説明

配量装置および材料を形成する方法

【課題】気流体力学的プロセスによって固体、あるいはゲル状物質を形成する方法および/または装置を提供する。
【解決手段】出口4から吐出された少なくとも1つの液体が電界を受け、少なくとも1つの帯電したジェットが形成され、この後に繊維を形成するか、あるいは繊維片または粒子に分解する。このように形成された少なくとも部分的に固体またはゲル状の材料を、電界のエネルギーによって例えば皮膚のある領域に直接付着させることができ、それによって例えば比表面積が高く極めて吸収率の高い傷または火傷用の外傷用医薬材料を形成することができる。例えば、薬学的材料やDNAなどの生物学的物質など、生物学的に活性の原料を繊維,断片または粒子に点在させることができる。例えば、他の例では生物学的に活性の原料を取り込んだ小繊維,粒子またはマイクロカプセルを供給し、ヒトなどの動物に経口または経鼻投与することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、材料を形成する方法および装置に関する。一例において、本発明は表面、例えば動物の内面または外面に材料を塗布する方法および装置、例えば傷や火傷の治療で使用される、皮膚に材料を塗布する方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
傷治療製品を傷や火傷に噴射するエアゾール装置を含め、ヒトの皮膚などの表面に材料を吹き付けることを可能にする様々な形態のエアゾール装置が知られている。このような1つの製品に、英国で Syma Healthcare and Ciba Geigy plc.によって販売されている Savlon Dry(登録商標)がある。このような製品ではガス推進剤を使用する必要があり、近年、クロロフルオロカーボンや炭化水素など環境に悪影響を与える化合物を回避する必要があるため、ガス推進剤の選択はますます限られている。また、小滴および粒子は、推進剤ガスが目標表面にぶつかり、その表面によって偏向されたときに生成されるガス流により、目標から吹き飛ばされる傾向があるので、このようなガス推進スプレーは、一般に比較的大きな液滴または粒子を噴射し、目標表面にスプレーを付着させるのに十分な慣性を達成するように構成される。このようなガス推進製品は、特に、スプレーが大きな液滴を生成する場合、過度に自由に噴射されると流れ落ちるおそれがある。また、このような装置の包装費は高い。
【0003】
特許文献1は、主として穀物への散布に使用される液滴のスプレーまたはクラウド(cloud)を生成する配量装置について説明している。特許文献1に記載されたプロセスは、表面の近傍の出口から吐出される液体に電界を加えることによって液滴を生成し、従って液体が十分に荷電され、それにより液体が自由空間に入ったときの液体の正味電荷が液体の表面張力に反作用し、同様な電荷によって生成される斥力によって液体が細分されて円錐体またはジェットが生成され、この円錐体またはジェットが分解して液滴になる。この装置により生成された液滴は、レイリー限界付近まで荷電され、従って使用時には低電位またはゼロ電位の導電表面の方へ高速に移動する。この液体を細分化する技術は、一般に電気流体力学的細分化として知られている。
【0004】
【特許文献1】英国特許出願第1569707号
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
一形態において、本発明は、電気流体力学的プロセスによって固体、特に繊維,小繊維(フィブリル),繊維の小片やセグメントまたは液滴,粒子などの固体、あるいはゲル状物質を形成する方法および/または装置を提供する。このように形成された物質は、異なる材料、例えば生物学的に活性の原料または材料のコアを組み込むか、あるいは有することができる。形成された物質は、例えば皮膚の表面あるいは傷や火傷などの表面または領域、あるいは例えば体腔などの空隙に塗布することができる。体腔はヒトなどの動物の呼吸器系でよく、この場合、電気流体力学的プロセスは呼吸器系を妨害しない物質を生成する。
【0006】
結果として得られる物質や材料を空隙や凹面に塗布する場合、望ましくは、この物質は塗布または供給される前に少なくとも部分的に放電される。
【0007】
他の形態において、本発明は、表面または基板付近に帯電した繊維および/または小繊維を電気流体力学的に形成することによって、マットまたはウェブを形成する方法および装置を提供する。本発明は、電気流体力学的プロセスを使用して形成されるマットまたはウェブも提供する。
【0008】
一形態において、本発明は、荷電され静電気によって表面に吸引される少なくとも部分的に固体、あるいはゲル状の繊維,繊維片,小繊維または粒子を含み、このため、無作為に分布された繊維および/または小繊維および/または粒子のマットやウェブを表面に形成可能な物質を形成するように、電気流体力学的部位で電気流体力学的に処理された液体を表面付近に位置するこの部位に供給することにより、表面に材料を塗布する方法および装置を提供する。物質が表面に配置される位置は、表面と物資とを相対移動させることによって、少なくとも部分的に制御することができる。
【0009】
他の形態において、本発明は、帯電した繊維,繊維片,小繊維,液滴または粒子のうちの少なくとも1つを含む材料を電気流体力学的プロセスによって動物の露出された表面領域付近で生成し、それによってこの領域に材料を付着させることを含む、動物の露出された表面、例えば皮膚、あるいは傷や火傷または外科手順によって露出された領域に材料を塗布する方法を提供する。
【0010】
他の態様において、本発明は、電気流体力学的部位に液体を供給し、細分化部位から吐出される円錐体またはジェットを故意に摂動させ、この結果得られる繊維を断片に分解することによって、繊維片または小繊維を形成する方法を提供する。繊維の分解は、電気流体力学的プロセスに使用される電圧をパルスすることによって推進することができる。小繊維の長さは、パルスの周波数を調整することによって制御することができる。
【0011】
他の形態において、本発明は、電気流体力学的細分化部位に液体を供給することによって、少なくとも部分的に固体の小滴または粒子を形成する方法を提供する。
【0012】
一例において、本発明は、毎時約10ミリリットルで質量比が10%になるようにアセトンに溶解させた分子量が144000程度のポリ乳酸を含む液体を表面から約5から10cm上に位置する電気流体力学的部位に供給すことを含み、例えば表面に繊維を付着させ、動物の表面領域、例えば皮膚のある領域に傷や火傷の外傷用医薬材料,治療または美容上の他の理由による外傷用医薬材料を形成する方法を提供する。
【0013】
他の例において、本発明は、生体適合性を有するポリマー、例えばポリ乳酸,ポリグリコール酸,ポリビニルアルコールまたはポリヒドロキシ酪酸など、生体再吸収可能または生体分解可能なポリマーを含む液体を動物の表面領域、例えば皮膚のある領域の付近で電気流体力学的プロセスに従わせることを含み、例えば表面に繊維を付着させて上記の表面に傷や火傷の外傷用医薬材料,治療または美容上の他の理由による外傷用医薬材料を形成する方法を提供する。
【0014】
一実施例において、付着プロセスを1回以上繰り返し、繊維,小繊維,液滴または粒子のうちの少なくとも1つを含むいくつかの材料層を表面に形成することができる。各層の間の吸引を推進するため、それぞれの異なる層の各付着工程の間に材料が荷電される極性を反転させることができる。
【0015】
