説明

鉄系焼結摩擦材及びそれを用いた鉄道車両用制輪子並びにそれらの製造方法

【課題】環境保護を考慮して、鉄又は鉄合金を主成分とし、PRTR法指定化学物質を一切使用していない鉄系焼結摩擦部材、及びそれを使用した鉄道用制輪子、並びにそれらの製造方法を提供する。
【解決手段】鉄又は鉄合金を主成分とした焼結摩擦部材10,10は、摩擦特性に優れた材料粉末が焼結されてなる第1層11と、接着特性に優れた材料粉末が焼結されてなる第2層12と、補強特性に優れた材料粉末が焼結されてなる第3層13とを含む。焼結摩擦部材10の各層は、鉄又は鉄合金を主成分としており、PRTR法指定化学物質を一切使用していないので、環境保護の点で優れている。また、摩擦材が鉄系材料であり、且つ補強板となる第3層13が鉄系材料であるので、銅と鉄のような異種の金属を接合する際に必要とされるメッキ処理を省略することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、PRTR法で定められる規制化学物質の使用を抑えた、又は使用しない鉄系焼結摩擦部材及びそれを用いた鉄道車両用の焼結制輪子、並びにそれらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鉄道車両用制輪子においては、摩擦材として、主に銅系焼結摩擦部材が使用されている。銅系制輪子は、銅系焼結摩擦部材とそれを支持する鋼板の台金とで構成されている。しかし、銅系焼結部材と鋼板製の台金の接合は容易でないため、プレス成形した鋼板に予め銅メッキを施して製作した補強板に銅系焼結摩擦部材を加圧焼結で接着し、台金と補強板の鋼板部分を溶接で接合している。銅系焼結摩擦部材の補強板への加圧焼結するに際しても、強度や接着性向上のため銅系焼結部材の配合成分を基に銅を多く添加した中間層を使用している。
【0003】
銅系焼結摩擦部材を使用した鉄道車両用制輪子の製造方法が、図8に示されている。先ず、(a)予備成形工程として、予備成形機5において、銅系焼結摩擦部材40と中間層41とが重ねた状態で予備成形される。次に、(b)組付け工程として、一側に銅メッキ43を施した補強板42を用意し、(a)で製作された銅系焼結摩擦部材40と中間層41とから成る予備成形体44に対して、その中間層41側に、銅メッキ43を施した側を合わせて補強板42の組付けを行う。次に、(c)加圧焼結工程においては、焼結炉8内に、(b)で得られた組付け体45を加圧しながら接着焼結を行い、銅系焼結摩擦部材40を補強板42に接着する。最後に、(d)溶接工程として、(c)で得られた二つの接着焼結体46,46の補強板42,42と台金14との鋼板部分を溶接47で接合することにより、製品としての制輪子が製造される。
【0004】
上記の銅系焼結摩擦部材を使用した鉄道車両用制輪子の製造方法は、台金に銅系焼結摩擦部材を溶接するために、図9に示すように、銅系焼結摩擦部材48と中間層49とから成るものに対して、図10に示すように、中間層49の外側に、銅メッキ51が施された補強板50が設けられている。銅系焼結摩擦部材48を補強板50に接着焼結するために、銅メッキ51が施された補強板50が必要である。そのため、使用材料や製造工程が多くなり製造コストも高くなる。
【0005】
銅粉を主成分とし焼結により形成されるブレーキ用摩擦部材であって、ディスクと対向する摺動部分側に、摩擦特性に優れた材料粉末を重点分散配合して形成する第1の層と、この第1の層に積層し反摺動部分側となり、強度特性に優れた材料粉末を重点分散配合して形成する第2の層とを具備し、第2の層を直接押圧することで第1の層がディスク面に摺接するブレーキ用摩擦部材及びその製造方法が提案されている(特許文献1)。第2の層の表層には、低熱伝導性を有し、かつ硬質な材料粉末を主成分とする第3の層を形成することが開示されている。また、ブレーキ用摩擦部材の製造方法として、主材の銅粉末に摩擦特性に優れた材料粉末を混合・攪拌して得られる原材料、主材の銅粉末に、焼結を促進させ、かつ焼結後の強度向上に寄与する材料粉末を混合・攪拌して得られる原材料、及び低熱伝導性を有し、かつ硬質な特性を有する材料粉末の原材料を単一の予備成形金型に順次投入し、加圧成形後、予備成形品を焼結して所定の銅系摩擦部材を得る方法が提案されている。このブレーキ用摩擦部材によれば、裏金を省略することにより製造の簡単化が図られる。
