説明

離型紙を用いた合成皮革の製造方法

【課題】 ポリウレタンレザーおよびポリ塩化ビニルレザーのいずれにおいても共通の離型紙を使用でき、かつ、繰返し離型紙を使用して合成皮革を製造した場合であっても離型性や加工性に優れ、安価に合成皮革を得られる、エンボス付き離型紙を用いた合成皮革の製造方法を提供する。
【解決手段】 少なくとも支持体である紙と、その紙上に設けられた電離放射線硬化膜とを備え、かつ該硬化膜上にエンボス加工が施されてなるエンボス付き離型紙を用いた合成皮革の製造方法であって、前記エンボス加工が施された電離放射硬化膜上にポリウレタン樹脂組成物を塗布し、加熱乾燥して表皮層を形成する工程、前記表皮層上に、接着剤を介して基布を貼り合わせて、合成皮革層を形成する工程、および前記合成皮革から前記離型紙を剥離する工程、を含んでなる。

【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本発明は、エンボス付き離型紙を用いた合成皮革の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、合成皮革の工程離型紙としてエンボス付きの離型紙が用いられている。また、合成皮革の素材としては、ポリウレタン(以下、PUと略す)、塩化ビニル(以下、PVCと略す)、PUとPVCとの組み合わせなどが知られている。
【0003】
PUレザーの製造方法として、例えば、離型紙上にペースト状の表皮層用PU樹脂を塗工し、90〜140℃の温度で乾燥、固化させた後、二液硬化型PU系接着剤で基布と貼り合わせて、40〜70℃の熟成室内で2〜3日反応させた後に、離型紙を剥がしてPUレザーを製造する方法がある。これらのPU樹脂は、有機溶剤溶解タイプが一般的であるが、最近は環境問題から水性タイプも使われるようになってきており、その場合には、150〜180℃の高温で乾燥を行うこともある。
【0004】
また、PVCレザーの製造方法として、離型紙上にPVCゾルを塗工し、200〜250℃で加熱、ゲル化させた後、PVC発泡層を形成して基布と貼り合わせ、その後、離型紙を剥がしてPVCレザーを製造する方法がある。
【0005】
更に、PUとPVCとを組み合わせたレザー(セミ合皮ともいう)の製造方法としては、離型紙上にペースト状の表皮層用PU樹脂を塗工し、乾燥、固化させた後、PVC発泡層を形成して基布と貼り合わせ、その後、離型紙を剥がして製造する方法がある。
【0006】
更にこれらの合成皮革を天然皮に貼り合せたスプリットレザーも知られている。
【0007】
PVCレザーやセミ合皮の製造においては、シリコーン樹脂をコーティングし、さらにエンボス加工により凹凸柄が入れられた離型紙が通常用いられている。しかしながら、PVCの製膜温度が比較的高温であるため、エンボス賦型性が悪く、艶ムラも起き易いといった欠点があり、離型紙を繰返して使用することが困難であった。
【0008】
これに対し、PUレザーの製造においては、PUがPVCに比較して製膜温度が低いため、ポリプロピレンや4−メチル−1−ペンテン等の熱可塑性樹脂を押出しコーティングして、さらにエンボス加工された離型紙が用いられる。PUレザー用の離型紙は、エンボス賦型性に優れ、二液硬化型PUの加工においても剥離に問題はなく、繰返し使用にも優れる。しかしながら、離型紙が熱可塑性樹脂で構成されるため、耐熱性に劣り、PVCレザー用として用いることができないといった問題があった。
【0009】
このような問題から、熱可塑性樹脂を押出しコーティングした離型紙は、PVCレザー、セミ合皮用には一部でしか使われておらず、PVCレザー、PUレザーの両方に使用できる離型紙はなかった。
【0010】
近年、イソデシルアクリレートのような電子線硬化性樹脂を用いエンボス柄をキャスティングしたものが、エンボス賦型性に優れしかも耐熱性に優れるため、PU、PVCのいずれにも使用されるようになってきている(特公昭63−2780号公報;特許文献1)。
【0011】
しかしながら、電子線硬化性樹脂を用いるタイプの欠点として、二液硬化型PUに使われる硬化剤のイソシアネートが離型紙表面と反応して、剥離が困難となる欠点がある。
【0012】
また、電子線照射により紙の強度劣化が起きるため離型紙の耐久性が低下し、繰返し使用できないといった問題もあった。
【0013】
またさらに、電子線硬化性樹脂の塗工量も40〜150g/mと多いため、離型紙の製造コストも非常に高いものであった。
【0014】
また、エポキシアクリレート樹脂のようなエチレン性不飽和結合を有する化合物を主成分とし、常温で固体状の樹脂を紙に塗工して未硬化の塗膜を形成しエンボス加工後、電離放射線を照射して硬化させた離型紙も提案されている(特公昭64−10626号公報;特許文献2)。
【0015】
しかしながら、上記と同様に、二液硬化型PU材料を剥離することが容易ではなく、未だ実用化には至っていないのが現状である。
【0016】
さらに、上記の問題、すなわち、離型紙の耐熱性、二液硬化型PUを用いた場合の剥離性を改善するために、アクリロイル基を有するシリコーン樹脂を用いる方法も提案されている(特開平5−269931号公報;特許文献3)。
【0017】
しかしながら、樹脂原料が高価であるばかりでなく剥離性や加工性に劣り、未だ実用に至っていない。
【特許文献1】特公昭63−2780号公報
【特許文献2】特公昭64−10626号公報
【特許文献3】特開平5−269931号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明者らは、特定の電離放射線硬化性樹脂からなる離型紙を使用することにより、PU、PVC、セミ合皮のいずれにも使用できるとの知見を得た。本発明はかかる知見によるものである。
【0019】
従って、本発明の目的は、PUレザーおよびPVCレザーのいずれにおいても共通の離型紙を使用でき、かつ、繰返し離型紙を使用して合成皮革を製造した場合であっても離型性や加工性に優れ、安価に合成皮革を得られる、エンボス付き離型紙を用いた合成皮革の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明による第一の態様としての合成皮革の製造方法は、少なくとも支持体である紙と、その紙上に設けられた電離放射線硬化膜とを備え、かつ該硬化膜上にエンボス加工が施されてなるエンボス付き離型紙を用いた合成皮革の製造方法であって、
前記エンボス加工が施された電離放射硬化膜上にポリウレタン樹脂組成物を塗布し、加熱乾燥して表皮層を形成する工程、
前記表皮層上に、接着剤を介して基布を貼り合わせて、合成皮革層を形成する工程、および
前記合成皮革層から前記離型紙を剥離する工程、を含んでなり、
前記離型紙の電離放射線硬化膜が、前記電離放射線硬化膜が、
イソシアネート化合物と、(メタ)アクリロイル基を有し且つイソシアネート化合物と反応し得る(メタ)アクリル化合物とからなる反応生成物、または
イソシアネート化合物と、(メタ)アクリロイル基を有し且つイソシアネート化合物と反応し得る(メタ)アクリル化合物と、(メタ)アクリロイル基を有さず且つイソシアネート基と反応し得る化合物とからなる反応生成物、
を含んでなる、軟化点が40℃以上の電離放射線硬化性組成物を含んでなるコーティング液を電離放射線の照射により硬化させたものである、
ことを特徴とするものである。
【0021】
本発明による第二の態様としての合成皮革の製造方法は、少なくとも支持体である紙と、その紙上に設けられた電離放射線硬化膜とを備え、かつ該硬化膜上にエンボス加工が施されてなるエンボス付き離型紙を用いた合成皮革の製造方法であって、
前記エンボス加工が施された電離放射硬化膜上にポリウレタン樹脂組成物を塗布し、加熱乾燥して表皮層を形成する工程、
前記表皮層上に湿式中間層を積層し、前記離型紙側から熱ロールにより、前記表皮層と湿式中間層とを圧着して、合成皮革層を形成する工程、および
前記合成皮革層を冷却後に、前記離型紙を剥離する工程、を含んでなり、
前記離型紙の電離放射線硬化膜が、前記電離放射線硬化膜が、
イソシアネート化合物と、(メタ)アクリロイル基を有し且つイソシアネート化合物と反応し得る(メタ)アクリル化合物とからなる反応生成物、または
イソシアネート化合物と、(メタ)アクリロイル基を有し且つイソシアネート化合物と反応し得る(メタ)アクリル化合物と、(メタ)アクリロイル基を有さず且つイソシアネート基と反応し得る化合物とからなる反応生成物、
を含んでなる、軟化点が40℃以上の電離放射線硬化性組成物を含んでなるコーティング液を電離放射線の照射により硬化させたものである、
ことを特徴とするものである。
【0022】
本発明による第三の態様としての合成皮革の製造方法は、少なくとも支持体である紙と、その紙上に設けられた電離放射線硬化膜とを備え、かつ該硬化膜上にエンボス加工が施されてなるエンボス付き離型紙を用いた合成皮革の製造方法であって、
前記エンボス加工が施された電離放射硬化膜上に塩化ビニル樹脂組成物を塗布し、加熱乾燥して表皮層を形成する工程、
前記表皮層上に、発泡性の塩化ビニル樹脂組成物を塗布し、加熱して、中間層を形成する工程、
前記中間層上に接着剤を介して基布を貼り合わせて、合成皮革層を形成する工程、および
前記合成皮革層から前記離型紙を剥離する工程、を含んでなり、
前記離型紙の電離放射線硬化膜が、前記電離放射線硬化膜が、
イソシアネート化合物と、(メタ)アクリロイル基を有し且つイソシアネート化合物と反応し得る(メタ)アクリル化合物とからなる反応生成物、または
