させることができる。
【0199】
任意の数の選択系を用いて、形質転換細胞株を回収することができる。これらは、tk−またはapr−細胞でそれぞれ利用できる、単純ヘルペスウイルス・チミジンキナーゼ遺伝子(Wigler, M. et al. (1977) Cell 11:223-32)およびアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ遺伝子(Lowy, I. et al. (1980) Cell 22:817-23)を含むが、これらに限定されることはない。同様に、代謝拮抗物質、抗生物質、または除草剤耐性を選択の基礎として使用することができる。例えば、dhfrはメトトレキサートに対する耐性を付与し(Wigler, M. et al. (1980) Proc. Natl. Acad. Sci. 77:3567-70);nptはアミノグリコシド系ネオマイシンおよびG−418に対する耐性を付与し(Colbere-Garapin, F. et al (1981) J. Mol. Biol. 150:1-14);およびalsまたはpatは、それぞれクロルスルフロンおよびホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼに対する耐性を付与する(Murry、前記)。さらなる選択可能な遺伝子、例えば、細胞がトリプトファンの代わりにインドールを利用することを可能にするtrpB、または細胞がヒスチジンの代わりにヒスチノールを利用することを可能にするhisDが報告されている(Hartman, S. C. and R. C. Mulligan (1988) Proc. Natl. Acad. Sci. 85:8047-51.)。最近では、アントシアニン、β−グルクロニダーゼおよびその基質GUS、ならびにルシフェラーゼおよびその基質ルシフェリンのようなマーカーによる可視的なマーカーの使用が主流となっている。これらのマーカーは形質転換体を同定するためだけでなく、特異的なベクター系に起因する一過的なまたは安定的なタンパク質発現の量を定量化するために使用することができる(Rhodes, C. A. et al. (1995) Methods Mol. Biol. 55:121-131.)。
【0200】
マーカー遺伝子発現の存在/非存在は、対象となる遺伝子も同様に存在することを示唆するが、その遺伝子の存在および発現を確認する必要があるかもしれない。例えば、cgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemをコードする配列がマーカー遺伝子配列内に挿入される場合、cgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemをコードする配列を含有する形質転換細胞は、マーカー遺伝子機能がないことによって同定することができる。あるいは、マーカー遺伝子を、単一プロモーターの制御下にcgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemをコードする配列とタンデムに配置することができる。誘導または選択に応じたマーカー遺伝子の発現は、通常、同様にタンデム遺伝子の発現を示唆する。
【0201】
あるいは、cgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemをコードする核酸配列を含む、ならびにcgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemを発現する宿主細胞は、当業者に公知の様々な手順によって同定することができる。これらの手順は、核酸またはタンパク質配列の検出および/または定量化のための膜、溶液、またはチップに基づく技術を含むDNA−DNAまたはDNA−RNAハイブリダイゼーションおよびタンパク質バイオアッセイまたは免疫アッセイ技術を含むが、これらに限定されることはない。
【0202】
cgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemをコードするポリヌクレオチド配列の存在は、cgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemをコードするポリヌクレオチドのプローブまたは断片を用いたDNA−DNAまたはDNA−RNAハイブリダイゼーションまたは増幅によって検出することができる。核酸増幅に基づくアッセイは、cgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemをコードするDNAまたはRNAを含有する形質転換体を検出するためのcgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemをコードする配列に基づくオリゴヌクレオチドまたはオリゴマーの使用を含む。
【0203】
タンパク質に特異的なポリクローナルまたはモノクローナル抗体のいずれかを用いて、cgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemの発現を検出および測定するための様々なプロトコルは、当技術分野において公知である。そのような技術の例としては、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、放射免疫アッセイ(RIA)、および蛍光活性化細胞ソーティング(FACS)が挙げられる。cgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiem上の2種の非干渉性エピトープに反応性を示すモノクローナル抗体を利用する、2部位のモノクローナル抗体に基づく免疫アッセイが好ましいが、競合的結合アッセイが採用されてもよい。これらのおよびその他のアッセイは当技術分野において、例えば、Hampton, R.ら(1990; Serological Methods, a Laboratory Manual, Section IV, APS Press, St Paul, Minn.)においておよびMaddox, D. E.ら(1983; J. Exp. Med. 158:1211-1216)において十分に記述されている。
【0204】
多種多様な標識および結合技術は、当業者によって知られており、様々な核酸およびアミノ酸アッセイで用いることができる。cgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemをコードするポリヌクレオチドに関連する配列を検出するため標識されたハイブリダイゼーションまたはPCRプローブを生成する手段としては、オリゴ標識化、ニックトランスレーション、末端標識化、または標識ヌクレオチドを用いたPCR増幅が挙げられる。あるいは、cgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemをコードする配列、またはそのいずれかの断片をmRNAプローブの生成のため、ベクターにクローニングすることができる。そのようなベクターは、当技術分野において公知であり、市販されており、T7、T3、またはSP6などの適切なRNAポリメラーゼおよび標識ヌクレオチドの添加によりin vitroにおいてRNAプローブを合成するのに使用することができる。これらの手順は、Pharmacia & Upjohn(Kalamazoo, Mich.)、Promega(Madison, Wis.)、およびU.S. Biochemical Corp.(Cleveland, Ohio)によって供給されているものなどの、様々な市販のキットを用いて行うことができる。検出を容易にするために使用できる適当なレポーター分子または標識としては、放射性核種、酵素、蛍光物質、化学発光物質、または発色物質、および基質、補因子、阻害剤、磁気粒子などが挙げられる。
【0205】
cgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemをコードするヌクレオチド配列で形質転換された宿主細胞は、細胞培養物からのタンパク質の発現および回収に適した条件の下で培養することができる。形質転換細胞によって生成されるタンパク質は、使用される配列および/またはベクターに応じ、細胞膜に位置づけられ、分泌されまたは細胞内に含有されうる。当業者には明らかなように、cgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemをコードするポリヌクレオチドを含有する発現ベクターは、原核生物または真核生物の細胞膜を通じたcgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemの分泌を命令するシグナル配列を含むようにデザインすることができる。その他の構築物を用いて、cgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemをコードする配列を、可溶性タンパク質の精製を円滑にしうるポリペプチドドメインをコードするヌクレオチド配列に連結することができる。そのような精製円滑化ドメインは、固定化された金属での精製を可能にするヒスチジン−トリプトファンモジュールなどの金属キレートペプチド、固定化された免疫グロブリンでの精製を可能にするプロテインAドメイン、およびFLAGS伸長/アフィニティー精製システム(Immunex Corp., Seattle, Wash.)で利用されるドメインを含むが、これらに限定されることはない。精製ドメインとcgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemコード配列との間に、第XA因子またはエンテロキナーゼに特異的なもの(Invitrogen, San Diego, Calif.)などの、切断可能なリンカー配列を包含することを利用して、精製を円滑にすることができる。そのような1つの発現ベクターは、cgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemならびにチオレドキシンまたはエンテロキナーゼ切断部位の前に6ヒスチジン残基をコードする核酸を含有する融合タンパク質の発現をもたらす。ヒスチジン残基は、固定化金属イオンアフィニティークロマトグラフィーでの精製を円滑にし(IMIAC; Porath, J. et al. (1992) Prot. Exp. Purif. 3: 263-281に記述されている)、その一方でエンテロキナーゼ切断部位は、融合タンパク質からcgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemを精製するための手段を提供する。融合タンパク質を含有するベクターについての議論はKroll, D. J.ら(1993; DNA Cell Biol. 12:441-453)に示されている。
【0206】
cgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemの断片、ならびに全長ポリペプチドは、組換え産生によってだけでなく、固相技術を用いた直接的なペプチド合成によって生成することもできる(Merrifield J. (1963) J. Am. Chem. Soc. 85:2149-2154.)。タンパク質合成は、用手法によりまたは自動的に行うことができる。自動合成は、例えば、Applied Biosystems 431Aペプチド合成機(Perkin Elmer)を用いて達成することができる。cgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemの様々な断片を別々に合成し、その後、組み合わせて完全長の分子を生成することができる。
【0207】
その他の発現方法も公知であり、例えば、「遺伝子活性化」として知られる方法を利用して、cgFAIM、cgFADD、cgPDCD6およびcgRequiemの活性または発現を調節することができる。この方法は米国特許第5,641,670号に詳細に記述されており、参照により本明細書に組み入れられる。本質的に、遺伝子活性化法は、細胞ゲノムの中に、予め選択された部位で、相同組換えを通じ、(a)標的化配列;(b)調節配列;(c)エクソンおよび(d)対になっていないスプライスドナー部位を含んでなり、その標的化配列は、エレメント(b)〜(d)が内因性遺伝子に機能的に連結されるようにエレメント(a)〜(d)の組込みを命令する適当なDNA構築体を挿入することにより、細胞内での対象となる内因性遺伝子の調節または活性を改変できるという認識に基づいている。DNA構築体はまたは(a)標的化配列、(b)調節配列、(c)エクソン、(d)スプライスドナー部位、(e)イントロン、および(f)スプライスアクセプター部位を含んでなることができ、その標的化配列は(b)〜(f)のエレメントが内因性遺伝子の第1エクソンに機能的に連結されるようにエレメント(a)〜(f)の組込みを命令する。
【0208】
使用される標的化配列は、DNAが挿入されることになる部位に関連して選択される。いずれの配置でも、標的化事象は、DNA構築体および内因性の細胞遺伝子を標的化することによって導入された配列の融合産物である新たな転写単位を作出するために使われる。例えば、新たな転写単位の形成は、記述のDNA構築体を宿主細胞のゲノムの中に導入することによって、転写的にサイレントな遺伝子(トランスフェクション前には細胞内で発現されない遺伝子)が宿主細胞内で活性化されるのを可能にする。得られる細胞で発現されるcgFAIM、cgFADD、cgPDCD6またはcgRequiemなどの内因性遺伝子の発現は、それが増大される、除去されることを含めて低減される、または調節もしくは誘導のパターンが遺伝子活性化法の使用を通じて変化されうるという点で改変することができる。
【0209】
抗体
cgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemの特異的なアンタゴニストは、これらのタンパク質の活性を調節するのに使用することができ、そのタンパク質に対する抗体を含むことができる。具体的には、cgFADD、cgPDCD6およびcgRequiemに結合することが可能な、好ましくはそのいずれかの生物学的活性を阻害することが可能な抗体は、細胞生存率を上昇させるため、当該タンパク質の発現をダウンレギュレートさせる際に用いるのに適している。
【0210】
本発明者らはそれ故、具体的には、抗cgFADD抗体、抗cgFAIM抗体、抗cgPDCD6抗体および抗cgRequiem抗体、ならびにそれらを生成する方法を提供する。
【0211】
本明細書において用いる場合、抗体とは、選択された標的に結合することが可能な、かつFv、ScFv、Fab’およびF(ab’)2、モノクローナルおよびポリクローナル抗体、キメラ抗体、CDR移植抗体およびヒト化抗体を含めて遺伝子操作された抗体、ならびにファージディスプレイまたは代替技術を用いて生成された、人為的に選択された抗体を含む、完全な抗体または抗体断片をいう。FvおよびScFvなどの、小さな断片は、その小さなサイズや結果として優れた組織分布のため診断的および治療的用途に対し有利な特性を保有する。
【0212】
本明細書に記述される抗cgFAIM抗体、抗cgFADD抗体、抗cgPDCD6抗体および抗cgRequiem抗体は、例えば、細胞との関係において、当該タンパク質の検出に使用することができる。したがって、それらは、標識などのエフェクタータンパク質を含む改変された抗体とすることができる。in vivoまたはin vitroでの抗体の分布の画像処理を可能にする標識が特に好ましい。そのような標識は、胚または細胞塊のなかで容易に視覚化可能な、放射性標識または放射線不透性標識、例えば、金属粒子とすることができる。さらに、それらは、蛍光標識または組織サンプルで視覚化可能なその他の標識とすることができる。
【0213】
組換えDNA技術を用いて、本明細書に記述される抗体を改良することができる。すなわち、診断的または治療的用途での抗体の免疫原性を減らすため、キメラ抗体を構築することができる。さらに、CDR移植[欧州特許出願第0 239 400号(Winter)参照]および、任意で、骨格改変[欧州特許第0 239 400号]により抗体をヒト化することで、免疫原性を最小限に抑えることができる。
【0214】
抗cgFAIM抗体、抗cgFADD抗体、抗cgPDCD6抗体および抗cgRequiem抗体は、動物血清から得ることができ、または、モノクローナル抗体もしくはその断片の場合は、細胞培養で産生させることができる。組換えDNA技術を用いて、決められた手順にしたがい抗体を細菌細胞培養で、または好ましくは哺乳動物細胞培養で産生させることができる。選択される細胞培養系は、抗体産物を分泌することが好ましい。
【0215】
それ故に、本発明者らは、抗体の生成方法であって、その抗体タンパク質をコードする第2のDNA配列に適切な読み枠で連結されたシグナルペプチドをコードする第1のDNA配列に機能的に連結されたプロモーターを含む発現カセットを含んだハイブリッドベクターで形質転換された、宿主、例えば、大腸菌または哺乳動物細胞を培養するステップ、およびそのタンパク質を単離するステップを含む方法を開示する。
【0216】
in vitroでのハイブリドーマ細胞または哺乳動物宿主細胞の増殖は、適当な培地の中で行われる。その培地は、任意により哺乳動物血清、例えば、ウシ胎仔血清、または微量元素および増殖支持添加物、例えば、正常なマウス腹腔滲出細胞などのフィーダー細胞、脾細胞、骨髄マクロファージ、2−アミノエタノール、インスリン、トランスフェリン、低比重リポタンパク質、オレイン酸などを添加した、通例の標準的な培地、例えば、ダルベッコの改変イーグル培地(DMEM)またはRPMI1640培地である。細菌細胞または酵母細胞である宿主細胞の増殖は、当技術分野において公知の適当な培地の中で、例えば、細菌の場合には培地LB、NZCYM、NZYM、NZM、テリフィックブロス(Terrific Broth)、SOB、SOC、2×YT、またはM9最少培地の中で、および酵母の場合には培地YPD、YEPD、最少培地、または完全最少ドロップアウト培地の中で同様に行われる。
【0217】
in vitroでの生成は比較的純粋な抗体調製物を提供し、大量の所望の抗体をもたらすようスケールアップを可能にする。細菌細胞、酵母または哺乳動物細胞培養のための技術は、当技術分野において公知であり、例えば、エアリフトリアクタ中でのもしくは連続撹拌式リアクタ中での均質な懸濁培養、または、例えば、中空繊維、マイクロカプセル中での、アガロースマイクロビーズもしくはセラミックカートリッジ上での、固定化もしくは封入細胞培養を含む。
【0218】
大量の所望の抗体は、in vivoで哺乳動物細胞を増殖させることで得ることもできる。このため、所望の抗体を産生するハイブリドーマ細胞を組織適合性の哺乳動物に注入して、抗体産生性の腫瘍の増殖を引き起こす。任意により、注入前に、動物は炭化水素、特にプリスタン(テトラメチル−ペンタデカン)などのミネラルオイルで初回抗原刺激されてもよい。1〜3週間後、抗体をそれらの動物の体液から単離する。例えば、抗体産生性のBalb/cマウス由来脾細胞と適当なミエローマ細胞との融合によって得られたハイブリドーマ細胞、または所望の抗体を産生するハイブリドーマ細胞株Sp2/0に由来するトランスフェクト細胞を、任意によりプリスタンで予め処置されたBalb/cマウスの腹腔内に注入し、1〜2週間後、腹水を動物から採取する。
【0219】
先行技術、およびその他の技術は、例えば、Kohler and Milstein, (1975) Nature 256:495-497;US4,376,110;Harlow and Lane, Antibodies:a Laboratory Manual, (1988) Cold Spring Harborに論じられており、これらは参照により本明細書に組み入れられる。組換え抗体分子の調製のための技術は、上記の参考文献に記述されており、例えば、EP0623679;EP0368684およびEP0436597にも記述されており、これらは参照により本明細書に組み入れられる。
【0220】
細胞培養上清を、例えば、イムノブロッティングにより、酵素免疫アッセイ、例えば、サンドイッチアッセイもしくはドットアッセイ、または放射免疫アッセイにより所望の抗体を求めてスクリーニングする。
【0221】
抗体の単離のため、培養上清中のまたは腹水中の免疫グロブリンを、例えば、硫酸アンモニウムを用いた沈殿、ポリエチレングリコールなどの吸湿材に対する透析、選択膜を通じたろ過などにより濃縮することができる。必要ならおよび/または望まれるなら、抗体を通例のクロマトグラフィー法、例えば、ゲルろ過、イオン交換クロマトグラフィー、DEAE−セルロースに対するクロマトグラフィーおよび/または(免疫)アフィニティークロマトグラフィー、例えば、cgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/もしくはcgRequiem、またはその断片を用いた、あるいはプロテインAを用いたアフィニティークロマトグラフィーによって精製する。
【0222】
モノクローナル抗体を分泌するハイブリドーマ細胞も提供される。好ましいハイブリドーマ細胞は遺伝的に安定であり、所望の特異性のモノクローナル抗体を分泌し、急速冷凍培養物から融解および再クローニングにより活性化することができる。
【0223】
適当な哺乳動物、例えば、Balb/cマウスを1つまたは複数のcgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/もしくはcgRequiemポリペプチド、またはその抗原性断片で免疫し;免疫された哺乳動物の抗体産生性の細胞を適当なミエローマ細胞株の細胞と融合し、融合で得られたハイブリッド細胞をクローニングし、所望の抗体を分泌する細胞クローンを選択することを特徴とする、cgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemに対するモノクローナル抗体を分泌するハイブリドーマ細胞株の調製のための方法も含まれる。例えば、cgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemで免疫されたBalb/cマウスの脾細胞をミエローマ細胞株PAIまたはミエローマ細胞株Sp2/0−Ag14の細胞と融合し、得られたハイブリッド細胞を所望の抗体の分泌についてスクリーニングし、陽性のハイブリドーマ細胞をクローニングする。
【0224】
cgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemを発現する10〜107〜108個の細胞ならびに適当なアジュバントを数回、例えば4〜6回、数ヶ月、例えば、2〜4ヶ月にわたって皮下におよび/または腹腔内に注入することによりBalb/cマウスを免疫し、免疫マウスの脾細胞を最後の注入から2〜4日後に採取し、融合プロモーター、好ましくはポリエチレングリコールの存在下でミエローマ細胞株PAIの細胞と融合することを特徴とする、ハイブリドーマ細胞株の調製のための方法が好ましい。ミエローマ細胞は、分子量4000前後の約30%〜約50%ポリエチレングリコールを含有する溶液中で免疫マウス由来の3〜20倍過剰の脾細胞と融合されることが好ましい。融合の後、正常なミエローマ細胞が所望のハイブリドーマ細胞を異常増殖させるのを防ぐため定期的に、選択培地、例えばHAT培地を添加した、上述の適当な培地中で細胞を増殖させる。
【0225】
上述のとおりcgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemに対する抗体の重鎖可変ドメインおよび/または軽鎖可変ドメインをコードするインサートを含む組換えDNAも開示される。定義によれば、そのようなDNAは、コード一本鎖DNA、そのコードDNAとそれに相補的なDNAとからなる二本鎖DNA、またはこれらの相補的な(一本鎖)DNAそれ自体を含む。
【0226】
さらに、cgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemに対する抗体の重鎖可変ドメインおよび/または軽鎖可変ドメインをコードするDNAは、重鎖可変ドメインおよび/または軽鎖可変ドメインをコードする生来のDNA配列を有する酵素的にまたは化学的に合成されたDNA、あるいはその突然変異体とすることができる。生来のDNAの突然変異体は、1つもしくは複数のアミノ酸が欠失されているかまたは1つもしくは複数のその他のアミノ酸と交換されている上記の抗体の重鎖可変ドメインおよび/または軽鎖可変ドメインをコードするDNAである。好ましくは、その改変は抗体の重鎖可変ドメインおよび/または軽鎖可変ドメインのCDRの外側である。そのような突然変異DNAは、1つまたは複数のヌクレオチドが、同じアミノ酸をコードする新たなコドンを有するその他のヌクレオチドに置き換わっているサイレントな突然変異であることも意図される。そのような突然変異配列は同様に、縮重配列である。縮重配列は遺伝コードの意義の範囲内で、無制限の数のヌクレオチドが、本来コードされるアミノ酸配列の変化をもたらすことなしに、その他のヌクレオチドに置き換わるという範囲において縮重される。そのような縮重配列は、その異なる制限部位、ならびに/または重鎖マウス可変ドメインおよび/もしくは軽鎖マウス可変ドメインの最適な発現を得るために、特定の宿主、好ましくは大腸菌によって好まれる特定コドンの使用頻度に起因して有用とすることができる。
【0227】
突然変異体という用語は、当技術分野において公知の方法による生来のDNAのin vitro突然変異誘発によって得られるDNA突然変異体を含むことが意図される。
【0228】
完全な四量体免疫グロブリン分子の組み立ておよびキメラ抗体の発現のため、重鎖および軽鎖可変ドメインをコードする組換えDNAインサートを、重鎖および軽鎖定常ドメインをコードする対応するDNAと融合し、次いで、例えばハイブリッドベクターへの組込みの後、適切な宿主細胞に移入する。
【0229】
ヒト定常ドメインに融合されたcgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemに対する抗体の重鎖マウス可変ドメインg、例えば、γ1、γ2、γ3またはγ4、好ましくはγ1またはγ4をコードするインサートを含む組換えDNAも開示される。同様に、ヒト定常ドメインに融合されたcgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemに対する抗体の軽鎖マウス可変ドメインκまたはλ、好ましくはκをコードするインサートを含む組換えDNAも開示される。
【0230】
別の実施形態において、本発明者らは、重鎖可変ドメインおよび軽鎖可変ドメインが、任意により宿主細胞内での抗体のプロセシングを円滑にするシグナル配列および/または抗体の精製を円滑にするペプチドをコードするDNAおよび/または切断部位および/またはペプチドスペーサーおよび/またはエフェクター分子を含んでもよい、スペーサー基によって連結された組換えポリペプチドをコードする組換えDNAを開示する。
【0231】
エフェクター分子をコードするDNAは、診断的または治療的用途において有用なエフェクター分子をコードするDNAであることが意図される。すなわち、毒素または酵素、特にプロドラッグの活性化を触媒することが可能な酵素であるエフェクター分子がとりわけ示唆される。そのようなエフェクター分子をコードするDNAは、天然の酵素もしくは毒素をコードするDNA、またはその突然変異体の配列を有し、当技術分野において周知の方法によって調製することができる。
【0232】
製剤化および投与
cgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemペプチドおよびポリペプチドなどの、ペプチドおよびポリペプチド、核酸およびポリヌクレオチドならびにアゴニストおよびアンタゴニストペプチドまたは小分子を、適当な医薬担体と組み合わせて製剤化することができる。そのような製剤は、治療的に有効な量のポリペプチドまたは化合物、および製薬上許容される担体または賦形剤を含む。そのような担体としては、生理食塩水、緩衝生理食塩水、デキストロース、水、グリセロール、エタノール、およびその組み合わせが挙げられるが、これらに限定されることはない。製剤化は投与方法に適合するべきであり、十分に当技術分野の技術の範囲内である。本発明者らはさらに、上記組成物の成分の1つまたは複数で満たされた1つまたは複数の容器を含む医薬包装およびキットについて記述する。
【0233】
ポリペプチドおよびその他の化合物は、単独でまたは治療化合物などの、その他の化合物と併せて利用することができる。
【0234】
医薬組成物の全身投与の好ましい形態は、典型的には静脈内注射による注射を含む。皮下、筋肉内、または腹腔内などの、その他の注射経路が使用されてもよい。全身投与の代替手段は、胆汁塩もしくはフシジン酸などの浸透剤またはその他の界面活性剤を用いた経粘膜的および経皮的投与を含む。さらに、腸溶性のまたは封入性の製剤の中に適切に製剤化されるなら、経口投与も可能でありうる。これらの化合物の投与は、軟膏剤、ペースト剤、ゲル剤などの剤形で、局在性であるかかつ/または局在化されてもよい。
【0235】
必要とされる投与量範囲は、ペプチドの選択、投与の経路、製剤の性質、被験体の状態の性質、および主治医の判断に依る。しかしながら、適当な投与量は0.1〜100μg/kg被験体の範囲内である。しかしながら、利用可能な化合物の種類および様々な投与経路の異なる効率を考慮して、必要とされる投与量の幅広い変更が予想される。例えば、経口投与では、静脈内注射による投与よりも高い投与量を必要とするものと予想されよう。これらの投与量レベルの変化は、当技術分野において十分に理解されているように、最適化のための標準的な実験ルーチンによって調整することができる。
【0236】
治療で使用されるポリペプチドは同様に、前述のように「遺伝子治療」と称されることが多い治療法のなかで、被験体において内因的に作出することもできる。すなわち、例えば、被験体由来の細胞をex vivoで、および例えば、レトロウイルスプラスミドベクターの使用により、ポリペプチドをコードするDNAまたはRNAなどのポリヌクレオチドで遺伝子操作することができる。次いで、この細胞を被験体に導入する。
【0237】
医薬組成物
本発明者らは同様に、治療的に有効な量の(cgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemポリペプチドなどのような)ポリペプチド、ポリヌクレオチド、ペプチド、ベクターまたは抗体および任意により製薬上許容される担体、希釈剤または賦形剤(その組み合わせを含む)の投与を含む医薬組成物を提供する。
【0238】
医薬組成物はヒトまたはヒトでの動物使用および獣医薬に向けられてもよく、典型的には、製薬上許容される希釈剤、担体、または賦形剤のいずれかの1つまたは複数を含むであろう。治療的使用に許容される担体または希釈剤は、製薬分野において周知であり、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co.(A. R. Gennaro編. 1985)に記述されている。医薬担体、賦形剤または希釈剤の選択は、意図される投与経路および標準的な薬務に関して行うことができる。医薬組成物は担体、賦形剤もしくは希釈剤として、またはそれらに加えて、任意の適当な結合剤、滑沢剤、懸濁化剤、コーティング剤、可溶化剤を含むことができる。
【0239】
保存剤、安定化剤、色素および場合により香料添加剤が医薬組成物に供与されてもよい。保存剤の例としては、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸およびp−ヒドロキシ安息香酸エステルが挙げられる。酸化防止剤および懸濁化剤を使用することもできる。
【0240】
異なる送達系に依り異なる組成物/製剤の必要条件が存在しうる。例として、本明細書に記述される医薬組成物は、小型ポンプを用いてまたは粘膜経路によって、例えば、鼻腔スプレーもしくは吸入用エアロゾルもしくは摂取可能な溶液として、あるいは組成物が、例えば、静脈内、筋肉内または皮下経路による送達のために注射可能な形態により製剤化される非経口用組成物として送達されるよう製剤化することができる。または、製剤は両経路によって送達されるようデザインすることができる。
【0241】
薬剤が胃腸粘膜を通じて粘膜的に送達される場合、胃腸管を通じた輸送の間に安定した状態を保つことができなければならない;例えば、タンパク質分解に耐性でなければならず、酸性pHで安定でなければならず、かつ胆汁の界面活性作用に耐性でなければならない。
【0242】
必要に応じて、医薬組成物は吸入により、坐剤もしくは腟坐剤の形態で、ローション、溶液剤、クリーム剤、軟膏剤もしくは散剤の剤形で局所的に、皮膚パッチの使用により、デンプンもしくはラクトースなどの賦形剤を含有する錠剤の形態で経口的に、またはカプセル剤もしくは卵形剤で単独でもしくは賦形剤との混合で、または香料添加剤もしくは着色剤を含有する甘味アルコール溶液剤、溶液剤もしくは懸濁液剤の剤形で投与することができ、あるいはそれらは非経口的に、例えば静脈内に、筋肉内にまたは皮下に注射することができる。非経口投与の場合、組成物は、その他の物質、例えば溶液を血液と等張にさせるのに十分な塩または単糖類を含有しうる無菌水溶液の形態で最良に使用することができる。口腔または舌下投与の場合、組成物は、従来の様式で処方されうる錠剤またはトローチ剤の形態で投与することができる。
【0243】
ワクチン
別の実施形態は、哺乳動物において免疫反応を誘導する方法であって、その動物をcgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiem関連疾患から保護する抗体および/またはT細胞免疫反応をもたらすのに十分な、cgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/もしくはcgRequiemポリペプチド、またはその断片を哺乳動物に接種するステップを含む方法に関する。
【0244】
さらに別の実施形態は、哺乳動物において免疫反応を誘導する方法であって、その動物を疾患から保護する抗体をもたらすようにそのような免疫反応を誘導するため、in vivoでcgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemポリヌクレオチドの発現を命令するベクターを介してcgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemポリペプチドを送達するステップを含む方法に関する。
【0245】
さらなる実施形態は、哺乳動物宿主に導入された場合、その哺乳動物においてcgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemポリペプチドに対する免疫反応を誘導する免疫/ワクチン製剤(組成物)であって、cgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/もしくはcgRequiemポリペプチドまたはcgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/もしくはcgRequiem遺伝子を含む組成物に関する。ワクチン製剤はさらに、適当な担体を含むことができる。
【0246】
cgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemポリペプチドは胃のなかで分解されうるので、それは非経口的に(皮下の、筋肉内の、静脈内の、皮内などの注射を含め)投与されることが好ましい。非経口投与に適した製剤には、酸化防止剤、緩衝液、静菌剤および製剤をレシピエントの血液と等張(instonic)にさせる溶質を含みうる水性および非水性の無菌注射液、ならびに懸濁化剤または増粘剤を含みうる水性および非水性の無菌懸濁液が含まれる。製剤は単位用量または反復用量の容器、例えば、密閉アンプルおよびバイアルの中に提供してもよく、使用の直前に無菌の液体担体の添加だけで済む凍結乾燥状態で貯蔵されてもよい。ワクチン製剤は同様に、水中油系および当技術分野において公知のその他の系などの、製剤の免疫原性を増強するためのアジュバント系を含むことができる。投与量はワクチンの特異的活性に依存するはずであり、通常の実験により容易に決定することができる。
【0247】
ワクチンは、本明細書に記述される1つまたは複数のポリペプチドまたはペプチドから調製することができる。
【0248】
免疫原性のポリペプチドまたはペプチドを活性成分として含有するワクチン調製物が、当業者に知られている。典型的には、そのようなワクチンは注射用薬剤として、溶液剤または懸濁液剤のいずれかとして調製される;注射前に液体中に、溶液化、または懸濁液化するのに適した固体形態を調製することもできる。調製物は乳化されてもよく、またはタンパク質がリポソーム内に封入されてもよい。活性な免疫原性成分は、活性成分と製薬上許容されかつ適合される賦形剤と混合されることが多い。適当な賦形剤は、例えば、水、生理食塩水、デキストロース、グリセロール、エタノールなどおよびその組み合わせである。
【0249】
さらに、必要に応じて、ワクチンは微量の補助物質、例えば、湿潤剤もしくは乳化剤、pH緩衝剤、および/またはワクチンの有効性を増強するアジュバントを含有することができる。有効でありうるアジュバントの例としては、水酸化アルミニウム、N−アセチル−ムラミル−L−トレオニル−D−イソグルタミン(thr−MDP)、N−アセチル−ノル−ムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミン(CGP 11637、nor−MDPと称される)、N−アセチルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミニル−L−アラニン−2−(1’−2’−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ヒドロキシホスホリルオキシ)−エチルアミン(CGP 19835A、MTP−PEと称される)、およびRIBI(これは細菌から抽出された3つの成分、すなわちモノホスホリル脂質A、トレハロースジミコール酸および細胞壁の骨格成分(MPL+TDM+CWS)を2%スクアレン/Tween80乳液中に含有する)が挙げられるが、これらに限定されることはない。
【0250】
アジュバントおよびその他の薬剤のさらなる例としては、水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム、硫酸アルミニウムカリウム(alum)、硫酸ベリリウム、シリカ、カオリン、炭素、油中水乳剤、水中油乳剤、ムラミルジペプチド、細菌内毒素、脂質X、コリネバクテリウム・パルブム(Corynebacterium parvum)(プロピオノバクテリウム・アクネ(Propionobacterium acnes))、ボルデテラ・ペルタシス(Bordetella pertussis)、ポリリボヌクレオチド、アルギン酸ナトリウム、ラノリン、リゾレシチン、ビタミンA、サポニン、リポソーム、レバミゾール、DEAE−デキストラン、ブロックコポリマーまたはその他の合成アジュバントが挙げられる。そのようなアジュバントは様々な供給元から市販されており、例えば、メルクアジュバント65(Merck and Company, Inc., Rahway, N.J.)またはフロイント不完全アジュバントおよび完全アジュバント(Difco Laboratories, Detroit, Michigan)がある。
【0251】
典型的には、アンフィジェン(Amphigen)(水中油)、アルヒドロゲル(Alhydrogel)(水酸化アルミニウム)、またはアンフィジェンおよびアルヒドロゲルの混合物などのアジュバントが使用される。水酸化アルミニウムだけがヒトでの使用に承認されている。
【0252】
免疫原およびアジュバントの割合は、双方が有効な量で存在する限り、幅広い範囲にわたって変えることができる。例えば、水酸化アルミニウムはワクチン混合物(Al2O3ベース)の約0.5%の量で存在することができる。ワクチンは0.2〜200μg/ml、好ましくは5〜50μg/ml、最も好ましくは15μg/mlの範囲での終濃度の免疫原を含むように製剤化されることが好都合である。
【0253】
製剤化の後、ワクチンを滅菌容器の中に入れることができ、次いでこれを密閉し、低温、例えば、4℃で貯蔵し、またはこれを凍結乾燥することができる。凍結乾燥により、安定化された形態での長期貯蔵が可能になる。
【0254】
ワクチンは慣習的に、非経口的に、注入により、例えば、皮下にまたは筋肉内に投与される。その他の投与方法に適したさらなる製剤は、坐剤および、場合によっては、経口用製剤を含む。坐剤の場合、従来の結合剤および担体としては、例えば、ポリアルキレングリコールまたはトリグリセリドを挙げることができ、そのような坐剤は、0.5%〜10%、好ましくは1%〜2%の範囲で活性成分を含有する混合物から形成させることができる。経口用製剤は、例えば、医薬品等級のマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウムなどのような通常用いられる賦形剤を含む。これらの組成物は溶液剤、懸濁液剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、徐放性製剤または散剤の剤形を採り、10%〜95%、好ましくは25%〜70%の活性成分を含有する。ワクチン組成物が凍結乾燥される場合、凍結乾燥された材料は投与の前に、例えば、懸濁液として再調製することができる。再調製は緩衝液中で達成されることが好ましい。