【0006】
焼結合金製の摩擦材ブロックを合金に取付けてなる制輪子において、摩擦材ブロックと台金との間に弾性体層を介在させ、かつ摩擦材ブロックの台金側の基部の周縁を外側に張出した突出部を、一端部を台金にリベット接合した押え板で係止したことから成る焼結合金制輪子が提案されている(特許文献2)。摩擦材ブロックを台金に取付ける際に溶接しないので部材の熱による変形が全く無く、形状精度の良好な製品が得られている。
【0007】
また、銅または銅合金をマトリックス成分とする銅基金属系の乾式摩擦材料と鋼のバックプレートを接着する乾式摩擦材料の接着方法として、乾式摩擦材料と鋼のバックプレートの間に接着強度を高めるため、摩擦材料本体より銅基金属の含有量の多い材料からなる中間層を設けることで、銅基金属系摩擦材料と鉄系バックプレートの接着強度向上を図ることが提案されている(特許文献3)。
【特許文献1】特開平10−17854号公報
【特許文献2】実用新案登録第2522003号公報
【特許文献3】特開平9−263805号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、近年、環境保護の観点からPRTR法が制定され、使用する材料も環境保護を考慮して用いることが要求されるようになってきた。そこで、環境保護を考慮して、鉄又は鉄合金を主成分とし、PRTR法で定められる指定化学物質を一切使用していない鉄系焼結摩擦部材、及びそれを使用した鉄道用制輪子、並びにそれらの製造方法を得る点で解決すべき課題がある。
【0009】
この発明の目的は、銅系焼結摩擦部材に代わる鉄系焼結摩擦部材、及びそれを使用した鉄道用制輪子、並びにそれらの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するため、この発明による焼結摩擦部材は、鉄又は鉄合金を主成分とした複数の層から成り、前記層は、相手材との摩擦係合に適合可能な第1層と、接着特性に優れた第2層と、補強特性に優れた第3層とがこの順に積層されていることから成っている。この焼結摩擦部材は、第1層〜第3層のどの層も鉄又は鉄合金を主成分としており、PRTR法で定められる指定化学物質を一切使用していないので、環境保護の点で優れている。また、摩擦部材が鉄系材料から成り且つ補強板も鉄系材料から成るので、銅と鉄のような異種の金属を接合する際に必要とされるメッキ処理を省略することができる。
【0011】
この焼結摩擦部材において、前記第2層に含まれる前記鉄又は鉄合金の融点は前記第3層に含まれる前記鉄又は鉄合金の融点よりも低くすることができる。第2層に使用する鉄系材料を還元鉄材よりも融点が低い鋳鉄粉にすることで、接着性を向上させることができる。また、前記第1層には、還元鉄、アルミニウム、アルミナ、マグネシア及び黒鉛を含むことができ、第2層には、鋳鉄、アルミニウム、アルミナ、マグネシア及び黒鉛を含むことができ、第3層は還元鉄から形成することができる。
【0012】
また、この発明による鉄系焼結制輪子は、上記の焼結摩擦部材と台金をプロジェクション溶接によって固定されて成っている。銅系焼結摩擦部材に代えて鉄系焼結摩擦部材を用いることで、鉄道車両用制輪子は、重量に関しては軽量化することが可能である。
【0013】
また、この発明による焼結摩擦部材の製造方法は、鉄又は鉄合金を主成分とした材料で複数の層を形成して成り、前記層は、相手材と摩擦係合可能な摩擦材を構成する材料を混合・攪拌して得られる第1原材料層と、接着特性に優れた材料を混合・攪拌して得られる第2原材料層と、補強特性に優れた材料を混合・攪拌して得られる第3原材料層とを単一の成形金型に当該層順に重ねた状態で予備成形し、当該予備成形体を加圧焼結して所定の焼結摩擦部材としたことから成っている。この焼結摩擦部材によれば、第1層と第2層と第3層(銅系焼結材の場合の補強板に相当)を一度の予備成形と加圧焼結により同時に作製が可能であり、製造工程を短縮することができ、製造コストを低減することができる。
【0014】
上記の焼結摩擦部材の製造方法において、前記加圧焼結は、放電プラズマ焼結、ホットプレスによって行われ、焼結後の相対密度を80%以上とすることができる。焼結後の相対密度(焼結体密度/真密度の百分率)が80%以上であるので、鉄系材料間の焼結力が強く、強度、耐摩耗性に優れた焼結摩擦部材が製造可能である。
