説明

鉄道車両制御システム

【課題】簡素かつ省スペースでありながら高機能な車体制御を可能とする。
【解決手段】車体2と台車枠9とを備えた鉄道車両1に適用可能な鉄道車両制御システム100であって、車体2に設けられた上壁部21と、台車枠9に設けられた下壁部22と、上壁部21を下壁部22に対して弾性的に相対変位させる空気室24と、上壁部21に取り付けられて下壁部22のターゲット33を撮像して画像信号を出力するCCDカメラ31とを有する空気バネ装置10と、CCDカメラ31で撮像された画像を処理して上壁部21と下壁部22との間の相対水平変位量及び相対水平変位方向を算出する変位演算部51〜54と、変位演算部51〜54で算出された相対水平変位量及び相対水平変位方向と相対鉛直変位量との少なくとも一方に応じて車両制御を行う車両制御部55とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気バネ等のサスペンション装置を備えた鉄道車両の制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、車体と台車との間に空気バネを備えた鉄道車両には、車高を一定に維持するために空気バネへの圧縮空気の給排を制御するレベリングバルブ(自動高さ調節弁)が設けられている(例えば、特許文献1参照)。このレベリングバルブは、乗客の増減による車体の高さの変化がリンク機構を介して伝達されると、空気バネに対して圧縮空気を給排するように機械的に開閉し、その空気バネの伸縮により車高を自動的に調節する。しかしながら、空気バネは上下方向だけでなく前後左右にも変形しうるため、レベリングバルブにより高さを検知する方式は、簡素かつ正確に車高を測定することは難しく、複雑な機構が必要となる。
【0003】
これに対して、空気バネの高さを検出する高さセンサを設け、その高さセンサで検出された高さ情報に基づいて空気バネへの給排気を電気的に制御する技術が提案されている(例えば、特許文献2参照)。これによれば、簡素かつ正確に空気バネの高さ検出することができるため、高精度で安価な車高制御を実現することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−78877号公報
【特許文献2】特開平8−121521号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、車両走行時には、図11に示すように、車両長手方向(X方向)の軸線回りに車体201が揺動するローリングや、車両幅方向(Y方向)の軸線回りに車体201が揺動するピッチングや、鉛直方向(Z方向)の軸線回りに車体201が揺動するヨーイングが発生しうる。近年は、車高を一定に維持するだけでなく、ローリング、ピッチング、ヨーイング及び各種振動を低減したり、曲線通過時等において車体の傾斜を制御したりすることにより、走行性能を更に向上させ、乗客の乗り心地を向上させるために高機能な車体制御を行うことが望まれている。しかし、そのためには、ジャイロセンサ206や複数の加速度センサ207などを別途取り付けねばならず、コスト高となるとともに車載スペースを占有することにもなる。また、ジャイロセンサ207や加速度センサ206を用いて車体201の所定方向への変位を算出する場合には、複雑な演算も必要となる。
【0006】
これに対して、特許文献1に記載の車体支持用空気バネ装置は、排気用電磁弁を開閉する制御回路や空気回路を不要とし、過給気状態になると空気バネに内蔵された排気弁を機械的に開放するものであり、車両の前後左右を含む水平方向の変位を検出することについては開示されていない。
【0007】
また、特許文献2は、従来よりも簡易な構成で空気バネの高さを検知することができる空気バネが開示されているが、車両の水平方向の変動は検知することができず、走行状態に応じた高精度の車体制御を行うことは難しい。
【0008】
そこで本発明は、簡素かつ省スペースでありながら高機能な車体制御が可能な鉄道車両制御システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る鉄道車両制御システムは、車輪から車体までの支持構造において上側部材と下側部材とを弾性的に結合する機構を備えた鉄道車両に適用可能な鉄道車両制御システムであって、前記上側部材に設けられた上壁部と、前記下側部材に設けられた下壁部と、前記上壁部を前記下壁部に対して弾性的に相対変位させる弾性部と、前記上壁部及び前記下壁部のいずれか一方側に取り付けられて他方側のターゲットを撮像して画像信号を出力する撮像部とを有するサスペンション装置と、前記撮像部から出力された画像信号に基づいて、前記上壁部と前記下壁部との間の相対水平変位量及び相対水平変位方向と、前記上壁部と前記下壁部との間の相対鉛直変位量との少なくとも一方を算出する変位演算装置と、前記変位演算装置で算出された前記相対水平変位量及び前記相対水平変位方向と前記相対鉛直変位量との少なくとも一方に応じて車両制御を行う車両制御装置と、を備えている。
