説明

電力変換装置

【課題】装置内部全体の雰囲気温度の上昇を抑制することができる電力変換装置を提供すること。
【解決手段】電力変換装置1は、互いに重なるように配置された2つの電力変換器2、3と、2つの電力変換器2、3を内側に収容する筐体4とを備えている。筐体4は、2つの電力変換器2、3の間を仕切るように形成された仕切部42を有する。仕切部42には、冷媒を流通させる冷媒流路5が設けられている。筐体4は、2つの電力変換器2、3をそれぞれ両者が重なる方向に直交する方向から囲むように形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インバータ、コンバータ等の電力変換器を備えた電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車、ハイブリッド自動車等の車両には、直流電力を交流電力に変換するインバータ、直流電力を電圧の異なる直流電力に変換するコンバータ等の電力変換器が搭載されている。例えば、特許文献1には、インバータとコンバータとを一体的に構成してなる電力変換装置が開示されている。
【0003】
インバータ、コンバータ等の電力変換器は、大電流が流れるために発熱量が大きく、これらの温度上昇を抑制する必要がある。そのため、上記特許文献1の電力変換装置には、インバータ及びコンバータをそれぞれ冷却するためのインバータ用冷却器及びコンバータ用冷却器が設けられている。これにより、インバータ及びコンバータの温度上昇を抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−148027号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、電力変換装置において、インバータ及びコンバータをそれぞれ冷却するための冷却器を備えていたとしても、インバータ、コンバータ、これらの冷却器、その他の部品等の装置内での配置によっては、例えば部分的に装置内部の雰囲気温度が高くなる等の問題が生じるおそれがあった。
【0006】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたもので、装置内部全体の雰囲気温度の上昇を効果的に抑制することができる電力変換装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、互いに重なるように配置された2つの電力変換器と、該2つの電力変換器を内側に収容する筐体とを備えた電力変換装置であって、
上記筐体は、上記2つの電力変換器の間を仕切るように形成された仕切部を有し、
該仕切部には、冷媒を流通させる冷媒流路が設けられていることを特徴とする電力変換装置にある(請求項1)。
【発明の効果】
【0008】
本発明の電力変換装置は、互いに重なるように配置された2つの電力変換器を筐体内に収容して構成されている。そして、筐体は、2つの電力変換器の間を仕切ると共に冷媒流路が設けられた仕切部を有する。そのため、筐体の仕切部に設けられた冷媒流路に冷媒を流通させることにより、筐体自体を冷却することができる。これにより、装置内部全体の雰囲気温度を低下させることができる。つまり、装置内部全体の雰囲気温度の上昇を効果的に抑制することができる。
【0009】
また、上述のごとく、2つの電力変換器の間に仕切部を設け、その仕切部に冷媒流路を設けているため、発熱する電力変換器同士の間の熱干渉を防止することができる。これにより、装置内部全体の雰囲気温度の上昇をさらに効果的に抑制することができる。
さらに、2つの電力変換器の間に冷媒流路を設けているため、電力変換器同士の間の電磁ノイズの干渉を防止することもできる。また、筐体の仕切部を挟んで2つの電力変換器を互いに重なるように配置しているため、装置内部全体の雰囲気温度の上昇を抑制しながら、装置の小型化を図ることもできる。
【0010】
このように、本発明によれば、装置内部全体の雰囲気温度の上昇を抑制することができる電力変換装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施例1における、電力変換装置の構成を示す説明図。
【図2】図1におけるA−A線矢視断面説明図。
【図3】図1におけるB−B線矢視断面説明図。
【図4】実施例2における、電力変換装置の構成を示す説明図。
【図5】実施例3における、電力変換装置の構成を示す説明図。
【図6】実施例4における、電力変換装置の構成を示す説明図。
