重炭化水素及び酸性ガスを炭化水素ガス流から除去するためのシステム及び方法
酸性ガスをサワーガス流から除去するためのシステムが提供される。そのシステムは酸性ガス除去システム及び重炭化水素除去システムを含む。酸性ガス除去システムはサワーガス流を受け、サワーガス流を主としてメタンを含むオーバーヘッドガス流、及び主として二酸化炭素の如き酸性ガスを含むボトム酸性ガス流に分離する。重炭化水素除去システムは酸性ガス除去システムの上流もしくは下流又はその両方に置かれてもよい。重炭化水素除去システムはガス流を受け、ガス流を重炭化水素を含む第一の流体流及びその他の成分を含む第二の流体流に分離する。第二の流体流の成分はガス流の組成に依存するであろう。種々の型の重炭化水素除去システムが利用されてもよい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この出願は重炭化水素の除去とともに、酸性ガスを炭化水素ガス流から除去するための低温システムという発明の名称の、2009年7月30日に出願された米国仮特許出願第61/229,994号及び重炭化水素及び酸性ガスを炭化水素ガス流から除去するためのシステム及び方法という発明の名称の、2010年6月22日に出願された米国仮特許出願第61/357,358号の利益を主張する。両方の出願の全部が全ての目的のために参考として本明細書に含まれる。
この節は本開示の例示の実施態様と関連し得る、技術の種々の局面を導入することを意図している。この説明は本開示の特別な局面の一層良好な理解を促進するためのフレームワークを与えることを助けると思われる。それ故、この節はこれに鑑みて読まれるべきであり、必ずしも従来技術の許可として読まれるべきではないことが理解されるべきである。
分野
本発明は流体分離の分野に関する。更に詳しくは、本発明は軽炭化水素流体竜からの重炭化水素及び酸性ガスの両方の分離に関する。
【背景技術】
【0002】
技術の説明
溜めからの炭化水素の製造はしばしばそれとともに非炭化水素ガスの偶発的製造を伴なう。このようなガスとして、硫化水素(H2S)及び二酸化炭素(CO2)の如き汚染物が挙げられる。H2S及びCO2が炭化水素ガス流(例えば、メタン又はエタン)の一部として生成される場合、そのガス流は時折“サワーガス”と称される。
サワーガスは通常CO2、H2S、及びその他の汚染物を除去するために処理され、その後にそれが更なる加工又は販売のために下流に送られる。酸性ガスの除去は“スイートニングされた(sweetened)”炭化水素ガス流を生じる。スイートニングされた流れは環境上許される燃料として、化学品又は合成ガス(gas-to-liquids)設備への供給原料として、又は液化天然ガス,即ち、LNGに液化し得るガスとして使用し得る。
ガス分離方法は分離された汚染物の廃棄についての問題を生じる。或る場合に、濃縮された酸性ガス(主としてH2S 及びCO2 からなる)が硫黄回収ユニット(“SRU”)に送られる。SRU はH2S を良質の元素硫黄に変換する。しかしながら、或る領域(例えば、カスピ海領域)では、追加の元素硫黄の製造は望ましくない。何とならば、制限された市場があるからである。その結果、何百万トンもの硫黄が世界の或る領域、最も顕著にはカナダ及びカザフスタンで大きい、地上のブロック中に貯蔵されていた。
硫黄は陸上で貯蔵されるが、酸性ガスと関連する二酸化炭素ガスはしばしば大気に排出される。しかしながら、CO2 を排出する慣例は時折望ましくない。CO2 放出を最小にする一つの提案は酸性ガス注入(“AGI”)と称される方法である。AGI は望まれないサワーガスが加圧下で地下層に再注入され、潜在的なその後の使用のために金属イオン封鎖される。また、二酸化炭素は増進された油回収操作のための人工の溜め圧力を生じるのに使用される。
AGI を促進するために、酸性ガス成分を炭化水素ガスから有効に分離するガス加工設備を有することが望ましい。しかしながら、“高サワー”流、即ち、約15%又は20%より多いCO2 及び/又はH2S を含む製造流につき、汚染物を所望の炭化水素から経済的に分離し得る設備を設計し、構築し、運転することは特に難しいことであり得る。多くの天然ガス溜めは比較的低い%の炭化水素(例えば、40%未満)及び高い%の酸性ガス、主として二酸化炭素だけでなく、硫化水素、カルボニルスルフィド、二硫化炭素及び種々のメルカプタンを含む。これらの場合には、低温ガス加工が有益に使用されるかもしれない。
【0003】
低温ガス加工はガス分離に時折使用される蒸留方法である。低温ガス分離は適度の圧力(例えば、24.5-38.5kg/cm2ゲージ圧(350-550 ポンド/平方インチゲージ圧(psig))で冷却されたオーバーヘッドガス流を生成する。加えて、液化酸性ガスが“ボトム”生成物として生成される。液化酸性ガスは比較的高い密度を有するので、水圧ヘッドが注入プロセスを助けるためにAGI ウェルに有益に使用し得る。これは液化酸性ガスを地層にポンプ輸送するのに必要とされるエネルギーが低圧酸性ガスを溜め圧力に圧縮するのに必要とされるエネルギーよりも低いことを意味する。コンプレッサー及びポンプの一層少ない段階が必要とされる。
挑戦はまたサワーガスの低温蒸留に関して存する。CO2 が加工すべきガス中で約49kg/cm2ゲージ圧(700psig)未満の全圧で約5モル%より大きい濃度で存在する場合、それは通常の低温蒸留ユニットで固体として凍結するであろう。固体としてのCO2 の生成が低温蒸留方法を中断させる。この問題を回避するために、譲受人は既に種々の“制御凍結ゾーンTM”(CFZTM)方法を設計していた。CFZTM 方法は凍結CO2 粒子を蒸留塔の開放部分内で生成させ、次いで粒子をメルトトレーで捕捉することにより二酸化炭素が固体粒子を生成する傾向を利用する。結果として、きれいなメタン流(生ガス(raw gas)中に存在する窒素又はヘリウムとともに)が塔の上部で生成され、一方、冷液体CO2/H2S 流が塔の底部で生成される。約49kg/cm2ゲージ圧(700psig)より高い圧力では、“バルク分別”蒸留がCO2 凍結の恐れなしに行ない得る。しかしながら、オーバーヘッドで生成されたメタンがその中に少なくとも数%のCO2 を有するであろう。
CFZTM 方法の或る局面及び関連装置が米国特許第4,533,372号、同第4,923,493号、同第5,062,270号、同第5,120,338号、及び同第6,053,007号に記載されている。
【0004】
上記米国特許に一般に記載されたように、低温ガス加工に使用される、蒸留塔、又はカラムは下部蒸留ゾーン及び中間制御凍結ゾーンを含む。上部蒸留ゾーンがまた含まれることが好ましい。カラムは二酸化炭素の凍結点より下だが、その圧力でメタンの沸騰温度より上の範囲の温度を有するカラムの一部を用意することにより固体CO2 粒子を生じるように作動する。制御凍結ゾーンはメタン及びその他の軽炭化水素ガスが気化することを可能にするとともに、CO2に凍結(固体)粒子を生成させる温度及び圧力で作動されることが更に好ましい。
ガス供給原料流がカラムを上に移動するにつれて、凍結CO2 粒子が供給原料流から発生し、制御凍結ゾーンからメルトトレーへと重力により降下する。そこで、粒子が液化する。次いで二酸化炭素に富む液体流がメルトトレーからカラムの底部にある下部蒸留ゾーンへと下に流れる。下部蒸留ゾーンは二酸化炭素が実質的に生成されないが、溶解メタンが沸騰する温度及び圧力に維持される。一局面において、ボトム酸性ガス流が-1.11℃〜4.44℃(30°F〜40°F)で生じられる。
制御凍結ゾーンは冷液体スプレーを含む。これは“還流”として知られているメタンに富む液体流である。軽炭化水素ガスの蒸気流及び連行サワーガスがカラム中を上向きに移動するにつれて、蒸気流が液体スプレーと出会う。冷液体スプレーが固体CO2 粒子を発生させるとともにメタンガスを蒸発させ、カラム中を上向きに流れさせることを助ける。
上部蒸留ゾーン中で、メタン(又はオーバーヘッドガス)が捕捉され、販売のためにパイプ輸送され、又は燃料に利用できるようにされる。一局面において、オーバーヘッドメタン流が約-90℃(-130°F)で放出される。オーバーヘッドガスは追加の冷却により部分液化され、その液体が還流としてカラムに戻されてもよい。液体還流は、一般にトレー、又はカラムの精留部分のパッキング中を流れた後に、制御凍結ゾーンのスプレー部分への冷スプレーとして注入される。上部蒸留ゾーン中で生成されたメタンはパイプライン送出のための殆どの仕様を満足する。例えば、充分な還流が生成される場合、メタンが2モル%未満のパイプラインCO2 仕様だけでなく、4ppm H2S仕様を満足し得る。
しかしながら、最初の生ガス流が重炭化水素(即ち、プロパン、ブタン、及び一層重質の炭化水素)を含む場合、これらは最後に冷蒸留カラムの二酸化炭素及び硫化水素の液体ボトム流になるであろう。重炭化水素はそれらが冷蒸留カラムの上流又は下流の含有流体から有効に分離し得る場合に回収し得る価値を有するかもしれない。
【0005】
例えば、生ガス流が冷蒸留カラムに入る前に重炭化水素成分を生ガス流から除去することが望ましいかもしれない。これはカラムに供給すべき“一層リーンな(leaner)”ガス流を可能にする。生天然ガス流がサワーガスの除去のために低温蒸留を受ける前にシステムが重炭化水素の含量を低減する必要がある。また、重炭化水素をCFZ 塔のボトム流中で酸性ガスと混合しないで潜在的に有益なエタン、プロパン、ブタン、及びその他の重炭化水素を回収する低温ガス分離システム及び随伴の方法についての要望がある。更に、又は別途に、重炭化水素をCFZ 塔のボトム流中のような濃縮酸性ガスから分離する方法についての要望がまたある。本明細書に開示された技術は重炭化水素を流れから分離するための種々のシステム及び方法を含み、このような技術がガス加工システム及び方法で実施されてそれらの回収及び商業化を可能にする様式で重炭化水素を除去する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
酸性ガスを酸性ガス流から除去するためのシステムが提供される。一実施態様において、システムが酸性ガス除去システムを含む。酸性ガス除去システムが酸性ガス流を受け、酸性ガス流を主としてメタンを含むオーバーヘッドガス流、及び主として二酸化炭素を含むボトム酸性ガス流に分離する。生ガス流は少なくとも5モル%の重炭化水素成分を含む。
そのシステムはまた重炭化水素除去システムを含む。重炭化水素除去システムは酸性ガス除去システムの上流に置かれてもよい。重炭化水素除去システムは生ガス流を受け、一般に生ガス流を重炭化水素流体流及びサワーガス(メタンを含む)流に分離する。更に、又は別途、重炭化水素除去システムが酸性ガス除去システムの下流に置かれてもよい。いずれの場合にも、重炭化水素が一つ以上の方法で商業化又は利用のために回収される。
酸性ガス除去システムが低温システムであることが好ましい。酸性ガス除去システムはサワーガス流を受けるための低温蒸留塔、及びサワーガスを上流塔に入る前に冷却するための冷凍システムを含む。低温酸性ガス除去システムは蒸留塔が下部蒸留ゾーン及び中間制御冷凍ゾーンを有する“CFZ ”システムであることが好ましい。中間制御冷凍ゾーン、又は“スプレー部分”が、主としてメタンを含む冷液体スプレーを受ける。冷スプレーは蒸留塔の下流のオーバーヘッドループから生成された液体還流である。冷凍装置がオーバーヘッドメタン流を冷却し、オーバーヘッドメタン流の一部を低温蒸留塔に冷液体還流(これはその後に液体になる)として戻すために低温蒸留塔の下流に用意される。
低温蒸留システム以外のその他の酸性ガス除去システムが使用されてもよいことが理解される。例えば、酸性ガス除去システムは物理溶媒方法(これはまた酸性ガス成分とともに重炭化水素を排除する傾向がある)であってもよい。
種々の型の重炭化水素除去システムが利用されてもよい。これらは物理溶媒を使用して重炭化水素を軽ガスから分離するシステムを含む。これらはまた膜コンタクターを使用するシステム、又は抽出蒸留方法を使用するシステムを含んでもよい。いずれの場合にも、化学溶媒が重炭化水素除去に使用されない。
一局面において、重炭化水素除去システムが少なくとも一つの固体吸着剤床を含む。酸性ガス除去システムの上流に配置される場合、その少なくとも一つの固体吸着剤床は少なくとも若干の重炭化水素成分を吸着し、酸性ガス除去システム中の加工のために軽炭化水素成分を実質的に通す。固体吸着剤床は、例えば、(i) ゼオライト材料から加工されてもよく、又は(ii)少なくとも一種のモレキュラーシーブを含んでもよい。固体吸着剤床は少なくとも若干の二酸化炭素及び/又は硫化水素を偶然に吸着するかもしれない。この場合、重炭化水素除去システムがまた汚染物洗浄システムを含むことが好ましい。
少なくとも一つの固体吸着剤床は吸着動的分離床であってもよい。また、少なくとも一つの固体吸着剤床は(i) 少なくとも三つの吸着床の第一のものが重炭化水素成分を吸着するのに使用中であり、(ii)少なくとも三つの吸着床の第二のものが再生を受け、かつ(iii) 少なくとも三つの吸着床の第三のものが少なくとも三つの吸着床の第一のものを交換するために準備して保たれる少なくとも三つの吸着床を含んでもよい。再生は熱スイング吸着方法の一部、圧力スイング吸着方法の一部、又はこれらの組み合わせであってもよい。
【0007】
更に、又は別途、重炭化水素除去システムは生ガス流を重炭化水素流体流及び軽ガス流に分離するためにターボ-エキスパンダー又はサイクロン装置を含んでもよい。ターボ-エキスパンダーの場合、重炭化水素除去システムがまた生ガス流を重炭化水素流体流及び軽ガス流に分離するための重力セパレーターを含んでもよい。サイクロン装置の場合、重炭化水素除去システムがまた重炭化水素流体流を受け、次いで重炭化水素流体流を炭化水素成分及び二酸化炭素に分離するための汚染物除去システムを含んでもよい。
更に、又は別途、本明細書に記載された酸性ガスをサワーガスから除去するためのシステムが重炭化水素を酸性ガス除去システムから下流で除去するのに適したシステムを含んでもよい。そのシステムは少なくとも5モル%の重炭化水素成分を含む生ガス流を加工するようにもう一度設計される。重炭化水素が化学溶媒を使用しないでガス流から除去される。
一実施態様において、そのシステムが酸性ガス除去システムを含む。酸性ガス除去システムがサワーガス流を受け、サワーガス流を主としてメタンを含むオーバーヘッドガス流、及び主として二酸化炭素及び重炭化水素を含むボトム酸性ガス流に分離する。
酸性ガス除去システムが低温酸性ガス除去システムであることが好ましい。低温酸性ガス除去システムはサワーガス流を受けるための蒸留塔、及びサワーガス流を蒸留塔に入る前に冷却するための冷凍システムを含む。低温酸性ガス除去システムは蒸留塔が下部蒸留ゾーン及び中間制御凍結ゾーンを有する“CFZ ”システムであることが更に好ましい。中間制御凍結ゾーン、又は“スプレー部分”が、主としてメタンを含む冷液体スプレーを受ける。冷スプレーは蒸留塔の下流のオーバーヘッドループから生成された液体還流である。冷凍装置がオーバーヘッドメタン流を冷却し、オーバーヘッドメタン流の一部を低温蒸留塔に液体還流として戻すために低温蒸留塔の下流に用意される。
そのシステムはまた重炭化水素除去システムを含む。注目されたように、この場合の重炭化水素除去システムは酸性ガス除去システムの下流に置かれる。重炭化水素除去システムはボトム酸性ガス流を受け、一般にボトム酸性ガス流を重炭化水素流体流及び酸性ガスに分離する。
種々の型の重炭化水素除去システム、例えば、酸性ガス除去システムの上流の重炭化水素除去システムと関連して上記されたものが利用されてもよい。一局面において、重炭化水素除去システムが少なくとも一つの固体吸着剤床を含む。その少なくとも一つの固体吸着剤床は少なくとも若干の重炭化水素成分をボトム酸性ガス流から吸着し、酸性ガス成分を実質的に通す。固体吸着剤床は、例えば、(i) ゼオライト材料から加工されてもよく、又は(ii)少なくとも一種のモレキュラーシーブを含んでもよい。固体吸着剤床は少なくとも若干の二酸化炭素を偶然に吸着するかもしれない。この場合、重炭化水素除去システムがまた重力セパレーターの如きセパレーターを含むことが好ましい。重力セパレーターは液体重炭化水素成分を、例えば、ガスのCO2 から分離する。
別の局面において、重炭化水素除去システムがボトム酸性ガス流を受け、ボトム酸性ガス流を主として二酸化炭素そして、おそらく、硫化水素を含む第一流体流、及び主として重炭化水素成分を含む第二流体流に分離するための抽出蒸留システムを含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本発明が一層良く理解し得るように、或る図面、チャート及び/又はフローチャートが添付される。しかしながら、図面は本発明の選ばれた実施態様のみを示すことが注目されるべきであり、それ故、本発明の範囲の限定と考えられるべきではなく、その他の同等に有効な実施態様及び適用の余地があってもよい。
【図1】一実施態様における、例示のCFZ 蒸留塔の側面図である。冷却された生ガス流がその塔の中間制御凍結ゾーンに注入される。
【図2A】一実施態様における、メルトトレーの平面図である。メルトトレーは塔内で制御凍結ゾーンの下にある。
【図2B】線2B-2B にわたって切り取られた、図2Aのメルトトレーの断面図である。
【図2C】線2C-2C にわたって切り取られた、図2Aのメルトトレーの断面図である。
【図3】一実施態様における、蒸留塔の下部蒸留ゾーン中のストリッピングトレーの拡大側面図である。
【0009】
【図4A】一実施態様における、蒸留塔の下部蒸留部分又は上部蒸留ゾーン中で使用し得るジェットトレーの斜視図である。
【図4B】図4Aのジェットトレー中の開口部の一つの側面図である。
【図5】図1の蒸留塔の中間制御凍結ゾーンの側面図である。この図中、二つの例示の開放じゃま板が中間制御凍結ゾーンに追加されている。
【図6A】酸性ガスをガス流から除去するためのガス加工設備を示す略図である。この配置では、重炭化水素が物理溶媒システムにより酸性ガス除去システムの上流のガス流から除去される。
【図6B】図6Aの物理溶媒システムの一層詳しい略図を示す。物理溶媒システムが作動して重炭化水素を除去するために脱水されたガス流と接触する。
【図7】酸性ガスをガス流から除去するためのガス加工設備を示す略図である。この配置では、重炭化水素が膜コンタクターにより酸性ガス除去システムの上流のガス流から除去される。
【図8】ガス加工設備の略図である。この配置では、重炭化水素が吸着動的分離を利用する吸着床により酸性ガス除去システムの上流のガス流から除去される。
【図9】ガス加工設備の略図である。この配置では、重炭化水素が抽出蒸留システムにより酸性ガス除去システムの上流のガス流から除去される。
【0010】
【図10】ガス加工設備の略図である。この配置では、重炭化水素がターボ-エキスパンダーにより酸性ガス除去システムの上流のガス流から除去される。
【図11】ガス加工設備の略図である。この配置では、重炭化水素がサイクロン装置により酸性ガス除去システムの上流のガス流から除去される。
【図12】ガス加工設備の略図である。この配置では、重炭化水素が熱スイング吸着システムにより酸性ガス除去システムの上流のガス流から除去される。
【図13】ガス加工設備の略図である。この配置では、重炭化水素が圧力スイング吸着システムにより酸性ガス除去システムの上流のガス流から除去される。
【図14】ガス加工設備の略図である。この配置では、重炭化水素が酸性ガス除去システムの上流のガス流から除去される。追加の重炭化水素が酸性ガス除去システムの下流のボトム酸性ガス流から除去される。
【図15】ガス加工設備の略図である。この配置では、重炭化水素が吸着動的分離方法により酸性ガス除去システムの下流のガス流から除去される。
【発明を実施するための形態】
【0011】
定義
本明細書に使用される“炭化水素”という用語は主として(専らではない場合)元素水素及び炭素を含む有機化合物を表す。炭化水素は一般に二つのクラスに入る:脂肪族、又は直鎖炭化水素、及び環状、又は閉環炭化水素(環状テルペンを含む)。炭化水素含有物質の例として、あらゆる形態の天然ガス、油、石炭、及び燃料として使用でき、又は燃料にアップグレードし得るビチュメンが挙げられる。
本明細書に使用される“炭化水素流体”という用語はガス又は液体である炭化水素又は炭化水素の混合物を表す。例えば、炭化水素流体として、生成条件、加工条件又は周囲条件(15℃かつ1大気圧)でガス又は液体である炭化水素又は炭化水素の混合物が挙げられるかもしれない。炭化水素流体として、例えば、油、天然ガス、石炭床メタン、シェールオイル、分解油、分解ガス、石炭の分解生成物、及びガス又は液体状態であるその他の炭化水素が挙げられるかもしれない。
“物質移動装置”という用語は接触すべき流体を受け、これらの流体をその他の物体、例えば、スルー重力流に通すあらゆる物体を表す。一つの非限定例は或る種の成分をストリッピングするためのトレーである。グリッドパッキングが別の例である。
本明細書に使用される“流体”という用語はガス、液体、及びガスと液体の組み合わせだけでなく、ガスと固体の組み合わせ、及び液体と固体の組み合わせを表す。
本明細書に使用される“凝縮可能な炭化水素”という用語は約15℃かつ1絶対大気圧で凝縮するこれらの炭化水素を意味する。凝縮可能な炭化水素として、例えば、4個より大きい炭素数を有する炭化水素の混合物が挙げられるかもしれない。
本明細書に使用される“重炭化水素”という用語は1個より多い炭素原子を有する炭化水素を表す。主な例として、エタン、プロパン及びブタンが挙げられる。その他の例として、ペンタン、芳香族化合物、及びダイヤモンドイドが挙げられる。
本明細書に使用される“密閉ループ冷凍システム”という用語は外部の作用流体、例えば、プロパン又はエチレンがオーバーヘッドメタン流を冷却するための冷媒として使用されるあらゆる冷凍システムを意味する。これはオーバーヘッドメタン流それ自体の一部が作用流体として使用される“開放ループ冷凍システム”とは対照的である。
本明細書に使用される“表面下”という用語は地球表面の下に生じる地質層を表す。
本明細書に使用される“化学溶媒”という用語は電荷が移動される化学反応により生ガス流内の選ばれた成分に優先的に吸収する化学薬品を意味する。非限定例として、アミン及び炭酸カリウム(これらはH2S 又はCO2 に優先的に結合し得る)が挙げられる。
【0012】
特別な実施態様の記載
図1は一実施態様における、本発明と関連して使用し得る低温蒸留塔100の略図を示す。低温蒸留塔100は本明細書中で“低温蒸留塔”、“カラム”、“CFZ カラム”、又は“スプリッター塔”と互換可能に称されるかもしれない。
図1の低温蒸留塔100は初期流体流10を受ける。流体流10は主として生成ガスを含む。典型的には、流体流はウェルヘッド又はウェルヘッドの集合(示されていない)からの乾燥ガスを表し、約65%〜約95%のメタンを含む。しかしながら、流体流10は一層低い%、例えば、約30%〜65%、又は20%〜40%程度に低い%のメタンを含んでもよい。
メタンはエタンの如きその他の炭化水素ガスの痕跡の元素とともに存在してもよい。加えて、痕跡量のヘリウム及び窒素が存在してもよい。本出願において、流体流10がまた或る種の汚染物を含むであろう。これらとして、酸性ガス、例えば、CO2 及びH2S が挙げられる。
初期流体流10は約42kg/cm2(600ポンド/平方インチ(psi))の生成後の圧力であってもよい。或る場合には、初期流体流10の圧力が約52.5kg/cm2(750psi)又は更には70kg/cm2(1,000psi)までであってもよい。
【0013】
流体流10は典型的には蒸留塔100に入る前に冷却される。熱交換機150、例えば、シェル及び管交換機が初期流体流10のために用意される。冷凍ユニット(示されていない)が冷却流体(例えば、液体プロパン)を熱交換機150に与えて初期流体流10の温度を約-34℃(-30°F)〜-40℃(-40°F)に下げる。次いで冷却された流体流が膨張装置152中に移動されてもよい。膨張装置152は、例えば、ジュール-トンプソン(“J-T”)弁であってもよい。
膨張装置152は流体流10の追加の冷却を得るためのエキスパンダーとして利用できる。流体流10の部分液化がまた生じられることが好ましい。ジュール-トンプソン(即ち“J-T”)弁が固体を生成する傾向があるガス供給原料流に好ましい。膨張装置152が低温蒸留塔100の近くに取り付けられて供給パイプの熱損失を最小にし、或る成分(例えば、CO2 又はベンゼン)がそれらの凍結点より下に低下される場合に固体による詰まりの機会を最小にすることが好ましい。
J-T 弁の代替として、エキスパンダー装置152がターボ-エキスパンダーであってもよい。ターボ-エキスパンダーは一層大きい冷却を与え、上記冷凍ユニットのような方法のためのシャフト作用の源を生じる。熱交換機150は冷凍ユニットの一部である。この様式では、作業者が蒸留方法についての全エネルギー要求を最小にし得る。しかしながら、ターボ-エキスパンダーはJ-T 弁のようには凍結粒子を良く取り扱わないかもしれない。
いずれの場合にも、熱交換機150及びエキスパンダー装置152が初期流体流10中の生ガスを冷却流体流12に変換する。冷却流体流12の温度が-40℃(-40°F)〜-57℃(-70°F)付近であることが好ましい。一局面において、低温蒸留塔100が約38.5kg/cm2(550psi)の圧力で運転され、冷却流体流12が約-52℃(-62°F)である。これらの条件で、冷却流体流12が実質的に液相中にあるが、若干の蒸気相が冷却流体流12に不可避に連行されるかもしれない。おそらく、固体生成がCO2 の存在から生じなかった。
CFZTM 低温蒸留塔100は三つの主要部分に分けられる。これらは下部蒸留ゾーン、即ち“ストリッピング部分”106、中間制御凍結ゾーン、即ち“スプレー部分”108、及び上部蒸留ゾーン、即ち“精留部分”110である。図1の塔配置では、冷却流体流12が制御凍結ゾーン108中で蒸留塔100に導入される。しかしながら、冷却流体流12がまた下部蒸留ゾーン106の上部付近に導入されてもよい。
【0014】
図1の配置において、下部蒸留ゾーン106、中間スプレー部分108、上部蒸留ゾーン110、及び関連成分が単一容器100内に収容されることが注目される。しかしながら、塔100の高さ及び運動上の考慮事項が考慮される必要があり得る海洋適用について、又は輸送制限が問題である離れた場所について、塔110が必要により二つの別々の加圧容器(示されていない)に分けられてもよい。例えば、下部蒸留ゾーン106及び制御凍結ゾーン108が一つの容器中に配置されてもよく、一方、上部蒸留ゾーン108が別の容器中にある。次いで外部パイプが二つの容器を相互連結するのに使用されるであろう。
いずれの実施態様においても、下部蒸留ゾーン106の温度が冷却流体流12の供給温度よりも高い。下部蒸留ゾーン106の温度がカラム100の運転圧力で冷却流体流12中のメタンの沸点より充分に上にあるように設計される。この様式では、メタンが重炭化水素及び液体酸性ガス成分から優先的にストリッピングされる。勿論、当業者は蒸留塔100内の液体が混合物であることを理解するであろう。これはその液体が純粋なメタンと純粋なCO2 の間の或る中間温度で“沸騰する”ことを意味する。更に、混合物中に重炭化水素(例えば、エタン又はプロパン)が存在する場合には、これがその混合物の沸騰温度を上昇するであろう。これらの因子が蒸留塔100内の運転温度についての設計上の考慮事項になる。
【0015】
下部蒸留ゾーン106中で、CO2 及びその他の液相流体が低温蒸留塔100の底部に向かって重力により落下する。同時に、メタン及びその他の気相流体が発生し、塔100の上部に向かって上向きに上昇する。この分離は主としてガスと液相の間の密度差により達成される。しかしながら、その分離方法は必要により蒸留塔100内の内部成分により助けられてもよい。以下に記載されるように、これらはメルトトレー130、複数の有利な形態の物質移動装置126、及び任意のヒーターライン25を含む。側部リボイラー(示されていない)が同様に下部蒸留ゾーン106に追加されてメタンの除去を促進するだけでなく、生ガス供給流を前冷却してもよい。
再度図1を参照して、冷却流体流12が下部蒸留ゾーン106の上部付近でカラム100に導入されてもよい。また、供給原料流12をメルトトレー130の上で制御凍結ゾーン108に導入することが望ましいかもしれない。冷却流体流12の注入の位置は主として初期の流体流10の組成により指示される設計上の問題である。
冷却流体流12の温度は固体が予想されない程充分に高い(例えば、-57℃(-70°F)より高い)場合、冷却流体流12をカラム100中で2相フラッシュボックス型装置(又は蒸気ディストリビューター)124により下部蒸留ゾーン106に直接に注入することが好ましいかもしれない。フラッシュボックス124の使用は冷却流体流12中の2相蒸気-液体混合物を少なくとも部分的に分離するのに利用できる。フラッシュボックス124は2相流体がフラッシュボックス124中のじゃま板に対して衝突するように溝削りされてもよい。
固体が低い入口温度のために予想される場合、冷却流体流12がカラム100に上記のように供給する前に容器173中で部分的に分離される必要があるかもしれない。この場合、冷却流体流12が2相セパレーター173中で分離されて固体がカラム100の入口ライン及び内部成分を詰まらせる可能性を最小にしてもよい。ガス蒸気が容器入口ライン11を通って2相セパレーター173を出て、そこでそれが入口ディストリビューター121を通ってカラム100に入る。次いでガスがカラム100中を上向きに移動する。液体/固体スラリー13が2相セパレーター173から排出される。液体/固体スラリーが蒸気ディストリビューター124を通ってカラム100そしてメルトトレー130へと送られる。液体/固体スラリー13は重力又はポンプ175によりカラム100に供給し得る。
【0016】
いずれの配置でも、即ち、2相セパレーター173を使用しても、また使用しなくても、冷却流体流12(又は11)がカラム100に入る。液体成分がフラッシュボックス124を出て、下部蒸留ゾーン106内のストリッピングトレー126の集合の下に移動する。ストリッピングトレー126は一連のウェアー128及びダウンカマー129を含む。これらが図3に関連して以下に充分に記載される。ストリッピングトレー126は、下部蒸留ゾーン106中の一層温かい温度と組み合わせて、メタンを溶液から発生させる。得られる蒸気がメタン及び沸騰した連行二酸化炭素分子を運ぶ。
更に蒸気がメルトトレー130(図2Bに見られる)のライザー又は煙突131中を上向きに進行し、そして凍結ゾーン108に進行する。煙突131は凍結ゾーン108中の一様な分布のために蒸気ディストリビューターとして作用する。次いで蒸気がスプレーヘッダー120からの冷液体と接触してCO2 を“凍結する”であろう。換言すると、CO2 が凍結し、次いで逆にメルトトレー130に沈澱又は“スノー”するであろう。次いで固体CO2 が融解し、液体形態でメルトトレー130の下に重力で流れ、その下の下部蒸留ゾーン106に流れる。
以下に更に充分に説明されるように、スプレー部分108は低温蒸留塔100の中間凍結ゾーンである。冷却流体流12が塔100に入る前に容器173中で分離される別の配置では、分離された液体/固体スラリー13の一部がメルトトレー130の直ぐ上で塔100に導入される。こうして、酸性ガス及び重炭化水素成分の液体-固体混合物がディストリビューター121から流れ、固体及び液体がメルトトレー130に落下する。
メルトトレー130は液体及び固体物質、主としてCO2 及びH2Sを中間制御凍結ゾーン108から重力により受け取る。メルトトレー130は液体及び固体物質を温め、それらを更なる精製のために液体形態で下部蒸留ゾーン106に下向きに送るのに利用できる。メルトトレー130は液体のプール中で制御凍結ゾーン108からの固体-液体混合物を集め、温める。メルトトレー130は蒸気流を逆に制御凍結ゾーン108に放出して、適当な伝熱を与えて固体CO2 を融解し、メルトトレー130の下のカラム100の下部蒸留ゾーン106への液体/スラリー排出を促進するように設計される。