【0255】
患者への経口投与用のカプセル剤、錠剤および丸剤には、例えば、Eudragit「S」、Eudragit「L」、酢酸セルロース、酢酸フタル酸セルロースまたはヒドロキシプロピルメチルセルロースを含有する腸溶コーティングを施すことができる。
【0256】
本明細書に記述されるポリペプチドは、中性のまたは塩の形態としてワクチンに製剤化することができる。製薬上許容される塩としては、酸付加塩(ペプチドの遊離アミノ基と形成される)ならびに、例えば、塩酸もしくはリン酸などの無機酸、または酢酸、シュウ酸、酒石酸およびマレイン酸などのような有機酸と形成されるものが挙げられる。遊離カルボキシル基と形成される塩は同様に、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カルシウム、または水酸化第二鉄などの無機塩基、ならびにイソプロピルアミン、トリメチルアミン、2−エチルアミノエタノール、ヒスチジンおよびプロカインのような有機塩基に由来することができる。
【0257】
投与
通常、医師は、個々の被験体に最も適すると思われる実際の投与量を決定するであろう。投与量は特定の患者の年齢、体重および応答性によって異なるであろう。以下の投与量は平均的事例の例示である。もちろん、より高いかまたはより低い投与量範囲が正当である個々の事例もありうる。
【0258】
本明細書に開示される医薬組成物およびワクチン組成物は、直接的な注入によって投与することができる。組成物は非経口の、粘膜の、筋肉内の、静脈内の、皮下の、眼内のまたは経皮の投与のために製剤化することができる。通常、各タンパク質は0.01〜30mg/kg体重の、好ましくは0.1〜10mg/kg体重の、より好ましくは0.1〜1mg/kg体重の用量で投与することができる。
【0259】
「投与する(される)」という用語は、ウイルス性のまたは非ウイルス性の技術による送達を含む。ウイルス性の送達機構は、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター、ヘルペスウイルスベクター、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター、およびバキュロウイルスベクターを含むがこれらに限定されることはない。非ウイルス性の送達機構は、脂質を介したトランスフェクション、リポソーム、免疫リポソーム、リポフェクチン、カチオン性表面両親媒性物質(CFA)およびその組み合わせを含む。そのような送達機構の経路は、粘膜の、鼻腔の、経口の、非経口の、胃腸の、局所の、または舌下の経路を含むがこれらに限定されることはない。
【0260】
「投与する(される)」という用語は、例えば、鼻腔スプレーもしくは吸入用エアロゾルとしてのまたは摂取可能な溶液としての、粘膜経路による送達;送達が、例えば、静脈内の、筋肉内のまたは皮下の経路などの、注射可能な形態によるものである非経口経路による送達を含むがこれらに限定されることはない。
【0261】
「同時に投与する」という用語は、例えば、ポリペプチドおよびアジュバントなどのさらなる物質の各々の投与の部位および時間が、免疫系の必要な調節が達成されるようなものであることを意味する。したがって、ポリペプチドおよびアジュバントを、時を同じくしておよび同じ部位に投与してもよいが、ポリペプチドをアジュバントとは異なる時点でおよび異なる部位に投与することが有利なこともある。ポリペプチドおよびアジュバントは場合により、同じ送達媒体中で送達されてもよく、すなわちポリペプチドおよび抗原は結合されてもおよび/もしくは結合されなくてもならびに/または遺伝的に結合されてもおよび/もしくは結合されなくてもよい。
【0262】
cgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemのポリペプチド、ポリヌクレオチド、ペプチド、ヌクレオチド、抗体などおよび任意によりアジュバントは、別々に投与することができ、あるいは単回用量としてまたは複数回用量で宿主被験体に同時に投与することができる。
【0263】
本明細書に記述されるワクチン組成物および医薬組成物は、注射(これは非経口の、皮下のおよび筋肉内の注射を含む)、鼻腔の、粘膜の、経口の、膣内の、尿道内のまたは眼内の投与などのいくつかの異なる経路によって投与することができる。
【0264】
本明細書に記述されるワクチンおよび医薬組成物は慣習的に、非経口的に、注入により、例えば、皮下にまたは筋肉内に投与することができる。その他の投与方法に適したさらなる製剤は、坐剤および、場合によっては、経口用製剤を含む。坐剤の場合、従来の結合剤および担体は、例えば、ポリアルキレングリコールまたはトリグリセリドを含むことができ、そのような坐剤は、0.5%〜10%の範囲(1%〜2%でもよい)で活性成分を含有する混合物から形成させることができる。経口用製剤は、例えば、医薬品等級のマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウムなどのような通常用いられる賦形剤を含む。これらの組成物は溶液剤、懸濁液剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、徐放性製剤または散剤の剤形を採り、10%〜95%、好ましくは25%〜70%の活性成分を含有する。ワクチン組成物が凍結乾燥される場合、凍結乾燥された材料は投与の前に、例えば、懸濁液として再調製することができる。再調製は緩衝液中で達成されることが好ましい。
【実施例】
【0265】
実施例1.細胞株および細胞培養
CHO IFN−γは浮遊増殖するように適合されたチャイニーズハムスター卵巣細胞株である。これはもともとジヒドロ葉酸レダクターゼ陰性(DHFR−)のDukx細胞から得られた(Urlaub & Chasin 1980)。CHO IFN−γはDHFRおよびヒトインターフェロン−γに対する遺伝子で同時にトランスフェクトされている(Scahill et al. 1983)。
【0266】
CHO IFN−γは、4mMグルタミン、20mMグルコースおよび0.25μMメトトレキサート(Sigma, St. Louis, MO)を添加したグルコース/グルタミン不含のHyQ CHO MPS培地(Hyclone, Logan, UT)の中で維持する。
【0267】
実施例2.全RNA抽出および第一鎖cDNA合成
トリゾール(Invitrogen)を用いて、全RNAをCHO K1細胞から抽出する。全ての逆転写試薬はPromegaからのものである。1×逆転写緩衝液、10mMの各dNTPおよび25単位の組換えRNAsin(登録商標)リボヌクレアーゼ阻害剤を含有する反応混合物中42℃で1時間、モロニーマウス白血病ウイルス逆転写酵素を用いて、完全長cDNAを合成する。
【0268】
実施例3.遺伝子特異的PCR
CHO K1全RNAから調製されたcDNAを遺伝子特異的PCRの鋳型として使用する。全てのPCR試薬はPromegaからのものである。
【0269】
実施例4.チャイニーズハムスター(Cricetulus griseus)FAIMの遺伝子特異的クローニング
FAIMのコード領域は5’PCRプライマー5’−GCCGCGAGAGCTGCTGACTACGTCGTGG−3’および3’PCRプライマー5’−GTTACTGTG−GTGAGATATGAATGGGTTTGG−3’を用いて増幅する。PCR反応混合物には鋳型cDNA 1μL、1×反応緩衝液、200μMの各dNTP、2.0mM MgCl2、1μMの各プライマーおよびTaq DNAポリメラーゼ混合物(計5U)が含まれる。PCR条件は94℃5分、その後94℃1分、58℃1分および72℃2分を31サイクルならびに72℃で10分間の最終伸長である。次いで、PCR産物を配列決定のためpCR(登録商標)−TOPO(登録商標)(Invitrogen, Grand Island, NY)にサブクローニングする。
【0270】
チャイニーズハムスター(Cricetulus griseus)FAIM(cgFAIM)
cgFAIMの配列は配列番号1および配列番号5に記載されている。このチャイニーズハムスター(Cricetulus griseus)配列は179アミノ酸のタンパク質をコードする。
【0271】
CD95またはAPO−1としても知られるFasは、受容体を介したアポトーシス経路において主要な役割を果たす腫瘍壊死因子(TNF)受容体ファミリー由来の受容体である。TNF受容体ファミリーの細胞外領域は、システインに富むサブドメインの2〜6回の繰り返しを有する。Fasの活性化は、カスパーゼ8のオリゴマー形成を通じて細胞内シグナル伝達カスケードを惹起する。カスパーゼ8は、エフェクターカスパーゼのカスケード様活性化に関与するイニシエーターカスパーゼの1つであることが明らかにされている(Srinivasula et al. 1996)。Fasは同様に、カスパーゼ9およびその他のエフェクターカスパーゼの活性化をもたらすミトコンドリアからのシトクロムc放出を引き起こすことが明らかにされている(Li et al. 1997)。
【0272】
Fasアポトーシス阻害分子(FAIM)は、Fas誘導性のアポトーシスに耐性を与えうる誘導性タンパク質であることが分かっている(Schneider et al. 1999; Rothstein et al. 2000)。sIgシグナルとともに、B細胞でのFAIM発現は、Fas殺作用を遮断することが可能であり、カスパーゼ3の活性化前のFasシグナル伝達経路中のステップを遮断することでそれを行うことが明らかにされている(Schneider et al. 1999)。FAIMは2つの選択的スプライシング型で存在することが明らかにされており、FAIM−Sが広く発現されているのに対し、FAIM−Lは脳組織特異的である(Zhong et al, 2001)。FAIM配列はまた、異なる種で高度に保存されているように思われることから、重要な系統発生的役割が示唆される。
【0273】
実施例5.チャイニーズハムスター(Cricetulus griseus)FADDの遺伝子特異的クローニング
FADDの部分的コード領域は5’PCRプライマー5’−CCATGGACCCATTCCTGGTGC−3’および3’PCRプライマー5’−TTCTTCCACCAGGTCAGC−CACC−3’を用いて増幅される。PCR反応混合物には鋳型cDNA 1μL、1×反応緩衝液、200μMの各dNTP、1.5mM MgCl2、1μMの各プライマーおよびTaq DNAポリメラーゼ混合物(計5U)が含まれる。
【0274】
PCR条件は94℃5分、その後94℃1分、55℃1分および72℃2分を31サイクルならびに72℃で10分間の最終伸長である。次いで、PCR産物を配列決定のためpCR(登録商標)−TOPO(登録商標)(Invitrogen, Grand Island, NY)にサブクローニングする。
【0275】
チャイニーズハムスター(Cricetulus griseus)FADD(cgFADD)
cgFADDの配列は配列番号2および配列番号6に記載されている。
【0276】
FADDは、CD95(Fas/APO−1)および腫瘍壊死因子(TNF)の両受容体誘導性アポトーシスの共通メディエーターである(Chinnaiyan et al 1996)。デスドメインとデスエフェクタードメインの両方を含むFADDは、Fas結合によるカスパーゼ8活性化の重要なメディエーターである(Chinnaiyan et al. 1995)。本発明者らは、人工的に遺伝子操作されたFADD分子、つまりアポトーシス受容体結合デスドメインだけを含有しかつFADDのデスエフェクタードメインを含有しないFADD DNの使用によるcgFADDの発現の調節について記述する。カスパーゼを細胞死誘導性シグナル伝達複合体に動員することにより、さらに下流のアポトーシスカスケードの活性化を引き起こすのがエフェクタードメインである。本明細書に記述される方法は、遺伝子操作された型のFADD、すなわち、ドミナントネガティブの過剰発現、および天然のFADDと競合することによってカスパーゼの動員を阻止するそのような遺伝子操作ざれた分子の使用、それによるアポトーシスカスケードの遮断を可能にする。
【0277】
実施例6.チャイニーズハムスター(Cricetulus griseus)PDCD6の遺伝子特異的クローニング
PDCD6の部分的コード領域は5’PCRプライマー5’−GCCCATGGCTGCCTACTCCTA−3’および3’PCRプライマー5’−AATCCAGCCATCCTGAT−CCGT−3’を用いて増幅される。PCR反応混合物には鋳型cDNA 1μL、1×反応緩衝液、200μMの各dNTP、1.5mM MgCl2、1μMの各プライマーおよびTaq DNAポリメラーゼ混合物(計5U)が含まれる。
【0278】
PCR条件は94℃5分、その後94℃1分、52℃1分および72℃2分を31サイクルならびに72℃で10分間の最終伸長である。次に、PCR産物を配列決定のためpCR(登録商標)−TOPO(登録商標)(Invitrogen, Grand Island, NY)にサブクローニングする。得られたPCR産物を精製し、pCR 2.1−Topoベクターにクローニングし、配列決定する。3’−RACEプライマーは5’−CAGCGGGTTGATAAAGACAGGAGTGGAGTG−3’である。
【0279】
3’−RACE PCR産物をエチジウムブロマイド含有1%アガロースゲル中での電気泳動によって分離し、対応するバンドを切り出し、Qiagenキットによってゲルから抽出し、その後に配列決定のためpCR(登録商標)−TOPO(登録商標)(Invitrogen, Grand Island, NY)にクローニングする。
【0280】
チャイニーズハムスター(Cricetulus griseus)PDCD6(cgPDCD6)
cgPDCD6の配列は配列番号3および配列番号7に記載されている。このチャイニーズハムスター(Cricetulus griseus)配列は191アミノ酸のタンパク質をコードする。
【0281】
アポトーシス関連遺伝子2(ALG−2)としても知られるPDCD6は、ペンタEFハンドタンパク質ファミリーに属するカルシウム結合タンパク質をコードする。これは受容体、Fasおよびグルココルチコイド誘導性アポトーシスに関与すると示唆されている(Vito et al. 1996; Krebs & Klemenz, 2000およびJung et al., 2001)。興味深いことに、Jangら,2002は、ALG−2欠損ではTCR、FASまたはデキサメタゾンシグナルによって誘導されたアポトーシスの遮断が起こらないことを実証している。
【0282】
実施例7.チャイニーズハムスター(Cricetulus griseus)Requiemの遺伝子特異的クローニング
Requiemの部分的コード領域は5’PCRプライマー5’−ATG−GCGGCTGTGGTGGAGAAT−3’および3’PCRプライマー5’−GGAGTTCTGGTTCTGGTAG−ATGG−3’を用いて増幅される。PCR反応混合物には鋳型cDNA 1μL、1×反応緩衝液、200μMの各dNTP、2.0mM MgCl2、1μMの各プライマーおよびTaq DNAポリメラーゼ混合物(計5U)を含めた。
【0283】
PCR条件は94℃5分、その後94℃1分、44℃1分および72℃2分を60サイクルならびに72℃で10分間の最終伸長である。次に、PCR産物を配列決定のためpCR(登録商標)−TOPO(登録商標)(Invitrogen, Grand Island, NY)にサブクローニングする。得られたPCR産物を精製し、pCR 2.1−Topoベクターにクローニングし、配列決定する。3’−RACEプライマーは5’−GCCTCAGTTACCACTATGCCCATTCCCACC−3’である。
【0284】
3’−RACE PCR産物をエチジウムブロマイド含有1%アガロースゲル中での電気泳動によって分離し、対応するバンドを切り出し、Qiagenキットによってゲルから抽出し、その後に配列決定のためpCR(登録商標)−TOPO(登録商標)(Invitrogen, Grand Island, NY)にクローニングする。
【0285】
チャイニーズハムスター(Cricetulus griseus)Requiem(cgRequiem)
cgRequiemの配列は配列番号4および配列番号8に記載されている。このチャイニーズハムスター(Cricetulus griseus)配列は391アミノ酸のタンパク質をコードする。
【0286】
ubi−d4としても知られるRequiemは、骨髄細胞でのカスパーゼの活性化に必須のジンクフィンガー遺伝子である(Gabig et al. 1994)。Requiemは、生存因子除去後のアポトーシス応答に必要な転写因子をコードする可能性が高いと示唆されている(Gabig et al. 1994)。さらに、Gabigら(1998)はマウス骨髄細胞およびヒトK562白血病細胞の細胞質のおよび核の細胞亜分画双方でそのタンパク質を後に検出しており、それによってそのタンパク質が転写因子のものとは異なる機能を持ちうることを示唆している。
【0287】
実施例8.チャイニーズハムスター(Cricetulus griseus)FAIM発現ベクター構築
要約すれば、pCR(登録商標)−TOPO(登録商標)(Invitrogen, Grand Island, NY)にクローニングされているFAIM遺伝子特異的PCR由来の確認済みPCR産物をpcDNA3.1(+)(Invitrogen)にサブクローニングし、再び配列決定する。次いで、マキシプラスミド精製キット(Maxi Plasmid Purification Kit)(Qiagen, Hilden, Germany)を用いて最終的なプラスミドpcDNA3.1(+)FAIMを精製し、CHO IFN−γへのトランスフェクションのため、その濃度を定量化する。
【0288】
詳細には、5’−PCRプライマー5’−GAATTCGCCACCATGACAGATCTTGTAGC−3’および3’−PCRプライマー5’−GAATTCGTGAACACATTTAATTACCA−3’を用いることにより、人工的なコザック(kozak)配列およびリンカー配列を有するcgFAIMを作出する。下線の配列はEcoRI制限部位を構成し、イタリック体の配列はFAIMの「インフレームでの」発現を円滑にする人工的なコザック配列を構成する。組込まれたcgFAIM領域は太字で示してある。
【0289】
PCR反応混合物にはpCR2.1−TOPO cgFAIM鋳型 1μL、1×反応緩衝液、200μMの各dNTP、2.0mM MgCl2、1μMの各プライマーおよびTaq DNAポリメラーゼ混合物(計5U)を含めた。PCR条件は94℃5分、その後94℃1分、44℃1分および72℃2分を60サイクルならびに72℃で10分間の最終伸長である。
【0290】
次いで、確認済みPCR産物を37℃にておよそ4時間EcoRI制限酵素で消化して、さらなるライゲーションのための付着末端を有するcgFAIMインサートを作出する。空のpcDNA3.1(+)ベクター(Invitrogen)を同様に、37℃にておよそ4時間EcoRI制限酵素で消化する。次いで、インサート12μLをベクター3μL、Dnaseを含まない水2μL、10×T4 DNAリガーゼ緩衝液(Invitrogen)2μLおよびT4 DNAリガーゼ(3U/μL)(Invitrogen)1μLに加えることにより、EcoRI消化済みcgFAIMインサートをEcoRI消化済みpcDNA3.1(+)にライゲーションする。次いで、このライゲーション混合物を室温でおよそ16時間インキュベートする。
【0291】
次いで、ライゲーション混合物10μLをプラスミド増殖のためコンピテントなDH5α細菌細胞に形質転換する。選択用にアンピシリンの入ったLB寒天プレートで培養することにより、陽性の形質転換体を選択する。次いで、配列決定のためプラスミド抽出を種々のDH5αクローンについて行って、pcDNA3.1(+)発現ベクターに挿入されたcgFAIM配列を確認する。次いで、確認済みのクローン由来のプラスミドpcDNA3.1(+)cgFAIMをマキシプラスミド精製キット(Qiagen, Hilden, Germany)により精製し、CHO IFN−γへのトランスフェクションのため、その濃度を定量化する。
【0292】
実施例9.チャイニーズハムスター(Cricetulus griseus)FADDドミナントネガティブ発現ベクター構築
5’−PCRプライマー5’−GATATCGGATCCGCCACC−ATGGCCTTTGACATTGTATGCGACAATGTGGGG−3’および3’−PCRプライマー5’−CCCGGG−CTCGAGTGCCTCCC−TTCCACCAGGTCAG−3’を用いることにより、コザック配列を有する人工的なFADDドミナントネガティブ(FADD DN)断片を作出する。下線の配列はそれぞれBamHIおよびXhoI制限部位を構成し、イタリック体の配列はcgFADDドミナントネガティブの「インフレームでの」発現を円滑にする人工的なコザックおよび開始コドンを構成する。組込まれたcgFADDコード領域は太字で示してある。
【0293】
PCR反応混合物には鋳型cDNA 1μL、1×反応緩衝液、200μMの各dNTP、1.5mM MgCl2、1μMの各プライマーおよびTaq DNAポリメラーゼ混合物(計5U)が含まれる。pCR(登録商標)−TOPO(登録商標)にサブクローニングされた部分的FADD配列を鋳型として使用する。PCR条件は94℃5分、その後94℃1分、50℃1分および72℃2分を31サイクルならびに72℃で10分間の最終伸長である。
【0294】
次いで、確認済みPCR産物を37℃にておよそ4時間BamHIおよびXhoI制限酵素で消化して、さらなるライゲーションのための付着末端を有するcgFADD DNインサートを作出する。空のpcDNA3.1(+)ベクター(Invitrogen)を同様に、37℃にておよそ4時間BamHIおよびXhoI制限酵素で消化する。次いで、インサート12μLをベクター3μL、Dnaseを含まない水2μL、10×T4 DNAリガーゼ緩衝液(Invitrogen)2μLおよびT4 DNAリガーゼ(3U/μL)(Invitrogen)1μLに加えることにより、BamHI/XhoI消化済みcgFADD DNインサートをBamHI/XhoI消化済みpcDNA3.1(+)にライゲーションする。次いで、このライゲーション混合物を室温でおよそ16時間インキュベートする。
【0295】
次いで、ライゲーション混合物10μLをプラスミド増殖のためコンピテントなDH5α細菌細胞に形質転換する。選択用にアンピシリンの入ったLB寒天プレートで培養することにより、陽性の形質転換体を選択する。次いで、配列決定のためプラスミド抽出を種々のDH5αクローンについて行って、pcDNA3.1(+)発現ベクターに挿入されたcgFADD DN配列を確認する。次いで、確認済みのクローン由来のプラスミドpcDNA3.1(+)FADDドミナントネガティブをマキシプラスミド精製キット(Qiagen, Hilden, Germany)により精製し、CHO IFN−γへのトランスフェクションのため、その濃度を定量化する。
【0296】
実施例10.チャイニーズハムスター(Cricetulus griseus)PDCD6抑制ベクター構築
得られたcgPDCD6配列に基づいて、オリゴインサートをデザインする。BLASTを利用しオリゴインサートのデザインをゲノムデータベースと比較して、その他の遺伝子に対する何らかの顕著な相同性を排除する。5’オリゴインサート5’−GATCCCGTGAGCTTCAGCAAGCATTATTCAAGAGATAATGCTTGCTGAAGC−TCATTTTTTGGAAA−3’を3’オリゴインサート5’−AGCTTTTCCAAAAAATGAGCTTCAGCAAGCATTATCTCTTGAATAATGCTTGCTGAAGCTCACG−3’にアニーリングし、次いで合成し、その後HindIII/BglII消化済みのpSUPER.neoベクター(OligoEngine, Seattle, WA)にライゲーションする。
【0297】
アニーリング済みのオリゴインサート4μLをHindIII/BglII消化済みのpSUPER.neo 3μL、Dnaseを含まない水13μL、10×T4 DNAリガーゼ緩衝液(Invitrogen)2μLおよびT4 DNAリガーゼ(3U/μL)(Invitrogen)1μLに加える。次いで、このライゲーション混合物を室温でおよそ16時間インキュベートする。
【0298】
次いで、ライゲーション混合物10μLをプラスミド増殖のためコンピテントなDH5α細菌細胞に形質転換する。選択用にアンピシリンの入ったLB寒天プレートで培養することにより、陽性の形質転換体を選択する。次いで、配列決定のためプラスミド抽出を種々のDH5αクローンについて行って、pSUPER.neo発現ベクターに挿入されたcgPDCD6 siRNA配列を確認する。次いで、確認済みのクローン由来のプラスミドpSUPER.neo cgPDCD6 siRNAをマキシプラスミド精製キット(Qiagen, Hilden, Germany)により精製し、CHO IFN−γへのトランスフェクションのため、その濃度を定量化する。
【0299】
実施例11.チャイニーズハムスター(Cricetulus griseus)Requiem抑制ベクター構築
得られたcgRequiem配列に基づいて、オリゴインサートをデザインする。5’オリゴインサート5’−GATCCCGCGGATCCTTGAACCTGATTTCAAGAGAATCAGGTTCAAGGATCCGC−TTTTTTGGAAA−3’を3’オリゴインサート5’−AGCTTTTCCAAAAAAGCGGATCCTTGAACCTGATTCTCTTGAAATCAGGTTCAAGGATCCGCGG−3’にアニーリングし、その後HindIIIおよびBglII消化済みのpSUPER.neoベクター(OligoEngine, Seattle, WA)にライゲーションする。
【0300】
アニーリング済みのオリゴインサート4μLをHindIII/BglII消化済みのpSUPER.neo 3μL、Dnaseを含まない水13μL、10×T4 DNAリガーゼ緩衝液(Invitrogen)2μLおよびT4 DNAリガーゼ(3U/μL)(Invitrogen)1μLに加える。次いで、このライゲーション混合物を室温でおよそ16時間インキュベートする。
【0301】
次いで、ライゲーション混合物10μLをプラスミド増殖のためコンピテントなDH5α細菌細胞に形質転換する。選択用にアンピシリンの入ったLB寒天プレートで培養することにより、陽性の形質転換体を選択する。次いで、配列決定のためプラスミド抽出を種々のDH5αクローンについて行って、pSUPER.neo発現ベクターに挿入されたcgRequiem siRNA配列を確認する。次いで、確認済みのクローン由来のプラスミドpSUPER.neo cgRequiem siRNAをマキシプラスミド精製キット(Qiagen, Hilden, Germany)により精製し、CHO IFN−γへのトランスフェクションのため、その濃度を定量化する。
【0302】
実施例12.トランスフェクションおよび選択
トランスフェクションはリポフェクトアミン試薬(Invitrogen)を用いて行う。1ウェル当たり細胞50万個の入った6ウェルプレート中にて細胞を一晩培養し、翌日、1ウェル当たり線状化プラスミドおよそ1μgでトランスフェクトする。リポフェクトアミン−DNA複合体を製造元の使用説明書にしたがい、リポフェクトアミン(μL):DNA(μg)の比率3:1で調製する。
【0303】
安定な細胞を作出するため、細胞を24時間増殖させた後、培地を1000μg/mLのジェネテシン入りの選択培地に交換する。細胞を選択培地中で4週間維持する。この場合、選択培地中の非トランスフェクト細胞は1週間以内に死滅した。
【0304】
実施例12A.安定に組込まれた単一の細胞クローン
各ウェル中に1個の細胞しか存在しないように96ウェルプレートの中で細胞を連続希釈することにより、安定に組込まれた単一の細胞クローンを得る。ウェルを光学顕微鏡下で調べ、単一の細胞しか含まないウェルに印を付ける。次いで、振盪フラスコ培養に入る前に、単一のクローンを24ウェルプレート、その後6ウェルプレートの中で増殖させる。
【0305】
実施例12B.バッチ培養およびフェドバッチ培養
5.0Lのバイオリアクター(B. Braun, Melsungen, Germany)中にて、培地4.0Lの初期作業量に細胞2.5×105個/mLの播種密度で植菌する。バッチ培養は20mMグルコースおよび4mMグルタミンを添加したグルコース/グルタミン不含のHyQ CHO MPS培地(Hyclone, Logan, UT)を用いて行い、フェドバッチ培養では4mMグルコースおよび0.5mMグルタミンを添加する。溶存酸素濃度を50%空気飽和度で維持し、ガス混合物への断続的なCO2付加および/または7.5% (w/v)のNaHCO3溶液(Sigma)によって培養pHを7.15で維持する。
【0306】
フェドバッチ操作は、改良されたオンライン動的供給方式によって行う(Lee et al., 2003)。該当する制御栄養水準の濃度のオンラインモニタリングを、自動化された無菌的オンラインサンプリングループにより1.5時間毎に行う。フェドバッチ培養用の基礎供給培地は、10g/Lの大豆タンパク質加水分解物であるHysoy(Quest International, Hoffman Estate, IL)、10mL/Lの既知組成の脂質(Gibco BRL, Grand Island, NY)、1mg/Lのd−ビオチン(Sigma)、2mM L−アスパラギン酸、2mM L−アスパラギン、4mM L−システイン、1mM L−グルタミン酸、1mM L−メチオニンおよび5mM L−セリン(Sigma)を添加した1×塩(Hyclone)入りの特別に配合された10×無カルシウム、無グルコースおよび無グルタミンDMEM/F12から調製する。
【0307】
基礎供給培地に100mMのグルタミン(Sigma)および500mMのグルコース(Sigma)をさらに添加する。1.5時間毎に、残存するグルタミン濃度の自動オンライン測定を行う。残存するグルタミン濃度が設定した制御濃度を下回るなら、供給注入を供給培地に行い、培養グルタミン濃度を0.3mMにまで上昇させる。
【0308】
実施例13.リアルタイムPCRを用いた遺伝子発現定量化
およそ1000万個の細胞を安定な細胞から回収し、全RNAをトリゾールTM試薬(Invitrogen)によって抽出する。次いで、RNAサンプルをGeneQuantTM Pro RNA/DNA Calculator(Amersham Biosciences, Piscataway, NJ)によって定量化する。RNAの品質を260nmと280nmの吸光度比によって評価し、この場合1.8およびそれを超える比であれば、十分な純度のRNAサンプルと考えられる。
【0309】
定量的リアルタイムPCRを用いて、トランスフェクション実験後の対象となる遺伝子の相対的な過剰発現または抑制を確認する。転写産物のコピーの標準曲線を作出するため、FAIM、FADD、PDCD6またはRequiemのいずれかを保持する定量化済みのpCR(登録商標)−TOPO(登録商標)(Invitrogen)プラスミドを連続的に希釈し、定量的リアルタイムPCRに使用する。
【0310】
FAIM転写産物に対する定量的リアルタイムPCRは、5’−プライマー5’−TGGAGCTGCGAAAACCAAAG−3’および3’−プライマー5’−AAACTCGCCTGCTGTCTCCAT−3’を用いて行う。FADDドミナントネガティブ転写産物に対する定量的リアルタイムPCRは、5’−プライマー5’−GATATCGGATCCGCCACCATGG−3’および3’−プライマー5’−TGCCTCCCTTCCACCAG−GTCAG−3’を用いて行う。PDCD6転写産物に対する定量的リアルタイムPCRは、5’−プライマー5’−CAGCGGGTTGATAAAGACAGG−3’および3’−プライマー5’−GCCAGCCTTG−TTTTCTCGG−3’を用いて行う。Requiem転写産物に対する定量的リアルタイムPCRは、5’−プライマー5’−TGGAGTAGCCCAGAGCAATTG−3’および3’−プライマー5’−TCGACGCTTTTTACGCCAG−3’を用いて行う。
【0311】
次いで、各サンプルをβ−アクチン転写産物の発現に対して標準化する。β−アクチン転写産物に対する定量的リアルタイムPCRは、5’−プライマー5’−AGCTGAGAGGGAAATTGTGCG−3’および3’−プライマー5’−GCAACGG−AACCGCTCATT−3’を用いて行う。最後に、トランスフェクト細胞での標準化された定量的遺伝子発現を、空ベクターによるトランスフェクト細胞での標準化された定量的遺伝子発現で割って、標準化された相対的遺伝子発現を得る。
【0312】
実施例14.アポトーシスアッセイ
エチジウムブロマイド/アクリジンオレンジアッセイを用いて、回収されたサンプル中の細胞をアポトーシス集団または非アポトーシス集団に分類する。100μg/mLのエチジウムブロマイド(Sigma)およびアクリジンオレンジ(Sigma)のストック溶液はPBS溶液(Sigma)中で調製する。
【0313】
細胞およそ1×106個をサンプルからサンプリングし、1:1のエチジウムブロマイド:アクリジンオレンジストック溶液100μLに再懸濁し、室温で5分間インキュベートする。次いで、サンプルをスライドガラスに載せて、細胞およそ400個を蛍光顕微鏡下で調べる。
【0314】
次いで、核凝縮のアポトーシス形態を有する細胞をそれに応じて分類する。形態学的分析に加え、BD ApoAlertTMカスパーゼアッセイプレート(BD Biosciences Clontech, CA)を製造元のプロトコルに従って利用し、カスパーゼ2、3、8および9活性を測定する。カスパーゼの活性化は、アポトーシスの生化学的特徴とみなす。
【0315】
実施例15.IFN−γ定量化
連続的に希釈された上清サンプルのIFN−γ濃度を酵素結合免疫吸着(ELISA)アッセイ(HyCult Biotechnology, Uden, Netherlands)によって分析する。高生存率(>95%)の間におよび低生存率(70〜80%)の間に最大のIFN−γ濃度を有していたサンプルを、免疫アフィニティー精製およびさらなるN−糖化の特徴づけにまわす。
【0316】
実施例16.遺伝子発現検出のためのリアルタイムPCR
細胞での標的化遺伝子の発現を判定するため、定量的リアルタイムPCRを行う。リアルタイムPCRは、転写産物レベルの検出には高感度な方法と考えられる。
【0317】
遺伝子発現分析により、pcDNA3.1(+)Faimでトランスフェクトされた細胞は空のpcDNA3.1(+)でトランスフェクトされた細胞よりも3倍FAIMを過剰発現することが示される(図1)。pcDNA3.1(+)FADDドミナントネガティブでトランスフェクトされた細胞は、最大で4倍までFADDドミナントネガティブを過剰発現する(図1)。図1のデータからは、遺伝子発現を抑制するのに効果的にsiRNAを利用できることも示される。pSUPER PDCD6 siRNAでのトランスフェクションは、およそ60%だけPDCD6発現の抑制をもたらし、その一方、pSUPER Requiem siRNAは最大で70%までRequiem発現を抑制することができる(図1)。
【0318】
実施例17.チャイニーズハムスター(Cricetulus griseus)FAIMの遺伝子標的化によって付与されるアポトーシス耐性
細胞をFAIM発現ベクター(実施例8)および対照として空のベクターでトランスフェクトし、アポトーシスに対する耐性をアッセイする。
【0319】
空のベクターのみでトランスフェクトされた細胞に比べて、FAIMを過剰発現する細胞は長時間にわたって高い生存細胞密度を維持することができる(図2A)。FAIMの過剰発現を伴う細胞はまた、生存率が95%を下回り始める前に少なくとも24時間の生存率の顕著な延長を示す(図2B)。アポトーシス細胞の割合はまた、FAIMの過剰発現を伴わない対照細胞のものよりも顕著に低い(図2D)。カスパーゼ2および3活性の増大も対照細胞に比べておよそ24時間遅延される(図6B)。このことから、FAIMの過剰発現は、細胞培養過程においてアポトーシスを抑制するうえで非常に効果的でありうることが示される。
【0320】
実施例18.チャイニーズハムスター(Cricetulus griseus)FADDの遺伝子標的化によって付与されるアポトーシス耐性
細胞をFADD発現ベクター(実施例9)および対照として空のベクターでトランスフェクトし、アポトーシスに対する耐性をアッセイする。
【0321】
空のベクターのみでトランスフェクトされた細胞に比べて、FADDドミナントネガティブを過剰発現する細胞は長時間にわたって高い生存細胞密度を維持することができる(図3A)。FADDドミナントネガティブの過剰発現を伴う細胞はまた、生存率が95%を下回り始める前におよそ24時間の生存率の顕著な延長を示す(図3B)。アポトーシス細胞の割合もまた、FAIMの過剰発現を伴わない対照細胞のものよりも顕著に低い(図3D)。カスパーゼ2、3および8活性の増大も顕著に遅延される(図6C)。このデータから、カスパーゼ2および8活性しか培養の144時間後に増大せず、その一方、カスパーゼ3活性の増大は顕著に抑制されることが示された。このことから、FADDシグナル伝達の標的化は、細胞培養過程においてアポトーシスを効果的に抑制することが示される。
【0322】
実施例19.チャイニーズハムスター(Cricetulus griseus)PDCD6の遺伝子標的化によって付与されるアポトーシス耐性
細胞をPDCD6発現ベクター(実施例10)および対照として空のベクターでトランスフェクトし、アポトーシスに対する耐性をアッセイする。
【0323】
空のsiRNAベクターのみでトランスフェクトされた細胞に比べて、PDCD6の抑制を伴う細胞は長時間にわたって高い生存細胞密度を維持することができる(図4A)。PDCD6の抑制を伴う細胞はまた、生存率喪失の速度の顕著な減少を示す(図4B)。アポトーシス細胞の割合もまた、PDCD6の抑制を伴わない対照細胞のものよりも顕著に低い(図4D)。カスパーゼ2、3、8および9活性の増大も顕著に遅延される(図6D)。このデータから、カスパーゼ2、3および8活性しか培養の144時間後に増大せず、その一方、カスパーゼ9活性は常に基準点に満たないことが示された。このことから、PDCD6シグナル伝達の標的化は、細胞培養過程においてアポトーシスを効果的に抑制しうることが示される。
【0324】
実施例20.チャイニーズハムスター(Cricetulus griseus)Requiemの遺伝子標的化によって付与されるアポトーシス耐性
細胞をRequiem発現ベクター(実施例11)および対照として空のベクターでトランスフェクトし、アポトーシスに対する耐性をアッセイする。
【0325】
空のsiRNAベクターのみでトランスフェクトされた細胞に比べて、Requiemの抑制を伴う細胞は長時間にわたって高い生存細胞密度を維持することができる(図5A)。Requiemの抑制を伴う細胞はまた、生存率喪失の速度の顕著な減少を示す(図5B)。アポトーシス細胞の割合はまた、Requiemの抑制を伴わない対照細胞のものよりも顕著に低い(図5D)。カスパーゼ2、3、および9活性の増大も顕著に遅延される(図6E)。このデータから、カスパーゼ活性が対照のものよりも顕著に低いことが示された。このことから、Requiemシグナル伝達の標的化は、細胞培養過程においてアポトーシスを効果的に抑制しうることが示される。
【0326】
実施例21.組換えタンパク質回収量の改善
図7は、遺伝子標的化が最終生成物の回収量という点で細胞培養過程を改善することを示している。
【0327】
FAIMの過剰発現を伴う細胞では、対照細胞で見られる典型的な回収量2.3mg/Lに比べて最大で3.3mg/Lのインターフェロンγ回収量が可能になる(図7A)。
【0328】
FADDシグナル伝達の標的化では、最大で5.0mg/Lまでのインターフェロンγ回収濃度がさらに可能となり、200%を超える増加が示される(図7B)。
【0329】
PDCD6およびRequiemの抑制では、インターフェロンγの回収量をそれぞれ4.2mg/Lおよび5.8mg/Lにまで改善することが可能になる。
【0330】
最終的な組換えタンパク質回収量の効果的な増大に加えて、アポトーシス誘導に対する遺伝子操作細胞の強さの増大から、FADD、FAIM、PDCD6およびRequiemの遺伝子標的化は、細胞培養系でのバイオ療法薬の産生を向上させるのに効果的な新規の戦略であることが示される。
【0331】
実施例22.フェドバッチ培養での生存率上昇に加えた生存培養密度の上昇
遺伝子操作されたアポトーシス耐性細胞株が、異なるバッチおよびフェドバッチ・ストレス/栄養環境下のフェドバッチ培養で果たす能力を判定するために実験を行う。
【0332】
図8Aは、RequiemまたはPDCD6の抑制を安定に組み入れられたCHO IFN−γ細胞株の生存細胞密度を示す。PDCD6およびRequiemの抑制により、フェドバッチ培養の間の生存細胞密度の顕著な増大が可能になる。
【0333】
