説明

金属光輝性銀箔及び銀粉末

【課題】耐候性、耐溶剤性等が高く、優れた意匠性を有する光輝性銀箔及び銀粉末を提供する。
【解決手段】箔打ちされた、厚み0.1〜2μmの銀箔の両面を、同一組成、同一厚みの着色コーティング層で被覆してなる、光輝性銀箔であって、前記着色コーティング層は、熱硬化性樹脂を基剤とし、0.1〜5重量%の着色顔料を含有し、且つ厚みが5μm以下の透明の層であることを特徴とする、金属光輝性銀箔、及び前記光輝性銀箔を粉砕して得られる光輝性銀粉末。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規の光輝性銀箔及び銀粉末に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、金、銀、白金などの貴金属箔は、漆器、表装、織物などの伝統工芸品として、又これらの粉末は、蒔絵や金泥など意匠性の高い絵の具として各方面で利用されてきた。
【0003】
さらに現在では、このような伝統工芸分野の他、ネイルアートやクラフトアート等の新しい分野でも貴金属箔あるいは貴金属粉が利用されるようになってきており、多彩な色の貴金属箔及び粉末が求められている。
【0004】
蒸着技術の発達により、様々な金属蒸着箔が製造されるようになったものの、貴金属箔については、蒸着箔では満足のいく風合いが得られず、現在もなお箔打ち工程で製箔された貴金属箔が利用されている。しかし、箔打ちされた貴金属箔であっても、着色するために、箔表面をカラークリヤーコートで覆った場合、金属光輝性が失われやすいという問題がある。特に、パステルカラーのように、白色がかった色調に着色したい場合は、金属光輝性を維持するのが非常に困難である。
【0005】
また、着色箔には、前述した意匠性の他、耐候性、耐磨耗性、耐溶剤性等も必要とされる。
【0006】
耐候性、耐溶剤性等に優れたものとして、特許文献1及び2の、着色金属箔及び微小金属箔を含有する塗料組成物があるが、いずれもアルミ系材料に主眼をおいており、貴金属箔独特の風合いや光輝性を維持するには適していない。
【特許文献1】特開平5−177760号公報
【特許文献2】特開2001−226612号公報
【0007】
特に、銀箔は、金箔、白金箔に比べ、安価であるため、金箔代替及び色箔として用いられているが、酸化しやすいため、金属光輝性が失われやすい。したがって、着色する目的がないときでも、透明の塗料で箔表面をコーティングする必要があるが、無色透明の塗料で塗装した場合、自然な銀箔の意匠が失われてしまうという問題がある。金属銀の表面は、プラズモン吸収により、400〜500nm付近の青色を吸収するが、これが無色透明の塗料やガラスで被覆されることにより、淡い黄色味を帯びやすい。
【0008】
したがって、高い耐候性・耐摩耗性等を有し、且つ光輝性・意匠性に優れた銀箔が存在しないという問題があった。また、銀粉末についても同様の問題があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、このような問題を解決し、耐候性、耐磨耗性、耐溶剤性に優れ、且つ意匠性にも優れた光輝性銀箔及び銀粉末を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定の条件を満たす着色コーティング層で、箔打ちされた銀箔を被覆することによって、銀箔の風合いを維持しつつ、耐候性、耐磨耗性、耐溶剤性、貼着性が優れた金属光輝性銀箔を得ることができること、及び、前記銀箔が粉砕性に優れ、粉砕して得られた銀粉末が所望する性質を有することを見出し、本発明を完成した。
【0011】
すなわち本発明は、箔打ちされた、厚み0.1〜2μmの銀箔の両面を、同一組成、同一厚みの着色コーティング層で被覆してなる、光輝性銀箔であって、前記着色コーティング層は、熱硬化性樹脂を基剤とし、0.1〜5重量%の着色顔料を含有し、且つ厚みが5μm以下の透明の層であることを特徴とする、金属光輝性銀箔である。
【0012】
従来用いられてきた染料ではなく、顔料を用いることによって、安定な色調を得ることができるとともに、銀箔の光沢、輝度が視角により変化するフリップ・フロップ性(以下F/F性と示す)を低減することができる。また、顔料及びコーティング層の厚みを上記範囲とすることにより、銀箔本来の風合いを保つことができる。さらに、着色料として顔料を用い、基剤として熱硬化性樹脂を用いることにより、耐候性、耐摩耗性、耐溶剤性に優れたコーティング層を得ることができる。本発明の光輝性銀箔は、両面が同一組成・同一厚みの着色コーティング層で覆われているため、両面で同じ意匠が得られることに加えて、両面の酸化を防止することができる。
【0013】
また、本発明者らは、銀箔の金属光輝性を維持しつつ、上述した黄色味を改善するために鋭意検討した結果、着色剤として0.1〜2重量%の白色顔料のみを含有する着色コーティング層で銀箔をコーティングすることによって、美しい純銀色の光輝性銀箔を得ることに成功した。また、白色以外の顔料と0.1〜2重量%の白色顔料とを併用することによって、従来得られなかった鮮やかなパステルカラーの光輝性銀箔を得ることに成功した。
【0014】
従来、銀箔の着色コーティングには、染料が使用されてきたが、染料は、媒体(塗料溶液、塗膜)に溶解する物質であるため、染料で着色された塗膜の色は透過光によるものである。透過光は、光の混合原理により白色光となるが、色彩上の白色ではなく無色となる。従って、染料では白色を表現することができない。これに対し、本発明者らは、一定量の白色顔料を用いることにより、原理は不明で有るが、白色を顕在することなく、銀箔表面の黄色味をうち消すことに成功した。
【0015】
さらに、染料には、白色の概念が無いので、染料濃度をいかに薄くしてもパステルカラーは得られないが、本発明では、白色顔料と着色顔料の選択により、銀の光輝性(金属感)を維持しつつ、パステルカラー色を表現することに成功した。
【0016】
また本発明は、上記金属光輝性銀箔を粉砕して得られる金属光輝性銀粉末に関する。
【0017】
一般に貴金属箔は延展性に富むため、薄くすることは出来るものの、粉砕が難しい。そのため、箔打ちされた銀箔を粉砕して、貴金属本来の風合いを有する銀箔粉を得ることは非常に困難である。
