説明

部品電極の浮き不良の検査方法および基板検査装置

【課題】はんだ検査に使用されるのと同様のカラーハイライト方式の光学系により生成されたカラー画像を用いて、部品電極の浮き不良を検査できるようにする。
【解決手段】カラー画像中で赤、緑、青の各色彩が分布するはんだ付け部位毎に設定された検査領域のうち、部品電極20の浮き不良の検査が必要な領域を対象に、領域内のカラー画像を濃淡画像に変換し、変換後の画像からエッジを抽出することによって、浮き不良の有無を判別する。画像変換処理では、はんだ部分のカラー画像が濃度のばらつきが小さな濃淡画像に変換されるように設定された輝度変換係数α,β,γをそれぞれR,G,Bの各色パラメータに掛け合わせ、各乗算値の総和に基づきグレースケールを決定する。この結果、変換後の濃淡画像に対するエッジ抽出処理では、部品電極20のエッジ50は抽出されるが、はんだ部分の元の色彩領域間の境界でエッジが抽出されるのを回避できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、はんだ付け処理後の部品実装基板を検査対象として、その基板上のはんだ付け部位の状態を検査するとともに、所定の部品の部品電極に浮き不良が生じていないかどうかを検査する方法、およびこの方法が適用された基板検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
出願人は、従前より、「カラーハイライト方式」と呼ばれる基板外観検査装置を数多く開発している。このカラーハイライト方式の検査装置は、2次元カラーカメラ(以下、単に「カメラ」という。)と、赤、緑、青の3種類の色彩光を基板に対して異なる仰角の方向から照射する照明装置とを具備するもので、照明装置による照明下で撮像を行うことにより、はんだの傾斜面の傾斜状態が各照明色に対応する3色の分布状態により表現されたカラー画像を生成する(特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】特公平6−1173号公報
【0004】
上記の特許文献1に記載の照明装置では、基板面から見た仰角が最も大きい方向から赤色光が、仰角が最も小さい方向から青色光が、これらの中間に当たる方向から緑色光が、それぞれ照射される。よって、カラー画像中のはんだ付け部位では、平坦面に近い部位に赤色が現れ、傾斜が急な部位に青色が現れ、赤色になる部位と青色になる部位との間の傾斜角度を持つ部位に緑色が現れる。よって、カラー画像中に現れた色彩によって、はんだ面の傾斜状態を判別することができる。
【0005】
カラーハイライト方式の検査装置では、この原理を利用して、カラー画像中のはんだ付け部位に設定された検査領域内の画像を2値化し、赤、緑、青の各色彩が現れている領域を抽出する。そして抽出された各色彩領域の面積や位置などを計測し、得られた計測値をあらかじめ登録された判定基準値と比較することによって、はんだの傾斜状態が正しいかどうかを判断する。以下、この検査を「はんだ検査」という。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
基板に実装される種々の部品の中には、「ミニモールド部品」と呼ばれる部品がある。
図7は、このミニモールド部品の実装状態が良好なものと良好でないものとを対比して示す。図中、Sは基板であり、20はミニモールド部品の電極を、21は部品本体を、22は電極20を基板Sに接合するためのはんだを、それぞれ示す。
【0007】
ミニモールド部品では、図7(1)に示すように、はんだ22の中に部品電極20が埋もれている状態が良好な実装状態であり、図7(2)に示すように、部品電極20がはんだ22から露出している状態は不良となる。この種の不良は、一般に、「浮き不良」と呼ばれている。
【0008】
上記のような浮き不良を検出するには、一般に、単色の照明光による照明下でモノクロカメラによる撮像を行って、被検査部位の濃淡画像を生成し、この画像から部品電極20のエッジを抽出する。部品電極20がはんだ22上に露出している場合には、エッジ画素の抽出数があらかじめ定められたしきい値を上回るため、浮き不良があると判断される。
【0009】
しかし、はんだ付け後の基板に対する最も重要な検査は、はんだ検査であり、部品電極の浮き不良検査を行う対象の部品は限られている。はんだ検査におけるカラーハイライト方式の照明の有用性や検査の効率を考えると、カラーハイライト方式の検査装置を用いて、はんだの検査とともに浮き不良の検査を実行できるようにするのが望ましい。
【0010】
しかし、ミニモールド部品の部品電極は鏡面反射性が高いため、カラーハイライト方式の光学系により撮像を行うと、電極で正反射した光のうち、その電極の傾きに対応する色彩光がカメラに入射し、はんだ面として誤認される可能性がある。特に、図6中に点線枠A,Bで示すように、ミニモールド部品のはんだ22は、部品本体21に近い箇所が緩やかな傾斜面(画像中で赤色となるもの)となっており、浮き不良が生じた場合の電極20もこの緩やかな傾斜面に近い傾きになることが多いため、不良を見分けるのが困難になる。
