説明

酸素センサの異常診断装置

【課題】酸素センサの異常の検出に要する時間を短縮する。酸素センサの異常検出の精度を改善する。
【解決手段】検出素子の温度が所定の基準温度値よりも大きい場合に(S40)異常の有無を判定する(S60)。酸素センサの検出素子の周波数特性は、温度が高いほど高周波側にシフトし、特性曲線の各領域における静電容量成分のピークが生じる周波数は、温度が高いほど比較的高くなる。この性質を利用して、検出素子の温度が所定の基準温度値よりも大きい場合に異常の有無を判定することにより、通常の温度よりも高い周波数の交流信号の印加によって静電容量成分のピークを検出でき、検出のための所定のサイクル数の交流信号の印加を短時間で行うことができ、異常の検出に要する時間を短縮することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は酸素センサの異常診断装置に係り、特に、内燃機関の排気通路に設けられ、排気ガスの酸素濃度に応じた起電力を発生する酸素センサの異常診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
触媒を利用した排気ガス浄化システムを備える内燃機関では、触媒による排気ガスの有害成分の浄化を有効に行うため、内燃機関で燃焼される混合気の空気と燃料との混合割合、すなわち空燃比のコントロールが欠かせない。こうした空燃比の制御を行うため、内燃機関の排気通路に、排気ガスの酸素濃度を検出する酸素センサを設け、その検出結果より空燃比を求めて、検出された空燃比を所定の目標空燃比に近づけるフィードバック制御を実施している。
【0003】
典型的な酸素センサは、排気通路内に突出するように配設された筒型の検出素子を備えている。検出素子は、その内面を大気(空気)に露呈するとともに、その外面は、センサカバーを通して流過する排気ガスに曝される。また検出素子は、内外の表面に電極が被覆された固体電解質により形成されている。固体電解質は、酸素がイオン化した状態でその内部を移動可能な固形物質であり、酸素センサ用としては例えばジルコニアが利用されている。検出素子の内側の大気と外側の排気ガスとの酸素分圧に差が生じると、その分圧の差を縮小すべく、酸素分圧の高い側(通常は大気側)の酸素がイオン化して固体電解質を通り、酸素分圧の低い側(通常は排気ガス側)へと移動する。酸素分子はイオン化する過程で4価の電子を受け取り、イオン化した状態から分子に戻る過程で4価の電子を放出する。そのため、上記の酸素の移動に応じて検出素子の内外表面の電極で電子の移動が生じ、その結果、検出素子に起電力が発生する。こうして酸素センサは、大気と排気ガスとの酸素分圧の差に応じて起電力を発生し、より具体的には、排気ガスの酸素濃度が少なくなるほど(つまり排気ガスの空燃比がリッチであるほど)大きな起電力を発生する。
【0004】
この酸素センサの等価回路は、図12に示されるとおり、リード線等の抵抗R0、電解質のバルク抵抗Rb、バルク静電容量Cb、電解質の粒界抵抗Rg、粒界静電容量Cg、電極界面抵抗Re、及び電極界面静電容量Ceから構成されると考えられている。
【0005】
図13は、酸素センサのインピーダンス特性を示す。横軸はインピーダンスZの実数部Z’、縦軸は虚数部Z”を示す。酸素センサ素子のインピーダンスZはZ=Z’+jZ”で表される。図13に示されるとおり、印加電圧の周波数(角速度ωnに対応)を漸増させていくと、電極界面部の虚数部Z”すなわち静電容量成分は、電極界面の状態を示すと考えられている電極界面特性領域Aにおいてほぼ半円を描いて0に収束し、また電解質部の状態を示すと考えられている電解質部特性領域Bにおいて、粒界抵抗部分と粒子抵抗部分との二つの半円を描いて0に収束することが知られている。そして、この特性曲線における領域Aの部分は、検出素子が劣化した場合には、図13中一点鎖線で示されるように、Z’−Z”平面における右上側(抵抗成分及び静電容量成分の増大側)へとシフトするため、この領域Aにおける静電容量成分のピークを検出して正常値と比較することにより、検出素子の異常を検出することができる。
【0006】
ところで、特許文献1,2が開示する装置では、空燃比(A/F)センサの酸素濃度検出素子の劣化を検出するために、酸素濃度検出素子の電解質インピーダンスを検出すべき第1の周波数帯域、及び電極界面インピーダンスを検出すべき第2の周波数帯域の交流電圧を個別に印加し、且つこれら第1及び第2の周波数帯域のそれぞれについて交流インピーダンスを検出して、これらインピーダンス値の差分から、劣化による異常の有無を検出する。
【0007】
また特許文献3が開示する装置では、A/Fセンサの酸素濃度検出素子の劣化を検出するために、空燃比がリッチ又はリーンであるときに、素子インピーダンスを検出し、対応する素子温度から電流を算出して基準電流値と比較することでセンサの異常を検出する。
【0008】
【特許文献1】特開2000−46780号公報
【特許文献2】特許第3570274号公報
