説明

配車管理システム

【課題】管理センタからの配車要求に対し、移動局から了解信号を受信できない場合、短時間且つ容易に、移動局に対する配車要求を取り消し、他の移動局を探索し再配車を要求し、配車の効率を向上させる配車管理システムを提供する。
【解決手段】配車管理システムは、管理センタ300にて客から配車を依頼された際、管理センタ300に複数の配車候補を探索させ、優先順位が最も高い配車候補1に、基地局100を介してポーリング信号Po1によって配車要求を送信する。管理センタ300は、受付時間以内に配車候補1から、了解信号を受信した際、配車を完了する。また管理センタ300は、受付時間以内に配車候補1から、了解信号を受信しなかった際、配車候補1に対する配車要求を取り消し、すでに探索され、配車候補1の次に優先順位が高い配車候補2に再配車を要求する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動局の配車管理のために例えばAVM(Automatic Vehicle Monitoring)システム等を用いた配車管理システムに関し、特に、デジタル無線を利用し、管理センタからの配車要求に対して未了解の移動局への配車要求を取り消す技術に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、例えばタクシー等の移動局の配車管理のために、Automatic Vehicle Monitoring(以下、AVM)システム等が移動局の配車を管理する管理センタに用いられている。移動局は、現在位置情報を例えばGlobal Positioning System(以下、GPS)により検出している。各移動局は、例えばGPSによって収集した現在位置情報と、実車、空車、待機といった移動局の状態である動態情報と、その他の情報(例えば移動方向、移動速度、事故情報など)と、をポーリング信号によって基地局を介して定期的に管理センタに送信している。管理センタは、AVMシステムによって移動局の現在位置情報と動態情報とその他の情報を収集し、配車のためにこれらを管理している。
【0003】
詳細には管理センタが、全ての移動局に対してポーリングを行い、全ての移動局の現在位置情報と動態情報とその他の情報を収集する。収集された現在位置情報と動態情報とその他の情報は、AVMシステムによって管理センタにて以前に利用した客の名前や住所や電話番号や配車要求場所等を有する客情報と共に管理されている。
【0004】
このように管理センタが現在位置情報と動態情報とその他の情報と客情報を管理することで、移動局の配車を管理する配車管理システムが構築される。
【0005】
このような配車管理システムにおいて、例えば特許文献1には、優先登録等を管理し、優先登録された移動局に優先的に配車指示を送信する配車管理システムが開示されている。
【0006】
また例えば特許文献2には、道路状況を把握して配車効率を向上させる配車管理システムが開示されている。
【特許文献1】特開2006−127071号公報
【特許文献2】特開2007−079807号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述した一般的な配車管理システムは、AVMシステムによって最適な移動局を探索し、客情報を文字等で伝送することで、配車効率の向上を図り、またより迅速に移動局を配車させて客サービスの向上を図っている。
【0008】
しかし、移動局は、例えば配車を要求された直後に別の客を乗車させてしまった際、配車要求を了解したことを示す了解信号を送信しない。よって管理センタは、AVMサーバにて移動局から送信された了解信号を受信(確認)できない。
また管理センタは、このような場合、配車効率を向上させるために、例えばオペレータによる手動操作にて他の移動局を探索し、再配車を要求しなければならない。管理センタは、短時間のうちに再配車を要求しないと客を待たせてしまう虞が生じる。
また、例えば移動局は、別の客を降車させた後に、管理センタが要求した配車要求場所に向かうと、移動局と他の移動局が配車要求場所に向かうことになるため、2重配車が生じる。よって管理センタは、配車効率を向上させるために、例えばオペレータの音声によって配車取り消し指示を移動局に通知し、またはオペレータの手動操作によって配車取り消し指示を有するポーリング信号を他の移動局に送信し、移動局に対して配車を取り消さなければならない。
【0009】
このように管理センタは、了解信号を確認できないたびに、手動操作等にて、移動局への配車を取り消す動作と、他の移動局を探索し再度配車を要求する指示をする動作を行うため、手間が増え、時間がかかり配車効率を低下させてしまう。また管理センタは、取り消し動作を行わないと二重配車を行ってしまう虞が生じ、配車効率を低下させてしまう。