【図7】図6におけるC−C線矢視断面説明図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
上記電力変換装置において、上記筐体は、上記2つの電力変換器をそれぞれ両者が重なる方向に直交する方向から囲むように形成されていることが好ましい(請求項2)。
この場合には、仕切部の冷媒流路を流通する冷媒によって冷却される筐体が発熱する電力変換器を取り囲む構成となり、装置内部全体の雰囲気温度の上昇を抑制する効果を高めることができる。
【0013】
また、上記各電力変換器は、上記仕切部を含む上記筐体に近接又は接触させて配置することが好ましい。
この場合には、仕切部の冷媒流路を流通する冷媒によって冷却される筐体により、発熱する電力変換器の温度上昇を抑制することができる。これにより、装置内部全体の雰囲気温度の上昇を抑制する効果にもつながる。
【0014】
また、上記冷媒流路は、上記筐体の上記仕切部の一方側の表面を凹ませた凹部と該凹部を塞ぐ一方の上記電力変換器との間に形成されていることが好ましい(請求項3)。
この場合には、仕切部の冷媒流路に冷媒を流通させることにより、筐体を冷却することができると共に、一方の電力変換器についても冷却することができる。
また、電力変換器における冷媒流路に接する面に放熱用のフィン等を設けることにより、冷媒との接触面積を増やし、電力変換器に対する冷却性能を向上させることもできる。
【0015】
また、上記冷媒流路は、上記筐体の上記仕切部の一方側の表面を凹ませた凹部と該凹部を塞ぐ蓋部との間に形成されており、該蓋部における上記冷媒流路とは反対の側には、一方の上記電力変換器が取り付けられていることが好ましい(請求項4)。
この場合には、仕切部の冷媒流路に冷媒を流通させることにより、筐体を冷却することができると共に、一方の電力変換器についても蓋部を介して冷却することができる。また、一方の電力変換器を蓋部に取り付けているため、その電力変換器の取り替えが容易となる。
また、蓋部における冷媒流路に接する面に放熱フィン等を設けることにより、冷媒との接触面積を増やし、電力変換器に対する冷却性能を向上させることもできる。
【0016】
また、上記冷媒流路は、上述のごとく、筐体の仕切部の一方側に形成してもよいし、該仕切部の両側に形成してもよい。
また、上記冷媒流路は、上述のごとく、筐体の仕切部の表面を凹ませた凹部内に形成してもよいし、該仕切部の内部に空間を設けて形成してもよい。
また、上記冷媒流路は、装置全体の構成等に合わせて、その数や形状等を自由に設定することができる。
【0017】
また、上記2つの電力変換器は、一方が直流電力を交流電力に変換するインバータであり、他方が直流電力を電圧の異なる直流電力に変換するコンバータであることが好ましい(請求項5)。
この場合には、インバータとコンバータとの組み合わせにより、電気自動車、ハイブリッド自動車等の車両に搭載するのに適した電力変換装置となる。
【0018】
また、上記インバータは、半導体素子を内蔵する半導体モジュールと該半導体モジュールを冷却する冷媒を流通させる冷却部とを有し、上記コンバータは、上記筐体の上記仕切部に設けられた上記冷媒流路を流通する冷媒によって冷却されることが好ましい(請求項6)。
この場合には、インバータの半導体モジュールは、冷却部を流通する冷媒によって冷却することができ、コンバータは、筐体の仕切部に設けられた冷媒流路を流通する冷媒によって冷却することができる。これにより、発熱する電力変換器をそれぞれ十分に冷却することができ、装置内部全体の雰囲気温度の上昇を抑制する効果を高めることができる。
【0019】
また、上記インバータは、上記半導体モジュールと上記冷却部とを積層して構成されていることが好ましい(請求項7)。
この場合には、冷却部を流通する冷媒によって半導体モジュールを効率よく冷却することができる。
【0020】
また、上記インバータは、上記半導体モジュール以外の電子部品を有し、該電子部品は、上記筐体の上記仕切部に設けられた上記冷媒流路を流通する冷媒によって直接又は間接的に冷却されるよう構成されていることが好ましい(請求項8)。
この場合には、インバータを構成する半導体モジュール以外の電子部品についても、筐体の仕切部に設けられた冷媒流路を流通する冷媒によって冷却することができる。これにより、装置内部全体の雰囲気温度の上昇を抑制する効果を高めることができる。
【0021】
ここで、上記電子部品が上記冷媒流路を流通する冷媒によって直接冷却されるよう構成されているとは、例えば、電子部品が冷媒流路を流通する冷媒に対して直接接触するように配置されている構成等をいう。
