説明

部品内蔵配線基板の製造方法

【課題】配線積層部のコプラナリティを改善することにより、信頼性に優れた部品内蔵配線基板を製造することが可能な部品内蔵配線基板の製造方法を提供すること。
【解決手段】配線基板は、収容工程、樹脂層形成工程、固定工程、配線積層部形成工程及びはんだバンプ形成工程などを経て製造される。収容工程では、収容穴部90内に部品101を収容する。樹脂層形成工程では、樹脂層92で収容穴部90の内壁面91と部品側面106との隙間を埋める。固定工程では、樹脂層92を硬化させて部品101を固定する。配線積層部形成工程では配線積層部を形成し、はんだバンプ形成工程では導体層上にはんだバンプ45を形成する。なお、固定工程後であって、配線積層部形成工程において最外層の樹脂絶縁層を積層する前には、はんだの融点と同程度の温度に加熱する加熱工程を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部にコンデンサなどの部品が収容されている部品内蔵配線基板の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コンピュータのマイクロプロセッサ等として使用される半導体集積回路素子(ICチップ)は、近年ますます高速化、高機能化しており、これに付随して端子数が増え、端子間ピッチも狭くなる傾向にある。一般的にICチップの底面には多数の端子が密集してアレイ状に配置されており、このような端子群はマザーボード側の端子群に対してフリップチップの形態で接続される。ただし、ICチップ側の端子群とマザーボード側の端子群とでは端子間ピッチに大きな差があることから、ICチップをマザーボード上に直接的に接続することは困難である。そのため、通常はICチップをICチップ搭載用配線基板上に搭載してなるパッケージを作製し、そのパッケージをマザーボード上に搭載するという手法が採用される。この種のパッケージを構成するICチップ搭載用配線基板においては、ICチップのスイッチングノイズの低減や電源電圧の安定化を図るために、コンデンサ(「キャパシタ」とも言う)を設けることが提案されている。その一例として、高分子材料製のコア基板内にコンデンサを埋め込むとともに、そのコア基板の表面及び裏面にビルドアップ層を形成した配線基板が従来提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
上記従来の配線基板の製造方法の一例を以下に説明する。まず、第1主面201及び第2主面202の両方にて開口する収容穴部203を有する高分子材料製のコア基板204を準備する(図15参照)。併せて、第1コンデンサ主面205及び第2コンデンサ主面206にそれぞれ複数の表層電極207を突設したコンデンサ208(図16,図17参照)を準備する。次に、第2主面202側に粘着テープ209を貼り付けるテーピング工程を行い、収容穴部203の第2主面202側の開口をあらかじめシールする。そして、収容穴部203内にコンデンサ208を収容する収容工程を行い、第2コンデンサ主面206を粘着テープ209の粘着面に貼り付けて仮固定する(図16参照)。次に、収容穴部203の内壁面とコンデンサ208の側面との隙間A1を、第1主面201に接する樹脂層210の一部で埋めて樹脂層210を硬化収縮させることにより、コンデンサ208を固定する(図17参照)。この後、コア基板204の第1主面201側及び第2主面202側に対して、樹脂絶縁層の形成及び導体層の形成を交互に行うことで、ビルドアップ層を形成する。さらに、一方のビルドアップ層の表面に形成されたパッド上に、はんだペーストを印刷してリフローすることにより、ICチップ搭載用のはんだバンプを形成する。その結果、所望の配線基板が得られる。
【0004】
なお、配線基板上へのICチップの搭載は以下のように行われる。まず、ICチップ側の接続端子と、ICチップ搭載用のはんだバンプとを位置合わせする。そして、加熱してはんだバンプをリフローすることにより、はんだバンプと接続端子とを接合する。これにより、配線基板上にICチップが搭載される。
【特許文献1】特開2007−103789号公報(図1など)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、樹脂層210の熱膨張係数は、通常、コア基板204やコンデンサ208の熱膨張係数よりも大きくなっている。このため、はんだバンプの形成時や配線基板上へのICチップの搭載時にはんだをリフローすると、樹脂層210が、リフロー時の熱によって再び硬化収縮してコア基板204やコンデンサ208よりも大きく変形し、樹脂層210にヒケが生じる可能性がある。これに伴い、樹脂層210の表面上に形成されるビルドアップ層(特には最外層の樹脂絶縁層)の表面が平坦な状態を維持できなくなってコプラナリティ(Coplanarity )が悪化するため、個々のはんだバンプの高さにバラツキが生じてしまう。その結果、ICチップとの間に接続不良が発生する可能性があるため、信頼性が低下してしまう。
【0006】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、配線積層部のコプラナリティを改善することにより、信頼性に優れた部品内蔵配線基板を製造することが可能な部品内蔵配線基板の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そして上記課題を解決するための手段としては、第1主面及び第2主面を有し、少なくとも前記第1主面にて開口する収容穴部を有するコア基板を準備するコア基板準備工程と、第1部品主面、第2部品主面及び部品側面を有する部品を準備する部品準備工程と、前記コア基板準備工程及び前記部品準備工程後、前記第2主面と前記第2部品主面とを同じ側に向けた状態で、前記収容穴部内に前記部品を収容する収容工程と、前記収容工程後、樹脂層で前記収容穴部の内壁面と前記部品側面との隙間を埋める樹脂層形成工程と、前記樹脂層形成工程後、前記樹脂層を硬化させて前記部品を固定する固定工程と、前記固定工程後、前記第1主面側及び前記第2主面側の少なくとも一方に、樹脂絶縁層及び導体層を積層した構造を有する配線積層部を形成する配線積層部形成工程と、前記配線積層部形成工程後、最外層の樹脂絶縁層上に形成された導体層上に半導体集積回路素子搭載用のはんだバンプを形成するはんだバンプ形成工程とを含む部品内蔵配線基板の製造方法において、前記固定工程後であって、前記配線積層部形成工程において前記最外層の樹脂絶縁層を積層する前に、はんだの融点と同程度の温度に加熱する加熱工程を行うことを特徴とする部品内蔵配線基板の製造方法がある。
【0008】
従って、上記の部品内蔵配線基板の製造方法によると、最外層の樹脂絶縁層を積層する前に行われる加熱工程において、はんだをリフローさせる必要がないにもかかわらず、敢えてはんだの融点と同程度の温度に加熱する熱履歴を加えることにより、樹脂層をあらかじめ硬化収縮させている。従って、加熱工程後に積層される最外層の樹脂絶縁層の厚さを調整すれば、樹脂絶縁層の表面を平坦にすることができる。しかも、配線積層部形成工程後の工程(例えば、はんだバンプ形成工程や半導体集積回路素子を搭載する工程など)ではんだをリフローしたとしても、リフロー時の熱によって樹脂層が再び硬化収縮しにくくなるため、最外層の樹脂絶縁層の表面を平坦な状態に維持することができる。ゆえに、配線積層部の表面のコプラナリティが改善され、個々のはんだバンプの高さがバラツキにくくなるため、はんだバンプと半導体集積回路素子との接続信頼性が向上する。
【0009】
ここで、本明細書で述べられている「コプラナリティ」とは、「日本電子機械工業会規格EIAJ ED−7304 BGA規定寸法の測定方法」で定義されている端子最下面均一性であり、配線積層部の表面の均一性を示す指標である。
【0010】
以下、部品内蔵配線基板の製造方法について説明する。
【0011】
コア基板準備工程では、上記部品内蔵配線基板を構成するコア基板を、従来周知の手法により作製し、あらかじめ準備しておく。コア基板は、例えば第1主面及びその反対側に位置する第2主面を有する板状に形成されており、部品を収容するための収容穴部を有している。この収容穴部は、第1主面側のみにて開口する非貫通穴であってもよく、あるいは第1主面側及び第2主面側の両方にて開口する貫通穴であってもよい。
