説明

部品内蔵プリント配線板およびその製造方法

【課題】 高密度実装化、多層配線化および低コスト化が容易な部品内蔵プリント配線板およびその製造方法を提供する。
【解決手段】 コア材11の一主面から他主面に貫通する開口12が形成され、開口12の側壁に圧接する機能素子13が取り付けられ、機能素子13の両端子13a、13bがコア材11の一主面と他主面とに向いて露出する。コア材11の一主面上に第1の層間絶縁層14が形成され、その第1の導体バンプ15が端子13aに接続し、第1の導体層16に電気的に取り出される。同様に、コア材11の他主面上に第2の層間絶縁層17が形成され、その第2の導体バンプ18が端子13bに接続し、第2の導体層19に取り出される。また、この第1の層間絶縁層14と第2の層間絶縁層17は、開口12と機能素子13の間に生じる空隙を埋める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品内蔵プリント配線板およびその製造方法に係り、詳しくは、例えば半導体素子等からなる電気/電子部品を収容した部品内蔵プリント配線板とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば携帯機器類のような電子機器の短小軽薄化に伴い、電気/電子部品(まとめて電子部品という)の実装されるプリント配線板では、その高密度実装化と短小軽薄化が強く要求され、多層配線板の開発が種々に進められている。そして、これまでその最上層の配線回路面に表面実装されていたトランジスタ、ダイオード、ICの能動素子、あるいは抵抗体、コンデンサの受動素子等からなる電子部品が、多層配線板の内部に収容されるようなってきている。以下、能動素子および受動素子をあわせて機能素子ともいう。
【0003】
上記電子部品内蔵のプリント配線板の従来技術について図面を参照しながら説明する。なお、以下の各図において、互いに同一または類似の部分には共通の符号を付して、重複説明は一部省略される。
【0004】
図7に示すプリント配線板は、電源ラインに接続されるバイパスコンデンサが内蔵された多層配線板の一例である(例えば、特許文献1参照)。同図に示すプリント配線板においては、コア材101の所定の位置に貫通孔102が形成され、この貫通孔102内にバイパスコンデンサ103が埋設されている。ここで、バイパスコンデンサ103の両端子103a、103bがコア材101の第1の主面と第2の主面にそれぞれ向くように配置され、両端子の表面に高融点ハンダ104が形成されている。そして、コア材101の上記両面にそれぞれ導体板が重ねられ、加熱加圧の処理(以下、熱プレスともいう)により導体板がコア材101の両面に張り付けられると共に、高融点ハンダが溶けて各端子がそれぞれの導体板にハンダ付けされる。
【0005】
そして、上記張り付けられた導体板が回路パターンにエッチング加工され、第1の配線回路105および第2の配線回路106が形成される。更に、例えば公知のバンプ付き銅シートと樹脂フィルムを重ねて加熱加圧して樹脂フィルムにバンプを埋め込む工法により、第1の配線回路105は、第1の層間絶縁層107を貫通するビアの第1の導体バンプ108を通して第3の配線回路109と電気的導通が得られるようになっている。同様に、第2の配線回路106は、第2の層間絶縁層110を貫通する第2の導体バンプ111を通して第4の配線回路112と電気的導通が得られるようになっている。
【0006】
このバンプ埋め込み工法では、例えば印刷技術により銀ペーストを用い形成した略円錐形の導体バンプが薄い導体板の所定位置に設けられ、この薄い導体板がプリプレグ材を介してコア材101の両面に積層され熱プレスされる。そして、このようなレイアップによりプリント配線板は多層化される。
【0007】
しかし、上記プリント配線板の熱プレスの工程では、初めにコア材101の例えば第2の主面に一方の導体板を重ねた後に、バイパスコンデンサ103を貫通孔102に挿入する。ここで、バイパスコンデンサ103はこの導体板に支持されるようにマウントされる。そして、このマウント状態でコア材101の第1の主面に他方の導体板を重ねて熱プレスすることになる。これは、バイパスコンデンサ103が貫通孔102に固持することができないからである。このため、熱プレスの工程の簡素化が難しくなる。
【0008】
また、上記熱プレスによるバイパスコンデンサ103両端子の配線回路へのハンダ付けにおいて、そのハンダ接合を確認することができないためにその良否の判定が難しい。ここで、コア材101における貫通孔102の深さ、バイパスコンデンサ103の寸法あるいはその両端子の表面に形成される高融点ハンダ104の厚さのバラツキ等が上記ハンダ接合の良否に関わり、製品の品質管理が難しくなる。