また、上記電子部品が上記冷媒流路を流通する冷媒によって間接的に冷却されるよう構成されているとは、例えば、電子部品が冷媒流路を流通する冷媒に対して筐体の仕切部、その他の部材、空間等を介して間接的かつ熱的に接触するように配置されている構成等をいう。
【0022】
また、上記筐体の上記仕切部に設けられた上記冷媒流路を流通する冷媒によって直接又は間接的に冷却されるよう構成された上記電子部品は、1つであってもよいし、複数であってもよい。
また、上記電子部品とは、例えば、上記インバータを構成するリアクトル、コンデンサ等が挙げられる。
【0023】
また、上記電力変換装置は、車両に搭載して用いられることが好ましい(請求項9)。
すなわち、電力変換装置は、装置内部全体の雰囲気温度の上昇を抑制する効果により、耐熱性を向上させることができる。また、電力変換器の配置により、装置の小型化を図ることもできる。そのため、電力変換装置の車載自由度を高めることができる。
【実施例】
【0024】
(実施例1)
本発明の実施例にかかる電力変換装置について、図を用いて説明する。
本例の電力変換装置1は、図1〜図3に示すごとく、互いに重なるように配置された2つの電力変換器2、3と、2つの電力変換器2、3を内側に収容する筐体4とを備えている。
筐体4は、2つの電力変換器2、3の間を仕切るように形成された仕切部42を有し、仕切部42には、冷媒を流通させる冷媒流路5が設けられている。
以下、これを詳説する。
【0025】
図1、図2に示すごとく、電力変換装置1は、2つの電力変換器2、3を筐体4内に収容して構成されている。
筐体4は、4つの側壁部41と、その4つの側壁部41に囲まれた空間を上下に仕切る仕切部42とにより構成されている。筐体4は、上下方向Xの断面においてH型の形状を呈しており、仕切部42の上側に上側収容部401、下側に下側収容部402を形成している。筐体4の上側収容部401及び下側収容部402は、それぞれ上側及び下側に開口しており、その開口部をそれぞれカバー43によって塞がれている。
【0026】
筐体4の上側収容部401には、一方の電力変換器2であり、直流電力を交流電力に変換するインバータ(以下、適宜、インバータ2という)が収容されている。また、筐体4の下側収容部402には、もう一方の電力変換器3であり、直流電力を電圧の異なる直流電力に変換するコンバータ(以下、適宜、コンバータ3という)が収容されている。
すなわち、インバータ2とコンバータ3とは、筐体4の仕切部42を挟んで互いに重なるように上下方向Xに配置されている。そして、両者は、上下方向Xに直交する方向から筐体4の4つの側壁部41に囲まれている。
【0027】
図3に示すごとく、筐体4の上側収容部401に収容されているインバータ2は、半導体素子を内蔵する複数の半導体モジュール21と、その半導体モジュール21を冷却する冷媒を流通させる複数の冷却管(冷却部)22とを交互に積層して構成されている。
半導体モジュール21は、冷却管22によって両側から挟持されている。また、半導体モジュール21は、IGBT等のスイッチング素子やFWD等のダイオードを内蔵してなる。
【0028】
複数の冷却管22において、隣り合う冷却管22同士は、その両端部が連結管23によって連結されている。また、一端にある冷却管22には、外部から冷媒を導入する冷媒導入管24と外部に冷媒を排出する冷媒排出管25とが接続されている。
なお、インバータ2の冷却管22に流通させる冷媒としては、例えば、水やアンモニア等の自然冷媒、エチレングリコール系の不凍液を混入した水、フロリナート等のフッ化炭素系冷媒、HCFC123、HFC134a等のフロン系冷媒、メタノール、アルコール等のアルコール系冷媒、アセトン等のケトン系冷媒等の冷媒を用いることができる。
【0029】
また、図1、図2に示すごとく、半導体モジュール21は、上側に突出してなる制御端子211と、下側に突出してなる電極端子212とを有する。制御端子211は、制御回路基板213と接続されており、電極端子212は、バスバー(図示略)と接続されている。制御端子211には、スイッチング素子を制御する制御電流が入力され、電極端子212からは被制御電力が半導体モジュール21に入出力される。
【0030】
また、図3に示すごとく、筐体4の上側収容部401には、インバータ2以外にも、インバータ2の半導体モジュール21への入力電圧を昇圧するための昇圧回路の一部を構成するリアクトル61、入力電圧又は昇圧した電圧を平滑化するコンデンサ62等が収容されている。リアクトル61は、インバータ2における半導体モジュール21及び冷却管22の積層方向の一方側に隣接して配置されている。また、コンデンサ62は、インバータ2及びリアクトル61に対して並んで配置されている。