しかし、本発明の光輝性銀箔は、銀箔の両面が同じ組成・同じ厚みのコーティング層で被覆されているため、破断に対する応力が銀箔の表裏に同等に働き、コーティング層の破断に伴って、銀箔が破断される。そのため、銀箔とコーティング層の破断面が揃い、銀箔とコーティング層の界面へのせん断応力が低減される。したがって、銀箔とコーティング層が剥離せず、両面が均質に着色された、意匠性の高い銀粉末を得ることができる。本発明の銀箔を粉砕する方法によれば、長径が10〜50μm未満、アスペクト比が10以下の微細な粉末であっても、両面が均質な着色コーティング層で被覆された光輝性銀微粉末を得ることができる。特に、白色顔料を含んだ無色及びパステル調の銀微粉末では、フリップ・フロップ現象や断面の黒ずみ(光輝性の欠如)の無い、安定な色彩を有する粉末を得ることができる。
【0018】
また、着色された銀箔を直接粉砕して着色銀粉末を得ることができるため、非常に簡単に製造できる。本発明の銀粉末は、裏表両面で均質な色調を有するため、透ける素材に用いた場合などに、裏面からも同色の意匠を得ることができる。したがって、両面で均質な色調が得難い蒸着膜を粉砕して得られた粉末と異なり、意匠性が高い。
【0019】
また、前記粉末が鱗片形状をなすものであって、長径が100〜500μm、平均アスペクト比(長径/厚み)が10以上である粉末は、光輝性に優れるとともに、撓み性に優れて折れ曲がりにくく、且つ、解繊し易くダマになりにくい。そのため、均質に分散し、作業性・意匠性に優れている。
【0020】
また、前記粉末が粒形状をなすものであって、長径が10〜50μm未満、平均アスペクト比が10以下である粉末は、微細ながらも、光輝性を保ち、安定な色彩を有する。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、光輝性、耐久性、耐磨耗性、意匠性及び加工性に優れた光輝性銀箔を得ることができる。特に、純銀色や鮮やかなパステル調の光輝性銀箔を得ることができる。また、本発明によれば、光輝性、耐溶剤性、意匠性に優れた光輝性銀粉末を簡易な工程で得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明は、箔打ちされた銀箔に関する。銀箔自体の厚みは、0.1〜2μmが好ましく、0.5μm以下がより好ましい。光輝性銀粉末の製造に用いる場合は、0.3〜2μmの銀箔を利用することが好ましく、1μm以下がより好ましい。厚すぎると、高価となるばかりでなく、粉砕性が劣る。
【0023】
本発明の着色コーティングは、銀箔に有彩色あるいは無彩色を施す目的のほか、上述した黄色味を改善し、純銀色を維持する目的で行われるものも含む。
【0024】
本発明の着色コーティング層の厚みは5μm以下が好ましい。箔打ちされた銀箔独特の風合いを維持するためである。
コーティング層の厚みは、光学的にも重要である。一般に銀箔では、箔表面に照射された光は、全て、銀箔表面で反射され、銀箔表面は、箔打ち紙の表面あらさを反映して、乱反射したキラキラ感を示す。ところが、銀箔表面を透明樹脂層で被覆すると、樹脂層を透過して銀箔表面に到達した光は、空気に対して樹脂層の屈折率が大きいため、屈折して、樹脂層内に吸収される。樹脂の屈折率が大きいと、樹脂層に入射した光は、大きく屈折されるので、銀箔面の入射角が小さく、銀箔面での反射角(樹脂層から空気層への入射角)が小さくなり、全反射が抑制される。しかし、樹脂層が厚いと、銀箔面の乱反射で、銀箔面から反射され、樹脂層/空気層界面に達する光路が拡散される割合が多くなり、全反射されて、樹脂層内に吸収され、反射光の輝きが少なくなり易い。従って、着色コーティング層は、屈折率が高く、可能な限り薄いのが好ましい。
【0025】
本発明において、銀箔表面を被覆する着色コーティング層は、銀箔の両面で同一の厚みであるが、ここで同一とは、両面のコーティング層の厚みの差が±20%以内にあることを意味する。
【0026】
本発明に係る熱硬化性樹脂として、水系又は有機溶媒系の任意の塗料を用いることができる。銀箔への塗装工程上、有機溶媒系が好ましい。また、透明のコーティング層(いわゆるクリヤーコート)が得られるものでなければならない。好ましい熱硬化性樹脂として、フェノール樹脂、アミノ樹脂(メラミン樹脂、尿素樹脂、グアナミン樹脂など)、アルキッド樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、アクリル−ウレタン樹脂、アクリル−シリコン樹脂を挙げることができ、これらは1種で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
【0027】
本発明の着色コーティング層は、防錆剤、老化防止剤、紫外線吸収剤などの安定剤、触媒、分散剤、可塑剤などの塗料用添加剤を含んでいてもよい。
【0028】
本発明の着色コーティング層は着色顔料を含有する。染料を用いると着色剤の分散工程が不要で調色が容易な反面、染料の溶解度で色足(いろあし、色調)が左右される。更に染料系カラークリヤーコートでは、コーティング層中の染料濃度、コーティング層の厚みで色の濃度が変化してしまう。特に金属箔面では、金属箔に入射した光が金属面で反射した透過色を認識するので、厚みが2倍のファクターで影響、厚みの管理が厳しく求められる。更に、染料を用いた場合、金属面に対して見る角度で異なった色に感じる効果(いわゆる、フリップ・フロップ効果)が発生しやすく、コーティング層の厚みで変化し易い。
これに対し、顔料系の着色コーティング層(顔料系カラークリヤーコート)では、顔料粒子表面で光が反射された色相を用いるので、安定な色合いを得やすい。
【0029】
顔料系の特徴として、顔料表面の反射光を利用するので、乾燥コーティング層中の顔料濃度が一定値になると急激に隠蔽力が増加し、色濃度が変化しない臨界点(臨界顔料体積濃度、CPVC)が存在する。したがって、コーティング層の透明性を保つには、顔料濃度をCPVC以下とすることが必要になる。