【0009】
そして、プリント配線板へのバイパスコンデンサ103収容後の多層化のレイアップにおいて、その熱プレスの条件が制約されるようになる。すなわち、コア材101に埋設したバイパスコンデンサ103を配線回路に電気接続する高融点ハンダ104の溶融あるいは熱変形が生じない条件によって熱プレスしなければならない。
【0010】
これ等のことから、プリント配線板の製造コストの低減が難しい。例えばビアの配線板上での面密度が現状の例えば約30万個/mから将来の例えば100万個/m以上になる多層配線板において、その低コスト化が容易でなくなる。
【0011】
次に、例えば半導体ベアチップが内蔵された多層配線板の一例を図8に示す(例えば、特許文献2参照)。同図に示すプリント配線板においては、コア材101の所定の位置に開口113が形成され、半導体ベアチップ114がこの開口113に挿設されている。ここで、例えばバンプ埋め込み工法により、第1の配線回路105は、第1の層間絶縁層107を貫通する第1の導体バンプ108を通して第3の配線回路109と電気的導通が得られるようになっている。同様に、第2の配線回路106は、第2の層間絶縁層110を貫通する第2の導体バンプ111を通して第4の配線回路112と電気的導通が得られるようになっている。
【0012】
そして、第4の配線回路112には、半導体ベアチップ114がフリップチップ接続している。この場合、半導体ベアチップ114に設けられた電極パッド(図示せず)が第3の導体バンプ115を通してそれぞれ第4の配線回路112の対応する配線に接続する。第3の導体バンプ115は、上記第1の導体バンプ108および第2の導体バンプ111と異なり小さく形成される。なお、この接続領域にアンダーフィル樹脂116が充填される。また、第4の配線回路112は、第3の層間絶縁層117を貫通する第4の導体バンプ118を通して第5の配線回路119と電気的導通が得られるようになっている。ここで、第3の層間絶縁層117の上下面に第4の配線回路112および第5の配線回路119が設けられ、これ等に挟設された第4の導体バンプ118を有する両面配線板が用いられる。
【0013】
上記半導体ベアチップ内蔵のプリント配線板では、その熱プレスの工程においてプリプレグ材として軟化している第1の層間絶縁層107および第2の層間絶縁層110が、加熱により得られた流動性により半導体ベアチップ114の周りの空間を充填する。そして硬化して積層一体化する。
【0014】
しかし、このようなプリント配線板では、半導体ベアチップ114が第4の配線回路112にフリップチップ接続しマウントする領域にある第2の層間絶縁層110を選択的にエッチング除去する工程が必要になる。また、大きさの異なる2種類の導体バンプの作製が必要になる。これ等のため、プリント配線板の製造工程の簡素化が難しく、その製造コスト低減が容易でない。
【0015】
また、その製造工程の熱プレスにおいて、半導体ベアチップ114の周りのかなり広い空間が、プリプレグ材の第1の層間絶縁層107および第2の層間絶縁層110により充填されるようになる。このプリプレグ材の充填分から、部品内蔵の領域における第1の層間絶縁層107および第2の層間絶縁層110が薄くなり易い。そして、プリント配線板の肉厚の不均一性による規格外の製品が発生し易い。このプリント配線板の肉厚の不均一性は、電子部品の内蔵密度の増大と共に顕著になる。
【0016】
このように、その他の従来技術を含めて、これまでの電子部品内蔵のプリント配線板では、電子部品の内蔵密度が増大するに伴いその製造方法が煩雑化し生産性が低下する。そして、プリント配線板の低コスト化が容易でなくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特開2001−274555号公報
【特許文献2】特開2010−10714号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
