説明

雄型締結具

【課題】大型化することなく、締結部に十分な液密シール性を付与することができる雄型締結具を提供する。
【解決手段】雄型締結具1は、本体部20とフランジ部21の座面22間に形成された環状凹部27を有する雄型締結具本体2と、環状凹部27に配置された樹脂製リング状部材3とからなる。環状凹部は、フランジ部の座面に向かって浅くなる環状凹部周縁部29を備え、樹脂製リング状部材は、下面が座面より突出する環状突出部31と、外縁33が環状凹部周縁部29の外縁もしくは外縁より若干本体部側に位置する環状外周部35とを備える。雄型締結具1は、座面の内縁と樹脂製リング状部材の外縁間に環状凹部34を備え、雄型締結具1の取付対象部位への取付時に変形し、座面の雄型締結具の取付対象部位への圧接を阻害せず、取付対象部位に対して環状液密シール部を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、シール性が要求される部位での締結に用いられる雄型締結具に関する。
【背景技術】
【0002】
ボルト、ナット、プラグなどの締結具を用いて種々のものが締結対象部位に固定されている。そして、締結対象部位によって、水、油などの洩れが生じないようなシール性を有する締結が必要となる場合がある。
このようなシール性が求められる締結部位での締結は、締結部分に金属製のワッシャリングと併用にゴムリング等のシールリングを用いている。しかし、このようなものでは、シール締結部分が肉厚となること、シールリングの偏りなどによるシール不良が生じることがあった。
【0003】
そこで、多くのシール機能を有する締結具(例えば、ボルト)が提案されている。例えば、特公平2−50328号公報(特許文献1)のボルトでは、ボルトヘツド下面の首部外周面に断面ほぼ半円形状の環状溝部を凹設し、該環状溝部内に嵌装される環状パツキンの下面からボルト孔の開口縁部に形成した充填部に充填可能に断面略三角形状の舌縁環部を一体に形成したパツキン材とによりボルト孔に締結するボルトにおいて、前記環状溝部には環状溝部内方に突出する環状突条あるいは環状溝部外方に向けて環状凹部を設ける構成とした首部密封部を有している。
【0004】
また、本願出願人は、国際公開WO2008/10523(特許文献2)を提案している。特許文献2のボルト1は、ねじ部5と、ねじ部5の上端部に形成された頭部6と、頭部6の下端部に形成されたフランジ部7とを有するボルト本体2と、フランジ部7の外周部を被包する非導電性樹脂製リング状部材3とを備える。フランジ部7は、円盤状のフランジ部本体部71と、フランジ部本体部71の下面よりねじ部側に延び、フランジ部本体部71より小径であり、かつボルトの取付対象部位に圧接される座面73を有する座面形成部72を備える。樹脂製リング状部材3は、座面73よりもねじ部5の下端側かつフランジ部本体部7より外側に位置するエッジ部31と、エッジ部31に向かって拡径する環状袴部32を備え、環状袴部32は、ボルトの取付対象部位への取付時に変形し、座面73のボルトの取付対象部位への圧接を阻害しないものであるとともに、取付対象部位に対して環状液密シール部を形成するものとなっている。特許文献2のボルトは、電食防止ボルトとして特に有効である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特公平2−50328号公報
【特許文献2】国際公開WO2008/10523
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のものでも、ある程度の効果を有するが、より高い液密シール性が求められている。また、特許文献2のものでは、十分なシール性を有するが、非導電性樹脂製リング状部材が、ボルト本体より延出するため、ボルトの頭部全体が大きくなり、使用できる対象が限定されるものであった。
そこで、本発明の目的は、大型化することなく、かつ、締結部に十分な液密シール性を付与することができる雄型締結具を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するものは、以下のものである。
(1) 雄ねじ部を有する本体部と、該本体部の上端部に設けられ、下面外周に取付対象部位に圧接される座面を有するフランジ部と、前記本体部と前記フランジ部の前記座面間に形成された環状凹部とを少なくとも有する雄型締結具本体と、前記雄型締結具本体の前記環状凹部に配置された樹脂製リング状部材とからなる雄型締結具であり、
前記雄型締結具本体の前記環状凹部は、前記本体部側より前記座面に向かって徐々に深さが浅くなる環状凹部周縁部を備え、
前記樹脂製リング状部材は、前記環状凹部のほぼ全体を埋めるとともに、下面が前記座面より突出する環状突出部と、該環状突出部と前記樹脂製リング状部材の外縁間に形成されたテーパー状もしくは曲面状底面を有し、徐々に肉薄となり、かつ、前記外縁が前記環状凹部周縁部の外縁もしくは該外縁より若干前記本体部側に位置する環状外周部とを備え、
前記雄型締結具は、前記座面の内縁と前記樹脂製リング状部材の外縁部間に形成された環状凹部を備えるとともに、前記樹脂製リング状部材は、前記雄型締結具の取付対象部位への取付時に変形し、前記座面の前記雄型締結具の取付対象部位への圧接を阻害しないものであるとともに、前記取付対象部位に対して環状液密シール部を形成するものである雄型締結具。
【0008】
(2) 前記樹脂製リング状部材は、前記環状突出部の内周部より縮径しながら前記本体部方向に延びるテーパー状内周側突出部を有している上記(1)に記載の雄型締結具。
(3) 前記雄型締結具本体の前記環状凹部は、前記フランジ部と前記本体部の境界部より前記フランジ部の前記座面方向にほぼ同じ深さにて延びるもしくは断面が円弧状となっている主環状凹部を備え、前記座面に向かって徐々に深さが浅くなる前記環状凹部周縁部は、前記主環状凹部と前記座面間に設けられているものである上記(1)または(2)に記載の雄型締結具。