【0011】
図8(1)は、カラーハイライト方式の光学系により浮き不良が生じている部品を撮像した場合に生成される画像を模式的に示したものである。この図では、参照が容易になるように、図7に付した符号に対応する構成を同一の符号で示すとともに、はんだ22中の赤、緑、青の各色彩領域をそれぞれ網点パターンにより示す。この図に示すように、ミニモールド部品のはんだ付け部位のカラー画像では、上記した緩やかな傾斜面を示す赤領域の外周に緑領域が現れ、さらにその外周に青領域が現れる。
【0012】
また、図8(1)の例では、部品本体21の右上の電極20がはんだ22から露出しており、その画像(図中の斜線を付した部分)にもはんだ22側の赤領域に近い色彩が現れている。このように、浮き不良があるのに、浮き不良のない場合と同様の位置に赤色が出現すると、浮き不良を見分けるのは非常に困難になる。
【0013】
そこで発明者は、上記のカラー画像を濃淡画像に変換し、変換後の濃淡画像から部品電極のエッジを抽出する方法を検討した。しかし、カラーハイライト方式の光学系により生成されたはんだ付け部位のカラー画像を濃淡画像に変換すると、カラー画像における色彩の違いが濃度の違いとして変換される。このためエッジ抽出処理を行うと、図8(2)に示すように、部品電極20、部品本体21,はんだ22のエッジ50,51,52のほか、各色彩領域間の境界を示すエッジ53,54が抽出されてしまう。これらのエッジ53,54は、浮き不良が生じていないはんだ付け部位でも抽出されるので、電極のエッジ50として誤認されるおそれがある。
【0014】
この発明は、上記の問題点に着目し、カラーハイライト方式の光学系により生成されたはんだ付け部位のカラー画像を濃淡画像に変換する際に、はんだ部分に現れる色彩の違いが濃度差として反映されないような画像変換処理を行うことにより、はんだ検査に用いるのと同じカラー画像を用いて部品電極の浮き不良の検査を行えるようにすることを、目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この発明による部品電極の浮き不良の検査方法では、検査対象の基板に対する仰角が異なる複数方向からそれぞれ色彩の異なる光を照射する照明装置と、この照明装置からの照明光に対する基板からの正反射光を入射可能な位置に配置されたカラー画像用の撮像装置とを具備し、はんだ付け後の部品実装基板を照明装置による照明下で撮像装置により撮像し、生成された画像中の各照明色に対応する色彩の分布状態に基づき前記基板上のはんだ付け部位を検査する基板検査装置を用いて検査を実行する。この方法では、画素単位の色彩データを構成する複数の色パラメータにそれぞれ所定の係数を掛け合わせた後に各乗算値の総和を求める演算を実行する機能と、処理対象のカラー画像に設定された検査領域内の各画素の色彩データをそれぞれ前記演算により得られた値に置き換えることにより検査領域内のカラー画像を濃淡画像に変換する機能とを、基板検査装置に設定しておく。そして、検査に先立ち、はんだ付け部位のカラー画像を対象に、各照明色に対応する色彩毎にその色彩が現れている領域における各色パラメータの代表値を求め、これらの代表値を用いて各照明色に対応する色彩毎に前記演算を実行したときに得られる演算結果が同じ値になるものとして各係数を算出する処理を実行する。
【0016】
検査では、検査対象のカラー画像中のはんだ付け部位に部品電極の浮き不良検査のための検査領域を設定するステップ、検査領域内の画素毎に当該画素の色彩データを構成する各色パラメータの値と検査前に求めた各係数の値とを用いて前記演算を実行し、その演算結果に基づき検査領域内のカラー画像を濃淡画像に変換するステップ、変換後の濃淡画像からエッジ画素を抽出するステップ、の各ステップを実行し、所定のしきい値を上回る数のエッジ画素が抽出されたとき、検査領域内に部品電極の浮き不良があると判別する。
【0017】
この方法では、カラー画像の一単位分の色彩データを輝度変換する場合に、各色パラメータをそれぞれ所定の係数により重みづけしてからこれらの総和を求める。これらの係数は、はんだ付け部位のカラー画像に現れるいずれの色彩を対象に演算を実行しても、ほぼ同じ演算結果が得られるように調整されているので、検査領域内の色彩領域のうちはんだ部分に対応する領域については、元の色彩に関わらず、濃度のばらつきが小さな濃淡画像に変換することができる。
【0018】
一方、部品電極が露出し、この電極が画像中に所定の照明色に対応する色彩をもって現れた場合には、この部品電極からの正反射光の強度とはんだからの正反射光の強度との違いが上記の演算結果に反映されるので、部品電極とはんだとの間の濃度差が大きな画像に変換される可能性が高い。
【0019】
このように上記係数を用いた演算によれば、はんだに対応する部分の濃度のばらつきが小さくなり、部品電極に対応する部分がはんだの部分とは異なる濃度で表されるような濃淡画像を生成することができる。よって、変換後の画像にエッジ抽出を行っても、はんだ部分の色彩領域間の境界がエッジとして誤抽出されるのを防止することができ、部品電極の有無を精度良く判別することができる。