【0010】
前記構成によれば、サスペンション装置に撮像部を設け、ターゲットを撮像して出力された画像信号に基づいて相対水平変位量及び相対水平変位方向と相対鉛直変位量との少なくとも一方を算出することとしたので、簡素かつ省スペースでありながら高精度に相対水平変位量及び相対水平変位方向と相対鉛直変位量との少なくとも一方を検出することが可能となる。そして、サスペンション装置の上壁部と下壁部との間の相対水平変位量及び相対水平変位方向を算出すれば、鉄道車両のサスペンション装置を挟んだ上側部材と下側部材との間の相対水平変位量及び相対水平変位方向に応じて車体制御を行うことができ、車高のみによる制御に比べて高機能な車体制御が可能となる。
【発明の効果】
【0011】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、簡素かつ省スペースでありながら高精度に相対水平変位量及び相対水平変位方向を検出でき、高機能な車体制御が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1実施形態に係る鉄道車両を示す側面図である。
【図2】図1に示す鉄道車両の正面図である。
【図3】図2に示す鉄道車両の要部平面図である。
【図4】図3に示す鉄道車両の要部側面図である。
【図5】図2に示す鉄道車両の空気バネ装置の断面図である。
【図6】図5の要部拡大図である。
【図7】図5に示すターゲット板の平面図である。
【図8】図2に示す鉄道車両に搭載された制御システムのブロック図である。
【図9】車両の車体傾斜制御を説明する正面図である。
【図10】本発明の第2実施形態に係る鉄道車両の軸バネ装置を示す一部断面側面図である。
【図11】従来の鉄道車両の車体挙動を説明する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る実施形態を図面を参照して説明する。
【0014】
(第1実施形態)
図1は本発明の第1実施形態に係る鉄道車両1を示す側面図である。図2は図1に示す鉄道車両1の正面図である。図3は図2に示す鉄道車両1の要部平面図である。図4は図3に示す鉄道車両1の要部側面図である。なお本実施形態では、車両長手方向をX方向とし、車両幅方向をY方向とし、鉛直方向をZ方向とする。図1乃至4に示すように、鉄道車両1は、内部に乗客が搭乗する客室4が形成された車体2と、その車体2を支持する前後一対の台車3とを備えている。台車3は、前後左右の各4つの車輪5と、左右の車輪5を連結する車軸6と、車軸6の両端を回転自在に支持する軸受が内蔵された軸箱7と、牽引装置11(中心ピン)を介して車体2と接続された台車枠9と、軸箱7と台車枠9とを弾性的に結合する一次サスペンション装置である前後左右の各4つの軸バネ8と、台車枠9と車体2とを弾性的に結合する二次サスペンション装置である左右一対の空気バネ装置10とを備えている。即ち、本実施形態における車輪5から車体2までの支持構造は、車輪5、車軸6、軸箱7、軸バネ8、台車枠9、空気バネ装置10及び車体2により構成されている。なお、本例の空気バネ装置10は、1つの台車3につき左右一対設けられているため、1つの車体2につき前後左右の計4つ設けられている。
【0015】
図2に示すように、車体2には車体側ブラケット12が設けられ、台車枠9には台車側ブラケット13が設けられ、各ブラケット12,13の間に車両幅方向アクチュエータ14が車両幅方向運動制御部として介設されている。車両幅方向アクチュエータ14は、車両幅方向に水平直進運動を発生させる電気式、油圧式又は空気圧式のアクチュエータからなり、車体2を台車枠9に対して水平方向に相対移動させることができる。なお、各ブラケット12,13の間には、それらの相対運動に減衰作用を付与するダンパも設けてもよいし、ダンパの減衰力を制御可能な制御付きダンパを設けてもよい。
【0016】
また、図3及び図4に示すように、台車枠9の左右両側に台車側ブラケット15が設けられ、車体2には車体側ブラケット16が設けられ、台車枠9の左右両側において各ブラケット15,16間に車両長手方向アクチュエータ17が車両長手方向運動制御部として介設される。車両長手方向アクチュエータ17は、車両長手方向に水平直進運動を発生させる電気式、油圧式又は空気圧式のアクチュエータからなり、車体2を台車枠9に対して車体長手方向に相対移動又は水平方向に回転させることができる。なお、各ブラケット15,16の間には、それらの相対運動に減衰作用を付与するダンパも設けてもよいし、ダンパの減衰力を制御可能な制御付きダンパを設けてもよい。
【0017】
また、図4に示すように、軸箱7と台車枠9との間には、軸バネ8に平行して鉛直方向の減衰力を発生するダンパ18が介設されている。なお、このダンパ18の代わりに、減衰力を制御可能な制御付きダンパを設けてもよいし、鉛直方向運動制御部として鉛直方向アクチュエータを設けてもよい。
【0018】
