説明

電動機の制御方法

【課題】低負荷時の効率を従来よりも向上できる電動機の制御方法を提供する。
【解決手段】要求動作点Dとなる可変の要求回転数n1および要求トルクTn1に基づき、実際の出力動作点である出力回転数および出力トルクを要求動作点に一致させるように電気入力を制御する電動機の制御方法であって、所定の単位時間tAを通して、要求回転数n1に出力回転数を継続的に一致させるとともに、要求回転数n1の条件下で要求トルクTn1を継続的に出力することによって得られる効率よりも高い効率が得られるトルク値でありかつ要求トルクTn1よりも大きい高効率トルク値(最高効率トルク値Tn1e−max)を含んで電動機が実際に出力する瞬時トルクT(t)を変遷させ、瞬時トルクT(t)の単位時間tAを通した時間平均値で求められる出力トルクが要求トルクTn1に一致するように電気入力を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電動機の制御方法に関し、より詳細には、要求動作点となる要求回転数および要求トルクに実際の出力回転数および出力トルクを一致させるように電気入力を制御する電動機の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッド車両では、走行駆動源としてエンジンおよび電動機を搭載し、エンジンによる駆動を電動機でアシストしたり、電動機単独で駆動したりできるようになっている。電動機には三相交流電動機を用い、電気入力を制御することにより出力回転数および出力トルクを可変に制御するのが一般的である。電気入力の制御には、インバータ装置によりキャリア周波数の1周期内で矩形波電圧のデューティ比を制御して、実効値を可変に制御する電圧型パルス幅変調制御方式を用いる場合が多い。
【0003】
例えば、非特許文献1には、エンジンを主動力、モータを補助動力とするハイブリッド車用モータの技術例が開示されている。このモータは、DCブラシレスモータであり、補助動力源の機能に加え、エンジンからの駆動による発電機能、および車両制動時のエネルギ回生機能を有している。そして、車両駆動システムとしての機能を実現するために、システム制御部から要求される回転数およびトルクに合致する動作点で駆動制御されるようになっている。このモータの高効率領域は、実際に動作する機会の多い実使用領域より若干高回転側に設定されている。
【0004】
また、特許文献1には、ドライバーが要求したトルクを正確に発生できる車両用のモーター制御システムが開示されている。このモーター制御システムは、交流形電気モーター、直流形電源、および制御部を含み、トルク命令に基づきトルク電流と磁束電流を発生するのに有効なトルク制御部と、トルク命令を正確に満たすように複相電圧信号をモーターに供給する空間ベクトル・パルス幅変調部とを有している。さらに、従属請求項および実施形態では、交流形電気モーターとして三相誘導モーターが例示され、空間ベクトル・パルス幅変調部としてIGBT装置(電圧型パルス幅変調制御を行うインバータ装置の一種と解釈できる)が例示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−142500号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】嶋田明吉「ホンダにおけるハイブリッド車・燃料電池車用モータの開発について」、第22次モータ技術フォーラム第7回配布資料、2003年、日本能率協会主催
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、非特許文献1や特許文献1の技術では、車載の電動機(モータ)はシステム制御部やドライバーなど外部から要求される要求動作点、すなわち要求回転数および要求トルクに合致した出力動作点で動作する。一般的に、車両が発進するときや急坂路を登坂するときに必要とされる最大トルクを考慮して電動機の出力範囲が設定されるが、通常の平地走行で必要とされるトルクは最大トルクよりもかなり小さい。このため、電動機の高効率領域は最大トルクに依存して比較的大きなトルクの側に偏移しがちになり、平地走行時の動作点は高効率領域よりも小さなトルク側に外れる。つまり、効率が低い領域で動作する場合が多くなり、多くの損失が発生して車両の燃費が低下する。したがって、燃費の向上には、動作時間の多くを占め比較的小さなトルクが要求される低負荷時の効率を向上することが重要である。
【0008】
なお、上述の問題点は、車載の走行駆動用の電動機に限定されるものではなく、用途は異なっても出力範囲の設定に対して通常時に低負荷で動作する電動機に共通している。また、上述の問題点は.電動機の電源の種類すなわち直流か単相交流か三相交流かに限定されず、同期形や誘導形などの形式にも限定されず、さらには制御方式や内部構造などの差異にも限定されず共通している。
【0009】