【0031】
また、図1、図2に示すごとく、筐体4の仕切部42には、冷媒を流通させる冷媒流路5が設けられている。
具体的には、冷媒流路5は、筐体4の仕切部42の下面422を凹ませた凹部44と、その凹部44を塞ぐように配置された一方の電力変換器であるコンバータ3との間に形成されている。
【0032】
コンバータ3は、液状ガスケット、ゴム等のシール材(図示略)を介して、仕切部42の下面422にボルト等(図示略)で締結固定されており、これによって冷媒流路5の気密性を確保している。
なお、筐体4の仕切部42に設けられた冷媒流路5に流通させる冷媒としては、インバータ2の冷却管22に流通させる冷媒と同様のものを用いることができる。また、コンバータ3の冷媒流路5側の表面301に放熱用のフィン等を設けて冷却性能を高めることもできる。
【0033】
次に、本例の電力変換装置1の作用効果について説明する。
本例の電力変換装置1は、互いに重なるように配置された2つの電力変換器2、3を筐体4内に収容して構成されている。そして、筐体4は、2つの電力変換器2、3の間を仕切ると共に冷媒流路5が設けられた仕切部42を有する。そのため、筐体4の仕切部42に設けられた冷媒流路5に冷媒を流通させることにより、筐体4自体を冷却することができる。これにより、装置内部全体の雰囲気温度を低下させることができる。つまり、装置内部全体の雰囲気温度の上昇を効果的に抑制することができる。
【0034】
また、上述のごとく、2つの電力変換器2、3の間に仕切部42を設け、その仕切部42に冷媒流路5を設けているため、発熱する電力変換器2、3同士の間の熱干渉を防止することができる。これにより、装置内部全体の雰囲気温度の上昇をさらに効果的に抑制することができる。
さらに、2つの電力変換器2、3の間に冷媒流路5を設けているため、電力変換器2、3同士の間の電磁ノイズの干渉を防止することもできる。また、筐体4の仕切部42を挟んで2つの電力変換器2、3を互いに重なるように配置しているため、装置内部全体の雰囲気温度の上昇を抑制しながら、装置の小型化を図ることもできる。
【0035】
また、本例では、筐体4は、2つの電力変換器2、3をそれぞれ両者が重なる方向(上下方向X)に直交する方向から囲むように形成されている。そのため、仕切部42の冷媒流路5を流通する冷媒によって冷却される筐体4が発熱する電力変換器2、3を取り囲む構成となり、装置内部全体の雰囲気温度の上昇を抑制する効果を高めることができる。
また、筐体4は、上下方向Xの断面においてH型の形状を呈しており、それぞれ上側及び下側に開口している構造であるため、上側収容部401及び下側収容部402に収容している電力変換器2、3の交換作業が容易となるという効果も得られる。
【0036】
また、2つの電力変換器は、一方が直流電力を交流電力に変換するインバータ2であり、他方が直流電力を電圧の異なる直流電力に変換するコンバータ3である。そのため、インバータ2とコンバータ3との組み合わせにより、電気自動車、ハイブリッド自動車等の車両に搭載するのに適した電力変換装置1となる。
【0037】
また、冷媒流路5は、筐体4の仕切部42の下面422を凹ませた凹部44と凹部44を塞ぐコンバータ3との間に形成されている。そのため、仕切部42の冷媒流路5に冷媒を流通させることにより、筐体4を冷却することができると共に、コンバータ3についても冷却することができる。また、コンバータ3が収容された下側収容部402における雰囲気温度の上昇をより一層抑制することができる。
【0038】
また、インバータ2は、半導体素子を内蔵する半導体モジュール21と半導体モジュール21を冷却する冷媒を流通させる冷却管(冷却部)22とを積層して構成されており、コンバータ3は、筐体4の仕切部42に設けられた冷媒流路5を流通する冷媒によって冷却される。そのため、インバータ2の半導体モジュール21は、冷却管22を流通する冷媒によって冷却することができ、コンバータ3は、筐体4の仕切部42に設けられた冷媒流路5を流通する冷媒によって冷却することができる。これにより、発熱する電力変換器2、3をそれぞれ十分に冷却することができ、装置内部全体の雰囲気温度の上昇を抑制する効果を高めることができる。
【0039】
このように、本例によれば、装置内部全体の雰囲気温度の上昇を抑制することができる電力変換装置1を提供することができる。
【0040】
(実施例2)
