説明

電子写真用エンドレスベルト、電子写真装置、電子写真用エンドレスベルトの製造方法

【課題】安価で紙等の転写材の巻き付きが発生せず、紙分離が容易で、画像不良、紙詰まりが発生しない、高品質の電子写真用エンドレスベルト、および該電子写真用エンドレスベルトの製造方法の提供。
【解決手段】エンドレスベルトの軸方向中央部60%の領域の抵抗の平均値をRc(Ω)としたとき、エンドレスベルトの少なくとも一方の端部領域において、1/10×Rc≦Re≦1/2×Rcを満たす抵抗Reを有する領域を、エンドレスベルト端部からエンドレスベルトの幅の0.5〜10.0(%)の幅で存在させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中間転写ベルトや転写搬送ベルトなどの電子写真用エンドレスベルト、電子写真用エンドレスベルトの製造方法、および、電子写真用エンドレスベルトを有する電子写真装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
カラー電子写真装置(複写機、レーザービームプリンター等)の実用化が進み、転写搬送ベルトや中間転写ベルトなどの電子写真用エンドレスベルトの需要が増加している。
【0003】
転写搬送ベルトを用いた画像形成の方式としては、直列に配置された画像形成に必要な各色用の画像形成部(電子写真感光体・一次帯電手段・露光手段・現像手段・転写手段などを有する)において各色のトナー像をそれぞれ形成し、これらを転写搬送ベルト上に静電吸着された転写材(例えば、紙)上に各画像形成部において順次転写し、その後定着を行うことでカラー画像を形成する方式などがよく知られている。
【0004】
また、中間転写ベルトを用いた画像形成の方式としては、1つの電子写真感光体で一次帯電・露光・現像を1色ずつ順次行い、各色のトナー像を中間転写ベルト上に順次転写(一次転写)した後、これを転写材上に一括して転写(二次転写)し、その後定着を行うことでカラー画像を形成する中間転写方式や、直列に配置された各色用の画像形成部(電子写真感光体・一次帯電手段・露光手段・現像手段・転写手段などを有する)において各色のトナー像をそれぞれ形成し、これらを中間転写ベルトに一次転写した後、これを転写材上に一括して二次転写し、その後定着を行うことで画像を形成する中間転写方式などがよく知られている。
【0005】
ところが、エンドレスベルトを転写搬送ベルトとして使用した場合において、低温低湿で薄い転写材を用いた際に、転写材分離時に転写材先端の分離不良により画像不良の発生や転写材の巻き付きによる紙詰まりが発生するという問題があった。また、定着工程に入った転写材先端が転写搬送ベルトに吸着されている後端に引張られ、横スジ等の画像不良が発生するという問題があった。
【0006】
また、中間転写ベルトとして使用した場合においても、低温低湿で薄い転写材を用いた際に、二次転写部において、転写材の巻きつきが生じ、横スジ等の画像不良の発生や、転写搬送ベルトの場合と同様、紙詰まりが発生するという問題があった。
【0007】
これらのような問題に対しては、分離ガイド等の分離手段を設ける方法が提案されている(例えば特許文献1、2参照)。しかし、これらの方法では、装置の大型化や、コストの上昇を招く結果となっており、電子写真装置の省スペース化、低コスト化に対しての障害となっていた。また、転写搬送ベルトの体積抵抗率と、転写搬送ベルトを張架しているローラーの転写材搬送方向における下流側のローラー部材の直径とを選択・設定することにより転写材分離を容易にする方法が提案されている(例えば特許文献3参照)。しかし、この方法においても低温低湿下で薄い転写材を使用した場合の分離性能が不十分であった。また、これらの問題は電子写真装置の高速化や、適用紙種の拡大などといった高機能化によってより顕著になり、更なる高速化、高機能化、高画質化の為には、早期解決が望まれていた。
【0008】
【特許文献1】特開平6−180538
【特許文献2】特開平10−91005
【特許文献3】特開平5−142915
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このように、画像形成装置の高速化、高画質化に伴い、ベルト状転写部材として必要な要求の全てを満足できるような電子写真用エンドレスベルトが望まれている。
そこで、本発明の目的は、紙等の転写材の巻き付きが発生せず、紙分離が容易で、画像不良、紙詰まりが発生しない、高機能、高品質の電子写真用エンドレスベルト、該電子写真用エンドレスベルトを用いた画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者等は、係る目的を達成すべく鋭意検討した結果、電子写真用エンドレスベルトの幅方向に対する端部領域と中央部の領域とに抵抗差を設け、端部領域の抵抗を中央部の領域より小さくすることで上記課題を達成することが出来ることを見出した。
【0011】
