説明

集団誘導ナビゲーションシステム

【課題】 崩れ難い集団を形成することができ、また集団への復帰や合流が容易であり、集団をまとめたまま一団となって目的地にまで誘導することが可能な信頼性の高い信頼性に優れた集団誘導ナビゲーションシステムを提供する。
【解決手段】 通信サーバ9には、ナビゲーション装置10の通信装置4との間で各種の情報をやり取りする通信部11及び経路計算を行う経路計算部13が設けられている。経路計算部13が計算する経路情報としては、オーナー車から目的地までの経路情報18、各メンバー車とオーナー車との集合場所までの集合経路情報19、目的地までの経路上で各メンバー車からオーナー車に至る最短距離の追従経路情報20(遅れたメンバー車が集団に追いつくことが可能な抜け道や交通渋滞を考慮した新規の追従経路情報21aも含む)、待ち合わせを行う際の待ち合わせ場所までの経路情報21がある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複数の車両からなる集団を同一の目的地まで誘導するための集団誘導ナビゲーションシステムに係り、特に、集団を構成する各車両に通信型のナビゲーション装置を搭載し各ナビゲーション装置からの情報を集中して管理するサーバを用いた集団誘導ナビゲーションシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ナビゲーション技術が急速に普及した近年、観光バスや大型のトラックだけではなく、自家用車の分野でも、複数の車両が一つの集団となって同じ目的地まで一緒に移動することが頻繁に行われている。その際、複数の車両からなる集団を所定の目的地にまで誘導するシステム、すなわち集団誘導ナビゲーションシステムが有効である。従来技術としては、「ポイントパーティー」と呼ばれているシステムが知られたいる。このシステムでは、一台がオーナー車となってサーバに集団の名前を登録し、続いてサーバに登録された集団名に他の車両がメンバー車として登録することで、複数の車両からなる集団が形成される。サーバは集団を構成する各車両に対して一定期間ごとに自動交信し、各車両の位置情報を受信する。そして、各車両から得られた位置情報を融合することでそれぞれの車両の位置関係を割り出し、その位置情報を各車両に配信する。各車両ではナビゲーション装置の表示手段であるモニタ上に自車位置と集団を構成する他の車両の位置が表示されるようになっている。
【特許文献1】特開2000−331284号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、従来の集団誘導ナビゲーションシステムでは、オーナー車が目的地を決めてサーバに送り、サーバはオーナー車の位置情報と目的地の位置情報に基づいて目的地までの経路計算を行い、その経路情報をオーナー車だけに送り返している。つまり、集団を構成する車両のうちオーナー車以外の各メンバー車には目的地までの経路情報を配信していない。このため、メンバー車は経路情報を取得しておらず、メンバー車が集団からはぐれないようにするには、メンバー車のドライバー自身がモニタに表示された自車及び集団の位置関係を確認しながら、運転を続けなくてはならなかった。また、集団に途中から参加してメンバー車となった場合も、このメンバー車のドライバーがモニタで自車及び集団の位置関係を確認しつつ、集団との合流を行うほかなかった。このように従来技術ではメンバー車のドライバーにかかる負担は大きく、その軽減が課題となっていた。
【0004】
また、従来の集団誘導ナビゲーションシステムは、集団の各車両が相互に通信する機能を持っていない。このため、メンバー車が集団から離れてしまうと、離れてしまったことを集団の他の車両にアナウンスすることができず、集団の移動を止めて最寄の駐車場などで遅れた車両と待ち合わせることができない。したがって、はぐれたメンバー車のドライバーが自力で集団に復帰する以外に手立てはなく、集団が崩れ易かった。しかも、集団から遅れる原因は不意の事故やアクシデントである場合が多く、せっかく集団で移動してきた仲間が近くにいるにも拘らず、メンバー車だけが取り残されて困難な状況に陥ることになる。また、集団を構成する他の車両の方でも、遅れたメンバー車を探すなどして目的地に着く時間が遅くなり、見失ったメンバー車の安否を確認するまでは心配が募るのでストレスを招く要因となっていた。
【0005】