電気流体力学的に形成される物質を生成するために使用される液体は、生物学的に活性の原料や成分を含むことができ、この場合、電気流体力学的に形成される材料は小繊維を含み、この小繊維は実際に軟組織の皮膚に付着することができ、それによって活性成分を皮膚や軟組織の外層の下方の位置に供給することができる。
【0016】
使用される液体は、溶液,懸濁液,マイクロサスペンション,エマルジョン,マイクロエマルジョン,ゲルまたは場合によって活性成分を含む溶融物を含むことができる。別法として、あるいは付加的に、活性成分を繊維,小繊維または粒子のコーティングやコアとして設けることができる。例えば、生物学的に活性原料を含む生体再吸収可能または生体分解可能なポリマーのマイクロカプセル,繊維または小繊維を形成することができる。繊維や小繊維のコアの材料は、繊維や小繊維の端部から放出することができる。繊維,小繊維またはマイクロカプセルのコアの材料は、コーティングがコア内に含まれる材料に透過する場合、コーティングを通して放出することができ、あるいは例えば薬品または酵素による腐食によって外側コーティングが破壊され、それにより外側コーティングが生体再吸収や生体分解によって溶融または分解した結果として、あるいは温度変化や圧力の付与により外側コーティングが破壊された結果として放出することができる。所与のポリマーに関する放出のタイミングは、コアを囲むコーティングの厚さを制御することにより制御可能である。
【0017】
局所応用例の可能な生物学的に活性の成分は、鎮痛薬,防腐薬,抗生物質,抗カビ性抗生物質,抗菌薬,寄生虫駆除剤,タンパク質分解酵素などの創傷清拭剤、細胞や細胞分裂活動を促進して基本細胞活動を推進し、例えば樹枝状成長を促進するシトキンなどの生物学的生成物,繊維芽細胞成長因子(FGF),上皮成長因子(EGF),転移増殖因子(TGF),自然組織修復に必須のイベントのシーケンスを推進またはその他の方法で制御するために使用可能なその他の因子などの成長因子,遺伝子治療用のDNAやその他の遺伝物質,細胞,ペプチドやポリペプチド,インシュリン,アジェバント,免疫抑制剤や刺激剤,表面タンパク質Aなどの表面結合剤や表面認識剤または表面活性剤などの薬学成分である。2層以上の繊維,小繊維または液滴が付着される場合、さまざまな活性成分が何層かに供給されるかもしれない。
【0018】
本発明を実施した方法を使用して、フィブリンやコラーゲンなどの生物学的材料の繊維,繊維片または粒子を形成することができる。エレクトレットポリマーを使用して核として働かせたり、組織修復において相互作用細胞および/または分子イベントを開始することができる。
【0019】
いくつかの電気流体力学的処理部位を設け、いくつかの異なる種類の電気流体力学的に形成された物質を同時に付着させることができる。
【0020】
付着させる材料は、単独で使用することも、あるいは従来型の包帯や外傷用医薬材料と組み合わせて使用することもできる。他の可能性として、材料が例えば治療薬を含む場合、皮膚に付与される従来型の外傷用医薬材料に材料を付着させることができる。
【0021】
他の態様において、本発明は、少なくとも部分的に固体またはゲル状の小繊維または粒子を生成するように液体を電気流体力学的に細分化すること、および小繊維や粒子を口や鼻を通して動物に供給することを含み、動物の呼吸器系に対して細分化された材料を供給する方法および装置を提供する。細分化された材料は、特に単に鼻や口を通過させるのではなく、肺の上端や下端に供給される場合、動物に供給する前に少なくとも部分的に放電しておくことが好ましい。
【0022】
小繊維や粒子は、生物学的に活性の材料を含むことができ、例えば小繊維や粒子は、細胞に移入するように脂質に密閉されるか、あるいは脂質と複合化されたDNAを含むか、あるいは例えばペプチド,ポリペプチド,インシュリンや成長因子などの他の大型生体分子などの物質,および/または活性材料を肺を介して血流に供給することを可能にする活性薬学成分を含むか、あるいは密閉することができる。このような方法は、通常の経口摂取によって与えられる場合よりも短い血流への経路を形成するはずであり、かつ消化系に存在する胃酵素および酸のために経口摂取できない成分の注射を不要にする。電気流体力学的手段により、活性成分をカプセルまたは小繊維のコアとして設けることによって、このような成分を徐々に放出することを可能にする適切な活性成分の経口摂取用のマイクロカプセルや小繊維を作製することもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
次に、一例として添付の図面を参照し、本発明の実施例について説明する。
【0024】
図面を参照すると、図1は、供給管3によって従来型の形態の流量調整弁5を介して出口4に結合された液体の容器またはリザーバ2を具える装置1を概略的に示している。弁5は、手動操作可能な弁でも、あるいは電気的に操作可能な弁でもよい。出口4から吐出された液体が荷電されるように、通常は15kVから25kVの電圧を供給する電圧源6が出口4に結合される。液体が少なくとも半導通する(すなわち、液体が約10ohm-mよりも低い抵抗率を有する)場合、電圧源5を出口4の液体上流側に結合することができる。
【0025】
この装置を使用する際は、図1に概略的に示したように、動物の皮膚のある領域などの表面領域7、例えばヒトの皮膚のある領域を出口4から数センチメートル、例えば5から10cm下に位置決めする。スイッチ(図1には示さず)を閉じることによって電圧源6を出口4に結合し、液体が重力の下で出口4に供給されるように流量調整弁5を開放する。液体としては、生体適合性を有し、すなわち皮膚や開いた傷に付着させたときに動物に悪影響を与えない液体が選択され、通常、この液体の抵抗率は約10から10オームメートルの範囲であり、粘度は0.1から1000ポアズ以上の範囲であり、この粘度は繊維,繊維の小片やセグメントまたは粒子のうちのどれを形成すべきかに依存する。
【0026】
前述の特許文献1と、Outlook on Agriculture 第10巻第7号(1981年)に発表された R.A. Coffee の「Electrodynamic Crop Spraying」と題する論文とに記載されたように、出口4から吐出された液体は強い電界を受け、この電界が液体を生成するカスプまたは円錐体の表面に沿って定常波を確立し、このカスプまたは円錐体がジェットまたは帯電した液体を放出する。
【0027】
液体ジェットで必然的に起こる小さな摂動によって、ジェットは不安定になり、液体中の正味電荷によって斥力が与えられ、この斥力が液体の表面張力に対抗する。この場合、通常、特許文献1に記載されたように、液体が液滴に分割され、液滴と出口4の両方が同様に荷電されているので、液滴は出口4から離れ、かつ相互に離れる方向へ飛ばされ、従って液滴のスプレーまたはクラウドを形成する。しかし、本発明では、液体を選択し電気流体力学的プロセスの条件を制御することによって、液体のジェットが液滴に分解するのではなく、固体またはゲル状の繊維を形成するか、または繊維セグメント(小繊維)あるいは非液体の小滴や粒子を形成することを見出した。図1に示した装置を使用する際、電気流体力学的に生成された材料が荷電され、かつ動物の体が事実上、接地されているものとみなすことができるので、出口4の下方の皮膚の表面7に材料を付着させる。材料は、それを生成するために使用される電界に含まれるエネルギーによって急速に、一様に、かつそっと付着し、過度に噴射されることもないし、あるいは空気流に閉じ込められて目標表面から吹き飛ばされることもない。このような材料の1つまたは複数の層を付着させ、例えば傷や火傷を覆ったり、または保護する外傷用医薬材料を形成することができる。この材料は非液体であり、例えば液滴が皮膚に塗布された場合に溶剤のために起こる刺激を生じさせない。
