説明

雨水ポンプの制御装置

【課題】管内に貯留された水や簡易処理施設などを有効に活用することにより、放流水が汚濁されるのを低減することができるとともに、浸水の恐れがない安定した雨水ポンプの運転ができる雨水ポンプ制御装置を提供する。
【解決手段】河川に直接雨水を放流する直放ポンプ8と簡易処理施設9に送水する簡易処理ポンプ7に対してそれぞれ目標上下限貯留量を設定し、貯留量が目標到達時間で目標上下限貯留量に達するために必要な揚水量を、雨水流入量予測値、現在貯留量及び目標上下限貯留量から求め、必要最小揚水量が現在運転中のポンプの最大揚水量より大きい時、追加運転を簡易処理ポンプ、直放ポンプの順に行い、又必要最大揚水量が現在運転中のポンプの最小揚水量より小さい時、直放ポンプ、簡易処理ポンプの順に停止させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、下水道施設における雨水ポンプの制御装置に関するものであり、特にポンプ場や下水処理場に流入する雨水流入量を予測し、この予測値に基づいてポンプの運転台数、及びポンプの起動並びに停止のタイミングを制御するための雨水ポンプの制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より雨水ポンプの制御は、周辺流域やポンプ場及び下水処理場が浸水しないように雨水を排水するために行なわれていた。しかも近年浸水対策だけでなく、放流先の水質を保全するために、雨水貯留池を設置したり、下水管渠内に貯留した雨水の有効活用を図り、更には雨水簡易処理施設などを設けて、直接河川や海などに放流される雨水量を低減し、放流される雨水が汚濁されるのを低減する運用が行なわれており、このような施設においてポンプの制御が活用されている。
【0003】
特に、汚水と雨水の両方が流入する合流式下水道設備においては、浸水対策だけでなく、放流量を調整し、放流される水の汚濁を低減させるための雨水ポンプの運用が必要とされている。
【0004】
降雨初期の雨水は汚濁濃度が大きいために、流入量が急増して浸水の恐れがない限り、直接河川、海などに放流する雨水ポンプである直放ポンプは直ちに起動せず、先ず簡易処理施設に送水したり、あるいは雨水貯留池に送水するためのいわゆる簡易処理ポンプを起動させ、簡易放流が開始された後や雨水貯留池が満杯になってから直放ポンプを起動させることにより、放流水の汚濁を低減できる。
【0005】
管渠貯留量を考慮した従来の雨水ポンプの制御としては、雨水流入量を予測し、予測した雨水流入量と管渠内水位データとに基づいて、ポンプ運転がない場合の管内貯留量予測値を求めて、管内貯留量予測値があらかじめ定めた管内貯留量目標値より大きくなった場合、雨水流入量予測値をポンプの目標排水量として、ポンプの運転台数および回転数を制御しているものがある。
【0006】
この場合ポンプの運転台数は、目標排水量に対してあらかじめ定められており、またポンプ号機の選択もあらかじめ定められた起動停止順位に基づいてポンプの運転並びに停止が行なわれるようになっている。また管内貯留量目標値は、一定時間までの予測総降水量を基に、大雨、少雨などモード判定を行い、モードに応じて決定するようにしている(特許文献1参照)。
【0007】
【特許文献1】特開平9−62367号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来における雨水のポンプ制御においては、ポンプの運転台数は流入量予測値の変動に直接影響されるため、降雨状況により流入量予測値が急に増加したり、あるいは減少した場合、ポンプを追加運転した短時間後にポンプが停止になったり、あるいは短時間に集中して複数台のポンプが運転されたり、あるいは停止されるようなことが発生してしまい、ポンプの運転が不安定になりやすいという問題点があった。
【0009】
また、直放ポンプと簡易処理ポンプとを区別をせずに目標排水量を決定しているので、簡易処理ポンプの運転順位を直放ポンプより高くしても、流入量が急増した場合、簡易処理ポンプが運転された直後、ないし短時間後に直放ポンプが運転されることも多くなり、簡易処理施設などにおいて簡易処理が開始される前に、直放ポンプが運転されてしまい、放流水が汚濁されることを十分に防ぐことができなくなるという問題点もあった。
【0010】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたものであり、放流水が汚濁されるのを低減することができるとともに、浸水の恐れがなく、短時間に追加運転と停止が発生しない安定した雨水ポンプの運転ができる雨水ポンプ制御装置を提供することを目的とする。