細胞9×106個/mLもの高い生存細胞密度を、いずれのアポトーシス標的化も伴わない細胞で典型的に見られる細胞5×106個/mLに比して達成することができる。
【0334】
FADD DNまたはFAIMの過剰発現を示す安定に組み入れられたCHO IFN−γ細胞株で実験を繰り返すと、類似の結果が確認される。
【0335】
このことから、RequiemもしくはPDCD6の抑制またはFAIMおよびFADD DNの過剰発現によるアポトーシス耐性の遺伝子工学的改変は、培養生存率の上昇を可能にするだけでなく、細胞増殖を阻害する要因に対抗するその強さに起因して、はるかに高い生存細胞密度にまで増殖する能力も付与することが実証される。
【0336】
実施例23.フェドバッチ培養での組換えタンパク質回収量の増大
図9Aは、遺伝子標的化によってインターフェロンγの産生および回収量のさらに顕著な改善が可能になることを示す。
【0337】
RequiemまたはPDCD6が安定に抑制された細胞は、それぞれ最大で49μg/mLおよび41μg/mLまでのインターフェロンγ回収量を、通常のフェドバッチ培養で見られる典型的な20μg/mLに比してもたらす。これは組換えタンパク質回収量の200%を超える改善に当たる。
【0338】
FAIMを過剰発現する細胞で実験を繰り返すと、類似の結果が認められる。
【0339】
実施例24.改変CHO細胞株での組換えヒトIFN−γのシアル化上昇−シアル酸含量アッセイ
IFN−γを発現する改変CHO細胞株を、前述のように親のCHO細胞株から産生する。
【0340】
対数増殖中期の時点でならびに最大のIFN−γ濃度が高生存率(>95%)の間におよび低生存率(70〜80%)の間に検出される時点で回収されたサンプルから、組換えIFN−γを精製する。
【0341】
次いで、IFN−γのシアル酸含量をWong et al. (2005a), Biotechnol Bioeng 89: 164-177)に記述されている改変チオバルビツール酸アッセイによって測定する。
【0342】
実施例25.改変CHO細胞株での組換えヒトIFN−γのシアル化上昇−結果
図10は、改変CHO IFN−γ細胞株および親CHO IFN−γ細胞株に対しフェドバッチ培養の間の3つの時点で、すなわち、対数期中期(>95%生存率)、静止期(>95%生存率)および死滅期(70〜80%生存率)の時点で回収された組換えヒトIFN−γのシアル化を示す。
【0343】
後者の場合、組換えヒトIFN−γのシアル酸含量は、培養が対数期中期(2.9モルSA/モルIFN−γ)〜静止期(2.3モルSA/モルIFN−γ)〜死滅期(2.1モルSA/モルIFN−γ)へ進行するにつれて減少した。
【0344】
対照的に、4つの改変CHO IFN−γ細胞株に対してその3時点で回収されたIFN−γのシアル酸含量は維持されており、2.7〜3.5モルSA/モルIFN−γに及ぶシアル化の増大さえ示した。
【0345】
これらの結果から、アポトーシス耐性CHO細胞の別の潜在的利益は、培養生存率の喪失(70〜80%)にかかわらず、長期培養時間にわたるタンパク質糖化の特質の維持/増強であることが示される。これはバイオ療法薬の製造に使われる細胞株にとって別個の利点である。シアル化度の低下はタンパク質に基づく薬物のin vivo半減期を減少しうるからである(Varki, 1993, Biotechnol Bioeng 43:423-428; Gramer et al., 1995, Glycobiology 3:97-130)。
【0346】
引用文献
本明細書中で言及した各特許出願および特許、各特許出願および特許(各特許出願および特許の審査経過中を含む)で引用または参照されている各文献(「出願引用文献」)、ならびに各特許出願および特許で、また出願引用文献のいずれかで引用または言及されているいずれの製品についての製造者による説明書もしくはカタログも、参照により本明細書中に組み入れられる。さらに、本明細書中で引用したすべての文献、本明細書中で引用した文献で引用または参照されているすべての文献、ならびに本明細書中で引用または言及したいずれの製品についての製造者による説明書もしくはカタログも、参照により本明細書中に組み入れられる。
【0347】
本発明に係る記載の方法および系の種々の改変および変形が、本発明の範囲および精神から逸脱することなく当業者には明らかであろう。本発明を具体的な好ましい実施形態との関連で記載してきたが、特許を受けようとする発明はそのような具体的な実施形態に不当に限定されるべきでないことは理解されるはずである。実際に、分子生物学または関連分野の当業者に自明な、本発明を実施するための記載の様式の種々の改変は、特許請求の範囲に含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0348】
【図1−1】対応する構築体でトランスフェクトされた細胞での、FADDドミナントネガティブおよびFAIMの過剰発現ならびにRequiemおよびPDCD6発現の抑制を示すグラフである。
【図1−2】対応する構築体でトランスフェクトされた細胞での、FADDドミナントネガティブおよびFAIMの過剰発現ならびにRequiemおよびPDCD6発現の抑制を示すグラフである。
【図2A】FAIMを過剰発現するCHO IFN−γ細胞の増殖速度を示すグラフである。図2Aは生存細胞密度(細胞/mL)を時間に対して示す。
【図2B】FAIMを過剰発現するCHO IFN−γ細胞の増殖速度を示すグラフである。図2Bは全細胞密度を時間に対して示す。
【図2C】FAIMを過剰発現するCHO IFN−γ細胞の増殖速度を示すグラフである。図2Cは生存率を時間に対して示す。細胞培養生存率の喪失は、アポトーシス細胞の顕著な減少によって(図2D)対照細胞に比べFAIMの過剰発現で顕著に低減される(図2C)。
【図2D】FAIMを過剰発現するCHO IFN−γ細胞の増殖速度を示すグラフである。図2Dはアポトーシス細胞を時間に対して示す。細胞培養生存率の喪失は、アポトーシス細胞の顕著な減少によって(図2D)対照細胞に比べFAIMの過剰発現で顕著に低減される(図2C)。
【図3A】FADDドミナントネガティブを過剰発現するCHO IFN−γ細胞の増殖速度を示すグラフである。図3Aは生存細胞密度(細胞/mL)を時間に対して示す。
【図3B】FADDドミナントネガティブを過剰発現するCHO IFN−γ細胞の増殖速度を示すグラフである。図3Bは全細胞密度を時間に対して示す。
【図3C】FADDドミナントネガティブを過剰発現するCHO IFN−γ細胞の増殖速度を示すグラフである。図3Cは生存率を時間に対して示す。細胞培養生存率の喪失は、アポトーシス細胞の顕著な減少によって(図3D)対照細胞に比べFADDドミナントネガティブの過剰発現で顕著に低減される(図3C)。
【図3D】FADDドミナントネガティブを過剰発現するCHO IFN−γ細胞の増殖速度を示すグラフである。図3Dはアポトーシス細胞を時間に対して示す。細胞培養生存率の喪失は、アポトーシス細胞の顕著な減少によって(図3D)対照細胞に比べFADDドミナントネガティブの過剰発現で顕著に低減される(図3C)。
【図4A】PDCD6の抑制を伴うCHO IFN−γ細胞の増殖速度を示すグラフである。図4Aは生存細胞密度(細胞/mL)を時間に対して示す。
【図4B】PDCD6の抑制を伴うCHO IFN−γ細胞の増殖速度を示すグラフである。図4Bは全細胞密度を時間に対して示す。
【図4C】PDCD6の抑制を伴うCHO IFN−γ細胞の増殖速度を示すグラフである。図4Cは生存率を時間に対して示す。細胞培養生存率の喪失は、アポトーシス細胞の顕著な減少によって(図4D)対照細胞に比べPDCD6が抑制される場合に顕著に低減される(図4C)。
【図4D】PDCD6の抑制を伴うCHO IFN−γ細胞の増殖速度を示すグラフである。図4Dはアポトーシス細胞を時間に対して示す。細胞培養生存率の喪失は、アポトーシス細胞の顕著な減少によって(図4D)対照細胞に比べPDCD6が抑制される場合に顕著に低減される(図4C)。
【図5A】Requiemの抑制を伴うCHO IFN−γ細胞の増殖速度を示すグラフである。図5Aは生存細胞密度(細胞/mL)を時間に対して示す。
【図5B】Requiemの抑制を伴うCHO IFN−γ細胞の増殖速度を示すグラフである。図5Bは全細胞密度を時間に対して示す。
【図5C】Requiemの抑制を伴うCHO IFN−γ細胞の増殖速度を示すグラフである。図5Cは生存率を時間に対して示す。細胞培養生存率の喪失は、アポトーシス細胞の顕著な減少によって(図5D)対照細胞に比べRequiemが抑制される場合に顕著に低減される(図5C)。
【図5D】Requiemの抑制を伴うCHO IFN−γ細胞の増殖速度を示すグラフである。図5Dはアポトーシス細胞を時間に対して示す。細胞培養生存率の喪失は、アポトーシス細胞の顕著な減少によって(図5D)対照細胞に比べRequiemが抑制される場合に顕著に低減される(図5C)。
【図6A】CHO細胞培養でのカスパーゼ2、3、8および9の活性を示すグラフである。FAIM、FADDドミナントネガティブ、PDCD6またはRequiemの遺伝子標的化では、培養においてカスパーゼ活性を抑制し、かつ/または遅延させることができる。図6Aは対照でトランスフェクトされた細胞でのカスパーゼ活性を示す。
【図6B】CHO細胞培養でのカスパーゼ2、3、8および9の活性を示すグラフである。FAIM、FADDドミナントネガティブ、PDCD6またはRequiemの遺伝子標的化では、培養においてカスパーゼ活性を抑制し、かつ/または遅延させることができる。図6BはFAIMを過剰発現する細胞でのカスパーゼ活性を示す。
【図6C】CHO細胞培養でのカスパーゼ2、3、8および9の活性を示すグラフである。FAIM、FADDドミナントネガティブ、PDCD6またはRequiemの遺伝子標的化では、培養においてカスパーゼ活性を抑制し、かつ/または遅延させることができる。図6CはFADDドミナントネガティブを過剰発現する細胞でのカスパーゼ活性を示す。
【図6D】CHO細胞培養でのカスパーゼ2、3、8および9の活性を示すグラフである。FAIM、FADDドミナントネガティブ、PDCD6またはRequiemの遺伝子標的化では、培養においてカスパーゼ活性を抑制し、かつ/または遅延させることができる。図6DはPDCD6の抑制を伴う細胞でのカスパーゼ活性を示す。
【図6E】CHO細胞培養でのカスパーゼ2、3、8および9の活性を示すグラフである。FAIM、FADDドミナントネガティブ、PDCD6またはRequiemの遺伝子標的化では、培養においてカスパーゼ活性を抑制し、かつ/または遅延させることができる。図6EはRequiemの抑制を伴う細胞でのカスパーゼ活性を示す。
【図7A】トランスフェクトされたCHO IFN−γ細胞についてのインターフェロン−γ回収量を示すグラフである。図7AはFAIMを過剰発現する細胞でのインターフェロン−γ活性を示す。最大で300%までのインターフェロンγ回収量の顕著な改善を遺伝子標的化法によって達成することができる。
【図7B】トランスフェクトされたCHO IFN−γ細胞についてのインターフェロン−γ回収量を示すグラフである。図7BはFADDドミナントネガティブを過剰発現する細胞でのインターフェロン−γ活性を示す。最大で300%までのインターフェロンγ回収量の顕著な改善を遺伝子標的化法によって達成することができる。
【図7C】トランスフェクトされたCHO IFN−γ細胞についてのインターフェロン−γ回収量を示すグラフである。図7CはPDCD6の抑制を伴う細胞でのインターフェロン−γ活性を示す。最大で300%までのインターフェロンγ回収量の顕著な改善を遺伝子標的化法によって達成することができる。
【図7D】トランスフェクトされたCHO IFN−γ細胞についてのインターフェロン−γ回収量を示すグラフである。図7DはRequiemの抑制を伴う細胞でのインターフェロン−γ活性を示す。最大で300%までのインターフェロンγ回収量の顕著な改善を遺伝子標的化法によって達成することができる。
【図8A】フェドバッチ培養におけるRequiemもしくはPDCD6抑制またはFADD DNもしくはFAIM*過剰発現のいずれかを伴う安定なCHO IFN−γクローンの生存細胞密度を示す(示されるデータは2回の二つ組の実験の平均である)。
【図8B】フェドバッチ培養におけるRequiemもしくはPDCD6抑制またはFADD DNもしくはFAIM*過剰発現のいずれかを伴う安定なCHO IFN−γクローンの生存細胞密度を示す。
【図9A】フェドバッチ培養におけるRequiemもしくはPDCD6抑制またはFADD DN*もしくはFAIM*過剰発現のいずれかを伴う安定なCHO IFN−γクローンのインターフェロンγ回収量を示す(示されるデータは2回の二つ組の実験の平均である)。
【図9B】フェドバッチ培養におけるRequiemもしくはPDCD6抑制またはFADD DN*もしくはFAIM*過剰発現のいずれかを伴う安定なCHO IFN−γクローンのインターフェロンγ回収量を示す。
【図10】フェドバッチ培養の対数期中期、静止期および死滅期の間のRequiemもしくはPDCD6抑制またはFADD DN*もしくはFAIM*過剰発現のいずれかを伴う安定なCHO IFN−γクローンにおける組換えIFN−γのシアル化を示す。
【技術分野】
【0001】
本発明はバイオテクノロジーおよび分子生物学の分野に関する。本発明は詳細には、アポトーシス過程の仲介に関与するチャイニーズハムスター、Cricetulus griseus由来の新規遺伝子に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒトゲノムプロジェクトの完了によって、治療上の潜在能力を有するいっそう多くのタンパク質が日々発見されている。これらの新たなバイオ療法薬の多くでは、世界的需要を満たすため高度に生産的な製造過程の開発が必要になることが多い。複雑な治療用生物製剤の生産に最もよく使われる細胞株の1つが、もとはチャイニーズハムスター(Cricetulus griseus)に由来するチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞である。
【0003】
しかしながら、チャイニーズハムスター(Cricetulus griseus)のゲノムは、十分には明らかになっておらず、具体的には、生理学的に重要な過程を制御する、その生物の遺伝子に関する知識が欠如している。
【0004】
米国特許第6,562,797号は、Fas受容体の細胞質領域またはドメインを結合する能力を有するFADDと名付けられた哺乳動物の精製タンパク質について記述している。この文献は、FAS関連アポトーシスを調節する方法についても記述している。しかしながら、開示されている唯一の配列はヒト由来のものである。
【0005】
米国特許第6,683,168号および米国特許出願公開第2004/0121389号は、FAIM配列の配列をいくつかの形で、すなわち短いもの、長いもの、非常に長いものおよび肺がんに関連したものを記述している。これらの配列はヒトおよびマウス配列である。
【0006】
米国特許第6,544,523号は、FasリガンドをコードするDNAの配列を記載している。米国特許第6,451,759号は、そのようなリガンドの非切断性の変形物について記述している。
【発明の開示】
【0007】
概要
本発明者らは、チャイニーズハムスター(Cricetulus griseus)FAIM、FADD、PDCD6およびRequiemの配列を初めて記述する。
【0008】
本発明の第1の態様によれば、本発明者らは以下のもの:(a)配列番号1に示される配列に対して少なくとも97%の配列同一性を有するcgFAIM配列;(b)配列番号2に示される配列に対して少なくとも69%の配列同一性を有するcgFADD配列;(c)配列番号3に示される配列に対して少なくとも89%の配列同一性を有するcgPDCD6配列;(d)配列番号4に示される配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するcgRequiem配列;(e)上記(a)〜(d)のいずれかの少なくとも15個の連続した残基からなる断片である配列より選択される配列であって、細胞のアポトーシスを仲介することが可能な配列を含んでなる、単離されたポリペプチドを提供する。
【0009】
本発明の第2の態様によれば、細胞のアポトーシスを仲介することが可能なチャイニーズハムスター(Cricetulus griseus)の配列であって、配列番号1に示されるcgFAIM配列;配列番号2に示されるcgFADD配列;配列番号3に示されるcgPDCD6配列;および配列番号4に示されるcgRequiem配列から選択される配列を含んでなる、単離されたポリペプチドが提供される。
【0010】
本発明の第1の態様によれば、本発明者らは、細胞のアポトーシスを仲介することが可能なチャイニーズハムスター(Cricetulus griseus)の配列であって、配列番号1に示されるcgFAIM配列;配列番号2に示されるcgFADD配列;配列番号3に示されるcgPDCD6配列;および配列番号4に示されるcgRequiem配列から選択される配列を含んでなる、単離されたポリペプチドを提供する。
【0011】
本発明の第2の態様によれば、以下のもの:(a)配列番号1に示される配列に対して少なくとも97%の配列同一性を有するcgFAIM配列;(b)配列番号2に示される配列に対して少なくとも69%の配列同一性を有するcgFADD配列;(c)配列番号3に示される配列に対して少なくとも89%の配列同一性を有するcgPDCD6配列;(d)配列番号4に示される配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するcgRequiem配列;(e)上記(a)〜(d)のいずれかの少なくとも15個の連続した残基からなる断片である配列より選択される配列を含んでなる、単離されたポリペプチドが提供される。
【0012】
本発明の第3の態様によれば、本発明者らは、前記配列が、好ましくは、配列番号5、配列番号6、配列番号7および配列番号8からなる群より選択される、前記ポリペプチドをコードする配列を含んでなる、単離されたポリヌクレオチドを提供する。
【0013】
本発明の第4の態様として、以下のもの:(a)配列番号5に示される配列に対して90%以上の配列同一性を有するcgFAIM配列;(b)配列番号6に示される配列に対して90%以上の配列同一性を有するcgFADD配列;(c)配列番号7に示される配列に対して93%以上の配列同一性を有するcgPDCD6配列;(d)配列番号8に示される配列に対して89%以上の配列同一性を有するcgRequiem配列;(e)上記(a)〜(d)のいずれかの少なくとも15個の連続した残基からなる断片である配列からなる群より選択される配列、またはそれに相補的な配列、ストリンジェントな条件下でそれにハイブリダイズ可能な配列、もしくは遺伝コードによるその縮重である配列を含んでなる、単離されたポリヌクレオチドが提供される。
【0014】
本発明の第5の態様によれば、本発明者らは、調節配列に機能的に連結された、上記に記載のポリヌクレオチドまたはその一部分を含んでなる発現配列であって、該調節配列は該ポリヌクレオチドの発現を誘導することが可能なものである発現配列を提供する。
【0015】
好ましくは、そのような発現配列は発現ベクターである。
【0016】
第6の態様において、本発明は、上記に記載のポリヌクレオチドを含んでなるベクターであって、細胞に曝露した場合に、該細胞によるcgFAIM、cgFADD、cgPDCD6またはcgRequiemの発現を変化させることが可能なベクターを提供する。
【0017】
好ましくは、上記ベクターは、チャイニーズハムスター(Cricetulus griseus)FAIM配列またはその一部分を含んでなり、細胞でのcgFAIMのアップレギュレーションを行うことが可能であり、好ましくはpcDNA3.1(+)FAIM(配列番号37)である。
【0018】
好ましくは、上記ベクターは、チャイニーズハムスター(Cricetulus griseus)FADD配列またはその一部分を含んでなり、細胞でのcgFADDのダウンレギュレーションを行うことが可能であり、好ましくはpcDNA3.1(+)FADD DN(配列番号38)である。
【0019】
好ましくは、上記ベクターは、チャイニーズハムスター(Cricetulus griseus)PDCD6配列またはその一部分を含んでなり、細胞でのcgPDCD6のダウンレギュレーションを行うことが可能であり、好ましくはpSUPER.neo.PDCD6 siRNA(配列番号39)である。
【0020】
好ましくは、上記ベクターは、チャイニーズハムスター(Cricetulus griseus)Requiem配列またはその一部分を含んでなり、細胞でのcgRequiemのダウンレギュレーションを行うことが可能であり、好ましくはpSUPER.neo.Requiem siRNA(配列番号40)である。
【0021】
本発明の第7の態様において、前記発現配列または前記ベクターを含んでなる細胞であって、好ましくは前記発現配列が導入されている細胞が提供される。
【0022】
本発明の第8の態様によれば、本発明者らは、前記ポリペプチド、前記ポリヌクレオチド、前記発現配列、前記ベクター、または前記細胞を、製薬上許容される担体もしくは希釈剤とともに含んでなる、医薬組成物を提供する。
【0023】
本発明の第9の態様によれば、本発明者らは、以下のステップ:(a)前記ポリヌクレオチド配列と調節配列とを含んでなる発現配列であって、該調節配列は該ポリヌクレオチド配列からのポリペプチドの発現を誘導することが可能なものを用意するステップ、(b)該調節配列の制御下に該発現配列から該ポリペプチドを発現させるステップ、および(c)任意により該ポリペプチドを精製するステップを含む、ポリペプチドの生成方法を提供する。
【0024】
好ましくは、前記発現配列が発現ベクターを含み、該発現ベクターは、細胞に、好ましくはチャイニーズハムスター(Cricetulus griseus)細胞にトランスフェクトされることにより該細胞による前記ポリペプチドの発現を可能にするものである。
【0025】
本発明の第10の態様によれば、配列番号1に示される配列を有するcgFAIMポリペプチドまたは配列番号5に示される配列を有するcgFAIMポリヌクレオチドの、細胞での、好ましくはチャイニーズハムスター(Cricetulus griseus)細胞での発現を変化させるステップ、好ましくはアップレギュレートするステップを含む方法が提供される。
【0026】
本発明の第11の態様として、本発明者らは、配列番号2に示される配列を有するcgFADDポリペプチド、配列番号3に示される配列を有するcgPDCD6ポリペプチドもしくは配列番号4に示される配列を有するcgRequiemポリペプチド、または配列番号6に示される配列を有するcgFAIMポリヌクレオチド、配列番号7に示される配列を有するcgPDCD6ポリヌクレオチドもしくは配列番号8に示される配列を有するcgRequiemポリヌクレオチドの、細胞での、好ましくはチャイニーズハムスター(Cricetulus griseus)細胞での発現を変化させるステップ、好ましくはダウンレギュレートするステップを含む方法を提供する。
【0027】
好ましくは、上記方法は、前記ベクターを細胞に曝露するステップ、好ましくは該ベクターで細胞をトランスフェクトするステップを含む。
【0028】
本発明の第12の態様によれば、本発明者らは、配列番号1に示される配列を有するポリペプチドまたは配列番号5に示される配列を有するポリヌクレオチドの発現を、改変されていない細胞と比較してアップレギュレートするように改変されている、好ましくは遺伝子操作されている細胞、好ましくはチャイニーズハムスター(Cricetulus griseus)細胞を提供する。
【0029】
本発明の第13の態様によれば、本発明者らは、配列番号2、3もしくは4に示される配列を有するポリペプチドまたは配列番号6、7もしくは8に示される配列を有するポリヌクレオチドの発現を、改変されていない細胞と比較してダウンレギュレートするように改変されている、好ましくは遺伝子操作されている細胞、好ましくはチャイニーズハムスター(Cricetulus griseus)細胞を提供する。
【0030】
本発明の第14の態様によれば、前記細胞、またはその子孫細胞を含んでなる細胞株、好ましくはチャイニーズハムスター(Cricetulus griseus)細胞株が提供される。
【0031】
本発明の第15の態様によれば、本発明者らは、前記細胞、もしくはその子孫細胞、または記載の細胞株を含んでなる細胞培養物を提供する。
【0032】
本発明の第16の態様によれば、本発明者らは、前記細胞、またはその子孫細胞を含んでなるトランスジェニック非ヒト動物、好ましくはチャイニーズハムスター(Cricetulus griseus)を提供する。
【0033】
前記ポリペプチドの発現が変化させられていない細胞と比較して、(i)前記細胞の細胞生存率が増大しているかもしくは上昇しており、好ましくは該細胞のアポトーシスが減少しており;(ii)該細胞のタンパク質回収量、好ましくは組換え発現タンパク質回収量が増大しているかもしくは上昇しており;かつ/または(iii)細胞により発現されるタンパク質の糖化、好ましくはシアル化が増大しているかもしくは上昇していることが好ましい。
【0034】
本発明の第17の態様によれば、本発明者らは、タンパク質、好ましくは異種タンパク質、より好ましくは外来性に導入された配列由来のタンパク質、最も好ましくは組換えタンパク質の生成のための、記載の方法、記載の細胞、記載の細胞株、記載の細胞培養物、または記載のトランスジェニック非ヒト動物の使用を提供する。
【0035】
本発明の第18の態様によれば、本発明者らは、組換えタンパク質の生成方法であって、前記細胞を用意するステップ、該組換えタンパク質を発現させることが可能な発現ベクターを用いて該細胞をトランスフェクトするステップ、および該細胞での該組換えタンパク質の発現を引き起こすステップを含む、上記方法を提供する。
【0036】
本発明の第19の態様によれば、本発明者らは、配列番号9に示されるcgFADDドミナントネガティブ配列を含んでなるポリペプチド、もしくは当該ポリペプチドをコードすることが可能なポリヌクレオチド、好ましくは配列番号10に示されるポリヌクレオチド、またはその断片、ホモログ、変異体もしくは誘導体を提供する。
【0037】
本発明の第20の態様として、本発明者らは、本発明の第17または第18の態様に記載の方法により生成可能なポリペプチド、好ましくは組換えタンパク質、より好ましくはインターフェロンγであって、改変されていない細胞から生成可能なポリペプチドと比較してシアル化が増大しているポリペプチドを提供する。
【0038】
前記シアル化は、2.9モルシアル酸/モル生成ポリペプチドより多く、好ましくは約3.5モルシアル酸/モル生成ポリペプチドであることが好ましい。
【0039】
本発明のさらに詳しくかつ好ましい実施形態は、独立項および従属項として添付の特許請求の範囲に記載されている。従属項の特徴は、必要に応じて独立項の特徴と、また特許請求の範囲に明記されているもの以外の組み合わせで組み合わせることができる。
【0040】
本発明の実施では、特に指定のない限り、当業者の能力の範囲内である、化学、分子生物学、微生物学、組換えDNAおよび免疫学の従来技術を利用することができよう。そのような技術は文献の中で説明されている。例えば、J. Sambrook, E. F. Fritsch, and T. Maniatis, 1989, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Second Edition, Books 1-3, Cold Spring Harbor Laboratory Press; Ausubel, F. M. et al. (1995および定期的追補版; Current Protocols in Molecular Biology, ch. 9, 13, and 16, John Wiley & Sons, New York, N.Y.); B. Roe, J. Crabtree, and A. Kahn, 1996, DNA Isolation and Sequencing: Essential Techniques, John Wiley & Sons; J. M. Polak and James O'D. McGee, 1990, In Situ Hybridization: Principles and Practice; Oxford University Press; M. J. Gait (編), 1984, Oligonucleotide Synthesis: A Practical Approach, Irl Press; D. M. J. Lilley and J. E. Dahlberg, 1992, Methods of Enzymology: DNA Structure Part A: Synthesis and Physical Analysis of DNA Methods in Enzymology, Academic Press; Using Antibodies : A Laboratory Manual : Portable Protocol NO. I by Edward Harlow, David Lane, Ed Harlow (1999, Cold Spring Harbor Laboratory Press, ISBN 0-87969-544-7); Antibodies : A Laboratory Manual by Ed Harlow (編), David Lane (編) (1988, Cold Spring Harbor Laboratory Press, ISBN 0-87969-314-2), 1855, Lars-Inge Larsson 「Immunocytochemistry: Theory and Practice」, CRC Press inc., Baca Raton, Florida, 1988, ISBN 0-8493-6078-1, John D. Pound (編); 「Immunochemical Protocols, vol 80」, シリーズ中:「Methods in Molecular Biology」, Humana Press, Totowa, New Jersey, 1998, ISBN 0-89603-493-3, Handbook of Drug Screening, Ramakrishna Seethala, Prabhavathi B. Fernandes (2001, New York, NY, Marcel Dekker, ISBN 0-8247-0562-9)編; Lab Ref: A Handbook of Recipes, Reagents, and Other Reference Tools for Use at the Bench, Jane Roskams and Linda Rodgers編, 2002, Cold Spring Harbor Laboratory, ISBN 0-87969-630-3; およびThe Merck Manual of Diagnosis and Therapy (第17版, Beers, M. H., and Berkow, R(編), ISBN: 0911910107, John Wiley & Sons)を参照されたい。これらの一般的なテキストの各々は、参照により本明細書に組み入れられる。
【0041】
配列表
配列番号1はチャイニーズハムスター(C. griseus)FAIMのアミノ酸配列の配列である。配列番号2はチャイニーズハムスター(C. griseus)FADDのアミノ酸配列である。配列番号3はチャイニーズハムスター(C. griseus)PDCD6のアミノ酸配列である。配列番号4はチャイニーズハムスター(C. griseus)Requiemのアミノ酸配列である。
【0042】
配列番号5はチャイニーズハムスター(C. griseus)FAIMの核酸配列である。配列番号6はチャイニーズハムスター(C. griseus)FADDの核酸配列である。配列番号7はチャイニーズハムスター(C. griseus)PDCD6の核酸配列である。配列番号8はチャイニーズハムスター(C. griseus)Requiemの核酸配列である。
【0043】
配列番号9はチャイニーズハムスター(C. griseus)FADDドミナントネガティブのアミノ酸配列である。配列番号10はチャイニーズハムスター(C. griseus)FADDドミナントネガティブの核酸配列である。配列番号11はチャイニーズハムスター(C. griseus)FADDドミナントネガティブ5’−PCRプライマーの配列である。配列番号12はチャイニーズハムスター(C. griseus)FADDドミナントネガティブ3’−PCRプライマーの配列である。配列番号13はチャイニーズハムスター(C. griseus)PDCD6抑制ベクターインサート5’の配列である。配列番号14はチャイニーズハムスター(C. griseus)PDCD6抑制ベクターインサート3’の配列である。配列番号15はチャイニーズハムスター(C. griseus)Requiem抑制ベクターインサート5’の配列である。配列番号16はチャイニーズハムスター(C. griseus)Requiem抑制ベクターインサート3’の配列である。
【0044】
配列番号17はチャイニーズハムスター(C. griseus)FAIM 5’PCRプライマーの配列である。配列番号18はチャイニーズハムスター(C. griseus)FAIM 3’PCRプライマーの配列である。配列番号19はチャイニーズハムスター(C. griseus)FADD 5’PCRプライマーの配列である。配列番号20はチャイニーズハムスター(C. griseus)FADD 3’PCRプライマーの配列である。配列番号21はチャイニーズハムスター(C. griseus)PDCD6 5’PCRプライマーの配列である。配列番号22はチャイニーズハムスター(C. griseus)PDCD6 3’PCRプライマーの配列である。配列番号23はチャイニーズハムスター(C. griseus)PDCD6 3’−RACEプライマーの配列である。配列番号24はチャイニーズハムスター(C. griseus)Requiem 5’PCRプライマーの配列である。配列番号25はチャイニーズハムスター(C. griseus)Requiem 3’PCRプライマーの配列である。配列番号26はチャイニーズハムスター(C. griseus)Requiem 3’−RACEプライマーの配列である。
【0045】
配列番号27はチャイニーズハムスター(C. griseus)FAIMの定量的リアルタイムPCRプライマー5’の配列である。配列番号28はチャイニーズハムスター(C. griseus)FAIMの定量的リアルタイムPCRプライマー3’の配列である。配列番号29はチャイニーズハムスター(C. griseus)FADDの定量的リアルタイムPCRプライマー5’の配列である。配列番号30はチャイニーズハムスター(C. griseus)FADDの定量的リアルタイムPCRプライマー3’の配列である。配列番号31はチャイニーズハムスター(C. griseus)PDCD6の定量的リアルタイムPCRプライマー5’の配列である。配列番号32はチャイニーズハムスター(C. griseus)PDCD6の定量的リアルタイムPCRプライマー3’の配列である。配列番号33はチャイニーズハムスター(C. griseus)Requiemの定量的リアルタイムPCRプライマー5’の配列である。配列番号34はチャイニーズハムスター(C. griseus)Requiemの定量的リアルタイムPCRプライマー3’の配列である。配列番号35はβ−アクチンの定量的リアルタイムPCRプライマー5’の配列である。
【0046】
配列番号36はβ−アクチンの定量的リアルタイムPCRプライマー3’の配列である。配列番号37はプラスミドpcDNA3.1(+)FAIMの核酸配列である。配列番号38はプラスミドpcDNA3.1(+)FADD DNの核酸配列である。配列番号39はプラスミドpSUPER.neo.PDCD6 siRNAの核酸配列である。配列番号40はプラスミドpSUPER.neo.Requiem siRNAの核酸配列である。
【0047】
本明細書中に記載されている方法および組成物は配列表に示された配列のうちのいずれか1つまたは複数を好適に用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0048】
詳細な説明
チャイニーズハムスター配列
本開示は全体として、細胞でのアポトーシスを変化させることが可能な、チャイニーズハムスター(Cricetulus griseus)由来のある種の核酸、ポリペプチド、ならびにその断片、ホモログ、変異体および誘導体を提供する。
【0049】
具体的には、本発明者らは配列表に記載のチャイニーズハムスターFADD、FAIM、PDCD6およびRequiemのポリペプチドおよび核酸配列を提供する。さらに本発明者らはそのような遺伝子、断片、ホモログの使用を提供する。
【0050】
特に好ましい使用は、生存率の増大、タンパク質(特に組換えタンパク質)を発現する能力の増大およびそのようなタンパク質の糖化、好ましくはシアル化の増大などの、特性の増強のための、細胞、特にチャイニーズハムスター卵巣細胞の改変を含む。そのような改変細胞およびこれらの誘導体(コロニー、クローン、細胞株などのような)は、以下にさらに詳細に記述されており、組換えタンパク質の生成のためのアポトーシス耐性細胞として使用することができる。
【0051】
cgFAIM、cgFADD、cgPDCD6およびcgRequiemポリペプチド
本明細書に開示されるポリペプチド配列は、配列表に記載されている特定の配列、もしくはその断片、またはcgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/もしくはcgRequiemタンパク質から得られる配列に限定されるものだけではなく、場合によっては、任意の供給源、例えば、関連する細胞ホモログ、その他の種由来のホモログおよびその変異体または誘導体から得られる相同配列も、それらがcgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemの生物学的活性の少なくとも1つを有するならば、含まれることが理解されるであろう。
【0052】
本開示はしたがって、配列表に記載されているアミノ酸配列の変異体、ホモログまたは誘導体、ならびに本明細書に開示されるヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列の変異体、ホモログまたは誘導体を包含する。そのような配列は、場合によっては、「cgFADD配列」、「cgFAIM配列」、「cgPDCD6配列」、または「cgRequiem配列」と一般に称される。
【0053】
生物学的活性
非常に好ましい実施形態において、配列は、場合によっては、cgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemの少なくとも1つの生物学的活性を含む。
【0054】
好ましくは、cgFAIMの場合、生物学的活性は、好ましくはカスパーゼ活性のダウンレギュレーションによってアッセイされる、アポトーシス阻害活性を含む。すなわち、本明細書に記述されるcgFADD配列は、アポトーシスを阻害できることが、具体的には細胞との関連でカスパーゼ活性をダウンレギュレートできることが好ましい。
【0055】
非常に好ましい態様において、そのような方法を用いてアッセイされる場合、cgFAIM配列は、細胞にトランスフェクトされたとき、当該cgFAIM配列でそのようにトランスフェクトされていない細胞と比較して、少なくとも10%、好ましくは20%、より好ましくは30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%またはそれ以上だけアポトーシスを阻害できる。
【0056】
cgFADD、cgPDCD6およびcgRequiemの場合、生物学的活性は、好ましくはカスパーゼ活性のアップレギュレーションによってアッセイされる、アポトーシス刺激活性を含むことが好ましい。すなわち、本明細書に記述されるcgFADD、cgPDCD6およびcgRequiem配列は、アポトーシスを上方刺激できることが、具体的には細胞との関連でカスパーゼ活性をアップレギュレートできることが好ましい。
【0057】
非常に好ましい実施形態において、そのような方法を用いてアッセイされる場合、cgFADD、cgPDCD6およびcgRequiem配列は、細胞にトランスフェクトされたとき、当該cgFADD、cgPDCD6またはcgRequiem配列でそのようにトランスフェクトされていない細胞と比較して、少なくとも10%、好ましくは20%、より好ましくは30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%またはそれ以上だけアポトーシスを刺激できる。
【0058】
非常に好ましい実施形態において、cgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiem配列によるアポトーシスの活性化または抑制は、カスパーゼ活性のアッセイによりアッセイされる。すなわち、上記に示されるアポトーシスの刺激または抑制の割合は、非常に好ましい態様においてカスパーゼ活性の刺激または抑制の割合として測定されることができる。