【0012】
コア基板を形成する材料は特に限定されないが、好ましいコア基板は高分子材料を主体として形成される。コア基板を形成するための高分子材料の具体例としては、例えば、EP樹脂(エポキシ樹脂)、PI樹脂(ポリイミド樹脂)、BT樹脂(ビスマレイミド・トリアジン樹脂)、PPE樹脂(ポリフェニレンエーテル樹脂)などがある。そのほか、これらの樹脂とガラス繊維(ガラス織布やガラス不織布)やポリアミド繊維等の有機繊維との複合材料を使用してもよい。
【0013】
また、部品準備工程では、上記部品内蔵配線基板を構成する部品を、従来周知の手法により作製し、あらかじめ準備しておく。部品は、第1部品主面、第2部品主面及び部品側面を有している。部品の形状は、任意に設定することが可能であるが、例えば、第1部品主面の面積が部品側面の面積よりも大きい板状であることが好ましい。このようにすれば、収容穴部内に部品を収容した際に、収容穴部の内壁面と部品側面との距離が小さくなるため、収容穴部内に配置される樹脂層の体積をそれ程大きくしなくても済む。また、部品の平面視での形状としては、複数の辺を有する平面視多角形状であることが好ましい。平面視多角形状としては、例えば、平面視略矩形状、平面視略三角形状、平面視略六角形状などを挙げることができるが、特には、一般的な形状である平面視略矩形状であることが好ましい。ここで、「平面視略矩形状」とは、平面視で完全な矩形状のみをいうのではなく、角部が面取りされた形状や、辺の一部が曲線となっている形状も含むものとする。
【0014】
なお、好適な前記部品としては、コンデンサ、半導体集積回路素子(ICチップ)、半導体製造プロセスで製造されたMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)素子などを挙げることができる。さらに、ICチップとしては、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、SRAM(Static Random Access Memory)などを挙げることができる。ここで、「半導体集積回路素子」とは、主としてコンピュータのマイクロプロセッサ等として使用される素子をいう。
【0015】
また、好適なコンデンサの例としては、チップコンデンサや、誘電体層を介して複数の内部電極層が積層配置された構造を有し、前記複数の内部電極層に接続される複数のコンデンサ内ビア導体と、前記複数のコンデンサ内ビア導体における少なくとも前記第2部品主面側の端部に接続された複数の表層電極とを備えるコンデンサなどを挙げることができる。なお、コンデンサは、前記複数のコンデンサ内ビア導体が全体としてアレイ状に配置されたビアアレイタイプのコンデンサであることが好ましい。このような構造であれば、コンデンサのインダクタンスの低減化が図られ、ノイズ吸収や電源変動平滑化のための高速電源供給が可能となる。また、コンデンサ全体の小型化が図りやすくなり、ひいては部品内蔵配線基板全体の小型化も図りやすくなる。しかも、小さい割りに高静電容量が達成しやすく、より安定した電源供給が可能となる。
【0016】
コンデンサを構成する前記誘電体層としては、セラミック誘電体層、樹脂誘電体層、セラミック−樹脂複合材料からなる誘電体層などが挙げられる。前記セラミック誘電体層としては、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ほう素、炭化珪素、窒化珪素などといった高温焼成セラミックの焼結体が好適に使用されるほか、ホウケイ酸系ガラスやホウケイ酸鉛系ガラスにアルミナ等の無機セラミックフィラーを添加したガラスセラミックのような低温焼成セラミックの焼結体が好適に使用される。この場合、用途に応じて、チタン酸バリウム、チタン酸鉛、チタン酸ストロンチウムなどの誘電体セラミックの焼結体を使用することも好ましい。誘電体セラミックの焼結体を使用した場合、静電容量の大きなコンデンサを実現しやすくなる。また、前記樹脂誘電体層としては、エポキシ樹脂、接着剤を含んだ四フッ化エチレン樹脂(PTFE)などの樹脂が好適に使用される。さらに、前記セラミック−樹脂複合材料からなる誘電体層としては、セラミックとして、チタン酸バリウム、チタン酸鉛、チタン酸ストロンチウムなどが好適に使用され、樹脂材料として、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂、不飽和ポリエステルなどの熱硬化性樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリプロピレン樹脂などの熱可塑性樹脂、及び、ニトリルブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、フッ素ゴムなどのラテックスが好適に使用される。
【0017】
前記内部電極層、前記コンデンサ内ビア導体、前記表層電極としては特に限定されないが、例えば誘電体層がセラミック誘電体層である場合にはメタライズ導体であることが好ましい。なお、メタライズ導体は、金属粉末を含む導体ペーストを従来周知の手法、例えばメタライズ印刷法で塗布した後に焼成することにより、形成される。同時焼成法によってメタライズ導体及びセラミック誘電体層を形成する場合、メタライズ導体中の金属粉末は、セラミック誘電体層の焼成温度よりも高融点である必要がある。例えば、セラミック誘電体層がいわゆる高温焼成セラミック(例えばアルミナ等)からなる場合には、メタライズ導体中の金属粉末として、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、マンガン(Mn)等やそれらの合金が選択可能である。セラミック誘電体層がいわゆる低温焼成セラミック(例えばガラスセラミック等)からなる場合には、メタライズ導体中の金属粉末として、銅(Cu)または銀(Ag)等やそれらの合金が選択可能である。
【0018】
続く収容工程では、前記第2主面と前記第2部品主面とを同じ側に向けた状態で、前記収容穴部内に前記部品を収容する。なお、前記収容工程、前記樹脂層形成工程及び前記固定工程を、前記収容穴部の前記第1主面側開口または前記第2主面側開口を粘着面を有する粘着テープで塞いだ状態で行い、前記固定工程後かつ前記加熱工程前に前記粘着テープを除去してもよい。また、部品は、完全に埋設された状態で収容穴部内に収容されていてもよいし、一部分が収容穴部の開口部から突出した状態で収容穴部内に収容されていてもよいが、完全に埋設された状態で収容穴部内に収容されることが好ましい。このようにすれば、収容工程が終了した際に、収容穴部の開口部からの部品の突出を防止できる。しかも、前記部品内蔵配線基板が、樹脂絶縁層及び導体層を前記第1主面側及び前記第2主面側の少なくとも一方に積層した構造を有する配線積層部を備えているため、最内層の樹脂絶縁層の表面を平坦にすることができ、配線積層部の寸法精度が向上する。
【0019】
続く樹脂層形成工程では、樹脂層で前記収容穴部の内壁面と前記部品側面との隙間を埋める。なお、前記樹脂層形成工程において前記収容穴部の内壁面と前記部品側面との隙間を埋める樹脂層は、絶縁性、耐熱性、耐湿性等を考慮して適宜選択することができる。樹脂層を形成するための高分子材料の好適例としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂などが挙げられる。さらに、樹脂層を形成するための高分子材料として、上記の樹脂にガラスフィラーを添加した材料等を使用してもよい。
【0020】
なお、前記樹脂層形成工程において形成される前記樹脂層は、前記第1主面上及び前記第1部品主面上に形成される樹脂シートであり、前記樹脂層形成工程では、前記樹脂シートの加熱、及び、前記コア基板及び前記部品に対する前記樹脂シートの押圧を行うことにより、前記樹脂シートの一部で前記収容穴部の内壁面と前記部品側面との隙間を埋めるようにしてもよい。このようにすれば、樹脂層が液状である場合に比べて、樹脂層で収容穴部の内壁面と部品側面との隙間を埋める際の取り扱いが容易になる。逆に、樹脂層が液状であれば、部品への樹脂層の追従性が向上する。
【0021】