図5は図2に示す鉄道車両1の空気バネ装置10の断面図である。図6は図5の要部拡大図である。図5及び6に示すように、空気バネ装置10は、車体2に一体的に接続される上壁部21と、台車枠9に一体的に接続される下壁部22と、上壁部21の周端部と下壁部22の周端部とを気密的に連結して内部に空気室24を形成する筒状可撓性膜23と、下壁部22を支持する円筒状のゴム積層体25と、ゴム積層体25の下端に設けられたストッパープレート26とを備えている。上壁部21の中央部には、給気弁57及び排気弁58(図7参照)を空気室24に連通させる給排口29が設けられている。下壁部22及びストッパープレート26の中央部には、空気室24と補助空気室D(図2参照)とを連通させる連通口27,28が設けられている。
【0019】
前記構成の空気バネ装置10では、空気室24が上壁部21を下壁部22に対して弾性的に相対変位させる弾性部となる。また、給排口29から圧縮空気を空気室24に給気することで、上壁部21と下壁部22との間の距離(即ち、高さ)が大きくなり、給排口29から空気室24内の圧縮空気を排気することで、上壁部21と下壁部22との間の距離(即ち、高さ)が小さくなる。また、空気室24と補助空気室Dとの間に可変絞り弁19(図2参照)を設け、空気バネ装置10自体を可変ダンパとして機能させることも可能である。
【0020】
さらに、空気バネ装置10には、二組のCCDカメラ31,32,31’,32’及び2つのLED34,35が設けられている。なお、CCDカメラ31,32,31’,32’を二組設けたのは、どちらか一組のCCDカメラが故障したときに備えるためであり、CCDカメラ31,32を一組だけ設けてもよい。以下では、1組のCCDカメラ31,32及び1つのLED34について代表して説明する。上壁部21には、カメラ室38を形成するカメラ収容ケース37が設けられている。カメラ室38は上壁部21の下面よりも上方に形成されている。カメラ室38の壁面には一組の小型のCCDカメラ31,32が固定されており、CCDカメラ31,32は下方を撮影するように配置されている。なお、これら2つのCCDカメラ31,32は、空気バネ装置10の円周方向でも半径方向でも、互いに距離をあけて配置されていればよい。
【0021】
このCCDカメラ31,32は、1秒当たり複数コマ(例えば、1秒当たり60コマ)の静止画を撮影することで動画を撮影することが可能な市販のものである。上壁部21には、CCDカメラ31,32の撮影範囲を遮らないように平面視円形状の開口H1が形成されている。上壁部21の開口H1を規定する周縁21aは、空気室24側の径が大きくなるような段差を有している。上壁部21の周縁21aには、開口H1を塞ぐように透明板36が嵌合固定されている。透明板36の周縁36aは、上壁部21の周縁21aに合致するように空気室24側の径が大きくなるような段差を有している。この透明板36によりカメラ31と空気室24との間が仕切られる。なお、上壁部21及び透明板36の周縁21a,36aは空気室24側の径が大きくなるような段差を有しているので、空気室24が高圧でも透明板36が外れることがない。なお、本実施の形態では、CCDセンサを用いた例を示しているが、CMOSセンサを用いたカメラ等、種々の撮像装置を適用してもよい。
【0022】
下壁部22には、光源室42を形成する光源収容ケース41が設けられている。光源42は下壁部22の上面よりも下方に形成されている。光源室42の壁面には光源としてLED34が固定されており、LED34は上方を照らすように配置されている。下壁部22には、LED34からの光を上方に透過させるように平面視円形状の開口H2が形成されている。下壁部22の開口H2を規定する周縁22aは、空気室24側の径が大きくなるような段差を有している。下壁部22の周縁22aには、開口H2を塞ぐように透明板40が嵌合固定されている。
【0023】
透明板40の周縁40aは、下壁部22の周縁22aに合致するように空気室24側の径が大きくなるような段差を有している。この透明板40によりLED34と空気室24との間が仕切られる。下壁部22及び透明板40の上面には、撮像用のターゲット板33が固定されている。ターゲット板33は、下壁部22の中央部の連通口28を覆うように配置されており、ターゲット板33の中央部には、連通口28と連通する連通口33bが形成されている。即ち、空気室24は、連通口27,28,33aを介して補助空気室D(図2参照)と連通している。
【0024】
図7は図5に示すターゲット板33の平面図である。図7に示すように、本例では、ターゲット板33は、その表面のうち一組のCCDカメラ31,32の撮影範囲にある部分にターゲット33cとして幾何学模様を部分的に形成し、他の一組のCCDカメラ31’,32’の撮影範囲にある部分にターゲット33dとして幾何学模様を部分的に形成したものである。具体的には、ターゲット板33は、四隅33ca,33cb,33cc,33cd及び33da,33db,33dc,33ddが識別可能な形状で且つ光が透過可能な光透過部をターゲット33c,33dとし、その光透過部33c,33d以外の部分は光が透過しない遮光部33eとしている(図7の黒色部分が光透過部33c,33dである。)。なお、ターゲットは、CCDカメラ31により撮影された画像で四隅が識別できる形状や模様等であれば、特に限定されるものではない。
