説明

電圧電流変換回路及びこれを用いた平衡型増幅器

【課題】入力電圧の同相成分を除去する電圧電流変換回路において、低電圧電源条件下でも出力信号振幅の限界が高い回路を提供する。
【解決手段】電圧電流変換回路Gm1、Gm2への入力電圧をV1、V2、入力電圧の差動成分を2Vin、同相成分をVcmとすると、V1=Vin+Vcm、V2=-Vin+Vcmとなる。Gm1、Gm2のin2、Out2の4端子を接続した線上の電位をVaとすると、出力電流はI1=-Gm(V1+Va)、I2=-Gm(V2+Va)とあらわされる。Gm1、Gm2の入力インピーダンスは非常に大きいので、帰還された電流はGm1、Gm2のどちらの逆相入力端子in2にも流れ込むことができないからI1+I2=0となる。すなはち、逆相入力端子in2には同相成分を相殺する帰還がかかり、出力電流からは同相成分が除去されていることがわかる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電圧電流変換回路及びこれを用いた平衡型増幅器に関する。
【背景技術】
【0002】
入力信号の差動成分に対してのみ利得を持ち、同相成分を除去する特性をもつ平衡型増幅器は、同相成分として混入した雑音を除去できることや、差動信号振幅が単相の場合に比べて2倍にできることから、アナログ・デジタル混載集積回路や低電圧で動作する回路に多く用いられる。従来、同相成分を除去するために差動対とコモンモード・フィードバック(Common-Mode Feed Back,以下CMFB)回路とを組み合わせて、入力電圧の同相成分を除去する回路が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図13は従来例のCMFB回路を有する差動対の回路図であり、これに類似する回路が特許文献1に開示されている。
【0004】
図13の差動対は、入力端子1n1、In2に入力された入力電圧がそれぞれトランジスタM3、M4のゲートに、所定のバイアス電圧Vbias2がトランジスタM5のゲートにそれぞれ入力される。また、トランジスタM1とM3の間に出力端子Out1を、トランジスタM2とM4の間に出力端子Out2を設け、出力端子Out1、Out2の動作点を固定するためのCMFB回路121を接続して、フィードバック電圧Vbias1をゲートが共通に接続されたトランジスタM1、M2に入力する。
【0005】
このような従来の回路においては、差動対の持つ同相成分除去の性質を利用しているため、縦積みされるトランジスタ数に下限があり、低電圧条件下で動作させると出力信号振幅の限界が低いという問題がある。
【0006】
例えば、半導体集積回路において、デジタル回路と同じチップ上にアナログ回路を作成することが多々ある。回路の集積度を高くするにはデジタル回路とアナログ回路を同じ電圧で動作させる方が有利であるが、今後さらにプロセスの微細化が進行した場合は電源電圧のより一層の低下が避けられない。例えば、近い将来の実用化が見込まれる0.11μmプロセス集積回路におけるデジタル回路の動作電圧は1.5V程度であるが、さらにプロセスの微細化が進めば動作電圧は一層低下することが予想される。
【0007】
図13の回路について出力信号振幅の限界を求める。各トランジスタの飽和電圧(トランジスタのドレイン・ソース間の電位差)をVsat、スレッショルド電圧(トランジスタのソース・ゲート間の電位差)をVtとする。電源線の間にはトランジスタM5、M4、M2(あるいはトランジスタM5、M3、M1について考えても良い)が存在するから、出力信号振幅の限界Vmaxは、電源電圧Vddからこれら3つのトランジスタのドレイン・ソース間電圧とVssを差し引いたものである。ドレイン・ソース間に最低必要な電圧はVsatであるから、Vmax=Vdd-(Vsat+Vsat+Vsat)-Vss=Vdd-3Vsat-Vssである。
例えば、各トランジスタの飽和電圧Vsatが0.2V、スレッショルド電圧Vtが0.5V、Vss=0V(接地)という場合を考える。前述の0.11μmプロセスの場合だとVdd=1.5Vであるから、Vmax=0.9Vであるが、仮に動作電圧カVdd=1.0Vまで低下した場合を考えると、Vdd=1.5V時の半分以下のVmax=0.4Vとなる。
【0008】
つまり、今後電源電圧がさらに低下した場合に、上記差動対ではデジタル回路と同じ電圧で動作させても十分な性能、すなわち十分な出力振幅を得られなくなり、例えば図13の回路を用いてノイズ除去回路を構成しても十分なノイズ除去性能を得ることが困難になることが予想される。
【特許文献1】特開2000-148262公報(図15)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
平衡型増幅器は差動対の持つ同相成分除去の性質を利用しているため、縦積みされるトランジスタ数に下限があり、低電圧条件下で動作させると出力信号振幅の限界が低いという問題がある。
【0010】
そこで、本発明の目的は、出力信号振幅の限界が高い電圧電流変換回路及びこれを用いて低電圧でも出力信号振幅の上限が高い平衡型増幅器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1局面は、第1の入力端子と、第2の入力端子と、第1の出力端子と、第2の出力端子と、前記第1および第2の入力端子にそれぞれ与えられた電圧信号を加算して出力する入力加算手段と、前記第1及び第2の出力端子にそれぞれ対応して設けられ、前記入力加算手段の出力を反転増幅し、第1及び第2の反転増幅出力を生成する第1及び第2の反転増幅手段と、前記第1及び第2の出力端子にそれぞれ対応して設けられ、前記第1及び第2の反転増幅手段の前記第1及び第2の反転増幅出力をそれぞれ反転増幅して第1及び第2の電流信号を生成し、これら第1及び第2電流信号を前記第1及び第2の出力端子へそれぞれ出力する第3及び第4の反転増幅手段と、前記第3の反転増幅手段の入力端と出力端の間に設けられた第1の容量素子と、前記第4の反転増幅手段の入力端と出力端の間に設けられた第2の容量素子とを備える電圧電流変換回路を提供する。
【0012】
本発明の第2局面は、第1局面に従った電圧電流変換回路により構成される平衡型増幅器を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明の平衡型増幅器は単純なソース接地増幅回路を用いた電圧電流変換回路で構成され、その結果従来の同相成分除去能力を失うことなく、低電圧動作でも出力信号振幅の限界が従来よりも高くなった。
【0014】
また、本発明の平衡型増幅器に用いた電圧電流変換回路の正相入力端子により同相出力電圧が制御可能であるため、フィルタを構成した場合に時定数の制御が容易に行えるようになった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら本発明に係る平衡型増幅器およびこれを利用したフィルタについて説明する。
【0016】
(第1の実施形態)
