説明

部品実装機及び部品実装方法

【課題】部品とペーストが同じような色をしている場合であっても部品にペーストが付着している状態を確認することができ、部品搭載ミスの発生を防止することができる部品実装機及び部品実装方法を提供することを目的とする。
【解決手段】ペースト膜bに部品Pを接触させる前後の転写テーブル4を撮像してその画像を比較し、両画像の間にコントラストが変化した部分があった場合、部品PにペーストBが正常に転写されたと判断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品実装機及び部品実装方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
部品実装機は、搭載ヘッドに部品を吸着してピックアップし、基板位置決め部に位置決めした基板に搭載して部品実装を行う。部品を基板に固定するものとしては半田ペーストや接着剤等のペーストが用いられ、このようなペーストは転写ステージに対して相対移動されるスキージによって一定厚さに均されたペースト膜として供給される。部品へのペーストの転写は、搭載ヘッドに吸着した部品をペースト膜に上方から接触させることによって行われる(特許文献1)。そして、部品にペーストを転写した後は、カメラを用いて部品を撮像し、その画像に基づく画像認識を行うことによって、部品にペーストが正常に転写されたかどうかの確認が行われる。
【特許文献1】特開2008−108884号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、部品の中にはペーストと同じような色をしているものがあり、このような部品についてはペーストを転写した後の画像認識によってはペーストが付着しているかどうかの確認を行えないため、部品にペーストが付着していないまま部品を基板に搭載した場合には部品搭載ミスが発生するおそれがあるという問題点があった。
【0004】
そこで本発明は、部品とペーストが同じような色をしている場合であっても部品にペーストが付着している状態を確認することができ、部品搭載ミスの発生を防止することができる部品実装機及び部品実装方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の部品実装機は、ペーストが供給された転写テーブルと、転写テーブルに対して相対移動され、転写テーブルの上面にペースト膜を成膜するスキージと、転写テーブルの上面に成膜されたペースト膜に部品を接触させてペーストを転写させる転写搭載部と、転写搭載部によりペースト膜に部品を接触させる前後の転写テーブルを撮像する撮像部と、撮像部により撮像されたペースト膜に部品を接触させる前後の転写テーブルの画像を比較する比較部と、比較部により比較された両画像の間にコントラストが変化した部分があった場合、部品にペーストが正常に転写されたと判断する転写状態判断部とを備え、転写搭載部は転写状態判断部によりペーストが正常に転写されたと判断された部品を基板に搭載する。
【0006】
請求項2に記載の部品実装方法は、ペーストが供給された転写テーブルに対してスキージを相対移動させて転写テーブルの上面にペースト膜を成膜する工程と、ペースト膜が成膜された転写テーブルを撮像する第1撮像工程と、転写テーブルの上面に成膜されたペースト膜に部品を接触させてペーストを転写させる工程と、ペースト膜に部品を接触させた後の転写テーブルを撮像する第2撮像工程と、第1撮像工程及び第2撮像工程で撮像されたペースト膜に部品を接触させる前後の転写テーブルの画像を比較する工程と、比較した両画像の間にコントラストが変化した部分があった場合、部品にペーストが正常に転写されたと判断する工程と、ペーストが正常に転写されたと判断された部品を基板に搭載する工程と、を含む。
【発明の効果】
【0007】
本発明では、ペースト膜に部品を接触させる前後の転写テーブルの画像を比較し、これら両画像の間にコントラストが変化した部分があったとき、部品にペーストが正常に転写されたと判断するようになっており、ペーストを転写した後の部品を画像認識することなしに部品にペーストが正常に付着していることの確認を行うことができる。このため、部品とペーストが同じような色をしている場合であっても部品にペーストが付着している状態を確認することができ、部品搭載ミスの発生を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1は本発明の一実施の形態における部品実装機の構成図、図2(a),(b)は本発明の一実施の形態におけるスキージの斜視図、図3(a),(b),(c)は本発明の一実施の形態におけるペースト膜の成膜手順を示す図、図4(a),(b)は本発明の一実施の形態における転写テーブル撮像カメラの撮像による画像の一例を示す図、図5(a),(b),(c)は本発明の一実施の形態における部品へのペーストの転写手順を示す図、図6は本発明の一実施の形態における部品を下方から見た斜視図、図7は本発明の一実施の形態における部品実装方法の手順を示すフローチャートである。
