説明

電子内視鏡システム

【課題】電子スコープと被観察体上の計測点との位置関係に基づいて、画像上計測点の色に関する情報を表示する電子内視鏡システムを提供する。
【解決手段】電子内視鏡システムは、被観察体を撮像する撮像素子を有する電子スコープを備える。電子スコープにより取得される画像データに画像処理を施す画像処理装置を備える。画像処理が施された画像データに基づく画像を表示する表示手段を備える。画像処理装置は、被観察体上の計測点と電子スコープとの位置関係に基づいて、計測点の色を正確に撮像することが出来るか否かを判断し、計測点の色を正確に撮像することが出来る場合に、計測点に対応する画像上の計測点の色に関する情報を表示手段に表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子内視鏡システムに関し、特に画像上計測点の色に関する情報を表示する電子内視鏡システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、撮像素子が搭載された電子スコープを備えた電子内視鏡システムが提案されている。内視鏡観察において、病変部の色確認(色の変化によって病変部分と健常部分との区別を行う)は、表示手段に表示される画像の色を目測することにより行われていた。しかし、病変部分の色と健常部分の色の差異が小さい場合(例えば赤色とピンク色など)、目測による判断は困難である。
【0003】
特許文献1は、画像上計測点(画像上の特定位置)の色に関する情報としてRGB値を表示する計測装置を開示する。これを電子内視鏡システムに使用すると、画像上計測点のRGB値を表示させることが可能になる。
【特許文献1】特開2003−316846号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、電子スコープと被観察体上の計測点との位置関係によっては、表示手段に表示される画像上計測点の色が、被観察体上の計測点の色を正確に撮像出来ない場合が起こり得る。
【0005】
したがって本発明の目的は、電子スコープと被観察体上の計測点との位置関係に基づいて、画像上計測点の色に関する情報を表示する電子内視鏡システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る電子内視鏡システムは、被観察体を撮像する撮像素子を有する電子スコープと、電子スコープにより取得される画像データに画像処理を施す画像処理装置と、画像処理が施された画像データに基づく画像を表示する表示手段とを備え、画像処理装置は、被観察体上の計測点と電子スコープとの位置関係に基づいて、計測点の色を正確に撮像することが出来るか否かを判断し、計測点の色を正確に撮像することが出来る場合に、計測点に対応する画像上の計測点の色に関する情報を表示手段に表示させる。
【0007】
好ましくは、被観察体上の計測点と電子スコープとの位置関係は、被観察体上の計測点と電子スコープとの距離と角度に関する情報である。
【0008】
さらに好ましくは、電子スコープは、撮像素子を2つ有し、画像処理装置は、2つの撮像素子を使ってステレオ画像処理を行い、被観察体上の計測点と電子スコープとの距離と角度を算出し、距離、及び前記角度が一定範囲内にあるか否かに基づいて、計測点の色を正確に撮像することが出来るか否かを判断する。
【0009】
また、好ましくは、電子スコープ、または画像処理装置、または表示手段は、計測点設定部を有し、計測点設定部を使って、被観察体上の計測点が設定される。
【0010】
また、好ましくは、被観察体上の計測点と電子スコープとの位置関係は、被観察体上の計測点と電子スコープとの距離に関する情報である。
【0011】
さらに好ましくは、電子スコープは、被観察体上の計測点と電子スコープとの距離に関する情報を取得する計測部を有し、画像処理装置は、計測部からの情報に基づいて、被観察体上の計測点と電子スコープとの距離を算出し、距離が一定範囲内にあるか否かに基づいて、計測点の色を正確に撮像することが出来るか否かを判断する。
【0012】
さらに好ましくは、計測部は、超音波距離センサである。
【0013】
また、好ましくは、画像処理装置は、計測点の色を正確に撮像することが出来るか否かに基づいて、画像上計測点を含む一定領域を、表示手段に、表示パターンを変えて表示させる。
【発明の効果】
【0014】