【0025】
このように、ターゲット33c,33dの形状を四隅33ca〜cd,33da〜ddが識別できるものとすることで、CCDカメラ31,32,31’,32’により撮影された画像から、水平相対変位量・鉛直相対変位量・相対回転角・相対傾斜角などを検知することが可能となる。また、空気バネ装置10の内部の空気室24は暗闇であるが、反射光でなく透過光によりターゲット33c,33dの形状を識別可能にすることで、CCDカメラ31,32,31’,32’が他のものをターゲットと誤認することも防止される。
【0026】
以下では、また1組のCCDカメラ31,32及び1つのLED34について代表して説明する。前記した空気バネ装置10では、LED34からの光が透明板40を透過してターゲット板33に伝播し、光透過部であるターゲット33cの形状が識別可能となるので、CCDカメラ31,32は、閉空間である空気室24を介してターゲット板33の表面に現れるターゲット33cを遮光部33eに対して識別可能に撮影することができる。
【0027】
また、空気バネ装置10が水平方向変位していない状態において、CCDカメラ31,32は、ターゲット33cの中心を画像中心付近に配置するようにターゲット33c全体を撮像するよう設定されている。しかも、CCDカメラ31,32は、空気バネ装置10の通常使用中に上壁部21と下壁部22とが設計上最も近づいた状態でターゲット33c全体が各カメラ31,32の撮像範囲内に収まるように設定されている。なお、空気バネ装置10の空気室24から空気が抜かれたパンク状態では、ターゲット33c全体が各カメラ31,32の撮像範囲内に収まらなくてもよい。また、ターゲット板33は必ずしもなくてもよく、透明板40の形状そのものや透明板40に直にターゲットを形成してもよい。
【0028】
図8は図2に示す鉄道車両1に搭載された制御システム100のブロック図である。図8に示すように、鉄道車両制御システム100は、車体2の前側の台車3の左側に設けられた左前空気バネ装置10LFと、車体2の前側の台車3の右側に設けられた右前空気バネ装置10RFと、車体2の後側の台車3の左側に設けられた左後空気バネ装置10LRと、車体2の後側の台車3の右側に設けられた右後空気バネ装置10RRとを備えている。 これら空気バネ装置10LF,10RF,10RF,10RRは、車体2を台車枠9に対して鉛直方向に相対移動させることが可能な鉛直アクチュエータ(鉛直方向運動制御部)の役目も果たす。
【0029】
各空気バネ装置10LF,10RF,10LR,10RRには、コンプレッサ56からの圧縮空気を空気室24に供給するための給気通路を開閉する給気弁57LF,57RF,57LR,57RRがそれぞれ設けられている。また、各空気バネ装置10LF,10RF,10LR,10RRには、空気室24内の空気を外部に排出するための排気通路を開閉する排気弁58LF,58RF,58LR,58RRがそれぞれ設けられている。
【0030】
また、前側の台車3に設けられた車両幅方向アクチュエータ14を前側車両幅方向アクチュエータ14Fとし、後側の台車3に設けられた車両幅方向アクチュエータ14を後側車両幅方向アクチュエータ14Rとする。また、前側の台車3の左右両側に設けられた車両長手方向アクチュエータ17をそれぞれ左前車両長手方向アクチュエータ14LF及び右前車両長手方向アクチュエータ14RFとし、後側の台車3の左右両側に設けられた車両長手方向アクチュエータ17をそれぞれ左後前車両長手方向アクチュエータ14RF及び右後車両長手方向アクチュエータ14RRとする。
【0031】
鉄道車両制御システム100は、左前空気バネ装置10LFに設けられた第1及び第2左前CCDカメラ31LF,32LFと、右前空気バネ装置10RFに設けられた第1及び第2右前CCDカメラ31RF,32RFと、左後空気バネ装置10LRに設けられた第1及び第2左後CCDカメラ31LR,32LRと、右後空気バネ装置10RRに設けられた第1及び第2右後CCDカメラ31RR,32RRとを備えている。これらのCCDカメラ31LF,32LF,31RF,32RF,31LR,32LR,31RR,32RRは、コントローラ50に接続されている。また、本システム100は、加速度センサやジャイロセンサを備えていない。なお、図8では、図5及び6で示した一組のCCDカメラ31,32について代表して説明しており、別の一組のCCDカメラ31’,32’については説明を省略する。
【0032】