【0009】
図1において、基板PB上に部品Pを搭載する部品実装機1は、基板PBの位置決めを行う基板位置決め部2、部品Pの供給を行う部品供給部3、ペースト(例えば半田ペースト)Bが供給される平板状の転写テーブル4及びこの転写テーブル4に対して相対移動されるスキージ5を備え、転写テーブル4の上面4aに一定厚さtのペースト膜bを成膜する成膜部6、転写テーブル4の上方に配置されてペースト膜bが成膜された転写テーブル4の(したがってペースト膜bの)撮像を行う転写テーブル撮像カメラ7、部品供給部3により供給された部品Pをピックアップして移動させ、その部品Pを成膜部6により成膜されたペースト膜bに接触させて部品PにペーストBを転写させた後、その部品Pを基板位置決め部2に位置決めされた基板PBに搭載する転写搭載部8及びこれらの設備の作動制御を行う制御装置9を備えている。
【0010】
基板位置決め部2は、水平面内の一の方向(図1の紙面と直交する方向)に同期して駆動される一対のベルトコンベア2aから成り、制御装置9によって作動制御がなされるコンベア駆動機構11によって駆動されて基板PBの搬送と所定の作業位置への位置決めを行う。
【0011】
部品供給部3は制御装置9に制御されて作動し、所定の部品供給位置に部品Pを供給する。この実施の形態では、部品Pは下面の中央部に下方に突出した長方形形状の突起部Hを備えるとともに、突起部Hの幅方向の両側に配置された複数の半田バンプSBを備え、半田バンプSBのみにペーストBを付着させて基板PB上に搭載させる電子部品であるとする。
【0012】
成膜部6を構成するスキージ5は、制御装置9によって作動制御がなされるスキージ作動機構12によって転写テーブル4に対して水平方向に相対移動される。本実施の形態では、スキージ5は、図2(a),(b)に示す2種類のスキージ(第1スキージ5a及び第2スキージ5b)から成る。
【0013】
図2(a),(b)において、第1スキージ5a及び第2スキージ5bはともに左右方向に延びた板状の部材であり、第1スキージ5aは左右の両端部から下方に突出して延びた左右の端部突起T1及び左右の端部突起T1の間に形成されたスキージ縁Mを有しており(図2(a))、第2スキージ5bは左右の両端部から下方に突出して延びた左右の端部突起T1と中央部から下方に突出して延びた中央部突起T2及びこれら3つの突起T1,T2の間に形成された左右のスキージ縁Mを有している(図2(b))。
【0014】
成膜部6によるペースト膜bの成膜では、制御装置9は、初めに第1スキージ5aによるスキージングを行う。第1スキージ5aの左右の端部突起T1を転写テーブル4の上面4aに上方から当接させると、第1スキージ5aのスキージ縁Mは転写テーブル4の上面4aと平行になり、スキージ縁Mと転写テーブル4の上面4aとの間にはギャップG1(隙間)が形成される(図2(a))。ペーストBが供給された転写テーブル4に対して第1スキージ5aを相対移動させると(図3(a)。図中の矢印A1)、ペーストBはその一部がスキージ縁MによってギャップG1相当の一定厚さに均されるとともに、その両端部は左右の端部突起T1によって掻き取られるので、転写テーブル4の上面4aの中央部には一定厚さを有するペースト膜bが成膜された成膜領域S0が形成され、その左右両端にはペースト膜bが成膜されない非成膜領域S1が形成される。
【0015】
第1スキージ5aによるスキージングが終了したら、次いで、第2スキージ5bによるスキージングを行う。第2スキージ5bの左右の端部突起T1を転写テーブル4の上面4aに上方から当接させると、第2スキージ5bの中央部突起T2も転写テーブル4の上面4aに上方から当接し、左右のスキージ縁Mは転写テーブル4の上面4aと平行になり、左右のスキージ縁Mと転写テーブル4の上面4aとの間には第1スキージ5aの場合とほぼ同じ高さのギャップG2が形成される(図2(b))。転写テーブル4に対して第2スキージ5bを相対移動させると(図3(b)。図中の矢印A2)、第1スキージ5aによって一定厚さに均されたペースト膜bの中央部分が中央部突起T2によって掻き取られるので、転写テーブル4の上面4aには左右のスキージ縁Mの移動軌跡部分に相当する2つの成膜領域S0と、左右の端部突起T1及び中央部突起T2の移動軌跡部分に相当する3つの非成膜領域S1が形成される(図3(c))。