本発明は、上記背景技術の問題点に鑑みてなされたもので、低負荷時の効率を従来よりも向上できる電動機の制御方法を提供することを解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決する請求項1に係る電動機の制御方法の発明は、要求動作点となる可変の要求回転数および要求トルクに基づき、実際の出力動作点である出力回転数および出力トルクを前記要求動作点に一致させるように電気入力を制御する電動機の制御方法であって、所定の単位時間を通して、前記要求回転数に前記出力回転数を継続的に一致させるとともに、前記要求回転数の条件下で前記要求トルクを継続的に出力することによって得られる効率よりも高い効率が得られるトルク値でありかつ前記要求トルクよりも大きい高効率トルク値を含んで前記電動機が実際に出力する瞬時トルクを変遷させ、前記瞬時トルクの前記単位時間を通した時間平均値で求められる前記出力トルクが前記要求トルクに一致するように前記電気入力を制御する。
【0011】
請求項2に係る発明は、請求項1において、前記電気入力の制御方式は、繰り返すキャリア周期内で矩形波電圧のデューティ比を可変に制御する電圧型パルス幅変調制御方式であり、前記単位時間は、前記キャリア周期の2倍以上であり、前記要求回転数および前記要求トルクに応じて設定される。
【0012】
請求項3に係る発明は、請求項1または2において、前記要求回転数の条件下で最も高い効率が得られるトルク値である最高効率トルク値と、前記電気入力をなくしたときのゼロトルク値とを前記単位時間内の時間比率で組み合わせて前記瞬時トルクを変遷させる。
【0013】
請求項4に係る発明は、請求項3において、前記要求回転数および前記要求トルクが一定である間、前記単位時間を略一定に維持する。
【0014】
請求項5に係る発明は、請求項4において、時間経過に伴い前記単位時間ごとに前記時間比率および前記最高効率トルク値および前記ゼロトルク値の少なくともひとつをわずかに変化させ、あるいは揺動させる。
【0015】
請求項6に係る発明は、請求項4または5において、時間経過に伴い前記単位時間をわずかに変化させ、あるいは揺動させる。
【0016】
請求項7に係る発明は、請求項1〜6のいずれか一項において、前記電動機の出力側に前記瞬時トルクの変遷を吸収して瞬時変化を抑制するトルク変遷吸収装置を設けた。
【0017】
請求項8に係る発明は、請求項1〜7のいずれか一項において、前記要求回転数および前記要求トルクが所定の条件を満たすときに、前記単位時間を通して前記要求回転数に前記出力回転数を継続的に一致させるとともに前記高効率トルク値を含んで前記瞬時トルクを変遷させ、前記所定の条件を満たさないときに、前記単位時間を通して前記要求回転数に前記出力回転数を継続的に一致させるとともに前記要求トルクに前記瞬時トルクを継続的に一致させる。
【0018】
請求項9に係る発明は、請求項8において、前記所定の条件は、前記要求回転数および前記要求トルクの時間変化率が所定の閾値以下となる条件である。
【0019】
請求項10に係る発明は、請求項1〜9のいずれか一項において、前記電動機はハイブリッド車両または電気自動車に搭載されて走行駆動源に用いられる。
【発明の効果】
【0020】
請求項1に係る電動機の制御方法の発明では、単位時間を通して要求回転数に出力回転数を継続的に一致させて一定とし、出力トルクは一定とせずに高効率トルク値を含んで瞬時トルクを変遷させ、大小変化させる。そして、瞬時トルクの時間平均値で求められる出力トルクが要求トルクに一致するように電気入力を制御する。一方、従来の制御技術では、単位時間を通して要求トルクに瞬時トルクを継続的に一致させて一定に保っていた。このため、要求トルクが比較的小さい低負荷時に前記の高効率トルク値が存在し、高効率トルク値を含んで瞬時トルクを適正に変遷させると、高効率トルク値における高い効率の効果によって単位時間を通した平均効率が従来よりも向上し、この効果は動作時間の多くを占める低負荷時に発生する。また、この効果は、電動機の電源の種類すなわち直流か単相交流か三相交流かに限定されず、同期形や誘導形などの形式にも限定されず、さらには制御方式や内部構造などの差異にも限定されずに発生する。
【0021】
請求項2に係る発明では、電気入力の制御方式は電圧型パルス幅変調制御方式とされ、単位時間はキャリア周期の2倍以上とされ、要求回転数および要求トルクに応じて設定される。本発明は、例えばインバータ装置を用いて電圧型パルス幅変調制御方式により電気入力を制御する構成で実施でき、電動機に入力する矩形波電圧のデューティ比を可変に制御することで容易に瞬時トルクを変遷させることができる。
【0022】
請求項3に係る発明では、最高効率トルク値とゼロトルク値とを単位時間内の時間比率で組み合わせて瞬時トルクを変遷させる。このとき、瞬時トルクが最高効率トルク値となっている時間帯の効率は文字通り最高効率となり、瞬時トルクがゼロトルク値となっている時間帯では損失が少ない。したがって、単位時間を通した平均効率は、単位時間を通して要求トルクに瞬時トルクを継続的に一致させる従来の制御技術の効率と比較して格段に向上する。