以上述べたように、従来の集団誘導ナビゲーションシステムでは集団が崩れ易く、しかも、集団への復帰や合流が難しいため、集団移動を円滑に誘導しているとは言い難かった。本発明は、このような状況を鑑みて提案されたものであり、その目的は、崩れ難い集団を形成することができ、また集団への復帰や合流が容易であり、集団をまとめたまま一団となって目的地にまで誘導することが可能な信頼性の高い集団誘導ナビゲーションシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、請求項1の発明は、複数の車両にそれぞれ搭載した通信型のナビゲーション装置と、各ナビゲーション装置と通信し情報を提供するサーバからなり、複数の車両からなる集団を所定の目的地にまで誘導するための集団誘導ナビゲーションシステムにおいて、前記集団のオーナーとなったオーナー車に搭載されたナビゲーション装置は、該オーナー車の位置情報と前記目的地の位置情報を前記サーバに送信し、前記集団のうちオーナー車以外であるメンバー車に搭載されたナビゲーション装置は、各車両の位置情報を前記サーバに送信し、前記サーバは、前記オーナー車のナビゲーション装置から前記目的地の位置情報及び前記オーナー車の位置情報が伝達された時、前記オーナー車から目的地までの経路を計算してその経路情報を前記オーナー車に配信すると共に、前記各メンバー車のナビゲーション装置から前記各メンバー車の位置情報が伝達された時、前記各メンバー車から前記オーナー車までの各追従経路を計算してその各追従経路情報を前記各メンバー車に配信するようにしたこと、を特徴としている。
【0007】
以上の発明では、サーバがオーナー車から受信した目的地及びオーナー車の位置情報に基づいて経路計算し、この経路情報をオーナー車に配信することでオーナー車を目的地にまで誘導することができる。また、サーバはメンバー車から受け取った位置情報と前記オーナー車の位置情報に基づいて前記各メンバー車から前記オーナー車までの追従経路を計算し、追従経路の情報を各メンバー車に配信することにより、メンバー車をオーナー車へと誘導することができる。
【0008】
このような発明においては、集団を構成する各車両の位置情報を一箇所のサーバで集中的に管理するため、各車両に搭載されたナビゲーション装置の簡素化、制御方法の簡略化を図ることができる。また、サーバが各車両の位置をリアルタイムで正確に把握可能なので、集団が一旦散らばったとしても、集団の移動を止めるなど適切な処置を迅速にとることができ、再びまとめることが容易である。さらに、本発明では、オーナー車以外のメンバー車は移動するオーナー車に対し逐次計算された追従経路に従ってオーナー車を目標地点として移動している。このようなシステムによれば、サーバにはオーナー車が目指す目的地を登録済みなので、オーナー車の移動が予測し易く、それに追従するメンバー車の誘導も容易であり、円滑で且つ確実な集団誘導が可能である。なお、メンバー車がオーナー車よりも前を走っている場合は、サーバがオーナー車が走る目的地までの経路を把握しているため、その経路情報に沿って先行するメンバー車を誘導することが可能である。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1に記載の集団誘導ナビゲーションシステムにおいて、前記各車両のナビゲーション装置から各車両の位置情報が伝達された時、該位置情報を前記集団の他の各車両に配信するようにし、前記各車両のナビゲーション装置は、前記サーバから前記位置情報が伝達された時、表示手段においてこれらの位置情報を地図上にアイコンで表示するようにしたこと、を特徴としている。
この発明では、各車両のナビゲーション装置がサーバから各車両の位置情報を受け取ると、集団を構成する全ての車両の位置をアイコン表示することができ、集団の中の自車位置を相対的に把握できる。そのため、各車両のドライバーは自車位置だけではなく集団全体を意識することができ、集団からはぐれ難く、集団が崩れる心配もない。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の集団誘導ナビゲーションシステムにおいて、前記サーバは、前記各メンバー車から前記オーナー車までの追従経路を計算する際、前記オーナー車が前記目的地までに通る経路上で前記各メンバー車が前記オーナー車と合流できるように追従経路を計算し、しかも、各メンバー車がオーナー車に最短距離で合流できるように経路計算するものであること、を特徴としている。
以上の発明では、オーナー車が目的地までに辿る経路上にそれぞれのメンバー車の合流地点があるため、オーナー車が移動している間に自然と集団となることができる。また、メンバー車は追従経路に沿って移動していれば集団と合流できるので、メンバー車のドライバーはモニタに表示された自車及び集団の位置関係を意識しながら運転せずに済み、ドライバーの負担を大幅に軽減させることができる。
【0011】
請求項4の発明は、請求項3に記載の集団誘導ナビゲーションシステムにおいて、前記サーバは、前記各メンバー車が前記オーナー車と合流する各合流地点の情報をもとに、前記オーナー車が前記合流地点に到達する予想時間を、前記サーバが持つ地図情報と経路距離と渋滞、工事、事故等を含む路面情報から算出し、このオーナー車到達予想時間から逆算して、前記各メンバー車が前記各合流地点で前記オーナー車と合流可能となる前記各メンバー車の出発時刻を求め、このメンバー車出発時刻情報を各メンバー車に配信するようにしたこと、を特徴としている。