コントローラ50は、左前変位演算部51、右前変位演算部52、左後変位演算部53、右後変位演算部54及び車両制御部55を備えている。左前変位演算部51は、第1及び第2左前CCDカメラ31LF,32LFで撮影された画像を時系列的に処理し、左前空気バネ装置10LFにおける上壁部21と下壁部22との間の相対水平変位量及び相対水平変位方向を算出すると共に、上壁部21と下壁部22との間の相対鉛直変位量を算出する。右前変位演算部52は、第1及び第2左前CCDカメラ31RF,32RFで撮影された画像を時系列的に処理し、右前空気バネ装置10RFにおける上壁部21と下壁部22との間の相対水平変位量及び相対水平変位方向を算出すると共に、上壁部21と下壁部22との間の相対鉛直変位量を算出する。
【0033】
左後変位演算部53は、第1及び第2左前CCDカメラ31LR,32LRで撮影された画像を時系列的に処理し、左後空気バネ装置10LRにおける上壁部21と下壁部22との間の相対水平変位量及び相対水平変位方向を算出すると共に、上壁部21と下壁部22との間の相対鉛直変位量を算出する。右後変位演算部54は、第1及び第2左前CCDカメラ31RR,32RRで撮影された画像を時系列的に処理し、右後空気バネ装置10RRにおける上壁部21と下壁部22との間の相対水平変位量及び相対水平変位方向を算出すると共に、上壁部21と下壁部22との間の相対鉛直変位量を算出する。なお、相対水平変位方向は、上壁部21と下壁部22とが相対的に水平変位した時に、上壁部21及び下壁部22のうち何れか一方が他方に対して相対的に変位する方向を水平面上における360°の角度範囲のうちの1つの角度として特定することで求めるとよい。
【0034】
具体的には、各変位演算部51〜54は、2つのCCDカメラ31,32で撮影された画像上のターゲット33cの画像内における基準位置、移動量及び移動方向と、実際の上壁部21と下壁部22との間の相対基準位置、相対変位量及び相対変位方向との相関関係をメモリに予め記憶している。そして、各変位演算部51〜54は、2つのCCDカメラ31,32で所定のサンプリングレート(1秒当たり60コマ)で撮影された画像を三次元的に処理して前記相関関係を参照することで、上壁部21に対する下壁部22の実際の相対水平変位量、相対変位方向及び相対鉛直変位量を算出する。
【0035】
なお、各変位演算部51〜54は、2つのCCDカメラ31,32からの画像を処理して変位量及び変位方向を算出しているが、1つのCCDカメラからの画像を処理して変位量及び変位方向を算出してもよい。その場合には、撮像された画像上のターゲットの大きさの変化から相対鉛直変位量を求めるとよく、また、ターゲットを球状にすれば水平変位量の演算が複雑になるのが軽減される。なお、空気バネの上壁と下壁との距離が小さく、かつ相対水平変位量が大きい場合には、広角系のレンズを用いても良い。ただし、広角系レンズで撮像した場合は、画像周辺の歪みが生じるため、公知のソフトウェア等を用いて歪み補正を行なう必要がある。また、図7では、ターゲットの形状の一例を示したが、これに限られない。また、一組のCCDカメラ31,32からの画像を処理して算出される変位量及び変位方向と、他の一組のCCDカメラ31’,32’からの画像を処理して算出される変位量及び変位方向とが、所定の誤差範囲を超えて相違する場合には、コントローラ50はエラー発生であると判定してもよい。
【0036】
車両制御部55は、各変位演算部51〜54で算出された相対水平変位量、相対水平変位方向及び相対鉛直変位量に基づいて、空気バネ装置10LF,10RF,10LR,10RRの給排気を制御すると共に、車両幅方向アクチュエータ14F,14Rや車両長手方向アクチュエータ17LF,17RF,17LR,17RRの各々の駆動を制御する。
【0037】
例えば、車両制御部55は、各変位演算部51〜54で算出された相対水平変位量及び相対水平変位方向からZ軸回りに回転運動するヨーイングが発生したことを検知すると、そのヨーイングを所定の適正状態にすべく、車両幅方向アクチュエータ14F,14Rや車両長手方向アクチュエータ17LF,17RF,17LR,17RRをそれぞれ制御する(ヨーイング制御)。
【0038】
また、車両制御部55は、各変位演算部51〜54で算出された相対水平変位量及び相対水平変位方向から水平方向の振動が発生したことを検知すると、その振動を所定の適正状態にすべく、車両幅方向アクチュエータ14F,14Rや車両長手方向アクチュエータ17LF,17RF,17LR,17RRをそれぞれ制御する(制振制御)。さらに、車両制御部55は、各変位演算部51〜54で算出された相対鉛直変位量から鉛直方向の振動が発生したことを検知すると、その振動を所定の適正状態にすべく、給気弁57LF,57RF,57LR,57RR及び排気弁58LF,58RF,58LR,58RRをそれぞれ制御する(制振制御)。
【0039】
また、車両制御部55は、各変位演算部51〜54で算出された相対鉛直変位量からX軸回りに回転運動するローリングが発生したことを検知すると、そのローリングを所定の適正状態にすべく、給気弁57LF,57RF,57LR,57RR及び排気弁58LF,58RF,58LR,58RRをそれぞれ制御する(ローリング制御)。また、車両制御部55は、各変位演算部51〜54で算出された相対鉛直変位量からY軸回りに回転運動するピッチングが発生したことを検知すると、そのピッチングを所定の適正状態にすべく、給気弁57LF,57RF,57LR,57RR及び排気弁58LF,58RF,58LR,58RRをそれぞれ制御する(ピッチング制御)。