【0015】
また、この発明による鉄系焼結制輪子の製造方法は、上記の製造方法で得られた前記焼結摩擦部材を、プロジェクション溶接で台金に固定することから成っている。溶接の方法として従来、アーク溶接があるが、本発明ではプロジェクション溶接を用いることにより、溶接に要する時間の短縮が可能である。
【発明の効果】
【0016】
この発明による焼結摩擦部材は、上記のように相手材との摩擦係合に適合可能な摩擦層を始めとして各層を成形する材料として鉄系焼結材料を用いている。したがって、従来の銅系焼結摩擦部材は摩擦材と中間層で予備成形を行い銅メッキした補強板を加圧焼結で接着しているのに対して、本発明では第1層、第2層及び第3層となる鉄粉が同時に予備成形され、しかも一度の加圧焼結で台金に溶接するための補強層が付与された焼結摩擦部材(傾斜焼結部材)が得られる。その結果、補強板・メッキ処理の省略により製造工程の簡略化ができ、焼結摩擦部材の製造コストを大幅に低減することができる。また、焼結摩擦部材の主成分を銅粉(比重:8.96g/cm3)から鉄粉(比重:7.87g/cm3)にすることで、焼結摩擦部材の軽量化が可能となり、鉄道車両用制輪子に適用した場合、車両の軽量化に繋がる。
【0017】
また、制輪子を製造する際には、台金に焼結摩擦部材を溶接して構成されるが、従来の銅系焼結摩擦部材は図8に示されているように台金14に溶接する補強板42に摩擦材を接着焼結(C)させる際、接着性を高める目的で補強板42の焼結摩擦部材側に銅メッキ処理を行う必要がある。しかし、この発明である鉄系焼結制輪子では、摩擦材を鉄系焼結摩擦部材にすることで、補強層は同じ鉄系材料であるため、高接着性目的のための銅メッキ処理を行う必要がない。また、焼結摩擦部材の台金への溶接をプロジェクション溶接によって行うことができるので、溶接時間の短縮化が可能になり、製造コストの一層の低減に寄与することができる。
【0018】
また、第2層に使用する鉄系材料を、純鉄に近い融点である還元鉄粉に代えて炭素含有量が多く融点が純鉄よりも約200℃低い鋳鉄粉にすることにより、焼結材と補強板の密着性が向上する。
【0019】
本発明品である鉄系焼結摩擦部材、及びそれを用いた制輪子は、主成分が鉄系材料であり、他の配合材としては、鉄の同種摩擦を防ぐためのアルミニウム、研削材等のセラミックス、潤滑材の黒鉛、基地組織をフェライトにするためのアルミニウム及び/又は珪素及び/又はチタンが使用されており、PRTR法の指定化学物質を全く使用していないので、環境保護の点で好ましい。
【0020】
鉄系焼結摩擦部材の台金への溶接には放電プラズマ焼結やホットプレス等の加圧焼結法が用いられ、焼結温度と圧力とが調整されるので、焼結後の相対密度(焼結体密度/真密度の百分率)が80%以上で鉄系材料間の結合力が強く、強度、耐摩耗性に優れている制輪子用焼結材を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、添付した図面に基づいて、この発明による鉄系焼結摩擦部材及びそれを用いた鉄道車両用制輪子並びにそれらの製造方法の実施例を説明する。図1は、この発明による鉄系焼結摩擦部材及びそれを用いた鉄道車両用制輪子の製造方法の一例を示す工程図である。図2は、この発明による鉄系焼結摩擦部材を製造する際に成形される予備成形体の概要を示す説明図である。図3は、図2に示された鉄系焼結摩擦部材を台金に組み付けて製造された鉄道車両用制輪子の側面図であり、図4は図3に示す鉄道車両用制輪子の平面図である。
【0022】
鉄系焼結摩擦部材の製造に先立って、原材料として平均粒径約160μmの還元鉄粉末と、平均粒径約85μmの鋳鉄粉末(FC250を粉砕、篩別した粉末)と、平均粒径約20μmのアルミニウム粉末と、平均粒径約190μmのマグネシア粉末と、平均粒径約12μmと平均粒径約1μmの2種類のアルミナ粉末と、平均粒径約170μmの天然黒鉛粉末と、平均粒径約240μmの人造黒鉛とが用意される。
【0023】