図1に本発明の平衡型増幅器の第一の実施形態のブロック図を示す。この平衡型増幅器は、逆相入力端子in1、in2と、正相出力端子out1、out2の4端子を各々有する2つの電圧電流変換回路Gm1、Gm2で構成されている。電圧電流変換回路Gm1の正相出力端子out2、逆相入力端子in2と電圧電流変換回路Gm2の正相出力端子out2、逆相入力端子in2の4つは共通に接続されており、差動入力信号は電圧電流変換回路Gm1の逆相入力端子in1と電圧電流変換回路Gm2の正相入力端子in1から入力され、差動出力信号は電圧電流変換回路Gm1の正相出力端子out1と電圧電流変換回路Gm2の逆相出力端子out1の両方から出力される。
【0017】
電圧電流変換回路Gm1、Gm2の動作を説明する。電圧電流変換回路Gm1、Gm2は、それぞれの逆相入力端子in1、in2への入力電圧を電流に変換して正相出力端子out1、out2の両方に出力する。正相出力端子outlからの出力は逆相入力端子in1、in2の両方に依存する。同様に正相出力端子out2からの出力は逆相入力端子in1,in2の両方に依存する。
【0018】
次に、本実施形態の平衡型増幅器の動作を説明する。説明を簡単にする為、電圧電流変換回路Gml、Gm2各々の正相出力端子out1、out2から出力される電流は常に等しいものとするが、実際には正相出力端子out1からの出力電流と正相出力端子out2からの出力電流は等しくなくてもよい。
【0019】
電圧電流変換回路Gm1への入力電圧をV1、電圧電流変換回路Gm2への入力電圧をV2とし、入力電圧の差動成分を2Vin、同相成分をVcmとすると、V1=Vin+Vcm、V2=-Vin+Vcmとなる。電圧電流変換回路Gml、Gm2のトランスコンダクタンスをGmとおき、電圧電流変換回路Gm1の正相出力端子outlならびにout2からの出力を11、電圧電流変換回路Gm2の正相出力端子outlおよびout2からの出力をI2、電圧電流変換回路Gm1、Gm2のin2、out2の4端子を接続した線上の電位をVaとすると、出力電流は入力電圧を変換したもので、I1=-Gm(V1+Va)、I2=-Gm(V2+Va)と表される。
【0020】
ところで、電圧電流変換回路Gm1、Gm2の入力インピーダンスは非常に大きいので、帰還された電流は電圧電流変換回路Gm1、Gm2のどちらの逆相入力端子in2にも流れこむことができないからn+I2=0となる。
【0021】
I1=-Gm(V1+Va)及びI2=-Gm(V2+Va)の式よりVa、I1、I2を計算すると、Va=-Vcm、n=-Gm・Vin、I2=Gm・Vinとなる。すなわち、逆相入力端子in2には同相成分を相殺する帰還がかかり、出力電流からは同相成分が除去されていることが分かる。
本実施形態で用いる電圧電流変換回路Gm1、Gm2の第1の具体的構成例を図8に示す。図8の回路は、電位Vddの電源線と、電位Vssの電源線と、逆相入力端子in1、in2と、正相出力端子out1、out2と、電流源J1、J2と、入力端子からの信号を受けるnチャネル型のトランジスタM1〜M4からなる。
【0022】
トランジスタM1〜M4はソースは電位Vssの電源線に、電流源J1、J2は一端が電位Vddの電源線に接続され、電流源J1の他端とトランジスタM1、M2のドレインとの間が共通に接続され、この接続線上に正相出力端子out1が設けられる。電流源J2の他端とトランジスタM3、M4のドレインとの間は共通に接続され、この接続線上に正相出力端子out2が設けられる。トランジスタM1、M3のゲート間は接続され、この接続線上に逆相入力端子inlが設けられる。トランジスタM2、M4のゲート間は接続され、この接続線上に逆相入力端子in2が設けられる。以上により、2入力2出力の電圧電流変換回路が構成される。
【0023】
図8の電圧電流変換回路の動作を説明する。まず、正相出力端子outlからの出力電流に関して説明する。
【0024】
逆相入力端子in1への入力電圧に応じた電流がトランジスタM1のドレイン・ソース間に、同様に逆相入力端子in2への入力電圧に応じた電流がトランジスタM2のドレイン・ソース間に流れる。これによって、正相出力端子out1からの出力電流は、電流源J1から供給される電流から前述の逆相入力端子in1、in2への各々の入力電圧に応じた電流の和そのものを差し引いた電流となる。正相出力端子out2についても同様で、電流源J2から供給される電流から前述の逆相入力端子in1、in2への各々の入力電圧に応じた電流の和そのものを差し引いた電流となる。
【0025】
図8の電圧電流変換回路において、各トランジスタの飽和電圧をVsat、スレッショルド電圧をVtとすると、出力信号振幅の限界Vmaxは動作電圧Vddよりも電流源J1の両端の電位差、トランジスタM1のドレイン・ソース間電圧分およびVssを差し引いた値になる。通常、電流源J1はトランジスタのゲートに所定の電圧を印加した構成であり、電流源として動作させるためには両端の電位差は最低でもVsat必要であるから、Vmax=Vdd-Vsat-Vsat-Vss=Vdd-2sat-Vssとなる。
【0026】
例えば、各トランジスタの飽和電圧Vsatが0.2V、スレッショルド電圧Vtが0.5V、電源電圧Vddが1.0V、Vssが0V(接地)とするとVmax=0.6Vとなり、従来の差動対とCMFB回路を組み合わせた平衡型増幅器に比べて出力信号振幅の限界が向上しており、従来より低電圧でも十分な性能を発揮できると期待される。
【0027】
本実施形態で用いる電圧電流変換回路Gml、Gm2の第2の具体的構成例を図9に示す。この回路は、電位Vddの電源線91と、電位Vssの電源線92と、逆相入力端子in1、in2と、正相出力端子out1、out2と、nチャネル型のトランジスタM1〜M8と、pチャネル型のトランジスタM9〜M12からなる。
【0028】
トランジスタM1〜M8のソースは電源線92に、トランジスタM9〜M12のソースは電源線91に接続されている。トランジスタM5、M6、Mllのドレイン間は共通に接続されており、この接続線上に正相出力端子out1が設けられている。トランジスタM7、M8、M12のドレイン間は共通に接続されており、この接続線上に正相出力端子out2が設けられている。トランジスタM5、M7のゲート間は接続され、この接続線上に逆相入力端子in1が設けられている。トランジスタM6、M8のゲート間は接続され、この接続線上に逆相入力端子in2が設けられている。
【0029】
トランジスタM1、M3のゲート間は接続され、この接続線上に正相入力端子in3が設けられている。トランジスタM2、M4のゲート間は接続され、この接続線上に正相出力端子in4が設けられている。
【0030】
トランジスタM11のゲートとトランジスタM10のゲートとドレインとトランジスタM3、M4のドレインの5箇所の間は共通に接続されている。同様にトランジスタM12のゲートとトランジスタM9のゲートとドレインとトランジスタM1、M2のドレインの5箇所の間は共通に接続されている。以上により、逆相2入力正相2入力正相2出力の電圧電流変換回路が構成される。
【0031】
図9の電圧電流変換回路の動作を説明する。トランジスタM10のソース・ドレイン間には正相入力端子in3、in4への各々の入力電圧に応じた電流の和に等しい電流が流れる。トランジスタM10、M11はカレントミラーを構成しているので、結局トランジスタM11のソース・ドレイン間を流れる電流は正相入力端子in3、in4に制御される。同様にトランジスタM12のソース・ドレイン間を流れる電流も正相入力端子in3、in4によって制御される。つまり、トランジスタM11、M12は正相入力端子in3、in4によって制御される可変電流源となっている。
