配線基板、スタック及び双極型二次電池
【課題】端子部の集電体への取り付け位置を複数の単電池間で同じにし得る配線基板、スタック及び双極型二次電池を提供する。
【解決手段】複数の歯(21a、21b、21c、21d)と当該複数の歯を束ねて一体とした幹(21e)からなる櫛状部位(21f)と、この櫛状部位(21f)と接続される一つの柄(21g)とで構成される絶縁基板(26)と、この絶縁基板(26)上に導電材料で形成され前記複数の歯のそれぞれの先端から前記柄の端まで個別に伸延し前記複数の歯の先端に接触する導電体の電位を前記柄の端まで電導させる複数の配線(22、23、24、25)と、前記複数の歯の先端に導電材料が露出する端子部(22a、23a24a、25a)とを有し、前記複数ある歯の長さを相違させる。
【解決手段】複数の歯(21a、21b、21c、21d)と当該複数の歯を束ねて一体とした幹(21e)からなる櫛状部位(21f)と、この櫛状部位(21f)と接続される一つの柄(21g)とで構成される絶縁基板(26)と、この絶縁基板(26)上に導電材料で形成され前記複数の歯のそれぞれの先端から前記柄の端まで個別に伸延し前記複数の歯の先端に接触する導電体の電位を前記柄の端まで電導させる複数の配線(22、23、24、25)と、前記複数の歯の先端に導電材料が露出する端子部(22a、23a24a、25a)とを有し、前記複数ある歯の長さを相違させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は配線基板、スタック及び双極型二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
積層型電池においては、各単電池が製造バラツキによりその内部抵抗や容量等にバラツキを有するため、単電池を直列に接続したときに各単電池の電圧にバラツキが生じる。この電圧バラツキが大きい電池から劣化が進行し、積層型電池としての寿命が制限されてしまう。従って、各単電池の電圧を測定し、その測定結果に基づいて各単電池の電圧を制御することにより、全ての単電池の電圧を均等にすることが望ましい。
【0003】
このため、積層型電池(双極型二次電池)の各単電池の電圧を測定するべく、各集電体にフレキシブルな(可撓性のある)配線基板を取り付け各単電池の電圧を外部に取り出すようにしたものがある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−160060号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の配線基板は、複数の歯と当該複数の歯を束ねて一体とした幹からなる櫛状部位と、この櫛状部位と接続される一つの柄とで構成される絶縁基板と、この絶縁基板上に導電材料で形成され前記複数の歯のそれぞれの先端から柄の端まで個別に伸延し前記複数の歯の先端に接触する導電体の電位を前記柄の端まで電導させる複数の配線とを有している。複数の歯の先端には導電材料が露出する端子部を有し、この端子部を対応する集電体に取り付けている。
【0006】
しかしながら、上記の配線基板では、複数ある歯の長さ並びに端子部面積及び端子部とこの端子部に対応する集電体との間の接着力が全て同じであるため、端子部を集電体の上下両面に設けられる電極活物質の端部から同じ距離だけ離れた位置の集電体に接着した後には、複数ある歯のたるみ度合が異なる。このため、積層型電池を振動が生じる環境下で使用する場合に、相対的に弛んでない歯には、相対的に弛んでいる歯より相対的に大きな引張応力が作用する。この相対的に大きな引張応力が作用する歯では相対的に小さな引張応力が作用する歯より断線する可能性が高くなる。配線基板に断線が生じると、全ての単電池層の分担電圧を精度良く測定できなくなる。
【0007】
そこで本発明は、端子部の集電体への取り付け位置を複数の単電池間で同じにし得る配線基板、スタック及び双極型二次電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、複数の歯と当該複数の歯を束ねて一体とした幹からなる櫛状部位と、この櫛状部位と接続される一つの柄とで構成される絶縁基板と、この絶縁基板上に導電材料で形成され前記複数の歯のそれぞれの先端から前記柄の端まで個別に伸延し前記複数の歯の先端に接触する導電体の電位を前記柄の端まで電導させる複数の配線と、前記複数の歯の先端に導電材料が露出する端子部とを有し、前記複数ある歯の長さを相違させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、配線基板をスタックに取り付けるに際して、積層型電池の構成要素である複数の単電池に対して、複数ある端子部を集電体周縁部の同じ位置に取り付けることが可能となる。この結果、複数ある歯の長さを同じにしている配線基板の場合よりも複数の単電池の各電圧を精度良く測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1実施形態の配線基板の取り付けられたスタックの概略縦断面図である。
【図2】第1実施形態の配線基板の取り付けられたスタックを上から見た平面図である。
【図3】第1実施形態の配線基板の取り付けられたスタックの縦断面図である。
【図4】比較例1の配線基板及び第1実施形態の配線基板の各平面図である。
【図5】比較例1の配線基板をスタックに取り付けた場合の第1、第4の端子部の集電体への接続部のみの拡大図である。
【図6】第1実施形態の配線基板をスタックに取り付けた場合の第1、第4の端子た部の集電体への接続部のみの拡大図である。
【図7】第1実施形態の配線基板の簡略モデル図である。
【図8】第2、第3、第4、第5の実施形態の配線基板の簡略モデル図である。
【図9】第2、第3の実施形態の配線基板をスタックに取り付けたときに配線基板側から見た概略図である。
【図10】第6、第7、第8の実施形態の配線基板の簡略モデル図である。
【図11】第9実施形態の配線基板の取り付けられた双極型二次電池の概略縦断面図である。
【図12】第9実施形態の配線基板の取り付けられた双極型二次電池を上から見た平面図である。
【図13】双極型二次電池の一部拡大概略縦断面図である。
【図14】比較例2の配線基板の平面図である。
【図15】第9実施形態の配線基板の平面図である。
【図16】第10実施形態の配線基板の平面図である。
【図17】第11実施形態の配線基板の取り付けられ双極型二次電池の概略縦断面図である。
【図18】第11実施形態の配線基板の取り付けられた双極型二次電池を上から見た平面図である。
【図19】第11実施形態の配線基板の平面図である。
【図20】第12実施形態の配線基板の平面図である。
【図21】第13実施形態の配線基板の取り付けられた双極型二次電池の概略縦断面図である。
【図22】第13実施形態の配線基板の取り付けられた双極型二次電池を上から見た平面図である。
【図23】第13実施形態の配線基板の平面図である。
【図24】第9実施形態の配線基板の取り付けられた双極型二次電池の外部との接続状態を示した概略縦断面図及び外部との接続部分を含めた第9実施形態の配線基板の取り付けられた双極型二次電池の概観図である。
【図25】第14実施形態の配線基板の取り付けられた双極型二次電池の外部との接続状態を示した概略縦断面図及び外部との接続部分を含めた第14実施形態の配線基板の取り付けられた双極型二次電池の概観図である。
【図26】第15実施形態の配線基板の取り付けられた双極型二次電池の外部との接続状態を示した概略縦断面図及び外部との接続部分を含めた第15実施形態の配線基板の取り付けられた双極型二次電池の概観図である。
【図27】第16実施形態の配線基板の取り付けられた双極型二次電池の外部との接続状態を示した概略縦断面図及び外部との接続部分を含めた第16実施形態の配線基板の取り付けられた双極型二次電池の概観図である。
【図28】第17実施形態の配線基板の取り付けられた双極型二次電池の外部との接続状態を示した概略縦断面図及び外部との接続部分を含めた第17実施形態の配線基板の取り付けられた双極型二次電池の概観図である。
【図29】外部との接続部分を含めた第18実施形態の配線基板の取り付けられた双極型二次電池の概観図である。
【図30】第1実施形態の配線基板の取り付けられたスタックの概略斜視図である。
【図31】第1実施形態の配線基板の取り付けられたスタックの概略側面図である
【図32】第19、第20の実施形態の配線基板の簡略モデル図である。
【図33A】第19実施形態の4つの端子部の露出導電部の集電体への取り付け状態を示す概略断面図である。
【図33B】第20実施形態の4つの端子部の露出導電部の集電体への取り付け状態を示す概略断面図である。
【図34】双極型二次電池の一部拡大概略縦断面図である。
【図35】2つの強電タブのみを取り出して示す斜視図である。
【図36】第21実施形態の配線基板の平面図である。
【図37】一の比較例1の4つの端子部の露出導電部の集電体への取り付け状態を示す概略断面図である。
【図38】他の比較例1の4つの端子部の露出導電部の集電体への取り付け状態を示す概略断面図である。
【図39】端子部の周縁に絶縁部を有する場合の第1実施形態の4つの端子部の露出導電部の集電体への取り付け状態を示す概略断面図である。
【図40】端子部の周縁に絶縁部を有さない場合の第1実施形態の4つの端子部の露出導電部の集電体への取り付け状態を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下図面に基づいて実施形態を説明する。以下の図面では、発明の理解を容易にするため、積層型電池を構成する要素などの各層の厚さや形状を誇張して示しているところがある。
【0012】
図1は本発明の第1実施形態の配線基板21の取り付けられたスタック2の概略縦断面図、図2は同スタック2から強電タブ16、17を除いた部分を上から見た平面図である。スタック2は双極型二次電池を構成する一単位である。図1において上方が鉛直上方、下方が鉛直下方であるとする。
【0013】
矩形かつ平板状の集電体4は、導電性高分子材料または非導電性高分子材料に導電性フィラーが添加された樹脂で形成されている。集電体4は、樹脂に限らず金属で形成されていてもよい。スタック2は、図1において水平方向に置かれた集電体4の鉛直下面に正極活物質層5(正極)が、集電体4の鉛直上面に負極活物質層6(負極)がそれぞれ形成された双極型電極3を4つ(複数)有している。なお、負極活物質層6のほうが正極活物質層5より表面積が広くされている。各双極型電極3は、鉛直方向に電解質層7を介して積層されて(直列に接続されて)1つのスタック2を形成している。
【0014】
ここで、上下方向に隣り合う2つの双極型電極をそれぞれ上段双極型電極、下段双極型電極としたとき、下段双極型電極の上面に位置する負極活物質層6と、上段双極型電極の下面に位置する正極活物質層5とが電解質層7を介して互いに向き合うように、下段、上段の各双極型電極が配置されている。
【0015】
正極、負極の2つの電極活物質層5、6の水平方向の外周は、集電体4の水平方向の外周よりも一回り狭く形成されている。この2つの電極活物質層5、6の設けられていない集電体4の周縁部(水平方向の全周)に、所定幅を有するシール材11を挟むことで、正極活物質層5と負極活物質層6とを絶縁すると共に、図1で上下方向に対向する2つの電極活物質層5、6の間に所定の空間8が生じるようにしている。また、シール材11は、2つの各活物質層5、6の水平方向の端部よりも余裕を持って外側に配置されている。
【0016】
上記の空間8には、液体状またはゲル状の電解質9が充填されることで、電解質層7を形成している。
【0017】
電解質9が充填されている空間8には、多孔質膜で形成されるセパレータ12が設けられ、このセパレータ12によっても対向する2つの電極活物質層5、6が電気的に接触するのが防止されている。電解質9はこのセパレータ12を通過し得る。
【0018】
なお、スタック2の最上段と最下段には、スタック2より離した位置に強電タブ16、17を参考までに示している。後述するように、本実施形態の配線基板が取り付けられた双極型二次電池は、5つのスタック2を直列に接続する(モジュール化する)ことで構成される。この双極型二次電池において、最上段の負極活物質層6に一方の強電タブ16が、最下段の正極活物質層5に他方の強電タブ17がそれぞれ接続される。双極型二次電池の充電後にプラス端子として機能するのが一方の強電タブ16、充電後にマイナス端子として機能するのが他方の強電タブ17である。
【0019】
電解質層7を挟んだ正極活物質層5及び負極活物質層6から一つの単電池層15(単電池)を構成している。したがって、スタック2は、3つの単電池層15を直列に接続した構成ともなっている。
【0020】
単電池層15を直列に接続した数は図1では3つであるが、単電池層15を直列に接続する数や後述するスタックを直列に接続する数は実際には所望する電圧に応じて調節すればよい。
【0021】
さて、直列に接続する複数の単電池層15で各電圧が同じでないと、スタック2全体として所望の電池電圧が得られない。例えば、図3に示したように、4つの集電体4を鉛直下方より第1集電体4a、第2集電体4b、第3集電体4c、第4集電体4dとして、また3つの各単電池層15を鉛直下方より第1単電池層15a、第2単電池層15b、第3単電池層15cとして区別する。このとき、第1単電池層15aの電圧ΔV1は第2集電体4bを介して得られる電圧と、第1集電体4aを介して得られる電圧とから測定することでができる。
【0022】
同様にして、第2単電池層15bの電圧ΔV2は第3集電体4cを介して得られる電圧と、第2集電体4bを介して得られる電圧とから、第3単電池層15cの電圧ΔV3は第4集電体4dを介して得られる電圧と、第3集電体4c介して得られる電圧とから測定することでができる。
【0023】
積層型電池であるスタック2においては、3つの各単電池層15a、15b、15cが製造バラツキによりその内部抵抗や容量等にバラツキを有するので、3つの単電池層15a、15b、15cを直列に接続したときに各単電池層15a、15b、15cの電圧ΔV1、ΔV2、ΔV3にバラツキが生じる。この電圧バラツキには、各単電池層の電圧が基準値より大きくなる場合と、電圧が基準値より小さくなる場合とがある。こうした電圧バラツキの中で、電圧バラツキが大きい電池から劣化が進行し、積層型電池としての寿命が制限されてしまう。従って、3つの各単電池層15a、15b、15cの電圧ΔV1、ΔV2、ΔV3を測定し、その測定結果に基づいて3つの各単電池層15a、15b、15cの電圧ΔV1、ΔV2、ΔV3を制御することにより、全ての単電池層15a、15b、15cの電圧ΔV1、ΔV2、ΔV3を均等にすることが望ましい。
【0024】
このため、積層型電池であるスタック2の各単電池層15a、15b、15cの電圧を測定するべく、各単電池層15a、15b、15cの集電体に可撓性のある配線基板を取り付け、各単電池層15a、15b、15cの電圧ΔV1、ΔV2、ΔV3を外部に取り出すことを考える。例えば、図4上段に示したような比較例1の配線基板21を用意する。比較例1の配線基板21は4つの歯21a、21b、21c、21dと当該複数の歯を束ねて一体とした幹21eからなる櫛状部位21fと、この櫛状部位21fと接続される一つの柄21gとで構成される絶縁フィルム26(絶縁基板)と、この絶縁フィルム26上に導電材料で形成され4つの歯21a、21b、21c、21dのそれぞれの先端から柄21gの端まで個別に伸延し4つの歯の先端に接触する導電体の電位を柄21gの端まで電導させる4つの配線22、23、24、25とを有している。また、図4上段において4つの歯21a、21b、21c、21dの各先端には、導電材料が露出する端子部22a、23a、24a、25aを有している。柄21gの端(図4上段で右端)には図示しないコネクタを有する。なお、柄21gは、外部から4つの各単電池層15a、15b、15cの電圧ΔV1、ΔV2、ΔV3を測定できるようにするために、スタック2(電池)あるいは後述する双極型二次電池30の外装材を突き抜けてコネクタが外装材の外に出ていることが必要である。このため、柄21gにはある程度の長さが必要である。
【0025】
詳細には、配線基板21は、ポリイミド系樹脂材料からなる絶縁基板と、絶縁体の接着材からなる第1接着層と、導電体である銅からなる配線層と、絶縁体の接着材からなる第2接着層と、ポリイミド系樹脂材料からなるカバー層の5つの層からなり、4つの歯21a、21b、21c、21dの先端である端子部22a、23a、24a、25aでは表面に銅を露出させるために、第2接着層とカバー層を取り除いている。すなわち、4つの端子部22a、23a、24a、25aは、ポリイミド系樹脂材料からなる絶縁基板と、絶縁体の接着材からなる第1接着層と、導電体である銅からなる配線層の3つの層からなる。一方、配線基板21は、ポリイミドからなる絶縁基板を有しているため4つの歯の裏面もポリイミド系樹脂材料からなる絶縁基板で覆われている。4つの端子部22a、23a、24a、25aの厚みは、対向する集電体間の間隔よりも小さいことを要する。
【0026】
この比較例1の配線基板21をスタック2の3つの各単電池層15a、15b、15c毎に図37または図38に示したように取り付ける。図37、図38はそれぞれ一の比較例1の、他の比較例1の4つの端子部22a、23a、24a、25aを示した概略断面図である。なお、図37に示した1の比較例1では、端子部22a、23a、24a、25aの周縁に絶縁部125、126、127、128を形成し中央に残る部分を導電部(この導電部を「露出導電部」という。)121、122、123、124として構成している。一方、図38に示した他の比較例1では、絶縁部125、126、127、128を形成していない。図4上段の配線基板21は露出導電部が見える側を紙面手前にして示している。そして、露出導電部の紙面手前側に導電性テープ(後述する)を置いている。ここで、図4上段において4つの端子部を第1端子部22a、第2端子部23a、第3端子部24a、第4端子部25aとして区別する。これら4つの端子部22a、23a、24a、25aと4つの集電体4a、4b、4c、4dとを電気的に接続するために、以下の工程を実施する。すなわち、第1集電体4aの周縁部(図37、図38で右端部)に導電性両面テープ(以下「導電性テープ」という。)111を置き、その導電性テープ111の上に第1端子部22aの露出導電部121を配置する。その後、第1端子部22aの上にシール材11を配置し、その上に第2集電体4bを乗せる。この第2集電体4bの周縁部(図37、図38で右端部)に導電性テープ112を置き、その導電性テープ112の上に第2端子部23aの露出導電部122を配置する。その後、第2端子部23aの上にシール材11を配置し、その上に第3集電体4cを乗せる。こうした作業を繰り返すことにより、双極型電極3を4つ積層する。その後、熱圧着工程により積層された4つの双極型電極3を熱圧着させる。シール材11は集電体4a、4b、4c、4dと熱溶着により接着されるとともに、4つの各集電体4a、4b、4c、4dに対応する端子部22a、23a、24a、25aの露出導電部121〜124を押しつけるように電気的に接続される。シール材11としては、弾性体であるPEO、PPO、PVdF、エポキシ樹脂、シリコン樹脂などを用いることができる。シール材11に弾性体を用いることにより集電体4a、4b、4c、4dと、導電体である銅が露出した端子部22a、23a、24a、25aとの熱膨張係数の違いにより発生する応力を吸収し、温度変化による剥がれを防止できる。
【0027】
配線基板21の4つの各端子部22a、23a、24a、25aの露出導電部121〜124をこのようにしてスタック2に取り付けることにより、4つの端子部22a、23a、24a、25aの露出導電部121〜124に接触する被測定体である集電体4a、4b、4c、4dの電圧(電位)を、コネクタを通して外部に出力させることができる。このように柄21gの端にコネクタを有することにより、コンパクトかつ少ない工数で3つの各単電池層15a、15b、15cの電圧ΔV1、ΔV2、ΔV3を測定できることとなる。
【0028】
さらに説明すると、2つの各比較例1の配線基板21では、4つある各導電性テープ111〜114が露出導電部121〜124と接着する面積のほか、4つの各歯21a、21b、21c、21dの長さ及び太さ、4つある端子部22a、23a、24a、25aの面積、4つある導電性テープ111〜114の接着面積が全て同じである。
【0029】
ここで、歯の太さは歯の幅と厚さを含んだ概念であるので、歯の幅と厚さを個別に定義する。歯の幅とは、図4上段において歯21a、21b、21c、21dの上下方向の幅のことである。また、図4上段において歯21a、21b、21c、21dには紙面を貫く方向にある厚さを有している。歯の厚さとはこの紙面を貫く方向の歯21a、21b、21c、21dの厚さのことである。歯の厚さが同じであれば、歯の幅を広くすることによって歯を太くすることができる。また、歯の幅が同じであれば、歯の厚さを厚くすることによって歯を太くすることができる。配線基板21をスタック2に取り付けたとき、図4上段に示した上下方向は集電体4a〜4dの面と平行な方向に、また図4上段において紙面を貫く方向は単電池層の積層方向となる。従って、配線基板21をスタック2に取り付けたとき、4つの各歯21a、21b、21c、21dは単電池層の積層方向(単電池の直列方向)に所定の厚さを、集電体の面と平行な方向に所定の幅を有するものである。
【0030】
また、後述する第1〜第8の実施形態において端子部の面積(この面積を以下「端子部面積」ともいう。)とは、1つの端子部の面積をいい、4つの端子部の面積を合わせた面積はいわない。なお、後述する第9〜第19の実施形態においては、1つの配線基板全体の端子部面積、つまり4つの端子部の面積をまとめて端子部面積ということがある。また、端子部面積とは、端子部の周縁に絶縁部を有する場合(図37参照)には絶縁部を含んだ面積をいい、端子部の周縁に絶縁部を有さない場合(図38参照)には絶縁部を含まない面積をいうものとする。露出導電部面積とは、端子部の周縁に絶縁部を有する場合(図37参照)には絶縁部を除いた、つまり露出導電部のみの面積をいう。端子部の周縁に絶縁部を有さない場合(図38参照)には露出導電部面積は端子部面積と一致する。一方、接着面積とは、導電性テープが露出導電部と当接する面積(集電体と当接する面積でもある)をいうものとする。簡単には導電性テープの面積が接着面積である。端子部と集電体との接着力は接着面積に依存し、接着面積が大きくなるほど端子部と集電体との接着力が強くなる。導電性テープの面積はそのままで露出導電部面積を大きくしただけでは、端子部と集電体との接着力は強くならない。
【0031】
図4上段には導電性テープ111、112、113、114を端子部22a、23a、24a、25aの露出導電部121、122、123、124に重ねて記載している。ただし、導電性テープと端子部の露出導電部とを重ねると見にくくなるので、導電性テープ111〜114を端子部の露出導電部より少し小さく記載している。実際には、図37、図38に示したように導電性テープ111〜114の接着面積は端子部の露出導電部面積と同一としている。なお、導電性テープの接着面積は必ずしも端子部の露出導電部面積と同一である必要はなく、導電性テープの接着面積は端子部の露出導電部面積より少し大きくてもあるいは少し小さくてもかまわない。この場合、4つある導電テープ111〜114を、第1導電性テープ111、第2導電性テープ112、第3導電性テープ113、第4導電性テープ114として区別する。
【0032】
ここで、端子部とこの端子部に対応する集電体との間の接着力(以下簡単に「端子部の露出導電部と集電体との接着力」ともいう。)は、導電性テープ111〜114の接着面積と接着方法とに依存する。同じ接着方法であれば、接着面積が大きくなるほど接着力が強くなる。接着面積が同じであれば、接着方法により接着力が相違する。
【0033】
樹脂で形成されている集電体4a〜4dと、端子部22a、23a、24a、25aの露出導電部121〜124との接着には導電部材、超音波溶接、熱圧着の少なくとも一つを用いる。これは、金属で形成されている集電体より接触抵抗の大きな樹脂集電体(部材)4a〜4dに端子部22a、23a、24a、25aの露出導電部121〜124を接着する場合には、導電部材を用いて接着したり、機械的に接着したり、熱を用いて接着することにより、樹脂集電体と端子部の露出導電部121〜124との間の接触抵抗を低減できるためである。樹脂集電体と端子部の露出導電部121〜124との接着後には接触抵抗が1Ω以下になっていることが好ましい。
【0034】
上記の導電部材としては導電性テープ、導電性接着ペースト、導電性熱硬化シール材、導電性熱可塑シール材、異方導電性接着剤を挙げることができる。導電性テープには一般的に用いられている材料を用いればよい。例えば、アクリル系のテープに導電性フィラーを分散させているものがある。導電性フィラーにはカーボンおよび、Fe,Ni,Al,Ag,Au,Cuなどの金属粒子が含まれる。導電性テープの接着方式としてはラミネート方式などがある。上記の異方導電性接着剤の塗布方法には、ダイコーティング、スクリーン印刷方式、インクジェット印刷方式などがある。
【0035】