【0028】
ノズル4と表面7とを相対移動させることができ、この例では大きな面積をカバーできるように表面7を移動させることができる。
【0029】
図2aは、出口やノズル4に供給された液体が固体の小滴や粒子Dのスプレーを形成する状況を示し、図2bは、液体ジェットが小繊維FFに分解する状況を示し、図2cは、液体ジェットJが繊維Fを形成する状況を示す。
【0030】
図2aから図2cは、1つの円錐体Cのみと、ノズル4から吐出された関連するジェットJとを示す。しかし、生成される円錐体およびジェットの実際の数は、液体の抵抗率,誘電率,流量,出口4の寸法,そして加えられる電界に依存する。
【0031】
図2aに示した固体やゲル状の小滴を形成するには、電界を加えることによって液体を液滴に分離した後、非液体に、すなわち少なくとも部分的に固体またはゲル状になるように選択または処方する。液体が溶剤を含む場合、これは例えば液滴が形成された後に初めて少なくとも部分的な凝固またはゲル化が起こる程度に溶剤が蒸発するような揮発性および粘性の液体を選択し、かつそのように流量を制御することによって行うことができる。液体が出口に供給される間に高温に維持される溶融体である場合、液滴が形成された後に液体が凝固するような融点を有する液体を選択すべきである。この方法は、例えば低温不活性ガス流や空気流を使用して行うことにより容易となる。
【0032】
図2bに示した小繊維や繊維片を形成するには、電界を加えることによって液体が液滴に分離される前に、液体ジェットが少なくとも部分的に非液体、すなわち固体やゲル状となるが、ジェットJが摂動するために生じる成長波が繊維の形成を禁止するほど強力なままであり、かつジェットを繊維片や小繊維FFに分解するように液体を選択または処方し、かつ流量を制御する。この方法は、液滴が形成される前に(例えば、溶液の場合は蒸発により、あるいは溶融体の場合は冷却によって)液体が凝固を開始し、かつ生成される繊維が成長波によってセグメントに分割されるように比較的脆弱となるべく、液体および流量を選択することによって行うことができる。生成される繊維の小繊維への分解は、生成される繊維の分解を推進するように共振プロセスをセットアップするエネルギーパルスを生成するように、出口4に印加される電圧をパルスすることによって容易となる。理想的な条件の下では、小繊維の長さがパルス持続時間または周波数幅と関係し、小繊維の長さがジェット速度をパルス周波数で除した値に等しく、従ってジェット速度が5ms−1であり、かつ100kHzのパルス周波数を使用する場合、小繊維の長さが50μmになることが実験によって示されている。使用する特定の液体および電気流体力学的プロセスの条件に応じて、長さが例えば数十マイクロメートルから数センチメートルの範囲の繊維を生成することができる。
【0033】
図2cに示した固体やゲル状繊維Fを形成するには、出口から吐出された後に非液体、すなわち少なくとも部分的に固体やゲル状となるような液体を選択し、かつジェットが分解されずに電気流体力学的プロセスが継続する時間、すなわち電圧が印加される時間によって決定される長さを有する連続繊維を形成するように、ジェットが摂動するために生じる成長波を減衰させる。成長波の減衰は、凝固の開始および/または液体の性質によって行うことができる。繊維の生成は、例えば液滴が形成される前に蒸発による凝固が急速に起こるように非常に揮発性が高いか、あるいは揮発性の高い成分を有する液体を選択することによって行うことができる。例えば、粘性および/またはポリマー鎖形態のために凝固時に成長波の生成に抵抗する傾向のあるポリマーを含む液体を使用して繊維を形成することができる。繊維は、比較的分子量の高いポリマー、例えば分子量が140000以上の範囲のポリマーを使用して形成することができる。使用する液体が溶融体である場合、凝固して比較的塑性の状態になる液体を選択すると、繊維の形成が推進されるはずである。
【0034】
図1に示した装置は、重力搬送を使用して液体を出口4に供給する。この装置は単純であるという利点を有する。この装置は、外傷用医薬材料を付与すべき皮膚の領域を容易に出口4の下方に移動させることができる状況で使用するか、あるいは供給すべき液体がポンピングの悪影響を受けるおそれがあるときに使用するのに最も適している。
【0035】
図3は、本発明を実施した方法で使用するのに適した装置1aの他の形態の部分断面図を示す。図3に示した装置は、図4に概略的に示したように、特に使用者の手8で保持されるように、携帯可能な装置として意図されている。
【0036】
図3に示した装置は、配量すべき液体のリザーバ2aが内部に取り付けられたハウジング9を具える。リザーバ2aは、配量中の液体と空気が接触するのを回避するように、折り畳み可能なバッグとして形成することができる。リザーバ2aは、供給管3aを介してポンプチャンバ10に結合され、ポンプチャンバ10自体は、図1に示したのと同様に供給管3および流量調整弁5を介して出口4に結合される。この例の電圧源6は、使用者が操作可能なスイッチSW1、例えば従来型の押しボタンやトグルスイッチに結合される。電圧源6は、例えばWO94/12285に記載された種類の圧電高電圧源,英国 Stourbridge West Midlands の Brandenburg, ASTEC Europe または英国 West Sussex の Start Spellman of Pulborough で製造されているようなバッテリ駆動電磁高電圧マルチプライヤを具えることができ、通常は10から25kVの範囲の電圧を与える。図示していないが、電圧を円滑に増加させるために、1つまたは複数の抵抗器キャパシタ回路網を具える電圧制御回路を設けることができる。リザーバ2aは、弁11を介してポンプチャンバ10に結合することができ、弁11は単純な逆止め弁または一方向弁でよく、任意の適切な種類の電気的または機械的に操作可能な弁、例えば前述の制御回路から電圧を供給される電磁弁や圧電弁でよい。
【0037】
ポンプチャンバ10は、連続的なほぼ一定の流量を生成する任意の適切な形態のポンプ、例えば圧電ポンプや膜ポンプなどの電動ポンプ,EP-A-0029301やEP-A-0102713に記載された電気流体力学ポンプ,WO94/12285に記載された電気浸透ポンプまたは使用者によって操作可能なばね付勢構成により操作や準備がなされるシリンジポンプなど機械的に操作可能なポンプを具えることができる。
【0038】
図3および図4に示した装置1aを使用する際、使用者はまず、材料を塗布すべき領域7の上方に装置を位置決めし、次いでスイッチSW1およびポンプチャンバ10のポンプを作動させ、弁5,11が開いたときに液体の流れを出口4にもたらす。従って、液体は、上記で図2aから図2cを参照して説明したように、加えられた電界を受けて帯電した物質を形成し、この物質が前記表面7、例えば皮膚上,傷上または傷内に付着する。使用者は、大きな面積をカバーするように装置1aを領域7に対して移動させることができる。図1を参照して説明したのと同様に、1つまたは複数の層を形成することができる。しかし、図3および図4に示した装置は、携帯可能であり、従って事故現場での応急処置に使用し、かつ/あるいは身体の比較的塗布の難しい領域で使用することができ、重力搬送に依存しないという利点を有する。
【0039】
図1,図3,および図4に示した装置では、様々な異なる形態の出口またはノズル4を使用することができる。図5から図8は、いくつかの例を概略的に示す。他の可能性として、WO95/26234に記載された繊細分化部位またはノズルがある。
【0040】
