説明

配車情報管理システム

【課題】配車依頼情報を容易に管理する配車情報管理システムを提供する。
【解決手段】GW50は、公衆網2を介して受信する呼制御信号及びアナログ音声信号をIP網用に変換してSIPサーバ51に渡す。SIPサーバ51は、GW50から取得した呼制御信号に基づいてオペレータのIP電話機52と顧客の電話機1との間で呼接続を確立させる。オペレータ端末53は、IPパケット化された音声信号に基づいて顧客とオペレータとの通話内容からなる音声ファイルを作成し、オペレータ端末53に入力される依頼情報と共にCTI電話受付サーバ54を介して配車情報DB55に依頼情報と音声ファイルとを関連付けて登録する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電話で配車の依頼をする顧客と前記電話を受けるオペレータとの通話内容を記録管理する配車情報管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、タクシー等の配車を管理する配車管理センターは、顧客から配車依頼の電話を受けると、顧客の所望の場所へ配車するのに最適な車両を検索し、その車両に配車要求の指示を出して配車を行っていた(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このとき、顧客からの配車依頼情報は、履歴を残すため記録管理されるのが一般的である。従来の配車情報管理システムの概略構成を図3に示す。
【0004】
電話交換装置91は、公衆網902を介して顧客の電話機901からの呼び出しを受け付けると、着信先であるオペレータの電話機92を呼び出し、顧客の電話機901とオペレータの電話機92との間で呼接続を確立する。電話交換装置91が呼接続を確立することで、顧客の電話機901がオペレータの電話機92に繋がり、顧客とオペレータとの間で通話が可能となる。このとき、顧客とオペレータとの間の音声の通話内容は、電話交換装置91に接続されている音声録音装置96に記録される。
【0005】
オペレータは、顧客から配車依頼の内容を聞き取ると、オペレータ端末93を操作して、CTI(Computer Telephony Integration)電話受付サーバ94を介して、配車依頼に関する情報等を配車情報DB95に登録する。CTI電話受付サーバ94は、配車情報DB95に登録された配車依頼情報に基づいて、配車する車両の付け位置(配車場所)情報等を、基地局904を介して、車両903に通知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008-046712号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、従来技術では、配車ミス等により顧客からクレームがあった場合、該当する配車依頼情報を確認するために、音声録音装置96と配車情報DB95とのそれぞれを検索する必要があり、大変煩雑である。特に、音声録音装置96は、磁気テープで構成されていることが多く、時系列に通話内容が録音されるため、配車情報DB95から取得した配車の依頼日時を頼りに実際に音声情報を再生して、該当する通話内容であるか確認しなければならなかった。
【0008】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、配車依頼時の顧客とオペレータの通話内容を録音した音声情報と配車依頼情報を容易に管理する配車情報管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
電話で配車の依頼をする顧客と前記電話を受けるオペレータとの通話内容を記録管理する配車情報管理システムであって、
前記顧客の有する電話機と前記オペレータの有する電話機との間で呼接続を確立させるSIPサーバと、
前記顧客の依頼情報が入力される依頼情報入力手段と、
前記顧客と前記オペレータとの通話内容を音声ファイルにする音声ファイル生成手段と、
前記依頼情報と生成された前記音声ファイルとを関連付けて管理する配車情報DBと、
を備えることを特徴とする配車情報管理システム。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、オペレータによって入力される顧客の依頼情報と、顧客とオペレータとの通話内容とが関連付けて記録管理されるので、配車依頼情報を容易に管理できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る実施形態の配車情報管理システムの構成を示す概略図である。
【図2】本発明に係る実施形態の顧客情報リスト画面の一例である。
【図3】従来の配車情報管理システムの構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図を参照して本発明の実施形態を説明する。まず、図1を参照して本実施形態の配車情報管理システムの構成を説明する。