次に、上記の各原材料を秤量後に、相手材との摩擦係合に適合可能な摩擦層と成る材料粉末を混合・攪拌して得られる第1原材料層1と、及び鉄系焼結摩擦部材と鋳鉄粉を配合した中間層として、接着特性に優れた材料粉末を混合・攪拌して得られる第2原材料層2と、補強特性に優れた材料粉末を混合・攪拌して得られる第3原材料層としての補強層4aとが重ねられて、図1の予備成形工程(a)に示す予備成形機5の成形金型6内において、予備成形体7に成形される。これらの各原料層は、別々に攪拌らい潰機(石川工場製)を用いて、混合時の偏析を防ぐため混合物に4%メタノールを添加して各々混合することにより混合粉末として作製され、単一の成形金型6内に重ねた状態で予備形成される。
【0024】
第1層〜第3層の各層は、好ましくは、以下の材料をそれぞれの体積割合で混合・攪拌して得られている。即ち、第1層には、焼結して得られた摩擦層が相手材との間で優れた摩擦係合特性を示すために、平均粒径約160μmの還元鉄を33vol%、平均粒径約20μmのアルミニウムを3vol%、平均粒径約190μmのマグネシアを3vol%、平均粒径12μmのアルミナを7vol%、平均粒径1μmのアルミナを11vol%、平均粒径170μmの天然黒鉛を9vol%、平均粒径240μmの人造黒鉛を34vol%使用している。また、第2層には、平均粒径約85μmの鋳鉄を60vol%、平均粒径約20μmのアルミニウムを2vol%、平均粒径約190μmのマグネシアを2vol%、平均粒径12μmのアルミナを4vol%、平均粒径1μmのアルミナを7vol%、平均粒径170μmの天然黒鉛を5vol%、平均粒径240μmの人造黒鉛を20vol%使用している。更に、第3層には、平均粒径約160μmの還元鉄を100vol%使用している。
【0025】
上記のようにして成形された予備成形体7は、図1に示す加圧焼結工程(b)において、焼結炉8内で加圧焼結が施されて所定の焼結摩擦部材10に成形される。焼結摩擦部材10によれば、図2に示すように、第1原材料層1が焼結され、相手材と摩擦係合可能な摩擦材層と成る第1層11と、第2原材料層2を構成していた接着特性に優れた材料粉末が焼結されて成る第2層12と、第3原材料層4aを構成していた補強特性に優れた材料粉末が焼結されて成る第3層13とが、互いの隣り合う側で焼結により一体化されて成形される。第1層11が摩擦係合する相手材としては、制輪子の場合には、ブレーキディスクや鉄道車輪の踏面となるが、一般のブレーキの場合には、ブレーキドラムやディスクロータ等であってもよい。
【0026】
予備成形体7は、放電プラズマ焼結装置(住友石炭鉱業製、型式SPS−3.20MK−IV)を用い、圧力14MPa、昇温速度100℃/min、焼結温度1050℃の条件で焼結を行うことで焼結晶が得られる。焼結摩擦部材10は、鉄又は鉄合金を主成分としており、PRTR法指定化学物質を一切使用していないので、環境保護の点で優れている。また、摩擦材から成る第1層11が鉄系材料であり、且つ補強板と成っている第3層13は鉄系材料であるので、銅と鉄のような異種の金属を接合する際に必要とされるメッキ処理が不要であり、焼結によって一体化された焼結摩擦部材10が得られる。
【0027】
図1の溶接工程(c)に示すように、加圧焼結をして形成された二つの焼結摩擦部材10,10は、車輪の踏面に摩擦係合するように並べられて、台金14と溶接されて鉄系の鉄道車両用制輪子20として組付けられる。焼結摩擦部材10,10と台金14との溶接は、アーク溶接15で行われる。摩擦材である第1層11と中間層である第2層12と補強層(銅系焼結材の場合の補強板に相当)である第3層13とを一度の予備成形と加圧焼結により連続して作製が可能であり、製造工程を短縮し、製造コストを低減することができる。溶接が完了した鉄道車両用制輪子20が、図3及び図4に示されている。
【0028】
図1の焼結摩擦部材10,10と台金14との溶接をアーク溶接15に代えてプロジェクション溶接を用いることにより、溶接時間の短縮化を実現でき、製造コストの一層の低減に寄与することができる。プロジェクション溶接で溶接された鉄道車両用制輪子30の一例が図5〜図7に示されている。図5に示すように、焼結摩擦部材10aにおいて、補強板となっている第3層13の表面には、径φが8mm、高さHが2mmの突起16が複数個形成されている。図6及び図7に示すように、第3層13の突起16が形成されている表面側に台金14が押し当てられて、台金14と突起16とがプロジェクション溶接17されて、台金14が固定される。溶接条件は、電流が60A、圧力4トン、面積約400mm2である。