【0059】
すなわち、比色法または蛍光法を利用したカスパーゼ活性測定アッセイなどのアポトーシス活性モニタリング法を用いて、cgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemの生化学的活性を確認することができる。そのような方法を、例えば当技術分野において公知の手段により、または実施例に示されるプロトコルを利用し、適切な発現構築物でトランスフェクトされた細胞で行って、アポトーシスが影響を受けているかどうかおよび/またはカスパーゼ活性がアップレギュレートもしくはダウンレギュレートされているかどうかを判定することができる。
【0060】
カスパーゼは、アポトーシスを仲介するシステインプロテアーゼの大きなファミリーである(Nicholson & Thornberry 1997; Thornberry & Littlewood 1998)。カスパーゼ−8は、受容体介在性アポトーシス経路の最も上流に作用するイニシエーターカスパーゼである。細胞表面受容体の活性化によって、カスパーゼ−8は、カスパーゼ−3などの下流のエフェクターカスパーゼのタンパク質分解活性を直接的にまたは間接的に惹起する(Srinivasula et al 1996およびCohen 1997)。同様に、別の上流カスパーゼであるカスパーゼ−9は、ミトコンドリアからのシトクロムcのサイトゾルへの放出を介して活性化される。放出されたシトクロムcはアポトーシスプロテアーゼ活性化因子APAF−1に結合し、プロカスパーゼ−9を活性化する複合体を形成する(Zou et al 1999およびHu et al 1999)。活性型カスパーゼ−9は、カスパーゼ−3およびその他の下流カスパーゼを同様に活性化するプロテアーゼカスケードを惹起する。
【0061】
好ましい態様において、アポトーシス活性のアップレギュレーションまたはダウンレギュレーションを判定するためにアッセイされるカスパーゼ活性は、カスパーゼ−8またはカスパーゼ−9を含む。
【0062】
カスパーゼ−8およびカスパーゼ−9活性をアッセイする方法は、当技術分野において公知であり、例えば、Nicholson DW and Thornberry NA (1997) Caspases: killer proteases. Trends Biochem Sci. 272: 2952-2956およびThornberry NA and Littlewood Y (1998) Caspases: Enemies within. Science 281:1312-1316に明確に記述されている。先行技術において示されるプロトコルのいずれかを用いて、カスパーゼ活性をアッセイすることができる。
【0063】
しかしながら、好ましい実施形態では、以下に示される「カスパーゼアッセイプロトコル」を利用して、カスパーゼ−8および/またはカスパーゼ−9活性をアッセイする。
【0064】
カスパーゼアッセイプロトコル
カスパーゼ活性は、ウェルに固定化された種々のカスパーゼに特異的な蛍光発生基質を利用することでアッセイすることができる。活性カスパーゼを含有する細胞溶解液のウェルへの添加によって、基質が切断され、標準的な蛍光プレートリーダーを用いて検出できる蛍光生成物が放出されるであろう。
【0065】
具体的には、BD ApoAlertTMカスパーゼアッセイプレート(カタログ番号K2033-1、BD Biosciences Clontech、Palo Alto、California、USA)では、それぞれの活性カスパーゼにより認識される短いペプチドで構成される種々のカスパーゼ基質を使っている。それらのペプチドは蛍光色素7−アミノ−4−メチルクマリン(AMC)に共有結合している。ペプチド結合AMCはUV領域(λmax=380nm)で発光し、その一方で未結合AMCは緑色領域(λmax=460nm)で発光する。これによって、460nmでの蛍光強度の増大を試験サンプル中の各カスパーゼの活性の増大と関連づけることが可能になる。カスパーゼ−8活性をアッセイする場合、使われる基質はVDVAD−AMCであり、その一方、カスパーゼ−9活性のアッセイでは、その基質としてLEHD−AMCを用いる。
【0066】
BD ApoAlertTMカスパーゼアッセイプレートを用いてカスパーゼ活性をアッセイするため、サンプルからの細胞を遠心分離によってペレットにし、その後、1×細胞溶解緩衝液(BD Biosciences Clontech)に再懸濁し、氷上で10分間インキュベートする。次いで、細胞残屑を4℃で5分間の遠心分離によって除去する。次に、2×反応緩衝液/DTT混合物50μLを、使用されうる96ウェルプレートの各ウェルに加える。このプレートを37℃で5分間プレインキュベートする。次いで、適切な細胞溶解液50μLをウェルに加え、37℃で2時間インキュベートする。次に、蛍光プレートリーダーを用いて、放出されたAMCの量を測定する(380nmで励起、460nmで発光)。
【0067】
カスパーゼ活性は、参照サンプルの460nmでの絶対発光の減算後のサンプルの460nmでの絶対発光と定義される。参照サンプルは、時間基準ゼロで回収されたサンプルである。
【0068】
cgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiem発現ベクターでトランスフェクトされた細胞のカスパーゼ活性を空のベクターでトランスフェクトされた(またはトランスフェクトされていない)細胞と比較して、場合により、アポトーシスが刺激されているかまたは抑制されている割合を測定することができる。
【0069】
好ましい実施形態において、そのような方法を用いてアッセイされる場合、cgFAIM配列は、細胞にトランスフェクトされたとき、当該cgFAIM配列でそのようにトランスフェクトされていない細胞と比較して、少なくとも10%、好ましくは20%、より好ましくは30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%またはそれ以上だけカスパーゼ−8、もしくはカスパーゼ−9、またはその両方の発現を阻害できる。
【0070】
非常に好ましい実施形態において、そのような方法を用いてアッセイされる場合、cgFADD、cgPDCD6およびcgRequiem配列は、細胞にトランスフェクトされたとき、当該cgFADD、cgPDCD6またはcgRequiem配列でそのようにトランスフェクトされていない細胞と比較して、少なくとも10%、好ましくは20%、より好ましくは30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%またはそれ以上だけカスパーゼ−8、もしくはカスパーゼ−9、またはその両方の発現を刺激できる。
【0071】
膜変化、DNA断片化およびその他アポトーシスの生化学的特徴などのアポトーシス関連事象を検出するその他のアッセイを、記述のアッセイに代えて、または加えて、用いることもできる。
【0072】
ホモログ
開示されるポリペプチドは、任意の供給源から得られる相同配列、例えば、関連するウイルス/細菌タンパク質、細胞ホモログおよび合成ペプチド、ならびにその変異体または誘導体を含む。すなわち、ポリペプチドは同様に、哺乳動物(例えば、マウス、ラットまたはウサギ)、特に齧歯類などの動物を含めたその他の種由来のcgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemのホモログをコードするものを含む。
【0073】
本明細書との関連で、相同配列またはホモログは、場合によって、例えば本明細書において配列表に示されるcgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemと少なくとも30、好ましくは40、50、60、70、80、90または100アミノ酸にわたりアミノ酸レベルで少なくとも60、65、70、75、80、85、86、87、88、89または90%同一である、好ましくは少なくとも91、92、93、94、95、96、97、98または99%同一であるアミノ酸配列を含むと解釈される。本明細書との関連で、相同配列はcgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemの配列と、好ましくは、少なくとも15、25、35、50または100、好ましくは200、300、400または500アミノ酸にわたり、アミノ酸レベルで少なくとも15、20、25、30、40、50、60、65、70、75、80、85、86、97、88、89または90%同一である、好ましくは少なくとも91、92、93、94、95、96、97、98または99%同一であるアミノ酸配列を含むと解釈される。例えば、配列は、cgFADD(好ましくは配列番号1に示される配列を含む)、cgFAIM(好ましくは配列番号2に示される配列を含む)、cgPDCD6(好ましくは配列番号3に示される配列を含む)またはcgRequiem(好ましくは配列番号4に示される配列を含む)に対し表示の配列同一性を有することができる。
【0074】
相同性は類似性(すなわち、類似の化学的特性/機能を有するアミノ酸残基)という点でも考慮されうるが、本明細書との関連では、相同性を配列同一性という点で表現することが好ましい。非常に好ましい実施形態において、配列同一性は関連配列長の全体に対して、すなわち、例えば関連遺伝子の全長または完全長配列にわたって判定される。
【0075】
相同性比較は目測で、またはより一般的には、容易に利用可能な配列比較プログラムの助けで行うことができる。これらの市販のコンピュータプログラムでは、2つまたはそれ以上の配列間の%相同性を計算することができる。
【0076】
%相同性は連続した配列にわたって計算することができ、すなわち、一方の配列を他方の配列と整列させ、一方の配列中の各アミノ酸を、一度に1残基ずつ、他方の配列中の対応するアミノ酸と直接的に比較する。これは「ギャップなしのアライメント」と呼ばれる。典型的には、そのようなギャップなしのアライメントは、比較的短い残基数(例えば50未満の連続したアミノ酸)にわたってのみ行われる。
【0077】
これは非常に単純かつ一貫した方法であるが、例えば、別の方法で同一な配列の対において、1つの挿入または欠失は、それ以降のアミノ酸残基がアライメント外に配される原因となり、それによってグローバルアライメントが行われる場合に%相同性の大幅な低下を引き起こす可能性があることを考慮に入れることができない。その結果、大部分の配列比較法は、全体の相同性スコアに過度に不利益をもたらすことなく、可能性のある挿入および欠失を考慮に入れた最適なアライメントをもたらすようデザインされている。これは、配列アライメントに「ギャップ」を挿入して、局所相同性を最大限にするよう試みることで達成される。
【0078】
しかしながら、これらのより複雑な方法では、アライメント中に生じる各ギャップに「ギャップペナルティ」を割り当てるが、その結果、同じ数の同一アミノ酸の場合、2つの比較配列間のいっそう高い関連性を反映する、可能な限り少ないギャップを有した配列アライメントは、多くのギャップを有したものよりも高いスコアを達成することになる。ギャップの存在には比較的高いコストおよびギャップ中のその後の各残基にはもっと小さなペナルティを課す「アフィンギャップコスト」が典型的に使われる。これは最もよく使用されているギャップスコアリングシステムである。高いギャップペナルティでは、もちろん、ギャップがより少ない最適化アライメントがもたらされよう。大部分のアライメントプログラムは、ギャップペナルティの改変を可能にする。しかしながら、そのようなソフトウェアを配列比較のために用いる場合、デフォルト値を使用することが好ましい。例えば、GCG Wisconsin Bestfitパッケージ(以下参照)を用いる場合、アミノ酸配列に対するデフォルトのギャップペナルティは、ギャップに対し−12および各伸展に対し−4である。
【0079】
最大の%相同性の計算ではしたがって、ギャップペナルティを考慮に入れた、最適アライメントの生成が最初に必要になる。そのようなアライメントを実行するのに適したコンピュータプログラムは、GCG Wisconsin Bestfitパッケージ(ウィスコンシン大学、米国; Devereux et al., 1984, Nucleic Acids Research 12:387)である。配列比較を行うことができる以外のソフトウェアの例としては、BLASTパッケージ(Ausubel et al., 1999 前記−18章)、FASTA(Atschul et al., 1990, J. Mol. Biol., 403-410)および比較ツールのGENEWORKSスイートが挙げられるが、これらに限定されることはない。BLASTもFASTAもオフラインおよびオンライン検索で利用可能である(Ausubel et al., 1999 前記、7-58から7-60頁を参照のこと)。しかしながら、GCG Bestfitプログラムを使用することが好ましい。
【0080】
最終の%相同性は同一性という点で測定されうるが、アライメント過程それ自体は、典型的には、全か無かの対比較に基づいていない。その代わりに、化学的類似性または進化距離に基づき各対比較にスコアを割り当てるスケール付きの類似性スコアマトリックスが一般的に使用される。よく使用されているそのようなマトリックスの例は、BLOSUM62マトリックス、つまりプログラムのBLASTスイートのためのデフォルトマトリックスである。GCG Wisconsinプログラムでは、通常、一般のデフォルト値または提供されるならカスタムシンボル比較表のいずれかが使われる(さらに詳しくはユーザーマニュアルを参照のこと)。GCGパッケージには一般のデフォルト値、またはその他のソフトウェアの場合には、BLOSUM62などの、デフォルトマトリックスを使用することが好ましい。
【0081】
ソフトウェアが最適なアライメントを生成したら、%相同性、好ましくは%配列同一性を計算することが可能である。ソフトウェアは、典型的には、これを配列比較の一環として行い、計算結果を作出する。
【0082】
好ましい態様において、配列の類似性、同一性、相同性または相補性は、比較のために使われる関連配列の全長に対して判断される。
【0083】
変異体および誘導体
本明細書に記述されるアミノ酸配列に関して「変異体」または「誘導体」という用語は、配列からのまたは配列への1つ(または複数)のアミノ酸の任意の置換、変異、改変、交換、欠失または付加を含む。好ましくは、得られるアミノ酸配列は、未改変配列と実質的に同じ活性を保持し、配列表に示されるcgFAIM、cgFADD、cgPDCD6およびcgRequiemポリペプチドと少なくとも同じ活性を有することが好ましい。したがって、配列の重要な特徴、すなわち、それらが1つまたは複数のアポトーシス過程を変化させることが可能なことは、保持されるのが好ましい。
【0084】
実施例に示されるアミノ酸配列を有するポリペプチド、またはその断片もしくはホモログは、本明細書に記述される方法および組成物で用いるために改変することができる。典型的には、配列の生物学的活性を維持する改変がなされる。アミノ酸置換は、改変配列が未改変配列の生物学的活性を保持するという条件で、例えば1、2または3から10、20または30個の置換までなされうる。アミノ酸置換は、例えば治療的に投与されるポリペプチドの血漿中半減期を増大させるため、非天然の類似体の使用を含むことができる。
【0085】
cgFAIM、cgFADD、cgPDCD6およびcgRequiemの天然変異体は、同類アミノ酸置換を含む可能性が高い。同類置換は、例えば下記表によって定義することができる。第2カラム内の同一ブロック中のおよび好ましくは第3カラム内の同一列中のアミノ酸を相互に置換することができる:
断片
本明細書に開示されかつマーカーとして有用なポリペプチドは同様に、配列表に示される配列の断片をはじめとする、上記の完全長のポリペプチドおよびその変異体の断片を含む。
【0086】
ポリペプチドは同様に、cgFAIM、cgFADD、cgPDCD6およびcgRequiemポリペプチドのいずれかの完全長配列の断片を含む。好ましくは、断片は少なくとも1つのエピトープを含む。エピトープを同定する方法は、当技術分野において周知である。断片は、典型的には、少なくとも6アミノ酸、より好ましくは少なくとも10、20、30、50または100アミノ酸を含むであろう。
【0087】
cgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemアミノ酸配列由来の5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145もしくは150、またはそれ以上の残基を含む、好ましくはそれらの残基からなる断片が含まれる。
【0088】
cgFAIM、cgFADD、cgPDCD6およびcgRequiemタンパク質ならびにその対立遺伝子変異体および種変異体のポリペプチド断片は、同類置換を含めて、1つまたは複数(例えば、5、10、15、または20)の置換、欠失または挿入を含むことができる。置換、欠失および/または挿入が、例えば、異なる種で起こる場合、配列表に描かれるアミノ酸残基の50%、40%または20%未満が改変されることが好ましい。
【0089】
cgFAIM、cgFADD、cgPDCD6およびcgRequiem、ならびにその断片、ホモログ、変異体および誘導体は、組換え手段によって作出することができる。しかしながら、それらは同様に、固相合成などの当業者に周知の技術を用いた合成手段によって作出することができる。それらのタンパク質を、例えば、抽出および精製を補助するため、融合タンパク質として生成することもできる。融合タンパク質パートナーの例としては、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)、6×His、GAL4(DNA結合ドメインおよび/または転写活性化ドメイン)およびβ−ガラクトシダーゼが挙げられる。融合タンパク質パートナーと対象となるタンパク質配列との間にタンパク質分解的切断部位を含めて、融合タンパク質配列の除去を可能にすることも好都合でありうる。融合タンパク質は、対象とする配列のタンパク質の機能を妨げないことが好ましいであろう。タンパク質は、動物細胞からの細胞抽出物の精製によって得ることもできる。
【0090】
本明細書に開示されるcgFAIM、cgFADD、cgPDCD6およびcgRequiemのポリペプチド、変異体、ホモログ、断片および誘導体は、実質的に単離された形態であってよい。そのようなポリペプチドは、タンパク質の所期の目的を妨害することのない担体または希釈剤と混合されてもよく、それでもなお、実質的に単離されたと見なされることが理解されるであろう。cgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemの変異体、ホモログ、断片または誘導体は、実質的に精製された形態であってもよく、この場合には、それは一般に、調製物中の90%を超える、例えば、95%、98%または99%のタンパク質が1種のタンパク質である調製物中のタンパク質を含むであろう。
【0091】
本明細書に開示されるcgFAIM、cgFADD、cgPDCD6およびcgRequiemのポリペプチド、変異体、ホモログ、断片および誘導体は、明示的な標識で標識することができる。明示的な標識は、ポリペプチドなどが検出されることを可能にする任意の適当な標識とすることができる。適当な標識は、放射性同位体、例えば、125I、酵素、抗体、ポリヌクレオチドおよびビオチンなどのリンカーを含む。標識されたポリペプチドを免疫アッセイなどの診断的方法に用いて、サンプル中のポリペプチドの量を判定することができる。ポリペプチドまたは標識されたポリペプチドは、標準的なプロトコルを用いた動物およびヒトでのそのポリペプチドに対する免疫反応性の検出のため血清学的なまたは細胞を介した免疫アッセイで用いることもできる。
【0092】
任意により標識されてもよい、本明細書に開示されるcgFAIM、cgFADD、cgPDCD6およびcgRequiemのポリペプチド、変異体、ホモログ、断片および誘導体は同様に、固相、例えば免疫アッセイウェルまたは浸漬試験紙(dipstick)の表面に固定することができる。そのような標識されたおよび/または固定化されたポリペプチドは、適当な試薬、対照、使用説明書などと一緒に、適当な容器に入れてキットの中に包装することができる。そのようなポリペプチドおよびキットは、免疫アッセイによるポリペプチドまたはその対立遺伝子変異体もしくは種変異体に対する抗体の検出方法で用いることができる。
【0093】
免疫アッセイ法は当技術分野において周知であり、一般的に、(a)タンパク質に対する抗体によって結合可能なエピトープを含むポリペプチドを用意するステップ;(b)生物学的サンプルをそのポリペプチドと、抗体−抗原複合体の形成を可能にする条件の下でインキュベートするステップ;および(c)そのポリペプチドを含む抗体−抗原複合体が形成されるかどうかを判定するステップを含むであろう。
【0094】
本明細書に開示されるcgFAIM、cgFADD、cgPDCD6およびcgRequiemのポリペプチド、変異体、ホモログ、断片および誘導体をin vitroまたはin vivoの細胞培養系で用いて、疾患でのそれらの機能を含めた、細胞機能でのそれらの対応遺伝子およびそのホモログの役割を研究することができる。例えば、切断されたかまたは改変されたポリペプチドを細胞に導入して、細胞内で行われる正常な機能を破壊することができる。ポリペプチドは組換え発現ベクターからのポリペプチドのin situ発現によって、細胞に導入することができる(以下参照)。発現ベクターは、任意によりポリペプチドの発現を制御するための誘導性プロモーターを保有してもよい。
【0095】
昆虫細胞または哺乳動物細胞などの、適切な宿主細胞の使用は、組換え発現産物に最適な生物活性を与えるのに必要とされうるような翻訳後修飾(例えば、ミリスチン化(myristolation)、糖化、切断、脂質化(lapidation)およびチロシン、セリンまたはトレオニンリン酸化)をもたらすと期待される。本明細書に開示されるcgFAIM、cgFADD、cgPDCD6およびcgRequiemのポリペプチド、変異体、ホモログ、断片および誘導体が発現されるそのような細胞培養系をアッセイ系で用いて、細胞でのポリペプチドの機能を妨害するかまたは増強する候補物質を同定することができる。
【0096】
cgFAIM、cgFADD、cgPDCD6およびcgRequiem核酸
本発明者らは全体として、いくつかのcgFAIM、cgFADD、cgPDCD6およびcgRequiem核酸を、その断片、ホモログ、変異体および誘導体とともに提供する。これらの核酸配列は、本明細書に、および特に配列表に開示されるポリペプチド配列をコードすることが好ましい。
【0097】
好ましくは、ポリヌクレオチドは、配列番号5、配列番号6、配列番号7および配列番号8からなる群よりそれぞれ選択されることが好ましい、cgFAIM、cgFADD、cgPDCD6およびcgRequiem核酸を含む。
【0098】
具体的には、本発明者らは、本明細書に開示されるチャイニーズハムスター(Cricetulus griseus)のポリペプチドのいずれかをコードする核酸またはポリヌクレオチドを提供する。したがって、「cgFADD配列」、「cgFAIM配列」、「cgPDCD6配列」および「cgRequiem配列」という用語は、それ相応に解釈されるべきである。しかしながら、好ましくは、そのような核酸またはポリヌクレオチドは、配列番号5〜16ならびに配列番号37、38、39および40として示される配列のいずれか、または対応するポリペプチドのいずれかをコードする配列、およびそのような核酸の断片、ホモログ、変異体または誘導体を含む。それ故、上記の用語は、好ましくは、これらの配列を指すものと解釈されるべきである。
【0099】
本明細書において用いられる「ポリヌクレオチド」、「ヌクレオチド」、および核酸という用語は、相互に同義であることが意図される。「ポリヌクレオチド」は、通常、任意のポリリボヌクレオチドまたはポリデオキシリボヌクレオチドをいい、これらは未修飾RNAもしくはDNAまたは修飾RNAもしくはDNAであってもよい。「ポリヌクレオチド」には、非限定的に、一本鎖および二本鎖DNA、一本鎖および二本鎖領域の混合物であるDNA、一本鎖および二本鎖RNA、ならびに一本鎖および二本鎖領域の混合物であるRNA、一本鎖もしくは、より典型的には、二本鎖または一本鎖および二本鎖領域の混合物であってよいDNAおよびRNAを含むハイブリッド分子が含まれる。さらに、「ポリヌクレオチド」は、RNAもしくはDNAまたはRNAとDNAの両方を含む三本鎖領域をいう。ポリヌクレオチドという用語は同様に、1つまたは複数の修飾塩基を含有するDNAまたはRNAおよび安定性のためにまたはその他の理由のために修飾された骨格を有するDNAまたはRNAを含む。「修飾」塩基は、例えば、トリチル化塩基およびイノシンなどの普通でない塩基を含む。様々な修飾がDNAおよびRNAになされており、すなわち、「ポリヌクレオチド」は、自然界において典型的に見られるように化学的に、酵素的にまたは代謝的に修飾されたポリヌクレオチド形態、ならびにウイルスおよび細胞に特有なRNAおよびDNAの化学的形態を包含する。「ポリヌクレオチド」は同様に、多くの場合、オリゴヌクレオチドと称される、比較的短いポリヌクレオチドを包含する。
【0100】
多数の異なるポリヌクレオチドおよび核酸が、遺伝コードの縮重の結果として同一のポリペプチドをコードできることを当業者は理解するであろう。さらに、当業者は、日常的な技術を利用し、ポリペプチドが発現されることになる任意の特定の宿主生物のコドン使用頻度を反映させるよう、本明細書に記述されるポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチド配列に影響を与えないヌクレオチド置換をなしうることが理解されるべきである。
【0101】
変異体、誘導体およびホモログ
本明細書に記述されるポリヌクレオチドは、DNAまたはRNAを含むことができる。それらは一本鎖または二本鎖とすることができる。それらは同様に、その内部に合成または修飾ヌクレオチドを含んだポリヌクレオチドとすることができる。オリゴヌクレオチドに対するいくつかの異なるタイプの修飾は、当技術分野において公知である。これらはメチルホスホネートおよびホスホロチオエート骨格、分子の3’および/または5’末端でのアクリジンまたはポリリジン鎖の付加を含む。本明細書の目的で、本明細書において記述されるポリヌクレオチドは、当技術分野において利用可能な任意の方法により修飾できることが理解されるべきである。そのような修飾は、ポリヌクレオチドのin vivoでの活性または寿命を増強するために行うことができる。
【0102】
ポリヌクレオチドが二本鎖である場合、二重鎖の両鎖は、個別的にまたは組み合わせで、本明細書に記述される方法および組成物によって包含される。ポリヌクレオチドが一本鎖である場合、そのポリヌクレオチドの相補配列も含まれることが理解されるべきである。
【0103】
ヌクレオチド配列に関して「変異体」、「ホモログ」または「誘導体」という用語は、配列からのまたは配列への1つ(または複数)のヌクレオチドの任意の置換、変異、改変、交換、欠失または付加を含む。好ましくは、得られる配列は、アポトーシスメディエーター活性を有するポリペプチドをコードすることができる。
【0104】
上記に示されるように、配列同一性に関して、「ホモログ」は、配列表に示される対応する配列に対し少なくとも5%の同一性、少なくとも10%の同一性、少なくとも15%の同一性、少なくとも20%の同一性、少なくとも25%の同一性、少なくとも30%の同一性、少なくとも35%の同一性、少なくとも40%の同一性、少なくとも45%の同一性、少なくとも50%の同一性、少なくとも55%の同一性、少なくとも60%の同一性、少なくとも65%の同一性、少なくとも70%の同一性、少なくとも75%の同一性、少なくとも80%の同一性、少なくとも85%の同一性、少なくとも90%の同一性、または少なくとも95%の同一性を有することが好ましい。
【0105】
少なくとも95%の同一性、より好ましくは少なくとも96%の同一性、より好ましくは少なくとも97%の同一性、より好ましくは少なくとも98%の同一性、より好ましくは少なくとも99%の同一性が存在することがより好ましい。ヌクレオチド相同性比較は、前述のように行うことができる。好ましい配列比較プログラムは、前述のGCG Wisconsin Bestfitプログラムである。デフォルトのスコアリングマトリックスは、各同一のヌクレオチドに対し10および各ミスマッチに対し−9の適合値を有する。デフォルトのギャップ作製ペナルティは−50であり、デフォルトのギャップ伸長ペナルティは各ヌクレオチドに対し−3である。
【0106】
好ましい実施形態において、cgFAIMポリヌクレオチドは、配列番号5として示される配列に対し少なくとも90%またはそれ以上の配列同一性を有する。好ましくは、cgFAIMポリヌクレオチドは、配列番号5として示される配列に対し91%もしくはそれ以上、好ましくは92%もしくはそれ以上、93%もしくはそれ以上、94%もしくはそれ以上、95%もしくはそれ以上、96%もしくはそれ以上、97%もしくはそれ以上、98%もしくはそれ以上、99%もしくはそれ以上または99.5%もしくはそれ以上の配列同一性を有する。
【0107】
同様に、好ましい実施形態において、cgFADD配列は、配列番号6として示される配列に対し少なくとも90%の配列同一性を有する。好ましくは、cgFADDポリヌクレオチドは、配列番号6として示される配列に対し91%もしくはそれ以上、好ましくは92%もしくはそれ以上、93%もしくはそれ以上、94%もしくはそれ以上、95%もしくはそれ以上、96%もしくはそれ以上、97%もしくはそれ以上、98%もしくはそれ以上、99%もしくはそれ以上または99.5%もしくはそれ以上の配列同一性を有する。
【0108】
好ましい実施形態において、cgPDCD6配列は、配列番号7として示される配列に対し少なくとも93%またはそれ以上の配列同一性を有する。好ましくは、cgPDCD6ポリヌクレオチドは、配列番号7として示される配列に対し94%もしくはそれ以上、95%もしくはそれ以上、96%もしくはそれ以上、97%もしくはそれ以上、98%もしくはそれ以上、99%もしくはそれ以上または99.5%もしくはそれ以上の配列同一性を有する。
【0109】
好ましい実施形態において、cgRequiemポリヌクレオチドは、配列番号5として示される配列に対し少なくとも90%またはそれ以上の配列同一性を有する。好ましくは、cgRequiemポリヌクレオチドは、配列番号8として示される配列に対し90%もしくはそれ以上、好ましくは91%もしくはそれ以上、92%もしくはそれ以上、93%もしくはそれ以上、94%もしくはそれ以上、95%もしくはそれ以上、96%もしくはそれ以上、97%もしくはそれ以上、98%もしくはそれ以上、99%もしくはそれ以上または99.5%もしくはそれ以上の配列同一性を有する。
【0110】
ハイブリダイゼーション
本発明者らはさらに、本明細書において示されている配列のいずれか、またはその任意の変異体、断片もしくは誘導体に、あるいは前記のいずれかの相補体に選択的にハイブリダイズすることが可能なcgFAIM、cgFADD、cgPDCD6およびcgRequiemヌクレオチド配列について記述する。ヌクレオチド配列は、好ましくは長さが少なくとも15ヌクレオチド、より好ましくは長さが少なくとも20、30、40または50ヌクレオチドである。
【0111】
本明細書において用いられる「ハイブリダイゼーション」という用語は、「核酸の鎖が塩基対合を通じて相補鎖と結び付く過程」およびポリメラーゼ連鎖反応技術で実行されるような増幅の過程を含むものとする。
【0112】
本明細書において示されているヌクレオチド配列に、またはその相補体に選択的にハイブリダイズすることが可能なポリヌクレオチドは、通常、少なくとも20、好ましくは少なくとも25または30、例えば少なくとも40、60もしくは100またはそれ以上の連続ヌクレオチドの領域にわたり、本明細書において示されている対応ヌクレオチド配列に対し少なくとも70%、好ましくは少なくとも80または90%およびより好ましくは少なくとも95%または98%相同であろう。
【0113】
「選択的にハイブリダイズ可能な」という用語は、プローブとして用いるポリヌクレオチドを、標的のポリヌクレオチドがバックグラウンドを有意に上回るレベルでプローブにハイブリダイズすることが認められる条件の下で、使用することを意味する。バックグラウンドのハイブリダイゼーションは、例えば、スクリーニングされているcDNAまたはゲノムDNAライブラリーの中に存在するその他のポリヌクレオチドについて起こりうる。この場合、バックグラウンドは、プローブとライブラリーの非特異的なDNAメンバーとの間の相互作用によって生じるシグナルのレベルであって、これが標的DNAとで観測される特異的な相互作用の10倍未満、好ましくは100倍未満の強度であることを意味する。相互作用の強度は、例えば、プローブを、例えば32Pで放射能標識することによって測定することができる。
【0114】
ハイブリダイゼーション条件は、Berger and Kimmel (1987, Guide to Molecular Cloning Techniques, Methods in Enzymology, Vol 152, Academic Press, San Diego CA)に教示されているように、核酸結合複合体の融解温度(Tm)に基づいており、以下に説明されるように規定の「ストリンジェンシー」を与える。
【0115】
最大のストリンジェンシーは、典型的には、約Tm−5℃(プローブのTmよりも5℃低い)で行われ、高度のストリンジェンシーはTmの約5℃〜10℃より低い温度で行われ、中度のストリンジェンシーはTmの約10℃〜20℃より低い温度で行われ、および低度のストリンジェンシーはTmの約20℃〜25℃より低い温度で行われる。当業者には明らかなように、最大のストリンジェンシーでのハイブリダイゼーションを用いて同一のポリヌクレオチド配列を同定するかまたは検出することができ、その一方、中度(または低度)のストリンジェンシーでのハイブリダイゼーションを用いて類似のまたは関連のポリヌクレオチド配列を同定するかまたは検出することができる。
【0116】
好ましい実施形態において、本発明者らは、ストリンジェントな条件(例えば、65℃および0.1×SSC{1×SSC=0.15M NaCl、0.015M クエン酸三ナトリウムpH7.0})の下でcgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiem核酸、またはその断片、ホモログ、変異体もしくは誘導体にハイブリダイズできるヌクレオチド配列を開示する。
【0117】
ポリヌクレオチドが二本鎖である場合、二重鎖の両鎖は、個別的にまたは組み合わせで、本開示によって包含される。ポリヌクレオチドが一本鎖である場合、そのポリヌクレオチドの相補配列も開示され包含されることが理解されるべきである。
【0118】
本明細書に開示される配列に100%相同ではないが、開示の範囲に入るポリヌクレオチドは、いくつかの方法で得ることができる。本明細書において記述される配列のその他の変異体は、例えば、一連の個体、例えば異なる集団由来の個体から作製されたDNAライブラリーをプローブすることによって得ることができる。さらに、その他のウイルスの/細菌のホモログ、または細胞のホモログ、特に哺乳動物細胞(例えば、ラット、マウス、ウシおよび霊長類細胞)で見られる細胞のホモログを得ることができ、そのようなホモログおよびその断片は、一般に、本明細書において配列表に示される配列に選択的にハイブリダイズすることが可能であろう。そのような配列は、その他の動物種から作製されたcDNAライブラリーまたはゲノムDNAライブラリーをプローブすることにより、およびそのようなライブラリーを、中度から高度のストリンジェンシーの条件の下で配列番号1〜40の全部または一部を含むプローブでプローブすることにより得ることができる。同様の検討がcgFAIM、cgFADD、cgPDCD6およびcgRequiemの種ホモログおよび対立遺伝子変異体を得るのに当てはまる。
【0119】
本明細書に記述されるポリヌクレオチドを用いてプライマー、例えばPCRプライマー、選択的な増幅反応用のプライマー、放射性標識もしくは非放射性標識を利用し従来の手段によって明示的な標識で例えば標識された、プローブを生成してもよく、またはそれらのポリヌクレオチドをベクターにクローニングしてもよい。そのようなプライマー、プローブおよびその他の断片は、長さが少なくとも15、好ましくは少なくとも20、例えば少なくとも25、30または40ヌクレオチドとなるはずであり、本明細書において用いられるポリヌクレオチドという用語によって同様に包含される。好ましい断片は、長さが500、200、100、50または20ヌクレオチド未満である。
【0120】
DNAポリヌクレオチドなどのポリヌクレオチドおよびプローブは、組換え的に、合成的に、または当業者が利用可能な任意の手段により生成することができる。それらは同様に、標準的な技術によりクローニングすることができる。
【0121】
一般に、プライマーは、一度に1ヌクレオチドずつの所望の核酸配列の段階的製造を含む、合成手段によって生成されよう。自動化技術を用いてこれを達成するための技術は、当技術分野において容易に利用可能である。
【0122】
より長いポリヌクレオチドは一般に、組換え手段を用いて、例えば、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)クローニング技術を用いて生成されよう。これには、クローニングすることが望まれる配列の領域に隣接する(例えば、約15〜30ヌクレオチドの)プライマーの対を作出するステップ、プライマーを動物またはヒト細胞から得られたmRNAまたはcDNAと接触させるステップ、所望の領域の増幅をもたらす条件の下でポリメラーゼ連鎖反応を行うステップ、増幅された断片を単離するステップ(例えば、反応混合物をアガロースゲル上で精製することにより)および増幅されたDNAを回収するステップが含まれよう。プライマーは、増幅されたDNAを適当なクローニングベクターにクローニングできるよう適当な制限酵素認識部位を含むようにデザインすることができる。
【0123】
CG配列の使用
実施例に示されるように、本発明者らは、これらの4種の遺伝子が細胞中でのアポトーシスの仲介に関与していることを証明した。
【0124】
本発明者らは同様に、そのような遺伝子の、その活性の調節による標的化がアポトーシスの低下をもたらし、それ故に、細胞生存率の改善をもたらすことを明らかにする。それらの遺伝子およびポリペプチドならびにその生成物は故に、いくつかの分野で、例えば細胞培養で有用性を有する。
【0125】
すなわち、米国特許第6,586,206号では、培養宿主細胞を用いた組換えタンパク質の生成でのアポトーシス阻害剤の使用、その結果、所望のタンパク質の回収量向上の効果について記述している。したがって、チャイニーズハムスター(Cricetulus griseus)FAIM、FADD、PDCD6およびRequiem配列の開示によって、細胞培養でのこれらの遺伝子の標的化は、細胞生存率を上昇させ、組換えタンパク質生成の回収量上昇を促進させることができる。具体的には、本発明者らが本明細書に記述するcgFAIM、cgFADD、cgPDCD6およびcgRequiem改変細胞、好ましくはチャイニーズハムスター(Cricetulus griseus)細胞、より好ましくはチャイニーズハムスター卵巣細胞を回収量の改善された組換えタンパク質の生成のために適当に利用することができる。
【0126】
cgFAIM、cgFADD、cgPDCD6およびcgRequiem改変細胞
本明細書に記述される方法および組成物によれば、細胞でのcgFAIM、cgFADD、cgPDCD6およびcgRequiemのいずれかの1つまたは複数の調節により、個体群、好ましくはチャイニーズハムスター(Cricetulus griseus)個体群の細胞生存率が改善される。具体的には、本発明者らは、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemの発現の低下、ならびにcgFAIMの発現の増大が細胞生存率の改善を引き起こすことを実施例のなかで明らかにする。
【0127】
しかしながら、アゴニストおよびアンタゴニストなどのモジュレータ実体の使用を含む、これらの遺伝子のいずれかの制御の方法をポリペプチド発現の調節に加えて、またはこれに代わる手段として利用できることを理解されたい。
【0128】
これらの遺伝子のいずれかの1つまたは複数の発現が調節される細胞は、便宜上「改変」細胞と称されるが、これらはそれ自体が物理的に改変されなくてもよく、しかし改変された細胞の子孫であってもよいことを理解されたい。本発明者らは具体的には、cgFAIM発現がアップレギュレートされる細胞を提供し、ならびにcgFADD、cgPDCD6および/もしくはcgRequiem、またはその任意の組み合わせの発現がダウンレギュレートされる細胞を提供する。すなわち、cgFAIM、cgFADD、cgPDCD6およびcgRequiemの1つ、2つ、3つ、または4つ全ての発現が改変細胞で改変されうることを理解されたい。改変は一過性であってもよく、あるいはそれは改変の様式に応じて、永続性または長期であってもよい。
【0129】
