説明

長尺状金属箔/樹脂フィルム積層シートの製造方法

【課題】薄膜の長尺状金属箔/樹脂フィルム積層シートの製造に適した製造方法を提供する。
【解決手段】長尺状金属箔3a,3b/樹脂フィルム4積層シートの製造に必要な枚数の金属箔と樹脂フィルムとを、回転軸に軸支された回転可能な上側と下側ドラム2a,2bとからなる加熱圧着装置の両ドラム間に重ね合せて供給し、加熱圧着装置を通過させて加熱圧着することにより積層シートを製造する方法であって、上側と下側のドラムとが揺動可能とされ、ドラムの前方に、金属箔及び/又は樹脂フィルムの、加熱圧着装置内での上側と下側のドラムの接触面に対して上方又は下方となる方向からの導入を案内する回転ロール8a,8bが設けられ、かつ該回転ロールの回転軸が上側または下側のドラムの回転軸に当該ドラムの揺動と同期して揺動するように接続した加熱圧着装置を用い、金属箔及び/又は樹脂フィルムを幅方向に揺動させながら加熱圧着装置に供給する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一組もしくは二組以上の長尺状金属箔/樹脂フィルム積層シートを製造する方法に関する。本発明は特に、長尺状の銅箔と長尺状のポリイミドフィルムとの積層シートの二組もしくはそれ以上を同時に製造することのできる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
芳香族ポリイミドフィルムに代表される高耐熱性で熱圧着性を有する樹脂フィルムと銅箔に代表される高導電性金属箔とを積層圧着した積層シートは、たとえば、各種電子部品のプリント配線基板の製造に利用されている。この積層シートの代表的な構成としては、金属箔/樹脂フィルム/金属箔の構成の三層積層シートおよび金属箔/樹脂フィルムの構成の二層積層シートがある。
【0003】
上記のような積層シートは、その積層シート自体の製造の効率、そして積層シートを利用するプリント配線基板などの各種部品の製造の効率を考慮して、長尺状積層シートとして製造するのが一般的である。このための方法としては、ロール状に巻かれた長尺状の金属箔と同じくロール状に巻かれた長尺状の樹脂フィルムのそれぞれを連続的に、それぞれ回転軸に軸支された回転可能な上側ドラムと下側ドラムとからなる一対の加熱圧着装置に重ね合わせた状態で、あるいは加熱圧着装置の入口で重ね合わされるようにして供給し、次いで加熱圧着装置により積層圧着された長尺状積層シートを巻き取りロールにより巻き取る方法が一般的に利用されている。加熱圧着装置としては、上側ドラムと下側ドラムのそれぞれを単ロールとした従来タイプのもの、そして上側ドラムと下側ドラムのそれぞれを前方ドラムと後方ドラム、そして両ドラムの周囲をドラムと同期して回転するベルトから構成したダブルベルトプレス装置が代表的である。
【0004】
長尺状金属箔/樹脂フィルム積層シートは、上記のように、加熱圧着装置を用いて連続的に製造されているが、近年、長尺状金属箔/樹脂フィルム積層シートの需要の増加に応じて、そしてその製造コストの低減を図るために、複数の長尺状金属箔/樹脂フィルム積層シートを同時に製造することが検討されている。
【0005】
特許文献1には、ダブルベルトプレス装置を用いて外観が良好なフレキシブル金属箔積層体を安定的に製造する方法の記載があり、その記載中に、複数の長尺状金属箔/樹脂フィルム積層シートを同時に製造することが可能であることの記載がある。
【特許文献1】特開2005−306002号公報
【0006】
一方、近年の各種電子部品の小型化への要求に答えて、積層シートを構成する金属箔と樹脂フィルムの双方を薄膜化して、積層シートの薄膜化を図る動向が一般的になっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者は、上記の薄膜積層シートの需要の動向を考慮して、従来の加熱圧着装置を用いて長尺状薄膜積層シートを製造する技術の検討を行なった。その結果、本発明者は、従来採用されていた加熱圧着装置を用いる加熱圧着操作では、特に薄膜積層シートを製造しようとすると、長尺状金属箔に折れや皺の発生などのトラブルが発生しやすいことを見出した。
【0008】