また、前記樹脂層は、前記樹脂絶縁層と実質的に同一組成の樹脂材料によって形成されていることが好ましい。このようにすれば、樹脂層の形成に際して樹脂絶縁層とは別の材料を準備しなくても済む。よって、部品内蔵配線基板の製造に必要な材料が少なくなるため、部品内蔵配線基板の低コスト化を図ることが可能となる。
【0022】
続く固定工程では、前記樹脂層を硬化させて前記部品を固定する。なお、樹脂層が熱硬化性樹脂である場合、樹脂層を硬化させる工程としては、未硬化状態の樹脂層を加熱することなどが挙げられる。また、樹脂層が熱可塑性樹脂である場合、樹脂層を硬化させる工程としては、前記樹脂層形成工程において加熱した樹脂層を冷却することなどが挙げられる。
【0023】
続く配線積層部形成工程では、樹脂絶縁層及び導体層を積層した構造を有する配線積層部を形成する。前記配線積層部は、前記第1主面側のみに形成されてもよいし、前記第2主面側のみに形成されてもよいが、前記第1主面側及び前記第2主面側の両方に形成されることが好ましい。このように構成すれば、第1主面側に形成された配線積層部及び第2主面側に形成された配線積層部の両方に電気回路を形成できるため、部品内蔵配線基板のよりいっそうの高機能化を図ることができる。
【0024】
前記樹脂絶縁層は、絶縁性、耐熱性、耐湿性等を考慮して適宜選択することができる。樹脂絶縁層を形成するための高分子材料の好適例としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂などの熱硬化性樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリプロピレン樹脂などの熱可塑性樹脂等が挙げられる。そのほか、これらの樹脂とガラス繊維(ガラス織布やガラス不織布)やポリアミド繊維等の有機繊維との複合材料、あるいは、連続多孔質PTFE等の三次元網目状フッ素系樹脂基材にエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂を含浸させた樹脂−樹脂複合材料等を使用してもよい。
【0025】
一方、前記導体層は、導電性の金属材料などによって形成することが可能である。導体層を構成する金属材料としては、例えば銅、銀、鉄、コバルト、ニッケルなどが挙げられる。特に、導体層は、導電性が高く安価な銅からなることが好ましい。また、導体層は、めっきによって形成されることが好ましい。このようにすれば、導体層を簡単かつ低コストで形成することができる。しかし、導体層は、金属ペーストを印刷することによって形成されていてもよい。
【0026】
また、前記固定工程後であって、前記配線積層部形成工程において前記最外層の樹脂絶縁層を積層する前には、はんだの融点と同程度の温度に加熱する加熱工程を行う。ここで、「はんだの融点」とは、加熱したときにはんだ全体が完全な液体状態になる温度(液相線温度)を言う。また、「はんだの融点と同程度の温度」とは、例えば、はんだの融点±25℃以内の温度をいう。なお、はんだの加熱温度は、180℃以上280℃以下であることが好ましい。仮に、はんだの加熱温度が280℃よりも高くなると、最外層の樹脂絶縁層が積層されていない状態にある部品内蔵配線基板が、熱によって変形してしまう可能性がある。一方、はんだの加熱温度が180℃未満であると、樹脂層が十分に硬化収縮しないため、配線積層部形成工程後の工程ではんだバンプをリフローすると、リフロー時の熱によって樹脂層が再び硬化収縮しやすくなる。
【0027】
前記加熱工程では、前記最外層の樹脂絶縁層が積層されていない状態にある部品内蔵配線基板を、ヒータなどの加熱手段を用いて加熱してもよいが、特には、リフロー炉内に配置して加熱することが好ましい。このようにすれば、はんだバンプの形成や半導体集積回路素子の搭載などに用いられるリフロー炉とは別に加熱手段を準備しなくても済むため、部品内蔵配線基板の製造コストを低減することができる。また、リフロー炉を用いれば、特に加熱温度を調整しなくても、はんだの融点と同程度の温度に確実かつ容易に加熱することができる。よって、部品内蔵配線基板を容易に製造することができる。
【0028】
また、前記固定工程後かつ前記配線積層部形成工程前に、前記樹脂層を薄くすることにより、前記樹脂層の表面を前記第1主面上に形成された第1主面側導体層の表面と同じ高さに合わせる高さ合わせ工程を行い、前記加熱工程は、前記配線積層部形成工程において前記樹脂層の表面上に最内層の樹脂絶縁層を貼付した後で実行されることが好ましい。このようにする場合、高さ合わせ工程を行って、樹脂層の表面を第1主面上に形成された第1主面側導体層の表面と同じ高さに合わせているため、高さ合わせ工程後の配線積層部形成工程において第1主面側に配線積層部を形成する場合に、厚さのバラツキの小さい樹脂絶縁層を形成することができる。その結果、配線積層部の表面のコプラナリティが改善されるため、最外層の樹脂絶縁層上に形成された導体層(及びはんだバンプ)と半導体集積回路素子との接続信頼性が向上する。
【0029】
なお、前記高さ合わせ工程において、前記樹脂層を薄くすることにより、前記樹脂層の表面を前記第1主面上に形成された第1主面側導体層の表面と同じ高さに合わせる方法としては、前記樹脂層の一部を機械的に除去する方法や、前記樹脂層の一部を化学的に除去する方法などを挙げることができる。しかし、前記高さ合わせ工程では、前記樹脂層の一部を機械的に除去することが好ましい。このようにすれば、樹脂層の一部を化学的に除去する場合よりも低コストかつ簡単に高さ合わせ工程を行うことができる。
【0030】
なお、前記樹脂層の一部を機械的に除去する方法としては、前記樹脂層の一部を切断する方法や、前記樹脂層の表面を研磨する方法などが挙げられる。前記樹脂層の表面を研磨する方法としては、サンドペーパーを取り付けたベルトサンダー装置による研磨、円板状の不織布などの外周面に研磨剤を塗布し、回転させながら樹脂層の表面に押し当てるバフ研磨などが挙げられる。一方、前記樹脂層の一部を化学的に除去する方法としては、前記樹脂層の一部を、エッチング液によって除去する方法などが挙げられる。
【0031】
なお、前記配線積層部形成工程は、前記第1主面側及び前記第2主面側の少なくとも一方に、最内層の樹脂絶縁層を貼付する絶縁層貼付工程と、前記絶縁層貼付工程後、前記最内層の樹脂絶縁層上に前記導体層を形成するとともに、前記コア基板及び前記最内層の樹脂絶縁層を貫通する貫通孔内に前記第1主面側及び前記第2主面側を電気的に接続するスルーホール導体を形成する導体形成工程と、前記導体形成工程後、前記スルーホール導体の空洞部を充填樹脂で穴埋めする穴埋め工程とを含み、前記加熱工程は、前記穴埋め工程の直後に実行されることが好ましい。このようにすれば、加熱工程を行うことにより、樹脂層に加えて充填樹脂が硬化収縮する。このため、配線積層部形成工程後の工程ではんだバンプをリフローしたとしても、リフロー時の熱によって樹脂層及び充填樹脂が再び硬化収縮しにくくなる。よって、配線積層部の表面の平坦度がより低く保持されるため、配線積層部のコプラナリティがより確実に改善される。ゆえに、個々のはんだバンプの高さがよりいっそうバラツキにくくなるため、はんだバンプと半導体集積回路素子との接続信頼性がよりいっそう向上する。また、スルーホール導体が形成された状態、即ち、コア基板がスルーホール導体によって補強された状態で加熱工程を行うため、コア基板に反りが生じにくい。また、加熱工程時の熱がスルーホール導体を介して全体に上手く伝わるため、樹脂層がより確実に硬化収縮する。このため、配線積層部形成工程後の工程ではんだバンプをリフローしたとしても、リフロー時の熱によって樹脂層が再び硬化収縮しにくくなる。
【0032】
ここで、貫通孔を形成する方法としては従来周知の方法を採用することができ、具体例としては、レーザー加工、ドリル加工、パンチング加工などがある。なお、貫通孔(及びスルーホール導体)の数及び形状は特に限定されない。
【0033】
また、前記充填樹脂は、絶縁性、耐熱性、耐湿性等を考慮して適宜選択することができる。樹脂層を形成するための高分子材料の好適例としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂などが挙げられる。さらに、樹脂層を形成するための高分子材料として、上記の樹脂にガラスフィラーを添加した材料等を使用してもよい。
【0034】