改変細胞は、哺乳動物細胞、好ましくはチャイニーズハムスター(Cricetulus griseus)細胞、最も好ましくはCHO細胞を含むことができる。それらは、齧歯類細胞、好ましくはマウスまたはラット細胞を含むことができる。好ましくは、そのような改変細胞は、チャイニーズハムスター(Cricetulus griseus)細胞、最も好ましくはCHO細胞を含む。しかしながら、それらはサル細胞またはヒト細胞などの、霊長類細胞を含むことができる。
【0130】
対応する細胞が、当技術分野において公知の任意の手段により、対応する遺伝子を標的化することによって改変されてもよい。
【0131】
考えられる手法の1つは、遺伝子機能を阻害するためおよび対応するポリペプチドの発現を阻止するため、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemに対して作製されたアンチセンス構築物を発現することである。別の手法は、細胞死機構の細胞成分に関して内因性の遺伝子産物と競合し、その結果、機能の阻害を引き起こす、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemポリペプチドの非機能的な変異体を使用することである。あるいは、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemポリペプチドに結合することが前述のアッセイによって明らかにされた化合物を細胞に投与して、そのポリペプチドの機能を阻止することができる。これは、例えば、組換えDNA技術を用いてまたは化合物の直接投与によって行うことができる。cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemに対して作製された適当な抗体を作用物質として使用することもできる。
【0132】
または、二本鎖(ds)RNAは、一連の生物での遺伝子発現を妨げる効果的な方法であり、これは哺乳動物で成功することが最近になって明らかにされている(Wianny and Zernicka-Goetz, 2000, Nat Cell Biol 2000, 2, 70-75)。cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemポリヌクレオチドの配列に対応する二本鎖RNAを細胞もしくは細胞株に導入するかまたは細胞もしくは細胞株で発現させるかして、細胞生存率を上昇させることができる。
【0133】
具体的には、本発明者らは、一本鎖干渉RNA(siRNA)の使用および発現の低下が望まれるドミナントネガティブ突然変異体の使用による改変について記述する。本発明者らはさらに、関連遺伝子の発現を増大させるために関連配列の過剰発現を可能にするベクターの使用について記述する。改変は一過性であってもよく、またはそれは永続性であってもよい。このように、本発明者らは、cgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemにおけるゲノムのおよび遺伝性の改変を有する細胞を含む細胞株を提供する。そのような細胞株を樹立するための詳細なプロトコルは、実施例に記載されている。
【0134】
改変細胞は単一の細胞、細胞の群、クローン、クローン系統、コロニー、細胞株または組織として提供されうる。本発明者らはさらに、ダウンレギュレートされたcgFADD、cgPDCD6および/もしくはcgRequiemの発現、またはアップレギュレートされたcgFADDの発現、あるいはその両方を細胞が含む、トランスジェニック動物を提供する。
【0135】
好ましくは、ドミナント突然変異体は、配列番号9に示される配列を含んだcgFADDドミナント突然変異体を含む。あるいは、またはさらに、配列は以下を含むことができる:
ドミナント突然変異体は、配列番号10に示される配列、またはあるいは、
によってコードすることができる。
【0136】
細胞生存率の増大
改変細胞は、同系の非改変細胞、または野生型細胞、またはそれらが由来する親細胞と比較した場合にいくつかの有益な特性を有する。それらは、細胞生存率が改善しているという特性を有することができる。すなわち、それらは時間または世代数という点で、培養においていっそう長く生存することができる。
【0137】
好ましくは、細胞生存率は、すなわちcgFAIM、cgFADD、cgPDCD6およびcgRequiemを標的化することによって改変された細胞の集団の生存細胞密度を定量化することによって測定される。好ましくは、改変細胞は、改変されていない細胞(例えば、対照の集団)に比べて、いっそう高い細胞生存率を維持する。細胞生存率は当該細胞集団での生存可能な細胞の割合として測定されることが好ましい。
【0138】
好ましい態様において、細胞生存率は「トリパンブルー排除による生存率アッセイ」によって判定される。このアッセイは、細胞培養の分野において細胞生存率の判定によく使われている。詳細なプロトコルは実施例に記載されているが、手短には、細胞懸濁液を0.4%トリパンブルーのリン酸緩衝液と混合し、血球計を用いて計測する。生存細胞は円形かつ青色色素の着色がなく屈折性に見えるのに対し、死細胞は色素を吸収し、青色に見える。その結果、生存率は、計測された全細胞に対する生存細胞の割合として表現される。
【0139】
生存細胞は、トリパンブルー排除による生存率アッセイにおいて、膜完全性がトリパンブルーの吸収を依然として阻止できる細胞と定義される。
【0140】
好ましくは、改変細胞は対照の集団に比べて少なくとも5%、好ましくは10%またはそれ以上、より好ましくは15%、20%、30%、40%、50%またはそれ以上の生存細胞を有する。あるいは、またはさらに、改変細胞は、改変されていない細胞に比べていっそう長い時間、細胞生存率を維持する。例えば、改変細胞は対照細胞に比べて、いっそう長い期間ある割合の細胞生存率(例えば、95%)を維持することができる。
【0141】
好ましくは、改変細胞は対照細胞に比べて、少なくとも1時間、より好ましくは少なくとも6時間、最も好ましくは少なくとも12時間またはそれ以上、例えば、少なくとも24時間、少なくとも36時間または少なくとも48時間、延長された細胞生存率を有する。非常に好ましい態様において、改変細胞は対照細胞に比べて、生存率が95%を下回り始める前に少なくとも24時間、延長された生存率を有する。
【0142】
改変細胞は未改変の対照細胞に比べていっそう高い、生存培養密度の能力があることが好ましい。好ましくは、改変細胞は対照細胞に比べて10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、150%、200%またはそれより高い生存細胞密度の能力がある。例えば、改変細胞は、細胞9.6×106個/mlもの高い密度を達成することができる。
【0143】
改変細胞は、アポトーシスマーカー、好ましくはカスパーゼ2、カスパーゼ3またはカスパーゼ8の発現開始の遅延を示すことが好ましい。改変細胞は、個々の細胞に対するいっそう長い生存時間、またはアポトーシスを示す細胞の数という点で、アポトーシスの低減を示すという特性を有することができる。好ましくは、それらはアポトーシスに耐性であるという特性を有する(以下参照)。
【0144】
タンパク質回収量の増大
好都合には、改変細胞では、実施例21で実証されるように、未改変の対照細胞に比べてタンパク質回収量の増大、好ましくは組換え発現されたタンパク質回収量の増大が可能である。好ましくは、改変細胞では、対照細胞に比べて10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、150%、200%またはそれ以上のさらなる高収率が可能である。より好ましくは、改変細胞では対照細胞に比べて2.5倍、3倍、5倍、10倍またはそれ以上のさらに高収率が可能である。好ましくは、組換え発現されたタンパク質は、インターフェロンγを含む。本発明者らはそれ故、記載したような改変細胞において、組換えタンパク質、好ましくはバイオ療法分子を発現させる方法を提供する。
【0145】
改変細胞はバッチ培養、フェドバッチ培養または好ましくはその両方においてその特性のいずれかの1つまたは複数を示すことが好ましい。
【0146】
糖化の増大
改変細胞は同様に、対照の未改変細胞に比べて発現タンパク質の糖化増大の能力があることが好ましい。実施例では、細胞培養物の生存性の喪失が起こったか否かにかかわらず、改変細胞が長期の細胞培養時間にわたってタンパク質糖化を維持できることが明らかにされる。非常に好ましい態様において、糖化はシアル化を含む。
【0147】
より低度のシアル化では、タンパク質に基づく薬物のin vivo半減期が短縮することがあるので、改変細胞株のこの特徴はバイオ療法薬の製造において特に好都合である(Varki, 1993, Biotechnol Bioeng 43:423-428; Gramer et al., 1995, Glycobiology 3:97-130)。
【0148】
好ましい実施形態において、発現タンパク質の糖化は、実質的に細胞培養の1つまたは複数の増殖期を通じて、好ましくは少なくとも対数増殖期の部分を通じて(好ましくは少なくとも対数増殖中期を通じて)維持されるが、より好ましくは同様に最大の生存細胞密度が起こる時点を通じて、より好ましくは同様に細胞死が親のまたは未改変の細胞で起こるようになる時点を通じて維持される。そのような場合、糖化のレベルは、それが親のまたは未改変の細胞で減少するようになるレベルで維持されることが好ましい。好ましい態様において、糖化は、発現タンパク質1モル当たり糖が少なくとも2.7、好ましくは少なくとも2.9モルのレベルで維持される。
【0149】
好ましい実施形態において、改変細胞による発現タンパク質の糖化は、親のまたは未改変の細胞に比べて、増殖期における同種の時点で増大する。そのような好ましい実施形態において、糖化は、発現タンパク質1モル当たり糖が少なくとも2.9、好ましくは少なくとも3、3.1、3.2、3.3、3.4または3.5モルのレベルで達成されることができる。
【0150】
本発明者らはさらに、記載された改変細胞を用いて作出された、糖化の増大、好ましくはシアル化の増大を有する組換えタンパク質を提供する。そのようなポリペプチドは、そのように改変されていない細胞から生成可能なポリペプチドに比べて、シアル化の増大を有する。好ましくは、糖化またはシアル化は、2.9モルシアル酸/モル生成ポリペプチド、好ましくは約3.5モルシアル酸/モル生成ポリペプチドより多い。非常に好ましい実施形態において、発現タンパク質はインターフェロンγを含む。
【0151】
本発明者らはさらに、cgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemの細胞発現を調節することによって、上記の特性のいずれかの1つまたは複数を示すよう細胞を改変する方法を提供する。
【0152】
アポトーシス
本発明によれば、cgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiem改変細胞の細胞生存率の増大は、改変された細胞集団におけるアポトーシスの減少から生じる。そのような改変細胞は、アポトーシスの低下を示してもよく、またはアポトーシスに耐性であってもよい。改変細胞は対照細胞に比べて、好ましくはいっそう長い時間、いっそう高い生存細胞密度を維持できることが好ましい。好ましくは、改変された集団内の生存細胞の数は未改変の対照集団に比べていっそう高く、例えば10%、20%、30%、40%、50%、100%、200%、500%、またはそれ以上である。
【0153】
好ましくは、改変細胞は対照細胞に比べて少なくとも6時間、少なくとも12時間、好ましくは少なくとも18時間、および最も好ましくは少なくとも24時間、生存率の延長を示す。非常に好ましい実施形態において、カスパーゼ2および/またはカスパーゼ3および/またはカスパーゼ8の発現が、対照細胞に比べてそのような時間だけ遅延される。
【0154】
したがって、好ましくは、改変された細胞集団におけるアポトーシスは、対照集団に比べて少なくとも10%、好ましくは25%またはそれ以上、より好ましくは40%、50%、75%、95%またはそれ以上減少する。好ましい実施形態において、改変された細胞集団におけるアポトーシス細胞の割合は、そのような量だけ減少する。非常に好ましい実施形態において、改変細胞はアポトーシスに耐性であり、すなわち、顕著なアポトーシスをほとんどまたは全く示さない。
【0155】
アポトーシスをアッセイする方法は当技術分野において公知であり、以下および実施例のなかで詳細に記述されている。アポトーシスをアッセイする好ましい方法は、「実施例14 アポトーシスアッセイ」に記載されている。
【0156】
代替的なアポトーシスアッセイは、当該細胞でのカスパーゼ2、カスパーゼ3およびカスパーゼ8のいずれかの1つまたは複数のレベルの定量化または測定を含む。すなわち、好ましくは、これらのカスパーゼのいずれかの1つまたは複数のレベルは、そのように改変されていないものに比べて、改変された細胞または集団において10%、20%、30%、50%、70%、80%、90%またはそれ以上だけ減少する。好ましくは、改変細胞は、改変されていない対照細胞に比べて、好ましくは少なくとも1時間、より好ましくは少なくとも6時間、より好ましくは少なくとも12時間またはそれ以上、例えば、少なくとも24時間、少なくとも36時間、少なくとも48時間、少なくとも72時間、少なくとも144時間、少なくとも288時間、またはそれ以上の時間だけカスパーゼ2、カスパーゼ3およびカスパーゼ8のいずれかの1つまたは複数の発現の遅延を示す。カスパーゼレベルは、RT−PCR、RNAse保護、SDS−PAGE、免疫アッセイなどをはじめとする、当技術分野において公知の任意の手段によりアッセイすることができる。
【0157】
細胞死は2つの異なる機構、つまりネクローシスまたはアポトーシスのいずれかによって起こりうる。さらに、ある種の化学物質および細胞は、細胞にとって細胞傷害性である、すなわち、その死を引き起こすといわれている。
【0158】
「細胞傷害性」とは、化学物質(食品、化粧品、もしくは医薬品などの)またはメディエーター細胞(細胞傷害性T細胞)の殺細胞特性をいう。ネクローシスおよびアポトーシスとは対照的に、細胞傷害性という用語は、必ずしも特異的な細胞死機構を指すものではない。例えば、細胞介在性細胞傷害(すなわち、細胞傷害性Tリンパ球[CTL]またはナチュラルキラー[NK]細胞のいずれかにより介在される細胞死)では、ネクローシスとアポトーシスの両方のいくつかの態様が組み合わされる。
【0159】
「ネクローシス」(「事故的な」細胞死とも称される)とは、細胞が重大な物理的または化学的傷害に曝露されたときに起こる病理学的過程をいう。ネクローシスは、形質膜に損傷を引き起こしうる生理学的条件(例えば、低体温、低酸素)由来の極端な変化に細胞が曝露されたときに起こる。生理学的条件の下での形質膜への直接的損傷は、補体および細胞溶解性ウイルスのような作用物質によって引き起こされる。ネクローシスは恒常性を維持する細胞の能力の機能障害から始まり、水および細胞外イオンの流入に至る。細胞内オルガネラ、最も顕著にはミトコンドリア、および細胞全体が膨潤し、破裂する(細胞溶解)。形質膜の最終的な破壊によって、リソソーム酵素を含む細胞質の内容物が細胞外液に放出される。それ故に、in vivoにおいて、ネクローシス細胞死は、激しい炎症反応をもたらす広範な組織損傷と関連していることが多い。
【0160】
「アポトーシス」(「正常な」または「プログラムされた」細胞死)とは、不要なまたは無用な細胞が発生およびその他の正常な生物学的過程の間に除去される生理学的過程をいう。アポトーシスは、正常な生理学的条件の下で起こる細胞死の様式であり、細胞はそれ自体の消滅(「細胞の自殺」)において積極的な参加者となる。それは正常な細胞ターンオーバーおよび組織恒常性、胚形成、免疫寛容の誘導および維持、神経系の発達ならびに内分泌依存的な組織萎縮の間に見られることが最も多い。アポトーシスを起こしている細胞は、特有の形態学的および生化学的特徴を示す。これらの特徴には、クロマチン凝集、核および細胞質の凝縮、リボソーム、形態学的に無傷のミトコンドリアおよび核物質を含有する膜結合小胞(アポトーシス小体)への細胞質および核の分配が含まれる。in vivoにおいて、これらのアポトーシス小体は、マクロファージまたは隣接する上皮細胞のいずれかにより速やかに認識され貪食される。in vivoでのアポトーシス細胞の除去に関するこの効率的な機構によって、炎症反応が誘発されることはない。in vitroにおいて、アポトーシス小体および残存する細胞断片は、最終的に膨潤し、最後には溶解する。in vitroでの細胞死のこの最終相は「二次的なネクローシス」と呼ばれている。
【0161】
表1はネクローシスとアポトーシスとの間で観測可能な種々の相違を要約している。好ましくは、改変細胞はこれらの特徴の1つまたは複数の低下を示す。これらの相違のいずれかを、単独でまたは組み合わせで、細胞死がアポトーシスによりまたはネクローシスにより起こっているかどうかを判定するためにアッセイすることができる。
【表1】
【0162】
以下の文献を参照されたい。それらはアポトーシスについて詳細に記述しているだけでなく、アポトーシスによる細胞死を測定するための様々なアッセイについても記述している:Schwartzman, R. A. and Cidlowski, J. A. (1993). Endocrine Rev. 14, 133; Vermes, I. and Haanan, C. (1994). Adv. Clin. Chem. 31, 177; Berke, G. (1991). Immunol. Today 12, 396; Krahenbuhl, O. and Tschopp, J. (1991). Immunol. Today12, 399; Van Furth, R. and Van Zwet, T. L. (1988). J. Immunol; Methods 108, 45. Cohen, J. J. (1993) Apoptosis. Immunol. Today14, 126; Savill, J. S. et al. (1989). J. Clin. Invest. 83, 865; Wyllie, A. H. (1980). Nature 284, 555; Leist, M. et al. (1994) Biochemica No. 3, 18-20; Fraser, A. and Evan, G. (1996) Cell 85, 781-784; Duke, R. C. (1983). Proc. Natl. Acad. Sci. USA 80,6361; Duke, R. C. & Cohen, J. J. (1986). Lymphokine Res. 5, 289; Trauth, B. C. et al. (1994) Eur. J. Cell. Biol. 63, 32, Suppl 40; Matzinger, P. (1991). J. Immunol; Methods 145, 185; Kaeck, M. R. (1993); Anal. Biochem. 208, 393; Prigent, P. et al. (1993). J. Immunol; Methods 160, 139; Huang, P. & Plunkett, W. (1992), Anal. Biochem. 207, 163; Bortner , C. D. et al. (1995) Trends Cell Biol. 5, 21; Gold, R. et al. (1994); Lab. Invest. 71, 219。
【0163】
アポトーシスおよび細胞介在性細胞傷害は、細胞膜が分解する前にゲノムDNAが不連続断片へと切断されることによって特徴づけられる。したがって、アポトーシスはDNA断片化を測定することにより、例えば、DNAラダーの存在を観察することによりアッセイすることができる。DNA断片は、例えば、細胞の集団に由来する「ラダー」として(ラダーの「段」として180bpの倍数体とともに)、または、例えば、ELISAを介したヒストン複合型DNA断片の定量化によってアッセイすることができる。そのようなアッセイは、ヌクレオソームを検出する1ステップのサンドイッチ免疫アッセイに依る。その手順は、遠心分離により細胞をペレットにするステップおよび上清(これはインキュベーションの間に膜を通じて漏出したネクローシス細胞由来DNAを含有する)を捨てるステップを伴う。細胞を溶解緩衝液に再懸濁し、インキュベートする。溶解後、無傷の核を遠心分離によりペレットにする。上清の一定分量をマイクロタイタープレートのストレプトアビジン被覆ウェルに移し、上清中のヌクレオソームを2種のモノクローナル抗体、つまり抗ヒストン抗体(ビオチン標識)および抗DNA抗体(ペルオキシダーゼ結合)と結合させる。抗体−ヌクレオソーム複合体は、ストレプトアビジンによってマイクロタイタープレートに結合する。固定化された抗体−ヒストン複合体を3回洗浄して、免疫反応性でない細胞成分を除去し、このサンプルをペルオキシダーゼ基質(ABTS(登録商標))とインキュベートする。次いで、着色生成物の(すなわち、固定化された抗体−ヒストン複合体の)量を分光光度的に測定する。
【0164】
いくつかのプロテアーゼがアポトーシスの初期段階に関与している。アポトーシスはそれ故に、カスパーゼ、例えば、カスパーゼ3などのアポトーシス誘導プロテアーゼの活性をアッセイすることに加えて、またはそれに代えて、そのプロテアーゼの存在を検出することによってアッセイすることもできる。カスパーゼ活性化はさまざまな方法で、例えば、カスパーゼの捕捉と適当な基質のタンパク質分解的切断の測定によって、例えば、細胞溶解物のin vitroでの酵素アッセイによって分析することができる。さらに、カスパーゼはPARP(ポリ−ADP−リボース−ポリメラーゼ)などのin vivoのカスパーゼ基質の切断の検出によってアッセイすることができる。切断されたPARP断片を抗PARP抗体などの適当な抗体で検出することができる。プロテアーゼアッセイおよびDNA断片化アッセイは、細胞集団でのアポトーシスをアッセイするのに特に適している。
【0165】
ISNTおよびTUNEL酵素標識化アッセイなどの、個々の細胞でのアポトーシスを研究する方法も利用可能である。上記のとおり、広範なDNA分解は特徴的な事象であり、これはアポトーシスの初期段階で起こることが多い。DNAの切断によって、二本鎖の低分子量DNA断片(モノおよびオリゴヌクレオソーム)および高分子量DNAでは一本鎖切断(「ニック」)が生ずる。TUNELでは、そのようなDNA鎖切断を、適当な修飾ヌクレオチド(例えば、X−dUTP、X=ビオチン、DIGまたはフルオレセイン)を用いた遊離3’−OH末端の酵素標識化によって検出する。適当な標識化酵素としては、ISNT(「in situニックトランスレーション」)ではDNAポリメラーゼ(ニックトランスレーション)およびTUNEL(「TdT仲介X−dUTPニック末端ラベリング」; Huang, P. & Plunkett, W., 1992, Anal. Biochem. 207, 163; Bortner , C. D. et al., 1995, Trends Cell Biol. 5, 21)では末端デオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(末端ラベリング)が挙げられる。
【0166】
アポトーシスは同様に、新たな糖残基を曝露させる、細胞表面糖タンパク質の側鎖からの末端シアル酸残基の喪失;トロンボスポンジンなどのマクロファージ分泌接着分子に対する受容体として機能しうる表面糖タンパク質の出現;および膜表面の疎水性と電荷の両方を変化させる、細胞膜リン脂質における非対称性の喪失を含め、膜変化を測定することによってアッセイすることができる。具体的には、ヒト抗凝固アネキシンVは、ホスファチジルセリン(PS)に高い親和性を有する35〜36キロダルトンのCa2+依存的なリン脂質結合タンパク質である。正常な生存細胞では、PSは細胞膜の細胞質側表面に位置している。しかしながら、アポトーシス細胞では、PSは形質膜の内側から外側に移行され、それによってPSを細胞外環境に曝露させる。それ故に、アネキシンVを用いて、アポトーシス細胞の表面に非対称的に曝露されたホスファチジルセリンを検出することができる(Homburg, C. H. E. et al. 1995, Blood 85, 532; Verhoven, B. et al., 1995, J. Exp. Med. 182, 1597)。さらに、DAPI、エチジウムブロマイドおよびヨウ化プロピジウムなどのようなDNA染色を生存細胞と非生存細胞とを区別するための鑑別染色に用いることができる。DNA含量のプロファイルを用いることもできる;すなわち、透過性アポトーシス細胞は低分子量DNAを漏出するので、「サブ−G1ピーク」、または「A0」細胞(G1細胞のDNA染色よりも低いDNA染色を有する細胞)の検出を、例えば、フローサイトメトリーによって行うことができる。同様にしてアポトーシスに特徴的な形態学的変化を検出することもできる。
【0167】
抗体の使用によるced−3、ced−4、ced−9(Ellis, H. M. and Horvitz, H. R., 1986, Cell 44, 817-829; Yuan, J. Y. and Horvitz, H. R., 1990, Dev. Biol. 138, 33-41; Hentgartner, M. O., Ellis, R. E. and Horvitz, H. R., 1992, Nature 356, 494-499.)、Fas(CD95/Apo−1;Enari et al., 1996, Nature 380, 723-726)、Bcl−2(Baffy, G. et al., 1993, J. Biol. Chem. 268, 6511-6519; Miyashita, T. and Reed, J. C., 1993, Blood 81, 151-157; Oltvai, Z. N., Milliman, C. L. and Korsmeyer, S. J., 1993, Cell 74, 609-619)、p53(Yonish-Rouach, E. et al., 1991, Nature 352, 345-347)などのようなアポトーシス関連タンパク質の検出を利用して、アポトーシスをアッセイすることもできる。
【0168】
ヌクレオチドベクター
ポリヌクレオチドを組換え複製可能なベクターに導入することができる。このベクターを用いて、適合性の宿主細胞内で核酸を複製させることができる。すなわち、さらなる態様において、本発明者らは、ポリヌクレオチドを複製可能なベクターに導入し、ベクターを適合性の宿主細胞に導入し、ベクターの複製をもたらす条件の下で宿主細胞を増殖させることによってポリヌクレオチドを作製する方法を提供する。ベクターは宿主細胞から回収することができる。適当な宿主細胞としては、大腸菌(E. coli)などの細菌、酵母、哺乳動物細胞株およびその他の真核細胞株、例えば昆虫Sf9細胞が挙げられる。
【0169】
ベクター中のポリヌクレオチドは、宿主細胞によるコード配列の発現をもたらすことができる制御配列に機能的に連結される、すなわち、ベクターは発現ベクターであることが好ましい。「機能的に連結された」という用語は、記述される成分が、それらをその意図する形で機能させることを可能にする関係にあることを意味する。コード配列に「機能的に連結された」調節配列は、制御配列と適合する条件の下でコード配列の発現が達成されるような方法でライゲーションされる。
【0170】
制御配列を、例えばさらなる転写調節エレメントの付加によって、制御配列により命令される転写のレベルを転写調節物質により強く応答するよう改変することができる。
【0171】
ベクターを下記のように適当な宿主細胞に形質転換またはトランスフェクトして、タンパク質の発現を供与することができる。この過程は、タンパク質をコードするコード配列の、ベクターによる発現をもたらす条件の下で、上記のように発現ベクターで形質転換された宿主細胞を培養するステップ、および任意により発現タンパク質を回収するステップを含むことができる。
【0172】
ベクターは、例えば、複製起点、任意により前記のポリヌクレオチドの発現用プロモーターおよび任意によりプロモーターのレギュレーターが備えられたプラスミドまたはウイルスベクターとすることができる。ベクターは1つまたは複数の選択可能なマーカー遺伝子、例えば細菌プラスミドの場合にはアンピシリン耐性遺伝子または哺乳動物ベクターの場合ネオマイシン耐性遺伝子を含むことができる。ベクターを用いて、例えば、宿主細胞にトランスフェクトまたは形質転換することができる。
【0173】
タンパク質をコードする配列に機能的に連結された制御配列としては、プロモーター/エンハンサーおよびその他の発現調節シグナルが挙げられる。これらの制御配列は、発現ベクターが使用されるようにデザインされている宿主細胞に適合するよう選択することができる。「プロモーター」という用語は、当技術分野において周知であり、サイズと複雑性が最小プロモーターから上流の要素およびエンハンサーを含むプロモーターに及ぶ核酸領域を包含する。
【0174】
プロモーターは、典型的には、哺乳動物細胞において機能的であるプロモーターから選択されるが、原核生物プロモーターおよびその他の真核細胞において機能的なプロモーターを用いてもよい。プロモーターは、典型的には、ウイルスのまたは真核生物の遺伝子のプロモーター配列に由来する。例えば、それは、発現が行われることになる細胞のゲノムに由来するプロモーターであってもよい。真核生物プロモーターに関して、それらは、全身的な形で機能するプロモーター(α−アクチン、β−アクチン、チュブリンのプロモーターなど)または、あるいは、組織特異的な形で機能するプロモーター(ピルビン酸キナーゼに対する遺伝子のプロモーターなど)であってもよい。それらは同様に、特異的な刺激に応答するプロモーター、例えばステロイドホルモン受容体に結合するプロモーターであってもよい。ウイルスプロモーター、例えばモロニーマウス白血病ウイルス末端反復配列(MMLV LTR)プロモーター、ラウス肉腫ウイルス(RSV)LTRプロモーターまたはヒトサイトメガロウイルス(CMV)IEプロモーターを用いてもよい。
【0175】
異種遺伝子の発現のレベルを細胞の寿命の間に調節できるように、プロモーターが誘導可能なことも好都合であるかもしれない。誘導可能とは、プロモーターを用いて得られる発現のレベルを調節できることを意味する。
【0176】
さらに、これらのプロモーターのいずれかをさらなる調節配列、例えばエンハンサー配列の付加により改変してもよい。上記の2つまたはそれ以上の異なるプロモーター由来の配列エレメントを含むキメラプロモーターを用いてもよい。
【0177】
cgFAIM、cgFADD、cgPDCD6およびcgRequiemポリペプチドの発現
生物学的に活性なcgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemポリペプチドを発現させるため、チャイニーズハムスター(Cricetulus griseus)FAIM、FADD、PDCD6またはRequiemポリヌクレオチド配列を、調節配列と、そのポリヌクレオチドの発現を調節配列が命令するのを可能とするように結合させる。その後、調節配列の制御下にポリペプチドの発現が行われるようにできる。任意により、そのように生成されたポリペプチドは精製されてもよい。
【0178】
好ましくは、調節配列は、FAIM、FADD、PDCD6またはRequiemポリヌクレオチド配列が天然には結び付いていないものである。
【0179】
本発明者らはそれ故に、チャイニーズハムスター(Cricetulus griseus)FAIM、FADD、PDCD6またはRequiemポリヌクレオチド配列を、調節配列と、そのポリヌクレオチドの発現を調節配列が命令するのを可能とするように結合させた細胞、好ましくはチャイニーズハムスター(Cricetulus griseus)細胞を用意するステップ、およびポリペプチドの発現を可能にする条件の下で細胞を培養するステップ、任意によりポリペプチドを精製するステップを含む、ポリペプチドを生成する方法について記述する。
【0180】
本発明者らはさらに、(a)チャイニーズハムスター(Cricetulus griseus)FAIM、FADD、PDCD6またはRequiemポリヌクレオチド配列を、調節配列と、そのポリヌクレオチドの発現を調節配列が命令するのを可能とするように結合させることによって生成された発現配列を用意するステップ;(b)調節配列の制御下に発現配列からのポリペプチドの発現を可能にするステップ、および(c)任意によりポリペプチドを精製するステップを含む、ポリペプチドを生成する方法について記述する。
【0181】
具体的には、それぞれの核酸またはそのホモログ、変異体、もしくは誘導体をコードするヌクレオチド配列を適切な発現ベクター、すなわち、挿入されたコード配列の転写および翻訳に必要な要素を含むベクターに挿入することができる。
【0182】
本発明者らは同様に、上記の方法のいずれかによって生成されたポリペプチドを提供する。
【0183】
cgFAIM、cgFADD、cgPDCD6およびcgRequiemポリペプチドの発現を可能にする方法を以下に記載する。これらの方法は、ポリペプチドのアップレギュレーション、例えば、細胞生存率の上昇を達成するためにcgFADDのアップレギュレーションが望まれる、本明細書に記述される方法および組成物の態様で用いるのに適しうることを理解されたい。
【0184】
発現ポリペプチドを提供するための1つの方法は、発現ベクター、すなわち、発現ベクターにクローニングされた対象となるポリペプチドをコードする配列に機能的に連結されている、任意によりエンハンサーなどのその他の調節配列とともに、調節可能なプロモーターを含有するベクター(例えば、プラスミド)を用いるものである。
【0185】
当業者に周知である方法を用いて、cgFAIM、cgFADD、cgPDCD6およびcgRequiemならびに適切な転写および翻訳制御エレメントをコードする配列を含有する発現ベクターを構築することができる。これらの方法は、in vitro組換えDNA技術、合成技術、およびin vivo遺伝子組換えを含む。そのような技術はSambrook,J.ら(1989; Molecular Cloning, A Laboratory Manual, ch. 4, 8, and 16-17, Cold Spring Harbor Press, Plainview, N.Y.)およびAusubel,F.M.ら(1995および定期的追補版; Current Protocols in Molecular Biology, ch. 9, 13, and 16, John Wiley & Sons, New York, N.Y.)に記述されている。
【0186】
様々な発現ベクター/宿主系を利用して、cgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemをコードする配列を含有させ、発現させることができる。これらは、組換えバクテリオファージ、プラスミド、またはコスミドDNA発現ベクターで形質転換された細菌などの微生物;酵母発現ベクターで形質転換された酵母;ウイルス発現ベクター(例えば、バキュロウイルス)で感染された昆虫細胞系;ウイルス発現ベクター(例えば、カリフラワーモザイクウイルス(CaMV)もしくはタバコモザイクウイルス(TMV))でまたは細菌発現ベクター(例えば、TiもしくはpBR322プラスミド)で形質転換された植物細胞系;あるいは動物細胞系を含むが、これらに限定されることはない。任意の適当な宿主細胞を利用することができる。
【0187】
「制御エレメント」または「調節配列」は、転写および翻訳を実行するために宿主の細胞タンパク質と相互作用するベクターの非翻訳領域(すなわち、エンハンサー、プロモーター、ならびに5’および3’非翻訳領域)である。そのようなエレメントは、その強さおよび特異性が異なりうる。利用されるベクター系および宿主に応じて、構成性および誘導性プロモーターをはじめとする、任意の数の適当な転写および翻訳エレメントを使用することができる。例えば、細菌系にクローニングする場合、BLUESCRIPTファージミド(Stratagene, La Jolla, Calif.)またはPSPORT1プラスミド(GIBCO/BRL)などのハイブリッドlacZプロモーターのような誘導性プロモーターを使用することができる。バキュロウイルス・ポリヘドリンプロモーターを昆虫細胞で使用することができる。植物細胞のゲノムに由来するプロモーターもしくはエンハンサー(例えば、熱ショック、RUBISCO、および貯蔵タンパク質遺伝子)または植物ウイルスに由来するプロモーターもしくはエンハンサー(例えば、ウイルスプロモーターもしくはリーダー配列)をベクターにクローニングすることができる。
【0188】
哺乳動物細胞系では、哺乳動物遺伝子由来のまたは哺乳動物ウイルス由来のプロモーターが好ましい。cgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemをコードする配列の複数コピーを含有する細胞株を作出する必要があるなら、SV40またはEBVに基づくベクターを、適した選択可能なマーカーとともに使用することができる。
【0189】
細菌系では、cgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemを対象とする用途に応じて、いくつかの発現ベクターを選択することができる。例えば、抗体の誘導のために大量のcgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemが必要とされる場合、容易に精製される融合タンパク質の高レベル発現をもたらすベクターを使用することができる。そのようなベクターとしては、ハイブリッドタンパク質が生成されるように、cgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemをコードする配列を、アミノ末端のMetに対する配列およびその後の7残基のβ−ガラクトシダーゼとインフレームでベクターにライゲーションできるBLUESCRIPT(Stratagene)のような多機能の大腸菌クローニングおよび発現ベクター、pINベクター(Van Heeke, G. and S. M. Schuster (1989) J. Biol. Chem. 264:5503-5509)などが挙げられるが、これらに限定されることはない。pGEXベクター(Promega, Madison, Wis.)を用いて、外来ポリペプチドをグルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)との融合タンパク質として発現させることもできる。一般に、そのような融合タンパク質は可溶性であり、グルタチオン−アガロースビーズへの吸着、引き続いて遊離グルタチオンの存在下での溶出によって溶解細胞から容易に精製することができる。そのような系で作出されるタンパク質は、クローニングされた対象となるポリペプチドをGST部分から自由に放出できるように、ヘパリン、トロンビン、または第XA因子プロテアーゼ切断部位を含むようデザインすることができる。
【0190】
酵母サッカロマイセス・セレビジエ(Saccharomyces cerevisiae)では、α因子、アルコールオキシダーゼ、およびPGHなどの、構成性または誘導性プロモーターを含有するいくつかのベクターを使用することができる。概説としては、Ausubel(前記)およびGrantら(1987; Methods Enzymol. 153:516-544)を参照されたい。
【0191】
植物発現ベクターが使われる場合、cgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemをコードする配列の発現は、いくつかのプロモーターのいずれかによって推進することができる。例えば、CaMVの35Sおよび19Sプロモーターなどのウイルスプロモーターを単独でまたはTMV由来のωリーダー配列(Takamatsu, N. (1987) EMBO J. 6:307-311.)と併せて使用することができる。あるいは、RUBISCO小サブユニットなどの植物プロモーターまたは熱ショックプロモーターを使用することができる(Coruzzi, G. et al. (1984) EMBO J. 3:1671-1680; Broglie, R. et al. (1984) Science 224:838-843; およびWinter, J. et al. (1991) Results Probl. Cell Differ. 17:85-105.)。これらの構築体は、直接的なDNA形質転換または病原体を介したトランスフェクションによって植物細胞に導入することができる。そのような技術は、いくつかの一般に利用可能な概説に記述されている(例えば、Hobbs, S. or Murry, L. E. in McGraw Hill Yearbook of Science and Technology (1992) McGraw Hill, New York, N.Y.; pp. 191-196.を参照のこと)。
【0192】