本例は、図4に示すごとく、電力変換装置1の構成を変更した例である。
本例では、同図に示すごとく、冷媒流路5は、筐体4の仕切部42の下面422を凹ませた凹部44と、その凹部44を塞ぐ板状の蓋部45との間に形成されている。また、蓋部45の下面452には、コンバータ3が取り付けられている。なお、蓋部45の上面451に放熱用のフィン等を設けて冷却性能を高めることもできる。
【0041】
蓋部45は、液状ガスケット、ゴム等のシール材(図示略)を介して、仕切部42の下面422にボルト等(図示略)で締結固定されており、これによって冷媒流路5の気密性を確保している。なお、仕切部42の下面422に、蓋部45とコンバータ3とを一緒にボルト等で締結固定し、冷媒流路5の気密性を高めることもできる。
その他は、実施例1と同様の構成である。
【0042】
本例の場合には、仕切部42の冷媒流路5に冷媒を流通させることにより、筐体4を冷却することができると共に、コンバータ3についても蓋部45を介して冷却することができる。また、コンバータ3を蓋部45に取り付けているため、そのコンバータ3の取り替えが容易となる。
その他、実施例1と同様の作用効果を有する。
【0043】
なお、本例では、図4に示すごとく、リアクトル61を筐体4の上側収容部401に収容しているが、例えば、リアクトル61を下側収容部402に収容し、コンバータ3と共に蓋部45に取り付ける構成とすることもできる。
この場合には、構成部品の中で重量の大きいリアクトル61を装置の下部に配置することにより、装置の低重心化を図ることができ、耐振動性を向上させることができる。また、リアクトル61において発生する電磁ノイズの伝播を蓋部45と筐体4の仕切部42の下面422との間に介在させたシール材(図示略)によって抑制することができる。
【0044】
また、例えば、インバータ2がコンバータ3よりも大型の場合には、ケース4の上側収容部401にインバータ2を収容し、下側収容部402にコンバータ3及びリアクトル61を収容することにより、ケース4内におけるスペースの無駄をできるだけ小さくしてこれらの部品を配置することができる。これにより、装置全体の小型化を図ることもできる。
【0045】
(実施例3)
本例は、図5に示すごとく、電力変換装置1の構成を変更した例である。
本例では、同図に示すごとく、筐体4の仕切部42の上面421には、その上面421を凹ませた凹部46が形成されている。そして、凹部46とその凹部46を塞ぐ板状の蓋部47との間には、冷媒流路5が形成されている。すなわち、筐体4の仕切部42の上下両側において、それぞれ冷媒流路5が形成されている。なお、蓋部47の下面472に放熱用のフィン等を設けて冷却性能を高めることもできる。
その他は、実施例1と同様の構成である。
【0046】
本例の場合には、仕切部42の上面421に設けられた冷媒流路5にも冷媒を流通させることにより、筐体4をさらに冷却することができると共に、インバータ2等が収容された上側収容部401における雰囲気温度の上昇をより一層抑制することができる。
その他、実施例1と同様の作用効果を有する。
【0047】
(実施例4)
本例は、図6、図7に示すごとく、電力変換装置1の構成を変更した例である。
本例において、同図に示すごとく、インバータ2は、半導体モジュール21以外の電子部品(リアクトル61、コンデンサ62)を有する。そして、その電子部品(リアクトル61、コンデンサ62)は、筐体4の仕切部42に設けられた冷媒流路5を流通する冷媒によって間接的に冷却されるよう構成されている。
【0048】
具体的に説明すると、筐体4の上部には、別筐体49が配置されている。別筐体49は、4つの側壁部491と、その4つの側壁部491に囲まれた空間を上下に仕切ると共にインバータ2やコンデンサ62を組み付ける組付部492とにより構成されている。また、別筐体49は、上下方向Xの断面においてH型の形状を呈している。また、別筐体49は、上側が開口しており、その開口部がカバー43によって塞がれている。
【0049】
また、別筐体49の組付部492には、半導体モジュール21の制御端子211を貫通させる貫通孔493が設けられている。
また、半導体モジュール21の制御端子211は、別筐体49の組付部492の貫通孔493内を貫通すると共に、組付部42の上側に配置された制御回路基板213に接続されている。
【0050】
また、リアクトル61及びコンデンサ62は、筐体4の仕切部42に対して接触するように配置されている。これにより、リアクトル61及びコンデンサ62は、冷媒流路5を流通する冷媒に対して筐体4の仕切部42を介して間接的かつ熱的に接触している状態となっている。