【0020】
上記方法において、検査前の各係数を算出する処理は、検査対象の基板と同構成の良品基板を前記撮像装置が撮像したときのカラー画像を用いて、部品電極の浮き不良の検査対象の部品に対応するはんだ付け部位毎に行うのが望ましい。はんだ付け部位に対する照明光の強度は、両者間の位置関係によって多少変動し、またはんだの傾斜角度も部品の高さや大きさにより変動するため、カラー画像中のはんだ部分の色合いも、部品の位置や種類によってばらつくと考えられるからである。上記のように、良品基板のカラー画像を用いて、浮き不良の検査が必要なはんだ付け部位毎に係数を算出しておけば、検査対象のカラー画像でも、はんだの色合いは良品基板の対応箇所に近いものになるから、各色彩が分布するはんだ部分のカラー画像を、濃度のばらつきがきわめて小さな濃淡画像に変換することが可能になる。
【0021】
上記の方法が適用された基板検査装置は、検査対象の基板に対する仰角が異なる複数方向からそれぞれ色彩の異なる光を照射する照明装置と、この照明装置からの照明光に対する基板からの正反射光を入射可能な位置に配置されたカラー画像用の撮像装置とを具備し、はんだ付け後の基板を照明装置による照明下で撮像装置により撮像し、生成された画像中の各照明色に対応する色彩の分布状態に基づき前記基板上のはんだ付け部位を検査して、その検査結果を出力する。この装置には、画素単位の色彩データを構成する複数の色パラメータにそれぞれ所定の係数を掛け合わせた後に各乗算値の総和を求める演算を実行する演算手段と、はんだ付け部位のカラー画像を対象に、各照明色に対応する色彩毎にその色彩が現れている領域における各色パラメータの代表値を求め、これらの代表値を用いて各照明色に対応する色彩毎に前記演算を実行したときに得られる演算結果が同じ値になるものとして各係数を算出する処理を実行する係数算出手段と、撮像装置により生成されたカラー画像中の各はんだ付け部位に設定された検査領域のうち、部品電極の浮き不良の検査対象となる検査領域において、その領域内の各画素につき、それぞれ当該画素の色彩データを構成する色パラメータの値と前記係数算出手段により検査の前に算出された各係数の値とを用いた前記演算手段による演算と、この演算により得られた値により当該画素の色彩データを置き換える処理とにより、前記検査領域内のカラー画像を濃淡画像に変換する画像変換手段と、画像変換手段により生成された濃淡画像からエッジ画素を抽出して、その抽出結果に基づき部品電極の浮き不良の有無を判別する判別手段と、判別手段による判別結果を出力する出力手段とを備える。さらに、判別手段は、抽出したエッジ画素の数を所定のしきい値と比較し、このしきい値を上回るエッジ画素が抽出されているとき、前記濃淡画像に対応する検査領域内に部品電極の浮き不良があると判別する。
【0022】
上記構成の基板検査装置によれば、カラーハイライト方式の光学系により生成されたカラー画像を用いて各はんだ付け部位に対するはんだ検査を実行するとともに、適宜、はんだ検査のために設定したのと同じ検査領域内のカラー画像を用いて、部品電極の浮き不良の検査を実行することができる。
【0023】
上記の基板検査装置の好ましい態様では、係数算出手段は、検査対象の基板と同構成の良品基板を前記撮像装置が撮像したときのカラー画像を用いて前記各係数を求める処理を、画像変換手段の処理対象となる検査領域毎に実行する。また、係数算出手段により算出された係数を画像変換手段の処理対象となる検査領域毎に保存する登録手段をさらに備える。
【0024】
上記の態様によれば、検査に先立つティーチングにおいて、良品基板の画像を用いて検査領域毎に係数を算出してこれを登録しておくので、検査の際には、処理対象の検査領域毎にその領域に適した係数を用いた演算により、はんだ部分に対応する色彩領域間の濃度差がきわめて小さな濃淡画像を生成することが可能になり、部品電極の浮きの有無を精度良く判別することが可能になる。
【発明の効果】
【0025】
この発明によれば、カラーハイライト方式の光学系により生成されたはんだ付け部位のカラー画像を、はんだの部分に現れる複数の色彩領域間における濃度のばらつきは小さくなり、部品電極を表す色彩領域がはんだ部分とは異なる濃度になるような濃淡画像に変換することができる。よって、カラーハイライト方式の光学系により生成されたカラー画像を用いて、はんだ検査を実行するとともに、適宜、同じカラー画像を用いて部品電極の浮き不良を検査することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
図1は、この発明が適用された基板検査装置の光学系の構成、および主要な電気的構成を示す。
この基板検査装置は、はんだ付け処理後のプリント基板Sを対象に、各はんだ付け部位に対するはんだ検査や、部品電極の浮きを検出するための検査などを実行するもので、検査に関する一連の処理を実行する制御処理装置1に、カメラ2、照明装置3、基板ステージ4などが接続された構成のものである。