図5に示したノズル4aは、少なくとも端部4'に隣接する位置が導電材料または半導電材料である中空シリンダを具え、使用時に、この端部4'に電圧が印加され、液体の抵抗率と流量と出口4に印加される電圧とに応じて1つまたは複数のジェット(1つの先端または円錐体CとジェットJとが示されている)を生成する。
【0041】
図6に示したノズル4bは、2つの同軸シリンダ40,41を具え、このうちの1つは、少なくとも端部40',41'に隣接する位置が導電性または半導電性である。この端部40',41'に電圧が印加され、使用時に液体の抵抗率および流量と印加される電圧とに応じていくつかのジェットを生成する。
【0042】
図7に示したノズル4cは、少なくとも端部42'に隣接する位置が導電性または半導電性であるいくつかの平行な毛管出口42を具え、この端部42'に電圧が印加される。各毛管出口42は、通常、単一のジェットを生成する。図7に示した複数のノズルは、比較的粘度の高い液体によって1つのノズルが閉塞しても、装置の動作がそれほど影響を受けないという利点を有し、いくつかの異なる液体をそれぞれの容器からそれぞれの異なるノズルに供給することも可能にする。
【0043】
図8に示したノズル4dは、少なくとも端部43'に隣接する位置が導電性または半導電性である2つの平行なプレート43の間に画定されたスロット状ノズルを具え、この端部43'に電圧が印加される。比較的粘度の高い液体を使用する際にスロットノズルを使用すると有利である。というのは、比較的微細な毛管ノズルを使用する場合と比べてノズルが完全に閉塞される可能性が低く、部分的に閉塞しても、液体がこのような部分的な閉塞部を迂回して流れることができるので、装置の機能がそれほど影響を受けないからである。図8に示したスロット状ノズル出口を使用すると、ジェットの直線アレイ、従って繊維,小繊維,粒子または非液体小滴の直線アレイを形成することもできる。
【0044】
前述のように、使用中の液体が電圧をノズルではなく液体に印加できる程度の導電性を有する場合、電荷をそれほど長い時間に亙って保持しない適切な絶縁材料、例えばガラスやポリアセチルなどの半絶縁プラスチックでノズルを形成することができる。
【0045】
図7に示したノズルは、個々の出口42当たりに単一のジェットを生成するように構成される。図6および図8に示したノズルは、使用時にほぼ電界線に沿って延びるいくつかのジェットを生成する。ジェットの数は、もちろんスロットの長さ(図8)や環の直径(図6)に依存し、また液体の抵抗率,流量または印加電圧にも依存する。
【0046】
図5に示した円柱状ノズルの場合、流量が高い場合には図のように1つのジェットしか生成されない。しかし、低流量では液体が出口から膜として現われ、この膜がシリンダのヘリに付着し、従って図6に示した環状ノズルと同様に複数のジェットを形成する。
【0047】
液体の抵抗率が高く、例えば約10ohm-mである場合、印加電圧および流量に応じて、ノズルの長さ1cm当たり約10から20個のジェットを形成することができ、例えば、同じ数の繊維を生成する(紡ぐ)ことができる。印加電圧は、結果として得られる材料の直径にも影響を与える。従って、印加電圧が15kVであるとき、抵抗率が約10ohm-mである液体から、図8に示したスロットの長さ1cm当たり直径約10から20マイクロメートルの繊維を約10から15本形成することができ、印加電圧が25kVの場合にはスロットの長さ1cm当たり約20本のより小さな直径の繊維を形成することができる。液体抵抗率が例えば10ohm-mの場合、この場合も印加電圧や流量に応じてスロットの長さ1cm当たり約5から10本の繊維を紡ぐことができ、この場合においても、より高い電圧ではより多くのより細い繊維を形成することができる。生成されるジェットの数は減少するが、その直径は流量と共に増加する。液体の抵抗率,粘度,流量,および印加電圧を選択することによって、直径が約10ナノメートル(nm)から100マイクロメートル以上、通常は10から10nmの材料、例えば繊維や小繊維を生成することができる。図5の中空円柱状ノズルや図6の環状ノズルを使用して同様な結果を達成することもできる。
【0048】
以下で説明するように、覆うべき領域に繊維を付着させると、相互に交差または結合する繊維の網の表面積比が高く、従って、流体の吸収率が高いけれども極めて軽量である一体的なウェブやマットを形成するので、繊維を生成するように制御される液体の使用は、特に傷または火傷の医薬材料を精製する場合に有利である。従来型の外傷用医薬材料と同様に、このウェブやマットは皮膚のある領域を適切に覆い、例えば傷を保護することができるが、従来型の外傷用医薬材料とは異なり、繊維の網の間の隙間によって医薬材料を通して傷口へ空気を送り、かつ膿およびその他の頽敗物を傷口から除去させ、同時に細菌の傷への侵入を防止することができる。
【0049】
前述のように、繊維の直径を制御し、かつ/あるいは繊維層の数を制御することによって、ある範囲の厚さ,流体浸透性,および機械強度を有する外傷用医薬材料を形成することができ、この材料は、自動車事故,戦争での負傷などの重度の外傷によって生じた傷や、潰瘍化した血管などの傷害を含む慢性的な傷、さらに必要に応じて手術のために露出された領域を含め、いくつかの異なる種類の傷や火傷に使用するように構成することができる。この外傷用医薬材料の浸透性は、繊維の直径および間隔と、塗布中の付着領域の上方のノズルの運動との関数であることが判明している。
【0050】
短繊維または固体小滴を形成する液体は、一般に、凝集力のある繊維のマットやウェブを形成しない。しかし、小繊維や固体小滴を形成する液体は、従来型の外傷用医薬材料や、前述のように繊維で形成された外傷用医薬材料と組み合わせて使用することができ、例えば本発明を実施した方法を使用して生成された小繊維や固体小滴を傷に付着させ、次いで本発明を実施した方法または従来型の外傷用医薬材料によって生成された1つまたは複数の繊維層で覆うことができる。
【0051】
本発明を実施した方法によって生成された繊維,小繊維または小滴を外傷用医薬材料などの基板に付着させ、後で皮膚,傷,火傷などに塗布することができる。
【0052】
いくつかの異なるポリマーおよび溶媒を用いて実験を実施した。長鎖重分子構造が繊維の生成を促進し、それに対して短鎖分子構造が断片や固体小滴を形成する傾向があることが判明した。ジェット流中で急速に蒸発する溶媒を使用し、繊維の形成を促進することができる。適切な溶媒は、使用する特定のポリマーに応じて例えばメタノール,プロパノールおよび水,エチレンクロライドまたはアセトンおよびクロロホルムでよい。
【0053】
スロット幅が約150マイクロメートルであって、スロット長が2cmである図8に示した種類のスロット状ノズルに供給される水および炭化水素ベースの溶液と共に、図1に示した装置を使用する実験を実施した。液体流量が毎秒1から10マイクロリットルであって電圧が10から15kVの場合、スロットの長さ1cm当たり約5から15本の帯電した繊維が生成され、この繊維の直径が1から100マイクロメートルの範囲にあることが判明した。
【0054】