(4) 前記樹脂製リング状部材の前記環状外周部の外縁は、前記雄型締結具本体の前記環状凹部周縁部の前記外縁より若干前記本体部側に位置するものである上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の雄型締結具。
(5) 前記環状突出部の下面は、平坦面となっている上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の雄型締結具。
(6) 前記環状突出部の下面は、湾曲面となっている上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の雄型締結具。
(7) 前記雄型締結具は、前記フランジ部の上面より前記本体部方向に延びる工具装着孔を有するシールプラグである上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の雄型締結具。
(8) 前記雄型締結具は、前記フランジ部の上部に設けられた頭部を有するシールボルトである上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の雄型締結具。
(9) 前記樹脂製リング状部材は、前記雄型締結具本体に対してインサート成形により形成されている上記(1)ないし(8)のいずれかに記載の雄型締結具。
(10) 前記樹脂製リング状部材は、曲げ弾性率が800〜3000MPaかつ引張り破断伸びが約10〜200%の樹脂により形成されている上記(1)ないし(9)のいずれかに記載の雄型締結具。
(11) 前記樹脂製リング状部材は、前記雄型締結具本体に対してインサート成形により形成され、かつ、前記樹脂製リング状部材を形成する樹脂の冷却時の収縮により、前記樹脂製リング状部材は、前記雄型締結具本体に固定されている上記(1)ないし(8)のいずれかに記載の雄型締結具。
【発明の効果】
【0009】
本発明の雄型締結具は、 雄ねじ部を有する本体部と、本体部の上端部に設けられ、下面外周に取付対象部位に圧接される座面を有するフランジ部と、本体部とフランジ部の座面間に形成された環状凹部とを少なくとも有する雄型締結具本体と、雄型締結具本体の環状凹部に配置された樹脂製リング状部材とからなる。そして、雄型締結具本体の環状凹部は、座面に向かって徐々に深さが浅くなる環状凹部周縁部を備える。樹脂製リング状部材は、環状凹部のほぼ全体を充満し、かつ、下面が座面より突出する環状突出部と、環状突出部と樹脂製リング状部材の外縁間に形成されたテーパー状もしくは曲面状底面を有し、徐々に肉薄となり、かつ外縁が環状凹部の環状凹部周縁部の外縁もしくは外縁より若干本体部側に位置する環状外周部とを備える。樹脂製リング状部材は、雄型締結具の取付対象部位への取付時に変形し、座面の雄型締結具の取付対象部位への圧接を阻害しないものであるとともに、取付対象部位に対して環状液密シール部を形成するものである。
このため、取付対象部位に締結した場合に、締結部位を確実に液密にシール可能であり、かつ、締結具の座面による軸力を保持でき、さらに、シールのための樹脂製リング状部材に起因して締結具が顕著に大型化することもない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明の雄型締結具をシールプラグに応用した実施例の正面図である。
【図2】図2は、図1に示した雄型締結具の平面図である。
【図3】図3は、図1に示した雄型締結具の底面図である。
【図4】図4は、図1のA−A線断面図である。
【図5】図5は、図1に示した実施例の雄型締結具に用いられている雄型締結具本体の断面図である。
【図6】図6は、図1に示した実施例の雄型締結具に用いられている雄型締結具本体の部分拡大断面図である。
【図7】図7は、図1に示した実施例の雄型締結具の部分拡大断面図である。
【図8】図8は、本発明の雄型締結具をシールボルトに応用した実施例の正面図である。
【図9】図9は、図8に示した雄型締結具の平面図である。
【図10】図10は、図8の拡大縦断面図である。
【図11】図11は、図8に示した実施例の雄型締結具の部分拡大断面図である。
【図12】図12は、本発明の雄型締結具の作用を説明するための説明図である。
【図13】図13は、本発明の雄型締結具の作用を説明するための説明図である。
【図14】図14は、本発明の雄型締結具の作用を説明するための説明図である。
【図15】図15は、本発明の雄型締結具の作用を説明するための説明図である。
【図16】図16は、本発明の他の実施例の雄型締結具に用いられる雄型締結具本体の部分拡大断面図である。
【図17】図17は、本発明の他の実施例の雄型締結具に用いられる雄型締結具本体の部分拡大断面図である。
【図18】図18は、本発明の他の実施例の雄型締結具に用いられる雄型締結具本体の部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の雄型締結具を図面に示す実施例を用いて説明する。
本発明の雄型締結具1は、 雄ねじ部23を有する本体部20と、本体部20の上端部に設けられ、下面外周に取付対象部位に圧接される座面22を有するフランジ部21と、本体部20とフランジ部21の座面22間に形成された環状凹部27とを少なくとも有する雄型締結具本体2と、雄型締結具本体2の環状凹部27に配置された樹脂製リング状部材3とからなる。そして、雄型締結具本体2の環状凹部27は、座面に向かって徐々に深さが浅くなる環状凹部周縁部29を備える。樹脂製リング状部材3は、環状凹部27のほぼ全体を充満し、かつ、下面が座面より突出する環状突出部31と、環状突出部31と樹脂製リング状部材3の外縁33間に形成されたテーパー状もしくは曲面状底面を有し、徐々に肉薄となり、かつ外縁33が環状凹部27の環状凹部周縁部29の外縁もしくは外縁より若干本体部側に位置する環状外周部35とを備える。そして、雄型締結具1は、座面22の内縁22aと樹脂製リング状部材3の外縁部間に形成された環状凹部34を備えるとともに、樹脂製リング状部材3は、雄型締結具1の取付対象部位への取付時に変形し、座面22の雄型締結具の取付対象部位への圧接を阻害しないものであるとともに、取付対象部位に対して環状液密シール部を形成するものである。