続くはんだバンプ形成工程では、最外層の樹脂絶縁層上に形成された導体層上に半導体集積回路素子搭載用のはんだバンプを形成する。その結果、部品内蔵配線基板が完成する。
【0035】
はんだバンプの形成材料となるはんだ合金としては、搭載される半導体集積回路素子の接続端子等の材質等に応じて適宜選択すればよいが、90Pb−10Sn(融点301℃)、95Pb−5Sn(融点314℃)、40Pb−60Sn(融点238℃)等のPb−Sn系はんだなどが挙げられる。特に、前記複数のはんだバンプは鉛フリーはんだからなることが好ましい。このようにすれば、はんだバンプに鉛が含まれていないため、部品内蔵配線基板の環境への負荷を低くすることができる。ここで、鉛フリーはんだとしては、Sn−Ag系はんだ(融点221℃)、Sn−Sb系はんだ(融点240℃)、Sn−Zn系はんだ(融点222℃)、Sn−Ag−In系はんだ(融点225℃)、Sn−Ag−Cu系はんだ(融点218℃)などが挙げられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、本発明の部品内蔵配線基板を具体化した一実施形態を図面に基づき詳細に説明する。
【0037】
図1に示されるように、本実施形態の部品内蔵配線基板(以下「配線基板」という)10は、ICチップ搭載用の配線基板である。配線基板10は、略矩形板状のコア基板11と、コア基板11の第1主面12(図1では下面)上に形成される第1ビルドアップ層31(配線積層部)と、コア基板11の第2主面13(図1では上面)上に形成される第2ビルドアップ層32(配線積層部)とからなる。
【0038】
本実施形態のコア基板11は、縦25mm×横25mm×厚さ1.0mmの平面視略矩形板状である。コア基板11は、平面方向(XY方向)における熱膨張係数が10〜30ppm/℃程度(具体的には18ppm/℃)となっている。なお、コア基板11の熱膨張係数は、0℃〜ガラス転移温度(Tg)間の測定値の平均値をいう。コア基板11は、ガラスエポキシからなる基材161と、基材161の上面及び下面に形成され、シリカフィラーなどの無機フィラーを添加したエポキシ樹脂からなるサブ基材164と、同じく基材161の上面及び下面に形成され、銅からなる導体層163とによって構成されている。
【0039】
図1に示されるように、コア基板11には、複数のスルーホール導体16が第1主面12、第2主面13及び導体層163を貫通するように形成されている。かかるスルーホール導体16は、コア基板11の第1主面12側と第2主面13側とを接続導通するとともに、導体層163に電気的に接続している。なお、スルーホール導体16の内部は、例えばエポキシ樹脂などの充填樹脂17で埋められている。また、コア基板11の第1主面12には、銅からなる第1主面側導体層14がパターン形成され、コア基板11の第2主面13には、同じく銅からなる第2主面側導体層15がパターン形成されている。各導体層14,15は、スルーホール導体16に電気的に接続されている。さらに、コア基板11は、第1主面12の中央部及び第2主面13の中央部にて開口する平面視で矩形状の収容穴部90を1つ有している。即ち、収容穴部90は貫通穴である。
【0040】
図1に示されるように、収容穴部90内には、図2〜図4に示すセラミックコンデンサ101(部品)が埋め込まれた状態で収容されている。なお、セラミックコンデンサ101は、コア基板11の第1主面12と第1コンデンサ主面102(図1では下面)とを同じ側に向け、かつ、コア基板11の第2主面13と第2コンデンサ主面103(図1では上面)とを同じ側に向けた状態で収容されている。本実施形態のセラミックコンデンサ101は、縦14.0mm×横14.0mm×厚さ0.8mmの平面視略矩形状をなす板状物である。
【0041】
図1〜図4に示されるように、本実施形態のセラミックコンデンサ101は、いわゆるビアアレイタイプのコンデンサである。セラミックコンデンサ101を構成するセラミック焼結体104の熱膨張係数は、8〜12ppm/℃程度であり、具体的には9.5ppm/℃程度となっている。なお、セラミック焼結体104の熱膨張係数は、30℃〜250℃間の測定値の平均値をいう。また、セラミック焼結体104は、第1部品主面である1つの第1コンデンサ主面102(図1では下面)、第2部品主面である1つの第2コンデンサ主面103(図1では上面)、及び、部品側面である4つのコンデンサ側面106を有している。セラミック焼結体104は、セラミック誘電体層105を介して電源用内部電極層141とグランド用内部電極層142とを交互に積層配置した構造を有している。セラミック誘電体層105は、高誘電率セラミックの一種であるチタン酸バリウムの焼結体からなり、電源用内部電極層141及びグランド用内部電極層142間の誘電体として機能する。電源用内部電極層141及びグランド用内部電極層142は、いずれもニッケルを主成分として形成された層であって、セラミック焼結体104の内部において一層おきに配置されている。
【0042】
図1〜図4に示されるように、セラミック焼結体104には、多数のビアホール130が形成されている。これらのビアホール130は、セラミック焼結体104をその厚さ方向に貫通するとともに、全面にわたってアレイ状(例えば格子状)に配置されている。各ビアホール130内には、セラミック焼結体104の第1コンデンサ主面102及び第2コンデンサ主面103間を連通する複数のコンデンサ内ビア導体131,132が、ニッケルを主材料として形成されている。各電源用コンデンサ内ビア導体131は、各電源用内部電極層141を貫通しており、それら同士を互いに電気的に接続している。各グランド用コンデンサ内ビア導体132は、各グランド用内部電極層142を貫通しており、それら同士を互いに電気的に接続している。各電源用コンデンサ内ビア導体131及び各グランド用コンデンサ内ビア導体132は、全体としてアレイ状に配置されている。本実施形態では、説明の便宜上、コンデンサ内ビア導体131,132を5列×5列で図示したが、実際にはさらに多くの列が存在している。
【0043】
そして図2に示されるように、セラミック焼結体104の第1コンデンサ主面102上には、複数の第1電源用電極111(表層電極)と複数の第1グランド用電極112(表層電極)とが突設されている。なお、各第1グランド用電極112は、第1コンデンサ主面102上において個別に形成されているが、一体に形成されていてもよい。第1電源用電極111は、複数の電源用コンデンサ内ビア導体131における第1コンデンサ主面102側の端面に対して直接接続され、第1グランド用電極112は、複数のグランド用コンデンサ内ビア導体132における第1コンデンサ主面102側の端面に対して直接接続されている。また、セラミック焼結体104の第2コンデンサ主面103上には、複数の第2電源用電極121(表層電極)と複数の第2グランド用電極122(表層電極)とが突設されている。なお、各第2グランド用電極122は、第2コンデンサ主面103上において個別に形成されているが、一体に形成されていてもよい。第2電源用電極121は、複数の電源用コンデンサ内ビア導体131における第2コンデンサ主面103側の端面に対して直接接続され、第2グランド用電極122は、複数のグランド用コンデンサ内ビア導体132における第2コンデンサ主面103側の端面に対して直接接続されている。よって、電源用電極111,121は電源用コンデンサ内ビア導体131及び電源用内部電極層141に導通しており、グランド用電極112,122はグランド用コンデンサ内ビア導体132及びグランド用内部電極層142に導通している。また、電極111,112,121,122は、ニッケルを主材料として形成され、表面が図示しない銅めっき層によって被覆されている。
【0044】
例えば、電極111,112側から通電を行い、電源用内部電極層141−グランド用内部電極層142間に電圧を加えると、電源用内部電極層141に例えばプラスの電荷が蓄積し、グランド用内部電極層142に例えばマイナスの電荷が蓄積する。その結果、セラミックコンデンサ101がコンデンサとして機能する。また、セラミック焼結体104では、電源用コンデンサ内ビア導体131及びグランド用コンデンサ内ビア導体132がそれぞれ隣接して配置され、かつ、電源用コンデンサ内ビア導体131及びグランド用コンデンサ内ビア導体132を流れる電流の方向が互いに逆向きになるように設定されている。これにより、インダクタンス成分の低減化が図られている。