このように、2つの各比較例1の配線基板21では、4つある歯21a、21b、21c、21dの長さ及び太さ、4つある端子部22a、23a、24a、25aの端子部面積、4つある露出導電部面積、4つある導電性テープ111〜114の接着面積が全て同じであるため、端子部22a、23a、24a、25aの露出導電部121〜124を対応する各集電体4a、4b、4c、4dに取り付ける際に、集電体の上下両面に設けられる電極活物質層5、6の端部(図3では右端部)から、この端子部22a、23a、24a、25aの露出導電部121〜124の取付位置までの距離にバラツキが生じ得る。電極活物質層5、6に生じる電荷は電極活物質層5、6の端部から各集電体4a、4b、4c、4dを介して各端子部22a、23a、24a、25aの露出導電部121〜124へと移動する。このため、電極活物質層5、6の端部と端子部22a、23a、24a、25aの露出導電部121〜124の取り付け位置との距離が長くなるほど電荷が移動する集電体部分の内部抵抗(電気抵抗)が大きくなる。この内部抵抗の影響は、特に樹脂集電体においてより顕著となる。つまり、3つの各単電池層15a、15b、15cの電圧ΔV1、ΔV2、ΔV3は正常であっても、4つの各端子部22a、23a、24a、25aの露出導電部121〜124の取り付け位置のバラツキに伴う電圧降下の影響を受けて、3つの各電圧ΔV1、ΔV2、ΔV3を正確に測定できなくなる。
【0036】
これについて図5を参照して説明する。ここで、図3において4つの歯21a、21b、21c、21dを下から第1歯21a、第2歯21b、第3歯21c、第4歯21dとして区別する。また、4つの配線22、23、24、25を第1配線22、第2配線23、第3配線24、第4配線25として区別する。図5は図3のうち第1端子部22aの露出導電部121を第1導電性テープ111を介して第1集電体4aに接続した接続部及び第4端子部25aの露出導電部124を第4導電性テープ114を介して第4集電体4dに接続した接続部のみを拡大して示し、第2端子部23aの露出導電部122を第2導電性テープ112を介して第2集電体4bに接続した接続部及び第3端子部24aの露出導電部123を第3導電性テープ113を介して第3集電体4cに接続した接続部は省略して示していない。
【0037】
図5において下方に位置する第1集電体4a上面の負極活物質層6aの電荷は第1集電体4aを介して第1導電性テープ111から第1端子部22aの露出導電部121へと流れ、また図5において上方に位置する第4集電体4d上面の負極活物質層6dの電荷は第4集電体4dを介して第4導電性テープ114から第4端子25aの露出導電部124へと流れる。第1、第4の各集電体4a、4dが、前述したように金属でなく、導電性高分子材料または非導電性高分子材料に導電性フィラーが添加された樹脂で形成されている。つまり樹脂集電体の場合には、電荷が移動する集電体部分が金属で形成されている集電体よりも大きな内部抵抗(電気抵抗)を有している。このため、2つの各負極活物質層6a、6dの右端部から2つの各端子部22a、25aの露出導電部121、124までの距離が同じになるように2つの各端子部22a、25aの露出導電部121、124を、導電性テープ111、114を介して対応する集電体4a、4dに取り付けるのが理想である。
【0038】
しかしながら、図4上段に示した比較例1の配線基板21だと、図5において下方に位置する第1端子部22aの露出導電部121の取り付け位置を基準の取り付け位置として、図5において上方に位置する第4端子部25aの露出導電部124が、基準の取り付け位置より右側に外れて取り付けられ得る。このように、第4端子部25aの露出導電部124が基準の取り付け位置より右側に外れて取り付けられると、電荷の移動する集電体部分の長さが長くなる分だけ電荷の移動する集電体部分の電気抵抗が大きくなる。上下2つの負極活物質層6a、6dから流れ出す電荷の量(電流値)が同じでも、電気抵抗の増加によって電圧降下が大きくなる。つまり、第4集電体4dの電圧を第4導線25で測定した場合、第4集電体4dの電圧降下の増大分だけ、期待される電圧よりも低下する。この結果、第3単電池層15cの電圧ΔV3は期待される電圧より見かけ上大きく見積もられる。第3単電池層15cの電池特性に異常がなくても、このように第4端子部25aの露出導電部124の取り付け位置が基準の取り付け位置より遠くに外れることによって、第3単電池層15cの電池特性に異常があると誤診されてしまう。
【0039】
図5では第4端子部25aの露出導電部124の取り付け位置が基準の取り付け位置より右側に外れる場合で説明したが、第2、第3の端子部23a、24aの露出導電部122、123の取り付け位置についても基準の取り付け位置より右側に外れる場合が生じ得る。また、端子部の露出導電部の取り付け位置の影響を受けて集電体の電圧が上方ほど低下する傾向は、単電池層の積層方向(図3で上下方向)に厚みが増すほどあるいは単電池層を積層する数が増すほど大きくなる。3つの各単電池層15a、15b、15cの電池性能に異常が無くても、図4上段に示した比較例1の配線基板21によれば、3つの各単電池層15a、15b、15cの電圧ΔV1、ΔV2、ΔV3にバラツキが生じるのである。
【0040】
そこで本発明の第1実施形態の配線基板21では、図4下段に示したように、比較例1の配線基板21とは異なり、配線基板21をスタック2に取り付けた場合の柄21gの高さ(位置)を基準にし、柄21gから上下方向に遠くなる歯ほど歯の長さを長くする。なお、柄21gの高さ(位置)を基準とするものに限定されるわけでない。柄21g以外の例えば4つある歯21a、21b、21c、21dのいずれかの高さ(位置)を基準にしてもかまわない。任意の高さ(位置)を基準にしてかまわない。以下の実施形態では、端子部の周縁に絶縁部を有する場合で主に説明する。この場合には、端子部面積を大きくすると露出導電部の面積も大きくなるものとする。なお、端子部の周縁に絶縁部を有しない場合も本発明の対象であることに変わりない。例えば、端子部の周縁に絶縁部を有する場合に配線基板の4つの端子部の露出導電部121〜124をスタックに取り付けた状態を図39に示すと、端子部の周縁に絶縁部を有しない場合に配線基板の4つの端子部の露出導電部121〜124をスタックに取り付けた状態は図40に示したようになるだけである。
【0041】
この第1実施形態の配線基板21を具体的に説明する。図4下段は、第1実施形態の配線基板21の平面図である。図4下段においても配線基板21は露出導電部が見える側を紙面手前にして示している。そして、露出導電部の紙面手前側に導電性テープ111〜114を置いている。当該配線基板21をスタック2に取り付けた状態では、図4下段において上方が鉛直上方に、下方が鉛直下方となるので、以下では、図4下段において上方を鉛直上方、下方を鉛直下方としても扱う。
【0042】
ここで、配線基板21をスタック2に取り付けた場合における第1歯21aの高さを第1基準高さ(第1基準位置)、第1歯21aの長さを第1基準長さL1、第1歯21a幅(太さ)を第1基準幅W1、第1端子部22aの露出導電部121の露出導電部面積を第1基準面積S1、第1導電性テープ111の接着面積を第1基準接着面積Sad1とする。このとき、第2歯21bの長さを第1基準長さL1より長く、第3歯21cの長さを第2歯21bの長さより長く、第4歯21dの長さを第3歯21cの長さより長くする。第2、第3、第4の歯21b、21c、21dの幅は第1基準幅W1と同じとし、第2、第3、第4の端子部23a、24a、25aの露出導電部122、123、124の露出導電部面積は第1基準面積S1と同じとし、第2、第3、第4の導電性テープ112、113、114の接着面積は、第1基準接着面積Sad1と同じとする。
【0043】
このように構成される第1実施形態の配線基板21をスタック2に取り付けるには、図39に示したようにまず第1端子部22aの露出導電部121を第1集電体4a上で基準の取り付け位置に第1導電性テープ111を用いて接着する(取り付ける)。次には、第2歯21bと第1歯21aとの長さの差が余裕代となるので、その余裕代を利用して第2端子部23aの露出導電部122を第2集電体4b上で基準の取り付け位置に第2導電性テープ112を用いて接着する。同様にして、第3歯21cと第2歯21bとの長さの差が余裕代となるので、その余裕代を利用して第3端子部24aの露出導電部123を第3集電体4c上で基準の取り付け位置に第3導電性テープ113を用いて接着する。同様にして、第4歯21dと第3歯21cとの長さの差が余裕代となるので、その余裕代を利用して第4端子部25aの露出導電部124を第4集電体4d上で基準の取り付け位置に第4導電性テープ114を用いて接着する。
【0044】
さらに説明する。4つある端子部22a、23a、24a、25aの露出導電部121、122、123、124は、対応する集電体4a〜4dと導電性テープ111、112、113、114を介して接触する。端子部の露出導電部の露出導電部面積及び導電性テープの接着面積を後述するように大きくすることは、端子部の露出導電部と集電体との接触面積が大きくなるなることを意味する。この場合に、接触面積を変更すると、端子部の露出導電部と集電体との接触抵抗が変更前より変化することがある。つまり、接触抵抗が変更前より大きくなる場合と小さくなる場合の両方がある。このため、5つの端子部の露出導電部で接触抵抗にバラツキが生じ得る。この接触抵抗のバラツキの影響を受けて各集電体の電圧を精度良く測定することができなくなる。これに対処するには、端子部の露出導電部面積を第1基準面積S1より増加しかつ導電性テープの接着面積を第1基準接着面積Sad1より増加させた場合に、接触抵抗が第1基準面積S1かつ第1基準接着面積Sad1のときより変化するか否かを予め測定し、接触抵抗が第1基準面積S1かつ第1基準接着面積Sad1のときより変化する場合には、その変化分に相当する電圧で、測定される4つの集電体からの電圧を補正してやればよい。
【0045】
このように、第1実施形態の配線基板21によれば、4つの歯21a、21b、21c、21dの長さを最も外側にある歯から順番に長くすることで、4つの各集電体4a、4b、4c、4d上の同じ取り付け位置(基準の取り付け位置)に4つの各端子部22a、23a、24a、25aを取り付けることができる。
【0046】
図6は第1実施形態の配線基板21を用いた場合において第1、第4の端子部22a、25aの露出導電部121、124を第1、第4の導電性テープ111、114を介して第1、第4の集電体4a、4dに接続した接続部のみを拡大して示し、第2、第3の端子部23a、24aの露出導電部122、123を第2、第3の導電性テープ112、113を介して第2、第3の集電体4b、4cに接続した接続部は省略して示していない。図6に示したように、第1実施形態の配線基板21の場合には、第4端子部25aの露出導電部124の第4集電体4dへの取り付け位置が基準の取り付け位置と同じとなる。取り付け位置が同じであれば、負極活物質層6dから第4導電性テープ114を介して第4端子部25aの露出導電部124へと電荷が移動する集電体部分の電気抵抗が、負極活物質層6aから第1導電性テープ111を介して第1端子部22aの露出導電部121へと電荷が移動する集電体部分の電気抵抗と変わらず、同じ電圧降下が生じる。これによって、3つの各単電池層15a、15b、15cの電圧ΔV1、ΔV2、ΔV3のバラツキが低減し、3つの各単電池層15a、15b、15cの電圧ΔV1、ΔV2、ΔV3を精度良く測定できる。
【0047】
図30は第1実施形態の配線基板21の取り付けられたスタック2の概略斜視図である。また、図31には第1実施形態の配線基板21を取り付けた側からみたスタック2の概略側面図を示す。なお、図30、図31では4つの集電体4a、4b、4c、4dのみを取り出して記載している。図30、図31に示したように、配線基板の幹21eは第1基準高さから少し傾斜して位置していることがわかる。
【0048】
なお、図4下段において柄21gの右端は、図示していないコネクタに接続されている。このコネクタは、前述したように外装材を突き抜けて外装材の外に出ており、このコネクタを介して他の装置につなげることができるようになっている。
【0049】
図7(a)は、図4下段に示した第1実施形態の配線基板21を改めて簡略モデル図で表したものである。図7(a)では第1端子部22aを、便宜上、第1歯21aの幅である第1基準幅W1より広く描いている。このように配線基板21の簡略モデル図においては、端子部を除いた部分の歯の幅を歯の幅とする。図7(a)では柄21gを第1基準高さに最も近い位置に設けているが、柄21gを設ける高さ(位置)は基本的にどこでも良い。例えば、図7(b)に示したように、柄21gが単電池層の積層方向(図7で上下方向)のちょうど真ん中にあってもよい。図7(a)の配線基板21は露出導電部121〜124が見える側を紙面手前にして示している。端子部周縁の絶縁部は省略して示していない。そして、露出導電部121〜124の紙面手前側に導電性テープ111〜114を置いている。導電性テープ111〜114と端子部22a、23a、24a、25a(露出導電部121〜124)とを重ねると見にくくなるので、導電性テープ111〜114を端子部22a、23a、24a、25a(露出導電部121〜124)より少し小さく記載している。実際には、導電性テープ111〜114の接着面積は端子部22a、23a、24a、25aの露出導電部121〜124の面積と同一としている(図7(c)参照)。
【0050】
なお、後述する簡略モデル図(図7(b)、図8、図10、図14、図15、図16、図19、図20、図23、図36)の配線基板についても、配線基板は露出導電部が見える側を紙面手前側にして示している。端子部周縁の絶縁部は省略して示していない。ただし、図8以降に示す簡略モデル図(ただし、図32を除く)においては、導電性テープの記載を省略しているが、導電性テープを用いていないということではない。以下では、図32を除き、導電性テープについて特に言及しないが、端子部の露出導電部の露出導電部面積と同一の面積(または近似する面積)の導電性テープを用いて端子部の露出導電部と集電体とを接着しているものとする。
【0051】
次に、スタック2に取り付ける他の実施形態の配線基板21を説明する。本発明の配線基板21の特徴部分は、4つある歯21a、21b、21c、21dの各長さを相違させる点にある。この場合の基本的な考え方としては、第1基準高さでの歯の長さを基準(第1基準長さL1)として、第1基準高さと異なる高さに位置する歯の長さを第1基準長さL1より長くすることである。図7(a)、(b)に示したように、第1基準高さより離れる歯ほど歯の長さを長くすることは必ずしも必要ない。
【0052】
図8(a)〜(d)は第2、第3、第4、第5の実施形態の配線基板21を簡略モデル図で表したもので、図7(a)、(b)に示した第1実施形態の配線基板21と置き換わるものである。図8(a)に示す第2実施形態の配線基板21では、第4歯21dを第1基準高さでの歯とし、第4歯21d、第3歯21c、第2歯21b、第1歯21aの順に歯の長さが長くなっている。図8(b)に示す第3実施形態の配線基板21では、第3歯21cを第1基準高さでの歯とし、第3歯21c、第1歯21a、第2歯21b、第4歯21dの順に歯の長さが長くなっている。図8(c)に示す第4実施形態の配線基板21では、第3歯21cを第1基準高さでの歯とし、第3歯21c、第2歯21b、第4歯21d、第1歯21aの順に歯の長さが長くなっている。図8(d)に示す第5実施形態の配線基板21では、第1歯21aを第1基準高さでの歯とし、第1歯21a、第4歯21d、第3歯21c、第2歯21bの順に歯の長さが長くなっている。
【0053】
このように第1基準高さにある歯より離れる歯ほど歯の長さを長くすることは必ずしも必要なく、図8(b)〜(d)に示す第3、第4、第5の実施形態の配線基板21によっても、4つ全ての歯21a、21b、21c、21dの長さを大きくたるむことなく最適な長さに設定できる。
【0054】
例えば、図8(b)に示す第3実施形態の配線基板21において、4つの歯をたるむことなく取り付けることは可能である。例えば、第1歯21aの端子部22aの露出導電部121を第1集電体4aに、第2歯21bの端子部23aの露出導電部122を第4集電体4dに、第3歯21aの端子部24aの露出導電部123は第3集電体4cに、第4歯21dの端子部25aの露出導電部124を第2集電体4bに取り付けることでたるむことはなくなる。ただし、この場合の単電池層の電圧の測定方法としては次のようにする。すなわち、第1歯21aの端子部22aの露出導電部121から得られる電圧と第4歯21dの端子部25aの露出導電部124から得られる電圧とで第1単電池層15aの電圧ΔV1を測定する。第4歯21dの端子部25aの露出導電部124から得られる電圧と第3歯21cの端子部24aの露出導電部123から得られる電圧とで第2単電池層15bの電圧電圧ΔV2を、第3歯21cの端子部24aの露出導電部123から得られる電圧と第2歯21bの端子部23aの露出導電部122から得られる電圧とから第3単電池層15cの電圧ΔV3を測定する。
【0055】
図9(a)、(b)は、図8(a)、(b)に示した第2、第3の実施形態の配線基板21をスタック2に取り付けたときに配線基板21の側から見た概略縦断面図である。第2実施形態の配線基板21では、図9(a)に示したように4つの歯21a、21b、21c、21dの露出導電部121〜124が斜めの位置に整列しているが、第3実施形態の配線基板21では、図9(b)に示したように4つの歯21a、21b、21c、21dの露出導電部121〜124は整列していない。このように、4つの歯21a、21b、21c、21dの露出導電部121〜124は必ずしも整列している必要はない。なお、第3実施形態の配線基板21を図9(b)に示したように取り付けることで4つの歯がたるむことを防いでいる。
【0056】
ここで、第1から第5までの実施形態の配線基板21の作用効果を説明する。
【0057】
第1から第5までの実施形態の配線基板21によれば、4つ(複数)の歯21a、21b、21c、21dと当該4つの歯21a、21b、21c、21dを束ねて一体とした幹21eからなる櫛状部位21fと、この櫛状部位21fと接続される一つの柄21gとで構成される絶縁基板26と、この絶縁基板26上に導電材料で形成され4つの歯21a、21b、21c、21dのそれぞれの先端から柄21gの端まで個別に伸延し4つの歯の先端に接触する導電体の電位を柄21gの端まで電導させる複数の配線22、23、24、25と、4つの歯21a、21b、21c、21dの先端に導電材料が露出する端子部22a、23a、24a、25aとを有し、4つある歯21a、21b、21c、21dの長さを相違させるので、配線基板21をスタック2に取り付けるに際して、積層型電池の構成要素である3つ(複数)の単電池層15a、15b、15cに対して、4つある端子部22a、23a、24a、25aの露出導電部121〜124を集電体周縁部の同じ位置に取り付けることが可能となる。この結果、4つある歯21a、21b、21c、21dの長さを同じにしている比較例1の配線基板の場合よりも3つの単電池層15a、15b、15c(単電池)の各電圧ΔV1、ΔV2、ΔV3を精度良く測定することができる。
【0058】
第1、第2の実施形態の配線基板21によれば、図7(a)、(b)、図8(a)に示したように4つ(複数)ある歯21a、21b、21c、21dの長さを最も外側にある歯21aまたは21dから順番に長くするので、配線基板21をスタック2に取り付けるに際して、積層型電池の構成要素である3つ(複数)の単電池層15a、15b、15cに対して、4つ全ての端子部22a、23a、24a、25aの露出導電部121〜124を集電体周縁部の同じ位置に無駄なく取り付けることが可能となる。この結果、無駄を排除しつつ3つの単電池層15a、15b、15cの各電圧ΔV1、ΔV2、ΔV3を精度良く測定することができる。
【0059】
一方、第1実施形態の配線基板21の取り付けられたスタック2は、一の集電体の下面(一方の面)に正極活物質層5(正極)を、上面(反対の面)に負極活物質層6(負極)を形成した2つの双極型電極3を、互いに正極活物質層5と負極活物質層6とが対向するように電解質7を挟んで積層することにより電解質7を挟んだ正極活物質層5と負極活物質層6とからなる単電池層15(単電池)を構成し、この単電池層15を3つ(複数)直列に接続したスタック2であって、この3つの各単電池層15a、15b、15cの電圧測定のための配線基板21を、4つ(複数)の歯21a、21b、21c、21dと当該複数の歯21a、21b、21c、21dを束ねて一体とした幹21eからなる櫛状部位21fと、この櫛状部位21fと接続される一つの柄21gとで構成される絶縁フィルム26(絶縁基板)と、この絶縁フィルム26上に導電材料で形成され4つの歯21a、21b、21c、21dのそれぞれの先端から柄21gの端まで個別に伸延し4つの歯21a、21b、21c、21dの先端に接触する導電体の電位を柄21gの端まで電導させる4つの配線22、23、24、25と、4つの歯21a、21b、21c、21dの先端に導電材料が露出する端子部22a、23a、24a、25aとを含んで構成し、4つの各端子部22a、23a、24a、25a(の露出導電部121〜124)を対応する集電体4a、4b、4c、4dに取り付けるようにしたスタックである。このスタック2において、4つある歯21a、21b、21c、21dのうち予め定めた第1基準高さ(第1基準位置)より離れた位置にある集電体4b、4c、4dに取り付ける歯21b、21c、21dの長さを、第1基準高さにある(かまたは第1基準高さ付近にある)集電体4aに取り付ける歯21aの長さより長くするので、第1基準高さより離れた位置にある集電体4b、4c、4dと、第1基準高さにある(かまたは第1基準高さ付近にある)集電体4aとで集電体周縁部の同じ位置に端子部(の露出導電部)を取り付けることが可能となる。この結果、4つある歯21a、21b、21c、21dの長さを同じにしている比較例1の配線基板21をスタック2に取り付ける場合よりも3つの単電池層15a、15b、15cの各電圧ΔV1、ΔV2、ΔV3を精度良く測定することができる。
【0060】
第1、第2の実施形態の配線基板21によれば、4つある歯21a、21b、21c、21dのうち第1基準高さ(第1基準位置)より離れる歯ほど歯の長さを長くするので(図7(a)、(b)、図8(a)参照)、4つの集電体4a、4b、4c、4dに対して、4つ全ての端子部22a、23a、24a、25aの露出導電部121〜124を集電体周縁部の同じ位置に無駄なく取り付けることが可能となる。この結果、無駄を排除しつつ3つの各単電池層15a、15b、15cの電圧ΔV1、ΔV2、ΔV3のバラツキが低減し、3つの単電池層15a、15b、15cの各電圧ΔV1、ΔV2、ΔV3を精度良く測定することができる。
【0061】
第1、第2の実施形態の配線基板21によれば、各端子部22a、23a、24a、25a(の露出導電部121〜124)の集電体4a、4b、4c、4dへの取り付け位置を正極活物質層5(正極)または負極活物質層6(負極)の端部(図3では右端部)から同じ距離離れた位置とするので、4つの集電体4a、4b、4c、4dに対して、集電体周縁部の同じ位置に4つ全ての端子部22a、23a、24a、25aの露出導電部121〜124を取り付けることが可能となり、3つの各単電池層15a、15b、15cの電圧ΔV1、ΔV2、ΔV3のバラツキが低減し、3つの単電池層15a、15b、15cの各電圧ΔV1、ΔV2、ΔV3を精度良く測定することができる。
【0062】
スタック2に取り付ける第1、第2、第3の実施形態の配線基板21によれば、集電体4a、4b、4c、4dには高分子材料に導電部材を使用した樹脂集電体を用いている。樹脂集電体は金属集電体にくらべて弾性があり、配線基板21の端子部22a、23a、24a、25aの露出導電部121〜124とより密着することができるため、振動に伴う引張応力を緩和して配線基板21の断線を防止することができる。
【0063】
図10(a)〜(c)は第6、第7、第8の実施形態の配線基板21を簡略モデル図で表したもので、図8(a)に示した第2実施形態の配線基板21と置き換わるものである。このうち、図10(a)に示す第6実施形態の配線基板21は、図8(a)に示した第2実施形態の配線基板21を前提として、さらに4つの歯の幅(太さ)を第4歯、第3歯、第2歯、第1歯の順に広くしたものである。すなわち、第4歯21dの幅は、図8(a)に示した第2実施形態の配線基板21の第4歯21dの幅(第1基準幅W1)と同じとし、第3歯21c’の幅は第1基準幅W1よりも広く、第2歯21b’の幅は第3歯21c’の幅よりも広く、第1歯21a’の幅は第2歯21b’の幅よりも広くしている。歯の幅は、歯の太さの代用である。これは、配線基板21の全体は薄膜状に形成されているため、歯を太くすることに代えて、歯の幅を広くするものである。
【0064】
図10(b)に示す第7実施形態の配線基板21は、図8(a)に示した第2実施形態の配線基板21を前提として、さらに端子部の露出導電部の露出導電部面積を、第1基準高さにある第4歯を基準として、第4歯、第3歯、第2歯、第1歯の順に大きくしたものである。すなわち、第4端子部25aの露出導電部124の露出導電部面積は第2実施形態の配線基板21の第4端子部25aの露出導電部124の露出導電部面積(第1基準面積S1)と同じとし、第3端子部24a’の露出導電部123’の露出導電部面積を第4端子部25aの露出導電部124の露出導電部面積よりも大きく、第2端子部23a’の露出導電部122’の露出導電部面積を第3端子部24a’の露出導電部123’の露出導電部面積よりも大きく、第1端子部22a’の露出導電部121’の露出導電部面積を第2端子部23a’の露出導電部122’の露出導電部面積よりも大きくしている。
【0065】
図10(c)に示す第8実施形態の配線基板21は、図10(a)に示す第6実施形態の配線基板21と、図10(b)に示す第7実施形態の配線基板21とを組み合わせたものである。
【0066】
直列に接続した単電池層の数が多いスタック2を振動が生じる環境下で使用する場合に、配線基板21の4つの歯21a、21b、21c、21dの幅(太さ)が同じであると、第1基準高さ(第1基準位置)にある歯より離れる歯ほど、振動に伴って歯の端子部の露出導電部に作用する引張応力が増すために絶縁基板26上に形成される配線22、23、24、25の断線が生じ得る。第6、第8の実施形態の配線基板21によれば、図10(a)、(c)に示したように4つある歯のうち第1基準高さ(第1基準位置)より離れる歯ほど、つまり第4歯21d、第3歯21c’、第2歯21b’、第1歯21a’の順に歯の幅(太さ)を広く(太く)している。すなわち、引張応力が増すにつれて歯の幅(太さ)を広く(太く)することで、振動に伴う配線22、23、24、25の断線を防ぐことができる。なお、振動が生じる環境下でスタック2を使用する場合としては、スタック2を自動車に搭載する場合が考えられる。