上記発明では、各オーナー車が合流地点に到達する予想時間を、オーナー車と各メンバー車との集合時間として、この集合時間に間に合うような出発時刻を各メンバー車に知らせることができる。したがって、各メンバー車はオーナー車と確実に合流することができ、集団の形成が容易に実現可能である。
【0012】
請求項5の発明は、請求項4に記載の集団誘導ナビゲーションシステムにおいて、前記サーバは、前記集団を構成する車両のうち、前記集団との合流が不可能なものがあると判断した場合、前記オーナー車のために経路計算した目的地までの経路上又はその近傍で前記合流地点に遅れた車両との待ち合わせ可能な場所を設定し、該待ち合わせ場所までの経路を計算して、待ち合わせを行うことと前記待ち合わせ場所までの経路情報を前記集団の各車両に配信するようにしたこと、を特徴としている。
上記の発明によれば、集団に合流できなかった車両が現れた場合、サーバが目的地までの経路上又はその近傍で待ち合わせ場所を探し、待ち合わせをすること自体と、待ち合わせ場所までの経路情報を各車両に配信してするため、全ての車両をこの待ち合わせ場所まで誘導することができ、遅れている車両も短時間のうちに集団に合流することができる。したがって、集団から脱落する車両がなく、時間的なロスを最小限に抑えることができる。
【0013】
請求項6の発明は、請求項4に記載の集団誘導ナビゲーションシステムにおいて、前記サーバは、前記集団のメンバー車が前記合流地点には遅れるものの待ち合わせをするまでの遅れではなく前記集団に該メンバー車が追いつくことが可能であると判断した場合、従来の追従経路を無視して前記集団の最新の位置情報と遅れているメンバー車の位置情報に基づいて前記メンバー車が前記集団に追いつける新規の追従経路を計算し、その新規の追従経路情報を前記遅れているメンバー車に配信するようにしたこと、を特徴としている。
このような発明においては、遅れたメンバー車が従来の追従経路を無視して移動すればオーナー車を含む集団に追いつくことが可能な場合、遅れたメンバー車にはサーバが新規の追従経路情報を配信するので、メンバー車はこの新たな追従経路情報に誘導されて集団に追いつくことが可能となる。このため、一台の車両が遅れただけで他の全ての車両が待機するといった事態に至らず、待ち合わせに要する時間も省略できるので、目的地までのスムーズな移動が可能である。また、待ち合わせが無ければ、待つ側にせよ、待たれる側にせよ、余計な気を使わなくて済み、集団移動を楽しむことができる。
【0014】
請求項7の発明は、請求項1〜6のいずれか一項に記載の集団誘導ナビゲーションシステムにおいて、前記メンバー車のナビゲーション装置は、表示手段において自車であるメンバー車とオーナー車の両方が常に同時に表示されるように自動的に画面のスケールが切り替わるようにしたことを特徴としている。
この発明によれば、メンバー車のドライバーは目標地点であるオーナー車の位置を常に画面上にとらえることができる。このため、メンバー車が集団からはぐれ難く、なりメンバー車のドライバーは精神的にゆとりをもって運転に臨むことができる。
【0015】
請求項8の発明は、請求項1〜7のいずれか一項に記載の集団誘導ナビゲーションシステムにおいて、前記各車両のナビゲーション装置は、該車両に何らかのトラブルが発生した場合にその状況を知らせるトラブル情報を前記サーバに送信し、前記サーバは、前記車両のナビゲーション装置からトラブル情報が伝達された時、このトラブル情報を前記集団の他の各車両に配信するようにしたこと、ことを特徴としている。
このような発明によれば、集団の中のいずれかの車両にトラブルが発生すれば、この車両のナビゲーション装置がサーバを経由してトラブル情報を集団の他の車両のナビゲーション装置に送ることができ、トラブルが起きた状況を集団全体で共有できる。したがって、トラブルが起きた車両に助けが必要であれば、集団の中の近くの車両がトラブルが起きた車両に即座に向かうことができ、トラブルを迅速に解消することが可能である。
【発明の効果】
【0016】