また、この雨水ポンプ制御装置に適した雨水ポンプ運転方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明に係る雨水ポンプ制御装置は、下水管渠を通して流入してポンプ場や下水処理場の施設に流入する雨水を、簡易処理施設を介して排水する簡易処理ポンプと簡易処理施設を介さないで排水する直放ポンプの何れかである雨水ポンプを制御するものであって、降雨データに基づいて雨水流入量を所定時間先まで予測する雨水流入量予測部と、雨水が流入する施設の水位から貯留施設の貯留量を計算する貯留量演算部と、簡易処理ポンプと直放ポンプのそれぞれについて貯留施設の目標上限貯留量と目標下限貯留量を、簡易処理ポンプに関するものが直放ポンプに関するものより小さくなるように計算する目標貯留量演算部と、簡易処理ポンプと直放ポンプのそれぞれについて、所定の目標貯留量到達時間後に貯留施設の貯留量が目標上限貯留量になる雨水ポンプの必要最小揚水量と、目標下限貯留量になる必要最大揚水量とを雨水流入量を考慮して求める必要揚水量演算部と、雨水ポンプの運転と停止を制御するポンプ運転停止演算部とを備え、ポンプ運転停止演算部は、運転する雨水ポンプの最大揚水量の合計である最大揚水量合計値と最小揚水量の合計である最小揚水量合計値とを既に運転中の雨水ポンプだけを運転するとして計算し、最大揚水量合計値が簡易処理ポンプについての必要最小揚水量よりも小さくなる時点で、簡易処理ポンプの追加運転が必要と判断し、簡易処理ポンプについての必要最小揚水量から最大揚水量合計値を引いた値である第一の不足揚水量が負となるまで、運転していない簡易処理ポンプを運転開始させ、運転開始する簡易処理ポンプを運転する雨水ポンプに含めて最大揚水量合計値を計算し、最大揚水量合計値が直放ポンプについての必要最小揚水量よりも小さくなる時点で、直放ポンプの追加運転が必要と判断し、直放ポンプについての必要最小揚水量から最大揚水量合計値を引いた値である第二の不足揚水量が負となるまで、運転していない直放ポンプを運転開始させ、運転開始する雨水ポンプを運転する雨水ポンプに含めて最小揚水量合計値を計算し、最小揚水量合計値が直放ポンプについての必要最大揚水量よりも大きくなる時点で、直放ポンプの追加停止が必要と判断し、最小揚水量合計値から直放ポンプについての必要最大揚水量を引いた値である第一の過剰揚水量が負となるまで、運転中の直放ポンプを停止させ、運転停止する直放ポンプを運転する雨水ポンプから除いて最小揚水量合計値を計算し、最小揚水量合計値が簡易処理ポンプについての必要最大揚水量よりも大きくなる時点で、簡易処理ポンプの追加停止が必要と判断し、最小揚水量合計値から簡易処理ポンプについての必要最大揚水量を引いた値である第二の過剰揚水量が負となるまで、運転中の簡易処理ポンプを停止させるものである。
【発明の効果】
【0012】
この発明に係る雨水ポンプ制御装置によれば、下水管渠を通して流入してポンプ場や下水処理場の施設に流入する雨水を、簡易処理施設を介して排水する簡易処理ポンプと簡易処理施設を介さないで排水する直放ポンプの何れかである雨水ポンプを制御するものであって、降雨データに基づいて雨水流入量を所定時間先まで予測する雨水流入量予測部と、雨水が流入する施設の水位から貯留施設の貯留量を計算する貯留量演算部と、簡易処理ポンプと直放ポンプのそれぞれについて貯留施設の目標上限貯留量と目標下限貯留量を、簡易処理ポンプに関するものが直放ポンプに関するものより小さくなるように計算する目標貯留量演算部と、簡易処理ポンプと直放ポンプのそれぞれについて、所定の目標貯留量到達時間後に貯留施設の貯留量が目標上限貯留量になる雨水ポンプの必要最小揚水量と、目標下限貯留量になる必要最大揚水量とを雨水流入量を考慮して求める必要揚水量演算部と、雨水ポンプの運転と停止を制御するポンプ運転停止演算部とを備え、ポンプ運転停止演算部は、運転する雨水ポンプの最大揚水量の合計である最大揚水量合計値と最小揚水量の合計である最小揚水量合計値とを既に運転中の雨水ポンプだけを運転するとして計算し、最大揚水量合計値が簡易処理ポンプについての必要最小揚水量よりも小さくなる時点で、簡易処理ポンプの追加運転が必要と判断し、簡易処理ポンプについての必要最小揚水量から最大揚水量合計値を引いた値である第一の不足揚水量が負となるまで、運転していない簡易処理ポンプを運転開始させ、運転開始する簡易処理ポンプを運転する雨水ポンプに含めて最大揚水量合計値を計算し、最大揚水量合計値が直放ポンプについての必要最小揚水量よりも小さくなる時点で、直放ポンプの追加運転が必要と判断し、直放ポンプについての必要最小揚水量から最大揚水量合計値を引いた値である第二の不足揚水量が負となるまで、運転していない直放ポンプを運転開始させ、運転開始する雨水ポンプを運転する雨水ポンプに含めて最小揚水量合計値を計算し、最小揚水量合計値が直放ポンプについての必要最大揚水量よりも大きくなる時点で、直放ポンプの追加停止が必要と判断し、最小揚水量合計値から直放ポンプについての必要最大揚水量を引いた値である第一の過剰揚水量が負となるまで、運転中の直放ポンプを停止させ、運転停止する直放ポンプを運転する雨水ポンプから除いて最小揚水量合計値を計算し、最小揚水量合計値が簡易処理ポンプについての必要最大揚水量よりも大きくなる時点で、簡易処理ポンプの追加停止が必要と判断し、最小揚水量合計値から簡易処理ポンプについての必要最大揚水量を引いた値である第二の過剰揚水量が負となるまで、運転中の簡易処理ポンプを停止させるようにしたので、汚濁された水が放流されるのを阻止しつつ、浸水の恐れがない安定したポンプ運転が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
実施の形態1.