【0032】
従って、図9の電圧電流変換回路は、図8の定電流源J1、J2を可変電流源の働きをするトランジスタM11、M12で置き換えた構成となっているので、正相出力端子out1、out2からの出力電流は正相入力端子in3、in4への入力電圧に応じた電流の和に等しい電流から、逆相入力端子in1、in2への入力電圧に応じた電流の和そのものを差し引いた電流となる。
【0033】
図1の回路で用いた電圧電流変換回路では、図9で示される正相入力端子in3、in4は電圧電流変換回路の内部で所定の電位点に接続した上で電圧電流変換回路の外部から遮蔽した状態にしてあり、電圧電流変換回路の外部からの入力を受ける状態にしていないが、この構成に限らず、正相入力端子in3、in4が外部から入力を受けることのできる構成のものを用いても構わない。この場合は図1の電圧電流変換回路として、1段増幅の逆相2入力正相2入力正相2出力の電圧電流変換回路を用いたことになる。
【0034】
図9の電圧電流変換回路は、電源線91、92の間に直列に接続されたトランジスタの数が2個までであるソース接地増幅回路の構成になっているので、従来よりも出力信号振幅の限界が高い。
【0035】
図9の電圧電流変換回路において、各トランジスタの飽和電圧をVsat、スレッショルド電圧をVtとすると、出力信号振幅の限界Vmaxは動作電圧VddよりトランジスタM8、M12のドレイン・ソース間電圧分およびVssを差し引いた値になるから、Vmax=Vdd-Vsat-Vsat-Vss=Vdd-2sat-Vssとなる。
【0036】
例えば、各トランジスタの飽和電圧Vsatが0.2V、スレッショルド電圧Vtが0.5V、電源電圧Vddが1.0V、Vssが0V(接地)とするとVmax=0.6Vとなり、従来の差動対とCMFB回路を組み合わせた平衡型増幅器に比べて出力信号振幅の限界が向上しており、従来より低電圧でも十分な性能を発揮できると期待される。
【0037】
本実施形態で用いる電圧電流変換回路Gm1、Gm2の第3の具体的構成例を図10に示す。電位がVddの電源線101と、電位がVssの電源線102と、逆相入力端子in1、in2と、nチャネルのトランジスタM1〜M6と、pチャネルのトランジスタM7〜M12と、キャパシタC1、C2と正相出力端子out1、out2とからなる。
【0038】
トランジスタMl〜M6のソースは電源線102に、トランジスタM7〜M12のソースは電源線101に接続されている。トランジスタM7〜M12のゲートには共通のバイアス電圧が印加されていて、トランジスタM7〜M12は電流源として機能している。
【0039】
図10の回路全体としては逆相2入力正相2出力を有する電圧電流変換回路である。機能ごとに分けると、2入力1出力の電圧電流変換回路103と、1入力1出力の電流電圧変換回路104と、1入力1出力の増幅回路105と、1入力2出力の増幅回路と106に分けられる。
【0040】
逆相入力端子in1、in2に入力された2入力信号は2入力1出力の電圧電流変換回路103に入力され、1入力1出力の電流電圧変換回路104、1入力1出力の増幅回路105、1入力2出力の増幅回路と106を順に通過して最終の2出力信号となり、正相出力端子outl、out2から出力される。
【0041】
2入力1出力の電圧電流変換回路103はトランジスタM1、M2、M7、M8から構成される。これら4つのトランジスタのドレイン同士は相互に接続されており、ドレイン同士を接続する線上から後段の回路へ出力する。
【0042】
1入力1出力電流電圧変換回路104はトランジスタM3、M9から構成される。トランジスタM3のゲート、ドレイン、トランジスタM9のドレインは接続されており、この接続線上で前段の回路からの入力を受け、後段の回路へ出力する。
【0043】
1入力1出力増幅回路105はトランジスタM4、M10から構成される。トランジスタM4のゲートに前段の回路からの信号が入力される。トランジスタM4、M10はドレイン間は接続されていて、この接続線上から後段の回路へ出力する。
【0044】
前記1入力2出力増幅回路106はトランジスタM5、M6、M11、M12、キャパシタC1、C2から構成される。トランジスタM5とM6のゲート間は接続されていて、この接続線上に前段の回路からの信号が入力される。トランジスタM5、M11のドレイン間は接続されていて、この接続線上に正相出力端子out1が設けられる。同様にトランジスタM6、M12のドレイン間も接続されていて、この接続線上に正相出力端子out2が設けられる。また、トランジスタM5、M6のゲート・ドレイン間は位相補償のためのキャパシタC1、C2を介して接続されている。
【0045】
図1の回路で用いられている電圧電流変換回路Gm1、Gm2は、図10のトランジスタM7〜M12が定電流源として構成されていて、図10のトランジスタM7〜M12のゲート電圧Vbiasは一定の電位線から供給されているものであるが、この構成の回路に限らず、図10の回路に加えてバイアス回路と正相入力端子in3、in4を有し、この正相入力端子in3、in4は外部から入力を受け、この正相入力端子in3、in4からの入力によってVbiasを供給するバイアス回路を制御する構成のものを用いても構わない。この場合は図1の電圧電流変換回路として、2段増幅の逆相2入力正相2入力正相2出力の電圧電流変換回路を用いたことになる。
【0046】
図10の電圧電流変換回路は、電源線101、102の間に縦積みにされるトランジスタの段数が2段までであるソース接地増幅回路の構成になっているので、従来よりも出力信号振幅の限界が高いとともに、2段アンプの構成になっているので電圧電流変換回路のトランスコンダクタンスを大きくすることができるという特徴がある。
【0047】
図10の電圧電流変換回路において、各トランジスタの飽和電圧をVsat、スレッショルド電圧をVtとすると、出力信号振幅の限界Vmaxは動作電圧VddよりトランジスタM8、M12のドレイン・ソース間電圧分およびVssを差し引いた値になるから、Vmax=Vdd-Vsat-Vsat-Vss=Vdd-2sat-Vssとなる。
【0048】
例えば、各トランジスタの飽和電圧Vsatが0.2V、スレッショルド電圧Vtが0.5V、電源電圧Vddが1.0V、Vssが0V(接地)とするとVmax=0.6Vとなり、従来の差動対とCMFB回路を組み合わせた平衡型増幅器に比べて出力信号振幅の限界が向上しており、従来より低電圧でも十分な性能を発揮できると期待される。
【0049】
(第2の実施形態)
図2に本発明の平衡型増幅器の第2の実施形態のブロック図を示す。この平衡型増幅器は、逆相入力端子in1、in2と、正相出力端子out1、out2の4端子を各々有する電圧電流変換回路Gm1、Gm2と、前記電圧電流変換回路Gm1の逆相入力端子in1と正相出力端子out1の間に並列に接続されたインピーダンス素子21aと、前記電圧電流変換回路Gm2の逆相入力端子in1と正相出力端子out1の間に並列に接続されたインピーダンス素子21bとからなる電圧入力電圧出力の平衡型増幅器である。電圧電流変換回路Gml、Gm2の各々の逆相入力端子in2及び正相出力端子out2の4端子は互いに接続されている。