より具体的には、電子写真用エンドレスベルトにおいて、エンドレスベルトの軸方向中央部60%の領域の抵抗の平均値をRc(Ω)としたとき、エンドレスベルトの少なくとも一方の端部領域において、下記式(1)を満たすRe(Ω)を有する領域が、エンドレスベルト端部からエンドレスベルトの幅の0.5%以上10.0%以下の幅で存在することにより、紙等の転写材の巻き付きが発生せず、紙分離が容易で、画像不良、紙詰まりが発生しないことを見出し本発明に至った。
1/10×Rc≦Re≦1/2×Rc (1)
【0012】
すなわち、本発明は、電子写真用エンドレスベルトにおいて、エンドレスベルトの軸方向中央部60%の領域の抵抗の平均値をRc(Ω)としたとき、エンドレスベルトの少なくとも一方の端部領域において、式(1):
1/10×Rc≦Re≦1/2×Rc (1)
を満たす抵抗Re(Ω)を有する領域が、エンドレスベルト端部からエンドレスベルトの幅の0.5%以上10.0%以下の幅で存在することを特徴とする電子写真用エンドレスベルトである。
【0013】
また、本発明は、少なくとも熱可塑性樹脂と導電剤を含有するベルト状部材を加熱処理する工程を含み、エンドレスベルトの少なくとも一方の端部領域において、式(1)を満たす領域が、エンドレスベルト端部からエンドレスベルトの幅の0.5以上10.0%以下の幅で存在する領域の加熱処理を、エンドレスベルトの幅方向中央部60%の領域の加熱処理よりも高い温度で行うことを特徴とするエンドレスベルトの製造方法である。
1/10×Rc≦Re≦1/2×Rc (1)
【0014】
また、本発明は、上記電子写真用エンドレスベルトを有する電子写真装置である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、安価で紙等の転写材の巻き付きが発生せず、紙分離が容易で、画像不良、紙詰まりが発生しない、高品質の電子写真用エンドレスベルト、該電子写真用エンドレスベルトの製造方法、該電子写真用エンドレスベルトを有する電子写真装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に、本発明について詳細に説明する。
本発明における電子写真用エンドレスベルトにおいて、エンドレスベルトの軸方向中央部60%の領域の抵抗の平均値をRc(Ω)としたとき、エンドレスベルトの少なくとも一方の端部領域において、下記式(1)を満たす抵抗Re(Ω)を有する領域が、エンドレスベルト端部からエンドレスベルトの幅の0.5〜10.0(%)の幅で存在することを特徴とする電子写真用エンドレスベルトである。
1/10×Rc≦Re≦1/2×Rc (1)
【0017】
上記端部低抵抗領域の幅が10.0%より大きいと、転写時において端部に電流が集中し、転写不良の原因となる。また、0.5%より小さいと、本発明の効果を充分に得られず、紙分離が行われにくくなり、画像不良や紙詰まりの原因となりやすい。
【0018】
また、本発明において、式(1)のとおり上記端部低抵抗領域の抵抗は中央部の抵抗の1/10〜1/2倍である。1/10倍より小さいと、転写時において端部に電流が集中し、転写不良の原因となる。また、1/2倍より大きいと、本発明の効果が充分に得られず、紙分離が行われにくくなり、画像不良や紙詰まりの原因となりやすい。
なお、本発明において電子写真用エンドレスベルトの抵抗測定は次のように行われる。
【0019】
(測定試料準備)
図5に示されるように、蛇行防止部材、位置検知部材等が予め取り除かれた電子写真用エンドレスベルト基材を周方向に均等の幅に切断し、これらすべてを測定試料とする。このとき、試料の切断幅は55mm以上とし、試料が最大限採取できるような幅に切断する。
【0020】
(測定方法)
図6に示されるような抵抗測定装置により測定される。図6において、600は測定試料である。測定試料600は駆動ローラー601により電子写真用エンドレスベルトの軸方向(図5において、例えば片方の端部を端部A、もう一方を端部Bと表した場合のAB方向)に50mm/secで正確に駆動される。駆動ローラー601は電極ローラーも兼ねており、バイアス電源HVが接続され、一定の電流(5μA)が印加されている。このとき、駆動・電極ローラー601にはφ28、幅45mmの金属芯金に厚み1mmのゴム層を設けたものを用い、測定試料600に対して1.96Nの荷重をかけて配備する。ここで、駆動・電極ローラー601のマイクロゴム硬度は50°のものを使用する(マイクロ硬度は、高分子計器(株)製マイクロゴム硬度計(MD−1)を用いて求めた値であり、金属芯金にゴム層を形成した状態で測定した値である)。測定試料600を挟んで対向する位置にはφ30の金属製の対向電極ローラー602が配設されている。駆動及び電極ローラー601と対向電極ローラー602には電位差計が接続されており、電位差計で測定される値をレコーダーにてサンプリングレート200Hzで記録する。
【0021】
上記のように測定された値を電流値(5μA)で除することで抵抗値を算出する。また、駆動速度、サンプリングレート及びサンプリング時間から、測定試料AB方向における端部からの位置(例えば端部Aからの距離)を算出する。これらの値より、測定試料AB方向における端部からの位置とその位置での抵抗値の分布を得る。
【0022】