【0016】
なお、ペースト膜bの形成の仕方は上記の方法に限定されるわけではく、他の方法によってもよい。例えば、ギャップG1がほとんどない(或いは全くない)第1スキージ5aを転写テーブル4の一端側から他端側に移動させてスキージングを行い、転写テーブル4上のペーストBのほとんど全部を転写テーブル4の上記他端側に掻き寄せた後、その他端側に掻き寄せたペーストBを第2スキージ5bで上記一端側に掻き寄せるスキージングをすることによって上記のような2つの成膜領域S0と3つの非成膜領域S1を形成するようにしてもよい。
【0017】
上記3つの非成膜領域S1のうち、左右の非成膜領域S1は、スキージ5にギャップG1,G2を設ける必要から必然的に形成されるものであるが、中央の非成膜領域S1は、部品PにペーストBを転写させるとき、その非成膜領域S1内に突起部Hが位置するようにして、ペーストBが付着しないようにするため意図的に設けられるものである。なお、このため、非成膜領域S1の幅は、部品Pの突起部Hの幅よりも大きい寸法とされる。
【0018】
図1において、転写テーブル撮像カメラ7は制御装置9に制御されて、転写テーブル4の上面4aに形成された2つの成膜領域S0及び3つの非成膜領域S1それぞれの少なくとも1部を含む所定領域を撮像する。転写テーブル撮像カメラ7によって撮像された転写テーブル4の(上記所定領域の)画像(図4(a))は制御装置9の成膜状態判定部9aと比較部9bに送られる(図1)。
【0019】
転写テーブル4の上面4aの色は、転写テーブル撮像カメラ7の撮像により得られた転写テーブル4の画像において、ペースト膜bが成膜されている成膜領域S0とペースト膜bが成膜されていない非成膜領域S1との識別ができる程度にペースト膜bの(ペーストBの)の色とのコントラストが高くなる色となっている。したがって、例えば、ペーストBの色が暗色(例えば黒色)であれば、転写テーブル4の上面4aの色は明色(例えば白色)となっている。
【0020】
制御装置9の成膜状態判定部9aは、転写テーブル撮像カメラ7の撮像により得られた転写テーブル4の画像に基づいてペースト膜bの成膜状態の良否判定を行う。具体的には、転写テーブル4の上面4aの非成膜領域S1に対するコントラストの高い領域を成膜領域S0として検出することにより(図4(a))、ペースト膜bの成膜状態の良否判定を行う。
【0021】
転写搭載部8は部品Pの吸着を行う複数の吸着ノズル14を備えた搭載ヘッド15、搭載ヘッド15を水平面内で移動させるときのガイドとなるヘッド移動ガイド16、搭載ヘッド15をヘッド移動ガイド16に沿って移動させるヘッド作動機構17及び各吸着ノズル14に搭載ヘッド15に対する昇降動作と部品Pの吸着動作を行わせるノズル作動機構18から成る。ヘッド作動機構17は制御装置9に制御されて搭載ヘッド15をヘッド移動ガイド16に沿って水平方向に移動させ、ノズル作動機構18は制御装置9に制御されて各吸着ノズル14を搭載ヘッド15に対して昇降させ、各吸着ノズル14に部品Pを真空吸着させる。そして、その部品Pを成膜状態判定部9aで成膜状態が良好と判定されたペースト膜bの上方に位置させたうえで(図5(a))、部品Pを(吸着ノズル14を)下降させて半田バンプSBをペースト膜bに上方から接触させる(図5(b))。このとき、図5(b)に示すように、部品Pの突起部Hが非成膜領域S1内に位置するようにする。半田バンプSBを転写テーブル4の上面4aに接触させたら、部品Pを(吸着ノズル14を)上昇させる(図5(c))。これにより、部品Pの突起部HにはペーストBが付着せず、半田バンプSBにのみペーストBが付着した状態となる(図6も参照)。
【0022】
一方、転写ステージ4の上面4aの成膜領域S0のうち、部品Pの半田バンプSBが接触した部分S2(図5(c))についてはペーストBがなくなり、或いは厚さが薄くなる。
【0023】
転写テーブル撮像カメラ7は、制御装置9に制御されて、部品Pがペースト膜bに接触された後の転写テーブル4の撮像を行う。これにより得られた転写テーブル4の画像(図4(b))は制御装置9の比較部9b(図1)に送られる。