以上のように本発明によれば、電子スコープと被観察体上の計測点との位置関係に基づいて、画像上計測点の色に関する情報を表示する電子内視鏡システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、第1実施形態における電子内視鏡システムの構成について、図を用いて説明する。第1実施形態に係る電子内視鏡システム1は、電子スコープ10、画像処理プロセッサ20、及びモニタ30を備える(図1参照)。
【0016】
なお、方向を説明するために、撮像部11の対物光学系(不図示)の光軸方向に垂直な方向を第1方向x、第1方向x及び光軸に垂直な方向を第2方向y、光軸に平行な方向を第3方向zと定義する。
【0017】
電子スコープ10は、施術者が手で保持しながら各種操作を行う操作部にある計測点設定部15と、患者の体内に挿入される可撓管である挿入部に撮像部11と、画像処理プロセッサ(画像処理装置)20に接続される接続部に信号処理部13とを有する。
【0018】
撮像部11は、ステレオ画像処理を行うために2つの撮像素子(第1、第2撮像素子11L、11R)を有する。第1、第2撮像素子11L、11Rは、第1方向xに並べて配置される。すなわち、第1、第2撮像素子11L、11Rの第2方向yの座標位置は同じに設定される。ステレオ画像処理では、被観察体上の計測点Pと電子スコープ10との位置関係に関する情報として、電子スコープ10(の先端部分)と被観察体上の計測点Pとの距離や角度が求められる。
【0019】
画像処理プロセッサ20は、画像処理部21と、制御部23とを有する。画像処理プロセッサ20では電子スコープ10により取得された画像に対し、所定の画像処理が施される。画像処理においては、モニタ30で表示可能な画像を生成するのに加えて、被観察体上の計測点Pと電子スコープ10との距離等の計測、及び計測点Pに対応する画像上計測点PPのRGB値を算出する。
【0020】
画像処理プロセッサ20には、モニタ30が接続される。モニタ30は、画像処理プロセッサ20で画像処理された、所定のアナログビデオ信号の規格に準拠した画像を表示する表示手段である。モニタ30では、被観察体の画像の表示に加えて、被観察体上の計測点Pに対応する画像上計測点PP、画像上計測点PPを囲む領域33、及び画像上計測点PPにおけるRGB値が表示される(図4参照)。画像処理プロセッサ20には、モニタ30の他に、画像処理プロセッサ20で画像処理された画像データ等を記録する外部記憶装置や、画像を出力(プリントアウト)するプリンタなどが接続されてもよい。
【0021】
信号処理部13は、第1、第2撮像素子11L、11Rから出力されたアナログ画像信号をA/D変換する等の前段の画像信号処理を行う回路である。
【0022】
計測点設定部15は、被観察体上の計測点Pを特定するために、モニタ30に表示された画像上のカーソルを移動させて計測点Pに対応する画像上計測点PPを設定する操作キーである。但し、後述する第2実施形態のように、画像上計測点PPを、画像上の中心位置などに固定する場合には、このような計測点設定部15は不要である。
【0023】
電子スコープ10には、照明光導光用の多数の光ファイバから成るライトガイド(不図示)が挿通されており、ライトガイドは、電子スコープ10の挿入部の先端まで延びており、画像処理プロセッサ20等にある光源装置(不図示)からの光が被観察体に照明光として照射される。
【0024】
被観察体からの反射光は対物光学系(不図示)を介して第1、第2撮像素子11L、11Rに入射し、第1、第2撮像素子11L、11Rの入射面に被観察体の光学像が結像される。第1、第2撮像素子11L、11Rでは入射した被観察体の光学像が光電変換され、該光学像に基づいたアナログ画像信号が出力される。
【0025】
第1、第2撮像素子11L、11Rから出力されたアナログ画像信号は接続部の信号処理部13でA/D変換等の前段の画像信号処理が施され、画像処理プロセッサ20の画像処理部21に入力される。画像処理部21ではデジタル画像信号に増幅処理、ガンマ補正、輪郭強調等の後段の画像信号処理が施され、画像処理部21に設けられた画像メモリ(不図示)に画像データとして格納される。
【0026】
画像処理部21における画像処理においては、モニタ30で表示可能な画像を生成するのに加えて、ステレオ画像処理を行って、画像上計測点PPに対応する被観察体上の計測点Pと電子スコープ10との距離等の算出を行い、また、通常の画像処理の過程で求められる画像上計測点PPのRGB値を算出する。
【0027】