上述したように、従来技術によれば、電子部品内蔵のプリント配線板の高密度実装化および多層配線化において、その低コスト化を容易にすることが難しくなる。本発明は、上述の事情に鑑みてなされたもので、電子部品を内蔵するプリント配線板の高密度実装化および多層配線化が容易で、しかもその製法の簡素化が可能になる部品内蔵プリント配線板およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記目的を達成するために、本発明にかかる部品内蔵プリント配線板は、一主面から他主面に貫通する開口を少なくとも1つ有するコア絶縁層と、前記開口の側壁の少なくとも一部に圧接する電子部品と、前記コア絶縁層の前記一主面上および他主面上にそれぞれ形成され、前記電子部品と前記開口の間に生じた空隙を埋める第1の層間絶縁層および第2の層間絶縁層と、前記第1の層間絶縁層上あるいは前記第2の層間絶縁層上に積層された導体層と、前記第1の層間絶縁層あるいは前記第2の層間絶縁層を貫通し前記電子部品の外部用端子と前記導体層に接続する導通部材と、を有する構成になっている。
【0020】
そして、本発明にかかる部品内蔵プリント配線板の製造方法は、内層基板となるコア材の第1の主面から第2の主面に貫通する開口を形成する工程と、電子部品の外部用端子が前記第1の主面あるいは前記第2の主面の方向に向いて露出するように前記電子部品を前記開口に圧入する工程と、前記第1の主面と前記第2の主面上にそれぞれ外層となる層間絶縁層および導体バンプを配設した導体板を積層する工程と、前記積層したコア材、層間絶縁層および導体板を加熱加圧により一体化し、前記層間絶縁層を貫通する前記導体バンプを前記外部用端子に接続すると共に、前記開口と前記電子部品の間の空隙を前記層間絶縁層の一部により埋める工程と、前記導体板をパターニング加工して配線回路を形成する工程と、を有する構成になっている。
【発明の効果】
【0021】
本発明の構成により、従来の部品内蔵プリント配線板に較べて更なる高密度実装化、多層配線化が容易になる。しかも、部品内蔵プリント配線板の製造工程は簡素化し、その製造コストが低減して安価なプリント配線板の生産が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1A】本発明の第1の実施形態にかかる部品内蔵プリント配線板の一例を示す断面図。
【図1B】本発明の第1の実施形態にかかる部品内蔵プリント配線板において、コア材の開口に内蔵部品が圧接する一例を示す上面図。
【図2】本発明の第1の実施形態にかかる部品内蔵プリント配線板の製造方法の一例を示す製造工程別断面図。
【図3】本発明の第2の実施形態にかかる部品内蔵プリント配線板の一例を示す断面図。
【図4】本発明の第2の実施形態にかかる部品内蔵プリント配線板において、内蔵部品が圧接するコア材の開口の一例を示す上面図。
【図5】本発明の第2の実施形態にかかる部品内蔵プリント配線板の製造方法の一工程を示し、(a)はその上面図、(b)は(a)のY−Y矢視断面図。
【図6】図5に続く部品内蔵プリント配線板の製造工程別断面図。
【図7】従来技術における部品内蔵プリント配線板の一例を示す断面図。
【図8】従来技術における部品内蔵プリント配線板の他例を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に本発明の好適な実施形態のいくつかについて図面を参照して説明する。ここで、互いに同一または類似の部分には共通の符号を付して、重複説明は一部省略される。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なる。
【0024】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態にかかる部品内蔵プリント配線板およびその製造方法について図1A、図1Bおよび図2を参照して説明する。図1Aに示すように、部品内蔵プリント配線板10では、コア材11の所定の位置にコア材11の一主面からその対向面となる他主面に貫通する開口12が形成され、開口12の側壁の一部に圧接する機能素子13が取り付けられている。ここで、例えばコンデンサのような機能素子13の外部用端子である両端子13a、13bがコア材11の一主面となる表面と他主面となる裏面に向いて露出している。そして、機能素子13は上記圧接により開口12内に固持されている。
【0025】
上記機能素子13が開口12内に圧接し固持される形態について図1Bを参照した説明を加える。図1Bに示すように、例えば角柱でありその平面形状が矩形となる機能素子13の場合、開口12の平面形状は例えば円形になっている。そして、機能素子13はその角部(稜線)13cのところで開口12の側壁12bに圧接するように挿設される。ここで、開口12と機能素子13の間において、上記圧接しないところには空隙12cが生じるようになる。
【0026】
