説明

開閉ダンパー装置

【課題】装置の大型化を抑制しつつ、開口部の閉口時の密閉性の低下を抑制することができる開閉ダンパー装置を提供する。
【解決手段】開閉ダンパー装置は、開口部252が形成された枠体250と、開口部252を開閉する弁体266と、枠体250の開口部252周辺に設けられ、弁体266が閉じられた場合、弁体266が密着するシール部材256と、枠体250に設けられた開閉軸262と、開閉軸262を中心として回転するように設けられ、弁体266を移動自在に支持する支持体と、弁体266の開閉軸262が設けられた側よりも反対側がシール部材256に近づくように弁体266を付勢する付勢部材272と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開閉ダンパー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
流体の通路を開閉するものとして、ダンパー装置がある。ダンパー装置としては、例えば、開口を開閉する弁体を一つの軸で旋回させる簡易な構造のもの(のれん式ダンパー)が挙げられる。
【0003】
特許文献1には、ダクト内に排気量調整用ダンパーを設置すると共にこのダンパーを開閉駆動するダンパー開閉器とこのダンパー開閉器に開閉度調整指令の信号を送る制御部とを設けた低圧CVD装置が開示されている。
【0004】
特許文献2には、筺体に形成された待機室にクリーンエアを吹き出すサイドクリーンユニットと、待機室に吹き出されたクリーンエアと窒素ガス噴出ノズルから噴き出された窒素ガスとをサイドクリーンユニットに戻す循環ダクトと、筺体に開閉可能に取り付けられたメンテナンス用ドアとを備えている熱処理装置において、メンテナンス用ドアの開放時、クリーンエアがサイドクリーンユニットから噴き出されて待機室が正圧に維持され、循環ダクトはダンパで閉じられる半導体製造装置が開示されている。
【0005】
特許文献3には、ウエハをボートで保持しつつ処理する処理室と、ボートが処理室への搬入に待機する待機室と、ボートを待機室と処理室との間で昇降させるボートエレベータと、待機室に窒素ガスとクリーンエアを供給するクリーンユニットとを備えている熱処理装置において、待機室に窒素ガスを循環させる循環路に、窒素ガスを供給する窒素ガス供給管と、新鮮なエアを供給する新鮮エア供給管と、窒素ガスおよびクリーンエアを排出する排出路とを設け、排出路にダンパを設け、排出路にダンパをバイパスするバイパス路を設けた基板処理装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平3−224213号公報
【特許文献2】特開2003−332325号公報
【特許文献3】特開2007−95879号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、弁体を一つの軸で旋回させる簡易な構造ののれん式ダンパーにおいては、弁体の(特に軸側の端部)の旋回半径が小さいため、弁体が開口と接触する等して、この弁体の旋回動作が開口によって干渉される場合がある。
また、弁体の旋回半径を大きくしようとすると、装置を大型化する必要性が生じる。
【0008】
本発明の目的は、装置の大型化を抑制しつつ、開口部の閉口時の密閉性の低下を抑制することができる開閉ダンパー装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の特徴とするところは、開口部が形成された枠体と、前記開口部を開閉する弁体と、前記枠体の開口部周辺に設けられ、前記弁体が閉じられた場合、前記弁体が密着するシール部材と、前記枠体に設けられた開閉軸と、前記開閉軸を中心として回転するように設けられ、前記弁体を移動自在に支持する支持体と、前記弁体の回転軸が設けられた側よりも反対側が前記シール部材に近づくように前記弁体を付勢する付勢部材と、を有する開閉ダンパー装置にある。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、装置の大型化を抑制しつつ、開口部の閉口時の密閉性の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態で用いられる基板処理装置の全体概略概略図である。
【図2】本発明の実施形態で用いられる待機室及び熱処理装置の正面図である。
【図3】図2のa−a線断面図である。
【図4】図3のb−b線断面図である。
【図5】図3のc−c線断面図である。
【図6】本発明の実施形態で用いられる開閉ダンパー装置の開口部が開口している状態の斜視図である。
【図7】本発明の実施形態で用いられる開閉ダンパー装置の開口部が閉口している状態の斜視図である。
【図8】本発明の実施形態で用いられる開閉部の動作を説明する説明図である。
【図9】比較例としての開閉ダンパー装置の構成及び動作を説明する説明図である。