【0045】
図1に示されるように、前記コア基板11の第1主面12上及びセラミックコンデンサ101の第1コンデンサ主面102上には、高分子材料(本実施形態では、熱硬化性樹脂であるエポキシ樹脂)からなる樹脂層92が形成されている。そして、前記収容穴部90の内壁面91とセラミックコンデンサ101のコンデンサ側面106との隙間は、樹脂層92の一部で埋められている。即ち、樹脂層92は、セラミックコンデンサ101をコア基板11に固定する機能を有している。また、樹脂層92の完全硬化状態での熱膨張係数は、10〜60ppm/℃程度であり、具体的には20ppm/℃程度となっている。なお、樹脂層92の完全硬化状態での熱膨張係数は、30℃〜ガラス転移温度(Tg)間の測定値の平均値をいう。さらに、セラミックコンデンサ101は、四隅に面取り寸法0.55mm以上(本実施形態では面取り寸法0.6mm)の面取り部を有している。これにより、温度変化に伴う樹脂層92の変形時において、セラミックコンデンサ101の角部への応力集中を緩和できるため、樹脂層92のクラックの発生を防止できる。
【0046】
図1に示されるように、前記第1ビルドアップ層31は、熱硬化性樹脂(エポキシ樹脂)からなる2層の樹脂絶縁層33,35と、銅からなる導体層41とを交互に積層した構造を有している。即ち、樹脂絶縁層33,35は、樹脂層92と実質的に同一組成の樹脂材料によって形成されている。これにより、樹脂絶縁層33,35の熱膨張係数は、樹脂層92の完全硬化状態での熱膨張係数と同じ値となっており、10〜60ppm/℃程度(具体的には20ppm/℃程度)となっている。なお、樹脂絶縁層33,35の熱膨張係数は、30℃〜ガラス転移温度(Tg)間の測定値の平均値をいう。また、樹脂絶縁層33,35内には、それぞれ銅めっきによって形成されたビア導体47が設けられている。第1層の樹脂絶縁層33の下面上にある導体層41の一部には、前記スルーホール導体16の下端が電気的に接続されている。さらに、第2層の樹脂絶縁層35の下面上における複数箇所には、ビア導体47を介して導体層41に電気的に接続されるパッド48(導体層)が格子状に形成されている。また、樹脂絶縁層35の下面は、ソルダーレジスト38によってほぼ全体的に覆われている。ソルダーレジスト38の所定箇所には、パッド48を露出させる開口部40が形成されている。
【0047】
図1に示されるように、前記第2ビルドアップ層32は、上述した第1ビルドアップ層31とほぼ同じ構造を有している。即ち、第2ビルドアップ層32は、熱硬化性樹脂(エポキシ樹脂)からなる2層の樹脂絶縁層34,36と、銅からなる導体層42とを交互に積層した構造を有している。即ち、樹脂絶縁層34,36は、樹脂層92と実質的に同一組成の樹脂材料によって形成されている。これにより、樹脂絶縁層34,36の熱膨張係数は、樹脂層92の完全硬化状態での熱膨張係数と同じ値となっており、10〜60ppm/℃程度(具体的には20ppm/℃程度)となっている。なお、樹脂絶縁層34,36の熱膨張係数は、30℃〜ガラス転移温度(Tg)間の測定値の平均値をいう。また、樹脂絶縁層34,36内には、それぞれ銅めっきによって形成されたビア導体43が設けられている。なお、第1層の樹脂絶縁層34の表面上にある導体層42の一部には、スルーホール導体16の上端が電気的に接続されている。また、樹脂絶縁層34,36内に設けられたビア導体43の一部は、前記セラミックコンデンサ101の電極121,122に接続されている。さらに、第2層の樹脂絶縁層36の表面上における複数箇所には、ビア導体43を介して導体層42に電気的に接続される端子パッド44(導体層)がアレイ状に形成されている。また、樹脂絶縁層36の表面は、ソルダーレジスト37によってほぼ全体的に覆われている。ソルダーレジスト37の所定箇所には、端子パッド44を露出させる開口部46が形成されている。端子パッド44の表面上には、複数のはんだバンプ45が配設されている。本実施形態のはんだバンプ45は、融点が218℃のSn−Ag−Cu系はんだからなっている。
【0048】
図1に示されるように、各はんだバンプ45は、ICチップ21(半導体集積回路素子)の面接続端子22に電気的に接続されている。本実施形態のICチップ21は、縦12.0mm×横12.0mm×厚さ0.9mmの平面視矩形状をなす板状物であって、熱膨張係数が3〜4ppm/℃程度(具体的には3.5ppm/℃程度)のシリコンからなる。なお、各端子パッド44及び各はんだバンプ45からなる領域は、ICチップ21を搭載可能なICチップ搭載領域23である。ICチップ搭載領域23は、第2ビルドアップ層32の表面39に設定されている。
【0049】
次に、本実施形態の配線基板10の製造方法を図5〜図14に基づいて説明する。
【0050】
コア基板準備工程S1では、コア基板11の中間製品を従来周知の手法により作製し、あらかじめ準備しておく。
【0051】
コア基板11の中間製品は以下のように作製される。まず、縦400mm×横400mm×厚さ0.8mmの基材161の両面に銅箔が貼付された銅張積層板(図示略)を準備する。次に、銅張積層板の両面の銅箔のエッチングを行って導体層163を例えばサブトラクティブ法によってパターニングする。具体的には、無電解銅めっきの後、この無電解銅めっき層を共通電極として電解銅めっきを施す。さらにドライフィルムをラミネートし、同ドライフィルムに対して露光及び現像を行うことにより、ドライフィルムを所定パターンに形成する。この状態で、不要な電解銅めっき層、無電解銅めっき層及び銅箔をエッチングで除去する。その後、ドライフィルムを剥離する。次に、基材161の上面及び下面と導体層163とを粗化した後、基材161の上面及び下面に、無機フィラーが添加されたエポキシ樹脂フィルム(厚さ80μm)を熱圧着により貼付し、サブ基材164を形成する。
【0052】
次に、上側のサブ基材164の上面に第1主面側導体層14(例えば50μm)をパターン形成するとともに、下側のサブ基材164の下面に第2主面側導体層15(例えば50μm)をパターン形成する。具体的には、上側のサブ基材164の上面及び下側のサブ基材164の下面に対する無電解銅めっきを行った後にエッチングレジストを形成し、次いで電解銅めっきを行う。さらに、エッチングレジストを除去してソフトエッチングを行う。次に、基材161及びサブ基材164からなる積層体に対してルータを用いて孔あけ加工を行い、収容穴部90となる貫通孔を所定位置に形成し、コア基板11の中間製品を得る(図6参照)。なお、コア基板11の中間製品とは、コア基板11となるべき領域を平面方向に沿って縦横に複数配列した構造の多数個取り用コア基板である。
【0053】
また、コンデンサ準備工程S2(部品準備工程)では、セラミックコンデンサ101を従来周知の手法により作製し、あらかじめ準備しておく。
【0054】
セラミックコンデンサ101は以下のように作製される。即ち、セラミックのグリーンシートを形成し、このグリーンシートに内部電極層用ニッケルペーストをスクリーン印刷して乾燥させる。これにより、後に電源用内部電極層141となる電源用内部電極部と、グランド用内部電極層142となるグランド用内部電極部とが形成される。次に、電源用内部電極部が形成されたグリーンシートとグランド用内部電極部が形成されたグリーンシートとを交互に積層し、シート積層方向に押圧力を付与することにより、各グリーンシートを一体化してグリーンシート積層体を形成する。
【0055】
さらに、レーザー加工機を用いてグリーンシート積層体にビアホール130を多数個形成し、図示しないペースト圧入充填装置を用いて、ビア導体用ニッケルペーストを各ビアホール130内に充填する。次に、グリーンシート積層体の下面上にペーストを印刷し、グリーンシート積層体の下面側にて各導体部の下端面を覆うように電源用電極111,121及びグランド用電極112,122を形成する。
【0056】
この後、グリーンシート積層体の乾燥を行い、各電極111,112,121,122をある程度固化させる。次に、グリーンシート積層体を脱脂し、さらに所定温度で所定時間焼成を行う。その結果、チタン酸バリウム及びペースト中のニッケルが同時焼結し、セラミック焼結体104となる。