そして、コア材11を例えば多層配線板の内層基板とし、その一主面上に第1の層間絶縁層14が外層として形成され、この第1の層間絶縁層14の所定の位置に導通部材として第1の導体バンプ15が設けられている。機能素子13の端子13aは、この第1の導体バンプ15に接続し、第1の層間絶縁層14の上に積層された第1の導体層16に電気的に取り出されるようになっている。同様に、コア材11の他主面上に第2の層間絶縁層17が形成され、第2の層間絶縁層17の所定の位置に導通部材として第2の導体バンプ18が設けられている。機能素子13の端子13bは、第2の導体バンプ18に接続し、第2の層間絶縁層17の上に積層された第2の導体層19と電気的導通が得られるようになっている。
【0027】
上記部品内蔵プリント配線板10では、第1の層間絶縁層14および第2の層間絶縁層17は、開口12と機能素子13の間に生じる空隙12cを埋めて機能素子13を開口12内に強固に固着する機能を有している。
【0028】
コア材11の材料としては、例えば熱硬化性樹脂であるガラスエポキシ系樹脂材料が好適である。その他の熱硬化性樹脂としてポリイミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、あるいはこれ等のコンポジット系樹脂等がある。また、熱可塑性樹脂も使用することができる。そのような熱可塑性樹脂として、液晶ポリマー(LCP)、熱可塑性ポリイミド樹脂、あるいはこれ等のコンポジット系樹脂等が挙げられる。いずれにしても、ガラスクロスに上記の熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂を含浸させたガラスクロス系樹脂が好適に使用される。ガラスクロス系樹脂であると、詳細は後述されるが例えば打ち抜き加工により開口12を形成したときに、その側壁にガラスクロスによる小さな凹凸が形成され易い。そして、機能素子13の開口12への圧接に伴う固持が容易になる。
【0029】
機能素子13は、例えばコンデンサ、抵抗体、ダイオード、トランジスタ、IC等の電子部品である。この電子部品の端子13a、13bでは、例えば銅(Cu)、アルミニウム(Al)材、ステンレス材等の金属材面に金(Au)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)の単層、あるいはNi/Au、Ni/Ag等の複合層のメッキが施されるとよい。
【0030】
第1の層間絶縁層14および第2の層間絶縁層17は、熱硬化性樹脂であるガラスエポキシ系樹脂が好適に使用できる。あるいは、その他に、上述したような熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂であっても構わない。
【0031】
導体バンプ15は、例えばAg、Cu、Au、ハンダ等の金属材料からなる。なお、第1の導体層16、第2の導体層19は、通常のCuからなる回路配線層である。
【0032】
次に、部品内蔵プリント配線板10の製造方法の一例について説明する。図2(a)に示すように、例えば50μm〜1mm程度の肉厚となるコア材11に、打ち抜き加工、レーザ加工あるいはドリル加工により、開口12を形成する。ここで、機能素子13が角柱のコンデンサのような場合、開口12の平面形状は例えば直径0.3mmの円形となる。あるいは楕円形等になっていてもよい。
【0033】
次に、図2(b)に示すように、例えばコンデンサの機能素子13を開口12内に圧入し所定の深さ位置に挿設する。ここで、機能素子13は、図1Bで説明したように、その角部が開口12の側壁に圧接し仮固定される。また、機能素子13の両端子13a、13bはそれぞれコア材11の表面および裏面に向いて露出する。このようにして、機能素子13は、従来技術のようなマウントによらないで、開口12内に自在に固持できる。なお、図2(b)は図1Bで示したX−X矢視の断面図として示されている。
【0034】
ここで、コア材11がガラスクロス系樹脂であると、開口12の側壁に小さな凹凸が形成され易く、機能素子13の開口12内への圧入が安定して行える。それと共に機能素子13の開口12への圧接に伴う固持が容易になる。
【0035】
また、上記コア材11とは別個に、図2(c)に示されているように、いわゆる導体バンプ付積層板21を2枚準備する。この導体バンプ付積層板21は例えば次のようにして作製する。例えば厚さが20μm程度の金属箔22を用意し、その所定位置にメタルマスクを介して、例えばエポキシ樹脂をバインダとしてなる銀系の導電性ペーストをスクリーン印刷する。その後、乾燥・硬化させて例えば円錐型の導体バンプ群23を形成する。ここで、導体バンプ群23の高さは例えば100μm程度とする。そして、例えば厚さが80μm程度のエポキシ樹脂−ガラスクロス系のプリプレグ24を導体バンプ群23側から金属箔22上にプレス機を用いて積層する。このとき、円錐型の導体バンプ群23の頭部がプリプレグ24を貫通して、上記導体バンプ付積層板21が作製される。