【図10】比較例としての開閉ダンパー装置の構成及び動作を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る基板処理装置10の全体概略図を示す。
【0013】
本実施形態において基板処理装置10は、基板としてのウエハ2に酸化処理や拡散処理、CVD(Chemical Vapor Deposition)処理等を行う縦型の装置として構成されている。
【0014】
基板処理装置10には、例えばシリコン(Si)からなるウエハ2を収容する基板収容器(ウエハキャリア)としてFOUP(Front Opening Unified Pod:以下、ポッド4と称する)が用いられている。
ウエハキャリアとしてポッド4が使用される場合、ウエハが密閉された状態で搬送されることになるため、ウエハ2の清浄度が向上する。
【0015】
基板処理装置10は、基板処理装置本体12を有する。基板処理装置本体12の正面壁12aには、ポッド4をこの基板処理装置本体12内外に搬入及び搬出(搬入出)する搬入出部14が設けられている。
正面壁12aには、基板処理装置本体12内外を連通する搬入出口16が開設されており、この搬入出口16は、搬入出開閉部18によって開閉されるようになっている。
【0016】
基板処理装置本体12内であって搬入出部14の後方上部には、複数個のポッド4を収納する第一の収納部として用いられるバッファ棚30が設けられている。
【0017】
バッファ棚30は、正面壁12aの内面に水平に支持された複数の棚板32を備え、それぞれの棚板32に複数個のポッド4を左右方向に並べて載置するようになっている。
【0018】
バッファ棚30の後方には、ポッド4を収納する第二の収納部として用いられる回転棚40が設けられている。
回転棚40は、モータ等の駆動部(非図示)によって間欠回転される回転軸42と、この回転軸42に上下方向で配置され略卍形状に形成された棚板44とにより構成される。
回転棚40は、それぞれの棚板44に複数個のポッド4を載置するようになっており、これらの棚板44に載置されたポッド4が、正面の位置(前側)に順次送られるようになっている。
【0019】
基板処理装置本体12内において、バッファ棚30と回転棚40との間には、ポッド4を移送するポッド移送装置50が設けられている。
ポッド移送装置50は、搬入出部14、バッファ棚30、回転棚40、及び後述する待機搬入出部70これらの間で、ポッド4を移送するように構成されている。
【0020】
ポッド移送装置50は、基板処理装置本体12の底面に左右方向に設けられた水平移動部52と、この水平移動部52の上部に立設された鉛直移動部54とにより構成される。
水平移動部52は、鉛直移動部54を左右方向に移動させるようになっている。
鉛直移動部54は、この鉛直移動部54に設けられた昇降台56を昇降させるようになっている。
【0021】
昇降台56には、所定の位置に載置されているポッド4を保持するとともに、そのポッド4を所定の位置に移載する(ハンドリングする)ポッドハンドリング装置58が設けられている。
ポッドハンドリング装置58は、スカラ型ロボット(SCARA : Selective compliance assembly robot arm、水平多関節ロボット)によって構成されている。
【0022】
基板処理装置本体12内の後方下部には、待機室60が設けられている。待機室60は、前後方向に設けられた水平壁62と、上下方向に設けられた垂直壁64とによって、基板処理装置本体12内の空間から流体的に隔絶された空間として形成されている。
【0023】
待機室60の垂直壁64には、ポッド4から待機室60内にウエハ2を搬入出(ローディング及びアンローディング)する待機搬入出部70が上下方向に2つ設けられている。
待機搬入出部70には、ポッド4の蓋部を着脱してこのポッド4を開閉するポッド開閉装置72が設けられている。
また、垂直壁64には、待機搬入出部70に対応して、ウエハ2を待機室60内外に連通する搬入出口74が開設されている。
【0024】
待機室60の上方には、熱処理装置80が設けられている。
待機室60内であって熱処理装置80の下方には、ボート昇降装置90が設けられている。ボート昇降装置90は、水平に配置されたキャップ92を垂直方向に昇降させるように構成されている。
【0025】
キャップ92は、ボート94を垂直に立脚した状態で支持するように構成されている。
ボート94は、キャップ92がボート昇降装置90により昇降されるのに伴って、熱処理装置80に搬入出されるように構成されている。ボート94は、熱処理装置80への搬入前、及び搬出後に待機室60において待機するようになっている。
【0026】
ボート94は、ウエハ2を複数枚、中心を揃えて水平に配置した状態で保持するようになっている。ボート94は、1つのポッド4に収容されるウエハ2の枚数(例えば25枚)と比較して、多く(例えば100 - 150枚)のウエハ2を保持するようになっている。