【0010】
そのため本発明は、管理センタからの配車要求に対し、移動局から了解信号を受信できない場合、短時間且つ容易に、移動局に対する配車要求を取り消し、配車の効率を向上させる配車管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は目的を達成するために、管理センタと基地局と移動局からなる配車管理システムであって、前記管理センタは、前記基地局を介して前記移動局から所望するタイミングによって取得する前記移動局の位置情報と動態情報を管理し、前記位置情報と前記動態情報を基に前記基地局を介して前記移動局に対して配車指示を行った後、前記基地局を介して前記移動局から配車了解の信号を所望する時間内に受信できなかった場合に、前記配車指示を行った前記移動局に対して前記配車指示の取消を行う制御部と、を具備することを特徴とする配車管理システムを提供する。
【0012】
また本発明は目的を達成するために、前記制御部は、前記配車指示の取消を行った後、前記位置情報と前記動態情報を基に検索された前記移動局とは異なる他の移動局に配車指示を行うことを特徴とする上記に記載の配車管理システムを提供する。
【0013】
また本発明は目的を達成するために、前記制御部は、移動局の種類を表す移動局種類情報と、前記配車要求場所から予め設定された距離以内に配置する移動局であること表す移動局距離指定情報と、の少なくとも一方を前記探索条件に加えて探索することを特徴とする上記に記載の配車管理システムを提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、管理センタからの配車要求に対し、移動局から了解信号を受信できない場合、短時間且つ容易に、移動局に対する配車要求を取り消し、配車の効率を向上させる配車管理システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1及び図6を参照して実施形態について説明する。なお基地局100と、移動局200は、少なくとも1つ以上によって構成されており、本実施形態では簡略化のために3つのみ記載している。また本実施形態における移動局200は、例えばGPSを利用して、現在位置を把握している。
【0016】
図1に示すように配車管理システムは、基地局100の圏内に配置される例えばタクシー等である移動局200と、移動局200と例えば文字や音声などのデータを送受信するデータ通信を行う基地局100と、基地局100及び基地局100を介して移動局200とデータ通信を行う管理センタ300と、から構成される。管理センタ300は、電話回線400と接続しており、客が使用する電話機、FAX等の客情報端末500から電話回線400を介して配車を依頼される。
【0017】
各移動局200には、GPSを利用して現在位置を把握するために、1つまたは複数の人工衛星150から発せられた電波151を受信部であるアンテナ201aにて受信し、現在位置情報を生成するGPS部201と、無線信号(ポーリング信号Po1と、ポーリング応答信号Po2)を送受信部であるアンテナ202aを通じて基地局100と送受信する例えばデジタル無線機である無線通信部202と、が搭載されている。GPS部201は、アンテナ201aを通じて人工衛星150から発せられた電波151を受信することで、現在位置情報をリアルタイムで生成する。無線通信部202は、無線信号を基地局100と送受信することで、例えば現在位置情報と動態情報と管理センタ300からの配車要求を了解したことを示す了解信号をポーリング応答信号Po2によって管理センタ300に送信し、管理センタ300から例えば配車要求をポーリング信号Po1によって受信する。
【0018】
また本実施形態における各移動局200には、GPS部201と無線通信部202と接続している図2に示すような操作部203が搭載されている。操作部203は、乗務員が例えば配車要求に対する応答操作を行うための情報端末である。また操作部203は、例えば客の送り先位置(目的地)情報や客から配車を依頼(要求)される配車要求場所や管理センタ300からの配車要求を、管理センタ300から基地局100とアンテナ202aと無線通信部202を介して取得する。そのため操作部203は、目的地情報や配車要求場所や配車要求や現在位置情報等を音声や文字などで表示する表示部203aと、例えば配車要求に対して後述する了解信号を送信するための応答操作を行う操作ボタンを有する操作本体部203bを有する。なお表示部203aは、GPS部201によって生成された現在位置情報を表示する例えばカーナビゲーションシステム(以下、カーナビ)を有しても良い。