【0012】
図1ないし図7には、本発明の雄型締結具をシールプラグに応用した実施例が図示されている。
本発明の雄型締結具(シールプラグ)1は、雄型締結具本体(シールプラグ本体)2と、雄型締結具本体(シールプラグ本体)2の環状凹部27に配置された樹脂製リング状部材3とからなる。この実施例のシールプラグでは、締結と同時にシール効果が発現する。また、通常シールプラグと同等の軸力保持を行うことができ、低トルク(軸力)でシール効果も発現する。さらに、ワッシャー、Oリングなどの組み込みが不要となり、締結作業が容易となる。
シールプラグ本体2は、 雄ねじ部23を有する本体部20と、本体部20の上端部に設けられ、下面外周に取付対象部位に圧接される座面22を有するフランジ部21と、本体部20とフランジ部21の座面22間に形成された環状凹部27とを有する。
【0013】
雄型締結具本体(シールプラグ本体)2は、高張力鋼、ステンレス鋼などの鉄系鋼材により形成されている。そして、雄型締結具本体(シールプラグ本体)2は、図1ないし図7に示すように、外面に雄ねじ部23を有する本体部20と、本体部20の上端部に設けられ、本体部より、大きな外径を有するフランジ部21とを備えている。
本体部20は、この実施例では、所定長の長さを有する円柱状もしくは円筒状のものであり、比較的短いものとなっており、その外周面の全体に雄ねじ部23が形成されている。なお、雄ねじ部23は、本体部の一部のみ(例えば、下端部のみ)に設けられていてもよい。また、この実施例では、図3ないし図5に示すように、本体部20の底面20aは、閉塞するとともに平坦面となっている。
【0014】
フランジ部21は、本体部20の上端部より、半径方向に延出する円盤状のものとなっている。そして、フランジ部21の底面に、環状の座面22が形成されている。座面22は、環状の平坦部となっており、取付対象部位に取り付けられた際に所定の軸力を保持可能となっている。フランジ部21は、実質的に同一外径の円盤状となっている。また、フランジ部21は、本体部20と同心(同じ中心軸を有するもの)となっている。
そして、雄型締結具本体(シールプラグ本体)2は、図5および図6に示すように、本体部20とフランジ部21の座面22間に形成された環状凹部27を備えている。そして、環状凹部27は、図6に示すように、フランジ部21と本体部20の境界部よりフランジ部21の座面22方向に延び、かつほぼ同じ深さを有する主環状凹部28と、主環状凹部28と座面22間に設けられ、座面22に向かって徐々に深さが浅くなる環状凹部周縁部29とを備える。具体的には、環状凹部27は、座面22の内縁22aを始端として、本体部22方向かつフランジ部の上面方向に延びる環状傾斜面27aと、この環状傾斜面27aの終端を始端とし、座面22とほぼ平行かつ本体部方向に延びる環状平坦面27bと、環状平坦面27bの終端を始端とし、本体部22方向に湾曲する環状湾曲面27cと、環状湾曲面27cの終端を始端として、本体部20まで延びる環状柱状面27dとを備えている。そして、環状柱状面27dの高さ(環状柱状面の直径)は、本体部20のねじ山23aより低く(ねじ山部の直径より小さく)、かつ、本体部20のねじ溝23bより高い(ねじ溝部の直径より大きい)ものとなっている。また、環状柱状面27dは、フランジ部を越えて、本体部20まで延びるものとなっており、かつ、環状柱状面27dは、本体部20の雄ねじ部の終端部を形成するねじ溝部付近と連続するものとなっている。また、この実施例の雄型締結具1では、フランジ部21の下面の外縁は、面取りされている。
【0015】
なお、雄型締結具本体(シールプラグ本体)として、図16に示すようなタイプのものであってもよい。この実施例の雄型締結具本体(シールプラグ本体)2aは、図16に示すように、本体部20とフランジ部21の座面22間に形成された環状凹部27を備えている。そして、環状凹部27は、図16に示すように、フランジ部21と本体部20の境界部よりフランジ部21の座面22方向に延び、断面が円弧状となっている主環状凹部28aと、主環状凹部28aと座面22間に設けられ、座面22に向かって徐々に深さが浅くなる環状凹部周縁部29とを備える。具体的には、環状凹部27は、座面22の内縁22aを始端として、本体部22方向かつフランジ部の上面方向に延びる環状傾斜面27aと、この環状傾斜面27aの終端を始端とし、本体部方向に延びる環状円弧面27eを備えている。そして、環状円弧面27e部分にて、主環状凹部28aが形成されており、上述した雄型締結具本体2が備えるほぼ同じ深さを有する主環状凹部28を持たないものとなっている。
また、雄型締結具本体(シールプラグ本体)として、図17に示すようなタイプのものであってもよい。この実施例の雄型締結具本体(シールプラグ本体)2bは、図17に示すように、本体部20とフランジ部21の座面22間に形成された環状凹部27を備えている。そして、環状凹部27は、図17に示すように、フランジ部21と本体部20の境界部よりフランジ部21の座面22方向に延び、断面が小さな円弧状となっている主環状凹部28bと、主環状凹部28bと座面22間に設けられ、座面22に向かって徐々に深さが浅くなる環状凹部周縁部29とを備える。具体的には、環状凹部27は、座面22の内縁22aを始端として、本体部22方向かつフランジ部の上面方向に延びる環状傾斜面27aと、この環状傾斜面27aの終端を始端とし、本体部方向に延びる小さな環状円弧面27fと、環状円弧面27fの終端を始端として、本体部20まで延びる環状柱状面27dとを備えている。そして、環状円弧面27f部分にて、主環状凹部28bが形成されており、上述した雄型締結具本体2が備えるほぼ同じ深さを有する主環状凹部28持たないものとなっている。
【0016】
