説明

酸化防止剤

酸化防止剤として有用なジアルキルアニリノ−シクロヘキサン化合物は、次の式I又は式IIを有し、式中、Ar及びArは、同じであっても異なっていてもよく、それぞれ、アルキル芳香族基であり;R、R、R、及びRの各々は、独立に、水素又はCRから選択され;R、R、及びRの各々は、独立に、水素、及び置換又は非置換のCからC32ヒドロカルビル基から選択され;各Rは、独立に、水素、及びCからCアルキル基から選択されるが、但し、R及びRの各々がCRであり、このようなRの各々が水素以外である場合、R及びRは、一緒になって5又は6員環を形成していてもよく、さらにまた、R及びRの各々が隣接するCRであり、このようなRの各々が水素以外である場合、R及びRは、一緒になって5又は6員環を形成していてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸化防止剤、それらの製造方法、及び、これに限らないが、特に潤滑剤組成物のための添加剤としての、それらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば自動車又は貨物自動車の内燃機関に用いられる潤滑油は、使用の間に厳しい環境に曝される。この環境は、オイル中の不純物によって、例えば鉄化合物の存在によって触媒されるオイルの酸化を生じ、また、使用中オイルが置かれる高温によって促進される。この触媒作用によるオイルの酸化は、オイル中に腐食性の酸化生成物及びスラッジが生成することの一因となるだけでなく、オイルの粘度の増加を引き起こし、又はオイルの固化さえ引き起こし得る。使用中の潤滑油のこの酸化は、例えば許容されない粘度増加を減らす又は防止することでオイルの使用寿命を延長し得る酸化防止添加剤の使用によって、通常ある程度は抑制される。
【0003】
潤滑油の寿命を延ばすのに有効であることが知られている添加剤の中に、フェノール系酸化防止剤及びアミン系酸化防止剤がある。フェノール系酸化防止剤は、立体障害を受ける(sterically hindered)1つ又は複数のフェノール官能基を含み、単独で、又は他の添加剤、例えばアルキル化アミン酸化防止剤との相乗作用のある組合せにおいてのいずれかで、用いられ得る。アミン系酸化防止剤は1個又は複数の窒素原子を含み、これらには、通常、アルキル化ジフェニルアミン及びフェノチアジンが含まれる。フェノール系酸化防止剤、フェノチアジン及びアルキル化ジフェニルアミンの合成及び使用は、文献に報告されている。
【0004】
例えば、米国特許第4824601号から、酸活性化土触媒(acid−activated earth catalyst)の存在下で、少なくとも160℃の反応温度で、ジフェニルアミンとジイソブチレンとの、1:1.1から1:2.5のモル比での反応によって、液体酸化防止剤組成物を製造することが知られる。この反応生成物は、t−ブチル化ジフェニルアミン;t−オクチル化ジフェニルアミン;及び(iii)高級アルキル化ジフェニルアミンの混合物であり、触媒を除く最終反応塊における4,4’−ジ−t−オクチルジフェニル−アミンの含量は、25重量%未満であり、ジフェニルアミンの含量は10重量%未満である。この生成物は、鉱油及び合成由来の潤滑剤並びに機能性流体に対する優れた酸化防止剤であると記載されている。
【0005】
さらに、米国特許出願公開第2005/0230664号は、次の一般式の少なくとも1つのアクリダン:
【化1】


[式中:R、R、R、及びRは、独立に、水素、CからC32アルキル、及びCからC32アルケニルからなる群から選択されるが、但し、R、R、R、及びRの少なくとも1つは、水素でなく、R及びRは、独立に、CからC20ヒドロカルビル、及び水素からなる群から選択される。]を生成するように、酸性触媒の存在下で、アルキル化ジフェニルアミンと、アルデヒド又はケトンとの部分縮合によって製造される潤滑剤酸化防止剤混合物を開示し、ここで、この縮合の終了時に、残留するアルキル化ジフェニルアミンは、アクリダン生成物から分離されない。
【0006】
さらに、多くの市販アミン酸化防止剤の中で、Naugalube(登録商標)403は、Chemtura Corporationによって供給され、次の式のN,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミンである。
【化2】

【0007】
しかし、向上した性能を示し、低レベルで有効な新しい酸化防止剤及び酸化防止剤システムが依然として求められている。この依然として求められていることの原因となっているかなりの数の要因が存在する。このような要因の1つは、近年、内燃機関は一層高温で運転されることが多く、このことが、酸化の速度を増し、オイルの使用寿命を短くする傾向があることである。さらに、酸化に対する耐性が劣り、一層効率的で効果的な酸化防止剤を必要とする、潤滑油組成物のためのより安価な基油を用いようとする強い要求が存在する。また、動力車に対して一層長い点検間隔を提供するために、より長い使用寿命をもつ潤滑油が求められている。
【0008】
本発明により、今回、新規なジアルキルアニリノ−シクロヘキサン化合物類が製造され、これらの化合物は、単独で又は他の添加剤と組み合わせて、潤滑剤配合物、燃料配合物及びゴム組成物に用いられた時、利点のある酸化防止特性を示すことが見出された。
【0009】
1,4−ビス(フェニルアミノ)シクロヘキサンは、公知の化合物であり、ロシア特許第755812号によれば、ヒドロキノンと組み合わせて、合成ゴムの耐スコーチ性を向上させるのに有用である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
一態様において、本発明は、次の式I又は式IIを有するジアルキルアニリノ−シクロヘキサン化合物に存する。
【化3】