【0050】
次に本実施形態の平衡型増幅器の動作を説明する。説明を簡単にするため、電圧電流変換回路Gm1、Gm2各々の正相出力端子out1、out2からの出力電流は常に等しいものとする。
【0051】
電圧電流変換回路Gm1への入力電圧をV1、電圧電流変換回路Gm2への入力電圧をV2とし、入力電圧の差動成分を2Vin、同相成分をVcm、電圧電流変換回路Gm1、Gm2のトランスコンダクタンスをGm、インピーダンス素子21a、21bのインピーダンスを両方共にZ1、電圧電流変換回路Gm1の正相出力端子out1の出力電圧をV3、電圧電流変換回路Gm2の正相出力端子out1からの出力電圧をV4、電圧電流変換回路Gm1のout1、out2からの出力電流をI1、電圧電流変換回路Gm2のout1、out2からの出力電流をI2、電圧電流変換回路Gm1、Gm2のout2、in2同士を接続した線の電位をVaとする。
【0052】
電圧電流変換回路Gm1、Gm2は入力電圧を電流に変換したものを出力し、入力電圧と出力電流の関係はn=-Gm(V1+Va)、I2=-Gm(V2+Va)である。ところで、本実施形態の平衡型増幅器は、通常は出力信号をバッファ回路等の入力インピーダンスの高い回路に出力する使い方をするから、通常の使い方をする限り出力電流は全て帰還される。よってV3=V1+I1・Zl、V4=V2+I2・Z1となる。電圧電流変換回路Gm1、Gm2の正相出力端子out2に出力された電流は、いずれの逆相入力端子in2にも流れることができないからI1+I2=0である。V1=Vin+Vcm、V2=-Vin+Vcmであるから、Va、V3、V4を計算すると、Va=-Vcm、V3=Vcm-Vin-Gm・Z1・Vin、そしてV4=Vcm-Vin+Gm・Z1・Vinとなる。
【0053】
ところで、通常は差動電圧利得を大きくする(本実施形態ならばGm・Z1>>1)ので、V3〜Vcm-Gm・Z1・Vin、V4〜Vcm+Gm・Z1・Vinと表せる。すなわち、入力差動電圧はGm・Z1倍され、入力同相電圧はそのまま出力に現れる。同相除去比(Common-Mode Rejection Ratio,以下、CMRR)は、(差動電圧利得)/(同相電圧利得)で定義されるので、本実施形態の回路のCMRRはGm・Z1となり、前述の通りGm・Z1>>1であるから大きなCMRRを得られる。
【0054】
本実施形態では電圧電流変換回路Gm1、Gm2として、例えば前記図8乃至図10の回路を用いることが考えられる。図9の電圧電流変換回路における正相入力端子の扱いは前述の通りで、逆相2入力正相2出力の電圧電流変換回路として利用する。しかし、これに限定されず、本実施形態の電圧電流変換回路Gm1、Gm2として、例えば前述の図9の回路を逆相2入力正相2入力正相2出力の電圧電流変換回路として構成したものを用いても良い。
【0055】
前述の通りこれらの電圧電流変換回路を用いることによって、従来の差動対とCMFB回路を組み合わせた平衡型増幅器に比べて低電圧動作下でも高い出力振幅限界が得られるという利点が生まれる。また、図10の回路は図8、図9の回路よりもトランスコンダクタンスGmを大きくできるので、図8、図9の回路を用いた場合に比べてより一層CMRRを大きくすることができるという利点もある。
【0056】
本実施形態の利点は増幅器の利得に相当する大きさのCMRRを得ることができる点と、従来よりも低い電圧での動作でも高い出力信号振幅限界が得られる点にある。
【0057】
(第3の実施形態)
図3に本発明の平衡型増幅器の第3の実施形態のブロック図を示す。この平衡型増幅器は、逆相入力端子in1、in2と、正相出力端子outl、out2の4端子を各々有する電圧電流変換回路Gm1、Gm2と、前記電圧電流変換回路Gm1の逆相入力端子in1と正相出力端子out1の間に並列に接続されたインピーダンス素子31aと、前記電圧電流変換回路Gm2の逆相入力端子in1と正相出力端子out1の間に並列に接続されたインピーダンス素子31bと、前記電圧電流変換回路Gm1の逆相入力端子in1の間に一端を接続されたインピーダンス素子32aと、前記電圧電流変換回路Gm2の逆相入力端子in1に一端を接続されたインピーダンス素子32bとからなる電圧入力電圧出力の平衡型増幅器である。電圧電流変換回路Gm1、Gm2の各々の逆相入力端子in2及び正相出力端子out2の4端子は互いに接続されている。
【0058】
次に本実施形態の平衡型増幅器の動作を説明する。説明を簡単にするため、電圧電流変換回路Gm1、Gm2各々の正相出力端子out1、out2からの出力電流は常に等しいものとするが、実際には等しくなくても構わない。
【0059】
本実施形態の平衡型増幅器のインピーダンス素子32a側への入力電圧をVl、インピーダンス素子32b側への入力電圧をV2とし、前記入力電圧の差動成分を2Vin、同相成分をVcm、前記電圧電流変換回路Gm1、Gm2のトランスコンダクタンスをGm、前記インピーダンス素子31a、31bのインピーダンスを両方共にZ1、前記インピーダンス素子32a、32bのインピーダンスを両方共にZ2、前記電圧電流変換回路Gm1の正相出力端子outlの出力電圧をV3、前記電圧電流変換回路Gm2の正相出力端子out1からの出力電圧をV4、前記電圧電流変換回路Gmlのout1、out2からの出力電流をI1、前記電圧電流変換回路Gm2のout1、out2からの出力電流をI2、前記電圧電流変換回路Gm1の逆相入力端子in1とインピーダンス素子31a、32aとを接続する線上の電位をVa、前記電圧電流変換回路Gm2の逆相入力端子in1とインピーダンス素子31b、32bとを接続する線上の電位をVb、前記電圧電流変換回路Gm1、Gm2のout2、in2の4端子を互いに接続した線上の電位をVcとする。
【0060】
電圧電流変換回路Gm1、Gm2は入力電圧を電流に変換したものを出力し、入力電圧と出力電流の関係はI1=-Gm(Va+Vc)、 I2=-Gm(Vb+Vc)である。ところで、本実施形態の平衡型増幅器は、通常は出力信号をバッファ回路等の入力インピーダンスの高い回路に出力する使い方をするから、通常の使い方をする限り出力電流は全て帰還される。よってV3=Va+I1・Z1、 V4=Vb+I2・Z1となる。電圧電流変換回路Gm1、Gm2の正相出力端子out2に出力された電流は、いずれの逆相入力端子in2にも流れることができないからn+I2=0である。正相出力端子out1から帰還された電流は逆相入力端子in1には流れ込めない(インピーダンスが非常に高いから)ので、Va=Vl+Il・Z2、Vb=V2+I2・Z2である。さらにV1=Vin+Vcm、V2=-Vin+Vcmであるから、Va、Vb、Vc、V3、V4を計算すると、
【0061】
【数1】

【0062】
である。
【0063】
このときGm・Z1>>1、 Gm・Z2>>1とすれば、微小な項を無視できて
【0064】
【数2】

【0065】