また、雄型締結具本体(シールプラグ本体)として、図18に示すようなタイプのものであってもよい。この実施例の雄型締結具本体(シールプラグ本体)2cは、図18に示すように、本体部20とフランジ部21の座面22間に形成された環状凹部27を備えている。そして、環状凹部27は、図18に示すように、フランジ部21と本体部20の境界部よりフランジ部21の座面22方向に延び、断面が小さな円弧状となっている主環状凹部28cと、主環状凹部28cと座面22間に設けられ、座面22に向かって徐々に深さが浅くなる環状凹部周縁部29とを備える。具体的には、環状凹部27は、座面22の内縁22aを始端として、本体部22方向かつフランジ部の上面方向に延びる環状湾曲面27gと、この環状湾曲面27gの終端を始端とし、本体部方向に延びる環状円弧面27fと、環状円弧面27fの終端を始端として、本体部20まで延びる環状柱状面27dとを備えている。そして、環状円弧面27f部分にて、主環状凹部28cが形成されており、上述した雄型締結具本体2が備えるほぼ同じ深さを有する主環状凹部28を持たないものとなっており、また、環状凹部周縁部29は、テーパー面ではなく、湾曲面となっている。また、座面22の内縁22aを始端として、本体部22方向かつフランジ部の上面方向に延びる環状湾曲面27gは、図18に示すように、中央部付近に変曲点を有する湾曲面となっており、変曲点より内縁22a側が若干突出した湾曲面となっており、変曲点より環状円弧面27f側が若干窪んだ湾曲面となっている。
【0017】
そして、本体部20の外径Dとしては、4〜70mmが好適であり、特に、5〜50mmが好ましく、本体部20の長さとしては、5〜200mmが好適であり、特に、6〜100mmが好ましい。また、フランジ部21の外径としては、本体部の外径Dの1〜3倍が好適であり、特に、1.2〜2.0倍が好適である。
また、図6に示す環状凹部の幅L1(座面22の内縁22aと本体部20間の距離、座面の内縁22aと環状凹部27の環状柱状面27d間の距離)は、本体部の外径Dの0.05〜0.8倍が好適であり、特に、0.1〜0.6倍が好適である。また、図6に示す環状凹部27の主環状凹部28の幅L2は、本体部の外径Dの0〜0.3倍が好適であり、図6に示す環状凹部27の深さL3は、0.3〜2.0mmが好適であり、特に、0.5〜1.5mmが好適である。さらに、図6に示す環状凹部27の環状凹部周縁部29を形成する環状傾斜面27aと座面22間の角度θ1は、120度〜170度が好適であり、特に、130度〜160度が好ましい。
図7における雄型締結具本体(シールプラグ本体)2の座面の有効幅M6は、雄型締結具の太さ(言い換えれば、本体部の外径)によって相違するが、幅M6は、1.5mm〜5mmが好適である。また、座面の好適な面積も締結具の本体部の外径によって相違するが、座面の面積は、80mm〜300mmが好適である。
【0018】
そして、この実施例の雄型締結具(シールプラグ)1では、雄型締結具本体(シールプラグ本体)2は、フランジ部21の上面より本体部方向に延びる工具装着孔24が設けられている。工具装着孔24は、フランジ部21の上面の中心より、本体部20方向に延び、かつ、フランジ部21を貫通し、下端面24aは、本体部20内に位置するものとなっている。そして、工具装着孔24は、使用される工具に対応した形状となっており、この実施例では、正多角柱状内面(具体的には、正六角柱状内面)を有するものとなっている。さらに、工具装着孔24の上端周縁25は、工具の挿入を容易とするために環状テーパー面となっている。さらに、工具装着孔24の底面24aは、挿入された工具の先端部を収納可能とする中心に向かって深くなるテーパー状底面となっている。
【0019】
樹脂製リング状部材3は、図7に示すように、外縁33が環状凹部27の環状凹部周縁部29の外縁22a(座面22の内縁)もしくは外縁22a(座面22の内縁)より若干本体部側に位置し、かつ、環状凹部のほぼ全体を埋めるとともに、下面が座面22より下方に突出する環状突出部31と、環状突出部31と樹脂製リング状部材3の外縁33間に形成されたテーパー状もしくは曲面状底面を有し、外縁33に向かって徐々に肉薄となる環状外周部35とを備える。
この実施例の樹脂製リング状部材3は、図7に示すように、下面が座面22より下方に突出し、かつ、突出する環状突出部31の下面は、所定長同じ高さで外縁方向に延びる平坦面となっている。なお、環状突出部の下面は、湾曲面となっているものであってもよい。
【0020】
そして、この実施例では、樹脂製リング状部材3の環状外周部35は、環状突出部31と樹脂製リング状部材3の外縁33間に形成されたテーパー状もしくは曲面状底面を有し、外縁33に向かって徐々に肉薄となるとともに、樹脂製リング状部材3は、座面22に到達しないものとなっている。このため、雄型締結具1は、座面22の内縁22aと樹脂製リング状部材3の外縁部間に、樹脂製リング状部材3の外縁33を頂点とする断面略三角形状の環状凹部34を備えるものとなっている。なお、樹脂製リング状部材3は、その外縁が座面22の内縁に到達するものであってもよいが、座面上にまで延出しないことが必要である。
樹脂製リング状部材3の外径は、雄型締結具の太さ(言い換えれば、本体部の外径)によって相違する。締結具の本体部の外径Dに対して、樹脂製リング状部材の外径は、0.5Dmm〜2.5Dmmが好適であり、特に、0.8Dmm〜2.0Dmmが好ましい。また、図7に示す、環状突出部31の座面22に対する突出高さM1は、0.05〜0.5mmであることが好ましく、特に、0.1〜0.4mmであることが好ましい。また、図7に示す、樹脂製リング状部材31の外縁33と座面22の内縁22a間の距離M2は、0〜0.7mmであることが好ましく、特に、0.1〜0.5mmであることが好ましい。
【0021】