【0057】
次に、得られたセラミック焼結体104が有する各電極111,112,121,122に対して無電解銅めっき(厚さ10μm程度)を行う。その結果、各電極111,112,121,122の上に銅めっき層が形成され、セラミックコンデンサ101が完成する。
【0058】
続く収容工程S3では、まず、収容穴部90の第2主面13側開口を、剥離可能な粘着テープ171でシールする。この粘着テープ171は、支持台(図示略)によって支持されている。次に、マウント装置(ヤマハ発動機株式会社製)を用いて、第1主面12と第1コンデンサ主面102とを同じ側に向け、かつ、第2主面13と第2コンデンサ主面103とを同じ側に向けた状態で、収容穴部90内にセラミックコンデンサ101を収容する(図7参照)。このとき、セラミックコンデンサ101の第2コンデンサ主面103側が粘着テープ171の粘着面に貼り付けられて仮固定される。
【0059】
続く樹脂層形成工程S4では、第1主面12上及び第1コンデンサ主面102上に樹脂層92を形成するとともに、樹脂層92の一部で収容穴部90の内壁面91とセラミックコンデンサ101のコンデンサ側面106との隙間を埋める(図8参照)。詳述すると、第1主面12上及び第1コンデンサ主面102上に、樹脂層92となる図示しない樹脂シート(厚さ200μm)をラミネートする。具体的には、樹脂シートを140〜150℃に加熱するとともに、第1主面12及び第1コンデンサ主面102に対して樹脂シートを0.75MPaで120秒間押圧する。これにより、樹脂シート(樹脂層92)の一部で内壁面91とコンデンサ側面106との隙間が埋められる。
【0060】
続く固定工程S5では、樹脂層92を硬化させることにより、セラミックコンデンサ101を収容穴部90内に固定する。具体的には、加熱処理(キュアなど)を行うと、樹脂層92が硬化して、セラミックコンデンサ101がコア基板11に固定される。そして、固定工程S5後、粘着テープ171を剥離する。即ち、前記収容工程S3、樹脂層形成工程S4及び固定工程S5は、収容穴部90の前記第2主面13側開口を粘着テープ171で塞いだ状態で行われる。
【0061】
続く高さ合わせ工程S6では、樹脂層92を薄くすることにより、樹脂層92の表面を前記第1主面側導体層14の表面と同じ高さに合わせる(図9参照)。具体的に言うと、ベルトサンダー装置を用いて、第1主面側導体層14の表面よりも上方に位置している樹脂層92の表面を研磨して低くする。その結果、樹脂層92の一部が機械的に除去される。
【0062】
続く粗化工程S7では、樹脂層92の表面及び裏面の粗化(CZ処理)を行う。同時に、第1主面12に形成された第1主面側導体層14の表面や、第2主面13に形成された前記第2主面側導体層15の表面の粗化も行う。また、樹脂層92の裏面から露出している電極121,122の表面の粗化も行う。そして、粗化工程S7が終了したら、洗浄工程を実施する。また、必要に応じて、シランカップリング剤(信越化学工業株式会社製)を用いて、第1主面12及び第2主面13に対してカップリング処理を行ってもよい。
【0063】
続く配線積層部形成工程S8では、従来周知の手法に基づいて第1主面12側の上に第1ビルドアップ層31を形成するとともに、第2主面13の上に第2ビルドアップ層32を形成する。具体的に言うと、絶縁層貼付工程S8−1において、樹脂層92の表面及び第1主面側導体層14の表面に熱硬化性エポキシ樹脂を被着(貼付)して、第1主面12側に最内層の樹脂絶縁層33を形成する(図10参照)。また、樹脂層92の裏面及び第2主面側導体層15の表面に熱硬化性エポキシ樹脂を被着(貼付)して、第2主面13側に最内層の樹脂絶縁層34を形成する(図10参照)。なお、熱硬化性エポキシ樹脂を被着する代わりに、感光性エポキシ樹脂や絶縁樹脂や液晶ポリマー(LCP:Liquid Crystalline Polymer)を被着してもよい。
【0064】
さらに、YAGレーザーまたは炭酸ガスレーザーを用いてレーザー孔あけ加工を行い、ビア導体43が形成されるべき位置にビア孔181を形成する(図11参照)。具体的には、樹脂絶縁層34を貫通するビア孔181を形成し、セラミックコンデンサ101の第2コンデンサ主面103に突設された電極121,122の表面を露出させる。さらに、ドリル機を用いて孔あけ加工を行い、コア基板11及び樹脂絶縁層33,34を貫通する貫通孔191を所定位置にあらかじめ形成しておく(図11参照)。
【0065】
次に、導体形成工程S8−2において、樹脂絶縁層33,34の表面上、ビア孔181の内面、及び、貫通孔191の内面に対する無電解銅めっきを行った後に電解銅めっきを行う。これにより、貫通孔191内にスルーホール導体16が形成されるとともに、各ビア孔181の内部にビア導体43が形成される。その後、穴埋め工程S8−3を実施する。具体的には、スルーホール導体16の空洞部を絶縁樹脂材料(エポキシ樹脂)で穴埋めし、充填樹脂17を形成する(図12参照)。次に、貫通孔191の開口部からの充填樹脂17の突出部分を研磨した後、従来公知の手法(例えばサブトラクティブ法)に従ってエッチングによるパターニングを行う。これにより、樹脂絶縁層33上に導体層41がパターン形成されるとともに、樹脂絶縁層34上に導体層42がパターン形成される(図13参照)。
【0066】
次に、加熱工程S8−4を実施する。加熱工程S8−4は、前記固定工程S5後であって、配線積層部形成工程S8において最外層の樹脂絶縁層35,36を積層する前、より詳しくは穴埋め工程S8−3の直後に実行される。具体的に言うと、まず、最外層の樹脂絶縁層35,36が積層されていない状態にある配線基板10をリフロー炉(図示略)内に配置する。この状態において、配線基板10を、はんだの融点(225℃)と同程度の温度(本実施形態では平均240℃、最高260℃)で20分間加熱する。即ち、加熱工程では、樹脂層形成工程での樹脂シートの加熱温度(140〜150℃)よりも100℃以上高い温度に加熱する。なお、本実施形態では配線基板10を加熱する加熱手段としてリフロー炉を用いているが、乾燥炉などの他の加熱手段を用いてもよい。
【0067】
次に、樹脂絶縁層33,34上に熱硬化性エポキシ樹脂を被着して、ビア導体43,47が形成されるべき位置にビア孔182,183を有する最外層の樹脂絶縁層35,36を形成する(図14参照)。なお、熱硬化性エポキシ樹脂を被着する代わりに、感光性エポキシ樹脂や絶縁樹脂や液晶ポリマーを被着してもよい。この場合、レーザー加工機などにより、ビア導体43,47が形成されるべき位置にビア孔182,183が形成される。次に、従来公知の手法に従って電解銅めっきを行い、ビア孔182,183の内部にビア導体43,47を形成するとともに、樹脂絶縁層35上にパッド48を形成し、樹脂絶縁層36上に端子パッド44を形成する。
【0068】
次に、樹脂絶縁層35,36上に感光性エポキシ樹脂を塗布して硬化させることにより、ソルダーレジスト37,38を形成する。次に、所定のマスクを配置した状態で露光及び現像を行い、ソルダーレジスト37,38に開口部40,46をパターニングする。
【0069】
続くはんだバンプ形成工程S9では、最外層の樹脂絶縁層36上に形成された端子パッド44上に、はんだペーストを印刷する。次に、はんだペーストが印刷された配線基板10をリフロー炉内に配置して、はんだの融点より10〜40℃高い温度に加熱する。この時点で、はんだペーストが溶融し、半球上に盛り上がった形状のICチップ21搭載用のはんだバンプ45が形成される。なお、この状態のものは、配線基板10となるべき製品領域を平面方向に沿って縦横に複数配列した多数個取り用配線基板であると把握することができる。さらに、多数個取り用配線基板を分割すると、個々の製品である配線基板10が多数個同時に得られる。
【0070】
その後、配線基板10を構成する第2ビルドアップ層32のICチップ搭載領域23にICチップ21を載置する。このとき、ICチップ21側の面接続端子22と、各はんだバンプ45とを位置合わせするようにする。そして、220℃〜240℃程度の温度に加熱して各はんだバンプ45をリフローすることにより、各はんだバンプ45と面接続端子22とを接合し、配線基板10側とICチップ21側とを電気的に接続する。その結果、ICチップ搭載領域23にICチップ21が搭載される(図1参照)。