イソシアネート化合物と、(メタ)アクリロイル基を有し且つイソシアネート化合物と反応し得る(メタ)アクリル化合物と、(メタ)アクリロイル基を有さず且つイソシアネート基と反応し得る化合物とからなる反応生成物、
を含んでなる、軟化点が40℃以上の電離放射線硬化性組成物を含んでなるコーティング液を電離放射線の照射により硬化させたものである、
ことを特徴とするものである。
【0023】
本発明による第四の態様としての合成皮革の製造方法は、少なくとも支持体である紙と、その紙上に設けられた電離放射線硬化膜とを備え、かつ該硬化膜上にエンボス加工が施されてなるエンボス付き離型紙を用いた合成皮革の製造方法であって、
前記エンボス加工が施された電離放射硬化膜上にポリウレタン樹脂組成物を塗布し、加熱乾燥して表皮層を形成する工程、
前記表皮層上に、発泡性の塩化ビニル樹脂組成物を塗布し、加熱して、中間層を形成する工程、
前記中間層上に接着剤を介して基布を貼り合わせて、合成皮革層を形成する工程、および
前記合成皮革層から前記離型紙を剥離する工程、を含んでなり、
前記離型紙の電離放射線硬化膜が、
イソシアネート化合物と、(メタ)アクリロイル基を有し且つイソシアネート化合物と反応し得る(メタ)アクリル化合物とからなる反応生成物、または
イソシアネート化合物と、(メタ)アクリロイル基を有し且つイソシアネート化合物と反応し得る(メタ)アクリル化合物と、(メタ)アクリロイル基を有さず且つイソシアネート基と反応し得る化合物とからなる反応生成物、
を含んでなる、軟化点が40℃以上の電離放射線硬化性組成物を含んでなるコーティング液を電離放射線の照射により硬化させたものである、
ことを特徴とするものである。
【0024】
このように、上記のような電離放射線硬化膜を備えたエンボス付き離型紙を使用することにより、PUレザーおよびPVCレザーのいずれにおいても共通の離型紙を使用でき、かつ、繰返し離型紙を使用して合成皮革を製造した場合であっても離型性や加工性に優れ、安価に合成皮革を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
第一の態様の合成皮革の製造方法
本発明による第一の態様の合成皮革の製造方法は、少なくとも支持体である紙と、その紙上に設けられた電離放射線硬化膜とを備え、かつ該硬化膜上にエンボス加工が施されてなるエンボス付き離型紙を用いるものである。この離型紙については後記する。
【0026】
まず、上記の離型紙のエンボス加工が施された電離放射硬化膜上にポリウレタン樹脂組成物を塗布し、加熱乾燥して表皮層を形成する。ポリウレタン樹脂組成物としては、ポリエステル系芳香族イソシアネートウレタン、ポリエーテル系芳香族イソシアネートウレタン、ポリカーボネート系芳香族ウレタン、ポリエステル系脂肪族イソシアネートウレタン、ポリエーテル系脂肪族ウレタン、およびポリカーボネート系脂肪族イソシアネートウレタンの一液タイプを好適に使用できる。塗布したポリウレタン樹脂は、その組成にもよるが、通常、90〜140℃で加熱乾燥させる。本発明において使用される離型紙を使用することにより、150〜250℃の高温で乾燥を行った場合であっても、離型紙が変形等してしまうことはなく、合成皮革のエンボス賦型を良好にできる。このようにしてエンボス加工が施された離型紙上に、合成皮革の表皮層となるポリウレタン樹脂層が形成される。
【0027】
次に、その表皮層上に接着剤を介して基布を貼り合わせて合成皮革層を形成する。接着剤としては、一液ポリウレタン樹脂、二液硬化型ポリウレタン樹脂、メラミン樹脂等を使用できるが、強度が必要とされる場合には、二液硬化型ポリウレタン樹脂を好適に使用できる。二液硬化型ポリウレタン樹脂は、主剤としてポリエステル系、ポリエーテル系、ポリカーボネート系のプレポリマージオールに、硬化剤として芳香族系もしくは脂肪族系のジイソシアネートの二液を使用時に混合して用いる。この混合物を反応させて接着剤として使用する。接着剤を表皮層上に塗布した後、その上に基布を貼り合わせて接着剤を乾燥固化させることにより、表皮層と基布とを貼着する。この表皮層と基布との貼り合わせは、通常、40〜70℃の熟成室内で接着剤を2〜3日反応させることにより行われる。本発明においては、熱ラミネーションにより、表皮層と基布との貼り合わせを行うことが好ましい。このようにして接着剤を介して表皮層と基布とが貼着されたものが合成皮革となる。
【0028】
次いで、この合成皮革から前記離型紙を剥離することにより、合成皮革が得られる。本発明において使用される離型紙を使用することにより、PU樹脂を表皮層とした場合でも、離型性に優れるため、繰返し離型紙を使用して合成皮革を製造できる。
【0029】
第二の態様の合成皮革の製造方法
本発明による第二の態様の合成皮革の製造方法は、上記と同様の離型紙を使用するものであって、上記離型紙のエンボス加工が施された電離放射硬化膜上にポリウレタン樹脂組成物を塗布し、加熱乾燥して表皮層を形成する。この工程については第一の態様と同様であり、説明を省略する。
【0030】
次に、その表皮層上に湿式中間層を積層し、前記離型紙側から熱ロールにより、前記表皮層と湿式中間層とを圧着させる。このようにして、表皮層と湿式中間層とが圧着されたものが合成皮革となる。圧着は熱ロールを用いて行い、その熱ロールは、110〜190℃とすることが好ましい。ここで、湿式中間層は、一液ポリウレタン樹脂をジメチルホルムアミド(DMF)に溶解させた溶液を基布上に塗布し、これを水中に浸漬し、DMFを水に置換することによりウレタンを凝固させて得られるものである。このような工程により得られた湿式中間層には、微多孔層が形成されている。そのため、合成皮革にこの湿式中間層を含めることにより、ソフトでボリューム感のある風合を有する合成皮革を得ることができる。
【0031】
次いで、その合成皮革となる部分(表皮層と中間合成皮革層とが圧着されたもの)を冷却した後に、離型紙を剥離することにより、合成皮革を製造できる。
【0032】
第三の態様の合成皮革の製造方法
本発明による第三の態様の合成皮革の製造方法は、上記と同様の離型紙を使用するものであって、上記離型紙のエンボス加工が施された電離放射硬化膜上に塩化ビニル樹脂組成物を塗布し、加熱乾燥して表皮層を形成する。塩化ビニル樹脂組成物としては、塩化ビニル単体、ならびに、塩化ビニルモノマーと、酢酸ビニル、エチレン、プロピレン、マレイン酸エステル等のモノマーとを共重合させた重合体等が挙げられる。塩化ビニル樹脂組成物は、上記樹脂にフタル酸エステル系可塑剤、脂肪酸エステル系可塑剤等の可塑剤を添加してペースト化し、さらにそのペーストに、酸化防止剤、安定剤、充填剤、顔料等を添加したものを使用する。
【0033】
塗布した塩化ビニル樹脂は、その組成にもよるが、通常、200〜250℃で加熱乾燥させることにより固化する。本発明において使用される離型紙を使用することにより、200〜250℃の高温で乾燥を行った場合であっても、離型紙が変形等してしまうことはなく、合成皮革のエンボス賦型を良好にできる。
【0034】
次いで、その塩化ビニル樹脂からなる表皮層上に、発泡性の塩化ビニル樹脂組成物を塗布し、加熱することにより、中間層を形成する。発泡性の塩化ビニル樹脂組成物としては、表皮層に用いたものと同様な組成物に、アゾジカーボンアミド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン等の発泡剤を添加したものが使用できる。通常、この発泡性塩化ビニル樹脂組成物を表皮層上に塗布して、180〜250℃で加熱乾燥することにより、発泡性塩化ビニル樹脂が発泡し、中間層が形成される。
【0035】
形成された中間層上に、接着剤を介して基布を貼り合わせて合成皮革層を形成する。接着剤としては、二液硬化型のポリウレタン接着剤等を好適に使用できる。接着剤を表皮層上に塗布した後、その上に基布を貼り合わせて接着剤を乾燥固化させることにより、表皮層と基布とを貼着する。この表皮層と基布との貼り合わせ工程は、通常、40〜70℃の熟成室内で接着剤を2〜3日反応させることにより行われる。このようにして、表皮層/中間層/接着剤/基布の構成として形成されたものが合成皮革となる。
【0036】
次いで、この合成皮革から前記離型紙を剥離することにより、合成皮革が得られる。本発明において使用される離型紙を使用することにより、PVC樹脂を表皮層とした場合でも、離型性に優れるため、繰返し離型紙を使用して合成皮革を製造できる。
【0037】
第四の態様の合成皮革の製造方法
本発明による第三の態様の合成皮革の製造方法は、上記と同様の離型紙を使用するものであって、上記離型紙のエンボス加工が施された電離放射硬化膜上にポリウレタン樹脂組成物を塗布し、加熱乾燥して表皮層を形成する。この工程については第一の態様と同様であり、説明を省略する。
【0038】
次いで、そのポリウレタン樹脂からなる表皮層上に、発泡性の塩化ビニル樹脂組成物を塗布し、加熱することにより、中間層を形成する。この中間層については、上記と同様であり、説明を省略する。
【0039】
形成された中間層上に、接着剤を介して基布を貼り合わせて合成皮革層を形成する。すなわち、表皮層/中間層/接着剤/基布の構成として形成されたものが合成皮革となる。
【0040】
次いで、この合成皮革から前記離型紙を剥離することにより、合成皮革が得られる。本発明において使用される離型紙を使用することにより、PUとPVCとを組み合わせた合成皮革(セミ合皮)を製造する場合であっても、剥離性に優れるため、繰返し離型紙を使用して合成皮革を製造できる。