以上述べたように、本発明の集団誘導ナビゲーションシステムによれば、各車両に通信型のナビゲーション装置を搭載し、サーバで複数の車両位置を集中的に管理することによって、集団が崩れ難く、また集団への復帰や合流が容易であり、集団を円滑且つ確実に目的地まで誘導することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための最良な形態(以下、実施形態)の一例を図1〜図7に従って具体的に説明する。図1及び図2は本実施の形態の機能ブロック図、図3〜図7は本実施の形態の動作の流れを示すフローチャートである。本実施形態は、複数の車両からなる集団を同一の目的地まで誘導するための集団誘導ナビゲーションシステムである。なお、集団は一台のオーナー車と、それ以外のメンバー車とから構成される。オーナー車とは集団の名前をサーバに登録した車両であり、メンバー車とはサーバに登録された集団名にメンバー車として登録した車両である。ただし、集団を構成する車両数などは自由に変更可能である。また、本発明は下記の記実施形態に限定されるものではなく、携帯用のナビゲーションシステムも適用可能である。
【0018】
[構成]
図1に示すように、本実施形態は、各車両に搭載された通信型のナビゲーション装置10と通信サーバ9から構成されている。ナビゲーション装置10には、GPS衛星から送られてくるGPS電波を受信するGPSレシーバ1、自車速度を計算するために車両から送られてくる車速パルスを検出する車速パルス検出部2、自車の向きを検出する方位センサ3が設けられている。これらGPSレシーバ1、車速パルス検出部2及び方位センサ3はマイクロコンピュータ5に接続されている。
【0019】
マイクロコンピュータ5はナビゲーション装置10全体を制御する部分であり、命令や目的地など様々な情報を入力操作する操作部7と、ナビゲーション装置10が動作するのに必要なプログラムや地図情報を格納したメモリ8とが設けられている。さらに、マイクロコンピュータ5には通信サーバ9との間で各種の情報をやり取りする通信装置4及び表示手段であるモニタ6が接続されている。通信装置4と通信サーバ9との間でやり取りされる情報としては、各車両の位置情報や目的地までの経路情報などを始めとして、車両同士の集合時間情報、各メンバー車における出発時刻情報、車両が待ち合わせることを知らせる待ち合わせ情報、車両に何らかのトラブルが発生した場合にその状況を知らせるトラブル情報などがある。これらの各種情報に関しては図2を用いて通信サーバ9を説明する際に述べる。
【0020】
モニタ6は、地図や操作メニューなど各種の情報を表示する画面を有しており、ナビゲーション装置10の通信装置4が通信サーバ9から集団の各車両の位置情報を受信するとき、地図上に各位置をアイコンで表示するようになっている。また、メンバー車におけるモニタ6では、オーナー車との距離が大きくなり、自車位置を示すメンバー車のアイコンと、オーナー車のアイコンの両方を、同時に画面に表示することができなくなると、画面のスケールが切り替わって常に両アイコンが一画面に表示されるようになっている。
【0021】
一方、通信サーバ9は次のような部分から構成されている(図2参照)。すなわち、ナビゲーション装置10の通信装置4との間で各種の情報をやり取りする通信部11、地図情報や路面情報を格納する情報記憶部12が設けられている。このうち、情報記憶部12はあらかじめ地図情報を取り込むようになっており、その上で地図情報をもとにVICSの基地局から渋滞、工事、事故等を含む路面情報を取得するようになっている。また、公園やパーキングなどの車両を止めておける待ち合わせ場所も情報として入れておくようになっている。
【0022】
さらに、通信サーバ9には、経路計算部13、集合場所設定部14、メンバー車出発時刻計算部15、待ち合わせ判断部16、待ち合わせ場所設定部17が設けられている。経路計算部13は経路計算を行う部分であり、経路計算して求める経路情報としては、オーナー車から目的地までの経路情報18、目的地までの経路上で各メンバー車がオーナー車と合流し集合する集合場所までの集合経路情報19、目的地までの経路上で各メンバー車からオーナー車に至る最短距離の追従経路情報20(遅れたメンバー車が集団に追いつくことが可能な抜け道や交通渋滞を考慮した新規の追従経路情報21aも含む)、待ち合わせを行う際の待ち合わせ場所までの経路情報21がある。
【0023】
集合場所設定部14はオーナー車が目的地までに通る経路上で各メンバー車がオーナー車と合流できる集合場所を設定する部分であり、この集合場所の位置情報をもとに、オーナー車が集合場所に到達すると予想される集合時間を、通信サーバ9の情報記憶部12が持つ地図情報、集合場所までの経路距離及び渋滞、工事、事故等を含む路面情報から算出して、集合時間情報22を求めるようになっている。また、メンバー車出発時刻計算部15はこの集合時間から逆算して、通信サーバ9の情報記憶部12が持つ地図情報、集合場所までの経路距離及び渋滞、工事、事故等を含む路面情報を考慮に入れつつ、各メンバー車が各合流地点でオーナー車と合流可能な各メンバー車の出発時刻を計算し、出発時刻情報23を求めるものである。
【0024】