ポリヒドロキシ酪酸,生体再吸収可能なポリマー,ポリビニルアルコール(PVA),水溶性のポリマーまたはメタノールやプロパノールなどのアルコールを有し、有機溶液に溶かしたニトロセルロースを具えた(特にエチルアセテート,イソプロピルアルコール,酢酸アミル,イソブチルアルコール,変性アルコール,カンフルまたはニトロセルロースを具えた)Smithkline Beecham によって市販されている「New Skin」(登録商標)など傷治療用の薬学的製剤を用いて首尾よく繊維を紡ぐことができた。「New Skin」は、粘度が高すぎて従来型のスプレー装置では塗布できないので、通常、ロッドまたはパドルを用いて掻傷や軽い傷に塗布される。しかしながら、「New Skin」は、本発明を実施した方法によって首尾よくスプレーされ、皮膚上に一様に付着した直径約0.5から5マイクロメートルの繊維が形成され、それによって堅固な皮膚状ウェブフィルムが得られた。1つの特定な例では、直径1.1mmの薄壁金属、一般にはステンレス鋼のチューブの形態の図5に示した種類の毛細管ノズルに毎時4ミリリットルの流量で純粋な(未希釈)「New Skin」を供給した。接地された付着表面から約50mm上方に配置されたノズルに8.2kVの電圧を印加した。複数の繊維が形成され、表面上にほぼ一様に付着した。また、未希釈「New Skin」(登録商標)を毎時1ミリリットルから毎時100ミリリットルの流量で使用して繊維を生成した。
【0055】
アルコールと水との組合せを溶媒として使用し、ポリビニルアルコール(PVA)も同様に「New Skin」に付着させた。分子量が通常は15000である純粋な未希釈PVAは、電気流体力学的に処理されたときに個体小滴を形成する傾向があり、それに対して分子量が約140000以上であるPVAは、繊維を形成する傾向があることが判明した。エタノールなどの揮発性溶媒に溶かした低分子量PVAは、連続した繊維ではなく、小繊維に分解する傾向がある。従って、分子量が約90000から140000の範囲のPVAは、小繊維を形成する傾向があり、直径が数百ナノメートルで長さが0.5から10mmであるPVAの小繊維が生成された。
【0056】
他の実験では、図6に示した種類の環状ノズルを使用し、このノズルに5kVから15kVまでの電圧を印加した。ヒトの皮膚から約5cmの距離に配置されたノズルに、ポリβ−ヒドロキシ酪酸(すなわち、生体再吸収可能なポリマー)と塩化メチレンとの90体積%溶液を毎秒5マイクロリットルから毎秒50マイクロリットルで供給した。印加電圧や流量に応じて直径が約10マイクロメートルから約50マイクロメートルの範囲の繊維で、皮膚上に繊維被覆層を形成した。
【0057】
他の例では、外径が1.1mmである図5に示した種類の薄壁で一般にはステンレス鋼製の毛細管ノズルと共に図1に示した装置を使用した。質量が10%になるようにアセトンに溶解させた分子量が144000のポリ乳酸をリザーバに満たし、流量が毎時10ミリリットルになるように流量調整弁を調整した。皮膚表面を刺激するために設けられた平坦な接地対向電極から8cm離れた位置にこの電極に垂直に配置されたノズルに12kVの電圧を印加した。また、この実験を流量毎時6.0ミリリットルおよびノズル電圧11.4kVで繰り返した。直径が一般には2マイクロメートルから7マイクロメートルの範囲の無作為に分散された繊維の網または塊で、この平板の表面を覆った。
【0058】
繊維は、非常に低質量で高比表面積の材料を塗布するという通常の問題なしに容量的性質表面または接地表面に容易に付着し、電解によって、繊維は急速に、おだやかに、かつほぼ一様に付着する。
【0059】
図9は、プレート13上の繊維12の典型的なマットまたはウェブの、走査型電子顕微鏡で生成された画像のコピーを示す。繊維の直径は、通常、約5μmである。質量が低く、従って慣性が低く、かつ電荷質量比が高いことは、繊維の移動、従って表面上の付着位置が、繊維がすべて同様に荷電されることの影響を強く受けることを意味するので、図9に示した繊維は比較的無作為に分散される。また、このために繊維が互いに交差し、場合によっては結合し、それによってウェブやマットの全体的な機械的一体性を高めるはずである。
【0060】
繊維の質量を増加させ、従ってその慣性を高め、繊維の電荷質量比を低減することによって、繊維の付着に対するより強力な制御を達成することができ、それにより主としてノズルを皮膚または傷に対して移動させ、表面の上方でのノズルの通過回数および移動パターンを制御することにより、皮膚や傷上での繊維が付着する位置を制御することができる。図10は、図8に示した種類のスロット状ノズルを使用して基板上に付着させた直径が約50から100マイクロメートルの繊維15の例を示す。図10からわかるように、ノズルを1回通過させると、1組のほぼ平行な軌跡が生成され、2回以上通過させると、織物のような比較的密な繊維を生成することができる。粘度の高い繊維状のヘビービルド塗料を用紙上に付着させることによって、図10に示した実際のパターンを生成したが、同様な質量の不活性ポリマーなど他の材料を使用して同様な結果を達成できることが理解されよう。所望のパターンを生成するように、かつ例えば織物をシミュレートできるように、ノズルの移動を制御することができる。このような繊維を使用し、例えば包帯を形成することができる。
【0061】
前述の例では、本発明を実施した方法を使用して生成される繊維,小繊維または小滴は、不活性ポリマー、例えばポリヒドロキシ酪酸,ポリビニルアルコール,ポリグリコール酸またはポリ乳酸など生体再吸収可能なポリマーのみからなる。しかしながら、生物学的に活性の原料を出口ノズル4に供給する前に液体に付加しておくことができる。このような場合、液体は、活性成分を含む溶液,懸濁液,マイクロサスペンション,エマルジョン,マイクロエマルジョン,ゲルまたは場合によっては溶融体を含むことができる。可能な活性成分は、鎮痛薬,防腐薬,抗生物質,殺菌剤,抗カビ剤,寄生虫駆除剤,消炎鎮痛剤,血管剤(傷上皮化および新血管新生を促進すると考えられているミノキシジルなど),創傷清拭用のタンパク質分解酵素や細胞質分裂活動を刺激して基本細胞活動を促進し、例えば樹枝成長を刺激するシトキンなどの組織修復促進物質などの薬剤,傷跡を小さくすると考えられている繊維芽細胞成長因子(FGF),上皮成長因子(EGF),転移成長因子(TGF),自然組織修復に必須のイベントのシーケンスを促進し、その他の方法で制御するために使用できるその他の成長因子などの成長因子,細胞,ペプチド,ポリペプチド,インシュリン,免疫抑制剤や免疫刺激剤,あるいはワクチンなどの薬学的化合物のうちの1つまたは複数である。他の可能な活性成分には、遺伝子療法用のDNAやその他の遺伝物質,表面タンパク質Aなどの表面結合剤や表面認識剤または表面活性剤がある。
【0062】
複数の繊維層,小繊維層および/または粒子層を堆積させる場合、図7に示した種類のノズルを使用する場合には、それぞれの異なる層にそれぞれの異なる活性原料を含めることができ、かつそれぞれの異なる繊維,小繊維または粒子にそれぞれの異なる生物学的に活性の原料を含めることができる。生物学的に活性の原料を各層の間に含めることもでき、例えば各層中または各層の間に皮膚細胞を点在させることもできる。
【0063】
活性原料は、アジェバントすなわち薬物の効果を高めるか、あるいは助けるためにその薬物に添加される薬学的薬剤や抗原反応を高める免疫学的薬剤を含むことができる。
【0064】
結果として得られる材料が小繊維の形態である場合、この小繊維は、実際に表面、例えば皮膚や軟組織に付着してこの表面上に堆積し、従って例えば薬物やその他の生物学的に活性の薬剤を皮膚の下や、あるいは軟組織内に供給することができ、かつこの小繊維を使用して例えばDNAを細胞に搬送することができる。
【0065】
図11は、図3に示した装置の修正形態を示す。図11に示した装置1bは、基本的に図3に示した装置に類似しているが、2つのリザーバ20a,20bを具えている。リザーバ20a,20bのそれぞれは、それぞれの供給管30a,30bにより、および場合によっては逆止め弁11a,11bによってそれぞれのポンプチャンバ100a,100bに結合される。ポンプチャンバ100a,100bは、それぞれの弁50a,50bを介してそれぞれの液体供給管30に結合される。液体供給管30は、それぞれの出口44,45で終端し、出口44,45は、出口45が出口44と同軸であり、出口44の周りで延びるように配置される。図12は、出口44,45を拡大スケールで示す。11に示した装置1bは、出口44,45で形成された電気流体力学的処理部位にいくつかの異なる形態の液体を供給することを可能にする。