【0027】
基板ステージ4には、検査対象の基板を支持するためのテーブル部41や、X軸ステージおよびY軸ステージ(いずれも図示せず。)を含む移動機構42などが含まれる。
【0028】
カメラ2および照明装置3は、「カラーハイライト方式」と呼ばれる光学系を構成する。カメラ2は、検査対象の基板のカラー静止画像を生成するもので、基板ステージ4の上方に撮像面を下方に向け、かつ光軸を鉛直方向に合わせた状態で配備される。
【0029】
照明装置3は、基板ステージ4とカメラ2との間に配置された3個の円環状光源31,32,33により構成される。これらの光源31,32,33は、それぞれ、赤色、緑色、青色の各色彩光を発するもので、各中心部をカメラ2の光軸に位置合わせした状態で配備されている。また各光源31,32,33は、基板から見た仰角がそれぞれ異なる方向から光を照射できるように、互いに異なる大きさの径を有するように設定される。具体的には、赤色光源31の径が最も小さく、最も高い位置に配備される。以下、緑色光源32、青色光源33の順に径が大きくなるとともに、径が大きな光源ほど下方位置に配置される。
【0030】
上記構成の光学系によれば、基板上の各はんだ付け部位について、そのはんだ面の傾斜状態が赤、緑、青の各色彩領域の分布状態に反映されたカラー画像を生成することができる。
【0031】
制御処理装置1は、上記の基板ステージ4やカメラ2の動作を制御しつつ、生成されたカラー画像を処理して各種検査を行うもので、コンピュータによる制御部10に、画像入力部11、撮像制御部12、照明制御部13、XYステージ制御部14、メモリ15、検査結果出力部16,操作部17、モニタ18などが接続された構成のものである。
【0032】
画像入力部11には、カメラ2から三原色の画像信号を受け付けるインターフェース回路や、これらの画像信号をディジタル変換するA/D変換回路などが含まれる。このディジタル変換によって、各画素の色彩は、それぞれR,G,Bの各階調データ(たとえば8ビット構成であれば0〜255の数値範囲をとる。)の組み合わせにより表される。この色彩毎の階調データが、「色パラメータ」であり、3つの色パラメータの組み合わせが「色彩データ」である。各画素の色彩データは、それぞれ当該画素のアドレスに対応づけられて、メモリ15の画像格納領域に保存される。
【0033】
撮像制御部12は、カメラ2の撮像タイミングを制御し、照明制御部13は、照明装置3の各光源31〜33の点灯、消灯のタイミングや光量調整などを行う。XYステージ制御部14は、基板ステージ4の移動タイミングや移動量を制御する。
【0034】
メモリ15には、画像データのほか、各被検査部位の検査に用いられるプログラムや検査基準データなどが格納される。制御部10は、これらのプログラムや検査基準データを用いて、検査に関する一連の処理を実行する。大まかに説明すると、基板ステージ4の移動を制御することにより、カメラ2の視野を基板の複数位置に順に合わせながらカメラ2に撮像を行わせる。さらに撮像の都度、画像入力部11により処理されたカラー画像に検査領域を設定して、被検査部位の検出、計測、計測値の適否判定などの処理を実行する。判定の結果は、検査結果出力部16を介して、図示しない外部機器などに出力される。
【0035】
この実施例の基板検査装置では、カラー画像中の各はんだ付け部位に検査領域を設定して、順次はんだ検査を実行する。このはんだ検査では、検査領域内の各画素の色彩データを、それぞれ色パラメータR,G,B毎に設定された2値化しきい値を用いて2値化することによって、視認される色彩が赤色の領域(赤領域)、視認される色彩が緑色の領域(緑領域)、および視認される色彩が青色の領域(青領域)の3種類の色彩領域を抽出する。さらに、これらの色彩領域の面積を個別に計測して、各計測値を判定基準値と照合することにより、はんだ面の傾斜状態の適否を判別する。
【0036】
さらにこの実施例では、部品電極がはんだから露出すると接合不良になるミニモールド部品に対応する検査領域を対象に、この検査領域内のカラー画像を256階調のグレースケールによる濃淡画像(以下、単に「濃淡画像」という。)に変換し、変換後の画像を用いて部品電極の浮き不良の有無を判別する検査(以下、「浮き不良検査」という。)を実行する。
【0037】
この浮き不良検査では、変換後の濃淡画像からエッジを抽出し、抽出されたエッジ画素の数をあらかじめ定めたしきい値と比較する。しきい値を上回る数のエッジ画素が抽出されている場合には、部品電極に対応するエッジが現れているものとみなし、「浮き不良あり」と判断する。
【0038】
上記の浮き不良検査で実行される画像変換処理は、検査領域内の各画素毎に、その画素の色彩データを構成する色パラメータR,G,Bを用いた演算を実行することにより、当該色彩データに対応する輝度値(画素の明るさ)を求め、この輝度値を256階調の値に変換して、画素データとして設定するものである。