【0017】
図2Aは一実施態様における、メルトトレー130の平面図を示す。図2Bは図2Aの線B-Bにわたって切り取られた、メルトトレー130の断面図を示す。図2Cは線C-Cにわたって切り取られた、メルトトレーの断面図を示す。メルトトレー130はこれらの三つの図面を集約して参照して記載されるであろう。
最初に、メルトトレー130はベース134を含む。ベース134は実質的に平面のボディであってもよい。しかしながら、図2A、2B及び2Cに示された好ましい実施態様において、ベース134は実質的に非平面のプロフィールを使用する。非平面の形態は制御凍結ゾーン108からメルトトレー130にランディングする液体及び固体を接触するために増大された表面積を与える。これはカラム100の下部蒸留ゾーン106から上に通る蒸気から液体への伝熱を増大し、固体を融解するのに利用できる。一局面において、ベース134は波形にされる。別の局面において、ベース134が実質的に正弦波形である。トレーデザインのこの局面が図2Bに示される。その他の非平面形状がまたメルトトレー130の伝熱領域を増大するのに使用されてもよいことが理解される。
メルトトレーベース134は傾斜されることが好ましい。その傾斜が図2Cの側面図に示される。殆どの固体が融解されるべきであるが、その傾斜は液体混合物中の未溶解固体がメルトトレー130からその下の蒸留ゾーン106に排出することを確実にするのに利用できる。
図2Cに鑑みて、サンプ又はチャンネル138がメルトトレー130の中央に見られる。メルトトレーベース134はチャンネル138に向かって内向きに傾斜して固体-液体混合物を送出する。ベース134はあらゆる様式で傾斜されて重力による液体引取を促進してもよい。
米国特許第4,533,372号に記載されたように、メルトトレーは“煙突トレー”と称された。これは単一排気煙突の存在のためであった。煙突は蒸気が煙突トレー中を上向きに移動し得る開口部を備えていた。しかしながら、単一煙突の存在は煙突トレー中を上向きに移動する全てのガスが単一開口部を通って出て行く必要があったことを意味した。他方で、図2A、2B及び2Cのメルトトレー130中で、複数の煙突131が用意される。多くの煙突131の使用が改良された蒸気分布を与える。これが中間制御凍結ゾーン108中の一層良好な熱/物質移動に寄与する。
【0018】
煙突131はあらゆるプロフィールのものであってもよい。例えば、煙突131が丸形、矩形、又は蒸気をメルトトレー130中を通過させるあらゆるその他の形状であってもよい。煙突131はまた狭くてもよく、制御凍結ゾーン108に上向きに延びてもよい。これは有益な圧力低下を可能にして蒸気がCFZ 制御凍結ゾーン108へと上昇する際にそれを均等に分布させる。煙突131は追加の伝熱領域を与えるために波形ベース134のピークの上に配置されることが好ましい。
煙突131の上部開口部はハット又はキャップ132で覆われることが好ましい。これは制御凍結ゾーン108から落下する固体がメルトトレー130に落下することを避け得る機会を最小にする。図2A、2B及び2C中で、キャップ132が煙突131の夫々の上に見られる。
メルトトレー130はまたバブルキャップを備えて設計されてもよい。バブルキャップはメルトトレー130の下から上昇するベース134中の凸形くぼみを形成する。バブルキャップは更にメルトトレー130中の表面積を増大して追加の伝熱をCO2 に富む液体に与える。この設計により、好適な液体引取、例えば、増大された傾斜角が、液体が下のストリッピングトレー126に送られることを保証するために用意されるべきである。
再度、図1を参照して、メルトトレー130がまた外部液体移動システムを備えて設計されてもよい。その移動システムは全ての液体が実質的に固体を含まないこと及び充分な伝熱が用意されたことを確実にするのに利用できる。その移動システムはまず引取ノズル136を含む。一実施態様において、引取ノズル136が引取サンプ、又はチャンネル138(図2Cに示される)内にある。チャンネル138中に集められた流体が移動ライン135に送出される。移動ライン135中の流れが制御弁137及びレベルコントローラー“LC”(図1中に見られる)により制御されてもよい。流体が移動ライン135により下部蒸留ゾーン106に戻される。液体レベルがあまりにも高い場合、制御弁137が開き、レベルがあまりにも低い場合、制御弁137が閉じる。作業者が下部蒸留ゾーン106中で移動システムを使用しないことを選ぶ場合、制御弁137が閉じられ、流体がオーバーフローダウンカマー139によりストリッピングのためにメルトトレー130の下の物質移動装置、又は“ストリッピングトレー”126に直ぐに送られる。
【0019】
外部移動システムが使用されようと、又は使用されなくても、固体CO2 がメルトトレー130で温められ、CO2 に富む液体に変換される。メルトトレー130が下部蒸留ゾーン106からの蒸気により下から加熱される。補充熱が必要により種々の手段、例えば、ヒーターライン25によりメルトトレー130又はメルトトレーベース134の直ぐ上に加えられてもよい。ヒーターライン25はボトムリボイラー160から既に入手し得る熱エネルギーを利用して固体の解凍を促進する。
CO2 に富む液体が液体レベル制御下でメルトトレー130から引き取られて、下部蒸留ゾーン106に重力により導入される。注目されるように、複数のストリッピングトレー126がメルトトレー130の下で下部蒸留ゾーン106中に用意される。ストリッピングトレー126が互いに実質的に平行な関係にあることが好ましい。ストリッピングトレー126の夫々が必要によりウェアーで非常にわずかな傾斜で配置されてもよく、その結果、液体レベルがトレー上で維持される。流体がウェアーの上で夫々のトレーに沿って重力により流れ、次いでダウンカマーにより次のトレーに下に流れる。
ストリッピングトレー126は種々の配置であってもよい。ストリッピングトレー126は一般に水平の関係で配置されて前後にカスケードする液体流を生成してもよい。しかしながら、ストリッピングトレー126はセパレートストリッピングトレーにより同じ水平平面に実質的に沿って分けられるカスケードする液体流を生じるように配置されることが好ましい。これが図3の配置に示され、そこでは液体流が少なくとも1回分けられ、その結果、液体がセパレートトレーを横切って流れ、二つの反対のダウンカマー129に落下する。
図3は一実施態様における、ストリッピングトレー126配置の側面図を示す。ストリッピングトレー126の夫々が上からの流体を受け取り、集める。夫々のストリッピングトレー126がストリッピングトレー126の夫々の上で流体の小さいプールの収集を可能にするためのダムとして利用できるウェアー128を有することが好ましい。そのビルドアップは1.3〜2.5cm(1/2〜1インチ)であってもよいが、あらゆる高さが使用されてもよい。流体が一つのトレー126から次の低いトレー126に落下する際に、水落下効果がウェアー128により生じられる。一局面において、傾斜がストリッピングトレー126に用意されないが、水落下効果が一層高いウェアー128の配置により生じられる。流体が軽炭化水素に富む上昇する蒸気と接触され、これがトレー126のこの“接触領域”中で交差して流れる液体からメタンをストリッピングする。ウェアー128はダウンカマー129を動的にシールして蒸気がダウンカマー129中をバイパスすることを防止することを助け、更に炭化水素ガスの発生を促進するのに利用できる。
【0020】
液体が下部蒸留ゾーン106中を下方に移動するにつれて、液体中のメタンの%が次第に小さくなる。蒸留の程度は下部蒸留ゾーン106中のトレー126の数に依存する。下部蒸留ゾーン106の上部中で、液体のメタン含量が25モル%程度に高くてもよく、一方、底部ストリッピングトレーではメタン含量が0.04モル%程度に低くてもよい。メタン含量はストリッピングトレー126(又はその他の物質移動装置)に沿って迅速になくなる。下部蒸留ゾーン106中で使用される物質移動装置の数は生ガス流10の組成、塔圧力、及びボトム流26のメタン仕様に基づく設計上の選択の事柄である。しかしながら、ストリッピングトレー126のほんのわずかなレベルがメタンを液化酸性ガス中で、例えば、1%以下の所望のレベルまで除去するのに典型的に利用される必要がある。
メタン発生を促進する種々の個々のストリッピングトレー126の形態が使用されてもよい。ストリッピングトレー126は単にシーブ孔又はバブルキャップを備えたパネルに相当してもよい。しかしながら、更なる伝熱を流体に与え、固体による望ましくない詰まりを防止するために、所謂“ジェットトレー”がメルトトレーの下で使用されてもよい。トレーに代えて、ランダムパッキング又は構造パッキングがまた使用されてもよい。
【0021】
図4Aは一実施態様における、例示のジェットトレー426の平面図を示す。図4Bはジェットトレー426からのジェットタブ422の断面図を示す。示されるように、夫々のジェットトレー426がボディ424内に形成された複数のジェットタブ422とともに、ボディ424を有する。夫々のジェットタブ422が開口部425を覆う傾斜タブ部材428を含む。こうして、ジェットトレー426が複数の小開口部425を有する。
運転中、一つ以上のジェットトレー426が塔100の下部蒸留ゾーン106及び/又は上部蒸留ゾーン110中に配置されてもよい。トレー426は図3中で多くの通過、例えば、ストリッピングトレー126のパターンで配置されてもよい。しかしながら、メタンガスの発生を促進するあらゆるトレー又はパッキング配置が利用されてもよい。流体が夫々のジェットトレー426の上で下方にカスケードする。次いで流体がボディ424に沿って流れる。タブ422は必要により流体をトレー426を横切って迅速かつ有効に移動するように配向されてもよい。隣接ダウンカマー(示されていない)が必要により用意されて液体をその後のトレー426に移動してもよい。開口部425がまた下部蒸留ゾーン106中の流体移動プロセス中に放出されたガス蒸気をメルトトレー130そして煙突131中に一層有効に上向きに移動させる。
一局面において、トレー(例えば、トレー126又は426)が汚損耐性材料、即ち、固体堆積を防止する材料から加工されてもよい。汚損耐性材料が或る加工装置中で利用されて腐食性金属粒子、ポリマー、塩、水和物、触媒微粉、又はその他の化学固体化合物の堆積を防止する。低温蒸留塔100の場合には、汚損耐性材料がトレー126又は426中で使用されてCO2 固体の粘着を制限してもよい。例えば、テフロンTM被覆物がトレー126又は426の表面に適用されてもよい。
また、物理的設計はCO2 がカラム100の内径に沿って固体形態で堆積し始めないことを確実にするために用意されてもよい。これに関して、ジェットタブ422が液体をカラム100の壁に沿って押しやり、それによりカラム100の壁に沿った固体蓄積を防止し、良好な蒸気-液体接触を確実にするように配向されてもよい。
トレー配置のいずれにおいても、下に流れる液体がストリッピングトレー126に当る際に、物質の分離が起こる。メタンガスが溶液から発生し、蒸気形態で上向きに移動する。しかしながら、CO2 は一般に充分に冷たく、しかもそれが殆どその液体形態に留まり、下部蒸留ゾーン106の底部へと下に移動するのに充分に高い濃度であるが、若干のCO2 がその方法中に不可避に気化されるであろう。次いで液体が出口ライン中でボトム流体流22として低温蒸留塔100から移動して出て行く。
【0022】
蒸留塔100を出た後に、ボトム流体流22がリボイラー160に入る。図1中、リボイラー160が再沸騰蒸気をストリッピングトレーの底部に与えるケトル型容器である。再沸騰蒸気ラインが27で見られる。加えて、再沸騰蒸気がヒーターライン25に送出されて補充の熱をメルトトレー130に与えてもよい。補充の熱が弁165及び温度コントローラーTCにより調節される。また、熱交換機、例えば、サーモサイホン熱交換機(示されていない)が初期の流体流10を冷却してエネルギーを経済的にするのに使用されてもよい。これに関して、リボイラー160に入る液体が比較的低い温度、例えば、約-1.1℃(30°F)〜4.4℃(40°F)に留まる。初期の流体流10との熱統合により、作業者は蒸留塔100からの冷ボトム流体流22を温め、部分的に沸騰させるとともに、生成流体流10を前冷却してもよい。この場合につき、ライン25により補充の熱を与える流体がリボイラー160からの混合相リターンである。
或る条件下で、メルトトレー130はヒーターライン25を使用しないで作動し得ることが意図されている。これらの場合には、メルトトレー130が内部加熱特徴、例えば、電気ヒーターを用いて設計されてもよい。しかしながら、ボトム流体流22中で利用できる熱エネルギーを使用する加熱システムが提案されることが好ましい。ヒーターライン25中の温かい流体が一局面において-1.1℃(30°F)〜4.4℃(40°F)で存在して、こうしてそれらが相関的な熱エネルギーを含む。こうして、図1中で、ヒーターライン25中の温かい蒸気流がメルトトレー130上の加熱コイル(示されていない)によりメルトトレー130に送られることが示されている。温かい蒸気流がまた移動ライン135につながれていてもよい。
【0023】
運転中、再沸騰された蒸気流の殆どがライン27を通ってカラムの底部で、ボトム液体レベルの上に、そして最後のストリッピングトレー126で、又はその下で導入される。再沸騰された蒸気が夫々のトレー126中を上向きに通過する際に、残留メタンが液体からストリッピングされる。この蒸気が塔を上に移動する際にそれが冷却する。ライン27からの蒸気流が波形メルトトレー130に達する時間まで、その温度が約-29℃(-20°F)〜-18℃(0°F)に低下し得る。しかしながら、これはメルトトレー130上で融解している固体(これは-46℃(-50°F)〜-57℃(-70°F)付近であってもよい)と較べて全く温かく留まる。蒸気はメルトトレー130と接触する際にそれは依然として充分なエンタルピーを有して固体CO2 を融解する。
リボイラー160に戻って言及して、液体形態でリボイラー160を出るボトム流24中の流体は必要によりエキスパンダー弁162を通過してもよい。エキスパンダー弁162はボトム液体生成物の圧力を低下し、冷凍効果を有効に与える。こうして、冷却ボトム流26が提供される。リボイラー160を出るCO2 に富む液体が一つ以上のAGI ウェル(図1中250に図示される)によりダウンホールでポンプ輸送されてもよい。或る状況では、液体CO2 が増進された油回収方法の一部として部分回収油溜めにポンプ輸送されてもよい。こうして、CO2 が混和性注入物であってもよい。代替として、CO2 が増進された油回収のための混和性フラッド剤として使用されてもよい。
塔100の下部蒸留ゾーン106に再度言及して、ガスがメルトトレー130中の煙突131を通って、下部蒸留ゾーン106中を上に、そして制御凍結ゾーン108に移動する。制御凍結ゾーン108が複数のスプレーノズル122を有する開放チャンバーを形成する。蒸気が制御凍結ゾーン108中を上向きに移動するにつれて、蒸気の温度が極めて冷たくなる。蒸気がスプレーノズル122から来る液体メタン(“還流”)により接触される。この液体メタンは熱交換機170を含む外部冷凍ユニットにより冷却された、上向きに移動する蒸気よりも極めて冷たい。一つの配置では、液体メタンが約-84℃(-120°F)〜-90℃(-130°F)の温度でスプレーノズル122から出る。しかしながら、液体メタンが蒸発する際に、それがその周囲から熱を吸収し、それにより上向きに移動する蒸気の温度を低下する。気化されたメタンがまた蒸留塔100内のその低下された密度(液体メタンに対して)及び圧力勾配のために上向きに流れる。
【0024】
メタン蒸気が低温蒸留塔100を更に上に移動するにつれて、それらが中間制御凍結ゾーン108を出て、上部蒸留ゾーン110に入る。蒸気がもとの冷却流体流12から発生されたその他の軽ガスとともに上向きに移動し続ける。合わされた炭化水素蒸気が低温蒸留塔100の上部から移動して、オーバーヘッドメタン流14になる。
オーバーヘッドメタン流14中の炭化水素ガスが外部冷凍ユニット170に移動される。一局面において、冷凍ユニット170がオーバーヘッドメタン14を約-93℃(-135°F)〜-98℃(-145°F)に冷却し得るエチレン冷媒又はその他の冷媒を使用する。これがオーバーヘッドメタン流14を少なくとも部分的に液化するのに利用できる。次いで冷凍メタン流14が還流冷却器又は分離チャンバー172に移動される。
分離チャンバー172は時折“液体還流”18と称される、液体からガス16を分離するのに使用される。ガス16はもとの生ガス流10からの軽炭化水素ガス、主としてメタンに相当する。窒素及びヘリウムがまた存在してもよい。メタンガス16は、勿論、痕跡のエタンとともに、捕捉され、市販されることが最終的に求められている“製品”である。オーバーヘッドメタン流14のこの非液化部分がまた燃料オンサイトに利用できる。
【0025】
冷凍ユニット170を出るオーバーヘッドメタン流14の一部が凝縮される。この部分は分離チャンバー172中で分離され、塔100に戻される液体還流18である。ポンプ19が液体還流18を塔100に移動して戻すのに使用されてもよい。また、分離チャンバー172が塔100の上に取り付けられて液体還流18の重力供給を与える。液体還流18は上部蒸留ゾーン110から逃げた二酸化炭素を含むであろう。しかしながら、液体還流18の殆どが窒素(もとの流体流10中に存在する場合)及び痕跡の硫化水素(また初期の流体流10中に存在する場合)とともに、典型的には95%以上の、メタンである。
一つの冷却配置では、オーバーヘッドメタン流14が開放ループ冷凍システム、例えば、図6Aに示され、またそれと関連して記載された冷凍システムにより取り出される。図6Aのこの配置では、オーバーヘッドメタン流112が液体還流18として使用されるオーバーヘッドメタン流の戻り部分を冷却するための交差交換機113により取り出される。その後に、オーバーヘッドメタン流112が約70kg/cm2(1,000psi)〜98kg/cm2(1,400psi)に加圧され、次いで周囲空気そしておそらく外部プロパン冷媒を使用して冷却される。次いでその加圧され、冷却されたガス流が更なる冷却のためにエキスパンダー中に送られる。ターボエキスパンダーが或るシャフト作用と同様に一層の液体を回収するのに使用されてもよい。“少なくとも一種の冷凍可能な成分を含む多成分ガス流の分離方法”という発明の名称の米国特許第6,053,007号が、オーバーヘッドメタン流の冷却を記載しており、本明細書に参考としてそのまま含まれる。
ここで、本発明はオーバーヘッドメタン流14の冷却方法により限定されないことが理解される。また、冷凍ユニット170及び初期の冷凍ユニット150の間の冷却の程度は変化されてもよいことが理解される。或る場合には、冷凍ユニット150を高温で運転することが望ましいかもしれないが、その後にオーバーヘッドメタン流14を冷凍ユニット170中で冷却することでもって一層積極的であるかもしれない。再度、本発明はこれらの型の設計上の選択に制限されない。
【0026】
図1に再度戻って、液体還流18が上部蒸留ゾーン110に戻される。次いで液体還流18が上部蒸留ゾーン110中で一つ以上の物質移動装置116に重力により運ばれる。一実施態様において、物質移動装置116が上記トレー126と同様の、カスケードする一連のウェアー118及びダウンカマー119を用意する精留トレーである。
液体還流18からの流体が精留トレー116中を下方に移動する際に、追加のメタンが上部蒸留ゾーン110から気化する。メタンガスがオーバーヘッドメタン流14と再び加わってガス製品流16の一部になる。しかしながら、液体還流18の残りの液相がコレクタートレー140に落下する。それがそうする際に、液体還流18が制御凍結ゾーン108から上向きに移動する小%の炭化水素及び残留酸性ガスを不可避にピックアップするであろう。メタンと二酸化炭素の液体混合物がコレクタートレー140で集められる。
コレクタートレー140が液体を回収するために実質的に平面のボディを形成することが好ましい。しかしながら、メルトトレー130と同様に、コレクタートレー140がまた制御凍結ゾーン108から上昇して来るガスを排出するために一つ、好ましくは複数の煙突を有する。煙突及びキャップ配置、例えば、図2B及び2C中に成分131及び132により示されるものが使用されてもよい。コレクタートレー140用の煙突141及びキャップ142が図5の拡大図に示され、以下に更に説明される。
ここで、上部蒸留ゾーン110中で、存在するH2S は液体中に溶解されるもの対加工温度におけるガス中にあるものについて選択を有することが注目される。これに関して、H2S は比較的低い相対的揮発性を有する。残りの蒸気を一層多くの液体と接触することにより、低温蒸留塔100がH2S 濃度を所望の百万分の一(ppm)制限内、例えば、10又は更には4ppm仕様内に下に誘導する。流体が上部蒸留ゾーン110中で物質移動装置116中を移動する際に、H2S が液体メタンと接触し、気相から引き出され、液体流20の一部になる。そこから、H2S が液体形態で下部蒸留ゾーン106中を下方に移動し、最終的に液化酸性ガスボトム流22の一部として低温蒸留塔100を出る。
【0027】
低温蒸留塔100中で、コレクタートレー140で捕捉された液体が液体流20として上部蒸留ゾーン110から抜き取られる。液体流20は主としてメタンを含む。一局面において、液体流20が約93モル%のメタン、3%のCO2 、0.5%のH2S 、及び3.5%のN2を含む。この時点で、液体流20が約-87℃(-125°F)〜-90℃(-130°F)である。これは液体還流18よりもほんのわずかに温かい。液体流20が還流ドラム174に送られる。還流ドラム174の目的はサージ能力をポンプ176に与えることである。還流ドラム174を出た後に、スプレー流21が生じられる。スプレー流21が低温蒸留塔100への第二の再導入のためにポンプ176中で加圧される。この場合、スプレー流21が中間制御凍結ゾーン108にポンプ輸送され、ノズル122により放出される。
スプレー流21の或る部分、特にメタンが、ノズル122を出た後に気化し、蒸発する。そこから、メタンが制御凍結ゾーン108、コレクタートレー140中の煙突、そして上部蒸留ゾーン110中の物質移動装置116中を上昇する。メタンがオーバーヘッドメタン流14として蒸留塔100を出て、最終的にガス流16中の市販製品の一部になる。
ノズル122からのスプレー流21がまた二酸化炭素をガス相から脱昇華させる。これに関して、液体メタンに初期に溶解されたCO2 がガス相に瞬時に入って、メタンとともに上向きに移動し得る。しかしながら、制御凍結ゾーン108内の低温のために、ガス状二酸化炭素が迅速に核形成し、固相に凝集し、“スノー”し始める。この現象が脱昇華と称される。この方法で、若干のCO2 がメルトトレー130に当るまでそれが液相に再度入らない。この二酸化炭素がメルトトレー130の上で“スノー”し、液相に融解する。そこから、CO2 に富む液体が上記された冷却生ガス流22からの液体CO2 とともに、下部蒸留ゾーン106中の物質移動装置を下にカスケードする。その時点で、ノズル122のスプレー流21からの残りのメタンが迅速に蒸気中に発生する。これらの蒸気が低温蒸留塔100中を上向きに移動し、上部蒸留ゾーン110に再度入る。
塔100を上に移動しているガスのできるだけ多くと接触する冷却液体を有することが望ましい。蒸気がノズル122から生じるスプレー流21をバイパスする場合、一層高いレベルのCO2 が塔100の上部蒸留ゾーン110に達し得る。制御凍結ゾーン108中のガス/液体接触の効率を改良するために、設計された形態を有する複数のノズル122が使用されてもよい。こうして、還流流体流21による一つ以上のレベルで単一スプレー源を使用することよりもむしろ、必要により多くのスプレーノズル122で設計されてもよい幾つかのスプレーヘッダー120が使用されてもよい。こうして、スプレーノズル122の形態が熱及び制御凍結ゾーン108内で起こる物質移動に影響を有する。
【0028】
本譲受人は2007年11月20日の国際出願日を有する共同未決WO特許公開第2008/091316号で種々の配置を既に提案していた。その出願並びに図6A及び6Bがノズル形状の教示のための参考として本明細書に含まれる。ノズルは制御凍結ゾーン108内の360°のカバーを確実にし、良好な蒸気-液体接触及び熱/物質移動を与えようとする。これが、順に、低温蒸留塔100中を上向きに移動するガス状二酸化炭素を一層有効に冷却する。
完全カバーのための多くのヘッダー120及び相当するオーバーラップノズル122配置の使用が同様に逆混合を最小にする。これに関して、完全カバーが微細な、低質量のCO2 粒子を蒸留塔100を逆に上に移動し、上部蒸留ゾーン110に再度入ることから防止する。次いでこれらの粒子がメタンと再混合し、再度循環されるためにだけ、オーバーヘッドメタン流14に再度入る。
蒸気を低温蒸留塔100にサイクルする方法は最終的に商用メタン製品16を含む炭化水素製品を生成することが見られる。ガス製品16が販売のためにパイプラインに送られる。充分な還流が生成される場合、ガス製品流16が1〜4モル%のパイプラインCO2 仕様だけでなく、4ppm H2S仕様を満足することが好ましい。同時に、酸性ガスが出口流体流22により除去される。
窒素が、例えば、3モル%より大きい量で存在する場合、別の窒素排除方法が使用されてもよい。パイプライン仕様は一般に3モル%未満の全不活性ガス組成を要求する。過剰の窒素を除去するための一つの選択肢は固体吸着床(示されていない)を使用することである。床中の固体吸着剤は特別な孔サイズを有するモレキュラーシーブを形成するゼオライト材料であってもよい。モレキュラーシーブがオーバーヘッドメタン流に沿って置かれて窒素をオーバーヘッド流から除去する。これが冷却の前に起こることが好ましい。
【0029】
モレキュラーシーブが一旦窒素で充分に吸着されると、それは圧力スイング吸着又は熱スイング吸着を使用して再生されてもよい。モレキュラーシーブは一般に、例えば、生供給ガスの水吸着を使用して再生し得ない。何とならば、脱着された窒素が最後にカラムに戻ることになり、こうして、そのシステムから排除されないからである。
図1と関連して記載された上記システムが実質的に酸性ガスを含まないパイプラインガス製品16を生成するのに有益であるが、そのシステムは重炭化水素を冷却ボトム流26に失う潜在性を有する。これに関して、重炭化水素、例えば、エタン及びプロパンが初期流体流10中に存在し得る。蒸留塔100が軽成分、例えば、メタン、ヘリウム、窒素、そしておそらく、若干のエタンをオーバーヘッド流14中に放出するが、殆どのエタン及びその他の重炭化水素が二酸化炭素で液化され、こうして、ボトム流26中に“失われる”であろう。これらの重炭化水素は、勿論、商用製品としての価値を有する。それ故、初期の流体流10で生成される重炭化水素を捕捉するためのシステム及び方法が本明細書に提案される。
C2及びC3+炭化水素の市場供給の大半は天然ガスから抽出される。このような成分が天然ガス液体(NGL)と普通称される。一つの一般のアプローチでは、初期流体流10が蒸留塔100に入る前に、重炭化水素が捕捉される。この方法では、“一層リーンな”ガスが蒸留塔100に供給される。
重炭化水素を上流で除去するための一つの方法は物理溶媒の使用を用いる。或る種の物理溶媒が重炭化水素についてのアフィニティーを有し、重炭化水素をメタンから分離するのに使用し得る。好適な物理溶媒の例として、N-メチルピロリドン、プロピレンカーボネート、メチルシアノアセテート、及び冷凍メタノールが挙げられる。
物理溶媒の好ましい例はテトラメチレンスルホンの化学名を有する、スルホランである。スルホランはスルホニル官能基を含む有機硫黄化合物である。スルホニル基は二つの酸素原子に二重結合された硫黄原子である。硫黄-酸素二重結合は高度に極性であり、水中の高い溶解性を可能にする。同時に、4炭素環が炭化水素についてのアフィニティーを与える。これらの性質はスルホランが水及び炭化水素の両方に混和性であることを可能にし、炭化水素混合物を精製するための溶媒としての広範な使用をもたらす。
【0030】
別の好適な物理溶媒はセレキソールTMである。セレキソールTMはダウ・ケミカル社のガス処理製品のトレード名である。セレキソールTMはポリエチレングリコールのジメチルエーテルの混合物である。一つのこのような成分の例はジメトキシテトラエチレングリコールである。セレキソールTMはまた炭化水素混合物を精製するための溶媒として使用されてもよい。
図6Aは一実施態様における、酸性ガスをガス流から除去するためのガス加工設備600を示す略図である。ガス加工設備は酸性ガス除去システムの上流の物理溶媒プロセスを使用する。総合の酸性ガス除去システムが一般に650により示され、一方物理溶媒プロセスがブロック605により示される。酸性ガス除去システム650はブロック100で分離容器を含む。ブロック100は一般に図1の制御凍結ゾーン塔100を示すが、あらゆる低温蒸留塔を表してもよい。
図6A中、生成ガス流が612で示される。生成ガス流612は溜め発生領域、即ち“現場”610中で起こる炭化水素生成活動に由来する。現場610はガス状炭化水素が生成されるあらゆる場所を表してもよいことが理解される。
現場610は陸上、海岸付近又は海洋であってもよい。現場610はもとの溜め圧力から作業してもよく、又は増進された回収操作を受けてもよい。本明細書で特許請求されたシステム及び方法は、それが酸性ガスで汚染された炭化水素を生成している限り、開発下にある現場の型に限定されない。炭化水素は主としてメタンを含むが、また2〜10モル%のエタン及び/又はその他の重炭化水素を含むであろう。
【0031】
生成ガス流612は、例えば、現場610からガス加工設備600へと、パイプライン中を通されてもよい。ガス加工設備600に達した後、生成ガス流612がグリコール脱水容器の如き脱水プロセスに送られてもよい。脱水容器が620で図示される。生成ガス流612を脱水容器620に通すことの結果として、水性流622が生成される。或る場合には、生ガス流が水ドロップアウト及び水和物生成を防止するためにモノエチレングリコール(MEG) と混合されてもよい。MEG は、例えば、冷却器に噴霧されてもよく、液体が、冷却器の温度及び入口ガス組成に応じて、水、一層濃縮されたMEG 、そしておそらく若干の重炭化水素への分離のために集められる、
水性流622は水処理設備に送られてもよい。また、水性流622は地下層に再注入されてもよい。地下層はブロック630で示される。更にまた、除去された水性流622が処理され、次いで処理水として地方の分水界(示されていない)に放出されてもよい。
また、生成ガス流612を脱水容器620に通すことの結果として、実質的に脱水された生ガス流624が生成される。生ガス流624は痕跡量の窒素、ヘリウム及びその他の不活性ガスを含んでもよい。本システム及び方法と関連して、脱水されたガス流624がまたエタンそして、おそらく、プロパン又は更には痕跡量のブタン及び芳香族炭化水素を含む。これらは重炭化水素に相当する。
生ガス流624は必要により予備冷凍ユニット625に通されてもよい。冷凍ユニット625はガス流624を約-6.7℃(20°F)〜10℃(50°F)の温度に冷却する。冷凍ユニット625は、例えば、空気冷却器又はエチレンもしくはプロパン冷凍機であってもよい。
図6Aに示されたシステムでは、システムが重炭化水素を生ガス流624から除去する。ガス加工設備600に従って、物理溶媒システム605が用意される。脱水されたガス流624が物理溶媒システム605に入る。物理溶媒システム605がガス流624を物理溶媒と接触させて重炭化水素を吸収のプロセスにより除去する。これが比較的低い温度及び比較的高い圧力で起こり、この場合、酸性ガス成分の溶解性がメタンのそれよりも大きい。