【0023】
請求項4に係る発明では、要求回転数および要求トルクが一定である間、単位時間を略一定に維持するので、制御が簡素化される。
【0024】
請求項5に係る発明では、時間経過に伴い単位時間ごとに時間比率および最高効率トルク値およびゼロトルク値の少なくともひとつをわずかに変化させ、あるいは揺動させる。また、請求項6に係る発明では、時間経過に伴い単位時間をわずかに変化させ、あるいは揺動させる。ここで、「揺動」とは、所定の目標値を中心として各回の制御値を適宜上下にばらつかせ、長い時間が経過すると毎回の制御値を平均した平均制御値が目標値に収束するように制御することを意味する。また、「揺動」以外の制御が「変化」であり、例えば、各回の制御値を徐々に増加させる制御が該当する。このように、時間比率、最高効率トルク値、ゼロトルク値、単位時間の少なくともひとつをわずかに変化させ、あるいは揺動させることで、有害な共振現象や振動および騒音などの発生を防止できる。仮に、これらの制御量を完全に一定に保つと、単位時間の逆数で求められる周波数と電動機の特定部位の固有振動数とが近似して有害な現象の発生するおそれがある。
【0025】
請求項7に係る発明では、電動機の出力側に瞬時トルクの変遷を吸収して瞬時変化を抑制するトルク変遷吸収装置が設けられる。これにより、有害な共振現象や振動および騒音などの発生を防止できる。また、トルク変遷吸収装置を設けない場合と比較して、出力トルクが円滑化される。
【0026】
請求項8に係る発明では、要求回転数および要求トルクの条件に応じて、高効率トルク値を含んで瞬時トルクを変遷させる制御と、要求トルクに瞬時トルクを継続的に一致させる従来の制御とを取捨選択する。さらに、請求項9に係る発明では、要求回転数および要求トルクの時間変化率が所定の閾値以下となる条件が成立しているときに、高効率トルク値を含んで瞬時トルクを変遷させる制御を実施する。つまり、要求回転数および要求トルクが比較的緩やかに変化する場合に瞬時トルクを変遷させる制御を実施し、少なくとも一方が急激に変化する過渡期に瞬時トルクを変遷させる制御を中断する。これにより、過渡期に適正な単位時間を確保できなくなるおそれを回避でき、電動機の動作を安定して制御できる。
【0027】
請求項10に係る発明では、電動機はハイブリッド車両または電気自動車に搭載されて走行駆動源に用いられるので、平地走行などの低負荷時の効率を向上できる。これにより、車両の燃費が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】実施形態の電動機の制御方法を行う装置構成の例を説明する図である。
【図2】(1)は電動機の出力特性および車両の走行性能線図を示し、(2)は電動機の効率マップおよび車両の走行重心点を示している。
【図3】車両の走行パターンと電動機の出力動作点との関係を例示した図であり、(1)は車両の車速および電動機から出力されるトルクの時間的変化を示し、(2)は電動機の出力特性上の出力動作点の位置の変化を示している。
【図4】実施形態の電動機の制御方法を説明する図であり、(1)は電動機の出力特性上で本制御方法を説明する図、(2)は本制御方法を実施したときの瞬時トルクの時間波形である。
【図5】実施形態の電動機の制御方法で、インバータ装置による電動機の矩形波電圧制御の方法を説明する図であり、(1)は瞬時トルクの時間波形、(2)は矩形波電圧の時間波形、(3)は電流の時間波形を示している。
【図6】実施形態の電動機の制御方法で、所定の条件を満たさないときに要求トルクに出力トルクを継続的に一致させる制御方法を説明する図であり、(1)は瞬時トルクの時間波形、(2)は矩形波電圧の時間波形、(3)は電流の時間波形を示している。
【図7】実施形態の電動機の制御方法を行う際の制御処理フローを説明する図である。
【図8】電動機に有害な共振現象や振動および騒音などが発生することを防止する装置構成を原理的に説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の実施形態の電動機の制御方法について、図1〜図8を参考にして説明する。図1は、実施形態の電動機の制御方法を行う装置構成の例を説明する図である。図中の矢印は、電力および情報の流れを示している。電動機1は、副走行駆動源として車両9に搭載されている。車両9は、主走行駆動源として図略のエンジンも搭載されたハイブリッド車両である。ただし、車両9はこれに限定されず、電動機1のみを走行駆動源とする電気自動車や燃料電池車などのいずれであってもよい。電動機1は、三相同期電動機や三相誘導電動機が好適であり、これに限定されない。
【0030】
電動機1の電源として、直流電源2およびインバータ装置3が用いられる。直流電源2には、バッテリや燃料電池などを用いることができる。インバータ装置3は、パワー素子を内蔵しており、後述する電動機ECU4からの制御信号Ctに基づいて、キャリア周波数の1周期内でのデューティ比を制御する。これにより、直流電源2の直流電圧Vdcをオン/オフ制御した後の矩形波電圧Vを電動機1に印加する。インバータ装置3には、周知の電圧型パルス幅変調制御方式の装置を用いることができる。