以下、この発明の一実施形態を図に基づいて説明する。図1はこの発明の実施の形態1による下水処理場に設置された雨水ポンプ制御装置を示すブロック構成図であり、図において、下水管渠1を通ってポンプ井4に流入する雨水を、直放ポンプ8により直接河川に放流し、あるいは簡易処理ポンプ7によって簡易処理施設9に送水し、そこで沈殿処理など簡易処理を行った後で河川に放流する下水処理場において、上記ポンプを制御するために雨水ポンプ制御装置30が用いられる。
【0014】
ポンプ井4には、雨水を河川へ直接放流するための複数台の直放ポンプ8と、簡易処理施設9に送水するための複数台の簡易処理ポンプ7が設置されている。また流入渠2には、流入渠水位計11が設置されるとともに、ポンプ井4にはポンプ井水位計12が設置され、さらに降雨量を計測するための雨量計10が設置されている。
【0015】
雨水ポンプ制御装置30は、雨量計10、流入渠水位計11及びポンプ井水位計12からの信号により、降雨データに基づいて当該下水処理場に流入する雨水量を一定時間先まで予測するための雨水流入量予測部20と、現在の管内貯留量を計算するための管内貯留量演算部21と、直放ポンプ8および簡易処理ポンプ7のそれぞれの目標上限貯留量並びに目標下限貯留量を計算するための目標貯留量演算部22と、下水処理場における貯留量が、予め設定された目標貯留量到達時間において、上記目標上限貯留量並びに目標下限貯留量となるために必要なポンプの揚水量を演算するための必要揚水量演算部23と、ポンプを運転するか、あるいは停止するかを判断するためのポンプ運転停止演算部24とから構成される。
【0016】
そして雨水ポンプ制御装置30は、上記目標上限貯留量と目標下限貯留量の間に貯留量がコントロールされるように、簡易処理ポンプ7及び直放ポンプ8の動作を制御するものである。
【0017】
次に動作について説明する。流入量予測部20は、雨量計10からの降雨データと、流入管渠水位計11で計測された流入渠水位、更にはポンプ井水位計12で計測されたポンプ井水位のデータを入力して、下水管渠1、流入渠2、沈砂池3及びポンプ井4における貯留量の変化を考慮して、ポンプ場や下水処理場に流入する雨水流入量を単位時間間隔(たとえば1分おき)で、現在から一定時間後まで予測する。流入量予測の方法としては、一般に用いられているタンクモデル、修正RRL法、ARMAモデルなどを使用する。
【0018】
貯留量演算部21は、現在の流入渠2の水位およびポンプ井4の水位のデータから、貯留施設を構成する下水管渠1、流入渠2、沈砂池3及びポンプ井4のそれぞれの貯留量を合計した現在の管内貯留量を計算する。
【0019】
ただし、下水管渠1における貯留量は、現在の流入渠2の水位に基づいてその貯留量を計算し、流入渠2における貯留量は流入水位の現在の水位に基づいてその貯留量を計算し、更には沈砂池3、ポンプ井4における貯留量は、ポンプ井4の現在の水位に基づいてその貯留量を計算するものである。
【0020】
目標貯留量演算部22は、あらかじめ設定された簡易処理ポンプ7の目標上下限水位および直放ポンプ8の目標上下限水位から、簡易処理ポンプ7の目標上下限貯留量及び直放ポンプ8の目標上下限貯留量を求める。
【0021】
簡易処理ポンプ7の目標上限水位は、通常の降雨において、簡易処理ポンプ7が運転され、簡易処理施設9において簡易放流された後で直放ポンプ8による放流が開始されるように、直放ポンプ8の目標上限水位より低く設定されている。また、簡易処理ポンプ7の目標下限水位は、直放ポンプ8が簡易処理ポンプ7より早く停止させるようにするために、直放ポンプ8の目標下限水位より低く設定されている。
【0022】
必要揚水量演算部23では、雨水流入量予測部20で求めた流入量予測値と貯留量演算部21で求めた現在貯留量、更には目標貯留量演算部22で求めた簡易処理ポンプ7の目標上下限貯留量並びに直放ポンプ8の目標上下限貯留量から以下の式(1)〜(4)に示すように、貯留量があらかじめ設定された上限貯留量到達時間で目標上限貯留量となるために必要な単位時間あたり(例えば1分おき)の必要最小揚水量と、あらかじめ設定された下限貯留量到達時間で目標下限貯留量となるために必要な単位時間あたり(例えば1分おき)の必要最大揚水量を簡易処理ポンプ7および直放ポンプ8に対して個別に求める。
【0023】
Q1req_min(t)=Qin(t)+(V(0)−VH1)/TH1・・・・・・(1)
Q1req_max(t)=Qin(t)+(V(0)−VL1)/TL1・・・・・・(2)
Q2req_min(t)=Qin(t)+(V(0)−VH2)/TH2・・・・・・(3)