【化4】


式中、Ar及びArは、同じであっても異なっていてもよく、それぞれ、アルキル芳香族基であり;R、R、R、及びRの各々は、独立に、水素又はCRから選択され;R、R、及びRの各々は、独立に、水素、及び置換又は非置換のCからC32ヒドロカルビル基から選択され;各Rは、独立に、水素、及びCからCアルキル基から選択されるが、但し、R及びRの各々がCRであり、このようなRの各々が水素以外である場合、R及びRは、一緒になって5又は6員環を形成していてもよく、さらにまた、R及びRの各々が隣接するCRであり、このようなRの各々が水素以外である場合、R及びRは、一緒になって5又は6員環を形成していてもよい。
【0011】
好都合には、R、R、R、及びRの各々は、水素である。
【0012】
好都合には、Ar及びArの各々は、アルキル基がCからC30アルキル基、例えば、CからC20アルキル基である、アルキル芳香族基である。
【0013】
好都合には、Ar及びArの各々は、アルキル基が、アルキル芳香族基に結合した窒素原子に対してパラ位にある、アルキル芳香族基である。
【0014】
通常、Ar及びArの各々は、同じアルキル芳香族基である。
【0015】
一実施形態において、ジアルキルアニリノ−シクロヘキサン化合物は、パラ−ジ(パラ−n−ブチルアニリノ)−シクロヘキサン、パラ−ジ(パラ−n−ヘキシルアニリノ)−シクロヘキサン、及びパラ−ジ(パラ−n−ドデシルアニリノ)−シクロヘキサンから選択される。
【0016】
さらなる態様において、本発明は、前記一態様のジアルキルアニリノ−シクロヘキサン化合物の製造方法に存し、この方法は、還元的アルキル化条件下で、式IIIの少なくとも1つの化合物:
【化5】


[式中、Rは、R又はRであり、R10は、CからC30アルキル基である。]
と、式IV又はVの化合物:
【化6】


【化7】


とを反応させるステップを含む。
【0017】
さらなる態様において、本発明は、(a)基剤潤滑剤(ベース潤滑剤)、及び(b)通常、全潤滑油組成物の約0.1wt%と約10wt%の間の量の、式I又はIIを有するジアルキルアニリノ−シクロヘキサン化合物を含む潤滑油組成物に存する。
【0018】
さらなる態様において、本発明は、(a)基剤燃料(ベース燃料)、及び(b)通常、全燃料組成物の約10ppmと約1000ppmの間の量の、式I又はIIを有するジアルキルアニリノ−シクロヘキサン化合物を含む燃料組成物に存する。
【0019】
別の態様において、本発明は、(a)基剤ゴム(ベースゴム)、及び(b)通常、全ゴム組成物の約0.5wt%と約8.0wt%の間の量の、式I又はIIを有するジアルキルアニリノ−シクロヘキサン化合物を含むゴム組成物に存する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】様々な量のジ−(p−ブチルアニリノ)−1,4−シクロヘキサン及びジノニル化ジフェニルアミンを含む潤滑剤組成物のTEOST試験における、酸化防止剤添加レベルに対する堆積物のwt%を比較するグラフである。
【図2】様々な量のジ−(p−ブチルアニリノ)−1,4−シクロヘキサン及びジノニル化ジフェニルアミンを含む潤滑剤組成物のPDSC試験における、酸化防止剤添加レベルに対する酸化誘導時間(OIT)(分)を比較するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
用語「ヒドロカルビル基(hydrocarbyl radical)」、「ヒドロカルビル」、及び「ヒドロカルビル基(hydrocarbyl group)」は、この文書全体を通して、交換可能であるように用いられている。同様に、用語「基」及び「置換基」もまた、この文書では、交換可能であるように用いられている。この開示の目的のために、「ヒドロカルビル基」は、水素原子、及び32個までの炭素原子を含み、線状、分岐状、又は環状であり得る基であると定義され、環状である場合、芳香族又は非芳香族である。こうして、用語「ヒドロカルビル基(hydrocarbyl radical)」、「ヒドロカルビル」、及び「ヒドロカルビル基(hydrocarbyl group)」に含まれるのは、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルカリール及びアリールアルキル基である。
【0022】
置換ヒドロカルビル基は、少なくとも1個の水素原子が、NR、OR、及び類似物のような少なくとも1つの官能基により置換された基、或いは、少なくとも1つの非炭化水素原子又は基、例えば、−O−、−S−、−N(R)−、=N−、及び類似物が、ヒドロカルビル基の中に挿入された基であり、ここで、Rは、独立に、ヒドロカルビル又はハロカルビル基であり、2つ以上のRは、一緒になって、置換又は非置換の、飽和、部分不飽和又は芳香族の、環状又は多環状環構造を形成していてもよい。
【0023】
基Ar及びArをアルキル芳香族基であると言う時、ベースの芳香族化合物は、ベンゼンにおけるように単環であっても、又は、例えばナフタレンにおけるように、多環であってもよいと理解されるべきである。さらに、芳香族化合物は、少なくとも部分的に飽和であり得る。さらに、芳香族化合物に結合したアルキル基は、線状、分岐状又は環状であってよく、部分的に不飽和であってよい。酸素、窒素及び/又は硫黄のようなヘテロ原子もまた存在し得る。
【0024】
本明細書に記載されているのは、特定の新規ジアルキルアニリノ−シクロヘキサン化合物の組成物及び合成、並びに、潤滑剤、燃料及びゴム組成物における酸化防止剤としてのそれらの使用である。特に、潤滑剤組成物(例えば、クランクケースオイル)に添加される時、これらの化合物は、潤滑剤組成物(例えば、クランクケースオイル)の有効期間の酸化安定性を高めるのに、特に比較的大きな添加レベルで、従来のアルキル化フェニルアミンより効果的であることが確認されている。
【0025】
本発明のジアルキルアニリノ−シクロヘキサン化合物は、下に記載される式I又はIIのいずれかに従う。
【化8】