【0071】
従って、本実施形態によれば以下の効果を得ることができる。
【0072】
(1)本実施形態の配線基板10の製造方法によれば、最外層の樹脂絶縁層35,36を積層する前に行われる加熱工程S8−4において、はんだをリフローさせる必要がないにもかかわらず、敢えてはんだの融点と同程度の温度に加熱する熱履歴を加えることにより、樹脂層92をあらかじめ硬化収縮させている。従って、加熱工程S8−4後に積層される最外層の樹脂絶縁層35,36の厚さを調整すれば、樹脂絶縁層35,36の表面を平坦にすることができる。しかも、配線積層部形成工程S8後の工程(例えば、はんだバンプ形成工程S9やICチップ21を搭載する工程など)ではんだをリフローしたとしても、リフロー時の熱によって樹脂層92が再び硬化収縮しにくくなるため、樹脂絶縁層35,36の表面を平坦な状態に維持することができる。ゆえに、第2ビルドアップ層32の表面39のコプラナリティが改善され、個々のはんだバンプ45の高さがバラツキにくくなるため、はんだバンプ45とICチップ21との接続信頼性が向上する。また、第1ビルドアップ層31の表面上(パッド48上)にマザーボード搭載用のはんだバンプを形成する場合、第1ビルドアップ層31の表面のコプラナリティが改善され、個々のはんだバンプの高さがバラツキにくくなるため、はんだバンプとマザーボードとの接続信頼性が向上する。
【0073】
(2)本実施形態では、固定工程S5後かつ配線積層部形成工程S8前に高さ合わせ工程S6が行われ、加熱工程S8−4は、配線積層部形成工程S8において樹脂層92の表面上に最内層の樹脂絶縁層33,34を貼付した後(具体的には穴埋め工程S8−3の直後)に実行される。即ち、高さ合わせ工程S6を行って、樹脂層92の表面を第1主面側導体層14の表面と同じ高さに合わせているため、高さ合わせ工程S6後の配線積層部形成工程S8において第1ビルドアップ層31を形成する場合に、厚さのバラツキの小さい樹脂絶縁層33,35を形成することができる。また、樹脂絶縁層33,34が銅からなる導体層41,42によって保護された状態で加熱が行われるので、樹脂絶縁層33,34の厚さのバラツキを最小限に抑えることができる。その結果、第1ビルドアップ層31の表面39のコプラナリティが改善されるため、最外層の樹脂絶縁層36上に形成された端子パッド44(及びはんだバンプ45)とICチップ21との接続信頼性が向上する。さらに、上記の樹脂絶縁層34,36を貫通するビア導体43用のビア孔181,182を複数形成し、各ビア孔181,182内にビア導体43を形成する場合、ビア孔181,182の深さのバラツキが小さくなるため、各ビア孔181,182内にビア導体43を確実に形成することができる。その結果、電極121,122とビア導体43とを確実に導通させることができる。従って、不良品の発生を防止でき、信頼性に優れた配線基板10を得ることができる。
【0074】
(3)本実施形態では、ICチップ搭載領域23がセラミックコンデンサ101の真上の領域内に位置しているため、ICチップ搭載領域23に搭載されるICチップ21は高剛性で熱膨張率が小さいセラミックコンデンサ101によって支持される。よって、上記ICチップ搭載領域23においては、第2ビルドアップ層32が変形しにくくなるため、ICチップ搭載領域23に搭載されるICチップ21をより安定的に支持できる。従って、大きな熱応力に起因するICチップ21のクラックや接続不良を防止することができる。ゆえに、ICチップ21として、熱膨張差による応力(歪)が大きくなり熱応力の影響が大きく、かつ発熱量が大きく使用時の熱衝撃が厳しい10mm角以上の大型のICチップや、脆いとされるLow−k(低誘電率)のICチップを用いることができる。
【0075】
(4)本実施形態では、セラミックコンデンサ101がICチップ搭載領域23に搭載されたICチップ21の直下に配置されるため、セラミックコンデンサ101とICチップ21とをつなぐ配線が短くなり、配線のインダクタンス成分の増加が防止される。従って、セラミックコンデンサ101によるICチップ21のスイッチングノイズを確実に低減できるとともに、電源電圧の確実な安定化を図ることができる。また、ICチップ21とセラミックコンデンサ101との間で侵入するノイズを極めて小さく抑えることができるため、誤動作等の不具合を生じることもなく高い信頼性を得ることができる。
【0076】
(5)本実施形態では、収容穴部90の内壁面91とセラミックコンデンサ101のコンデンサ側面106との隙間が、樹脂絶縁層34とは別の樹脂層92で埋められることにより、セラミックコンデンサ101がコア基板11に固定されている。これにより、樹脂層92の機能をセラミックコンデンサ101を固定する機能に特化できるため、配線基板10の信頼性向上を図ることができる。
【0077】
なお、本実施形態を以下のように変更してもよい。
【0078】
・上記実施形態では、穴埋め工程S8−3の直後に加熱工程S8−4が実行されていたが、加熱工程S8−4を実行するタイミングを変更してもよい。例えば、固定工程S5後かつ高さ合わせ工程S6前に、加熱工程S8−4を実行してもよい。また、高さ合わせ工程S6後かつ粗化工程S7前、粗化工程S7後かつ絶縁層貼付工程S8−1前、絶縁層貼付工程S8−1後かつ導体形成工程S8−2前、導体形成工程S8−2後かつ穴埋め工程S8−3前などに、加熱工程S8−4を実行してもよい。
【0079】
・上記実施形態の樹脂層形成工程S4では、樹脂層92(樹脂シート)の一部で収容穴部90の内壁面91とセラミックコンデンサ101のコンデンサ側面106との隙間を埋めていた。しかし、ディスペンサ装置(Asymtek社製)を用いて、樹脂層92となる液状の樹脂を充填することにより、内壁面91とコンデンサ側面106との隙間を埋めるようにしてもよい。
【0080】
・上記実施形態において、高さ合わせ工程S6を省略するとともに、樹脂層形成工程S4において第1主面12上及び第1コンデンサ主面102上に樹脂層92を形成する工程を省略してもよい。
【0081】
・上記実施形態の導体形成工程S8−2において、充填樹脂17を研磨した後、再度無電解めっきを行うようにしてもよい。この無電解めっきを行うと、スルーホール導体16及び充填樹脂17の第1主面12側の端面と、スルーホール導体16及び充填樹脂17の第2主面13側の端面との両方にそれぞれ蓋めっき層が形成されるとともに、ビア導体43の上にめっき層が形成される。その後、従来公知の手法(例えばサブトラクティブ法)に従ってエッチングによるパターニングを行うことにより、めっき層は導体層41,42の一部となる。
【0082】
・上記実施形態のはんだバンプ形成工程S9では、ICチップ21搭載用のはんだバンプ45のみを形成していたが、それに加えて、樹脂絶縁層35上に形成されたパッド48上にマザーボード搭載用のはんだバンプを形成してもよい。
【0083】
・上記実施形態では、収容穴部90内に収容される部品としてセラミックコンデンサ101が用いられていたが、DRAM、SRAM、チップコンデンサ、レジスターなどを部品として用いてもよい。
【0084】
次に、前述した実施形態によって把握される技術的思想を以下に列挙する。
【0085】
(1)第1主面及び第2主面を有し、前記第1主面及び前記第2主面にて開口する収容穴部を有するコア基板を準備するコア基板準備工程と、第1部品主面、第2部品主面及び部品側面を有する部品を準備する部品準備工程と、前記コア基板準備工程及び前記部品準備工程後、前記第2主面と前記第2部品主面とを同じ側に向けた状態で、前記収容穴部内に前記部品を収容する収容工程と、前記収容工程後、樹脂層で前記収容穴部の内壁面と前記部品側面との隙間を埋める樹脂層形成工程と、前記樹脂層形成工程後、前記樹脂層を硬化させて前記部品を固定する固定工程と、前記固定工程後、前記第1主面側及び前記第2主面側の少なくとも一方に、樹脂絶縁層及び導体層を積層した構造を有する配線積層部を形成する配線積層部形成工程と、前記配線積層部形成工程後、最外層の樹脂絶縁層上に形成された導体層上に半導体集積回路素子搭載用のはんだバンプを形成するはんだバンプ形成工程とを含む部品内蔵配線基板の製造方法において、前記固定工程後であって、前記配線積層部形成工程において前記最外層の樹脂絶縁層を積層する前に、はんだの融点と同程度の温度に加熱する加熱工程を行い、前記収容工程、前記樹脂層形成工程及び固定工程は、前記収容穴部の前記第2主面側開口を粘着面を有する粘着テープで塞いだ状態で行われ、前記固定工程後かつ前記加熱工程前に前記粘着テープを除去することを特徴とする部品内蔵配線基板の製造方法。