Q2req_max(t)=Qin(t)+(V(0)−VL2)/TL2・・・・・・(4)
ここで
t:予測時刻であり、現在時刻を0として、予測時間Tまでの値をとる。即ち0≦t≦T、又予測時間Tはシステム毎に予め決められている。
Q1req_min(t)、Q1req_max(t):t時刻における簡易処理ポンプ7の単位時間あたりの必要最小揚水量、又は必要最大揚水量
Q2req_min(t)、Q2req_max(t):t時刻における直放ポンプ8の単位時間あたりの必要最小揚水量、または必要最大揚水量
Qin(t):t時間後の流入量予測値
V(0):現在の貯留量
VH1:簡易処理ポンプ7の目標上限貯留量
VL1:簡易処理ポンプ7の目標下限貯留量
VH2:直放ポンプ8の目標上限貯留量
VL2:直放ポンプ8の目標下限貯留量
TH1:簡易処理ポンプ7の目標上限貯留量到達時間
TL1:簡易処理ポンプ7の目標下限貯留量到達時間
TH2:直放ポンプ8の目標上限貯留量到達時間
TL2:直放ポンプ8の目標下限貯留量到達時間
【0024】
即ち現在運転中(従前より継続して運転されている)のポンプに対して新たに簡易処理ポンプ7又は直放ポンプ8を運転して目標上下限貯留量の範囲内に貯留量を調整しようとするものである。各予測時刻tにおけるポンプ揚水量が必要最大揚水量と必要最小揚水量の範囲内であれば、目標到達時間内において、貯留量は上限貯留量以上、あるいは下限貯留量以下になることはない。
【0025】
例えば、各予測時刻tにおけるポンプ揚水量を簡易処理ポンプ7の必要最小揚水量と同じとすると、時刻t時点の貯留量V(t)は、(1)式より次式で求められる。
V(t)=V(0)+Σ(Qin(t)−Q1req_min(t))/TH1=V(0)−((V(0)−VH1)/TH1)×t・・・(5)
ただしΣはk=0〜tまでの加算である。
従って現在貯留量が目標上限値以下、即ちV(0)≦VH1であれば、TH1時間内にVH1を超えることはない。
【0026】
目標上限貯留量到達時間TH1、TH2を大きくすると、例えば(1)式において分母のTH1が大きくなり、流入量Qin(t)と揚水量Q1req_min(t)の差は小さくなるので、貯留量上昇は抑えられ、目標上限貯留量到達時間TH1、TH2と予測時間Tを等しくすると、予測時間T時点における貯留量は、目標上限貯留量VH1,VH2となる。
【0027】
同様に、目標下限貯留量到達時間TL1,TL2と予測時間Tを等しくすると、予測時間T時点における貯留量は目標下限貯留量VL1,VL2となる。図2は時刻tと各必要揚水量及び貯留量との関係を示す図であり、図において、各目標貯留量到達時間TH1,TH2,TL1,TL2は予測時間Tと等しく設定した場合を示している。
【0028】
図2において、簡易処理ポンプ7の必要最少揚水量Q1req_min(t)と直放ポンプ8の必要最少揚水量Q2req_min(t)との差は(1)式−(3)式で求められ、しかもTH1=TH2=Tであるので、その差は(VH2−VH1)/Tとなる。同様にして簡易処理ポンプ7の必要最大揚水量と直放ポンプ8の必要最大揚水量との差は(VL2−VL1)/Tと求められる。
【0029】
簡易処理ポンプ7と直放ポンプ8の必要揚水量の関係は、図2に示すように、簡易処理ポンプ7の必要最小揚水量(ア)は直放ポンプ8の必要最小揚水量(ウ)より大きい値となり、また簡易処理ポンプ7の必要最大揚水量(イ)は直放ポンプ8の必要最大揚水量(エ)より大きい値となる。
【0030】
図3はポンプの運転を行うか否かを判断する過程を示すフローチャート、図4はポンプを停止させるか否かを判断する過程を示すフローチャートである。ポンプ運転停止演算部24では、必要揚水量演算部23で求めた簡易処理ポンプ7および直放ポンプ8の必要最大揚水量、必要最小揚水量と、既に運転しているポンプの最小揚水量合計値と最大揚水量合計値を比較して、必要最小揚水量が最大揚水量合計値より大きい時、新たなポンプの起動判定を行い、必要最大揚水量が最小揚水量合計値より小さくなった時、ポンプの停止判定を行う。
【0031】
最小揚水量合計値、最大揚水量合計値は、ある時点で運転するポンプの最大揚水量の合計値および最小揚水量の合計値である。各ポンプ号機に対する最大揚水量、最小揚水量はあらかじめ設定しておき、固定速ポンプについては最大揚水量と最小揚水量は同じ値とする。
【0032】
図3において、STEP301では、時刻t=0として、簡易処理ポンプ7と直放ポンプ8との区別なく、現在運転中のポンプの最大揚水量及び最小揚水量の合計値を求める。これは既に運転中の雨水ポンプだけを運転するとして最大揚水量合計値と最小揚水量合計値を求めることを意味する。次にSTEP302で、時刻tが予測時間T以内であれば、STEP303に移行し、時刻tが予測時間Tを超えた場合は運転停止判断を終了する。