図6Bは一実施態様における、物理溶媒システム605の略図を示す。物理溶媒システム605が作動して重炭化水素を除去するために脱水されたガス流624と接触する。脱水されたガス流624が入口セパレーター660に入ることが見られる。入口セパレーター660はあらゆる凝縮された炭化水素を除去するのに利用できる。入口セパレーター660はまた液体不純物、例えば、掘削流体を濾別し得る。理想的に、水が上流の脱水容器620中で除去される。若干の粒子濾過がまた起こってもよい。液体溶媒の発泡を酸性ガス処理方法中に防止するようにガス流624をきれいに保つことが望ましいことが理解される。
【0032】
掘削流体の如き液体が入口セパレーター660の底部から落下する。液体不純物流が662に見られる。液体不純物が典型的には水処理設備(示されていない)に送られ、又は溜め圧力を持続するために、もしくは廃棄のために地層に再注入されてもよい。ガスが一口セパレーター660の上部から出る。きれいにされたガス流が664に見られる。
きれいにされたガス流664は必要によりガス間交換機665に送られてもよい。ガス間交換機665はきれいにされたガス流664中のガスを予備冷却する。次いできれいにされたガスが吸収器670に送られる。吸収器670中の吸収剤は、例えば、溶媒であってもよく、一方、吸収器は向流接触塔であってもよい。これに関して、きれいにされたガス流664がその塔670の底部に入り、その間に溶媒696がその塔670の上部に入る。その塔670はトレー型の塔、充填塔、又はその他の型の塔であってもよい。
ガス-液体接触に設計されたあらゆる数の非塔装置がまた利用されてもよいことが理解される。これらとして、スタチックミキサー及び並流接触装置が挙げられるかもしれない。図6Bの向流塔は単に説明目的のためである。重要なことに、一つ以上のガス-液体接触容器のためのコンパクトな、並流コンタクターの使用が好ましく、このようなものとして物理溶媒システム605の総合のフットプリント(footprint)及び質量を軽減し得る。
【0033】
接触プロセスの結果として、軽ガス流678が生成される。軽ガス流678は塔670の上部から来る。ついで軽ガス流678が冷凍プロセスに行き、その後に図6A中ブロック100で図示された低温蒸留塔に送られる。
瞬時に図6Aに戻って言及すると、軽ガス流678が物理溶媒システム605を出て、冷却器626を通過する。冷却器626は軽ガス流678を約-34℃(-30°F)〜-40℃(-40°F)の温度に冷却する。冷却器626は、例えば、エチレン又はプロパン冷凍機であってもよい。
軽ガス流678は次に膨張装置628中を移動されることが好ましい。膨張装置628は、例えば、ジュール-トンプソン(“J-T”)弁であってもよい。膨張装置628は軽ガス流678の更なる冷却を得るためのエキスパンダーとして利用できる。膨張装置628は軽ガス流678の温度を、例えば、-57℃(-70°F)〜-62℃(-80°F)に更に低下する。ガス流624の少なくとも部分的な液化がまた達成されることが好ましい。冷却されたガス流がライン611に示される。
図6Bを再度参照して、接触塔670が重炭化水素をピックアップするであろう。これらが“リッチ”溶媒として塔670の底部から放出される。リッチ溶媒流672が塔670を出るのが見られる。
図6Bの配置では、リッチ溶媒流672が動力回収タービン674中に運ばれる。これは電気エネルギーが物理溶媒システム605のために発生されることを可能にする。そこから、リッチ溶媒流672が一連のフラッシュセパレーター680中に運ばれる。図6Bの例示の配置では、三つのセパレーターが682、684及び686で示される。セパレーター682、684、686は物理溶媒プロセスに従って次第に低い温度及び圧力で運転する。
第一のセパレーター682は、例えば、35kg/cm2(500psi)の圧力及び32℃(90°F)の温度で運転してもよい。第一のセパレーター682はリッチ溶媒流672中に連行された軽ガスを放出する。681で示される、これらの軽ガスは主としてメタン、CO2 、及びH2S を含む。軽ガス681が軽ガス流678の一部として低温蒸留塔100に送られる。軽ガス681がコンプレッサー690中を移動して低温蒸留塔100への途中で圧力を増大することが好ましい。蒸留塔100が溶媒プロセスの第一フラッシュ段階682よりも低い圧力で運転される場合、圧縮が必要ではないかもしれない。
【0034】
理想的に、きれいにされたガス流664からの全ての重炭化水素がリッチ溶媒流672で捕捉されていた。次第にリッチになる溶媒流が夫々のセパレーター682、684、686から放出される。これらの次第にリッチの流れがライン683、685及び687で示される。こうして、物理溶媒が一般に溶解ガスを溶媒からフラッシさせる圧力低下により再生される。
ライン687は、勿論、最もリッチな溶媒流である。この溶媒流687の一部がブースターポンプ692中に運ばれ、半分リーンな溶媒として接触塔670に再導入される。693で示される、残りの部分がストリッピング容器652に送られる。
三つのセパレーターのうちの第二684及び第三686と関連して、これらの684、686の夫々がまた非常に少量の軽ガスを放出することが注目される。これらの軽ガスはおそらく少量のメタンとともに主として二酸化炭素を含むであろう。これらの軽ガスが二つの別々のラインで689で示される。軽ガス689が圧縮され、ライン611で合わされ、次いで低温蒸留塔100に送られてもよい。また、ライン689からの軽ガスが図6A中で642で示されたボトム液化酸性ガス流に直接送出されてもよい。
上流の重炭化水素除去のために物理溶媒を使用することの一つの利点は溶媒が一般に吸湿性であることである。これはその後のガス脱水工程の必要を省くかもしれない。この目的のために、選ばれる溶媒が乾燥していることが好ましい。この方法では、溶媒が生天然ガスを更に脱水するのに使用されてもよい。この場合には、水が再生器652から蒸気流691中に現れるかもしれない。欠点は若干の軽炭化水素及びCO2 が或る程度まで物理溶媒に同時吸着されることである。多くのセパレーター682、684、686の使用がメタンの殆どを除去するが、典型的にはその全てではない。
【0035】
ストリッピング容器652につき再度言及すると、ストリッピング容器652はヒーターとして作用する。重炭化水素が追い払われ、その結果、それらがライン655を通ってストリッピング容器652を出る。重炭化水素655が図6A及び6Bの両方に物理溶媒システム605を出ることが示されている。重炭化水素655が冷却のために熱交換機656に送られてもよい。そこで、重炭化水素655が凝縮され、液体重炭化水素生成物が657で生じられる。液体重炭化水素生成物657は天然ガス液体、即ちNGL を含む。NGL 657は必要により最終分離容器658中に送られてもよい。分離容器658は容器658の上部からライン691を通って少量の残存メタン、CO2 、水蒸気、及びストリッピングガス(651で示され、以下に説明される)を放出し、その間に精製天然ガス液体が容器658の底部付近でライン659を通って再販売のために商用製品として捕捉される。
図6Bに示されるストリッピング容器652はストリッピングガスを利用して重炭化水素を溶媒から分離する。ストリッピング容器652は幾つかの数のストリッピングガスで供給し得る。例は高CO2 含量を有する燃料ガス流である。高CO2 含量がストリッピングガス651に好ましい。何とならば、それが溶媒をCO2 で“予備飽和する”ことを助け、それにより生ガス624からの一層少ないCO2 ピックアップをもたらし得るからである。ストリッピングガス651は、例えば、低圧フラッシュ段階、即ち、セパレーター686からの軽ガス流689の一部であってもよく、炭化水素の一部の潜在的な回収を可能にする。いずれの場合にも、重炭化水素が一旦ストリッピング容器652から蒸発されると、ストリッピングガス651がコンプレッサー又はブロワー(示されていない)によりストリッピング容器652に循環されてもよい。
再生溶媒が再生容器652の底部から送られる。再生溶媒が653として出る。再生溶媒653が小型ブースターポンプ654により運ばれる。その後の一層大きいポンプ694がカラム670の上部について一層高い運転圧力に達するのに利用されてもよい。その後に、再生溶媒653が冷凍ユニットを有する熱交換機695により冷却されることが好ましい。冷却され、再生された溶媒696がその後に逆にコンタクター670に循環される。
【0036】
再度、図6Aを参照して、ライン611中の冷却ガス流が低温蒸留塔100に入る。低温蒸留塔100はCO2 粒子を強烈に凍結するプロセスによりメタンを酸性ガスから蒸留するように運転するあらゆる塔であってもよい。低温蒸留塔は、例えば、図1のCFZTM 塔100であってもよい。ライン611の冷却ガス流が約35kg/cm2ゲージ圧(500psig)〜42kg/cm2ゲージ圧(600psig)で塔100に入る。
図1と関連して説明されたように、酸性ガスが液化酸性ガスボトム流642として蒸留塔100から除去される。ボトム流642は必要によりリボイラー643に送られてもよく、そこでメタンを含む流体がガス流644として逆に塔100に再度送られる。主として酸性ガスを含む残りの流体が酸性ガスライン646により放出される。ライン646中の酸性ガスは液体形態である。酸性ガスは気化され、圧抜きされ、次いで硫黄回収ユニット(示されていない)に送られてもよい。また、ライン646中の液化酸性ガスはブロック649により示された一つ以上の酸性ガス注入(AGI) ウェルにより地下層に注入されてもよい。この場合には、ライン646中の酸性ガスが圧力ブースター648に通されることが好ましい。
メタンがオーバーヘッドメタン流112として蒸留塔100から放出される。オーバーヘッドメタン流112が約2モル%以下の二酸化炭素を含むことが好ましいであろう。この%で、オーバーヘッドメタン流112が燃料ガスとして使用されてもよく、又は天然ガスとして或る市場に販売されてもよい。しかしながら、本明細書中の或る方法に従って、オーバーヘッドメタン流112が更なる加工を受けることが望ましい。更に詳しくは、オーバーヘッドメタン流112が開放ループ冷凍システムに通される。
最初に、オーバーヘッドメタン流112が交差交換機113に通される。交差交換機113は還流18(これはエキスパンダー装置19による膨張後に低温蒸留塔100に再導入される)を予備冷却するのに利用できる。オーバーヘッドメタン流112が次にコンプレッサー114に送られてその圧力を増大する。
【0037】
次に、加圧されたメタン流112が冷却される。これは、例えば、メタン流112を空気冷却器115に通すことにより行なわれてもよい。冷たく、かつ加圧されたメタン流16が生成される。メタン流16が液化されて商用製品を生成してもよい。
冷却器115を出る冷却され、加圧されたメタン流116の一部が還流18に分けられる。還流18が熱交換機113中で更に冷却され、次いで装置19により膨張されて図1の冷スプレー流21を生成する。冷スプレー流21が蒸留塔100に入り、そこでそれが冷液体スプレーとして使用される。液体スプレー、即ち還流が、制御凍結ゾーン(図1の108で示される)の温度を低下し、上記脱水ガス流624からCO2 及びその他の酸性ガス粒子を凍結することを助ける。
硫化水素が脱水生ガス流624中に存在する場合、それの多くが重炭化水素とともにセパレーター682、684、686を通過することが図6A及び6Bと関連して最後に注目される。硫化水素の幾つかがライン687により接触塔670に逆に循環し得る。このシナリオを避けるために、接触塔670の上流にH2S-選択的除去プロセスを有することが好ましいかもしれない。その分離は選択的アミンによる吸収、酸化還元方法、又は吸着の如き伝統的H2S分離方法で達成し得る。硫化水素が硫黄回収ユニット(示されていない)又は酸性ガス注入ウェル649次いで溜めに送出されてもよい。
酸性ガス除去システムの上流の重炭化水素を除去するための別の潜在的方法が“リーン(lean)オイル”方法として知られている。そのリーンオイル方法は先に説明された物理溶媒方法と実に似ている。この場合には、ガス-液体吸着方法で物理溶媒を使用することに代えて、液体炭化水素の流れがきれいにされたガス流664と接触装置中で接触される。こうして、スルホラン又はセレキソールガスを物理溶媒として使用する代わりに、プロパン又は同様の重炭化水素化合物が使用される。
リーンオイル方法では、重炭化水素が“似たものが似たものを溶解する”という原理に基づいてきれいにされたガス流664から優先的に除去される。リーンオイルはC3+成分を図6B中でリッチ溶媒流672と称されたものに吸着する。重炭化水素成分が接触塔670中できれいにされたガス流664からストリッピングされる。リッチ溶媒流672中の重炭化水素がセパレーター(例えば、セパレーター682)により取り去られて残留メタンを回収する。リーンオイル/重炭化水素混合物の一部がライン687により接触塔670に逆に循環され、一方、その混合物の殆どが別の重炭化水素製品として回収される。
一局面において、リーンオイルがきれいにされたガス流664との接触の前に冷却される。リーンオイルを約-18℃(0°F)〜1.7℃(35°F)の温度に冷却することがC3炭化水素だけでなく、C2成分の回収を改良し得る。同時に、冷却されたリーンオイルがかなりのメタンそして、時々、二酸化炭素成分の一部を同時吸着する傾向を有し得る。それ故、リーンオイルが約-23℃(-10°F)〜-34℃(-30°F)の温度に維持されることが好ましい。
【0038】
酸性ガス除去システムの上流で重炭化水素を除去するために本明細書に提案された別の方法は膜の使用を伴なう。膜はポリマー材料を横切っての高圧から低圧への選ばれた分子の透過により作動する。
膜コンタクターが酸性ガスをスクラビングするための手段として知られている。例えば、米国特許第7,442,233号はアミン処理の前の二酸化炭素の部分除去のためのバルク酸性ガス除去膜(その’233特許の図3に66で見られる)の使用を説明している。このような方法は天然ガス流のCO2 含量が少なくとも10容積%である場合に有益であると言われている。その’233特許は重炭化水素を捕捉するのに膜コンタクターを使用しておらず、その代わりに、膜が天然ガス流の二酸化炭素含量の一部を捕捉し、次いで酸性ガス流がCO2 の完全な除去のためにその後のアミン処理を受けることが注目される。若干の重炭化水素が熱スイング又は、おそらく、圧力スイング吸着を使用して膜の上流で捕捉されるが、商用製品のために集められない。実際に、その’233特許は生ガス供給流が低い重炭化水素含量を有する場合に、初期スイング吸着工程が省かれ、生天然ガス供給流がアミン処理に直接送られることを欄12に記述している。
【0039】
本件出願人はゴム状膜の如き或る型の膜が軽炭化水素に対し重炭化水素を優先的に吸着し、溶解し、透過することを認識していた。このような膜が重炭化水素を除去するために低温蒸留方法の上流に設置されてもよい。重炭化水素の捕捉のためのゴム状膜の例として、ニトリルゴム、ネオプレン、ポリジメチルシロキサン(シリコーンゴム)、クロロスルホン化ポリエチレン、ポリシリコーンカーボネートコポリマー、フルオロエラストマー、可塑化ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、シス-ポリブタジエン、シス-ポリイソプレン、ポリ(ブテン-1)、ポリスチレン-ブタジエンコポリマー、スチレン/ブタジエン/スチレンブロックコポリマー、スチレン/エチレン/ブチレンブロックコポリマー、及び熱可塑性ポリオレフィンエラストマーが挙げられる。
図7は別の実施態様におけるガス加工設備700の略図を示す。この設備は一般に図6Aのガス加工設備600に従う。これに関して、脱水ガス流624が冷却され、次いでライン611を通って酸性ガス除去システム750にサワーガスとして送出される。しかしながら、この場合には、接触塔670とともに物理溶媒システム605を使用する代わりに、膜コンタクター710が使用される。膜コンタクターは重炭化水素を脱水ガス流624から優先的に吸着する。透過物712が低圧、例えば、大気圧付近で膜コンタクター710から放出される。透過物712は主として重炭化水素(これらは販売のために捕捉される)を含む。
重炭化水素をメタン、若干のCO2 及びH2S に対し優先的に吸着する膜はまたゴム状ポリマー材料中を透過し得ることが知られている。それ故、膜で捕捉された重炭化水素がおそらくCO2 そして、生成ガス612中に初期に存在する場合の、H2S で汚染されるであろう。これは透過物712がおそらく酸性ガスを含み、更なる加工を必要とし得ることを意味する。
【0040】
酸性ガス除去システムの上流で重炭化水素を除去するための本明細書に提案される別の方法は吸着動的分離、即ちAKS と称される方法である。AKS は或る種がその他の種に対して構造吸着剤に吸着される速度に頼る比較的新しいクラスの固体吸着剤を使用する。これは選択性が主として固体吸着剤の平衡吸着特性により付与される伝統的な平衡制御スイング吸着方法とは対照的である。後者の場合には、微小孔又は自由容積の吸着剤中の軽生成物の競合的吸着等温が有利とされない。
動的制御スイング吸着方法では、選択性が主として吸着剤の拡散特性及び微小孔中の輸送拡散係数により付与される。吸着剤は2種以上のガス成分について“動的選択性”を有する。本明細書に使用される“動的選択性”という用語は2種の異なる種についての単一成分拡散係数、D(単位:m2/秒)の比と定義される。これらの単一成分拡散係数はまた所定の純粋ガス成分のための所定の吸着剤について測定されるステファン-マックスウェル輸送拡散係数として知られている。それ故、例えば、成分Bに対する成分Aについての特別な吸着剤についての動的選択性はDA/DB に等しいであろう。物質についての単一成分拡散係数は吸着剤の業界で良く知られている試験により測定し得る。
動的拡散係数を測定するのに好ましい方法はReyesら著“多孔性固体における拡散及び吸着測定のための周波数変調方法”, J. Phys. Chem. B. 101, 614-622頁(1997)に記載された周波数応答技術による。動的制御分離では、第二の成分(例えば、成分B)に対する第一の成分(例えば、成分A)についての選ばれた吸着剤の動的選択性(即ち、DA/DB)が5より大きいことが好ましく、更に好ましくは20より大きく、更に好ましくは50より大きい。
吸着剤がゼオライト材料であることが好ましい。重炭化水素の除去に適当な孔サイズを有するゼオライトの非限定例として、MFI 、フォージャサイト、MCM-41及びベータが挙げられる。重炭化水素除去のための本発明の方法の実施態様に利用されるゼオライトのSi/Al 比は吸着剤の過度の汚損を防止するために約20から約1,000まで、好ましくは約200から約1,000までであることが好ましい。炭化水素ガス成分の分離のための吸着動的分離の使用についての追加の技術情報は米国特許公開第2008/0282884号であり、その全開示が参考として本明細書に含まれる。
現行の吸着動的分離(AKS) 適用において、重(一層遅い)炭化水素が吸着剤により保持されるであろう。これはそれらが低圧で回収されることを意味する。軽成分、即ち、メタン、N2、及びCO2 は、他方で、中間圧力でサワーガス流として吸着剤から放出されるであろう。サワーガス流が冷却され、次いで酸性ガス除去システムに送られる。
【0041】
図8は吸着動的分離方法を使用するガス加工設備800の略図を示す。この設備800は一般に図6Aのガス加工設備600に従って作動する。これに関して、脱水生ガス流624が冷却され、次いでライン611を通って酸性ガス除去システム850にサワーガス流として送出される。しかしながら、酸性ガス除去システム850の上流で接触塔670とともに物理溶媒システム605を使用する代わりに、AKS 固体吸着剤床810が使用される。吸着床810は重炭化水素を優先的に吸着する。次いで天然ガス液体流814が低圧で固体吸着剤床から放出される。
天然ガス液体流814は主として重炭化水素を含むが、また若干の二酸化炭素を含む。この理由のために、蒸留方法が二酸化炭素を天然ガス液体から分離するのに試みられることが好ましい。蒸留容器が820で示される。蒸留容器820は、例えば、汚染洗浄システムとして使用されるトレー型カラム又は充填カラムであってもよい。二酸化炭素ガスがオーバーヘッドライン824により放出される。ライン824が溜め649への酸性ガス注入のための酸性ガスライン646と合体されることが好ましい。重炭化水素がボトムライン822を通って容器820から出て、そこでそれらが販売のために捕捉される。
システム800の吸着動的分離方法は大過剰の圧力下で生成された天然ガス流から重炭化水素を回収するのに一層有益であり得ることが注目される。この状況で、ライン611中のサワーガスが低温蒸留塔100により加工されるのに適当な圧力を有する。過度の圧力の例は28kg/cm2ゲージ圧(400psig)より大きい圧力であろう。
吸着床810が軽ガス流812を放出する。軽ガスは主としてメタン及び二酸化炭素を含む。低温蒸留塔100に入る前に冷却が軽ガス812に施されることが好ましい。例示のガス加工設備800では、軽ガス812が冷凍ユニット626、次いで膨張装置628に通される。膨張装置628は、例えば、ジュール-トンプソン(“J-T”)弁であってもよい。軽ガス812の少なくとも部分的な液化が冷却と関連して達成されることが好ましい。冷却されたサワーガス流が611で生成され、これが酸性ガス除去システム850に送られる。
【0042】
酸性ガス除去システムの上流で重炭化水素を除去するための本明細書で提案される別の方法は抽出蒸留と称される方法である。抽出蒸留は少なくとも二つの蒸留カラムとともに溶媒を利用して近く沸騰する成分の分離を促進する。
図9は抽出蒸留システム900が使用されるガス加工設備900の略図を示す。抽出蒸留システム900が低温蒸留塔100の上流に示される。開始時に、脱水ガス流624が入口セパレーター660に入ることが見られる。入口セパレーター660は凝縮炭化水素を除去するのに利用できる。入口セパレーター660はまた掘削液体の如き液体不純物を分離し得る。若干の粒子濾過がまた起こるかもしれない。酸性ガス処理方法中に液体溶媒の発泡を防止するようにガス流624をできるだけきれいに保つことが望ましいことが理解される。
液体不純物が入口セパレーター660の底部から落下する。不純物流が662に見られる。同時に、ガスが入口セパレーター660の上部から出る。きれいにされたガス流が664に見られる。きれいにされたガス流664は軽炭化水素及び重炭化水素の両方を有する。きれいにされたガス流664はまた二酸化炭素の如き酸性ガスを有する。
きれいにされたガス流664が抽出蒸留カラムに入る。図9の例示の配置では、二つの溶媒回収カラム910、920が示される。しかしながら、二つより多いカラムが使用されてもよいことが理解される。
抽出蒸留カラム910は容器中で溶媒をきれいにされたガス流664と混合する。第一のカラム910中で、温度が一般に-73℃(-100°F)〜10℃(50°F)である。第一のカラム910中で、溶媒が重炭化水素を吸収し、溶媒を重炭化水素ボトム流914としてカラム910を去らせる。それはまたCO2 の多くを含むであろう。同時に、軽炭化水素がオーバーヘッド流912中でカラム910を出る。
【0043】
重炭化水素ボトム流914がCO2 除去カラム920に入る。第二のカラム920の温度は一般に-18℃(0°F)〜121℃(250°F)であり、これは第一のカラム910中の温度よりも高い。第二のカラム920中で、溶媒及び重炭化水素が重炭化水素ボトム流924としてカラム920を再度出る。同時に、エタン及び二酸化炭素がオーバーヘッド二酸化炭素流922として第二のカラム920を出る。オーバーヘッド流922は必要によりオーバーヘッド流912に合体されてもよいが、それらが別々に保たれることが好ましい。オーバーヘッド流922が図9に示されるように廃棄のために送られることが好ましい。オーバーヘッド流912中のCO2 含量がパイプライン仕様にあまりにも高い場合、オーバーヘッド流912中の軽ガスがコンプレッサー940により再度加圧され、次いで冷凍ユニット626及びJ-T 弁628により冷却されることが好ましい。次いで再度加圧され、部分液化された軽成分が低温蒸留塔100に入る。塔100が作動して酸性ガスをメタンから分離し、オーバーヘッドメタン流12及びボトム酸性ガス流22を生成する。
一局面において、オーバーヘッド二酸化炭素流922が酸性ガスボトム流22に直接送られてもよい。
最後のカラム930が図9に示される。最後のカラム930は添加剤回収カラムである。添加剤回収カラム930は蒸留原理を使用して重炭化水素成分(“天然ガス液体”として知られている)を溶媒から分離する。第三のカラム930中の温度は一般に27℃(80°F)〜177℃(350°F)であり、これは第二のカラム930中の温度よりも高い。天然ガス液体がライン932を通ってカラム930を出て、残留H2S 及びCO2 の除去のための処理ユニットに運ばれる。この処理ユニットは、例えば、アミンがH2S/CO2除去に使用される液体間抽出器であってもよい。
溶媒がボトム溶媒流934として添加剤回収カラム930を出る。ボトム溶媒流934は再生添加剤に相当する。ボトム溶媒流934の大半が抽出蒸留方法のための第一のカラム910に再度導入される。流れ934からの過剰の溶媒が必要によりライン936により処理のために天然ガス液体流932と合わされてもよい。
重炭化水素をサワーガス流から除去するための付加的な方法が図10及び11に示される。最初に、図10は低温蒸留塔100の上流のターボ-エキスパンダーを利用するガス加工設備1000の略図を示す。ターボ-エキスパンダーが1010に見られる。
ガス加工設備1000は一般に図6Aのガス加工設備600に従う。これに関して、脱水ガス流624が冷却され、次いでライン611中のサワーガス流として酸性ガス除去システム1050に送出される。しかしながら、この場合、接触塔670とともに物理溶媒システム605を使用する代わりに、ターボ-エキスパンダー1010続いてセパレーター1020が使用される。
ターボ-エキスパンダーは高圧ガスが膨張される遠心分離タービン又は軸流タービンである。ターボ-エキスパンダーは典型的には、例えば、コンプレッサーを駆動させるために使用されてもよい動力を生じるのに使用される。これに関して、ターボ-エキスパンダーが圧縮又は冷凍のようなプロセスのためのシャフト動力の源を生じる。本適用において、ターボ-エキスパンダー1010がライン1012に示される、電気を発生するのに使用されることが好ましい。
【0044】
サワーガスがライン1014を通ってターボ-エキスパンダー1010から放出される。このガス1014はターボ-エキスパンダー1010により生じられる圧力の低下のために冷却状態である。冷却ガス1014の少なくとも一部、特に重炭化水素成分が液化されてもよいが、温度がCO2固化温度より上に維持されるべきである。冷却ガス1014が1020で示される、セパレーターに送出される。セパレーター1020は冷却ガス1014を重炭化水素成分及び軽ガス成分に分離する。重炭化水素(これらはまたCO2 を含む)がライン1024を通ってセパレーター1020から落下され、販売のために捕捉される。二酸化炭素を含む軽炭化水素がライン1022中を通され、図1の塔100の如き、蒸留塔に送出される。
【0045】
追加の冷却が低温蒸留塔100に入る前に軽ガス1022に施されることが好ましい。例示のガス加工設備1000では、軽ガス1022が冷凍ユニット626に通される。冷凍ユニット626が軽ガス1022を約-34℃(-30°F)〜-40℃(-40°F)の温度に冷却する。冷凍ユニット626は、例えば、エチレン又はプロパン冷凍機であってもよい。
充分な圧力が利用できる場合、軽ガス1022が次に膨張装置628中に移動されることが好ましい。膨張装置628は、例えば、ジュール-トンプソン(“J-T”)弁であってもよい。膨張装置628は軽ガス1022の更なる冷却を得るためのエキスパンダーとして利用できる。膨張装置628は更に軽ガス1022の温度を、例えば、約-57℃(-70°F)〜-62℃(-80°F)に低下する。ガス1022の少なくとも部分的な液化がまた達成されることが好ましい。冷却サワーガス流がライン611に示される。ライン611中のサワーガスが酸性ガス除去システム1050に送られる。
図11は低温蒸留塔100の上流で重炭化水素を軽ガス流から分離する別のガス加工設備1100の略図を示す。この配置では、ガス加工設備1100がサイクロン装置を分離方法の一部として利用する。サイクロン装置が1110で図示される。
ガス加工設備1100は一般に図6Aのガス加工設備に従う。これに関して、脱水ガス流624が冷却され、次いでライン611中のサワーガス中で酸性ガス除去システム1150に送出される。しかしながら、この場合には、接触塔670とともに物理溶媒システム605を使用する代わりに、サイクロン装置1110が使用される。サイクロン装置1110は脱水ガス流624からの重炭化水素の部分分離を与える。
サイクロン装置は典型的には回転効果及び重力を使用して物質を分離する細長い、円錐形装置である。サイクロン装置は粒状物を空気、ガス又は水流から除去するのに最も普通に使用される。サイクロン装置は渦巻き分離の原理で作動する。それらはフィルターの使用なしで有効な分離を達成し得る。本適用において、サイクロン装置1110が軽ガスからの重炭化水素の初期の部分分離を与える。典型的には、約25%の圧力低下がサイクロン装置1110で達成される。
好適なサイクロン装置1110の一例がオランダのTwister, B.V.から入手し得るTWISTERTM超音波セパレーターである。TWISTERTMはガスを受け取り、それを秒以下の超音波速度に加速するコンパクトな管状装置である。TWISTERTMが水及び/又は重炭化水素を軽ガスから分離するのに使用されてもよい。サイクロン装置の別の好適な例はボルチセプである。ボルチセプは重炭化水素又は水を天然ガスから分離するのに使用し得る渦巻き管である。渦巻き管はランケ-ヒルシュ物理学で作動する。流体流が細長い管の中心に接線方向に注入される。流体が管内で回転し、第一の流体成分が一端で温かい流体として出て、第二の流体成分が反対端部で冷たい流体として出る。
【0046】
図11に見られるように、サイクロン装置1110は軽ガス1122を放出する。軽ガス1122は軽炭化水素、主としてメタン、及びCO2 の如き酸性ガスを含む。図10と関連して上記されたように、軽ガス1122がライン611中のサワーガス流としての低温蒸留塔100への送出の前に冷却される。
サイクロン装置1110はまた重流体流1112を放出する。重流体流1112は初期に脱水ガス流624の一部であった重炭化水素を含む。サイクロン装置は流体成分の分離に完全には有効ではないので、重流体流1112はまた若干の軽炭化水素及び二酸化炭素を含むであろう。それ故、重流体流1112が更なる加工のために流体セパレーター1120に送出される。流体セパレーター1120は、例えば、凝縮物安定装置であってもよい。
流体セパレーター1120はライン1126により重炭化水素を放出する。ライン1126中の重炭化水素が販売のために捕捉される。流体セパレーター1120はまたライン1124で示された軽ガスを放出する。軽ガス1124は軽炭化水素、主としてメタン、及び酸性ガスを含む。ライン1124中の軽ガスが冷却の前にライン1122中の軽ガスと合体されることが好ましい。また、ライン1124中の軽ガスが圧縮され、注入又は廃棄のためにボトム酸性ガスライン646と合わされる。
【0047】
低温蒸留塔の上流の重炭化水素の除去に使用し得る二つの付加的な方法は吸着床の使用を伴なう。一つの方法は熱スイング吸着を使用し、一方、その他の方法は圧力スイング吸着を利用する。夫々の場合に、吸着剤が再使用のために再生される。
図12は重炭化水素の除去のために熱スイング吸着を使用するガス加工設備1200の略図を示す。ガス加工設備1200は一般に図6のガス加工設備600に従って運転する。これに関して、脱水ガス流624が冷却され、次いでライン611中のサワーガス流により酸性ガス除去システム1250に送出される。しかしながら、接触塔670とともに物理溶媒システム605を使用する代わりに、熱スイング吸着システム1210が使用される。熱スイング吸着システム1210は脱水ガス流624からの重炭化水素の少なくとも部分的な分離を与える。