この実施例では、赤、緑、青の各色彩領域が分布しているはんだ面について、色彩の違いが変換後の画像に濃度差として現れることがないように、各色パラメータR,G,Bに特定の係数α,β,γによる重み付けを施し、重み付け後の色パラメータの総和を求める演算によって輝度値を算出するようにしている。
【0039】
上記の演算に使用される係数α,β,γ(以下、「輝度変換係数」という。)は、検査前のティーチングモードにおいて、検査対象の基板の良品モデル(以下、「良品基板」という。)のカラー画像(以下、「良品画像」という。)を用いて算出され、メモリ15内に登録される。
【0040】
図2は、上記の輝度変換係数α,β,γの算出に使用される領域の設定例を示す。この例では、良品画像中の浮き不良検査の対象となる部品21のはんだ付け部位22中の赤、緑、青の各色彩が分布している範囲に領域30を設定する。この実施例の領域30はユーザにより指定されるが、これに限らず、はんだ検査用の2値化しきい値を用いて赤、緑、青の各色彩領域を検出し、その検出結果に基づき領域30を自動設定することも可能である。
【0041】
この実施例では、上記領域30内の各画素を、視認される色彩に基づき赤、緑、青の3グループに分類し、グループ毎に、各色パラメータR,G,Bの代表値(この実施例では平均値)を算出する。そして、算出された代表値を用いて輝度変換のための演算をグループ毎に実行した場合にいずれの演算でも同じ結果が得られるように、各輝度変換係数α,β,γの値を調整する。
【0042】
ここで輝度変換係数α,β,γを求めるための方法を具体的に説明する。
上記領域30中の「赤」グループについて求めたR,G,B値の平均値をRr,Gr,Brとし、これらを用いて算出した輝度値をHrとする。同様に、「緑」グループについてはR,G,B値の平均値をRg,Gg,Bg、輝度値をHgとし、「青」グループについてはR,G,B値の平均値をRb,Gb,Bb、輝度値をHbとする。
【0043】
画素単位の色彩データを輝度値に変換するための演算は、各色パラメータR,G,Bにそれぞれ係数α,β,γを掛け合わせてこれら乗算値の総和を求めるものである。よって、グループ毎の輝度値Hr,Hb,Hgを求める式は、それぞれ下記の(1)〜(3)式のようになる。
Hr=α・Rr+β・Gr+γ・Br ・・・(1)
Hg=α・Rg+β・Gg+γ・Bg ・・・(2)
Hb=α・Rb+β・Gb+γ・Bb ・・・(3)
【0044】
したがって上記輝度値Hr,Hg,Hbの値が等しくなる(すなわちHr=Hg=Hb)ものとして、(1)〜(3)式による3元連立方程式を設定することにより、輝度変換係数α,β,γを算出することができる。
【0045】
上記の方法により求めた輝度変換係数によれば、赤、緑、青の各色彩が分布するはんだ部分のカラー画像について、色彩領域間における輝度値の差をきわめて小さくすることができる。よって、変換後の濃淡画像でも、はんだ部分の濃度のばらつきをきわめて小さくすることができる。
したがって、検査対象の基板の浮き検査の対象部品が良好な状態であれば、この部品のはんだ付け部位に設定された検査領域内のカラー画像を上記の係数α,β,γにより濃淡画像に変換した場合、変換後の画像に大きな濃度のばらつきが生じることはないと考えられる。
【0046】
一方、部品電極の浮き不良が発生し、カラー画像中に不良の電極がはんだ部分と同様の色彩(主として赤色)をもって現れた場合でも、電極部分からの正反射光の強度とはんだ部分からの正反射光の強度との間には、反射率の違いなどによる差が生じるため、両者に対する演算結果は異なるものになる。したがって、この場合の変換後の濃淡画像では、電極部分とはんだ部分との間に有意な濃度差が生じる可能性が高くなる。
【0047】
このように、上記の(1)〜(3)式により求めた輝度変換係数α,β,γによりはんだ付け部位に設定された検査領域内の画像を濃淡画像に変換すれば、はんだ部分と電極部分との間には濃度差が生じるが、はんだ部分における濃度のばらつきの小さな濃淡画像を生成することができる。したがって、変換後の濃淡画像に対してエッジ抽出処理を行うと、図3に示すように、部品電極20が露出している箇所では、この電極20のエッジ50が出現するが、はんだ22の部分に分布していた色彩領域間の境界に対応する位置には、図7に示したようなエッジ53,54は出現せず、電極20が誤検出されるのを防止することができる。
【0048】
なお、上記の輝度変換係数α,β,γは、浮き不良検査を行う必要のある検査領域毎に求めるのが望ましい。照明装置との位置関係によってはんだ付け部位からの正反射光の強度にばらつきが生じたり、部品の高さや大きさによってはんだ面の傾斜角度がばらつくと、カラー画像中のはんだ部分の色合いが変化し、好ましい輝度変換係数の値も変動すると考えられるからである。
【0049】
ただし、正反射光の強度やはんだ面の傾斜角度のばらつきが無視できる程度のものであれば、各検査対象部位のうちの特定の1つについて求めた輝度変換係数を、他の検査対象部位にも共通の係数として登録してもよい。