【0041】
エンボス付き離型紙
次に、本発明の合成皮革の製造方法に用いられる離型紙について説明する。この離型紙は、少なくとも支持体である紙と、その紙上に設けられた電離放射線硬化膜とを備え、かつ該硬化膜上にエンボス加工が施されてなる合成皮革製造用のエンボス付き離型紙であって、前記電離放射線硬化膜はコーティング液を電離放射線の照射により硬化させたものである。
【0042】
図1は、本発明の離型紙の製造工程の一例を示す図である。図中、1は引出ロール、2はエンボスロール、3はバックアップロール、4は巻取ロール、5は硬化性塗膜付き紙、6はエンボス付き硬化性塗膜付き紙、7はエンボス付き離型紙をそれぞれ表す。また、Aはエンボス加工工程、Bは電離放射線の照射工程をそれぞれ表す。
【0043】
コーティング液
本発明に用いられるコーティング液は、イソシアネート化合物と、(メタ)アクリロイル基を有し且つイソシアネート化合物と反応し得る(メタ)アクリル化合物とからなる反応生成物、または
イソシアネート化合物と、(メタ)アクリロイル基を有し且つイソシアネート化合物と反応し得る(メタ)アクリル化合物と、(メタ)アクリロイル基を有さず且つイソシアネート基と反応し得る化合物とからなる反応生成物を含んでなる、軟化点が40℃以上の電離放射線硬化性組成物を含有する組成物である。
【0044】
なお、本明細書において(メタ)アクリロイル基とはアクリロイル基及び/又はメタクリロイル基を意味し、(メタ)アクリル化合物とはアクリル化合物及び/又はメタクリル化合物を意味し、(メタ)アクリレートとはアクリレート及び/又はメタクリレートを意味し、(メタ)アクリル酸とはアクリル酸及び/又はメタクリル酸を意味する。
【0045】
本発明で用いるイソシアネート化合物とは、少なくとも1個のイソシアネート基を有する化合物であり、好ましくは2個以上のイソシアネート基を有する化合物である。例えば、フェニルイソシアネート、キシリルイソシアネート、ナフチルイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンメチルエステルジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族イソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)等の脂環族イソシアネート、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレン−1,5’−ジイソシアネート等の芳香族イソシアネート、さらには、トリレンジイソシアネートの三量体や、トリレンジイソシアネートと活性水素化合物、例えばトリメチロールプロパンとの3:1(モル比)の反応生成物などを用いることができる。
【0046】
また、好ましくは非芳香族性炭化水素環に結合したイソシアネート基を有する化合物、いわゆる脂環式イソシアネート化合物の三量体や活性水素化合物との反応生成物などを用いる。脂環式イソシアネート化合物としては、市場で入手し易いイソホロンジイソシアネートを用いるのが好ましいが、水添トリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネートなどを用いることもできる。
【0047】
イソホロンジイソシアネートの三量体や、イソホロンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとの3:1(モル比)の反応生成物は、本発明で用いるイソシアネート化合物として好ましく、中でもイソホロンジイソシアネートの三量体は更に好ましい。イソシアネート化合物はいくつか併用してもよい。
【0048】
(メタ)アクリロイル基を有し、且つイソシアネート化合物と反応し得る(メタ)アクリル化合物としては、水酸基及び/又はカルボキシル基を有する(メタ)アクリル化合物が挙げられる。以下、「(メタ)アクリロイル基を有し且つイソシアネート化合物と反応し得る(メタ)アクリル化合物」を「特定(メタ)アクリル化合物」と略称することがある。
【0049】
イソシアネート化合物と、水酸基を有する特定(メタ)アクリル化合物との反応生成物は通常「ウレタンアクリレート」と呼称される。また、イソシアネート化合物と、カルボキシル基を有する特定(メタ)アクリル化合物との反応生成物は、アミド基を介して重合性の(メタ)アクリロイル基が結合した構造の化合物となる。以下、これらにつき説明する。
【0050】
水酸基を有する特定(メタ)アクリル化合物としては、(メタ)アクリル酸とポリヒドロキシ化合物との反応生成物であるヒドロキシエステルが代表的な化合物である。更にはこのヒドロキシエステルの水酸基に、エチレンオキサイドやプロピレンオキサイド、カプロラクトン等を付加させた化合物などが挙げられる。更にはこのヒドロキシエステルの水酸基の一部をモノカルボン酸によりエステル化した化合物も挙げられる。
【0051】
そのいくつかを例示すると、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等のヒドロキシ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸ジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレートモノステアレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、更にはこれらのカプロラクトン付加物、エチレンオキシド付加物、プロピレンオキシド付加物、エチレンオキシド・プロピレンオキシド付加物などが挙げられる。
【0052】
また、エポキシアクリレートの水酸基を利用することもできる。具体的な化合物としては、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル等の1分子中に2個のエポキシを有する化合物とアクリル酸とを反応させて得られるエポキシアクリレートを挙げることができる。これらの成分は、1分子中に2個の(メタ)アクリロイル基を有するので架橋密度を向上させる作用もある。
【0053】
カルボキシル基を有する特定(メタ)アクリル化合物としては、(メタ)アクリル酸そのものや、上記のヒドロキシ(メタ)アクリレートに、カルボン酸無水物、例えば、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸などを反応させた化合物などが挙げられる。
【0054】
そのいくつかを例示すると、ペンタエリスリトールトリアクリレートコハク酸モノエステル、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートコハク酸モノエステル、ペンタエリスリトールトリアクリレートマレイン酸モノエステル、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートマレイン酸モノエステル、ペンタエリスリトールトリアクリレートフタル酸モノエステル、ジペンタエリスリトールトリアクリレートフタル酸モノエステル、ペンタエリスリトールトリアクリレートテトラヒドロフタル酸モノエステル、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートテトラヒドロフタル酸モノエステル等が挙げられる。
【0055】
イソシアネート化合物と特定(メタ)アクリル化合物との反応に際しては、イソシアネート化合物と反応し得る他の活性水素化合物を併用することもできる。即ち、(メタ)アクリロイル基を有さず、且つイソシアネート基と反応し得る化合物を併用してもよい。
【0056】
このような活性水素化合物を目的に応じて選択し併用すると、得られる硬化性組成物の軟化点が高くなったり、最終的に得られる硬化塗膜の可撓性が増加する。このような活性水素含有化合物としては通常は水酸基含有化合物が用いられるが、アミノ基含有化合物やカルボキシル基含有化合物などを用いることもできる。
【0057】
水酸基含有化合物としては、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、1,2,6−ヘキサントリオール、2−ヒドロキシエチル−1,6−ヘキサンジオール、1,2,4−ブタントリオール、エリスリトール、ソルビトール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等の3個以上の水酸基を有する多価アルコール類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,3,5−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール等の脂肪族グリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環族グリコール、キシリレングリコール、ビスヒドロキシエトキシベンゼン等の芳香族グリコールなどが用いられる。
【0058】