熱スイング吸着システム1210は軽ガスを通しながら、重炭化水素を選択的に吸着するために吸着床を使用する。軽ガスがライン1212で放出されるのが示される。軽ガス1212は二酸化炭素を含み、図1の塔100の如き蒸留塔に送出される。
追加の冷却が低温蒸留塔100に入る前に軽ガス1212に施されることが再度好ましい。例示のガス加工設備1000では、軽ガス1212が冷凍ユニット626、次いで膨張装置628に通される。膨張装置628は、例えば、ジュール-トンプソン(“J-T”)弁であってもよい。ガス1212の少なくとも部分的な液化が冷却と関連して達成されることが好ましい。冷却サワーガス流が生成され、ライン611に送出され、これが酸性ガス除去システム1250に送られる。
再度、熱スイング吸着システム1210について言及すると、熱スイング吸着システム1210中の吸着床がゼオライトから加工されたモレキュラーシーブであることが好ましい。しかしながら、シリカゲルで充填された床の如きその他の吸着床が使用されてもよい。炭化水素ガス分離の当業者は吸着床の選択が典型的には重炭化水素の組成に依存することを理解するであろう。例えば、モレキュラーシーブ床がC2〜C4成分を除去するのに最も有効であるかもしれず、一方、シリカゲル床がC5+重炭化水素を除去するのに最も有効であるかもしれない。
【0048】
運転中、吸着床が加圧チャンバー中にある。吸着床が脱水ガス流624を受け取り、或る量の二酸化炭素とともに重炭化水素を吸着する。吸着システム1210中の吸着床は床が一旦重炭化水素で飽和されるようになると交換されるであろう。重炭化水素(及び関連酸性ガス)が加熱乾燥ガスを使用して床を加熱することに応答して床から放出されるであろう。好適なガスとして、オーバーヘッドメタン流112の一部、加熱窒素、又はそれ以外に入手し得る燃料ガスが挙げられる。図12に見られるように、重炭化水素流体流がライン1214により放出される。
ブロック1240は吸着床のための再生ヒーターを示す。再生チャンバー1240が乾燥ガス1232を受け取る。図12の配置では、乾燥ガスがオーバーヘッドメタン流112から受け取られる。オーバーヘッドメタン流112は主としてメタンを含むが、痕跡量の窒素及びヘリウムをまた含んでもよい。オーバーヘッドメタン流112が再生ヒーター中で圧縮されてガスの圧力を上昇することが好ましい。圧力ブースターが1230で示される。しかしながら、再生は主として上昇された温度により起こる。
オーバーヘッドメタン流112の5〜10%が適当な再生に必要とされるかもしれない。再生チャンバー1240は再生流体流1242を放出する。再生流体流1242が吸着システム1210に送られる。
熱スイング再生サイクルのために、少なくとも三つの吸着床が必要とされることが好ましい。第一の床が吸着システム1210中の吸着に使用され、第二の床が再生を受けており、また第三の床が既に再生されており、第一の床が重炭化水素で充分に飽和されるようになる場合に吸着システム1210中の使用のために準備中である。こうして、最小三つの床が一層有効な運転のために平行に使用される。これらの床は、例えば、シリカゲルで充填されてもよい。
注目されるように、吸着システム1210が重炭化水素流体流1214を放出する。重炭化水素流体流1214は主として重炭化水素を含むが、おそらくまた二酸化炭素を含むであろう。この理由のために、重炭化水素が販売のために放出される前に、重炭化水素流体流1214を加工することが望ましい。
【0049】
一局面において、重炭化水素流体流1214が冷凍ユニット1216を使用して冷却される。これが重炭化水素流体流1214内の重炭化水素の少なくとも部分的な液化を生じる。次いで重炭化水素流体流1214がセパレーター1220に導入される。セパレーター1220は重炭化水素を軽ガスから分離する重力セパレーターであることが好ましい。軽ガスがセパレーター1220の上部から放出される(ライン1222で図示される)。ライン1222中のセパレーター1220から放出された軽ガスが脱水ガス流624に戻される。同時に、重炭化水素がセパレーター1220の底部から放出される(ライン1224で図示される)。
ガス加工設備1200は脱水ユニット620を含まなくてもよいことが注目される。この場合、水が重炭化水素流体流1214とともに吸着システム1210から落下されるであろう。水がライン1224中で重炭化水素とともにセパレーター1220から更に落下されるであろう。次いで、例えば、サイクロン装置又は浮遊セパレーター(示されていない)を使用する重炭化水素からの水の分離が使用されることが好ましいであろう。
或る実施態様において、固体吸着剤の組み合わせが異なる重炭化水素成分の除去に使用し得る。例えば、シリカゲルが一層重い重炭化水素成分、即ち、C5+を関連ガスから回収するのに使用でき、一方、一層軽い重炭化水素、即ち、C2-C4 成分が、ゼオライトから加工されたモレキュラーシーブを使用して除去されるであろう。固体吸着剤のこのような組み合わせは重炭化水素がガス相中に残り、最終的に酸性ガスボトム流642になることを防止することを助ける。
一適用において、セパレーター1220からのガスがタービン(示されていない)を駆動するために燃焼されてもよい。タービンが、順に、開放ループコンプレッサー(例えば、図1のコンプレッサー176)を駆動し得る。再生ガスヒーター1240が廃熱をこのようなタービンから取り、それを使用して重炭化水素回収方法のための再生ガス(例えば、ライン1232中の)を予熱することにより酸性ガス除去方法に更に組み込まれてもよい。同様に、オーバーヘッドコンプレッサー114又はオーバーヘッド冷却器115からのガスが重炭化水素回収方法に使用される再生ガスを予熱するのに使用されてもよい。
【0050】
注目されるように、圧力スイング吸着がまた酸性ガス除去設備の上流で重炭化水素を除去するのに使用されてもよい。図13は重炭化水素の除去に圧力スイング吸着を使用するガス加工設備1300の略図を示す。ガス加工設備1300は一般に図6のガス加工設備600に従って運転する。これに関して、脱水ガス流624が冷却され、次いでライン611中のサワーガス流により酸性ガス除去システム1350に送出される。しかしながら、接触塔670とともに物理溶媒接触システム605を使用する代わりに、圧力スイング吸着システム1310が使用される。圧力スイング吸着システム1310は脱水ガス流624からの重炭化水素の少なくとも部分的な分離を与える。
熱スイング吸着システム1210と同様に、圧力スイング吸着システム1310は軽ガスを放出しながら重炭化水素を選択的に吸着するために吸着床を使用する。吸着床はゼオライトから加工されたモレキュラーシーブであることが好ましい。しかしながら、シリカゲルから加工された床の如きその他の吸着床が使用されてもよい。炭化水素ガス分離の当業者は吸着床の選択が典型的には重炭化水素の組成に依存することを再度理解するであろう。
図13に見られるように、吸着システム1310がライン1312により軽ガスを放出する。軽ガス1312が低温蒸留システム100に入る前に冷凍ユニット626次いで、好ましくは、ジュール-トンプソン弁628に運ばれる。同時に、重炭化水素流体流がライン1314により吸着床から放出される。
運転中、吸着システム1310中の吸着床が加圧チャンバー中にある。吸着床が脱水ガス流624を受け取り、或る量の二酸化炭素とともに重炭化水素を吸着する。吸着システム1310中の吸着床は床が一旦重炭化水素で飽和されるようになると交換されるであろう。重炭化水素(及び関連酸性ガス)が加圧チャンバー中の圧力を低下することに応答して床から放出されるであろう。重炭化水素流体流が1314で示される。
【0051】
殆どの場合、加圧チャンバー中の圧力を大気圧に低下することが重炭化水素流体流1314中の重炭化水素及び関連二酸化炭素の大半を吸着床から放出させるであろう。しかしながら、幾つかの極限の場合、ガス加工設備1300が周囲以下の圧力を重炭化水素流体流1314に適用するための真空チャンバーの使用により補助されてもよい。これがブロック1320で示される。低圧の存在下で、重炭化水素が吸着床を構成する固体マトリックスから脱着する。
重炭化水素流体流1314は主として重炭化水素を含むが、おそらくまた二酸化炭素を含むであろう。この理由のために、重炭化水素が販売のために放出される前に、重炭化水素流体流1314を加工することが望ましい。重炭化水素流体流1314中の重炭化水素及び関連二酸化炭素がライン1322によりセパレーター1330に向かって進められる。
一局面において、重炭化水素流体流1314が冷凍ユニット(示されていない)を使用して冷却される。これが重炭化水素流体流1314内の重炭化水素の少なくとも部分的な液化を生じる。しかしながら、圧力スイング吸着を使用するガス加工設備1300では、冷却システムが通常不要である。何とならば、重炭化水素流体流1314を吸着システム1310から放出することと関連する圧力低下が相当する温度の低下を生じるからであろう。
セパレーター1330は重炭化水素を軽ガスから分離する重力セパレーターであることが好ましい。軽ガスがセパレーター1330の上部から放出される(ライン1332で図示される)。ライン1332中のセパレーター1330から放出された軽ガス(主としてCO2 )が酸性ガスボトム流642と合体されることが好ましい。同時に、重炭化水素がボトムから放出される(ライン1334で図示される)。ライン1334中の重炭化水素が商業上の販売のために送られる。
熱スイング吸着システム1210と同様に、圧力スイング吸着システム1310が平行の複数の床に頼ってもよい。第一の床が吸着システム1310中の吸着に使用される。これがサービス床として知られている。第二の床が圧力低下により再生を受ける。第三の床が既に再生されており、第一の床が充分に飽和されるようになる場合に吸着システム1310中の使用のために準備中である。こうして、最小三つの床が一層有効な運転のために平行して使用されてもよい。これらの床が、例えば、活性炭又はモレキュラーシーブで充填されてもよい。
或る実施態様において、固体吸着剤の組み合わせが異なる重炭化水素成分の除去に使用されてもよい。例えば、ゼオライトから加工されたモレキュラーシーブが一層軽い重炭化水素、即ち、C2〜C4成分を関連メタンから除去するのに使用されてもよい。シリカゲル床が一層重い重炭化水素成分、即ち、C5+を関連ガスから回収するのに使用されてもよい。吸着床の組み合わせを使用することは重炭化水素がガス相中に残り、最終的に酸性ガスボトム流642になることを防止することを助ける。
【0052】
熱スイング再生と較べて、圧力スイング再生は炭化水素分解又はコークス生成する傾向がないという利点を有する。しかしながら、熱スイング吸着方法と同様に、圧力スイング吸着方法が重炭化水素の一層重い成分を回収するのに一層適している。C2〜C4成分の回収は一般に高くはないが、或る値がこれらの炭化水素1314から抽出し得る。
圧力スイング吸着システム1310は迅速サイクル圧力スイング吸着システムであってもよい。所謂“迅速サイクル”方法において、サイクル時間は数秒程度に小さくし得る。
見られるように、幾つかの方法が酸性ガス除去方法と関連して重炭化水素を除去するのに使用されてもよい。一般に、選ばれる方法は生天然ガス、又は処理すべきガスの状態に依存する。例えば、重炭化水素濃度が1〜5%の範囲であり、CO2 濃度が20%未満である場合には、蒸留塔の上流の物理溶媒による吸収が好ましいかもしれない。
或る場合、例えば、物理溶媒がスルホラン、セレキソール、又はおそらく冷凍メタノールである場合、溶媒が或る量のメタン及びCO2 を偶発的に同時吸収するであろう。しかしながら、これらの軽ガスが異なるフラッシュ段階で異なる量で現れる。酸性ガス除去システムとの賢明な一体化により、利点は溶媒が与える部分分離から得られる。
【0053】
重炭化水素内容物がベンゼン(C6)又は一層重質の炭化水素を含む場合、これらの重成分が低温蒸留カラム中で凍結するという問題が存在し得る。たとえ、全重炭化水素含量が2%未満であるとしても、これは問題であろう。この場合には、作業者が抽出蒸留方法を使用することを選ぶかもしれず、これがこれらの重成分の凍結を避けるだけでなく、それらの回収のためのメカニズムを与えるであろう。
リーンオイル方法及び吸着動的分離方法が比較的低いCO2 含量、及び高い炭化水素含量の条件に使用されることが好ましいであろう。
或る場合に、作業者が重炭化水素回収方法を組み合わせて全ての重炭化水素成分が除去されることを確実にすることを選んでもよい。例えば、作業者が図7のガス加工設備700からの膜コンタクター710を図9のシステム900の如き抽出蒸留システムと組み合わせることを選んでもよい。抽出蒸留システムが低温蒸留塔の前又は低温蒸留塔の後に設置されてもよい。後者の場合には、抽出蒸留システム900が酸性ガスボトム流642を蒸留塔100から受け取る。
図14は上流の重炭化水素除去システム1410と下流の重炭化水素除去システム1420の両方の一体化された使用を示すガス加工設備1400の略図を示す。ガス加工設備1400は一般に上記されたガス加工設備に従う。これに関して、ガス加工設備1400が脱水ガス流624中の重炭化水素を軽ガスから分離するために図6-13と関連して上記されたシステムのいずれかとして実施し得る上流の重炭化水素除去システム1410を使用する。
重炭化水素流1412が低圧、例えば、大気圧付近で上流の重炭化水素除去システム1410から放出される。重炭化水素流1412は主として販売のために捕捉される重炭化水素を含むが、また少量の二酸化炭素を含んでもよい。軽ガス流610がまた上流の重炭化水素除去システム1410から通される。軽ガス流610は主としてメタン及び二酸化炭素を含むであろうが、またN2とともに痕跡のH2S 及びその他の硫黄種を有してもよい。軽ガス流610が酸性ガス除去のために低温蒸留塔(例えば、図1の塔100)に送出される。
上記のように、メタンがオーバーヘッドメタン流112として蒸留塔100から放出される。オーバーヘッドメタン流112は約2%以下の二酸化炭素を含むことが好ましいであろう。この%で、オーバーヘッドメタン流112が燃料ガスとして使用されてもよく、又は天然ガスとして或る市場に販売されてもよい。オーバーヘッドメタン流112がその中のメタンガスをLNG 116としての販売のために液体状態に変換するために更に加工されることが好ましい。
【0054】
酸性ガスがボトム液化酸性ガス流642として蒸留塔100から除去される。この液体流642は必要によりリボイラー643に送られてもよく、そこで痕跡量のメタンがガス流644として逆に塔100に再度送られる。残りの液体が酸性ガスライン646により放出される。
ガス加工設備1400では、ライン646中の液体が主として二酸化炭素及び重炭化水素を含む。それ故、ライン646中の液体が下流の重炭化水素除去システム1420に送られる。下流の重炭化水素除去システム1420は抽出蒸留設備であってもよく、これは図9に示された設備900、即ち、カラム910、920、930並びに関連ライン及び装置を示す設備900の部分に従ってセットアップされてもよい。更に、又は別途、下流の重炭化水素除去システム1420が上記されたその他の重炭化水素除去システムのいずれかを含んでもよい。下流の重炭化水素除去システム1420は液化酸性ガスライン646中に含まれる重炭化水素を二酸化炭素及びその他の酸性ガスから分離するであろう。重炭化水素ラインが1414に見られ、一方、酸性ガスラインが1416に見られる。ライン1416中の酸性ガスが圧力ブースター648に通され、次いで溜め649に注入されることが好ましい。
図14の下流の重炭化水素除去システム1420がリボイラー643からの酸性ガスボトムについて配置されると示されているが、重炭化水素除去システムが酸性ガス除去システム100の下流の好適なラインに配置されてもよい。例えば、重炭化水素除去システム1420が示されるように液化酸性ガス流642、ガス流644、及び/又は酸性ガスライン646に配置されてもよい。下流の重炭化水素除去システム1420が実行される様式は異なる流れの組成及び異なる炭化水素除去システムの経済性を含む、幾つかの因子に依存するかもしれない。
【0055】
別の例において、吸着動的分離方法が低温蒸留塔の下流で使用される。図15は吸着動的分離方法を使用するガス加工設備1500の略図を示す。この設備1500は一般に図8のガス加工設備800に従う。しかしながら、この場合には、酸性ガスシステム100の上流でAKS固体吸着剤床を使用する代わりに、AKS 固体吸着剤床810’が酸性ガス除去システム100の下流で使用される。
酸性ガスがボトム液化酸性ガス流642として蒸留塔100から除去されることが図15に見られる。この液体流642は必要によりリボイラー643に送られてもよく、そこで痕跡量のメタンを含むガスがガス流644として逆に塔100に再度送られる。主として酸性ガスを含む残りの液体が酸性ガスライン646により放出される。酸性ガスが重炭化水素を含む。
ライン646からの酸性ガスがAKS 固体吸着剤床810’に送出される。酸性ガスはそれらが床810’を通過する際に冷たいままであり、液体相にある。重炭化水素が酸性ガスから除去され、天然ガス液体流812としてライン812により放出される。同時に、酸性ガスがAKS固体吸着剤床810’から落下し、ボトム酸性ガス流814として放出される。
ボトム酸性ガス流814中の酸性ガスが主として液体相中に留まる。ライン812中の液化酸性ガスが気化され、圧力解除され、次いで硫黄回収ユニット(示されていない)に送られてもよい。また、ライン814中の液化酸性ガスが一つ以上の酸性ガス注入(AGI) ウェル(ブロック649により示される)により地下層に注入されてもよい。この場合には、ライン646中の酸性ガスが圧力ブースター648に通されることが好ましい。
【0056】
天然ガス液体流812が主として重炭化水素を含むが、また二酸化炭素を含むことが注目される。この理由のために、蒸留方法が二酸化炭素をボトム酸性ガス流814から分離するように試みられることが好ましい。蒸留容器が820で示される。二酸化炭素ガスがオーバーヘッドライン824により蒸留容器820から放出される。ライン824が溜め649への酸性ガス注入のためにボトム酸性ガス流814と合わされることが好ましい。重炭化水素がボトムライン822により容器820を出て、販売のために捕捉される。
重炭化水素を酸性ガス除去システムの下流で除去するために本明細書に提案された別の方法は膜の使用を伴なう。上記されたように、膜がポリマー材料を横切っての高圧から低圧への選ばれた分子の透過により作動する。
一実施態様において、重炭化水素を優先的に吸着し、溶解し、透過するゴム状膜がこれらの炭化水素を酸性ガス除去方法のボトム流から回収するのに使用される。ボトム流がそれを膜と接触する前に必要により気化されてもよい。
別の実施態様において、CO2 選択的膜がボトム流について使用されてCO2 を低圧に透過するとともに、炭化水素を高圧で保持してもよい。この場合の膜材料として、セルロースアセテート、セルローストリアセテート、ポリイミド、及びその他のポリマー化合物が挙げられる。その他の可能な膜材料として、ゼオライト、シリカ、チタノ-シリケート、アルミナ、金属有機フレームワーク(MOF)、及び関連材料のような無機材料が挙げられる。CO2が透過物である場合、それはダウンホール廃棄のために圧縮される必要があるであろう。
或る実施態様において、膜は透過物が圧縮され、膜の別の段階に通されて生成物の全回収又は純度を改良する“2段階”配置であってもよい。
簡素化及び明瞭化のために、利用できる下流の重炭化水素回収システムの記載が上流の重炭化水素回収システムの先の記載を参照してここに提示される。例えば、下流の重炭化水素除去システム1420からの流出物が重炭化水素に富む流れ及び重炭化水素不足の流れを含むことが先の記載から理解されるであろう。下流の重炭化水素除去システム1420が実行される様式に応じて、重炭化水素不足の流れが異なるガス又は液体を含んでもよい。例えば、下流の重炭化水素除去システム1420がガス流644について配置される場合には、下流の重炭化水素除去システム1420が軽炭化水素ガス(例えば、メタン)を蒸留塔100に通させるとともに、重炭化水素をその他の使用、例えば、販売、燃焼、又は更なる加工のために分離するのに適しているかもしれない。重炭化水素をガス流644から抽出することにより、蒸留塔100が一層有効に構築され、かつ/又は運転されてもよい。上流の重炭化水素除去システム1420の先の説明を参照して、種々の分離及び精製が主たる重炭化水素分離ユニットと関連して使用されて重炭化水素除去システムを構成してもよいことが理解されるであろう。
【0057】
重炭化水素の除去のための上記方法が“制御凍結ゾーン”塔を利用する方法ではなく、酸性ガス除去方法と関連して適用されてもよいことが理解される。その他の低温蒸留カラムが使用されてもよい。更に、バルク分別蒸留の如きその他の低温蒸留方法が使用されてもよい。バルク分別蒸留塔は図1からのCFZ 塔100と同様であるが、中間凍結ゾーンを有しない。バルク分別蒸留塔は典型的にはCFZ 塔100より高い圧力で運転し、それによりCO2 固体生成を回避する。しかしながら、オーバーヘッドガス流がかなりの量のCO2を含むであろう。いずれの場合にも、重炭化水素の除去に別の方法を利用することは脱水ガス流624が約3%より多いC2又は一層重質の炭化水素を含む場合に望ましい。
最後に、重炭化水素濃度が1又は2モル%未満である場合、作業者は重炭化水素除去を使用しないことを単に選んでもよい。何とならば、このような少量の価値が追加投資を正当化しないかもしれないからである。
本明細書に記載された発明は先に示された利益及び利点を得るように良く計算されていることが明らかであるが、本発明がその精神から逸脱しないで改良、変化及び変更の余地があることが認められるであろう。制御凍結ゾーンを使用する酸性ガス除去方法の操作の改良が与えられる。これらの改良が重炭化水素の回収のための設計を与える。
【符号の説明】
【0058】
10−初期流体流
12−冷却流体流
13−液体/固体スラリー
14、112−オーバーヘッドメタン流
16−ガス
18−液体還流
22−ボトム流体流
25−ヒーターライン
100−低温蒸留塔
106−下部蒸留ゾーン
108−制御凍結ゾーン
110−上部蒸留ゾーン
116−精留トレー
118、128−ウェアー
119、129−ダウンカマー
121−入口ディストリビューター
122−スプレーノズル
124−フラッシュボックス
126−物質移動装置
130−メルトトレー
131−煙突
132−キャップ
134−ベース
135−移動ライン
136−引取ノズル
137−制御弁
138−チャンネル
140−コレクタートレー
150、170−熱交換機
152、628−膨張装置
160−リボイラー
162−エキスパンダー弁
172−分離チャンバー
173−2相セパレーター
174−還流ドラム
【0059】
425−開口部
426−ジェットトレー
428−傾斜タブ部材
600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400、1500−ガス加工設備
610−現場
612−生成ガス流
620−脱水容器
622−水性流
626−冷却器
642−液化酸性ガス
648−圧力ブースター
650−酸性ガス除去システム
652−ストリッピング容器
653−再生溶媒
660−入口セパレーター
670−吸収器
674−動力回収タービン
678−軽ガス流
682、684、686−セパレーター
692−ブースターポンプ
710−膜コンタクター
810’−AKS 固体吸着剤床
814−天然ガス液体流
900−抽出蒸留システム
910、920−溶媒回収カラム
930−添加剤回収カラム
1010−ターボエキスパンダー
1110−サイクロン装置
1120−流体セパレーター
1210−熱スイング吸着システム
1240−再生チャンバー
1310−圧力スイング吸着システム
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この出願は重炭化水素の除去とともに、酸性ガスを炭化水素ガス流から除去するための低温システムという発明の名称の、2009年7月30日に出願された米国仮特許出願第61/229,994号及び重炭化水素及び酸性ガスを炭化水素ガス流から除去するためのシステム及び方法という発明の名称の、2010年6月22日に出願された米国仮特許出願第61/357,358号の利益を主張する。両方の出願の全部が全ての目的のために参考として本明細書に含まれる。
この節は本開示の例示の実施態様と関連し得る、技術の種々の局面を導入することを意図している。この説明は本開示の特別な局面の一層良好な理解を促進するためのフレームワークを与えることを助けると思われる。それ故、この節はこれに鑑みて読まれるべきであり、必ずしも従来技術の許可として読まれるべきではないことが理解されるべきである。
分野
本発明は流体分離の分野に関する。更に詳しくは、本発明は軽炭化水素流体竜からの重炭化水素及び酸性ガスの両方の分離に関する。
【背景技術】
【0002】
技術の説明
溜めからの炭化水素の製造はしばしばそれとともに非炭化水素ガスの偶発的製造を伴なう。このようなガスとして、硫化水素(H2S)及び二酸化炭素(CO2)の如き汚染物が挙げられる。H2S及びCO2が炭化水素ガス流(例えば、メタン又はエタン)の一部として生成される場合、そのガス流は時折“サワーガス”と称される。
サワーガスは通常CO2、H2S、及びその他の汚染物を除去するために処理され、その後にそれが更なる加工又は販売のために下流に送られる。酸性ガスの除去は“スイートニングされた(sweetened)”炭化水素ガス流を生じる。スイートニングされた流れは環境上許される燃料として、化学品又は合成ガス(gas-to-liquids)設備への供給原料として、又は液化天然ガス,即ち、LNGに液化し得るガスとして使用し得る。
ガス分離方法は分離された汚染物の廃棄についての問題を生じる。或る場合に、濃縮された酸性ガス(主としてH2S 及びCO2 からなる)が硫黄回収ユニット(“SRU”)に送られる。SRU はH2S を良質の元素硫黄に変換する。しかしながら、或る領域(例えば、カスピ海領域)では、追加の元素硫黄の製造は望ましくない。何とならば、制限された市場があるからである。その結果、何百万トンもの硫黄が世界の或る領域、最も顕著にはカナダ及びカザフスタンで大きい、地上のブロック中に貯蔵されていた。
硫黄は陸上で貯蔵されるが、酸性ガスと関連する二酸化炭素ガスはしばしば大気に排出される。しかしながら、CO2 を排出する慣例は時折望ましくない。CO2 放出を最小にする一つの提案は酸性ガス注入(“AGI”)と称される方法である。AGI は望まれないサワーガスが加圧下で地下層に再注入され、潜在的なその後の使用のために金属イオン封鎖される。また、二酸化炭素は増進された油回収操作のための人工の溜め圧力を生じるのに使用される。
AGI を促進するために、酸性ガス成分を炭化水素ガスから有効に分離するガス加工設備を有することが望ましい。しかしながら、“高サワー”流、即ち、約15%又は20%より多いCO2 及び/又はH2S を含む製造流につき、汚染物を所望の炭化水素から経済的に分離し得る設備を設計し、構築し、運転することは特に難しいことであり得る。多くの天然ガス溜めは比較的低い%の炭化水素(例えば、40%未満)及び高い%の酸性ガス、主として二酸化炭素だけでなく、硫化水素、カルボニルスルフィド、二硫化炭素及び種々のメルカプタンを含む。これらの場合には、低温ガス加工が有益に使用されるかもしれない。
【0003】
低温ガス加工はガス分離に時折使用される蒸留方法である。低温ガス分離は適度の圧力(例えば、24.5-38.5kg/cm2ゲージ圧(350-550 ポンド/平方インチゲージ圧(psig))で冷却されたオーバーヘッドガス流を生成する。加えて、液化酸性ガスが“ボトム”生成物として生成される。液化酸性ガスは比較的高い密度を有するので、水圧ヘッドが注入プロセスを助けるためにAGI ウェルに有益に使用し得る。これは液化酸性ガスを地層にポンプ輸送するのに必要とされるエネルギーが低圧酸性ガスを溜め圧力に圧縮するのに必要とされるエネルギーよりも低いことを意味する。コンプレッサー及びポンプの一層少ない段階が必要とされる。
挑戦はまたサワーガスの低温蒸留に関して存する。CO2 が加工すべきガス中で約49kg/cm2ゲージ圧(700psig)未満の全圧で約5モル%より大きい濃度で存在する場合、それは通常の低温蒸留ユニットで固体として凍結するであろう。固体としてのCO2 の生成が低温蒸留方法を中断させる。この問題を回避するために、譲受人は既に種々の“制御凍結ゾーンTM”(CFZTM)方法を設計していた。CFZTM 方法は凍結CO2 粒子を蒸留塔の開放部分内で生成させ、次いで粒子をメルトトレーで捕捉することにより二酸化炭素が固体粒子を生成する傾向を利用する。結果として、きれいなメタン流(生ガス(raw gas)中に存在する窒素又はヘリウムとともに)が塔の上部で生成され、一方、冷液体CO2/H2S 流が塔の底部で生成される。約49kg/cm2ゲージ圧(700psig)より高い圧力では、“バルク分別”蒸留がCO2 凍結の恐れなしに行ない得る。しかしながら、オーバーヘッドで生成されたメタンがその中に少なくとも数%のCO2 を有するであろう。
CFZTM 方法の或る局面及び関連装置が米国特許第4,533,372号、同第4,923,493号、同第5,062,270号、同第5,120,338号、及び同第6,053,007号に記載されている。
【0004】
上記米国特許に一般に記載されたように、低温ガス加工に使用される、蒸留塔、又はカラムは下部蒸留ゾーン及び中間制御凍結ゾーンを含む。上部蒸留ゾーンがまた含まれることが好ましい。カラムは二酸化炭素の凍結点より下だが、その圧力でメタンの沸騰温度より上の範囲の温度を有するカラムの一部を用意することにより固体CO2 粒子を生じるように作動する。制御凍結ゾーンはメタン及びその他の軽炭化水素ガスが気化することを可能にするとともに、CO2に凍結(固体)粒子を生成させる温度及び圧力で作動されることが更に好ましい。
ガス供給原料流がカラムを上に移動するにつれて、凍結CO2 粒子が供給原料流から発生し、制御凍結ゾーンからメルトトレーへと重力により降下する。そこで、粒子が液化する。次いで二酸化炭素に富む液体流がメルトトレーからカラムの底部にある下部蒸留ゾーンへと下に流れる。下部蒸留ゾーンは二酸化炭素が実質的に生成されないが、溶解メタンが沸騰する温度及び圧力に維持される。一局面において、ボトム酸性ガス流が-1.11℃〜4.44℃(30°F〜40°F)で生じられる。
制御凍結ゾーンは冷液体スプレーを含む。これは“還流”として知られているメタンに富む液体流である。軽炭化水素ガスの蒸気流及び連行サワーガスがカラム中を上向きに移動するにつれて、蒸気流が液体スプレーと出会う。冷液体スプレーが固体CO2 粒子を発生させるとともにメタンガスを蒸発させ、カラム中を上向きに流れさせることを助ける。
上部蒸留ゾーン中で、メタン(又はオーバーヘッドガス)が捕捉され、販売のためにパイプ輸送され、又は燃料に利用できるようにされる。一局面において、オーバーヘッドメタン流が約-90℃(-130°F)で放出される。オーバーヘッドガスは追加の冷却により部分液化され、その液体が還流としてカラムに戻されてもよい。液体還流は、一般にトレー、又はカラムの精留部分のパッキング中を流れた後に、制御凍結ゾーンのスプレー部分への冷スプレーとして注入される。上部蒸留ゾーン中で生成されたメタンはパイプライン送出のための殆どの仕様を満足する。例えば、充分な還流が生成される場合、メタンが2モル%未満のパイプラインCO2 仕様だけでなく、4ppm H2S仕様を満足し得る。
しかしながら、最初の生ガス流が重炭化水素(即ち、プロパン、ブタン、及び一層重質の炭化水素)を含む場合、これらは最後に冷蒸留カラムの二酸化炭素及び硫化水素の液体ボトム流になるであろう。重炭化水素はそれらが冷蒸留カラムの上流又は下流の含有流体から有効に分離し得る場合に回収し得る価値を有するかもしれない。
【0005】