【0036】
そして、図2(c)に示すように、2枚の導体バンプ付積層板21の導体バンプ群23が機能素子13の端子の位置にくるように位置決めする。その後、この2枚の導体バンプ付積層板21をコア材11の表面および裏面に積層して熱プレスをする。この熱プレスでは、雰囲気ガスは例えば減圧状態でありその時の加熱温度は例えば180℃〜230℃になる。また、加圧は例えば30〜100kgf/cm程度である。この加熱加圧において、はじめプリプレグ24が流動性を得て、開口12と機能素子13の間に生じている空隙を埋める。その後に、全体が硬化して一体化し、機能素子13は開口12内に強固に固着する。
【0037】
このようにして、図2(d)に示すように、内層基板であるコア材11の表面側に第1の層間絶縁層14が外層として形成され、その裏面側に第2の層間絶縁層17が外層として形成され多層化される。そして、上記導体バンプ群23はそれぞれその先端がおしつぶされて両端子13a、13bに電気的に接続する第1の導体バンプ15および第2の導体バンプ18になる。
【0038】
なお、例えば上記円錐型の導体バンプ群23は、その先端が切り取られた構造になっていてもよい。このような例として、図2(c)に示した導体バンプ群23において破線から先が切り取られる。
【0039】
次に、例えば塩化第二銅水溶液あるいは塩化鉄水溶液等からなる化学薬液のエッチング液に浸漬し、エッチングレジスト(図示せず)をエッチングマスクにして、金属箔22を選択エッチングしパターニング加工する。このようにして、図1Aで示したように第1の層間絶縁層14上に第1の導体層16を形成し、同様に第2の層間絶縁層17上に第2の導体層19を形成し、本実施形態の部品内蔵プリント配線板10が作製される。部品内蔵プリント配線板10は、リジッド配線板が好適であるが、フレキシブルプリント配線板(FPC;Flexible Printed Circuit)にすることもできる。
【0040】
本実施形態では、開口12は機能素子13の形状に合わせてその平面形状が適切になるように適宜に形成される。例えば、機能素子13が円柱等になれば、開口12の平面形状は矩形あるいは多角形等になる。なお開口12と機能素子13は同様の平面形状にすることもできる。また、開口12は、後述する図4に示すような形状であってもよい。
【0041】
また、上記部品内蔵プリント配線板10において、機能素子13の端子が露出する領域以外では、図示しないがコア材11の両面に配線回路が形成されていても構わない。また、その製造方法においては、バンプ埋め込み工法のようにコア材11の表面および裏面にプリプレグ24を積層し、その後に、円錐型の導体バンプ群23が形成された金属箔22を位置決めし熱プレスするようにしてもよい。
【0042】
本実施形態の部品内蔵プリント配線板では、その配線板の内層基板に設けた開口12の側壁に圧接するように機能素子13が挿設され固持される。そして、外層の積層による多層化において、その挿設された機能素子13の端子13a、13bは、外層の回路配線とのビアになる導体バンプ15,18にそれぞれ接続する。そして、開口12と機能素子13の間に生じた空隙は、外層の層間絶縁層14,17の一部により埋められる。このために、本実施形態の部品内蔵プリント配線板は、機能素子13等の電子部品の高密度実装化および多層配線化を更に容易にすることができる。
【0043】
また、従来技術においては必要になっていた機能素子13のマウントは不要になるなどから、部品内蔵プリント配線板の製造方法の簡素化が可能になる。そして、上記内層基板と外層の層間絶縁層の熱プレスにおいて、内蔵される機能素子13の端子13a、13bと対応する導体バンプ15,18との位置合わせが正確にできるようになり、それ等の間の電気接続が安定してできる。また、部品内蔵プリント配線板の厚さ均一性が向上する。これ等のことから製造における品質管理が容易になる。
【0044】
このようにして、部品内蔵プリント配線板の高密度実装化、多層配線化にあっても、その生産性向上が容易になり、その製造コストの低減が容易になる。そして、安価な部品内蔵プリント配線板の提供が可能になる。