【0066】
内側出口44に結合されたリザーバ20aには、例えば薬品やDNA溶液などの生物学的に活性の原料を含めることができ、それに対して外側ノズル45に結合されたリザーバ20bには、前述の種類のポリマー溶液、例えば塩化メチレンに溶解させたポリヒドロキシ酪酸を含めることができる。図11に示した装置は、図3に示した装置と同様に操作される。従って、まずスイッチSW1を作動させ、必要な電圧、通常は10から25kVを供給し、次いで流量調整弁50a,50bを開き、ノズル44,45のそれぞれから必要な流量を与え、ポンプ100a,100bを作動させ、弁11a,11bが存在する場合はこれらの弁も作動させ、それぞれのノズル44,45に液体を供給する。2つの同軸ノズルの出口は、溶液を含むポリマーがノズル45から吐出されて他の液体の周りを囲むように、積層流を促進するように構成される。
【0067】
ポリマーの分子量および/またはポリマー溶液の揮発性を適切に選択することにより、結合されたノズルから吐出される液体に対し、生物学的に活性の原料が繊維や小繊維の円柱中心コアを形成する繊維,小繊維または生物学的に活性の原料が完全にポリマー内に密閉され、依然として液体形態であるマイクロカプセルを形成させることができる。
【0068】
マイクロカプセルを形成する場合、溶液中のポリマーの割合を減少させ、ずっと分子量の低いポリマーを使用することが好ましいことが判明した。例えば、約10重量%よりも多くなるようにトリクロロエタンに溶解させたネオプレン塩素化ゴムなどの樹脂は、繊維をスプレーする傾向がある。しかし、ポリマーの割合を減少させ、かつ/あるいは例えばプロピレングリコールエーテルなどより揮発性の低い溶媒を使用することによって、マイクロカプセルを形成することができる。約2.5体積%から5体積%に希釈されるように、水やアルコールに流量が毎秒約1.0ミリリットルで溶解させた低分子量、例えば分子量が約15000のPVAを用い、マイクロカプセルを生成した2つの反応性モノマーを使用してその一方を2つの液体のそれぞれに入れ、細分化中に反応させることにより、マイクロカプセルの生成を向上させることができる。
【0069】
図11および図12に示した装置を使用して生成された複合生成物を使用して前述のように外傷用医薬材料を形成することができ、この場合、複合生成物は繊維や長い小繊維の形態であり、このため、生体再吸収可能なポリマーが劣化したときに活性の原料の制御された放出が可能になる。生成される複合生成物が繊維,小繊維またはマイクロカプセルである場合、これらを例えば従来型の外傷用医薬材料、または細分化された繊維から生成された外傷用医薬材料と組み合わせ、皮膚の表面や傷に付与することができる。繊維や小繊維のコアの材料は、繊維や小繊維の端部から放出することができる。繊維,小繊維またはマイクロカプセルのコアの材料は、内部に含まれる材料にコーティングが浸透できる場合、このコーティングを通して放出することができ、あるいは外側コーティングが例えば薬品や酵素による腐食によってブリーチされ、このため生体再吸収や生体分解によって溶解または分解するか、あるいは温度が変化したり圧力が加わることにより、外側コーティングが破壊する結果として放出可能である。
【0070】
同軸ノズルの数を増加させることによって、3つ以上の異なる材料層で構成された複合生成物を形成することができる。
【0071】
図11に示した装置の出口ノズルは、単一出口ノズルに関して図7に示したのと同様に数組の出口ノズル44,45を具えることができる。この場合、いくつかの異なる内側ノズル44にいくつかの異なる活性原料を供給することができる。従って、いくつかの異なる活性原料を実際に使用するまで別々に維持することができる。これは、活性原料同士が反応して貯蔵寿命の短い生成物を形成する場合に特に有利である。
【0072】
当然のことながら、図1に示した装置を図3に関して図11に示した装置と同様に修正し、コア付き繊維,小繊維またはマイクロカプセルを形成できる装置を作製することができる。
【0073】
前述のように、図12に示したノズルは、一般に、混合できない液体として選択される2つの液体の混合を回避し、これによってコア付き繊維,小繊維またはマイクロカプセルの生成を可能にするように構成される。
【0074】
図13は、図11に示した装置で使用できるノズルの代替形態を示す。図13に示したノズルは、図8に示したのと同様なスロットノズルであるが、各流路が異なる液体を受け取るように、それぞれの液体供給管に結合された2つの別々の流路46,47を具える。流路46,47の出口は乱流を形成し、従って出口で2つの液体を混合するように構成される。この構成は、例えば液体に取り込むことのできる活性原料の量をある程度制御するか、あるいは2つの液体を組み合わせて反応させる必要がある場合に使用することができる。一方のノズルを介して供給されるポリウレタンフォームを他方のノズルから供給される発泡剤と反応させることによってポリウレタンフォームを形成し、可撓性のフォーム堆積物を傷に吹き付けて空隙状傷用医薬材料を形成した。この構成は、外傷用医薬材料が空隙状傷の輪郭に整合し、かつ処置なしで清浄にこの材料を塗布できるという利点を有する。この場合も、薬学的に活性の原料などの活性原料を2つの液体のうちの一方に取り込むか、あるいは2つの液体と混合することができる。
【0075】
図13に示したノズルを使用し、例えば2つの反応性液体を共にノズルに送り、反応中の生成物または反応生成物を皮膚または傷に付着させることもできる。この方法は、反応生成物の寿命が非常に短く貯蔵できない場合に有利である。例えば、図13に示したノズルを実験的に使用し、一方の流路に酵素トロンビンを供給し、他方の流路に繊維素原を供給することによってフィブリンマットを生成した。
【0076】
他の可能性として、図11に示した装置を間隔を置いて配置された2つの別々のノズルと電圧源とを形成するように修正することができる。この電圧源は、一方の極性に帯電した液滴が他方の極性に帯電した液滴に急速に癒着し、直径がサブミクロンから数十ミクロンの極小粒子を形成することができるように、WO94/12285に記載されたのと同様に2つのノズルを、相互に逆の極性を有する電圧に荷電するように配置する。この場合も、例えば酵素トロンビンを含む一方の極性の極小滴を吹き付け、繊維素原を含む逆の極性の液滴と急速に癒着させ、急速に反応するフィブリンマットを付着させ、血液を凝固させて傷を密閉したり癒着させることができる。
【0077】
本発明の実施した方法を使用し、遺伝物質を本来の場所の常在性細胞に移入し、細胞の反応を調整することのできる材料を生成することもできる。例えば、細胞に移入できるようにマイクロカプセル内に密閉されるか、あるいは適切な脂質材料と複合化されたDNAとを含むマイクロカプセルを生成するため、本発明を実施した方法を使用することができる。本発明を実施した方法によって、DNAを密閉するホスホリピドマイクロカプセルを生成することができる。タンパク質など他の生物学的材料も同様に密閉したり、あるいは適切な脂質材料と複合化することができる。脂質層にタンパク質を取り込むこともできる。ガン細胞や上皮細胞などの目標を選択するため、表面タンパク質Aなどの表面結合剤または表面認識剤をマイクロカプセル、特にホスホリピドマイクロカプセルに取り込むことができる。また、Sigma Pharmaceuticals 社から市販されているソヤレシチンなどの表面活性剤を繊維,マイクロカプセルまたは小繊維の外面に取り込むことができる。