【0067】
第7、第8の実施形態の配線基板21によれば、図10(b)、(c)に示したように4つある歯のうち第1基準高さ(第1基準位置)より離れる歯ほど、つまり第4歯21d、第3歯21c’、第2歯21b’、第1歯21a’の順に歯の先端に有する端子部の露出導電部の露出導電部面積及び導電性テープの接着面積を大きくしている。すなわち、引張応力が増す歯ほど端子部の露出導電部と集電体との接着力を強くすることで、振動に伴う引張応力を低減することができ、配線22、23、24、25の断線を防ぐことができる。
【0068】
図32(a)、(b)は第19実施形態の配線基板21を簡略モデル図で表したものある。このうち図32(a)の配線基板21は露出導電部121〜124が見える側を紙面手前にして、図32(b)は露出導電部121〜124が見えない側を紙面手前にして示している。端子部周縁の絶縁部は省略して示していない。そして、図32(a)に示したように露出導電部121〜124の紙面手前側に導電性テープ111〜114を置いている。一方、図32(c)、(d)は第20実施形態の配線基板21を簡略モデル図で示したものである。このうち図32(c)の配線基板21は露出導電部121〜124が見える側を紙面手前にして、図32(d)は露出導電部121〜124が見えない側を紙面手前にして示している。端子部周縁の絶縁部は省略して示していない。そして、図32(c)に示したように露出導電部121〜124の紙面手前側に導電性テープ111〜114を置いている。ここまで説明した第1〜第8の実施形態の配線基板21は(後述する第9〜第18の実施形態の配線基板21についても)、端子部の周縁に絶縁部を有する場合に、端子部面積を大きくすると、露出導電部面積も大きくなるものであった。しかしながら、端子部の構成は、これに限られるものでなく、端子部面積を大きくしても露出導電部面積は変えないように構成するものがある。この場合、各端子部に形成される露出導電部は全て同じ第1基準面積S1となっている。端子部面積とは別に露出導電部面積を全て同じ第1基準面積S1とする理由は露出導電部と集電体との間の接触抵抗を各端子部で同等とするためである。
【0069】
このように、端子部面積とは別に露出導電部面積を全て同じ第1基準面積S1とする場合には、図32(a)、(b)、(c)、(d)に示した配線基板21の簡略モデル図では、端子部面積、露出導電部面積、導電性テープの接着面積の関係がわかりづらいので、図33A、図33Bに概略断面図を示す。すなわち、図33Aは第19実施形態の4つの端子部22a’、23a’、24a’、25aの露出導電部121〜124の集電体への取り付け状態を示す概略断面図である。図33Bは第20実施形態の4つの端子部22a、23a、24a、25aの露出導電部121〜124の集電体への取り付け状態を示す概略断面図である。
【0070】
図32(a)、(b)、図33Aに示す第19実施形態の配線基板21は、各端子部で露出導電部121〜124の露出導電部面積を全て同じ第1基準面積S1としているものを前提として、4つある導電性テープ111〜114の接着面積を、第4導電性テープ114、第3導電性テープ113、第2導電性テープ112、第1導電性テープ111の順に大きくしたものである。ただし、端子部面積は第4端子部25a、第3端子部24a’、第2端子部23a’、第1端子部22a’の順に大きくしている。なお、4つある端子部及び4つある導電性テープ以外の構成は図10(b)に示す第7実施形態の配線基板21と同じである。
【0071】
図32(c)、(d)、図33Bに示す第20実施形態の配線基板21は、4つある端子部22a、23a、24a、25aの端子部面積が同じ面積S3であるものを前提として、4つある導電性テープ111、112、113、114の接着面積を、第4導電性テープ114、第3導電性テープ113、第2導電性テープ112、第1導電性テープ111の順に大きくしたものである。なお、4つある端子部及び4つある導電性テープ以外の構成は図10(b)に示す第7実施形態の配線基板21と同じである。
【0072】
次に、図11は第9実施形態の配線基板41〜45の取り付けられた双極型二次電池30の概略縦断面図、図12は第9実施形態の配線基板41〜45の取り付けられた双極型二次電池30から強電タブ16、17の一部を除いた部分を上から見た平面図である。図11においては上方が鉛直上方、下方が鉛直下方であるとする。
【0073】
第9実施形態の配線基板41〜45の取り付けられた双極型二次電池30は、図1〜図3に示したスタック2を5つ(複数)直列に接続することにより構成した双極型二次電池である。ここでは、5つのスタック2を区別するため、図11において鉛直下方より鉛直上方に向かって、第1スタック31、第2スタック32、第3スタック33、第4スタック34、第5スタック35とする。また、5つの各スタック31〜35に取り付けられる5つの配線基板21を区別するため、図11において鉛直下方より鉛直上方に向かって、第1配線基板41、第2配線基板42、第3配線基板43、第4配線基板44、第5配線基板45とする。
【0074】
図11に示した双極型二次電池は、実際には図13のようになっている。ここで、図13は第1、第2、第3の3つのスタック31、32、33を積層(直列に接続)した状態での一部拡大縦断面図を示し、第4、第5の2つのスタック34、35の積層部分は省略して示していない。
【0075】
図13に示したように第1スタック31の上に第2スタック32を積層する際には、第1スタック31の最上端の集電体(第4集電体4d)と、第2スタック32の最下端の集電体(第1集電体4a)との水平方向位置を揃え、それら2つの集電体の水平方向の周縁部に、スタック31、32の製作に用いたと同じシール材11を挟むことで、正極活物質層5と負極活物質層6とを絶縁すると共に、上下方向に対向する正極活物質層5と負極活物質層6の間に所定の空間が生じるようにする。そして、その空間に液体状またはゲル状の電解質を充填することで、電解質層7を形成する。対向する2つの活物質層(5、6)が電気的に接触するのを防止するため電解質層7の内部にセパレータ(12)を設ける。
【0076】
次に、第2スタック32の上に第3スタック33を積層する際には、第1スタック31の上に第2スタック32を積層した方法と同じ方法を用いる。図示しないが、第3スタック33の上に第4スタック34を積層する際及び第4スタック34の上に第5スタック35を積層する際にも、第1スタック31の上に第2スタック32を積層した方法と同じ方法を用いる。このようにして、5つのスタック31〜35の積層を終了する。次には、第5スタック35の最上端にある負極活物質層6に強電タブ16を、また第1スタック31の最下端にある正極活物質層5に強電タブ17を電気的に接続する。
【0077】
複数のスタックの積層方法は図13に示した方法に限られない。例えば、図34に示したように図3に示したスタック2をそのまま積層することとしてもかまわない。なお、図34、図13において1つの配線基板毎に4つの端子部の露出導電部と4つの集電体とを導電性テープを用いて接着していることはいうまでもない。
【0078】
図11に示したように上下端を強電タブ16、17で挟み、この2つの強電タブ16、17を含んだ全体をラミネートフィルム(図示しない)で被覆しシール部53でシールしている。強電タブ16、17は、実際には図35のようになっている。ここで、図35は2つの強電タブ16、17のみを取り出して示す斜視図である。2つの強電タブ16、17は平板状の導電部材で矩形に形成されると共に、一隅に突出部16a、17aを有している。この突出部16a、17aが双極型二次電池30の外装材を突き抜けて外に出ている。
【0079】
このように5つのスタック31〜35を積層する(直列に接続する)ことにより双極型二次電池30を構成する場合、1つのスタックについて1つの配線基板が必要となるため、双極型二次電池30の全体で5つの配線基板41〜45が必要になる。この5つの配線基板41〜45は、図11に示したように全体をラミネートフィルムで被覆し上下方向のある高さでシール部54によってシールする必要がある。ここで、5つの配線基板41〜45をシールする位置にあるスタックの高さを「第2基準高さ」(第2基準位置)とする。ここで、図11において双極型二次電池30に取り付ける5つの配線基板41、42、43、44、45を下から第1配線基板41、第2配線基板42、第3配線基板43、第4配線基板44、第5配線基板45として区別する。
【0080】
図14は、双極型二次電池30に取り付ける比較例2の配線基板41〜45の平面図である。図14最上段には、第5スタック35に取り付ける第5配線基板45の平面図を示している。また、図14第2段目には第4スタック34に取り付ける第4配線基板44の平面図を、図14第3段目には第3スタック33(第2基準高さにあるスタック)に取り付ける第3配線基板43の平面図を、図14第4段目には第2スタック32に取り付ける第2配線基板42の平面図を、図14最下段には第1スタック31に取り付ける第1配線基板41の平面図を第5配線基板45と同じスケールで示している。
【0081】
図14に示す比較例2の配線基板41〜45は、5つある配線基板41〜45が全て図8(a)に示した第2実施形態の配線基板21と同じ寸法、同じ形状のものである。すなわち、第3配線基板43の柄21gの幅を第2基準幅W2、第3配線基板43の柄21gの長さを第3基準長さL3、第3配線基板43の第4端子部25aの露出導電部124の露出導電部面積を第1基準面積S1とする。このとき、第1、第2、第4、第5の配線基板41、42、44、45の柄21gの幅を全て第3配線基板43の柄21gの幅と同じ第2基準幅W2とし、第1、第2、第4、第5の配線基板41、42、44、45の柄21gの長さを全て第3配線基板43の柄21gの長さと同じ第3基準長さL3とし、第1、第2、第4、第5の配線基板41、42、44、45の端子部25a、24a、23a、22aの露出導電部124〜121の露出導電部面積を第3配線基板43の端子部25a、24a、23a、22aの露出導電部124〜121の露出導電部面積である第1基準面積S1と同じとする。
【0082】
ここで、柄の太さも柄の幅と厚さを含んだ概念であるので、柄の幅と厚さを個別に定義する。柄の幅とは、図14において柄21gの上下方向の幅のことである。また、図14において柄21gには紙面を貫く方向にある厚さを有している。柄の厚さとはこの紙面を貫く方向の柄21gの厚さのことである。柄の厚さが同じであれば、柄の幅を広くすることによって柄を太くすることができる。また、柄の幅が同じであれば、柄の厚さを厚くすることによって柄を太くすることができる。
【0083】
さて、比較例2の配線基板41〜45では、各配線基板の間で柄21gの太さ及び長さ並びに端子部の露出導電部面積が全て同じであるため、5つの配線基板41〜45を双極型二次電池30に取り付けるとすれば、第2基準高さから最も離れた位置にあるスタック31、35に取り付ける配線基板(つまり第1、第5の配線基板41、45)に第2基準高さにあるスタック31、35に取り付ける配線基板(つまり第3配線基板43)に対するよりも大きな引張応力が作用する。その大きな引張応力で第2基準高さから最も離れた位置にあるスタックに取り付ける第1、第5の配線基板41、45の端子部の露出導電部が集電体から剥がれ易く接触不良が生じる。あるいは断線の可能性もある。
【0084】
そこで、第9実施形態の配線基板41〜45として、図11に示したように、第2基準高さから離れるスタックに取り付ける配線基板ほど配線基板の長さを長くする。
【0085】
この第9実施形態の配線基板41〜45を具体的に図15を参照して説明する。図15は第9実施形態の配線基板41〜45の平面図である。図15上段には、第3スタック33(第2基準高さにあるスタック)に取り付ける第3配線基板43の平面図を示している。また、図15中段には第2、第4の2つのスタック32、34に取り付ける第2、第4の2つの配線基板42、44の平面図を、図15下段には第1、第5の2つのスタック31、35に取り付ける第1、第5の2つの配線基板41、45の平面図を、第3配線基板43と同じスケールで示している。
【0086】
ここで、第2基準高さにあるスタック33に取り付けられる第3配線基板43の長さを第2基準長さL2とする。このとき、第2、第4の配線基板42、44の長さを第2基準長さL2より長くし、第1、第5の2つの配線基板41、45の長さを第2、第4の2つの配線基板42、44の長さより長くする。この場合、各配線基板41〜45の4つの歯21a、21b、21c、21d及び幹21eからなる櫛状部位21fについては、各配線基板41〜45の間で変更せず、各配線基板41〜45の柄21gの長さを変更することで対処させる。つまり、第3配線基板43の柄21gの長さを第3基準長さL3、第3配線基板43の柄21gの幅(太さ)を第2基準幅W2としたとき、図15に示したように、第2、第4の2つの配線基板42、44の柄21g’の長さを第3基準長さL3より所定値ΔL2だけ長くし、第1、第5の2つの配線基板41、45の柄21g’’の長さを、第2、第4の2つの配線基板42、44の柄21g’の長さよりさらに所定値ΔL2だけ長くする。第1、第2、第4、第5の4つの配線基板41、42、44、45の柄21g’、21g’’の幅は第2基準幅W2と同じとする。なお、図14に示した比較例2の配線基板41〜45は、第1、第2、第4、第5の配線基板41、42、44、45の柄21gの長さを全て第3配線基板43の柄21gの長さと同じ第3基準長さL3とし、かつ第1、第2、第4、第5の配線基板41、42、44、45の柄21gの幅を全て第3配線基板43の柄21gの幅と同じ第2基準幅W2としたものである。
【0087】
このように構成される5つの各配線基板41〜45を、対応するスタック31〜35に取り付ける方法は、第1実施形態の配線基板21をスタック21に取り付ける方法と同じである。ただし、5つの各配線基板41〜45を対応するスタック31〜35に取り付けた後には、5つの配線基板41〜45を図11に示したようにシール部54でシールする。
【0088】
直列に接続したスタックの数が5つと多い双極型二次電池30を振動が生じる環境下で使用する場合に、5つの配線基板41〜45の柄21gの長さが同じ第3基準長さL3である比較例2の配線基板41〜45を束ねるのでは、第2基準高さ(第2基準位置)より離れるスタックに取り付ける配線基板の柄21gほど、振動に伴って柄21gに作用する引張応力が増すために絶縁基板26上に形成される配線22、23、24、25の断線が生じ得る。これに対して第9実施形態の配線基板41〜45によれば、図15に示したように5つある配線基板41〜45のうち予め定めた第2基準高さ(第2基準位置)より離れる配線基板ほど、つまり第3配線基板43、第2、第4の2つの配線基板42、44、第1、第5の2つの配線基板41、45の順に配線基板の柄の長さを長くしている。すなわち、第9実施形態の配線基板41〜45によれば、配線基板に作用する引張応力が増すにつれて柄の長さを長くすることで、第2基準高さから離れた位置にあるスタックに取り付ける配線基板の配線22、23、24、25に生じる断線を防ぐことができる。なお、振動が生じる環境下で双極型二次電池30を使用する場合としては、双極型二次電池30を自動車に搭載する場合が考えられる。
【0089】
双極型二次電池30に取り付ける第9実施形態の配線基板41〜45によれば、5つの各配線基板41〜45の集電体4a、4b、4c、4dには高分子材料に導電部材を使用した樹脂集電体を用いている。樹脂集電体は金属集電体にくらべて弾性があり、配線基板21の端子部22a、23a、24a、25aの露出導電部121〜124とより密着することができるため、振動に伴う引張応力を緩和して5つの各配線基板41〜45の断線を防止することができる。
【0090】
図16は双極型二次電池30に取り付ける第10実施形態の配線基板41〜45の平面図で、図15に示した第9実施形態の配線基板41〜45と置き換わるものである。
【0091】
第10実施形態の配線基板41〜45は、第9実施形態の配線基板41〜45を前提として、さらに第2基準高さより離れるスタックに取り付ける配線基板ほど配線基板の端子部の露出導電部の露出導電部面積を大きくしたものである。すなわち、図15に示す第9実施形態の配線基板41〜45では、5つの各配線基板41〜45とも、4つの各端子部22a、23a、24a、25aの露出導電部121〜124の露出導電部面積が第1基準面積S1であった。これに対して、図16に示す第10実施形態の配線基板41〜45では、第2、第4の2つ配線基板42、44の4つの端子部22a−1、23a−1、24a−1、25a−1の露出導電部121−1、122−1、123−1、124−1の露出導電部面積を第1基準面積S1より大きな端子部面積S1’とし、第1、第5の2つ配線基板41、45の4つの端子部22a−2、23a−2、24a−2、25a−2の露出導電部121−2、122−2、123−2、124−2の露出導電部面積を第2、第4の配線基板42、44の露出導電部121−1、122−1、123−1、124−1の露出導電部面積S1’より大きな端子部面積S1’’としている。
【0092】
次に、図17は第11実施形態の配線基板61〜65の取り付けられた双極型二次電池30の概略縦断面図、図18は第11実施形態の配線基板61〜65の取り付けられた双極型二次電池30から強電タブ16、17の一部を除いた部分を上から見た平面図、図19は第11実施形態の配線基板61〜65の平面図で、図11、図12、図15と置き換わるものである。図17においても上方が鉛直上方、下方が鉛直下方であるとする。
【0093】
図19に示した第11実施形態の配線基板61〜65は、図15に示した第9実施形態の配線基板41〜45を前提として、さらに第2基準高さより離れるスタックに取り付ける配線基板の柄ほど配線基板の柄の幅(太さ)を広くするものである。すなわち、図19に示したように、第3配線基板63の柄21gの長さを第3基準長さL3、第3配線基板63の柄21gの幅(太さ)を第2基準幅W2としたとき、第2、第4の2つの配線基板62、64の柄21g’の長さを第3基準長さL3より所定値ΔL2だけ長くしかつ第2、第4の2つの配線基板62、64の柄21g’の幅を第2基準幅W2より広い幅W2’とし、第1、第5の2つの配線基板61、65の柄21g’’の長さを、第2、第4の2つの配線基板62、64の柄21g’の長さよりさらに所定値ΔL2だけ長くしかつ第1、第5の2つの配線基板61、64の柄21g’’の幅を第2、第4の2つの配線基板62、64の幅W2’より広い幅W2’’とする。
【0094】
直列に接続したスタックの数が5つと多い双極型二次電池30を振動が生じる環境下で使用する場合に、5つの配線基板61〜65の柄21gの幅(太さ)が同じ第2基準幅W2であると、第2基準高さ(第2基準位置)より離れるスタックに取り付ける配線基板の柄ほど、振動に伴って柄に作用する引張応力が増すために絶縁基板26上に形成される配線22、23、24、25に断線が生じ得る。これに対して、第11実施形態の配線基板61〜65によれば、図19に示したように5つある配線基板61〜65のうち予め定めた第2基準高さ(第2基準位置)より離れる配線基板ほど、つまり第3配線基板63、第2、第4の2つの配線基板62、64、第1、第5の2つの配線基板61、65の順に配線基板の柄の幅(太さ)を広く(太く)している。すなわち、第11実施形態の配線基板61〜65によれば、配線基板に作用する引張応力が増すにつれて柄の幅(太さ)を広く(太く)することで、第2基準高さから離れた位置にあるスタックに取り付ける配線基板の配線22、23、24、25に生じる断線を防ぐことができる。
【0095】
図20は第12実施形態の配線基板61〜65の取り付けられた双極型二次電池30の平面図で、図19に示した第11実施形態の配線基板61〜65と置き換わるものである。
【0096】
第12実施形態の配線基板61〜65は、図19に示した第11実施形態の配線基板61〜65を前提として、さらに第2基準高さより離れるスタックに取り付ける配線基板ほど配線基板の端子部の露出導電部の露出導電部面積を大きくしたものである。すなわち、図19に示す第11実施形態の配線基板61〜65では、5つの各配線基板61〜65とも、4つの各端子部22a、23a、24a、25aの露出導電部121〜124の露出導電部面積が第1基準面積S1であった。一方、図20に示す第12実施形態の配線基板61〜65では、第3配線基板63の4つの端子部22a、23a、24a、25aの露出導電部121〜124の露出導電部面積を第1基準面積S1と同じとし、第2、第4の2つの配線基板62、64の4つの端子部22a−3、23a−3、24a−3、25a−3の露出導電部121−3、122−3、123−3、124−3の露出導電部面積を第1基準面積S1より大きな端子部面積S1’とし、第1、第5の2つの配線基板61、65の4つの端子部22a−4、23a−4、24a−4、25a−4の露出導電部121−4、122−4、123−4、124−4の露出導電部面積を第2、第4の2つの配線基板62、64の露出導電部121−3、122−3、123−3、124−3の露出導電部面積S1’より大きな端子部面積S1’’としている。
【0097】
直列に接続したスタックの数が5つと多い双極型二次電池30を振動が生じる環境下で使用する場合に、5つの配線基板61〜65で歯の先端に有する端子部の露出導電部の露出導電部面積が同じ第1基準面積S1であると、第2基準高さ(第2基準位置)より離れるスタックに取り付ける配線基板の端子部ほど、配線基板の端子部の露出導電部に振動に伴って作用する引張応力が増すために配線22、23、24、25に断線が生じなくても端子部の露出導電部に断線が生じ得る。これに対して第12実施形態の配線基板61〜65によれば、図20に示したように5つある配線基板61〜65のうち予め定めた第2基準高さ(第2基準位置)より離れる配線基板ほど、つまり第3配線基板63、第2、第4の2つの配線基板62、64、第1、第5の2つの配線基板61、65の順に配線基板の歯の先端に有する端子部の露出導電部の露出導電部面積を大きくしている。すなわち、第12実施形態の配線基板61〜65によれば、配線基板に作用する引張応力が増すにつれて配線基板の端子部の露出導電部の露出導電部面積を大きくすることで、第2基準高さから離れた位置にあるスタックに取り付ける配線基板の端子部で生じる断線を防ぐことができる。
【0098】
図36は第21実施形態の配線基板61〜65の取り付けられた双極型二次電池30の平面図で、図20に示した第12実施形態の配線基板61〜65と置き換わるものである。
【0099】
第21実施形態の配線基板61〜65は、図20に示した第12実施形態の配線基板61〜65を前提として、さらに第2基準高さから離れたスタックに取り付ける配線基板ほど端子部の露出導電部の露出導電部面積を大きくすると共に歯の幅を広くし、かつ各配線基板ついて第1基準高さから離れる歯ほど端子部の露出導電部の露出導電部面積を大きくする共に歯の幅を広くするものである。すなわち、図36に示す第22実施形態の配線基板61〜65では、第3配線基板63について第4端子部25aの露出導電部124の露出導電部面積を第1基準面積S1とし、第3端子部24a’の露出導電部123’の露出導電部面積を第1基準面積S1より大きく、第2端子部23a’の露出導電部122’の露出導電部面積を第3端子部24a’の露出導電部123’の露出導電部面積より大きく、第1端子部22a’の露出導電部121’の露出導電部面積を第2端子部23a’の露出導電部122’の露出導電部面積より大きくしている。また、第3配線基板63について第4歯21dの歯の幅を第1基準幅W1とし、第3歯21c’の歯の幅を第4歯21dの歯の幅W1より広い幅とし、第2歯21b’の歯の幅を第3歯21c’の歯の幅より広い幅とし、第1歯21a’の歯の幅を第2歯21b’の歯の幅より広い幅としている。
【0100】
第2、第4の配線基板62、64について第4端子部25a−3の露出導電部124−3の露出導電部面積を第3配線基板63についての第4端子部の露出導電部124の露出導電部面積S1より大きな面積S1’とし、第3端子部24a−5の露出導電部123−5の露出導電部面積を第4端子部25a−3の露出導電部124−3の露出導電部面積S1’より大きな面積とし、第2端子部23a−5の露出導電部122−5の露出導電部面積を第3端子部24a−5の露出導電部123−5の露出導電部面積より大きな面積とし、第1端子部22a−5の露出導電部121−5の露出導電部面積を第2端子部23a−5の露出導電部122−5の露出導電部面積より大きな面積としている。
【0101】
また、第2、第4の配線基板62、64について第4歯21d’の歯の幅を第3配線基板63についての第4端子部の歯の幅W1より広い幅W1’とし、第3歯21c’’の歯の幅を第4歯21d’の歯の幅W1’より広い幅とし、第2歯21b’’の歯の幅を第3歯21c’’の歯の幅より広い幅とし、第1歯21a’’の歯の幅を第2歯21b’’の歯の幅より広い幅としている。
【0102】
第1、第5の配線基板61、65について第4端子部25a−4の露出導電部124−4の露出導電部面積を第2、第4の配線基板62、64についての第4端子部の露出導電部124−3の露出導電部面積S1’より大きな面積S1’’とし、第3端子部24a−6の露出導電部123−6の露出導電部面積を第4端子部25a−4の露出導電部124−4の露出導電部面積S1’’より大きな面積とし、第2端子部23a−6の露出導電部122−6の露出導電部面積を第3端子部24a−6の露出導電部123−6の露出導電部面積より大きな面積とし、第1端子部22a−6の露出導電部121−6の露出導電部面積を第2端子部23a−6の露出導電部122−6の露出導電部面積より大きな面積としている。