【0040】
また、車両制御部55は、空気バネを用いた車体傾斜制御装置として機能してもよい。例えば、図9に示すように、車両が曲線を走行する際に、左右の空気バネ高さを変化させ、車両を曲線内方に傾斜させることにより、カント不足による曲線外方への加速度を低減することができる。即ち、車両制御部55は、実際の車体傾斜角度が、走行速度と線路のカーブとレールのカント不足量とから演算した目標傾斜角度となるように、変位演算部51〜54で算出された相対鉛直変位量に基づいて給気弁57LF,57RF,57LR,57RRと排気弁58LF,58RF,58LR,58RRとを制御するとよい。
【0041】
以上に説明した構成によれば、空気バネ装置10にCCDカメラ31,32を設け、ターゲット板33を撮影した画像を処理して相対水平変位量、相対水平変位方向及び相対鉛直変位量を算出することとしたので、簡素かつ省スペースでありながら高精度に相対水平変位量、相対水平変位方向及び相対鉛直変位量を検出することが可能となる。そして、空気バネ装置10の上壁部21と下壁部22との間の相対水平変位量及び相対水平変位方向を算出するので、空気バネ装置10を挟んだ車体2と台車枠9との間の相対水平変位量及び相対水平変位方向に応じて車体制御を行うことができ、車高のみによる制御に比べて高機能な車体制御が可能となる。また、CCDカメラ31,32及びターゲット板33は、空気バネ装置10の内部に組み込まれて外界と遮断されているので、汚れの付着や物が当たること等も抑制されてメンテナンスの必要性も軽減できる。また、CCDカメラ31,32で微少時間ごとに撮影した静止画を時系列的に処理することで高周波の微小変位を検知することができ、高精度な制御を行うことができる。
【0042】
また従来は、ローリング/ピッチング/ヨーイング検知を行うためには、車体の前後左右に、上下/左右/前後方向の加速度を検知するための加速度センサを用いるか、車体中央部に上下/左右/前後方向の回転を検知するジャイロセンサを用いる必要があったのに対し、本実施形態の構成であれば、車体2と台車3との間の相対移動量を直接的に計測できるので、加速度センサやジャイロセンサを使うことなく、ローリング/ピッチング/ヨーイングを検知することが可能となる。そして、加速度センサを用いて、ローリング/ピッチング/ヨーイング方向の車体の相対変位量を求める場合は加速度の2回積分を用いる必要があるが、本システム100の方式の場合は、直接的に車体の相対変位量が検知できるため、処理速度が大幅に向上し、高速の制御が可能となるという顕著な効果を奏する。
【0043】
また、ローリング/ピッチング/ヨーイングである振動を含めて相対変位量を直接的に高速で検知が可能となるため、車体2と台車3との間において前後/左右/上下方向に設けたアクチュエータ10,14,17によるアクティブダンパ制御や制御絞り弁付ダンパによるパッシブダンパ制御を実施することにより、より高度な上下振動を低減して乗り心地を向上させることも可能となる。
【0044】
また、本システム100の場合、ローリング/ピッチング/ヨーイングだけでなく、車体2と台車3との間の単純な前後動、曲線区間におけるカーブの外側への単純な水平移動、及び、車体2が上下に振動するダンピング、などが発生した場合でも、直接的に相対変位量を計測できるため、車体2と台車3との間にアクティブダンパやパッシブダンパを用いて車体振動を抑制することにより、乗客の乗り心地を改善することもできる。
【0045】
また、車両制御部55を車体傾斜制御装置として用いた場合には、左右方向の加速度センサやジャイロセンサを用いて車両の傾斜角度を演算する場合と比較して、直接的な検知により傾斜角度を高速で判別できるため、遅滞なく目標とする車体傾斜角度を検出することが可能となる。
【0046】
(第2実施形態)
図10は本発明の第2実施形態に係る鉄道車両の軸バネ装置60を示す一部断面側面図である。なお、第1実施形態と共通する構成については同一符号を付して説明を省略する。図11に示すように、本実施形態では、台車枠9と軸箱7とを弾性的に結合する一次サスペンション装置である軸バネ装置60に一組のCCDカメラ68,69、ターゲット板66及びLED65が設けられている。軸バネ装置60は、軸はり式であり、台車枠9(の側梁)と軸箱7との間に介設されたコイルバネ8を有している。コイルバネ8の側方には、台車枠9に設けられたブラケット9bと、軸箱7に設けられたブラケット7aとがダンパ67で繋がれている。
【0047】
台車枠9は、コイルバネ8を上方から覆う逆断面凹形状のカバー部9aを有している。カバー部9aは、コイルバネ8の上方に配置されて中央開口9eが形成された天井部9cと、天井部9cの周端部から下方に突出してコイルバネ8の側方を隠す円筒部9dとを有している。天井部9cの下面には、コイルバネ8の上端を支持する円環状の台座である上壁部61が設けられている。上側台座61の中央開口61aには、封止部材62が上方から取り付けられている。この封止部材62の下面には、第1実施形態と同様の構成であるCCDカメラ68,69が下方を撮影するように固定されている。