ステレオ画像処理では、第1、第2撮像素子11L、11Rの距離B、被観察体上の計測点Pの第1撮像素子11Lにおける第1投影点の第1方向xの座標L、第2撮像素子11Rにおける第2投影点の第1方向xの座標R、対物光学系の焦点距離fに基づいて、計測点Pの第1方向xの座標P、第3方向zの座標P、第1投影点と計測点Pとを結ぶ線と第1方向xとのなす第1角度θ、第2投影点と計測点Pとを結ぶ線と第1方向xとのなす第2角度θが算出される(P=L×B÷{L−(R―B)}、P=f×B÷{L−(R―B)}、θ=Tan−1(P÷P)、θ=Tan―1{P÷(B−P)}、図2、図3参照)。これらの算出された値から、電子スコープ10(の先端部分)と被観察体上の計測点Pとの距離や角度が求められる。
【0028】
被観察体上の計測点Pの第1撮像素子11Lにおける第1投影点の第1方向xの座標Lは、モニタ30に第1撮像素子11Lで撮像された画像信号に基づく画像を表示させた状態で、計測点設定部15を使って手動で被観察体上の計測点Pに対応する画像上計測点PPを特定することにより求められる。被観察体上の計測点Pの第2撮像素子11Rにおける第1投影点の第1方向xの座標Rは、モニタ30に第2撮像素子11Rで撮像された画像信号に基づく画像を表示させた状態で、計測点設定部15を使って手動で被観察体上の計測点Pに対応する画像上計測点PPを特定することにより求められる。但し、いずれか一方の撮像素子11Lまたは11Rで撮像された画像信号に基づく画像上で、画像上計測点PPを特定することにより、特定された画像上計測点PPの周りの画像の特徴に基づいて、他方の撮像素子で撮像された画像信号に基づく画像上の画像上計測点PPを自動的に特定(算出)してもよい。
【0029】
画像処理プロセッサ20の制御部23は、電子内視鏡システム1全体を制御するマイクロプロセッサ等であり、特に、計測点設定部15によって設定された画像上計測点PPに対応する被観察体上の計測点Pと電子スコープ10との距離(例えば、計測点Pの第3方向zの座標P)や、角度(第1角度θ、第2角度θ)が一定範囲内(例えば、θ<90度、θ<90度)にあるか否かを判断し、一定範囲内にある場合に、画像上計測点PPのRGB値をモニタ30に表示させる。電子スコープ10との距離や、角度が一定範囲外の場合には、照射される光量が多すぎたり少なすぎたりするため、計測点Pの色を正確に撮像することが出来ない(信憑性のあるRGB値を得ることが出来ない)からである。
【0030】
RGB値測定可能な範囲(計測点Pと電子スコープ10との距離や角度の一定範囲)の値は、実験などにより求められる。
【0031】
なお、ハレーション(白とび現象)が生じると計測点の色を正確に撮像することが出来ないため、絞り(不図示)やライトガイドの出射端にある配光レンズ(不図示)を調整して、ハレーションが生じにくい環境を用意するのが望ましい。
【0032】
画像処理部21に設けられた画像メモリ内の画像データは、適時読み出されて所定のビデオ信号の仕様に準拠したビデオ信号処理が施され、モニタ30へ出力される。その結果、モニタ30に被観察体像が表示される。
【0033】
モニタ30で表示可能な画像は、第1、第2撮像素子11L、11Rのいずれかで撮像された画像信号に基づく画像であってもよいし、これらの画像を組み合わせたステレオ画像であってもよい。
【0034】
被観察体像がモニタ30に表示される際、計測点Pと電子スコープ10との距離(例えば、計測点Pの第3方向zの座標P)や、角度(第1角度θ、第2角度θ)が一定範囲内にある場合には、画像上計測点PPのRGB値がモニタ30に表示される(図4参照)。また、この場合に画像上計測点PPを囲む領域33を実線で表示(強調表示)することで、計測点Pと電子スコープ10との距離や、角度が一定範囲外にある場合であって画像上計測点PPのRGB値を表示しない場合(図5参照)の画像上計測点PPを囲む領域33の点線表示(または非表示)と区別するのが望ましい。これにより、使用者は、被観察体上の計測点Pにおける色を正確に撮像できる状態にあるか否かを簡単に視認することが可能になる。
【0035】
内視鏡観察において、病変部の色確認(色の変化によって病変部分と健常部分との区別を行う)は、モニタ30に表示される画像の色を目測することにより行われていた。しかし、病変部分の色と健常部分の色の差異が小さい場合(例えば赤色とピンク色など)、目測による判断は困難である。
【0036】