CPVC以下の顔料濃度では、コーティング層の厚みにより、色の濃度が変化し易い。本発明では、着色コーティング層の厚みが5μm以下なので、厚み変化に対し、色の変化が影響しない顔料濃度に管理する必要がある。本発明のCPVCは顔料の粒径、比重、形状で相違するが、本発明では20%(重量、以下同じ)前後であり、顔料濃度が20%以上では、隠蔽性が増し、可視光透過率が悪くなる。本発明に係る着色コーティング層は透明であるが、本発明における透明は、完全な透明のみならず、顔料濃度がCPVC以下のものを含み、当該技術分野においていわゆるカラークリヤー塗装として認識される範囲を含む。
目的とする色調、顔料の種類、粒子径、熱硬化性樹脂にもよるが、微視的に説明すると、CPVC以下では、顔料粒子間に空隙が存在し、顔料表面で反射された着色光を直接、又は、顔料空間を通過して金属面で反射された可視光を視認する。染料は、樹脂(コーティング層)中に均質に溶解するので、CPVCが存在せず、可視光透過率は染料濃度に依存して連続的に変化するので、顔料と比較して、明確な変化点を特定し難い。
【0030】
コーティング層に対する着色顔料の着色力は、コーティング層に含まれる顔料の充填量に依存する。従って、層の厚みと濃度で決まる。特に、5μm以下の薄いコーティング層では、厚みの変動で色合いが変わるので、顔料濃度を小さくすることにより、厚みの変化による色むらを抑制することができる。顔料濃度について検討した結果、乾燥後のコーティング層に対して5重量%以下が好ましいことが分かった。すなわち、本発明では、着色コーティング層中の顔料濃度を調整することにより、厚み5μm以下でも安定な色調を得ることができ、したがって、非常に薄く、且つ貴金属箔の質感を有する着色銀箔を得ることができる。
【0031】
本発明では、着色剤として顔料を含み、耐薬品性の優れた熱硬化性樹脂を基剤とする着色コーティング層で銀箔の両面を被覆しているので、耐候性、耐摩耗性、耐溶剤性が優れ、光輝性の高い銀箔を得ることができる。特に、染料系カラークリヤーコートでは達成出来ない耐溶剤性が得られる。
【0032】
前記した着色顔料としては、例えばアゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、縮合多環系顔料などがある。より具体的には、アゾ系顔料としてはウォッチングレッド、カーミン6C等の溶性顔料、モノアゾイエロー、ジスアゾイエロー、ピラゾロンオレンジ、レッド、パーマネントレッド等の不溶性アゾ顔料、フタロシアニン系顔料としては銅フタロシアニン顔料、無金属フタロシアニン顔料として青、緑系顔料、縮合多環系顔料としてはジオキサジンバイオレット、キナクリドンバイオレット等が例示されるがこれらに限定されない。
また、無機系の着色顔料もあり、例えば酸化鉄は、黄色、赤、黒各種の色相を有し、特に低隠蔽性の微細酸化鉄は有用なものである。酸化チタンも本来、白色の無彩色顔料であるがチタン−イエローとして黄色の顔料がある。これは、従来のカドミイエローや黄鉛などの毒性の強い黄色顔料に代わるものとして有力なものである。
【0033】
本発明において、色彩光学上、黒色、白色も独立した色相であることから、無彩色顔料である酸化チタン、カーボンブラックなどを有彩色着色顔料と同様に用いることができる。前記した有彩色また無彩色着色顔料は、一般に市販されているものをそのまま用いても良いが、市販品は粒子径がまちまちである。本発明においては光透過性が重要な因子であるため粒子径が大きすぎると光透過性が悪く、また細かすぎると分散が困難となる。したがって1次粒径は0.1〜10μmが好ましく、更に、着色コーティング層の厚み以内とすることを考慮すると、0.1〜2μmがより好ましい。
【0034】
粒子径の小さい顔料を直接、分散媒(熱硬化性樹脂成分)に分散させるのは、熟練が必要であるため、加工顔料を用いるのが適している。
一般に、加工顔料は、アクリル樹脂、セルローズ樹脂、塩化ビニル樹脂、マレイン酸樹脂などの各種の樹脂溶液中において、あるいは必要によりフタル酸エステルなどの可塑剤を加えた樹脂溶液中で高濃度に混練、分散され、溶剤成分を除去、小片状または、粒状にしたチップ状の分散顔料で通常カラーチップと呼ばれる加工顔料(カラー・マスターバッチ)にされる。このような分散顔料を用いると熱硬化性樹脂溶液に溶解するだけでカラークリヤーが得られるので便利である。
【0035】
本発明の光輝性銀箔は、着色コーティング層で箔打ちされた銀箔を被覆したものであり、任意に着色できるので有利である。
【0036】
また、銀箔を単に、無色透明のコーティング層で被覆(クリヤー塗装)しただけでは、銀箔表面の酸化による亜酸化銀の薄い褐色を帯びるか、あるいは酸化されていない無垢の銀箔であっても、前記プラズモン吸収により淡い黄色味を帯び易い。また、パステルカラーなど、淡彩色に対して、単に染料で着色しただけでは、無彩色の白色は得られず、染料濃度を小さくしたり、コーティング層の厚みを薄くしても、黒ずんでしまい、鮮やかなパステル色が得られない。
本発明によれば、白色顔料のみを0.1〜2%用いると金属光輝性の優れた純銀色の光輝性銀箔が得られ、白色顔料0.1〜2%と有色顔料とを併用すると、鮮やかなパステル調の銀箔が得られる。白色顔料と有色顔料とを含む系でも、全着色顔料は、上記と同様、5%以下である。また、白色顔料を2%より大〜5%の範囲で用いると、白色を帯びた真珠に近い光輝性銀箔が得られる。
【0037】
黄色味が解消し、純銀色が得られる原因は明らかではないが、酸化チタンなどの白色顔料は、他の着色顔料と異なり、粉体が白に着色しているのではなく、透明物質が細かく砕かれた結果の、光の屈折率の効果による光学的な錯覚で白色と認識されるため、銀箔表面に少量(0.1〜2%)の白色顔料(例えば、酸化チタン)を含んだ塗膜では、塗膜から酸化チタン内に入った光は、塗膜との界面で全反射して塗膜に出難く(もどり難く)なり、酸化チタン粒子内に吸収される量が多くなり、白色と認識されると考えられる。白色顔料を少量含んだ塗膜は、銀箔表面の反射光に対して可視光のフィルターを作った状態となり、これにより黄色味が隠蔽(排除)され、所謂、黄ばみを消す青味つけと類似の作用により、鮮やかな銀色になると考えられる。
本発明の白色顔料としては酸化チタンが最も適しているが、白色のシリカ、タルク等の体質顔料を用いることもできる。
【0038】
箔打ちされた銀箔は、通常、130mm前後で提供されるので、布海苔など、水系接着剤で金属型枠に貼着後、着色コーティング溶液(着色コーティング層の原料)に浸漬塗装し、加熱乾燥後、型枠から切り離すことにより、110mm角前後の、着色コーティング層で両面が被覆された光輝性銀箔を得ることができる。
