説明

鍛造成形装置および鍛造成形方法

【課題】成形圧力の増加を抑制しつつ薄肉部に生じる欠肉を解消するに好適な鍛造成形装置および鍛造成形方法を提供する。
【解決手段】棒状素材に押出し成形を施すことにより、外周に製品外形より外方に膨出する膨出部16を備えたカップ状の粗成形体W3を得る粗成形工程と、製品外形と同等の形状を備えたダイ23に前記粗成形体W3を係合させて粗成形体W3の膨出部16を製品外形に沿わせてしごき成形するしごき成形工程と、前記しごき成形された成形体W3に製品外形と同等の形状を備えたダイ23を用いて押出し成形を施すことにより、カップ状の仕上げ成形体W4を得る仕上げ成形工程と、を有するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、厚肉部と薄肉部とで形成されるカップ状部品の鍛造成形装置および鍛造成形方法に関し、特に、カップ部に連ねて軸部を一体的に備える等速ジョイントに好適な鍛造成形装置および鍛造成形方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から継手本体部を構成するカップ部と軸部とが一体となった等速ジョイントを自動搬送装置を備えた多工程鍛造成形装置により製造する鍛造成形装置が提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
これは、軸部とカップ部の同軸精度を有効に確保するために、成形ポンチを型部材の孔内に挿入し、前記型部材の第1成形部によって軸部にしごき成形を施すと同時に、前記カップ部の内径を拘束した状態で、前記型部材の第2成形部によりカップ部の外径部分に対してしごき成形が施されるようにしている。
【特許文献1】特開2000−117385号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、等速ジョイントを構成するカップ部は、例えば、トリポート型等速ジョイントにおいては、スパイダに取付けられるローラが転動するトラック溝形成のために薄肉となる薄肉部が厚肉部と円周方向に交互に配置されることになり、成形ポンチによる押出し成形のみでは、薄肉部での肉上がりが悪く、薄肉部に欠肉状態が生じやすいという課題があった。上記課題は、成形ポンチによる押出し荷重を高めることにより解決することもできるが、高い成形圧力に対する金型の破損が早期に発生するという問題があった。
【0005】
そこで本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、成形圧力の増加を抑制しつつ薄肉部に生じる欠肉を解消するに好適な鍛造成形装置および鍛造成形方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の鍛造成形装置および鍛造成形方法では、棒状素材に押出し成形を施すことにより、外周に製品外形より外方に膨出する膨出部を備えたカップ状の粗成形体を得る粗成形工程と、製品外形と同等の形状を備えたダイに前記粗成形体を係合させて粗成形体の膨出部を製品外形に沿わせてしごき成形するしごき成形工程と、前記しごき成形された成形体に製品外形と同等の形状を備えたダイを用いて押出し成形を施すことにより、カップ状の仕上げ成形体を得る仕上げ成形工程と、を有するようにした。
【発明の効果】
【0007】
したがって、本発明では、外周に製品外形より外方に膨出する膨出部を備えたカップ状の粗成形体を形成し、製品外形と同等の形状を備えたダイに前記粗成形体を係合させて粗成形体の膨出部を製品外形に沿わせてしごき成形し、引続き押出し成形を施してカップ状の仕上げ成形体を得るようにしているため、欠肉する部位に前記膨出部を設けることで、意図した形状精度を満足する製品を安定的に生産することができる。