と表すことができるので、入力差動電圧はZ1/Z2倍されるが入力同相電圧はそのまま出力に現れていることが分かる。よって、本実施形態の回路のCMRRはZ1/Z2となり、通常は差動電圧利得を(Zl/Z2)>>1とするように構成するから大きなCMRRを得ることができる。また、差動電圧利得がZ1、Z2の大きさで決まるので、トランスコンダクタンスGmが温度や経時的要因で変動した場合でも差動電圧利得を一定に保つことが可能である。
【0066】
本実施形態の電圧電流変換回路Gm1、Gm2として、例えば前記図8乃至図10の回路を用いることが考えられる。図9の電圧電流変換回路における正相入力端子の扱いは前述の通りで、逆相2入力正相2出力の電圧電流変換回路として利用する。しかし、これに限定されず、本実施形態の電圧電流変換回路Gm1、Gm2として、前述の図9や図10を逆相2入力正相2入力正相2出力の電圧電流変換回路として構成したものを用いても良い。電圧電流変換回路Gm1、Gm2として、これらの回路を用いることで、前述の通り従来の差動対とCMFB回路を組み合わせた平衡型増幅器に比べて出力信号振幅の限界が高くなるという利点がある。
【0067】
本実施形態の利点は増幅器の利得に相当する大きさのCMRRを得ることができる点と、CMRRがインピーダンス素子のインピーダンス値の比という比較的安定した値で決定でき、トランスコンダクタンス値のような変動しやすい値に依存しないので安定するという点と、電圧電流変換回路Gm1、Gm2として図8乃至図10の回路を使用すれば従来より低電圧で動作させても高い出力信号振幅を得ることが可能になる点にある。
【0068】
(第4の実施形態)
図4に本発明の平衡型増幅器の第4の実施形態のブロック図を示す。この平衡型増幅器は、逆相入力端子in1、in2と正相入力端子in3、in4と正相出力端子out1、out2の4端子を各々有する電圧電流変換回路Gm1、Gm2、Gm3と、前記電圧電流変換回路Gm1の逆相入力端子in1と正相出力端子outlの間に並列に接続されたインピーダンス素子41aと、前記電圧電流変換回路Gm2の逆相入力端子in1と正相出力端子out1の間に並列に接続されたインピーダンス素子41bと、前記電圧電流変換回路Gm1の逆相入力端子in1と前記インピーダンス素子41aとの間に一端を接続されたインピーダンス素子42aと、電圧電流変換回路Gm2の逆相入力端子inlと前記インピーダンス素子41bとの間に一端を接続されたインピーダンス素子42bとからなる電圧入力電圧出力の平衡型増幅器である。
【0069】
電圧電流変換回路Gm1、Gm2の正相入力端子in3、in4は共通の電位に接続されている。電圧電流変換回路Gm1、Gm2の各々の逆相入力端子in2及び正相出力端子out2の4端子は互いに接続されている。電圧電流変換回路Gm3の逆相入力端子in1及び正相入力端子out1は電圧電流変換回路Gm1の逆相入力端子inlに接続され、電圧電流変換回路Gm3の逆相入力端子in2及び正相入力端子out2は電圧電流変換回路Gm2の逆相入力端子in1に接続され、電圧電流変換回路Gm3の正相入力端子in3、in4は共通の電位に接続されている。
【0070】
次に本実施形態の平衡型増幅器の動作を説明する。尚、説明を簡単にするため、電圧電流変換回路Gm1の正相出力端子out1、out2からの出力電流は常に等しいものとする。電圧電流変換回路Gm2、Gm3についても同様とするが、電圧電流変換回路Gm1、Gm2については等しくなくてもよい。
【0071】
本発明の平衡型増幅器の前記インピーダンス素子42a側への入力電圧をV1、インピーダンス素子42a側への入力電圧をV2とし、前記入力電圧の差動成分を2Vin、同相成分をVcm前記電圧電流変換回路Gm1、Gm2のトランスコンダクタンスをGma、前記電圧電流変換回路Gm3のトランスコンダクタンスをGmb、前記インピーダンス素子41a、41bのインピーダンスを両方共にZ1、前記インピーダンス素子42a、42bのインピーダンスを両方共にZ2、前記電圧電流変換回路Gm1の正相出力端子out1の出力電圧をV3、前記電圧電流変換回路Gm2の正相出力端子out1からの出力電圧をV4、前記電圧電流変換回路Gm1のout1、out2からの出力電流をI1、前記電圧電流変換回路Gm2のout1、out2からの出力電流をI2、前記電圧電流変換回路Gm3のout1、out2からの出力電流をI3、前記電圧電流変換回路Gm1の逆相入力端子in1の電位をVa、前記電圧電流変換回路Gm2の逆相入力端子in1の電位をVb、前記電圧電流変換回路Gm1および電圧電流変換回路Gm2の各々の逆相入力端子in2の電位をVc、前記電圧電流変換回路Gm1、Gm2の正相入力端子in3、in4に入力される基準電圧をVref1、前記電圧電流変換回路Gm3の正相入力端子in3、in4に入力される基準電圧をVref2とする。
【0072】
電圧電流変換回路Gm1、Gm2、Gm3は入力電圧を電流に変換したものを出力し、入力電圧と出力電圧の関係はI1=Gma(2Vref1-Va-Vc)、I2=Gma(2Vref1-Vb-Vc)、およびI3=Gmb(2Vref2-Va-Vb)である。
【0073】
ところで、本実施形態の平衡型増幅器は、通常は出力信号をバッファ回路等の入力インピーダンスの高い回路に出力するから、通常の使い方をする限り出力電流は全て帰還される。よってV3=Va+I1・Z1、V4=Vb+I2・Z1となる。電圧電流変換回路Gm1、Gm2の正相出力端子out2に出力された電流は、いずれの逆相入力端子in2にも流れることができないからI1+I2=0である。電圧電流変換回路Gm3の逆相入力端子in1、in2のインピーダンスは高いために電流は流れ込めないので、Va=V1+(I1+I3)Z2、Vb=V2+(I2+I3)Z2である。本実施形態の平衡型増幅器の差動入力信号はV1=Vin+Vcm、V2=-Vin+Vcmと表される。
【0074】
以上よりVa、Vb、Vc、V3、V4を計算すると、
【0075】
【数3】

【0076】
である。
【0077】
ここで、Gma・Z1>>1、Gmb・Z1>>1、Gma・Z2>>1、Gmb・Z2>>1として微小な項を無視すれば、
【0078】
【数4】

【0079】
となる。
【0080】
すなわち、差動利得はZ1/Z2倍でインピーダンス素子によって決定されトランスコンダクタンスGmの変動の影響を受けないことと、同相出力電圧は電圧電流変換回路Gm3の正相入力端子in3、in4へ入力される基準電圧Vref2に等しくなるから、電圧電流変換回路Gm3の正相入力端子in3、in4への入力電圧Vrefは同相出力電圧を制御するバイアス電圧となっていることがわかる。例えばVref2を0.7Vとすると出力電圧の同相成分も0.7Vとなる。
ここでVref1=Vref2=VrefとすればVa=Vb=Vc=Vrefとなるから、全ての電圧電流変換回路の入力電圧は等しくなるので、全ての電圧電流変換回路の入力端子in1、in2、in3、in4間を仮想短絡(virtual short)とみなすことができるようになる。これにより、各電圧電流変換回路Gml、Gm2、Gm3は、入力信号を受けるトランジスタを線形入力範囲の狭いもので構成することも可能となる。
【0081】
本実施形態における電圧電流変換回路Gm1、Gm2、Gm3として図9の回路を用いることができる。また、図10の電圧電流変換回路を、正相入力端子in3、in4への入力電圧によってトランジスタM7〜M12へ印加されるバイアス電圧を制御可能な回路を付加した構成にして、本実施形態の電圧電流変換回路Gm1〜Gm3として用いても良い。