【0039】
浸漬塗装時の顔料濃度は特に制限されないが、コーティング層成分として、5〜20%前後が管理しやすい
浸漬直後の状態で、表裏、各々、10〜50μm塗着させると、乾燥コーティング層として1〜5μmの着色コーティング層が得られる。
【0040】
本発明の銀箔は、両面が同じ組成・同じ厚みの着色コーティング層で被覆されているため、粉砕性に優れ、着色コーティング層と銀箔の界面破壊が生じにくい。蒸着では、同じ組成・同じ厚みのコーティング層で両面を被覆した膜を製造することは、非常に困難である。裏表不揃いの銀蒸着膜を破砕した場合、銀粉末とコーティング層粉末が混在するという問題があるが、本発明の光輝性銀箔は、このような欠点を有さない。
【0041】
貴金属の粉末は、丸子、平目粉、梨地粉、平子、消粉等に分類される。平目粉、梨地粉、平粉などアスペクト比が大きい粉では、光輝性は銀箔の表面に依存し、箔の厚みに関係しないので、本発明に係る任意の光輝性銀箔が利用できる。一方、丸子、消粉などアスペクト比の小さい粉は、破断面の銀箔の厚みが光輝性に影響し、銀箔の厚みが薄すぎると、コーティング層に類似した光輝性のない着色粉になる。アスペクト比の小さい(10以下)微粉末では、銀箔の厚みは0.2μm以上が好ましく、0.3μm以上がより好ましい。
【0042】
本発明の光輝性銀粉末は、本発明の光輝性銀箔を粉砕することで得られ、さらに、所望の目付けの篩面で、粉砕した銀箔をゆるく回転させながら粉砕、篩別することで、粒子の揃った粉末を得ることができる。
従来、箔打ちされた貴金属箔は柔軟性に富むため、直接粉砕することができず、金・銀の地金をヤスリでおろしたヤスリ粉を擂り潰しながら、丸みをつけて5〜300μmの丸子、丸子を平たく潰した平目紛(扁平で光輝性がある)、厚さ2〜3μm、60〜700μm程度まで小さくした梨地紛、5〜6μmの平紛、更に細かい消紛などとしていたが、本発明の光輝性銀箔は粉砕性が優れているため、直接粉砕して、銀粉末を得ることができ、工程が非常に簡易である。特に消粉にあっては、従来は0.3μmの厚みの銀箔を溶かしたニカワに練りこみながら粉砕した後、ニカワを水洗、除去して、3μm径まで細かくしていたため、熟練と多大な労力を要していたが、本発明の製造方法では、銀箔の厚みが1μm以下であっても、直接粉砕することができるため、従来よりはるかに簡易な工程で、消粉を製造することが可能である。
【0043】
本発明の光輝性銀粉末は、篩で所望の大きさに分別できる。篩い分けには、例えば、Tyler標準篩で分別すると、80〜100メッシュ(目の開き175〜147μm)では、篩の目より大きい100〜400μm前後の粉末が得られる。前記粉末は、長径100〜300μm、アスペクト比が10以上の銀箔の粉として、丸子代替用途として利用出来る。また、ネールアート、ジョーゼット等の目付けの小さい布地に透明性の熱転写接着剤でスクリーン印刷した材料への熱圧着により、光輝性の意匠模様が得られる。特に、両面が均質に着色されているので、透明性を有する素材に使用した場合、裏面からも同色の意匠が得られる。したがって、両面で均質な色調が得難い蒸着粉末では実現できなかった意匠を達成することができる。なお、本発明における平均径とは、光輝性銀箔を粉砕して得られた粉末群における、粉末最大径(長径)の平均値を指す。
【0044】
更に、本発明では、300メッシュ以上の細かい篩で篩分けすることにより、長径が10〜50μm、アスペクト比が10以下の銀粉末を得ることができ、このような微細な粉末でも、両面が均質な着色コーティング層で被覆されている。特に、白色顔料を含んだ無色、及びパステル調の銀粉末では、蒸着金属粉や染料により着色された金属粉に見られるフリップ・フロップや断面の黒ずみ(光輝性の欠如)が無く、安定な色彩が得られる。
【0045】
長径が500μmを超え、アスペクト比(長径/厚み)が10以上の銀粉末は、銀箔の厚み、コーティング層の性質にもよるが、撓み性が不足して折れ曲がったり、解繊しにくくダマになりやすい。そのため均質に分散しにくく、作業性、意匠性が劣る。逆に長径が50μ未満でアスペクト比が10を超える銀粉末、あるいは長径が100μm〜500μmでアスペクト比が10未満の銀粉末では、光輝性が劣る。
【0046】
本発明の光輝性銀粉末は破断面が平滑で、コーティング層と銀箔界面との密着が優れている。また、着色剤として顔料を用い、熱硬化性樹脂でコーティング層が形成されているので、有機溶剤系インキ、熱転写インキなど耐溶剤性、耐熱性が望まれる新規意匠材料にも利用可能である。
【0047】
以下、実施例により本発明をより詳細に説明する。
【実施例1】
【0048】
着色箔の製造及び着色コーティング層中の顔料濃度の検討
A.ベースクリヤーの作成
アクリル樹脂−1(アクリディックA-405、大日本インキ化学工業株式会社[以下、DIC社と略す]製、不揮発成分[以下、NVと略す]50%)70部、アミノ樹脂―1(スーパーベッカミンTD-126、DIC社製、NV.60%)30部、酢酸エチル50部、トルエン50部を均質溶解して、NV. 26.5%のベースクリヤー(1)を作成した。
B.着色顔料の分散
ベースクリヤー(1)80部に着色顔料−1(NR440-A9DA、大成化工株式会社、セイカファーストイエロ−2720
40%、分散用樹脂60%)20部を均質溶解、黄色のカラークリヤーベース (1)を得た。
尚、黄色のカラークリヤーベース(1)はセイカファーストイエロー2720が8%、樹脂成分21.2%を含み、NV.29%、PWC(NV中の顔料重量濃度)27.4%である。
C.浸漬塗装用カラークリヤー(着色コーティング液)の調整
ベースクリヤー(1)100部に、カラークリヤーベース(1)を表1に示す割合で混合、希釈溶剤(混合比;酢酸エチル/トルエン1/2)を適量加え、着色コーティング液を調整した。
D.着色塗装
外寸135mm、内寸120mmの正方形の金属型枠に水溶性接着剤(布海苔)で厚さ0.35μmの銀箔を貼り付け、次いで表1の浸漬塗装用カラークリヤー(着色コーティング液)に浸漬後、150℃で10分加熱乾燥して、両面が着色コーティング層で被覆された銀箔(以下、着色箔と呼ぶ。)を得た。得られた着色箔は黄金色であった。
【0049】
【表1】