しかも、しごき成形により膨出部を長手方向に伸ばすものであるため、成形圧力を増加させて押出し成形する必要が無く、金型寿命の大幅な向上を達成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の鍛造成形装置および鍛造成形方法の一実施形態を図1〜図8に基づいて説明する。図1は本発明を適用するトリポート型等速ジョイントの成形過程を説明する説明図、図2はトリポート型等速ジョイントの一成形工程に用いる成形金型の断面図、図3は図2に続く成形工程に用いる成形金型の断面図、図4は図2に示す成形金型による成形状態を示す断面図、図5は図4に示す成形工程により得られる中間成形品の平面図および断面図、図6は図3に示す成形金型に図5の中間成形品を投入した説明図、図7は図6に続く成形状態を示す断面図、図8は図3の成形金型により得られる中間成形品の平面図および断面図である。
【0009】
先ず、図1により、トリポート型等速ジョイントの成形過程を説明する。先ず、加熱炉により熱間鍛造若しくは温間鍛造が可能な温度に加熱された棒状素材W0が用意され(A)、第1工程において、この棒状素材W0に前方押出し成形が施されて軸部WSと継手本体部WJを備える成形体W1が得られる(B)。次いで、第2工程において、前記成形体W1に据込み成形が施されることにより、継手本体部WJが拡径されて据込み部WJ1が成形され(C)、第3工程において、この据込み部WJ1に押出し成形が施されて内周にトラック溝WJ3を備えるカップ部WJ2が粗成形される(D)。さらに、第4工程において、継続して押出し成形を施してカップ部WJ2が仕上げ成形され(E)、第5工程において、カップ部WJ2内周の拡管成形が施され(F)、内周面にトラック溝WJ3を有する製品としての軸付き継手部材W5が得られる。図中のW0〜W5は成形過程における成形体を示す。
【0010】
前記第3工程の後方押出し成形に使用する成形金型1は、図2にその要部を示すように、継手本体部であるカップ部WJ2および一部の軸部WSを形成するキャビティ2を備える上部ダイ3と、残りの軸部WSを形成するキャビティ4を備える下部ダイ5と、下部ダイ5のキャビティ4に下方から臨むノックアウトピン6と、が下部ダイホルダ7に固定配置されている。前記上部ダイ3および下部ダイ5は夫々外周部に固定ブロック9を配置して下部ダイホルダ7に固定している。
【0011】
また、前記下部ダイホルダ7に臨む上部ダイホルダ10には、カップ部WJ2の内周面を粗成形する第1ポンチ11と、第1ポンチ11に嵌合してリング体13を外周に備え、カップ部WJ2の端面を閉塞形成する第2ポンチ12と、を昇降可能に配置している。
【0012】
前記上部ダイ3のカップ部WJ2を形成するキャビティ2は、カップ部WJ2の仕上げ成形への途中段階の形状に型彫りされている。また、カップ部WJ2のトラック溝WJ3の底部となる円周方向3箇所の周面において、軸方向部分も含めて、その周面を幅広く半径方向外方に窪ませた窪み15を形成している。この窪み15は、第3工程での中間成形品のカップ部外周部分に等間隔をおいて外周側へ膨らむ余肉(膨出部16)を形成するためのものである。従って、前記上部ダイ3の周面は、上面から見ると、前記3箇所の窪み15が円形となった周面から突出している形状に形成される。即ち、キャビティ2の円形の周面は、軸付き継手部材に完成された段階における外径に近似させた寸法に設定しており、前記膨出部16は前記外径より半径方向の外側に膨らんだ状態で形成されている。
【0013】
また、第1ポンチ11の外周面形状は、円周方向3箇所でトラック溝WJ3を形成するために軸方向に延びる突起14が形成され、突起14の先端部と前記上部ダイ3のキャビティ2の周面とで薄肉となるトラック溝WJ3の底部が形成される。前記第2ポンチ12の先端は、前記上部ダイ3のキャビティ2の周面と嵌合してカップ部WJ2の端面を形成するよう機能する。
【0014】