【0027】
また、待機室60内には、ウエハ移載装置110が設けられている。
ウエハ移載装置110は、待機搬入出部70と、ボート94との間でウエハ2を移送するように構成されている。
ウエハ移載装置110は取付台110aを備え、この取付台110aには、ウエハ2を下方から支持するツィーザ110bが等間隔で複数枚、水平に取り付けられている。
ウエハ移載装置110は、移載昇降装置112によって昇降されるようになっている。
【0028】
ボート昇降装置90及び移載昇降装置112と対向する側には、清浄な空気(クリーンエア)等の気体を供給する清浄気体供給装置として用いられるクリーンユニット114が設置されている。
【0029】
次に、待機室60及び熱処理装置80の詳細について説明する。
図2は、ボート昇降装置94と移載昇降装置112との間を通る面からみた、待機室60及び熱処理装置80の正面図を示す。
図3は、図2のa−a線断面図を示す。
図4は、図3のb−b線断面図を示す。
図5は、図3のc−c線断面図を示す。
【0030】
待機室60には循環風導部120が配設されており、この循環風導部120は、吹出部122と、吸込部124と、第一の連結部126と、第二の連結部128とにより構成される。
吹出部122は待機室60の左側に設けられ、吸込部124は待機室60の右側に設けられ、これら吹出部122と吸込部124とは、待機室60の下部にそれぞれ設けられた第一の連結部126及び第二の連結部128によって連結されている。
循環風導部120は、例えばダクトとして構成される。
【0031】
吹出部122は、待機室60の左側面に略全面にわたるようにして設けられている。
【0032】
吹出部122には、不活性ガス(例えば窒素)を供給する不活性ガス供給管132が接続されており、この不活性ガス供給管132には、供給する不活性ガスの流量を調整する第一の開閉ダンパー装置140aが設けられている。
また、吹出部122には、空気を供給する空気供給管142が接続されており、この空気供給管142には、供給する空気の流量を調整する第二の開閉ダンパー装置140bが設けられている。
【0033】
吹出部122の待機室60内側の面に、クリーンユニット114が設けられている。クリーンユニット114は、送風機114aと、パーティクル等の不純物を捕集するフィルタ114bとを備えており、吹出部122に供給された不活性ガスあるいは空気を清浄化して待機室60内に供給する。
以下、不活性ガス及び空気これらをまとめて「雰囲気」と称する場合がある。
【0034】
吹出部122の下部であって、第一の連結部126及び第二の連結部128と連結する側には、第三の開閉ダンパー装置140cを介して冷却装置146が前後方向に延びるようにして設けられている。
冷却装置146としては、例えば、水冷式熱交換器が用いられる。
【0035】
吸込部124は、吹出部122と対向するように待機室60の右側面に略全面にわたるようにして設けられている。
【0036】
吸込部124の待機室60側の面には、複数の吸込口150が形成されている。吸込口150によって、吹出部122から供給された雰囲気が吸込部124内に吹き込まれるようになっている。
【0037】
吸込部124内に、ボート昇降装置90及び移載昇降装置112が設けられている。
ボート昇降装置90は、垂直に設けられ回転自在な軸162と、軸162の回転に伴って昇降する昇降部164とを備える。昇降部164に、キャップ92が設置されている。
移載昇降装置112は、垂直に設けられ回転自在な軸172と、軸172の回転に伴って昇降する昇降部174とを備える。昇降部174に、ウエハ移載装置110が設置されている。
【0038】
吸込部124の上方には、駆動部180が設けられており、この駆動部180内には、ボート昇降装置90の軸162を正逆回転させる駆動部182と、移載昇降装置112の軸172を正逆回転させる駆動部184とが設けられている。
【0039】
第一の連結部126は、吹出部122、待機室60、吸込部124これらの前側にわたって、待機搬入出部70の下方を通るようにして設けられている。第一の連結部126には、吹出部122、待機室60、吸込部124それぞれと対向するように複数の吹込口190が形成されている。
【0040】
第二の連結部128は、待機室60の前後方向略中央を横切るようにして吹出部122と吸込部124とを連結するように設けられている。
【0041】
また、待機室60には、この待機室60及び吸込部124と隣接するようにして排出部200が配設されている。排出部200は、複数の排出口202aを介して待機室60と連通し、また、複数の排出口202bを介して吸込部124と連通している。
本実施形態において排出口202aは、その最上端が待機室60の上端と略同一の高さとなるように形成されており、排出口202bは、その最上端が吸込部124の上端と略同一の高さとなるように形成されている。