【化9】


式中、Ar及びArは、同じであっても異なっていてもよく、それぞれ、アルキル芳香族基であり;R、R、R、及びRの各々は、独立に、水素又はCRから選択され;R、R、及びRの各々は、独立に、水素、及び置換又は非置換のCからC32ヒドロカルビル基から選択され;各Rは、独立に、水素、及びCからCアルキル基から選択されるが、但し、R及びRの各々がCRであり、このようなRの各々が水素以外である場合、R及びRは、一緒になって5又は6員環を形成していてもよく、さらにまた、R及びRの各々が隣接するCRであり、このようなRの各々が水素以外である場合、R及びRは、一緒になって5又は6員環を形成していてもよい。
【0026】
好都合には、R、R、R、及びRの各々は、水素である。
【0027】
好都合には、Ar及びArの各々は、アルキル基がCからC30アルキル基、例えば、CからC20アルキル基である、アルキル芳香族基であり、通常、このアルキル基は、アルキル芳香族基に結合した窒素原子に対してパラ位にある。通常、Ar及びArは同じである。
【0028】
式I又はIIを有する代表的化合物には、パラ−ジ(パラ−n−ブチルアニリノ)−シクロヘキサン、パラ−ジ(パラ−n−ヘキシルアニリノ)−シクロヘキサン、及びパラ−ジ(パラ−n−ドデシルアニリノ)−シクロヘキサンが含まれる。これらの化合物の各々は、シス体、トランス体として、又はシス及びトランス体の混合物として存在し得る。
【0029】
本発明のジアルキルアニリノ−シクロヘキサン化合物は、好都合には、式(III)のアルキルアニリン:
【化10】