【0050】
着色コーティング層の重量及び厚みの測定
D.で塗装された銀箔を109mm角に切り取り、目付け15g/m2の合紙を挟んで1000枚単位で重量を測定、同様に合紙を挟んだ塗装していない銀箔との重量を求め、その差から着色コーティング層の厚みを算出した(表2)。尚、銀箔の比重を10.5、コーティング層の比重を1.0とした。
【0051】
【表2】

【0052】
目付け15g/m2の合紙を挟んだ109mm角、1000枚の、銀箔のみの重量:10組の平均44g
目付け15g/m2の合紙のみ、109mm角、1000枚の重量:10組の平均178g
以上から、着色コーティング層の重さ(両面)は、着色箔の重さから222gを除した値とした。
更にコーティング層の厚みは、着色コーティング層の重量から、109mm角の箔,1000枚の面積(片面)を11.9m2とし、コーティング層の比重1として求めた。
銀箔の厚みは、44/(11.9×10.5)=0.352(μm)
【0053】
実施例1の結果より、着色コーティング層中の顔料濃度が5%(重量% 以下同じ)以下の場合、金箔に劣らない光輝性を有する着色箔が得られることが分かった。
【実施例2】
【0054】
着色コーティング層の厚みの検討
表1の着色コーティング液No.2につき、稀釈溶剤添加量を変化させてコーティングの厚みを変化させた他は、実施例1と同じ方法を用いて着色箔を製造し、着色コーティング層の厚みの異なる各着色箔を得た(表3)。着色コーティング層中の顔料濃度は1.4%である。
【0055】
【表3】