【0082】
本実施形態の利点は、差動利得をインピーダンス値の比という比較的安定した値で決定でき、しかも、出力電圧の動作点を外部から正相入力端子に入力した電圧で決定できるという点と、従来に比べて低電圧で動作させても高い出力信号振幅が得られるという点にある。
【0083】
(第5の実施形態)
図5に本発明の平衡型増幅器の第5の実施形態のブロック図を示す。尚、第4の実施形態と共通な部分の説明は省略する。
【0084】
本実施形態の平衡型増幅器は第4の実施形態におけるインピーダンス素子42a、42bの代わりに単相入力単相出力電圧電流変換回路Gm4、Gm5を用いた構成になっている。本実施形態の平衡型増幅器は、逆相入力端子in1、in2と正相入力端子in3、in4と正相出力端子out1、out2の4端子を各々有する電圧電流変換回路Gm1、Gm2、Gm3と、前記電圧電流変換回路Gmlの逆相入力端子in1と正相出力端子outlの間に並列に接続されたインピーダンス素子51aと、前記電圧電流変換回路Gm2の逆相入力端子in1と正相出力端子out1の間に並列に接続されたインピーダンス素子51bと、単相入力単相出力電圧電流変換回路Gm4、Gm5とからなる電圧入力電圧出力の平衡型増幅器である。
【0085】
前記電圧電流変換回路Gm1、Gm2、Gm3の正相入力端子in3、in4は共通の電位に接続されている。前記単相入力単相出力電圧電流変換回路Gm4の出力端子は前記電圧電流変換回路Gmlの逆相入力端子in1に一端を接続され、前記単相入力単相出力電圧電流変換回路Gm5の出力端子は前記電圧電流変換回路Gm2の逆相入力端子in1に一端を接続されている。前記電圧電流変換回路Gm1、Gm2の各々の逆相入力端子in2及び正相出力端子out2の4端子は共通に接続されている。前記電圧電流変換回路Gm3は、逆相入力端子in1と正相入力端子out1は電圧電流変換回路Gm1の逆相入力端子in1に接続され、逆相入力端子in2と正相入力端子out2は電圧電流変換回路Gm2の逆相入力端子in1に接続されている。電圧電流変換回路Gm1、Gm2、Gm3の各々の正相入力端子in3、in4は共通の電位に接続されている。
【0086】
次に本実施形態の平衡型増幅器の動作を説明する。説明を簡単にするため、電圧電流変換回路Gm1、Gm2、Gm3各々の正相出力端子out1、out2からの出力電流は常に等しいものとする。
【0087】
本発明の平衡型増幅器の前記単相入力単相出力電圧電流変換回路Gm4の入力端子への入力電圧をV1、前記単相入力単相出力電圧電流変換回路Gm5の入力端子への入力電圧をV2とし、前記入力電圧の差動成分を2Vin、同相成分をVcm、前記電圧電流変換回路Gm1、Gm2のトランスコンダクタンスをGma、前記電圧電流変換回路Gm3のトランスコンダクタンスをGmb、前記単相入力単相出力電圧電流変換回路Gm4、Gm5のトランスコンダクタンスを両方共にGmc、前記インピーダンス素子51a、51bのインピーダンスを両方共にZ1、前記電圧電流変換回路Gm1の正相出力端子out1の出力電圧をV3、前記電圧電流変換回路Gm2の正相出力端子out1からの出力電圧をV4、前記電圧電流変換回路Gmlのout1、out2からの出力電流をI1、前記電圧電流変換回路Gm2のout1、out2からの出力電流をI2、前記電圧電流変換回路Gm3のout1、out2からの出力電流をI3、前記電圧電流変換回路Gm1の逆相入力端子in1の電位をVa、前記電圧電流変換回路Gm2の逆相入力端子in1の電位をVb、前記電圧電流変換回路Gmlおよび電圧電流変換回路Gm2の各々の逆相入力端子in2の電位をVc、前記電圧電流変換回路Gml、Gm2、Gm3の正相入力端子in3、in4に入力されるバイアス電圧をVrefとする。
【0088】
電圧電流変換回路Gm1、Gm2、Gm3は入力電圧を電流に変換したものを出力し、入力電圧と出力電流の関係はI1=Gma(2Vref-Va-Vc)、I2=Gma(2Vref-Vb-Vc)、 I3=Gmb(2Vref-Va-Vb)である。
【0089】
ところで、本実施形態の平衡型増幅器は、通常は出力信号をバッファ回路等の入力インピーダンスの高い回路に出力する使い方をするから、通常の使い方をする限りは出力電流は全て帰還される。よってV3=Va+I1・Z1、V4=Vb+I2・Z1。電圧電流変換回路Gm1、Gm2の正相出力端子out2に出力された電流は、いずれの逆相入力端子in2にも流れることができないからIl+I2=0である。電圧電流変換回路Gm1、Gm2、Gm3の逆相入力端子in1、in2のインピーダンスは高いために電流は流れ込めないので、I1+I3+Gmc・V1=0、I2+I3+Gmc・V2=0である。本実施形態の平衡型増幅器の差動入力信号はV1=Vin+Vcm、 V2=-Vin+Vcmと表される。
【0090】
以上よりV3、V4を計算すると、
【0091】
【数5】

【0092】
である。このとき、Gma・Z1>>1、Gmb・Z1>>1として微小な項を無視すれば、
【0093】
【数6】

【0094】
となる。これより、CMRRは2Gmb・Z1となり、大きなCMRRを得ることができる。また、本実施例でもVrefは同相出力電圧を制御するバイアス電圧となっていることが分かる。
【0095】
本実施形態の単相入力単相出力電圧電流変換回路Gm4、Gm5としては、例えば図7に示すようなソース接地されたトランジスタ回路を用いることができ、非常に簡単な回路で構成できる。
【0096】
本実施形態における電圧電流変換回路Gm1、Gm2、Gm3としては、例えば図9の回路を用いることができる。また、図10の電圧電流変換回路を、正相入力端子in3、in4への入力電圧によってトランジスタM7〜M12へ印加されるバイアス電圧を制御可能な回路を付加した構成にして、本実施形態の電圧電流変換回路Gm1〜Gm3として用いても良い。
【0097】
本実施形態の利点は、後述するようにこの平衡型増幅器を用いてフィルタを構成した場合にGmcの値を可変することで、例えば入力電圧の同相成分Vcmを変えることで、フィルタの周波数特性を容易に制御できるという点にある。入力電圧の同相成分Vcmを変える方法は、例えば本実施形態の平衡型増幅器の前段にもう1つ本実施形態の平衡型増幅器を接続し、前段の平衡型増幅器に印加するバイアス電圧を変えればよい。そうすれば、前段からの同相出力電圧Vcmも変わるので、後段の平衡型増幅器の同相入力電圧Vcmが変わり、後段の平衡型増幅器のGmcの値が変わる。
【0098】
(第6の実施形態)
図6に本発明の平衡型増幅器の第6の実施形態のブロック図を示す。尚、第5の実施形態と共通な部分の説明は省略する。
【0099】
本実施形態の平衡型増幅器は、第5の実施形態の平衡型増幅器における単相入力単相出力電圧電流変換回路Gm4、Gm5を、各々3つずつに増やして入力を6系統にしたものである。本実施形態の平衡型増幅器は、逆相入力端子inl、in2と正相入力端子in3、in4と正相出力端子out1、out2の4端子を各々有する電圧電流変換回路Gm1、Gm2、Gm3と、前記電圧電流変換回路Gm1の逆相入力端子in1と正相出力端子out1の間に並列に接続されたインピーダンス素子61aと、前記電圧電流変換回路Gm2の逆相入力端子inlと正相出力端子outlの間に並列に接続されたインピーダンス素子61bと、単相入力単相出力電圧電流変換回路Gm4〜Gm9とからなる電圧入力電圧出力の平衡型増幅器である。