【0031】
電動機1の制御装置として電動機ECU4が用いられる。電動機ECU4は、マイコンを内蔵してソフトウェアで動作する電子制御装置である。電動機ECU4は、図1に示されるように、車両ECU5からアクセル情報Ac、ブレーキ情報Br、舵角情報St、車速vなどの車両状態に関する情報を取得する。電動機ECU4は、これらの情報に基づいて要求動作点となる要求回転数Nrおよび要求トルクTrを決定する。要求動作点は、例えば、各種情報をパラメータとするデータマップとして電動機ECU4の記憶部内に保持することができる。この場合に電動機ECU4は、取得した情報に該当する要求動作点をデータマップ上で求めて読み込むことにより、前述の要求回転数Nrおよび要求トルクTrを決定できる。
【0032】
さらに、電動機ECU4は、要求動作点を実現するようにインバータ装置3に制御信号Ctを送出し、インバータ装置3を介して電動機1の動作を制御する。制御信号Ctは、要求回転数Nrを実現するための電流通電タイミングの情報と、要求トルクTrを発生するために必要な電流値の情報もしくは電流値から導かれる電圧値の情報とを含んでいる。
【0033】
車両ECU5も電子制御装置であり、電動機ECU4の上位装置として車両9の走行全般を制御する。車両ECU5は、前述のアクセル情報Ac、ブレーキ情報Br、舵角情報St、車速vなどの情報を図略のセンサ類から取得する。また、車両ECU5は、図略のエンジンECUと情報を交換してエンジンECUによるエンジン制御を支援し、さらに図略の変速機ECUやブレーキECUなどとも連携して走行全般を制御する。
【0034】
電動機ECU4からの制御でインバータ装置3が矩形波電圧Vを印加することにより電動機1は動作し、車両9が走行する。電動機1の回転子の回転角度情報θや内部温度tmp1の情報は、電動機ECU4にフィードバックされる。また、インバータ装置3から、装置内部温度tmp2および電動機1に流れる電流Iの情報が、電動機ECU4にフィードバックされる。
【0035】
次に、電動機1の出力特性および効率マップと車両9の走行性能線図および走行重心点について説明する。図2の(1)は電動機1の出力特性および車両9の走行性能線図を示し、(2)は電動機1の効率マップおよび車両9の走行重心点を示している。(1)(2)ともに、横軸は電動機1の回転数N、縦軸は出力されるトルクTである。図示されるように、電動機1は、回転数N=0〜最大回転数Nmax、トルクT=0〜最大トルクTmaxの間で、中太線で示される範囲を出力範囲としている。なお、図示されていないが、電動機1は、車両9が制動されるときのエネルギ回生機能を有しており、制動トルクTx(以降は便宜上負値で記載する)が入力されて発電を行う場合も生じ得る。
【0036】
図2の(1)で、車両9の路面走行負荷として路面勾配Kがパラメータとされ、路面勾配K=0%、5%、10%、および30%における各走行性能線が細線で示されている。走行性能線は、路面勾配Kが一定であると回転数Nの増加につれてトルクTが増加する右上がりの特性を有している。また、路面勾配Kが大きくなるにつれて、走行性能線全体が大きなトルクT側(図の上方)にシフトし、図の例では路面勾配K=30%で走行性能線は最大トルクTmaxに近づく。
【0037】
図2の(2)で、電動機1の効率ηがパラメータとされ、効率η=85%、90%、および95%における等効率線が細線で示されている。また、各回転数Nにおける効率ηが最高となる動作点を結んだ最高効率線Emaxが太線で示されている。図示されるように、最高効率線Emaxは、中庸の回転数Nで最もトルクTが大きくなる山状カーブの特性を有している。ここで、最高効率線Emaxよりも下側の領域は、最高効率を発生するトルクよりも実際に出力されるトルクTが小さくなる領域であり、便宜的に低負荷領域ALと名付ける。
【0038】
また、図2の(2)の効率η=85%の等効率線の概ね線上の高回転数側に高速巡航重心点GH、低回転数側に市街地走行重心点GLが位置している。高速巡航重心点GHは、車両9が高速道路などを走行する際の電動機1の平均的な動作点を示している。市街地走行重心点GLは、車両9が市街地の一般道を走行する際の電動機1の平均的な動作点を示している。高速巡航重心点GHおよび市街地走行重心点GLはともに、低負荷領域AL内にある。つまり、車両9に搭載された電動機1では、低負荷領域ALで動作する場合が動作時間の多くを占める。
【0039】
次に、車両9の走行パターンと電動機1の実際の出力動作点との関係について例示説明する。出力動作点は、電動機1から実際に出力される回転数NおよびトルクTを意味し、図2に示される出力特性の図に一点で示される。図3は、車両9の走行パターンと電動機1の出力動作点との関係を例示した図であり、(1)は車両9の車速vおよび電動機1から出力されるトルクTの時間的変化を示し、(2)は電動機1の出力特性上の出力動作点の位置の変化を示している。なお、図3は一例であって、実際の走行パターンは当然ながら毎回の走行に依存して変化する。