特に、電子スコープと被観察体上の計測点Pとの位置関係(距離や角度)が異なると、照射されたライトガイドからの光の反射率が異なるため、モニタ30に表示される画像上の色が同じ測定点Pであっても一定しないため、判断は難しい。
【0037】
第1実施形態では、被観察体の計測点Pに対応する画像上計測点PPのRGB値をモニタ30に画像とともに表示することにより、客観的な数値で病変部の色確認を行うことが可能になる。
【0038】
また、被観察体の計測点Pと電子スコープ10との位置関係に基づいて、計測点PのRGB値が、色の確認に適した状態であるか否かを判断した上で、RGB値を表示するため、正確な色確認を行うことが可能になる。また、計測点Pに対応する画像上計測点PPを囲む領域33をモニタ30に表示することにより、色確認を行いたい箇所を図示することが可能になる。
【0039】
次に、モニタ30にRGB値を表示する流れを図6のフローチャートを用いて説明する。電子内視鏡システム1の電源がオン状態にされると、ステップS11で、装置各部の初期化が行われ、動作可能な状態にされる。ステップS12で、電子スコープ10を患者の体内に挿入し撮像動作が開始される。撮像により得られた画像はモニタ30に表示され、使用者はモニタ30に表示された画像を見ながら、計測点設定部15を操作して画像上計測点PPを設定する。
【0040】
画像上計測点PPが設定されると、ステップS13で、画像上計測点PPに対応する被観察体上の計測点Pと電子スコープ10との距離(計測点Pの第3方向zの座標P)が一定範囲内にあるか否かが判断される。一定範囲内にある場合は、ステップS14に進められ、一定範囲内に無い場合(一定範囲外である場合)は、ステップS17に進められる。
【0041】
ステップS14で、画像上計測点PPに対応する被観察体上の計測点Pと電子スコープ10との角度(第1角度θ、第2角度θ)が一定範囲内にあるか否かが判断される。一定範囲内にある場合は、ステップS15に進められ、一定範囲内に無い場合(一定範囲外である場合)は、ステップS17に進められる。
【0042】
ステップS15で、画像上計測点PPを囲む領域33を実線で表示して、モニタ30に表示された被観察体上の計測点Pにおける色を正確に撮像できる状態にあることを図示し、ステップS16で、被観察体上の計測点Pにおける色状態に対応する画像上計測点PPにおけるRGB値をモニタ30に表示し、ステップS11に戻される。
【0043】
ステップS17で、画像上計測点PPを囲む領域33を点線で表示して(または非表示にして)、モニタ30に表示された被観察体上の計測点Pにおける色を正確に撮像できる状態にないことを図示し、被観察体上の計測点Pにおける色状態に対応する画像上計測点PPにおけるRGB値をモニタ30に表示しない状態で、ステップS11に戻される。
【0044】
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態では、撮像素子は1つでステレオ画像処理を行わないで、超音波距離センサを用いて、被観察体上の計測点Pと電子スコープ10との位置関係に関する情報として、被観察体上の計測点Pと電子スコープ10との距離を測定する点で第1実施形態と異なる。以下、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0045】
電子スコープ10は、患者の体内に挿入される可撓管である挿入部に撮像部11及び計測部12と、画像処理プロセッサ(画像処理装置)20に接続される接続部に信号処理部13とを有する。
【0046】
撮像部11は、1つの撮像素子を有する。計測部12は、超音波距離センサで、撮像部11近辺に取り付けられ、被観察体であって超音波が照射される計測部12と第3方向zで対向する部分と電子スコープ10との距離に関する情報を検出する。検出した距離に関する情報は、画像処理プロセッサ20の画像処理部21に送られる。
【0047】
第2実施形態では、第1実施形態における計測点設定部15のような操作キーは設けない。計測部12で計測できる距離は、被観察体における超音波距離センサと第3方向zで対向する部分に限られるからである。従って、画像上計測点PPは、画像上の特定の位置(例えば画像の中心近傍)に固定される。また、画像上計測点PPの画像に対する位置関係が一定なので、被観察体上の計測点Pと電子スコープ10との角度を算出する必要はない。
【0048】