【0033】
STEP303で、t時点の簡易処理ポンプ7の必要最小揚水量が最大揚水量合計値より大きいか否かを判断し、大きければ、簡易処理ポンプ7の追加運転を行うためにSTEP304を行い、大きくなければ、追加運転しないと判断して、図4のSTEP401の追加停止判断に移行する。
【0034】
STEP304において、簡易処理ポンプ7の不足揚水量1(第一の不足揚水量)を簡易処理ポンプ7の必要最小揚水量からポンプ最大揚水量合計値を引いて求める。次にSTEP305において、追加運転可能な簡易処理ポンプ7を選択して、不足揚水量1から追加運転に選択した号機の最大揚水量を引いた値を不足揚水量1とする。
【0035】
t時点のポンプ揚水量が簡易処理ポンプ7の必要最小揚水量以上で運転できるように、不足揚水量1≦0となるまで簡易処理ポンプ7を追加運転する。選択されたポンプに対しては、起動時間を考慮してt時点で不足揚水量1が確保できるように起動指令を出力する。
【0036】
次にSTEP306において、最小揚水量合計値に追加運転された号機の最小揚水量の合計値を加算した値を、改めてt時点以降の最小揚水量合計値とする。また最大揚水量合計値に追加運転された号機の最大揚水量の合計値を加算した値を、改めてt時点以降の最大揚水量合計値とする。
【0037】
次にSTEP307において、t時点で直放ポンプ8の必要最小揚水量が最大揚水量合計値より大きいか否かを判断し、大きければ直放ポンプ8の追加運転を行うためSTEP308に移行し、大きくなければ追加運転しないと判断して図4のSTEP401の追加停止判断に移行する。
【0038】
STEP308において、直放ポンプ8の不足揚水量2(第二の不足揚水量)を直放ポンプ8の必要最小揚水量から最大揚水量合計値を引いて求める。次にSTEP309において、追加運転可能な直放ポンプ8を選択して、不足揚水量2から追加運転に選択した号機の最大揚水量を引いた値を不足揚水量2とする。
【0039】
t時点のポンプ揚水量が直放ポンプ8の必要最小揚水量以上で運転できるように、不足揚水量2≦0となるまで直放ポンプ8を追加運転する。選択されたポンプに対しては、起動時間を考慮してt時点で不足揚水量2が確保できるように起動指令を出力する。
【0040】
次にSTEP310において、最小揚水量合計値に追加運転された号機の最小揚水量の合計値を加算した値を、改めてt時点以降の最小揚水量合計値とする。また最大揚水量合計値に追加運転された号機の最大揚水量の合計値を加算した値を、改めてt時点以降の最大揚水量合計値とする。
【0041】
次に図4のSTEP401において、t時点の直放ポンプ8の必要最大揚水量が最小揚水量合計値より小さいか否かを判断し、小さければ直放ポンプ8を追加停止させるためにSTEP402に移行し、小さくなければ追加停止なしと判断してSTEP409に移行する。STEP402において、直放ポンプ8の過剰揚水量2(第一の過剰揚水量)を最小揚水量合計値から直放ポンプ8の必要最大揚水量を引いて求める。
【0042】
次にSTEP403において、運転中の直放ポンプ8から停止させるポンプを選択して、過剰揚水量2から追加停止に選択した号機の最小揚水量を引いた値を過剰揚水量2とする。t時点のポンプ揚水量が直放ポンプ8の必要最大揚水量以下で運転できるように、過剰揚水量2≦0となるまで直放ポンプ8を追加停止する。
【0043】
次にSTEP404において、最小揚水量合計値から追加停止された号機の最小揚水量の合計値を引いた値を、改めてt時点以降の最小揚水量合計値とする。また最大揚水量合計値から追加停止された号機の最大揚水量の合計値を引いた値を、改めてt時点以降の最大揚水量合計値とする。
【0044】
次にSTEP405において、t時点の簡易処理ポンプ7の必要最大揚水量が最小揚水量合計値より小さいか否かを判断し、小さければ簡易処理ポンプ7を追加停止させるためにSTEP406に移行し、小さくなければ追加停止はなしと判断しSTEP409に移行する。
【0045】
STEP406において、簡易処理ポンプ7の過剰揚水量1(第二の過剰揚水量)を最小揚水量合計値から簡易処理ポンプ7の必要最大揚水量を引いて求める。次にSTEP407において、運転中の簡易処理ポンプ7から停止させるポンプを選択して、過剰揚水量1から追加停止に選択した号機の最小揚水量を引いた値を過剰揚水量1とする。
【0046】
t時点のポンプ揚水量が簡易処理ポンプ7の必要最大揚水量以下で運転できるように、過剰揚水量1≦0となるまで簡易処理ポンプ7を追加停止する。次にSTEP408において、最小揚水量合計値から追加停止された号機の最小揚水量の合計値を引いた値を、改めてt時点以降の最小揚水量合計値とする。