前記第4工程の後方押出し成形に使用する成形金型20は、図3にその要部を示すように、継手本体部であるカップ部WJ2および一部の軸部WSを構成する、第3工程の上部ダイ3よりもやや深いキャビティ22を備える上部ダイ23と、残りの軸部WSを構成するキャビティ24を備える下部ダイ25と、下部ダイ25のキャビティ24に下方から臨むノックアウトピン26と、が下部ダイホルダ27に固定配置されている。前記上部ダイ23および下部ダイ25は夫々外周部に固定ブロック29を配置して下部ダイホルダ27に固定している。
【0015】
また、前記下部ダイホルダ27に臨む上部ダイホルダ30には、カップ部WJ2の内周面を仕上げ成形する、第3工程の第1ポンチ11よりもやや長い第1ポンチ31と、第1ポンチ31に嵌合して外周にリング体33を備え、カップ部WJ2の端面を形成する第2ポンチ32と、を昇降可能に配置している。
【0016】
前記上部ダイ23のカップ部WJ2を形成するキャビティ22は、カップ部WJ2の仕上げ成形の形状に型彫りされている。また、そのキャビティ22の周面は、カップ部WJ2の端面側で円形に形成され、軸部WS側に移るに連れてトラック溝WJ3の形状に沿う形状に形成されている。従って、前記上部ダイ23のキャビティ22の周面は、上面から見ると、円形に形成されている。即ち、キャビティ22の円形の周面は、軸付き継手部材として製品化された状態の外径寸法に形成している。
【0017】
また、第1ポンチ31の外周面形状は、円周方向3箇所でトラック溝WJ3を形成するために軸方向に延びる突起34が形成され、突起34の先端部と前記上部ダイ23のキャビティ22の周面とで薄肉となるトラック溝WJ3の底部が形成される。前記第2ポンチ32の先端は、前記上部ダイ23のキャビティ22の周面と嵌合してカップ部WJ2の端面を閉塞形成するよう機能する。
【0018】
以上の構成の鍛造成形装置による鍛造成形方法について以下に説明する。
【0019】
図2は、型開きした状態における第3工程の成形金型1を示し、この成形金型1の上部ダイ3のキャビティ2に第2工程で形成された成形体W2が投入される。投入された成形体W2は、その軸部WSを上部ダイ3および下部ダイ5の軸部用キャビティ4に嵌合させて位置決めされ、カップ部WJ2はカップ部用のキャビティ22の内面に対して隙間を持って配置される。
【0020】
この状態から、型閉じすると、図4に示すように、先ず、第2ポンチ12外周が上部ダイ3のキャビティ2へ嵌合され、次いで、第1ポンチ11が成形体W2のカップ部WJ2を構成する素材を外周側に拡げつつ押し潰して、上部ダイ3のキャビティ2の周面に沿って塑性流動させ、引続く第1ポンチ11の押潰しにより第1ポンチ11とキャビティ2の周面との間に素材を充填させつつ素材を上部側に押出し流動させる。
【0021】
この状態では、ポンチ11の外周にはトラック溝用の突起14が形成されているため、カップ部WJ2の内周には、軸方向の有底穴とこの穴の周囲に円周方向等間隔に3個のトラック溝WJ3が形成される。そして、前記素材の上部側への押出し流動が、上部ダイ3のキャビティ2へ嵌合した第2ポンチ12の先端面に到達した段階で、素材が第1、2ポンチ11、12と前記キャビティ2とで閉塞した空間に充満されて第3工程における押出しによる粗成形が完了する。
【0022】
続いて、第1、2ポンチ11、12を上昇させて型開きし、ノックアウトピン6を上昇させてキャビティ2内に残っている成形体W3を第1、2ダイ3、5から搬送高さまで上昇させ、図示しない自動搬送装置により、成形体W3を第4工程の成形金型20に搬送する。
【0023】
前記第3工程で得られた成形体W3のカップ部WJ2は、図5に示すように、内周側において、第1ポンチ11により形成された軸穴WJ4と3個のトラック溝WJ3を備える。またカップ部WJ2の外周は、概ね円形であるが、前記トラック溝WJ3の溝底に対応して円周方向等間隔に軸方向に延びた幅広の膨出部16が形成されている。前記膨出部16の形状および量は、カップ部WJ2を形成する上部ダイ3に型彫りするキャビティ2の形状に応じて、任意に設定および調整可能である。図5に示す成形体W3では、カップ部WJ2の底部側の周面は、円形に形成し、カップ部WJ2の中途部から膨出部16が徐々に立上り、カップ部WJ2の先端側において一様な高さとなるように、形成されている。