【0019】
管理センタ300は、例えばデジタルSCPC方式のデジタル無線を用いて、基地局100を介して全ての移動局200に対してポーリングを行う(ポーリング信号Po1とポーリング応答信号Po2を送受信する)。これにより管理センタ300は、基地局100の圏内の配置される移動局200の現在位置情報と動態情報と例えば移動方向といったその他の情報等を、基地局100を介して所定の順番にて収集し、管理する。この順番とは、例えば図3に示すデータベース307cに登録されている移動局200の車両番号の順である(詳細については後述する)。
【0020】
管理センタ300は、基地局100を介してポーリングを行うたびに、順次更新された移動局200の動態情報及び現在位置情報等を収集し、管理する。更新された動態情報及び現在位置情報等は、順次書き換えられ、管理センタ300内部に設けられている制御部310にて管理される。
【0021】
図1では、基地局100は、管理センタ300とは独立した形態であるが、配車管理システムの規模に応じて基地局100と管理センタ300を一体に構成することもできる。
【0022】
このように本配車管理システムにおいて、管理センタ300が基地局100を介して移動局200に配車要求(ポーリング信号Po1)を送信し、且つACK信号、現在位置情報及び動態情報(ポーリング応答信号Po2)を順次受信するポーリングが行われている。
【0023】
次に本実施形態における管理センタ300について図3と図4と図5Aを参照して詳細に説明する。
管理センタ300には、図4に示すようにComputer Telephony Integration(以下、CTI)サーバ301と、位置サーバ302と、Automatic Vehicle Monitoringサーバ(以下、AVMサーバ)303と、録音部304と、操作端末305と、制御部310が設けられている。
【0024】
CTIサーバ301は、電話回線400と接続している。CTIサーバ301には、電話回線400を介して接続している客情報端末500から得られた客の名前と、電話番号と、住所と、配車要求場所と、これまで乗車した主たる区間(例えば、自宅と病院との間)と、送り先位置といった客情報が登録されている。この客情報は、後述する操作端末305に設けられている表示部307に表示される。
【0025】
格納部である位置サーバ302には、移動局200のデータベース307cが格納されている。このデータベース307cは、客情報端末500と電話回線400を介して客から管理センタ300に配車依頼があった際に、図3に示すように表示部307に表示される。このデータベース307cには、例えば移動局200ごとに割り振られた車両番号と、各移動局200の現在の動態情報と、各移動局200の現在位置情報と、各移動局200の進行方向情報と、各移動局200の速度情報と、客の送り先位置をコード化した送り先現在位置情報と、客の送り先位置を文字にて表記した送り先位置地区情報等が含まれている。またこのデータベース307cは、ポーリングによって後述する制御部310にて管理されている移動局200の現在位置情報や動態情報を基に作成されている。
【0026】
なお位置サーバ302は、例えば約200台の移動局200を有する中小規模の配車管理システムにおいて、設けられていなくても良い。その際、AVMサーバ303が位置サーバ302の機能を有していれば良い。
【0027】
管理部であるAVMサーバ303は、基地局100を介して得られた移動局200の位置情報及び動態情報が管理されている。本実施形態では、ポーリング方式によってこれら情報が基地局100を介してAVMサーバ303に収集される。
【0028】
録音部304には、配車を依頼する客とオペレータとの電話における通話内容(通信記録)が録音されている。
【0029】
操作端末305には、入力部306と表示部307が設けられている。
表示部307は、図3に示すように配車要求場所と配車候補1,2,3の現在位置を示す地図情報307aや、予め管理センタ300にデータベースに登録されている客から客情報端末500と電話回線400を介して配車依頼があった際、CTIサーバ301に登録されているこの客に関する客情報307bを表示する。また表示部307は、図3に示すように位置サーバ302に格納されている移動局200のデータベース307cと、後述する制御部310によって作成され、配車候補をまとめたリスト307dを表示する。
【0030】