例えば、生ガス流が冷蒸留カラムに入る前に重炭化水素成分を生ガス流から除去することが望ましいかもしれない。これはカラムに供給すべき“一層リーンな(leaner)”ガス流を可能にする。生天然ガス流がサワーガスの除去のために低温蒸留を受ける前にシステムが重炭化水素の含量を低減する必要がある。また、重炭化水素をCFZ 塔のボトム流中で酸性ガスと混合しないで潜在的に有益なエタン、プロパン、ブタン、及びその他の重炭化水素を回収する低温ガス分離システム及び随伴の方法についての要望がある。更に、又は別途に、重炭化水素をCFZ 塔のボトム流中のような濃縮酸性ガスから分離する方法についての要望がまたある。本明細書に開示された技術は重炭化水素を流れから分離するための種々のシステム及び方法を含み、このような技術がガス加工システム及び方法で実施されてそれらの回収及び商業化を可能にする様式で重炭化水素を除去する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
酸性ガスを酸性ガス流から除去するためのシステムが提供される。一実施態様において、システムが酸性ガス除去システムを含む。酸性ガス除去システムが酸性ガス流を受け、酸性ガス流を主としてメタンを含むオーバーヘッドガス流、及び主として二酸化炭素を含むボトム酸性ガス流に分離する。生ガス流は少なくとも5モル%の重炭化水素成分を含む。
そのシステムはまた重炭化水素除去システムを含む。重炭化水素除去システムは酸性ガス除去システムの上流に置かれてもよい。重炭化水素除去システムは生ガス流を受け、一般に生ガス流を重炭化水素流体流及びサワーガス(メタンを含む)流に分離する。更に、又は別途、重炭化水素除去システムが酸性ガス除去システムの下流に置かれてもよい。いずれの場合にも、重炭化水素が一つ以上の方法で商業化又は利用のために回収される。
酸性ガス除去システムが低温システムであることが好ましい。酸性ガス除去システムはサワーガス流を受けるための低温蒸留塔、及びサワーガスを上流塔に入る前に冷却するための冷凍システムを含む。低温酸性ガス除去システムは蒸留塔が下部蒸留ゾーン及び中間制御冷凍ゾーンを有する“CFZ ”システムであることが好ましい。中間制御冷凍ゾーン、又は“スプレー部分”が、主としてメタンを含む冷液体スプレーを受ける。冷スプレーは蒸留塔の下流のオーバーヘッドループから生成された液体還流である。冷凍装置がオーバーヘッドメタン流を冷却し、オーバーヘッドメタン流の一部を低温蒸留塔に冷液体還流(これはその後に液体になる)として戻すために低温蒸留塔の下流に用意される。
低温蒸留システム以外のその他の酸性ガス除去システムが使用されてもよいことが理解される。例えば、酸性ガス除去システムは物理溶媒方法(これはまた酸性ガス成分とともに重炭化水素を排除する傾向がある)であってもよい。
種々の型の重炭化水素除去システムが利用されてもよい。これらは物理溶媒を使用して重炭化水素を軽ガスから分離するシステムを含む。これらはまた膜コンタクターを使用するシステム、又は抽出蒸留方法を使用するシステムを含んでもよい。いずれの場合にも、化学溶媒が重炭化水素除去に使用されない。
一局面において、重炭化水素除去システムが少なくとも一つの固体吸着剤床を含む。酸性ガス除去システムの上流に配置される場合、その少なくとも一つの固体吸着剤床は少なくとも若干の重炭化水素成分を吸着し、酸性ガス除去システム中の加工のために軽炭化水素成分を実質的に通す。固体吸着剤床は、例えば、(i) ゼオライト材料から加工されてもよく、又は(ii)少なくとも一種のモレキュラーシーブを含んでもよい。固体吸着剤床は少なくとも若干の二酸化炭素及び/又は硫化水素を偶然に吸着するかもしれない。この場合、重炭化水素除去システムがまた汚染物洗浄システムを含むことが好ましい。
少なくとも一つの固体吸着剤床は吸着動的分離床であってもよい。また、少なくとも一つの固体吸着剤床は(i) 少なくとも三つの吸着床の第一のものが重炭化水素成分を吸着するのに使用中であり、(ii)少なくとも三つの吸着床の第二のものが再生を受け、かつ(iii) 少なくとも三つの吸着床の第三のものが少なくとも三つの吸着床の第一のものを交換するために準備して保たれる少なくとも三つの吸着床を含んでもよい。再生は熱スイング吸着方法の一部、圧力スイング吸着方法の一部、又はこれらの組み合わせであってもよい。
【0007】
更に、又は別途、重炭化水素除去システムは生ガス流を重炭化水素流体流及び軽ガス流に分離するためにターボ-エキスパンダー又はサイクロン装置を含んでもよい。ターボ-エキスパンダーの場合、重炭化水素除去システムがまた生ガス流を重炭化水素流体流及び軽ガス流に分離するための重力セパレーターを含んでもよい。サイクロン装置の場合、重炭化水素除去システムがまた重炭化水素流体流を受け、次いで重炭化水素流体流を炭化水素成分及び二酸化炭素に分離するための汚染物除去システムを含んでもよい。
更に、又は別途、本明細書に記載された酸性ガスをサワーガスから除去するためのシステムが重炭化水素を酸性ガス除去システムから下流で除去するのに適したシステムを含んでもよい。そのシステムは少なくとも5モル%の重炭化水素成分を含む生ガス流を加工するようにもう一度設計される。重炭化水素が化学溶媒を使用しないでガス流から除去される。
一実施態様において、そのシステムが酸性ガス除去システムを含む。酸性ガス除去システムがサワーガス流を受け、サワーガス流を主としてメタンを含むオーバーヘッドガス流、及び主として二酸化炭素及び重炭化水素を含むボトム酸性ガス流に分離する。
酸性ガス除去システムが低温酸性ガス除去システムであることが好ましい。低温酸性ガス除去システムはサワーガス流を受けるための蒸留塔、及びサワーガス流を蒸留塔に入る前に冷却するための冷凍システムを含む。低温酸性ガス除去システムは蒸留塔が下部蒸留ゾーン及び中間制御凍結ゾーンを有する“CFZ ”システムであることが更に好ましい。中間制御凍結ゾーン、又は“スプレー部分”が、主としてメタンを含む冷液体スプレーを受ける。冷スプレーは蒸留塔の下流のオーバーヘッドループから生成された液体還流である。冷凍装置がオーバーヘッドメタン流を冷却し、オーバーヘッドメタン流の一部を低温蒸留塔に液体還流として戻すために低温蒸留塔の下流に用意される。
そのシステムはまた重炭化水素除去システムを含む。注目されたように、この場合の重炭化水素除去システムは酸性ガス除去システムの下流に置かれる。重炭化水素除去システムはボトム酸性ガス流を受け、一般にボトム酸性ガス流を重炭化水素流体流及び酸性ガスに分離する。
種々の型の重炭化水素除去システム、例えば、酸性ガス除去システムの上流の重炭化水素除去システムと関連して上記されたものが利用されてもよい。一局面において、重炭化水素除去システムが少なくとも一つの固体吸着剤床を含む。その少なくとも一つの固体吸着剤床は少なくとも若干の重炭化水素成分をボトム酸性ガス流から吸着し、酸性ガス成分を実質的に通す。固体吸着剤床は、例えば、(i) ゼオライト材料から加工されてもよく、又は(ii)少なくとも一種のモレキュラーシーブを含んでもよい。固体吸着剤床は少なくとも若干の二酸化炭素を偶然に吸着するかもしれない。この場合、重炭化水素除去システムがまた重力セパレーターの如きセパレーターを含むことが好ましい。重力セパレーターは液体重炭化水素成分を、例えば、ガスのCO2 から分離する。
別の局面において、重炭化水素除去システムがボトム酸性ガス流を受け、ボトム酸性ガス流を主として二酸化炭素そして、おそらく、硫化水素を含む第一流体流、及び主として重炭化水素成分を含む第二流体流に分離するための抽出蒸留システムを含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本発明が一層良く理解し得るように、或る図面、チャート及び/又はフローチャートが添付される。しかしながら、図面は本発明の選ばれた実施態様のみを示すことが注目されるべきであり、それ故、本発明の範囲の限定と考えられるべきではなく、その他の同等に有効な実施態様及び適用の余地があってもよい。
【図1】一実施態様における、例示のCFZ 蒸留塔の側面図である。冷却された生ガス流がその塔の中間制御凍結ゾーンに注入される。
【図2A】一実施態様における、メルトトレーの平面図である。メルトトレーは塔内で制御凍結ゾーンの下にある。
【図2B】線2B-2B にわたって切り取られた、図2Aのメルトトレーの断面図である。
【図2C】線2C-2C にわたって切り取られた、図2Aのメルトトレーの断面図である。
【図3】一実施態様における、蒸留塔の下部蒸留ゾーン中のストリッピングトレーの拡大側面図である。
【0009】
【図4A】一実施態様における、蒸留塔の下部蒸留部分又は上部蒸留ゾーン中で使用し得るジェットトレーの斜視図である。
【図4B】図4Aのジェットトレー中の開口部の一つの側面図である。
【図5】図1の蒸留塔の中間制御凍結ゾーンの側面図である。この図中、二つの例示の開放じゃま板が中間制御凍結ゾーンに追加されている。
【図6A】酸性ガスをガス流から除去するためのガス加工設備を示す略図である。この配置では、重炭化水素が物理溶媒システムにより酸性ガス除去システムの上流のガス流から除去される。
【図6B】図6Aの物理溶媒システムの一層詳しい略図を示す。物理溶媒システムが作動して重炭化水素を除去するために脱水されたガス流と接触する。
【図7】酸性ガスをガス流から除去するためのガス加工設備を示す略図である。この配置では、重炭化水素が膜コンタクターにより酸性ガス除去システムの上流のガス流から除去される。
【図8】ガス加工設備の略図である。この配置では、重炭化水素が吸着動的分離を利用する吸着床により酸性ガス除去システムの上流のガス流から除去される。
【図9】ガス加工設備の略図である。この配置では、重炭化水素が抽出蒸留システムにより酸性ガス除去システムの上流のガス流から除去される。
【0010】
【図10】ガス加工設備の略図である。この配置では、重炭化水素がターボ-エキスパンダーにより酸性ガス除去システムの上流のガス流から除去される。
【図11】ガス加工設備の略図である。この配置では、重炭化水素がサイクロン装置により酸性ガス除去システムの上流のガス流から除去される。
【図12】ガス加工設備の略図である。この配置では、重炭化水素が熱スイング吸着システムにより酸性ガス除去システムの上流のガス流から除去される。
【図13】ガス加工設備の略図である。この配置では、重炭化水素が圧力スイング吸着システムにより酸性ガス除去システムの上流のガス流から除去される。
【図14】ガス加工設備の略図である。この配置では、重炭化水素が酸性ガス除去システムの上流のガス流から除去される。追加の重炭化水素が酸性ガス除去システムの下流のボトム酸性ガス流から除去される。
【図15】ガス加工設備の略図である。この配置では、重炭化水素が吸着動的分離方法により酸性ガス除去システムの下流のガス流から除去される。
【発明を実施するための形態】
【0011】
定義
本明細書に使用される“炭化水素”という用語は主として(専らではない場合)元素水素及び炭素を含む有機化合物を表す。炭化水素は一般に二つのクラスに入る:脂肪族、又は直鎖炭化水素、及び環状、又は閉環炭化水素(環状テルペンを含む)。炭化水素含有物質の例として、あらゆる形態の天然ガス、油、石炭、及び燃料として使用でき、又は燃料にアップグレードし得るビチュメンが挙げられる。
本明細書に使用される“炭化水素流体”という用語はガス又は液体である炭化水素又は炭化水素の混合物を表す。例えば、炭化水素流体として、生成条件、加工条件又は周囲条件(15℃かつ1大気圧)でガス又は液体である炭化水素又は炭化水素の混合物が挙げられるかもしれない。炭化水素流体として、例えば、油、天然ガス、石炭床メタン、シェールオイル、分解油、分解ガス、石炭の分解生成物、及びガス又は液体状態であるその他の炭化水素が挙げられるかもしれない。
“物質移動装置”という用語は接触すべき流体を受け、これらの流体をその他の物体、例えば、スルー重力流に通すあらゆる物体を表す。一つの非限定例は或る種の成分をストリッピングするためのトレーである。グリッドパッキングが別の例である。
本明細書に使用される“流体”という用語はガス、液体、及びガスと液体の組み合わせだけでなく、ガスと固体の組み合わせ、及び液体と固体の組み合わせを表す。
本明細書に使用される“凝縮可能な炭化水素”という用語は約15℃かつ1絶対大気圧で凝縮するこれらの炭化水素を意味する。凝縮可能な炭化水素として、例えば、4個より大きい炭素数を有する炭化水素の混合物が挙げられるかもしれない。
本明細書に使用される“重炭化水素”という用語は1個より多い炭素原子を有する炭化水素を表す。主な例として、エタン、プロパン及びブタンが挙げられる。その他の例として、ペンタン、芳香族化合物、及びダイヤモンドイドが挙げられる。
本明細書に使用される“密閉ループ冷凍システム”という用語は外部の作用流体、例えば、プロパン又はエチレンがオーバーヘッドメタン流を冷却するための冷媒として使用されるあらゆる冷凍システムを意味する。これはオーバーヘッドメタン流それ自体の一部が作用流体として使用される“開放ループ冷凍システム”とは対照的である。
本明細書に使用される“表面下”という用語は地球表面の下に生じる地質層を表す。
本明細書に使用される“化学溶媒”という用語は電荷が移動される化学反応により生ガス流内の選ばれた成分に優先的に吸収する化学薬品を意味する。非限定例として、アミン及び炭酸カリウム(これらはH2S 又はCO2 に優先的に結合し得る)が挙げられる。
【0012】
特別な実施態様の記載
図1は一実施態様における、本発明と関連して使用し得る低温蒸留塔100の略図を示す。低温蒸留塔100は本明細書中で“低温蒸留塔”、“カラム”、“CFZ カラム”、又は“スプリッター塔”と互換可能に称されるかもしれない。
図1の低温蒸留塔100は初期流体流10を受ける。流体流10は主として生成ガスを含む。典型的には、流体流はウェルヘッド又はウェルヘッドの集合(示されていない)からの乾燥ガスを表し、約65%〜約95%のメタンを含む。しかしながら、流体流10は一層低い%、例えば、約30%〜65%、又は20%〜40%程度に低い%のメタンを含んでもよい。
メタンはエタンの如きその他の炭化水素ガスの痕跡の元素とともに存在してもよい。加えて、痕跡量のヘリウム及び窒素が存在してもよい。本出願において、流体流10がまた或る種の汚染物を含むであろう。これらとして、酸性ガス、例えば、CO2 及びH2S が挙げられる。
初期流体流10は約42kg/cm2(600ポンド/平方インチ(psi))の生成後の圧力であってもよい。或る場合には、初期流体流10の圧力が約52.5kg/cm2(750psi)又は更には70kg/cm2(1,000psi)までであってもよい。
【0013】
流体流10は典型的には蒸留塔100に入る前に冷却される。熱交換機150、例えば、シェル及び管交換機が初期流体流10のために用意される。冷凍ユニット(示されていない)が冷却流体(例えば、液体プロパン)を熱交換機150に与えて初期流体流10の温度を約-34℃(-30°F)〜-40℃(-40°F)に下げる。次いで冷却された流体流が膨張装置152中に移動されてもよい。膨張装置152は、例えば、ジュール-トンプソン(“J-T”)弁であってもよい。
膨張装置152は流体流10の追加の冷却を得るためのエキスパンダーとして利用できる。流体流10の部分液化がまた生じられることが好ましい。ジュール-トンプソン(即ち“J-T”)弁が固体を生成する傾向があるガス供給原料流に好ましい。膨張装置152が低温蒸留塔100の近くに取り付けられて供給パイプの熱損失を最小にし、或る成分(例えば、CO2 又はベンゼン)がそれらの凍結点より下に低下される場合に固体による詰まりの機会を最小にすることが好ましい。
J-T 弁の代替として、エキスパンダー装置152がターボ-エキスパンダーであってもよい。ターボ-エキスパンダーは一層大きい冷却を与え、上記冷凍ユニットのような方法のためのシャフト作用の源を生じる。熱交換機150は冷凍ユニットの一部である。この様式では、作業者が蒸留方法についての全エネルギー要求を最小にし得る。しかしながら、ターボ-エキスパンダーはJ-T 弁のようには凍結粒子を良く取り扱わないかもしれない。
いずれの場合にも、熱交換機150及びエキスパンダー装置152が初期流体流10中の生ガスを冷却流体流12に変換する。冷却流体流12の温度が-40℃(-40°F)〜-57℃(-70°F)付近であることが好ましい。一局面において、低温蒸留塔100が約38.5kg/cm2(550psi)の圧力で運転され、冷却流体流12が約-52℃(-62°F)である。これらの条件で、冷却流体流12が実質的に液相中にあるが、若干の蒸気相が冷却流体流12に不可避に連行されるかもしれない。おそらく、固体生成がCO2 の存在から生じなかった。
CFZTM 低温蒸留塔100は三つの主要部分に分けられる。これらは下部蒸留ゾーン、即ち“ストリッピング部分”106、中間制御凍結ゾーン、即ち“スプレー部分”108、及び上部蒸留ゾーン、即ち“精留部分”110である。図1の塔配置では、冷却流体流12が制御凍結ゾーン108中で蒸留塔100に導入される。しかしながら、冷却流体流12がまた下部蒸留ゾーン106の上部付近に導入されてもよい。
【0014】
図1の配置において、下部蒸留ゾーン106、中間スプレー部分108、上部蒸留ゾーン110、及び関連成分が単一容器100内に収容されることが注目される。しかしながら、塔100の高さ及び運動上の考慮事項が考慮される必要があり得る海洋適用について、又は輸送制限が問題である離れた場所について、塔110が必要により二つの別々の加圧容器(示されていない)に分けられてもよい。例えば、下部蒸留ゾーン106及び制御凍結ゾーン108が一つの容器中に配置されてもよく、一方、上部蒸留ゾーン108が別の容器中にある。次いで外部パイプが二つの容器を相互連結するのに使用されるであろう。
いずれの実施態様においても、下部蒸留ゾーン106の温度が冷却流体流12の供給温度よりも高い。下部蒸留ゾーン106の温度がカラム100の運転圧力で冷却流体流12中のメタンの沸点より充分に上にあるように設計される。この様式では、メタンが重炭化水素及び液体酸性ガス成分から優先的にストリッピングされる。勿論、当業者は蒸留塔100内の液体が混合物であることを理解するであろう。これはその液体が純粋なメタンと純粋なCO2 の間の或る中間温度で“沸騰する”ことを意味する。更に、混合物中に重炭化水素(例えば、エタン又はプロパン)が存在する場合には、これがその混合物の沸騰温度を上昇するであろう。これらの因子が蒸留塔100内の運転温度についての設計上の考慮事項になる。
【0015】
下部蒸留ゾーン106中で、CO2 及びその他の液相流体が低温蒸留塔100の底部に向かって重力により落下する。同時に、メタン及びその他の気相流体が発生し、塔100の上部に向かって上向きに上昇する。この分離は主としてガスと液相の間の密度差により達成される。しかしながら、その分離方法は必要により蒸留塔100内の内部成分により助けられてもよい。以下に記載されるように、これらはメルトトレー130、複数の有利な形態の物質移動装置126、及び任意のヒーターライン25を含む。側部リボイラー(示されていない)が同様に下部蒸留ゾーン106に追加されてメタンの除去を促進するだけでなく、生ガス供給流を前冷却してもよい。
再度図1を参照して、冷却流体流12が下部蒸留ゾーン106の上部付近でカラム100に導入されてもよい。また、供給原料流12をメルトトレー130の上で制御凍結ゾーン108に導入することが望ましいかもしれない。冷却流体流12の注入の位置は主として初期の流体流10の組成により指示される設計上の問題である。
冷却流体流12の温度は固体が予想されない程充分に高い(例えば、-57℃(-70°F)より高い)場合、冷却流体流12をカラム100中で2相フラッシュボックス型装置(又は蒸気ディストリビューター)124により下部蒸留ゾーン106に直接に注入することが好ましいかもしれない。フラッシュボックス124の使用は冷却流体流12中の2相蒸気-液体混合物を少なくとも部分的に分離するのに利用できる。フラッシュボックス124は2相流体がフラッシュボックス124中のじゃま板に対して衝突するように溝削りされてもよい。
固体が低い入口温度のために予想される場合、冷却流体流12がカラム100に上記のように供給する前に容器173中で部分的に分離される必要があるかもしれない。この場合、冷却流体流12が2相セパレーター173中で分離されて固体がカラム100の入口ライン及び内部成分を詰まらせる可能性を最小にしてもよい。ガス蒸気が容器入口ライン11を通って2相セパレーター173を出て、そこでそれが入口ディストリビューター121を通ってカラム100に入る。次いでガスがカラム100中を上向きに移動する。液体/固体スラリー13が2相セパレーター173から排出される。液体/固体スラリーが蒸気ディストリビューター124を通ってカラム100そしてメルトトレー130へと送られる。液体/固体スラリー13は重力又はポンプ175によりカラム100に供給し得る。
【0016】
いずれの配置でも、即ち、2相セパレーター173を使用しても、また使用しなくても、冷却流体流12(又は11)がカラム100に入る。液体成分がフラッシュボックス124を出て、下部蒸留ゾーン106内のストリッピングトレー126の集合の下に移動する。ストリッピングトレー126は一連のウェアー128及びダウンカマー129を含む。これらが図3に関連して以下に充分に記載される。ストリッピングトレー126は、下部蒸留ゾーン106中の一層温かい温度と組み合わせて、メタンを溶液から発生させる。得られる蒸気がメタン及び沸騰した連行二酸化炭素分子を運ぶ。
更に蒸気がメルトトレー130(図2Bに見られる)のライザー又は煙突131中を上向きに進行し、そして凍結ゾーン108に進行する。煙突131は凍結ゾーン108中の一様な分布のために蒸気ディストリビューターとして作用する。次いで蒸気がスプレーヘッダー120からの冷液体と接触してCO2 を“凍結する”であろう。換言すると、CO2 が凍結し、次いで逆にメルトトレー130に沈澱又は“スノー”するであろう。次いで固体CO2 が融解し、液体形態でメルトトレー130の下に重力で流れ、その下の下部蒸留ゾーン106に流れる。
以下に更に充分に説明されるように、スプレー部分108は低温蒸留塔100の中間凍結ゾーンである。冷却流体流12が塔100に入る前に容器173中で分離される別の配置では、分離された液体/固体スラリー13の一部がメルトトレー130の直ぐ上で塔100に導入される。こうして、酸性ガス及び重炭化水素成分の液体-固体混合物がディストリビューター121から流れ、固体及び液体がメルトトレー130に落下する。
メルトトレー130は液体及び固体物質、主としてCO2 及びH2Sを中間制御凍結ゾーン108から重力により受け取る。メルトトレー130は液体及び固体物質を温め、それらを更なる精製のために液体形態で下部蒸留ゾーン106に下向きに送るのに利用できる。メルトトレー130は液体のプール中で制御凍結ゾーン108からの固体-液体混合物を集め、温める。メルトトレー130は蒸気流を逆に制御凍結ゾーン108に放出して、適当な伝熱を与えて固体CO2 を融解し、メルトトレー130の下のカラム100の下部蒸留ゾーン106への液体/スラリー排出を促進するように設計される。
【0017】
図2Aは一実施態様における、メルトトレー130の平面図を示す。図2Bは図2Aの線B-Bにわたって切り取られた、メルトトレー130の断面図を示す。図2Cは線C-Cにわたって切り取られた、メルトトレーの断面図を示す。メルトトレー130はこれらの三つの図面を集約して参照して記載されるであろう。
最初に、メルトトレー130はベース134を含む。ベース134は実質的に平面のボディであってもよい。しかしながら、図2A、2B及び2Cに示された好ましい実施態様において、ベース134は実質的に非平面のプロフィールを使用する。非平面の形態は制御凍結ゾーン108からメルトトレー130にランディングする液体及び固体を接触するために増大された表面積を与える。これはカラム100の下部蒸留ゾーン106から上に通る蒸気から液体への伝熱を増大し、固体を融解するのに利用できる。一局面において、ベース134は波形にされる。別の局面において、ベース134が実質的に正弦波形である。トレーデザインのこの局面が図2Bに示される。その他の非平面形状がまたメルトトレー130の伝熱領域を増大するのに使用されてもよいことが理解される。
メルトトレーベース134は傾斜されることが好ましい。その傾斜が図2Cの側面図に示される。殆どの固体が融解されるべきであるが、その傾斜は液体混合物中の未溶解固体がメルトトレー130からその下の蒸留ゾーン106に排出することを確実にするのに利用できる。
図2Cに鑑みて、サンプ又はチャンネル138がメルトトレー130の中央に見られる。メルトトレーベース134はチャンネル138に向かって内向きに傾斜して固体-液体混合物を送出する。ベース134はあらゆる様式で傾斜されて重力による液体引取を促進してもよい。
米国特許第4,533,372号に記載されたように、メルトトレーは“煙突トレー”と称された。これは単一排気煙突の存在のためであった。煙突は蒸気が煙突トレー中を上向きに移動し得る開口部を備えていた。しかしながら、単一煙突の存在は煙突トレー中を上向きに移動する全てのガスが単一開口部を通って出て行く必要があったことを意味した。他方で、図2A、2B及び2Cのメルトトレー130中で、複数の煙突131が用意される。多くの煙突131の使用が改良された蒸気分布を与える。これが中間制御凍結ゾーン108中の一層良好な熱/物質移動に寄与する。
【0018】
煙突131はあらゆるプロフィールのものであってもよい。例えば、煙突131が丸形、矩形、又は蒸気をメルトトレー130中を通過させるあらゆるその他の形状であってもよい。煙突131はまた狭くてもよく、制御凍結ゾーン108に上向きに延びてもよい。これは有益な圧力低下を可能にして蒸気がCFZ 制御凍結ゾーン108へと上昇する際にそれを均等に分布させる。煙突131は追加の伝熱領域を与えるために波形ベース134のピークの上に配置されることが好ましい。
煙突131の上部開口部はハット又はキャップ132で覆われることが好ましい。これは制御凍結ゾーン108から落下する固体がメルトトレー130に落下することを避け得る機会を最小にする。図2A、2B及び2C中で、キャップ132が煙突131の夫々の上に見られる。
メルトトレー130はまたバブルキャップを備えて設計されてもよい。バブルキャップはメルトトレー130の下から上昇するベース134中の凸形くぼみを形成する。バブルキャップは更にメルトトレー130中の表面積を増大して追加の伝熱をCO2 に富む液体に与える。この設計により、好適な液体引取、例えば、増大された傾斜角が、液体が下のストリッピングトレー126に送られることを保証するために用意されるべきである。
再度、図1を参照して、メルトトレー130がまた外部液体移動システムを備えて設計されてもよい。その移動システムは全ての液体が実質的に固体を含まないこと及び充分な伝熱が用意されたことを確実にするのに利用できる。その移動システムはまず引取ノズル136を含む。一実施態様において、引取ノズル136が引取サンプ、又はチャンネル138(図2Cに示される)内にある。チャンネル138中に集められた流体が移動ライン135に送出される。移動ライン135中の流れが制御弁137及びレベルコントローラー“LC”(図1中に見られる)により制御されてもよい。流体が移動ライン135により下部蒸留ゾーン106に戻される。液体レベルがあまりにも高い場合、制御弁137が開き、レベルがあまりにも低い場合、制御弁137が閉じる。作業者が下部蒸留ゾーン106中で移動システムを使用しないことを選ぶ場合、制御弁137が閉じられ、流体がオーバーフローダウンカマー139によりストリッピングのためにメルトトレー130の下の物質移動装置、又は“ストリッピングトレー”126に直ぐに送られる。
【0019】
外部移動システムが使用されようと、又は使用されなくても、固体CO2 がメルトトレー130で温められ、CO2 に富む液体に変換される。メルトトレー130が下部蒸留ゾーン106からの蒸気により下から加熱される。補充熱が必要により種々の手段、例えば、ヒーターライン25によりメルトトレー130又はメルトトレーベース134の直ぐ上に加えられてもよい。ヒーターライン25はボトムリボイラー160から既に入手し得る熱エネルギーを利用して固体の解凍を促進する。
CO2 に富む液体が液体レベル制御下でメルトトレー130から引き取られて、下部蒸留ゾーン106に重力により導入される。注目されるように、複数のストリッピングトレー126がメルトトレー130の下で下部蒸留ゾーン106中に用意される。ストリッピングトレー126が互いに実質的に平行な関係にあることが好ましい。ストリッピングトレー126の夫々が必要によりウェアーで非常にわずかな傾斜で配置されてもよく、その結果、液体レベルがトレー上で維持される。流体がウェアーの上で夫々のトレーに沿って重力により流れ、次いでダウンカマーにより次のトレーに下に流れる。
ストリッピングトレー126は種々の配置であってもよい。ストリッピングトレー126は一般に水平の関係で配置されて前後にカスケードする液体流を生成してもよい。しかしながら、ストリッピングトレー126はセパレートストリッピングトレーにより同じ水平平面に実質的に沿って分けられるカスケードする液体流を生じるように配置されることが好ましい。これが図3の配置に示され、そこでは液体流が少なくとも1回分けられ、その結果、液体がセパレートトレーを横切って流れ、二つの反対のダウンカマー129に落下する。
図3は一実施態様における、ストリッピングトレー126配置の側面図を示す。ストリッピングトレー126の夫々が上からの流体を受け取り、集める。夫々のストリッピングトレー126がストリッピングトレー126の夫々の上で流体の小さいプールの収集を可能にするためのダムとして利用できるウェアー128を有することが好ましい。そのビルドアップは1.3〜2.5cm(1/2〜1インチ)であってもよいが、あらゆる高さが使用されてもよい。流体が一つのトレー126から次の低いトレー126に落下する際に、水落下効果がウェアー128により生じられる。一局面において、傾斜がストリッピングトレー126に用意されないが、水落下効果が一層高いウェアー128の配置により生じられる。流体が軽炭化水素に富む上昇する蒸気と接触され、これがトレー126のこの“接触領域”中で交差して流れる液体からメタンをストリッピングする。ウェアー128はダウンカマー129を動的にシールして蒸気がダウンカマー129中をバイパスすることを防止することを助け、更に炭化水素ガスの発生を促進するのに利用できる。
【0020】
液体が下部蒸留ゾーン106中を下方に移動するにつれて、液体中のメタンの%が次第に小さくなる。蒸留の程度は下部蒸留ゾーン106中のトレー126の数に依存する。下部蒸留ゾーン106の上部中で、液体のメタン含量が25モル%程度に高くてもよく、一方、底部ストリッピングトレーではメタン含量が0.04モル%程度に低くてもよい。メタン含量はストリッピングトレー126(又はその他の物質移動装置)に沿って迅速になくなる。下部蒸留ゾーン106中で使用される物質移動装置の数は生ガス流10の組成、塔圧力、及びボトム流26のメタン仕様に基づく設計上の選択の事柄である。しかしながら、ストリッピングトレー126のほんのわずかなレベルがメタンを液化酸性ガス中で、例えば、1%以下の所望のレベルまで除去するのに典型的に利用される必要がある。
メタン発生を促進する種々の個々のストリッピングトレー126の形態が使用されてもよい。ストリッピングトレー126は単にシーブ孔又はバブルキャップを備えたパネルに相当してもよい。しかしながら、更なる伝熱を流体に与え、固体による望ましくない詰まりを防止するために、所謂“ジェットトレー”がメルトトレーの下で使用されてもよい。トレーに代えて、ランダムパッキング又は構造パッキングがまた使用されてもよい。
【0021】
図4Aは一実施態様における、例示のジェットトレー426の平面図を示す。図4Bはジェットトレー426からのジェットタブ422の断面図を示す。示されるように、夫々のジェットトレー426がボディ424内に形成された複数のジェットタブ422とともに、ボディ424を有する。夫々のジェットタブ422が開口部425を覆う傾斜タブ部材428を含む。こうして、ジェットトレー426が複数の小開口部425を有する。