【0042】
排出部200には、待機室60内の雰囲気を排出する排出管204が接続されている。排出管204には、第四の開閉ダンパー装置140dと、迂回路206とが設けられている。
迂回路206は、第四の開閉ダンパー装置140dを迂回するようにして配設されており、この迂回路206を流れる流量は、第四の開閉ダンパー装置140dを介して排出管204を流れる流量よりも小さくなるように構成されている。
【0043】
図4に示すように、熱処理装置80は、ヒータ等の加熱装置210を有する。加熱装置210は円筒形状であり、垂直に据え付けられている。
【0044】
加熱装置210の内側には、この加熱装置210と同心円状に、内部反応管としてのインナーチューブ212と、その外側に設けられた外部反応管としてのアウターチューブ214が設けられている。
【0045】
インナーチューブ212は、例えば石英(SiO2)あるいは炭化シリコン(SiC)等の耐熱性材料からなり、上端及び下端が開口した円筒形状に形成されている。
インナーチューブ212の筒中空部に、ウエハ2を処理する処理室216が形成される。処理室216は、ウエハ2をボート94によって水平姿勢で垂直方向に多段に整列した状態で収容可能に構成されている。
【0046】
アウターチューブ214は、例えば石英あるいは炭化シリコン等の耐熱性材料からなる。アウターチューブ214は、インナーチューブ212と同心円状に設けられている。アウターチューブ214は、その内径がインナーチューブ212の外径よりも大きく、上端が閉塞し下端が開口した円筒形状に形成されている。
【0047】
アウターチューブ214の下方には、このアウターチューブ214と同心円状にマニホールド218が配設されている。マニホールド218は、例えばステンレス等からなり、上端および下端が開口した円筒形状に形成されている。
【0048】
マニホールド218の側壁には、処理室216内を排気する排気管220が設けられている。排気管220は、インナーチューブ212とアウターチューブ214との間に形成される空間を連通するように接続されている。
【0049】
マニホールド218の下端開口222は、ボート昇降装置90により上昇されたキャップ92によって閉塞されるようになっている。また、マニホールド218の下端開口222の下方にはシャッタ224が設けられており、このシャッタ224によって下端開口222が開閉されるようになっている。
【0050】
次に、第一の開閉ダンパー装置140a、第二の開閉ダンパー装置140b、第三の開閉ダンパー装置140c、及び第四の開閉ダンパー装置140dの詳細について説明する。
これら第一の開閉ダンパー装置140a〜第四の開閉ダンパー装置140dは同様の構成となっているため、以下、「開閉ダンパー装置140」と総称して説明する。
【0051】
図6及び図7は、開閉ダンパー装置140の斜視図を示す。図6は、開口部252が開口している状態を示し、図7は、開口部252が閉口している状態を示す。
図8は、開閉ダンパー装置140の動作を説明する説明図を示す。
【0052】
開閉ダンパー装置140は、枠体(フレーム)250と、雰囲気が通過する開口部252と、この開口部252を開閉する開閉部254とを有する。
枠体250は、これが設けられる不活性ガス供給管132等と一体に形成されるようにしてもよいし、不活性ガス供給管132等に対して取り付けるようにしてもよい。
【0053】
本実施形態においては、開口部252は略四角形状に形成されており、この開口部252には気密性を保つ気密部材として用いられるシール部材256が備えられている。シール部材256は、開口部252の開閉部254が設けられた側の周囲に設けられている。
シール部材256は、例えばゴム等の弾性体により構成される。
【0054】
開閉部254は、例えばアクチュエータ等の駆動部260と、開閉軸262と、開閉調整部264と、弁体266により構成される。開閉部254は、開口部252を「のれん式」に開閉するようになっている。
【0055】
駆動部260は伸縮部260aを備え、この伸縮部260aが伸縮するように構成されている。
開閉軸262は、連結部材262aを介して駆動部260の伸縮部260aと連結しており、この伸縮部260aの伸縮に連動して回転するようになっている。
本実施形態においては、伸縮部260aが延伸している場合に開口部252が開口し、伸縮部260aが収縮している場合に開口部252が閉口するように構成されている。開口部252が閉口することで、気体の供給(流れ)が停止される。
【0056】
開閉軸262は、この開閉軸262の一部が少なくとも枠体250の内部となるように配置されている。
開閉軸262の回転方向に対する軸の中心262bは、開口部252の形成された面方向であって開閉軸262の軸方向と直交する方向(以下、「開閉軸262の軸方向と直交する方向」と称する場合がある)に対して、開口部252のこの方向の長さLの範囲内となるように設けられている。