[式中、Rは、R又はRであり、R10はCからC30アルキル基である。]の、式(IV)又は(V)のシクロヘキサンジオン化合物:
【化11】


【化12】


又はメタ同族体による、化学量論的な還元剤(例えば、ナトリウムトリアセトキシボロヒドリド)を用いる還元的アルキル化、或いは、式(III)のアルキルアニリンの、アルデヒド及びケトンによるフェニレンジアミンの還元的アルキル化で実施されているような水素ガス及び水素化触媒による、還元的アルキル化によって合成される。別の適切な合成方法は、アルキルアニリンと、シクロヘキサンジオール及び金属脱水触媒(例えば、ラネーニッケル)との高温(例えば、約80℃から約200℃)での反応を含む。
【0030】
一般的に、R10は、式(III)の化合物のアミン基に対してパラ位にあり、式(IV)又は(V)の化合物は、1,4−シクロヘキサンジオン及び1,3−シクロヘキサンジオンの少なくとも1つを含む。
【0031】
本明細書に記載のジアルキルアニリノ−シクロヘキサン化合物は、全潤滑油組成物の、通常、約0.1wt%と約10wt%の間の量で、潤滑油組成物のための酸化防止剤として有用である。
【0032】
潤滑粘度のどのような適切なオイルも、米国石油協会(American Petroleum Institute、API)のグループI、II、及びIIIとして定義されるものを含めて、本発明の酸化防止剤と共に使用でき、潤滑粘度のどのような適切なオイルも、例えば、約1.5センチストークス(cSt)から約1,000cSt、好ましくは約2cStから約100cStの範囲の100℃での動粘性率を有する、任意の適切な潤滑粘度範囲のものであり得る。潤滑粘度の適切なオイルには、エンジンオイル、トランスミッション流体、作動油(hydraulic fluid)、ギアオイル、船舶用シリンダーオイル、コンプレッサオイル、冷凍潤滑剤及びこれらの混合物が含まれる。一般的に、潤滑油組成物は、約0.08重量パーセント未満のリン含量を有する。
【0033】
有用な天然オイルには、潤滑鉱油(例えば、液体石油オイル、パラフィン系、ナフテン系又はパラフィン系−ナフテン系混合型の溶媒処理又は酸処理された潤滑鉱油)、石炭又はシェールから誘導されるオイル、動物油、植物油(例えば、ナタネ油、ひまし油及びラード油)、並びに類似物が含まれる。
【0034】
有用な合成潤滑油には、炭化水素オイル及びハロ置換炭化水素オイル、例えば、重合した、またインターポリマー化したオレフィン、例えば、ポリブチレン、ポリプロピレン、プロピレン−イソブチレンコポリマー、塩素化ポリブチレン、ポリ(1−ヘキセン)、ポリ(1−オクテン)、ポリ(1−デセン)、及び類似物、並びにこれらの混合物;アルキルベンゼン、例えば、ドデシルベンゼン、テトラデシルベンゼン、ジノニルベンゼン、ジ(2−エチルヘキシル)−ベンゼン、及び類似物;ポリフェニル、例えば、ビフェニル、ターフェニル、アルキル化ポリフェニル、及び類似物;アルキル化ジフェニルエーテル及びアルキル化ジフェニルスルフィド、並びにこれらの誘導体、類似体及び同族体が含まれる。
【0035】
他の有用な合成潤滑油には、適切な粘度を有する、アルファオレフィンの液状ポリマーが含まれる。特に有用な合成炭化水素オイルは、例えば1−デセン3量体のような、CからC18アルファオレフィンの液状水素化オリゴマーである。
【0036】
有用な合成潤滑油の別の種類には、アルキレンオキシドポリマー、すなわち、末端ヒドロキシル基が、例えば、エステル化、又はエーテル化によって改変されたこれらのホモポリマー、インターポリマー、及び誘導体が含まれる。これらのオイルは、エチレンオキシド若しくはプロピレンオキシドの重合により製造されるオイル、これらのポリオキシアルキレンポリマーのアルキル及びフェニルエーテル(例えば、1,000の平均分子量を有するメチルポリプロプロピレングリコールエーテル、500〜1000の分子量を有するポリエチレングリコールのジフェニルエーテル、1,000〜1,500の分子量を有するポリプロピレングリコールのジエチルエーテルなど)、これらのモノ−及びポリカルボン酸エステル、例えば、テトラエチレングリコールの酢酸エステル、混合C〜C脂肪酸エステル、又はC13オキソ酸ジエステルによって例示される。
【0037】
有用な合成潤滑油のさらに別の種類には、ジカルボン酸(例えば、フタル酸、コハク酸、アルキルコハク酸、アルケニルコハク酸、マレイン酸、アゼライン酸、スベリン酸、セバシン酸、フマル酸、アジピン酸、リノール酸2量体、マロン酸、アルキルマロン酸、 アルケニルマロン酸など)と、様々なアルコール(例えば、ブチルアルコール、ヘキシルアルコール、ドデシルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコールモノエーテル、プロピレングリコールなど)とのエステルが含まれる。これらのエステルの具体例には、アジピン酸ジブチル、セバシン酸ジ(2−エチルヘキシル)、フマル酸ジ−n−ヘキシル、セバシン酸ジオクチル、アゼライン酸ジイソオクチル、アゼライン酸ジイソデシル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジデシル、セバシン酸ジエイコシル、リノール酸2量体の2−エチルヘキシルジエステル、1モルのセバシン酸と2モルのテトラエチレングリコール及び2モルの2−エチルヘキサン酸とを反応させることによって生成する複合エステル、及び類似物が含まれる。
【0038】
合成オイルとして有用なエステルには、また、これらに限らないが、5から12個の炭素原子を有するカルボン酸と、アルコール(例としては、メタノール、エタノールなど、ポリオール及びポリオールエーテル、例えば、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、ジペンタエリトリトール、トリペンタエリトリトール、及び類似物)とから製造されるものも含まれる。