【0048】
軸箱7の上面には、コイルバネ8の下端を支持する台座である下壁部64が設けられている。下壁部64は、その中央にコイルバネ8で囲まれた空間内で上方に向けて突出した突出部64aを有しており、その突出部64aには上下に貫通する貫通空間64bが形成されている。突出部64aの円環状の上端面には、光透過性を有する導光板の表面に幾何学模様を付したターゲット板66が固定されている。そして、貫通空間64bには、ターゲット板66を下方から照らすようにLED65が設けられている。CCDカメラ68,69及びターゲット板66は、上壁部61、封止部材62、コイルバネ8及び下壁部64で囲まれた空間内に配置されており、かつ、カバー部9aの下端よりも上方に位置している。
【0049】
空気バネ装置10における相対鉛直変位量と軸バネ装置60における相対鉛直変位量との両方を算出することで、車輪5から車体2までの高さを求め、車体制御部55により車高制御を実施するとよい。また例えば、コントローラ50は、空気バネ装置10の振動と軸バネ装置60の振動との間の相互作用を把握する等して車体制御を行ってもよい。
【0050】
なお、コイルバネには外部から塵や水滴等が侵入するため、CCDカメラやLEDに汚れが付着する場合がある。そこで、コイルバネ上に塵除けを設けたり、台車の上下動の運動を利用して塵を吹き飛ばすブロワー等を設けたりしてもよい。
【0051】
以上に説明した構成によれば、CCDカメラ68,69により、軸バネ装置60の上壁部61と下壁部64との間の相対鉛直変位方向を簡単に算出して、高度な車両制御に利用することができる。また、軸バネ装置60にCCDカメラ68,69を設け、ターゲット板66を撮影した画像を処理することとしたので、簡素かつ省スペースでありながら高精度に相対鉛直変位方向を検出することが可能となる。また、CCDカメラ68,69及びターゲット板66は、軸バネ装置60の内部に組み込まれているので、汚れの付着や物が当たること等も抑制されてメンテナンスの必要性も軽減できる。
【0052】
また、空気バネ装置10における相対鉛直変位量と軸バネ装置60における相対鉛直変位量との両方を算出し、その両方の値を車体高さ制御に利用することで、制御の高精度化を図ることができる。つまり、従前は空気バネ高さの検知のみが実施されていたが、本システムによれば、一次サスペンションである軸バネ装置60の高さ(台車枠9の軸箱7に対する高さ)と、二次サスペンションである空気バネ装置10の高さ(車体2の台車枠9に対する高さ)との両方を同時に高速で検知することが可能であり、1次サスペンションである軸バネ装置60の高さ変化も加味することで、バネ系全体の高さ調整を実現でき、今までにない高精度な車高制御を行うことが可能となる。
【0053】
また、軸バネ装置60の高さと空気バネ装置10の高さとの両方を同時に検出して、台車バネ系の高さ全体(空気バネ高さ+軸バネ高さ)を検知することで、車体制御部55を車体傾斜制御装置として用いた場合に、高速かつ精度の高い空気バネ式の車体傾斜制御が可能となる。
【0054】
また、従来の鉄道車両では、車高の制御は、空気バネ高さの変化のみを検知して空気バネの内圧を調整していたが、本実施の形態に係る構成により、空気バネ高さだけでなく、軸バネ高さも検知することができる。これにより、鉄道会社や地域によって生じる車体の客室の床とホームとの間のギャップに対して、また、同一鉄道会社・地域間で異なるギャップが生じることがあっても、ギャップを無くすように高精度に制御することができ、バリアフリー対策として非常に有効である。
【0055】
なお、本発明は前述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲でその構成を変更、追加、又は削除することができる。前記各実施形態は互いに任意に組み合わせてもよく、例えば1つの実施形態中の一部の構成又は方法を他の実施形態に適用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0056】
以上のように、本発明に係る鉄道車両制御システムは、簡素かつ省スペースでありながら高精度に相対水平変位量を検出し、高機能な車体制御が可能となる優れた効果を有し、この効果の意義を発揮できる鉄道車両に広く適用すると有益である。
【符号の説明】
【0057】
1 鉄道車両
2 車体
3 台車
10 空気バネ装置
14 水平アクチュエータ
21,61 上壁部
22,64 下壁部
23 筒状可撓性膜
24 空気室
31,32,68,69 CCDカメラ
33,66 ターゲット板
34 LED
36 透明板
50 コントローラ
51〜54 変位演算部
55 車両制御部
60 軸バネ装置
100 鉄道車両制御システム