【0024】
制御装置9の比較部9bは、転写テーブル撮像カメラ7の撮像により得られた、ペースト膜bに部品Pを接触させる前の転写テーブル4の(上記所定領域の)画像(図4(a))と、ペースト膜bに部品Pを接触させた後の転写テーブル4の(所定領域の)画像(図4(b))とを比較する。そして、制御装置9の転写状態判断部9cは、比較部9bが比較する両画像の間にコントラストが変化した部分があった場合に、部品PにペーストBが正常に転写されたと判断する。図4(a),(b)では、ペースト膜bに部品Pを接触させる前後で、コントラストが変化した部分があるので(この部分は部品Pの半田バンプSBがペースト膜bに接触した部分S2に相当する)、この場合、転写状態判断部9cは、部品PにペーストBが正常に転写されたと判断する。転写搭載部8は、部品PにペーストBを転写させた後、転写状態判断部9cによりペーストBが部品に正常に転写されていたと判断された場合には、その部品Pを基板PBに搭載する。
【0025】
次に、図7のフローチャートを用いて部品実装機1による部品実装手順について説明する。ここに示す部品実装手順は、本実施の形態における部品実装方法の手順を含むものとなっている。図7において、部品実装機1の制御装置9は先ず、コンベア駆動機構11の作動制御を行って基板位置決め部2を作動させ、この部品実装機1の上流側に配置された他の装置から送られてきた基板PBを部品実装機1内に搬入し、所定の位置に位置決めする(ステップST1の基板位置決め工程)。この基板PBの位置決めの際には、搭載ヘッド15に取り付けられて撮像面を下方に向けた基板カメラ19(図1)によって、基板PBに設けられた図示しない位置決めマークの画像認識を行い、基板PBの基準位置からの
位置ずれを求める。制御装置9は、基板PBを位置決めしたら、部品供給部3の作動制御を行って、部品Pを所定の部品供給位置に供給させる(ステップST2の部品供給工程)。
【0026】
制御装置9は、部品Pを部品供給位置に供給させたら、ヘッド作動機構17の作動制御を行って、搭載ヘッド15を部品供給位置の上方に移動させ、吸着ノズル14に部品Pをピックアップさせる(ステップST3の部品ピックアップ工程)。部品Pのピックアップは、ノズル作動機構18の作動制御を行って吸着ノズル14を下降させ、吸着ノズル14の下端部に部品Pを真空吸着させることによって行う。
【0027】
制御装置9は吸着ノズル14に部品Pをピックアップさせたら、ペーストBが供給された転写テーブル4に対してスキージ5(第1スキージ5a及び第2スキージ5b)を相対移動させて転写テーブル4の上面4aに一定厚さのペースト膜bを成膜する(ステップST4の成膜工程)。これにより転写テーブル4の上面に成膜領域S0と非成膜領域S1が形成される。
【0028】
制御装置9はステップST4の成膜工程が終了したら、成膜工程でペースト膜bが成膜された転写テーブル4の撮像を行う(ステップST5の第1撮像工程)。
【0029】
ステップST5の第1撮像工程で得られた転写テーブル4の画像は制御装置9の成膜状態判定部9aと比較部9bに送られ、制御装置9の成膜状態判定部9aは、前述の要領でペースト膜bの成膜状態の良否判定を行う(ステップST6の成膜状態判定工程)。制御装置9は、成膜状態判定部9aによりペースト膜bの成膜状態が不良であると判定された場合には、ステップST4に戻ってペースト膜bの成膜を再実行する。
【0030】
制御装置9は、上記ステップST6の成膜状態判定工程で、成膜状態判定部9aによりペースト膜bの成膜状態が良好であると判定された場合には、ヘッド作動機構17の作動制御を行って搭載ヘッド15を移動させ、転写テーブル4と基板位置決め部2の間に撮像面を上方向けて設置された部品カメラ20(図1)による部品認識を行う(ステップST7の部品認識工程)。そして、この部品認識において部品Pの吸着ノズル14に対する位置ずれ(吸着ずれ)を求める。
【0031】
制御装置9は、ステップST7の部品認識工程が終了したら、ヘッド作動機構17の作動制御を行って搭載ヘッド15を移動させるとともに、ノズル作動機構18の作動制御を行って、ペースト膜bに部品Pを接触させ、前述の要領で部品PにペーストBを転写させる(ステップST8の転写工程)。
【0032】