【0039】
シリコン系オイル、例えば、ポリアルキル−、ポリアリール−、ポリアルコキシ−、又はポリアリールオキシ−シロキサンオイル及びシリケートオイルは、合成潤滑油の別の有用な種類を成す。これらの具体例には、これらに限らないが、ケイ酸テトラエチル、ケイ酸テトライソプロピル、ケイ酸テトラ−(2−エチルヘキシル)、ケイ酸テトラ−(4−メチル−ヘキシル)、ケイ酸テトラ−(p−tert−ブチルフェニル)、ヘキシル−(4−メチル−2−ペントキシ)ジシロキサン、ポリ(メチル)シロキサン、ポリ(メチルフェニル)シロキサン、及び類似物が含まれる。さらに別の有用な合成潤滑油には、これらに限らないが、リン含有酸の液体エステル(例えば、リン酸トリクレジル、リン酸トリオクチル、デカンホスフィン酸のジエチルエステルなど)、重合したテトラヒドロフラン、及び類似物などが含まれる。
【0040】
潤滑油は、天然、合成、又は上に開示されたタイプのこれらの任意の2種以上の混合物のいずれかの、未精製、精製、再精製オイルから誘導され得る。未精製オイルは、天然又は合成の供給源(例えば、石炭、シェール、又はタールサンドビチューメン)から直接、さらなる精製又は処理なしに得られるものである。未精製オイルの例には、これらに限らないが、乾留操作から直接得られるシェールオイル、蒸留から直接得られる石油オイル、又はエステル化プロセスから直接得られるエステルオイルが含まれ、これらの各々は、次に、さらなる処理なしに用いられる。精製オイルは、それらが、1つ又は複数の特性を改善するために、1つ又は複数の精製ステップにおいてさらに処理されていることを除けば、未精製オイルに似ている。これらの精製技術は当業者に知られており、それらには、例えば、溶剤抽出、2次蒸留、酸若しくは塩基抽出、濾過、パーコレーション、水素化処理、脱蝋などが含まれる。再精製オイルは、精製オイルを得るために用いられるものに類似のプロセスにおいて使用済みオイルを処理することによって得られる。このような再精製オイルは、また、再生又は再処理オイルとしても知られており、しばしば、使用済みの添加剤及びオイル分解生成物の除去のために行われる技術によってさらに処理される。
【0041】
ワックスの水素化異性化により誘導される潤滑油基油もまた、単独で、或いは前記天然及び/又は合成基油と組み合わせるかのいずれかで使用され得る。このようなワックス異性化オイルは、水素化異性化触媒上での、天然若しくは合成ワックス又はこれらの混合物の水素化異性化によって製造される。
【0042】
天然ワックスは、通常、鉱油の溶媒脱蝋によって回収される粗蝋(slack wax)であり、合成ワックスは、通常、フィッシャー−トロプシュ法によって製造されるワックスである。
【0043】
望まれる場合、本明細書に記載の酸化防止剤は、潤滑油に通常見出される他の添加剤と組み合わせて用いることができ、このような組合せは、実際に、望まれる特性を向上させる方向に(例えば、堆積物抑制、耐摩耗、摩擦、酸化防止、低温の特性などの特性の向上)、潤滑油に相乗効果をもたらし得る。潤滑油に見出される添加剤の例には、これらに限らないが、酸化防止剤、耐摩耗剤、清浄剤、防錆剤、脱濁り(dehazing)剤、抗乳化(demulsifying)剤、金属失活剤、摩擦改良剤、流動点降下剤、消泡剤、共溶媒、パッケージ相溶化剤、腐食防止剤、分散剤、染料、極圧剤、及びこれらの混合物が含まれる。有用な潤滑油組成物添加剤については、例えば、米国特許第5498809号を参照。潤滑油のための添加剤パッケージにおいて別の添加剤と共に用いられる場合、本明細書に記載の酸化防止剤は、通常、添加剤パッケージの1から約75重量パーセントの量で存在する。
【0044】
有用な分散剤には、これらに限らないが、ポリイソブチレンスクシンイミド、ポリイソブチレンコハク酸エステル、マンニッヒ塩基の無灰分の分散剤、及び類似物などが含まれる。有用な清浄剤には、これらに限らないが、金属アルキルフェネート、硫化金属アルキルフェネート、アルキルスルホン酸金属塩、アルキルサリチル酸金属塩、及び類似物が含まれる。本発明の添加剤と組み合わせて用いられる有用な酸化防止添加剤には、これらに限らないが、アルキル化ジフェニルアミン、アルキル化ヒンダードフェノール、アルキル化置換又は非置換フェニレンジアミン、アリール化置換又は非置換フェニレンジアミン、アルキル化オイル可溶性銅化合物、酸化安定性を付与することが知られているアルキル化硫黄含有化合物、及びこれらの混合物が含まれる。酸化安定性を付与することが知られている好適なアルキル化硫黄含有化合物には、フェノチアジン、硫化オレフィン、チオカルバミン酸塩、硫黄含有ヒンダードフェノール、ジアルキルジチオリン酸亜鉛、及びこれらの混合物が含まれる。
【0045】
本発明の添加剤と組み合わせて用いられる有用な耐摩耗添加剤には、これらに限らないが、有機ボレート、有機ホスファイト、有機硫黄含有化合物、ジアルキルジチオリン酸亜鉛、ジアリールジチオリン酸亜鉛、リン硫化炭化水素、ジアルキルジチオリン酸エステル、ジアリールジチオリン酸エステル、及びこれらの混合物が含まれる。本発明の添加剤と組み合わせて用いられる有用な摩擦改良剤には、これらに限らないが、脂肪酸エステル及びアミド、有機モリブデン化合物、ジアルキルチオカルバミン酸モリブデン、ジアルキルジチオリン酸モリブデン、二硫化モリブデン、ジアルキルジチオカルバミン酸三モリブデンクラスター、硫黄を含まないモリブデン化合物、並びにこれらの混合物が含まれる。有用な消泡剤には、これらに限らないが、ポリシロキサン、及びその類似物などが含まれる。防錆剤の例は、ポリオキシアルキレンポリオール、及び類似物である。有用なVI向上剤には、これらに限らないが、オレフィンコポリマー、及び分散剤のオレフィンコポリマー、並びに類似物が含まれる。流動点降下剤の例は、ポリメタクリレート、及び類似物である。