入力部306は、例えば配車を依頼した客が、予めデータベースに登録されていない新規であれば、新規客に関する客情報を入力する。また入力部306は、前述した配車候補の数や、受付時間を所望に設定する設定部である。また入力部306は、客が依頼する移動局200の配車要求場所等を入力する。入力された配車要求場所は、例えばデータベースに登録されたり、配車要求を了解した移動局200の表示部203aに表示される。またオペレータと客との配車依頼に関する通話内容は録音部304に録音されているために、入力部306は、オペレータが後日通話内容を聞き返した際に、客情報等を入力することもできる。
【0031】
制御部310は、CTIサーバ301と、位置サーバ302と、AVMサーバ303と、録音部304と、操作端末305を制御し、下記における動作を行う。
【0032】
制御部310には、例えばポーリングといった所望するタイミングにて基地局100を介して収集した移動局200の現在位置情報及び動態情報が記憶(管理)されている。
【0033】
また制御部310は、例えば管理センタ300に客から配車が依頼された際、管理している移動局200の現在位置情報及び動態情報等を基に、所望な数(例えば3台)の移動局200を探索する。その際、制御部310は、動態情報と、配車要求場所から移動局200の現在位置までの距離を示す距離情報と、を探索条件とする。より詳細には、制御部310は、例えば空車状態(動態情報)で、移動局200の現在位置と配車要求場所までの距離が短い(距離情報)位置に位置する複数の移動局200を、探索する。また、制御部310は、探索された移動局200に対してこの距離の少ない順に優先順位を割り振り、配車候補として設定する。この場合、制御部310は、配車要求場所から近い順に3台の空車状態の移動局200を探索し、配車要求場所から近い順に配車候補1,2,3としている。
【0034】
制御部310は、配車候補をまとめたリスト307dを作成する。このリスト307dには、図3に示すように、例えば、配車候補番号と、配車候補となる移動局の車両番号と、配車候補車両の動態情報と、配車候補車両の現在位置情報と、配車候補車両の現在位置から配車要求場所までの距離を示す距離情報と、到着予想時間を示す到着予想時間情報が含まれている。配車候補番号は、前述したように配車要求場所から近い位置に位置する移動局から順に付され、前述した優先順位である。またリスト307dに含まれる車両番号や現在位置情報や動態情報は、図3に示すデータベース307cに含まれるものと同一である。
【0035】
制御部310は、例えば配車要求場所に最も近い位置に位置し、空車状態の車両番号5を有する移動局200(以下、配車候補1)を第1の優先順位として優先順位を割り振り、配車候補番号1に設定する。また制御部310は、配車候補1よりも配車要求場所から離れた場所に位置し、空車状態の車両番号1を有する移動局200(以下、配車候補2)を第2の優先順位として優先順位を割り振り、配車候補番号2に設定する。この場合、配車候補1は、配車候補2に比べて優先順位は高いことになる。また制御部310は、配車候補2よりも配車要求場所から離れた場所に位置し、空車状態の車両番号3を有する移動局200(以下、配車候補3)を第3の優先順位として優先順位を割り振り、配車候補番号3に設定する。この場合、配車候補2は、配車候補3に比べて優先順位は高いことになる。
【0036】
制御部310は、優先順位が高い配車候補(ここでは配車候補1を用いて説明する)に、基地局100を介してポーリング信号Po1を用いて配車要求(配車指示)を行う。
【0037】
制御部310は、この配車候補1から、ポーリング応答信号Po2を基地局100を介して受信する。なおこの場合のポーリング応答信号Po2は、配車要求に対して了解であることを示すACK信号(返送信号)を含む了解信号である。制御部310が、この了解信号を、了解信号を受け付けるために予め所望に設定された受付時間(例えば略5秒〜略7秒)内に、配車候補1から受け取ると、配車が完了となる。
【0038】
制御部310は、基地局100を介して受付時間内に配車候補1から了解信号を受け取らなかった(受信しなかった)際、配車候補1に対する配車要求を取り消す。そのため制御部310は、ポーリングの際、配車要求を取り消すことを示す配車取消信号をポーリング信号Po1の後に付加して送信する。
【0039】