【特許文献3】特開2000−193636号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、特許文献1ないし3の装置はいずれもA/Fセンサに係るものであって、酸素センサについて同様の異常診断を行う装置は従来存在しない。また、異常の検出に要する時間及び精度についても、なお改善の余地が残されている。例えば、素子温550°Cでの電極界面特性は1kHz〜0.01Hz未満の領域に現れるが、この周波数領域で精度よくインピーダンスを測定するには0.1Hz程度の周波数の電圧の印加が必要となり、この場合1周期が10secと長いため、異常診断に要する時間の短縮化が要請される。また、電極界面部の電気的特性は雰囲気の酸素濃度に依存して変化し、リッチ雰囲気では電極界面インピーダンスが小さくなるため、異常診断に対する影響を抑制することが望ましい。
【0010】
そこで本発明の目的は、酸素センサの異常の検出に要する時間を短縮すること、及び、酸素センサの異常検出の精度を改善することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第1の本発明に係る酸素センサの異常診断装置は、酸素センサの検出素子に交流電圧を印加して電気的特性を検出する検出手段と、当該検出手段の検出値に基づいて前記検出素子の異常の有無を判定する判定手段と、を備えた酸素センサの異常診断装置であって、前記判定手段は、前記検出素子の温度が所定の基準温度値よりも大きい場合に前記判定を実行することを特徴とする。
【0012】
酸素センサの検出素子の周波数特性は、温度が高いほど高周波側にシフトし、特性曲線の各領域における静電容量成分のピークが生じる周波数は、温度が高いほど比較的高くなる。この性質を利用して、本発明では、検出素子の温度が所定の基準温度値よりも大きい場合に異常の有無を判定することとしたので、通常の温度よりも高い周波数の交流信号の印加によって、静電容量成分のピークを検出することができる。したがって第1の本発明では、検出のための所定のサイクル数の交流信号の印加を短時間で行うことができ、これによって、異常の検出に要する時間を短縮することができる。
【0013】
第2の本発明に係る酸素センサの異常診断装置は、酸素センサの検出素子に交流電圧を印加して電気的特性を検出する検出手段と、当該検出手段の検出値に基づいて前記検出素子の異常の有無を判定する判定手段を備えた酸素センサの異常診断装置であって、前記交流電圧が印加されていないときの前記検出素子の出力電圧に基づいて、前記検出素子の出力電圧の影響を抑制するように前記電気的特性の検出値を補正する補正手段を更に備え、前記判定手段は、前記補正手段によって補正された前記電気的特性の検出値に基づいて前記判定を実行することを特徴とする。
【0014】
第2の本発明では、補正手段が、電気的特性の検出のために交流電圧が印加されていないときの検出素子の出力電圧に基づいて、前記検出素子の出力電圧の影響を抑制するように電気的特性の検出値を補正するので、酸素センサの異常検出の精度を改善することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明が適用される車両用内燃機関の構成を、図1を参照して説明する。内燃機関10の吸気通路11には、その通路面積を可変とするスロットルバルブ15(本実施形態では電子制御式)が設けられ、その開度制御によりエアクリーナ14を通じて吸入される空気の量が調整される。ここで吸入された空気の量(吸入空気量)は、エアフローメータ16により検出されている。そして吸気通路11に吸入された空気は、スロットルバルブ15下流に設けられたインジェクタ17より噴射された燃料と混合された後、燃焼室12に送られて、そこで燃焼される。
【0016】
一方、燃焼室12での燃焼により生じた排気ガスが送られる排気通路13には、排気ガス中の有害成分を浄化する三元触媒18が設けられ、その上流側には酸素センサ19が設けられている。
【0017】
三元触媒18は、燃焼される混合気の空燃比が理論空燃比近傍の狭い範囲(ウインドウ)でのみ、排気ガス中の主要有害成分(HC、CO、NOx)のすべてを効率的に浄化する。そうした三元触媒18を有効に機能させるには、混合気の空燃比を上記ウインドウの中心に合わせこむ、厳密なコントロールが必要となる。
【0018】
この空燃比の制御は、電子制御ユニット(以下「ECU」という)22により行われる。ECU22は、例えば図示しない双方向性バスにより相互に接続されたCPU、ROM、RAM、B(バッテリバックアップ).RAM、不揮発性メモリ、入力ポート、出力ポート、A/D変換器およびD/A変換器を具備する。ECU22には、上記エアフローメータ16や酸素センサ19、及びアクセルペダルの踏み込み量(アクセル開度)を検出するアクセル開度センサ21、機関回転速度を検出する回転速度センサ23を始めとする各種センサ類の検出信号が入力されている。そしてECU22は、それらセンサ類の検出信号より把握される内燃機関10や車両の運転状況に応じて、上記スロットルバルブ15やインジェクタ17等を駆動制御して、上記の空燃比フィードバック制御を行っている。空燃比フィードバック制御の概要は次の通りである。
【0019】