【0057】
開閉調整部264は、腕部270と、付勢部材272と、接続体274とにより構成される。開閉調整部264は、開閉軸262の回転に従って、弁体266の開閉動作を調整して開口部252を開閉するようになっている。
【0058】
腕部270は、開閉軸262の軸方向に対して略垂直に設けられ、その一端が開閉軸262に固定されており、開閉軸262の回転と一体に回転するようになっている。
本実施形態において、腕部270は棒状(直方体状)に形成されており、この腕部270の長手方向の長さMは、開口部252の開閉軸262の軸方向と直交する方向の長さLよりも短く構成されている(図8(a)参照)。
【0059】
付勢部材272は、腕部270の開閉軸262に接続された端部とは反対側の端部に設けられ、弁体266を腕部270から離れる側へ付勢するようになっている。
付勢部材272は、弁体266の開閉軸262が設けられた側よりも反対側がシール部材256に近づくようにこの弁体266を付勢している。
【0060】
接続体274は、その一端側が支軸276を介して腕部270に接続されており、この腕部270に対して所定の範囲で回転自在となっている。支軸276は、腕部270に対して、開閉軸262に接続された端部と付勢部材272が設けられた端部との間の位置を通るように設けられている。
また、接続体274は、腕部270に接続された側とは反対側が弁体266に固定されている。
【0061】
本実施形態において、接続体274は凹状に形成されており、窪み部274aに腕部270を通過させるようにして配置されている。
このため、接続体274は、窪み部274aによって回転する範囲が規制されている。具体的には、接続体274は、多くとも窪み部274aと腕部270とが接触する範囲以上には回転しないようになっている。
【0062】
このように、腕部270と弁体266とは、これらの相対的な位置関係が変化される構成となっている。本実施形態においては、腕部270と弁体266とが平行となる位置関係と、平行でない位置関係とに変化するようになっている。
【0063】
次いで、開閉部254の開閉動作について説明する。
図8(a)に示すように、開口部252に対して弁体266が開いている状態においては、接続体274は、弁体266を介して付勢部材272の付勢力に従って、窪み部274aが腕部270と接触する位置まで回転した状態となる。
このため、弁体266は、開閉軸262に近い側の端部266aが、開閉軸262に遠い側の端部266bよりも腕部270側に位置するように配置される。
すなわち、弁体266は腕部270に対して、これら腕部270と弁体266とが平行する位置にある場合と比較して、開閉軸262及び端部266a側が閉じた位置に配置されている(開閉軸262と弁体266とが平行する位置関係にない)。
【0064】
図8(b)に示すように、駆動部260の伸縮部260aが収縮し始めると開閉軸262が回転(図8において、反時計方向)し、弁体266が開口部252側へ移動する。
この際も同様に、弁体266は腕部270に対して、腕部270と弁体266とが平行する位置にある場合と比較して、開閉軸262及び端部266a側が閉じた位置に配置されている。
【0065】
図8(c)に示すように、開閉軸262が図8(b)の位置からさらに回転すると、弁体266の端部266bがシール部材256と接触する。
端部266bがシール部材256と接触するまでの動作の間、弁体266は腕部270に対して上記のように配置されており、端部266aと開口部252及びシール部材256との接触が回避されるようになっている。
【0066】
図8(d)に示すように、開閉軸262が図8(c)の位置からさらに回転すると、腕部270が開口部252側に回転して接続体274をこの開口部252側へ押し込む。これにより、接続体274は、シール部材256と接触する端部266bを支点として付勢部材272の付勢力に抗し、窪み部274aが腕部270と接触しない姿勢となる。これに従って、弁体266の端部266aがシール部材256と接触する(開閉軸262と弁体266とが平行する位置関係となる)。
このようにして、開閉部254は、弁体266をシール部材256に一様に圧接させる。弁体266が閉じられた場合、弁体266はシール部材256に密着する。
【0067】
このように、開閉部254は、開閉軸262に遠い側の端部266bを、開閉軸262に近い側の端部266aよりも先にシール部材256に接触させ、このシール部材256に接触した端部266bを支点とするようにして弁体266を回転させて端部266aをシール部材256に接触させるようになっている。
このため、本構成を有さない場合と比較して、弁体266(特に端部266a)の開閉動作が、開口部252あるいはシール部材256によって干渉されることが抑制される。
【0068】