運転中、一つ以上のジェットトレー426が塔100の下部蒸留ゾーン106及び/又は上部蒸留ゾーン110中に配置されてもよい。トレー426は図3中で多くの通過、例えば、ストリッピングトレー126のパターンで配置されてもよい。しかしながら、メタンガスの発生を促進するあらゆるトレー又はパッキング配置が利用されてもよい。流体が夫々のジェットトレー426の上で下方にカスケードする。次いで流体がボディ424に沿って流れる。タブ422は必要により流体をトレー426を横切って迅速かつ有効に移動するように配向されてもよい。隣接ダウンカマー(示されていない)が必要により用意されて液体をその後のトレー426に移動してもよい。開口部425がまた下部蒸留ゾーン106中の流体移動プロセス中に放出されたガス蒸気をメルトトレー130そして煙突131中に一層有効に上向きに移動させる。
一局面において、トレー(例えば、トレー126又は426)が汚損耐性材料、即ち、固体堆積を防止する材料から加工されてもよい。汚損耐性材料が或る加工装置中で利用されて腐食性金属粒子、ポリマー、塩、水和物、触媒微粉、又はその他の化学固体化合物の堆積を防止する。低温蒸留塔100の場合には、汚損耐性材料がトレー126又は426中で使用されてCO2 固体の粘着を制限してもよい。例えば、テフロンTM被覆物がトレー126又は426の表面に適用されてもよい。
また、物理的設計はCO2 がカラム100の内径に沿って固体形態で堆積し始めないことを確実にするために用意されてもよい。これに関して、ジェットタブ422が液体をカラム100の壁に沿って押しやり、それによりカラム100の壁に沿った固体蓄積を防止し、良好な蒸気-液体接触を確実にするように配向されてもよい。
トレー配置のいずれにおいても、下に流れる液体がストリッピングトレー126に当る際に、物質の分離が起こる。メタンガスが溶液から発生し、蒸気形態で上向きに移動する。しかしながら、CO2 は一般に充分に冷たく、しかもそれが殆どその液体形態に留まり、下部蒸留ゾーン106の底部へと下に移動するのに充分に高い濃度であるが、若干のCO2 がその方法中に不可避に気化されるであろう。次いで液体が出口ライン中でボトム流体流22として低温蒸留塔100から移動して出て行く。
【0022】
蒸留塔100を出た後に、ボトム流体流22がリボイラー160に入る。図1中、リボイラー160が再沸騰蒸気をストリッピングトレーの底部に与えるケトル型容器である。再沸騰蒸気ラインが27で見られる。加えて、再沸騰蒸気がヒーターライン25に送出されて補充の熱をメルトトレー130に与えてもよい。補充の熱が弁165及び温度コントローラーTCにより調節される。また、熱交換機、例えば、サーモサイホン熱交換機(示されていない)が初期の流体流10を冷却してエネルギーを経済的にするのに使用されてもよい。これに関して、リボイラー160に入る液体が比較的低い温度、例えば、約-1.1℃(30°F)〜4.4℃(40°F)に留まる。初期の流体流10との熱統合により、作業者は蒸留塔100からの冷ボトム流体流22を温め、部分的に沸騰させるとともに、生成流体流10を前冷却してもよい。この場合につき、ライン25により補充の熱を与える流体がリボイラー160からの混合相リターンである。
或る条件下で、メルトトレー130はヒーターライン25を使用しないで作動し得ることが意図されている。これらの場合には、メルトトレー130が内部加熱特徴、例えば、電気ヒーターを用いて設計されてもよい。しかしながら、ボトム流体流22中で利用できる熱エネルギーを使用する加熱システムが提案されることが好ましい。ヒーターライン25中の温かい流体が一局面において-1.1℃(30°F)〜4.4℃(40°F)で存在して、こうしてそれらが相関的な熱エネルギーを含む。こうして、図1中で、ヒーターライン25中の温かい蒸気流がメルトトレー130上の加熱コイル(示されていない)によりメルトトレー130に送られることが示されている。温かい蒸気流がまた移動ライン135につながれていてもよい。
【0023】
運転中、再沸騰された蒸気流の殆どがライン27を通ってカラムの底部で、ボトム液体レベルの上に、そして最後のストリッピングトレー126で、又はその下で導入される。再沸騰された蒸気が夫々のトレー126中を上向きに通過する際に、残留メタンが液体からストリッピングされる。この蒸気が塔を上に移動する際にそれが冷却する。ライン27からの蒸気流が波形メルトトレー130に達する時間まで、その温度が約-29℃(-20°F)〜-18℃(0°F)に低下し得る。しかしながら、これはメルトトレー130上で融解している固体(これは-46℃(-50°F)〜-57℃(-70°F)付近であってもよい)と較べて全く温かく留まる。蒸気はメルトトレー130と接触する際にそれは依然として充分なエンタルピーを有して固体CO2 を融解する。
リボイラー160に戻って言及して、液体形態でリボイラー160を出るボトム流24中の流体は必要によりエキスパンダー弁162を通過してもよい。エキスパンダー弁162はボトム液体生成物の圧力を低下し、冷凍効果を有効に与える。こうして、冷却ボトム流26が提供される。リボイラー160を出るCO2 に富む液体が一つ以上のAGI ウェル(図1中250に図示される)によりダウンホールでポンプ輸送されてもよい。或る状況では、液体CO2 が増進された油回収方法の一部として部分回収油溜めにポンプ輸送されてもよい。こうして、CO2 が混和性注入物であってもよい。代替として、CO2 が増進された油回収のための混和性フラッド剤として使用されてもよい。
塔100の下部蒸留ゾーン106に再度言及して、ガスがメルトトレー130中の煙突131を通って、下部蒸留ゾーン106中を上に、そして制御凍結ゾーン108に移動する。制御凍結ゾーン108が複数のスプレーノズル122を有する開放チャンバーを形成する。蒸気が制御凍結ゾーン108中を上向きに移動するにつれて、蒸気の温度が極めて冷たくなる。蒸気がスプレーノズル122から来る液体メタン(“還流”)により接触される。この液体メタンは熱交換機170を含む外部冷凍ユニットにより冷却された、上向きに移動する蒸気よりも極めて冷たい。一つの配置では、液体メタンが約-84℃(-120°F)〜-90℃(-130°F)の温度でスプレーノズル122から出る。しかしながら、液体メタンが蒸発する際に、それがその周囲から熱を吸収し、それにより上向きに移動する蒸気の温度を低下する。気化されたメタンがまた蒸留塔100内のその低下された密度(液体メタンに対して)及び圧力勾配のために上向きに流れる。
【0024】
メタン蒸気が低温蒸留塔100を更に上に移動するにつれて、それらが中間制御凍結ゾーン108を出て、上部蒸留ゾーン110に入る。蒸気がもとの冷却流体流12から発生されたその他の軽ガスとともに上向きに移動し続ける。合わされた炭化水素蒸気が低温蒸留塔100の上部から移動して、オーバーヘッドメタン流14になる。
オーバーヘッドメタン流14中の炭化水素ガスが外部冷凍ユニット170に移動される。一局面において、冷凍ユニット170がオーバーヘッドメタン14を約-93℃(-135°F)〜-98℃(-145°F)に冷却し得るエチレン冷媒又はその他の冷媒を使用する。これがオーバーヘッドメタン流14を少なくとも部分的に液化するのに利用できる。次いで冷凍メタン流14が還流冷却器又は分離チャンバー172に移動される。
分離チャンバー172は時折“液体還流”18と称される、液体からガス16を分離するのに使用される。ガス16はもとの生ガス流10からの軽炭化水素ガス、主としてメタンに相当する。窒素及びヘリウムがまた存在してもよい。メタンガス16は、勿論、痕跡のエタンとともに、捕捉され、市販されることが最終的に求められている“製品”である。オーバーヘッドメタン流14のこの非液化部分がまた燃料オンサイトに利用できる。
【0025】
冷凍ユニット170を出るオーバーヘッドメタン流14の一部が凝縮される。この部分は分離チャンバー172中で分離され、塔100に戻される液体還流18である。ポンプ19が液体還流18を塔100に移動して戻すのに使用されてもよい。また、分離チャンバー172が塔100の上に取り付けられて液体還流18の重力供給を与える。液体還流18は上部蒸留ゾーン110から逃げた二酸化炭素を含むであろう。しかしながら、液体還流18の殆どが窒素(もとの流体流10中に存在する場合)及び痕跡の硫化水素(また初期の流体流10中に存在する場合)とともに、典型的には95%以上の、メタンである。
一つの冷却配置では、オーバーヘッドメタン流14が開放ループ冷凍システム、例えば、図6Aに示され、またそれと関連して記載された冷凍システムにより取り出される。図6Aのこの配置では、オーバーヘッドメタン流112が液体還流18として使用されるオーバーヘッドメタン流の戻り部分を冷却するための交差交換機113により取り出される。その後に、オーバーヘッドメタン流112が約70kg/cm2(1,000psi)〜98kg/cm2(1,400psi)に加圧され、次いで周囲空気そしておそらく外部プロパン冷媒を使用して冷却される。次いでその加圧され、冷却されたガス流が更なる冷却のためにエキスパンダー中に送られる。ターボエキスパンダーが或るシャフト作用と同様に一層の液体を回収するのに使用されてもよい。“少なくとも一種の冷凍可能な成分を含む多成分ガス流の分離方法”という発明の名称の米国特許第6,053,007号が、オーバーヘッドメタン流の冷却を記載しており、本明細書に参考としてそのまま含まれる。
ここで、本発明はオーバーヘッドメタン流14の冷却方法により限定されないことが理解される。また、冷凍ユニット170及び初期の冷凍ユニット150の間の冷却の程度は変化されてもよいことが理解される。或る場合には、冷凍ユニット150を高温で運転することが望ましいかもしれないが、その後にオーバーヘッドメタン流14を冷凍ユニット170中で冷却することでもって一層積極的であるかもしれない。再度、本発明はこれらの型の設計上の選択に制限されない。
【0026】
図1に再度戻って、液体還流18が上部蒸留ゾーン110に戻される。次いで液体還流18が上部蒸留ゾーン110中で一つ以上の物質移動装置116に重力により運ばれる。一実施態様において、物質移動装置116が上記トレー126と同様の、カスケードする一連のウェアー118及びダウンカマー119を用意する精留トレーである。
液体還流18からの流体が精留トレー116中を下方に移動する際に、追加のメタンが上部蒸留ゾーン110から気化する。メタンガスがオーバーヘッドメタン流14と再び加わってガス製品流16の一部になる。しかしながら、液体還流18の残りの液相がコレクタートレー140に落下する。それがそうする際に、液体還流18が制御凍結ゾーン108から上向きに移動する小%の炭化水素及び残留酸性ガスを不可避にピックアップするであろう。メタンと二酸化炭素の液体混合物がコレクタートレー140で集められる。
コレクタートレー140が液体を回収するために実質的に平面のボディを形成することが好ましい。しかしながら、メルトトレー130と同様に、コレクタートレー140がまた制御凍結ゾーン108から上昇して来るガスを排出するために一つ、好ましくは複数の煙突を有する。煙突及びキャップ配置、例えば、図2B及び2C中に成分131及び132により示されるものが使用されてもよい。コレクタートレー140用の煙突141及びキャップ142が図5の拡大図に示され、以下に更に説明される。
ここで、上部蒸留ゾーン110中で、存在するH2S は液体中に溶解されるもの対加工温度におけるガス中にあるものについて選択を有することが注目される。これに関して、H2S は比較的低い相対的揮発性を有する。残りの蒸気を一層多くの液体と接触することにより、低温蒸留塔100がH2S 濃度を所望の百万分の一(ppm)制限内、例えば、10又は更には4ppm仕様内に下に誘導する。流体が上部蒸留ゾーン110中で物質移動装置116中を移動する際に、H2S が液体メタンと接触し、気相から引き出され、液体流20の一部になる。そこから、H2S が液体形態で下部蒸留ゾーン106中を下方に移動し、最終的に液化酸性ガスボトム流22の一部として低温蒸留塔100を出る。
【0027】
低温蒸留塔100中で、コレクタートレー140で捕捉された液体が液体流20として上部蒸留ゾーン110から抜き取られる。液体流20は主としてメタンを含む。一局面において、液体流20が約93モル%のメタン、3%のCO2 、0.5%のH2S 、及び3.5%のN2を含む。この時点で、液体流20が約-87℃(-125°F)〜-90℃(-130°F)である。これは液体還流18よりもほんのわずかに温かい。液体流20が還流ドラム174に送られる。還流ドラム174の目的はサージ能力をポンプ176に与えることである。還流ドラム174を出た後に、スプレー流21が生じられる。スプレー流21が低温蒸留塔100への第二の再導入のためにポンプ176中で加圧される。この場合、スプレー流21が中間制御凍結ゾーン108にポンプ輸送され、ノズル122により放出される。
スプレー流21の或る部分、特にメタンが、ノズル122を出た後に気化し、蒸発する。そこから、メタンが制御凍結ゾーン108、コレクタートレー140中の煙突、そして上部蒸留ゾーン110中の物質移動装置116中を上昇する。メタンがオーバーヘッドメタン流14として蒸留塔100を出て、最終的にガス流16中の市販製品の一部になる。
ノズル122からのスプレー流21がまた二酸化炭素をガス相から脱昇華させる。これに関して、液体メタンに初期に溶解されたCO2 がガス相に瞬時に入って、メタンとともに上向きに移動し得る。しかしながら、制御凍結ゾーン108内の低温のために、ガス状二酸化炭素が迅速に核形成し、固相に凝集し、“スノー”し始める。この現象が脱昇華と称される。この方法で、若干のCO2 がメルトトレー130に当るまでそれが液相に再度入らない。この二酸化炭素がメルトトレー130の上で“スノー”し、液相に融解する。そこから、CO2 に富む液体が上記された冷却生ガス流22からの液体CO2 とともに、下部蒸留ゾーン106中の物質移動装置を下にカスケードする。その時点で、ノズル122のスプレー流21からの残りのメタンが迅速に蒸気中に発生する。これらの蒸気が低温蒸留塔100中を上向きに移動し、上部蒸留ゾーン110に再度入る。
塔100を上に移動しているガスのできるだけ多くと接触する冷却液体を有することが望ましい。蒸気がノズル122から生じるスプレー流21をバイパスする場合、一層高いレベルのCO2 が塔100の上部蒸留ゾーン110に達し得る。制御凍結ゾーン108中のガス/液体接触の効率を改良するために、設計された形態を有する複数のノズル122が使用されてもよい。こうして、還流流体流21による一つ以上のレベルで単一スプレー源を使用することよりもむしろ、必要により多くのスプレーノズル122で設計されてもよい幾つかのスプレーヘッダー120が使用されてもよい。こうして、スプレーノズル122の形態が熱及び制御凍結ゾーン108内で起こる物質移動に影響を有する。
【0028】
本譲受人は2007年11月20日の国際出願日を有する共同未決WO特許公開第2008/091316号で種々の配置を既に提案していた。その出願並びに図6A及び6Bがノズル形状の教示のための参考として本明細書に含まれる。ノズルは制御凍結ゾーン108内の360°のカバーを確実にし、良好な蒸気-液体接触及び熱/物質移動を与えようとする。これが、順に、低温蒸留塔100中を上向きに移動するガス状二酸化炭素を一層有効に冷却する。
完全カバーのための多くのヘッダー120及び相当するオーバーラップノズル122配置の使用が同様に逆混合を最小にする。これに関して、完全カバーが微細な、低質量のCO2 粒子を蒸留塔100を逆に上に移動し、上部蒸留ゾーン110に再度入ることから防止する。次いでこれらの粒子がメタンと再混合し、再度循環されるためにだけ、オーバーヘッドメタン流14に再度入る。
蒸気を低温蒸留塔100にサイクルする方法は最終的に商用メタン製品16を含む炭化水素製品を生成することが見られる。ガス製品16が販売のためにパイプラインに送られる。充分な還流が生成される場合、ガス製品流16が1〜4モル%のパイプラインCO2 仕様だけでなく、4ppm H2S仕様を満足することが好ましい。同時に、酸性ガスが出口流体流22により除去される。
窒素が、例えば、3モル%より大きい量で存在する場合、別の窒素排除方法が使用されてもよい。パイプライン仕様は一般に3モル%未満の全不活性ガス組成を要求する。過剰の窒素を除去するための一つの選択肢は固体吸着床(示されていない)を使用することである。床中の固体吸着剤は特別な孔サイズを有するモレキュラーシーブを形成するゼオライト材料であってもよい。モレキュラーシーブがオーバーヘッドメタン流に沿って置かれて窒素をオーバーヘッド流から除去する。これが冷却の前に起こることが好ましい。
【0029】
モレキュラーシーブが一旦窒素で充分に吸着されると、それは圧力スイング吸着又は熱スイング吸着を使用して再生されてもよい。モレキュラーシーブは一般に、例えば、生供給ガスの水吸着を使用して再生し得ない。何とならば、脱着された窒素が最後にカラムに戻ることになり、こうして、そのシステムから排除されないからである。
図1と関連して記載された上記システムが実質的に酸性ガスを含まないパイプラインガス製品16を生成するのに有益であるが、そのシステムは重炭化水素を冷却ボトム流26に失う潜在性を有する。これに関して、重炭化水素、例えば、エタン及びプロパンが初期流体流10中に存在し得る。蒸留塔100が軽成分、例えば、メタン、ヘリウム、窒素、そしておそらく、若干のエタンをオーバーヘッド流14中に放出するが、殆どのエタン及びその他の重炭化水素が二酸化炭素で液化され、こうして、ボトム流26中に“失われる”であろう。これらの重炭化水素は、勿論、商用製品としての価値を有する。それ故、初期の流体流10で生成される重炭化水素を捕捉するためのシステム及び方法が本明細書に提案される。
C2及びC3+炭化水素の市場供給の大半は天然ガスから抽出される。このような成分が天然ガス液体(NGL)と普通称される。一つの一般のアプローチでは、初期流体流10が蒸留塔100に入る前に、重炭化水素が捕捉される。この方法では、“一層リーンな”ガスが蒸留塔100に供給される。
重炭化水素を上流で除去するための一つの方法は物理溶媒の使用を用いる。或る種の物理溶媒が重炭化水素についてのアフィニティーを有し、重炭化水素をメタンから分離するのに使用し得る。好適な物理溶媒の例として、N-メチルピロリドン、プロピレンカーボネート、メチルシアノアセテート、及び冷凍メタノールが挙げられる。
物理溶媒の好ましい例はテトラメチレンスルホンの化学名を有する、スルホランである。スルホランはスルホニル官能基を含む有機硫黄化合物である。スルホニル基は二つの酸素原子に二重結合された硫黄原子である。硫黄-酸素二重結合は高度に極性であり、水中の高い溶解性を可能にする。同時に、4炭素環が炭化水素についてのアフィニティーを与える。これらの性質はスルホランが水及び炭化水素の両方に混和性であることを可能にし、炭化水素混合物を精製するための溶媒としての広範な使用をもたらす。
【0030】
別の好適な物理溶媒はセレキソールTMである。セレキソールTMはダウ・ケミカル社のガス処理製品のトレード名である。セレキソールTMはポリエチレングリコールのジメチルエーテルの混合物である。一つのこのような成分の例はジメトキシテトラエチレングリコールである。セレキソールTMはまた炭化水素混合物を精製するための溶媒として使用されてもよい。
図6Aは一実施態様における、酸性ガスをガス流から除去するためのガス加工設備600を示す略図である。ガス加工設備は酸性ガス除去システムの上流の物理溶媒プロセスを使用する。総合の酸性ガス除去システムが一般に650により示され、一方物理溶媒プロセスがブロック605により示される。酸性ガス除去システム650はブロック100で分離容器を含む。ブロック100は一般に図1の制御凍結ゾーン塔100を示すが、あらゆる低温蒸留塔を表してもよい。
図6A中、生成ガス流が612で示される。生成ガス流612は溜め発生領域、即ち“現場”610中で起こる炭化水素生成活動に由来する。現場610はガス状炭化水素が生成されるあらゆる場所を表してもよいことが理解される。
現場610は陸上、海岸付近又は海洋であってもよい。現場610はもとの溜め圧力から作業してもよく、又は増進された回収操作を受けてもよい。本明細書で特許請求されたシステム及び方法は、それが酸性ガスで汚染された炭化水素を生成している限り、開発下にある現場の型に限定されない。炭化水素は主としてメタンを含むが、また2〜10モル%のエタン及び/又はその他の重炭化水素を含むであろう。
【0031】
生成ガス流612は、例えば、現場610からガス加工設備600へと、パイプライン中を通されてもよい。ガス加工設備600に達した後、生成ガス流612がグリコール脱水容器の如き脱水プロセスに送られてもよい。脱水容器が620で図示される。生成ガス流612を脱水容器620に通すことの結果として、水性流622が生成される。或る場合には、生ガス流が水ドロップアウト及び水和物生成を防止するためにモノエチレングリコール(MEG) と混合されてもよい。MEG は、例えば、冷却器に噴霧されてもよく、液体が、冷却器の温度及び入口ガス組成に応じて、水、一層濃縮されたMEG 、そしておそらく若干の重炭化水素への分離のために集められる、
水性流622は水処理設備に送られてもよい。また、水性流622は地下層に再注入されてもよい。地下層はブロック630で示される。更にまた、除去された水性流622が処理され、次いで処理水として地方の分水界(示されていない)に放出されてもよい。
また、生成ガス流612を脱水容器620に通すことの結果として、実質的に脱水された生ガス流624が生成される。生ガス流624は痕跡量の窒素、ヘリウム及びその他の不活性ガスを含んでもよい。本システム及び方法と関連して、脱水されたガス流624がまたエタンそして、おそらく、プロパン又は更には痕跡量のブタン及び芳香族炭化水素を含む。これらは重炭化水素に相当する。
生ガス流624は必要により予備冷凍ユニット625に通されてもよい。冷凍ユニット625はガス流624を約-6.7℃(20°F)〜10℃(50°F)の温度に冷却する。冷凍ユニット625は、例えば、空気冷却器又はエチレンもしくはプロパン冷凍機であってもよい。
図6Aに示されたシステムでは、システムが重炭化水素を生ガス流624から除去する。ガス加工設備600に従って、物理溶媒システム605が用意される。脱水されたガス流624が物理溶媒システム605に入る。物理溶媒システム605がガス流624を物理溶媒と接触させて重炭化水素を吸収のプロセスにより除去する。これが比較的低い温度及び比較的高い圧力で起こり、この場合、酸性ガス成分の溶解性がメタンのそれよりも大きい。
図6Bは一実施態様における、物理溶媒システム605の略図を示す。物理溶媒システム605が作動して重炭化水素を除去するために脱水されたガス流624と接触する。脱水されたガス流624が入口セパレーター660に入ることが見られる。入口セパレーター660はあらゆる凝縮された炭化水素を除去するのに利用できる。入口セパレーター660はまた液体不純物、例えば、掘削流体を濾別し得る。理想的に、水が上流の脱水容器620中で除去される。若干の粒子濾過がまた起こってもよい。液体溶媒の発泡を酸性ガス処理方法中に防止するようにガス流624をきれいに保つことが望ましいことが理解される。
【0032】
掘削流体の如き液体が入口セパレーター660の底部から落下する。液体不純物流が662に見られる。液体不純物が典型的には水処理設備(示されていない)に送られ、又は溜め圧力を持続するために、もしくは廃棄のために地層に再注入されてもよい。ガスが一口セパレーター660の上部から出る。きれいにされたガス流が664に見られる。
きれいにされたガス流664は必要によりガス間交換機665に送られてもよい。ガス間交換機665はきれいにされたガス流664中のガスを予備冷却する。次いできれいにされたガスが吸収器670に送られる。吸収器670中の吸収剤は、例えば、溶媒であってもよく、一方、吸収器は向流接触塔であってもよい。これに関して、きれいにされたガス流664がその塔670の底部に入り、その間に溶媒696がその塔670の上部に入る。その塔670はトレー型の塔、充填塔、又はその他の型の塔であってもよい。
ガス-液体接触に設計されたあらゆる数の非塔装置がまた利用されてもよいことが理解される。これらとして、スタチックミキサー及び並流接触装置が挙げられるかもしれない。図6Bの向流塔は単に説明目的のためである。重要なことに、一つ以上のガス-液体接触容器のためのコンパクトな、並流コンタクターの使用が好ましく、このようなものとして物理溶媒システム605の総合のフットプリント(footprint)及び質量を軽減し得る。
【0033】
接触プロセスの結果として、軽ガス流678が生成される。軽ガス流678は塔670の上部から来る。ついで軽ガス流678が冷凍プロセスに行き、その後に図6A中ブロック100で図示された低温蒸留塔に送られる。
瞬時に図6Aに戻って言及すると、軽ガス流678が物理溶媒システム605を出て、冷却器626を通過する。冷却器626は軽ガス流678を約-34℃(-30°F)〜-40℃(-40°F)の温度に冷却する。冷却器626は、例えば、エチレン又はプロパン冷凍機であってもよい。
軽ガス流678は次に膨張装置628中を移動されることが好ましい。膨張装置628は、例えば、ジュール-トンプソン(“J-T”)弁であってもよい。膨張装置628は軽ガス流678の更なる冷却を得るためのエキスパンダーとして利用できる。膨張装置628は軽ガス流678の温度を、例えば、-57℃(-70°F)〜-62℃(-80°F)に更に低下する。ガス流624の少なくとも部分的な液化がまた達成されることが好ましい。冷却されたガス流がライン611に示される。
図6Bを再度参照して、接触塔670が重炭化水素をピックアップするであろう。これらが“リッチ”溶媒として塔670の底部から放出される。リッチ溶媒流672が塔670を出るのが見られる。
図6Bの配置では、リッチ溶媒流672が動力回収タービン674中に運ばれる。これは電気エネルギーが物理溶媒システム605のために発生されることを可能にする。そこから、リッチ溶媒流672が一連のフラッシュセパレーター680中に運ばれる。図6Bの例示の配置では、三つのセパレーターが682、684及び686で示される。セパレーター682、684、686は物理溶媒プロセスに従って次第に低い温度及び圧力で運転する。
第一のセパレーター682は、例えば、35kg/cm2(500psi)の圧力及び32℃(90°F)の温度で運転してもよい。第一のセパレーター682はリッチ溶媒流672中に連行された軽ガスを放出する。681で示される、これらの軽ガスは主としてメタン、CO2 、及びH2S を含む。軽ガス681が軽ガス流678の一部として低温蒸留塔100に送られる。軽ガス681がコンプレッサー690中を移動して低温蒸留塔100への途中で圧力を増大することが好ましい。蒸留塔100が溶媒プロセスの第一フラッシュ段階682よりも低い圧力で運転される場合、圧縮が必要ではないかもしれない。
【0034】
理想的に、きれいにされたガス流664からの全ての重炭化水素がリッチ溶媒流672で捕捉されていた。次第にリッチになる溶媒流が夫々のセパレーター682、684、686から放出される。これらの次第にリッチの流れがライン683、685及び687で示される。こうして、物理溶媒が一般に溶解ガスを溶媒からフラッシさせる圧力低下により再生される。
ライン687は、勿論、最もリッチな溶媒流である。この溶媒流687の一部がブースターポンプ692中に運ばれ、半分リーンな溶媒として接触塔670に再導入される。693で示される、残りの部分がストリッピング容器652に送られる。
三つのセパレーターのうちの第二684及び第三686と関連して、これらの684、686の夫々がまた非常に少量の軽ガスを放出することが注目される。これらの軽ガスはおそらく少量のメタンとともに主として二酸化炭素を含むであろう。これらの軽ガスが二つの別々のラインで689で示される。軽ガス689が圧縮され、ライン611で合わされ、次いで低温蒸留塔100に送られてもよい。また、ライン689からの軽ガスが図6A中で642で示されたボトム液化酸性ガス流に直接送出されてもよい。
上流の重炭化水素除去のために物理溶媒を使用することの一つの利点は溶媒が一般に吸湿性であることである。これはその後のガス脱水工程の必要を省くかもしれない。この目的のために、選ばれる溶媒が乾燥していることが好ましい。この方法では、溶媒が生天然ガスを更に脱水するのに使用されてもよい。この場合には、水が再生器652から蒸気流691中に現れるかもしれない。欠点は若干の軽炭化水素及びCO2 が或る程度まで物理溶媒に同時吸着されることである。多くのセパレーター682、684、686の使用がメタンの殆どを除去するが、典型的にはその全てではない。
【0035】
ストリッピング容器652につき再度言及すると、ストリッピング容器652はヒーターとして作用する。重炭化水素が追い払われ、その結果、それらがライン655を通ってストリッピング容器652を出る。重炭化水素655が図6A及び6Bの両方に物理溶媒システム605を出ることが示されている。重炭化水素655が冷却のために熱交換機656に送られてもよい。そこで、重炭化水素655が凝縮され、液体重炭化水素生成物が657で生じられる。液体重炭化水素生成物657は天然ガス液体、即ちNGL を含む。NGL 657は必要により最終分離容器658中に送られてもよい。分離容器658は容器658の上部からライン691を通って少量の残存メタン、CO2 、水蒸気、及びストリッピングガス(651で示され、以下に説明される)を放出し、その間に精製天然ガス液体が容器658の底部付近でライン659を通って再販売のために商用製品として捕捉される。
図6Bに示されるストリッピング容器652はストリッピングガスを利用して重炭化水素を溶媒から分離する。ストリッピング容器652は幾つかの数のストリッピングガスで供給し得る。例は高CO2 含量を有する燃料ガス流である。高CO2 含量がストリッピングガス651に好ましい。何とならば、それが溶媒をCO2 で“予備飽和する”ことを助け、それにより生ガス624からの一層少ないCO2 ピックアップをもたらし得るからである。ストリッピングガス651は、例えば、低圧フラッシュ段階、即ち、セパレーター686からの軽ガス流689の一部であってもよく、炭化水素の一部の潜在的な回収を可能にする。いずれの場合にも、重炭化水素が一旦ストリッピング容器652から蒸発されると、ストリッピングガス651がコンプレッサー又はブロワー(示されていない)によりストリッピング容器652に循環されてもよい。
再生溶媒が再生容器652の底部から送られる。再生溶媒が653として出る。再生溶媒653が小型ブースターポンプ654により運ばれる。その後の一層大きいポンプ694がカラム670の上部について一層高い運転圧力に達するのに利用されてもよい。その後に、再生溶媒653が冷凍ユニットを有する熱交換機695により冷却されることが好ましい。冷却され、再生された溶媒696がその後に逆にコンタクター670に循環される。
【0036】
再度、図6Aを参照して、ライン611中の冷却ガス流が低温蒸留塔100に入る。低温蒸留塔100はCO2 粒子を強烈に凍結するプロセスによりメタンを酸性ガスから蒸留するように運転するあらゆる塔であってもよい。低温蒸留塔は、例えば、図1のCFZTM 塔100であってもよい。ライン611の冷却ガス流が約35kg/cm2ゲージ圧(500psig)〜42kg/cm2ゲージ圧(600psig)で塔100に入る。