【0103】
また、第1、第5の配線基板61、65について第4歯21d’’の歯の幅を第2、第4の配線基板62、64についての第4端子部の歯の幅W1’より広い幅W1’’とし、第3歯21c’’’の幅を第4歯21d’’の幅W1’’より広い幅とし、第2歯21b’’’の幅を第3歯21c’’’の幅より広い幅とし、第1歯21a’’’の幅を第2歯21b’’’の幅より広い幅としている。
【0104】
図21は第13実施形態の配線基板71〜75の取り付けられた双極型二次電池30の概略縦断面図、図22は第13実施形態の配線基板71〜75の取り付けられた双極型二次電池30から強電タブ16、17の一部を除いた部分を上から見た平面図、図23は第13実施形態の5つの配線基板の平面図で、図11、図12、図15と置き換わるものである。図21においても上方が鉛直上方、下方が鉛直下方であるとする。
【0105】
図21に示す双極型二次電池30では、第5スタック35のある高さを第2基準高さとするものである。第13実施形態の配線基板71〜75を図23を参照して説明すると、図23最上段に第5スタック35(第2基準高さにあるスタック)に取り付ける第5配線基板75の平面図を示している。また、図23第2段目、第3段目、第4段目、第5段目に第4、第3、第2、第1のスタック34、33、32、31に取り付ける第4、第3、第2、第1の配線基板74、73、72、71の平面図を第5配線基板75と同じスケールで示している。
【0106】
ここで、第2基準高さにあるスタック(つまり第5スタック35)に取り付ける第5配線基板75の長さを第2基準長さL2とする。このとき、第4配線基板74の長さをこの第2基準長さL2より長くし、第3配線基板73の長さを第4配線基板74の長さより長くし、第2の配線基板72の長さ第3配線基板73の長さより長くし、第1配線基板71の長さを第2配線基板72の長さより長くする。この場合、各配線基板71〜75の4つの歯21a、21b、21c、21d及び幹21eからなる櫛状部位21fについては、各配線基板71〜75の間で変更せず、各配線基板71〜75の柄21gの長さ及び柄21gの幅(太さ)を変更することで対処させる。つまり、第5配線基板75の柄21gの長さを第3基準長さL3、第5配線基板75の柄21gの幅(太さ)を第2基準幅W2としたとき、図23に示したように、第4配線基板74の柄21g’の長さを第3基準長さL3より所定値ΔL3だけ長くしかつ第4配線基板74の柄21g’の幅を第2基準幅W2より広くした幅W2’とし、第3配線基板73の柄21g’’の長さを、第4配線基板74の柄21g’の長さよりさらに所定値ΔL3だけ長くしかつ第3配線基板74の柄21g’’の幅を第4配線基板72の柄21g’の幅より広くした幅W2’’とし、第2配線基板72の柄21g’’’の長さを、第3配線基板73の柄21g’’の長さよりさらに所定値ΔL3だけ長くかつ第2配線基板72の柄21g’’’の幅を第3配線基板73の柄21g’’の幅より広くした幅W2’’’とし、第1配線基板71の柄21g’’’’の長さを、第2配線基板72の柄21g’’’の長さよりさらに所定値ΔL3だけ長くかつ第1配線基板71の柄21g’’’’の幅を第2配線基板72の柄21g’’’の幅より広くした幅W2’’’’とする。
【0107】
図21、図23に示した第13実施形態の配線基板71〜75の作用効果は、図17、図19に示した第11実施形態の配線基板の作用効果と同様である。
【0108】
次に、図24上段は図11、図15に示した第9実施形態の配線基板41〜45の取り付けられた双極型二次電池30の外部との接続状態を示した概略縦断面図である。図24下段は外部との接続部分を含めた第9実施形態の配線基板41〜45の取り付けられた双極型二次電池30の概観図である。図24において図11と同一部分には同一番号を付している。
【0109】
図24上段に示したように、双極型二次電池30を構成する5つのスタック31〜35、2つの強電タブ16、17及び第9実施形態の配線基板41〜45の全体は、ラミネートフィルム81(外装材)で被覆し内部をシール部53、54により真空にして密封している。ラミネートフィルム81の外には、強電タブ16、17と、5つの配線基板41〜45の柄、つまり第3配線基板43の柄21g、第2、第4の2つの配線基板42、44の柄21g’、第1、第5の2つの配線基板41、45の柄21g’’とが出されている。これら5つの柄21g、21g’、21g’’の端部には図示しないコネクタが設けられ、このコネクタを介してモニター回路、バランス制御回路等を含む制御回路82に接続されている。
【0110】
ここで、モニター回路は、双極型二次電池30の充電時に第2集電体4bを介して得られる電圧と、第1集電体4aを介して得られる電圧とから第1単電池層15aの電圧ΔV1を、第3集電体4cを介して得られる電圧と、第2集電体4bを介して得られる電圧とから第2単電池層15bの電圧ΔV2を、第4集電体4dを介して得られる電圧と、第3集電体4c介して得られる電圧とから第3単電池層15cの電圧ΔV3を5つの各スタック31〜35毎に測定して出力する。
【0111】
モニター回路からの5つの各スタック31〜35毎の3つの電圧ΔV1、ΔV2、ΔV3を受けるバランス制御回路では、5つの各スタック31〜35毎にこれら3つの電圧ΔV1、ΔV2、ΔV3のそれぞれが一致するように5つの各スタック31〜35毎に3つの各単電池層15a、15b、15cに流れる充電電流をフィードバック制御する。
【0112】
図25、図26、図27の各上段は第14、第15、第16の実施形態の配線基板91〜95の取り付けられた双極型二次電池30の外部との接続状態を示した概略縦断面図、図25、図26、図27の各下段は外部との接続部分を含めた第14、第15、第16の実施形態の配線基板91〜95の取り付けられた双極型二次電池30の概観図である。これら第14、第15、第16の実施形態の配線基板91〜95は、5つの配線基板91〜95の取り付けられた双極型二次電池30が車両に搭載されるに際しての様々な要求を満たすためのものである。
【0113】
図25上段に示す第14実施形態の配線基板91〜95は、図21に示した第13実施形態の配線基板71〜75の変形である。すなわち、第2基準高さを図21に示した第13実施形態の配線基板71〜75の場合よりさらに鉛直上方に置いている。
【0114】
図25上段では、双極型二次電池30、第14実施形態の配線基板91〜95に加えてモニター回路、バランス制御回路等を含む制御回路82をもラミネートフィルム81で被覆し内部を左右のシール部53、54により真空にして密封している。なお、図25下段においては制御回路82がラミネートフィルム81の外部に出ているように見えるが、実際には制御回路82もラミネートフィルム81で被覆されている。
【0115】
図26上段に示す第15実施形態の配線基板91〜95は、図25上段に示す第14実施形態の配線基板91〜95を前提として、下限電圧、上限電圧等の異常を知らせる等の配線101を追加し、この配線101を左側のシール部53より外部に出すようにしている。一方、図27上段に示す第16実施形態の配線基板91〜95は、図25上段に示す第14実施形態の配線基板91〜95を前提として、下限電圧、上限電圧等の異常を知らせる配線102を追加し、この配線102を右側のシール部54より外部に出すようにしている。
【0116】
ここで、双極型二次電池30を構成する5つの各スタック31〜35毎に4つの集電体4a、4b、4c、4dからの電圧が5つの配線基板91〜95を介して制御回路82に取り込まれ、制御回路82内のモニター回路で、5つの各スタック31〜35毎に3つの各単電池層15a、15b、15cの電圧ΔV1、ΔV2、ΔV3が測定される。これら3つの各電圧ΔV1、ΔV2、ΔV3は3つの各単電池層15a、15b、15cに電池性能上の異常がなければ、許容範囲内に収まる。実際には、3つの各単電池層15a、15b、15cに電池性能上の異常が生じ得る。従って、3つの各単電池層15a、15b、15cに生じる電池性能上の異常を診断できれば便利である。このため、3つの各電圧ΔV1、ΔV2、ΔV3に対して上限電圧Vuplmtと下限電圧Vdownlmtとを予め定めておけば、3つの各電圧ΔV1、ΔV2、ΔV3のいずれか一つが上限電圧Vuplmtを超えるかまたは下限電圧Vdownlmt未満となるときに、3つの各単電池層15a、15b、15cのいずれか一つに電池性能上の異常があることが診断可能となる。つまり、3つの各単電池層15a、15b、15cの電圧ΔV1、ΔV2、ΔV3と上限電圧Vuplmt及び下限電圧Vdownlmtとを比較する回路を制御回路82に追加して設けておけば、3つの各単電池層15a、15b、15cに電池性能上の異常があるか否かを診断させることができる。この診断結果を制御回路82から配線101、102を介して外部に出力させるのである。
【0117】
図28上段は第17実施形態の配線基板41〜45の取り付けられた双極型二次電池30の外部との接続状態を示した概略縦断面図、図28下段は外部との接続部分を含めた第17実施形態の配線基板の取り付けられた双極型二次電池30の概観図である。図29は外部との接続部分を含めた第18実施形態の配線基板の取り付けられた双極型二次電池30の概観図である。
【0118】
図28に示した第17実施形態の配線基板41〜45の取り付けられた双極型電池30は、図24に示した第9実施形態の配線基板41〜45の取り付けられた双極型電池30に対する変形例である。すなわち、図24に示した第9実施形態の配線基板41〜45の取り付けられた双極型電池30では、強電タブ16、17を左側のシール部53から外部に、5つの配線基板41〜45の柄21g、21g’、21g’’を右側のシール部54から外部に出している。これに対して、図28に示した第17実施形態の配線基板41〜45の取り付けられた双極型電池30では、5つの配線基板41〜45の柄21g、21g’、21g’’に加えて、強電タブ16、17をも右側のシール部54から外部に出すようにしている。従って、左側のシール部53からは外部に出すものはない。
【0119】
この場合に、右側のシール部54からの2つの強電タブ16、17の取り出し位置は、図28下段に示したように5つの柄21g、21g’、21g’’の外側に配置してもよいし、図29に示したように、2つの強電タブ16、17を5つの柄21g、21g’、21g’’の一方の側に並べて取り出すようにしてもかまわない。
【実施例】
【0120】
表1に示すように、スタックに取り付ける配線基板について、比較例1と6つの実施例(実施例1〜実施例6)を、また双極型二次電池に取り付ける配線基板について比較例2と5つの実施例(実施例7〜11)を作成した。
【0121】
【表1】
【0122】
ここで、比較例1および実施例1〜6では1つの配線基板を1つのスタックに取り付けるが、取り付けられるスタックの仕様は比較例1および実施例1〜6で共通である。同様に、比較例2および実施例7〜10では5つの配線基板を1つの双極型二次電池に取り付けるが、取り付けられる双極型二次電池の仕様は比較例2および実施例7〜11で共通である。そこで、これら1つのスタックおよび1つの双極型二次電池の作製方法について先に説明する。
【0123】
<双極型電極の作製>
導電性フィラーにカーボン微粒子を用いた厚み50μmの導電性高分子膜(厚み方向の体積低効率:1×10^−1Ω・cm)を、所定の縦と横の長さを有する部材にカットして集電体を形成した。
【0124】
正極活物質にスピネルLiMnO4、導電助剤にアセチレンブラック、バインダーにポリフッ化ビニリデンVDFを使用し、正極活物質、導電助剤、バインダーをそれぞれ85質量%、5質量%、10質量%に配合し、N−メチルピロリドンNMPをスラリー粘度調整溶媒として添加し、混合して正極活物質スラリーを調整した。
【0125】
上記の集電体の片面に、集電体の周縁部(全周)が所定幅の糊代部となるように該糊代部以外の部分に正極活物質スラリーを塗布し、乾燥させて正極活物質層を形成した。
【0126】
負極活物質にハードカーボン、導電助剤にアセチレンブラック、バインダーにN−メチルピロリドンPVDFを使用し、負極活物質、導電助剤、バインダーをそれぞれ85質量%、5質量%、10質量%に配合し、N−メチルピロリドンNMPをスラリー粘度調整溶媒として添加し、混合して負極活物質スラリーを調整した。
【0127】
この負極活物質スラリーを、正極活物質を塗布した集電体の反対面に、集電体の周縁部(全周)が所定幅の糊代部となるように該糊代部以外の部分に負極活物質スラリーを塗布し、乾燥させて負極活物質層を形成した。これにより、集電体の両面に正極活物質層と負極活物質層とを有する双極型電極が調整された。
【0128】
<スタックの作製>
上下2つの双極型電極を、一方の双極型電極の正極活物質層と他方の双極型電極の負極活物質層とが対向するように配置した状態で、その間にセパレータを介装すると共に、集電体ごとに集電体の一方の端部に配線基板の端子部を貼り付け、かつ対向配置させた上下2つの双極型電極の糊代部に幅30mmのポリエチレン製フィルムをシール材として置くことで4つの双極型電極を積層した。これにより1つのスタックが完成した。その後にシール材を上下からプレス(熱と圧力)をかけ融着し各層をシールした。
【0129】
上記糊代部に置いたシール材によって確保される空間にPC+EC(1:1)に1MのLiPF6を溶解させた電解液を10ccずつ注液し、シール部を真空にしながら融着した。
【0130】
双極型電池要素の投影面全体を覆うことのできる100μmのAl板の一部が電池投影面外部まで伸びている部分がある強電タブを作成した。この強電タブで双極型電池要素を挟み込みこれらを覆うようにアルミ製ラミネートフィルムで真空密封した。これにより、双極型電池要素全体を大気圧で上下の両面を押すことにより加圧され、強電タブ−電池要素間の接触が高められた1つのスタック(双極型電池)が完成した。
【0131】
<双極型二次電池の作製>
強電タブを挟み込む前の双極型電池要素を5つ直列に配置し、この直列に配置した5つの双極型電池要素を上記の強電タブで挟み込み、これらを覆うようにアルミ製ラミネートフィルムで真空密封した。これにより、5つのスタックを積層した1つの双極型二次電池が完成した。
【0132】
次に、比較例1及び実施例1〜6の配線基板、比較例2及び実施例7〜10の配線基板を個別に説明する。なお、後述するように、実施例1〜6において「露出導電部の露出導電部面積を大きくした」という場合、導電性テープの面積も、露出導電部面積に合わせて大きくしている。すなわち、「露出導電部の露出導電部面積を大きくした」とき、その大きくした露出導電部面積と同じ面積の導電性テープで、その大きくした露出導電部と集電体とを接着している。このように、露出導電部面積を大きくするとき、大きくした露出導電部面積と同じ面積の導電性テープとするのは、露出伝導部(端子部)と集電体との接着力を強化するためである。
【0133】
(比較例1)
4つある歯の長さを同じにした配線基板(図4上段参照)を比較例1の配線基板として作製した。
【0134】
(実施例1)
4つある歯のうち第1基準高さから離れる歯ほど歯の長さを長くした配線基板(図4下段あるいは図8(a)参照)を実施例1の配線基板として作製した。
【0135】
(実施例2)
第1基準高さにない歯の長さを第1基準高さにある歯の長さより長くした配線基板(図8(b)参照)を実施例2の配線基板として作製した。
【0136】
(実施例3)
第1基準高さにない歯の長さを第1基準高さにある歯の長さより長くし、かつ積層方向両端の歯の長さを積層方向内側の歯の長さより長くした配線基板(図8(c)参照)を実施例3の配線基板として作製した。
【0137】
(実施例4)
第1基準高さから離れる歯ほど歯の長さを長くし、かつ第1基準高さから離れる歯ほど歯の幅を広くした配線基板(図10(a)参照)を実施例4の配線基板として作製した。
【0138】
(実施例5)
第1基準高さから離れる歯ほど歯の長さを長くし、かつ第1基準高さから離れる歯ほど端子部の露出導電部の露出導電部面積を大きくした配線基板(図10(b)参照)を実施例5の配線基板として作製した。
【0139】
(実施例6)
第1基準高さから離れる歯ほど歯の長さを長くし、かつ第1基準高さから離れる歯ほど歯の幅を広くし、かつ第1基準高さから離れる歯ほど端子部の露出導電部の露出導電部面積を大きくした配線基板(図10(c)参照)を実施例6の配線基板として作製した。
【0140】
(比較例2)
柄の長さを同じにした5つの配線基板(図14参照)を比較例2の5つの配線基板として作製した。
【0141】
(実施例7)
第2基準高さから離れる配線基板ほど柄の長さを長くした5つの配線基板(図15参照)を実施例7の配線基板として作製した。
【0142】
(実施例8)
第2基準高さから離れる配線基板ほど柄の長さを長くし、かつ第2基準高さから離れる配線基板ほど柄の幅を広くした5つの配線基板(図19参照)を実施例8の配線基板として作製した。
【0143】
(実施例9)
第2基準高さから離れる配線基板ほど柄の長さを長くし、かつ第2基準高さから離れる配線基板ほど配線基板の端子部の露出導電部の露出導電部面積を大きくした5つの配線基板(図16参照)を実施例9の5つの配線基板として作製した。
【0144】
(実施例10)
第2基準高さから離れる配線基板ほど柄の長さを長くし、かつ上下端の柄の幅を最も広くし、かつ第2基準高さから離れる配線基板ほど配線基板の端子部の露出導電部の露出導電部面積を大きくした5つの配線基板(図20参照)を実施例10の配線基板として作製した。
【0145】
(実施例11)
第2基準高さから離れる配線基板ほど柄の長さを長くし、かつ上下端の柄の幅を最も広くし、かつ第2基準高さから離れる配線基板ほど配線基板の端子部の露出導電部の露出導電部面積を大きくし歯の長さを長くし及び歯の幅(太さ)を広く(太く)し、かつ第1基準高さから離れる歯ほど歯の長さを長くし、かつ第1基準高さから離れる歯ほど歯の幅を広くした5つの配線基板(図36参照)を実施例11の配線基板として作製した。
【0146】
このようにして比較例1及び実施例1〜6の配線基板を取り付けた共通仕様のスタックを作製した。また、このようにして比較例2及び実施例7〜11の配線基板を取り付けた共通仕様の双極型二次電池を作製した。
【0147】
<評価1>
比較例1、実施例1の配線基板を取り付けたスタックに対して、強電タブを介してSOCが100%となるまで充電を行った後、3つの各単電池層の分担電圧を測定し、各単電池層の電圧の最大値と最小値の差を比較例1、実施例1の配線基板を取り付けたスタックについて算出した。そして、比較例1の配線基板を取り付けたスタックの場合の最大値と最小値の差を100%として、実施例1の配線基板を取り付けたスタックの場合の最大値と最小値の差を%表示で表2に記した。
【0148】
【表2】
【0149】
表2より、実施例1の配線基板を用いれば、4つの各端子部の取り付け位置を電極活物質の端部から同じ距離離れた位置とすることができるため、スタック(電池)を充電した場合に3つの単電池層の電圧の最大値と最小値の差が49%となり、比較例1の配線基板を用いる場合よりほぼ半分にまで低減することがわかる。
【0150】
<評価2>
比較例1、実施例1〜6の配線基板を取り付けたスタック及び比較例2、実施例7〜11の配線基板を取り付けた双極型二次電池に対して、周波数100Hz、振幅5mmで鉛直方向に振動させる振動試験を行い、比較例1、実施例1〜6の配線基板を取り付けたスタック及び比較例2、実施例7〜11の配線基板を取り付けた双極型二次電池に対して、強電タブを介してSOCが100%となるまでスタック、双極型二次電池を充電したあと、スタックについては3つの各単電池層の電圧を、双極型二次電池については3つ×5個の各単電池層の電圧をそれぞれ測定し、その各単電池層の電圧の最大値と最小値の差を、比較例1、実施例1〜6の配線基板を取り付けたスタック、比較例2、実施例7〜10の配線基板を取り付けた双極型二次電池について算出した。そして、比較例1の配線基板を取り付けたスタックの場合を100%として、実施例1〜6の配線基板を取り付けたスタックの場合の最大値と最小値の差を%表示で、また比較例2の配線基板を取り付けた双極型二次電池の場合を100%として、実施例7〜11の配線基板を取り付けた双極型二次電池の場合の最大値と最小値の差を%表示でまとめて表3に記した。
【0151】
【表3】
【0152】
表3より、実施例1〜6の配線基板を用いれば、鉛直方向の振動試験を行い、その後にスタックを充電した結果、3つの各単電池層の電圧のバラツキが比較例1の配線基板を用いるよりもほぼ半分以下に減少していることがわかる。これは、実施例1〜6の配線基板を用いれば4つの各端子部の露出導電部の集電体への取り付け位置を電極活物質(電極)の端部から同じ距離離れた位置とすることができるためである。特に、外側の2つの歯の長さを内側の2つの歯の長さより長くした実施例6の配線基板を用いれば、鉛直方向の振動試験に対して配線基板がより断線しにくくなるために、実施例1、2の配線基板を用いる場合よりも最大値と最小値の差が実施例1、2の配線基板を用いる場合よりもほぼ半分程度にまで抑えられている。また、第1基準高さから離れる歯ほど歯の幅を広くした実施例4の配線基板、第1基準高さから離れる歯ほど端子部の露出導電部の露出導電部面積(及び導電性テープによる接着面積)を大きくした実施例5の配線基板を用いても、実施例1、2の配線基板を用いる場合よりも最大値と最小値の差を減らす効果は増大する。
【符号の説明】
【0153】
2 スタック
3 双極型電極
4 集電体
5 正極活物質層(正極)
6 負極活物質層(負極)
7 電解質層
11 シール材
15 単電池層(単電池)
21 配線基板
21a、21b、21c、21d 歯
21e 幹
21f 櫛状部位
21g 柄
22、23、24、25 配線
26 絶縁フィルム(絶縁基板)
22a、23a、24a、25a 端子部
30 双極型二次電池
31、32、33、34、35 スタック
41、42、43、44、45 配線基板
61、62、63、64、65 配線基板
71、72、73、74、75 配線基板
91、92、93、94、95 配線基板
【技術分野】
【0001】
この発明は配線基板、スタック及び双極型二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
積層型電池においては、各単電池が製造バラツキによりその内部抵抗や容量等にバラツキを有するため、単電池を直列に接続したときに各単電池の電圧にバラツキが生じる。この電圧バラツキが大きい電池から劣化が進行し、積層型電池としての寿命が制限されてしまう。従って、各単電池の電圧を測定し、その測定結果に基づいて各単電池の電圧を制御することにより、全ての単電池の電圧を均等にすることが望ましい。
【0003】
このため、積層型電池(双極型二次電池)の各単電池の電圧を測定するべく、各集電体にフレキシブルな(可撓性のある)配線基板を取り付け各単電池の電圧を外部に取り出すようにしたものがある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−160060号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の配線基板は、複数の歯と当該複数の歯を束ねて一体とした幹からなる櫛状部位と、この櫛状部位と接続される一つの柄とで構成される絶縁基板と、この絶縁基板上に導電材料で形成され前記複数の歯のそれぞれの先端から柄の端まで個別に伸延し前記複数の歯の先端に接触する導電体の電位を前記柄の端まで電導させる複数の配線とを有している。複数の歯の先端には導電材料が露出する端子部を有し、この端子部を対応する集電体に取り付けている。
【0006】
しかしながら、上記の配線基板では、複数ある歯の長さ並びに端子部面積及び端子部とこの端子部に対応する集電体との間の接着力が全て同じであるため、端子部を集電体の上下両面に設けられる電極活物質の端部から同じ距離だけ離れた位置の集電体に接着した後には、複数ある歯のたるみ度合が異なる。このため、積層型電池を振動が生じる環境下で使用する場合に、相対的に弛んでない歯には、相対的に弛んでいる歯より相対的に大きな引張応力が作用する。この相対的に大きな引張応力が作用する歯では相対的に小さな引張応力が作用する歯より断線する可能性が高くなる。配線基板に断線が生じると、全ての単電池層の分担電圧を精度良く測定できなくなる。
【0007】
そこで本発明は、端子部の集電体への取り付け位置を複数の単電池間で同じにし得る配線基板、スタック及び双極型二次電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、複数の歯と当該複数の歯を束ねて一体とした幹からなる櫛状部位と、この櫛状部位と接続される一つの柄とで構成される絶縁基板と、この絶縁基板上に導電材料で形成され前記複数の歯のそれぞれの先端から前記柄の端まで個別に伸延し前記複数の歯の先端に接触する導電体の電位を前記柄の端まで電導させる複数の配線と、前記複数の歯の先端に導電材料が露出する端子部とを有し、前記複数ある歯の長さを相違させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、配線基板をスタックに取り付けるに際して、積層型電池の構成要素である複数の単電池に対して、複数ある端子部を集電体周縁部の同じ位置に取り付けることが可能となる。この結果、複数ある歯の長さを同じにしている配線基板の場合よりも複数の単電池の各電圧を精度良く測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1実施形態の配線基板の取り付けられたスタックの概略縦断面図である。
【図2】第1実施形態の配線基板の取り付けられたスタックを上から見た平面図である。