また、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリアクリルポリオール等の高分子量ポリオールを用いることもできる。ポリエーテルポリオールとしては、ビスフェノールAやエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール等のグリコール類、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の3個以上の水酸基を有するポリオール類、或いは、エチレンジアミン、トルエンジアミン等のポリアミン類に、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加重合させたもの及びテトラヒドロフランを開環重合して得られるポリテトラメチレンエーテルグリコール等が挙げられる。
【0059】
ポリエステルポリオールとしては、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、フタル酸等のジカルボン酸、又はトリメリット酸、ピロメリット酸等のトリもしくはテトラカルボン酸などのカルボン酸類と、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2−ジエチルプロパンジオール、2−エチル−2−ブチルプロパンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等のジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン等のトリオール、又はビスフェノールA、ビスフェノールF等の芳香族系ポリヒドロキシ化合物との重縮合反応によって得られるものが挙げられる。
【0060】
ポリエーテルエステルポリオールとしては、ポリエステルグリコールにアルキレンオキシドを反応させたものや、エーテル基含有ジオール又はそれと他のグリコールとの混合物に、前記のジカルボン酸又はそれらの無水物を反応させたもの、例えばポリ(ポリテトラメチレンエーテル)アジペートなどが挙げられる。ポリカーボネートポリオールとしては、多価アルコールとジメチル、ジエチル等のジアルキルカーボネートの脱アルコール縮合反応、多価アルコールとジフェニルカーボネートの脱フェノール縮合反応、多価アルコールとエチレンカーボネートの脱エチレングリコール縮合反応等で得られるポリカーボネートポリオールが挙げられる。この縮合反応に使用される多価アルコールとしては、例えば、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2−ジエチルプロパンジオール、2−エチル−2−ブチルプロパンジオール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族ジオール、あるいは、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環族ジオールを挙げることができる。
【0061】
また、アミノ基含有化合物(アミン化合物)としては、ヘキサメチレンジアミン、キシリレンジアミン、イソホロンジアミン、N,N−ジメチルエチレンジアミン等が挙げられる。また、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等のアミノアルコールも活性水素含有化合物として用いることができる。
【0062】
また、カルボキシル基含有化合物(有機カルボン酸)としては、ラウリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸、アジピン酸、セバチン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等が挙げられる。
【0063】
これらの特定(メタ)アクリル化合物以外の活性水素化合物は、イソシアネート化合物と特定(メタ)アクリル化合物との反応生成物の特性を損わないように、特定(メタ)アクリル化合物の反応性基に対する活性水素化合物の反応性基のモル比が50%以下、特に40%以下となるように用いるのが好ましい。
【0064】
イソシネート化合物と特定(メタ)アクリル化合物との反応は、好ましくは溶媒を用いて行う。溶媒を用いることにより反応の制御が容易となり、かつ反応生成物の粘度を調節できる。溶媒としてはこの種の反応に常用の不活性溶媒、たとえばトルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル等のエステル系溶媒、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、エチル−3−エトキシプロピオネート等のグリコールエーテルエステル系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、N−メチルピロリドン等の非プロトン性極性溶媒などが用いられる。
【0065】
反応は反応生成液中における反応生成物の濃度が30〜80重量%となるように溶媒に反応原料を加え、必要であれば反応原料に対して0.01〜0.1重量%の有機錫系触媒の存在下で50〜80℃で反応させればよい。イソシアネート化合物と特定(メタ)アクリル化合物及び場合により併用される他の活性水素化合物との仕込比率は、イソシアネート化合物のイソシアネート基1モルに対し、これと反応し得る特定(メタ)アクリル化合物及び他の活性水素化合物の官能基が0.5モル以上、特に1モル以上となるようにするのが好ましい。反応時間は通常3〜8時間程度であるが、分析により反応生成液中のイソシアネート基の含有量を追跡し、これが目標値に達した時点で反応を停止させるのが好ましい。
【0066】
本発明の電離放射線硬化性組成物としては、このようにして調製されたイソシアネート化合物と特定(メタ)アクリル化合物との反応生成物であって、軟化点が40℃以上のものを用いる。電離放射線硬化性組成物の軟化点は、好ましくは50℃以上、さらに好ましくは60℃以上である。電離放射線硬化性組成物の軟化点が40℃より低いと、硬化前の塗膜にブロッキングを生じたり、エンボス賦型性が不良となる。
【0067】
なお、本発明に規定する軟化点とは、反応生成物から溶媒を除いたものについて、下記条件により測定されたものを意味する。
【0068】
使用機器:レオメトリックス社製 ARES−2KFRTNI
測定モード:動的粘弾性の温度依存性試験、25mmパラレルプレート
測定温度範囲:−50〜150℃
振動周波数:1rad/秒
上記の条件において測定した場合の、溶融粘度が5000Pa・秒となる温度を軟化点と定義する。
【0069】
また、本発明の電離放射線硬化性組成物中の(メタ)アクリル基は、オレフィン性二重結合(−C=C−)の分子量を24と計算して、5重量%以上が好ましく、さらに好ましくは10重量%以上である。(メタ)アクリル基含有量が少ないと、電離放射線硬化後の架橋密度が低下し、耐溶剤性、耐熱性等が不足し、剥離不良、塩ビ製膜時の賦型ダレなどが発生する。
【0070】
なお、オレフィン性二重結合の含有量は、IR、NMR等により測定されるものであるが、製造工程が既知の場合は仕込み量から計算によっても求められる。
【0071】
本発明で用いられるコーティング液は、反応生成物の硬化特性を改質するために、任意成分として、造膜性を有する樹脂、シリコーン化合物、無機顔料などを含有させてもよい。
【0072】
造膜性を有する樹脂としては、メタクリル樹脂、塩素化ポリプロピレン、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタールなどを用いることができる。また、これらの造膜性を有する樹脂は、反応性基を有していてもよいし、有していなくてもよい。反応性基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アミノ基、メルカプト基、エポキシ基、カルボキシル基、フェノール基、ヒドロキシル基等が挙げられる。基材への密着性、製膜性などからメタクリル樹脂が好ましいが、エンボス加工性の観点からガラス転移温度(Tg)が40℃以上のメタクリル樹脂が好ましく、さらにはTgが50℃以上が好ましく、通常のメタクリル系化合物の他に無水マレイン酸、メタクリル酸、スチレン、ヒドロキシエチルメタクリレート、マレイミド基含有メタクリレート、イソボルニル基含有メタクリレート等を共重合成分として使用することもできる。
【0073】
造膜性を有する樹脂の使用量は、コーティング液中の含有量として通常70重量%以下、好ましくは1〜70重量%、さらに好ましくは20〜60重量%である。造膜性を有する樹脂が70重量%を超える場合、すなわち電離放射線硬化性組成物が30重量%より少ないと電離放射線硬化後の耐熱性が不十分となる。造膜性を有する樹脂を適量配合することにより、基材への密着性、造膜性等が改良される効果がある。
【0074】
離型紙に用いられるシリコーン化合物は、反応性であっても非反応性であってもよい。反応性シリコーン化合物としては、(メタ)アクリロイル変性、ビニル変性、アミノ変性、メルカプト変性、エポキシ変性、カルボキシル変性、フェノール変性、アルコール変性のシリコーン化合物が挙げられる。
【0075】