まずECU22は、アクセル開度や機関回転速度の検出結果に応じて把握される吸入空気量の要求量を求め、それに応じた吸入空気量が得られるようにスロットルバルブ15の開度を調整する。その一方、エアフローメータ16により検出される吸入空気量の実測値に対して、理論空燃比が得られるだけの燃料量を求め、それによりインジェクタ17からの燃料噴射量を調整する。これにより、燃焼室12で燃焼される混合気の空燃比を、ある程度に理論空燃比に近づけることはできる。ただし、それだけでは上記要求される高精度の空燃比制御には不十分である。
【0020】
そこでECU22は、上記酸素センサ19の検出結果より把握される空燃比の実測値に基づいて、インジェクタ17からの燃料噴射量をフィードバック補正し、要求される空燃比制御の精度を確保している。
【0021】
以上のように、この排気ガス浄化システムでは、酸素センサ19の検出結果に応じて燃料噴射量をフィードバック補正する、いわゆる空燃比フィードバック制御を実施することで、混合気の空燃比を理論空燃比近傍に保持し、高い排気ガス浄化率を確保している。
【0022】
図2及び図3に示すように、酸素センサ19は、排気通路13内に突出するように配設された筒型の検出素子31を備えている。検出素子31は、その内面を大気(空気)に露呈するとともに、その外面は、穿孔されたセンサカバー32を通して流過する排気ガスに曝される。また検出素子31は、内外の表面に電極33A,33Bが被覆された固体電解質により形成されている。固体電解質は、酸素がイオン化した状態でその内部を移動可能な固形物質であり、酸素センサ用としては例えばジルコニアが利用されている。検出素子31の内側の大気室34は、センサ内に設けられた図示しない大気通路と、センサボディに形成された大気穴35とを通じて外部に連通され、且つ大気が導出入可能となっている。大気室34には、検出素子31を加熱して早期に活性化させるためのヒータ36が設けられ、ヒータ36はECU22によって通電制御される。
【0023】
検出素子31を介して隔てられたその内側の大気と外側の排気ガスとの酸素分圧に差が生じると、その分圧の差を縮小すべく、酸素分圧の高い側(通常は大気側)の酸素がイオン化して固体電解質を通り、酸素分圧の低い側(通常は排気ガス側)へと移動する。酸素分子はイオン化する過程で4価の電子を受け取り、イオン化した状態から分子に戻る過程で4価の電子を放出する。そのため、上記の酸素の移動に応じて検出素子31の内外表面の電極で電子の移動が生じ、その結果、検出素子31に起電力が発生する。こうして酸素センサ19は、大気と排気ガスとの酸素分圧の差に応じて起電力を発生し、より具体的には、排気ガスの酸素濃度が少なくなるほど(つまり検出素子31外部の排気ガスの空燃比がリッチであるほど)大きな起電力を発生する。ここで酸素イオンが内表面側の電極33Aから検出素子31を通って外表面側の電極33Bに向かうことから、電流の向きは逆となり、両電極に接続された外部装置に対しては内表面側の電極33Aが正極、外表面側の電極33Bが負極となる。
【0024】
ちなみに、酸素センサには他にも、板形状の検出素子を用いたものや、検出素子にジルコニア以外の素材を用いたものなど、様々なタイプの酸素センサがある。そしてその多くでは、上記例示したセンサと同様の検出原理により排気ガスの酸素分圧を検出する構成、すなわち基準ガス(大気)と排気ガスとを隔離するよう配設された検出素子が、基準ガスに対する排気ガスの酸素分圧の差に応じて起電力を発生する構成となっている。
【0025】
酸素センサ19の出力特性を図4に例示する。示されるように、酸素センサ19の出力電圧は理論空燃比A/Fs(例えば14.6)を境にスイッチング的に変化し、酸素センサ19に供給される排気ガス(雰囲気ガス)の空燃比A/Fが理論空燃比A/Fsよりもリーンな領域(A/F>A/Fs、以下リーン空燃比ともいう)では0.1V程度の小さい電圧を示し、理論空燃比A/Fsよりもリッチな領域(A/F<A/Fs、以下リッチ空燃比ともいう)では0.9V程度の比較的高い電圧を示す。ここでは、0.45Vのセンサ出力をリッチ・リーン判定閾値として、センサ19の検出結果が、理論空燃比よりもリッチかリーンかを判断している。なお、酸素センサ19の上記各領域でのセンサ出力電圧の大きさは、検出素子31の温度状態に応じて変化することがある。
【0026】
なお、理論空燃比での燃焼(ストイキ燃焼)のみを目的とした空燃比フィードバック制御を行う内燃機関では、本実施形態のように、理論空燃比を境に出力電圧がスイッチング的に変化する特性の酸素センサが用いられることが多い。こうしたセンサは、理論空燃比よりもリッチ、及び理論空燃比よりもリーンのいずれかといった低い分解能しか持たないものの、上記ストイキ燃焼のみを行うには、それで十分なことが多い。一方、希薄空燃比での燃焼を行うなど、より広範囲の空燃比での燃焼を行う内燃機関では、排気ガスの空燃比に応じてその出力値が線形的に変化する特性の、より分解能の高い酸素センサが用いられることもある。本発明はこのような酸素センサに対しても適用可能である。
【0027】