そして、この実施例の雄型締結具1では、樹脂製リング状部材3は、環状突出部31の内周部より縮径しながら本体部方向に延びるテーパー状内周側突出部36を備えている。テーパー状内周側突出部36は、所定長本体部20の下端方向に延びるものとなっており、その外面は、本体部20の下端に向かって縮径する環状テーパー面となっている。そして、このテーパー状内周側突出部36の端部は、本体部20の雄ねじ部の終端部を形成するねじ溝を埋めるものとなっている。そして、図7に示す環状突出部31とテーパー状内周側突出部36間の角度θ2は、90度〜180度が好適であり、特に、120度〜180度が好ましい。また、締結具の本体部の外径Dに対して、図7における樹脂製リング状部材3の外縁とテーパー状内周側突出部36の外縁間の距離M3は、0.1D〜0.6Dmmであることが好ましい。また、図7におけるテーパー状内周側突出部36の外縁と環状凹部27の環状柱状面27d間の距離M4は、0〜1.0mmであることが好ましく、特に、0〜0.8mmであることが好ましい。また、図7におけるテーパー状内周側突出部36の長さM5は、0〜3.0mmであることが好ましく、特に、0.5〜2.0mmであることが好ましい。
そして、この実施例のシールプラグ1の樹脂製リング状部材3は、雄型締結具1の取付対象部位への取付時に変形し、座面22の雄型締結具の取付対象部位への圧接を阻害しないものであるとともに、取付対象部位に対して環状液密シール部を形成するものである。
【0022】
具体的には、本発明の雄型締結具(シールプラグ)1は、図12ないし図15に示すように、液密性が求められる金属成型物の取付対象部位(例えば、自動車用品)に取り付けられる。図12に示す例では、取付対象部位5には、雌ねじを有する固定用孔が設けられており、本発明のシールプラグ1は、固定対象部材5の雌ねじ52と螺合される。そして、螺合が進行することにより、図13に示すように、樹脂製リング状部材3が、固定対象部材5の表面51に接触し、さらに螺合を進行させることにより、樹脂製リング状部材3が、つぶされるように変形する。そして、樹脂製リング状部材3は、樹脂製リング状部材の外縁方向ではなく、中心方向に押し込まれるように変形し、取付対象部位に対して環状液密シール部を形成する。そして、所定のトルク以上に締結されると、シールプラグ1の座面22は、固定対象部材5の表面51に圧接され、取付作業が完了し、図14の状態となる。また、所定期間経過後において、シールプラグ1を固定対象部材5よりゆるめると、図15に示すように、樹脂製リング状部材3は、圧縮前形状完全に戻らないもののある程度復元可能となっている。このため、固定対象部材5への再締結時においても取付対象部位に対して環状液密シール部を形成する。
【0023】
樹脂製リング状部材3は、雄型締結具本体(シールプラグ本体)2にインサート成形により形成されていることが望ましい。このため、リング状部材3の形成材料としては、インサート成形可能な熱可塑性樹脂が用いられる。ここでいうインサート成形とは、作製された雄型締結具本体(シールプラグ本体)を金型内に挿入した後、溶融樹脂を射出することにより、リング状部材を形成することを言う。さらに、使用する樹脂は、冷却時に若干収縮するものであることが好ましい。このような樹脂を用い、かつインサート成形すること、すなわち、樹脂製リング状部材を形成する樹脂の冷却時の収縮を用いて、脂製リング状部材を雄型締結具本体(シールプラグ本体)に固定することができる。樹脂製リング状部材が冷却時に収縮することにより、内径が縮径する方向に収縮することになり、雄型締結具本体(シールプラグ本体)への密着が良好なもの、言い換えれば、自らの変形(圧縮)により、圧着された状態を形成する。
また、樹脂製リング状部材3の形成材料としては、曲げ弾性率が200〜3000MPaであることが好ましく、特に、500〜2500MPaであることが好ましく、また、引張り破断伸びが5〜300%であることが好ましく、特に、15〜200%であることが好ましい。
樹脂製リング状部材3の形成材料としては、ウレタンゴム、シリコーンゴム、ブタジエンゴム、プロピレンゴムなどの合成ゴム、ラテックスゴムなどの天然ゴム、オレフィン系エラストマー(ポリエチレンエラストマー、ポリプロピレンエラストマー)、アミド系エラストマー(ポリアミドエラストマー)、スチレン系エラストマー(例えば、スチレン−ブタジエン−スチレンコポリマー、スチレン−イソプレン−スチレンコポリマー、スチレン−エチレンブチレン−スチレンコポリマー)、ウレタン系エラストマー(ポリエステル系ポリウレタンエラストマー、ポリエーテル系ポリウレタンエラストマー)などのエラストマーを用いてもよい。
さらに、樹脂製リング状部材3の形成材料としては、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート)、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレンコポリマー)、ポリアミド(6ナイロン,66ナイロン、変性ナイロン)、ポリサルホン、ポリアリレート、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルイミドなどさらにはそれらのブレンド物もしくはポリマーアロイが使用できる。
【0024】
なお、本発明の雄型締結具は、上述したシールプラグに限定されるものではなく、図8ないし図11に示すようなシールボルトであってもよい。
この実施例のシールボルト10と、上述したシールプラグ1との相違点は、締結具本体が、シールプラグ本体ではなく、シールボルト本体である点のみの相違であり、環状凹部の形態、樹脂製リング状部材については、上述したものと同じである。
この実施例のシールボルト10は、 雄ねじ部15を有する本体部12と、本体部12の上端部に設けられ、下面外周に取付対象部位に圧接される座面18を有するフランジ部17と、本体部12とフランジ部17の座面18間に形成された環状凹部27とを少なくとも有するシールボルト本体11と、シールボルト本体11の環状凹部27に配置された樹脂製リング状部材3とからなる。そして、シールボルト本体11の環状凹部27は、フランジ部17と本体部12の境界部よりフランジ部17の座面18方向に延び、かつほぼ同じ深さを有する主環状凹部と、主環状凹部と座面18間に設けられ、座面に向かって徐々に深さが浅くなる環状凹部周縁部とを備える。樹脂製リング状部材3は、外縁が環状凹部27の環状凹部周縁部の外縁より若干本体部側に位置し、かつ、環状凹部のほぼ全体を充満し、かつ、下面が座面より突出する環状突出部と、環状突出部と樹脂製リング状部材3の外縁間に形成されたテーパー状もしくは曲面状底面を有し、徐々に肉薄となる環状外周部とを備える。そして、この実施例のシールボルト10においても、座面18の内縁と樹脂製リング状部材3の外縁間に、樹脂製リング状部材3の外縁を頂点とする断面略三角形状の環状凹部を備えるとともに、樹脂製リング状部材3は、シールボルト10の取付対象部位への取付時に変形し、座面18の雄型締結具の取付対象部位への圧接を阻害しないものであるとともに、取付対象部位に対して環状液密シール部を形成するものである。