【図3】第1実施形態の配線基板の取り付けられたスタックの縦断面図である。
【図4】比較例1の配線基板及び第1実施形態の配線基板の各平面図である。
【図5】比較例1の配線基板をスタックに取り付けた場合の第1、第4の端子部の集電体への接続部のみの拡大図である。
【図6】第1実施形態の配線基板をスタックに取り付けた場合の第1、第4の端子た部の集電体への接続部のみの拡大図である。
【図7】第1実施形態の配線基板の簡略モデル図である。
【図8】第2、第3、第4、第5の実施形態の配線基板の簡略モデル図である。
【図9】第2、第3の実施形態の配線基板をスタックに取り付けたときに配線基板側から見た概略図である。
【図10】第6、第7、第8の実施形態の配線基板の簡略モデル図である。
【図11】第9実施形態の配線基板の取り付けられた双極型二次電池の概略縦断面図である。
【図12】第9実施形態の配線基板の取り付けられた双極型二次電池を上から見た平面図である。
【図13】双極型二次電池の一部拡大概略縦断面図である。
【図14】比較例2の配線基板の平面図である。
【図15】第9実施形態の配線基板の平面図である。
【図16】第10実施形態の配線基板の平面図である。
【図17】第11実施形態の配線基板の取り付けられ双極型二次電池の概略縦断面図である。
【図18】第11実施形態の配線基板の取り付けられた双極型二次電池を上から見た平面図である。
【図19】第11実施形態の配線基板の平面図である。
【図20】第12実施形態の配線基板の平面図である。
【図21】第13実施形態の配線基板の取り付けられた双極型二次電池の概略縦断面図である。
【図22】第13実施形態の配線基板の取り付けられた双極型二次電池を上から見た平面図である。
【図23】第13実施形態の配線基板の平面図である。
【図24】第9実施形態の配線基板の取り付けられた双極型二次電池の外部との接続状態を示した概略縦断面図及び外部との接続部分を含めた第9実施形態の配線基板の取り付けられた双極型二次電池の概観図である。
【図25】第14実施形態の配線基板の取り付けられた双極型二次電池の外部との接続状態を示した概略縦断面図及び外部との接続部分を含めた第14実施形態の配線基板の取り付けられた双極型二次電池の概観図である。
【図26】第15実施形態の配線基板の取り付けられた双極型二次電池の外部との接続状態を示した概略縦断面図及び外部との接続部分を含めた第15実施形態の配線基板の取り付けられた双極型二次電池の概観図である。
【図27】第16実施形態の配線基板の取り付けられた双極型二次電池の外部との接続状態を示した概略縦断面図及び外部との接続部分を含めた第16実施形態の配線基板の取り付けられた双極型二次電池の概観図である。
【図28】第17実施形態の配線基板の取り付けられた双極型二次電池の外部との接続状態を示した概略縦断面図及び外部との接続部分を含めた第17実施形態の配線基板の取り付けられた双極型二次電池の概観図である。
【図29】外部との接続部分を含めた第18実施形態の配線基板の取り付けられた双極型二次電池の概観図である。
【図30】第1実施形態の配線基板の取り付けられたスタックの概略斜視図である。
【図31】第1実施形態の配線基板の取り付けられたスタックの概略側面図である
【図32】第19、第20の実施形態の配線基板の簡略モデル図である。
【図33A】第19実施形態の4つの端子部の露出導電部の集電体への取り付け状態を示す概略断面図である。
【図33B】第20実施形態の4つの端子部の露出導電部の集電体への取り付け状態を示す概略断面図である。
【図34】双極型二次電池の一部拡大概略縦断面図である。
【図35】2つの強電タブのみを取り出して示す斜視図である。
【図36】第21実施形態の配線基板の平面図である。
【図37】一の比較例1の4つの端子部の露出導電部の集電体への取り付け状態を示す概略断面図である。
【図38】他の比較例1の4つの端子部の露出導電部の集電体への取り付け状態を示す概略断面図である。
【図39】端子部の周縁に絶縁部を有する場合の第1実施形態の4つの端子部の露出導電部の集電体への取り付け状態を示す概略断面図である。
【図40】端子部の周縁に絶縁部を有さない場合の第1実施形態の4つの端子部の露出導電部の集電体への取り付け状態を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下図面に基づいて実施形態を説明する。以下の図面では、発明の理解を容易にするため、積層型電池を構成する要素などの各層の厚さや形状を誇張して示しているところがある。
【0012】
図1は本発明の第1実施形態の配線基板21の取り付けられたスタック2の概略縦断面図、図2は同スタック2から強電タブ16、17を除いた部分を上から見た平面図である。スタック2は双極型二次電池を構成する一単位である。図1において上方が鉛直上方、下方が鉛直下方であるとする。
【0013】
矩形かつ平板状の集電体4は、導電性高分子材料または非導電性高分子材料に導電性フィラーが添加された樹脂で形成されている。集電体4は、樹脂に限らず金属で形成されていてもよい。スタック2は、図1において水平方向に置かれた集電体4の鉛直下面に正極活物質層5(正極)が、集電体4の鉛直上面に負極活物質層6(負極)がそれぞれ形成された双極型電極3を4つ(複数)有している。なお、負極活物質層6のほうが正極活物質層5より表面積が広くされている。各双極型電極3は、鉛直方向に電解質層7を介して積層されて(直列に接続されて)1つのスタック2を形成している。
【0014】
ここで、上下方向に隣り合う2つの双極型電極をそれぞれ上段双極型電極、下段双極型電極としたとき、下段双極型電極の上面に位置する負極活物質層6と、上段双極型電極の下面に位置する正極活物質層5とが電解質層7を介して互いに向き合うように、下段、上段の各双極型電極が配置されている。
【0015】
正極、負極の2つの電極活物質層5、6の水平方向の外周は、集電体4の水平方向の外周よりも一回り狭く形成されている。この2つの電極活物質層5、6の設けられていない集電体4の周縁部(水平方向の全周)に、所定幅を有するシール材11を挟むことで、正極活物質層5と負極活物質層6とを絶縁すると共に、図1で上下方向に対向する2つの電極活物質層5、6の間に所定の空間8が生じるようにしている。また、シール材11は、2つの各活物質層5、6の水平方向の端部よりも余裕を持って外側に配置されている。
【0016】
上記の空間8には、液体状またはゲル状の電解質9が充填されることで、電解質層7を形成している。
【0017】
電解質9が充填されている空間8には、多孔質膜で形成されるセパレータ12が設けられ、このセパレータ12によっても対向する2つの電極活物質層5、6が電気的に接触するのが防止されている。電解質9はこのセパレータ12を通過し得る。
【0018】
なお、スタック2の最上段と最下段には、スタック2より離した位置に強電タブ16、17を参考までに示している。後述するように、本実施形態の配線基板が取り付けられた双極型二次電池は、5つのスタック2を直列に接続する(モジュール化する)ことで構成される。この双極型二次電池において、最上段の負極活物質層6に一方の強電タブ16が、最下段の正極活物質層5に他方の強電タブ17がそれぞれ接続される。双極型二次電池の充電後にプラス端子として機能するのが一方の強電タブ16、充電後にマイナス端子として機能するのが他方の強電タブ17である。
【0019】
電解質層7を挟んだ正極活物質層5及び負極活物質層6から一つの単電池層15(単電池)を構成している。したがって、スタック2は、3つの単電池層15を直列に接続した構成ともなっている。
【0020】
単電池層15を直列に接続した数は図1では3つであるが、単電池層15を直列に接続する数や後述するスタックを直列に接続する数は実際には所望する電圧に応じて調節すればよい。
【0021】
さて、直列に接続する複数の単電池層15で各電圧が同じでないと、スタック2全体として所望の電池電圧が得られない。例えば、図3に示したように、4つの集電体4を鉛直下方より第1集電体4a、第2集電体4b、第3集電体4c、第4集電体4dとして、また3つの各単電池層15を鉛直下方より第1単電池層15a、第2単電池層15b、第3単電池層15cとして区別する。このとき、第1単電池層15aの電圧ΔV1は第2集電体4bを介して得られる電圧と、第1集電体4aを介して得られる電圧とから測定することでができる。
【0022】
同様にして、第2単電池層15bの電圧ΔV2は第3集電体4cを介して得られる電圧と、第2集電体4bを介して得られる電圧とから、第3単電池層15cの電圧ΔV3は第4集電体4dを介して得られる電圧と、第3集電体4c介して得られる電圧とから測定することでができる。
【0023】
積層型電池であるスタック2においては、3つの各単電池層15a、15b、15cが製造バラツキによりその内部抵抗や容量等にバラツキを有するので、3つの単電池層15a、15b、15cを直列に接続したときに各単電池層15a、15b、15cの電圧ΔV1、ΔV2、ΔV3にバラツキが生じる。この電圧バラツキには、各単電池層の電圧が基準値より大きくなる場合と、電圧が基準値より小さくなる場合とがある。こうした電圧バラツキの中で、電圧バラツキが大きい電池から劣化が進行し、積層型電池としての寿命が制限されてしまう。従って、3つの各単電池層15a、15b、15cの電圧ΔV1、ΔV2、ΔV3を測定し、その測定結果に基づいて3つの各単電池層15a、15b、15cの電圧ΔV1、ΔV2、ΔV3を制御することにより、全ての単電池層15a、15b、15cの電圧ΔV1、ΔV2、ΔV3を均等にすることが望ましい。
【0024】
このため、積層型電池であるスタック2の各単電池層15a、15b、15cの電圧を測定するべく、各単電池層15a、15b、15cの集電体に可撓性のある配線基板を取り付け、各単電池層15a、15b、15cの電圧ΔV1、ΔV2、ΔV3を外部に取り出すことを考える。例えば、図4上段に示したような比較例1の配線基板21を用意する。比較例1の配線基板21は4つの歯21a、21b、21c、21dと当該複数の歯を束ねて一体とした幹21eからなる櫛状部位21fと、この櫛状部位21fと接続される一つの柄21gとで構成される絶縁フィルム26(絶縁基板)と、この絶縁フィルム26上に導電材料で形成され4つの歯21a、21b、21c、21dのそれぞれの先端から柄21gの端まで個別に伸延し4つの歯の先端に接触する導電体の電位を柄21gの端まで電導させる4つの配線22、23、24、25とを有している。また、図4上段において4つの歯21a、21b、21c、21dの各先端には、導電材料が露出する端子部22a、23a、24a、25aを有している。柄21gの端(図4上段で右端)には図示しないコネクタを有する。なお、柄21gは、外部から4つの各単電池層15a、15b、15cの電圧ΔV1、ΔV2、ΔV3を測定できるようにするために、スタック2(電池)あるいは後述する双極型二次電池30の外装材を突き抜けてコネクタが外装材の外に出ていることが必要である。このため、柄21gにはある程度の長さが必要である。
【0025】
詳細には、配線基板21は、ポリイミド系樹脂材料からなる絶縁基板と、絶縁体の接着材からなる第1接着層と、導電体である銅からなる配線層と、絶縁体の接着材からなる第2接着層と、ポリイミド系樹脂材料からなるカバー層の5つの層からなり、4つの歯21a、21b、21c、21dの先端である端子部22a、23a、24a、25aでは表面に銅を露出させるために、第2接着層とカバー層を取り除いている。すなわち、4つの端子部22a、23a、24a、25aは、ポリイミド系樹脂材料からなる絶縁基板と、絶縁体の接着材からなる第1接着層と、導電体である銅からなる配線層の3つの層からなる。一方、配線基板21は、ポリイミドからなる絶縁基板を有しているため4つの歯の裏面もポリイミド系樹脂材料からなる絶縁基板で覆われている。4つの端子部22a、23a、24a、25aの厚みは、対向する集電体間の間隔よりも小さいことを要する。
【0026】
この比較例1の配線基板21をスタック2の3つの各単電池層15a、15b、15c毎に図37または図38に示したように取り付ける。図37、図38はそれぞれ一の比較例1の、他の比較例1の4つの端子部22a、23a、24a、25aを示した概略断面図である。なお、図37に示した1の比較例1では、端子部22a、23a、24a、25aの周縁に絶縁部125、126、127、128を形成し中央に残る部分を導電部(この導電部を「露出導電部」という。)121、122、123、124として構成している。一方、図38に示した他の比較例1では、絶縁部125、126、127、128を形成していない。図4上段の配線基板21は露出導電部が見える側を紙面手前にして示している。そして、露出導電部の紙面手前側に導電性テープ(後述する)を置いている。ここで、図4上段において4つの端子部を第1端子部22a、第2端子部23a、第3端子部24a、第4端子部25aとして区別する。これら4つの端子部22a、23a、24a、25aと4つの集電体4a、4b、4c、4dとを電気的に接続するために、以下の工程を実施する。すなわち、第1集電体4aの周縁部(図37、図38で右端部)に導電性両面テープ(以下「導電性テープ」という。)111を置き、その導電性テープ111の上に第1端子部22aの露出導電部121を配置する。その後、第1端子部22aの上にシール材11を配置し、その上に第2集電体4bを乗せる。この第2集電体4bの周縁部(図37、図38で右端部)に導電性テープ112を置き、その導電性テープ112の上に第2端子部23aの露出導電部122を配置する。その後、第2端子部23aの上にシール材11を配置し、その上に第3集電体4cを乗せる。こうした作業を繰り返すことにより、双極型電極3を4つ積層する。その後、熱圧着工程により積層された4つの双極型電極3を熱圧着させる。シール材11は集電体4a、4b、4c、4dと熱溶着により接着されるとともに、4つの各集電体4a、4b、4c、4dに対応する端子部22a、23a、24a、25aの露出導電部121〜124を押しつけるように電気的に接続される。シール材11としては、弾性体であるPEO、PPO、PVdF、エポキシ樹脂、シリコン樹脂などを用いることができる。シール材11に弾性体を用いることにより集電体4a、4b、4c、4dと、導電体である銅が露出した端子部22a、23a、24a、25aとの熱膨張係数の違いにより発生する応力を吸収し、温度変化による剥がれを防止できる。
【0027】
配線基板21の4つの各端子部22a、23a、24a、25aの露出導電部121〜124をこのようにしてスタック2に取り付けることにより、4つの端子部22a、23a、24a、25aの露出導電部121〜124に接触する被測定体である集電体4a、4b、4c、4dの電圧(電位)を、コネクタを通して外部に出力させることができる。このように柄21gの端にコネクタを有することにより、コンパクトかつ少ない工数で3つの各単電池層15a、15b、15cの電圧ΔV1、ΔV2、ΔV3を測定できることとなる。
【0028】
さらに説明すると、2つの各比較例1の配線基板21では、4つある各導電性テープ111〜114が露出導電部121〜124と接着する面積のほか、4つの各歯21a、21b、21c、21dの長さ及び太さ、4つある端子部22a、23a、24a、25aの面積、4つある導電性テープ111〜114の接着面積が全て同じである。
【0029】
ここで、歯の太さは歯の幅と厚さを含んだ概念であるので、歯の幅と厚さを個別に定義する。歯の幅とは、図4上段において歯21a、21b、21c、21dの上下方向の幅のことである。また、図4上段において歯21a、21b、21c、21dには紙面を貫く方向にある厚さを有している。歯の厚さとはこの紙面を貫く方向の歯21a、21b、21c、21dの厚さのことである。歯の厚さが同じであれば、歯の幅を広くすることによって歯を太くすることができる。また、歯の幅が同じであれば、歯の厚さを厚くすることによって歯を太くすることができる。配線基板21をスタック2に取り付けたとき、図4上段に示した上下方向は集電体4a〜4dの面と平行な方向に、また図4上段において紙面を貫く方向は単電池層の積層方向となる。従って、配線基板21をスタック2に取り付けたとき、4つの各歯21a、21b、21c、21dは単電池層の積層方向(単電池の直列方向)に所定の厚さを、集電体の面と平行な方向に所定の幅を有するものである。
【0030】
また、後述する第1〜第8の実施形態において端子部の面積(この面積を以下「端子部面積」ともいう。)とは、1つの端子部の面積をいい、4つの端子部の面積を合わせた面積はいわない。なお、後述する第9〜第19の実施形態においては、1つの配線基板全体の端子部面積、つまり4つの端子部の面積をまとめて端子部面積ということがある。また、端子部面積とは、端子部の周縁に絶縁部を有する場合(図37参照)には絶縁部を含んだ面積をいい、端子部の周縁に絶縁部を有さない場合(図38参照)には絶縁部を含まない面積をいうものとする。露出導電部面積とは、端子部の周縁に絶縁部を有する場合(図37参照)には絶縁部を除いた、つまり露出導電部のみの面積をいう。端子部の周縁に絶縁部を有さない場合(図38参照)には露出導電部面積は端子部面積と一致する。一方、接着面積とは、導電性テープが露出導電部と当接する面積(集電体と当接する面積でもある)をいうものとする。簡単には導電性テープの面積が接着面積である。端子部と集電体との接着力は接着面積に依存し、接着面積が大きくなるほど端子部と集電体との接着力が強くなる。導電性テープの面積はそのままで露出導電部面積を大きくしただけでは、端子部と集電体との接着力は強くならない。
【0031】
図4上段には導電性テープ111、112、113、114を端子部22a、23a、24a、25aの露出導電部121、122、123、124に重ねて記載している。ただし、導電性テープと端子部の露出導電部とを重ねると見にくくなるので、導電性テープ111〜114を端子部の露出導電部より少し小さく記載している。実際には、図37、図38に示したように導電性テープ111〜114の接着面積は端子部の露出導電部面積と同一としている。なお、導電性テープの接着面積は必ずしも端子部の露出導電部面積と同一である必要はなく、導電性テープの接着面積は端子部の露出導電部面積より少し大きくてもあるいは少し小さくてもかまわない。この場合、4つある導電テープ111〜114を、第1導電性テープ111、第2導電性テープ112、第3導電性テープ113、第4導電性テープ114として区別する。
【0032】
ここで、端子部とこの端子部に対応する集電体との間の接着力(以下簡単に「端子部の露出導電部と集電体との接着力」ともいう。)は、導電性テープ111〜114の接着面積と接着方法とに依存する。同じ接着方法であれば、接着面積が大きくなるほど接着力が強くなる。接着面積が同じであれば、接着方法により接着力が相違する。
【0033】
樹脂で形成されている集電体4a〜4dと、端子部22a、23a、24a、25aの露出導電部121〜124との接着には導電部材、超音波溶接、熱圧着の少なくとも一つを用いる。これは、金属で形成されている集電体より接触抵抗の大きな樹脂集電体(部材)4a〜4dに端子部22a、23a、24a、25aの露出導電部121〜124を接着する場合には、導電部材を用いて接着したり、機械的に接着したり、熱を用いて接着することにより、樹脂集電体と端子部の露出導電部121〜124との間の接触抵抗を低減できるためである。樹脂集電体と端子部の露出導電部121〜124との接着後には接触抵抗が1Ω以下になっていることが好ましい。
【0034】
上記の導電部材としては導電性テープ、導電性接着ペースト、導電性熱硬化シール材、導電性熱可塑シール材、異方導電性接着剤を挙げることができる。導電性テープには一般的に用いられている材料を用いればよい。例えば、アクリル系のテープに導電性フィラーを分散させているものがある。導電性フィラーにはカーボンおよび、Fe,Ni,Al,Ag,Au,Cuなどの金属粒子が含まれる。導電性テープの接着方式としてはラミネート方式などがある。上記の異方導電性接着剤の塗布方法には、ダイコーティング、スクリーン印刷方式、インクジェット印刷方式などがある。
【0035】
このように、2つの各比較例1の配線基板21では、4つある歯21a、21b、21c、21dの長さ及び太さ、4つある端子部22a、23a、24a、25aの端子部面積、4つある露出導電部面積、4つある導電性テープ111〜114の接着面積が全て同じであるため、端子部22a、23a、24a、25aの露出導電部121〜124を対応する各集電体4a、4b、4c、4dに取り付ける際に、集電体の上下両面に設けられる電極活物質層5、6の端部(図3では右端部)から、この端子部22a、23a、24a、25aの露出導電部121〜124の取付位置までの距離にバラツキが生じ得る。電極活物質層5、6に生じる電荷は電極活物質層5、6の端部から各集電体4a、4b、4c、4dを介して各端子部22a、23a、24a、25aの露出導電部121〜124へと移動する。このため、電極活物質層5、6の端部と端子部22a、23a、24a、25aの露出導電部121〜124の取り付け位置との距離が長くなるほど電荷が移動する集電体部分の内部抵抗(電気抵抗)が大きくなる。この内部抵抗の影響は、特に樹脂集電体においてより顕著となる。つまり、3つの各単電池層15a、15b、15cの電圧ΔV1、ΔV2、ΔV3は正常であっても、4つの各端子部22a、23a、24a、25aの露出導電部121〜124の取り付け位置のバラツキに伴う電圧降下の影響を受けて、3つの各電圧ΔV1、ΔV2、ΔV3を正確に測定できなくなる。
【0036】
これについて図5を参照して説明する。ここで、図3において4つの歯21a、21b、21c、21dを下から第1歯21a、第2歯21b、第3歯21c、第4歯21dとして区別する。また、4つの配線22、23、24、25を第1配線22、第2配線23、第3配線24、第4配線25として区別する。図5は図3のうち第1端子部22aの露出導電部121を第1導電性テープ111を介して第1集電体4aに接続した接続部及び第4端子部25aの露出導電部124を第4導電性テープ114を介して第4集電体4dに接続した接続部のみを拡大して示し、第2端子部23aの露出導電部122を第2導電性テープ112を介して第2集電体4bに接続した接続部及び第3端子部24aの露出導電部123を第3導電性テープ113を介して第3集電体4cに接続した接続部は省略して示していない。
【0037】
図5において下方に位置する第1集電体4a上面の負極活物質層6aの電荷は第1集電体4aを介して第1導電性テープ111から第1端子部22aの露出導電部121へと流れ、また図5において上方に位置する第4集電体4d上面の負極活物質層6dの電荷は第4集電体4dを介して第4導電性テープ114から第4端子25aの露出導電部124へと流れる。第1、第4の各集電体4a、4dが、前述したように金属でなく、導電性高分子材料または非導電性高分子材料に導電性フィラーが添加された樹脂で形成されている。つまり樹脂集電体の場合には、電荷が移動する集電体部分が金属で形成されている集電体よりも大きな内部抵抗(電気抵抗)を有している。このため、2つの各負極活物質層6a、6dの右端部から2つの各端子部22a、25aの露出導電部121、124までの距離が同じになるように2つの各端子部22a、25aの露出導電部121、124を、導電性テープ111、114を介して対応する集電体4a、4dに取り付けるのが理想である。
【0038】
しかしながら、図4上段に示した比較例1の配線基板21だと、図5において下方に位置する第1端子部22aの露出導電部121の取り付け位置を基準の取り付け位置として、図5において上方に位置する第4端子部25aの露出導電部124が、基準の取り付け位置より右側に外れて取り付けられ得る。このように、第4端子部25aの露出導電部124が基準の取り付け位置より右側に外れて取り付けられると、電荷の移動する集電体部分の長さが長くなる分だけ電荷の移動する集電体部分の電気抵抗が大きくなる。上下2つの負極活物質層6a、6dから流れ出す電荷の量(電流値)が同じでも、電気抵抗の増加によって電圧降下が大きくなる。つまり、第4集電体4dの電圧を第4導線25で測定した場合、第4集電体4dの電圧降下の増大分だけ、期待される電圧よりも低下する。この結果、第3単電池層15cの電圧ΔV3は期待される電圧より見かけ上大きく見積もられる。第3単電池層15cの電池特性に異常がなくても、このように第4端子部25aの露出導電部124の取り付け位置が基準の取り付け位置より遠くに外れることによって、第3単電池層15cの電池特性に異常があると誤診されてしまう。
【0039】
図5では第4端子部25aの露出導電部124の取り付け位置が基準の取り付け位置より右側に外れる場合で説明したが、第2、第3の端子部23a、24aの露出導電部122、123の取り付け位置についても基準の取り付け位置より右側に外れる場合が生じ得る。また、端子部の露出導電部の取り付け位置の影響を受けて集電体の電圧が上方ほど低下する傾向は、単電池層の積層方向(図3で上下方向)に厚みが増すほどあるいは単電池層を積層する数が増すほど大きくなる。3つの各単電池層15a、15b、15cの電池性能に異常が無くても、図4上段に示した比較例1の配線基板21によれば、3つの各単電池層15a、15b、15cの電圧ΔV1、ΔV2、ΔV3にバラツキが生じるのである。
【0040】
そこで本発明の第1実施形態の配線基板21では、図4下段に示したように、比較例1の配線基板21とは異なり、配線基板21をスタック2に取り付けた場合の柄21gの高さ(位置)を基準にし、柄21gから上下方向に遠くなる歯ほど歯の長さを長くする。なお、柄21gの高さ(位置)を基準とするものに限定されるわけでない。柄21g以外の例えば4つある歯21a、21b、21c、21dのいずれかの高さ(位置)を基準にしてもかまわない。任意の高さ(位置)を基準にしてかまわない。以下の実施形態では、端子部の周縁に絶縁部を有する場合で主に説明する。この場合には、端子部面積を大きくすると露出導電部の面積も大きくなるものとする。なお、端子部の周縁に絶縁部を有しない場合も本発明の対象であることに変わりない。例えば、端子部の周縁に絶縁部を有する場合に配線基板の4つの端子部の露出導電部121〜124をスタックに取り付けた状態を図39に示すと、端子部の周縁に絶縁部を有しない場合に配線基板の4つの端子部の露出導電部121〜124をスタックに取り付けた状態は図40に示したようになるだけである。