次に、基板処理装置10の動作について説明する。
【0069】
搬入出部14にポッド4が載置されると、このポッド4はポッド移送装置50によって、搬入出口16を介してバッファ棚30又は回転棚40の所定の位置に移送され、一時的に保管される。
【0070】
バッファ棚30及び回転棚40に保管されたポッド4は、ポッド移送装置50によって、所定の待機搬入出部70に搬送される。
なお、搬入出部14から、直接、待機搬入出部70に搬送するようにしてもよい。
【0071】
一方の待機搬入出部70に搬送されたポッド4は、ポッド開閉装置72によって蓋部が開かれる。
これと並行して、他方の待機搬入出部70に、別のポッド4が搬送される。
【0072】
例えば、上側の待機搬入出部70においてポッド4の開放作業を行っている間に、下側の待機搬入出部70への他のポッド4の搬送作業を行う場合、本構成を有さない場合と比較して、ポッド4の入れ替え作業による待機時間が短縮される。
【0073】
待機搬入出部70においてポッド4の蓋部が開かれると、このポッド4に収容されたウエハ2が、ウエハ移載装置110によってボート94に移載(ローディング)される。
ポッド4が待機搬入出部70に繰り返し供給され、これら複数個のポッド4に収容されたウエハ2がボート94に保持された状態で、バッチ処理されることとなる。
【0074】
予め定められた複数枚のウエハ2がボート94に保持されると、このボート94は、ボート昇降装置90によって上昇され、処理室216に搬入される。
この際、ボート94を保持するキャップ92がマニホールド218の下端開口222を閉塞し、処理室216内が気密に閉じられた状態となる。
【0075】
処理室216が気密に閉じられると、この処理室216内は排気管220によって所定の真空度に真空排気され、加熱装置210によって所定の温度に加熱される。その後、ガス導入管(非図示)によって所定の原料ガスが所定の流量で供給される。
このようにして、ウエハ2に所定の処理(例えばCVD膜の形成)がなされる。
【0076】
予め定められた処理時間が経過すると、ボート94はボート昇降装置90によって下降され、このボート94が待機室60に搬出される。
ボート94の処理室216への搬入出作業及び処理作業と並行して、ポッド移送装置50によるポッド4の移送作業が行われる。
【0077】
ボート94に保持された処理済みのウエハ2は、ウエハ移載装置110によって、待機搬入出部70に待機するポッド4に移送(アンローディング)される。
続いて、ポッド4の蓋部がポッド開閉装置72によって閉じられる。
【0078】
処理済みのウエハ2を収容したポッド4は、ポッド移送装置50によって、バッファ棚30又は回転棚40に搬送される。
【0079】
処理済みのウエハ2の移載作業は、ポッド4が待機搬入出部70に繰り返し供給され、これら複数個のポッド4に対してボート94から処理済みのウエハ2を収容するようにして行われる。
【0080】
この際、ボート94から一方(上側又は下側)の待機搬入出部70へウエハ2を移載する作業と並行して、他方の待機搬入出部70へのポッド4の搬送作業を行うことで、本構成を有さない場合と比較して、ポッド4の入れ替え作業による待機時間が短縮される。
【0081】
処理済みのウエハ2を収容したポッド4は、ポッド移送装置50によって、バッファ棚30又は回転棚40から搬入出部14に移送され、ポッド4が基板処理装置本体12外に搬出される。
なお、処理済みのウエハ2を収容したポッド4は、待機搬入出部70から直接、載置部20に移送されるようにしてもよい。
【0082】
続いて、待機室60を循環する雰囲気の流れについて説明する。
【0083】
ウエハ2を待機室60内に搬入する際、これに先立って待機室60に不活性ガスを循環させる。
具体的には、第一の開閉ダンパー装置140a及び第三の開閉ダンパー装置140cが開かれ、第二の開閉ダンパー装置140b及び第四の開閉ダンパー装置140dが閉じられた状態となる。
【0084】
これにより、不活性ガス供給管132から吹出部122に向けて不活性ガスが供給される。吹出部122に供給された不活性ガスは、クリーンユニット114を介して待機室60内に吹き出される。
【0085】
待機室60内に吹き出された不活性ガスの多く(例えば80 %程度)は、(1)吸込部124に吸い込まれた後、第一の連結部126を通る経路、(2)吸込部124に吸い込まれた後、第二の連結部128を通る経路、(3)待機室60から吸込口190を介して第一の連結部126を通る経路、これらいずれかの経路を通って冷却装置146へ流れる。
冷却装置146で冷却された不活性ガスは、第三の開閉ダンパー装置140cを通過して、再び吹出部122に供給される。
【0086】
一方、待機室60内に吹き出された不活性ガスの一部(例えば20 %程度)は、(4)吸込部124に吸い込まれた後、排出口202bを介して排出管200を通る経路、(5)待機室60から排出口202aを介して排出管200を通る経路、これらいずれかの経路を通って迂回路204を通過し排出される。