【0040】
図3の(1)において、時刻t1で電動機1が始動されてトルクTが発生し車両9が発進する。トルクTは、時刻t1から時刻t2を経て時刻t3まで漸増し、これに伴い車速vが増加してゆく。時刻t3から時刻t4の間でトルクTは最大となり、車速vは急加速される。時刻t4以降は時刻t5を経て時刻t6までトルクTが漸減されると、車速vは増加が緩み、時刻t6で図示される範囲内の最大車速に達する。時刻t6から時刻t7までの間は、わずかなトルクTによって最大車速が維持されている。時刻t7でトルクTがなくなると車両9は慣性走行となり、車速vはわずかに減少傾向を示す。
【0041】
時刻t8で、ブレーキペダルが踏み込み操作されると、制動トルクTが油圧ブレーキと電動機1の回生機能とに配分される。これにより、電動機1は回生トルクTxが入力されて発電機として動作する。時刻t8から時刻t9までの間、制動トルクTは図示される範囲内の最大値とされ、時刻t9以降は車速vが減少し、時刻t10から時刻t11にかけて制動トルクTも漸減される。時刻t11で車速vが0になって、車両9が停止する。
【0042】
上記の走行パターンにおける電動機1の出力動作点の変化は、図3の(2)に太線で示され、時刻t1〜t11が併記されている。図3の(2)でトルクTが正値の領域は、電動機1がトルクTを出力する力行域であり、トルクTが負値(回生トルクTx)の領域は電動機1に回生トルクTxが入力されて発電を行う回生域である。図示されるように、時刻t1〜t2の間および時刻t4〜t8の間、出力動作点は力行域内でかつ最高効率線EmaxよりもトルクTの小さい低負荷領域AL内を移動している。また、時刻t2〜t4の間、出力動作点は力行域内でかつ最高効率線EmaxよりもトルクTの大きい領域内を移動している。時刻t8〜t11の間、出力動作点は回生域内を移動している。
【0043】
次に、実施形態の電動機の制御方法について説明する。実施形態の電動機の制御方法は、電動機1に要求される要求動作点が低負荷領域AL内にある場合に実施可能となる。したがって、図3の例では、時刻t1〜t2の間および時刻t4〜t8の間で実施可能となる。図4は、実施形態の電動機の制御方法を説明する図であり、(1)は電動機1の出力特性上で本制御方法を説明する図、(2)は本制御方法を実施したときの瞬時トルクT(t)の時間波形である(なお、力行域での制御方法の説明となるが、回生域でも同様である)。
【0044】
図4の(1)で、要求動作点Dは低負荷領域AL内にあり、要求回転数Nr=n1および要求トルクTr=Tn1である。このとき、要求回転数Nr=n1の条件下で最も高い効率が得られるトルク値である最高効率トルク値Tn1e−maxは、最高効率線Emax上で回転数n1となっている最高効率点Dmaxから求められる。また、最高効率トルク値Tn1e−maxは、要求トルクTr=Tn1よりも大きくなっている。
【0045】
実施形態の電動機の制御方法では、単位時間tAを通して要求回転数Nr=n1に出力回転数を継続的に一致させるとともに、最高効率トルク値Tn1e−maxと電気入力をなくしたときのゼロトルク値とを単位時間tA内の時間比率Rtで組み合わせて瞬時トルクT(t)を図4の(2)に示されるように変遷させる。詳述すると、時刻t21〜t23までの単位時間tA中で、時刻t21〜t22までの通電時間tBに電動機1に電圧を印加して通電することで最高効率トルク値Tn1e−maxを発生させ、時刻t22〜t23までの間は電圧を印加せずにゼロトルク値とする。
【0046】
さらに、瞬時トルクT(t)の単位時間tAを通した時間平均値で求められる実効的な出力トルクTが要求トルクTr=Tn1に一致する条件を満足するように電圧を制御する。この条件を満たす時間比率Rtは、時間比率Rt=(tB/tA)=(Tn1/Tn1e−max)で求められる。電圧の制御による瞬時トルクT(t)の変化は急峻であるので、立ち上がりおよび立ち下がりの時間遅れは無視して考えることができる。
【0047】
なお、要求トルクTrが最高効率線Emaxよりも大きい側の領域にある場合、最高効率トルク値Tn1e−maxとゼロトルク値とを時間比率で組み合わせて瞬時トルクT(t)を変遷させても、時間平均値で求められる出力トルクを要求トルクTrに一致させることはできない。
【0048】
次に、電圧型パルス幅変調制御方式のインバータ装置3による電動機1の矩形波電圧V制御の方法について説明する。図5は、実施形態の電動機の制御方法で、インバータ装置3による電動機1の矩形波電圧V制御の方法を説明する図であり、(1)は瞬時トルクT(t)の時間波形、(2)は矩形波電圧Vの時間波形、(3)は電流Iの時間波形を示している。(1)〜(3)の各横軸は、共通の時間tである。なお、図5の(1)は、図4の(2)の時刻t21〜t23までの範囲を拡大した波形である。
【0049】