【0025】
図8ないし図11には、本発明の雄型締結具をシールボルトに応用した実施例が図示されている。
この実施例の雄型締結具(シールボルト)10は、雄型締結具本体(シールボルト本体)11と、雄型締結具本体(シールボルト本体)11の環状凹部27に配置された樹脂製リング状部材3とからなる。この実施例のシールボルトにおいても、締結と同時にシール効果が発現する。また、通常シールボルトと同等の軸力保持を行うことができ、低トルク(軸力)でシール効果も発現する。さらに、ワッシャー、Oリングなどの組み込みが不要となり、締結作業が容易となる。
シールボルト本体11は、高張力鋼、ステンレス鋼などの鉄系鋼材により形成されている。そして、シールボルト本体11は、図8ないし図11に示すように、雄ねじ部15を有する本体部12と、本体部の上端部に形成されたフランジ部17と、フランジ部17の上端部に形成された頭部16とを備える。本体部12には、その全体もしくは一部の外面に、雄ねじが形成されている。頭部16は、この実施例では、フランジ部17の上端に形成されているとともに、本体部11の外径より大きく形成され、かつ、レンチなどによる回動操作のために多角柱状に形成されている。
そして、フランジ部17は、頭部16の下端部に形成され、頭部16より大きい外径を有する。さらに、フランジ部17は、円盤状のフランジ部本体部と、フランジ部本体部の下面により形成された座面18を有する。座面18は、平坦部となっており、取付対象部位に取り付けられた際に所定の軸力を保持可能となっている。そして、この実施例のシールボルト10では、フランジ部の上面は、頭部16に向かって縮径するテーパー部となっている。
そして、この実施例のシールボルト10においても、環状凹部の形態、樹脂製リング状部材については、上述したものと同じであることが好ましい。
【実施例】
【0026】
(実施例1)
鋼を用いて、フランジ部の径φ33.5mm、厚さ3.5mm、外面に雄ねじを有する本体部φ24mm、雄ねじ長さ7.5mmであり、図1ないし図7に示すような形状かつ環状凹部を有するシールプラグ本体を作製した。
作製したシールプラグ本体の図6に示す環状凹部の幅L1(座面22の内縁22aと本体部20間の距離、座面の内縁22aと環状凹部27の環状柱状面27d間の距離)は、3.75mmであり、環状凹部27の主環状凹部28の幅L2は、1.5mmであり、環状凹部27の深さL3は、1.0mmであり、環状凹部27の環状凹部周縁部29を形成する環状傾斜面27aと座面22間の角度θ1は、150度であり、図7における座面の有効幅M6は、1.87mmであった。
そして、作製したシールプラグ本体を金型内に挿入し、溶融樹脂(PPE:ポリフェニレンエーテル)を注入し、シールプラグ本体の環状凹部に図1ないし図7に示すような形態の樹脂製リング状部材を設け、本発明の雄型締結具であるシールプラグを作製した。
作製されたシールプラグの図7に示す、樹脂製リング状部材31の座面22に対する突出高さM1は、0.25mmであり、樹脂製リング状部材3の外縁33と座面22の内縁22a間の距離M2は、0.15mmであり、樹脂製リング状部材3の外縁とテーパー状内周側突出部36の外縁間の距離M3は、2.38mmであり、テーパー状内周側突出部36の外縁と環状凹部27の環状柱状面27d間の距離M4は、0.5mmであり、テーパー状内周側突出部36の長さM5は、1.0mmであり、環状突出部31とテーパー状内周側突出部36間の角度θ2は、125度であった。
【0027】
(実施例2)
鋼を用いて、フランジ部の径φ19mm、厚さ3mm、外面に雄ねじを有する本体部φ10mm、長さ11mmであり、図1ないし図7に示すような形状かつ環状凹部を有するシールプラグ本体を作製した。
作製したシールプラグ本体の図6に示す環状凹部の幅L1(座面22の内縁22aと本体部20間の距離、座面の内縁22aと環状凹部27の環状柱状面27d間の距離)は、3.12mmであり、環状凹部27の主環状凹部28の幅L2は、1.58mmであり、環状凹部27の深さL3は、1.0mmであり、環状凹部27の環状凹部周縁部29を形成する環状傾斜面27aと座面22間の角度θ1は、135度であり、図7における座面の有効幅M6は、1.88mmであった。
そして、作製したシールプラグ本体を金型内に挿入し、溶融樹脂(PPE:ポリフェニレンエーテル)を注入し、シールプラグ本体の環状凹部に図1ないし図7に示すような形態の樹脂製リング状部材を設け、本発明の雄型締結具であるシールプラグを作製した。
作製されたシールプラグの図7に示す、樹脂製リング状部材31の座面22に対する突出高さM1は、0.25mmであり、樹脂製リング状部材3の外縁33と座面22の内縁22a間の距離M2は、0mmであり、樹脂製リング状部材3の外縁とテーパー状内周側突出部36の外縁間の距離M3は、2.66mmであり、テーパー状内周側突出部36の外縁と環状凹部27の環状柱状面27d間の距離M4は、0.25mmであり、テーパー状内周側突出部36の長さM5は、1.5mmであり、環状突出部31とテーパー状内周側突出部36間の角度θ2は、102度であった。
【0028】
(実施例3)
鋼を用いて、フランジ部の径φ14.5mm、厚さ1.5mm、外面に雄ねじを有する本体部φ6mm、長さ45mm、雄ねじの長さ35mmであり、図18ないし図11に示すような形状かつ環状凹部を有するシールボルト本体を作製した。