【0041】
この第1実施形態の配線基板21を具体的に説明する。図4下段は、第1実施形態の配線基板21の平面図である。図4下段においても配線基板21は露出導電部が見える側を紙面手前にして示している。そして、露出導電部の紙面手前側に導電性テープ111〜114を置いている。当該配線基板21をスタック2に取り付けた状態では、図4下段において上方が鉛直上方に、下方が鉛直下方となるので、以下では、図4下段において上方を鉛直上方、下方を鉛直下方としても扱う。
【0042】
ここで、配線基板21をスタック2に取り付けた場合における第1歯21aの高さを第1基準高さ(第1基準位置)、第1歯21aの長さを第1基準長さL1、第1歯21a幅(太さ)を第1基準幅W1、第1端子部22aの露出導電部121の露出導電部面積を第1基準面積S1、第1導電性テープ111の接着面積を第1基準接着面積Sad1とする。このとき、第2歯21bの長さを第1基準長さL1より長く、第3歯21cの長さを第2歯21bの長さより長く、第4歯21dの長さを第3歯21cの長さより長くする。第2、第3、第4の歯21b、21c、21dの幅は第1基準幅W1と同じとし、第2、第3、第4の端子部23a、24a、25aの露出導電部122、123、124の露出導電部面積は第1基準面積S1と同じとし、第2、第3、第4の導電性テープ112、113、114の接着面積は、第1基準接着面積Sad1と同じとする。
【0043】
このように構成される第1実施形態の配線基板21をスタック2に取り付けるには、図39に示したようにまず第1端子部22aの露出導電部121を第1集電体4a上で基準の取り付け位置に第1導電性テープ111を用いて接着する(取り付ける)。次には、第2歯21bと第1歯21aとの長さの差が余裕代となるので、その余裕代を利用して第2端子部23aの露出導電部122を第2集電体4b上で基準の取り付け位置に第2導電性テープ112を用いて接着する。同様にして、第3歯21cと第2歯21bとの長さの差が余裕代となるので、その余裕代を利用して第3端子部24aの露出導電部123を第3集電体4c上で基準の取り付け位置に第3導電性テープ113を用いて接着する。同様にして、第4歯21dと第3歯21cとの長さの差が余裕代となるので、その余裕代を利用して第4端子部25aの露出導電部124を第4集電体4d上で基準の取り付け位置に第4導電性テープ114を用いて接着する。
【0044】
さらに説明する。4つある端子部22a、23a、24a、25aの露出導電部121、122、123、124は、対応する集電体4a〜4dと導電性テープ111、112、113、114を介して接触する。端子部の露出導電部の露出導電部面積及び導電性テープの接着面積を後述するように大きくすることは、端子部の露出導電部と集電体との接触面積が大きくなるなることを意味する。この場合に、接触面積を変更すると、端子部の露出導電部と集電体との接触抵抗が変更前より変化することがある。つまり、接触抵抗が変更前より大きくなる場合と小さくなる場合の両方がある。このため、5つの端子部の露出導電部で接触抵抗にバラツキが生じ得る。この接触抵抗のバラツキの影響を受けて各集電体の電圧を精度良く測定することができなくなる。これに対処するには、端子部の露出導電部面積を第1基準面積S1より増加しかつ導電性テープの接着面積を第1基準接着面積Sad1より増加させた場合に、接触抵抗が第1基準面積S1かつ第1基準接着面積Sad1のときより変化するか否かを予め測定し、接触抵抗が第1基準面積S1かつ第1基準接着面積Sad1のときより変化する場合には、その変化分に相当する電圧で、測定される4つの集電体からの電圧を補正してやればよい。
【0045】
このように、第1実施形態の配線基板21によれば、4つの歯21a、21b、21c、21dの長さを最も外側にある歯から順番に長くすることで、4つの各集電体4a、4b、4c、4d上の同じ取り付け位置(基準の取り付け位置)に4つの各端子部22a、23a、24a、25aを取り付けることができる。
【0046】
図6は第1実施形態の配線基板21を用いた場合において第1、第4の端子部22a、25aの露出導電部121、124を第1、第4の導電性テープ111、114を介して第1、第4の集電体4a、4dに接続した接続部のみを拡大して示し、第2、第3の端子部23a、24aの露出導電部122、123を第2、第3の導電性テープ112、113を介して第2、第3の集電体4b、4cに接続した接続部は省略して示していない。図6に示したように、第1実施形態の配線基板21の場合には、第4端子部25aの露出導電部124の第4集電体4dへの取り付け位置が基準の取り付け位置と同じとなる。取り付け位置が同じであれば、負極活物質層6dから第4導電性テープ114を介して第4端子部25aの露出導電部124へと電荷が移動する集電体部分の電気抵抗が、負極活物質層6aから第1導電性テープ111を介して第1端子部22aの露出導電部121へと電荷が移動する集電体部分の電気抵抗と変わらず、同じ電圧降下が生じる。これによって、3つの各単電池層15a、15b、15cの電圧ΔV1、ΔV2、ΔV3のバラツキが低減し、3つの各単電池層15a、15b、15cの電圧ΔV1、ΔV2、ΔV3を精度良く測定できる。
【0047】
図30は第1実施形態の配線基板21の取り付けられたスタック2の概略斜視図である。また、図31には第1実施形態の配線基板21を取り付けた側からみたスタック2の概略側面図を示す。なお、図30、図31では4つの集電体4a、4b、4c、4dのみを取り出して記載している。図30、図31に示したように、配線基板の幹21eは第1基準高さから少し傾斜して位置していることがわかる。
【0048】
なお、図4下段において柄21gの右端は、図示していないコネクタに接続されている。このコネクタは、前述したように外装材を突き抜けて外装材の外に出ており、このコネクタを介して他の装置につなげることができるようになっている。
【0049】
図7(a)は、図4下段に示した第1実施形態の配線基板21を改めて簡略モデル図で表したものである。図7(a)では第1端子部22aを、便宜上、第1歯21aの幅である第1基準幅W1より広く描いている。このように配線基板21の簡略モデル図においては、端子部を除いた部分の歯の幅を歯の幅とする。図7(a)では柄21gを第1基準高さに最も近い位置に設けているが、柄21gを設ける高さ(位置)は基本的にどこでも良い。例えば、図7(b)に示したように、柄21gが単電池層の積層方向(図7で上下方向)のちょうど真ん中にあってもよい。図7(a)の配線基板21は露出導電部121〜124が見える側を紙面手前にして示している。端子部周縁の絶縁部は省略して示していない。そして、露出導電部121〜124の紙面手前側に導電性テープ111〜114を置いている。導電性テープ111〜114と端子部22a、23a、24a、25a(露出導電部121〜124)とを重ねると見にくくなるので、導電性テープ111〜114を端子部22a、23a、24a、25a(露出導電部121〜124)より少し小さく記載している。実際には、導電性テープ111〜114の接着面積は端子部22a、23a、24a、25aの露出導電部121〜124の面積と同一としている(図7(c)参照)。
【0050】
なお、後述する簡略モデル図(図7(b)、図8、図10、図14、図15、図16、図19、図20、図23、図36)の配線基板についても、配線基板は露出導電部が見える側を紙面手前側にして示している。端子部周縁の絶縁部は省略して示していない。ただし、図8以降に示す簡略モデル図(ただし、図32を除く)においては、導電性テープの記載を省略しているが、導電性テープを用いていないということではない。以下では、図32を除き、導電性テープについて特に言及しないが、端子部の露出導電部の露出導電部面積と同一の面積(または近似する面積)の導電性テープを用いて端子部の露出導電部と集電体とを接着しているものとする。
【0051】
次に、スタック2に取り付ける他の実施形態の配線基板21を説明する。本発明の配線基板21の特徴部分は、4つある歯21a、21b、21c、21dの各長さを相違させる点にある。この場合の基本的な考え方としては、第1基準高さでの歯の長さを基準(第1基準長さL1)として、第1基準高さと異なる高さに位置する歯の長さを第1基準長さL1より長くすることである。図7(a)、(b)に示したように、第1基準高さより離れる歯ほど歯の長さを長くすることは必ずしも必要ない。
【0052】
図8(a)〜(d)は第2、第3、第4、第5の実施形態の配線基板21を簡略モデル図で表したもので、図7(a)、(b)に示した第1実施形態の配線基板21と置き換わるものである。図8(a)に示す第2実施形態の配線基板21では、第4歯21dを第1基準高さでの歯とし、第4歯21d、第3歯21c、第2歯21b、第1歯21aの順に歯の長さが長くなっている。図8(b)に示す第3実施形態の配線基板21では、第3歯21cを第1基準高さでの歯とし、第3歯21c、第1歯21a、第2歯21b、第4歯21dの順に歯の長さが長くなっている。図8(c)に示す第4実施形態の配線基板21では、第3歯21cを第1基準高さでの歯とし、第3歯21c、第2歯21b、第4歯21d、第1歯21aの順に歯の長さが長くなっている。図8(d)に示す第5実施形態の配線基板21では、第1歯21aを第1基準高さでの歯とし、第1歯21a、第4歯21d、第3歯21c、第2歯21bの順に歯の長さが長くなっている。
【0053】
このように第1基準高さにある歯より離れる歯ほど歯の長さを長くすることは必ずしも必要なく、図8(b)〜(d)に示す第3、第4、第5の実施形態の配線基板21によっても、4つ全ての歯21a、21b、21c、21dの長さを大きくたるむことなく最適な長さに設定できる。
【0054】
例えば、図8(b)に示す第3実施形態の配線基板21において、4つの歯をたるむことなく取り付けることは可能である。例えば、第1歯21aの端子部22aの露出導電部121を第1集電体4aに、第2歯21bの端子部23aの露出導電部122を第4集電体4dに、第3歯21aの端子部24aの露出導電部123は第3集電体4cに、第4歯21dの端子部25aの露出導電部124を第2集電体4bに取り付けることでたるむことはなくなる。ただし、この場合の単電池層の電圧の測定方法としては次のようにする。すなわち、第1歯21aの端子部22aの露出導電部121から得られる電圧と第4歯21dの端子部25aの露出導電部124から得られる電圧とで第1単電池層15aの電圧ΔV1を測定する。第4歯21dの端子部25aの露出導電部124から得られる電圧と第3歯21cの端子部24aの露出導電部123から得られる電圧とで第2単電池層15bの電圧電圧ΔV2を、第3歯21cの端子部24aの露出導電部123から得られる電圧と第2歯21bの端子部23aの露出導電部122から得られる電圧とから第3単電池層15cの電圧ΔV3を測定する。
【0055】
図9(a)、(b)は、図8(a)、(b)に示した第2、第3の実施形態の配線基板21をスタック2に取り付けたときに配線基板21の側から見た概略縦断面図である。第2実施形態の配線基板21では、図9(a)に示したように4つの歯21a、21b、21c、21dの露出導電部121〜124が斜めの位置に整列しているが、第3実施形態の配線基板21では、図9(b)に示したように4つの歯21a、21b、21c、21dの露出導電部121〜124は整列していない。このように、4つの歯21a、21b、21c、21dの露出導電部121〜124は必ずしも整列している必要はない。なお、第3実施形態の配線基板21を図9(b)に示したように取り付けることで4つの歯がたるむことを防いでいる。
【0056】
ここで、第1から第5までの実施形態の配線基板21の作用効果を説明する。
【0057】
第1から第5までの実施形態の配線基板21によれば、4つ(複数)の歯21a、21b、21c、21dと当該4つの歯21a、21b、21c、21dを束ねて一体とした幹21eからなる櫛状部位21fと、この櫛状部位21fと接続される一つの柄21gとで構成される絶縁基板26と、この絶縁基板26上に導電材料で形成され4つの歯21a、21b、21c、21dのそれぞれの先端から柄21gの端まで個別に伸延し4つの歯の先端に接触する導電体の電位を柄21gの端まで電導させる複数の配線22、23、24、25と、4つの歯21a、21b、21c、21dの先端に導電材料が露出する端子部22a、23a、24a、25aとを有し、4つある歯21a、21b、21c、21dの長さを相違させるので、配線基板21をスタック2に取り付けるに際して、積層型電池の構成要素である3つ(複数)の単電池層15a、15b、15cに対して、4つある端子部22a、23a、24a、25aの露出導電部121〜124を集電体周縁部の同じ位置に取り付けることが可能となる。この結果、4つある歯21a、21b、21c、21dの長さを同じにしている比較例1の配線基板の場合よりも3つの単電池層15a、15b、15c(単電池)の各電圧ΔV1、ΔV2、ΔV3を精度良く測定することができる。
【0058】
第1、第2の実施形態の配線基板21によれば、図7(a)、(b)、図8(a)に示したように4つ(複数)ある歯21a、21b、21c、21dの長さを最も外側にある歯21aまたは21dから順番に長くするので、配線基板21をスタック2に取り付けるに際して、積層型電池の構成要素である3つ(複数)の単電池層15a、15b、15cに対して、4つ全ての端子部22a、23a、24a、25aの露出導電部121〜124を集電体周縁部の同じ位置に無駄なく取り付けることが可能となる。この結果、無駄を排除しつつ3つの単電池層15a、15b、15cの各電圧ΔV1、ΔV2、ΔV3を精度良く測定することができる。
【0059】
一方、第1実施形態の配線基板21の取り付けられたスタック2は、一の集電体の下面(一方の面)に正極活物質層5(正極)を、上面(反対の面)に負極活物質層6(負極)を形成した2つの双極型電極3を、互いに正極活物質層5と負極活物質層6とが対向するように電解質7を挟んで積層することにより電解質7を挟んだ正極活物質層5と負極活物質層6とからなる単電池層15(単電池)を構成し、この単電池層15を3つ(複数)直列に接続したスタック2であって、この3つの各単電池層15a、15b、15cの電圧測定のための配線基板21を、4つ(複数)の歯21a、21b、21c、21dと当該複数の歯21a、21b、21c、21dを束ねて一体とした幹21eからなる櫛状部位21fと、この櫛状部位21fと接続される一つの柄21gとで構成される絶縁フィルム26(絶縁基板)と、この絶縁フィルム26上に導電材料で形成され4つの歯21a、21b、21c、21dのそれぞれの先端から柄21gの端まで個別に伸延し4つの歯21a、21b、21c、21dの先端に接触する導電体の電位を柄21gの端まで電導させる4つの配線22、23、24、25と、4つの歯21a、21b、21c、21dの先端に導電材料が露出する端子部22a、23a、24a、25aとを含んで構成し、4つの各端子部22a、23a、24a、25a(の露出導電部121〜124)を対応する集電体4a、4b、4c、4dに取り付けるようにしたスタックである。このスタック2において、4つある歯21a、21b、21c、21dのうち予め定めた第1基準高さ(第1基準位置)より離れた位置にある集電体4b、4c、4dに取り付ける歯21b、21c、21dの長さを、第1基準高さにある(かまたは第1基準高さ付近にある)集電体4aに取り付ける歯21aの長さより長くするので、第1基準高さより離れた位置にある集電体4b、4c、4dと、第1基準高さにある(かまたは第1基準高さ付近にある)集電体4aとで集電体周縁部の同じ位置に端子部(の露出導電部)を取り付けることが可能となる。この結果、4つある歯21a、21b、21c、21dの長さを同じにしている比較例1の配線基板21をスタック2に取り付ける場合よりも3つの単電池層15a、15b、15cの各電圧ΔV1、ΔV2、ΔV3を精度良く測定することができる。
【0060】
第1、第2の実施形態の配線基板21によれば、4つある歯21a、21b、21c、21dのうち第1基準高さ(第1基準位置)より離れる歯ほど歯の長さを長くするので(図7(a)、(b)、図8(a)参照)、4つの集電体4a、4b、4c、4dに対して、4つ全ての端子部22a、23a、24a、25aの露出導電部121〜124を集電体周縁部の同じ位置に無駄なく取り付けることが可能となる。この結果、無駄を排除しつつ3つの各単電池層15a、15b、15cの電圧ΔV1、ΔV2、ΔV3のバラツキが低減し、3つの単電池層15a、15b、15cの各電圧ΔV1、ΔV2、ΔV3を精度良く測定することができる。
【0061】
第1、第2の実施形態の配線基板21によれば、各端子部22a、23a、24a、25a(の露出導電部121〜124)の集電体4a、4b、4c、4dへの取り付け位置を正極活物質層5(正極)または負極活物質層6(負極)の端部(図3では右端部)から同じ距離離れた位置とするので、4つの集電体4a、4b、4c、4dに対して、集電体周縁部の同じ位置に4つ全ての端子部22a、23a、24a、25aの露出導電部121〜124を取り付けることが可能となり、3つの各単電池層15a、15b、15cの電圧ΔV1、ΔV2、ΔV3のバラツキが低減し、3つの単電池層15a、15b、15cの各電圧ΔV1、ΔV2、ΔV3を精度良く測定することができる。
【0062】
スタック2に取り付ける第1、第2、第3の実施形態の配線基板21によれば、集電体4a、4b、4c、4dには高分子材料に導電部材を使用した樹脂集電体を用いている。樹脂集電体は金属集電体にくらべて弾性があり、配線基板21の端子部22a、23a、24a、25aの露出導電部121〜124とより密着することができるため、振動に伴う引張応力を緩和して配線基板21の断線を防止することができる。
【0063】
図10(a)〜(c)は第6、第7、第8の実施形態の配線基板21を簡略モデル図で表したもので、図8(a)に示した第2実施形態の配線基板21と置き換わるものである。このうち、図10(a)に示す第6実施形態の配線基板21は、図8(a)に示した第2実施形態の配線基板21を前提として、さらに4つの歯の幅(太さ)を第4歯、第3歯、第2歯、第1歯の順に広くしたものである。すなわち、第4歯21dの幅は、図8(a)に示した第2実施形態の配線基板21の第4歯21dの幅(第1基準幅W1)と同じとし、第3歯21c’の幅は第1基準幅W1よりも広く、第2歯21b’の幅は第3歯21c’の幅よりも広く、第1歯21a’の幅は第2歯21b’の幅よりも広くしている。歯の幅は、歯の太さの代用である。これは、配線基板21の全体は薄膜状に形成されているため、歯を太くすることに代えて、歯の幅を広くするものである。
【0064】
図10(b)に示す第7実施形態の配線基板21は、図8(a)に示した第2実施形態の配線基板21を前提として、さらに端子部の露出導電部の露出導電部面積を、第1基準高さにある第4歯を基準として、第4歯、第3歯、第2歯、第1歯の順に大きくしたものである。すなわち、第4端子部25aの露出導電部124の露出導電部面積は第2実施形態の配線基板21の第4端子部25aの露出導電部124の露出導電部面積(第1基準面積S1)と同じとし、第3端子部24a’の露出導電部123’の露出導電部面積を第4端子部25aの露出導電部124の露出導電部面積よりも大きく、第2端子部23a’の露出導電部122’の露出導電部面積を第3端子部24a’の露出導電部123’の露出導電部面積よりも大きく、第1端子部22a’の露出導電部121’の露出導電部面積を第2端子部23a’の露出導電部122’の露出導電部面積よりも大きくしている。
【0065】
図10(c)に示す第8実施形態の配線基板21は、図10(a)に示す第6実施形態の配線基板21と、図10(b)に示す第7実施形態の配線基板21とを組み合わせたものである。
【0066】
直列に接続した単電池層の数が多いスタック2を振動が生じる環境下で使用する場合に、配線基板21の4つの歯21a、21b、21c、21dの幅(太さ)が同じであると、第1基準高さ(第1基準位置)にある歯より離れる歯ほど、振動に伴って歯の端子部の露出導電部に作用する引張応力が増すために絶縁基板26上に形成される配線22、23、24、25の断線が生じ得る。第6、第8の実施形態の配線基板21によれば、図10(a)、(c)に示したように4つある歯のうち第1基準高さ(第1基準位置)より離れる歯ほど、つまり第4歯21d、第3歯21c’、第2歯21b’、第1歯21a’の順に歯の幅(太さ)を広く(太く)している。すなわち、引張応力が増すにつれて歯の幅(太さ)を広く(太く)することで、振動に伴う配線22、23、24、25の断線を防ぐことができる。なお、振動が生じる環境下でスタック2を使用する場合としては、スタック2を自動車に搭載する場合が考えられる。
【0067】
第7、第8の実施形態の配線基板21によれば、図10(b)、(c)に示したように4つある歯のうち第1基準高さ(第1基準位置)より離れる歯ほど、つまり第4歯21d、第3歯21c’、第2歯21b’、第1歯21a’の順に歯の先端に有する端子部の露出導電部の露出導電部面積及び導電性テープの接着面積を大きくしている。すなわち、引張応力が増す歯ほど端子部の露出導電部と集電体との接着力を強くすることで、振動に伴う引張応力を低減することができ、配線22、23、24、25の断線を防ぐことができる。
【0068】
図32(a)、(b)は第19実施形態の配線基板21を簡略モデル図で表したものある。このうち図32(a)の配線基板21は露出導電部121〜124が見える側を紙面手前にして、図32(b)は露出導電部121〜124が見えない側を紙面手前にして示している。端子部周縁の絶縁部は省略して示していない。そして、図32(a)に示したように露出導電部121〜124の紙面手前側に導電性テープ111〜114を置いている。一方、図32(c)、(d)は第20実施形態の配線基板21を簡略モデル図で示したものである。このうち図32(c)の配線基板21は露出導電部121〜124が見える側を紙面手前にして、図32(d)は露出導電部121〜124が見えない側を紙面手前にして示している。端子部周縁の絶縁部は省略して示していない。そして、図32(c)に示したように露出導電部121〜124の紙面手前側に導電性テープ111〜114を置いている。ここまで説明した第1〜第8の実施形態の配線基板21は(後述する第9〜第18の実施形態の配線基板21についても)、端子部の周縁に絶縁部を有する場合に、端子部面積を大きくすると、露出導電部面積も大きくなるものであった。しかしながら、端子部の構成は、これに限られるものでなく、端子部面積を大きくしても露出導電部面積は変えないように構成するものがある。この場合、各端子部に形成される露出導電部は全て同じ第1基準面積S1となっている。端子部面積とは別に露出導電部面積を全て同じ第1基準面積S1とする理由は露出導電部と集電体との間の接触抵抗を各端子部で同等とするためである。
【0069】
このように、端子部面積とは別に露出導電部面積を全て同じ第1基準面積S1とする場合には、図32(a)、(b)、(c)、(d)に示した配線基板21の簡略モデル図では、端子部面積、露出導電部面積、導電性テープの接着面積の関係がわかりづらいので、図33A、図33Bに概略断面図を示す。すなわち、図33Aは第19実施形態の4つの端子部22a’、23a’、24a’、25aの露出導電部121〜124の集電体への取り付け状態を示す概略断面図である。図33Bは第20実施形態の4つの端子部22a、23a、24a、25aの露出導電部121〜124の集電体への取り付け状態を示す概略断面図である。
【0070】
図32(a)、(b)、図33Aに示す第19実施形態の配線基板21は、各端子部で露出導電部121〜124の露出導電部面積を全て同じ第1基準面積S1としているものを前提として、4つある導電性テープ111〜114の接着面積を、第4導電性テープ114、第3導電性テープ113、第2導電性テープ112、第1導電性テープ111の順に大きくしたものである。ただし、端子部面積は第4端子部25a、第3端子部24a’、第2端子部23a’、第1端子部22a’の順に大きくしている。なお、4つある端子部及び4つある導電性テープ以外の構成は図10(b)に示す第7実施形態の配線基板21と同じである。
【0071】
図32(c)、(d)、図33Bに示す第20実施形態の配線基板21は、4つある端子部22a、23a、24a、25aの端子部面積が同じ面積S3であるものを前提として、4つある導電性テープ111、112、113、114の接着面積を、第4導電性テープ114、第3導電性テープ113、第2導電性テープ112、第1導電性テープ111の順に大きくしたものである。なお、4つある端子部及び4つある導電性テープ以外の構成は図10(b)に示す第7実施形態の配線基板21と同じである。
【0072】
次に、図11は第9実施形態の配線基板41〜45の取り付けられた双極型二次電池30の概略縦断面図、図12は第9実施形態の配線基板41〜45の取り付けられた双極型二次電池30から強電タブ16、17の一部を除いた部分を上から見た平面図である。図11においては上方が鉛直上方、下方が鉛直下方であるとする。
【0073】