【0047】
また最大揚水量合計値から追加停止された号機の最大揚水量の合計値を引いた値を、改めてt時点以降の最大揚水量合計値とする。次にSTEP409において、時刻tをt+1にカウントアップして、図3のSTEP302に戻り、tが予測時間Tを超えるまでSTEP302以降を繰り返し、t=0からt=Tまでの追加運転、追加停止判断を行う。
【0048】
以上のように本発明によれば、簡易処理ポンプ7と直放ポンプ8とで個別に目標上下限貯留量を設けて、あらかじめ設定された目標貯留量到達時間に目標上下限貯留量となる簡易処理ポンプ7および直放ポンプ8の必要最大揚水量と必要最小揚水量を求め、簡易処理ポンプ7の必要最小揚水量が現在既に運転中のポンプの最大揚水量より大きいとき簡易処理ポンプ7の追加運転行い、次に直放ポンプ8の必要最小揚水量が現在既に運転中のポンプの最大揚水量に追加運転された簡易処理ポンプ7の最大揚水量を加算した値より大きいときに直放ポンプ8の追加運転を行うようにする。
【0049】
更に直放ポンプ8の必要最大揚水量が現在既に運転中のポンプの最小揚水量より小さいとき、直放ポンプ8の停止を行い、次に簡易処理ポンプ7の必要最大揚水量が既に運転中のポンプの最小揚水量から新たに停止された直放ポンプ8の最小揚水量を引いた値より小さい時に、簡易処理ポンプ7を停止するようにした。
【0050】
以上のように動作させることにより、浸水の恐れの無いポンプ運転ができるようになるとともに、流入量予測値が急増減してポンプの追加運転、あるいは停止が必要となった場合、従来のように基準量が一つだけであった場合と比べると、本発明では、上限貯留量から下限貯留量を引いたゾーンがあるため、追加運転からこのゾーンに相当する貯留量分だけ停止が遅れるようになり、短時間のうちにポンプの運転又は停止することを抑制でき、安定したポンプ運転ができる。
【0051】
また、簡易処理ポンプ7と直放ポンプ8とで個別に目標上下限貯留量を設けるようにしたので、簡易処理ポンプ7の上限貯留量は、直放ポンプ8の上限貯留量より低く設定することができ、直放ポンプ8の運転は、直放ポンプ8と簡易処理用ポンプ7との上限貯留量差の分だけ簡易処理ポンプ7の運転より遅らすことができる。このため簡易処理施設を有効に活用して、放流水の汚濁を低減できる。
【0052】
更に簡易処理ポンプ7の目標上限貯留量は直放ポンプ8の目標上限貯留量より小さいので、水位が上昇すれば簡易処理ポンプ7は直放ポンプ8より早く運転され、又直放ポンプ8の目標上限貯留量を超える予測になるまで直放ポンプ8の運転を抑制することができる。
【0053】
また、急激な集中豪雨などで水位が急上昇し、短時間で直放ポンプ8の目標上限貯留量を超えるように予測される場合、簡易処理の開始を待たずに直放ポンプ8を運転することができる。このため、汚濁濃度の高い水が放流されるのを抑制しつつ、浸水の恐れがない安定したポンプ運転が可能となる。
【0054】
実施の形態2.
図5はこの発明の実施の形態2による下水処理場に設置された雨水ポンプ制御装置を示すブロック構成図、図6(a)は流入渠水位と目標上限貯留量到達時間との関係を示すグラフ、図6(b)は流入渠水位と目標下限貯留量到達時間との関係を示すグラフである。
【0055】
上記実施の形態1では、必要揚水量演算部23において、目標上限貯留量到達時間TH1、TH2及び目標下限貯留量到達時間TL1、TL2を予測時間Tと同じ値に固定して必要最大揚水量、必要最小揚水量を求める場合について述べたが、本実施形態においては、図5に示すように目標貯留量到達時間演算部40を設けることにより、目標上下限貯留量到達時間を変更するものである。
【0056】
即ち図6(a)に示すように、流入渠水位が高くなると目標上限貯留量到達時間を予測時間Tより大きくなるように設定することにより、水位上昇に応じて簡易処理ポンプ7および直放ポンプ8の追加運転を早く行うことができるようになる。
【0057】
また図6(b)に示すように、流入渠水位が低くなると目標下限貯留量到達時間を予測時間Tより大きくなるように設定することにより、水位低下に応じて簡易処理ポンプ7および直放ポンプ8の停止を早く行うことができる。
【0058】
このため、水位が上限貯留量付近に達してから、追加運転されるポンプが集中することを抑制でき、また、水位が下限貯留量付近に達してから、停止されるポンプが集中することを抑制することができるため、過剰な追加運転及び停止が少なくなり、経済的で安定した雨水ポンプの運転を行うことができる。
【0059】
実施の形態3.