作製したシールボルト本体の図6(参照)に示す環状凹部の幅L1(座面22の内縁22aと本体部20間の距離、座面の内縁22aと環状凹部27の環状柱状面27d間の距離)は、2.96mmであり、環状凹部27の主環状凹部28の幅L2は、0.82mmであり、環状凹部27の深さL3は、0.9mmであり、環状凹部27の環状凹部周縁部29を形成する環状傾斜面27aと座面22間の角度θ1は、138度であり、図7(参照)における座面の有効幅M6は、2.25mmであった。
そして、作製したシールボルト本体を金型内に挿入し、溶融樹脂(PPE:ポリフェニレンエーテル)を注入し、シールボルト本体の環状凹部に樹脂製リング状部材を設け、本発明の雄型締結具であるシールボルトを作製した。
作製されたシールボルトの図7(参照)に示す、樹脂製リング状部材31の座面22に対する突出高さM1は、0.25mmであり、樹脂製リング状部材3の外縁33と座面22の内縁22a間の距離M2は、0mmであり、樹脂製リング状部材3の外縁とテーパー状内周側突出部36の外縁間の距離M3は、2.47mmであり、テーパー状内周側突出部36の外縁と環状凹部27の環状柱状面27d間の距離M4は、0.46mmであり、テーパー状内周側突出部36の長さM5は、0mmであり、環状突出部31とテーパー状内周側突出部36間の角度θ2は、180度であった。
【0029】
(比較例1)
実施例1のシールプラグ本体(樹脂製リング状部材を持たない)を比較例1のシールプラグとした。
(比較例2)
実施例1のシールプラグ本体(樹脂製リング状部材を持たない)に銅ワッシャーを装着したものを比較例2のシールプラグとした。
(比較例3)
実施例1のシールプラグ本体(樹脂製リング状部材を持たない)にアルミニウムワッシャーを装着したものを比較例3のシールプラグとした。
(比較例4)
実施例1のシールプラグ本体(樹脂製リング状部材を持たない)にステンレス鋼(SUS)ワッシャーを装着したものを比較例4のシールプラグとした。
【0030】
(比較例5)
実施例3のシールボルト本体(樹脂製リング状部材を持たない)を比較例5のシールボルトとした。
(比較例6)
実施例3のシールボルト本体(樹脂製リング状部材を持たない)に銅ワッシャーを装着したものを比較例6のシールボルトとした。
(比較例7)
実施例3のシールボルト本体(樹脂製リング状部材を持たない)にアルミニウムワッシャーを装着したものを比較例7のシールボルトとした。
(比較例8)
実施例1のシールボルト本体(樹脂製リング状部材を持たない)にステンレス鋼(SUS)ワッシャーを装着したものを比較例8のシールボルトとした。
【0031】
(実験1)
実施例1、比較例1ないし4のシールプラグについて、軸力保持特性測定実験を行った。
実施例1、比較例1ないし4のシールプラグを複数準備し、鉄製座面板に、締付間長さ2mm、軸力800kgf(プラグ伸びから算出)にてそれぞれのシールプラグを取り付けた。
そして、各温度に調整した高温槽で各シールプラグを取り付けた座面板を放置し、100時間放置後取り出し、プラグおよび座面板が常温状態となった後に残留伸び量を測定し、残留軸力を算出した。結果は以下の通りであった。
1) 高温槽温度(60℃)
実施例1 797kgf 比較例1 797kgf
比較例2 794kgf 比較例3 792kgf
比較例4 791kgf
2) 高温槽温度(80℃)
実施例1 786kgf 比較例1 794kgf
比較例2 791kgf 比較例3 784kgf
比較例4 781kgf
3) 高温槽温度(120℃)
実施例1 789kgf 比較例1 788kgf
比較例2 763kgf 比較例3 756kgf
比較例4 797kgf
4) 高温槽温度(150℃)
実施例1 794kgf 比較例1 791kgf
比較例2 758kgf 比較例3 719kgf
比較例4 792kgf
【0032】
(実験2)
実施例1、比較例1ないし4のシールプラグについて、シール特性測定実験を行った。
内面に雌ねじを有するプラグ装着孔と、プラグ装着孔と連通するエアー通路を備えるステンレス鋼製のリーク試験用治具を用い、この試験用治具に、各シールプラグを締め付けトルク10〜60N・mにて取り付けた。そして、試験用治具のエアー通路にエアー圧(1MPa)を負荷した後、試験用治具を水中に浸漬し、10分後に、プラグのフランジ付近からのエアー漏れの有無を目視にて確認した。
1) 締付トルク 10N・m、20N・m
実施例1、比較例1ないし4のすべてのシールボルトにおいてエアー漏れが確認された。
2) 締付トルク 30N・m
実施例1のシールボルトでは、エアー漏れが確認されなかったが、比較例1ないし4のシールボルトにおいてエアー漏れが確認された。
3) 締付トルク 40N・m
実施例1、比較例2のシールボルトでは、エアー漏れが確認されなかったが、比較例1、比較例3および4のシールボルトにおいてエアー漏れが確認された。
4) 締付トルク 50N・m
実施例1、比較例2および3シールボルトでは、エアー漏れが確認されなかったが、比較例1および比較例4のシールボルトにおいてエアー漏れが確認された。
5) 締付トルク 60N・m
実施例1、比較例2ないし4のシールボルトでは、エアー漏れが確認されなかったが、比較例1のシールボルトにおいてエアー漏れが確認された。
【0033】
(実験3)
実施例3、比較例5ないし8のシールボルトについて、軸力保持特性測定実験を行った。
実施例3、比較例5ないし8のシールボルトを複数準備し、鉄製座面板に、締付間長さ25mm、軸力800kgf(プラグ伸びから算出)にてそれぞれのシールボルトを取り付けた。
そして、各温度に調整した高温槽に各シールボルトを取り付けた座面板を浸積し、100時間放置後取り出し、ボルトおよび座面板が常温状態となった後に残留伸び量を測定し、残留軸力を算出した。結果は以下の通りであった。
1) 高温槽温度(60℃)
実施例1 792kgf 比較例1 790kgf
比較例2 792kgf 比較例3 790kgf
比較例4 791kgf
2) 高温槽温度(80℃)
実施例1 791kgf 比較例1 787kgf
比較例2 785kgf 比較例3 764kgf
比較例4 791kgf
3) 高温槽温度(120℃)