【0087】
迂回路204を通過して排出される量に相当する不活性ガスが、不活性ガス供給管132から供給され続けるようになっている。
このようにして、不活性ガスが待機室60を循環する。
【0088】
不活性ガスの一部を迂回路204から継続して排出することで、排出口202a及び排出口202bを通過する不活性ガスの流れが確保される。このため、本構成を有さない場合と比較して、待機室60内(特に、排出口202a及び202b付近)における雰囲気の澱み、滞留が防止される。
【0089】
熱処理装置80によりウエハ2に対して所定の処理が行われ、ボート94ボート94が待機室60に搬出される際は、第一の開閉ダンパー装置140a及び第四の開閉ダンパー装置140dが開かれ、第二の開閉ダンパー装置140b及び第三の開閉ダンパー装置140cに加えが閉じられた状態となる。
【0090】
この場合、待機室60内に吹き出された不活性ガスの大部分(約100 %程度)は、上述の経路(4)、(5)により排出管202を通り、第四の開閉ダンパー装置140dあるいは迂回路204を通過して排出される。
所定の処理によって高温となったボート94(及びウエハ2)は、不活性ガスと接触して熱交換することで冷却され、このようにボート94等を冷却した不活性ガスは、排出管200から排出される。
【0091】
ボート94等の冷却に伴って温度の上昇した不活性ガスは、循環風導部120を循環することなく、排出管200から排出される。このため、高温の不活性ガスがクリーンユニット114を通過することがなく、本構成を有さない場合と比較して、このクリーンユニット114の温度上昇を抑制することができる。
【0092】
待機室60内を保持点検(メンテナンス)する際は、この待機室60内から不活性ガスが除去され、清浄な空気が供給される。これにより、作業者の安全性が確保される。
具体的には、第二の開閉ダンパー装置140b及び第四の開閉ダンパー装置140dが開かれ、第一の開閉ダンパー装置140a及び第三の開閉ダンパー装置140cが閉じられた状態となる。
【0093】
これにより、空気供給管142から吹出部122に向けて空気が供給される。吹出部122に供給された空気は、クリーンユニット114を介して待機室60内に吹き出される。
待機室60内に吹き出された空気は、上述の経路により排出管202を通り、第四の開閉ダンパー装置140dあるいは迂回路204を通過して排出される。
【0094】
上記実施形態においては、基板処理装置10がバッチ式縦形CVD装置を構成する場合について説明したが、これに限らず、バッチ式縦形拡散装置等の半導体製造装置全般に適用することができる。
【0095】
また、ウエハ2の基板収容器としてポッド4を用いた場合について説明したが、これに限らず、開閉するキャップを有さないカセットを使用するようにしてもよい。
基板収容器としてカセットを使用する場合、ポッド開閉装置72の設置を省略することができる。
【0096】
待機搬入出部70は、上下二段に限らず、一段設置するようにしてもよいし、上中下三段のように三段以上設置するようにしてもよい。
【0097】
次に、開閉ダンパー装置140の比較例について説明する。
【0098】
図9は、比較例としての開閉ダンパー装置300の構成及び動作を説明する説明図である。開口部252を閉じる際、弁体266は、図9(a)から図9(b)に示すようにして回転する。
【0099】
開閉ダンパー装置300においては、弁体266は、その一端側に固定された開閉軸302を軸として開口部252を開閉するように構成されている。
このため、弁体266の端部266a側の回転する半径(回転半径)は比較的小さく、端部266b側の回転半径は比較的大きくなる。
【0100】
開口部252を閉口する際、弁体266は、開閉軸302側の端部266aが回転動作しながらシール部材256と接触し、その後、端部266bがシール部材256に接触するようになっている。
この際、端部266a側の回転半径が小さいため、この端部266aの回転動作はシール部材256に干渉されることとなる(領域A)。
【0101】
また、端部266aの回転動作がシール部材256によって干渉されないように端部266aとシール部材256との間隔を大きくした構成とすると、端部266aとシール部材256との密着性が低下する。
【0102】
図10は、比較例としての開閉ダンパー装置320の構成及び動作を説明する説明図である。開口部252を閉じる際、弁体266は、図10(a)から図10(b)に示すようにして回転する。
【0103】
開閉ダンパー装置320においては、弁体266は、開閉軸322に対し腕部324を介して接続されている。開閉ダンパー装置320は、開閉軸322を軸として腕部324及び弁体266を回転することで、開口部252を開閉するようになっている。