すなわち、従来の加熱圧着装置を用いる長尺状積層シートの製造に際しては、目的とする長尺状積層シートに高度の平面均一性が要求されることを考慮して、積層シートの構成材料である長尺状金属箔と長尺状樹脂フィルムの双方について、高い張力を付与した状態で加熱圧着装置に供給していた。しかしながら、本発明者の研究によると、長尺状金属箔の巻き出しロールと加熱圧着装置のドラムとの僅かな軸位置(角度)のずれによると推測されるが、長尺状金属箔が加熱圧着装置に取り込まれる際に僅かな平面方向のずれが発生し、このずれに起因して、導入される長尺状金属箔や長尺状樹脂フィルムに折れや皺の発生などのトラブルが発生しやすい。
【0009】
従って、本発明は、今回新たに見出された、薄膜の長尺状金属箔/樹脂フィルム積層シートを上側ドラムと下側ドラムとからなる加熱圧着装置を用いて製造する際に発生しやすい、薄膜長尺状金属箔の折れや皺の発生などのトラブルの発生を回避することのできる長尺状金属箔/樹脂フィルム積層シートの製造方法を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、一組もしくは複数組の長尺状金属箔/樹脂フィルム積層シートの製造に必要な枚数の長尺状金属箔と長尺状樹脂フィルムとを、それぞれ回転軸に軸支された回転可能な上側ドラムと下側ドラムとからなる加熱圧着装置の両ドラム間に重ね合せた状態で供給し、次いで重ね合わされた状態の長尺状金属箔と長尺状樹脂フィルムとを加熱圧着装置を通過させて加熱圧着することにより長尺状金属箔/樹脂フィルム積層シートを製造する方法であって、該加熱圧着装置として、上側ドラムと下側ドラムとが揺動可能とされていて、少なくとも一方のドラムの前方に、長尺状金属箔及び/又は長尺状樹脂フィルムの、加熱圧着装置内での上側ドラムと下側ドラムとの接触面に対して上方もしくは下方となる方向からの導入を案内する少なくとも一つの案内用回転ロールが設けられ、かつ該案内用回転ロールの回転軸が上側ドラムまたは下側ドラムの回転軸に当該ドラムの揺動と同期して揺動するように接続されている加熱圧着装置を用いることにより、長尺状金属箔及び/又は長尺状樹脂フィルムを幅方向に揺動させながら加熱圧着装置に供給することを特徴とする長尺状金属箔/樹脂フィルム積層シートの製造方法にある。
【発明の効果】
【0011】
本発明の製造方法を利用することにより、長尺状金属箔や長尺状樹脂フィルムの折れや皺の発生などのトラブルの発生の回避が可能になる。本発明は特に、それぞれ薄膜の長尺状金属箔と長尺状樹脂フィルムとからなる積層シートの製造に有利であり、また特に、加熱圧着装置の基本構成として公知のダブルベルトプレスを用いることにより有利に利用できる。また更に、本発明は特に、薄膜の長尺状銅箔と薄膜の長尺状ポリイミドフィルムとから長尺状積層シートを二組以上同時に製造する際に有利に利用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の好ましい態様を次に記載する。
(1)案内用回転ロールが少なくとも長尺状金属箔を回転下に案内する案内用回転ロールである。
(2)案内用回転ロールを介して上側ドラム或いは下側ドラムに導入される長尺状金属箔及び/又は長尺状樹脂フィルムが、案内用回転ロールでの抱角(図1のθ)が30〜180゜の範囲の角度で導入される。
(3)長尺状樹脂フィルムが長尺状ポリイミドフィルムである。
(4)長尺状樹脂フィルムが、300℃未満ではガラス転移点が観測されない芳香族ポリイミドからなる中央層、そして該中央層の両側に配置された熱可塑性を示す芳香族ポリイミドからなる表面層からなる複合フィルムである。
(5)長尺状金属箔が長尺状銅箔である。
(6)積層シートが、金属箔/樹脂フィルム/金属箔の構成の三層積層シートである。
(7)積層シートが、金属箔/樹脂フィルムの二層積層シートである。
(8)二組の長尺状積層シートを同時に製造する。
(9)三組の長尺状積層シートを同時に製造する。
【0013】
次に本発明の長尺状金属箔/樹脂フィルム積層シートの製造方法を、その利用が好ましいダブルベルトプレス型の加熱圧着装置を用い、銅箔/ポリイミドフィルム/銅箔の三層構成の積層シートを製造する方法を代表例として利用し、説明する。
【0014】
図1は、本発明の長尺状金属箔/樹脂フィルム積層シートの製造法に有利に用いられる装置の代表的な構成を示す模式図である。
【0015】