【0013】
配車情報管理システム5は、GW50(ゲートウェイ)とSIP(Session Initiation Protocol)サーバ51とCTI電話受付サーバ54と配車情報DB55とオペレータ端末53とオペレータのIP電話機52とを備える。配車情報管理システム5内は、LAN(Local Area Network)等によりIP網に繋がっている。
【0014】
GW50は、公衆網2と配車情報管理システム5内のIP網との間で、呼接続の制御信号と音声信号とを公衆網2用又はIP網用に変換して相互接続を行う。GW50は、顧客の電話機1とオペレータのIP電話機52との間でSIPサーバ51により呼接続が確立されると、公衆網2とIP網との間で音声信号の相互接続を行う。音声信号の相互接続の場合、GW50は、公衆網2からのアナログの音声信号をIPパケットに変換してIP網に送出し、IP網からのIPパケットをアナログの音声信号に変換して公衆網2に送出する。
【0015】
SIPサーバ51は、GW50から呼接続の制御信号を取得し、取得した呼接続の制御信号に基づいて、SIPに従って発信側である顧客の電話機1と着信側であるオペレータのIP電話機52との間で呼接続を確立する。
【0016】
CTI電話受付サーバ54は、既に顧客情報が登録されている場合に、オペレータ端末53から入力される顧客情報(例えば、顧客の電話番号や顧客名等)に基づいて、配車情報DB55から該当する顧客情報を読み出し、オペレータ端末53にその顧客情報を表示させる。
【0017】
オペレータは、オペレータ端末53に表示された顧客情報を参考にしながら、オペレータのIP電話機52を通じて顧客から配車の依頼を聞き取る。オペレータは、配車の依頼を聞き取ると、配車の依頼情報を、オペレータ端末53を操作することによりCTI電話受付サーバ54を介して配車情報DB55に登録する。なお、オペレータが入力する依頼情報は、配車情報DB55に登録される依頼情報のすべてではなくその一部であってもよく、残りはオペレータ端末53により自動的に入力されてもよい。
【0018】
配車情報DB55は、配車依頼情報と車両情報とを管理している。配車依頼情報は、オペレータが顧客から聞き取る依頼情報と、顧客とオペレータとの間の実際の通話内容に基づく音声情報とが関連付けられたものである。依頼情報には、顧客名や顧客電話番号、車両の付け位置、目的地等があり、音声情報には、通話内容を記録した音声ファイルや通話を開始した受付時間、通話時間等がある。車両情報は、配車管理センターが管理している各車両3に備えられているGPS端末の位置情報や実車(顧客を乗せて賃走している状態)又は空車(顧客を探している状態)などの車両の動態情報などである。
【0019】
なお、顧客とオペレータとの通話内容を記録した音声ファイルは、オペレータ端末53によって作成され、顧客との通話終了時又は配車依頼情報の登録時にCTI電話受付サーバ54を介して配車情報DB55に登録される。公衆網2を介して入力されたアナログ音声信号は、GW50によりIPパケットに変換されて、LANインターフェース等によりIP網に接続しているオペレータ端末53等に送信されている。そのため、オペレータ端末53は、送信された音声情報からなるIPパケットに基づいて、容易に通話内容の音声ファイルを作成し管理できる。
【0020】
オペレータは、オペレータ端末53を操作して、CTI電話受付サーバ54を介して、配車依頼に適した車両3をGPSの位置情報や車両の動態情報等に基づいて配車情報DB55から検索し、SIPサーバ51、GW50、及び基地局4を介して、検索した車両3に配車要求を送信する。
【0021】
これにより、配車要求を受けた車両3が顧客の配車依頼に応じて顧客の所へ向かうことになり、車両3の配車が行われる。
【0022】
ここで、上記のような処理により配車情報DB55に蓄積された配車依頼情報に対して、配車ミス等により顧客からクレームがあった場合等の処理を説明する。
【0023】
配車依頼情報を確認するためには、オペレータ端末53から顧客名や顧客電話番号、又は配車の受付日時等を入力してCTI電話受付サーバ54に送信することで、CTI電話受付サーバ54によって配車情報DB55に登録されている該当の配車情報リストを得ることができる。このとき、オペレータ端末53に表示される配車情報リストの画面例が、図2である。
【0024】
図2に示すように、所定の顧客における配車依頼を受け付けた受付日、受付時間、通話時間、通話内容が記録された音声ファイル、顧客電話番号、配車する車両3の付け位置、目的地、備考で構成される配車情報リストが、時系列でオペレータ端末53に表示される。
【0025】
配車情報リストの項目には検索用のフィルタ(例えば、記号の“▼”)が付加されている。この“▼”を押下すると、項目の内容が昇順や降順に並び替えられてオペレータ端末53に再表示されるので、ユーザの検索効率が向上する。また、配車情報リストの音声ファイルのアイコンをクリックすることで音声ファイルの音声が再生されるので、配車の依頼情報に関する通話内容を簡単に確認できる。