昆虫系を用いて、cgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemを発現させることもできる。例えば、そのような1つの系では、オートグラファカリフォルニア核多角体病ウイルス(AcNPV)をベクターとして用いて、外来遺伝子をヨウトガ(Spodoptera frugiperda)細胞でまたはトリコプルシア(Trichoplusia)幼虫で発現させる。cgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemをコードする配列を、ポリヘドリン遺伝子などのウイルスの非必須領域にクローニングし、ポリヘドリンプロモーターの制御下に置くことができる。cgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemの挿入成功は、ポリヘドリン遺伝子を不活性にし、外皮タンパク質を欠いた組換えウイルスを生成させるであろう。次いで、この組換えウイルスを用いて、例えば、cgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemが発現されうるヨウトガ細胞またはトリコプルシア幼虫に感染させることができる(Engelhard, E. K. et al. (1994) Proc. Nat. Acad. Sci. 91:3224-3227.)。
【0193】
哺乳動物宿主細胞では、いくつかのウイルスに基づく発現系を利用することができる。アデノウイルスが発現ベクターとして使われる場合には、cgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemをコードする配列を、後期プロモーターおよひ三分割リーダー配列からなるアデノウイルス転写/翻訳複合体にライゲーションすることができる。ウイルスゲノムの非必須E1またはE3領域中の挿入を用いて、感染宿主細胞においてcgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemを発現することが可能な生存ウイルスを得ることができる。(Logan, J. and T. Shenk (1984) Proc. Natl. Acad. Sci. 81:3655-3659.)さらに、ラウス肉腫ウイルス(RSV)エンハンサーなどの、転写エンハンサーを用いて、哺乳動物宿主細胞での発現を増大させることができる。
【0194】
このように、例えば、cgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemタンパク質をヒト胎児腎臓293(HEK293)細胞または接着性dhfr CHO細胞のいずれかで発現させる。受容体発現を最大限にするため、典型的には、pCDNまたはpCDNA3ベクターへの挿入前に全ての5’および3’非翻訳領域(UTR)を受容体cDNAから除去する。細胞をリポフェクチンにより個々の受容体cDNAでトランスフェクトし、400 mg/mlのG418の存在下で選択する。3週間の選択後、個々のクローンを拾い、さらなる分析のために増殖させる。ベクターのみをトランスフェクトされたHEK293またはCHO細胞は、陰性対照として役立つ。個々の受容体を安定に発現する細胞株を単離するため、典型的には、約24クローンを選択し、ノザンブロット分析により分析する。受容体mRNAは一般に、分析されるG418耐性クローンの約50%において検出可能である。
【0195】
ヒト人工染色体(HAC)を利用して、プラスミド中に含有させ、発現させることができるよりも大きなDNA断片を送達することもできる。約6kb〜10MbのHACを構築し、治療目的のための従来の送達方法(リポソーム、ポリカチオン性アミノポリマー、または小胞)により送達する。
【0196】
特異的な開始シグナルを用いて、cgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemをコードする配列のより効率的な翻訳を達成することもできる。そのようなシグナルはATG開始コドンおよび隣接する配列を含む。cgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemをコードする配列ならびにその開始コドンおよび上流配列が適切な発現ベクターに挿入される場合には、さらなる転写または翻訳制御シグナルは必要とされないかもしれない。しかしながら、コード配列、またはその断片だけが挿入される場合には、ATG開始コドンを含む外因性の翻訳制御シグナルが供与されるべきである。さらに、開始コドンは、インサート全体の翻訳を確実とするよう正しい読み枠の中にあるべきである。外因性の翻訳エレメントおよび開始コドンは、天然および合成の両方の、様々な起源のものとすることができる。発現の効率は、文献に記述されているものなどの、使用される特定の細胞系に適したエンハンサーの包含によって上昇させることができる(Scharf, D. et al. (1994) Results Probl. Cell Differ. 20:125-162.)。
【0197】
さらに、宿主細胞菌株を、挿入された配列の発現を調節するかまたは発現されたタンパク質を所望の様式でプロセシングするその能力について選択することができる。ポリペプチドのそのような修飾としては、アセチル化、カルボキシル化、糖化、リン酸化、脂質化、およびアシル化が挙げられるが、これらに限定されることはない。タンパク質の「プレプロ」型を切断する翻訳後プロセシングを用いて、正しい挿入、折り畳み、および/または機能を促進することもできる。翻訳後活性に特異的な細胞機序および特徴的な機構を有する異なる宿主細胞(例えば、CHO、HeLa、MDCK、HEK293、およびWI38)は、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC, Bethesda, Md.)から入手可能であり、外来タンパク質の正しい修飾およびプロセシングを確実とするよう選択することができる。
【0198】
長期で、高回収量の組換えタンパク質生成の場合、安定発現が好ましい。例えば、cgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemを安定に発現することが可能な細胞株を、ウイルス複製起点および/または内因性の発現エレメントならびに選択可能なマーカー遺伝子を同一のベクター上にまたは別のベクター上に含みうる発現ベクターによって形質転換することができる。ベクターの導入後、選択培地に切り替える前に、細胞を富化培地中で約1〜2日間増殖させてもよい。選択可能なマーカーの目的は耐性を選択に付与することであり、その存在によって、導入された配列を成功裏に発現する細胞の増殖および回収が可能になる。安定に形質転換された細胞の耐性クローンは、細胞型に適した組織培養技術を用いて増殖させることができる。
【0199】
任意の数の選択系を用いて、形質転換細胞株を回収することができる。これらは、tk−またはapr−細胞でそれぞれ利用できる、単純ヘルペスウイルス・チミジンキナーゼ遺伝子(Wigler, M. et al. (1977) Cell 11:223-32)およびアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ遺伝子(Lowy, I. et al. (1980) Cell 22:817-23)を含むが、これらに限定されることはない。同様に、代謝拮抗物質、抗生物質、または除草剤耐性を選択の基礎として使用することができる。例えば、dhfrはメトトレキサートに対する耐性を付与し(Wigler, M. et al. (1980) Proc. Natl. Acad. Sci. 77:3567-70);nptはアミノグリコシド系ネオマイシンおよびG−418に対する耐性を付与し(Colbere-Garapin, F. et al (1981) J. Mol. Biol. 150:1-14);およびalsまたはpatは、それぞれクロルスルフロンおよびホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼに対する耐性を付与する(Murry、前記)。さらなる選択可能な遺伝子、例えば、細胞がトリプトファンの代わりにインドールを利用することを可能にするtrpB、または細胞がヒスチジンの代わりにヒスチノールを利用することを可能にするhisDが報告されている(Hartman, S. C. and R. C. Mulligan (1988) Proc. Natl. Acad. Sci. 85:8047-51.)。最近では、アントシアニン、β−グルクロニダーゼおよびその基質GUS、ならびにルシフェラーゼおよびその基質ルシフェリンのようなマーカーによる可視的なマーカーの使用が主流となっている。これらのマーカーは形質転換体を同定するためだけでなく、特異的なベクター系に起因する一過的なまたは安定的なタンパク質発現の量を定量化するために使用することができる(Rhodes, C. A. et al. (1995) Methods Mol. Biol. 55:121-131.)。
【0200】
マーカー遺伝子発現の存在/非存在は、対象となる遺伝子も同様に存在することを示唆するが、その遺伝子の存在および発現を確認する必要があるかもしれない。例えば、cgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemをコードする配列がマーカー遺伝子配列内に挿入される場合、cgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemをコードする配列を含有する形質転換細胞は、マーカー遺伝子機能がないことによって同定することができる。あるいは、マーカー遺伝子を、単一プロモーターの制御下にcgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemをコードする配列とタンデムに配置することができる。誘導または選択に応じたマーカー遺伝子の発現は、通常、同様にタンデム遺伝子の発現を示唆する。
【0201】
あるいは、cgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemをコードする核酸配列を含む、ならびにcgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemを発現する宿主細胞は、当業者に公知の様々な手順によって同定することができる。これらの手順は、核酸またはタンパク質配列の検出および/または定量化のための膜、溶液、またはチップに基づく技術を含むDNA−DNAまたはDNA−RNAハイブリダイゼーションおよびタンパク質バイオアッセイまたは免疫アッセイ技術を含むが、これらに限定されることはない。
【0202】
cgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemをコードするポリヌクレオチド配列の存在は、cgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemをコードするポリヌクレオチドのプローブまたは断片を用いたDNA−DNAまたはDNA−RNAハイブリダイゼーションまたは増幅によって検出することができる。核酸増幅に基づくアッセイは、cgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemをコードするDNAまたはRNAを含有する形質転換体を検出するためのcgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemをコードする配列に基づくオリゴヌクレオチドまたはオリゴマーの使用を含む。
【0203】
タンパク質に特異的なポリクローナルまたはモノクローナル抗体のいずれかを用いて、cgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemの発現を検出および測定するための様々なプロトコルは、当技術分野において公知である。そのような技術の例としては、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、放射免疫アッセイ(RIA)、および蛍光活性化細胞ソーティング(FACS)が挙げられる。cgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiem上の2種の非干渉性エピトープに反応性を示すモノクローナル抗体を利用する、2部位のモノクローナル抗体に基づく免疫アッセイが好ましいが、競合的結合アッセイが採用されてもよい。これらのおよびその他のアッセイは当技術分野において、例えば、Hampton, R.ら(1990; Serological Methods, a Laboratory Manual, Section IV, APS Press, St Paul, Minn.)においておよびMaddox, D. E.ら(1983; J. Exp. Med. 158:1211-1216)において十分に記述されている。
【0204】
多種多様な標識および結合技術は、当業者によって知られており、様々な核酸およびアミノ酸アッセイで用いることができる。cgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemをコードするポリヌクレオチドに関連する配列を検出するため標識されたハイブリダイゼーションまたはPCRプローブを生成する手段としては、オリゴ標識化、ニックトランスレーション、末端標識化、または標識ヌクレオチドを用いたPCR増幅が挙げられる。あるいは、cgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemをコードする配列、またはそのいずれかの断片をmRNAプローブの生成のため、ベクターにクローニングすることができる。そのようなベクターは、当技術分野において公知であり、市販されており、T7、T3、またはSP6などの適切なRNAポリメラーゼおよび標識ヌクレオチドの添加によりin vitroにおいてRNAプローブを合成するのに使用することができる。これらの手順は、Pharmacia & Upjohn(Kalamazoo, Mich.)、Promega(Madison, Wis.)、およびU.S. Biochemical Corp.(Cleveland, Ohio)によって供給されているものなどの、様々な市販のキットを用いて行うことができる。検出を容易にするために使用できる適当なレポーター分子または標識としては、放射性核種、酵素、蛍光物質、化学発光物質、または発色物質、および基質、補因子、阻害剤、磁気粒子などが挙げられる。
【0205】
cgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemをコードするヌクレオチド配列で形質転換された宿主細胞は、細胞培養物からのタンパク質の発現および回収に適した条件の下で培養することができる。形質転換細胞によって生成されるタンパク質は、使用される配列および/またはベクターに応じ、細胞膜に位置づけられ、分泌されまたは細胞内に含有されうる。当業者には明らかなように、cgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemをコードするポリヌクレオチドを含有する発現ベクターは、原核生物または真核生物の細胞膜を通じたcgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemの分泌を命令するシグナル配列を含むようにデザインすることができる。その他の構築物を用いて、cgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemをコードする配列を、可溶性タンパク質の精製を円滑にしうるポリペプチドドメインをコードするヌクレオチド配列に連結することができる。そのような精製円滑化ドメインは、固定化された金属での精製を可能にするヒスチジン−トリプトファンモジュールなどの金属キレートペプチド、固定化された免疫グロブリンでの精製を可能にするプロテインAドメイン、およびFLAGS伸長/アフィニティー精製システム(Immunex Corp., Seattle, Wash.)で利用されるドメインを含むが、これらに限定されることはない。精製ドメインとcgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemコード配列との間に、第XA因子またはエンテロキナーゼに特異的なもの(Invitrogen, San Diego, Calif.)などの、切断可能なリンカー配列を包含することを利用して、精製を円滑にすることができる。そのような1つの発現ベクターは、cgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemならびにチオレドキシンまたはエンテロキナーゼ切断部位の前に6ヒスチジン残基をコードする核酸を含有する融合タンパク質の発現をもたらす。ヒスチジン残基は、固定化金属イオンアフィニティークロマトグラフィーでの精製を円滑にし(IMIAC; Porath, J. et al. (1992) Prot. Exp. Purif. 3: 263-281に記述されている)、その一方でエンテロキナーゼ切断部位は、融合タンパク質からcgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemを精製するための手段を提供する。融合タンパク質を含有するベクターについての議論はKroll, D. J.ら(1993; DNA Cell Biol. 12:441-453)に示されている。
【0206】
cgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemの断片、ならびに全長ポリペプチドは、組換え産生によってだけでなく、固相技術を用いた直接的なペプチド合成によって生成することもできる(Merrifield J. (1963) J. Am. Chem. Soc. 85:2149-2154.)。タンパク質合成は、用手法によりまたは自動的に行うことができる。自動合成は、例えば、Applied Biosystems 431Aペプチド合成機(Perkin Elmer)を用いて達成することができる。cgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemの様々な断片を別々に合成し、その後、組み合わせて完全長の分子を生成することができる。
【0207】
その他の発現方法も公知であり、例えば、「遺伝子活性化」として知られる方法を利用して、cgFAIM、cgFADD、cgPDCD6およびcgRequiemの活性または発現を調節することができる。この方法は米国特許第5,641,670号に詳細に記述されており、参照により本明細書に組み入れられる。本質的に、遺伝子活性化法は、細胞ゲノムの中に、予め選択された部位で、相同組換えを通じ、(a)標的化配列;(b)調節配列;(c)エクソンおよび(d)対になっていないスプライスドナー部位を含んでなり、その標的化配列は、エレメント(b)〜(d)が内因性遺伝子に機能的に連結されるようにエレメント(a)〜(d)の組込みを命令する適当なDNA構築体を挿入することにより、細胞内での対象となる内因性遺伝子の調節または活性を改変できるという認識に基づいている。DNA構築体はまたは(a)標的化配列、(b)調節配列、(c)エクソン、(d)スプライスドナー部位、(e)イントロン、および(f)スプライスアクセプター部位を含んでなることができ、その標的化配列は(b)〜(f)のエレメントが内因性遺伝子の第1エクソンに機能的に連結されるようにエレメント(a)〜(f)の組込みを命令する。
【0208】
使用される標的化配列は、DNAが挿入されることになる部位に関連して選択される。いずれの配置でも、標的化事象は、DNA構築体および内因性の細胞遺伝子を標的化することによって導入された配列の融合産物である新たな転写単位を作出するために使われる。例えば、新たな転写単位の形成は、記述のDNA構築体を宿主細胞のゲノムの中に導入することによって、転写的にサイレントな遺伝子(トランスフェクション前には細胞内で発現されない遺伝子)が宿主細胞内で活性化されるのを可能にする。得られる細胞で発現されるcgFAIM、cgFADD、cgPDCD6またはcgRequiemなどの内因性遺伝子の発現は、それが増大される、除去されることを含めて低減される、または調節もしくは誘導のパターンが遺伝子活性化法の使用を通じて変化されうるという点で改変することができる。
【0209】
抗体
cgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemの特異的なアンタゴニストは、これらのタンパク質の活性を調節するのに使用することができ、そのタンパク質に対する抗体を含むことができる。具体的には、cgFADD、cgPDCD6およびcgRequiemに結合することが可能な、好ましくはそのいずれかの生物学的活性を阻害することが可能な抗体は、細胞生存率を上昇させるため、当該タンパク質の発現をダウンレギュレートさせる際に用いるのに適している。
【0210】
本発明者らはそれ故、具体的には、抗cgFADD抗体、抗cgFAIM抗体、抗cgPDCD6抗体および抗cgRequiem抗体、ならびにそれらを生成する方法を提供する。
【0211】
本明細書において用いる場合、抗体とは、選択された標的に結合することが可能な、かつFv、ScFv、Fab’およびF(ab’)2、モノクローナルおよびポリクローナル抗体、キメラ抗体、CDR移植抗体およびヒト化抗体を含めて遺伝子操作された抗体、ならびにファージディスプレイまたは代替技術を用いて生成された、人為的に選択された抗体を含む、完全な抗体または抗体断片をいう。FvおよびScFvなどの、小さな断片は、その小さなサイズや結果として優れた組織分布のため診断的および治療的用途に対し有利な特性を保有する。
【0212】
本明細書に記述される抗cgFAIM抗体、抗cgFADD抗体、抗cgPDCD6抗体および抗cgRequiem抗体は、例えば、細胞との関係において、当該タンパク質の検出に使用することができる。したがって、それらは、標識などのエフェクタータンパク質を含む改変された抗体とすることができる。in vivoまたはin vitroでの抗体の分布の画像処理を可能にする標識が特に好ましい。そのような標識は、胚または細胞塊のなかで容易に視覚化可能な、放射性標識または放射線不透性標識、例えば、金属粒子とすることができる。さらに、それらは、蛍光標識または組織サンプルで視覚化可能なその他の標識とすることができる。
【0213】
組換えDNA技術を用いて、本明細書に記述される抗体を改良することができる。すなわち、診断的または治療的用途での抗体の免疫原性を減らすため、キメラ抗体を構築することができる。さらに、CDR移植[欧州特許出願第0 239 400号(Winter)参照]および、任意で、骨格改変[欧州特許第0 239 400号]により抗体をヒト化することで、免疫原性を最小限に抑えることができる。
【0214】
抗cgFAIM抗体、抗cgFADD抗体、抗cgPDCD6抗体および抗cgRequiem抗体は、動物血清から得ることができ、または、モノクローナル抗体もしくはその断片の場合は、細胞培養で産生させることができる。組換えDNA技術を用いて、決められた手順にしたがい抗体を細菌細胞培養で、または好ましくは哺乳動物細胞培養で産生させることができる。選択される細胞培養系は、抗体産物を分泌することが好ましい。
【0215】
それ故に、本発明者らは、抗体の生成方法であって、その抗体タンパク質をコードする第2のDNA配列に適切な読み枠で連結されたシグナルペプチドをコードする第1のDNA配列に機能的に連結されたプロモーターを含む発現カセットを含んだハイブリッドベクターで形質転換された、宿主、例えば、大腸菌または哺乳動物細胞を培養するステップ、およびそのタンパク質を単離するステップを含む方法を開示する。
【0216】
in vitroでのハイブリドーマ細胞または哺乳動物宿主細胞の増殖は、適当な培地の中で行われる。その培地は、任意により哺乳動物血清、例えば、ウシ胎仔血清、または微量元素および増殖支持添加物、例えば、正常なマウス腹腔滲出細胞などのフィーダー細胞、脾細胞、骨髄マクロファージ、2−アミノエタノール、インスリン、トランスフェリン、低比重リポタンパク質、オレイン酸などを添加した、通例の標準的な培地、例えば、ダルベッコの改変イーグル培地(DMEM)またはRPMI1640培地である。細菌細胞または酵母細胞である宿主細胞の増殖は、当技術分野において公知の適当な培地の中で、例えば、細菌の場合には培地LB、NZCYM、NZYM、NZM、テリフィックブロス(Terrific Broth)、SOB、SOC、2×YT、またはM9最少培地の中で、および酵母の場合には培地YPD、YEPD、最少培地、または完全最少ドロップアウト培地の中で同様に行われる。
【0217】
in vitroでの生成は比較的純粋な抗体調製物を提供し、大量の所望の抗体をもたらすようスケールアップを可能にする。細菌細胞、酵母または哺乳動物細胞培養のための技術は、当技術分野において公知であり、例えば、エアリフトリアクタ中でのもしくは連続撹拌式リアクタ中での均質な懸濁培養、または、例えば、中空繊維、マイクロカプセル中での、アガロースマイクロビーズもしくはセラミックカートリッジ上での、固定化もしくは封入細胞培養を含む。
【0218】
大量の所望の抗体は、in vivoで哺乳動物細胞を増殖させることで得ることもできる。このため、所望の抗体を産生するハイブリドーマ細胞を組織適合性の哺乳動物に注入して、抗体産生性の腫瘍の増殖を引き起こす。任意により、注入前に、動物は炭化水素、特にプリスタン(テトラメチル−ペンタデカン)などのミネラルオイルで初回抗原刺激されてもよい。1〜3週間後、抗体をそれらの動物の体液から単離する。例えば、抗体産生性のBalb/cマウス由来脾細胞と適当なミエローマ細胞との融合によって得られたハイブリドーマ細胞、または所望の抗体を産生するハイブリドーマ細胞株Sp2/0に由来するトランスフェクト細胞を、任意によりプリスタンで予め処置されたBalb/cマウスの腹腔内に注入し、1〜2週間後、腹水を動物から採取する。
【0219】
先行技術、およびその他の技術は、例えば、Kohler and Milstein, (1975) Nature 256:495-497;US4,376,110;Harlow and Lane, Antibodies:a Laboratory Manual, (1988) Cold Spring Harborに論じられており、これらは参照により本明細書に組み入れられる。組換え抗体分子の調製のための技術は、上記の参考文献に記述されており、例えば、EP0623679;EP0368684およびEP0436597にも記述されており、これらは参照により本明細書に組み入れられる。
【0220】
細胞培養上清を、例えば、イムノブロッティングにより、酵素免疫アッセイ、例えば、サンドイッチアッセイもしくはドットアッセイ、または放射免疫アッセイにより所望の抗体を求めてスクリーニングする。
【0221】
抗体の単離のため、培養上清中のまたは腹水中の免疫グロブリンを、例えば、硫酸アンモニウムを用いた沈殿、ポリエチレングリコールなどの吸湿材に対する透析、選択膜を通じたろ過などにより濃縮することができる。必要ならおよび/または望まれるなら、抗体を通例のクロマトグラフィー法、例えば、ゲルろ過、イオン交換クロマトグラフィー、DEAE−セルロースに対するクロマトグラフィーおよび/または(免疫)アフィニティークロマトグラフィー、例えば、cgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/もしくはcgRequiem、またはその断片を用いた、あるいはプロテインAを用いたアフィニティークロマトグラフィーによって精製する。
【0222】
モノクローナル抗体を分泌するハイブリドーマ細胞も提供される。好ましいハイブリドーマ細胞は遺伝的に安定であり、所望の特異性のモノクローナル抗体を分泌し、急速冷凍培養物から融解および再クローニングにより活性化することができる。
【0223】
適当な哺乳動物、例えば、Balb/cマウスを1つまたは複数のcgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/もしくはcgRequiemポリペプチド、またはその抗原性断片で免疫し;免疫された哺乳動物の抗体産生性の細胞を適当なミエローマ細胞株の細胞と融合し、融合で得られたハイブリッド細胞をクローニングし、所望の抗体を分泌する細胞クローンを選択することを特徴とする、cgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemに対するモノクローナル抗体を分泌するハイブリドーマ細胞株の調製のための方法も含まれる。例えば、cgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemで免疫されたBalb/cマウスの脾細胞をミエローマ細胞株PAIまたはミエローマ細胞株Sp2/0−Ag14の細胞と融合し、得られたハイブリッド細胞を所望の抗体の分泌についてスクリーニングし、陽性のハイブリドーマ細胞をクローニングする。
【0224】
cgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemを発現する10〜107〜108個の細胞ならびに適当なアジュバントを数回、例えば4〜6回、数ヶ月、例えば、2〜4ヶ月にわたって皮下におよび/または腹腔内に注入することによりBalb/cマウスを免疫し、免疫マウスの脾細胞を最後の注入から2〜4日後に採取し、融合プロモーター、好ましくはポリエチレングリコールの存在下でミエローマ細胞株PAIの細胞と融合することを特徴とする、ハイブリドーマ細胞株の調製のための方法が好ましい。ミエローマ細胞は、分子量4000前後の約30%〜約50%ポリエチレングリコールを含有する溶液中で免疫マウス由来の3〜20倍過剰の脾細胞と融合されることが好ましい。融合の後、正常なミエローマ細胞が所望のハイブリドーマ細胞を異常増殖させるのを防ぐため定期的に、選択培地、例えばHAT培地を添加した、上述の適当な培地中で細胞を増殖させる。
【0225】
上述のとおりcgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemに対する抗体の重鎖可変ドメインおよび/または軽鎖可変ドメインをコードするインサートを含む組換えDNAも開示される。定義によれば、そのようなDNAは、コード一本鎖DNA、そのコードDNAとそれに相補的なDNAとからなる二本鎖DNA、またはこれらの相補的な(一本鎖)DNAそれ自体を含む。
【0226】
さらに、cgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemに対する抗体の重鎖可変ドメインおよび/または軽鎖可変ドメインをコードするDNAは、重鎖可変ドメインおよび/または軽鎖可変ドメインをコードする生来のDNA配列を有する酵素的にまたは化学的に合成されたDNA、あるいはその突然変異体とすることができる。生来のDNAの突然変異体は、1つもしくは複数のアミノ酸が欠失されているかまたは1つもしくは複数のその他のアミノ酸と交換されている上記の抗体の重鎖可変ドメインおよび/または軽鎖可変ドメインをコードするDNAである。好ましくは、その改変は抗体の重鎖可変ドメインおよび/または軽鎖可変ドメインのCDRの外側である。そのような突然変異DNAは、1つまたは複数のヌクレオチドが、同じアミノ酸をコードする新たなコドンを有するその他のヌクレオチドに置き換わっているサイレントな突然変異であることも意図される。そのような突然変異配列は同様に、縮重配列である。縮重配列は遺伝コードの意義の範囲内で、無制限の数のヌクレオチドが、本来コードされるアミノ酸配列の変化をもたらすことなしに、その他のヌクレオチドに置き換わるという範囲において縮重される。そのような縮重配列は、その異なる制限部位、ならびに/または重鎖マウス可変ドメインおよび/もしくは軽鎖マウス可変ドメインの最適な発現を得るために、特定の宿主、好ましくは大腸菌によって好まれる特定コドンの使用頻度に起因して有用とすることができる。
【0227】
突然変異体という用語は、当技術分野において公知の方法による生来のDNAのin vitro突然変異誘発によって得られるDNA突然変異体を含むことが意図される。
【0228】
完全な四量体免疫グロブリン分子の組み立ておよびキメラ抗体の発現のため、重鎖および軽鎖可変ドメインをコードする組換えDNAインサートを、重鎖および軽鎖定常ドメインをコードする対応するDNAと融合し、次いで、例えばハイブリッドベクターへの組込みの後、適切な宿主細胞に移入する。
【0229】
ヒト定常ドメインに融合されたcgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemに対する抗体の重鎖マウス可変ドメインg、例えば、γ1、γ2、γ3またはγ4、好ましくはγ1またはγ4をコードするインサートを含む組換えDNAも開示される。同様に、ヒト定常ドメインに融合されたcgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemに対する抗体の軽鎖マウス可変ドメインκまたはλ、好ましくはκをコードするインサートを含む組換えDNAも開示される。
【0230】
別の実施形態において、本発明者らは、重鎖可変ドメインおよび軽鎖可変ドメインが、任意により宿主細胞内での抗体のプロセシングを円滑にするシグナル配列および/または抗体の精製を円滑にするペプチドをコードするDNAおよび/または切断部位および/またはペプチドスペーサーおよび/またはエフェクター分子を含んでもよい、スペーサー基によって連結された組換えポリペプチドをコードする組換えDNAを開示する。
【0231】
エフェクター分子をコードするDNAは、診断的または治療的用途において有用なエフェクター分子をコードするDNAであることが意図される。すなわち、毒素または酵素、特にプロドラッグの活性化を触媒することが可能な酵素であるエフェクター分子がとりわけ示唆される。そのようなエフェクター分子をコードするDNAは、天然の酵素もしくは毒素をコードするDNA、またはその突然変異体の配列を有し、当技術分野において周知の方法によって調製することができる。
【0232】
製剤化および投与
cgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemペプチドおよびポリペプチドなどの、ペプチドおよびポリペプチド、核酸およびポリヌクレオチドならびにアゴニストおよびアンタゴニストペプチドまたは小分子を、適当な医薬担体と組み合わせて製剤化することができる。そのような製剤は、治療的に有効な量のポリペプチドまたは化合物、および製薬上許容される担体または賦形剤を含む。そのような担体としては、生理食塩水、緩衝生理食塩水、デキストロース、水、グリセロール、エタノール、およびその組み合わせが挙げられるが、これらに限定されることはない。製剤化は投与方法に適合するべきであり、十分に当技術分野の技術の範囲内である。本発明者らはさらに、上記組成物の成分の1つまたは複数で満たされた1つまたは複数の容器を含む医薬包装およびキットについて記述する。
【0233】
ポリペプチドおよびその他の化合物は、単独でまたは治療化合物などの、その他の化合物と併せて利用することができる。
【0234】
医薬組成物の全身投与の好ましい形態は、典型的には静脈内注射による注射を含む。皮下、筋肉内、または腹腔内などの、その他の注射経路が使用されてもよい。全身投与の代替手段は、胆汁塩もしくはフシジン酸などの浸透剤またはその他の界面活性剤を用いた経粘膜的および経皮的投与を含む。さらに、腸溶性のまたは封入性の製剤の中に適切に製剤化されるなら、経口投与も可能でありうる。これらの化合物の投与は、軟膏剤、ペースト剤、ゲル剤などの剤形で、局在性であるかかつ/または局在化されてもよい。
【0235】
必要とされる投与量範囲は、ペプチドの選択、投与の経路、製剤の性質、被験体の状態の性質、および主治医の判断に依る。しかしながら、適当な投与量は0.1〜100μg/kg被験体の範囲内である。しかしながら、利用可能な化合物の種類および様々な投与経路の異なる効率を考慮して、必要とされる投与量の幅広い変更が予想される。例えば、経口投与では、静脈内注射による投与よりも高い投与量を必要とするものと予想されよう。これらの投与量レベルの変化は、当技術分野において十分に理解されているように、最適化のための標準的な実験ルーチンによって調整することができる。
【0236】
治療で使用されるポリペプチドは同様に、前述のように「遺伝子治療」と称されることが多い治療法のなかで、被験体において内因的に作出することもできる。すなわち、例えば、被験体由来の細胞をex vivoで、および例えば、レトロウイルスプラスミドベクターの使用により、ポリペプチドをコードするDNAまたはRNAなどのポリヌクレオチドで遺伝子操作することができる。次いで、この細胞を被験体に導入する。
【0237】
医薬組成物
本発明者らは同様に、治療的に有効な量の(cgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemポリペプチドなどのような)ポリペプチド、ポリヌクレオチド、ペプチド、ベクターまたは抗体および任意により製薬上許容される担体、希釈剤または賦形剤(その組み合わせを含む)の投与を含む医薬組成物を提供する。
【0238】
医薬組成物はヒトまたはヒトでの動物使用および獣医薬に向けられてもよく、典型的には、製薬上許容される希釈剤、担体、または賦形剤のいずれかの1つまたは複数を含むであろう。治療的使用に許容される担体または希釈剤は、製薬分野において周知であり、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co.(A. R. Gennaro編. 1985)に記述されている。医薬担体、賦形剤または希釈剤の選択は、意図される投与経路および標準的な薬務に関して行うことができる。医薬組成物は担体、賦形剤もしくは希釈剤として、またはそれらに加えて、任意の適当な結合剤、滑沢剤、懸濁化剤、コーティング剤、可溶化剤を含むことができる。
【0239】
保存剤、安定化剤、色素および場合により香料添加剤が医薬組成物に供与されてもよい。保存剤の例としては、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸およびp−ヒドロキシ安息香酸エステルが挙げられる。酸化防止剤および懸濁化剤を使用することもできる。
【0240】
異なる送達系に依り異なる組成物/製剤の必要条件が存在しうる。例として、本明細書に記述される医薬組成物は、小型ポンプを用いてまたは粘膜経路によって、例えば、鼻腔スプレーもしくは吸入用エアロゾルもしくは摂取可能な溶液として、あるいは組成物が、例えば、静脈内、筋肉内または皮下経路による送達のために注射可能な形態により製剤化される非経口用組成物として送達されるよう製剤化することができる。または、製剤は両経路によって送達されるようデザインすることができる。
【0241】
薬剤が胃腸粘膜を通じて粘膜的に送達される場合、胃腸管を通じた輸送の間に安定した状態を保つことができなければならない;例えば、タンパク質分解に耐性でなければならず、酸性pHで安定でなければならず、かつ胆汁の界面活性作用に耐性でなければならない。
【0242】
必要に応じて、医薬組成物は吸入により、坐剤もしくは腟坐剤の形態で、ローション、溶液剤、クリーム剤、軟膏剤もしくは散剤の剤形で局所的に、皮膚パッチの使用により、デンプンもしくはラクトースなどの賦形剤を含有する錠剤の形態で経口的に、またはカプセル剤もしくは卵形剤で単独でもしくは賦形剤との混合で、または香料添加剤もしくは着色剤を含有する甘味アルコール溶液剤、溶液剤もしくは懸濁液剤の剤形で投与することができ、あるいはそれらは非経口的に、例えば静脈内に、筋肉内にまたは皮下に注射することができる。非経口投与の場合、組成物は、その他の物質、例えば溶液を血液と等張にさせるのに十分な塩または単糖類を含有しうる無菌水溶液の形態で最良に使用することができる。口腔または舌下投与の場合、組成物は、従来の様式で処方されうる錠剤またはトローチ剤の形態で投与することができる。
【0243】
ワクチン
別の実施形態は、哺乳動物において免疫反応を誘導する方法であって、その動物をcgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiem関連疾患から保護する抗体および/またはT細胞免疫反応をもたらすのに十分な、cgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/もしくはcgRequiemポリペプチド、またはその断片を哺乳動物に接種するステップを含む方法に関する。
【0244】
さらに別の実施形態は、哺乳動物において免疫反応を誘導する方法であって、その動物を疾患から保護する抗体をもたらすようにそのような免疫反応を誘導するため、in vivoでcgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemポリヌクレオチドの発現を命令するベクターを介してcgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemポリペプチドを送達するステップを含む方法に関する。
【0245】