制御部310は、基地局100を介して配車候補1から了解信号を受信しなかった際、配車候補とした移動局200から、優先順位が高い配車候補(前述した配車候補1)に対して優先順位が低い配車候補(配車候補2)に、再配車を要求する。より詳細には、制御部310は、優先順位が高い配車候補(前述した配車候補1)に対して次に優先順位が高い配車候補(配車候補2)に、基地局100を介して再配車を要求する。そのため、制御部310は、配車候補1の次に、配車候補2に再配車を要求せずに、配車候補3に再配車を要求することはない。このように制御部310は、優先順位が高い配車候補から順に再配車要求を行う。制御部310は、ポーリングの際、配車要求を取り消した後に、再配車を要求する。そのため制御部310は、配車取消信号の後に、再配車を要求することを示す再配車要求信号を付加して送信する。
【0040】
このように制御部310は、基地局100を介してポーリング信号Po1とポーリング応答信号Po2を送受信する送受信部である。
【0041】
なお制御部310は配車候補2から了解信号を受け取らなかった際、上記と同様に配車候補2に対する配車要求を取り消し、配車候補3に再配車を要求する。また制御部310が、優先順位が最も低い配車候補3から了解信号を受信しなかった際、配車候補3に配車取消信号を送信する。この後、制御部310は、前述した探索条件にて再探索を行い、再設定を行う。
【0042】
配車取消信号の伝送フォーマットは、図5Aに示すように、例えば信号種別71と、ポーリング移動局指定72と、予備73とで構成される。データ長(ポーリング信号長)は、略40msで構成されている。信号種別71は、例えば、配車取消信号であることを示す情報(コード)である。ポーリング移動局指定72は、配車取消を行う対象の移動局200(この場合は、配車候補1,2,3)を示す移動局情報を示す。予備73は、予備領域であり、例えば、管理センタからの取消理由などの文字情報のために利用される。例えば配車候補となり配車要求をされた移動局200は、配車取消信号を受信した際に、信号種別71から配車取消であることを確認し、ポーリング移動局指定72から配車取消が自局宛か否かを確認し、自局であった際に予備73から取消理由などを確認する。
【0043】
次に本実施形態における配車管理システムの動作方法について図5B及び図6を参照して説明する。
管理センタ300は、例えばCTIサーバ301に登録されている客情報を有する客から客情報端末500と電話回線400を経由して配車を依頼される(Step1)と、客情報307bと、図3に示すデータベース307cを表示部307に表示させる。次に管理センタ300は、入力部306に入力(設定)された数の配車候補を、制御部310を用いて探索する(Step2)。管理センタ300は、入力部306が配車候補を例えば3台と設定すると、制御部310を用いて、管理している移動局200の動態情報と現在位置情報を基に、空車状態、且つ配車要求場所から近い順に3台の移動局200を探索する。また管理センタ300は、制御部310を用いて、3台の移動局200に対して距離の少ない順に優先順位を割り振り、配車候補1,2,3として設定し、図3に示すリスト307dを表示部307に表示させる。
【0044】
管理センタ300は、制御部310を用いて、3台の配車候補から、配車候補1に、基地局100を介してポーリング信号Po1を用いて配車要求を行う(Step3)。配車候補1において、配車要求は、表示部203aに表示され、乗務員が例えば配車要求を表示部203aにて確認した際、配車要求に対する了解(確認)のために操作本体部203bにおける操作ボタンが押下られる。これによりポーリングの際、了解信号(ポーリング応答信号Po2)が管理センタ300に送信される。
【0045】
管理センタ300は、制御部310を用いて、入力部306によって設定された受付時間以内に配車候補1から、了解信号を受信できたかを否かを確認する(Step4)。管理センタ300は、この了解信号を受信できた場合(Step4:Yes)、管理センタ300は、制御部310を用いて、配車候補1に客情報を含むポーリング信号Po1を送信し、配車を完了する(Step5)。
【0046】
しかし、例えば、配車候補1が、配車要求を受信した直後に、別の客を乗車させ、配車要求に対して応答ができなくなってしまった場合、操作ボタンは、乗務員によって押し下げられない。よってポーリングの際、了解信号は、基地局100を介して管理センタ300に送信されない。このような状態のために、管理センタ300は、受付時間以内に了解信号を受信できなかった場合(Step4:No)、管理センタ300は、制御部310を用いて、ポーリングの際に、配車候補1に対して配車要求を取り消すために、ポーリング信号Po1の後に、図5Bに示す伝送フォーマットを有する配車取消信号を付加して送信する。また管理センタ300は、制御部310を用いて、図3に示すリスト307dに含まれ、配車候補1に比べて優先順位が低い配車候補2に対して再配車要求を含む配車情報信号を配車取消信号の後に付加して送信する。これにより管理センタ300は、制御部310を用いて、配車候補1に対する配車要求を取り消し、配車候補2に再配車を要求する(Step6)。