実施例1 790kgf 比較例1 790kgf
比較例2 777kgf 比較例3 744kgf
比較例4 798kgf
4) 高温槽温度(150℃)
実施例1 791kgf 比較例1 795kgf
比較例2 780kgf 比較例3 730kgf
比較例4 795kgf
【0034】
(実験4)
実施例3、比較例5ないし8のシールボルトについて、シール特性測定実験を行った。
内面に雌ねじを有するボルト装着孔と、ボルト装着孔と連通するエアー通路を備えるステンレス鋼製のリーク試験用治具を用い、この試験用治具に、各シールボルトを締め付けトルクを1〜9N・mにて取り付けた。そして、試験用治具のエアー通路にエアー圧(1MPa)を負荷した後、試験用治具を水中に浸漬し、10分後に、ボルトのフランジ付近からのエアー漏れの有無を目視にて確認した。
1) 締付トルク 1N・m、2N・m、3N・m
実施例3、比較例5ないし8のすべてのシールボルトにおいてエアー漏れが確認された。
2) 締付トルク 4N・m
実施例3のシールボルトでは、エアー漏れが確認されなかったが、比較例5ないし8のシールボルトにおいてエアー漏れが確認された。
3) 締付トルク 5N・m
実施例3のシールボルトでは、エアー漏れが確認されなかったが、比較例5ないし8のシールボルトにおいてエアー漏れが確認された。
4) 締付トルク 6N・m
実施例3、比較例6のシールボルトでは、エアー漏れが確認されなかったが、比較例5、比較例7および8のシールボルトにおいてエアー漏れが確認された。
5) 締付トルク 7N・m、8N・m、9N・m
実施例3、比較例6および7シールボルトでは、エアー漏れが確認されなかったが、比較例5および比較例8のシールボルトにおいてエアー漏れが確認された。
【符号の説明】
【0035】
1 雄型締結具(シールプラグ)
2 雄型締結具本体(シールプラグ本体)
3 樹脂製リング状部材
20 本体部
21 フランジ部
22 座面
23 雄ねじ部
27 環状凹部
28 主環状凹部
29 環状凹部周縁部
31 環状突出部
34 環状凹部
35 環状外周部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
雄ねじ部を有する本体部と、該本体部の上端部に設けられ、下面外周に取付対象部位に圧接される座面を有するフランジ部と、前記本体部と前記フランジ部の前記座面間に形成された環状凹部とを少なくとも有する雄型締結具本体と、前記雄型締結具本体の前記環状凹部に配置された樹脂製リング状部材とからなる雄型締結具であり、
前記雄型締結具本体の前記環状凹部は、前記本体部側より前記座面に向かって徐々に深さが浅くなる環状凹部周縁部を備え、
前記樹脂製リング状部材は、前記環状凹部のほぼ全体を埋めるとともに、下面が前記座面より突出する環状突出部と、該環状突出部と前記樹脂製リング状部材の外縁間に形成されたテーパー状もしくは曲面状底面を有し、徐々に肉薄となり、かつ、前記外縁が前記環状凹部周縁部の外縁もしくは該外縁より若干前記本体部側に位置する環状外周部とを備え、
前記雄型締結具は、前記座面の内縁と前記樹脂製リング状部材の外縁部間に形成された環状凹部を備えるとともに、前記樹脂製リング状部材は、前記雄型締結具の取付対象部位への取付時に変形し、前記座面の前記雄型締結具の取付対象部位への圧接を阻害しないものであるとともに、前記取付対象部位に対して環状液密シール部を形成するものであることを特徴とする雄型締結具。
【請求項2】
前記樹脂製リング状部材は、前記環状突出部の内周部より縮径しながら前記本体部方向に延びるテーパー状内周側突出部を有している請求項1に記載の雄型締結具。
【請求項3】
前記雄型締結具本体の前記環状凹部は、前記フランジ部と前記本体部の境界部より前記フランジ部の前記座面方向にほぼ同じ深さにて延びるもしくは断面が円弧状となっている主環状凹部を備え、前記座面に向かって徐々に深さが浅くなる前記環状凹部周縁部は、前記主環状凹部と前記座面間に設けられているものである請求項1または2に記載の雄型締結具。
【請求項4】
前記樹脂製リング状部材の前記環状外周部の外縁は、前記雄型締結具本体の前記環状凹部周縁部の前記外縁より若干前記本体部側に位置するものである請求項1ないし3のいずれかに記載の雄型締結具。
【請求項5】
前記環状突出部の下面は、平坦面となっている請求項1ないし4のいずれかに記載の雄型締結具。
【請求項6】
前記環状突出部の下面は、湾曲面となっている請求項1ないし4のいずれかに記載の雄型締結具。
【請求項7】
前記雄型締結具は、前記フランジ部の上面より前記本体部方向に延びる工具装着孔を有するシールプラグである請求項1ないし6のいずれかに記載の雄型締結具。
【請求項8】
前記雄型締結具は、前記フランジ部の上部に設けられた頭部を有するシールボルトである請求項1ないし6のいずれかに記載の雄型締結具。
【請求項9】
前記樹脂製リング状部材は、前記雄型締結具本体に対してインサート成形により形成されている請求項1ないし8のいずれかに記載の雄型締結具。
【請求項10】
前記樹脂製リング状部材は、曲げ弾性率が800〜3000MPaかつ引張り破断伸びが約10〜200%の樹脂により形成されている請求項1ないし9のいずれかに記載の雄型締結具。
【請求項11】
前記樹脂製リング状部材は、前記雄型締結具本体に対してインサート成形により形成され、かつ、前記樹脂製リング状部材を形成する樹脂の冷却時の収縮により、前記樹脂製リング状部材は、前記雄型締結具本体に固定されている請求項1ないし8のいずれかに記載の雄型締結具。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate


【公開番号】特開2012−72779(P2012−72779A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−215887(P2010−215887)
【出願日】平成22年9月27日(2010.9.27)
【出願人】(592118103)メイラ株式会社 (19)
【Fターム(参考)】