さらなる実施形態は、哺乳動物宿主に導入された場合、その哺乳動物においてcgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemポリペプチドに対する免疫反応を誘導する免疫/ワクチン製剤(組成物)であって、cgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/もしくはcgRequiemポリペプチドまたはcgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/もしくはcgRequiem遺伝子を含む組成物に関する。ワクチン製剤はさらに、適当な担体を含むことができる。
【0246】
cgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemポリペプチドは胃のなかで分解されうるので、それは非経口的に(皮下の、筋肉内の、静脈内の、皮内などの注射を含め)投与されることが好ましい。非経口投与に適した製剤には、酸化防止剤、緩衝液、静菌剤および製剤をレシピエントの血液と等張(instonic)にさせる溶質を含みうる水性および非水性の無菌注射液、ならびに懸濁化剤または増粘剤を含みうる水性および非水性の無菌懸濁液が含まれる。製剤は単位用量または反復用量の容器、例えば、密閉アンプルおよびバイアルの中に提供してもよく、使用の直前に無菌の液体担体の添加だけで済む凍結乾燥状態で貯蔵されてもよい。ワクチン製剤は同様に、水中油系および当技術分野において公知のその他の系などの、製剤の免疫原性を増強するためのアジュバント系を含むことができる。投与量はワクチンの特異的活性に依存するはずであり、通常の実験により容易に決定することができる。
【0247】
ワクチンは、本明細書に記述される1つまたは複数のポリペプチドまたはペプチドから調製することができる。
【0248】
免疫原性のポリペプチドまたはペプチドを活性成分として含有するワクチン調製物が、当業者に知られている。典型的には、そのようなワクチンは注射用薬剤として、溶液剤または懸濁液剤のいずれかとして調製される;注射前に液体中に、溶液化、または懸濁液化するのに適した固体形態を調製することもできる。調製物は乳化されてもよく、またはタンパク質がリポソーム内に封入されてもよい。活性な免疫原性成分は、活性成分と製薬上許容されかつ適合される賦形剤と混合されることが多い。適当な賦形剤は、例えば、水、生理食塩水、デキストロース、グリセロール、エタノールなどおよびその組み合わせである。
【0249】
さらに、必要に応じて、ワクチンは微量の補助物質、例えば、湿潤剤もしくは乳化剤、pH緩衝剤、および/またはワクチンの有効性を増強するアジュバントを含有することができる。有効でありうるアジュバントの例としては、水酸化アルミニウム、N−アセチル−ムラミル−L−トレオニル−D−イソグルタミン(thr−MDP)、N−アセチル−ノル−ムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミン(CGP 11637、nor−MDPと称される)、N−アセチルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミニル−L−アラニン−2−(1’−2’−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ヒドロキシホスホリルオキシ)−エチルアミン(CGP 19835A、MTP−PEと称される)、およびRIBI(これは細菌から抽出された3つの成分、すなわちモノホスホリル脂質A、トレハロースジミコール酸および細胞壁の骨格成分(MPL+TDM+CWS)を2%スクアレン/Tween80乳液中に含有する)が挙げられるが、これらに限定されることはない。
【0250】
アジュバントおよびその他の薬剤のさらなる例としては、水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム、硫酸アルミニウムカリウム(alum)、硫酸ベリリウム、シリカ、カオリン、炭素、油中水乳剤、水中油乳剤、ムラミルジペプチド、細菌内毒素、脂質X、コリネバクテリウム・パルブム(Corynebacterium parvum)(プロピオノバクテリウム・アクネ(Propionobacterium acnes))、ボルデテラ・ペルタシス(Bordetella pertussis)、ポリリボヌクレオチド、アルギン酸ナトリウム、ラノリン、リゾレシチン、ビタミンA、サポニン、リポソーム、レバミゾール、DEAE−デキストラン、ブロックコポリマーまたはその他の合成アジュバントが挙げられる。そのようなアジュバントは様々な供給元から市販されており、例えば、メルクアジュバント65(Merck and Company, Inc., Rahway, N.J.)またはフロイント不完全アジュバントおよび完全アジュバント(Difco Laboratories, Detroit, Michigan)がある。
【0251】
典型的には、アンフィジェン(Amphigen)(水中油)、アルヒドロゲル(Alhydrogel)(水酸化アルミニウム)、またはアンフィジェンおよびアルヒドロゲルの混合物などのアジュバントが使用される。水酸化アルミニウムだけがヒトでの使用に承認されている。
【0252】
免疫原およびアジュバントの割合は、双方が有効な量で存在する限り、幅広い範囲にわたって変えることができる。例えば、水酸化アルミニウムはワクチン混合物(Al2O3ベース)の約0.5%の量で存在することができる。ワクチンは0.2〜200μg/ml、好ましくは5〜50μg/ml、最も好ましくは15μg/mlの範囲での終濃度の免疫原を含むように製剤化されることが好都合である。
【0253】
製剤化の後、ワクチンを滅菌容器の中に入れることができ、次いでこれを密閉し、低温、例えば、4℃で貯蔵し、またはこれを凍結乾燥することができる。凍結乾燥により、安定化された形態での長期貯蔵が可能になる。
【0254】
ワクチンは慣習的に、非経口的に、注入により、例えば、皮下にまたは筋肉内に投与される。その他の投与方法に適したさらなる製剤は、坐剤および、場合によっては、経口用製剤を含む。坐剤の場合、従来の結合剤および担体としては、例えば、ポリアルキレングリコールまたはトリグリセリドを挙げることができ、そのような坐剤は、0.5%〜10%、好ましくは1%〜2%の範囲で活性成分を含有する混合物から形成させることができる。経口用製剤は、例えば、医薬品等級のマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウムなどのような通常用いられる賦形剤を含む。これらの組成物は溶液剤、懸濁液剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、徐放性製剤または散剤の剤形を採り、10%〜95%、好ましくは25%〜70%の活性成分を含有する。ワクチン組成物が凍結乾燥される場合、凍結乾燥された材料は投与の前に、例えば、懸濁液として再調製することができる。再調製は緩衝液中で達成されることが好ましい。
【0255】
患者への経口投与用のカプセル剤、錠剤および丸剤には、例えば、Eudragit「S」、Eudragit「L」、酢酸セルロース、酢酸フタル酸セルロースまたはヒドロキシプロピルメチルセルロースを含有する腸溶コーティングを施すことができる。
【0256】
本明細書に記述されるポリペプチドは、中性のまたは塩の形態としてワクチンに製剤化することができる。製薬上許容される塩としては、酸付加塩(ペプチドの遊離アミノ基と形成される)ならびに、例えば、塩酸もしくはリン酸などの無機酸、または酢酸、シュウ酸、酒石酸およびマレイン酸などのような有機酸と形成されるものが挙げられる。遊離カルボキシル基と形成される塩は同様に、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カルシウム、または水酸化第二鉄などの無機塩基、ならびにイソプロピルアミン、トリメチルアミン、2−エチルアミノエタノール、ヒスチジンおよびプロカインのような有機塩基に由来することができる。
【0257】
投与
通常、医師は、個々の被験体に最も適すると思われる実際の投与量を決定するであろう。投与量は特定の患者の年齢、体重および応答性によって異なるであろう。以下の投与量は平均的事例の例示である。もちろん、より高いかまたはより低い投与量範囲が正当である個々の事例もありうる。
【0258】
本明細書に開示される医薬組成物およびワクチン組成物は、直接的な注入によって投与することができる。組成物は非経口の、粘膜の、筋肉内の、静脈内の、皮下の、眼内のまたは経皮の投与のために製剤化することができる。通常、各タンパク質は0.01〜30mg/kg体重の、好ましくは0.1〜10mg/kg体重の、より好ましくは0.1〜1mg/kg体重の用量で投与することができる。
【0259】
「投与する(される)」という用語は、ウイルス性のまたは非ウイルス性の技術による送達を含む。ウイルス性の送達機構は、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター、ヘルペスウイルスベクター、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター、およびバキュロウイルスベクターを含むがこれらに限定されることはない。非ウイルス性の送達機構は、脂質を介したトランスフェクション、リポソーム、免疫リポソーム、リポフェクチン、カチオン性表面両親媒性物質(CFA)およびその組み合わせを含む。そのような送達機構の経路は、粘膜の、鼻腔の、経口の、非経口の、胃腸の、局所の、または舌下の経路を含むがこれらに限定されることはない。
【0260】
「投与する(される)」という用語は、例えば、鼻腔スプレーもしくは吸入用エアロゾルとしてのまたは摂取可能な溶液としての、粘膜経路による送達;送達が、例えば、静脈内の、筋肉内のまたは皮下の経路などの、注射可能な形態によるものである非経口経路による送達を含むがこれらに限定されることはない。
【0261】
「同時に投与する」という用語は、例えば、ポリペプチドおよびアジュバントなどのさらなる物質の各々の投与の部位および時間が、免疫系の必要な調節が達成されるようなものであることを意味する。したがって、ポリペプチドおよびアジュバントを、時を同じくしておよび同じ部位に投与してもよいが、ポリペプチドをアジュバントとは異なる時点でおよび異なる部位に投与することが有利なこともある。ポリペプチドおよびアジュバントは場合により、同じ送達媒体中で送達されてもよく、すなわちポリペプチドおよび抗原は結合されてもおよび/もしくは結合されなくてもならびに/または遺伝的に結合されてもおよび/もしくは結合されなくてもよい。
【0262】
cgFAIM、cgFADD、cgPDCD6および/またはcgRequiemのポリペプチド、ポリヌクレオチド、ペプチド、ヌクレオチド、抗体などおよび任意によりアジュバントは、別々に投与することができ、あるいは単回用量としてまたは複数回用量で宿主被験体に同時に投与することができる。
【0263】
本明細書に記述されるワクチン組成物および医薬組成物は、注射(これは非経口の、皮下のおよび筋肉内の注射を含む)、鼻腔の、粘膜の、経口の、膣内の、尿道内のまたは眼内の投与などのいくつかの異なる経路によって投与することができる。
【0264】
本明細書に記述されるワクチンおよび医薬組成物は慣習的に、非経口的に、注入により、例えば、皮下にまたは筋肉内に投与することができる。その他の投与方法に適したさらなる製剤は、坐剤および、場合によっては、経口用製剤を含む。坐剤の場合、従来の結合剤および担体は、例えば、ポリアルキレングリコールまたはトリグリセリドを含むことができ、そのような坐剤は、0.5%〜10%の範囲(1%〜2%でもよい)で活性成分を含有する混合物から形成させることができる。経口用製剤は、例えば、医薬品等級のマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウムなどのような通常用いられる賦形剤を含む。これらの組成物は溶液剤、懸濁液剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、徐放性製剤または散剤の剤形を採り、10%〜95%、好ましくは25%〜70%の活性成分を含有する。ワクチン組成物が凍結乾燥される場合、凍結乾燥された材料は投与の前に、例えば、懸濁液として再調製することができる。再調製は緩衝液中で達成されることが好ましい。
【実施例】
【0265】
実施例1.細胞株および細胞培養
CHO IFN−γは浮遊増殖するように適合されたチャイニーズハムスター卵巣細胞株である。これはもともとジヒドロ葉酸レダクターゼ陰性(DHFR−)のDukx細胞から得られた(Urlaub & Chasin 1980)。CHO IFN−γはDHFRおよびヒトインターフェロン−γに対する遺伝子で同時にトランスフェクトされている(Scahill et al. 1983)。
【0266】
CHO IFN−γは、4mMグルタミン、20mMグルコースおよび0.25μMメトトレキサート(Sigma, St. Louis, MO)を添加したグルコース/グルタミン不含のHyQ CHO MPS培地(Hyclone, Logan, UT)の中で維持する。
【0267】
実施例2.全RNA抽出および第一鎖cDNA合成
トリゾール(Invitrogen)を用いて、全RNAをCHO K1細胞から抽出する。全ての逆転写試薬はPromegaからのものである。1×逆転写緩衝液、10mMの各dNTPおよび25単位の組換えRNAsin(登録商標)リボヌクレアーゼ阻害剤を含有する反応混合物中42℃で1時間、モロニーマウス白血病ウイルス逆転写酵素を用いて、完全長cDNAを合成する。
【0268】
実施例3.遺伝子特異的PCR
CHO K1全RNAから調製されたcDNAを遺伝子特異的PCRの鋳型として使用する。全てのPCR試薬はPromegaからのものである。
【0269】
実施例4.チャイニーズハムスター(Cricetulus griseus)FAIMの遺伝子特異的クローニング
FAIMのコード領域は5’PCRプライマー5’−GCCGCGAGAGCTGCTGACTACGTCGTGG−3’および3’PCRプライマー5’−GTTACTGTG−GTGAGATATGAATGGGTTTGG−3’を用いて増幅する。PCR反応混合物には鋳型cDNA 1μL、1×反応緩衝液、200μMの各dNTP、2.0mM MgCl2、1μMの各プライマーおよびTaq DNAポリメラーゼ混合物(計5U)が含まれる。PCR条件は94℃5分、その後94℃1分、58℃1分および72℃2分を31サイクルならびに72℃で10分間の最終伸長である。次いで、PCR産物を配列決定のためpCR(登録商標)−TOPO(登録商標)(Invitrogen, Grand Island, NY)にサブクローニングする。
【0270】
チャイニーズハムスター(Cricetulus griseus)FAIM(cgFAIM)
cgFAIMの配列は配列番号1および配列番号5に記載されている。このチャイニーズハムスター(Cricetulus griseus)配列は179アミノ酸のタンパク質をコードする。
【0271】
CD95またはAPO−1としても知られるFasは、受容体を介したアポトーシス経路において主要な役割を果たす腫瘍壊死因子(TNF)受容体ファミリー由来の受容体である。TNF受容体ファミリーの細胞外領域は、システインに富むサブドメインの2〜6回の繰り返しを有する。Fasの活性化は、カスパーゼ8のオリゴマー形成を通じて細胞内シグナル伝達カスケードを惹起する。カスパーゼ8は、エフェクターカスパーゼのカスケード様活性化に関与するイニシエーターカスパーゼの1つであることが明らかにされている(Srinivasula et al. 1996)。Fasは同様に、カスパーゼ9およびその他のエフェクターカスパーゼの活性化をもたらすミトコンドリアからのシトクロムc放出を引き起こすことが明らかにされている(Li et al. 1997)。
【0272】
Fasアポトーシス阻害分子(FAIM)は、Fas誘導性のアポトーシスに耐性を与えうる誘導性タンパク質であることが分かっている(Schneider et al. 1999; Rothstein et al. 2000)。sIgシグナルとともに、B細胞でのFAIM発現は、Fas殺作用を遮断することが可能であり、カスパーゼ3の活性化前のFasシグナル伝達経路中のステップを遮断することでそれを行うことが明らかにされている(Schneider et al. 1999)。FAIMは2つの選択的スプライシング型で存在することが明らかにされており、FAIM−Sが広く発現されているのに対し、FAIM−Lは脳組織特異的である(Zhong et al, 2001)。FAIM配列はまた、異なる種で高度に保存されているように思われることから、重要な系統発生的役割が示唆される。
【0273】
実施例5.チャイニーズハムスター(Cricetulus griseus)FADDの遺伝子特異的クローニング
FADDの部分的コード領域は5’PCRプライマー5’−CCATGGACCCATTCCTGGTGC−3’および3’PCRプライマー5’−TTCTTCCACCAGGTCAGC−CACC−3’を用いて増幅される。PCR反応混合物には鋳型cDNA 1μL、1×反応緩衝液、200μMの各dNTP、1.5mM MgCl2、1μMの各プライマーおよびTaq DNAポリメラーゼ混合物(計5U)が含まれる。
【0274】
PCR条件は94℃5分、その後94℃1分、55℃1分および72℃2分を31サイクルならびに72℃で10分間の最終伸長である。次いで、PCR産物を配列決定のためpCR(登録商標)−TOPO(登録商標)(Invitrogen, Grand Island, NY)にサブクローニングする。
【0275】
チャイニーズハムスター(Cricetulus griseus)FADD(cgFADD)
cgFADDの配列は配列番号2および配列番号6に記載されている。
【0276】
FADDは、CD95(Fas/APO−1)および腫瘍壊死因子(TNF)の両受容体誘導性アポトーシスの共通メディエーターである(Chinnaiyan et al 1996)。デスドメインとデスエフェクタードメインの両方を含むFADDは、Fas結合によるカスパーゼ8活性化の重要なメディエーターである(Chinnaiyan et al. 1995)。本発明者らは、人工的に遺伝子操作されたFADD分子、つまりアポトーシス受容体結合デスドメインだけを含有しかつFADDのデスエフェクタードメインを含有しないFADD DNの使用によるcgFADDの発現の調節について記述する。カスパーゼを細胞死誘導性シグナル伝達複合体に動員することにより、さらに下流のアポトーシスカスケードの活性化を引き起こすのがエフェクタードメインである。本明細書に記述される方法は、遺伝子操作された型のFADD、すなわち、ドミナントネガティブの過剰発現、および天然のFADDと競合することによってカスパーゼの動員を阻止するそのような遺伝子操作ざれた分子の使用、それによるアポトーシスカスケードの遮断を可能にする。
【0277】
実施例6.チャイニーズハムスター(Cricetulus griseus)PDCD6の遺伝子特異的クローニング
PDCD6の部分的コード領域は5’PCRプライマー5’−GCCCATGGCTGCCTACTCCTA−3’および3’PCRプライマー5’−AATCCAGCCATCCTGAT−CCGT−3’を用いて増幅される。PCR反応混合物には鋳型cDNA 1μL、1×反応緩衝液、200μMの各dNTP、1.5mM MgCl2、1μMの各プライマーおよびTaq DNAポリメラーゼ混合物(計5U)が含まれる。
【0278】
PCR条件は94℃5分、その後94℃1分、52℃1分および72℃2分を31サイクルならびに72℃で10分間の最終伸長である。次に、PCR産物を配列決定のためpCR(登録商標)−TOPO(登録商標)(Invitrogen, Grand Island, NY)にサブクローニングする。得られたPCR産物を精製し、pCR 2.1−Topoベクターにクローニングし、配列決定する。3’−RACEプライマーは5’−CAGCGGGTTGATAAAGACAGGAGTGGAGTG−3’である。
【0279】
3’−RACE PCR産物をエチジウムブロマイド含有1%アガロースゲル中での電気泳動によって分離し、対応するバンドを切り出し、Qiagenキットによってゲルから抽出し、その後に配列決定のためpCR(登録商標)−TOPO(登録商標)(Invitrogen, Grand Island, NY)にクローニングする。
【0280】
チャイニーズハムスター(Cricetulus griseus)PDCD6(cgPDCD6)
cgPDCD6の配列は配列番号3および配列番号7に記載されている。このチャイニーズハムスター(Cricetulus griseus)配列は191アミノ酸のタンパク質をコードする。
【0281】
アポトーシス関連遺伝子2(ALG−2)としても知られるPDCD6は、ペンタEFハンドタンパク質ファミリーに属するカルシウム結合タンパク質をコードする。これは受容体、Fasおよびグルココルチコイド誘導性アポトーシスに関与すると示唆されている(Vito et al. 1996; Krebs & Klemenz, 2000およびJung et al., 2001)。興味深いことに、Jangら,2002は、ALG−2欠損ではTCR、FASまたはデキサメタゾンシグナルによって誘導されたアポトーシスの遮断が起こらないことを実証している。
【0282】
実施例7.チャイニーズハムスター(Cricetulus griseus)Requiemの遺伝子特異的クローニング
Requiemの部分的コード領域は5’PCRプライマー5’−ATG−GCGGCTGTGGTGGAGAAT−3’および3’PCRプライマー5’−GGAGTTCTGGTTCTGGTAG−ATGG−3’を用いて増幅される。PCR反応混合物には鋳型cDNA 1μL、1×反応緩衝液、200μMの各dNTP、2.0mM MgCl2、1μMの各プライマーおよびTaq DNAポリメラーゼ混合物(計5U)を含めた。
【0283】
PCR条件は94℃5分、その後94℃1分、44℃1分および72℃2分を60サイクルならびに72℃で10分間の最終伸長である。次に、PCR産物を配列決定のためpCR(登録商標)−TOPO(登録商標)(Invitrogen, Grand Island, NY)にサブクローニングする。得られたPCR産物を精製し、pCR 2.1−Topoベクターにクローニングし、配列決定する。3’−RACEプライマーは5’−GCCTCAGTTACCACTATGCCCATTCCCACC−3’である。
【0284】
3’−RACE PCR産物をエチジウムブロマイド含有1%アガロースゲル中での電気泳動によって分離し、対応するバンドを切り出し、Qiagenキットによってゲルから抽出し、その後に配列決定のためpCR(登録商標)−TOPO(登録商標)(Invitrogen, Grand Island, NY)にクローニングする。
【0285】
チャイニーズハムスター(Cricetulus griseus)Requiem(cgRequiem)
cgRequiemの配列は配列番号4および配列番号8に記載されている。このチャイニーズハムスター(Cricetulus griseus)配列は391アミノ酸のタンパク質をコードする。
【0286】
ubi−d4としても知られるRequiemは、骨髄細胞でのカスパーゼの活性化に必須のジンクフィンガー遺伝子である(Gabig et al. 1994)。Requiemは、生存因子除去後のアポトーシス応答に必要な転写因子をコードする可能性が高いと示唆されている(Gabig et al. 1994)。さらに、Gabigら(1998)はマウス骨髄細胞およびヒトK562白血病細胞の細胞質のおよび核の細胞亜分画双方でそのタンパク質を後に検出しており、それによってそのタンパク質が転写因子のものとは異なる機能を持ちうることを示唆している。
【0287】
実施例8.チャイニーズハムスター(Cricetulus griseus)FAIM発現ベクター構築
要約すれば、pCR(登録商標)−TOPO(登録商標)(Invitrogen, Grand Island, NY)にクローニングされているFAIM遺伝子特異的PCR由来の確認済みPCR産物をpcDNA3.1(+)(Invitrogen)にサブクローニングし、再び配列決定する。次いで、マキシプラスミド精製キット(Maxi Plasmid Purification Kit)(Qiagen, Hilden, Germany)を用いて最終的なプラスミドpcDNA3.1(+)FAIMを精製し、CHO IFN−γへのトランスフェクションのため、その濃度を定量化する。
【0288】
詳細には、5’−PCRプライマー5’−GAATTCGCCACCATGACAGATCTTGTAGC−3’および3’−PCRプライマー5’−GAATTCGTGAACACATTTAATTACCA−3’を用いることにより、人工的なコザック(kozak)配列およびリンカー配列を有するcgFAIMを作出する。下線の配列はEcoRI制限部位を構成し、イタリック体の配列はFAIMの「インフレームでの」発現を円滑にする人工的なコザック配列を構成する。組込まれたcgFAIM領域は太字で示してある。
【0289】
PCR反応混合物にはpCR2.1−TOPO cgFAIM鋳型 1μL、1×反応緩衝液、200μMの各dNTP、2.0mM MgCl2、1μMの各プライマーおよびTaq DNAポリメラーゼ混合物(計5U)を含めた。PCR条件は94℃5分、その後94℃1分、44℃1分および72℃2分を60サイクルならびに72℃で10分間の最終伸長である。
【0290】
次いで、確認済みPCR産物を37℃にておよそ4時間EcoRI制限酵素で消化して、さらなるライゲーションのための付着末端を有するcgFAIMインサートを作出する。空のpcDNA3.1(+)ベクター(Invitrogen)を同様に、37℃にておよそ4時間EcoRI制限酵素で消化する。次いで、インサート12μLをベクター3μL、Dnaseを含まない水2μL、10×T4 DNAリガーゼ緩衝液(Invitrogen)2μLおよびT4 DNAリガーゼ(3U/μL)(Invitrogen)1μLに加えることにより、EcoRI消化済みcgFAIMインサートをEcoRI消化済みpcDNA3.1(+)にライゲーションする。次いで、このライゲーション混合物を室温でおよそ16時間インキュベートする。
【0291】
次いで、ライゲーション混合物10μLをプラスミド増殖のためコンピテントなDH5α細菌細胞に形質転換する。選択用にアンピシリンの入ったLB寒天プレートで培養することにより、陽性の形質転換体を選択する。次いで、配列決定のためプラスミド抽出を種々のDH5αクローンについて行って、pcDNA3.1(+)発現ベクターに挿入されたcgFAIM配列を確認する。次いで、確認済みのクローン由来のプラスミドpcDNA3.1(+)cgFAIMをマキシプラスミド精製キット(Qiagen, Hilden, Germany)により精製し、CHO IFN−γへのトランスフェクションのため、その濃度を定量化する。
【0292】
実施例9.チャイニーズハムスター(Cricetulus griseus)FADDドミナントネガティブ発現ベクター構築
5’−PCRプライマー5’−GATATCGGATCCGCCACC−ATGGCCTTTGACATTGTATGCGACAATGTGGGG−3’および3’−PCRプライマー5’−CCCGGG−CTCGAGTGCCTCCC−TTCCACCAGGTCAG−3’を用いることにより、コザック配列を有する人工的なFADDドミナントネガティブ(FADD DN)断片を作出する。下線の配列はそれぞれBamHIおよびXhoI制限部位を構成し、イタリック体の配列はcgFADDドミナントネガティブの「インフレームでの」発現を円滑にする人工的なコザックおよび開始コドンを構成する。組込まれたcgFADDコード領域は太字で示してある。
【0293】
PCR反応混合物には鋳型cDNA 1μL、1×反応緩衝液、200μMの各dNTP、1.5mM MgCl2、1μMの各プライマーおよびTaq DNAポリメラーゼ混合物(計5U)が含まれる。pCR(登録商標)−TOPO(登録商標)にサブクローニングされた部分的FADD配列を鋳型として使用する。PCR条件は94℃5分、その後94℃1分、50℃1分および72℃2分を31サイクルならびに72℃で10分間の最終伸長である。
【0294】
次いで、確認済みPCR産物を37℃にておよそ4時間BamHIおよびXhoI制限酵素で消化して、さらなるライゲーションのための付着末端を有するcgFADD DNインサートを作出する。空のpcDNA3.1(+)ベクター(Invitrogen)を同様に、37℃にておよそ4時間BamHIおよびXhoI制限酵素で消化する。次いで、インサート12μLをベクター3μL、Dnaseを含まない水2μL、10×T4 DNAリガーゼ緩衝液(Invitrogen)2μLおよびT4 DNAリガーゼ(3U/μL)(Invitrogen)1μLに加えることにより、BamHI/XhoI消化済みcgFADD DNインサートをBamHI/XhoI消化済みpcDNA3.1(+)にライゲーションする。次いで、このライゲーション混合物を室温でおよそ16時間インキュベートする。
【0295】
次いで、ライゲーション混合物10μLをプラスミド増殖のためコンピテントなDH5α細菌細胞に形質転換する。選択用にアンピシリンの入ったLB寒天プレートで培養することにより、陽性の形質転換体を選択する。次いで、配列決定のためプラスミド抽出を種々のDH5αクローンについて行って、pcDNA3.1(+)発現ベクターに挿入されたcgFADD DN配列を確認する。次いで、確認済みのクローン由来のプラスミドpcDNA3.1(+)FADDドミナントネガティブをマキシプラスミド精製キット(Qiagen, Hilden, Germany)により精製し、CHO IFN−γへのトランスフェクションのため、その濃度を定量化する。
【0296】
実施例10.チャイニーズハムスター(Cricetulus griseus)PDCD6抑制ベクター構築
得られたcgPDCD6配列に基づいて、オリゴインサートをデザインする。BLASTを利用しオリゴインサートのデザインをゲノムデータベースと比較して、その他の遺伝子に対する何らかの顕著な相同性を排除する。5’オリゴインサート5’−GATCCCGTGAGCTTCAGCAAGCATTATTCAAGAGATAATGCTTGCTGAAGC−TCATTTTTTGGAAA−3’を3’オリゴインサート5’−AGCTTTTCCAAAAAATGAGCTTCAGCAAGCATTATCTCTTGAATAATGCTTGCTGAAGCTCACG−3’にアニーリングし、次いで合成し、その後HindIII/BglII消化済みのpSUPER.neoベクター(OligoEngine, Seattle, WA)にライゲーションする。
【0297】
アニーリング済みのオリゴインサート4μLをHindIII/BglII消化済みのpSUPER.neo 3μL、Dnaseを含まない水13μL、10×T4 DNAリガーゼ緩衝液(Invitrogen)2μLおよびT4 DNAリガーゼ(3U/μL)(Invitrogen)1μLに加える。次いで、このライゲーション混合物を室温でおよそ16時間インキュベートする。
【0298】
次いで、ライゲーション混合物10μLをプラスミド増殖のためコンピテントなDH5α細菌細胞に形質転換する。選択用にアンピシリンの入ったLB寒天プレートで培養することにより、陽性の形質転換体を選択する。次いで、配列決定のためプラスミド抽出を種々のDH5αクローンについて行って、pSUPER.neo発現ベクターに挿入されたcgPDCD6 siRNA配列を確認する。次いで、確認済みのクローン由来のプラスミドpSUPER.neo cgPDCD6 siRNAをマキシプラスミド精製キット(Qiagen, Hilden, Germany)により精製し、CHO IFN−γへのトランスフェクションのため、その濃度を定量化する。
【0299】
実施例11.チャイニーズハムスター(Cricetulus griseus)Requiem抑制ベクター構築
得られたcgRequiem配列に基づいて、オリゴインサートをデザインする。5’オリゴインサート5’−GATCCCGCGGATCCTTGAACCTGATTTCAAGAGAATCAGGTTCAAGGATCCGC−TTTTTTGGAAA−3’を3’オリゴインサート5’−AGCTTTTCCAAAAAAGCGGATCCTTGAACCTGATTCTCTTGAAATCAGGTTCAAGGATCCGCGG−3’にアニーリングし、その後HindIIIおよびBglII消化済みのpSUPER.neoベクター(OligoEngine, Seattle, WA)にライゲーションする。
【0300】
アニーリング済みのオリゴインサート4μLをHindIII/BglII消化済みのpSUPER.neo 3μL、Dnaseを含まない水13μL、10×T4 DNAリガーゼ緩衝液(Invitrogen)2μLおよびT4 DNAリガーゼ(3U/μL)(Invitrogen)1μLに加える。次いで、このライゲーション混合物を室温でおよそ16時間インキュベートする。
【0301】
次いで、ライゲーション混合物10μLをプラスミド増殖のためコンピテントなDH5α細菌細胞に形質転換する。選択用にアンピシリンの入ったLB寒天プレートで培養することにより、陽性の形質転換体を選択する。次いで、配列決定のためプラスミド抽出を種々のDH5αクローンについて行って、pSUPER.neo発現ベクターに挿入されたcgRequiem siRNA配列を確認する。次いで、確認済みのクローン由来のプラスミドpSUPER.neo cgRequiem siRNAをマキシプラスミド精製キット(Qiagen, Hilden, Germany)により精製し、CHO IFN−γへのトランスフェクションのため、その濃度を定量化する。
【0302】
実施例12.トランスフェクションおよび選択
トランスフェクションはリポフェクトアミン試薬(Invitrogen)を用いて行う。1ウェル当たり細胞50万個の入った6ウェルプレート中にて細胞を一晩培養し、翌日、1ウェル当たり線状化プラスミドおよそ1μgでトランスフェクトする。リポフェクトアミン−DNA複合体を製造元の使用説明書にしたがい、リポフェクトアミン(μL):DNA(μg)の比率3:1で調製する。
【0303】
安定な細胞を作出するため、細胞を24時間増殖させた後、培地を1000μg/mLのジェネテシン入りの選択培地に交換する。細胞を選択培地中で4週間維持する。この場合、選択培地中の非トランスフェクト細胞は1週間以内に死滅した。
【0304】
実施例12A.安定に組込まれた単一の細胞クローン
各ウェル中に1個の細胞しか存在しないように96ウェルプレートの中で細胞を連続希釈することにより、安定に組込まれた単一の細胞クローンを得る。ウェルを光学顕微鏡下で調べ、単一の細胞しか含まないウェルに印を付ける。次いで、振盪フラスコ培養に入る前に、単一のクローンを24ウェルプレート、その後6ウェルプレートの中で増殖させる。
【0305】
実施例12B.バッチ培養およびフェドバッチ培養
5.0Lのバイオリアクター(B. Braun, Melsungen, Germany)中にて、培地4.0Lの初期作業量に細胞2.5×105個/mLの播種密度で植菌する。バッチ培養は20mMグルコースおよび4mMグルタミンを添加したグルコース/グルタミン不含のHyQ CHO MPS培地(Hyclone, Logan, UT)を用いて行い、フェドバッチ培養では4mMグルコースおよび0.5mMグルタミンを添加する。溶存酸素濃度を50%空気飽和度で維持し、ガス混合物への断続的なCO2付加および/または7.5% (w/v)のNaHCO3溶液(Sigma)によって培養pHを7.15で維持する。
【0306】
フェドバッチ操作は、改良されたオンライン動的供給方式によって行う(Lee et al., 2003)。該当する制御栄養水準の濃度のオンラインモニタリングを、自動化された無菌的オンラインサンプリングループにより1.5時間毎に行う。フェドバッチ培養用の基礎供給培地は、10g/Lの大豆タンパク質加水分解物であるHysoy(Quest International, Hoffman Estate, IL)、10mL/Lの既知組成の脂質(Gibco BRL, Grand Island, NY)、1mg/Lのd−ビオチン(Sigma)、2mM L−アスパラギン酸、2mM L−アスパラギン、4mM L−システイン、1mM L−グルタミン酸、1mM L−メチオニンおよび5mM L−セリン(Sigma)を添加した1×塩(Hyclone)入りの特別に配合された10×無カルシウム、無グルコースおよび無グルタミンDMEM/F12から調製する。
【0307】
基礎供給培地に100mMのグルタミン(Sigma)および500mMのグルコース(Sigma)をさらに添加する。1.5時間毎に、残存するグルタミン濃度の自動オンライン測定を行う。残存するグルタミン濃度が設定した制御濃度を下回るなら、供給注入を供給培地に行い、培養グルタミン濃度を0.3mMにまで上昇させる。
【0308】
実施例13.リアルタイムPCRを用いた遺伝子発現定量化
およそ1000万個の細胞を安定な細胞から回収し、全RNAをトリゾールTM試薬(Invitrogen)によって抽出する。次いで、RNAサンプルをGeneQuantTM Pro RNA/DNA Calculator(Amersham Biosciences, Piscataway, NJ)によって定量化する。RNAの品質を260nmと280nmの吸光度比によって評価し、この場合1.8およびそれを超える比であれば、十分な純度のRNAサンプルと考えられる。
【0309】
定量的リアルタイムPCRを用いて、トランスフェクション実験後の対象となる遺伝子の相対的な過剰発現または抑制を確認する。転写産物のコピーの標準曲線を作出するため、FAIM、FADD、PDCD6またはRequiemのいずれかを保持する定量化済みのpCR(登録商標)−TOPO(登録商標)(Invitrogen)プラスミドを連続的に希釈し、定量的リアルタイムPCRに使用する。
【0310】
FAIM転写産物に対する定量的リアルタイムPCRは、5’−プライマー5’−TGGAGCTGCGAAAACCAAAG−3’および3’−プライマー5’−AAACTCGCCTGCTGTCTCCAT−3’を用いて行う。FADDドミナントネガティブ転写産物に対する定量的リアルタイムPCRは、5’−プライマー5’−GATATCGGATCCGCCACCATGG−3’および3’−プライマー5’−TGCCTCCCTTCCACCAG−GTCAG−3’を用いて行う。PDCD6転写産物に対する定量的リアルタイムPCRは、5’−プライマー5’−CAGCGGGTTGATAAAGACAGG−3’および3’−プライマー5’−GCCAGCCTTG−TTTTCTCGG−3’を用いて行う。Requiem転写産物に対する定量的リアルタイムPCRは、5’−プライマー5’−TGGAGTAGCCCAGAGCAATTG−3’および3’−プライマー5’−TCGACGCTTTTTACGCCAG−3’を用いて行う。
【0311】
次いで、各サンプルをβ−アクチン転写産物の発現に対して標準化する。β−アクチン転写産物に対する定量的リアルタイムPCRは、5’−プライマー5’−AGCTGAGAGGGAAATTGTGCG−3’および3’−プライマー5’−GCAACGG−AACCGCTCATT−3’を用いて行う。最後に、トランスフェクト細胞での標準化された定量的遺伝子発現を、空ベクターによるトランスフェクト細胞での標準化された定量的遺伝子発現で割って、標準化された相対的遺伝子発現を得る。
【0312】
実施例14.アポトーシスアッセイ
エチジウムブロマイド/アクリジンオレンジアッセイを用いて、回収されたサンプル中の細胞をアポトーシス集団または非アポトーシス集団に分類する。100μg/mLのエチジウムブロマイド(Sigma)およびアクリジンオレンジ(Sigma)のストック溶液はPBS溶液(Sigma)中で調製する。
【0313】
細胞およそ1×106個をサンプルからサンプリングし、1:1のエチジウムブロマイド:アクリジンオレンジストック溶液100μLに再懸濁し、室温で5分間インキュベートする。次いで、サンプルをスライドガラスに載せて、細胞およそ400個を蛍光顕微鏡下で調べる。
【0314】
次いで、核凝縮のアポトーシス形態を有する細胞をそれに応じて分類する。形態学的分析に加え、BD ApoAlertTMカスパーゼアッセイプレート(BD Biosciences Clontech, CA)を製造元のプロトコルに従って利用し、カスパーゼ2、3、8および9活性を測定する。カスパーゼの活性化は、アポトーシスの生化学的特徴とみなす。
【0315】
実施例15.IFN−γ定量化
連続的に希釈された上清サンプルのIFN−γ濃度を酵素結合免疫吸着(ELISA)アッセイ(HyCult Biotechnology, Uden, Netherlands)によって分析する。高生存率(>95%)の間におよび低生存率(70〜80%)の間に最大のIFN−γ濃度を有していたサンプルを、免疫アフィニティー精製およびさらなるN−糖化の特徴づけにまわす。
【0316】
実施例16.遺伝子発現検出のためのリアルタイムPCR
細胞での標的化遺伝子の発現を判定するため、定量的リアルタイムPCRを行う。リアルタイムPCRは、転写産物レベルの検出には高感度な方法と考えられる。
【0317】