【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輪から車体までの支持構造において上側部材と下側部材とを弾性的に結合する機構を備えた鉄道車両に適用可能な鉄道車両制御システムであって、
前記上側部材に設けられた上壁部と、前記下側部材に設けられた下壁部と、前記上壁部を前記下壁部に対して弾性的に相対変位させる弾性部と、前記上壁部及び前記下壁部のいずれか一方側に取り付けられて他方側のターゲットを撮像して画像信号を出力する撮像部とを有するサスペンション装置と、
前記撮像部から出力された画像信号に基づいて、前記上壁部と前記下壁部との間の相対水平変位量及び相対水平変位方向と、前記上壁部と前記下壁部との間の相対鉛直変位量との少なくとも一方を算出する変位演算装置と、
前記変位演算装置で算出された前記相対水平変位量及び前記相対水平変位方向と前記相対鉛直変位量との少なくとも一方に応じて車両制御を行う車両制御装置と、を備えている、鉄道車両制御システム。
【請求項2】
前記上側部材は車体であり、前記下側部材は台車枠であり、
前記サスペンション装置は、前記台車枠に対して前記車体を弾性的に支持し、前記上壁部と前記下壁部とで挟まれる前記弾性部としての空気室を有する空気バネ装置であり、
前記撮像部は、前記空気室を通して前記ターゲットを撮像可能に配置されている、請求項1に記載の鉄道車両制御システム。
【請求項3】
前記空気バネ装置は、前記カメラと前記空気室との間を仕切る透明板を有している、請求項2に記載の鉄道車両制御システム。
【請求項4】
前記空気バネ装置は、前記ターゲットに光を照射可能な光源を有している、請求項2又は3に記載の鉄道車両制御システム。
【請求項5】
前記上側部材の前記下側部材に対する車両幅方向の運動を調整可能な車両幅方向運動制御部をさらに備え、
前記サスペンション装置は、前記上側部材に対して前後左右に夫々配置されており、
前記変位演算装置は、前後左右の前記サスペンション装置の夫々の前記撮像部から出力された画像信号に基づいて夫々の相対水平変位量及び相対水平変位方向を算出し、
前記車両制御装置は、夫々の前記相対水平変位量及び相対水平変位方向に応じて前記車両幅方向運動制御部を制御する、請求項1乃至4のいずれかに記載の鉄道車両制御システム。
【請求項6】
前記車両幅方向運動制御部は、アクチュエータ又は減衰力を制御可能なダンパである、請求項5に記載の鉄道車両制御システム。
【請求項7】
前記上側部材の前記下側部材に対する車両長手方向の運動を調整可能な車両長手方向運動制御部をさらに備え、
前記サスペンション装置は、前記上側部材に対して前後左右に夫々配置されており、
前記変位演算装置は、前後左右の前記サスペンション装置の夫々の前記撮像部から出力された画像信号に基づいて夫々の相対水平変位量及び相対水平変位方向を算出し、
前記車両制御装置は、夫々の前記相対水平変位量及び相対水平変位方向に応じて前記車両幅方向運動制御部を制御する、請求項1乃至6のいずれかに記載の鉄道車両制御システム。
【請求項8】
前記車両長手方向運動制御部は、アクチュエータ又は減衰力を制御可能なダンパである、請求項7に記載の鉄道車両制御システム。
【請求項9】
前記上側部材の前記下側部材に対する鉛直方向運動を調整可能な鉛直方向運動制御部をさらに備え、
前記サスペンション装置は、前記上側部材に対して前後左右に夫々配置されており、
前記変位演算装置は、前後左右の前記サスペンション装置の夫々の前記撮像部から出力された画像信号に基づいて夫々の相対鉛直変位量を算出し、
前記車両制御装置は、夫々の前記相対鉛直変位量に応じて前記鉛直方向運動制御部を制御する、請求項1乃至8のいずれかに記載の鉄道車両制御システム。
【請求項10】
車輪を回転自在に支持する軸受を含む軸箱と、前記車輪から車体までの支持構造において台車枠と前記軸受とを弾性的に結合する機構を備えた鉄道車両に適用可能な鉄道車両制御システムであって、
前記台車枠に設けられた上壁部と、前記軸箱に設けられた下壁部と、前記上壁部を前記下壁部に対して弾性的に相対変位させる軸バネ装置と、前記上壁部及び前記下壁部のいずれか一方側に取り付けられて他方側のターゲットを、前記軸バネ装置内部を通して撮像し、画像信号を出力する撮像部とを有するサスペンション装置と、
前記撮像部から出力された画像信号に基づいて前記上壁部と前記下壁部との間の相対鉛直変位量及び相対鉛直変位方向を算出する変位演算装置と、
前記変位演算装置で算出された前記相対鉛直変位量及び相対鉛直変位方向に応じて車両制御を行う車両制御装置と、を備えている、鉄道車両制御システム。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2012−192820(P2012−192820A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−57744(P2011−57744)
【出願日】平成23年3月16日(2011.3.16)
【出願人】(000000974)川崎重工業株式会社 (1,710)
【Fターム(参考)】