【0100】
電圧電流変換回路Gm1、Gm2、Gm3の正相入力端子in3、in4は共通の電位に接続されている。前記単相入力単相出力電圧電流変換回路Gm4、Gm5、Gm6の出力端子は前記電圧電流変換回路Gm1の逆相入力端子in1に接続され、前記単相入力単相出力電圧電流変換回路Gm7、Gm8、Gm9の出力端子は前記電圧電流変換回路Gm2の逆相入力端子in1に接続されている。電圧電流変換回路Gm1、Gm2の各々の逆相入力端子in2及び正相出力端子out2の4端子は共通に接続されている。前記電圧電流変換回路Gm3は、逆相入力端子in1と正相入力端子out1は電圧電流変換回路Gm1の逆相入力端子in1に接続され、逆相入力端子in2と正相入力端子out2は電圧電流変換回路Gm2の逆相入力端子in1に接続されている。電圧電流変換回路Gm1、Gm2、Gm3の各々の正相入力端子in3、in4は共通の電位に接続されている。単相入力単相出力電圧電流変換回路Gm4〜Gm9のトランスコンダクタンスはいずれも等しい。
【0101】
次に、本実施形態の平衡型増幅器の動作を説明する。第5の実施形態の平衡型増幅器の動作と共通な動作の説明は省略する。
【0102】
本実施形態の電圧電流変換回路では、単相入力単相出力電圧電流変換回路Gm4、Gm7の入力電圧Vla、Vlbに第1の差動入力信号を、単相入力単相出力電圧電流変換回路Gm5、Gm8の入力電圧V2a、V2bに第2の差動入力信号を、単相入力単相出力電圧電流変換回路Gm6、Gm9の入力電圧V3a、V3bに第3の差動入力信号をそれぞれ入力する。すなわち、3つの差動入力信号の和をとることが可能であり、この3つの差動入力信号の和を取るという他は第5の実施形態の回路と同様な動作を行い、3つの差動入力信号の和に対応した差動出力信号を出力する。
【0103】
本実施形態では、3つの差動入力信号を受け付けるようにしたが、本実施形態と同様に単相入力単相出力電圧電流変換回路の数を増やすことにより、容易により一層の多入力構成を実現できる。
【0104】
また、ここでは説明を簡単にする為、単相入力単相出力電圧電流変換回路Gm4〜Gm9のトランスコンダクタンスを全て等しいとしたが、応用上はこの限りではない。例えば第1の差動入力信号を入力する単相入力単相出力電圧電流変換回路Gm4、Gm7のトランスコンダクタンスを他に比べて高くすれば、第1の差動入力信号の差動成分に対してのみ他の差動入力信号の差動成分よりも相対的に利得を高くするということが可能である。
【0105】
さらに、本実施形態では電圧電流変換回路Gml、Gm2の各々に接続される単相入力単相出力電圧電流変換回路の個数を等しくしてあるが、必ずしも個数を等しくする必要はない。
【0106】
なお、第4の実施形態のインピーダンス素子42a、42b(図4参照)を用いた構成であったのを第5の実施形態では単相入力単相出力電圧電流変換回路Gm4、Gm5を用いた構成にしたように、本実施形態における単相入力単相出力電圧電流変換回路Gm4〜Gm9の代わりに、インピーダンス素子を用いる構成にしても良い。この場合、前述のトランスコンダクタンスと同様、インピーダンス素子のインピーダンスは等しくなくても良い。
【0107】
本実施形態の利点は、第5の実施形態の利点に加えて、多入力型の平衡型増幅器を提供できる点にある。
【0108】
(第7の実施形態)
図11に本発明の平衡型増幅器をフィルタに応用した実施形態のブロック図を示す。
【0109】
本実施形態のフィルタは5次のリープフロッグフィルタであり、多入力の積分器11〜15から構成される。これら多入力の積分器11〜15は、本発明の第6の実施形態の平衡型増幅器のインピーダンス素子61a、61b(図6参照)をキャパシタを用いる構成にすることで実現可能である。本実施形態のように、多入力の積分器を必要とする場合でも本発明による平衡型増幅器を適用して低電圧で動作し、出力信号振幅の高いフィルタが実現可能である。
【0110】
本実施形態では積分器11〜15に図6の回路を使用しているので、入力信号の同相電圧を変えることで図6の単相入力単相出力電圧電流変換回路のトランスコンダクタGmcの値を変えることができる。また、本実施形態のフィルタ回路の時定数、すなわち周波数特性は、Gmcの値に応じて変化するから、入力信号の同相成分を変えることでフィルタの周波数特性を変えることができる。
【0111】
前述の通り、積分器11〜15に用いられている平衡型増幅器(図6)の出力電圧の同相成分は、電圧電流変換回路Gm1〜Gm3の全ての正相入力端子in3、in4への入力電圧Vrefで決定される(Vrefに略等しくなる)ので、Vrefの値を変えれば出力同相電圧も変わる。積分器11〜15は互いの出力と入力が接続されているので、Vrefを大きくすれば入力同相電圧も大きくなり、Gmcの値が大きくなる。結果として図11のフィルタ回路の時定数も変化する。回路全体でVrefを変えればカットオフ周波数等、周波数特性を変化させることが可能である。
【0112】
本実施形態ではLPF(Low Pass Filter)を想定しているが、本発明の平衡型増幅器を用いたフィルタ回路はこれに限らず、フィルタ回路の構成を変えることでHPF(High Pass Filter)やBPF(Band Pass Filter)を作ることも可能である。
【0113】
本実施形態のフィルタはリープフロッグ構成を採用したが、本発明の平衡型増幅器を用いたフィルタ回路はこれに限らない。また、フィルタの特性に関しても例えば本実施例で用いた積分器の特性を変えることで、バタワース、チェビシェフ、ベッセル等、様々な特性を有する回路を構成することも可能である。
【0114】
(第8の実施形態)
図12は、本発明の第8の実施形態に係る電圧電流変換回路のブロック図である。この電圧電流変換回路は、入力加算段201と、一対の1段目反転増幅段AMP1-1,AMP1-2と、一対の2段目反転増幅段AMP2-1,AMP2-2とにより構成される。入力加算段201の反転入力端子は入力端子in1,in2にそれぞれ接続される。入力加算段201の出力端子は1段目反転増幅段AMP1-1,AMP1-2の反転入力端子に接続される。1段目反転増幅段AMP1-1,AMP1-2の非反転出力端子は内部端子n1-1とnl-2を介して2段目反転増幅段AMP2-1,AMP2-2の反転入力端子にそれぞれ接続される。2段目反転増幅段AMP2-1,AMP2-2の非反転出力端子は出力端子out1,out2にそれぞれ接続される。2段目反転増幅段AMP2-1の反転入力端子と非反転出力端子との間にはキャパシタC1が接続され、同様に2段目反転増幅段AMP2-2の反転入力端子と非反転出力端子との間にはキャパシタC2が接続される。
【0115】
上記構成の電圧電流変換回路において、入力端子inl、in2に入力された信号は入力加算段201により加算・反転され、更に2つの出力端子outl、out2に対して別々に設けられた1段目反転増幅段AMP1-1,AMPl-2及び2段目反転増幅段AMP2-1,AMP2-2により増幅される。