【0026】
このように本実施形態によれば、配車依頼時の通話内容からなる音声ファイルとオペレータが顧客から聞き取って入力した依頼情報とが関連付けられて配車情報DB55で管理されるので、所望の記録を容易に探すことができる。
【0027】
なお、上記実施形態では、VoIP(Voice over Internet Protocol)形式のプロトコルとしてSIPを利用して説明した。VoIP形式のプロトコルには、他にH.323が知られており、それを本実施形態に利用することもできる。
【0028】
しかし、H.323はバイナリ形式で所定のデータ構造によって呼接続の制御信号の授受を行うのに対して、SIPはテキスト形式で既存のHTTPやSMTPと類似したデータ構造によって授受を行える。また、従来の公衆網2における電話交換装置91が、呼接続における通話状態の判定や通話中着信通知音の送出等のサービスを集中制御していたのに対して、SIPで制御を行うSIPサーバ51は、呼接続のための中継を行っているに過ぎず、実際のサービスをエンドポイントである端末に任せている。そのため、本実施形態のようにSIPを利用したSIPサーバ51により呼接続の制御を行うことで、テキスト形式で授受される呼接続の制御信号を利用して、既存のPC向けアプリケーションを簡易にVoIP形式に対応させられるので、導入コストを軽減できる。
【0029】
例えば、SIPサーバ51の呼接続の制御信号を利用して、端末側でCSV形式で顧客情報リストを出力させて、オペレータ端末53に顧客情報を表示させたり、配車情報DB55の操作にSQL言語を使用したり、容易に様々なアプリケーションを活用できる。
【0030】
なお、上記実施形態におけるオペレータ端末53やSIPサーバ51、CTI電話受付サーバ54などの装置には、それぞれCPU(Central Processing Unit)、メモリ、及びHDD(Hard Disk Drive)などが内蔵されている。上記した各処理は、各HDDなどに記憶されたプログラムや予め設定された情報に基づいて各CPUにて実行される。また、上記実施形態では、オペレータ端末53が1台であるものとして説明したが、業務規模に応じてオペレータ端末53を複数台設置してもよい。
【0031】
以上を概説すると、本発明の配車情報管理システムは、電話で配車の依頼をする顧客と前記電話を受けるオペレータとの通話内容を記録管理する配車情報管理システムであって、前記顧客の有する電話機と前記オペレータの有する電話機との間で呼接続を確立させるSIPサーバと、前記顧客の依頼情報が入力される依頼情報入力手段と、前記顧客と前記オペレータとの通話内容を音声ファイルにする音声ファイル生成手段と、前記依頼情報と生成された前記音声ファイルとを関連付けて管理する配車情報DBと、を備えることを特徴とする。
【0032】
また、入力された前記依頼情報に基づき、前記配車情報DBで管理されている前記依頼情報と前記音声ファイルとを関連付けた所定の一覧を表示する表示手段を備えてもよい。
また、表示された前記一覧には、昇順又は降順で項目の内容を並び替えて前記表示手段に再表示させる機能を設けてもよい。
【0033】
本発明は上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々様々に変更が可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0034】
1、901・・・顧客の電話機
2、902・・・公衆網
3、903・・・車両
4、904・・・基地局
5、900・・・配車情報管理システム
50・・GW
51・・SIPサーバ
52・・オペレータのIP電話機
53、93・・オペレータ端末
54、94・・CTI電話受付サーバ
55、95・・配車情報DB
91・・電話交換装置
92・・オペレータの電話機
96・・音声録音装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電話で配車の依頼をする顧客と前記電話を受けるオペレータとの通話内容を記録管理する配車情報管理システムであって、
前記顧客の有する電話機と前記オペレータの有する電話機との間で呼接続を確立させるSIPサーバと、
前記顧客の依頼情報が入力される依頼情報入力手段と、
前記顧客と前記オペレータとの通話内容を音声ファイルにする音声ファイル生成手段と、
前記依頼情報と生成された前記音声ファイルとを関連付けて管理する配車情報DBと、
を備えることを特徴とする配車情報管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−245676(P2010−245676A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−90017(P2009−90017)
【出願日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】