【0046】
本明細書に記載のジアルキルアニリノ−シクロヘキサン化合物は、また、全燃料組成物の、通常、約10ppmと約1000ppmの間の量で、燃料組成物のための酸化防止剤としても有用である。
【0047】
好適な燃料には、任意の内燃機関炭化水素燃料、例えば、ジーゼル、ガソリン、灯油、ジェット燃料など;メタノール又はエタノールのようなアルコール系燃料;或いは前掲のいずれかの混合物が含まれる。燃料がジーゼルである場合、このような燃料は、一般的に、約212°F(100℃)より上で沸騰する。ジーゼル燃料は、常圧留分又は減圧留分、或いは、直留並びに熱及び/又は接触分解留分の任意の比率のブレンドを含み得る。
【0048】
燃料がガソリンである場合、それは、直鎖ナフサ、ポリマーガソリン、天然ガソリン、接触分解又は熱分解による炭化水素、接触改質原料などから誘導され得る。ガソリン燃料は、通常、約80°Fから約450°F(27℃から232℃)の範囲で沸騰し、直鎖又は分岐鎖パラフィン、シクロパラフィン、オレフィン、芳香族炭化水素、及びこれらの任意の混合物を含み得ることが、当業者によって理解されるであろう。
【0049】
本明細書に記載のジアルキルアニリノ−シクロヘキサン化合物は、また、天然及び合成のポリマー及びゴムのための、例えば、ブタジエンのポリマー、及びブタジエンとスチレン若しくはアクリロニトリルとのコポリマー、並びにイソプレン若しくはクロロプレンのポリマーのための酸化防止剤としても有用である。ゴムの酸化防止剤として用いられる場合、本発明の化合物は、通常、全ゴム組成物の約0.5wt%と約8.0wt%の間の量で存在する。
【0050】
さらに、本明細書に記載のジアルキルアニリノ−シクロヘキサン化合物は、酸化、熱、及び/又は光誘起分解を受けやすく、このような分解を防止又は抑制するための安定化の必要がある他の有機材料の安定剤として用いることができる。このような有機材料の例には、ポリオール、ウレタン、ポリオールとウレタンの反応生成物、プラスチック、グリース、屋根シート材、ケーブル、ガスケット、シール、配合によるタイヤ及びゴムベルトが含まれる。
【0051】
本発明が、これから、例及び添付図を参照して、より詳細に記載される。
【実施例】
【0052】
(例1)
ジ−(p−ブチルアニリノ)−1,4−シクロヘキサンの調製
機械的撹拌機、窒素ブランケット(blanket)、還流冷却器及び熱電対を装備した100mlの反応容器に、1,4−シクロヘキサンジオン(2.5グラム、0.022M)、p−nブチルアニリン(7.5グラム、0.050M)、氷酢酸(1.5グラム、0.025M)及び30mlのテトラヒドロフラン(THF)を入れる。室温で撹拌しながら、この溶液に、6.5グラム(0.0305M)のナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(STAB−H)を全て一度に加える。反応物は、5分間で50℃まで発熱し得る。温度を60℃までゆっくり上げ、激しく撹拌しながら1時間保つ。次いで、温度を25℃まで下げ、第2の部分のSTAB−H(6.5グラム)を加える。次に、激しく撹拌しながら温度を再び60℃に上げ、60℃で2時間保つ。この時点で、STAB塩の球状塊が、溶液から分かれて沈み得るが、その時に、さらなるTHFを加え、塩の球状塊を消散させねばならないかもしれない。
【0053】
反応が完了した後で、温度を30℃に下げ、反応液を100mlの酢酸エチルにより希釈し、分液漏斗に移す。次いで、生成物溶液を、5%のNaOH水溶液で3回(各50ml)、5%の炭酸ナトリウム水溶液で1回(50ml)、及び水で2回(各50ml)洗い、その後、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥する。乾燥した溶液を濾過し、真空下で溶媒を除去して、8.5グラムの赤みを帯びた粘性液体を得る。次いで、この液体を、カラム溶媒として最初にヘキサンを用い、1×4インチのシリカゲルカラムに通す。出発反応物及び副生成物が、最初にカラムを通過する。次に、カラム溶媒を、ヘキサン中10〜20%のTHFに変えて、望みの生成物をカラムから流し出す。生成物は、シス及びトランスp−シクロヘキサン異性体の混合物であり、放置するとゆっくりと固化し得る。集めた生成物の量は4.6グラムである。いくらかのトランス異性体は、高温のメタノールから再結晶によって、異性体混合物から分離できる。
【0054】
(例2)
ジ−(p−ドデシルアニリノ)−1,4−シクロヘキサンの調製
機械的撹拌機、窒素ブランケット、還流冷却器及び熱電対を装備した100mlの反応容器に、1,4−シクロヘキサンジオン(2.4グラム、0.021M)、p−ドデシルアニリン(13グラム、0.050M)、氷酢酸(1.0グラム、0.016M)及び30mlのTHFを入れる。室温で撹拌しながら、この溶液に、7.2グラム(0.031M)のナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(STAB−H)を全て一度に加える。反応物は、5分間で50℃まで発熱し得る。温度を60℃までゆっくり上げ、激しく撹拌しながら1時間保つ。次いで、温度を25℃まで下げ、第2の部分のSTAB−H(5.2グラム、0.24M)を加える。次に、激しく撹拌しながら温度を再び60℃に上げ、60℃で2時間保つ。この時点で、STAB塩の球状塊が、溶液から分かれて沈み得るが、その時に、さらなるTHFを加え、塩の球状塊を消散させねばならないかもしれない。
【0055】