待ち合わせ判断部16は、オーナー車及びメンバー車の位置情報をもとにして、情報記憶部12が持つ地図情報、両者間の経路距離及び渋滞、工事、事故等を含む路面情報から、集合場所でのオーナー車及びメンバー車の合流が不可能であることを判断し、さらには待ち合わせを行うか否かを判断する部分である。待ち合わせ判断部16が待ち合わせを行うと判断した場合は、待ち合わせ場所設定部17がオーナー車のために経路計算した目的地までの経路上又はその近傍で、集合場所に遅れたメンバー車との待ち合わせ可能な場所を探すようになっている。このとき、経路計算部13がこの待ち合わせ場所までの経路を計算し、待ち合わせ場所までの経路情報21を求めるようになっている。
【0025】
また、待ち合わせ判断部16が下す「待ち合わせを行わない」という判断は、遅れたメンバー車が集合に合流できなくなったということを示すものではなく、メンバー車の集合場所への到着がオーナー車よりは遅れるものの該メンバー車と前記オーナー車とが待ち合わせを実施する程の遅れではなくて、遅れたメンバー車が集団に追いつくことが可能である、ことを意味している。したがって、待ち合わせを行わない場合には、経路計算部13は遅れたメンバー車が集団に追いつくことが可能な抜け道や交通渋滞を考慮した新規の追従経路を計算し、新規の追従経路情報21aを求めるようになっている。
【0026】
[動作の全体の流れ]
次に、本実施の形態の動作の流れについて、図3〜図7のフローチャートを用いて説明する。まず、図3及び図4のフローチャートを用いて全体の流れを説明する。図3に示すように、通信サーバ9は情報記憶部12にあらかじめ地図情報を取り込んでおき、その地図情報をもとにして、VICSの基地局から渋滞、事故、工事等の路面情報を入手しておき、地図情報に反映させる。また、公園やパーキングなどの車両を止めておける場所も情報として入れておく(ステップS1)。
【0027】
オーナー車は通信装置4を使って通信サーバ9にアクセスし、集団の名前を通信サーバ9に登録する(ステップS2)。集団名を登録することで通信サーバ9は集団が形成されたことを認知し、その後の処理を集団ごとに行うようになる。続いて、オーナー車が移動したい場所、すなわち目的地を通信装置4を使って通信サーバ9に登録する(ステップS3)。このとき、オーナー車がGPSレシーバ1を使って入手した自車位置情報を、オーナー車の通信装置4を経由して通信サーバ9が自動的に取り込む。この段階では集団の参加メンバーは未登録であるが、通信サーバ9は経路計算部13にてオーナー車から目的地までの経路計算を行い、通信部11が地図情報及び目的地までの経路情報18をオーナー車に配信する。オーナー車のモニタ6はオーナー車のアイコンと共にこれら地図情報及び経路情報18を表示する。
【0028】
集団のメンバーとなる人たちがそれぞれ通信装置4を使って通信サーバ9にアクセスし、オーナー車が通信サーバ9に登録した集団の名前にメンバー車として登録する(ステップS4)。ここで、通信サーバ9はメンバー車が集団の一員であることを認め、各メンバー車がGPSレシーバ1を使って入手した各自の自車位置情報を、通信装置4を経由して通信サーバ9が自動的に取り込む。通信サーバ9の通信部11は各メンバー車から取得した位置情報をオーナー車に自動で配信し、オーナー車のモニタ6に各メンバー車のアイコンを表示する。また、通信サーバ9の通信部11は各メンバー車に対してオーナー車及び各メンバー車の位置情報を配信し、メンバー車のモニタ6はメンバー車及びオーナー車のアイコンを表示する。
【0029】
メンバー車の登録後はメンバー車とオーナー車とを合流させる集合処理に移る(ステップS5)。集合処理に関しては図5のフローチャートを用いて後述する。集団のメンバーが全員揃うまでは集合処理を繰り返し、ステップS6にて集合地点で集合できたかどうかを確認する。メンバー車の登録終了はモニタ6に表示されているメンバー車のアイコンをオーナー車のドライバーが目視して全員が揃ったことが認識されるまで待つ。メンバーが揃ったことをオーナー車が確認してオーナー車は出発し、メンバー車はそれぞれの出発時刻に合わせて集合場所に向かって適宜出発する。集合が完了した時点で図4のフローチャートに移り、経路誘導処理を実施する(ステップS8)。
【0030】
ただし、全車両が集合していなくとも出発は可能である。この場合は待ち合わせ処理(ステップS7)に移行する。その際、ステップS9で集団からはぐれている車両がないかどうかを確認し、万が一はぐれている車両があれば待ち合わせ処理(ステップS7)に移る。はぐれている車両がいなければステップS10に進み、目的地への到着をもって処理の終了となる。なお、経路誘導処理に関しては図6のフローチャートを用いて、待ち合わせ処理に関しては図7のフローチャートを用いて、それぞれ説明する。
【0031】
[集合処理]