【0024】
前記第4工程においては、図3に示すように、型開きした状態の成形金型20の上部ダイ23のキャビティ22に第3工程で形成された成形体W3が投入される。投入された成形体W3は、図6に示すように、その軸部WSを上部ダイ23および下部ダイ25の軸部用キャビティ24に嵌合するも、カップ部WJ2は円形に形成されているカップ部WJ2の底部側のみがキャビティ22内に挿入され、その外周面に形成されている3箇所の膨出部16がキャビティ22の縁と干渉して、膨出部16を含むカップ部WJ2の上部側はキャビティ22内には挿入されていない状態となる。
【0025】
この状態から、型閉じすると、第1ポンチ31が成形体W3のカップ部WJ2に形成されている軸穴WJ4およびトラック溝WJ3に係合し、更に型閉じが進むと、成形体W3を上部ダイ23のキャビティ22内へ押込む。この押込みにより成形体W3の膨出部16がキャビティ22の縁と第1ポンチ31との間でしごき上げられ、膨出部16を含む薄肉部を構成する素材は第1ポンチ31の根元部に向かって押出される。この状態における成形荷重は、膨出部16を含む薄肉部のしごき加工であり、閉塞鍛造における成形荷重に比較して、比較的に低い成形荷重でよい。
【0026】
前記型閉じが更に進むと、図7に示すように、第2ポンチ32の外周か上部ダイ23のキャビティ22へ嵌合され、次いで、第1ポンチ31が成形体W3のカップ部WJ2を構成する素材を外周側に拡げつつ押し潰して、上部ダイ23のキャビティ22の周面に沿って塑性流動させ、引続く第1ポンチ31の押潰しにより第1ポンチ31とキャビティ22の周面との間に素材が充填させつつ素材を上部側に押出し流動させる。
【0027】
この状態では、ポンチ31の外周にはトラック溝WJ3用の突起34が形成されているため、カップ部WJ2の内周には、軸方向の有底穴WJ4とこの穴WJ4の周囲に円周方向等間隔に3個のトラック溝WJ3が形成される。そして、前記素材の上部側への押出し流動が、上部ダイ23のキャビティ22へ嵌合した第2ポンチ32の先端面に到達した段階で、素材が第1、2ポンチ31、32と前記キャビティ22とで閉塞した空間に充満されて第4工程における押出しによる仕上げ成形が完了する。
【0028】
続いて、第1、2ポンチ31、32を上昇させて型開きし、ノックアウトピン26を上昇させてキャビティ22内に残っている成形体W4を第1、2ダイ23、25から搬送高さまで上昇させ、図示しない自動搬送装置により、成形体W4を第5工程の成形金型に搬送する。
【0029】
前記第4工程で得られた成形体W4のカップ部WJ2は、図8に示すように、内周側において、第1ポンチ31により形成された軸穴WJ4と3個のトラック溝WJ3を備える。またカップ部WJ2の外周は、前記膨出部16がしごき加工されて押し出されるため、概ね円形に形成される。また、カップ部WJ2のトラック溝WJ3の底壁は薄肉に形成されるものであるが、成形荷重を増加させるようにしなくとも、膨出部16のしごき加工に基づく押出しにより、欠肉状態になることなく、充分にキャビティ22の全領域に充填流動させることができる。
【0030】
なお、上記実施形態において、カップ状部品として、軸部WSを備えるトリポード型等速ジョイント用アウタレースの鍛造成形方法および鍛造成形装置について説明したが、図示はしないが、軸部WSを備えていないカップ状部品であってもよく、また、厚肉部と薄肉部とを備えていないカップ状部品であってもよいが、特に、厚肉部と薄肉部とを備えるカップ状部品の鍛造成形方法および鍛造成形装置において望ましい結果をえることができる。
【0031】
また、上記実施形態において、膨出部16をしごき加工するしごき成形工程と製品外形と同等の形状を備えた前記ダイを用いて押出し成形を施す仕上げ成形工程とを同一のダイ23、25により実施するものについて説明したが、図示はしないが、第2工程のダイと第3工程のダイとを独立して備える鍛造形成装置であってもよい。