【0047】
Step6において、管理センタ300は、ポーリングの際に、図6に示すように、ポーリング信号Po1の後に、図5Bに示す配車取消信号と、再配車要求を含む配車情報信号と、予備80を付加して送信する。ポーリング信号と配車情報信号の間には、一般に3つの信号を付加することができ、それぞれをX,Y,Zとすると、配車取消信号は、ポーリング信号と配車情報の間の3つの信号のいずれか1つに含まれる。配車取消信号が例えばXの信号に含まれる場合、Y,Zの信号には、例えば移動局に対する応答を示す応答信号や、渋滞の開始と終了を示す道路情報といった各移動局200に送信するべき情報が含まれる。予備80は、予備領域であり、例えば、管理センタからの業務連絡や送り先位置に対する誘導文に利用される。
【0048】
図5Bは、ポーリング信号Po1の内容の一例も示している。ポーリング信号Po1は、信号種別81と、ポーリング移動局指定82で構成され、データ長(ポーリング信号長)は、略40msで構成されている。信号種別81は、例えば、ポーリング信号であることを示す情報である。ポーリング移動局指定82は、移動局200のうちの送信先(すべて/グループ/個別など)を指定するための情報である。
【0049】
配車情報信号は、例えば文字情報や音声による再配車要求や、前述した客情報等を有し、配車取消信号と同様に図示しない例えば信号種別と、ポーリング車番指定と、予備とで構成される。データ長(ポーリング信号長)は、略40msで構成されている。信号種別は、例えば、配車情報信号であることを示す情報(コード)である。ポーリング移動局指定は、再配車要求を行う対象の移動局200(この場合は、配車候補2)を示す移動局情報を示す。予備は、予備領域であり、例えば、再配車要求や、客情報や、管理センタからの再配車要求のために配車場所までの誘導文等に利用される。
【0050】
管理センタ300は、制御部310を用いて、Step4と略同様に、受付時間以内に配車候補2から、再配車要求に対する了解信号を受信できたか否かを確認する(Step7)。管理センタ300は、了解信号を受信できた場合(Step7:Yes)、Step5に進む。
【0051】
また上記同様に管理センタ300は、受付時間以内に了解信号を受信できなかった場合(Step7:No)、Step6と略同様に管理センタ300は、制御部310を用いて、ポーリングの際に、配車候補2に対して配車要求を取り消すために、ポーリング信号Po1の後に、図5Bに示す伝送フォーマットを有する配車取消信号を付加して送信する。また管理センタ300は、制御部310を用いて、図3に示すリスト307dに含まれ、配車候補2に比べて優先順位が低い配車候補3に対して再配車要求を含む配車情報信号を配車取消信号の後に付加して送信する。これにより管理センタ300は、制御部310を用いて、配車候補2に対する配車要求を取り消し、配車候補3に再配車を要求する(Step8)。
【0052】
管理センタ300は、制御部310を用いて、Step4,7と略同様に、受付時間以内に配車候補3から、配車要求に対する了解信号を受信できたか否かを確認する(Step9)。管理センタ300は、了解信号を受信できた場合(Step9:Yes)、Step5に進む。
【0053】
また上記同様に管理センタ300は、受付時間以内に了解信号を受信できなかった場合(Step9:No)、Step6,8と略同様に管理センタ300は、制御部310を用いて、ポーリングの際に、ポーリング信号Po1の後に、配車候補3に対して配車を取り消すために図5Bに示す伝送フォーマットを有する配車取消信号を付加して送信する。これにより管理センタ300は、制御部310を用いて、配車候補3に対する配車要求を取り消す(Step10)。その後、Step2に戻り、管理センタ300は、入力部306に入力(設定)された数の配車候補を、制御部310に再探索させ、配車候補を再設定させる。
【0054】
このように本実施形態は、客から配車を依頼された際に、動態情報が空車、且つ配車要求場所から移動局の現在位置までの距離を探索条件として複数の所望する数の移動局を探索し、距離の少ない順に優先順位を割り振り、配車候補として設定する。
そして本実施形態は、優先順位が高い配車候補(例えば配車候補1)に配車要求を行い、配車候補から配車要求に対する了解信号を受付時間以内に受信できなかった場合に、この配車候補に対して配車要求を取り消し、この配車候補に比べ優先順位が低い配車候補(例えば配車候補2)に再配車要求を行う。