ここで、図5のフローチャートを用いて、集合処理について説明する。通信サーバ9ではメンバー車が集団に追加されるたびに、集合時間設定部14がオーナー車の通る目的地までの経路上でそれぞれのメンバー車が最短距離でオーナー車と合流できる集合場所を求め、集合場所の割り出しを行う(ステップS11)。そして、オーナー車と各集合場所の情報をもとに、オーナー車が集合場所に着くと予想される時間を、通信サーバ9が持つ地図情報と集合場所までの経路距離と渋滞、工事、事故等を含む路面情報から算出し、この到着予想時間を集合時間情報22として、通信部11が各車両に配信する(ステップS12)。
【0032】
また、メンバー車出発時刻計算部15は前記集合時間から逆算して、通信サーバ9が持つ地図情報と集合場所までの経路距離と渋滞、工事、事故等を含む路面情報を考慮しつつ、この集合時間までに集合場所に到達するよう各メンバー車の出発時刻を求め、通信部11により出発時刻情報22を各メンバー車に配信する(ステップS13)。さらに、経路計算部13では各メンバー車の位置情報及びオーナー車の位置情報に基づいて、前記集合場所までの集合経路を計算し、その集合経路情報19を通信部11により各メンバー車に配信する(ステップS14)。各メンバー車のモニタ6は合流地点である集合場所、集合時間情報21、出発時刻情報22及び集合経路情報19を表示する。そして、所定の出発時刻となった時点でこれを各メンバー車に知らせ、集合場所までの誘導を開始する(ステップS15)。
【0033】
[経路誘導処理]
ステップ8の経路誘導処理ではナビゲーション装置10を通常の方法で使用する。すなわち、メモリ8内の地図情報もしくは通信サーバ9からもたらされる地図情報をもとに、GPSレシーバ1からの位置情報と車速パルス検出部2からの車速情報、方位センサ3からの車の向きを取り込んでマイクロコンピュータ5が自車位置を計算し、地図情報と照らし合わせながら誘導する。
【0034】
図6のフローチャートを用いて経路誘導処理をさらに詳しく説明する。まず、通信サーバ9にアクセスしている車がオーナー車かメンバー車を識別する(ステップS23)。通信サーバ9にアクセスした車がオーナー車であれば(ステップS23のYES)、通信サーバ9の経路計算部13はオーナー車の位置情報及び目的地の位置情報に基づいてオーナー車から目的地までの経路情報18を計算する(ステップS24)。さらに通信サーバ9の通信部11がこの経路情報18をオーナー車に配信し(ステップS25)、誘導を開始する(ステップS26)。
【0035】
一方、通信サーバ9にアクセスした車がオーナー車ではなくメンバー車である場合には(ステップS23のNO)、このメンバー車がオーナー車と合流する前なのか後なのかを確認する(ステップS27)。メンバー車がオーナー車と合流する前ならば(ステップS27のYES)、メンバー車はオーナー車と合流する集合場所に到達する前なので、メンバー車はオーナー車ではなく集合場所を目的地とする(ステップS28)。そして、通信サーバ9は経路計算部13にてこの集合場所までの集合経路を計算し(ステップS29)、この集合経路情報19を通信部11により各メンバー車に配信することで(ステップS30)、誘導を開始する(ステップS26)。
【0036】
また、メンバー車がオーナー車と合流した後ならば(ステップS27のNO)、目的地は集合場所からオーナー車へと切り替わる(ステップS31)。すなわち、通信サーバ9は経路計算部13にて各メンバー車の位置情報及びオーナー車の位置情報に基づいて各メンバー車からオーナー車までの追従経路を計算し(ステップS32)、その追従経路情報20を各メンバー車に配信して(ステップS33)、誘導を開始する(ステップS26)。
【0037】
[待ち合わせ処理]
ところで、渋滞や出発時間の遅れ、不意のアクシデントなどの理由により、所定の集合場所で集団との合流が不可能な車両があると判断した場合、待ち合わせ処理をとる(図7参照)。まず、集合場所に遅れている車両が現れた場合、通信サーバ9は待ち合わせ判断部16にて待ち合わせが必要がどうかを判断する(ステップS16)。待ち合わせが必要な場合(ステップS16のYES)、待ち合わせ場所設定部17がオーナー車のために経路計算した目的地までの経路上又はその近傍で、集合場所に遅れたメンバー車との待ち合わせ可能な場所を探す(ステップS17)。そして、経路計算部13がこの待ち合わせ場所までの経路を計算し、この待ち合わせ場所に目的地を変更し(ステップS18)、待ち合わせ場所までの経路情報21を通信部11により集団の各車両に配信して(ステップS19)、待ち合わせ場所への誘導を開始する(ステップS20)。
【0038】