【0045】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態にかかる部品内蔵プリント配線板およびその製造方法について図3ないし図6を参照して説明する。この実施形態では、例えばICのような寸法の大きな能動素子が開口に容易に圧接し固持される。この点が第1の実施形態と主に異なるところである。以下、その異なるところを主に説明する。
【0046】
図3,4に示すように、部品内蔵プリント配線板20では、コア材11の所定の位置にその両面に貫通する開口12が形成され、開口12の側壁に形成した突起部12aに圧接するように機能素子13が取り付けられる。突起部12aは、図4(a)に示すように例えば平面形状が矩形になる開口12において、その辺から内側に例えば台形に突き出る構造になっている。また、開口12は、上述の図1に示すような形状であってもよい。
【0047】
ここで、この突起する構造体は、開口12においてコア材11の表面から裏面にかけて形成されていてもよいし、開口12の側壁の一部に形成されるようになっていても構わない。なお、突起部12aの側壁から突き出る高さはコア材11の硬度により適宜に決められるが例えば1μm程度である。そして、この高さはコア材11の第1の主面から第2の主面にかけて増大するように変化してもよい。また、突起部12aは、開口12の平面形状に合わせて適宜に形成する。図4(b)では、開口12側壁に設けられる円弧状の突起部12aが一例に示される。
【0048】
そして、突起部12a以外の領域では、開口12と機能素子13の間には間隙25が形成される。この機能素子13は例えばICの半導体ベアチップであり、フリップチップ状態に載置されたICチップ表面には、外部用端子である所要数の電極パッド26が配設されている。
【0049】
そして、コア材11を多層配線板の内層基板とし、その第1の主面上に、第1の導体層16を有する第1の層間絶縁層14が外層として形成されている。また、コア材11の第2の主面上に、第2の層間絶縁層17が形成され、第2の層間絶縁層17の所定の位置に導通部材として第2の導体バンプ18が設けられている。機能素子13の電極パッド26は、第2の導体バンプ18に接続し、第2の層間絶縁層17の上に積層された第2の導体層19に電気的に取り出される。
【0050】
上記第1の層間絶縁層14および第2の層間絶縁層17は開口12と機能素子13の間に生じる間隙25を含む空隙を上方および下方から埋める。そして、機能素子13は第1の層間絶縁層14および第2の層間絶縁層17により開口12内に強固に固着される。
【0051】
機能素子13の電極パッド26は、その表面がAu、Ag、Niの単層、あるいはNi/Au、Ni/Ag等の複合層のメッキが施された構造になっているとよい。あるいは例えばハンダバンプのような導体バンプ状になっていてもよい。その他は、その構成材料も含めて第1の実施形態で説明したのと同様になっている。
【0052】
次に、第2の実施形態にかかる部品内蔵プリント配線板の製造方法の一例について図5,6を参照して説明する。コア材11に開口12を形成する工程において、例えば突起部12aに対応した表面溝の形成されたポンチによりコア材11が打ち抜き加工される。このようにして、図5に示すように、コア材11の所定の位置に突起部12a付きの開口12を形成する。
【0053】
次に、例えばICの機能素子13をフェースダウンにして開口12内に圧入し挿設する。ここで、機能素子13は開口12の突起部12aに圧接する。なお、ICチップの面積が例えば10mm角程度と大きくなると、例えば真空吸着等の機構を備えたヘッドによりチップ裏面を保持し所定の押圧力により所定の深さ位置に圧入するとよい。
【0054】
次に、図6(a)に示すように、例えば第1の実施形態で説明したのと同様に形成した導体バンプ付積層板21の導体バンプ群23が機能素子13の電極パッド26の位置にくるように位置決めする。その後、第1の実施形態の場合と同じように、コア材11の表面および裏面に2枚の導体バンプ付積層板21を積層した状態で熱プレスする。この熱プレスにおいて、プリプレグ24が流動し、開口12と機能素子13の間に生じている間隙25を含む空隙を埋める。そして、全体が硬化し一体化して、機能素子13は開口12内に強固に固着する。
【0055】
このようにして、図6(b)に示すように、コア材11の表面側と裏面側にそれぞれ第1の層間絶縁層14および第2の層間絶縁層17が外層として形成され多層化される。そして、上記導体バンプ群23はそれぞれその先端がおしつぶされ電極パッド26に電気的に接続する第2の導体バンプ18になる。なお、第1の層間絶縁層14には第1の導体バンプ15が示されていないが、図6(b)の図面から外れた領域に内蔵する別の機能素子のところに形成されてもよい。