【0116】
本実施形態のように1段目および2段目反転増幅段を出力端子outl、out2に対応してそれぞれ2個設けることによって、内部端子n1-1とnl-2は互いに干渉しなくなる。即ち、1段目反転増幅段AMPl-1と2段目反転増幅段AMP2-1との間の内部端子nl-1は1段目反転増幅段AMPl-2と2段目反転増幅段AMP2-2との間の内部端子nl-2に干渉しない。従って内部端子n1-1での出力変動は内部端子n1-2に影響しない。
【0117】
本実施形態に係る電圧電流変換回路を用いて平衡型増幅器を構成すれば、位相補償容量C2を十分に大きくして同相成分に対する安定性を十分に確保した場合にでも、差動成分に対する影響をなくすことができ、安定な平衡型増幅器を実現できる。
尚、入力加算段201、1段目反転増幅段AMP1-1,AMP1-2および2段目反転増幅段AMP2-1,AMP2-2としては、図10のように、ソース接地で電源線間(電源電圧Vddと電源電圧Vssの間)に直列に接続される2個までのトランジスタにより構成される回路を利用すればよい。
【0118】
図12の電圧電流変換回路と図10の電圧電流変換回路の回路との対応関係を説明する。図12の入力加算段201は図10の電圧電流変換回路103,104に相当し、図12の反転増幅段AMP1-1,AMP1-2は図10の増幅回路105に相当し、図12の反転増幅段AMP2-1,AMP2-2は、nチャネル型のトランジスタM5,M11に相当する。即ち、入力加算段201は図10に示される直列接続された2対のトランジスタM1,M7およびM2,M8並びに一対のトランジスタM3.M9によって構成される。反転増幅段AMP1-1,AMP1-2の各々は図10に示される直列接続された一対のトランジスタM4,M10により構成される。反転増幅段AMP2-1は直列接続された一対のトランジスタM5,M11により構成され、反転増幅段AMP2-2は直列接続された一対のトランジスタM6,M12により構成される。
【0119】
図12に示される電圧電流変換回路は図1に示される平衡型増幅器に適用できる。即ち、この電流電圧変換回路は図1に示される電圧電流変換回路Gm1、Gm2に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0120】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る平衡型増幅器のブロック図。
【図2】本発明の第2の実施形態に係る平衡型増幅器のブロック図。
【図3】本発明の第3の実施形態に係る平衡型増幅器のブロック図。
【図4】本発明の第4の実施形態に係る平衡型増幅器のブロック図。
【図5】本発明の第5の実施形態に係る平衡型増幅器のブロック図。
【図6】本発明の第6の実施形態に係る平衡型増幅器のブロック図。
【図7】図5中の単相入力単相出力電圧電流変換回路の一例を示す回路図。
【図8】図1乃至図6中の電圧電流変換回路Gm1〜Gm3にソース接地の1段増幅器を使用した場合の、電圧電流変換回路の具体的構成の一例を示す回路図。
【図9】図1乃至図6中の電圧電流変換回路Gm1〜Gm3にソース接地の1段増幅器を使用した場合の、電圧電流変換回路の具体的構成の一例を示す回路図。
【図10】図1乃至図6中の電圧電流変換回路Gm1〜Gm3にソース接地の2段増幅器を使用した場合の、電圧電流変換回路の具体的構成の一例を示す回路図。
【図11】本発明の第7の実施形態であり、本発明に係る平衡型増幅器を適用した5次のリープフロッグフィルタのブロック図。
【図12】本発明の第8の実施形態に係る平衡型増幅器のブロック図。
【図13】従来の差動対とCMFB回路を組み合わせた平衡型増幅器の一例を示す回路図。
【符号の説明】
【0121】
Gm1、Gm2…2つの逆相入力端子と2つの正相出力端子を持つ電圧電流変換回路、in1、in2…電圧電流変換回路の逆相入力端子、out1、out2…電圧電流変換回路の正相出力端子、V1、V2…差動入力信号(電圧)、I1、I2…差動出力信号(電流)、21a、21b…インピーダンス素子、31a、31b、32a、32b…インピーダンス素子、41a、41b、42a、42b…インピーダンス素子、51a、51b…インピーダンス素子、61a、61b…インピーダンス素子、81…電位Vddの電源線、82…電位Vssの電源線、91…電位Vddの電源線、92…電位Vssの電源線、101…電位Vddの電源線、102…電位Vssの電源線、103…2入力1出力電圧電流変換回路、104…1入力1出力電流電圧変換回路、105…1入力1出力増幅回路、106…1入力2出力増幅回路、121…CMFB回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の入力端子と、第2の入力端子と、第1の出力端子と、第2の出力端子と、前記第1および第2の入力端子にそれぞれ与えられた電圧信号を加算して出力する入力加算手段と、前記第1及び第2の出力端子にそれぞれ対応して設けられ、前記入力加算手段の出力を反転増幅し、第1及び第2の反転増幅出力を生成する第1及び第2の反転増幅手段と、前記第1及び第2の出力端子にそれぞれ対応して設けられ、前記第1及び第2の反転増幅手段の前記第1及び第2の反転増幅出力をそれぞれ反転増幅して第1及び第2の電流信号を生成し、これら第1及び第2電流信号を前記第1及び第2の出力端子へそれぞれ出力する第3及び第4の反転増幅手段と、前記第3の反転増幅手段の入力端と出力端の間に設けられた第1の容量素子と、前記第4の反転増幅手段の入力端と出力端の間に設けられた第2の容量素子とを備える電圧電流変換回路。
【請求項2】
前記加算手段、前記第1の反転増幅手段、前記第2の反転増幅手段、前記第3の反転増幅手段及び前記第4の反転増幅手段の各々は、第1の電源と第2の電源の間に直列に接続される2つのトランジスタにより構成されることを特徴とする請求項1記載の電圧電流変換回路。
【請求項3】
各々が請求項1又は2記載の電圧電流変換回路により構成される第1および第2電圧電流変換回路により構成され、前記第1電圧電流変換回路の第2の入力端子及び第2の出力端子と、前記第2電圧電流変換回路の第2の入力端子及び第2の出力端子との計4つの端子が共通接続され、差動入力信号を前記第1電圧電流変換回路の第1の入力端子と前記第2電圧電流変換回路の第1の入力端子から入力し、差動出力信号を前記第1電圧電流変換回路の第1の出力端子と前記第2電圧電流変換回路の第1の出力端子から出力することを特徴とする平衡型増幅器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−333515(P2006−333515A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−217105(P2006−217105)
【出願日】平成18年8月9日(2006.8.9)
【分割の表示】特願2002−303140(P2002−303140)の分割
【原出願日】平成14年10月17日(2002.10.17)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】