ECU22は更に、酸素センサ19の検出素子31に電圧を印加するためのセンサ制御回路と、ヒータ36へのバッテリからの電力供給を制御するためのヒータ制御回路とを含んでいる。センサ制御回路は、CPUからのアナログの印加電圧を、RC分圧回路からなるローパスフィルタ(LPF)を介して受け、検出素子31に印加する。ECU22は、後述の処理に従って算出したデジタルデータを内部に設けられたD/A変換器によりパルス幅数10〜100μsec程度の矩形状のアナログ電圧に変換した後、LPFを介してセンサ制御回路へ出力する。LPFは矩形状のアナログ電圧信号の高周波成分を除去したなまし信号を出力し、高周波ノイズによる検出素子31の出力電流の検出エラーを防止している。このなまし信号の電圧の検出素子31への印加に伴い、ECU22は被検出ガス中(すなわち排気ガス中)の酸素濃度に応じて変化する検出素子31の発生電圧を検出する。ECU22はこの電圧を検出するため内部に設けられたそれぞれのA/D変換器により、センサ制御回路から検出素子31に流れる電流に相当するアナログ電圧、および検出素子31への印加電圧を受け、デジタルデータに変換してこれらのデジタルデータを後述する処理に使用する。なお、交流電圧の印加のために、水晶振動子や発振回路など他の構成を採用してもよい。ECU22はヒータ36の抵抗値を算出し、この抵抗値に基づき機関の運転状態に応じた電力供給をヒータ36に行うとともに、ヒータ制御回路を通じて、ヒータ36の過昇温(OT)を防止するようPWM制御によりヒータ36の温度制御を行う。
【0028】
検出素子31のインピーダンスを測定するために、後述する処理ルーチンの実行により、検出素子31に交流電圧が印加される。一方、酸素センサ19から検出される出力電流Imは、酸素センサ19に交流電圧を印加していない間はその時々の被測定ガスの酸素濃度に応じた値を示すが、酸素センサ19に上記交流電圧を印加すると、素子インピーダンスに応じて変化する。ECU22は、このときの酸素センサ19への入力電圧Vmおよび酸素センサ19からの出力電流Imの変化を検出して、検出素子31のインピーダンスを算出する。
【0029】
以上のとおり構成された第1実施形態において行われる異常診断処理について説明する。図5において、まずECU22は、内燃機関10が運転中であるかを判断する(S10)。この判断は、不図示のイグニッションスイッチがオンされているか、及び回転速度センサ23からの入力があるかによって行われる。次にECU22は、上述した空燃比フィードバック制御が実行中であるかを判断する(S20)。ステップS10・S20のいずれかで否定の場合には処理がリターンされる。
【0030】
ステップS20で肯定の場合には、ECU22は素子温が高温になるようにヒータ36を制御する(S30)。ここでは、ヒータ36のデューティ比が最大にされる。このヒータ36の通電制御は、素子温が予め定められた基準値x[°C]以上になるまでの間(S40)、継続して行われる。ここでの基準値xは、活性温度よりも十分に高く、且つ検出のための所定のサイクル数(例えば、1/4周期)の交流信号の印加に要する時間を短縮できるような値に設定される。素子温は、例えば酸素センサ19に対し周波数100kHz程度の交流電圧Vnを印加した場合に得られるインピーダンス(粒界インピーダンスRg)に基づいて所定の関数により推定してもよく、また別途の温度センサの出力を利用して測定してもよい。
【0031】
素子温がx[°C]以上になった場合(素子温の推定にインピーダンスを用いる構成では、インピーダンスが所定値以下になった場合)には、ECU22は、インピーダンス測定(S50)、及び異常診断(S60)を行う。これらの処理は、それぞれ図6及び図7のサブルーチンに従って行われる。
【0032】
図6の処理は、交流電圧Vn(n=1,2,・・・)を順に印加すると共に、この交流電圧Vnの電圧周波数を漸減させながらインピーダンスZを算出して、図13に示されるような複素インピーダンスプロットを作成するものである。
【0033】
図6において、まずECU22は、交流電圧Vnの周波数fに、初期値であるf0をセットする(S110)。次にECU22は、酸素センサ19に対し周波数fの交流電圧Vnを所定のサイクル数、例えば1/4周期印加する(S120)。次に、この印加時点から交流電圧Vnの周波数fに応じた遅延時間の経過後に、酸素センサ19の出力電流Inを読み込む(S130)。そして、交流電圧Vnと出力電流Inとに基づいて、インピーダンスZnを算出し(S140)、これを記憶して複素インピーダンスプロットを作成する〔S150)。
【0034】
次にECU22は、現在の周波数fが予め定められた下限周波数fminを下回ったか否かを判断する(S160)。否定の場合には、交流電圧Vnの周波数が微小量減少させられ(S170)、ステップS110〜S170の処理が繰り返し実行される。その結果、周波数f0からfminまでに亘って、図13に示されるような複素インピーダンスプロットが作成される。現在の周波数fが予め定められた下限周波数fminを下回ると、本ルーチンを抜ける。なお、本実施形態では周波数を高い側から低い側へと漸減させたため、測定開始から短時間で多くの測定が実行でき、特にインピーダンスプロット作成が中断後に再開される際に未測定の周波数についてのみインピーダンス測定が行われるように処理ルーチンを構成した場合に有利であるが、インピーダンスプロット作成の手順は任意である。