画像処理プロセッサ20は、画像処理部21と、制御部23とを有する。画像処理プロセッサ20では電子スコープ10により取得された画像に対し、所定の画像処理が施される。画像処理においては、モニタ30で表示可能な画像を生成するのに加えて、被観察体上の計測点Pと電子スコープ10との距離の計測、及び計測点Pに対応する画像上計測点PPのRGB値を算出する。
【0049】
画像処理プロセッサ20には、モニタ30が接続される。モニタ30は、画像処理プロセッサ20で画像処理された、所定のアナログビデオ信号の規格に準拠した画像を表示する表示手段である。モニタ30では、被観察体の画像の表示に加えて、被観察体上の計測点Pに対応する画像上計測点PP、画像上計測点PPを囲む領域33、及び画像上計測点PPにおけるRGB値が表示される(図8参照)。画像処理プロセッサ20には、モニタ30の他に、画像処理プロセッサ20で画像処理された画像データ等を記録する外部記憶装置や、画像を出力(プリントアウト)するプリンタなどが接続されてもよい。
【0050】
信号処理部13は、撮像部11から出力されたアナログ画像信号をA/D変換する等の前段の画像信号処理を行う回路である。
【0051】
電子スコープ10には、照明光導光用の多数の光ファイバから成るライトガイド(不図示)が挿通されており、ライトガイドは、電子スコープ10の挿入部の先端まで延びており、画像処理プロセッサ20等にある光源装置(不図示)からの光が被観察体に照明光として照射される。
【0052】
被観察体からの反射光は対物光学系(不図示)を介して撮像部11に入射し、撮像部11の入射面に被観察体の光学像が結像される。撮像部11では入射した被観察体の光学像が光電変換され、該光学像に基づいたアナログ画像信号が出力される。
【0053】
撮像部11から出力されたアナログ画像信号は接続部の信号処理部13でA/D変換等の前段の画像信号処理が施され、画像処理プロセッサ20の画像処理部21に入力される。画像処理部21ではデジタル画像信号に増幅処理、ガンマ補正、輪郭強調等の所定の画像信号処理が施され、画像処理部21に設けられた画像メモリ(不図示)に画像データとして格納される。
【0054】
画像処理部21における画像処理においては、モニタ30で表示可能な画像を生成するのに加えて、計測部12からの距離に関する情報に基づいて、画像上計測点PPに対応する被観察体上の計測点Pと電子スコープ10との距離の算出を行い、また、通常の画像処理の過程で求められる画像上計測点PPのRGB値を算出する。
【0055】
画像処理プロセッサ20の制御部23は、電子内視鏡システム1全体を制御するマイクロプロセッサ等であり、特に、画像上計測点PPに対応する被観察体上の計測点Pと電子スコープ10との距離(例えば、計測点Pの第3方向zの座標P)が一定範囲内にあるか否かを判断し、一定範囲内にある場合に、画像上計測点PPのRGB値をモニタ30に表示させる。電子スコープ10との距離が一定範囲外の場合には、照射される光量が多すぎたり少なすぎたりするため、計測点Pの色を正確に撮像することが出来ない(信憑性のあるRGB値を得ることが出来ない)からである。
【0056】
画像処理部21に設けられた画像メモリ内の画像データは、適時読み出されて所定のビデオ信号の仕様に準拠したビデオ信号処理が施され、モニタ30へ出力される。その結果、モニタ30に被観察体像が表示される。
【0057】
被観察体像がモニタ30に表示される際、計測点Pと電子スコープ10との距離(例えば、計測点Pの第3方向zの座標P)が一定範囲内にある場合には、画像上計測点PPのRGB値がモニタ30に表示される(図8参照)。また、この場合に画像上計測点PPを囲む領域33を実線で表示(強調表示)し、計測点Pと電子スコープ10との距離が一定範囲外にある場合であって画像上計測点PPのRGB値を表示しない場合(図9参照)の画像上計測点PPを囲む領域33の点線表示(または非表示)と区別するのが望ましい。これにより、使用者は、被観察体上の計測点Pにおける色を正確に撮像できる状態にあるか否かを簡単に視認することが可能になる。
【0058】
他の構成については、第1実施形態と同じである。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】第1実施形態における電子内視鏡システムの構成図である。
【図2】第1、第2角度が、共に90度よりも小さい位置関係に被観察体の計測点がある場合の、測定点と、第1、第2撮像素子との位置関係を示す平面図である。