遺伝子発現分析により、pcDNA3.1(+)Faimでトランスフェクトされた細胞は空のpcDNA3.1(+)でトランスフェクトされた細胞よりも3倍FAIMを過剰発現することが示される(図1)。pcDNA3.1(+)FADDドミナントネガティブでトランスフェクトされた細胞は、最大で4倍までFADDドミナントネガティブを過剰発現する(図1)。図1のデータからは、遺伝子発現を抑制するのに効果的にsiRNAを利用できることも示される。pSUPER PDCD6 siRNAでのトランスフェクションは、およそ60%だけPDCD6発現の抑制をもたらし、その一方、pSUPER Requiem siRNAは最大で70%までRequiem発現を抑制することができる(図1)。
【0318】
実施例17.チャイニーズハムスター(Cricetulus griseus)FAIMの遺伝子標的化によって付与されるアポトーシス耐性
細胞をFAIM発現ベクター(実施例8)および対照として空のベクターでトランスフェクトし、アポトーシスに対する耐性をアッセイする。
【0319】
空のベクターのみでトランスフェクトされた細胞に比べて、FAIMを過剰発現する細胞は長時間にわたって高い生存細胞密度を維持することができる(図2A)。FAIMの過剰発現を伴う細胞はまた、生存率が95%を下回り始める前に少なくとも24時間の生存率の顕著な延長を示す(図2B)。アポトーシス細胞の割合はまた、FAIMの過剰発現を伴わない対照細胞のものよりも顕著に低い(図2D)。カスパーゼ2および3活性の増大も対照細胞に比べておよそ24時間遅延される(図6B)。このことから、FAIMの過剰発現は、細胞培養過程においてアポトーシスを抑制するうえで非常に効果的でありうることが示される。
【0320】
実施例18.チャイニーズハムスター(Cricetulus griseus)FADDの遺伝子標的化によって付与されるアポトーシス耐性
細胞をFADD発現ベクター(実施例9)および対照として空のベクターでトランスフェクトし、アポトーシスに対する耐性をアッセイする。
【0321】
空のベクターのみでトランスフェクトされた細胞に比べて、FADDドミナントネガティブを過剰発現する細胞は長時間にわたって高い生存細胞密度を維持することができる(図3A)。FADDドミナントネガティブの過剰発現を伴う細胞はまた、生存率が95%を下回り始める前におよそ24時間の生存率の顕著な延長を示す(図3B)。アポトーシス細胞の割合もまた、FAIMの過剰発現を伴わない対照細胞のものよりも顕著に低い(図3D)。カスパーゼ2、3および8活性の増大も顕著に遅延される(図6C)。このデータから、カスパーゼ2および8活性しか培養の144時間後に増大せず、その一方、カスパーゼ3活性の増大は顕著に抑制されることが示された。このことから、FADDシグナル伝達の標的化は、細胞培養過程においてアポトーシスを効果的に抑制することが示される。
【0322】
実施例19.チャイニーズハムスター(Cricetulus griseus)PDCD6の遺伝子標的化によって付与されるアポトーシス耐性
細胞をPDCD6発現ベクター(実施例10)および対照として空のベクターでトランスフェクトし、アポトーシスに対する耐性をアッセイする。
【0323】
空のsiRNAベクターのみでトランスフェクトされた細胞に比べて、PDCD6の抑制を伴う細胞は長時間にわたって高い生存細胞密度を維持することができる(図4A)。PDCD6の抑制を伴う細胞はまた、生存率喪失の速度の顕著な減少を示す(図4B)。アポトーシス細胞の割合もまた、PDCD6の抑制を伴わない対照細胞のものよりも顕著に低い(図4D)。カスパーゼ2、3、8および9活性の増大も顕著に遅延される(図6D)。このデータから、カスパーゼ2、3および8活性しか培養の144時間後に増大せず、その一方、カスパーゼ9活性は常に基準点に満たないことが示された。このことから、PDCD6シグナル伝達の標的化は、細胞培養過程においてアポトーシスを効果的に抑制しうることが示される。
【0324】
実施例20.チャイニーズハムスター(Cricetulus griseus)Requiemの遺伝子標的化によって付与されるアポトーシス耐性
細胞をRequiem発現ベクター(実施例11)および対照として空のベクターでトランスフェクトし、アポトーシスに対する耐性をアッセイする。
【0325】
空のsiRNAベクターのみでトランスフェクトされた細胞に比べて、Requiemの抑制を伴う細胞は長時間にわたって高い生存細胞密度を維持することができる(図5A)。Requiemの抑制を伴う細胞はまた、生存率喪失の速度の顕著な減少を示す(図5B)。アポトーシス細胞の割合はまた、Requiemの抑制を伴わない対照細胞のものよりも顕著に低い(図5D)。カスパーゼ2、3、および9活性の増大も顕著に遅延される(図6E)。このデータから、カスパーゼ活性が対照のものよりも顕著に低いことが示された。このことから、Requiemシグナル伝達の標的化は、細胞培養過程においてアポトーシスを効果的に抑制しうることが示される。
【0326】
実施例21.組換えタンパク質回収量の改善
図7は、遺伝子標的化が最終生成物の回収量という点で細胞培養過程を改善することを示している。
【0327】
FAIMの過剰発現を伴う細胞では、対照細胞で見られる典型的な回収量2.3mg/Lに比べて最大で3.3mg/Lのインターフェロンγ回収量が可能になる(図7A)。
【0328】
FADDシグナル伝達の標的化では、最大で5.0mg/Lまでのインターフェロンγ回収濃度がさらに可能となり、200%を超える増加が示される(図7B)。
【0329】
PDCD6およびRequiemの抑制では、インターフェロンγの回収量をそれぞれ4.2mg/Lおよび5.8mg/Lにまで改善することが可能になる。
【0330】
最終的な組換えタンパク質回収量の効果的な増大に加えて、アポトーシス誘導に対する遺伝子操作細胞の強さの増大から、FADD、FAIM、PDCD6およびRequiemの遺伝子標的化は、細胞培養系でのバイオ療法薬の産生を向上させるのに効果的な新規の戦略であることが示される。
【0331】
実施例22.フェドバッチ培養での生存率上昇に加えた生存培養密度の上昇
遺伝子操作されたアポトーシス耐性細胞株が、異なるバッチおよびフェドバッチ・ストレス/栄養環境下のフェドバッチ培養で果たす能力を判定するために実験を行う。
【0332】
図8Aは、RequiemまたはPDCD6の抑制を安定に組み入れられたCHO IFN−γ細胞株の生存細胞密度を示す。PDCD6およびRequiemの抑制により、フェドバッチ培養の間の生存細胞密度の顕著な増大が可能になる。
【0333】
細胞9×106個/mLもの高い生存細胞密度を、いずれのアポトーシス標的化も伴わない細胞で典型的に見られる細胞5×106個/mLに比して達成することができる。
【0334】
FADD DNまたはFAIMの過剰発現を示す安定に組み入れられたCHO IFN−γ細胞株で実験を繰り返すと、類似の結果が確認される。
【0335】
このことから、RequiemもしくはPDCD6の抑制またはFAIMおよびFADD DNの過剰発現によるアポトーシス耐性の遺伝子工学的改変は、培養生存率の上昇を可能にするだけでなく、細胞増殖を阻害する要因に対抗するその強さに起因して、はるかに高い生存細胞密度にまで増殖する能力も付与することが実証される。
【0336】
実施例23.フェドバッチ培養での組換えタンパク質回収量の増大
図9Aは、遺伝子標的化によってインターフェロンγの産生および回収量のさらに顕著な改善が可能になることを示す。
【0337】
RequiemまたはPDCD6が安定に抑制された細胞は、それぞれ最大で49μg/mLおよび41μg/mLまでのインターフェロンγ回収量を、通常のフェドバッチ培養で見られる典型的な20μg/mLに比してもたらす。これは組換えタンパク質回収量の200%を超える改善に当たる。
【0338】
FAIMを過剰発現する細胞で実験を繰り返すと、類似の結果が認められる。
【0339】
実施例24.改変CHO細胞株での組換えヒトIFN−γのシアル化上昇−シアル酸含量アッセイ
IFN−γを発現する改変CHO細胞株を、前述のように親のCHO細胞株から産生する。
【0340】
対数増殖中期の時点でならびに最大のIFN−γ濃度が高生存率(>95%)の間におよび低生存率(70〜80%)の間に検出される時点で回収されたサンプルから、組換えIFN−γを精製する。
【0341】
次いで、IFN−γのシアル酸含量をWong et al. (2005a), Biotechnol Bioeng 89: 164-177)に記述されている改変チオバルビツール酸アッセイによって測定する。
【0342】
実施例25.改変CHO細胞株での組換えヒトIFN−γのシアル化上昇−結果
図10は、改変CHO IFN−γ細胞株および親CHO IFN−γ細胞株に対しフェドバッチ培養の間の3つの時点で、すなわち、対数期中期(>95%生存率)、静止期(>95%生存率)および死滅期(70〜80%生存率)の時点で回収された組換えヒトIFN−γのシアル化を示す。
【0343】
後者の場合、組換えヒトIFN−γのシアル酸含量は、培養が対数期中期(2.9モルSA/モルIFN−γ)〜静止期(2.3モルSA/モルIFN−γ)〜死滅期(2.1モルSA/モルIFN−γ)へ進行するにつれて減少した。
【0344】
対照的に、4つの改変CHO IFN−γ細胞株に対してその3時点で回収されたIFN−γのシアル酸含量は維持されており、2.7〜3.5モルSA/モルIFN−γに及ぶシアル化の増大さえ示した。
【0345】
これらの結果から、アポトーシス耐性CHO細胞の別の潜在的利益は、培養生存率の喪失(70〜80%)にかかわらず、長期培養時間にわたるタンパク質糖化の特質の維持/増強であることが示される。これはバイオ療法薬の製造に使われる細胞株にとって別個の利点である。シアル化度の低下はタンパク質に基づく薬物のin vivo半減期を減少しうるからである(Varki, 1993, Biotechnol Bioeng 43:423-428; Gramer et al., 1995, Glycobiology 3:97-130)。
【0346】
引用文献
本明細書中で言及した各特許出願および特許、各特許出願および特許(各特許出願および特許の審査経過中を含む)で引用または参照されている各文献(「出願引用文献」)、ならびに各特許出願および特許で、また出願引用文献のいずれかで引用または言及されているいずれの製品についての製造者による説明書もしくはカタログも、参照により本明細書中に組み入れられる。さらに、本明細書中で引用したすべての文献、本明細書中で引用した文献で引用または参照されているすべての文献、ならびに本明細書中で引用または言及したいずれの製品についての製造者による説明書もしくはカタログも、参照により本明細書中に組み入れられる。
【0347】
本発明に係る記載の方法および系の種々の改変および変形が、本発明の範囲および精神から逸脱することなく当業者には明らかであろう。本発明を具体的な好ましい実施形態との関連で記載してきたが、特許を受けようとする発明はそのような具体的な実施形態に不当に限定されるべきでないことは理解されるはずである。実際に、分子生物学または関連分野の当業者に自明な、本発明を実施するための記載の様式の種々の改変は、特許請求の範囲に含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0348】
【図1−1】対応する構築体でトランスフェクトされた細胞での、FADDドミナントネガティブおよびFAIMの過剰発現ならびにRequiemおよびPDCD6発現の抑制を示すグラフである。
【図1−2】対応する構築体でトランスフェクトされた細胞での、FADDドミナントネガティブおよびFAIMの過剰発現ならびにRequiemおよびPDCD6発現の抑制を示すグラフである。
【図2A】FAIMを過剰発現するCHO IFN−γ細胞の増殖速度を示すグラフである。図2Aは生存細胞密度(細胞/mL)を時間に対して示す。
【図2B】FAIMを過剰発現するCHO IFN−γ細胞の増殖速度を示すグラフである。図2Bは全細胞密度を時間に対して示す。
【図2C】FAIMを過剰発現するCHO IFN−γ細胞の増殖速度を示すグラフである。図2Cは生存率を時間に対して示す。細胞培養生存率の喪失は、アポトーシス細胞の顕著な減少によって(図2D)対照細胞に比べFAIMの過剰発現で顕著に低減される(図2C)。
【図2D】FAIMを過剰発現するCHO IFN−γ細胞の増殖速度を示すグラフである。図2Dはアポトーシス細胞を時間に対して示す。細胞培養生存率の喪失は、アポトーシス細胞の顕著な減少によって(図2D)対照細胞に比べFAIMの過剰発現で顕著に低減される(図2C)。
【図3A】FADDドミナントネガティブを過剰発現するCHO IFN−γ細胞の増殖速度を示すグラフである。図3Aは生存細胞密度(細胞/mL)を時間に対して示す。
【図3B】FADDドミナントネガティブを過剰発現するCHO IFN−γ細胞の増殖速度を示すグラフである。図3Bは全細胞密度を時間に対して示す。
【図3C】FADDドミナントネガティブを過剰発現するCHO IFN−γ細胞の増殖速度を示すグラフである。図3Cは生存率を時間に対して示す。細胞培養生存率の喪失は、アポトーシス細胞の顕著な減少によって(図3D)対照細胞に比べFADDドミナントネガティブの過剰発現で顕著に低減される(図3C)。
【図3D】FADDドミナントネガティブを過剰発現するCHO IFN−γ細胞の増殖速度を示すグラフである。図3Dはアポトーシス細胞を時間に対して示す。細胞培養生存率の喪失は、アポトーシス細胞の顕著な減少によって(図3D)対照細胞に比べFADDドミナントネガティブの過剰発現で顕著に低減される(図3C)。
【図4A】PDCD6の抑制を伴うCHO IFN−γ細胞の増殖速度を示すグラフである。図4Aは生存細胞密度(細胞/mL)を時間に対して示す。
【図4B】PDCD6の抑制を伴うCHO IFN−γ細胞の増殖速度を示すグラフである。図4Bは全細胞密度を時間に対して示す。
【図4C】PDCD6の抑制を伴うCHO IFN−γ細胞の増殖速度を示すグラフである。図4Cは生存率を時間に対して示す。細胞培養生存率の喪失は、アポトーシス細胞の顕著な減少によって(図4D)対照細胞に比べPDCD6が抑制される場合に顕著に低減される(図4C)。
【図4D】PDCD6の抑制を伴うCHO IFN−γ細胞の増殖速度を示すグラフである。図4Dはアポトーシス細胞を時間に対して示す。細胞培養生存率の喪失は、アポトーシス細胞の顕著な減少によって(図4D)対照細胞に比べPDCD6が抑制される場合に顕著に低減される(図4C)。
【図5A】Requiemの抑制を伴うCHO IFN−γ細胞の増殖速度を示すグラフである。図5Aは生存細胞密度(細胞/mL)を時間に対して示す。
【図5B】Requiemの抑制を伴うCHO IFN−γ細胞の増殖速度を示すグラフである。図5Bは全細胞密度を時間に対して示す。
【図5C】Requiemの抑制を伴うCHO IFN−γ細胞の増殖速度を示すグラフである。図5Cは生存率を時間に対して示す。細胞培養生存率の喪失は、アポトーシス細胞の顕著な減少によって(図5D)対照細胞に比べRequiemが抑制される場合に顕著に低減される(図5C)。
【図5D】Requiemの抑制を伴うCHO IFN−γ細胞の増殖速度を示すグラフである。図5Dはアポトーシス細胞を時間に対して示す。細胞培養生存率の喪失は、アポトーシス細胞の顕著な減少によって(図5D)対照細胞に比べRequiemが抑制される場合に顕著に低減される(図5C)。
【図6A】CHO細胞培養でのカスパーゼ2、3、8および9の活性を示すグラフである。FAIM、FADDドミナントネガティブ、PDCD6またはRequiemの遺伝子標的化では、培養においてカスパーゼ活性を抑制し、かつ/または遅延させることができる。図6Aは対照でトランスフェクトされた細胞でのカスパーゼ活性を示す。
【図6B】CHO細胞培養でのカスパーゼ2、3、8および9の活性を示すグラフである。FAIM、FADDドミナントネガティブ、PDCD6またはRequiemの遺伝子標的化では、培養においてカスパーゼ活性を抑制し、かつ/または遅延させることができる。図6BはFAIMを過剰発現する細胞でのカスパーゼ活性を示す。
【図6C】CHO細胞培養でのカスパーゼ2、3、8および9の活性を示すグラフである。FAIM、FADDドミナントネガティブ、PDCD6またはRequiemの遺伝子標的化では、培養においてカスパーゼ活性を抑制し、かつ/または遅延させることができる。図6CはFADDドミナントネガティブを過剰発現する細胞でのカスパーゼ活性を示す。
【図6D】CHO細胞培養でのカスパーゼ2、3、8および9の活性を示すグラフである。FAIM、FADDドミナントネガティブ、PDCD6またはRequiemの遺伝子標的化では、培養においてカスパーゼ活性を抑制し、かつ/または遅延させることができる。図6DはPDCD6の抑制を伴う細胞でのカスパーゼ活性を示す。
【図6E】CHO細胞培養でのカスパーゼ2、3、8および9の活性を示すグラフである。FAIM、FADDドミナントネガティブ、PDCD6またはRequiemの遺伝子標的化では、培養においてカスパーゼ活性を抑制し、かつ/または遅延させることができる。図6EはRequiemの抑制を伴う細胞でのカスパーゼ活性を示す。
【図7A】トランスフェクトされたCHO IFN−γ細胞についてのインターフェロン−γ回収量を示すグラフである。図7AはFAIMを過剰発現する細胞でのインターフェロン−γ活性を示す。最大で300%までのインターフェロンγ回収量の顕著な改善を遺伝子標的化法によって達成することができる。
【図7B】トランスフェクトされたCHO IFN−γ細胞についてのインターフェロン−γ回収量を示すグラフである。図7BはFADDドミナントネガティブを過剰発現する細胞でのインターフェロン−γ活性を示す。最大で300%までのインターフェロンγ回収量の顕著な改善を遺伝子標的化法によって達成することができる。
【図7C】トランスフェクトされたCHO IFN−γ細胞についてのインターフェロン−γ回収量を示すグラフである。図7CはPDCD6の抑制を伴う細胞でのインターフェロン−γ活性を示す。最大で300%までのインターフェロンγ回収量の顕著な改善を遺伝子標的化法によって達成することができる。
【図7D】トランスフェクトされたCHO IFN−γ細胞についてのインターフェロン−γ回収量を示すグラフである。図7DはRequiemの抑制を伴う細胞でのインターフェロン−γ活性を示す。最大で300%までのインターフェロンγ回収量の顕著な改善を遺伝子標的化法によって達成することができる。
【図8A】フェドバッチ培養におけるRequiemもしくはPDCD6抑制またはFADD DNもしくはFAIM*過剰発現のいずれかを伴う安定なCHO IFN−γクローンの生存細胞密度を示す(示されるデータは2回の二つ組の実験の平均である)。
【図8B】フェドバッチ培養におけるRequiemもしくはPDCD6抑制またはFADD DNもしくはFAIM*過剰発現のいずれかを伴う安定なCHO IFN−γクローンの生存細胞密度を示す。
【図9A】フェドバッチ培養におけるRequiemもしくはPDCD6抑制またはFADD DN*もしくはFAIM*過剰発現のいずれかを伴う安定なCHO IFN−γクローンのインターフェロンγ回収量を示す(示されるデータは2回の二つ組の実験の平均である)。
【図9B】フェドバッチ培養におけるRequiemもしくはPDCD6抑制またはFADD DN*もしくはFAIM*過剰発現のいずれかを伴う安定なCHO IFN−γクローンのインターフェロンγ回収量を示す。
【図10】フェドバッチ培養の対数期中期、静止期および死滅期の間のRequiemもしくはPDCD6抑制またはFADD DN*もしくはFAIM*過剰発現のいずれかを伴う安定なCHO IFN−γクローンにおける組換えIFN−γのシアル化を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下のもの:
(a)配列番号1に示される配列に対して少なくとも97%の配列同一性を有するcgFAIM配列;
(b)配列番号2に示される配列に対して少なくとも69%の配列同一性を有するcgFADD配列;
(c)配列番号3に示される配列に対して少なくとも89%の配列同一性を有するcgPDCD6配列;
(d)配列番号4に示される配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するcgRequiem配列;
(e)上記(a)〜(d)のいずれかの少なくとも15個の連続した残基からなる断片である配列
より選択される配列であって、細胞のアポトーシスを仲介することが可能な配列を含んでなる、単離されたポリペプチド。
【請求項2】
細胞のアポトーシスを仲介することが可能なチャイニーズハムスター(Cricetulus griseus)の配列であって、配列番号1に示されるcgFAIM配列;配列番号2に示されるcgFADD配列;配列番号3に示されるcgPDCD6配列;および配列番号4に示されるcgRequiem配列から選択される配列を含んでなる、単離されたポリペプチド。
【請求項3】
前記配列が、好ましくは、配列番号5、配列番号6、配列番号7および配列番号8からなる群より選択される、請求項1または2に記載のポリペプチドをコードする配列を含んでなる、単離されたポリヌクレオチド。
【請求項4】
以下のもの:
(a)配列番号5に示される配列に対して90%以上の配列同一性を有するcgFAIM配列;
(b)配列番号6に示される配列に対して90%以上の配列同一性を有するcgFADD配列;
(c)配列番号7に示される配列に対して93%以上の配列同一性を有するcgPDCD6配列;
(d)配列番号8に示される配列に対して89%以上の配列同一性を有するcgRequiem配列;
(e)上記(a)〜(d)のいずれかの少なくとも15個の連続した残基からなる断片である配列
からなる群より選択される配列、またはそれに相補的な配列、ストリンジェントな条件下でそれにハイブリダイズ可能な配列、もしくは遺伝コードによるその縮重である配列を含んでなる、単離されたポリヌクレオチド。
【請求項5】
調節配列に機能的に連結された、請求項3もしくは4に記載のポリヌクレオチドまたはその一部分を含んでなる発現配列であって、該調節配列は該ポリヌクレオチドの発現を誘導することが可能なものである、上記発現配列。
【請求項6】
発現ベクターである、請求項5に記載の発現配列。
【請求項7】
請求項3または4に記載のポリヌクレオチドを含んでなるベクターであって、細胞に曝露した場合に、該細胞によるcgFAIM、cgFADD、cgPDCD6またはcgRequiemの発現を変化させることが可能な、上記ベクター。
【請求項8】
チャイニーズハムスター(Cricetulus griseus)FAIM配列またはその一部分を含んでなる請求項7に記載のベクターであって、細胞でのcgFAIMのアップレギュレーションを行うことが可能であり、好ましくはpcDNA3.1(+)FAIM(配列番号37)である、上記ベクター。
【請求項9】
チャイニーズハムスター(Cricetulus griseus)FADD配列またはその一部分を含んでなる請求項7に記載のベクターであって、細胞でのcgFADDのダウンレギュレーションを行うことが可能であり、好ましくはpcDNA3.1(+)FADD DN(配列番号38)である、上記ベクター。
【請求項10】
チャイニーズハムスター(Cricetulus griseus)PDCD6配列またはその一部分を含んでなる請求項7に記載のベクターであって、細胞でのcgPDCD6のダウンレギュレーションを行うことが可能であり、好ましくはpSUPER.neo.PDCD6 siRNA(配列番号39)である、上記ベクター。
【請求項11】
チャイニーズハムスター(Cricetulus griseus)Requiem配列またはその一部分を含んでなる請求項7に記載のベクターであって、細胞でのcgRequiemのダウンレギュレーションを行うことが可能であり、好ましくはpSUPER.neo.Requiem siRNA(配列番号40)である、上記ベクター。
【請求項12】
請求項5もしくは6に記載の発現配列または請求項7〜11のいずれか1項に記載のベクターを含んでなる細胞であって、好ましくは前記発現配列が該細胞に導入されている、上記細胞。
【請求項13】
請求項1もしくは2に記載のポリペプチド、請求項3もしくは4に記載のポリヌクレオチド、請求項5もしくは6に記載の発現配列、請求項7〜11のいずれか1項に記載のベクター、または請求項12に記載の細胞を、製薬上許容される担体もしくは希釈剤とともに含んでなる、医薬組成物。
【請求項14】
以下のステップ:
(a)請求項3または4に記載のポリヌクレオチド配列と調節配列とを含んでなる発現配列であって、該調節配列は該ポリヌクレオチド配列からのポリペプチドの発現を誘導することが可能なものを用意するステップ、
(b)該調節配列の制御下に該発現配列から該ポリペプチドを発現させるステップ、
(c)任意により該ポリペプチドを精製するステップ
を含む、ポリペプチドの生成方法。
【請求項15】
前記発現配列が発現ベクターを含み、該発現ベクターは、細胞に、好ましくはチャイニーズハムスター細胞にトランスフェクトされることにより該細胞による前記ポリペプチドの発現を可能にするものである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
配列番号1に示される配列を有するcgFAIMポリペプチドまたは配列番号5に示される配列を有するcgFAIMポリヌクレオチドの、細胞での、好ましくはチャイニーズハムスター細胞での発現を変化させるステップ、好ましくはアップレギュレートするステップを含む方法。
【請求項17】
配列番号2に示される配列を有するcgFADDポリペプチド、配列番号3に示される配列を有するcgPDCD6ポリペプチドもしくは配列番号4に示される配列を有するcgRequiemポリペプチド、または配列番号6に示される配列を有するcgFAIMポリヌクレオチド、配列番号7に示される配列を有するcgPDCD6ポリヌクレオチドもしくは配列番号8に示される配列を有するcgRequiemポリヌクレオチドの、細胞での、好ましくはチャイニーズハムスター細胞での発現を変化させるステップ、好ましくはダウンレギュレートするステップを含む方法。
【請求項18】
請求項7〜11のいずれか1項に記載のベクターを細胞に曝露するステップ、好ましくは該ベクターで細胞をトランスフェクトするステップを含む、請求項16または17に記載の方法。
【請求項19】
配列番号1に示される配列を有するポリペプチドまたは配列番号5に示される配列を有するポリヌクレオチドの発現を、改変されていない細胞と比較してアップレギュレートするように改変されている、好ましくは遺伝子操作されている細胞、好ましくはチャイニーズハムスター細胞。
【請求項20】
配列番号2、3もしくは4に示される配列を有するポリペプチドまたは配列番号6、7もしくは8に示される配列を有するポリヌクレオチドの発現を、改変されていない細胞と比較してダウンレギュレートするように改変されている、好ましくは遺伝子操作されている細胞、好ましくはチャイニーズハムスター細胞。
【請求項21】
請求項19もしくは20に記載の細胞、またはその子孫細胞を含んでなる細胞株、好ましくはチャイニーズハムスター細胞株。
【請求項22】
請求項19もしくは20に記載の細胞、またはその子孫細胞、あるいは請求項21に記載衣の細胞株を含んでなる細胞培養物。
【請求項23】
請求項19もしくは20に記載の細胞、またはその子孫細胞を含んでなるトランスジェニック非ヒト動物、好ましくはチャイニーズハムスター。
【請求項24】
前記ポリペプチドの発現が変化させられていない細胞と比較して、
(i)前記細胞の細胞生存率が増大しているかもしくは上昇しており、好ましくは該細胞のアポトーシスが減少しており;
(ii)該細胞のタンパク質回収量、好ましくは組換え発現タンパク質回収量が増大しているかもしくは上昇しており;かつ/または
(iii)細胞により発現されるタンパク質の糖化、好ましくはシアル化が増大しているかもしくは上昇している、
請求項15〜18のいずれか1項に記載の方法、請求項12、19もしくは20に記載の細胞、請求項21に記載の細胞株、請求項22に記載の細胞培養物、または請求項21に記載のトランスジェニック非ヒト動物。
【請求項25】
タンパク質、好ましくは異種タンパク質、より好ましくは外来性に導入された配列由来のタンパク質、最も好ましくは組換えタンパク質、好ましくはインターフェロンγの生成のための、請求項15〜18のいずれか1項に記載の方法、請求項19もしくは20に記載の細胞、請求項21に記載の細胞株、請求項22に記載の細胞培養物、または請求項21に記載のトランスジェニック非ヒト動物の使用。
【請求項26】
組換えタンパク質、好ましくはインターフェロンγの生成方法であって、請求項19または20に記載の細胞を用意するステップ、該組換えタンパク質を発現させることが可能な発現ベクターを用いて該細胞をトランスフェクトするステップ、および該細胞での該組換えタンパク質の発現を引き起こすステップを含む、上記方法。
【請求項27】
配列番号9に示されるcgFADDドミナントネガティブ配列を含んでなるポリペプチド、もしくは当該ポリペプチドをコードすることが可能なポリヌクレオチド、好ましくは配列番号10に示されるポリヌクレオチド、またはその断片、ホモログ、変異体もしくは誘導体。
【請求項28】
請求項25または26に記載の方法により生成可能なポリペプチド、好ましくは組換えタンパク質、より好ましくはインターフェロンγであって、改変されていない細胞から生成可能なポリペプチドと比較して、シアル化が増大している、上記ポリペプチド。
【請求項29】
前記シアル化が、2.9モルシアル酸/モル生成ポリペプチドより多く、好ましくは約3.5モルシアル酸/モル生成ポリペプチドである、請求項28に記載のポリペプチド。
【請求項1】
以下のもの:
(a)配列番号1に示される配列に対して少なくとも97%の配列同一性を有するcgFAIM配列;
(b)配列番号2に示される配列に対して少なくとも69%の配列同一性を有するcgFADD配列;
(c)配列番号3に示される配列に対して少なくとも89%の配列同一性を有するcgPDCD6配列;
(d)配列番号4に示される配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するcgRequiem配列;
(e)上記(a)〜(d)のいずれかの少なくとも15個の連続した残基からなる断片である配列
より選択される配列であって、細胞のアポトーシスを仲介することが可能な配列を含んでなる、単離されたポリペプチド。
【請求項2】
細胞のアポトーシスを仲介することが可能なチャイニーズハムスター(Cricetulus griseus)の配列であって、配列番号1に示されるcgFAIM配列;配列番号2に示されるcgFADD配列;配列番号3に示されるcgPDCD6配列;および配列番号4に示されるcgRequiem配列から選択される配列を含んでなる、単離されたポリペプチド。
【請求項3】
前記配列が、好ましくは、配列番号5、配列番号6、配列番号7および配列番号8からなる群より選択される、請求項1または2に記載のポリペプチドをコードする配列を含んでなる、単離されたポリヌクレオチド。
【請求項4】
以下のもの:
(a)配列番号5に示される配列に対して90%以上の配列同一性を有するcgFAIM配列;
(b)配列番号6に示される配列に対して90%以上の配列同一性を有するcgFADD配列;
(c)配列番号7に示される配列に対して93%以上の配列同一性を有するcgPDCD6配列;
(d)配列番号8に示される配列に対して89%以上の配列同一性を有するcgRequiem配列;
(e)上記(a)〜(d)のいずれかの少なくとも15個の連続した残基からなる断片である配列
からなる群より選択される配列、またはそれに相補的な配列、ストリンジェントな条件下でそれにハイブリダイズ可能な配列、もしくは遺伝コードによるその縮重である配列を含んでなる、単離されたポリヌクレオチド。
【請求項5】
調節配列に機能的に連結された、請求項3もしくは4に記載のポリヌクレオチドまたはその一部分を含んでなる発現配列であって、該調節配列は該ポリヌクレオチドの発現を誘導することが可能なものである、上記発現配列。
【請求項6】
発現ベクターである、請求項5に記載の発現配列。
【請求項7】
請求項3または4に記載のポリヌクレオチドを含んでなるベクターであって、細胞に曝露した場合に、該細胞によるcgFAIM、cgFADD、cgPDCD6またはcgRequiemの発現を変化させることが可能な、上記ベクター。
【請求項8】
チャイニーズハムスター(Cricetulus griseus)FAIM配列またはその一部分を含んでなる請求項7に記載のベクターであって、細胞でのcgFAIMのアップレギュレーションを行うことが可能であり、好ましくはpcDNA3.1(+)FAIM(配列番号37)である、上記ベクター。
【請求項9】
チャイニーズハムスター(Cricetulus griseus)FADD配列またはその一部分を含んでなる請求項7に記載のベクターであって、細胞でのcgFADDのダウンレギュレーションを行うことが可能であり、好ましくはpcDNA3.1(+)FADD DN(配列番号38)である、上記ベクター。
【請求項10】
チャイニーズハムスター(Cricetulus griseus)PDCD6配列またはその一部分を含んでなる請求項7に記載のベクターであって、細胞でのcgPDCD6のダウンレギュレーションを行うことが可能であり、好ましくはpSUPER.neo.PDCD6 siRNA(配列番号39)である、上記ベクター。
【請求項11】
チャイニーズハムスター(Cricetulus griseus)Requiem配列またはその一部分を含んでなる請求項7に記載のベクターであって、細胞でのcgRequiemのダウンレギュレーションを行うことが可能であり、好ましくはpSUPER.neo.Requiem siRNA(配列番号40)である、上記ベクター。
【請求項12】
請求項5もしくは6に記載の発現配列または請求項7〜11のいずれか1項に記載のベクターを含んでなる細胞であって、好ましくは前記発現配列が該細胞に導入されている、上記細胞。
【請求項13】
請求項1もしくは2に記載のポリペプチド、請求項3もしくは4に記載のポリヌクレオチド、請求項5もしくは6に記載の発現配列、請求項7〜11のいずれか1項に記載のベクター、または請求項12に記載の細胞を、製薬上許容される担体もしくは希釈剤とともに含んでなる、医薬組成物。
【請求項14】
以下のステップ:
(a)請求項3または4に記載のポリヌクレオチド配列と調節配列とを含んでなる発現配列であって、該調節配列は該ポリヌクレオチド配列からのポリペプチドの発現を誘導することが可能なものを用意するステップ、
(b)該調節配列の制御下に該発現配列から該ポリペプチドを発現させるステップ、
(c)任意により該ポリペプチドを精製するステップ
を含む、ポリペプチドの生成方法。
【請求項15】
前記発現配列が発現ベクターを含み、該発現ベクターは、細胞に、好ましくはチャイニーズハムスター細胞にトランスフェクトされることにより該細胞による前記ポリペプチドの発現を可能にするものである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
配列番号1に示される配列を有するcgFAIMポリペプチドまたは配列番号5に示される配列を有するcgFAIMポリヌクレオチドの、細胞での、好ましくはチャイニーズハムスター細胞での発現を変化させるステップ、好ましくはアップレギュレートするステップを含む方法。
【請求項17】
配列番号2に示される配列を有するcgFADDポリペプチド、配列番号3に示される配列を有するcgPDCD6ポリペプチドもしくは配列番号4に示される配列を有するcgRequiemポリペプチド、または配列番号6に示される配列を有するcgFAIMポリヌクレオチド、配列番号7に示される配列を有するcgPDCD6ポリヌクレオチドもしくは配列番号8に示される配列を有するcgRequiemポリヌクレオチドの、細胞での、好ましくはチャイニーズハムスター細胞での発現を変化させるステップ、好ましくはダウンレギュレートするステップを含む方法。
【請求項18】
請求項7〜11のいずれか1項に記載のベクターを細胞に曝露するステップ、好ましくは該ベクターで細胞をトランスフェクトするステップを含む、請求項16または17に記載の方法。
【請求項19】
配列番号1に示される配列を有するポリペプチドまたは配列番号5に示される配列を有するポリヌクレオチドの発現を、改変されていない細胞と比較してアップレギュレートするように改変されている、好ましくは遺伝子操作されている細胞、好ましくはチャイニーズハムスター細胞。
【請求項20】
配列番号2、3もしくは4に示される配列を有するポリペプチドまたは配列番号6、7もしくは8に示される配列を有するポリヌクレオチドの発現を、改変されていない細胞と比較してダウンレギュレートするように改変されている、好ましくは遺伝子操作されている細胞、好ましくはチャイニーズハムスター細胞。
【請求項21】
請求項19もしくは20に記載の細胞、またはその子孫細胞を含んでなる細胞株、好ましくはチャイニーズハムスター細胞株。
【請求項22】
請求項19もしくは20に記載の細胞、またはその子孫細胞、あるいは請求項21に記載衣の細胞株を含んでなる細胞培養物。
【請求項23】
請求項19もしくは20に記載の細胞、またはその子孫細胞を含んでなるトランスジェニック非ヒト動物、好ましくはチャイニーズハムスター。
【請求項24】
前記ポリペプチドの発現が変化させられていない細胞と比較して、
(i)前記細胞の細胞生存率が増大しているかもしくは上昇しており、好ましくは該細胞のアポトーシスが減少しており;
(ii)該細胞のタンパク質回収量、好ましくは組換え発現タンパク質回収量が増大しているかもしくは上昇しており;かつ/または
(iii)細胞により発現されるタンパク質の糖化、好ましくはシアル化が増大しているかもしくは上昇している、
請求項15〜18のいずれか1項に記載の方法、請求項12、19もしくは20に記載の細胞、請求項21に記載の細胞株、請求項22に記載の細胞培養物、または請求項21に記載のトランスジェニック非ヒト動物。
【請求項25】
タンパク質、好ましくは異種タンパク質、より好ましくは外来性に導入された配列由来のタンパク質、最も好ましくは組換えタンパク質、好ましくはインターフェロンγの生成のための、請求項15〜18のいずれか1項に記載の方法、請求項19もしくは20に記載の細胞、請求項21に記載の細胞株、請求項22に記載の細胞培養物、または請求項21に記載のトランスジェニック非ヒト動物の使用。
【請求項26】
組換えタンパク質、好ましくはインターフェロンγの生成方法であって、請求項19または20に記載の細胞を用意するステップ、該組換えタンパク質を発現させることが可能な発現ベクターを用いて該細胞をトランスフェクトするステップ、および該細胞での該組換えタンパク質の発現を引き起こすステップを含む、上記方法。
【請求項27】
配列番号9に示されるcgFADDドミナントネガティブ配列を含んでなるポリペプチド、もしくは当該ポリペプチドをコードすることが可能なポリヌクレオチド、好ましくは配列番号10に示されるポリヌクレオチド、またはその断片、ホモログ、変異体もしくは誘導体。
【請求項28】
請求項25または26に記載の方法により生成可能なポリペプチド、好ましくは組換えタンパク質、より好ましくはインターフェロンγであって、改変されていない細胞から生成可能なポリペプチドと比較して、シアル化が増大している、上記ポリペプチド。
【請求項29】
前記シアル化が、2.9モルシアル酸/モル生成ポリペプチドより多く、好ましくは約3.5モルシアル酸/モル生成ポリペプチドである、請求項28に記載のポリペプチド。
【図1−1】
【図1−2】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図6E】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図1−2】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図6E】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【公表番号】特表2008−526200(P2008−526200A)
【公表日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−549327(P2007−549327)
【出願日】平成17年12月28日(2005.12.28)
【国際出願番号】PCT/SG2005/000433
【国際公開番号】WO2006/071200
【国際公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【出願人】(507140829)エージェンシー フォー サイエンス、テクノロジー アンド リサーチ (7)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年12月28日(2005.12.28)
【国際出願番号】PCT/SG2005/000433
【国際公開番号】WO2006/071200
【国際公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【出願人】(507140829)エージェンシー フォー サイエンス、テクノロジー アンド リサーチ (7)
【Fターム(参考)】
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