【0104】
開閉軸322は、弁体266の端部266a側から、この弁体266の略面方向に対して所定の距離(長さN)離れるようにして配置されている。
具体的には、開閉軸322は、回転方向に対する軸の中心322bが、開口部252の投影範囲外となるように配置されている。すなわち、中心322bは、開口部252の形成された面方向であって開閉軸322の軸方向と直交する方向に対して、開口部252のこの方向の長さLの範囲外となるように設けられている(図10(a)参照)。
【0105】
開閉ダンパー装置320においては、弁体266は、上述のように開口部252の投影範囲外に配置された開閉軸322を軸として回転するため、その回転動作がシール部材256によって干渉されることが防止される。
【0106】
[本発明の好ましい態様]
以下に、本発明の好ましい態様について付記する。
【0107】
(明細書原稿、請求項1に対応)
本発明の一態様によれば、開口部を設けたフレームと、前記開口部周りに圧縮率をもったシール材と、前記開口部を回動開閉し、かつ、前記シール材をつぶし込む弁体と、前記弁体をピン結合にて可動支持するアーム部と、前記アーム部を旋回させる回転軸と、前記回転軸を回転させるアクチュエータと、で構成され、前記弁体により流体が通る通路をのれん式に開閉するダンパ装置において、前記弁体は、アームに対しある制限をもった範囲で自由に動くことが可能なことを特徴とするダンパ装置が提供される。
【0108】
(同、請求項2に対応)
好ましくは、前記回転軸は、前記開口部の範囲内に位置し、前記アーム部が短いことを特徴とし、開口率の高いのれん式のダンパ装置でありながら、装置外形をコンパクトに抑えたことを特徴とする。
【0109】
(同、請求項3に対応)
好ましくは、前記弁体は、前記アームと該弁体とを結合するピンからオフセットされた位置に圧縮バネを具備し、前記圧縮バネの力によって常に決まった角度の位置関係を維持しようとし、さらに前記圧縮バネは前記ピンに対し前記回転軸から離れた方向に設置されているため、前記弁体がシール材と接触していないフリーな状態では、常に前記弁体は前記アームに対し前記回転軸側で接近している(アームと弁体とが平行でない)ことを特徴とする。
【0110】
(同、請求項4に対応)
好ましくは、前記弁体が開いている状態では、該弁体は前記回転軸側で前記アームに接近しているため、該回転軸に近い前記弁体は、断両性のある前記シール材と接触することなく(シール材を引きずることなく)旋回することが可能であり、前記弁体が閉じている状態になり前記シール材を潰し込む初期には、前記回転軸からより離れた前記弁体の縁から前記シール材との接触が始まり、潰し込む中期から後期にかけて該弁体が次第に前記シール材全体を平均に潰し込み、シール材の耐久性向上と気密性を保つことを特徴とする。
【符号の説明】
【0111】
2 ウエハ
4 ポッド
10 基板処理装置
12 基板処理装置本体
14 搬入出部
30 バッファ棚
40 回転棚
50 ポッド移送装置
60 待機室
70 待機搬入出部
72 ポッド開閉装置
80 熱処理装置
90 ボート昇降装置
94 ボート
110 ウエハ移載装置
112 移載昇降装置
114 クリーンユニット
120 循環風導部
122 吹出部
124 吸込部
126 第一の連結部
128 第二の連結部
132 不活性ガス供給管
140 開閉ダンパー装置
142 空気供給管
146 冷却装置
200 排出部
204 排出管
206 迂回路
250 枠体
252 開口部
254 開閉部
256 密閉部材
260 駆動部
262 開閉軸
264 開閉調整部
266 弁体
270 腕部
272 付勢部材
274 接続体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部が形成された枠体と、
前記開口部を開閉する弁体と、
前記枠体の前記開口部周辺に設けられ、前記弁体が閉じられた場合、前記弁体が密着するシール部材と、
前記枠体に設けられた開閉軸と、
前記開閉軸を中心として回転するように設けられ、前記弁体を移動自在に支持する支持体と、
前記弁体の前記開閉軸が設けられた側よりも反対側が前記シール部材に近づくように前記弁体を付勢する付勢部材と、
を有する開閉ダンパー装置。
【請求項2】
前記支持体は前記開閉軸に固定され、
前記開閉軸を回転させる駆動部をさらに有する請求項1記載の開閉ダンパー装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−253198(P2012−253198A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−124719(P2011−124719)
【出願日】平成23年6月3日(2011.6.3)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】