図7はこの発明の実施の形態3による下水処理場に設置された雨水ポンプ制御装置を示すブロック構成図、図8は動作を示すためのフローチャートである。上記実施の形態1では、ポンプ運転停止演算部24により、必要最小揚水量が現在既に運転中のポンプの最大揚水量より大きいとき追加運転を行う場合について述べた。
【0060】
これに対して本実施形態においては、図7に示すように、追加運転判定係数設定部(降雨モード判定部)50を設けて、気象予報による一定時間先(例えば1時間先)の降水量予測値にて、少雨モード、中雨モード、大雨モードの降雨モードを判定して、追加運転判定係数を大雨モードでは0近くの値にし、少雨モードでは1近くの値に、中雨では0.5付近の値に設定するようにしたものである。なお、ポンプ運転停止演算部24におけるポンプの停止判断は、実施の形態1の場合と同様である。
【0061】
図8において、STEP801において、時刻t=0として、簡易処理ポンプ7と直放ポンプ8との区別なく、現在運転中のポンプの最大揚水量及び最小揚水量の合計値を求める。次にSTEP802で、時刻tが予測時間T以内であれば、STEP803に移行し、時刻tが予測時間Tを超えた場合は運転停止判断を終了する。
【0062】
STEP803で、t時点の追加判定揚水量QJを最小揚水量合計値Qpplan_min+追加運転判定係数α×(最大揚水量合計値Qpplan_max−最小揚水量合計値Qpplan_min)として求める。この追加判定揚水量QJが図3のSTEP303における最大揚水量合計値に該当する。
【0063】
そしてSTEP804において、追加判定揚水量が簡易処理ポンプ7の必要最小揚水量より小さいか否か判断し、小さい時にポンプ運転追加を行うようにする。STEP805において、簡易処理ポンプ7の不足揚水量1を簡易処理ポンプ7の必要最小揚水量から追加判定揚水量QJを引いて求める。
【0064】
次にSTEP806において、追加運転可能な簡易処理ポンプ7を選択して、不足揚水量1から追加運転に選択した号機の(最小揚水量+追加運転判定係数α×(最大揚水量−最小揚水量))を引いた値を不足揚水量1とする。不足揚水量1≦0となるか、追加運転可能号機がなくなるまで簡易処理ポンプ7を追加運転する。
【0065】
次にSTEP807において、最小揚水量合計値に追加運転された号機の最小揚水量の合計値を加算した値を、改めてt時点以降の最小揚水量合計値とする。又最大揚水量合計値に追加運転された号機の最大揚水量の合計値を加算した値を、改めてt時点以降の最大揚水量合計値とする。
【0066】
更に追加判定揚水量QJを最小揚水量合計値Qpplan_min+追加運転判定係数α×(最大揚水量合計値Qpplan_max−最小揚水量合計値Qpplan_min)として更新する。次にSTEP808において、追加判定揚水量が直放ポンプ8の必要最小揚水量より小さいか否か判断し、小さい時にポンプ運転追加を行うようにする。
【0067】
STEP809において、直放ポンプ8の不足揚水量2を直放ポンプ8の必要最小揚水量から追加判定揚水量QJを引いて求める。次にSTEP810において、追加運転可能な直放ポンプ8を選択して、不足揚水量2から追加運転に選択した号機の(最小揚水量+追加運転判定係数α×(最大揚水量−最小揚水量))を引いた値を不足揚水量2とする。不足揚水量2≦0となるか、追加運転可能号機がなくなるまで直放ポンプ8を追加運転する。
【0068】
次にSTEP811において、最小揚水量合計値に追加運転された号機の最小揚水量の合計値を加算した値を、改めてt時点以降の最小揚水量合計値とする。又最大揚水量合計値に追加運転された号機の最大揚水量の合計値を加算した値を、改めてt時点以降の最大揚水量合計値とする。後の動作は図4に示された動作と同様である。
【0069】
以上のように構成することにより、降雨状況に応じて追加運転するタイミングを調整でき、浸水に対してより安全なポンプ運転ができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】この発明の実施の形態1による下水処理場に設置された雨水ポンプ制御装置を示すブロック構成図である。
【図2】時刻tと各必要揚水量及び貯留量との関係を示す図である。
【図3】ポンプの運転を行うか否かを判断する過程を示すフローチャートである。
【図4】ポンプを停止させるか否かを判断する過程を示すフローチャートである。
【図5】この発明の実施の形態2による下水処理場に設置された雨水ポンプ制御装置を示すブロック構成図である。
【図6】流入渠水位と目標上限貯留量到達時間との関係を示すグラフ(a)、流入渠水位と目標下限貯留量到達時間との関係を示すグラフ(b)である。