【0078】
本発明を実施した方法によって生成される繊維,小繊維または小滴にソヤレシチンなどの表面活性剤などの物質、または例えば比較的粘着性のDNAを被覆することができる。この方法は、例えば図11の内側ノズルに液体を含むポリマーを供給し、図11の外側ノズルにコーティング材料を供給することによって行うことができる。別法として、例えば図1,図2または図11に示した装置によって生成された材料の経路に、逆極性に帯電したコーティング材料のスプレーまたはクラウドを吹き付けるため、独立のスプレー装置、例えば従来型のスプレー装置や電気流体力学的スプレー装置を設けることができる。
【0079】
図14は、吸入される小繊維またはマイクロカプセルを生成するのに適した図11に示した装置の修正形態を概略的に示す。図14に示した装置が図11に示した装置と異なるのは、エアベント62と、小繊維またはマイクロカプセルを放電させる放電手段60と、使用者の口や気管に挿入されるチューブを受容するか、あるいは経口吸入および経鼻吸入の両方が必要とされる場合に使用者の口および鼻を覆うマスクを受容するように構成された出口50とを具える点だけである。放電手段は、例えば帯電した小繊維やマイクロカプセルと逆の極性のガス状イオンを生成し、これによって小繊維やマイクロカプセルが使用者によって吸引可能となるように放電すべく、接地放電電極61を具えることができる。放電手段は、例えばWO94/14543に記載されたように、使用者が積極的に吸入することにより操作可能である。放電手段を設けると、小繊維やマイクロカプセルを単に鼻腔経路に送るのではなく、肺の上部領域や下部領域に送ることができる。残留電荷を制御することにより、小繊維やマイクロカプセルが送られる実際の位置を制御することができ、揮発性,流量またはノズルに印加される電圧を制御することによって、小繊維やマイクロカプセルの厳密な寸法を制御することができる。
【0080】
経口投与用の材料は、細胞に移入できるようにDNAに密閉されるか、あるいはDNAと複合化されたリポソームを含むか、あるいは例えばペプチド,ポリペプチド,インシュリンや成長因子などその他の大型生体分子などの生物学的に活性の原料と、活性成分を肺を介して血流に送り込むことを可能にする活性薬学成分とを含むことができる。この場合、通常の経口摂取によって形成される血流への経路よりも短い経路が形成されるはずであり、消化系に存在する胃酵素および胃酸のために経口摂取できない成分を注射することが不用になる。
【0081】
本発明を実施した方法を使用し、活性原料のコアを含む繊維,小繊維またはマイクロカプセルを生成する場合、コーティング材料,コーティングの浸透性および/または厚さを調整することにより、活性原料の放出タイミングを調整することができる。例えば、コーティングが生体再吸収可能または生体分解可能なポリマーを含む場合、ポリマーコーティングの浸透性および/または厚さを制御し、特定の処方の場合には流量および電圧を制御することによってポリマーの半減期を制御することができる。
【0082】
本発明を実施した方法を使用し、呼吸器系以外の体腔に材料を供給することもできる。一般に、このような用途の場合、材料は供給される前に少なくとも部分的に放電され、材料の体腔への供給を助ける空気流または不活性ガス流を形成する手段を設けることができる。身体の外側から体腔に近づくのが容易でない場合には、本発明を具体化する装置を体内に挿入し、材料が必要とされる部位に位置決めすることを可能にする内視鏡や同様な器具に装置を取り付けることができる。材料は、前述の繊維,小繊維,粒子またはマイクロカプセルのうちのどれかを含むことができる。
【0083】
従来型の経口摂取可能なカプセルに密閉することのできる生物学的に活性の原料を含む小繊維,粒子および/または生物学的に活性の原料のコアを有する小繊維,あるいはマイクロカプセルを形成し、それによって特にマイクロカプセルの場合、活性材料の放出の適切な制御を可能にするために本発明を実施した方法を生産プロセスで使用することができる。
【0084】
本発明を実施した方法および装置を非医学目的に使用することもできる。例えば、繊維,小繊維,粒子またはマイクロカプセルのコーティングを厚さおよび一様性を適切に制御しながら紙などの基板上に形成することができる。例えば、本発明を実施した方法を使用して基板上に接着剤を付着させることができる。
【0085】
本発明を実施した方法を使用し、混合されると貯蔵寿命が短くなる2つ以上の成分で形成された材料を好ましい時期に形成することができ、この場合、例えば密閉材料からの浸出,密閉材料に圧力が加わることによる破裂,温度または劣化、例えば密閉材料の生体再吸収または生体分解によって、密閉材料から成分が放出されたときにのみ様々な成分が混合されるように、それぞれの繊維,小繊維またはマイクロカプセルにそれぞれの成分を密閉する。このような方法を使用して例えば2成分接着剤を形成し、本発明を実施した方法によりこれらの接着剤をコア付き繊維,小繊維またはマイクロカプセルとして表面に別々にあるいは同時に付着させることができる。
【0086】
本発明を実施した方法を使用し、香水,殺虫剤,芳香剤,蒸気,インク,染料,潤滑油または昆虫忌避剤など他の材料を表面に付着させ、前の段落で論じたように時間制御された方法で、例えば表面に圧力を加えることにより、密閉された原料を放出することができる。
【0087】
本発明を実施した方法を使用し、防腐剤や潤滑油などの活性保護原料を含むことのできる保護コーティングを生成することも可能である。例えば、本発明を実施した方法を使用し、物品の表面にウェブやマットを付着させることにより、壊れやすい物品や腐食しやすい物品の一時保護コーティングを設けることができる。
【0088】
本発明を実施した方法を使用して形成されたウェブやマットを、例えば、ブドウやイチゴなどつぶれやすい作物に吹き付けたり付着させ、霜や日光による損害などの環境効果からこれらを保護することもできる。このようなウェブに殺虫剤,殺カビ剤またはダニ殺し剤などの活性原料を取り込み、作物をさらに保護することができる。
【0089】
一般に、皮膚などの材料の容量的性質と、空気の水分含有量とは、単に静電引力によって表面への付着を起こすのに十分なものである。しかし、大量の材料を付着させる必要がある場合には、表面を接地するか、荷電される物質よりも低い電位か、あるいはその物質と逆の電位に維持する必要がある。
【0090】
本発明を実施した方法および装置を使用し、体腔以外の空隙および凹面に材料を供給することもできる。このような場合、帯電した物質は一般に空隙または凹面に達する前に少なくとも部分的に放電される。
【0091】
本明細書において、「粒子」という用語は、固体物質,部分的に固体の物質,ゲル状物質,液体物質を取り込んだ固体の小滴およびマイクロカプセル,部分的に固体の小滴およびマイクロカプセル,ならびにゲル状の小滴およびマイクロカプセルを含む。「活性原料」という用語は、活性原料が付与される基板または身体に適合し、かつこのような基板および身体に影響を及ぼす材料を意味し、「生物学的に活性な原料」または「生物学的に活性な材料」は、このような原料が動物または植物に適合し、かつこのような基板および身体に影響(例えば、生物学的影響,化学的影響または生化学的影響)を及ぼす材料を意味し、例えば独自の薬剤,薬学的薬剤,獣医学的薬剤,ワクチン,DNAなどの遺伝物質または細胞などの薬物を含む。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明を実施した方法を実施する装置の一例を概略的に示す図である。