具体的な化合物としては、(メタ)アクリロイル変性シリコーンとしては、X−22−164B、X−22−164C(信越化学工業社製)、FM−0711,FM−0721,FM0725(チッソ社製)、ビニル変性シリコーンとしては、XF40―A1987(東芝シリコーン社製)、アミノ変性シリコーンとしては、TSF4700、TSF4702、TSF4705(東芝シリコーン社製)、X−22−161AS、KF393,KF864(信越化学工業社製)、BY16−208、SF8417(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)、メルカプト変性シリコーンとしては、X−22−167B、KF−2001(信越化学工業社製)、エポキシ変性シリコーンとしては、YF3965,TSF4730(東芝シリコーン社製)、KF105,X−22−169AS(信越化学工業社製)、SF8421、SF8413(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)、カルボキシル変性シリコーンとしては、TSF4770、XF−A9248(東芝シリコーン社製)、X−22−162A、X−22−3701E(信越化学工業社製)、SF8418、BY16−750(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)、フェノール変性シリコーンとしては、X−22−165B(信越化学工業社製)、BY16−752、BY16−150C(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)、アルコール変性シリコーンとしては、TSF4750、TSF4751(東芝シリコーン社製)、BY16−848、BY16−201(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)、FM−4411,FM−4425、FM−0411,FM−0425,FM−DA21(チッソ社製)等が挙げられる。
【0076】
また、これらの反応性シリコーンを用いて合成したシリコーン化合物を用いても良い。合成したシリコーン化合物にはさらに反応性基を有していてもよいし、有していなくてもよい。反応性シリコーンを用いて合成するシリコーン化合物としては、(メタ)アクリロイル変性シリコーンを用いたシリコーン変性(メタ)アクリルポリマーおよびシリコーン変性(メタ)アクリレート、エポキシ変性シリコーンを用いたシリコーン変性エポキシアクリレート、アルコール変性シリコーンを用いたシリコーン変性ウレタンポリマーやシリコーン変性ウレタンアクリレート等が挙げられる。中でもシリコーン変性ウレタンアクリレートが特に好ましい。
【0077】
非反応性シリコーン化合物としては、上記の反応性基を有しないシリコーン化合物が挙げられる。具体的な化合物としては、ジメチルポリシロキサンとしてはTSF451、YF3800(東芝シリコーン社製)、KF96A(信越化学工業社製)、SH200(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)、メチルフェニルポリシロキサンとしてはTSF433,TSF434(東芝シリコーン社製)、SH510、SH702(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)、ポリエーテル変性シリコーンとしてはTSF4440、TSF4445(東芝シリコーン社製)、KF―351、KF−353(信越化学工業社製)、SH3746、SH3748(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)、SS−2803、SS−2801(日本ユニカー社製)等が挙げられる。
【0078】
これらのシリコーン化合物は、単独で用いても二種類以上用いてもよく、反応性、非反応性のものを両方用いてもよい。また他成分との相溶性等の観点から、シリコーン化合物は芳香族、脂環族、イソシアヌル酸骨格等の環構造を有するものが好ましい。環構造を有するシリコーン化合物としては、フェニル基を側鎖に導入したメチルフェニルシリコーン等のシリコーン化合物や、反応性シリコーンを用いて環構造を導入する方法も挙げられる。反応性シリコーンを用いて環構造を導入する方法としては、(メタ)アクリロイル変性シリコーンとスチレンを共重合してフェニル基を導入したシリコーン化合物、シリコーン変性ウレタンポリマーやシリコーン変性ウレタンアクリレートにジフェニルメタンジイソシアーネート、ナフタレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートの単量体やその三量体等を用いて環構造を導入したシリコーン化合物等が挙げられる。これらの環構造を有するシリコーン化合物は、さらに反応性基を有していてもよいし、有していなくてもよい。
【0079】
コーティング材料中におけるシリコーン化合物の含有量は、通常20重量%以下、好ましくは0.5〜20重量%、さらに好ましくは1〜15重量%である。シリコーン化合物が20重量%より多いと塗膜がべとついたり、コストが高くなったりし、0.5重量%より少ないと剥離性の改良効果が充分ではない。
【0080】
更に、コーティング液には、上述の造膜性を有する樹脂やシリコーン化合物に加えて、或いはそれらの代わりに、反応性モノマー、反応性オリゴマー、顔料、光重合開始剤、重合禁止剤、着色剤、界面活性剤などを含有させてもよい。
【0081】
反応性モノマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートなどを用いるのが好ましい。
【0082】
反応性オリゴマーとしては、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレートなどを用いるのが好ましい。
【0083】
光重合開始剤としては、ベンゾインエチルエーテル、アセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾフェノン、p−クロロベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、N,N−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントンなどを用いるのが好ましい。
【0084】
また、塗工しやすい粘度になるように、適宜溶媒を加えて塗工する。溶媒としては、例えばトルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル等のエステル系溶媒、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、エチル−3−エトキシプロピオネート等のグリコールエーテルエステル系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、N−メチルピロリドン等の非プロトン性極性溶媒などが用いられる。
【0085】
支持体
次に、本発明に用いられる支持体につき説明する。支持体としては、上質紙、クラフト紙、片艶クラフト紙、純白ロール紙、グラシン紙、カップ原紙などの非塗工紙の他、無機顔料塗工層を設けたアート紙、コート紙、キャストコート紙などの塗工紙、天然パルプを用いない合成紙なども用いることができる。特にPVCレザーの製造に用いる場合には、200℃以上の高温での加工に対する耐熱性が必要になるため、酸性紙よりも、中性紙を使用することが好ましい。酸性紙にはサイズ剤として硫酸バンドを定着剤としたロジン系サイズ剤が用いられるが、中性紙には硫酸バンドを定着剤として使用しない中性ロジン系サイズ剤、アルキルケテンダイマー(AKD)、アルケニル無水琥珀酸(ASA)などの中性サイズ剤が用いられる。
【0086】
また、エンボス加工において、賦型性が良好で充分な強度があり、かつ適度の平滑性を有するには、パルプは針葉樹パルプと広葉樹パルプの混合系であり、少なくとも針葉樹パルプが20%以上含まれており、坪量は80〜250g/mであることが好ましい。
【0087】
さらにこれらの支持体上に上記の造膜性を有する樹脂、またこれらの樹脂に無機顔料を添加したものからなる目止め層が施されていると、コーティング液の染み込みによるピンホールの発生を抑えられ、平滑性も付与されるので好ましい。
【0088】
目止め層を形成するために用いられる造膜性を有する樹脂としては、ポリビニルアルコール、アクリル樹脂、スチレンアクリル樹脂、セルロース誘導体、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、アミノアルキッド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂などがあり、これらを混合して使用しても良い。
【0089】
添加する無機顔料としては、タルク、カオリン、シリカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、酸化亜鉛などがあり、造膜性を有する樹脂に対して通常0.5〜70重量%となるように配合する。この目止め層は、0.5〜20g/mあればよく、少なすぎれば目止め効果を発揮せず、多すぎるとエンボス賦型性の妨げとなる。目止め材料の塗工は、後記する電離放射線硬化性樹脂組成物を含むコーティング液と同様の方法で行われる。
【0090】
電離放射線硬化膜
本発明の離型紙を構成する電離放射線硬化膜は、上記のコーティング液を塗工して、硬化させることにより形成される。コーティング液は、固形分100重量部に対して通常10〜1000重量部の溶剤で希釈したものを使用できる。溶剤の希釈により塗工に適正な粘度、例えば、25℃において10〜3000mPa・秒の粘度を付与するとともに、これを乾燥する工程においてシリコーン化合物の適正な表面への移行を可能にする。
【0091】