【0035】
図7のサブルーチンでは、異常診断処理が行われる。まずECU22は、先に作成された複素インピーダンスプロットに基づいて、ピーク点P1,P2,P3を抽出する(S210)。この抽出は、例えば各ピーク点が存在すると経験的に考えられる各周波数領域において、静電容量値が極大値を示す点を検索することによって行われる。例えば、図13に示されるようにピーク点P1は抵抗値Rth1に対応する周波数よりも低い周波数領域に存在すると考えられる。同様にピーク点P2は、抵抗値Rth2〜Rth3に対応する周波数領域に存在すると考えられ、またピーク点P3は抵抗値Rth2に対応する周波数よりも高い周波数領域に存在すると考えられる。
【0036】
次にECU22は、抽出されたピーク点P1,P2,P3について、抵抗Rb,Rg,Re、及び静電容量Cb,Cg,Ceを算出する(S220)。抵抗Rb,Rg,Reは、図13の複素インピーダンスプロットにおける各領域の半円の直径に等しく、従って容量成分がゼロとなる2点の抵抗値の差分として算出される。静電容量Cb,Cg,Ceは、それぞれ次の数式(1)〜(3)によって算出される。なおωb,ωg,ωeは角速度(ωn=2πf、fは周波数)である。
【0037】
【数1】

【0038】
【数2】

【0039】
【数3】

【0040】
次にECU22は、抵抗Rb,Rg,Re、及び静電容量Cb,Cg,Ceがいずれも所定の正常範囲内かを判断し(S230)、肯定の場合には正常判定(S240)、否定の場合には異常判定(S250)を行う。これら正常判定及び異常判定は、ECU22の不揮発性メモリにおける所定の記憶領域に格納される。これらの情報は、走行時の他の制御に反映されるほか、整備入庫時に整備作業者によってECU22の不揮発性メモリから読み出され、酸素センサ19の交換時期の判定、及び酸素センサ19又は検出素子31の改良のために用いられる。なお、ステップS240又はS250における判定結果は、異常検出の時点で車室内に設けたディスプレイ装置に異常情報として表示してもよい。
【0041】
なお、電極界面の抵抗値Reが正常範囲を超えて増大しており、且つ静電容量値Ceが正常範囲を超えて減少している場合には、電極凝集が生じていると判断することができる(なお、この場合の静電容量Ceの減少と抵抗Reの増大は、電極凝集により電極表面の粒子径が増大することに伴う接触面積の減少に起因するものと考えられる。)。また、電極界面の抵抗値Reが正常範囲を超えて増大しており、且つ静電容量値Ceが正常範囲を超えて増大している場合には、異物混入が生じていると判断することができる(なお、この場合の静電容量Ceと抵抗Reの増大は、多くの場合に異物の静電容量が空気よりも大であることに起因するものと考えられる。)。また、電解質部の抵抗値Rgが正常範囲を超えて増大しており、且つ静電容量値Cgも正常範囲を超えて増大している場合には、電解質部の格子欠陥の減少が生じていると判断することができる。
【0042】
以上の処理の結果、本実施形態では、検出素子31の温度が所定の基準温度値よりも大きい場合に異常の有無が判定され(S40〜S60)、検出素子31のインピーダンスにおける抵抗成分と静電容量成分とのそれぞれの挙動に応じて、検出素子31の異常原因が特定されることになる。
【0043】
以上のとおり、本実施形態では、検出素子31の温度が所定の基準温度値よりも大きい場合に異常の有無を判定する(S40〜S60)。酸素センサの検出素子の周波数特性は、温度が高いほど高周波側にシフトし、特性曲線の各領域における静電容量成分のピークが生じる周波数は、温度が高いほど比較的高くなるため、本実施形態では異常の有無の判定を検出素子31の温度が所定の基準温度値よりも大きい場合に行うことにより、通常の温度よりも高い周波数の交流信号の印加によって、静電容量成分のピークを検出することができる。したがって本実施形態では、検出のための所定のサイクル数の交流信号の印加を短時間で行うことができ、これによって、異常の検出に要する時間を短縮することができる。
【0044】
次に、本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態に係る異常診断装置は、異常の診断を、燃料カット制御中もしくは燃料増量中に限って実行するものである。第2実施形態の機械的構成は上記第1実施形態と同様であるため、同一符号を用いてその詳細の説明を省略する。
【0045】
第2実施形態における制御について説明する。図8において、まずECU22は、内燃機関が運転中であるかを判断する(S310)。この処理は上記第1実施形態におけるステップS10と同様である。ステップS310で否定の場合には処理がリターンされる。
【0046】