また、ティーチングモード時に限らず、検査において輝度変換係数を算出してもよい。たとえば、浮き不良検査の対象外のはんだ付け部位の中から良品と判別されたはんだ付け部位のカラー画像を選択し、このカラー画像中の赤、緑、青の各色彩を用いて輝度変換係数α,β,γを求め、これらを浮き不良検査に使用することができる。
【0050】
図4は、上記の基板検査装置におけるティーチングモード時の処理の流れを示す。なお、この例では、説明を簡単にするために、ティーチング、検査とも、基板の撮像は1回のみであるものとする。また、以下の説明および図4,6において、各処理のステップを「ST」と略す。
【0051】
ティーチングモードでは、まず最初のST101で基板ステージ4に良品基板を搬入し、つぎのST102でこの良品基板を撮像する。
【0052】
ST103では、上記の撮像により生成されたカラー画像をモニタ18に表示し、画像中の部品毎に以下のST103〜115の処理を実行する。
まずST103では、最初の教示対象の部品について、表示画面上ではんだ付け部位毎に範囲指定操作を受け付け、指定された範囲を検査領域として設定する。ただし、検査領域の設定はこれに限らず、あらかじめ取り込んだ処理対象基板のCADデータを用いて検査領域を仮設定し、ユーザによる修正操作を受け付けるなどの方法をとることもできる。
【0053】
ST104では、設定された検査領域の1つにおいて、はんだ検査用の2値化しきい値や判定基準値を設定する。2値化しきい値は、検査領域内で赤、緑、青の各色彩が現れている領域をユーザに指定させ、これらの領域において、それぞれ色パラメータ毎に領域内の平均値等の代表値を算出する方法により設定される。判定基準値は、設定された2値化しきい値を用いて実際に検査領域内の各色彩領域を抽出し、領域毎に面積を計測する方法により設定される。
【0054】
さらに、処理中のはんだ付け部位が浮き不良検査の対象となる場合には、ST105が「YES」となってST106に進み、図2に示した領域30を指定する操作を受け付ける。
【0055】
つぎのST107では、指定された領域30内の画像をST104で設定された2値化しきい値を用いて2値化することにより、領域内の各画素を「赤色」「緑色」「青色」の各グループに分類する。
【0056】
ST108では、各グループ毎に、そのグループにおける色パラメータR,G,Bの平均値を算出する。
続くST109では、これらの平均値を前出の(1)〜(3)式にあてはめて、輝度変換係数α,β,γを算出する。
【0057】
つぎにST110では、上記の各輝度変換係数α,β,γを用いて検査領域内の各画素毎に輝度値を算出し、その算出結果に基づき、検査領域内のカラー画像を濃淡画像に変換する。ST111では、変換後の濃淡画像にソーベルフィルタ等のエッジ抽出フィルタを適用して、画素毎の濃度勾配を算出する。
【0058】
ST112では、上記ST111で算出された濃度勾配の中の最大値に基づき、エッジ画素抽出用のしきい値dhを設定する(たとえば濃度勾配の最大値に誤差相当の数値を加算したものをdhとする。)。
【0059】
以下同様に、教示対象の部品に対して設定された検査領域に1つずつ着目して、はんだ検査用の2値化しきい値や判定基準値を設定した後に、浮き不良検査を行う必要がある場合には、輝度変換係数α,β,γの算出やエッジ抽出用のしきい値dhの設定を行う。すべての検査領域に対する処理が終了すると、ST113が「YES」となってST114に進む。
【0060】
ST114では、各検査領域の設定データ(たとえば左上頂点および右下頂点の座標)のほか、ST104で設定したはんだ検査用の2値化しきい値や判定基準値を登録する。さらに浮き不良検査を行う場合には、ST109で算出した輝度変換係数α,β,γやST112で設定したエッジ画素抽出用のしきい値dhを登録する。
【0061】
さらに、つぎのST115では、後記する回転ずれ量を検出するためのウィンドウを設定し、登録する。このウィンドウは、図5に示すように、部品本体21の電極が配備されていない範囲に、一方向に延びるエッジのみが含まれるような帯状のウィンドウLWとして設定される。
【0062】
以下、同様にして、画像中のすべての部品について、検査に必要な各種データの設定および登録を行う。すべての部品に対する処理が終了すると、ST116が「YES」となって、ティーチングモードを終了する。
【0063】
図6は、一枚の基板に対する検査の流れを示す。
まず最初のST201では、検査対象の基板を基板ステージ4に搬入し、つぎのST202で撮像を行う。これにより検査対象のカラー画像が生成される。
【0064】
つぎに、ST203では、最初の検査対象部品について、ティーチングモードで登録された検査用データを読み出す。
つぎのST204では、この部品に前出のウィンドウLWを設定し、部品本体の回転ずれ量θを検出する。具体的には、エッジ抽出用フィルタ等によりウィンドウLW内のエッジ画素を検出し、検出された各画素の座標を用いたハフ変換を実行して、エッジに近似する直線を特定する。さらに特定された直線とあらかじめ定めた規準の方向とのなす角度を算出し、算出された角度を回転ずれ量θとする。
【0065】