【図7】この発明の実施の形態3による下水処理場に設置された雨水ポンプ制御装置を示すブロック構成図である。
【図8】この発明の実施の形態3による下水処理場に設置された雨水ポンプ制御装置の動作を示すためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0071】
1 下水管渠、7 簡易処理ポンプ、8 直放ポンプ、9 簡易処理施設、
20 雨水流入量予測部、21 貯留量演算部、22 目標貯留量演算部、
23 必要揚水量演算部、24 ポンプ運転停止演算部、30 雨水ポンプ制御装置、
40 目標貯留量到達時間演算部、50 追加運転判定係数設定部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下水管渠を通して流入してポンプ場や下水処理場の施設に流入する雨水を、簡易処理施設を介して排水する簡易処理ポンプと上記簡易処理施設を介さないで排水する直放ポンプの何れかである雨水ポンプを制御する雨水ポンプ制御装置であって、
降雨データに基づいて雨水流入量を所定時間先まで予測する雨水流入量予測部と、
雨水が流入する施設の水位から貯留施設の貯留量を計算する貯留量演算部と、
上記簡易処理ポンプと上記直放ポンプのそれぞれについて上記貯留施設の目標上限貯留量と目標下限貯留量を、上記簡易処理ポンプに関するものが上記直放ポンプに関するものより小さくなるように計算する目標貯留量演算部と、
上記簡易処理ポンプと上記直放ポンプのそれぞれについて、所定の目標貯留量到達時間後に上記貯留施設の貯留量が上記目標上限貯留量になる上記雨水ポンプの必要最小揚水量と、上記目標下限貯留量になる必要最大揚水量とを上記雨水流入量を考慮して求める必要揚水量演算部と、
上記雨水ポンプの運転と停止を制御するポンプ運転停止演算部とを備え、
上記ポンプ運転停止演算部は、運転する上記雨水ポンプの最大揚水量の合計である最大揚水量合計値と最小揚水量の合計である最小揚水量合計値とを既に運転中の上記雨水ポンプだけを運転するとして計算し、上記最大揚水量合計値が上記簡易処理ポンプについての上記必要最小揚水量よりも小さくなる時点で、上記簡易処理ポンプの追加運転が必要と判断し、上記簡易処理ポンプについての上記必要最小揚水量から上記最大揚水量合計値を引いた値である第一の不足揚水量が負となるまで、運転していない上記簡易処理ポンプを運転開始させ、
運転開始する上記簡易処理ポンプを運転する上記雨水ポンプに含めて上記最大揚水量合計値を計算し、上記最大揚水量合計値が上記直放ポンプについての上記必要最小揚水量よりも小さくなる時点で、上記直放ポンプの追加運転が必要と判断し、上記直放ポンプについての上記必要最小揚水量から上記最大揚水量合計値を引いた値である第二の不足揚水量が負となるまで、運転していない上記直放ポンプを運転開始させ、
運転開始する上記雨水ポンプを運転する上記雨水ポンプに含めて上記最小揚水量合計値を計算し、上記最小揚水量合計値が上記直放ポンプについての上記必要最大揚水量よりも大きくなる時点で、上記直放ポンプの追加停止が必要と判断し、上記最小揚水量合計値から上記直放ポンプについての上記必要最大揚水量を引いた値である第一の過剰揚水量が負となるまで、運転中の上記直放ポンプを停止させ、
運転停止する上記直放ポンプを運転する上記雨水ポンプから除いて上記最小揚水量合計値を計算し、上記最小揚水量合計値が上記簡易処理ポンプについての上記必要最大揚水量よりも大きくなる時点で、上記簡易処理ポンプの追加停止が必要と判断し、上記最小揚水量合計値から上記簡易処理ポンプについての上記必要最大揚水量を引いた値である第二の過剰揚水量が負となるまで、運転中の上記簡易処理ポンプを停止させることを特徴とする雨水ポンプ制御装置。
【請求項2】
上記雨水が流入する施設の水位に応じて上記目標貯留量到達時間を演算する目標貯留量到達時間演算部を設けたことを特徴とする請求項1記載の雨水ポンプ制御装置。
【請求項3】
気象予報による所定時間先の降水量予測値によって降雨モードを判定する降雨モード判定部を備え、上記ポンプ運転停止演算部が、上記降雨モードに応じて変化するように上記現状最大揚水量を計算することを特徴とする請求項1又は請求2記載の雨水ポンプ制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−47038(P2009−47038A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−212709(P2007−212709)
【出願日】平成19年8月17日(2007.8.17)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】