その他は、実施例1と同様の構成である。
【0051】
本例の場合には、インバータ2を構成する半導体モジュール21以外の電子部品(リアクトル61、コンデンサ62)についても、筐体4の仕切部42に設けられた冷媒流路5を流通する冷媒によって冷却することができる。これにより、装置内部全体の雰囲気温度の上昇を抑制する効果を高めることができる。
その他、実施例1と同様の作用効果を有する。
【0052】
なお、本例では、図6、図7のように、インバータ2を構成するリアクトル61及びコンデンサ62が冷媒流路5を流通する冷媒によって間接的に冷却されるよう構成されているが、例えば、同図のコンバータ3と同様に、リアクトル61やコンデンサ62が冷媒流路5を流通する冷媒によって直接冷却されるよう、つまりリアクトル61やコンデンサ62が冷媒流路5を流通する冷媒に対して直接接触するよう構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0053】
1 電力変換装置
2、3 電力変換器
4 筐体
42 仕切部
5 冷媒流路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに重なるように配置された2つの電力変換器と、該2つの電力変換器を内側に収容する筐体とを備えた電力変換装置であって、
上記筐体は、上記2つの電力変換器の間を仕切るように形成された仕切部を有し、
該仕切部には、冷媒を流通させる冷媒流路が設けられていることを特徴とする電力変換装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電力変換装置において、上記筐体は、上記2つの電力変換器をそれぞれ両者が重なる方向に直交する方向から囲むように形成されていることを特徴とする電力変換装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の電力変換装置において、上記冷媒流路は、上記筐体の上記仕切部の一方側の表面を凹ませた凹部と該凹部を塞ぐ一方の上記電力変換器との間に形成されていることを特徴とする電力変換装置。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の電力変換装置において、上記冷媒流路は、上記筐体の上記仕切部の一方側の表面を凹ませた凹部と該凹部を塞ぐ蓋部との間に形成されており、該蓋部における上記冷媒流路とは反対の側には、一方の上記電力変換器が取り付けられていることを特徴とする電力変換装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の電力変換装置において、上記2つの電力変換器は、一方が直流電力を交流電力に変換するインバータであり、他方が直流電力を電圧の異なる直流電力に変換するコンバータであることを特徴とする電力変換装置。
【請求項6】
請求項5に記載の電力変換装置において、上記インバータは、半導体素子を内蔵する半導体モジュールと該半導体モジュールを冷却する冷媒を流通させる冷却部とを有し、上記コンバータは、上記筐体の上記仕切部に設けられた上記冷媒流路を流通する冷媒によって冷却されることを特徴とする電力変換装置。
【請求項7】
請求項6に記載の電力変換装置において、上記インバータは、上記半導体モジュールと上記冷却部とを積層して構成されていることを特徴とする電力変換装置。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の電力変換装置において、上記インバータは、上記半導体モジュール以外の電子部品を有し、該電子部品は、上記筐体の上記仕切部に設けられた上記冷媒流路を流通する冷媒によって直接又は間接的に冷却されるよう構成されていることを特徴とする電力変換装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の電力変換装置において、該電力変換装置は、車両に搭載して用いられること特徴とする電力変換装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−217316(P2012−217316A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−237807(P2011−237807)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】