図1と関連して説明されたように、酸性ガスが液化酸性ガスボトム流642として蒸留塔100から除去される。ボトム流642は必要によりリボイラー643に送られてもよく、そこでメタンを含む流体がガス流644として逆に塔100に再度送られる。主として酸性ガスを含む残りの流体が酸性ガスライン646により放出される。ライン646中の酸性ガスは液体形態である。酸性ガスは気化され、圧抜きされ、次いで硫黄回収ユニット(示されていない)に送られてもよい。また、ライン646中の液化酸性ガスはブロック649により示された一つ以上の酸性ガス注入(AGI) ウェルにより地下層に注入されてもよい。この場合には、ライン646中の酸性ガスが圧力ブースター648に通されることが好ましい。
メタンがオーバーヘッドメタン流112として蒸留塔100から放出される。オーバーヘッドメタン流112が約2モル%以下の二酸化炭素を含むことが好ましいであろう。この%で、オーバーヘッドメタン流112が燃料ガスとして使用されてもよく、又は天然ガスとして或る市場に販売されてもよい。しかしながら、本明細書中の或る方法に従って、オーバーヘッドメタン流112が更なる加工を受けることが望ましい。更に詳しくは、オーバーヘッドメタン流112が開放ループ冷凍システムに通される。
最初に、オーバーヘッドメタン流112が交差交換機113に通される。交差交換機113は還流18(これはエキスパンダー装置19による膨張後に低温蒸留塔100に再導入される)を予備冷却するのに利用できる。オーバーヘッドメタン流112が次にコンプレッサー114に送られてその圧力を増大する。
【0037】
次に、加圧されたメタン流112が冷却される。これは、例えば、メタン流112を空気冷却器115に通すことにより行なわれてもよい。冷たく、かつ加圧されたメタン流16が生成される。メタン流16が液化されて商用製品を生成してもよい。
冷却器115を出る冷却され、加圧されたメタン流116の一部が還流18に分けられる。還流18が熱交換機113中で更に冷却され、次いで装置19により膨張されて図1の冷スプレー流21を生成する。冷スプレー流21が蒸留塔100に入り、そこでそれが冷液体スプレーとして使用される。液体スプレー、即ち還流が、制御凍結ゾーン(図1の108で示される)の温度を低下し、上記脱水ガス流624からCO2 及びその他の酸性ガス粒子を凍結することを助ける。
硫化水素が脱水生ガス流624中に存在する場合、それの多くが重炭化水素とともにセパレーター682、684、686を通過することが図6A及び6Bと関連して最後に注目される。硫化水素の幾つかがライン687により接触塔670に逆に循環し得る。このシナリオを避けるために、接触塔670の上流にH2S-選択的除去プロセスを有することが好ましいかもしれない。その分離は選択的アミンによる吸収、酸化還元方法、又は吸着の如き伝統的H2S分離方法で達成し得る。硫化水素が硫黄回収ユニット(示されていない)又は酸性ガス注入ウェル649次いで溜めに送出されてもよい。
酸性ガス除去システムの上流の重炭化水素を除去するための別の潜在的方法が“リーン(lean)オイル”方法として知られている。そのリーンオイル方法は先に説明された物理溶媒方法と実に似ている。この場合には、ガス-液体吸着方法で物理溶媒を使用することに代えて、液体炭化水素の流れがきれいにされたガス流664と接触装置中で接触される。こうして、スルホラン又はセレキソールガスを物理溶媒として使用する代わりに、プロパン又は同様の重炭化水素化合物が使用される。
リーンオイル方法では、重炭化水素が“似たものが似たものを溶解する”という原理に基づいてきれいにされたガス流664から優先的に除去される。リーンオイルはC3+成分を図6B中でリッチ溶媒流672と称されたものに吸着する。重炭化水素成分が接触塔670中できれいにされたガス流664からストリッピングされる。リッチ溶媒流672中の重炭化水素がセパレーター(例えば、セパレーター682)により取り去られて残留メタンを回収する。リーンオイル/重炭化水素混合物の一部がライン687により接触塔670に逆に循環され、一方、その混合物の殆どが別の重炭化水素製品として回収される。
一局面において、リーンオイルがきれいにされたガス流664との接触の前に冷却される。リーンオイルを約-18℃(0°F)〜1.7℃(35°F)の温度に冷却することがC3炭化水素だけでなく、C2成分の回収を改良し得る。同時に、冷却されたリーンオイルがかなりのメタンそして、時々、二酸化炭素成分の一部を同時吸着する傾向を有し得る。それ故、リーンオイルが約-23℃(-10°F)〜-34℃(-30°F)の温度に維持されることが好ましい。
【0038】
酸性ガス除去システムの上流で重炭化水素を除去するために本明細書に提案された別の方法は膜の使用を伴なう。膜はポリマー材料を横切っての高圧から低圧への選ばれた分子の透過により作動する。
膜コンタクターが酸性ガスをスクラビングするための手段として知られている。例えば、米国特許第7,442,233号はアミン処理の前の二酸化炭素の部分除去のためのバルク酸性ガス除去膜(その’233特許の図3に66で見られる)の使用を説明している。このような方法は天然ガス流のCO2 含量が少なくとも10容積%である場合に有益であると言われている。その’233特許は重炭化水素を捕捉するのに膜コンタクターを使用しておらず、その代わりに、膜が天然ガス流の二酸化炭素含量の一部を捕捉し、次いで酸性ガス流がCO2 の完全な除去のためにその後のアミン処理を受けることが注目される。若干の重炭化水素が熱スイング又は、おそらく、圧力スイング吸着を使用して膜の上流で捕捉されるが、商用製品のために集められない。実際に、その’233特許は生ガス供給流が低い重炭化水素含量を有する場合に、初期スイング吸着工程が省かれ、生天然ガス供給流がアミン処理に直接送られることを欄12に記述している。
【0039】
本件出願人はゴム状膜の如き或る型の膜が軽炭化水素に対し重炭化水素を優先的に吸着し、溶解し、透過することを認識していた。このような膜が重炭化水素を除去するために低温蒸留方法の上流に設置されてもよい。重炭化水素の捕捉のためのゴム状膜の例として、ニトリルゴム、ネオプレン、ポリジメチルシロキサン(シリコーンゴム)、クロロスルホン化ポリエチレン、ポリシリコーンカーボネートコポリマー、フルオロエラストマー、可塑化ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、シス-ポリブタジエン、シス-ポリイソプレン、ポリ(ブテン-1)、ポリスチレン-ブタジエンコポリマー、スチレン/ブタジエン/スチレンブロックコポリマー、スチレン/エチレン/ブチレンブロックコポリマー、及び熱可塑性ポリオレフィンエラストマーが挙げられる。
図7は別の実施態様におけるガス加工設備700の略図を示す。この設備は一般に図6Aのガス加工設備600に従う。これに関して、脱水ガス流624が冷却され、次いでライン611を通って酸性ガス除去システム750にサワーガスとして送出される。しかしながら、この場合には、接触塔670とともに物理溶媒システム605を使用する代わりに、膜コンタクター710が使用される。膜コンタクターは重炭化水素を脱水ガス流624から優先的に吸着する。透過物712が低圧、例えば、大気圧付近で膜コンタクター710から放出される。透過物712は主として重炭化水素(これらは販売のために捕捉される)を含む。
重炭化水素をメタン、若干のCO2 及びH2S に対し優先的に吸着する膜はまたゴム状ポリマー材料中を透過し得ることが知られている。それ故、膜で捕捉された重炭化水素がおそらくCO2 そして、生成ガス612中に初期に存在する場合の、H2S で汚染されるであろう。これは透過物712がおそらく酸性ガスを含み、更なる加工を必要とし得ることを意味する。
【0040】
酸性ガス除去システムの上流で重炭化水素を除去するための本明細書に提案される別の方法は吸着動的分離、即ちAKS と称される方法である。AKS は或る種がその他の種に対して構造吸着剤に吸着される速度に頼る比較的新しいクラスの固体吸着剤を使用する。これは選択性が主として固体吸着剤の平衡吸着特性により付与される伝統的な平衡制御スイング吸着方法とは対照的である。後者の場合には、微小孔又は自由容積の吸着剤中の軽生成物の競合的吸着等温が有利とされない。
動的制御スイング吸着方法では、選択性が主として吸着剤の拡散特性及び微小孔中の輸送拡散係数により付与される。吸着剤は2種以上のガス成分について“動的選択性”を有する。本明細書に使用される“動的選択性”という用語は2種の異なる種についての単一成分拡散係数、D(単位:m2/秒)の比と定義される。これらの単一成分拡散係数はまた所定の純粋ガス成分のための所定の吸着剤について測定されるステファン-マックスウェル輸送拡散係数として知られている。それ故、例えば、成分Bに対する成分Aについての特別な吸着剤についての動的選択性はDA/DB に等しいであろう。物質についての単一成分拡散係数は吸着剤の業界で良く知られている試験により測定し得る。
動的拡散係数を測定するのに好ましい方法はReyesら著“多孔性固体における拡散及び吸着測定のための周波数変調方法”, J. Phys. Chem. B. 101, 614-622頁(1997)に記載された周波数応答技術による。動的制御分離では、第二の成分(例えば、成分B)に対する第一の成分(例えば、成分A)についての選ばれた吸着剤の動的選択性(即ち、DA/DB)が5より大きいことが好ましく、更に好ましくは20より大きく、更に好ましくは50より大きい。
吸着剤がゼオライト材料であることが好ましい。重炭化水素の除去に適当な孔サイズを有するゼオライトの非限定例として、MFI 、フォージャサイト、MCM-41及びベータが挙げられる。重炭化水素除去のための本発明の方法の実施態様に利用されるゼオライトのSi/Al 比は吸着剤の過度の汚損を防止するために約20から約1,000まで、好ましくは約200から約1,000までであることが好ましい。炭化水素ガス成分の分離のための吸着動的分離の使用についての追加の技術情報は米国特許公開第2008/0282884号であり、その全開示が参考として本明細書に含まれる。
現行の吸着動的分離(AKS) 適用において、重(一層遅い)炭化水素が吸着剤により保持されるであろう。これはそれらが低圧で回収されることを意味する。軽成分、即ち、メタン、N2、及びCO2 は、他方で、中間圧力でサワーガス流として吸着剤から放出されるであろう。サワーガス流が冷却され、次いで酸性ガス除去システムに送られる。
【0041】
図8は吸着動的分離方法を使用するガス加工設備800の略図を示す。この設備800は一般に図6Aのガス加工設備600に従って作動する。これに関して、脱水生ガス流624が冷却され、次いでライン611を通って酸性ガス除去システム850にサワーガス流として送出される。しかしながら、酸性ガス除去システム850の上流で接触塔670とともに物理溶媒システム605を使用する代わりに、AKS 固体吸着剤床810が使用される。吸着床810は重炭化水素を優先的に吸着する。次いで天然ガス液体流814が低圧で固体吸着剤床から放出される。
天然ガス液体流814は主として重炭化水素を含むが、また若干の二酸化炭素を含む。この理由のために、蒸留方法が二酸化炭素を天然ガス液体から分離するのに試みられることが好ましい。蒸留容器が820で示される。蒸留容器820は、例えば、汚染洗浄システムとして使用されるトレー型カラム又は充填カラムであってもよい。二酸化炭素ガスがオーバーヘッドライン824により放出される。ライン824が溜め649への酸性ガス注入のための酸性ガスライン646と合体されることが好ましい。重炭化水素がボトムライン822を通って容器820から出て、そこでそれらが販売のために捕捉される。
システム800の吸着動的分離方法は大過剰の圧力下で生成された天然ガス流から重炭化水素を回収するのに一層有益であり得ることが注目される。この状況で、ライン611中のサワーガスが低温蒸留塔100により加工されるのに適当な圧力を有する。過度の圧力の例は28kg/cm2ゲージ圧(400psig)より大きい圧力であろう。
吸着床810が軽ガス流812を放出する。軽ガスは主としてメタン及び二酸化炭素を含む。低温蒸留塔100に入る前に冷却が軽ガス812に施されることが好ましい。例示のガス加工設備800では、軽ガス812が冷凍ユニット626、次いで膨張装置628に通される。膨張装置628は、例えば、ジュール-トンプソン(“J-T”)弁であってもよい。軽ガス812の少なくとも部分的な液化が冷却と関連して達成されることが好ましい。冷却されたサワーガス流が611で生成され、これが酸性ガス除去システム850に送られる。
【0042】
酸性ガス除去システムの上流で重炭化水素を除去するための本明細書で提案される別の方法は抽出蒸留と称される方法である。抽出蒸留は少なくとも二つの蒸留カラムとともに溶媒を利用して近く沸騰する成分の分離を促進する。
図9は抽出蒸留システム900が使用されるガス加工設備900の略図を示す。抽出蒸留システム900が低温蒸留塔100の上流に示される。開始時に、脱水ガス流624が入口セパレーター660に入ることが見られる。入口セパレーター660は凝縮炭化水素を除去するのに利用できる。入口セパレーター660はまた掘削液体の如き液体不純物を分離し得る。若干の粒子濾過がまた起こるかもしれない。酸性ガス処理方法中に液体溶媒の発泡を防止するようにガス流624をできるだけきれいに保つことが望ましいことが理解される。
液体不純物が入口セパレーター660の底部から落下する。不純物流が662に見られる。同時に、ガスが入口セパレーター660の上部から出る。きれいにされたガス流が664に見られる。きれいにされたガス流664は軽炭化水素及び重炭化水素の両方を有する。きれいにされたガス流664はまた二酸化炭素の如き酸性ガスを有する。
きれいにされたガス流664が抽出蒸留カラムに入る。図9の例示の配置では、二つの溶媒回収カラム910、920が示される。しかしながら、二つより多いカラムが使用されてもよいことが理解される。
抽出蒸留カラム910は容器中で溶媒をきれいにされたガス流664と混合する。第一のカラム910中で、温度が一般に-73℃(-100°F)〜10℃(50°F)である。第一のカラム910中で、溶媒が重炭化水素を吸収し、溶媒を重炭化水素ボトム流914としてカラム910を去らせる。それはまたCO2 の多くを含むであろう。同時に、軽炭化水素がオーバーヘッド流912中でカラム910を出る。
【0043】
重炭化水素ボトム流914がCO2 除去カラム920に入る。第二のカラム920の温度は一般に-18℃(0°F)〜121℃(250°F)であり、これは第一のカラム910中の温度よりも高い。第二のカラム920中で、溶媒及び重炭化水素が重炭化水素ボトム流924としてカラム920を再度出る。同時に、エタン及び二酸化炭素がオーバーヘッド二酸化炭素流922として第二のカラム920を出る。オーバーヘッド流922は必要によりオーバーヘッド流912に合体されてもよいが、それらが別々に保たれることが好ましい。オーバーヘッド流922が図9に示されるように廃棄のために送られることが好ましい。オーバーヘッド流912中のCO2 含量がパイプライン仕様にあまりにも高い場合、オーバーヘッド流912中の軽ガスがコンプレッサー940により再度加圧され、次いで冷凍ユニット626及びJ-T 弁628により冷却されることが好ましい。次いで再度加圧され、部分液化された軽成分が低温蒸留塔100に入る。塔100が作動して酸性ガスをメタンから分離し、オーバーヘッドメタン流12及びボトム酸性ガス流22を生成する。
一局面において、オーバーヘッド二酸化炭素流922が酸性ガスボトム流22に直接送られてもよい。
最後のカラム930が図9に示される。最後のカラム930は添加剤回収カラムである。添加剤回収カラム930は蒸留原理を使用して重炭化水素成分(“天然ガス液体”として知られている)を溶媒から分離する。第三のカラム930中の温度は一般に27℃(80°F)〜177℃(350°F)であり、これは第二のカラム930中の温度よりも高い。天然ガス液体がライン932を通ってカラム930を出て、残留H2S 及びCO2 の除去のための処理ユニットに運ばれる。この処理ユニットは、例えば、アミンがH2S/CO2除去に使用される液体間抽出器であってもよい。
溶媒がボトム溶媒流934として添加剤回収カラム930を出る。ボトム溶媒流934は再生添加剤に相当する。ボトム溶媒流934の大半が抽出蒸留方法のための第一のカラム910に再度導入される。流れ934からの過剰の溶媒が必要によりライン936により処理のために天然ガス液体流932と合わされてもよい。
重炭化水素をサワーガス流から除去するための付加的な方法が図10及び11に示される。最初に、図10は低温蒸留塔100の上流のターボ-エキスパンダーを利用するガス加工設備1000の略図を示す。ターボ-エキスパンダーが1010に見られる。
ガス加工設備1000は一般に図6Aのガス加工設備600に従う。これに関して、脱水ガス流624が冷却され、次いでライン611中のサワーガス流として酸性ガス除去システム1050に送出される。しかしながら、この場合、接触塔670とともに物理溶媒システム605を使用する代わりに、ターボ-エキスパンダー1010続いてセパレーター1020が使用される。
ターボ-エキスパンダーは高圧ガスが膨張される遠心分離タービン又は軸流タービンである。ターボ-エキスパンダーは典型的には、例えば、コンプレッサーを駆動させるために使用されてもよい動力を生じるのに使用される。これに関して、ターボ-エキスパンダーが圧縮又は冷凍のようなプロセスのためのシャフト動力の源を生じる。本適用において、ターボ-エキスパンダー1010がライン1012に示される、電気を発生するのに使用されることが好ましい。
【0044】
サワーガスがライン1014を通ってターボ-エキスパンダー1010から放出される。このガス1014はターボ-エキスパンダー1010により生じられる圧力の低下のために冷却状態である。冷却ガス1014の少なくとも一部、特に重炭化水素成分が液化されてもよいが、温度がCO2固化温度より上に維持されるべきである。冷却ガス1014が1020で示される、セパレーターに送出される。セパレーター1020は冷却ガス1014を重炭化水素成分及び軽ガス成分に分離する。重炭化水素(これらはまたCO2 を含む)がライン1024を通ってセパレーター1020から落下され、販売のために捕捉される。二酸化炭素を含む軽炭化水素がライン1022中を通され、図1の塔100の如き、蒸留塔に送出される。
【0045】
追加の冷却が低温蒸留塔100に入る前に軽ガス1022に施されることが好ましい。例示のガス加工設備1000では、軽ガス1022が冷凍ユニット626に通される。冷凍ユニット626が軽ガス1022を約-34℃(-30°F)〜-40℃(-40°F)の温度に冷却する。冷凍ユニット626は、例えば、エチレン又はプロパン冷凍機であってもよい。
充分な圧力が利用できる場合、軽ガス1022が次に膨張装置628中に移動されることが好ましい。膨張装置628は、例えば、ジュール-トンプソン(“J-T”)弁であってもよい。膨張装置628は軽ガス1022の更なる冷却を得るためのエキスパンダーとして利用できる。膨張装置628は更に軽ガス1022の温度を、例えば、約-57℃(-70°F)〜-62℃(-80°F)に低下する。ガス1022の少なくとも部分的な液化がまた達成されることが好ましい。冷却サワーガス流がライン611に示される。ライン611中のサワーガスが酸性ガス除去システム1050に送られる。
図11は低温蒸留塔100の上流で重炭化水素を軽ガス流から分離する別のガス加工設備1100の略図を示す。この配置では、ガス加工設備1100がサイクロン装置を分離方法の一部として利用する。サイクロン装置が1110で図示される。
ガス加工設備1100は一般に図6Aのガス加工設備に従う。これに関して、脱水ガス流624が冷却され、次いでライン611中のサワーガス中で酸性ガス除去システム1150に送出される。しかしながら、この場合には、接触塔670とともに物理溶媒システム605を使用する代わりに、サイクロン装置1110が使用される。サイクロン装置1110は脱水ガス流624からの重炭化水素の部分分離を与える。
サイクロン装置は典型的には回転効果及び重力を使用して物質を分離する細長い、円錐形装置である。サイクロン装置は粒状物を空気、ガス又は水流から除去するのに最も普通に使用される。サイクロン装置は渦巻き分離の原理で作動する。それらはフィルターの使用なしで有効な分離を達成し得る。本適用において、サイクロン装置1110が軽ガスからの重炭化水素の初期の部分分離を与える。典型的には、約25%の圧力低下がサイクロン装置1110で達成される。
好適なサイクロン装置1110の一例がオランダのTwister, B.V.から入手し得るTWISTERTM超音波セパレーターである。TWISTERTMはガスを受け取り、それを秒以下の超音波速度に加速するコンパクトな管状装置である。TWISTERTMが水及び/又は重炭化水素を軽ガスから分離するのに使用されてもよい。サイクロン装置の別の好適な例はボルチセプである。ボルチセプは重炭化水素又は水を天然ガスから分離するのに使用し得る渦巻き管である。渦巻き管はランケ-ヒルシュ物理学で作動する。流体流が細長い管の中心に接線方向に注入される。流体が管内で回転し、第一の流体成分が一端で温かい流体として出て、第二の流体成分が反対端部で冷たい流体として出る。
【0046】
図11に見られるように、サイクロン装置1110は軽ガス1122を放出する。軽ガス1122は軽炭化水素、主としてメタン、及びCO2 の如き酸性ガスを含む。図10と関連して上記されたように、軽ガス1122がライン611中のサワーガス流としての低温蒸留塔100への送出の前に冷却される。
サイクロン装置1110はまた重流体流1112を放出する。重流体流1112は初期に脱水ガス流624の一部であった重炭化水素を含む。サイクロン装置は流体成分の分離に完全には有効ではないので、重流体流1112はまた若干の軽炭化水素及び二酸化炭素を含むであろう。それ故、重流体流1112が更なる加工のために流体セパレーター1120に送出される。流体セパレーター1120は、例えば、凝縮物安定装置であってもよい。
流体セパレーター1120はライン1126により重炭化水素を放出する。ライン1126中の重炭化水素が販売のために捕捉される。流体セパレーター1120はまたライン1124で示された軽ガスを放出する。軽ガス1124は軽炭化水素、主としてメタン、及び酸性ガスを含む。ライン1124中の軽ガスが冷却の前にライン1122中の軽ガスと合体されることが好ましい。また、ライン1124中の軽ガスが圧縮され、注入又は廃棄のためにボトム酸性ガスライン646と合わされる。
【0047】
低温蒸留塔の上流の重炭化水素の除去に使用し得る二つの付加的な方法は吸着床の使用を伴なう。一つの方法は熱スイング吸着を使用し、一方、その他の方法は圧力スイング吸着を利用する。夫々の場合に、吸着剤が再使用のために再生される。
図12は重炭化水素の除去のために熱スイング吸着を使用するガス加工設備1200の略図を示す。ガス加工設備1200は一般に図6のガス加工設備600に従って運転する。これに関して、脱水ガス流624が冷却され、次いでライン611中のサワーガス流により酸性ガス除去システム1250に送出される。しかしながら、接触塔670とともに物理溶媒システム605を使用する代わりに、熱スイング吸着システム1210が使用される。熱スイング吸着システム1210は脱水ガス流624からの重炭化水素の少なくとも部分的な分離を与える。
熱スイング吸着システム1210は軽ガスを通しながら、重炭化水素を選択的に吸着するために吸着床を使用する。軽ガスがライン1212で放出されるのが示される。軽ガス1212は二酸化炭素を含み、図1の塔100の如き蒸留塔に送出される。
追加の冷却が低温蒸留塔100に入る前に軽ガス1212に施されることが再度好ましい。例示のガス加工設備1000では、軽ガス1212が冷凍ユニット626、次いで膨張装置628に通される。膨張装置628は、例えば、ジュール-トンプソン(“J-T”)弁であってもよい。ガス1212の少なくとも部分的な液化が冷却と関連して達成されることが好ましい。冷却サワーガス流が生成され、ライン611に送出され、これが酸性ガス除去システム1250に送られる。
再度、熱スイング吸着システム1210について言及すると、熱スイング吸着システム1210中の吸着床がゼオライトから加工されたモレキュラーシーブであることが好ましい。しかしながら、シリカゲルで充填された床の如きその他の吸着床が使用されてもよい。炭化水素ガス分離の当業者は吸着床の選択が典型的には重炭化水素の組成に依存することを理解するであろう。例えば、モレキュラーシーブ床がC2〜C4成分を除去するのに最も有効であるかもしれず、一方、シリカゲル床がC5+重炭化水素を除去するのに最も有効であるかもしれない。
【0048】
運転中、吸着床が加圧チャンバー中にある。吸着床が脱水ガス流624を受け取り、或る量の二酸化炭素とともに重炭化水素を吸着する。吸着システム1210中の吸着床は床が一旦重炭化水素で飽和されるようになると交換されるであろう。重炭化水素(及び関連酸性ガス)が加熱乾燥ガスを使用して床を加熱することに応答して床から放出されるであろう。好適なガスとして、オーバーヘッドメタン流112の一部、加熱窒素、又はそれ以外に入手し得る燃料ガスが挙げられる。図12に見られるように、重炭化水素流体流がライン1214により放出される。
ブロック1240は吸着床のための再生ヒーターを示す。再生チャンバー1240が乾燥ガス1232を受け取る。図12の配置では、乾燥ガスがオーバーヘッドメタン流112から受け取られる。オーバーヘッドメタン流112は主としてメタンを含むが、痕跡量の窒素及びヘリウムをまた含んでもよい。オーバーヘッドメタン流112が再生ヒーター中で圧縮されてガスの圧力を上昇することが好ましい。圧力ブースターが1230で示される。しかしながら、再生は主として上昇された温度により起こる。
オーバーヘッドメタン流112の5〜10%が適当な再生に必要とされるかもしれない。再生チャンバー1240は再生流体流1242を放出する。再生流体流1242が吸着システム1210に送られる。
熱スイング再生サイクルのために、少なくとも三つの吸着床が必要とされることが好ましい。第一の床が吸着システム1210中の吸着に使用され、第二の床が再生を受けており、また第三の床が既に再生されており、第一の床が重炭化水素で充分に飽和されるようになる場合に吸着システム1210中の使用のために準備中である。こうして、最小三つの床が一層有効な運転のために平行に使用される。これらの床は、例えば、シリカゲルで充填されてもよい。
注目されるように、吸着システム1210が重炭化水素流体流1214を放出する。重炭化水素流体流1214は主として重炭化水素を含むが、おそらくまた二酸化炭素を含むであろう。この理由のために、重炭化水素が販売のために放出される前に、重炭化水素流体流1214を加工することが望ましい。
【0049】
一局面において、重炭化水素流体流1214が冷凍ユニット1216を使用して冷却される。これが重炭化水素流体流1214内の重炭化水素の少なくとも部分的な液化を生じる。次いで重炭化水素流体流1214がセパレーター1220に導入される。セパレーター1220は重炭化水素を軽ガスから分離する重力セパレーターであることが好ましい。軽ガスがセパレーター1220の上部から放出される(ライン1222で図示される)。ライン1222中のセパレーター1220から放出された軽ガスが脱水ガス流624に戻される。同時に、重炭化水素がセパレーター1220の底部から放出される(ライン1224で図示される)。
ガス加工設備1200は脱水ユニット620を含まなくてもよいことが注目される。この場合、水が重炭化水素流体流1214とともに吸着システム1210から落下されるであろう。水がライン1224中で重炭化水素とともにセパレーター1220から更に落下されるであろう。次いで、例えば、サイクロン装置又は浮遊セパレーター(示されていない)を使用する重炭化水素からの水の分離が使用されることが好ましいであろう。
或る実施態様において、固体吸着剤の組み合わせが異なる重炭化水素成分の除去に使用し得る。例えば、シリカゲルが一層重い重炭化水素成分、即ち、C5+を関連ガスから回収するのに使用でき、一方、一層軽い重炭化水素、即ち、C2-C4 成分が、ゼオライトから加工されたモレキュラーシーブを使用して除去されるであろう。固体吸着剤のこのような組み合わせは重炭化水素がガス相中に残り、最終的に酸性ガスボトム流642になることを防止することを助ける。
一適用において、セパレーター1220からのガスがタービン(示されていない)を駆動するために燃焼されてもよい。タービンが、順に、開放ループコンプレッサー(例えば、図1のコンプレッサー176)を駆動し得る。再生ガスヒーター1240が廃熱をこのようなタービンから取り、それを使用して重炭化水素回収方法のための再生ガス(例えば、ライン1232中の)を予熱することにより酸性ガス除去方法に更に組み込まれてもよい。同様に、オーバーヘッドコンプレッサー114又はオーバーヘッド冷却器115からのガスが重炭化水素回収方法に使用される再生ガスを予熱するのに使用されてもよい。
【0050】
注目されるように、圧力スイング吸着がまた酸性ガス除去設備の上流で重炭化水素を除去するのに使用されてもよい。図13は重炭化水素の除去に圧力スイング吸着を使用するガス加工設備1300の略図を示す。ガス加工設備1300は一般に図6のガス加工設備600に従って運転する。これに関して、脱水ガス流624が冷却され、次いでライン611中のサワーガス流により酸性ガス除去システム1350に送出される。しかしながら、接触塔670とともに物理溶媒接触システム605を使用する代わりに、圧力スイング吸着システム1310が使用される。圧力スイング吸着システム1310は脱水ガス流624からの重炭化水素の少なくとも部分的な分離を与える。
熱スイング吸着システム1210と同様に、圧力スイング吸着システム1310は軽ガスを放出しながら重炭化水素を選択的に吸着するために吸着床を使用する。吸着床はゼオライトから加工されたモレキュラーシーブであることが好ましい。しかしながら、シリカゲルから加工された床の如きその他の吸着床が使用されてもよい。炭化水素ガス分離の当業者は吸着床の選択が典型的には重炭化水素の組成に依存することを再度理解するであろう。
図13に見られるように、吸着システム1310がライン1312により軽ガスを放出する。軽ガス1312が低温蒸留システム100に入る前に冷凍ユニット626次いで、好ましくは、ジュール-トンプソン弁628に運ばれる。同時に、重炭化水素流体流がライン1314により吸着床から放出される。
運転中、吸着システム1310中の吸着床が加圧チャンバー中にある。吸着床が脱水ガス流624を受け取り、或る量の二酸化炭素とともに重炭化水素を吸着する。吸着システム1310中の吸着床は床が一旦重炭化水素で飽和されるようになると交換されるであろう。重炭化水素(及び関連酸性ガス)が加圧チャンバー中の圧力を低下することに応答して床から放出されるであろう。重炭化水素流体流が1314で示される。
【0051】
殆どの場合、加圧チャンバー中の圧力を大気圧に低下することが重炭化水素流体流1314中の重炭化水素及び関連二酸化炭素の大半を吸着床から放出させるであろう。しかしながら、幾つかの極限の場合、ガス加工設備1300が周囲以下の圧力を重炭化水素流体流1314に適用するための真空チャンバーの使用により補助されてもよい。これがブロック1320で示される。低圧の存在下で、重炭化水素が吸着床を構成する固体マトリックスから脱着する。
重炭化水素流体流1314は主として重炭化水素を含むが、おそらくまた二酸化炭素を含むであろう。この理由のために、重炭化水素が販売のために放出される前に、重炭化水素流体流1314を加工することが望ましい。重炭化水素流体流1314中の重炭化水素及び関連二酸化炭素がライン1322によりセパレーター1330に向かって進められる。
一局面において、重炭化水素流体流1314が冷凍ユニット(示されていない)を使用して冷却される。これが重炭化水素流体流1314内の重炭化水素の少なくとも部分的な液化を生じる。しかしながら、圧力スイング吸着を使用するガス加工設備1300では、冷却システムが通常不要である。何とならば、重炭化水素流体流1314を吸着システム1310から放出することと関連する圧力低下が相当する温度の低下を生じるからであろう。