図1の製造装置は、それぞれ回転軸1a、1bに軸支された回転可能な上側ドラム2aと下側ドラム2bとからなる一対の加熱圧着装置、該加熱圧着装置の前方に設けられた一組もしくは複数組の長尺状金属箔/樹脂フィルム積層シートの製造に必要な枚数の長尺状金属箔3a、3bと長尺状樹脂フィルム4とを該加熱圧着装置に供給する複数の巻き出しロール(図示なし)、及び該加熱圧着装置での加熱圧着操作の終了後に生成した複数組の長尺状金属箔/樹脂フィルム積層シートのそれぞれを巻き取る一個もしくは複数個の巻き取りロール5、6を含む長尺状金属箔/樹脂フィルム積層シートの製造装置であって、該加熱圧着装置の上側ドラム2aと下側ドラム2bとが揺動可能とされており、少なくとも一方のドラムと該巻き出しロールとの間に長尺状金属箔3a、3bもしくは長尺状樹脂フィルム4の、加熱圧着装置内での上側ドラム2aと下側ドラム2bとの接触面7に対して上方もしくは下方となる方向からの導入を案内する少なくとも一つの案内用回転ロール8a、8bが設けられ、かつ該案内用回転ロール8a、8bの回転軸は上側ドラム2aまたは下側ドラム2bの回転軸1a、1bに当該ドラムの揺動と同期して揺動するように接続されている。
【0016】
長尺状金属箔3aは、案内用回転ロール8aを介して案内用回転ロールでの抱角(図1のθに相当)が、30〜180゜の範囲の角度、好ましくは、45〜180゜の範囲の角度、さらに好ましくは45〜120゜の範囲の角度で、上側ドラム2aに導入される。長尺状金属箔3bは、案内用回転ロール8bを介して案内用回転ロールでの抱角(図1のθに相当)が、30〜180゜の範囲の角度、好ましくは、45〜180゜の範囲の角度、さらに好ましくは45〜120゜の範囲の角度で、下側ドラム2bに導入される。長尺状樹脂フィルムも長尺状金属箔と同様に、案内用回転ロールを介して案内用回転ロールでの抱角(図1のθに相当)が、30〜180゜の範囲の角度、好ましくは、45〜180゜の範囲の角度、さらに好ましくは45〜120゜の範囲の角度で、上側ドラム或いは下側ドラムに導入することができる。
【0017】
図1において、長尺状樹脂フィルム4を導入する案内用回転ロール13は、ドラムの揺動と同期して揺動しないように図示しているが、長尺状樹脂フィルム4を導入する案内用回転ロール13も案内用回転ロール8a或いは案内用回転ロール8bと同様に、上側ドラム或いは下側ドラムの揺動と同期して揺動するものを用いることができる。特に長尺状樹脂フィルム4を案内用回転ロール13を介して案内用回転ロールでの抱角(図1のθに相当)が、30〜180゜の範囲の角度、好ましくは、45〜180゜の範囲の角度、さらに好ましくは45〜120゜の範囲の角度で、上側ドラム或いは下側ドラムに導入する場合に特に効果が優れる。
図1では、案内用回転ロールはドラムと連結している軸により固定してドラムの揺動と同期して揺動するようにしているが、案内用回転ロールはドラムと連結せずドラムの揺動と同期して揺動するように設けても良い。
【0018】
図1の加熱圧着装置の基本構成は、公知のダブルベルトプレスに相当し、上側ドラム2aと下側ドラム2bのそれぞれの後方には、後方上側ドラム9aと後方下側ドラム9bが備えられ、上側ドラム2aと後方上側ドラム9aの周囲、そして下側ドラム2bと後方下側ドラム9bの周囲のそれぞれには、エンドレスベルト10a、10bが装着され、ドラムの回転と同期してエンドレスに回転する。上側ドラム2aと後方上側ドラム9aとの間(下側ドラム2bと後方下側ドラム9bとの間)には、加熱加圧具11と加圧冷却装置12とが備えられている。
【0019】
図1において、例えば、長尺状金属箔3aと長尺状金属箔3bとは共に銅箔であって、長尺状樹脂フィルム4は熱圧着性の多層芳香族ポリイミドフィルムとする。
【0020】
銅箔には通常、電解銅箔および圧延銅箔があり、それぞれ市販されていて、目的に応じて任意の厚みの電解銅箔と圧延銅箔を製造業者から入手して本発明の積層体の製造に用いることができる。
【0021】
また、金属箔は銅箔に限定されるものではなく、アルミ箔などの各種の金属箔(特に導電性の金属箔)を目的に応じて用いることができる。そして、銅箔などの金属箔として、ポリイミド、エポキシ樹脂などの熱圧着性或いは接着性の樹脂被覆層を表面に有する金属箔を用いることができる。これらの樹脂被覆層を表面に有する金属箔は、通常、その表面の樹脂被覆層が樹脂フィルムと対面するようにして配置して用いる。