【図3】第1角度が90度よりも小さく、第2角度が90度よりも大きい位置関係に被観察体の計測点がある場合の、測定点と、第1、第2撮像素子との位置関係を示す平面図である。
【図4】第1実施形態における画像と、画像上計測点のRGB値とをモニタに表示する例である。
【図5】第1実施形態における、画像上計測点のRGB値を表示しないで、画像をモニタに表示する例である。
【図6】RGB値をモニタに表示する流れを示すフローチャートである。
【図7】第2実施形態における電子内視鏡システムの構成図である。
【図8】第2実施形態における画像と、画像上計測点のRGB値とをモニタに表示する例である。
【図9】第2実施形態における、画像上計測点のRGB値を表示しないで、画像をモニタに表示する例である。
【符号の説明】
【0060】
1 電子内視鏡システム
10 電子スコープ
11 撮像部
11L、11R 第1、第2撮像素子
12 計測部
13 信号処理部
15 計測点設定部
20 画像処理プロセッサ
21 画像処理部
23 制御部
30 モニタ
33 画像上計測点を囲む領域
B 第1、第2撮像素子の距離
f 対物光学系の焦点距離
被観察体上の計測点の第1撮像素子における第1投影点の第1方向の座標
P 被観察体上の計測点
PP 画像上計測点
被観察体上の計測点Pの第1方向の座標
被観察体上の計測点Pの第3方向の座標
被観察体上の計測点の第2撮像素子における第2投影点の第1方向の座標
θ、θ 第1、第2角度


【特許請求の範囲】
【請求項1】
被観察体を撮像する撮像素子を有する電子スコープと、
前記電子スコープにより取得される画像データに画像処理を施す画像処理装置と、
前記画像処理が施された画像データに基づく画像を表示する表示手段とを備え、
前記画像処理装置は、前記被観察体上の計測点と前記電子スコープとの位置関係に基づいて、前記計測点の色を正確に撮像することが出来るか否かを判断し、前記計測点の色を正確に撮像することが出来る場合に、前記計測点に対応する前記画像上の計測点の色に関する情報を前記表示手段に表示させることを特徴とする電子内視鏡システム。
【請求項2】
前記被観察体上の計測点と前記電子スコープとの位置関係は、前記被観察体上の計測点と前記電子スコープとの距離と角度に関する情報であることを特徴とする請求項1に記載の電子内視鏡システム。
【請求項3】
前記電子スコープは、前記撮像素子を2つ有し、
前記画像処理装置は、前記2つの撮像素子を使ってステレオ画像処理を行い、前記被観察体上の計測点と前記電子スコープとの距離と角度を算出し、前記距離、及び前記角度が一定範囲内にあるか否かに基づいて、前記計測点の色を正確に撮像することが出来るか否かを判断することを特徴とする請求項2に記載の電子内視鏡システム。
【請求項4】
前記電子スコープ、または前記画像処理装置、または前記表示手段は、計測点設定部を有し、
前記計測点設定部を使って、前記被観察体上の計測点が設定されることを特徴とする請求項1に記載の電子内視鏡システム。
【請求項5】
前記被観察体上の計測点と前記電子スコープとの位置関係は、前記被観察体上の計測点と前記電子スコープとの距離に関する情報であることを特徴とする請求項1に記載の電子内視鏡システム。
【請求項6】
前記電子スコープは、前記被観察体上の計測点と前記電子スコープとの距離に関する情報を取得する計測部を有し、
前記画像処理装置は、前記計測部からの情報に基づいて、前記被観察体上の計測点と前記電子スコープとの距離を算出し、前記距離が一定範囲内にあるか否かに基づいて、前記計測点の色を正確に撮像することが出来るか否かを判断することを特徴とする請求項5に記載の電子内視鏡システム。
【請求項7】
前記計測部は、超音波距離センサであることを特徴とする請求項6に記載の電子内視鏡システム。
【請求項8】
前記画像処理装置は、前記計測点の色を正確に撮像することが出来るか否かに基づいて、前記画像上計測点を含む一定領域を、表示パターンを変えて、前記表示手段に表示させることを特徴とする請求項1に記載の電子内視鏡システム。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−229219(P2008−229219A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−76240(P2007−76240)
【出願日】平成19年3月23日(2007.3.23)
【出願人】(000113263)HOYA株式会社 (3,820)
【Fターム(参考)】