制御装置9は、ステップST8の転写工程が終了したら、転写テーブル撮像カメラ7により転写テーブル4の撮像を行う(ステップST9の第2撮像工程)。転写テーブル撮像カメラ7の撮像により得られた転写テーブル4の画像は制御装置9の比較部9bに送られ、比較部9bは、ステップST5の第1撮像工程で得られた転写テーブル4の画像(部品Pがペースト膜bに接触される前の転写テーブル4の画像)と、ステップST9の第2撮像工程で得られた転写テーブル4の画像(部品Pがペースト膜bに接触された後の転写テーブル4の画像)とを比較する(ステップST10の比較工程)。そして、転写状態判断部9cは、比較部9bが比較する両画像の間にコントラストが変化した部分があった場合には、部品PにペーストBが正常に転写されたと判断する(ステップST11の転写状態判断工程)。なお、この判断工程において、制御装置9は、部品PへのペーストBの転写状態が不良であると判断した場合には、ステップST4に戻ってペースト膜bの成膜を再実行する。
【0033】
制御装置9は、転写状態判断工程で、部品PにペーストBが正常に転写されたと判断された場合には、そのペーストBが転写された部品Pを、転写搭載部8により、基板位置決め部2に位置決めされた基板PB上の目標搭載位置に搭載する(ステップST12の搭載工程)。ここで、部品Pを基板PB上の目標搭載位置に搭載させるときには、ステップST1の基板位置決め工程で求めた基板PBの基準位置からの位置ずれと、ステップST7の部品認識工程で求めた吸着ノズル14に対する部品Pの位置ずれがキャンセルされるように吸着ノズル14の位置補正を行うようにする。
【0034】
制御装置9は、部品Pの基板PBへの搭載が終了したら、基板PBに搭載すべき全ての部品Pの基板PBへの搭載を終了したかどうかの判断を行う(ステップST13の終了判断工程)。その結果、全ての部品Pの基板PBへの搭載が終了していなかったときにはステップST2に戻り、まだ基板PBに搭載していない部品Pの基板PBへの搭載を行う。一方、全ての部品Pの基板PBへの搭載が終了していたときには基板位置決め部2を作動させて基板PBを部品実装機1の外部に搬出する(ステップST14の基板搬出工程)。
【0035】
以上説明したように、本実施の形態における部品実装機1は、ペーストBが供給された転写テーブル4、転写テーブル4に対して相対移動され、転写テーブル4の上面4aにペースト膜bを成膜するスキージ5、転写テーブル4の上面4aに成膜されたペースト膜bに部品Pを接触させてペーストBを転写させる転写搭載部8、転写搭載部8によりペースト膜bに部品Pを接触させる前後の転写テーブル4を撮像する撮像部としての転写テーブル撮像カメラ7、転写テーブル撮像カメラ7により撮像されたペースト膜bに部品Pを接触させる前後の転写テーブル4の画像を比較する制御装置9の比較部9b、比較部9bにより比較された両画像の間にコントラストが変化した部分があった場合、部品PにペーストBが正常に転写されたと判断する制御装置9の転写状態判断部9cを備え、転写搭載部8は転写状態判断部9cによりペーストBが正常に転写されたと判断された部品Pを基板PBに搭載するようになっている。
【0036】
また、本実施の形態における部品実装方法は、ペーストBが供給された転写テーブル4に対してスキージ5を相対移動させて転写テーブル4の上面4aにペースト膜bを成膜する工程(ステップST4の成膜工程)、ペースト膜bが成膜された転写テーブル4を撮像する第1撮像工程(ステップST5)、転写テーブル4の上面4aに成膜されたペースト膜bに部品Pを接触させてペーストBを転写させる工程(ステップST8の転写工程)、ペースト膜bに部品Pを接触させた後の転写テーブル4を撮像する第2撮像工程(ステップST9)、第1撮像工程及び第2撮像工程で撮像されたペースト膜bに部品Pを接触させる前後の転写テーブル4の画像を比較する工程(ステップST10の比較工程)、比較した両画像の間にコントラストが変化した部分があった場合、部品PにペーストBが正常に転写されたと判断する工程(ステップST11の転写状態判断工程)及びペーストBが正常に転写されたと判断された部品Pを基板PBに搭載する工程(ステップST12の搭載工程)を含むものとなっている。
【0037】
このように、本実施の形態における部品実装機1(部品実装方法)では、ペースト膜bに部品Pを転写させる前後の転写テーブル4の画像を比較し、これら両画像の間にコントラストが変化した部分があった場合に、部品PにペーストBが正常に転写されたと判断するようになっており、ペーストBを転写した後の部品Pを画像認識することなしに部品PにペーストBが正常に付着していることの確認を行うことができる。このため、部品PとペーストBが同じような色をしている場合であっても部品PにペーストBが付着している状態を確認することができ、部品搭載ミスの発生を防止することができる。