ステップS310で肯定の場合には、ECU22は素子温が高温になるようにヒータ36を制御する(S320)。ここでは、ヒータ36のデューティ比が最大にされる。このヒータ36の通電制御は、素子温が予め定められた基準値x[°C]以上になるまでの間(S330)、継続して行われる。ここでの基準値xは、活性温度よりも十分に高く、且つ検出のための所定のサイクル数(例えば、1/4周期)の交流信号の印加に要する時間を短縮できるような値に設定される。素子温は、例えば酸素センサ19に対し周波数100kHz程度の交流電圧Vnを印加した場合に得られるインピーダンス(粒界インピーダンスRg)に基づいて所定の関数により推定してもよく、また別途の温度センサの出力を利用して測定してもよい。
次にECU22は、内燃機関が燃料カット制御中もしくは燃料増量中であるかを判断する(S340)。
【0047】
燃料カット制御は、各気筒への燃料供給を個別にカットする制御であり、具体的には、例えば各種センサから入力されるスロットル開度、内燃機関回転数、内燃機関水温および車速によって、予め定められた燃料カット領域マップを参照し、走行状態が燃料カット領域にある場合(例えば減速時や高回転時)に、燃料カット制御の実行条件が成立したと判断して、所定の気筒への燃料供給をカットするものである。燃料カット制御によって、全気筒または一部の気筒について燃料供給がカットされる。燃料カット制御中は、排気の実空燃比はリーンとなる。
【0048】
燃料増量は、高負荷時などの所定の運転条件下で、空燃比がリッチになるように燃料噴射量を増量する制御である。燃料増量中は、排気の実空燃比はリッチとなる。
【0049】
内燃機関が燃料カット制御中もしくは燃料増量中である場合には、ECU22は、インピーダンス測定(S350)、及び異常診断(S360)を行う。これらの処理は、それぞれ上述した図6及び図7と同様のサブルーチンに従って行われる。
【0050】
以上のとおり、第2実施形態では、異常の診断を、燃料カット制御中もしくは燃料増量中に限って実行する(S340)。本実施形態で用いられる酸素センサ19のように、理論空燃比を境に出力電圧がスイッチング的に変化する特性の酸素センサでは、理論空燃比を含む所定の空燃比領域の外側(すなわち、リーン側又はリッチ側)では、当該領域の内側に比較して、出力電圧が安定する。したがって、異常の診断を、燃料カット制御中もしくは燃料増量中に限って実行(S340)することにより、空燃比に応じた酸素センサ19の出力の影響を抑制して、酸素センサの異常検出の精度を改善することができる。
【0051】
次に、本発明の第3実施形態について説明する。第3実施形態に係る異常診断装置は、異常診断のための交流電圧が印加されていないときの検出素子31の出力電圧に基づいて、検出素子31の出力電圧の影響を抑制するように電気的特性の検出値を補正する補正手段を更に備え、この補正手段によって補正された電気的特性の検出値に基づいて異常診断を実行するものである。第3実施形態の機械的構成は上記第1実施形態と同様であるため、同一符号を用いてその詳細の説明を省略する。
【0052】
第3実施形態におけるECU22のROMには、図9に示されるようなセンサ出力−補正係数マップが予め格納されている。同マップは、酸素センサ19の出力値と補正係数αとが互いに関連付けられて記憶されたテーブル形式のデータファイルであり、検出素子31の交流インピーダンス検出の際の検出素子31自体の出力電圧の影響を相殺するように、補正係数αが設定されている。なお、図9の例では補正係数αは酸素センサ19の出力値が増大するに従い漸増するように設定されているが、補正係数αの傾向は酸素センサ19の出力特性に応じて任意に設定することができる。
【0053】
第3実施形態において行われる異常診断処理について説明する。図10において、まずECU22は、内燃機関が運転中であるかを判断する(S410)。この判断は、不図示のイグニッションスイッチがオンされているか、及び不図示のクランク角センサからの入力があるかによって行われる。次にECU22は、上述した空燃比フィードバック制御が実行中であるかを判断する(S420)。ステップS410・S420のいずれかで否定の場合には処理がリターンされる。
【0054】
ステップS420で肯定の場合には、ECU22は、素子温が予め定められた基準値y[°C]以上か否かを判断する(S430)。この基準値yは、検出素子31の活性温度又はこれよりやや上に設定される。素子温は、例えば酸素センサ19に対し周波数100kHz程度の交流電圧Vnを印加した場合に得られるインピーダンス(粒界インピーダンスRg)に基づいて所定のマップにより推定してもよく、また別途の温度センサの出力を利用して測定してもよい。
【0055】
素子温がy[°C]以上である場合(素子温の推定にインピーダンスを用いる構成では、インピーダンスが所定値以下になった場合)には、ECU22は、測定前センサ出力を取得する(S440)。すなわち、ECU22は酸素センサ19の現在の電圧値を所定の記憶領域に格納する。この現在の電圧値は、現在の排気の空燃比に応じて異なる値となる。
【0056】
次にECU22は、インピーダンス測定を行う(S450)。この処理は、図6のサブルーチンに従って行われる。
【0057】