【0022】
長尺状金属箔の厚みについては、加熱圧着装置に供給できる厚さであれば特に制限はないが、通常は5〜35μmであり、好ましくは5〜12μm、特に好ましくは5〜10μmである。キャリア層を有する金属箔の場合には、その金属箔の厚みは通常1〜7μmである。特に銅箔を用いる場合は、圧延銅箔では通常8〜35μmで、電解銅箔では通常5〜35μmである。キャリア層を有する銅箔の場合には、その銅箔の厚みは通常1〜5μmである。
長尺状金属箔の幅については、連続的に搬送できる幅であれば特に制限はない。すなわち、利用する加熱圧着装置による連続的な加熱圧着処理が可能な幅であればよい。
【0023】
熱圧着性多層芳香族ポリイミドフィルムは、非熱圧着性芳香族ポリイミドフィルムとその一方もしくは両方の表面に形成された熱圧着性芳香族ポリイミド層とからなるフィルムであって、例えば、宇部興産株式会社から市販されており、容易に入手できる。熱圧着性多層芳香族ポリイミドフィルムについての詳しい記載は、前述の特許文献1に見られる。
【0024】
なお、図1に関する説明では、樹脂フィルムとして熱圧着性多層芳香族ポリイミドフィルムを用いた例をとり挙げたが、樹脂フィルムは、加熱条件下で金属箔と圧着可能な樹脂フィルムであれば特に限定はない。目的に応じて使用することが可能な樹脂フィルムとしては、熱圧着性芳香族ポリイミドフィルム、熱圧着性ポリエステルフィルム、熱圧着性ポリアミドフィルム(熱圧着性アラミドフィルム)、熱圧着性ビニルエステルフィルム、熱圧着性フッ素樹脂フィルムなどを挙げることができる。樹脂フィルムは、単層フィルムであっても、また片面あるいは両面に熱圧着層を有する多層フィルムであってもよい。特に好ましいのは、熱圧着性芳香族ポリイミドフィルムと熱圧着性ポリアミドフィルム(熱圧着性アラミドフィルム)である。
【0025】
樹脂フィルムの厚みは、加熱圧着装置に供給できる厚さであれば特に制限はないが、通常は5〜150μmであり、好ましくは8〜100μm、特に好ましくは10〜50μmである。
樹脂フィルムは、その片面または両面に金属箔と加熱圧着が可能な厚みの熱圧着性の表面層を有していることが好ましく、その表面層の厚みは、通常0.5〜10μm、好ましくは1〜8μm、特に好ましくは1〜5μmである。
長尺状樹脂フィルムの幅については、連続的に搬送できる幅であれば特に制限はない。すなわち、利用する加熱圧着装置による連続的な加熱圧着処理が可能な幅であればよい。
【0026】
次に、図1の加熱圧着装置を用いる長尺状金属箔/樹脂フィルム積層シートの製造方法を、長尺状金属箔/樹脂フィルム/長尺状金属箔の三層からなる積層シートの製造方法を例にして詳しく説明する。
【0027】
製造目的の積層シートは、長尺状金属箔/樹脂フィルム/長尺状金属箔の三層からなる積層シートであるため、まず、長尺状金属箔3a、樹脂フィルム4そして長尺状金属箔3bを、それぞれの巻き出しロール(図示なし)から巻き出す。そして、長尺状金属箔3aと長尺状金属箔3bは、上側ドラム2aと下側ドラム2bとの間(ダブルベルトプレスの場合には、上側のエンドレスベルト10aと下側のエンドレスベルト10bとの間)に形成されるスリットに、案内用回転ロール8a、8bに案内されて導入される。一方、樹脂フィルム4もドラムに接続していない案内用回転ロール13に案内されて上記スリットに導入され、このスリットにて、長尺状金属箔/樹脂フィルム/長尺状金属箔の三層からなる積層構造体を形成する。そして、この積層構造体は、エンドレスベルト10a、10bの回転と共に前進し、前進している間に加熱圧着処理が施されて長尺状金属箔/樹脂フィルム/長尺状金属箔の三層が一体化した積層シートとなり、その後、巻き取りロール5、6に巻き取られる。
【0028】
上記の加熱圧着装置を用いる長尺状金属箔/樹脂フィルム積層シートの製造に際して、長尺状金属箔及び/又は長尺状樹脂フィルムをドラムに導入する案内用回転ロールが、当該ドラムに同期して揺動するために、上側ドラムと下側ドラムとの間に導入される部位から案内用回転ロールの間の長尺状金属箔及び/又は長尺状樹脂フィルムの長さ方向或いは幅方向の張力が不均一になりにくくなるため、長尺状金属箔及び/又は長尺状樹脂フィルムの折れや皺の発生などのトラブルの発生が効果的に回避できるという優れた効果が得られる。