【図2a】本発明を実施した方法によって、少なくとも部分的に固体またはゲル状の粒子,小繊維または繊維をそれぞれに生成することのできる機構を示す概略図である。
【図2b】本発明を実施した方法によって、少なくとも部分的に固体またはゲル状の粒子,小繊維または繊維をそれぞれに生成することのできる機構を示す概略図である。
【図2c】本発明を実施した方法によって、少なくとも部分的に固体またはゲル状の粒子,小繊維または繊維をそれぞれに生成することのできる機構を示す概略図である。
【図3】本発明を実施した方法を実施する装置の他の例を概略的に示す図である。
【図4】皮膚表面,傷,火傷または外科手順によって露出された領域に外傷用医薬材料を付与する装置として、図3に示された装置の使用法を概略的に示す図である。
【図5】本発明を実施した方法で使用できる異なる種類のノズルや出口を示す図である。
【図6】本発明を実施した方法で使用できる異なる種類のノズルや出口を示す図である。
【図7】本発明を実施した方法で使用できる異なる種類のノズルや出口を示す図である。
【図8】本発明を実施した方法で使用できる異なる種類のノズルや出口を示す図である。
【図9】本発明を実施した方法を使用して生成された繊維のマットやウェブを示す図である。
【図10】本発明を実施した方法を使用して表面に付着させたほぼ平行な繊維を示す図である。
【図11】本発明を実施した方法で使用される装置の他の例の部分断面図である。
【図12】成分材料を生成するために使用できるノズルを示す図である。
【図13】2つの異なる液体の混合物から材料を生成するノズルを示す図である。
【図14】本発明を実施した方法を実施する装置の他の例を概略的に示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合材料を製造する装置であって、
第1の液体の第1の供給と、
第2の液体の第2の供給と、
前記第1および第2の液体を少なくとも1つの出口に供給する手段と、
少なくとも1つの出口にて前記2つの液体に電界を加えて帯電したこれらの液体の少なくとも1つのジェットを形成する手段と
を具え、液体は、少なくとも1つのジェットが2つの液体の一方によって実質的に形成されるコアと、2つの液体の他方によって実質的に形成されるコーティングとを有する繊維を形成するか、あるいは2つの液体の一方によって実質的に形成されるコアと、2つの液体の他方によって実質的に形成されるコーティングとを有する繊維片または粒子に分解するようになっている装置。
【請求項2】
空隙または凹面に供給される材料を生成する装置であって、供給すべき液体と、出口で前記液体に電界を加えて帯電した液体の少なくとも1つのジェットを形成する手段とを具え、少なくとも1つのジェットが形成された後に帯電した繊維,帯電した繊維片または帯電した粒子を含む帯電した物質を形成するような液体が用いられ、装置がさらに帯電した物質を空隙または凹面に到達する前に少なくとも部分的に放電させる手段を具えた装置。
【請求項3】
装置を独立に動かし、空隙または凹面を独立に動かす手段をさらに含む請求項1または請求項2に記載の装置。
【請求項4】
皮膚のある領域、傷、火傷、または外科処置によって露出された領域に外傷用医薬材料を供給する手持ち装置であって、供給すべき液体と、前記液体を出口に供給する手段と、出口で前記液体に電界を加えて電気流体力学的に液体を処理し、帯電した液体の少なくとも1つのジェットを形成する手段とを具え、少なくとも1つのジェットが形成された後に、帯電した繊維,帯電した繊維片または帯電した粒子を含む帯電した物質を形成し、それによって装置が使用時に前記ジェットを前記領域の方へ送るように前記表面に隣接する位置に位置決めされると、前記帯電した物質が前記領域に引き付けられて付着して外傷用医薬材料を形成するような液体が用いられる装置。
【請求項5】
トロンビンおよび繊維素原を電気流体力学的に処理することによって形成されるフィブリンマットまたはウェブ。
【請求項6】
トロンビンおよび繊維素原の少なくとも一方を具えた少なくとも1つの液体を電気流体力学的に処理することによって形成された繊維,小繊維,粒子のうちの少なくとも1つを含むマットまたはウェブ。
【請求項7】
請求項5または請求項6に記載のマットまたはウェブを含む傷または火傷用の外傷用医薬材料。
【請求項8】
コーティングを保持する基板であって、繊維,繊維片または小繊維,粒子のうちの少なくとも1つを含む電気流体力学的に形成された物質を含む基板。
【請求項9】
繊維,繊維片またはカプセルであって、活性原料のコアと、例えば少なくとも2つの液体を電気流体力学的に処理することによって形成されたポリマーの保護コーティングとを有する繊維,繊維片またはカプセル。
【請求項10】
生物学的活性材料をさらに具えた請求項5から請求項7の何れかに記載のマットまたはウェブ。
【請求項11】
コラーゲンをさらに含む請求項5から請求項7の何れかまたは請求項10に記載のマットまたはウェブ。
【請求項12】
電気流体力学的に処理された生物学的に互換性のある物質と、電気流体力学的に処理された生物学的活性材料または電気流体力学的に処理された薬物とを含む複数の層からなるウェブまたはマットを具えている組織成長材料。
【請求項13】
生物学的活性材料と一体化したポリマーを含む電気流体力学的に処理された物質を具えた組成物。
【請求項14】
皮膚,創傷,火傷の部分または外科処置によって露出された領域に医薬材料を作成するための手持ちの装置であって、
ハウジング出口を有し、使用者の手に保持されて使用者がこのハウジング出口を医薬材料を作成すべき表面に向けることができるようになっているハウジングを具え、このハウジングは、
液体を収容する液体リザーバと、
この液体リザーバに連結され、前記ハウジング出口を介して液体の供給を可能にするための液体の出口を有する液体供給管と、
電源と
を具え、当該ハウジングは、前記液体の出口から流出する液体を電界にさらすために前記電源を活性化できるようにする使用者が操作可能なスイッチを有し、前記リザーバに収容される液体は、この装置の操作中に、医薬材料を作成するため、基板に引きつけられて堆積する帯電した繊維物質を形成する帯電液体の少なくとも1本のジェットを形成するようになっており、この装置は、組織修復を促進またはもたらすための材料をマットまたはウェブに付与することが可能であることを特徴とする装置。
【請求項15】
基板の近傍の液体の出口に液体を供給するステップと、
前記出口から流出する液体を電界にさらして帯電した液体の少なくとも1本のジェットを形成させ、この少なくとも1本のジェットが前記基板に引き付けられて付着する帯電した繊維物質を形成し、形成後に、マットまたはウェブを基板に形成するステップと、
前記マットまたはウェブに殺虫剤を付与するステップと
を具えたことを特徴とする方法。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図2c】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2007−325934(P2007−325934A)
【公開日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−155691(P2007−155691)
【出願日】平成19年6月12日(2007.6.12)
【分割の表示】特願平10−506703の分割
【原出願日】平成9年7月22日(1997.7.22)
【出願人】(591072086)バテル メモリアル インスティチュート (8)
【Fターム(参考)】