図6の処理は、交流電圧Vn(n=1,2,・・・)を順に印加すると共に、この交流電圧Vnの電圧周波数を漸増させながら、インピーダンスZを算出して複素インピーダンスプロットを作成するものである。
【0058】
図6において、まずECU22は、交流電圧Vnの周波数fに、初期値であるf0をセットする(S110)。次にECU22は、酸素センサ19に対し周波数fの交流電圧Vnを所定のサイクル数、例えば1/4周期印加する(S120)。次に、この印加時点から交流電圧Vnの周波数fに応じた遅延時間の経過後に、酸素センサ19の出力電流Inを読み込む(S130)。そして、交流電圧Vnと出力電流Inとに基づいて、インピーダンスZnを算出し(S140)、これを記憶して複素インピーダンスプロットを作成する(S150)。
【0059】
次にECU22は、現在の周波数fが予め定められた下限周波数fminを下回ったか否かを判断する(S160)。否定の場合には、交流電圧Vnの周波数が微小量減少させられ(S170)、ステップS110〜S170の処理が繰り返し実行される。その結果、周波数f0からfminまでに亘って、図13に示されるような複素インピーダンスプロットが作成される。現在の周波数fが予め定められた下限周波数fminを下回ると、本ルーチンを抜ける。なお、本実施形態では周波数を高い側から低い側へと漸減させたため、測定開始から短時間で多くの測定が実行でき、特にインピーダンスプロット作成が中断後に再開される際に未測定の周波数についてのみインピーダンス測定が行われるように処理ルーチンを構成した場合に有利であるが、インピーダンスプロット作成の手順は任意である。
【0060】
次にECU22は、異常診断を行う(S460)。この処理は、図11のサブルーチンに従って行われる。
【0061】
図11のサブルーチンでは、異常診断処理が行われる。まずECU22は、先に作成された複素インピーダンスプロットに基づいて、ピーク点P1,P2,P3を抽出する(S510)。この抽出は、例えば各ピーク点が存在すると経験的に考えられる各周波数領域において静電容量値が極大値を示す点を検索することによって行われる。例えば、図13に示されるようにピーク点P1は抵抗値Rth1に対応する周波数よりも低い周波数領域に存在すると考えられる。同様にピーク点P2は、抵抗値Rth2〜Rth3に対応する周波数領域に存在すると考えられ、またピーク点P3は抵抗値Rth2に対応する周波数よりも高い周波数領域に存在すると考えられる。
【0062】
次にECU22は、抽出されたピーク点P1,P2,P3について、抵抗Rb,Rg,Re、及び静電容量Cb,Cg,Ceを算出する(S520)。抵抗Rb,Rg,Reは、図13の複素インピーダンスプロットにおける各領域の半円の直径に等しく、従って容量成分がゼロとなる2点の抵抗値の差分として算出される。静電容量Cb,Cg,Ceは、それぞれ次の数式(4)〜(6)によって算出される。なおωb,ωg,ωeは角速度(ωn=2πf、fは周波数)である。
【0063】
【数4】

【0064】
【数5】

【0065】
【数6】

【0066】
次にECU22は、補正係数αをマップから算出する(S530)。すなわちECU22は、先にステップS440で取得された測定前センサ出力(電圧値)によって、図9のセンサ出力−補正係数マップを検索することにより補正係数αを算出する。
【0067】
次にECUは、抵抗Rb,Rg,Reに補正係数αをそれぞれ乗算することで、抵抗値を補正して更新する(S540)。この補正によって、抵抗Rb,Rg,Reにおける検出素子31の出力電圧の影響が相殺される。
【0068】
次にECU22は、補正された抵抗Rb,Rg,Re、及び静電容量Cb,Cg,Ceがいずれも所定の正常範囲内かを判断し(S550)、肯定の場合には正常判定(S560)、否定の場合には異常判定(S570)を行う。これら正常判定及び異常判定は、ECU22の不揮発性メモリにおける所定の記憶領域に格納される。これらの情報は、走行時の他の制御に反映されるほか、整備入庫時に整備作業者によってECU22の不揮発性メモリから読み出され、酸素センサ19の交換時期の判定、及び酸素センサ19又は検出素子31の改良のために用いられる。なお、ステップS560又はS570における判定結果は、異常検出の時点で車室内に設けたディスプレイ装置に異常情報として表示してもよい。
【0069】
なお、電極界面の抵抗値Reが正常範囲を超えて増大しており、且つ静電容量値Ceが正常範囲を超えて減少している場合には、電極凝集が生じていると判断することができる(なお、この場合の静電容量Ceの減少と抵抗Reの増大は、電極凝集により電極表面の粒子径が増大することに伴う接触面積の減少に起因するものと考えられる。)。また、電極界面の抵抗値Reが正常範囲を超えて増大しており、且つ静電容量値Ceが正常範囲を超えて増大している場合には、異物混入が生じていると判断することができる(なお、この場合の静電容量Ceと抵抗Reの増大は、多くの場合に異物の静電容量が空気よりも大であることに起因するものと考えられる。)。また、電解質部の抵抗値Rgが正常範囲を超えて増大しており、且つ静電容量値Cgも正常範囲を超えて増大している場合には、電解質部の格子欠陥の減少が生じていると判断することができる。