一方、待ち合わせが必要ない場合(ステップS16のNO)、すなわち、通信サーバ9の待ち合わせ判断部16において、メンバー車が集合場所ではオーナー車と合流できないが、待ち合わせをすることはなく、オーナー車を含む集団に遅れたメンバー車が追いつけると判断した場合は、遅れているメンバー車が前記集団に追いつくことが可能となるよう、抜け道や交通渋滞を考慮した新規の追従経路を、経路計算部93が計算し(ステップS21)、この新規の追従経路情報21aを通信部11によりメンバー車に配信して(ステップS22)、誘導を開始する(ステップS20)。なお、新規の追従経路の計算は、オーナー車が随時移動しているため、経路計算も一定時間毎に随時行うことが有効である。また、無事に集団と合流できた車両については、目的地をオーナー車へと戻す(図6のステップS31)。
【0039】
[作用効果]
以上のような本実施形態では、通信サーバ9が、集団を構成する全車両の位置情報を各車両の通信装置4からリアルタイムで取得し、取得した位置情報を各車両へと配信して、全ての車両の動きを各車両のナビゲーション装置10のモニタ6にアイコンで表示することができる。そのため、各車両のドライバーは自車位置だけではなく集団全体を認識でき、集団は崩れ難くなる。しかも、通信サーバ9はオーナー車が目指す目的地を把握しているため、オーナー車の移動に関する予測が容易であり、ひいてはメンバー車の誘導も正確となる。また、集団の位置管理を通信サーバ9が一括して行うため、ナビゲーション装置10の簡素化や、制御方法自体の簡略化も進展させることができる。
【0040】
さらに、各車両の位置情報を単一の通信サーバ9で集中管理したことで、集団から脱落した車両あるいは集団に合流できない車両が現れたとしても、簡単にこれを集団に取り込むことができる。しかも、メンバー車に対してはオーナー車と合流するための出発時刻まで知らせるくれるといったきめ細かい処理を行うことができるため、メンバー車は集団に確実に合流でき、集団へ気軽に参加することができる。
【0041】
また、特定のメンバー車が集団から遅れたとしても、集団の移動を止めて待ち合わせたり、遅れたメンバー車に新規の追従経路情報を与えることで、集団移動を順調に進めることができる。なお、待ち合わせ処理をとる場合でも、やみくもに待ち合わせを行うのではなく、遅れたメンバー車が従来の追従経路を無視して抜け道などを利用すればオーナー車を含む集団に追いつくことが可能な場合を想定し、遅れたメンバー車を新規の追従経路に誘導することで追いつかせることができ、必要最小限のロスで目的地に到達することが可能となる。
【0042】
また、本実施形態において、メンバー車が目指す目標地点として、オーナー車と会うまでは集合場所、合流してからはオーナー車、集合場所に遅れた場合は待ち合わせ場所か新規の追従経路を通ってオーナー車を追う、というように状況に応じて適宜、変更している。このため、メンバー車のドライバーにとっては、常に明確に目標地点を提示することができ、適切な誘導を実施可能である。したがって、メンバー車は誘導に従って移動さえしていけば自然に集団と合流でき、ドライバーは運転にのみ集中できる。これにより、ドライバーの負担軽減と信頼性の向上を図ることができる。
【0043】
さらに、上記実施形態では、集団が持つ情報を通信サーバ9及び通信型のナビゲーション装置10を経由して集団全体で共有可能である。この結果、集団内の車両にトラブルが発生すれば、該トラブル情報を集団の他の車両も即座に知ることができる。これにより、一緒に移動している他の車両が助けに集まることが可能であり、トラブルが起きた状況を迅速に解消できる。しかも、メンバー車におけるナビゲーション装置10では、モニタ6画面上に自車のアイコンとオーナー車のアイコンの両方が表示されるので、メンバー車のドライバーはオーナー車の位置を常に画面上に認知でき、安心して集団についていくことができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本実施の形態の機能ブロック図
【図2】本実施の形態の機能ブロック図
【図3】本実施の形態の動作の全体の流れを示すフローチャート
【図4】本実施の形態の動作の全体の流れを示すフローチャート
【図5】本実施の形態の動作において集合処理を示すフローチャート
【図6】本実施の形態の動作において経路誘導処理を示すフローチャート
【図7】本実施の形態の動作において待ち合わせ処理を示すフローチャート
【符号の説明】
【0045】
1…GPSレシーバ
2…車速パルス検出部
3…方位センサ
4…通信装置
5…マイクロコンピュータ
6…モニタ
7…操作部
8…メモリ
9…通信サーバ
10…ナビゲーション装置
11…通信部
12…情報記憶部
13…経路計算部
14…集合場所設定部
15…メンバー車出発時刻計算部
16…待ち合わせ判断部
17…待ち合わせ場所設定部
18…目的地までの経路情報
19…集合経路情報
20…追従経路情報
21…待ち合わせ場所までの経路情報
21a…新規の追従経路情報
22…集合時間情報