コーティング液の塗工方式としては、ダイレクトグラビアコート、リバースグラビアコート、グラビアオフセットコート、マイクログラビアコート、ダイレクトロールコート、リバースロールコート、カーテンコート、ナイフコート、エアナイフコート、バーコート、ダイコート、スプレーコートなどの公知の方法が用いられ、紙基材に塗工後、乾燥炉で溶剤を蒸発させて塗膜を形成させる。
【0092】
コーティング液は、溶剤蒸発後の乾燥重量で1〜40g/m、好ましくは5〜20g/mとなるように塗工すれば良好なエンボス賦型性が得られる。
【0093】
また、電離放射線硬化膜層は二層以上にすることが好ましく、二層以上とすることにより、ピンホールがさらに少なくなる。電離放射線硬化膜層を二層以上とする場合は、最下層の電離放射線硬化膜層に、無機顔料を0.5〜50重量%、特に1〜10重量%含有するのが好ましい。無機顔料は、目止め層に使用するものと同様のものを使用でき、タルク、カオリン、シリカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、酸化亜鉛等を好適に使用できる。
【0094】
また、電離放射線硬化膜層には、シリコーン化合物を含有していても良い。その場合、電離放射線硬化膜層の最上層のみにシリコーン化合物が含まれても良く、また、各層に含まれていてもよい。
【0095】
上記コーティング液を支持体に塗工し、乾燥した塗膜はタックフリーであるため、乾燥後は紙基材ごとブロッキングせずに巻き取ることができ、後加工のエンボスはオフラインで施すことができる。さらにエンボスロール温度とコーティング液の軟化温度を適当に設定することにより、コーティング液がエンボスロールへ付着することなく、良好な賦型性が得られる。
【0096】
エンボス加工は、凹凸模様を有する金属エンボスロールを転写し賦型する方法が一般的であるが、ベルト式、平版式のプレス装置を用いても良い。エンボスロールを用いる場合、エンボスロールの雄型に対して、バックアップロールを雌型とする両面エンボスと、バックアップロールには凹凸のない片面エンボスがある。
【0097】
コーティング液が塗工された支持体上に、これらのエンボス装置を用いて賦型を行う際には、コーティング液の温度が50〜150℃になるように加熱する。この温度は、コーティング液に含まれる電離放射線硬化性組成物の軟化点より高く、かつ樹脂が溶融する温度より低い範囲である。加熱方式は、通常エンボスロールに蒸気を通すなどしてロール自体を加熱させるが、エンボス直前で前もってコーティング液を加熱させるプレヒート方式も可能である。
【0098】
上記の良好なタックフリー性、賦型性を得るために、電離放射線硬化性組成物の軟化点は、先に述べた通り、40℃以上、好ましくは50℃以上である。軟化点が40℃未満であると、タックフリー性、賦型性が不十分となる。
【0099】
エンボス賦型後、硬化性塗膜の側から紫外線あるいは電子線を照射し、コーティング液を塗布した硬化性塗膜を硬化させる。紫外線の光源としては、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、タングステンランプなどが用いられる。電子線の照射方式としては、スキャンニング方式、カーテンビーム方式、ブロードビーム方式などが用いられ、電子線の加速電圧は、50〜300kVが適当である。
【実施例】
【0100】
次に実施例により本発明を詳しく説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
【0101】
まず、合成皮革の製造に使用するエンボス付き離型紙を作製した。
【0102】
1.電離放射線硬化性組成物の合成
二種類の電離放射線硬化性組成物を下記のようにして合成して得た。
【0103】
<電離放射線硬化性組成物A>
撹拌機、還流冷却器、滴下漏斗及び温度計を取り付けた反応器に、酢酸エチル206.1g及びイソホロンジイソシアネートの三量体(degussa社製、VESTANAT、T1890)133.5gを仕込み、80℃に昇温して溶解させた。溶液中に空気を吹き込んだ後、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.38g、ペンタエリスリトールトリアクリレートとぺンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物(大阪有機化学工業社製、ビスコート300)249.3g及びジブチル錫ジラウレート0.38gを仕込んだ。80℃で5時間反応させた後、酢酸エチル688.9gを添加して冷却した。
【0104】
このようにして得られた電離放射線硬化性組成物Aは、赤外吸収スペクトル分析の結果、イソシアネート基の吸収が消滅していることを確認した。この電離放射線硬化性組成物Aから酢酸エチルを留去したものの軟化温度は43℃であった。
【0105】
<電離放射線硬化性組成物B>
撹拌機、還流冷却器、滴下漏斗及び温度計を取り付けた反応器にメチルエチルケトン256.67g及びイソホロンジイソシアネートの三量体110gを仕込み、80℃に昇温して溶解させた。溶液中に空気を吹き込んだのち、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.20g、ペンタエリスリトールテトラアクリレートとペンタエリスリトールトリアクリレートの混合物146.65g、エポキシアクリレート(共栄社化学社製、エポキシエステル70PA)30.08g及びジブチル錫ジラウレート0.20gを仕込んだ。80℃で5時間反応させたのちメチルエチルケトン412.37gを添加して冷却した。
【0106】
このようにして得られた電離放射線硬化性組成物Bは、赤外吸収スペクトル分析の結果、イソシアネート基の吸収が消滅していることを確認した。この電離放射線硬化性組成物Bからメチルエチルケトンを留去したものの軟化温度は68℃であった。
【0107】
2.造膜性を有する樹脂の合成
造膜性を有する樹脂を下記のようにして合成して得た。
【0108】
<樹脂a>
撹拌機、還流冷却器、滴下漏斗及び温度計を取り付けた反応器にイソボルニルメタクリレート30g、メチルメタクリレート65g、グリシジルメタクリレート5g、トルエン200gに溶解した溶液を加熱して、65℃に昇温した時、及び65℃に達してから2時間後にそれぞれ2,2’−アゾビス(2,4−ジメエチルバレロニトリル)を0.5gずつ添加し、更に65℃で5時間反応して共重合体を得た。その後空気を吹き込みながら、108℃まで断続的に昇温し、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.2g、トリフェニルホスフィン0.2gを添加した後、アクリル酸を2.5g添加して5時間反応してアクリロイル基を有する造膜性を有する樹脂aを得た。
【0109】
3.シリコーン化合物の調製
二種類のシリコーン化合物を下記のようにして準備した。
【0110】
<シリコーン化合物α>
撹拌機、還流冷却器、滴下漏斗及び温度計を取り付けた反応器にメチルエチルケトン23.3g及びイソホロンジイソシアネート10g、ペンタエリスリトールテトラアクリレートとペンタエリスリトールトリアクリレートの混合物20.4g、及びジブチル錫ジラウレート0.10g、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.10gを仕込み、溶液中に空気を吹き込んだ後25℃で3時間反応後、80℃まで断続的に昇温しながら5時間反応して得られた反応物に、アルコール変性シリコーン(チッソ社製FMDA21)240.8gを添加してさらに5時間反応させたのちメチルエチルケトン609.3gを添加して冷却し、アクリロイル基とシリコーンを含有するシリコーン変性ウレタンアクリレート(シリコーン化合物α)を得た。
【0111】
<シリコーン化合物β>
撹拌機、還流冷却器、滴下漏斗及び温度計を取り付けた反応器に2−ヒドロキシエチルメタクリレート10g、スチレン40g、メタクリル変性シリコーン(チッソ社製FM0711)40g、ラウリルメルカプタン2gをメチルエチルケトン200gに溶解した溶液を加熱して、65℃に昇温した時、及び65℃に達してから2時間後にそれぞれ2,2’−アゾビス(2,4−ジメエチルバレロニトリル)を0.6gずつ添加し、更に65℃で5時間反応して共重合体を得た。これにイソホロンジイソシアネート22.2gとペンタエリスリトールトリアクリレートとペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物57.1gとを25℃で3時間反応後、80℃まで断続的に昇温しながら5時間反応させて得られた付加物79.3gを添加し、80℃で5時間反応しアクリロイル基とシリコーンを有する共重合体(シリコーン化合物β)を得た。
【0112】
4.支持体の予備処理
支持体として坪量125g/mの中性紙を用い、目止め層用の被覆材として、下記組成シリカ入りのアクリル樹脂を、バーコーターで乾燥後の塗膜厚みが5g/mとなるように塗工した。塗工後110℃で1分乾燥した。
【0113】
[アクリル樹脂]
スチレン・アクリルエマルジョン(星光ポリマー社製、X−436) 25重量部
水溶性アクリル樹脂(ジョンソンポリマー社製、PDX−6102) 25重量部
シリカ(富士シリシア化学社製、サイシリア350) 10重量部
イソプロピルアルコール 25重量部
水 25重量部
5.コーティング液の調製
前記の電離放射線硬化性組成物Aを30重量部、造膜性を有する樹脂aを60重量部及びシリコーン化合物βを10重量部(前述重量部はいずれも固形分重量部)を混合して組成物1を調整した。該組成物の一部をサンプリングして軟化温度を測定したところ76℃であった。