本実施形態では、インバータ装置3は、繰り返すキャリア周期tC内で矩形波電圧Vのデューティ比Rdを可変に制御する。具体的にインバータ装置3は、図5の(2)に示される単位時間tA内の前側の時刻t21〜t22までの通電時間tBの間では或るデューティ比Rdで矩形波電圧Vを発生し、後側の時刻t22〜t23の間では矩形波電圧Vを発生させない。ここで、矩形波電圧Vの波高値は、直流電源4の直流電圧Vdcである。また、矩形波電圧Vの直流電圧Vdcが発生している時間幅すなわちオンデューティ時間tdとすると、通電時間tB中のデューティ比Rd=(td/tC)で求められる。通電時間tBを通した矩形波電圧Vの実効値V2であり、単位時間tAを通した矩形波電圧Vの実効値V1(V1<V2)となる。
【0050】
図5の(2)に示される矩形波電圧Vが印加されると、電動機1には図5の(3)に示される電流Iが流れる。電流Iの波形は、通電時間tB中でリップル分を含む直流波形となり、矩形波電圧Vが印加されない時刻t22〜t23の間では概ねゼロとなる。通電時間tBを通した電流Iの実効値I2であり、単位時間tAを通した電流Iの実効値I1(I1<I2)となる。そして、電流Iの実効値I1で得られる平均的な出力トルクTが、要求トルクTr=Tn1に一致する。
【0051】
なお、電圧型パルス幅変調制御方式のインバータ装置3では、通電時間tBおよび通電しない時間帯を区分して設けるために、単位時間tAは最短でもキャリア周期tCの2倍以上にする必要がある。図5の例では、単位時間tAはキャリア周期tCの9倍とされている。また、単位時間tAを長く設定すると、車両9の乗員が不快を感じたり、車両9の走行がスムーズでなくなったりするおそれが生じるので、最長値にも限度がある。単位時間tAは、要求回転数Nrおよび要求トルクTrに応じて設定され、かつ要求回転数Nrおよび要求トルクTrが一定である間は略一定に維持されることが好ましい。単位時間tAは、例えば、要求回転数Nrおよび要求トルクTrをパラメータとするデータマップもしくは計算式を電動機ECU5内に保持し、これを用いて決定することができる。
【0052】
次に、所定の条件を満たさないときに最高効率トルク値Tn1e−maxを含んで瞬時トルクT(t)を変遷させる制御を中断し代替して行う制御方法について、図5と対比して説明する。図6は、実施形態の電動機の制御方法で、所定の条件を満たさないときに要求トルクに瞬時トルクを継続的に一致させる制御方法を説明する図である。図6の(1)は瞬時トルクT(t)の時間波形、(2)は矩形波電圧Vの時間波形、(3)は電流Iの時間波形を示し、図5と同一の時刻t21〜t23までの時間範囲が例示されている。所定の条件とは、要求回転数Nrおよび要求トルクTrの時間変化率が所定の閾値以下である条件であり、これを満たさないときに要求動作点が急激に変化する過渡期であると判断できる。
【0053】
過渡期に代替して行う制御方法では、単位時間tAを通して要求回転数Nr=n1に出力回転数を継続的に一致させるとともに、図6の(1)に示されるように、要求トルクTr=Tn1に瞬時トルクT(t)を継続的に一致させて一定に保つ。インバータ装置3は、図6の(2)に示されるように単位時間tA内で一定のデューティ比で継続的に矩形波電圧Vを発生する。この矩形波電圧Vが印加されると、電動機1には図6の(3)に示される電流Iが流れる。電流Iの波形は、単位時間tAを通してリップル分を含む直流波形となる。単位時間tAを通した電圧Vの実効値V1となり、電流Iの実効値I1となって、図5の場合と一致する。図6に示される制御方法は、従来から行われている制御方法と概ね同様である。
【0054】
次に、実施形態の電動機の制御方法を行う際の制御処理フローについて、図7を参考にして説明する。図7に示される制御処理フローは、電動機ECU4によって実行制御される。
【0055】
図7のステップS1で、電動機ECU4は、まず要求動作点となる要求回転数Nrおよび要求トルクTrを読み込む。次にステップS2で、要求動作点が低負荷領域AL内にあるか否かを判定し、否のときステップS6に進む。要求動作点が低負荷領域AL内にあるときステップS3に進み、タイマが経過時間tの計時を実施していなければ、作動させて経過時間tの計時を開始する。続くステップS4で、経過時間tが所定時間t0に達したか否か判定し、否のときステップS6に進む。
【0056】
経過時間tが所定時間t0に達しているとステップS5に進み、要求回転数Nrおよび要求トルクTrの所定時間t0以前からの変化量が閾値以下であるか否かを判定する。変化量が閾値よりも大きいとき、要求動作点が急激に変化している過渡期と判定でき、ステップS6に進む。変化量が閾値以下のとき、要求動作点が一定あるいは緩やかに変化していると判定でき、ステップS7に進む。なお、閾値は、ステップS7の制御の実施および中断を切り替え制御することにより車両9の挙動がスムーズに保たれるか否か、ステップS7の制御の効果が期待できるか否か、トルク制御による応答遅れ時間などを適宜考慮して定めることができる。
【0057】