【0038】
これまで本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではない。例えば、上述の実施の形態では、部品実装機1が基板PBに搭載す
る部品Pは下面の中央部に下方に突出した長方形形状の突起部Hを備えるとともに、突起部Hの幅方向の両側に配置された複数の半田バンプSBを備えた電子部品であるとしていたが、これは一例に過ぎず、本発明の部品実装機及び部品実装方法が対象とする部品は、このようなタイプの電子部品に限定されるものではない。また、上述の実施の形態では、ペーストBが半田ペーストである場合の例を示したが、ペーストは接着剤等の他のペーストであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0039】
部品とペーストが同じような色をしている場合であっても部品にペーストが付着している状態を確認することができ、部品搭載ミスの発生を防止することができる部品実装機及び部品実装方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の一実施の形態における部品実装機の構成図
【図2】(a)(b)本発明の一実施の形態におけるスキージの斜視図
【図3】(a)(b)(c)本発明の一実施の形態におけるペースト膜の成膜手順を示す図
【図4】(a)(b)本発明の一実施の形態における転写テーブル撮像カメラの撮像による画像の一例を示す図
【図5】(a)(b)(c)本発明の一実施の形態における部品へのペーストの転写手順を示す図
【図6】本発明の一実施の形態における部品を下方から見た斜視図
【図7】本発明の一実施の形態における部品実装方法の手順を示すフローチャート
【符号の説明】
【0041】
1 部品実装機
4 転写テーブル
5 スキージ
7 転写テーブル撮像カメラ(撮像部)
8 転写搭載部
9b 比較部
9c 転写状態判断部
PB 基板
P 部品
B ペースト
b ペースト膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペーストが供給された転写テーブルと、
転写テーブルに対して相対移動され、転写テーブルの上面にペースト膜を成膜するスキージと、
転写テーブルの上面に成膜されたペースト膜に部品を接触させてペーストを転写させる転写搭載部と、
転写搭載部によりペースト膜に部品を接触させる前後の転写テーブルを撮像する撮像部と、
撮像部により撮像されたペースト膜に部品を接触させる前後の転写テーブルの画像を比較する比較部と、
比較部により比較された両画像の間にコントラストが変化した部分があった場合、部品にペーストが正常に転写されたと判断する転写状態判断部とを備え、
転写搭載部は転写状態判断部によりペーストが正常に転写されたと判断された部品を基板に搭載することを特徴とする部品実装機。
【請求項2】
ペーストが供給された転写テーブルに対してスキージを相対移動させて転写テーブルの上面にペースト膜を成膜する工程と、
ペースト膜が成膜された転写テーブルを撮像する第1撮像工程と、
転写テーブルの上面に成膜されたペースト膜に部品を接触させてペーストを転写させる工程と、
ペースト膜に部品を接触させた後の転写テーブルを撮像する第2撮像工程と、
第1撮像工程及び第2撮像工程で撮像されたペースト膜に部品を接触させる前後の転写テーブルの画像を比較する工程と、
比較した両画像の間にコントラストが変化した部分があった場合、部品にペーストが正常に転写されたと判断する工程と、
ペーストが正常に転写されたと判断された部品を基板に搭載する工程と、
を含むことを特徴とする部品実装方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−114339(P2010−114339A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−287318(P2008−287318)
【出願日】平成20年11月10日(2008.11.10)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】