第9実施形態の配線基板41〜45の取り付けられた双極型二次電池30は、図1〜図3に示したスタック2を5つ(複数)直列に接続することにより構成した双極型二次電池である。ここでは、5つのスタック2を区別するため、図11において鉛直下方より鉛直上方に向かって、第1スタック31、第2スタック32、第3スタック33、第4スタック34、第5スタック35とする。また、5つの各スタック31〜35に取り付けられる5つの配線基板21を区別するため、図11において鉛直下方より鉛直上方に向かって、第1配線基板41、第2配線基板42、第3配線基板43、第4配線基板44、第5配線基板45とする。
【0074】
図11に示した双極型二次電池は、実際には図13のようになっている。ここで、図13は第1、第2、第3の3つのスタック31、32、33を積層(直列に接続)した状態での一部拡大縦断面図を示し、第4、第5の2つのスタック34、35の積層部分は省略して示していない。
【0075】
図13に示したように第1スタック31の上に第2スタック32を積層する際には、第1スタック31の最上端の集電体(第4集電体4d)と、第2スタック32の最下端の集電体(第1集電体4a)との水平方向位置を揃え、それら2つの集電体の水平方向の周縁部に、スタック31、32の製作に用いたと同じシール材11を挟むことで、正極活物質層5と負極活物質層6とを絶縁すると共に、上下方向に対向する正極活物質層5と負極活物質層6の間に所定の空間が生じるようにする。そして、その空間に液体状またはゲル状の電解質を充填することで、電解質層7を形成する。対向する2つの活物質層(5、6)が電気的に接触するのを防止するため電解質層7の内部にセパレータ(12)を設ける。
【0076】
次に、第2スタック32の上に第3スタック33を積層する際には、第1スタック31の上に第2スタック32を積層した方法と同じ方法を用いる。図示しないが、第3スタック33の上に第4スタック34を積層する際及び第4スタック34の上に第5スタック35を積層する際にも、第1スタック31の上に第2スタック32を積層した方法と同じ方法を用いる。このようにして、5つのスタック31〜35の積層を終了する。次には、第5スタック35の最上端にある負極活物質層6に強電タブ16を、また第1スタック31の最下端にある正極活物質層5に強電タブ17を電気的に接続する。
【0077】
複数のスタックの積層方法は図13に示した方法に限られない。例えば、図34に示したように図3に示したスタック2をそのまま積層することとしてもかまわない。なお、図34、図13において1つの配線基板毎に4つの端子部の露出導電部と4つの集電体とを導電性テープを用いて接着していることはいうまでもない。
【0078】
図11に示したように上下端を強電タブ16、17で挟み、この2つの強電タブ16、17を含んだ全体をラミネートフィルム(図示しない)で被覆しシール部53でシールしている。強電タブ16、17は、実際には図35のようになっている。ここで、図35は2つの強電タブ16、17のみを取り出して示す斜視図である。2つの強電タブ16、17は平板状の導電部材で矩形に形成されると共に、一隅に突出部16a、17aを有している。この突出部16a、17aが双極型二次電池30の外装材を突き抜けて外に出ている。
【0079】
このように5つのスタック31〜35を積層する(直列に接続する)ことにより双極型二次電池30を構成する場合、1つのスタックについて1つの配線基板が必要となるため、双極型二次電池30の全体で5つの配線基板41〜45が必要になる。この5つの配線基板41〜45は、図11に示したように全体をラミネートフィルムで被覆し上下方向のある高さでシール部54によってシールする必要がある。ここで、5つの配線基板41〜45をシールする位置にあるスタックの高さを「第2基準高さ」(第2基準位置)とする。ここで、図11において双極型二次電池30に取り付ける5つの配線基板41、42、43、44、45を下から第1配線基板41、第2配線基板42、第3配線基板43、第4配線基板44、第5配線基板45として区別する。
【0080】
図14は、双極型二次電池30に取り付ける比較例2の配線基板41〜45の平面図である。図14最上段には、第5スタック35に取り付ける第5配線基板45の平面図を示している。また、図14第2段目には第4スタック34に取り付ける第4配線基板44の平面図を、図14第3段目には第3スタック33(第2基準高さにあるスタック)に取り付ける第3配線基板43の平面図を、図14第4段目には第2スタック32に取り付ける第2配線基板42の平面図を、図14最下段には第1スタック31に取り付ける第1配線基板41の平面図を第5配線基板45と同じスケールで示している。
【0081】
図14に示す比較例2の配線基板41〜45は、5つある配線基板41〜45が全て図8(a)に示した第2実施形態の配線基板21と同じ寸法、同じ形状のものである。すなわち、第3配線基板43の柄21gの幅を第2基準幅W2、第3配線基板43の柄21gの長さを第3基準長さL3、第3配線基板43の第4端子部25aの露出導電部124の露出導電部面積を第1基準面積S1とする。このとき、第1、第2、第4、第5の配線基板41、42、44、45の柄21gの幅を全て第3配線基板43の柄21gの幅と同じ第2基準幅W2とし、第1、第2、第4、第5の配線基板41、42、44、45の柄21gの長さを全て第3配線基板43の柄21gの長さと同じ第3基準長さL3とし、第1、第2、第4、第5の配線基板41、42、44、45の端子部25a、24a、23a、22aの露出導電部124〜121の露出導電部面積を第3配線基板43の端子部25a、24a、23a、22aの露出導電部124〜121の露出導電部面積である第1基準面積S1と同じとする。
【0082】
ここで、柄の太さも柄の幅と厚さを含んだ概念であるので、柄の幅と厚さを個別に定義する。柄の幅とは、図14において柄21gの上下方向の幅のことである。また、図14において柄21gには紙面を貫く方向にある厚さを有している。柄の厚さとはこの紙面を貫く方向の柄21gの厚さのことである。柄の厚さが同じであれば、柄の幅を広くすることによって柄を太くすることができる。また、柄の幅が同じであれば、柄の厚さを厚くすることによって柄を太くすることができる。
【0083】
さて、比較例2の配線基板41〜45では、各配線基板の間で柄21gの太さ及び長さ並びに端子部の露出導電部面積が全て同じであるため、5つの配線基板41〜45を双極型二次電池30に取り付けるとすれば、第2基準高さから最も離れた位置にあるスタック31、35に取り付ける配線基板(つまり第1、第5の配線基板41、45)に第2基準高さにあるスタック31、35に取り付ける配線基板(つまり第3配線基板43)に対するよりも大きな引張応力が作用する。その大きな引張応力で第2基準高さから最も離れた位置にあるスタックに取り付ける第1、第5の配線基板41、45の端子部の露出導電部が集電体から剥がれ易く接触不良が生じる。あるいは断線の可能性もある。
【0084】
そこで、第9実施形態の配線基板41〜45として、図11に示したように、第2基準高さから離れるスタックに取り付ける配線基板ほど配線基板の長さを長くする。
【0085】
この第9実施形態の配線基板41〜45を具体的に図15を参照して説明する。図15は第9実施形態の配線基板41〜45の平面図である。図15上段には、第3スタック33(第2基準高さにあるスタック)に取り付ける第3配線基板43の平面図を示している。また、図15中段には第2、第4の2つのスタック32、34に取り付ける第2、第4の2つの配線基板42、44の平面図を、図15下段には第1、第5の2つのスタック31、35に取り付ける第1、第5の2つの配線基板41、45の平面図を、第3配線基板43と同じスケールで示している。
【0086】
ここで、第2基準高さにあるスタック33に取り付けられる第3配線基板43の長さを第2基準長さL2とする。このとき、第2、第4の配線基板42、44の長さを第2基準長さL2より長くし、第1、第5の2つの配線基板41、45の長さを第2、第4の2つの配線基板42、44の長さより長くする。この場合、各配線基板41〜45の4つの歯21a、21b、21c、21d及び幹21eからなる櫛状部位21fについては、各配線基板41〜45の間で変更せず、各配線基板41〜45の柄21gの長さを変更することで対処させる。つまり、第3配線基板43の柄21gの長さを第3基準長さL3、第3配線基板43の柄21gの幅(太さ)を第2基準幅W2としたとき、図15に示したように、第2、第4の2つの配線基板42、44の柄21g’の長さを第3基準長さL3より所定値ΔL2だけ長くし、第1、第5の2つの配線基板41、45の柄21g’’の長さを、第2、第4の2つの配線基板42、44の柄21g’の長さよりさらに所定値ΔL2だけ長くする。第1、第2、第4、第5の4つの配線基板41、42、44、45の柄21g’、21g’’の幅は第2基準幅W2と同じとする。なお、図14に示した比較例2の配線基板41〜45は、第1、第2、第4、第5の配線基板41、42、44、45の柄21gの長さを全て第3配線基板43の柄21gの長さと同じ第3基準長さL3とし、かつ第1、第2、第4、第5の配線基板41、42、44、45の柄21gの幅を全て第3配線基板43の柄21gの幅と同じ第2基準幅W2としたものである。
【0087】
このように構成される5つの各配線基板41〜45を、対応するスタック31〜35に取り付ける方法は、第1実施形態の配線基板21をスタック21に取り付ける方法と同じである。ただし、5つの各配線基板41〜45を対応するスタック31〜35に取り付けた後には、5つの配線基板41〜45を図11に示したようにシール部54でシールする。
【0088】
直列に接続したスタックの数が5つと多い双極型二次電池30を振動が生じる環境下で使用する場合に、5つの配線基板41〜45の柄21gの長さが同じ第3基準長さL3である比較例2の配線基板41〜45を束ねるのでは、第2基準高さ(第2基準位置)より離れるスタックに取り付ける配線基板の柄21gほど、振動に伴って柄21gに作用する引張応力が増すために絶縁基板26上に形成される配線22、23、24、25の断線が生じ得る。これに対して第9実施形態の配線基板41〜45によれば、図15に示したように5つある配線基板41〜45のうち予め定めた第2基準高さ(第2基準位置)より離れる配線基板ほど、つまり第3配線基板43、第2、第4の2つの配線基板42、44、第1、第5の2つの配線基板41、45の順に配線基板の柄の長さを長くしている。すなわち、第9実施形態の配線基板41〜45によれば、配線基板に作用する引張応力が増すにつれて柄の長さを長くすることで、第2基準高さから離れた位置にあるスタックに取り付ける配線基板の配線22、23、24、25に生じる断線を防ぐことができる。なお、振動が生じる環境下で双極型二次電池30を使用する場合としては、双極型二次電池30を自動車に搭載する場合が考えられる。
【0089】
双極型二次電池30に取り付ける第9実施形態の配線基板41〜45によれば、5つの各配線基板41〜45の集電体4a、4b、4c、4dには高分子材料に導電部材を使用した樹脂集電体を用いている。樹脂集電体は金属集電体にくらべて弾性があり、配線基板21の端子部22a、23a、24a、25aの露出導電部121〜124とより密着することができるため、振動に伴う引張応力を緩和して5つの各配線基板41〜45の断線を防止することができる。
【0090】
図16は双極型二次電池30に取り付ける第10実施形態の配線基板41〜45の平面図で、図15に示した第9実施形態の配線基板41〜45と置き換わるものである。
【0091】
第10実施形態の配線基板41〜45は、第9実施形態の配線基板41〜45を前提として、さらに第2基準高さより離れるスタックに取り付ける配線基板ほど配線基板の端子部の露出導電部の露出導電部面積を大きくしたものである。すなわち、図15に示す第9実施形態の配線基板41〜45では、5つの各配線基板41〜45とも、4つの各端子部22a、23a、24a、25aの露出導電部121〜124の露出導電部面積が第1基準面積S1であった。これに対して、図16に示す第10実施形態の配線基板41〜45では、第2、第4の2つ配線基板42、44の4つの端子部22a−1、23a−1、24a−1、25a−1の露出導電部121−1、122−1、123−1、124−1の露出導電部面積を第1基準面積S1より大きな端子部面積S1’とし、第1、第5の2つ配線基板41、45の4つの端子部22a−2、23a−2、24a−2、25a−2の露出導電部121−2、122−2、123−2、124−2の露出導電部面積を第2、第4の配線基板42、44の露出導電部121−1、122−1、123−1、124−1の露出導電部面積S1’より大きな端子部面積S1’’としている。
【0092】
次に、図17は第11実施形態の配線基板61〜65の取り付けられた双極型二次電池30の概略縦断面図、図18は第11実施形態の配線基板61〜65の取り付けられた双極型二次電池30から強電タブ16、17の一部を除いた部分を上から見た平面図、図19は第11実施形態の配線基板61〜65の平面図で、図11、図12、図15と置き換わるものである。図17においても上方が鉛直上方、下方が鉛直下方であるとする。
【0093】
図19に示した第11実施形態の配線基板61〜65は、図15に示した第9実施形態の配線基板41〜45を前提として、さらに第2基準高さより離れるスタックに取り付ける配線基板の柄ほど配線基板の柄の幅(太さ)を広くするものである。すなわち、図19に示したように、第3配線基板63の柄21gの長さを第3基準長さL3、第3配線基板63の柄21gの幅(太さ)を第2基準幅W2としたとき、第2、第4の2つの配線基板62、64の柄21g’の長さを第3基準長さL3より所定値ΔL2だけ長くしかつ第2、第4の2つの配線基板62、64の柄21g’の幅を第2基準幅W2より広い幅W2’とし、第1、第5の2つの配線基板61、65の柄21g’’の長さを、第2、第4の2つの配線基板62、64の柄21g’の長さよりさらに所定値ΔL2だけ長くしかつ第1、第5の2つの配線基板61、64の柄21g’’の幅を第2、第4の2つの配線基板62、64の幅W2’より広い幅W2’’とする。
【0094】
直列に接続したスタックの数が5つと多い双極型二次電池30を振動が生じる環境下で使用する場合に、5つの配線基板61〜65の柄21gの幅(太さ)が同じ第2基準幅W2であると、第2基準高さ(第2基準位置)より離れるスタックに取り付ける配線基板の柄ほど、振動に伴って柄に作用する引張応力が増すために絶縁基板26上に形成される配線22、23、24、25に断線が生じ得る。これに対して、第11実施形態の配線基板61〜65によれば、図19に示したように5つある配線基板61〜65のうち予め定めた第2基準高さ(第2基準位置)より離れる配線基板ほど、つまり第3配線基板63、第2、第4の2つの配線基板62、64、第1、第5の2つの配線基板61、65の順に配線基板の柄の幅(太さ)を広く(太く)している。すなわち、第11実施形態の配線基板61〜65によれば、配線基板に作用する引張応力が増すにつれて柄の幅(太さ)を広く(太く)することで、第2基準高さから離れた位置にあるスタックに取り付ける配線基板の配線22、23、24、25に生じる断線を防ぐことができる。
【0095】
図20は第12実施形態の配線基板61〜65の取り付けられた双極型二次電池30の平面図で、図19に示した第11実施形態の配線基板61〜65と置き換わるものである。
【0096】
第12実施形態の配線基板61〜65は、図19に示した第11実施形態の配線基板61〜65を前提として、さらに第2基準高さより離れるスタックに取り付ける配線基板ほど配線基板の端子部の露出導電部の露出導電部面積を大きくしたものである。すなわち、図19に示す第11実施形態の配線基板61〜65では、5つの各配線基板61〜65とも、4つの各端子部22a、23a、24a、25aの露出導電部121〜124の露出導電部面積が第1基準面積S1であった。一方、図20に示す第12実施形態の配線基板61〜65では、第3配線基板63の4つの端子部22a、23a、24a、25aの露出導電部121〜124の露出導電部面積を第1基準面積S1と同じとし、第2、第4の2つの配線基板62、64の4つの端子部22a−3、23a−3、24a−3、25a−3の露出導電部121−3、122−3、123−3、124−3の露出導電部面積を第1基準面積S1より大きな端子部面積S1’とし、第1、第5の2つの配線基板61、65の4つの端子部22a−4、23a−4、24a−4、25a−4の露出導電部121−4、122−4、123−4、124−4の露出導電部面積を第2、第4の2つの配線基板62、64の露出導電部121−3、122−3、123−3、124−3の露出導電部面積S1’より大きな端子部面積S1’’としている。
【0097】
直列に接続したスタックの数が5つと多い双極型二次電池30を振動が生じる環境下で使用する場合に、5つの配線基板61〜65で歯の先端に有する端子部の露出導電部の露出導電部面積が同じ第1基準面積S1であると、第2基準高さ(第2基準位置)より離れるスタックに取り付ける配線基板の端子部ほど、配線基板の端子部の露出導電部に振動に伴って作用する引張応力が増すために配線22、23、24、25に断線が生じなくても端子部の露出導電部に断線が生じ得る。これに対して第12実施形態の配線基板61〜65によれば、図20に示したように5つある配線基板61〜65のうち予め定めた第2基準高さ(第2基準位置)より離れる配線基板ほど、つまり第3配線基板63、第2、第4の2つの配線基板62、64、第1、第5の2つの配線基板61、65の順に配線基板の歯の先端に有する端子部の露出導電部の露出導電部面積を大きくしている。すなわち、第12実施形態の配線基板61〜65によれば、配線基板に作用する引張応力が増すにつれて配線基板の端子部の露出導電部の露出導電部面積を大きくすることで、第2基準高さから離れた位置にあるスタックに取り付ける配線基板の端子部で生じる断線を防ぐことができる。
【0098】
図36は第21実施形態の配線基板61〜65の取り付けられた双極型二次電池30の平面図で、図20に示した第12実施形態の配線基板61〜65と置き換わるものである。
【0099】
第21実施形態の配線基板61〜65は、図20に示した第12実施形態の配線基板61〜65を前提として、さらに第2基準高さから離れたスタックに取り付ける配線基板ほど端子部の露出導電部の露出導電部面積を大きくすると共に歯の幅を広くし、かつ各配線基板ついて第1基準高さから離れる歯ほど端子部の露出導電部の露出導電部面積を大きくする共に歯の幅を広くするものである。すなわち、図36に示す第22実施形態の配線基板61〜65では、第3配線基板63について第4端子部25aの露出導電部124の露出導電部面積を第1基準面積S1とし、第3端子部24a’の露出導電部123’の露出導電部面積を第1基準面積S1より大きく、第2端子部23a’の露出導電部122’の露出導電部面積を第3端子部24a’の露出導電部123’の露出導電部面積より大きく、第1端子部22a’の露出導電部121’の露出導電部面積を第2端子部23a’の露出導電部122’の露出導電部面積より大きくしている。また、第3配線基板63について第4歯21dの歯の幅を第1基準幅W1とし、第3歯21c’の歯の幅を第4歯21dの歯の幅W1より広い幅とし、第2歯21b’の歯の幅を第3歯21c’の歯の幅より広い幅とし、第1歯21a’の歯の幅を第2歯21b’の歯の幅より広い幅としている。
【0100】
第2、第4の配線基板62、64について第4端子部25a−3の露出導電部124−3の露出導電部面積を第3配線基板63についての第4端子部の露出導電部124の露出導電部面積S1より大きな面積S1’とし、第3端子部24a−5の露出導電部123−5の露出導電部面積を第4端子部25a−3の露出導電部124−3の露出導電部面積S1’より大きな面積とし、第2端子部23a−5の露出導電部122−5の露出導電部面積を第3端子部24a−5の露出導電部123−5の露出導電部面積より大きな面積とし、第1端子部22a−5の露出導電部121−5の露出導電部面積を第2端子部23a−5の露出導電部122−5の露出導電部面積より大きな面積としている。
【0101】
また、第2、第4の配線基板62、64について第4歯21d’の歯の幅を第3配線基板63についての第4端子部の歯の幅W1より広い幅W1’とし、第3歯21c’’の歯の幅を第4歯21d’の歯の幅W1’より広い幅とし、第2歯21b’’の歯の幅を第3歯21c’’の歯の幅より広い幅とし、第1歯21a’’の歯の幅を第2歯21b’’の歯の幅より広い幅としている。
【0102】
第1、第5の配線基板61、65について第4端子部25a−4の露出導電部124−4の露出導電部面積を第2、第4の配線基板62、64についての第4端子部の露出導電部124−3の露出導電部面積S1’より大きな面積S1’’とし、第3端子部24a−6の露出導電部123−6の露出導電部面積を第4端子部25a−4の露出導電部124−4の露出導電部面積S1’’より大きな面積とし、第2端子部23a−6の露出導電部122−6の露出導電部面積を第3端子部24a−6の露出導電部123−6の露出導電部面積より大きな面積とし、第1端子部22a−6の露出導電部121−6の露出導電部面積を第2端子部23a−6の露出導電部122−6の露出導電部面積より大きな面積としている。
【0103】
また、第1、第5の配線基板61、65について第4歯21d’’の歯の幅を第2、第4の配線基板62、64についての第4端子部の歯の幅W1’より広い幅W1’’とし、第3歯21c’’’の幅を第4歯21d’’の幅W1’’より広い幅とし、第2歯21b’’’の幅を第3歯21c’’’の幅より広い幅とし、第1歯21a’’’の幅を第2歯21b’’’の幅より広い幅としている。
【0104】
図21は第13実施形態の配線基板71〜75の取り付けられた双極型二次電池30の概略縦断面図、図22は第13実施形態の配線基板71〜75の取り付けられた双極型二次電池30から強電タブ16、17の一部を除いた部分を上から見た平面図、図23は第13実施形態の5つの配線基板の平面図で、図11、図12、図15と置き換わるものである。図21においても上方が鉛直上方、下方が鉛直下方であるとする。
【0105】
図21に示す双極型二次電池30では、第5スタック35のある高さを第2基準高さとするものである。第13実施形態の配線基板71〜75を図23を参照して説明すると、図23最上段に第5スタック35(第2基準高さにあるスタック)に取り付ける第5配線基板75の平面図を示している。また、図23第2段目、第3段目、第4段目、第5段目に第4、第3、第2、第1のスタック34、33、32、31に取り付ける第4、第3、第2、第1の配線基板74、73、72、71の平面図を第5配線基板75と同じスケールで示している。
【0106】
ここで、第2基準高さにあるスタック(つまり第5スタック35)に取り付ける第5配線基板75の長さを第2基準長さL2とする。このとき、第4配線基板74の長さをこの第2基準長さL2より長くし、第3配線基板73の長さを第4配線基板74の長さより長くし、第2の配線基板72の長さ第3配線基板73の長さより長くし、第1配線基板71の長さを第2配線基板72の長さより長くする。この場合、各配線基板71〜75の4つの歯21a、21b、21c、21d及び幹21eからなる櫛状部位21fについては、各配線基板71〜75の間で変更せず、各配線基板71〜75の柄21gの長さ及び柄21gの幅(太さ)を変更することで対処させる。つまり、第5配線基板75の柄21gの長さを第3基準長さL3、第5配線基板75の柄21gの幅(太さ)を第2基準幅W2としたとき、図23に示したように、第4配線基板74の柄21g’の長さを第3基準長さL3より所定値ΔL3だけ長くしかつ第4配線基板74の柄21g’の幅を第2基準幅W2より広くした幅W2’とし、第3配線基板73の柄21g’’の長さを、第4配線基板74の柄21g’の長さよりさらに所定値ΔL3だけ長くしかつ第3配線基板74の柄21g’’の幅を第4配線基板72の柄21g’の幅より広くした幅W2’’とし、第2配線基板72の柄21g’’’の長さを、第3配線基板73の柄21g’’の長さよりさらに所定値ΔL3だけ長くかつ第2配線基板72の柄21g’’’の幅を第3配線基板73の柄21g’’の幅より広くした幅W2’’’とし、第1配線基板71の柄21g’’’’の長さを、第2配線基板72の柄21g’’’の長さよりさらに所定値ΔL3だけ長くかつ第1配線基板71の柄21g’’’’の幅を第2配線基板72の柄21g’’’の幅より広くした幅W2’’’’とする。
【0107】
図21、図23に示した第13実施形態の配線基板71〜75の作用効果は、図17、図19に示した第11実施形態の配線基板の作用効果と同様である。
【0108】
次に、図24上段は図11、図15に示した第9実施形態の配線基板41〜45の取り付けられた双極型二次電池30の外部との接続状態を示した概略縦断面図である。図24下段は外部との接続部分を含めた第9実施形態の配線基板41〜45の取り付けられた双極型二次電池30の概観図である。図24において図11と同一部分には同一番号を付している。
【0109】
図24上段に示したように、双極型二次電池30を構成する5つのスタック31〜35、2つの強電タブ16、17及び第9実施形態の配線基板41〜45の全体は、ラミネートフィルム81(外装材)で被覆し内部をシール部53、54により真空にして密封している。ラミネートフィルム81の外には、強電タブ16、17と、5つの配線基板41〜45の柄、つまり第3配線基板43の柄21g、第2、第4の2つの配線基板42、44の柄21g’、第1、第5の2つの配線基板41、45の柄21g’’とが出されている。これら5つの柄21g、21g’、21g’’の端部には図示しないコネクタが設けられ、このコネクタを介してモニター回路、バランス制御回路等を含む制御回路82に接続されている。
【0110】
ここで、モニター回路は、双極型二次電池30の充電時に第2集電体4bを介して得られる電圧と、第1集電体4aを介して得られる電圧とから第1単電池層15aの電圧ΔV1を、第3集電体4cを介して得られる電圧と、第2集電体4bを介して得られる電圧とから第2単電池層15bの電圧ΔV2を、第4集電体4dを介して得られる電圧と、第3集電体4c介して得られる電圧とから第3単電池層15cの電圧ΔV3を5つの各スタック31〜35毎に測定して出力する。