【0086】
(2)第1主面及び第2主面を有し、少なくとも前記第1主面にて開口する収容穴部を有するコア基板を準備するコア基板準備工程と、第1コンデンサ主面、第2コンデンサ主面及びコンデンサ側面を有し、誘電体層を介して複数の内部電極層が積層配置された構造を有し、前記複数の内部電極層に接続される複数のコンデンサ内ビア導体、及び、前記複数のコンデンサ内ビア導体における少なくとも前記第2コンデンサ主面側の端部に接続された複数の表層電極を備え、前記複数のコンデンサ内ビア導体が全体としてアレイ状に配置されたビアアレイタイプのコンデンサを部品として準備する部品準備工程と、前記コア基板準備工程及び前記部品準備工程後、前記第2主面と前記第2コンデンサ主面とを同じ側に向けた状態で、前記収容穴部内に前記コンデンサを収容する収容工程と、前記収容工程後、樹脂層で前記収容穴部の内壁面と前記コンデンサ側面との隙間を埋める樹脂層形成工程と、前記樹脂層形成工程後、前記樹脂層を硬化させて前記コンデンサを固定する固定工程と、前記固定工程後、前記第1主面側及び前記第2主面側の少なくとも一方に、樹脂絶縁層及び導体層を積層した構造を有する配線積層部を形成する配線積層部形成工程と、前記配線積層部形成工程後、最外層の樹脂絶縁層上に形成された導体層上に半導体集積回路素子搭載用のはんだバンプを形成するはんだバンプ形成工程とを含む部品内蔵配線基板の製造方法において、前記固定工程後であって、前記配線積層部形成工程において前記最外層の樹脂絶縁層を積層する前に、はんだの融点と同程度の温度に加熱する加熱工程を行うことを特徴とする部品内蔵配線基板の製造方法。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明を具体化した一実施形態の配線基板を示す概略断面図。
【図2】セラミックコンデンサを示す概略断面図。
【図3】セラミックコンデンサの内層における接続を説明するための概略説明図。
【図4】セラミックコンデンサの内層における接続を説明するための概略説明図。
【図5】配線基板の製造工程の概略を示すフローチャート。
【図6】配線基板の製造方法の説明図。
【図7】配線基板の製造方法の説明図。
【図8】配線基板の製造方法の説明図。
【図9】配線基板の製造方法の説明図。
【図10】配線基板の製造方法の説明図。
【図11】配線基板の製造方法の説明図。
【図12】配線基板の製造方法の説明図。
【図13】配線基板の製造方法の説明図。
【図14】配線基板の製造方法の説明図。
【図15】従来技術における配線基板の製造方法の説明図。
【図16】同じく、配線基板の製造方法の説明図。
【図17】同じく、配線基板の製造方法の説明図。
【符号の説明】
【0088】
10…部品内蔵配線基板(配線基板)
11…コア基板
12…第1主面
13…第2主面
14…第1主面側導体層
16…スルーホール導体
17…充填樹脂
21…半導体集積回路素子としてのICチップ
31…配線積層部としての第1ビルドアップ層
32…配線積層部としての第2ビルドアップ層
33,34,35,36…樹脂絶縁層
41,42…導体層
44…導体層としての端子パッド
45…はんだバンプ
48…導体層としてのパッド
90…収容穴部
91…収容穴部の内壁面
92…樹脂層
101…部品としてのセラミックコンデンサ
102…第1部品主面としての第1コンデンサ主面
103…第2部品主面としての第2コンデンサ主面
106…部品側面としてのコンデンサ側面
191…貫通孔
S1…コア基板準備工程
S2…部品準備工程としてのコンデンサ準備工程
S3…収容工程
S4…樹脂層形成工程
S5…固定工程
S6…高さ合わせ工程
S8…配線積層部形成工程
S8−1…絶縁層貼付工程
S8−2…導体形成工程
S8−3…穴埋め工程
S8−4…加熱工程
S9…はんだバンプ形成工程

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1主面及び第2主面を有し、少なくとも前記第1主面にて開口する収容穴部を有するコア基板を準備するコア基板準備工程と、
第1部品主面、第2部品主面及び部品側面を有する部品を準備する部品準備工程と、
前記コア基板準備工程及び前記部品準備工程後、前記第2主面と前記第2部品主面とを同じ側に向けた状態で、前記収容穴部内に前記部品を収容する収容工程と、
前記収容工程後、樹脂層で前記収容穴部の内壁面と前記部品側面との隙間を埋める樹脂層形成工程と、
前記樹脂層形成工程後、前記樹脂層を硬化させて前記部品を固定する固定工程と、
前記固定工程後、前記第1主面側及び前記第2主面側の少なくとも一方に、樹脂絶縁層及び導体層を積層した構造を有する配線積層部を形成する配線積層部形成工程と、
前記配線積層部形成工程後、最外層の樹脂絶縁層上に形成された導体層上に半導体集積回路素子搭載用のはんだバンプを形成するはんだバンプ形成工程と
を含む部品内蔵配線基板の製造方法において、
前記固定工程後であって、前記配線積層部形成工程において前記最外層の樹脂絶縁層を積層する前に、はんだの融点と同程度の温度に加熱する加熱工程を行う
ことを特徴とする部品内蔵配線基板の製造方法。
【請求項2】
前記固定工程後かつ前記配線積層部形成工程前に、前記樹脂層を薄くすることにより、前記樹脂層の表面を前記第1主面上に形成された第1主面側導体層の表面と同じ高さに合わせる高さ合わせ工程を行い、
前記加熱工程は、前記配線積層部形成工程において前記樹脂層の表面上に最内層の樹脂絶縁層を貼付した後で実行される
ことを特徴とする請求項1に記載の部品内蔵配線基板の製造方法。
【請求項3】
前記高さ合わせ工程では、前記樹脂層の一部を機械的に除去することを特徴とする請求項2に記載の部品内蔵配線基板の製造方法。
【請求項4】
前記配線積層部形成工程は、
前記第1主面側及び前記第2主面側の少なくとも一方に、最内層の樹脂絶縁層を貼付する絶縁層貼付工程と、
前記絶縁層貼付工程後、前記最内層の樹脂絶縁層上に前記導体層を形成するとともに、前記コア基板及び前記最内層の樹脂絶縁層を貫通する貫通孔内に前記第1主面側及び前記第2主面側を電気的に接続するスルーホール導体を形成する導体形成工程と、
前記導体形成工程後、前記スルーホール導体の空洞部を充填樹脂で穴埋めする穴埋め工程とを含み、
前記加熱工程は、前記穴埋め工程の直後に実行される
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の部品内蔵配線基板の製造方法。
【請求項5】
前記加熱工程では、前記最外層の樹脂絶縁層が積層されていない状態にある部品内蔵配線基板を、リフロー炉内に配置して加熱することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の部品内蔵配線基板の製造方法。
【請求項6】
前記樹脂層形成工程において形成される前記樹脂層は、前記第1主面上及び前記第1部品主面上に形成される樹脂シートであり、
前記樹脂層形成工程では、前記樹脂シートの加熱、及び、前記コア基板及び前記部品に対する前記樹脂シートの押圧を行うことにより、前記樹脂シートの一部で前記収容穴部の内壁面と前記部品側面との隙間を埋める
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の部品内蔵配線基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2010−153721(P2010−153721A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−332597(P2008−332597)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(000004547)日本特殊陶業株式会社 (2,912)
【Fターム(参考)】