【0056】
実施例の結果、着色コーティング層の厚みが5.0μm(片面)以下の着色箔は、金箔に劣らない光輝性を有するとともに、風合いが優れていた。着色コーティング層の厚みが7.5μmの着色箔No.16は硬く、樹脂フィルムのように丈夫で壊れ難かった。
【0057】
比較例1(染料を使用した着色箔)
着色顔料―1の代わりに染料(ソルベントイエロー82[保土谷化学株式会社製]の40%酢酸エチル溶液)を用いた以外は、実施例1と同じ方法を用いて、片面のコーティング層の厚み0.5〜5μm、染料濃度0.6〜10%の着色箔を製造した。結果を表4に示す。
【0058】
【表4】

【0059】
得られた着色箔は金箔類似の金色であったが、厚み、濃度により色合い(色の濃さ)が異なり、安定な色調が得られず、フリップ・フロップ性も強かった。
【0060】
比較例2(熱可塑性樹脂を用いた着色箔)
実施例1のベースクリヤー(1)のアクリル樹脂−1の70部及びアミノ樹脂―1の30部を、熱可塑性アクリル樹脂―2(サーモラックEM50,綜研化学株式会社製、NV50%)100部に変更した以外は、実施例1と同じ方法を用いて、NV25%のベースクリヤー(2)を作成し、黄色のカラークリヤ−ベース(1)の作成と同じ方法で、着色顔料−1を用いカラークリヤーベース(2)を作成、以下実施例1と同法で着色コーティング液を調製し、着色箔を製造した。
【0061】
得られた着色箔は、実施例1同様、金箔同様の光輝性の優れた金属箔であったが、着色コーティング層は、トルエン含漬綿で簡単に剥離し、脱色した。これに対し、実施例1及び2のNo.1〜16の着色箔のコーティング層はトルエンで剥離、脱色せず、溶剤耐性に優れていた。
【実施例3】
【0062】
白色顔料を使用した着色箔の製造
実施例1のB.着色顔料の分散において、着色顔料−1(20部)を、着色顔料―2(太平化学製品株式会社製、白色顔料CR−90、酸化チタン80%、分散用樹脂20%)10部及び酢酸エチル10部に変更した以外は、実施例1と同じ方法を用いて、白色のカラークリヤーベース(3)を作成し、着色箔を得た(表5)。
【0063】
【表5】