【0032】
また、上記実施形態において、鍛造成形方法および鍛造成形装置として、熱間若しくは温間で成形するものについて説明したが、図示はしないが、冷間で成形するものであってもよい。
【0033】
本実施形態においては、以下に記載する効果を奏することができる。
【0034】
(ア)棒状素材に押出し成形を施すことにより、外周に製品外形より外方に膨出する膨出部16を備えたカップ状の粗成形体W3を得る粗成形工程と、製品外形と同等の形状を備えたダイ23に前記粗成形体W3を係合させて粗成形体W3の膨出部16を製品外形に沿わせてしごき成形するしごき成形工程と、前記しごき成形された成形体W3に製品外形と同等の形状を備えたダイ23を用いて押出し成形を施すことにより、カップ状の仕上げ成形体W4を得る仕上げ成形工程と、を有するようにした。
【0035】
このため、欠肉する部位に前記膨出部16を設けることで、意図した形状精度を満足する製品を安定的に生産することができる。しかも、しごき成形により膨出部16を長手方向に伸ばすものであるため、成形圧力を増加させて押出し成形する必要が無く、金型寿命の大幅な向上を達成することができる。
【0036】
(イ)カップ状部品として、厚肉部と薄肉部とを備えるものである場合であっても、カップ状部品の薄肉部を形成する部位の外周に膨出部16を形成することにより、欠肉が生じやすい薄肉部の形状形成に必要な余肉を確保することができ、厚肉部、薄肉部を持つ部品であっても、最終的に均等な肉上がりを確保することができる。
【0037】
(ウ)膨出部16をしごき加工するしごき成形工程と製品外形と同等の形状を備えたダイ23を用いて押出し成形を施す仕上げ成形工程とを同一のダイ23により実施することにより、しごき成形工程に引続いて仕上げ成形工程を連続して実施することができ、両者の工程をプレス装置のワンストロークの動作で実施することができる。
【0038】
(エ)粗成形工程から仕上げ成形工程までは、熱間若しくは温間により成形することにより、成形荷重をより一層低減した状態で形成でき、且つ製品外形と同等の形状を備えたダイ23を用いて押出し成形を施す仕上げ成形工程により製品の形状品質を向上させることができる。
【0039】
(オ)カップ状部品として、その底部に軸部WSを一体に備えて、内周に軸方向に延びるトラック溝WJ3を3箇所円周方向等間隔に備えるトリポード型等速ジョイント用アウタレースである場合であっても、前記粗成形工程で形成する膨出部16を前記トラック溝WJ4の背面側の外周に形成することにより、欠肉のない製品を安定して製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明を適用するトリポート型等速ジョイントの成形過程を説明する説明図。
【図2】本発明の一実施形態を示すトリポート型等速ジョイントの一成形工程に用いる成形金型の断面図。
【図3】図2に続く成形工程に用いる成形金型の断面図。
【図4】図2に示す成形金型による成形状態を示す断面図。
【図5】図4に示す成形工程により得られる中間成形品の平面図(A)および断面図(B)。
【図6】図3に示す成形金型に図5の中間成形品を投入した説明図。
【図7】図6に続く成形状態を示す断面図。
【図8】図3の成形金型により得られる中間成形品の平面図(A)および断面図(B)。
【符号の説明】
【0041】
W0〜W5 成形体
WS 軸部
WJ、WJ1、WJ2 継手本体部、カップ部
WJ3 トラック溝
WJ4 穴部、軸穴
1、20 成形型
2、4、22、24、 キャビティ
3、23 上部ダイ
5、25 下部ダイ
6、26 ノックアウトピン
7、27 下部ダイホルダ
8、28 圧入リング
9、29 固定ブロック
10、30 上部ダイホルダ
11、31 第1ポンチ
12、32 第2ポンチ
15 窪み