【0111】
モニター回路からの5つの各スタック31〜35毎の3つの電圧ΔV1、ΔV2、ΔV3を受けるバランス制御回路では、5つの各スタック31〜35毎にこれら3つの電圧ΔV1、ΔV2、ΔV3のそれぞれが一致するように5つの各スタック31〜35毎に3つの各単電池層15a、15b、15cに流れる充電電流をフィードバック制御する。
【0112】
図25、図26、図27の各上段は第14、第15、第16の実施形態の配線基板91〜95の取り付けられた双極型二次電池30の外部との接続状態を示した概略縦断面図、図25、図26、図27の各下段は外部との接続部分を含めた第14、第15、第16の実施形態の配線基板91〜95の取り付けられた双極型二次電池30の概観図である。これら第14、第15、第16の実施形態の配線基板91〜95は、5つの配線基板91〜95の取り付けられた双極型二次電池30が車両に搭載されるに際しての様々な要求を満たすためのものである。
【0113】
図25上段に示す第14実施形態の配線基板91〜95は、図21に示した第13実施形態の配線基板71〜75の変形である。すなわち、第2基準高さを図21に示した第13実施形態の配線基板71〜75の場合よりさらに鉛直上方に置いている。
【0114】
図25上段では、双極型二次電池30、第14実施形態の配線基板91〜95に加えてモニター回路、バランス制御回路等を含む制御回路82をもラミネートフィルム81で被覆し内部を左右のシール部53、54により真空にして密封している。なお、図25下段においては制御回路82がラミネートフィルム81の外部に出ているように見えるが、実際には制御回路82もラミネートフィルム81で被覆されている。
【0115】
図26上段に示す第15実施形態の配線基板91〜95は、図25上段に示す第14実施形態の配線基板91〜95を前提として、下限電圧、上限電圧等の異常を知らせる等の配線101を追加し、この配線101を左側のシール部53より外部に出すようにしている。一方、図27上段に示す第16実施形態の配線基板91〜95は、図25上段に示す第14実施形態の配線基板91〜95を前提として、下限電圧、上限電圧等の異常を知らせる配線102を追加し、この配線102を右側のシール部54より外部に出すようにしている。
【0116】
ここで、双極型二次電池30を構成する5つの各スタック31〜35毎に4つの集電体4a、4b、4c、4dからの電圧が5つの配線基板91〜95を介して制御回路82に取り込まれ、制御回路82内のモニター回路で、5つの各スタック31〜35毎に3つの各単電池層15a、15b、15cの電圧ΔV1、ΔV2、ΔV3が測定される。これら3つの各電圧ΔV1、ΔV2、ΔV3は3つの各単電池層15a、15b、15cに電池性能上の異常がなければ、許容範囲内に収まる。実際には、3つの各単電池層15a、15b、15cに電池性能上の異常が生じ得る。従って、3つの各単電池層15a、15b、15cに生じる電池性能上の異常を診断できれば便利である。このため、3つの各電圧ΔV1、ΔV2、ΔV3に対して上限電圧Vuplmtと下限電圧Vdownlmtとを予め定めておけば、3つの各電圧ΔV1、ΔV2、ΔV3のいずれか一つが上限電圧Vuplmtを超えるかまたは下限電圧Vdownlmt未満となるときに、3つの各単電池層15a、15b、15cのいずれか一つに電池性能上の異常があることが診断可能となる。つまり、3つの各単電池層15a、15b、15cの電圧ΔV1、ΔV2、ΔV3と上限電圧Vuplmt及び下限電圧Vdownlmtとを比較する回路を制御回路82に追加して設けておけば、3つの各単電池層15a、15b、15cに電池性能上の異常があるか否かを診断させることができる。この診断結果を制御回路82から配線101、102を介して外部に出力させるのである。
【0117】
図28上段は第17実施形態の配線基板41〜45の取り付けられた双極型二次電池30の外部との接続状態を示した概略縦断面図、図28下段は外部との接続部分を含めた第17実施形態の配線基板の取り付けられた双極型二次電池30の概観図である。図29は外部との接続部分を含めた第18実施形態の配線基板の取り付けられた双極型二次電池30の概観図である。
【0118】
図28に示した第17実施形態の配線基板41〜45の取り付けられた双極型電池30は、図24に示した第9実施形態の配線基板41〜45の取り付けられた双極型電池30に対する変形例である。すなわち、図24に示した第9実施形態の配線基板41〜45の取り付けられた双極型電池30では、強電タブ16、17を左側のシール部53から外部に、5つの配線基板41〜45の柄21g、21g’、21g’’を右側のシール部54から外部に出している。これに対して、図28に示した第17実施形態の配線基板41〜45の取り付けられた双極型電池30では、5つの配線基板41〜45の柄21g、21g’、21g’’に加えて、強電タブ16、17をも右側のシール部54から外部に出すようにしている。従って、左側のシール部53からは外部に出すものはない。
【0119】
この場合に、右側のシール部54からの2つの強電タブ16、17の取り出し位置は、図28下段に示したように5つの柄21g、21g’、21g’’の外側に配置してもよいし、図29に示したように、2つの強電タブ16、17を5つの柄21g、21g’、21g’’の一方の側に並べて取り出すようにしてもかまわない。
【実施例】
【0120】
表1に示すように、スタックに取り付ける配線基板について、比較例1と6つの実施例(実施例1〜実施例6)を、また双極型二次電池に取り付ける配線基板について比較例2と5つの実施例(実施例7〜11)を作成した。
【0121】
【表1】
【0122】
ここで、比較例1および実施例1〜6では1つの配線基板を1つのスタックに取り付けるが、取り付けられるスタックの仕様は比較例1および実施例1〜6で共通である。同様に、比較例2および実施例7〜10では5つの配線基板を1つの双極型二次電池に取り付けるが、取り付けられる双極型二次電池の仕様は比較例2および実施例7〜11で共通である。そこで、これら1つのスタックおよび1つの双極型二次電池の作製方法について先に説明する。
【0123】
<双極型電極の作製>
導電性フィラーにカーボン微粒子を用いた厚み50μmの導電性高分子膜(厚み方向の体積低効率:1×10^−1Ω・cm)を、所定の縦と横の長さを有する部材にカットして集電体を形成した。
【0124】
正極活物質にスピネルLiMnO4、導電助剤にアセチレンブラック、バインダーにポリフッ化ビニリデンVDFを使用し、正極活物質、導電助剤、バインダーをそれぞれ85質量%、5質量%、10質量%に配合し、N−メチルピロリドンNMPをスラリー粘度調整溶媒として添加し、混合して正極活物質スラリーを調整した。
【0125】
上記の集電体の片面に、集電体の周縁部(全周)が所定幅の糊代部となるように該糊代部以外の部分に正極活物質スラリーを塗布し、乾燥させて正極活物質層を形成した。
【0126】
負極活物質にハードカーボン、導電助剤にアセチレンブラック、バインダーにN−メチルピロリドンPVDFを使用し、負極活物質、導電助剤、バインダーをそれぞれ85質量%、5質量%、10質量%に配合し、N−メチルピロリドンNMPをスラリー粘度調整溶媒として添加し、混合して負極活物質スラリーを調整した。
【0127】
この負極活物質スラリーを、正極活物質を塗布した集電体の反対面に、集電体の周縁部(全周)が所定幅の糊代部となるように該糊代部以外の部分に負極活物質スラリーを塗布し、乾燥させて負極活物質層を形成した。これにより、集電体の両面に正極活物質層と負極活物質層とを有する双極型電極が調整された。
【0128】
<スタックの作製>
上下2つの双極型電極を、一方の双極型電極の正極活物質層と他方の双極型電極の負極活物質層とが対向するように配置した状態で、その間にセパレータを介装すると共に、集電体ごとに集電体の一方の端部に配線基板の端子部を貼り付け、かつ対向配置させた上下2つの双極型電極の糊代部に幅30mmのポリエチレン製フィルムをシール材として置くことで4つの双極型電極を積層した。これにより1つのスタックが完成した。その後にシール材を上下からプレス(熱と圧力)をかけ融着し各層をシールした。
【0129】
上記糊代部に置いたシール材によって確保される空間にPC+EC(1:1)に1MのLiPF6を溶解させた電解液を10ccずつ注液し、シール部を真空にしながら融着した。
【0130】
双極型電池要素の投影面全体を覆うことのできる100μmのAl板の一部が電池投影面外部まで伸びている部分がある強電タブを作成した。この強電タブで双極型電池要素を挟み込みこれらを覆うようにアルミ製ラミネートフィルムで真空密封した。これにより、双極型電池要素全体を大気圧で上下の両面を押すことにより加圧され、強電タブ−電池要素間の接触が高められた1つのスタック(双極型電池)が完成した。
【0131】
<双極型二次電池の作製>
強電タブを挟み込む前の双極型電池要素を5つ直列に配置し、この直列に配置した5つの双極型電池要素を上記の強電タブで挟み込み、これらを覆うようにアルミ製ラミネートフィルムで真空密封した。これにより、5つのスタックを積層した1つの双極型二次電池が完成した。
【0132】
次に、比較例1及び実施例1〜6の配線基板、比較例2及び実施例7〜10の配線基板を個別に説明する。なお、後述するように、実施例1〜6において「露出導電部の露出導電部面積を大きくした」という場合、導電性テープの面積も、露出導電部面積に合わせて大きくしている。すなわち、「露出導電部の露出導電部面積を大きくした」とき、その大きくした露出導電部面積と同じ面積の導電性テープで、その大きくした露出導電部と集電体とを接着している。このように、露出導電部面積を大きくするとき、大きくした露出導電部面積と同じ面積の導電性テープとするのは、露出伝導部(端子部)と集電体との接着力を強化するためである。
【0133】
(比較例1)
4つある歯の長さを同じにした配線基板(図4上段参照)を比較例1の配線基板として作製した。
【0134】
(実施例1)
4つある歯のうち第1基準高さから離れる歯ほど歯の長さを長くした配線基板(図4下段あるいは図8(a)参照)を実施例1の配線基板として作製した。
【0135】
(実施例2)
第1基準高さにない歯の長さを第1基準高さにある歯の長さより長くした配線基板(図8(b)参照)を実施例2の配線基板として作製した。
【0136】
(実施例3)
第1基準高さにない歯の長さを第1基準高さにある歯の長さより長くし、かつ積層方向両端の歯の長さを積層方向内側の歯の長さより長くした配線基板(図8(c)参照)を実施例3の配線基板として作製した。
【0137】
(実施例4)
第1基準高さから離れる歯ほど歯の長さを長くし、かつ第1基準高さから離れる歯ほど歯の幅を広くした配線基板(図10(a)参照)を実施例4の配線基板として作製した。
【0138】
(実施例5)
第1基準高さから離れる歯ほど歯の長さを長くし、かつ第1基準高さから離れる歯ほど端子部の露出導電部の露出導電部面積を大きくした配線基板(図10(b)参照)を実施例5の配線基板として作製した。
【0139】
(実施例6)
第1基準高さから離れる歯ほど歯の長さを長くし、かつ第1基準高さから離れる歯ほど歯の幅を広くし、かつ第1基準高さから離れる歯ほど端子部の露出導電部の露出導電部面積を大きくした配線基板(図10(c)参照)を実施例6の配線基板として作製した。
【0140】
(比較例2)
柄の長さを同じにした5つの配線基板(図14参照)を比較例2の5つの配線基板として作製した。
【0141】
(実施例7)
第2基準高さから離れる配線基板ほど柄の長さを長くした5つの配線基板(図15参照)を実施例7の配線基板として作製した。
【0142】
(実施例8)
第2基準高さから離れる配線基板ほど柄の長さを長くし、かつ第2基準高さから離れる配線基板ほど柄の幅を広くした5つの配線基板(図19参照)を実施例8の配線基板として作製した。
【0143】
(実施例9)
第2基準高さから離れる配線基板ほど柄の長さを長くし、かつ第2基準高さから離れる配線基板ほど配線基板の端子部の露出導電部の露出導電部面積を大きくした5つの配線基板(図16参照)を実施例9の5つの配線基板として作製した。
【0144】
(実施例10)
第2基準高さから離れる配線基板ほど柄の長さを長くし、かつ上下端の柄の幅を最も広くし、かつ第2基準高さから離れる配線基板ほど配線基板の端子部の露出導電部の露出導電部面積を大きくした5つの配線基板(図20参照)を実施例10の配線基板として作製した。
【0145】
(実施例11)
第2基準高さから離れる配線基板ほど柄の長さを長くし、かつ上下端の柄の幅を最も広くし、かつ第2基準高さから離れる配線基板ほど配線基板の端子部の露出導電部の露出導電部面積を大きくし歯の長さを長くし及び歯の幅(太さ)を広く(太く)し、かつ第1基準高さから離れる歯ほど歯の長さを長くし、かつ第1基準高さから離れる歯ほど歯の幅を広くした5つの配線基板(図36参照)を実施例11の配線基板として作製した。
【0146】
このようにして比較例1及び実施例1〜6の配線基板を取り付けた共通仕様のスタックを作製した。また、このようにして比較例2及び実施例7〜11の配線基板を取り付けた共通仕様の双極型二次電池を作製した。
【0147】
<評価1>
比較例1、実施例1の配線基板を取り付けたスタックに対して、強電タブを介してSOCが100%となるまで充電を行った後、3つの各単電池層の分担電圧を測定し、各単電池層の電圧の最大値と最小値の差を比較例1、実施例1の配線基板を取り付けたスタックについて算出した。そして、比較例1の配線基板を取り付けたスタックの場合の最大値と最小値の差を100%として、実施例1の配線基板を取り付けたスタックの場合の最大値と最小値の差を%表示で表2に記した。
【0148】
【表2】
【0149】
表2より、実施例1の配線基板を用いれば、4つの各端子部の取り付け位置を電極活物質の端部から同じ距離離れた位置とすることができるため、スタック(電池)を充電した場合に3つの単電池層の電圧の最大値と最小値の差が49%となり、比較例1の配線基板を用いる場合よりほぼ半分にまで低減することがわかる。
【0150】
<評価2>
比較例1、実施例1〜6の配線基板を取り付けたスタック及び比較例2、実施例7〜11の配線基板を取り付けた双極型二次電池に対して、周波数100Hz、振幅5mmで鉛直方向に振動させる振動試験を行い、比較例1、実施例1〜6の配線基板を取り付けたスタック及び比較例2、実施例7〜11の配線基板を取り付けた双極型二次電池に対して、強電タブを介してSOCが100%となるまでスタック、双極型二次電池を充電したあと、スタックについては3つの各単電池層の電圧を、双極型二次電池については3つ×5個の各単電池層の電圧をそれぞれ測定し、その各単電池層の電圧の最大値と最小値の差を、比較例1、実施例1〜6の配線基板を取り付けたスタック、比較例2、実施例7〜10の配線基板を取り付けた双極型二次電池について算出した。そして、比較例1の配線基板を取り付けたスタックの場合を100%として、実施例1〜6の配線基板を取り付けたスタックの場合の最大値と最小値の差を%表示で、また比較例2の配線基板を取り付けた双極型二次電池の場合を100%として、実施例7〜11の配線基板を取り付けた双極型二次電池の場合の最大値と最小値の差を%表示でまとめて表3に記した。
【0151】
【表3】
【0152】
表3より、実施例1〜6の配線基板を用いれば、鉛直方向の振動試験を行い、その後にスタックを充電した結果、3つの各単電池層の電圧のバラツキが比較例1の配線基板を用いるよりもほぼ半分以下に減少していることがわかる。これは、実施例1〜6の配線基板を用いれば4つの各端子部の露出導電部の集電体への取り付け位置を電極活物質(電極)の端部から同じ距離離れた位置とすることができるためである。特に、外側の2つの歯の長さを内側の2つの歯の長さより長くした実施例6の配線基板を用いれば、鉛直方向の振動試験に対して配線基板がより断線しにくくなるために、実施例1、2の配線基板を用いる場合よりも最大値と最小値の差が実施例1、2の配線基板を用いる場合よりもほぼ半分程度にまで抑えられている。また、第1基準高さから離れる歯ほど歯の幅を広くした実施例4の配線基板、第1基準高さから離れる歯ほど端子部の露出導電部の露出導電部面積(及び導電性テープによる接着面積)を大きくした実施例5の配線基板を用いても、実施例1、2の配線基板を用いる場合よりも最大値と最小値の差を減らす効果は増大する。
【符号の説明】
【0153】
2 スタック
3 双極型電極
4 集電体
5 正極活物質層(正極)
6 負極活物質層(負極)
7 電解質層
11 シール材
15 単電池層(単電池)
21 配線基板
21a、21b、21c、21d 歯
21e 幹
21f 櫛状部位
21g 柄
22、23、24、25 配線
26 絶縁フィルム(絶縁基板)
22a、23a、24a、25a 端子部
30 双極型二次電池
31、32、33、34、35 スタック
41、42、43、44、45 配線基板
61、62、63、64、65 配線基板
71、72、73、74、75 配線基板
91、92、93、94、95 配線基板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の歯と当該複数の歯を束ねて一体とした幹からなる櫛状部位と、この櫛状部位と接続される一つの柄とで構成される絶縁基板と、
この絶縁基板上に導電材料で形成され前記複数の歯のそれぞれの先端から前記柄の端まで個別に伸延し前記複数の歯の先端に接触する導電体の電位を前記柄の端まで電導させる複数の配線と、
前記複数の歯の先端に導電材料が露出する端子部と
を有し、
前記複数ある歯の長さを相違させることを特徴とする配線基板。
【請求項2】
請求項1に記載の配線基板において、
前記複数ある歯の長さを最も外側にある歯から順番に長くすることを特徴とする配線基板。
【請求項3】
一の集電体の一方の面に正極を、反対の面に負極を形成した2つの双極型電極を、互いに正極と負極とが対向するように電解質を挟んで積層することにより電解質を挟んだ正極と負極とからなる単電池を構成し、この単電池を複数直列に接続したスタックであって、この複数の各単電池の電圧検出のための配線基板を、
複数の歯と当該複数の歯を束ねて一体とした幹からなる櫛状部位と、この櫛状部位と接続される一つの柄とで構成される絶縁基板と、
この絶縁基板上に導電材料で形成され前記複数の歯のそれぞれの先端から前記柄の端まで個別に伸延し前記複数の歯の先端に接触する導電体の電位を前記柄の端まで電導させる複数の配線と、
前記複数の歯の先端に導電材料が露出する端子部と
を含んで構成し、
前記複数の各端子部を対応する集電体に取り付けるようにしたスタックにおいて、
前記複数ある歯のうち予め定めた第1基準位置より離れた位置にある集電体に取り付ける歯の長さを、第1基準位置にあるかまたは第1基準位置付近にある集電体に取り付ける歯の長さより長くすることを特徴とするスタック。
【請求項4】
請求項3に記載のスタックにおいて、
前記複数ある歯のうち前記第1基準位置より離れる歯ほど歯の長さを長くすることを特徴とするスタック。
【請求項5】
請求項3に記載のスタックにおいて、
前記各端子部の集電体への取り付け位置を前記正極または前記負極の端部から同じ距離離れた位置とすることを特徴とするスタック。
【請求項6】
請求項3から5までのいずれか一つに記載のスタックにおいて、
前記複数ある歯のうち前記第1基準位置より離れる歯ほど歯の太さを太くすることを特徴とするスタック。
【請求項7】
請求項3から6までのいずれか一つに記載のスタックにおいて、
前記複数ある歯のうち前記第1基準位置より離れる歯ほど歯の先端に有する端子部と集電体との接着力を強くすることを特徴とするスタック。
【請求項8】
請求項3から7までのいずれか一つに記載のスタックにおいて、
前記集電体には高分子材料に導電部材を使用した樹脂集電体を用いることを特徴とするスタック。
【請求項9】
請求項3から8までのいずれか一つに記載のスタックを複数直列に接続した双極型二次電池において、
前記複数ある配線基板のうち予め定めた第2基準位置より離れる配線基板ほど配線基板の柄の長さを長くすることを特徴とする双極型二次電池。
【請求項10】
請求項3から8までのいずれか一つに記載のスタックを複数直列に接続した双極型二次電池において、
前記複数ある配線基板のうち予め定めた第2基準位置より離れる配線基板ほど配線基板の柄の太さを太くすることを特徴とする双極型二次電池。
【請求項11】
請求項3、4、5、6、8のいずれか一つに記載のスタックを複数直列に接続した双極型二次電池において、
前記複数ある配線基板のうち予め定めた第2基準位置より離れる配線基板ほど配線基板の歯の先端に有する端子部と集電体との接着力を強くすることを特徴とする双極型二次電池。
【請求項12】
請求項3から7までのいずれか一つに記載のスタックを複数直列に接続した双極型二次電池において、
前記集電体には高分子材料に導電部材を使用した樹脂集電体を用いることを特徴とする双極型二次電池。
【請求項1】
複数の歯と当該複数の歯を束ねて一体とした幹からなる櫛状部位と、この櫛状部位と接続される一つの柄とで構成される絶縁基板と、
この絶縁基板上に導電材料で形成され前記複数の歯のそれぞれの先端から前記柄の端まで個別に伸延し前記複数の歯の先端に接触する導電体の電位を前記柄の端まで電導させる複数の配線と、
前記複数の歯の先端に導電材料が露出する端子部と
を有し、
前記複数ある歯の長さを相違させることを特徴とする配線基板。
【請求項2】
請求項1に記載の配線基板において、
前記複数ある歯の長さを最も外側にある歯から順番に長くすることを特徴とする配線基板。
【請求項3】
一の集電体の一方の面に正極を、反対の面に負極を形成した2つの双極型電極を、互いに正極と負極とが対向するように電解質を挟んで積層することにより電解質を挟んだ正極と負極とからなる単電池を構成し、この単電池を複数直列に接続したスタックであって、この複数の各単電池の電圧検出のための配線基板を、
複数の歯と当該複数の歯を束ねて一体とした幹からなる櫛状部位と、この櫛状部位と接続される一つの柄とで構成される絶縁基板と、
この絶縁基板上に導電材料で形成され前記複数の歯のそれぞれの先端から前記柄の端まで個別に伸延し前記複数の歯の先端に接触する導電体の電位を前記柄の端まで電導させる複数の配線と、
前記複数の歯の先端に導電材料が露出する端子部と
を含んで構成し、
前記複数の各端子部を対応する集電体に取り付けるようにしたスタックにおいて、
前記複数ある歯のうち予め定めた第1基準位置より離れた位置にある集電体に取り付ける歯の長さを、第1基準位置にあるかまたは第1基準位置付近にある集電体に取り付ける歯の長さより長くすることを特徴とするスタック。
【請求項4】
請求項3に記載のスタックにおいて、
前記複数ある歯のうち前記第1基準位置より離れる歯ほど歯の長さを長くすることを特徴とするスタック。
【請求項5】
請求項3に記載のスタックにおいて、
前記各端子部の集電体への取り付け位置を前記正極または前記負極の端部から同じ距離離れた位置とすることを特徴とするスタック。
【請求項6】
請求項3から5までのいずれか一つに記載のスタックにおいて、
前記複数ある歯のうち前記第1基準位置より離れる歯ほど歯の太さを太くすることを特徴とするスタック。
【請求項7】
請求項3から6までのいずれか一つに記載のスタックにおいて、
前記複数ある歯のうち前記第1基準位置より離れる歯ほど歯の先端に有する端子部と集電体との接着力を強くすることを特徴とするスタック。
【請求項8】
請求項3から7までのいずれか一つに記載のスタックにおいて、
前記集電体には高分子材料に導電部材を使用した樹脂集電体を用いることを特徴とするスタック。
【請求項9】
請求項3から8までのいずれか一つに記載のスタックを複数直列に接続した双極型二次電池において、
前記複数ある配線基板のうち予め定めた第2基準位置より離れる配線基板ほど配線基板の柄の長さを長くすることを特徴とする双極型二次電池。
【請求項10】
請求項3から8までのいずれか一つに記載のスタックを複数直列に接続した双極型二次電池において、
前記複数ある配線基板のうち予め定めた第2基準位置より離れる配線基板ほど配線基板の柄の太さを太くすることを特徴とする双極型二次電池。
【請求項11】
請求項3、4、5、6、8のいずれか一つに記載のスタックを複数直列に接続した双極型二次電池において、
前記複数ある配線基板のうち予め定めた第2基準位置より離れる配線基板ほど配線基板の歯の先端に有する端子部と集電体との接着力を強くすることを特徴とする双極型二次電池。
【請求項12】
請求項3から7までのいずれか一つに記載のスタックを複数直列に接続した双極型二次電池において、
前記集電体には高分子材料に導電部材を使用した樹脂集電体を用いることを特徴とする双極型二次電池。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33A】
【図33B】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33A】
【図33B】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【公開番号】特開2012−54390(P2012−54390A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−195536(P2010−195536)
【出願日】平成22年9月1日(2010.9.1)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月1日(2010.9.1)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】
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