【0064】
2%以下の白色顔料を含有するコーティング層で銀箔を被覆することにより、プラズモン吸収に起因する黄色味が消失し、銀箔地金の色が得られた。2%より大〜5%では光輝性があり、真珠様光沢やパステル調の白色が得られた。5%を超えるとエナメル調(ソリッド・カラー)の白色となり金属感がなかった。
【実施例4】
【0065】
実施例1のB.着色顔料―1を着色顔料―3(PBT5182、大成化工株式会社シアニンブルー40%含有)に変更した以外は、実施例1と同じ方法を用いて、青色のカラークリヤーベース(4)を作成し、着色箔を製造した。
【0066】
顔料濃度5%以下では光輝性が優れた着色箔が得られた。
【実施例5】
【0067】
パステルカラーの着色箔の製造
実施例4で調製した青色のカラークリヤーベース(4)に実施例3で調製した白色のカラークリヤーベース(3)を種々の割合で混合した。
【0068】
カラークリヤーベース(4)に対しカラークリヤーベース(3)が20%を越えると白色が強くなった。20%以下では、意匠性の優れた青色のパステルカラーが得られた。
【実施例6】
【0069】
着色銀粉末の製造(コーティング層の厚みの検討)
実施例2で製造した着色箔(No.9〜16)それぞれを、60メッシュ(目の開き
250μm)のステンレス篩でステンレスウールを用い、粉砕、通過させ、長径500〜1000
μmの粗粉砕粉末を得た。次いで、同様操作により、80〜300メッシュの篩で順次篩い分けを行い、最小メモリ10μmのスケール入りスライドガラス上で、光学顕微鏡(オリンパス、BH2、反射式)を用いて観察し、着色銀粉末の形状を測定した(表6)。
【0070】
【表6】

【0071】
銀箔の厚みは、0.352μmとした。
表中、#80、#100、#200、#300はそれぞれ80,100,200,300メッシュ(以下同じ)を示す。
【0072】
得られた着色銀粉末は、光輝性が優れ、金粉に近いものであった。尚、コーティング層の厚みが4μm(片面、以下特記しない時は同じ)以下では粉砕しやすく、形状も揃っていたが、5μm(No.15)では粉砕しにくく、細かい粉末が得にくかった。更に、7.5μm(No.16)では、細かく粉砕されたが、短、長径の不揃いが目立った。
アスペクト比は、No.9〜13では、#80〜#300全てで10以上であり、No.14,15では、300メッシュの篩下では5以下であった。
【実施例7】
【0073】
着色銀粉末の製造(銀箔の厚みの検討)
着色コーティング液No.2(顔料濃度1.4%)の希釈溶剤量を105gから50gに変更し、銀箔の厚みを変化させた他は、着色箔No.14の製造と同様の方法を用いて銀箔の厚みの異なる着色箔を製造した。その後、各着色箔を実施例6と同法で粉砕、篩分けし、着色銀粉末を製造した(表7)。
【0074】
【表7】

【0075】
表中、銀箔の重量は、109mm角の大きさ・目付け15g/m2の合紙を挟んだ1000枚の銀箔10組の重さから、合紙の平均重量178gを除して求めた。着色箔の重さは、合紙、銀箔を含んだ1000枚の平均重量を求めて算出した。
【0076】
得られた着色箔及び着色銀粉末は、光輝性が優れ、金箔又は金粉に近いものであった。尚、銀箔の厚みが1μm以上のNo.45,46では、300メッシュでは粉砕性が劣り不揃いであった。
【実施例8】
【0077】
ネイルシートへの利用
No.4,No.8,No.12,No.16及びNo.104の金色又は黄色の着色箔、No.34の銀色の着色箔、未塗装の箔打ち銀箔及び金箔(厚み0.35μm)、剥離ポリエステルフィルム面にアルミ蒸着後、実施例1類似の組成で片面のみ金色塗装した着色蒸着箔1を用いて、星型の転写シートを作成した(表8)。
【0078】
【表8】