反応が完了した後で、温度を30℃に下げ、反応液を100mlのヘキサンにより希釈し、分液漏斗に移す。次いで、生成物溶液を、5%のNaOH水溶液で3回(各50ml)、5%の炭酸ナトリウム水溶液で1回(50ml)、及び水で2回(各50ml)洗い、その後、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥する。乾燥した溶液を濾過し、真空下で溶媒を除去して、8.5グラムの赤みを帯びた粘性液体を得る。次いで、この液体を、カラム溶媒として最初にヘキサンを用い、2×8インチのシリカゲルカラムに通す。出発反応物及び副生成物が、最初にカラムを通過する。次に、カラム溶媒を、ヘキサン中5%のTHFに変えて、望みの生成物をカラムから流し出す。生成物は、シス及びトランスp−シクロヘキサン異性体の混合物である。生成物は、暗紅色に着色した粘性液体である。
【0056】
(例3)
ジ−(p−ヘキシルアニリノ)−1,4−シクロヘキサンの調製
機械的撹拌機、窒素ブランケット、還流冷却器及び熱電対を装備した250mlの反応容器に、1,4−シクロヘキサンジオン(5.0グラム、0.044M)、p−nヘキシルアニリン(17.7グラム、0.10M)、氷酢酸(1.5グラム、0.025M)及び75mlのTHFを入れる。室温で撹拌しながら、この溶液に、13グラム(0.06M)のナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(STAB−H)を全て一度に加える。反応物は、5分間で50℃まで発熱し得る。温度を60℃までゆっくり上げ、激しく撹拌しながら1時間保つ。次いで、温度を25℃まで下げ、第2の部分のSTAB−H(13グラム、0.06M)を加える。次に、激しく撹拌しながら温度を再び60℃に上げ、60℃で1.5時間保つ。この時点で、STAB塩の球状塊が、溶液から分かれて沈み得るが、その時に、さらなるTHFを加え、塩の球状塊を消散させねばならないかもしれない。
【0057】
反応が完了した後で、温度を30℃に下げ、反応液を120mlの酢酸エチルにより希釈し、分液漏斗に移す。次いで、生成物溶液を、5%のNaOH水溶液で3回(各50ml)、5%の炭酸ナトリウム水溶液で1回(50ml)、及び水で2回(各50ml)洗い、その後、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥する。乾燥した溶液を濾過し、真空下で溶媒を除去して、8.5グラムの赤みを帯びた粘性液体を得る。次いで、この液体の約10グラムの部分を、カラム溶媒として最初にヘキサン中1%のTHFを用い、2×6インチのシリカゲルカラムに通す。出発反応物及び副生成物が、最初にカラムを通過する。次に、カラム溶媒を、ヘキサン中3%のTHFに変えて、望みの生成物をカラムから流し出す。生成物は、シス及びトランスp−シクロヘキサン異性体の5グラムの混合物である。生成物は、暗紅色に着色した粘性液体であり、これは、放置するとゆっくりと固化し得る。いくらかのトランス異性体は、高温のメタノールから再結晶によって、異性体混合物から分離できる。
【0058】
(例4)
潤滑剤組成物における酸化防止剤としてのジ−(p−ブチルアニリノ)−1,4−シクロヘキサンとジノニル化ジフェニルアミンとの比較
一連の潤滑剤組成物を、完全に配合されたモーターオイル(motor oil)(酸化防止剤なし)と、様々な量の例1のジ−(p−ブチルアニリノ)−1,4−シクロヘキサン混合物とを混合することによって製造し、得られる組成物の酸化安定性を、熱酸化エンジンオイルシミュレーション試験(Thermo−Oxidation Engine Oil Simulation Test、TEOST)及び高圧示差走査熱量測定(PDSC)によって評価した。
【0059】
TEOSTは、高温(285℃)の金属棒に堆積物を生成させる、オイルの熱分解を防ぐ、酸化防止剤の能力を評価するための試験であり、ここで、堆積物は、24時間の試験運転の終了時に、ミリグラムで測定される。測定される堆積物の量が多いほど、オイルの酸化安定性は劣る。TEOST試験の完全な詳細は、ASTM MHT−4に見出すことができる。具体的なパラメータを下に示す。
TEOSTパラメータ
棒の温度 285℃
オイルポンプの設定 247
オイル量 8.4グラム
乾燥空気流量 10ml/分
触媒(Tannis Part 5953) 0.1グラム
【0060】
記載のPDSCデータは、オイル又はブレンド試料の各々の酸化誘導時間(OIT)の測定値である。PDSC法は、加圧下でスチール容器(steel bomb)を用いる方法であり、触媒は、ナフテン酸鉄から誘導されるオイル可溶性鉄である。運転の開始時に、PDSCセルを、最初に、40℃/分の速度で、下のリストの一定温度まで加熱する。誘導時間は、試料がその一定温度に達し、最終的にエンタルピー変化が認められるまでの時間から求められる。酸化誘導時間が長いほど、オイルの酸化安定性は良好である。用いたPDSC装置は、Mettler−Toledo, Inc.製のMettler DSC27HPである。試験は、100分未満のOITに対して、95パーセントの信頼性で、約±2.5分の繰返し精度(repeatability)を有する。報告した各データの値は、1つの試験ブレンド又は複数のブレンドについての、少なくとも2回の試験の平均である。PDSC条件を下に記す。
PDSCパラメータ
温度 200℃
ガス 酸素
流量 100ml/分
圧力 500psi
試料の量 1.5mg
パン(解放/閉鎖) 解放
【0061】
比較のために、同じ試験を、前と同じ完全に配合されたモーターオイル(酸化防止剤なし)と、同じ様々な量の従来のジノニル化ジフェニルアミン酸化防止剤とを混合することによって製造した、別の一連の組成物で実施した。試験結果を、表1及び2、並びに図1及び2に示す。
【表1】