【0056】
そして、第1の実施形態で説明したように金属箔22をパターニング加工する。このようにして、図3で示したように第1の層間絶縁層14上に第1の導体層16を形成し、同様に第2の層間絶縁層17上に第2の導体層19を形成し、本実施形態の部品内蔵プリント配線板20が作製される。
【0057】
第2の実施形態では、第1の実施形態で説明したのと同様な作用効果が奏され、部品内蔵プリント配線板の高密度実装化、多層配線化と共にその低コスト化が容易になる。また、第2の実施形態では、開口12の側壁において機能素子13が部分的に突起部12aに圧接することから、平面積が大きくなる機能素子13であっても再現性よく安定的に圧入することができる。このため、機能素子13が例えば10mm角以上になるようなICチップであっても、部品内蔵プリント配線板の安定した生産が容易になる。
【0058】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、上述した実施形態は本発明を限定するものでない。当業者にあっては、具体的な実施態様において本発明の技術思想および技術範囲から逸脱せずに種々の変形・変更を加えることが可能である。
【0059】
上記実施形態で説明した導体バンプの換わりとして、その他レイアップによる多層化において、そのビルドアップで用いられる配線回路間のビアが機能素子13の端子に接続する構造になるようにしてもよい。
【0060】
上記実施形態は、機能素子13からなる電子部品を内蔵するプリント配線板について説明しているが、本発明は、その他の電子部品となる場合であってもよいし、また電気部品となる場合であっても構わない。
【符号の説明】
【0061】
10,20…部品内蔵プリント配線板,11…コア材,12…開口,12a…突起部,13…機能素子,14…第1の層間絶縁層,15…第1の導体バンプ,16…第1の導体層,17…第2の層間絶縁層,18…第2の導体バンプ,19…第2の導体層,21…導体バンプ付積層板,22…金属箔,23…導体バンプ群,24…プリプレグ,25…間隙,26…電極パッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一主面から他主面に貫通する開口を少なくとも1つ有するコア絶縁層と、
前記開口の側壁に圧接する電子部品と、
前記コア絶縁層の前記一主面上および他主面上にそれぞれ形成され、前記電子部品と前記開口の間に生じた空隙を埋める第1の層間絶縁層および第2の層間絶縁層と、
前記第1の層間絶縁層上あるいは前記第2の層間絶縁層上に積層された導体層と、
前記第1の層間絶縁層あるいは前記第2の層間絶縁層を貫通し前記電子部品の外部用端子と前記導体層に接続する導通部材と、を有することを特徴とする部品内蔵プリント配線板。
【請求項2】
前記開口の側壁に電子部品の一部が圧接していることを特徴とする請求項1に記載の部品内蔵プリント配線板。
【請求項3】
前記電子部品は前記開口の側壁に設けられた突起部に圧接していることを特徴とする請求項1または2に記載の部品内蔵プリント配線板。
【請求項4】
前記コア絶縁層はガラス繊維を含有することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の部品内蔵プリント配線板。
【請求項5】
内層基板となるコア材の第1の主面から第2の主面に貫通する開口を形成する工程と、
電子部品の外部用端子が前記第1の主面あるいは前記第2の主面の方向に向いて露出するように前記電子部品を前記開口に圧入する工程と、
前記第1の主面と前記第2の主面上にそれぞれ外層となる層間絶縁層および導体バンプを配設した導体板を積層する工程と、
前記積層したコア材、層間絶縁層および導体板を加熱加圧により一体化し、前記層間絶縁層を貫通する前記導体バンプを前記外部用端子に接続すると共に、前記開口と前記電子部品の間の空隙を前記層間絶縁層の一部により埋める工程と、
前記導体板をパターニング加工して配線回路を形成する工程と、
を有することを特徴とする部品内蔵プリント配線板の製造方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−79994(P2012−79994A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−225493(P2010−225493)
【出願日】平成22年10月5日(2010.10.5)
【出願人】(000177690)山一電機株式会社 (233)
【Fターム(参考)】