セパレーター1330は重炭化水素を軽ガスから分離する重力セパレーターであることが好ましい。軽ガスがセパレーター1330の上部から放出される(ライン1332で図示される)。ライン1332中のセパレーター1330から放出された軽ガス(主としてCO2 )が酸性ガスボトム流642と合体されることが好ましい。同時に、重炭化水素がボトムから放出される(ライン1334で図示される)。ライン1334中の重炭化水素が商業上の販売のために送られる。
熱スイング吸着システム1210と同様に、圧力スイング吸着システム1310が平行の複数の床に頼ってもよい。第一の床が吸着システム1310中の吸着に使用される。これがサービス床として知られている。第二の床が圧力低下により再生を受ける。第三の床が既に再生されており、第一の床が充分に飽和されるようになる場合に吸着システム1310中の使用のために準備中である。こうして、最小三つの床が一層有効な運転のために平行して使用されてもよい。これらの床が、例えば、活性炭又はモレキュラーシーブで充填されてもよい。
或る実施態様において、固体吸着剤の組み合わせが異なる重炭化水素成分の除去に使用されてもよい。例えば、ゼオライトから加工されたモレキュラーシーブが一層軽い重炭化水素、即ち、C2〜C4成分を関連メタンから除去するのに使用されてもよい。シリカゲル床が一層重い重炭化水素成分、即ち、C5+を関連ガスから回収するのに使用されてもよい。吸着床の組み合わせを使用することは重炭化水素がガス相中に残り、最終的に酸性ガスボトム流642になることを防止することを助ける。
【0052】
熱スイング再生と較べて、圧力スイング再生は炭化水素分解又はコークス生成する傾向がないという利点を有する。しかしながら、熱スイング吸着方法と同様に、圧力スイング吸着方法が重炭化水素の一層重い成分を回収するのに一層適している。C2〜C4成分の回収は一般に高くはないが、或る値がこれらの炭化水素1314から抽出し得る。
圧力スイング吸着システム1310は迅速サイクル圧力スイング吸着システムであってもよい。所謂“迅速サイクル”方法において、サイクル時間は数秒程度に小さくし得る。
見られるように、幾つかの方法が酸性ガス除去方法と関連して重炭化水素を除去するのに使用されてもよい。一般に、選ばれる方法は生天然ガス、又は処理すべきガスの状態に依存する。例えば、重炭化水素濃度が1〜5%の範囲であり、CO2 濃度が20%未満である場合には、蒸留塔の上流の物理溶媒による吸収が好ましいかもしれない。
或る場合、例えば、物理溶媒がスルホラン、セレキソール、又はおそらく冷凍メタノールである場合、溶媒が或る量のメタン及びCO2 を偶発的に同時吸収するであろう。しかしながら、これらの軽ガスが異なるフラッシュ段階で異なる量で現れる。酸性ガス除去システムとの賢明な一体化により、利点は溶媒が与える部分分離から得られる。
【0053】
重炭化水素内容物がベンゼン(C6)又は一層重質の炭化水素を含む場合、これらの重成分が低温蒸留カラム中で凍結するという問題が存在し得る。たとえ、全重炭化水素含量が2%未満であるとしても、これは問題であろう。この場合には、作業者が抽出蒸留方法を使用することを選ぶかもしれず、これがこれらの重成分の凍結を避けるだけでなく、それらの回収のためのメカニズムを与えるであろう。
リーンオイル方法及び吸着動的分離方法が比較的低いCO2 含量、及び高い炭化水素含量の条件に使用されることが好ましいであろう。
或る場合に、作業者が重炭化水素回収方法を組み合わせて全ての重炭化水素成分が除去されることを確実にすることを選んでもよい。例えば、作業者が図7のガス加工設備700からの膜コンタクター710を図9のシステム900の如き抽出蒸留システムと組み合わせることを選んでもよい。抽出蒸留システムが低温蒸留塔の前又は低温蒸留塔の後に設置されてもよい。後者の場合には、抽出蒸留システム900が酸性ガスボトム流642を蒸留塔100から受け取る。
図14は上流の重炭化水素除去システム1410と下流の重炭化水素除去システム1420の両方の一体化された使用を示すガス加工設備1400の略図を示す。ガス加工設備1400は一般に上記されたガス加工設備に従う。これに関して、ガス加工設備1400が脱水ガス流624中の重炭化水素を軽ガスから分離するために図6-13と関連して上記されたシステムのいずれかとして実施し得る上流の重炭化水素除去システム1410を使用する。
重炭化水素流1412が低圧、例えば、大気圧付近で上流の重炭化水素除去システム1410から放出される。重炭化水素流1412は主として販売のために捕捉される重炭化水素を含むが、また少量の二酸化炭素を含んでもよい。軽ガス流610がまた上流の重炭化水素除去システム1410から通される。軽ガス流610は主としてメタン及び二酸化炭素を含むであろうが、またN2とともに痕跡のH2S 及びその他の硫黄種を有してもよい。軽ガス流610が酸性ガス除去のために低温蒸留塔(例えば、図1の塔100)に送出される。
上記のように、メタンがオーバーヘッドメタン流112として蒸留塔100から放出される。オーバーヘッドメタン流112は約2%以下の二酸化炭素を含むことが好ましいであろう。この%で、オーバーヘッドメタン流112が燃料ガスとして使用されてもよく、又は天然ガスとして或る市場に販売されてもよい。オーバーヘッドメタン流112がその中のメタンガスをLNG 116としての販売のために液体状態に変換するために更に加工されることが好ましい。
【0054】
酸性ガスがボトム液化酸性ガス流642として蒸留塔100から除去される。この液体流642は必要によりリボイラー643に送られてもよく、そこで痕跡量のメタンがガス流644として逆に塔100に再度送られる。残りの液体が酸性ガスライン646により放出される。
ガス加工設備1400では、ライン646中の液体が主として二酸化炭素及び重炭化水素を含む。それ故、ライン646中の液体が下流の重炭化水素除去システム1420に送られる。下流の重炭化水素除去システム1420は抽出蒸留設備であってもよく、これは図9に示された設備900、即ち、カラム910、920、930並びに関連ライン及び装置を示す設備900の部分に従ってセットアップされてもよい。更に、又は別途、下流の重炭化水素除去システム1420が上記されたその他の重炭化水素除去システムのいずれかを含んでもよい。下流の重炭化水素除去システム1420は液化酸性ガスライン646中に含まれる重炭化水素を二酸化炭素及びその他の酸性ガスから分離するであろう。重炭化水素ラインが1414に見られ、一方、酸性ガスラインが1416に見られる。ライン1416中の酸性ガスが圧力ブースター648に通され、次いで溜め649に注入されることが好ましい。
図14の下流の重炭化水素除去システム1420がリボイラー643からの酸性ガスボトムについて配置されると示されているが、重炭化水素除去システムが酸性ガス除去システム100の下流の好適なラインに配置されてもよい。例えば、重炭化水素除去システム1420が示されるように液化酸性ガス流642、ガス流644、及び/又は酸性ガスライン646に配置されてもよい。下流の重炭化水素除去システム1420が実行される様式は異なる流れの組成及び異なる炭化水素除去システムの経済性を含む、幾つかの因子に依存するかもしれない。
【0055】
別の例において、吸着動的分離方法が低温蒸留塔の下流で使用される。図15は吸着動的分離方法を使用するガス加工設備1500の略図を示す。この設備1500は一般に図8のガス加工設備800に従う。しかしながら、この場合には、酸性ガスシステム100の上流でAKS固体吸着剤床を使用する代わりに、AKS 固体吸着剤床810’が酸性ガス除去システム100の下流で使用される。
酸性ガスがボトム液化酸性ガス流642として蒸留塔100から除去されることが図15に見られる。この液体流642は必要によりリボイラー643に送られてもよく、そこで痕跡量のメタンを含むガスがガス流644として逆に塔100に再度送られる。主として酸性ガスを含む残りの液体が酸性ガスライン646により放出される。酸性ガスが重炭化水素を含む。
ライン646からの酸性ガスがAKS 固体吸着剤床810’に送出される。酸性ガスはそれらが床810’を通過する際に冷たいままであり、液体相にある。重炭化水素が酸性ガスから除去され、天然ガス液体流812としてライン812により放出される。同時に、酸性ガスがAKS固体吸着剤床810’から落下し、ボトム酸性ガス流814として放出される。
ボトム酸性ガス流814中の酸性ガスが主として液体相中に留まる。ライン812中の液化酸性ガスが気化され、圧力解除され、次いで硫黄回収ユニット(示されていない)に送られてもよい。また、ライン814中の液化酸性ガスが一つ以上の酸性ガス注入(AGI) ウェル(ブロック649により示される)により地下層に注入されてもよい。この場合には、ライン646中の酸性ガスが圧力ブースター648に通されることが好ましい。
【0056】
天然ガス液体流812が主として重炭化水素を含むが、また二酸化炭素を含むことが注目される。この理由のために、蒸留方法が二酸化炭素をボトム酸性ガス流814から分離するように試みられることが好ましい。蒸留容器が820で示される。二酸化炭素ガスがオーバーヘッドライン824により蒸留容器820から放出される。ライン824が溜め649への酸性ガス注入のためにボトム酸性ガス流814と合わされることが好ましい。重炭化水素がボトムライン822により容器820を出て、販売のために捕捉される。
重炭化水素を酸性ガス除去システムの下流で除去するために本明細書に提案された別の方法は膜の使用を伴なう。上記されたように、膜がポリマー材料を横切っての高圧から低圧への選ばれた分子の透過により作動する。
一実施態様において、重炭化水素を優先的に吸着し、溶解し、透過するゴム状膜がこれらの炭化水素を酸性ガス除去方法のボトム流から回収するのに使用される。ボトム流がそれを膜と接触する前に必要により気化されてもよい。
別の実施態様において、CO2 選択的膜がボトム流について使用されてCO2 を低圧に透過するとともに、炭化水素を高圧で保持してもよい。この場合の膜材料として、セルロースアセテート、セルローストリアセテート、ポリイミド、及びその他のポリマー化合物が挙げられる。その他の可能な膜材料として、ゼオライト、シリカ、チタノ-シリケート、アルミナ、金属有機フレームワーク(MOF)、及び関連材料のような無機材料が挙げられる。CO2が透過物である場合、それはダウンホール廃棄のために圧縮される必要があるであろう。
或る実施態様において、膜は透過物が圧縮され、膜の別の段階に通されて生成物の全回収又は純度を改良する“2段階”配置であってもよい。
簡素化及び明瞭化のために、利用できる下流の重炭化水素回収システムの記載が上流の重炭化水素回収システムの先の記載を参照してここに提示される。例えば、下流の重炭化水素除去システム1420からの流出物が重炭化水素に富む流れ及び重炭化水素不足の流れを含むことが先の記載から理解されるであろう。下流の重炭化水素除去システム1420が実行される様式に応じて、重炭化水素不足の流れが異なるガス又は液体を含んでもよい。例えば、下流の重炭化水素除去システム1420がガス流644について配置される場合には、下流の重炭化水素除去システム1420が軽炭化水素ガス(例えば、メタン)を蒸留塔100に通させるとともに、重炭化水素をその他の使用、例えば、販売、燃焼、又は更なる加工のために分離するのに適しているかもしれない。重炭化水素をガス流644から抽出することにより、蒸留塔100が一層有効に構築され、かつ/又は運転されてもよい。上流の重炭化水素除去システム1420の先の説明を参照して、種々の分離及び精製が主たる重炭化水素分離ユニットと関連して使用されて重炭化水素除去システムを構成してもよいことが理解されるであろう。
【0057】
重炭化水素の除去のための上記方法が“制御凍結ゾーン”塔を利用する方法ではなく、酸性ガス除去方法と関連して適用されてもよいことが理解される。その他の低温蒸留カラムが使用されてもよい。更に、バルク分別蒸留の如きその他の低温蒸留方法が使用されてもよい。バルク分別蒸留塔は図1からのCFZ 塔100と同様であるが、中間凍結ゾーンを有しない。バルク分別蒸留塔は典型的にはCFZ 塔100より高い圧力で運転し、それによりCO2 固体生成を回避する。しかしながら、オーバーヘッドガス流がかなりの量のCO2を含むであろう。いずれの場合にも、重炭化水素の除去に別の方法を利用することは脱水ガス流624が約3%より多いC2又は一層重質の炭化水素を含む場合に望ましい。
最後に、重炭化水素濃度が1又は2モル%未満である場合、作業者は重炭化水素除去を使用しないことを単に選んでもよい。何とならば、このような少量の価値が追加投資を正当化しないかもしれないからである。
本明細書に記載された発明は先に示された利益及び利点を得るように良く計算されていることが明らかであるが、本発明がその精神から逸脱しないで改良、変化及び変更の余地があることが認められるであろう。制御凍結ゾーンを使用する酸性ガス除去方法の操作の改良が与えられる。これらの改良が重炭化水素の回収のための設計を与える。
【符号の説明】
【0058】
10−初期流体流
12−冷却流体流
13−液体/固体スラリー
14、112−オーバーヘッドメタン流
16−ガス
18−液体還流
22−ボトム流体流
25−ヒーターライン
100−低温蒸留塔
106−下部蒸留ゾーン
108−制御凍結ゾーン
110−上部蒸留ゾーン
116−精留トレー
118、128−ウェアー
119、129−ダウンカマー
121−入口ディストリビューター
122−スプレーノズル
124−フラッシュボックス
126−物質移動装置
130−メルトトレー
131−煙突
132−キャップ
134−ベース
135−移動ライン
136−引取ノズル
137−制御弁
138−チャンネル
140−コレクタートレー
150、170−熱交換機
152、628−膨張装置
160−リボイラー
162−エキスパンダー弁
172−分離チャンバー
173−2相セパレーター
174−還流ドラム
【0059】
425−開口部
426−ジェットトレー
428−傾斜タブ部材
600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400、1500−ガス加工設備
610−現場
612−生成ガス流
620−脱水容器
622−水性流
626−冷却器
642−液化酸性ガス
648−圧力ブースター
650−酸性ガス除去システム
652−ストリッピング容器
653−再生溶媒
660−入口セパレーター
670−吸収器
674−動力回収タービン
678−軽ガス流
682、684、686−セパレーター
692−ブースターポンプ
710−膜コンタクター
810’−AKS 固体吸着剤床
814−天然ガス液体流
900−抽出蒸留システム
910、920−溶媒回収カラム
930−添加剤回収カラム
1010−ターボエキスパンダー
1110−サイクロン装置
1120−流体セパレーター
1210−熱スイング吸着システム
1240−再生チャンバー
1310−圧力スイング吸着システム
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サワーガス流を受けるための酸性ガス除去システム、ここで、その酸性ガス除去システムはサワーガス流を主としてメタンを含むオーバーヘッドガス流、及び主として二酸化炭素を含むボトム酸性ガス流に分離する、及び
酸性ガス除去システムの上流の重炭化水素除去システム、ここで、その重炭化水素除去システムは少なくとも5モル%の重炭化水素成分を含む生ガス流を受け、一般に化学溶媒を使用しないで生ガス流を重炭化水素流体流及びサワーガス流に分離する、
を含むことを特徴とする酸性ガスをサワーガス流から除去するためのシステム。
【請求項2】
酸性ガス除去システムが
低温蒸留塔、及び
蒸留塔に入る前にサワーガス流を冷却するための熱交換機
を含む低温酸性ガス除去システムである、請求項1記載のシステム。
【請求項3】
低温蒸留塔が下部蒸留ゾーン及び主としてメタンを含む冷液体スプレーを受ける中間制御凍結ゾーン、ここで、その塔が生ガス流を受け、次いでそれをオーバーヘッドメタン流及びボトム酸性ガス流に分離する、並びに
オーバーヘッドメタン流を冷却し、オーバーヘッドメタン流の一部を冷スプレーとして低温蒸留塔に戻すための低温蒸留塔の下流の冷凍装置を含む、請求項2記載のシステム。
【請求項4】
酸性ガス除去システムがバルク分別蒸留システムである、請求項1記載のシステム。
【請求項5】
重炭化水素除去システムが物理溶媒システムを含む、請求項2記載のシステム。
【請求項6】
物理溶媒システムがスルホラン、セレキソール、冷凍メタノール、リーンオイル、又は冷凍リーンオイルを物理溶媒として使用する、請求項5記載のシステム。
【請求項7】
物理溶媒システムが物理溶媒を生ガス流と接触させるための向流コンタクター又はコンパクトな並流コンタクターを含む、請求項5記載のシステム。
【請求項8】
重炭化水素除去システムが少なくとも一つの膜コンタクターを含む、請求項2記載のシステム。
【請求項9】
ボトム酸性ガス流を受け、ボトム酸性ガス流を主として二酸化炭素を含む第一の流体流、及び主として重炭化水素成分を含む第二の流体流に分離するための酸性ガス除去システムの下流の抽出蒸留システムを更に含む、請求項8記載のシステム。
【請求項10】
重炭化水素除去システムが少なくとも若干の重炭化水素成分を吸着し、軽炭化水素成分を実質的に通すための少なくとも一つの固体吸着剤床を含む、請求項1記載のシステム。
【請求項11】
固体吸着剤床が(i)ゼオライト材料から加工され、又は(ii)少なくとも一種のモレキュラーシーブを含む、請求項9記載のシステム。
【請求項12】
固体吸着剤床が少なくとも若干の二酸化炭素を吸着し、かつ
重炭化水素除去システムが二酸化炭素を重炭化水素成分から分離するための汚染物洗浄システムを更に含む、請求項10記載のシステム。
【請求項13】
少なくとも一つの固体吸着剤床システムが少なくとも三つの吸着床を含み、
少なくとも三つの吸着床の第一の床が重炭化水素成分を吸着するのに使用中であり、
少なくとも三つの吸着床の第二の床が再生を受けており、かつ
少なくとも三つの吸着床の第三の床が少なくとも三つの吸着床の第一の床を交換するために準備して保持される、請求項10記載のシステム。
【請求項14】
再生が圧力スイング吸着方法の一部である、請求項13記載のシステム。
【請求項15】
重炭化水素除去システムが大気圧以下の圧力を適用して重炭化水素成分を少なくとも三つの吸着床の第一の床から脱着し、重炭化水素流体流を加圧し、その結果、それがセパレーターに入り得るための真空を更に含む、請求項14記載のシステム。
【請求項16】
再生が熱スイング吸着方法の一部である、請求項13記載のシステム。
【請求項17】
重炭化水素除去システムが(i) 再生ガスを受け、(ii)再生ガスを加熱し、そして(iii) 加熱され、再生されたガスからの熱を第二の吸着床に適用することにより重炭化水素を第二の吸着床から脱着するための再生ガスヒーターを更に含み、
再生ガスが重炭化水素を含む流れを、重炭化水素を軽ガスから分離するセパレーターに放出する、請求項16記載のシステム。
【請求項18】
重炭化水素除去システムが重炭化水素流体流を受け、重炭化水素流体流をそれがセパレーターに入る前に冷却するための冷却器を更に含む、請求項17記載のシステム。
【請求項19】
重炭化水素除去システムがメタンを実質的に吸着し、重炭化水素成分を実質的に通すための少なくとも一つの吸着動的分離床を含む、請求項1記載のシステム。
【請求項20】
重炭化水素除去システムが
ターボ-エキスパンダー、及び
生ガス流を重炭化水素流体流及びサワーガス流に分離するためのセパレーターを含む、請求項2記載のシステム。
【請求項21】
重炭化水素除去システムが
生ガス流を重炭化水素流体流及びサワーガス流に分離するためのサイクロン装置、及び
重炭化水素流体流を受け、重炭化水素流体流を炭化水素成分及び二酸化炭素に分離するための汚染物洗浄システムを含む、請求項2記載のシステム。
【請求項22】
オーバーヘッドガス流がメタンだけでなく、ヘリウム、窒素、又はこれらの組み合わせを含む、請求項2記載のシステム。
【請求項23】
ボトム酸性ガス流が二酸化炭素だけでなく、硫化水素を含む、請求項2記載のシステム。
【請求項24】
生ガス流をそれが重炭化水素除去システムを通過する前に受け、生ガス流を脱水酸性ガス流及び実質的に水性流体を含む流れに分離するための脱水装置を更に含み、かつ
重炭化水素除去システムにより受けられた酸性ガス流が脱水サワーガス流である、請求項2記載のシステム。
【請求項25】
サワーガス流を受けるための酸性ガス除去システム、ここで、そのサワーガス流は少なくとも約5モル%の重炭化水素成分を含み、その酸性ガス除去システムはサワーガス流を主としてメタンを含むオーバーヘッドガス流、及び主として二酸化炭素及び重炭化水素成分を含むボトム酸性ガス流に分離する、及び
酸性ガス除去システムの下流の重炭化水素除去システム。ここで、その重炭化水素除去システムはボトム酸性ガス流の少なくとも一部を受け、化学溶媒を使用しないで重炭化水素をボトム酸性ガス流から分離する、
を含むことを特徴とする酸性ガスをサワーガス流から除去するためのシステム。
【請求項26】
酸性ガス除去システムが
低温蒸留塔、及び
蒸留塔に入る前にサワーガス流を冷却するための熱交換機
を含む低温酸性ガス除去システムである、請求項25記載のシステム。
【請求項27】
低温蒸留塔が下部蒸留ゾーン及び主としてメタンを含む冷液体スプレーを受ける中間制御凍結ゾーン、ここで、その塔が生ガス流を受け、次いでそれをオーバーヘッドメタン流及びボトム液化酸性ガス流に分離する、並びに
オーバーヘッドメタン流を冷却し、オーバーヘッドメタン流の一部を液体還流として低温蒸留塔に戻すための低温蒸留塔の下流の冷凍装置を含む、請求項26記載のシステム。
【請求項28】
重炭化水素除去システムが少なくとも若干の重炭化水素成分をボトム酸性ガス流から吸着し、酸性ガスを実質的に通すための少なくとも一つの固体吸着剤床を含む、請求項25記載のシステム。
【請求項29】
重炭化水素除去システムが重炭化水素成分を少なくとも一種のその他の成分から分離するための少なくとも一つの吸着動的分離床を含む、請求項25記載のシステム。
【請求項30】
重炭化水素除去システムがボトム酸性ガス流を受け、ボトム酸性ガス流を主として二酸化炭素を含む第一の流体流、及び主として重炭化水素成分を含む第二の流体流に分離するための抽出蒸留システムを含む、請求項25記載のシステム。
【請求項31】
重炭化水素除去システムにより分離された酸性ガスが主として二酸化炭素を含む、請求項25記載のシステム。
【請求項32】
再沸騰された蒸気流を酸性ガス除去システムに与えるのに適したボトム酸性ガス流についてのリボイラーを更に含み、その再沸騰された蒸気流が主として軽炭化水素及び残留重炭化水素を含み、かつ重炭化水素除去システムが再沸騰された蒸気流中の残留重炭化水素を分離するのに適している、請求項25記載のシステム。
【請求項1】
サワーガス流を受けるための酸性ガス除去システム、ここで、その酸性ガス除去システムはサワーガス流を主としてメタンを含むオーバーヘッドガス流、及び主として二酸化炭素を含むボトム酸性ガス流に分離する、及び
酸性ガス除去システムの上流の重炭化水素除去システム、ここで、その重炭化水素除去システムは少なくとも5モル%の重炭化水素成分を含む生ガス流を受け、一般に化学溶媒を使用しないで生ガス流を重炭化水素流体流及びサワーガス流に分離する、
を含むことを特徴とする酸性ガスをサワーガス流から除去するためのシステム。
【請求項2】
酸性ガス除去システムが
低温蒸留塔、及び
蒸留塔に入る前にサワーガス流を冷却するための熱交換機
を含む低温酸性ガス除去システムである、請求項1記載のシステム。
【請求項3】
低温蒸留塔が下部蒸留ゾーン及び主としてメタンを含む冷液体スプレーを受ける中間制御凍結ゾーン、ここで、その塔が生ガス流を受け、次いでそれをオーバーヘッドメタン流及びボトム酸性ガス流に分離する、並びに
オーバーヘッドメタン流を冷却し、オーバーヘッドメタン流の一部を冷スプレーとして低温蒸留塔に戻すための低温蒸留塔の下流の冷凍装置を含む、請求項2記載のシステム。
【請求項4】
酸性ガス除去システムがバルク分別蒸留システムである、請求項1記載のシステム。
【請求項5】
重炭化水素除去システムが物理溶媒システムを含む、請求項2記載のシステム。
【請求項6】
物理溶媒システムがスルホラン、セレキソール、冷凍メタノール、リーンオイル、又は冷凍リーンオイルを物理溶媒として使用する、請求項5記載のシステム。
【請求項7】
物理溶媒システムが物理溶媒を生ガス流と接触させるための向流コンタクター又はコンパクトな並流コンタクターを含む、請求項5記載のシステム。
【請求項8】
重炭化水素除去システムが少なくとも一つの膜コンタクターを含む、請求項2記載のシステム。
【請求項9】
ボトム酸性ガス流を受け、ボトム酸性ガス流を主として二酸化炭素を含む第一の流体流、及び主として重炭化水素成分を含む第二の流体流に分離するための酸性ガス除去システムの下流の抽出蒸留システムを更に含む、請求項8記載のシステム。
【請求項10】
重炭化水素除去システムが少なくとも若干の重炭化水素成分を吸着し、軽炭化水素成分を実質的に通すための少なくとも一つの固体吸着剤床を含む、請求項1記載のシステム。
【請求項11】
固体吸着剤床が(i)ゼオライト材料から加工され、又は(ii)少なくとも一種のモレキュラーシーブを含む、請求項9記載のシステム。
【請求項12】
固体吸着剤床が少なくとも若干の二酸化炭素を吸着し、かつ
重炭化水素除去システムが二酸化炭素を重炭化水素成分から分離するための汚染物洗浄システムを更に含む、請求項10記載のシステム。
【請求項13】
少なくとも一つの固体吸着剤床システムが少なくとも三つの吸着床を含み、
少なくとも三つの吸着床の第一の床が重炭化水素成分を吸着するのに使用中であり、
少なくとも三つの吸着床の第二の床が再生を受けており、かつ
少なくとも三つの吸着床の第三の床が少なくとも三つの吸着床の第一の床を交換するために準備して保持される、請求項10記載のシステム。
【請求項14】
再生が圧力スイング吸着方法の一部である、請求項13記載のシステム。
【請求項15】
重炭化水素除去システムが大気圧以下の圧力を適用して重炭化水素成分を少なくとも三つの吸着床の第一の床から脱着し、重炭化水素流体流を加圧し、その結果、それがセパレーターに入り得るための真空を更に含む、請求項14記載のシステム。
【請求項16】
再生が熱スイング吸着方法の一部である、請求項13記載のシステム。
【請求項17】
重炭化水素除去システムが(i) 再生ガスを受け、(ii)再生ガスを加熱し、そして(iii) 加熱され、再生されたガスからの熱を第二の吸着床に適用することにより重炭化水素を第二の吸着床から脱着するための再生ガスヒーターを更に含み、
再生ガスが重炭化水素を含む流れを、重炭化水素を軽ガスから分離するセパレーターに放出する、請求項16記載のシステム。
【請求項18】
重炭化水素除去システムが重炭化水素流体流を受け、重炭化水素流体流をそれがセパレーターに入る前に冷却するための冷却器を更に含む、請求項17記載のシステム。
【請求項19】
重炭化水素除去システムがメタンを実質的に吸着し、重炭化水素成分を実質的に通すための少なくとも一つの吸着動的分離床を含む、請求項1記載のシステム。
【請求項20】
重炭化水素除去システムが
ターボ-エキスパンダー、及び
生ガス流を重炭化水素流体流及びサワーガス流に分離するためのセパレーターを含む、請求項2記載のシステム。
【請求項21】
重炭化水素除去システムが
生ガス流を重炭化水素流体流及びサワーガス流に分離するためのサイクロン装置、及び
重炭化水素流体流を受け、重炭化水素流体流を炭化水素成分及び二酸化炭素に分離するための汚染物洗浄システムを含む、請求項2記載のシステム。
【請求項22】
オーバーヘッドガス流がメタンだけでなく、ヘリウム、窒素、又はこれらの組み合わせを含む、請求項2記載のシステム。
【請求項23】
ボトム酸性ガス流が二酸化炭素だけでなく、硫化水素を含む、請求項2記載のシステム。
【請求項24】
生ガス流をそれが重炭化水素除去システムを通過する前に受け、生ガス流を脱水酸性ガス流及び実質的に水性流体を含む流れに分離するための脱水装置を更に含み、かつ
重炭化水素除去システムにより受けられた酸性ガス流が脱水サワーガス流である、請求項2記載のシステム。
【請求項25】
サワーガス流を受けるための酸性ガス除去システム、ここで、そのサワーガス流は少なくとも約5モル%の重炭化水素成分を含み、その酸性ガス除去システムはサワーガス流を主としてメタンを含むオーバーヘッドガス流、及び主として二酸化炭素及び重炭化水素成分を含むボトム酸性ガス流に分離する、及び
酸性ガス除去システムの下流の重炭化水素除去システム。ここで、その重炭化水素除去システムはボトム酸性ガス流の少なくとも一部を受け、化学溶媒を使用しないで重炭化水素をボトム酸性ガス流から分離する、
を含むことを特徴とする酸性ガスをサワーガス流から除去するためのシステム。
【請求項26】
酸性ガス除去システムが
低温蒸留塔、及び
蒸留塔に入る前にサワーガス流を冷却するための熱交換機
を含む低温酸性ガス除去システムである、請求項25記載のシステム。
【請求項27】
低温蒸留塔が下部蒸留ゾーン及び主としてメタンを含む冷液体スプレーを受ける中間制御凍結ゾーン、ここで、その塔が生ガス流を受け、次いでそれをオーバーヘッドメタン流及びボトム液化酸性ガス流に分離する、並びに
オーバーヘッドメタン流を冷却し、オーバーヘッドメタン流の一部を液体還流として低温蒸留塔に戻すための低温蒸留塔の下流の冷凍装置を含む、請求項26記載のシステム。
【請求項28】
重炭化水素除去システムが少なくとも若干の重炭化水素成分をボトム酸性ガス流から吸着し、酸性ガスを実質的に通すための少なくとも一つの固体吸着剤床を含む、請求項25記載のシステム。
【請求項29】
重炭化水素除去システムが重炭化水素成分を少なくとも一種のその他の成分から分離するための少なくとも一つの吸着動的分離床を含む、請求項25記載のシステム。
【請求項30】
重炭化水素除去システムがボトム酸性ガス流を受け、ボトム酸性ガス流を主として二酸化炭素を含む第一の流体流、及び主として重炭化水素成分を含む第二の流体流に分離するための抽出蒸留システムを含む、請求項25記載のシステム。
【請求項31】
重炭化水素除去システムにより分離された酸性ガスが主として二酸化炭素を含む、請求項25記載のシステム。
【請求項32】
再沸騰された蒸気流を酸性ガス除去システムに与えるのに適したボトム酸性ガス流についてのリボイラーを更に含み、その再沸騰された蒸気流が主として軽炭化水素及び残留重炭化水素を含み、かつ重炭化水素除去システムが再沸騰された蒸気流中の残留重炭化水素を分離するのに適している、請求項25記載のシステム。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公表番号】特表2013−500382(P2013−500382A)
【公表日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−522870(P2012−522870)
【出願日】平成22年7月9日(2010.7.9)
【国際出願番号】PCT/US2010/041530
【国際公開番号】WO2011/014345
【国際公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【出願人】(500450727)エクソンモービル アップストリーム リサーチ カンパニー (46)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月9日(2010.7.9)
【国際出願番号】PCT/US2010/041530
【国際公開番号】WO2011/014345
【国際公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【出願人】(500450727)エクソンモービル アップストリーム リサーチ カンパニー (46)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]