【0079】
No.4,12,34は何れも光輝性が優れ、型抜き性が良く、爪の意匠を高めた。No.8(顔料濃度12.4%)は光輝性が劣り、No.16(コーティング層の厚み7.5μm)は、光輝性は良好であったが、弾性が大きく、型抜き性が悪く、歩留まりが劣り、No.104(染料使用)はフリップ・フロップ性が大きく、意匠性が劣った。着色蒸着箔1は、裏面が銀色の為、商品性が劣った。
【実施例9】
【0080】
ネイルアートへの使用
実施例6で製造した着色銀粉末(着色箔No.9〜16を粉砕して製造)のうち、200メッシュ/300メッシュ分級の粉末を、市販マニキュア(エッシ‐トップコートクリアー、サンデンタル株式会社製)に各1%分散させて、付け爪に塗布、意匠性を評価した(表9−1)。表中、意匠性は、塗布後の光輝性・色合いを示し、安定性は、マニキュア液に分散後、室温放置した際の1日の状態を示す。
また、比較例1で作成した染料使用の箔(表4のNo.101〜108)を、No.9〜16に対応して、粉砕、分級した微粉末を、同じ方法で市販マニキュアに各1%分散させて、付け爪に塗布、意匠性を評価した(表9−2)。
【0081】
【表9】

【0082】
【表10】

【0083】
染料で着色した銀粉末は、全て光輝性が劣り、安定性が悪かった。
これに対し、顔料で着色した銀粉末は、すべて安定性が優れていた。さらに平均径が100μm以上、平均アスペクト比が10以上の着色銀粉末(No.9〜No.13)は、意匠性にも優れていた。平均径が100μm未満、平均アスペクト比が10以下の粉末(No.14、No.15)及び平均径が100μm以上、平均アスペクト比が10未満の粉末(No.16)は、光輝性が劣った。
【実施例10】
【0084】
布帛への使用
25%アクリル樹脂系エマルション100部に5部のナイロン微粉末を分散させた接着芯地用ホットメルト接着剤をスクリーン印刷で、目付け50g/m2のジョーゼットに格子模様を印刷、室温で乾燥後、実施例7で製造した着色銀粉末(着色箔No.40〜46を粉砕して製造)のうち、300メッシュ通過の粉(平均径40〜55μm、平均アスペクト比4〜5.5)を散布、剥離紙を介してアイロンで圧着後、減圧吸引冶具で吸引して、模様以外の部分の着色銀粉末を除去して、金色の格子模様を作成した(表10−1)。表中、光輝性は着色銀粉末自体の光輝性を示す。
得られた布帛は風合い、耐洗濯性、表裏の意匠の一致性が優れていた。
【0085】
【表11】

【0086】
また、実施例6で製造した着色銀粉末(着色箔No.9〜13を粉砕して製造)の300メッシュ品(平均径80、平均アスペクト比15〜60)を用いた以外は、上記と同様にして、金色の格子模様を作成した(表10−2)。
格子模様の線幅が1mm以上では、輪郭は良好であったが光輝性にムラがあり、更に、1mm以下では、交差部分に欠落が認められ、線の輪郭がぼやけた。
【0087】
【表12】

【0088】
実施例10の結果から、平均径100μm未満の微細な着色銀粉末では、平均アスペクト比10以上の場合、模様の光輝性にムラができ、細線が描きにくいことが分かった。また、前述の実施例9では、平均径100μm未満(80μm)で平均アスペクト比10以下の着色銀粉末も、光輝性が劣る結果となった。しかし、表10−1に示すように、さらに微粉化して平均径50μm未満・平均アスペクト比10以下の銀粉末とした場合、光輝性が良好になり、作業性、意匠性も優れることが分かった。
【0089】
以上の結果より、金泥等に用いられる、消子対応には、平均径50μm未満、平均アスペクト比10以下の着色銀粉末が好ましいこと、特に、平均径50μm未満、平均アスペクト比5以下の着色銀粉末が好ましいことが分かった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
箔打ちされた、厚み0.1〜2μmの銀箔の両面を、同一組成、同一厚みの着色コーティング層で被覆してなる、光輝性銀箔であって、
前記着色コーティング層は、熱硬化性樹脂を基剤とし、0.1〜5重量%の着色顔料を含有し、且つ厚みが5μm以下の透明の層であることを特徴とする、金属光輝性銀箔。
【請求項2】
前記着色コーティング層が、0.1〜2重量%の白色顔料を含有する、請求項1に記載の金属光輝性銀箔。
【請求項3】
請求項1または2に記載の金属光輝性銀箔を粉砕して得られたことを特徴とする、金属光輝性銀粉末。
【請求項4】
前記粉末が鱗片形状をなすものであって、平均径が100〜500μm、平均アスペクト比が10以上である、請求項3に記載の金属光輝性銀粉末。
【請求項5】
前記粉末が粒形状をなすものであって、平均径が10〜50μm未満、平均アスペクト比が10以下である、請求項3に記載の金属光輝性銀粉末。

【公開番号】特開2007−181925(P2007−181925A)
【公開日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−380521(P2005−380521)
【出願日】平成17年12月29日(2005.12.29)
【出願人】(591111721)有限会社山村製箔所 (2)
【Fターム(参考)】