【0070】
以上の処理の結果、本実施形態では、検出素子31の出力電圧に応じて補正された抵抗Rb,Rg,Reの値に基づいて、異常の有無が判定され、検出素子31のインピーダンスにおける抵抗成分と静電容量成分とのそれぞれの挙動に応じて、検出素子31の異常原因が特定されることになる。
【0071】
以上のとおり、本実施形態では、異常診断のための電気的特性の検出の直前に検出素子31の出力電圧を取得し(S440)、この検出素子31の出力電圧に応じて補正(S540)された抵抗Rb,Rg,Reの値に基づいて、異常の有無を判定する。検出素子31の出力は交流インピーダンスの検出値に影響を与えるから、この影響を補正によって相殺ないし抑制することにより、本実施形態では酸素センサの異常検出の精度を改善することができる。
【0072】
なお、本実施形態では、異常診断のための交流電圧の印加の直前に取得した検出素子31の出力電圧に基づいて、電気的特性の検出値を補正することとしたが、交流電圧が印加されていないときの出力電圧は、異常診断の前であれば、交流電圧の印加及び電気的特性の検出よりも後であってもよい。
【0073】
上記各実施形態では、本発明をある程度の具体性をもって説明したが、本発明については、特許請求の範囲に記載された発明の精神や範囲から離れることなしに、さまざまな改変や変更が可能であることは理解されなければならない。
【0074】
例えば、上記各実施形態では、静電容量成分が極大値を示す点をピーク点P1,P2,P3として特定することとしたが、このような構成に代えて、インピーダンスZnを所定の関数によって極座標変換して位相角αn(図13参照)を算出し、算出された位相角αnが増加から減少に転じた点をピーク点として特定してもよい。
また、上記各実施形態では電気的特性として静電容量及び抵抗を個別に用いることとしたが、本発明における電気的特性はインピーダンスであってもよく、かかる構成も本発明の範疇に属するものである。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の実施形態に係る内燃機関を示す概略図である。
【図2】酸素センサの取付状態を示す断面図である。
【図3】酸素センサの検出素子周辺の拡大断面図である。
【図4】酸素センサの出力特性を示すグラフである。
【図5】第1実施形態における異常診断制御処理を示すフロー図である。
【図6】第1実施形態におけるインピーダンス測定処理を示すフロー図である。
【図7】第1実施形態における異常診断処理を示すフロー図である。
【図8】第2実施形態における異常診断制御処理を示すフロー図である。
【図9】第3実施形態におけるセンサ出力−補正係数マップの設定例を示すグラフである。
【図10】第3実施形態における異常診断制御処理を示すフロー図である。
【図11】第3実施形態における異常診断処理を示すフロー図である。
【図12】実施形態における酸素センサ素子の等価回路を示す図である。
【図13】実施形態における酸素センサの複素インピーダンス特性を示すグラフである。
【符号の説明】
【0076】
10 内燃機関
12 燃焼室
17 インジェクタ
18 三元触媒
19 酸素センサ
31 検出素子
36 ヒータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸素センサの検出素子に交流電圧を印加して電気的特性を検出する検出手段と、当該検出手段の検出値に基づいて前記検出素子の異常の有無を判定する判定手段と、を備えた酸素センサの異常診断装置であって、
前記判定手段は、前記検出素子の温度が所定の基準温度値よりも大きい場合に前記判定を実行することを特徴とする酸素センサの異常診断装置。
【請求項2】
酸素センサの検出素子に交流電圧を印加して電気的特性を検出する検出手段と、当該検出手段の検出値に基づいて前記検出素子の異常の有無を判定する判定手段と、を備えた酸素センサの異常診断装置であって、
前記交流電圧が印加されていないときの前記検出素子の出力電圧に基づいて、前記検出素子の出力電圧の影響を抑制するように前記電気的特性の検出値を補正する補正手段を更に備え、
前記判定手段は、前記補正手段によって補正された前記電気的特性の検出値に基づいて前記判定を実行することを特徴とする酸素センサの異常診断装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の酸素センサの異常診断装置であって、
前記電気的特性は、インピーダンス、もしくは静電容量及び抵抗であることを特徴とする酸素センサの異常診断装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−31213(P2009−31213A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−197751(P2007−197751)
【出願日】平成19年7月30日(2007.7.30)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】