【0114】
上記と同様にして、電離放射線硬化性組成物Bを80重量部、造膜性を有する樹脂aを10重量部及びシリコーン化合物αを10重量部(前述重量部はいずれも固形分重量部)を混合して組成物2を調整した。該組成物の一部をサンプリングして軟化温度を測定したところ75℃であった。
【0115】
6.離型紙の作製
組成物1に対して、該組成物の固形分100重量部につき光重合開始剤(チバスペシャリティーケミカルズ社製、イルガキュア907)を3重量部、希釈溶剤としてメチルエチルケトンを固形分濃度が30重量%となるように添加した。得られた混合物を目止め層を施さない中性紙に、バーコーターで塗工を行い、塗膜厚さが乾燥後約5〜10g/mとなるように塗工し、110℃で1分間加熱蒸発乾燥した。
【0116】
次いで、組成物2の固形分100重量部につき光重合開始剤(チバスペシャリティーケミカルズ社製、イルガキュア907)を3重量部、希釈溶剤としてメチルエチルケトンを固形分濃度が30重量%となるように添加した。得られた混合物を上記の組成物1からなる塗膜上に、上記と同様にして塗工し、加熱蒸発乾燥した。
【0117】
その後、その塗膜表面にエンボス加工を施した。エンボスは、凹凸模様を有する金属エンボスロールに対して、雌型の付いたペーパーロールをバックアップロールとして加圧して行った。
【0118】
この時のエンボスロール温度は120℃とし、支持体と乾燥塗膜に同時にエンボス加工を行い、乾燥塗膜面だけでなく、支持体の裏面側にまで良好な賦型を入れ、コーティング面だけでなく紙の裏側にまでも凹凸が充分賦型されていることを確認した。ついで出力120W/cmの高圧水銀灯を用い、600mj/cmの紫外線照射を行い、塗膜を硬化させ、離型紙を得た。
【0119】
実施例1(第一の態様の合成皮革の製造方法)
表皮層形成用の塗工液として、下記の各成分を混合し、プロペラミキサーで十分に攪拌して、エステル系ポリウレタン樹脂組成物の混合物を調製した。
【0120】
<エステル系ポリウレタン溶液の組成>
エステル系ポリウレタン樹脂
(大日本インキ化学工業(株)社製 クリスボンNB−637N) 100重量部
カラー
(大日本インキ化学工業(株)社製 ダイラックTV−COLOR) 15重量部
メチルエチルケトン 20重量部
ジメチルホルムアミド 10重量部
調整したエステル系ポリウレタン溶液を上記で得られた離型紙上に乾燥厚み20μmになるようにナイフコーターにて塗布し、100℃で2分間熱風乾燥し、ポリウレタン表皮層を形成した。次いでポリウレタン表皮層上に接着剤層として、下記組成の二液硬化型ポリエステル系ポリウレタン接着剤1を乾燥厚みが40μになるようにナイフコーターで塗布し、メリヤス布を貼り合わせた。
【0121】
<接着剤1の組成>
主剤 二液硬化型エステル系ポリウレタン樹脂
(大日本インキ化学工業(株)社製クリスボン4070) 100重量部
硬化剤 二液硬化型ウレタン樹脂用硬化剤
(大日本インキ化学工業(株)社製 クリスボンNX) 13重量部
促進剤 二液硬化型ウレタン樹脂用硬化促進剤
(大日本インキ化学工業(株)社製 クリスボン アクセルHM) 3重量部
溶剤 メチルエチルケトン 30重量部
この貼り合わせた物を100℃で5分間熱風乾燥し、更に48時間熟成して接着剤を反応固化させ離型紙を剥離することにより乾式PU合皮を作製した。
【0122】
実施例2(第二の態様の合成皮革の製造方法)
表皮層形成用の塗工液として、下記の各成分を混合し、プロペラミキサーで十分に攪拌して、エステル系ポリウレタン樹脂組成物の混合物を調製した。
【0123】
<エステル系ポリウレタン溶液の組成>
エステル系ポリウレタン樹脂
(大日本インキ化学工業(株)社製 クリスボンNB−637N) 100重量部
カラー
(大日本インキ化学工業(株)社製 ダイラックTV−COLOR) 15重量部
メチルエチルケトン 20重量部
ジメチルホルムアミド 10重量部
調整したエステル系ポリウレタン溶液を上記で得られた離型紙上に乾燥厚み20μになるようにナイフコーターにて塗布し、100℃で2分間熱風乾燥し、ポリウレタン表皮層を形成した。
【0124】
次に、中間層形成用の湿式合成皮革中間層を準備した。湿式合成皮革中間層を形成するための樹脂として、下記の各成分を混合し、プロペラミキサーで十分に攪拌して、エステル系ポリウレタン樹脂組成物の混合物を調製した。
【0125】
<湿式合成皮革中間層形成用塗工液>
ポリウレタン樹脂
(大日本インキ化学工業(株)社製 クリスボンNB−637N) 100重量部
カラー
(大日本インキ化学工業(株)社製 ダイラックTV−COLOR) 1重量部
成膜助剤
(大日本インキ化学工業(株)社製 クリスボン アセスターSD−7) 160重量部
ジメチルホルムアミド 10重量部
上記塗工液を、2.4番手の綿100%ループヤーン(タム糸)からなる基布上に、ナイフコーターにて、700g/mとなるように塗布し、その後、30℃に調製した凝固液(10%ジメチルホルムアミド水溶液)中に5分間浸漬することにより成膜し、次いで、ジメチルホルムアミドが完全に抽出されるまで15分間、60℃の温水中で洗浄を行った。その後、マングローブを用いて水分を除去し、120℃のオーブン内で乾燥さあせることにより、湿式合成皮革中間層を得た。
【0126】
得られた湿式合成皮革中間層と上記の表皮層とを、熱ラミネーション機を用いて180℃、4kg/m2ニップ圧条件下で熱ロールにより熱圧着を行った。次いで、冷却ロールおよび送風ゾーンを通過させた後、離型紙を剥離することにより、湿式ポリウレタン合成皮革を作製した。
【0127】
実施例3(第三の態様の合成皮革の製造方法)
表皮層形成用の塗工液として、下記の各成分を混合し、プロペラミキサーで十分に攪拌して、ポリ塩化ビニル樹脂組成物の混合物(ゾル液状混合物)を調製した。
【0128】
<PVC樹脂組成物>
エマルジョン重合ポリ塩化ビニル樹脂(平均重合度1000)
(ZEST PX−QHP 新第一塩ビ社製) 20重量部
可塑剤 ジオクチルフタレート(DOT) 80重量部
安定剤 バリウム−亜鉛系複合安定剤
(アデガスタブLF−54、旭電化社製) 3重量部
充填剤 炭酸カルシウム 5重量部
顔料 酸化チタン 3重量部
上記のゾル状混合物を、上記で得られた離型紙上に乾燥厚み300μmになるようにドクターナイフ法にて塗布し、150℃で90秒間と、195℃で3分30秒間熱風乾燥し、PVC表皮層を形成した。
【0129】
次いで、得られたPVC表皮層上にメリヤス布を貼り合わせ、離型紙を剥離することにより、PVC合成皮革を作製した。
【0130】
実施例4(第四の態様の合成皮革の製造方法)
表皮層形成用の塗工液として、下記の各成分を混合し、プロペラミキサーで十分に攪拌して、エステル系ポリウレタン樹脂組成物の混合物を調製した。
【0131】
<エステル系ポリウレタン溶液の組成>
エステル系ポリウレタン樹脂
(大日本インキ化学工業(株)社製 クリスボンNB−637N) 100重量部
カラー
(大日本インキ化学工業(株)社製 ダイラックTV−COLOR) 15重量部
メチルエチルケトン 20重量部
ジメチルホルムアミド 10重量部
調整したエステル系ポリウレタン溶液を上記で得られた離型紙上に乾燥厚み20μmになるようにナイフコーターにて塗布し、100℃で2分間熱風乾燥し、ポリウレタン表皮層を形成した。
【0132】
次いで、発泡PVC層形成用塗工液として、下記の各成分を混合し、プロペラミキサーで十分に攪拌して、発泡性PVC塗工液を調製した。
【0133】
<発泡性PVC塗工液の組成>
エマルジョン重合ポリ塩化ビニル樹脂(エポキシ基含有モノマーを共重合したものであって、平均重合度1500)
(ZEST PF−821 新第一塩ビ社製) 20重量部
可塑剤 ジオクチルフタレート(DOT) 80重量部
発泡剤 アゾジカーボンアミド(ADCA) 3重量部
安定剤 バリウム−亜鉛系複合安定剤
(アデガスタブLF−54、旭電化社製) 3重量部
充填剤 炭酸カルシウム 5重量部
顔料 酸化チタン 3重量部
上記の発泡性PVC塗工液を、上記で得られたポリウレタン表皮層上に乾燥厚み300μmになるようにドクターナイフ法にて塗布し、150℃で90秒間と、195℃で3分30秒間熱風乾燥し、発泡PVC層を形成した。
【0134】
次いで、得られた発泡PVC層上にメリヤス布を貼り合わせ、離型紙を剥離することにより、セミ合成皮革を作製した。
【0135】
<評価>
上記と同様にして、同一の離型紙を用いて各合成皮革の作製を5回繰返し、離型紙の型くずれ、支持体の劣化、および、離型紙の剥離性について評価を行った。
【0136】
離型紙の型くずれは、以下の基準により評価を行った。
【0137】
○:5回作製した後も、エンボス賦型の崩れが全くない
△:エンボス賦型の崩れや離型紙表面の変化が生じ、繰返し5回は使用できない
×:エンボス賦型の崩れや支持体の劣化による破断が生じ、1回しか使用できない
また、離型紙の剥離性については、引張り試験機(オリエンテック社製テンシロンRTC−1310A)を用いて合成皮革15mm幅を300mm/分の速度で離型紙から180℃剥離し、剥離強度を測定した。同様の離型紙を用いて、5回繰返し上記実施例と同様にして合成皮革を製造し、合成皮革と離型紙とを剥離する際の剥離性についても測定した。
【0138】
◎:5回繰返し後も、剥離強度が1N未満で、ほとんど剥離性に変化がない