つぎに、ST205では、最初の検査領域を設定する。つぎのST207では、ST204で検出した回転ずれ量θを用いて、この検査領域の回転ずれを補正する。具体的には、検査領域の位置を固定したまま、検査領域を含む所定範囲内の画像を、角度θだけ基準の方向に近づくように回転させる。
部品が回転ずれを起こしていると、本来検査領域に含まれるべき部分が検査領域から逸脱したり、検査領域に含まれるべきでない部分が検査領域に入ってしまう。ST207の処理によれば、そのような不具合が是正され、適切な範囲に検査領域を設定することができる。
【0066】
つぎのST207では、補正後の検査領域に対し、2値化しきい値を用いた2値化処理により、赤、緑、青の各色彩領域を抽出する。
【0067】
続いてST208では、各色彩領域の面積を計測する。ST209では、各色彩領域につき得た計測値をそれぞれ対応する判定基準値と照合することにより、はんだ面の状態の適否を判定する。
【0068】
上記の検査領域に浮き不良検査用の検査用データが登録されていない場合には、ST210が「NO」となり、この検査領域における検査を終了する。
【0069】
一方、浮き不良検査用の検査用データが登録されている場合には、ST210が「YES」となってST211に進む。
ST211では、はんだ検査を実行したのと同じ検査領域を対象に、この領域内の各画素の色彩データとティーチング時に当該領域につき登録された輝度変換係数α,β,γとを用いて各画素の輝度値を算出する。そしてこの算出結果に基づき、検査領域内のカラー画像を濃淡画像に変換する。
【0070】
ST212では、変換後の濃淡画像における各画素の濃度勾配を抽出する。つぎのST213では、抽出された濃度勾配がしきい値dhを上回る画素をエッジ画素として特定しつつ、その数を計数する。ST214では、この計数値を電極検出用のしきい値と比較することによって、浮き不良が生じているかどうかを判別する。この場合、計数値がしきい値を上回れば、「浮き不良あり」と判断される。
【0071】
以下、各はんだ付け部位に対して上記と同様に、検査領域を設定してはんだ検査を実行し、さらに必要に応じて浮き不良検査を実行する。すべての検査領域に対する処理が終了すると、ST215が「YES」となり、ST216の判定処理の後にST203に戻る。以下、各部品に対して、同様の処理を実行する。
【0072】
すべての部品に対する処理が終了すると、ST216が「YES」となってST217に進み、各部品に対する判定結果を統合したデータを検査結果として出力する。さらにST218では検査対象の基板を搬出し、処理を終了する。
【0073】
上記図4および図6に示した処理によれば、ティーチングモード時に、良品画像を用いて輝度変換係数α,β,γを検査領域毎に算出し、検査においても、各検査領域毎にその領域につき登録された輝度変換係数α,β,γを用いて、濃淡画像への変換処理を行うので、はんだ部分に対応する色彩分布が生じている部位の濃度のばらつきをごく小さなものにすることができる。さらに、ティーチング時には、算出した各係数を用いて良品画像中の検査領域を濃淡画像に変換し、その画像における濃度勾配の最大値に基づいてエッジ画素抽出用のしきい値dhを設定するので、検査領域内のはんだ部分の変換後の濃淡画像にある程度の濃度のばらつきが生じても、そのばらつきによる生じる小さな濃度勾配によってエッジ画素が抽出されることがない。よって、部品電極とはんだ部分との境界に相当するエッジを精度良く検出することができ、浮き不良検査の精度を確保することができる。
【0074】
なお、上記では、部品電極20の露出した状態を浮き不良であると説明したが、製造者によっては、一部の露出であれば許容して良品と判定する場合がある。このような判定基準にも、エッジ画素の抽出数の照合用のしきい値dhの値を調整したり、検査領域内の部品電極20の露出を許容する範囲に処理除外領域を設けることによって、容易に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】基板検査装置の電気的構成を光学系の構成とともに示すブロック図である。
【図2】輝度変換係数の算出に用いる領域の設定例を示す説明図である。
【図3】カラー画像と、このカラー画像から変換された濃淡画像に対するエッジ抽出結果とを対応づけて示す説明図である。
【図4】ティーチング時の処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】回転ずれ量の検出用のウィンドウの設定例を示す説明図である。
【図6】検査の処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】ミニモールド部品の実装が良好な状態と浮き不良が生じた状態とを対比させて示す説明図である。
【図8】カラー画像と、このカラー画像を従来の方法により濃淡画像に変換してエッジ抽出処理を行った結果とを対応づけて示す説明図である。
【符号の説明】
【0076】
1 制御処理装置
2 カメラ
3 照明装置
10 制御部
15 メモリ
20 部品電極
22 はんだ