【0055】
また本実施形態は、優先順位が最も低い配車候補(例えば本実施形態における配車候補3)から配車要求に対する了解信号を受付時間以内に受信できなかった場合に、この配車候補に対して配車要求を取り消し、再探索を行い、再設定を行う。
【0056】
よって本実施形態は、優先順位が高い配車候補から了解信号を受付時間以内に受信できなかった場合に、短時間且つ容易に、この配車候補への配車要求を取り消すことができ、またすでに探索され、優先順位が低い配車候補に再配車要求を行うことができ、さらに優先順位が高い配車候補への配車要求を取り消すため二重配車を防止することができる。よって本実施形態は、配車効率を向上させることができる。
【0057】
また本実施形態は、オペレータの手動操作による配車を取り消す動作と、手動による別の移動局を探索し再配車を要求する動作を省略することができるために、手間を省くことができ、容易に二重配車を防止することができる。よって本実施形態は、配車効率を向上させることができる。
【0058】
また本実施形態は、優先順位が高い配車候補から了解信号を受信できなかった場合、すでに探索されて、この配車候補に比べて次に優先順位が低い配車候補に再配車を要求する。よって本実施形態は、再探索と再設定のための時間を省略でき、短時間に再配車を行うことができるために、配車効率を向上させることができる。
【0059】
また本実施形態は、全ての配車候補から了解信号を受信できない場合でも、再探索と再設定を行う。そのため本実施形態は、配車効率を向上させることができる。
【0060】
また管理センタ300は、制御部310を用いて、優先順位が高い(配車要求場所に近い)配車候補から順(例えば配車候補1,2,3の順)に再配車要求を行う。よって本実施形態は、例えば配車候補1の次に配車候補2ではなく配車候補3に配車を要求する、というように再配車要求されていない優先順位が高い配車候補を抜かして、優先順位が低い配車候補に配車要求を行うことを防止できる。よって本実施形態は、客を待たせることを防止でき、配車効率を向上させることができる。
【0061】
なお管理センタ300は例えば配車候補1から了解信号を受信できなかった場合、管理センタ300は、制御部310を用いて再探索を行わず、制御部310を用いて、配車候補2に再配車を要求する。しかしこの形態に限定することはなく、制御部310が了解信号を受信できなかった場合、管理センタ300は、制御部310を用いてその都度探索を行い、配車候補を設定し、制御部310を用いて新たに設定された配車候補から最も優先順位が高い配車候補に再配車を要求しても良い。
【0062】
通常、管理センタ300は、制御部310を用いて配車候補1に配車要求を行った後も、ポーリングによって移動局200の現在位置情報と動態情報を収集し、管理している。よって管理センタ300が了解信号を受信できなかった場合、管理センタ300は、制御部310を用いて、現在位置情報及び動態情報等を基に、空車状態で、移動局200の現在位置と配車要求場所までの距離が短い移動局200を、その都度探索する。そして管理センタ300は、制御部310を用いて、順次更新された探索結果を基に最新の配車候補を設定する。よって管理センタ300は、制御部310を用いて、最新の配車候補に再配車を要求ために、本実施形態は配車効率を向上させることができる。
【0063】
なお管理センタ300は、制御部310を用いて、前述したように動態情報(空車)と距離情報(配車要求場所から移動局の現在位置)を探索条件として配車候補を探索する。しかしこれに限定する必要はなく、制御部310は、例えば移動局種類情報(例えば、身障者用車両といった特定の移動局であることや、喫煙可能な移動局であることといった移動局の種類(車種)を示す情報)や、移動局距離指定情報(配車要求場所から予め設定された距離以内に配置する移動局であること)などを探索条件に加えても良い。
【0064】
また本実施形態は、入力部306にて配車候補の数を所望に設定することが可能である。例えば、朝夕や雨天時には、移動局200は、配車要求場所の近くに位置しても渋滞によって短時間(例えば3分以内)に配車要求場所に到達できない虞が生じる。管理センタ300は、このような状況のため配車候補となった移動局200から配車要求場所に到達することが遅れる旨の連絡を示すポーリング応答信号Po2を受信すると、他の移動局200に再配車を要求することとなる。その際、配車候補の数が多いほど、再探索と再設定するための時間を省略することができる。よって本実施形態は、配車効率を向上させることができる。