16 膨出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カップ状部品の鍛造成形方法であって、
棒状素材に押出し成形を施すことにより、外周に製品外形より外方に膨出する膨出部を備えたカップ状の粗成形体を得る粗成形工程と、
製品外形と同等の形状を備えたダイに前記粗成形体を係合させて粗成形体の膨出部を製品外形に沿わせてしごき成形するしごき成形工程と、
前記しごき成形された成形体に製品外形と同等の形状を備えたダイを用いて押出し成形を施すことにより、カップ状の仕上げ成形体を得る仕上げ成形工程と、を有することを特徴とする鍛造成形方法。
【請求項2】
前記カップ状部品は、厚肉部と薄肉部とを備え、
前記膨出部は、カップ状部品の薄肉部を形成する部位の外周に形成されることを特徴とする請求項1に記載の鍛造成形方法。
【請求項3】
前記しごき成形工程と仕上げ成形工程とは、同一のダイにより実施され、しごき成形工程に引続いて仕上げ成形工程が連続して実施されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の鍛造成形方法。
【請求項4】
前記粗成形工程から仕上げ成形工程までの工程は、熱間若しくは温間鍛造により成形することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一つに記載の鍛造成形方法。
【請求項5】
前記カップ状部品は、その底部に軸部を一体に備え、製品内周に軸方向に延びるトラック溝を3箇所円周方向等間隔に備えるトリポード型等速ジョイント用アウタレースであり、
前記粗成形工程で形成する膨出部は、前記トラック溝の背面側の外周に形成されることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一つに記載の鍛造成形方法。
【請求項6】
厚肉部と薄肉部とで形成されるカップ状部品の鍛造成形装置であって、
製品外形と同等のキャビティを備えると共に部分的に製品外形より外方に膨出する窪みを備えるダイと、製品内形と相似する形状のポンチとを備え、棒状素材に押出し成形を施すことにより、外周に製品外形より外方に膨出する膨出部を有するカップ状の粗成形体を形成する粗成形型と、
製品外形と同等の形状を備えたダイと、製品内形と同等の形状を備えるポンチとを備え、前記粗成形体の膨出部を前記ダイの縁に係合させて前記膨出部を製品外形に沿わせてしごき成形するしごき成形型と、
製品外形と同等の形状を備えたダイと、製品内形と同等の形状を備えるポンチとを備え、前記しごき成形された成形体に押出し成形を施してカップ状の仕上げ成形体を得る仕上げ成形型と、を備えることを特徴とする鍛造成形装置。
【請求項7】
前記カップ状部品は、厚肉部と薄肉部とを備え、
前記粗成形型のダイに設ける窪みは、カップ状部品の薄肉部を形成する部位のキャビティ面に形成されることを特徴とする請求項4に記載の鍛造成形装置。
【請求項8】
前記しごき成形型と仕上げ成形型とは、同一の成形型により実施され、しごき成形に引続いて仕上げ成形が連続して実施されることを特徴とする請求項6または請求項7に記載の鍛造成形装置。
【請求項9】
前記カップ状部品は、その底部に軸部を一体に備え、製品内周に軸方向に延びるトラック溝を3箇所円周方向等間隔に備えるトリポード型等速ジョイント用アウタレースであり、
前記粗成形型のダイに設ける窪みは、前記トラック溝の背面を形成する部位のキャビティ面に形成されることを特徴とする請求項6から請求項8のいずれか一つに記載の鍛造成形装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−196259(P2007−196259A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−17397(P2006−17397)
【出願日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】