50 エッジ
S 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象の基板に対する仰角が異なる複数方向からそれぞれ色彩の異なる光を照射する照明装置と、この照明装置からの照明光に対する基板からの正反射光を入射可能な位置に配置されたカラー画像用の撮像装置とを具備し、はんだ付け後の部品実装基板を照明装置による照明下で撮像装置により撮像し、生成された画像中の各照明色に対応する色彩の分布状態に基づき前記基板上のはんだ付け部位を検査する基板検査装置を用いて、部品電極の浮き不良の有無を検査する方法であって、
画素単位の色彩データを構成する複数の色パラメータにそれぞれ所定の係数を掛け合わせた後に各乗算値の総和を求める演算を実行する機能と、処理対象のカラー画像に設定された検査領域内の各画素の色彩データをそれぞれ前記演算により得られた値に置き換えることにより前記検査領域内のカラー画像を濃淡画像に変換する機能とを、前記基板検査装置に設定しておき、
検査に先立ち、はんだ付け部位のカラー画像を対象に、各照明色に対応する色彩毎にその色彩が現れている領域における各色パラメータの代表値を求め、これらの代表値を用いて各照明色に対応する色彩毎に前記演算を実行したときに得られる演算結果が同じ値になるものとして各係数を算出する処理を実行し、
検査対象のカラー画像中のはんだ付け部位に部品電極の浮き不良検査のための検査領域を設定するステップ、
前記検査領域内の画素毎に当該画素の色彩データを構成する各色パラメータの値と検査前に求めた各係数の値とを用いて前記演算を実行し、その演算結果に基づき検査領域内のカラー画像を濃淡画像に変換するステップ、
変換後の濃淡画像からエッジ画素を抽出するステップ、
の各ステップを実行し、所定のしきい値を上回る数のエッジ画素が抽出されたとき、前記検査領域内に部品電極の浮き不良があると判別する、
ことを特徴とする部品電極の浮き不良の検査方法。
【請求項2】
前記検査前の各係数を算出する処理は、検査対象の基板と同構成の良品基板を前記撮像装置が撮像したときのカラー画像を用いて、部品電極の浮き不良の検査対象の部品に対応するはんだ付け部位毎に行われる、請求項1に記載された部品の浮き不良検査方法。
【請求項3】
検査対象の基板に対する仰角が異なる複数方向からそれぞれ色彩の異なる光を照射する照明装置と、この照明装置からの照明光に対する基板からの正反射光を入射可能な位置に配置されたカラー画像用の撮像装置とを具備し、はんだ付け後の部品実装基板を照明装置による照明下で撮像装置により撮像し、生成された画像中の各照明色に対応する色彩の分布状態に基づき前記基板上のはんだ付け部位を検査して、その検査結果を出力する基板検査装置において、
画素単位の色彩データを構成する複数の色パラメータにそれぞれ所定の係数を掛け合わせた後に各乗算値の総和を求める演算を実行する演算手段と、
はんだ付け部位のカラー画像を対象に、各照明色に対応する色彩毎にその色彩が現れている領域における各色パラメータの代表値を求め、これらの代表値を用いて各照明色に対応する色彩毎に前記演算を実行したときに得られる演算結果が同じ値になるものとして各係数を算出する処理を実行する係数算出手段と、
前記撮像装置により生成されたカラー画像中の各はんだ付け部位に設定された検査領域のうち、部品電極の浮き不良の検査対象となる検査領域において、その領域内の各画素につき、それぞれ当該画素の色彩データを構成する色パラメータの値と前記係数算出手段により検査の前に算出された各係数の値とを用いた前記演算手段による演算と、この演算により得られた値により当該画素の色彩データを置き換える処理とにより、前記検査領域内のカラー画像を濃淡画像に変換する画像変換手段と、
前記画像変換手段により生成された濃淡画像からエッジ画素を抽出して、その抽出結果に基づき部品電極の浮き不良の有無を判別する判別手段と、
前記判別手段による判別結果を出力する出力手段とを備え、
前記判別手段は、抽出したエッジ画素の数を所定のしきい値と比較し、このしきい値を上回るエッジ画素が抽出されているとき、前記濃淡画像に対応する検査領域内に部品電極の浮き不良があると判別する、基板検査装置。
【請求項4】
前記係数算出手段は、検査対象の基板と同構成の良品基板を前記撮像装置が撮像したときのカラー画像を用いて前記各係数を求める処理を、画像変換手段の処理対象となる検査領域毎に実行し、
前記係数算出手段により算出された係数を画像変換手段の処理対象となる検査領域毎に保存する登録手段をさらに備えている、請求項3に記載された基板検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−292398(P2008−292398A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−140385(P2007−140385)
【出願日】平成19年5月28日(2007.5.28)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】