ステップS6は、ステップS2で要求動作点が低負荷領域AL内にない高負荷のとき、ステップS4で所定時間t0が経過せず要求動作点の変化の緩急を判定できないとき、およびステップS6で要求動作点が急激に変化している過渡期のときに実行される。ステップS6では、図6で説明した瞬時トルクT(t)を一定に保つ制御の演算が行われる。一方、ステップS7は、S6で要求動作点が一定または緩慢に変化しているときに実行される。ステップS7では、図5で説明した瞬時トルクT(t)を遷移させる制御の演算が行われる。ステップS6およびステップS7はステップS8で合流し、電動機ECU4は、演算結果に基づいてインバータ装置3に制御信号Ctを送出する。インバータ装置3は、制御信号Ctに基づき、図5または図6に示された矩形波電圧Vを電動機1に印加する。ステップS8によって電動機1制御の1サイクルが終了し、ステップS1に戻り、以降繰り返される。
【0058】
実施形態の電動機の制御方法によれば、要求トルクTr=Tn1が比較的小さい低負荷時に高効率トルク値が存在し、高効率トルク値を含んで瞬時トルクT(t)を適正に変遷させると、高効率トルク値における高い効率の効果によって単位時間tAを通した平均効率が従来よりも向上する。特に、図5に示されるように最高効率トルク値Tn1e−maxとゼロトルク値とを単位時間tA内の時間比率で組み合わせて瞬時トルクT(t)を変遷させている。このとき、瞬時トルクT(t)が最高効率トルク値Tn1e−maxとなっている時間帯の効率は文字通り最高効率となり、瞬時トルクT(t)がゼロトルク値となっている時間帯では損失が少ない。したがって、単位時間tAを通した平均効率は、単位時間tAを通して要求トルクTrに瞬時トルクT(t)を継続的に一致させる従来の制御技術(図6)の効率と比較して格段に向上し、この効果は動作時間の多くを占める低負荷時に発生する。
【0059】
また、電気入力の制御方式は、インバータ装置3による電圧型パルス幅変調制御方式とされており、矩形波電圧Vのデューティ比Rdを可変に制御することで、容易に瞬時トルクT(t)を変遷させることができる。さらに、要求回転数Nrおよび要求トルクTrが一定である間、単位時間tAを略一定に維持するので、制御が簡素化される。また、要求回転数Nrおよび要求トルクTrの時間変化率が所定の閾値よりも大きいときに、高効率トルク値を含んで瞬時トルクを変遷させる制御を中断する。これにより、過渡期に適正な単位時間tAを確保できなくなるおそれを回避でき、電動機1の動作を安定して制御できる。
【0060】
さらに、電動機1は車両9に搭載されて走行駆動源に用いられるので、平地走行などの低負荷時の効率を向上できる。これにより、車両9の燃費が向上する。
【0061】
次に、有害な共振現象や振動および騒音などの発生を防止する方法について説明する。図8は、電動機1に有害な共振現象や振動および騒音などが発生することを防止する装置構成を原理的に説明する図である。図8の電動機1は、図1と同じ構成を用いて図2〜図7で説明した同じ制御が行われる。車両9内で、電動機1の出力軸11は減速機6に直結されており、かつ出力軸11にはトルク変遷吸収装置7が設けられている。トルク変遷吸収装置7には、例えば、車載エンジンの出力軸に設けられ、慣性質量と緩衝スプリングからなる従来のダンパ装置を用いることができる。
【0062】
図8の構成では、電動機1の出力側に瞬時トルクT(t)の変遷を吸収して瞬時変化を抑制するトルク変遷吸収装置7が設けられている。したがって、単位時間tAの逆数で求められる周波数と電動機1の特定部位、例えば出力軸11の固有振動数とが近似しても、トルク変遷吸収装置7により有害な共振現象や振動および騒音などの発生を防止できる。また、トルク変遷吸収装置7を設けない場合と比較して、減速機6に入力されるトルクTが円滑化される。
【0063】
さらに、トルク変遷吸収装置7に代えて、あるいはトルク変遷吸収装置7に併用して、有害な共振現象や振動および騒音などの発生を防止する電動機ECU4からの制御方法がある。すなわち、電動機ECU4からの制御により、時間比率Rt(=tB/tA)、最高効率トルク値Tn1e−max、ゼロトルク値、単位時間tAの少なくともひとつをわずかに変化させ、あるいは揺動させることで、有害な共振現象や振動および騒音などの発生を防止できる。つまり、これらを変化させあるいは揺動させることで起振力特性の尖鋭度を鈍らせることができるので、共振現象が生じにくくなる。仮に、これらの制御量を完全に一定に保つと、単位時間tAの逆数で求められる周波数と電動機1の特定部位の固有振動数とが近似して有害な現象の発生するおそれがある。
【0064】