○:5回繰返して離型紙を使用できるが、やや剥離性が悪化し、剥離強度も1N以上となる
△:5回繰返して離型紙を使用すると、離型性がかなり悪化し、5回目までに剥離ができなくなる
×:1回目から離型紙を剥離できない
結果は下記表1に示される通りであった。
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0139】
【図1】本発明の離型紙の製造工程の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0140】
1:引出ロール
2:エンボスロール
3:バックアップロール
4:巻取ロール
5:硬化性塗膜付き紙
6:エンボス付き硬化性塗膜付き紙
7:エンボス付き離型紙
A:エンボス加工工程
B:電離放射線の照射工程

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも支持体である紙と、その紙上に設けられた電離放射線硬化膜とを備え、かつ該硬化膜上にエンボス加工が施されてなるエンボス付き離型紙を用いた合成皮革の製造方法であって、
前記エンボス加工が施された電離放射硬化膜上にポリウレタン樹脂組成物を塗布し、加熱乾燥して表皮層を形成する工程、
前記表皮層上に、接着剤を介して基布を貼り合わせて、合成皮革層を形成する工程、および
前記合成皮革層から前記離型紙を剥離する工程、を含んでなり、
前記離型紙の電離放射線硬化膜が、前記電離放射線硬化膜が、
イソシアネート化合物と、(メタ)アクリロイル基を有し且つイソシアネート化合物と反応し得る(メタ)アクリル化合物とからなる反応生成物、または
イソシアネート化合物と、(メタ)アクリロイル基を有し且つイソシアネート化合物と反応し得る(メタ)アクリル化合物と、(メタ)アクリロイル基を有さず且つイソシアネート基と反応し得る化合物とからなる反応生成物、
を含んでなる、軟化点が40℃以上の電離放射線硬化性組成物を含んでなるコーティング液を電離放射線の照射により硬化させたものである、
ことを特徴とする、合成皮革の製造方法。
【請求項2】
前記接着剤が、二液硬化型ポリウレタン樹脂である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記基布の貼り合わせ工程が、前記表皮層上に接着剤を塗布し乾燥させた後、その接着剤上に熱ラミネーションにより基布を貼り合わせるものである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
少なくとも支持体である紙と、その紙上に設けられた電離放射線硬化膜とを備え、かつ該硬化膜上にエンボス加工が施されてなるエンボス付き離型紙を用いた合成皮革の製造方法であって、
前記エンボス加工が施された電離放射硬化膜上にポリウレタン樹脂組成物を塗布し、加熱乾燥して表皮層を形成する工程、
前記表皮層上に湿式中間層を積層し、前記離型紙側から熱ロールにより、前記表皮層と湿式中間層とを圧着して、合成皮革層を形成する工程、および
前記合成皮革層を冷却後に、前記離型紙を剥離する工程、を含んでなり、
前記離型紙の電離放射線硬化膜が、前記電離放射線硬化膜が、
イソシアネート化合物と、(メタ)アクリロイル基を有し且つイソシアネート化合物と反応し得る(メタ)アクリル化合物とからなる反応生成物、または
イソシアネート化合物と、(メタ)アクリロイル基を有し且つイソシアネート化合物と反応し得る(メタ)アクリル化合物と、(メタ)アクリロイル基を有さず且つイソシアネート基と反応し得る化合物とからなる反応生成物、
を含んでなる、軟化点が40℃以上の電離放射線硬化性組成物を含んでなるコーティング液を電離放射線の照射により硬化させたものである、
ことを特徴とする、合成皮革の製造方法。
【請求項5】
少なくとも支持体である紙と、その紙上に設けられた電離放射線硬化膜とを備え、かつ該硬化膜上にエンボス加工が施されてなるエンボス付き離型紙を用いた合成皮革の製造方法であって、
前記エンボス加工が施された電離放射硬化膜上に塩化ビニル樹脂組成物を塗布し、加熱乾燥して表皮層を形成する工程、
前記表皮層上に、発泡性の塩化ビニル樹脂組成物を塗布し、加熱して、中間層を形成する工程、
前記中間層上に接着剤を介して基布を貼り合わせて、合成皮革層を形成する工程、および
前記合成皮革層から前記離型紙を剥離する工程、を含んでなり、
前記離型紙の電離放射線硬化膜が、前記電離放射線硬化膜が、
イソシアネート化合物と、(メタ)アクリロイル基を有し且つイソシアネート化合物と反応し得る(メタ)アクリル化合物とからなる反応生成物、または
イソシアネート化合物と、(メタ)アクリロイル基を有し且つイソシアネート化合物と反応し得る(メタ)アクリル化合物と、(メタ)アクリロイル基を有さず且つイソシアネート基と反応し得る化合物とからなる反応生成物、
を含んでなる、軟化点が40℃以上の電離放射線硬化性組成物を含んでなるコーティング液を電離放射線の照射により硬化させたものである、
ことを特徴とする、合成皮革の製造方法。
【請求項6】
少なくとも支持体である紙と、その紙上に設けられた電離放射線硬化膜とを備え、かつ該硬化膜上にエンボス加工が施されてなるエンボス付き離型紙を用いた合成皮革の製造方法であって、
前記エンボス加工が施された電離放射硬化膜上にポリウレタン樹脂組成物を塗布し、加熱乾燥して表皮層を形成する工程、
前記表皮層上に、発泡性の塩化ビニル樹脂組成物を塗布し、加熱して、中間層を形成する工程、
前記中間層上に接着剤を介して基布を貼り合わせて、合成皮革層を形成する工程、および
前記合成皮革層から前記離型紙を剥離する工程、を含んでなり、
前記離型紙の電離放射線硬化膜が、
イソシアネート化合物と、(メタ)アクリロイル基を有し且つイソシアネート化合物と反応し得る(メタ)アクリル化合物とからなる反応生成物、または
イソシアネート化合物と、(メタ)アクリロイル基を有し且つイソシアネート化合物と反応し得る(メタ)アクリル化合物と、(メタ)アクリロイル基を有さず且つイソシアネート基と反応し得る化合物とからなる反応生成物、
を含んでなる、軟化点が40℃以上の電離放射線硬化性組成物を含んでなるコーティング液を電離放射線の照射により硬化させたものである、
ことを特徴とする、合成皮革の製造方法。
【請求項7】
前記コーティング液が、造膜性を有する樹脂を1〜70重量%更に含んでなる、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記支持体の表面に無機顔料及び造膜性を有する樹脂から成る目止め層が施されている、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記コーティング液が、シリコーン化合物を0.5〜20重量%含んでなる、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記電離放射線硬化膜が、少なくとも二層以上の構成からなる、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
二層以上の構成からなる前記電離放射線硬化膜において、少なくとも一層以上に無機顔料が0.5〜50重量%含まれてなる、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
二層以上の構成からなる前記電離放射線硬化膜において、支持体側に配置される最下層に無機顔料が0.5〜50重量%含まれてなる、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
二層以上の構成からなる前記電離放射線硬化膜において、少なくとも一層以上にシリコーン化合物が0.5〜20重量%含まれてなる、請求項10〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
二層以上の構成からなる前記電離放射線硬化膜において、支持体側とは反対側に配置される最上層にシリコーン化合物が0.5〜20重量%含まれてなる、請求項10〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
二層以上の構成からなる前記電離放射線硬化膜において、
支持体側に配置される最下層に無機顔料が0.5〜50重量%含まれてなり、
支持体側とは反対側に配置される最上層にシリコーン化合物が0.5〜20重量%含まれてなる、請求項10〜14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
二層以上の構成からなる前記電離放射線硬化膜において、
支持体側に配置される最下層に無機顔料が0.5〜50重量%含まれてなり、
各層にシリコーン化合物が0.5〜20重量%含まれてなる、請求項10〜14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法により得られた合成皮革。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2006−176922(P2006−176922A)
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−371162(P2004−371162)
【出願日】平成16年12月22日(2004.12.22)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】