【0029】
図2の第2層12に使用する鉄系材料を純鉄に近い融点である還元鉄粉から炭素含有量が多く融点が純鉄よりも約200℃低い鋳鉄粉にする場合には、焼結材と補強板となる第3層13の密着性が向上する。表1に焼結材と補強板(第3層13)の剪断強度の比較を示す。
【表1】

表1の記載から、本発明である鉄系焼結摩擦部材は、従来の銅系焼結摩擦部材と比較して、剪断強度が向上していることが判る。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】この発明による鉄系焼結摩擦部材及びそれを用いた鉄系制輪子の製造方法の一例を示す工程図である。
【図2】この発明による鉄系焼結摩擦部材を製造する際に成形される予備成形体の概要を示す説明図である。
【図3】図2に示された鉄系焼結摩擦部材を台金に組み付けて製造された鉄道車両用制輪子の側面図である。
【図4】図3に示す鉄道車両用制輪子の平面図である。
【図5】この発明による鉄系焼結摩擦部材の別の例を示す斜視図である。
【図6】図5に示す鉄系焼結摩擦部材を用いた鉄道車両用制輪子の側面図である。
【図7】図6に示す鉄道車両用制輪子の平面図である。
【図8】銅系制輪子の製造方法の概略を示す工程図である。
【図9】従来の銅系焼結摩擦部材の一例を示す側面図である。
【図10】従来の銅系焼結摩擦部材の一例を示す側面図である。
【符号の説明】
【0031】
1 第1原材料層 2 第2原材料層
4a 第3原材料層
5 予備成形機 6 成形金型
7 予備成形体 8 焼結炉
10,10a 焼結摩擦部材 11 第1層
12 第2層 13 第3層
14 台金 15 アーク溶接
16 突起 17 プロジェクション溶接
20,30 鉄道車両用制輪子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄又は鉄合金を主成分とした複数の層から成る焼結摩擦部材において、
相手材との摩擦係合に適合可能な第1層と、接着特性に優れた第2層と、補強特性に優れた第3層とがこの順に積層されていることから成る焼結摩擦部材。
【請求項2】
前記第2層に含まれる前記鉄又は鉄合金は、前記第3層に含まれる前記鉄又は鉄合金の融点よりも低い融点を持つ鉄又は鉄合金を含むことから成る請求項1の焼結摩擦部材。
【請求項3】
前記第1層は、還元鉄、アルミニウム、アルミナ、マグネシア及び黒鉛を含むことから成る請求項1又は2に記載の焼結摩擦部材。
【請求項4】
前記第2層は、鋳鉄、アルミニウム、アルミナ、マグネシア及び黒鉛を含むことから成る請求項1又は2に記載の焼結摩擦部材。
【請求項5】
前記第3層は、還元鉄から成る請求項1又は2に記載の焼結摩擦部材。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の前記焼結摩擦部材が台金にプロジェクション溶接によって固定されて成る焼結制輪子。
【請求項7】
鉄又は鉄合金を主成分とした材料で複数の層を形成して成り、前記層は、相手材と摩擦係合可能な摩擦材を構成する材料を混合・攪拌して得られる第1原材料層と、接着特性に優れた材料を混合・攪拌して得られる第2原材料層と、補強特性に優れた材料を混合・攪拌して得られる第3原材料層とを単一の成形金型に当該層順に重ねた状態で予備成形し、当該予備成形体を加圧焼結して所定の焼結摩擦部材としたことから成る焼結摩擦部材の製造方法。
【請求項8】
前記加圧焼結は、放電プラズマ焼結又はホットプレスにより行われ、焼結後の相対密度が80%以上であることから成る請求項7に記載の焼結摩擦部材の製造方法。
【請求項9】
請求項7又は8で得られた前記焼結摩擦部材をプロジェクション溶接により台金に固定することから成る焼結制輪子の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−309368(P2007−309368A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−136887(P2006−136887)
【出願日】平成18年5月16日(2006.5.16)
【出願人】(000000516)曙ブレーキ工業株式会社 (621)
【Fターム(参考)】