23…出発時刻情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の車両にそれぞれ搭載した通信型のナビゲーション装置と、各ナビゲーション装置と通信し情報を提供するサーバからなり、複数の車両からなる集団を所定の目的地にまで誘導するための集団誘導ナビゲーションシステムにおいて、
前記集団のオーナーとなったオーナー車に搭載されたナビゲーション装置は、該オーナー車の位置情報と前記目的地の位置情報を前記サーバに送信し、
前記集団のうちオーナー車以外であるメンバー車に搭載されたナビゲーション装置は、各車両の位置情報を前記サーバに送信し、
前記サーバは、前記オーナー車のナビゲーション装置から前記目的地の位置情報及び前記オーナー車の位置情報が伝達された時、前記オーナー車から目的地までの経路を計算してその経路情報を前記オーナー車に配信すると共に、前記各メンバー車のナビゲーション装置から前記各メンバー車の位置情報が伝達された時、前記各メンバー車から前記オーナー車までの各追従経路を計算してその各追従経路情報を前記各メンバー車に配信するようにしたこと、
を特徴とする集団誘導ナビゲーションシステム。
【請求項2】
前記サーバは、前記各車両のナビゲーション装置から各車両の位置情報が伝達された時、該位置情報を前記集団の他の各車両に配信するようにし、
前記各車両のナビゲーション装置は、前記サーバから前記位置情報が伝達された時、表示手段においてこれらの位置情報を地図上にアイコンで表示するようにしたこと、
を特徴とする請求項1に記載の集団誘導ナビゲーションシステム。
【請求項3】
前記サーバは、前記各メンバー車から前記オーナー車までの追従経路を計算する際、前記オーナー車が前記目的地までに通る経路上で前記各メンバー車が前記オーナー車と合流できるように追従経路を計算し、しかも、各メンバー車がオーナー車に最短距離で合流できるように経路計算するものであること、
を特徴とする請求項1又は2に記載の集団誘導ナビゲーションシステム。
【請求項4】
前記サーバは、前記各メンバー車が前記オーナー車と合流する各合流地点の情報をもとに、前記オーナー車が前記合流地点に到達する予想時間を、前記サーバが持つ地図情報と合流地点までの経路距離と渋滞、工事、事故等を含む路面情報から算出し、このオーナー車到達予想時間から逆算して、前記各メンバー車が前記各合流地点で前記オーナー車と合流可能となる前記各メンバー車の出発時刻をそれぞれ求め、このメンバー車出発時刻情報を各メンバー車に配信するようにしたこと、
を特徴とする請求項3に記載の集団誘導ナビゲーションシステム。
【請求項5】
前記サーバは、前記集団を構成する車両のうち、前記集団との合流が不可能なものがあると判断した場合、前記オーナー車のために経路計算した目的地までの経路上又はその近傍で前記合流地点に遅れた車両との待ち合わせ可能な場所を設定し、該待ち合わせ場所までの経路を計算して、待ち合わせを行うことと前記待ち合わせ場所までの経路情報を前記集団の各車両に配信するようにしたこと、
を特徴とする請求項4に記載の集団誘導ナビゲーションシステム。
【請求項6】
前記サーバは、前記集団のメンバー車が前記合流地点には遅れるものの待ち合わせをするまでの遅れではなく前記集団に該メンバー車が追いつくことが可能であると判断した場合、従来の追従経路を無視して前記集団の最新の位置情報と遅れているメンバー車の位置情報に基づいて前記メンバー車が前記集団に追いつける新規の追従経路を計算し、その新規の追従経路情報を前記遅れているメンバー車に配信するようにしたこと、
を特徴とする請求項4に記載の集団誘導ナビゲーションシステム。
【請求項7】
前記メンバー車のナビゲーション装置は、表示手段において常にオーナー車が表示されるように自動的に画面のスケールが切り替わるようにしたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の集団誘導ナビゲーションシステム。
【請求項8】
前記各車両のナビゲーション装置は、該車両に何らかのトラブルが発生した場合にその状況を知らせるトラブル情報を前記サーバに送信し、
前記サーバは、前記車両のナビゲーション装置からトラブル情報が伝達された時、このトラブル情報を前記集団の他の各車両に配信するようにしたこと、
を特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の集団誘導ナビゲーションシステム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2006−64534(P2006−64534A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−247376(P2004−247376)
【出願日】平成16年8月26日(2004.8.26)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】