なお、実施形態で最高効率トルク値Tn1e−maxとゼロトルク値とを時間比率で組み合わせ、二段階で瞬時トルクT(t)を変遷させているが、これに限定されない。すなわち、必ずしも最高効率トルク値Tn1e−maxでなくとも、要求回転数Nrの条件下で要求トルクTrを継続的に出力することによって得られる効率よりも高い効率が得られる高効率トルク値を含んで変遷させれば、効果は発生する。また、高効率トルク値を含む三段階以上の変遷や、高効率トルク値を含む連続的な変化による変遷を行うようにしてもよい。さらに、車両9に搭載された電動機1では、運転者の運転癖を学習することによりアクセルやブレーキなどの操作に基づいて運転者の意思を推定し、瞬時トルクT(t)の変遷を実施するか否かを判断し、あるいは単位時間tAの設定を考慮するようにしてもよい。
【0065】
本発明は、電動機1の電源の種類や、同期形や誘導形などの形式、および制御方式や内部構造などの差異に限定されずに実施でき、車載の走行駆動用以外の用途の電動機でも実施できる。本発明は、その他さまざまな変形や応用が可能である。
【符号の説明】
【0066】
1:電動機 11:出力軸
2:直流電源 3:インバータ装置 4:電動機ECU
5:車両ECU 6:減速機 7:トルク変遷吸収装置 9:車両
N:回転数 Nmax:最大回転数
T:トルク、制動トルク Tmax:最大トルク Tx:回生トルク
K:路面勾配 η:効率 Emax:最高効率線 AL:低負荷領域
GH:高速巡航重心点 GL:市街地走行重心点 v:車速
D:要求動作点 n1:要求回転数 Tn1:要求トルク
Dmax:最高効率点 Tn1e−max:最高効率トルク値
tA:単位時間 tB:通電時間 tC:キャリア周期
Vdc:直流電圧 V:矩形波電圧 I:電流

【特許請求の範囲】
【請求項1】
要求動作点となる可変の要求回転数および要求トルクに基づき、実際の出力動作点である出力回転数および出力トルクを前記要求動作点に一致させるように電気入力を制御する電動機の制御方法であって、
所定の単位時間を通して、前記要求回転数に前記出力回転数を継続的に一致させるとともに、前記要求回転数の条件下で前記要求トルクを継続的に出力することによって得られる効率よりも高い効率が得られるトルク値でありかつ前記要求トルクよりも大きい高効率トルク値を含んで前記電動機が実際に出力する瞬時トルクを変遷させ、
前記瞬時トルクの前記単位時間を通した時間平均値で求められる前記出力トルクが前記要求トルクに一致するように前記電気入力を制御する電動機の制御方法。
【請求項2】
請求項1において、
前記電気入力の制御方式は、繰り返すキャリア周期内で矩形波電圧のデューティ比を可変に制御する電圧型パルス幅変調制御方式であり、
前記単位時間は、前記キャリア周期の2倍以上であり、前記要求回転数および前記要求トルクに応じて設定される電動機の制御方法。
【請求項3】
請求項1または2において、前記要求回転数の条件下で最も高い効率が得られるトルク値である最高効率トルク値と、前記電気入力をなくしたときのゼロトルク値とを前記単位時間内の時間比率で組み合わせて前記瞬時トルクを変遷させる電動機の制御方法。
【請求項4】
請求項3において、前記要求回転数および前記要求トルクが一定である間、前記単位時間を略一定に維持する電動機の制御方法。
【請求項5】
請求項4において、時間経過に伴い前記単位時間ごとに前記時間比率および前記最高効率トルク値および前記ゼロトルク値の少なくともひとつをわずかに変化させ、あるいは揺動させる電動機の制御方法。
【請求項6】
請求項4または5において、時間経過に伴い前記単位時間をわずかに変化させ、あるいは揺動させる電動機の制御方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項において、前記電動機の出力側に前記瞬時トルクの変遷を吸収して瞬時変化を抑制するトルク変遷吸収装置を設けた電動機の制御方法。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項において、前記要求回転数および前記要求トルクが所定の条件を満たすときに、前記単位時間を通して前記要求回転数に前記出力回転数を継続的に一致させるとともに前記高効率トルク値を含んで前記瞬時トルクを変遷させ、前記所定の条件を満たさないときに、前記単位時間を通して前記要求回転数に前記出力回転数を継続的に一致させるとともに前記要求トルクに前記瞬時トルクを継続的に一致させる電動機の制御方法。
【請求項9】
請求項8において、前記所定の条件は、前記要求回転数および前記要求トルクの時間変化率が所定の閾値以下となる条件である電動機の制御方法。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項において、前記電動機はハイブリッド車両または電気自動車に搭載されて走行駆動源に用いられる電動機の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−13181(P2013−13181A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−142906(P2011−142906)
【出願日】平成23年6月28日(2011.6.28)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】