【0065】
なお本実施形態において、配車候補の数を3としたが、これに限定する必要はなく、複数であればよい。例えば配車候補の数が5に設定された場合、本実施形態は、配車候補1乃至5に対して、前述して説明した配車候補1乃至3と同様の動作を行う。もちろん管理センタ300が配車候補5から了解信号を受信できなかった場合、管理センタ300は、制御部310を用いて、再探索を行い、配車候補を再設定する。このように配車候補の数が、例えば5台と多く設定されることで、前述したように探索時間を省略でき、配車要求を受ける移動局を探索する可能性が向上するために、本実施形態は配車効率を向上させることができる。
【0066】
また管理センタ300は、Step2乃至Step4において、配車候補1から了解信号を受信した後、図3に示すリスト307dを履歴情報として一時保存することも可能である。一般に、配車要求を了解した配車候補1は、例えば道路工事や渋滞などの道路状況や、天候により配車要求場所への到達が遅れることや、事故等に巻き込まれて配車要求場所に到達できないことがある。このような場合、例えば配車候補1から送信され、配車要求場所への到達が遅れることや、配車要求場所に到達できないことを示すポーリング応答信号Po2によって、配車候補1は、配車に時間がかかるまたは不可であると、管理センタ300が判別する。そして管理センタ300は、履歴情報として一時保存したリスト307dを参照して、短時間に了解信号を送信した配車候補1に取消信号を送信し、配車候補2に再配車要求信号を送信する。これにより管理センタ300は、配車率を向上させることができる。
【0067】
地図情報307aは、図示しないが例えば前述した道路状況などを表示しても良い。これにより前述したように配車要求を了解した配車候補1が、例えば道路状況により配車要求場所への到達が遅れる際、管理センタ300は、例えば地図情報307aや客情報307bを確認したオペレータの手動操作によって配車候補1に対して配車を取り消し、配車候補2に再配車を要求することもできる。
【0068】
このように本発明は、実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】図1は、本実施形態の配車管理システムの概略構成図である。
【図2】図2は、移動局に搭載される操作部の構成を示す図である。
【図3】図3は、表示部の一例を示す図である。
【図4】図4は、管理センタの構成を詳細に示した図である。
【図5A】図5Aは、配車取消信号の伝送フォーマットの一例を示す図である。
【図5B】図5Bは、ポーリング信号と配車取消信号と配車情報信号の伝送フォーマットの一例を示す図である。
【図6】図6は、配車管理システムの動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0070】
100…基地局、150…人工衛星、200…移動局、201a…アンテナ、201…GPS部、202a…アンテナ、202…無線通信部、203…操作部、203a…表示部、203b…操作本体部、300…管理センタ、301…CTIサーバ、302…位置サーバ、303…AVMサーバ、305…操作端末、306…入力部、307…表示部、310…制御部、400…電話回線、500…客情報端末。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管理センタと基地局と移動局からなる配車管理システムであって、
前記管理センタは、
前記基地局を介して前記移動局から所望するタイミングによって取得する前記移動局の位置情報と動態情報を管理し、前記位置情報と前記動態情報を基に前記基地局を介して前記移動局に対して配車指示を行った後、前記基地局を介して前記移動局から配車了解の信号を所望する時間内に受信できなかった場合に、前記配車指示を行った前記移動局に対して前記配車指示の取消を行う制御部と、
を具備することを特徴とする配車管理システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5A】
image rotate

【図5B】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2009−54019(P2009−54019A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−221297(P2007−221297)
【出願日】平成19年8月28日(2007.8.28)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】