本発明では、長尺状金属箔及び/又は長尺状樹脂フィルムは、案内用回転ロールを介して案内用回転ロールでの抱角(θ)が、30〜180゜の範囲の角度、好ましくは、45〜180゜の範囲の角度、さらに好ましくは45〜120゜の範囲の角度で、上側ドラム或いは下側ドラムに導入する場合に特に効果が優れ、さらに案内用回転ロールでの抱角(θ)を持たせることにより、入り口ドラムで予熱することが可能となる。
【0029】
なお、図1では、長尺状積層体の製造装置を、ダブルベルトプレスを用いた装置として説明したが、長尺状積層体の製造装置は、上側ドラムと下側ドラムとを含む加熱圧着装置(特に表面が弾性材料からなるドラムを用いる加熱圧着装置)を含む公知の加熱圧着装置、あるいは公知の加熱圧着装置の変形もしくは改良からなる加熱圧着装置を用いて同様に実施することができることは勿論である。また、製造する長尺状積層体は一組に限られることはなく、二組、三組あるいは四組の同時製造も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の長尺状金属箔/樹脂フィルム積層シートの製造方法に利用できる製造装置の代表的な構成を示す。
【符号の説明】
【0031】
1a、1b 回転軸
2a 上側ドラム
2b 下側ドラム
3a、3b 長尺状金属箔
4 長尺状樹脂フィルム
5、6 巻き取りロール
7 上側ドラム2aと下側ドラム2bとの接触面
8a、8b 案内用回転ロール
9a 後方上側ドラム
9b 後方下側ドラム
10a、10b エンドレスベルト
11 加熱加圧具
12 加圧冷却装置
13 案内用回転ロール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一組もしくは複数組の長尺状金属箔/樹脂フィルム積層シートの製造に必要な枚数の長尺状金属箔と長尺状樹脂フィルムとを、それぞれ回転軸に軸支された回転可能な上側ドラムと下側ドラムとからなる加熱圧着装置の両ドラム間に重ね合せた状態で供給し、次いで重ね合わされた状態の長尺状金属箔と長尺状樹脂フィルムとを加熱圧着装置を通過させて加熱圧着することにより長尺状金属箔/樹脂フィルム積層シートを製造する方法であって、該加熱圧着装置として、上側ドラムと下側ドラムとが揺動可能とされていて、少なくとも一方のドラムの前方に、長尺状金属箔及び/又は長尺状樹脂フィルムの、加熱圧着装置内での上側ドラムと下側ドラムとの接触面に対して上方もしくは下方となる方向からの導入を案内する少なくとも一つの案内用回転ロールが設けられ、かつ該案内用回転ロールの回転軸が上側ドラムまたは下側ドラムの回転軸に当該ドラムの揺動と同期して揺動するように接続されている加熱圧着装置を用いることにより、長尺状金属箔及び/又は長尺状樹脂フィルムを幅方向に揺動させながら加熱圧着装置に供給することを特徴とする長尺状金属箔/樹脂フィルム積層シートの製造方法。
【請求項2】
案内用回転ロールが少なくとも長尺状金属箔を回転下に案内する案内用回転ロールである請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
案内用回転ロールを介して上側ドラム或いは下側ドラムに導入される長尺状金属箔及び/又は長尺状樹脂フィルムが、案内用回転ロールでの抱角(θ)が30〜180゜の範囲の角度で導入される請求項1もしくは2に記載の製造方法。
【請求項4】
加熱圧着装置がダブルベルトプレスである請求項1乃至3のうちのいずれかの項に記載の製造方法。
【請求項5】
長尺状金属箔が長尺状銅箔である請求項1乃至4のうちのいずれかの項に記載の製造方法。
【請求項6】
長尺状樹脂フィルムが長尺状ポリイミドフィルムである請求項1乃至5のうちのいずれかの項に記載の製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2009−66855(P2009−66855A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−236696(P2007−236696)
【出願日】平成19年9月12日(2007.9.12)
【出願人】(000120010)宇部日東化成株式会社 (203)
【出願人】(000000206)宇部興産株式会社 (2,022)
【Fターム(参考)】