【表2】

【0062】
前記結果は、例1のジ−(p−ブチルアニリノ)−1,4−シクロヘキサン混合物が、試験した潤滑剤の酸化安定性を延長し向上させるのに、特に比較的高い添加レベルで、従来のジノニル化ジフェニルアミン酸化防止剤に比べてより効果的であることを示す。
【0063】
本発明が、特定の実施形態を参照して説明され例示されたが、当業者は、本発明が、本明細書に必ずしも例示されなかった変形形態を許容することを理解するであろう。この理由で、それゆえ、本発明の真の範囲を決める目的のためには、添付の特許請求の範囲だけが参照されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I又はII:
【化1】


【化2】


[式中、Ar及びArは、同じであっても異なっていてもよく、それぞれ、アルキル芳香族基であり;R、R、R、及びRの各々は、独立に、水素又はCRから選択され;R、R、及びRの各々は、独立に、水素、及び置換又は非置換のCからC32ヒドロカルビル基から選択され;各Rは、独立に、水素、及びCからCアルキル基から選択されるが、但し、R及びRの各々がCRであり、このようなRの各々が水素以外である場合、R及びRは、一緒になって5又は6員環を形成していてもよく、さらにまた、R及びRの各々が隣接するCRであり、このようなRの各々が水素以外である場合、R及びRは、一緒になって5又は6員環を形成していてもよい。]
を有するジアルキルアニリノ−シクロヘキサン化合物。
【請求項2】
、R、R、及びRの各々が水素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Ar及びArの各々が、アルキル基がCからC30アルキル基、好ましくはCからC20アルキル基であるアルキル芳香族基である、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
Ar及びArの各々が、アルキル基が、アルキル芳香族基に結合した窒素原子に対してパラ位にあるアルキル芳香族基である、請求項1から3までのいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
Ar及びArの各々が同じアルキル芳香族基である、請求項1から4までのいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
パラ−ジ(パラ−n−ブチルアニリノ)−シクロヘキサン、パラ−ジ(パラ−n−ヘキシルアニリノ)−シクロヘキサン、及びパラ−ジ(パラ−n−ドデシルアニリノ)−シクロヘキサンから選択される、請求項1から5までのいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
請求項1から6までのいずれか一項に記載の化合物を製造する方法であって、還元的アルキル化条件下で、式(III)の少なくとも1つの化合物:
【化3】


[式中、Rは、R又はRであり、R10は、CからC30アルキル基である。]
と、式(IV)又は(V)の化合物:
【化4】


【化5】


とを反応させるステップを含む上記方法。
【請求項8】
式(IV)の化合物が、1,4−シクロヘキサンジオン又は1,3−シクロヘキサンジオンを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
(a)酸化、熱、及び/又は光誘起分解を受けやすく、このような分解を防止又は抑制するための安定化の必要がある有機材料;及び(b)請求項1から6までのいずれか一項に記載のジアルキルアニリノ−シクロヘキサン化合物の安定化に有効な量を含む安定剤含有組成物。
【請求項10】
(a)潤滑粘度の少なくとも1種のオイル、及び(b)請求項1から6までのいずれか一項に記載のジアルキルアニリノ−シクロヘキサン化合物を含む潤滑油組成物。
【請求項11】
前記ジアルキルアニリノ−シクロヘキサン化合物が、全潤滑油組成物の0.1wt%と10wt%の間の量で存在する、請求項10に記載の潤滑油組成物。
【請求項12】
潤滑粘度の少なくとも1種のオイルが、エンジンオイル、トランスミッション流体、作動油、ギアオイル、船舶用シリンダーオイル、コンプレッサオイル、冷凍潤滑剤及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項10又は11に記載の潤滑油組成物。
【請求項13】
潤滑粘度の少なくとも1種のオイルが、100℃で、約1.5から約2000センチストークス(cSt)の粘度を有する、請求項10から12までのいずれか一項に記載の潤滑油組成物。
【請求項14】
少なくとも1種の潤滑油添加剤をさらに含む、請求項12に記載の潤滑油組成物。
【請求項15】
(a)基剤燃料、及び(b)請求項1から6までのいずれか一項に記載のジアルキルアニリノ−シクロヘキサン化合物を含む燃料組成物。
【請求項16】
(a)基剤ゴム、及び(b)請求項1から6までのいずれか一項に記載のジアルキルアニリノ−シクロヘキサン化合物を含むゴム組成物。
【請求項17】
請求項1から6までのいずれか一項に記載のジアルキルアニリノ−シクロヘキサン化合物を約1から約75重量パーセント、及び少なくとも1種の他の潤滑油添加剤を含む添加剤パッケージ。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2012−502033(P2012−502033A)
【公表日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−526073(P2011−526073)
【出願日】平成21年6月2日(2009.6.2)
【国際出願番号】PCT/US2009/045946
【国際公開番号】WO2010/030421
【国際公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【出願人】(508201282)ケムチュア コーポレイション (69)
【Fターム(参考)】