これらの測定・計算を用意した試料すべてに対して、測定方向を統一して(例えば端部Aから端部Bへ)行い、各測定位置での平均値をとることで、本発明の電子写真用エンドレスベルト軸方向の抵抗分布を得る。この結果より、中央部60%の領域の抵抗の平均値Rcが求められる。また、この結果より、本発明における端部低抵抗領域の幅が求められる。
【0023】
上記の抵抗分布の結果の一例をグラフにすると図7のように表すことが出来る。
【0024】
また、本発明において、中央部領域の抵抗は1.0×10≦Rc≦1.0×10Ωであることが好ましい。1.0×10Ωより小さいと、転写時において端部に電流が集中し、転写不良の原因となりやすい。また、1.0×10Ωより大きいと、端部から充分に放電できなくなり、紙分離が行われにくくなり、画像不良や紙詰まりの原因となりやすい。
【0025】
また、本発明において、上記の低抵抗領域が両端部にあることが好ましい。両端部にあることで、紙分離性が更に向上する。
【0026】
また、本発明において、電子写真用エンドレスベルトは軸方向にわたって同一の組成からなることが好ましい。同一の組成とすることで、ベルト強度の維持したまま、紙分離性能を向上することができる。また、同一の組成とすることで、コストの抑制を行うことが可能となる。
【0027】
また、本発明において、電子写真用エンドレスベルトは単層からなることが好ましい。単層とすることで、コストの抑制を行うことが可能となる。
【0028】
本発明においては、成形の容易性から熱可塑性樹脂を使用することが好ましい。本発明において用いられる熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリブタジエン、ポリイソブチレン、ポリアミド(PA)、ポリアセタール(POM)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリアリレート、ポリカーボネート(PC)、ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、エチレン−テトラフロロエチレン共重合体(ETFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、ポリフッ化ビニル、アクリル、アクリル酸アルキルエステル共重合体、ポリエーテルエステル共重合体、ポリエーテルアミド共重合体及びポリウレタン共重合体等が挙げられ、これらの中から選ばれる1種類あるいは2種類以上を組み合わせて使用することが出来る。ただし、その他公知の熱可塑性樹脂を使用することができ、上記の材料に限定されるものではない。
【0029】
上記の熱可塑性樹脂の中でも本発明においては結晶性の熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。本発明において用いられる結晶性の熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリポプロピレン、ポリアミド、ポリアセタール、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフッ化ビニリデン等が挙げられ、これらの中から選ばれる1種類あるいは2種類以上を組み合わせて使用することが出来る。ただし、その他公知の結晶性の熱可塑性樹脂を使用することができ、上記の材料に限定されるものではない。
また、上記の結晶性の熱可塑性樹脂の中でも本発明においてはポリフッ化ビニリデンを用いることがより好ましい。
【0030】
本発明に用いる導電剤としては、電子導電性導電剤、イオン性導電剤等を挙げることができ、特にこれらに限定されない。
【0031】
電子導電性導電剤としては、例えば、ケッチェンブラック、アセチレンブラックなどの導電性カーボン、SAF、ISAF、HAF、FEF、GPF、SRF、FT、MTなどのゴム用カーボン、酸化処理を施したカラーインク用カーボン、熱分解カーボン、天然グラファイト、人造グラファイトなどのグラファイト、銅、ニッケル、鉄、アルミニウムなどの金属粉、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫などの金属酸化物粉、ポリアニリン、ポリピロール、ポリアセチレンなどの導電性高分子などが挙げられる。
【0032】
イオン導電性導電剤としては、例えば、ラウリルトリメチルアンモニウム、ステアリルトリメチルアンモニウム、オクタドデシルトリメチルアンモニウム、ドデシルトリメチルアンモニウム、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、変性脂肪酸・ジメチルエチルアンモニウニウム塩の過塩素酸塩、塩素酸塩、ホウフッ化水素酸塩、硫酸塩、エトサルフェート塩、臭化ベンジル塩、塩化ベンジル塩などのハロゲン化ベンジル塩などの第四級アンモニウム塩などの陽イオン性界面活性剤、脂肪族スルホン酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩、高級アルコールエチレンオキサイド付加硫酸エステル塩、高級アルコールリン酸エステル塩、高級アルコールエチレンオキサイド付加リン酸エステル塩などの陰イオン界面活性剤、各種ベタインなどの両性イオン界面活性剤、高級アルコールエチレンオキサイド、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、多価アルコール脂肪酸エステルなどの非イオン性帯電防止剤などの帯電防止剤、LiCFSO、NaClO、LiClO、LiAsF、LiBF、NaSCN、KSCN、NaClなどのLi、Na、Kなどの周期律表第1族の金属塩、あるいは、NH4+の塩などの電解質、また、Ca(ClOなどのCa2+、Ba2+などの周期律表第2族の金属塩およびこれらの帯電防止剤が、少なくとも1個の水酸基、カルボキシル基、一級ないし二級アミン基などのイソシアネートと反応する活性水素を有する基を持ったものが挙げられる。さらに、それらなどと1,4−ブタンジオール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなどの多価アルコールとその誘導体などの錯体あるいはエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルなどのモノオールとの錯体が挙げられ、これらの中から選ばれる1種類あるいは2種類以上を組み合わせて使用することが出来る。ただし、その他公知の導電剤を使用することができ、上記の材料に限定されるものではない。
【0033】
また、本発明の電子写真用エンドレスベルトには、発明の効果を損なわない範囲内で他の成分を添加することができる。他の成分としては、例えば、酸化防止剤、加工助剤、潤滑剤、離型剤、可塑剤、着色剤、核剤、老化防止剤などが挙げられる。
【0034】
本発明の電子写真用エンドレスベルトは、厚みが50〜250μmであることが好ましい。電子写真用エンドレスベルトが厚すぎると、高い剛性と乏しい柔軟性のためにベルト走行性が低下し、走行中に撓みや寄りなどが発生する場合がある。一方、電子写真用エンドレスベルトが薄すぎると、引っ張り強度が低下したり、耐久使用によってクリープが発生したりする場合がある。
【0035】
また、本発明の電子写真用エンドレスベルトには、蛇行防止部材(リブなど)を設けてもよい。
【0036】
本発明の電子写真用エンドレスベルトは、静電吸着させた紙の分離性に優れている為、転写搬送ベルトとして使用することが好適である。
【0037】
また、本発明の電子写真用エンドレスベルトは、紙の巻き付きの防止効果に優れている為、中間転写ベルトとして使用することが好適である。
【0038】
次に本発明の電子写真用エンドレスベルトの製造方法について説明する。
本発明のように電子写真用エンドレスベルトを目的の抵抗に調整する方法としては、予め用意されたベルト状部材に加熱処理、コロナ処理、プラズマ処理等の処理を行う方法が挙げられる。これらの処理の有無、強度等によりエンドレスベルトの表面方向での抵抗差をつけることが出来る。
【0039】
これらの中でも、加熱処理を行う方法が好ましい。加熱処理の形式としては、様々な態様が考えられるが、例えばベルト状部材の外周若しくは内周のいずれかを、又は外周および内周の両方を型に嵌合し、ベルト状部材を保持しながら加熱処理を行うことが出来る。
【0040】
また、加熱方法としては、ハロゲンヒーター等による輻射加熱方法や電磁誘導方式による加熱方法等が挙げられる。本発明においてはハロゲンヒーターを用いる方法が好ましい。
【0041】
加熱処理において、ヒーターの配置、型表面の放射率、熱伝導率等を調整することにより加熱温度に差をつけることができる。これらの中でも、簡易で精度の高い方法として、型表面の放射率を調整する方法が好ましい。
【0042】
ここで、本発明におけるベルト状部材の加熱処理の態様の一例を図8、図9に示す。ただし、この方法に限定されるものではない。
【0043】
図8はベルト状部材の加熱処理に用いる円筒状内型301を説明する図である。
図8において、
(i)は、ベルト状部材の内周長よりも若干(1%程度)短い外周長を有するアルミニウム製円筒体の外周面に、厚さ0.5mm程度の熱収縮性PFA(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)チューブを被せる工程を示し、
(ii)は、PFAチューブを220℃で加熱収縮させたあと、端部をアルミニウム製円筒体の内側に巻き込みPFA固定部材で固定する工程を示す。
アルミニウム製円筒体の内側には、先端に逆止弁を有する気体給排気口が設けられている。
【0044】
図9は、図8の円筒状内型301を用いたベルト状部材の加熱処理方法を説明するものである。図9の(i)から(iv)の各工程を詳しく説明する。
(i)円筒状内型301の外周面にベルト状部材201を嵌合する。
(ii)ベルト状部材201を嵌合した円筒状内型301の気体給排気口に低圧(例えば0.2MPa)の気体を導入し、円筒状内型301表面にベルト状部材201を保持させる。
(iii)外周にベルト状部材201が嵌合された円筒状内型301のさらに外周に、ベルト状部材の外周長よりも若干大きな内周長を有し、内周面に転写面を有するニッケル製円筒状外型302を嵌合する。
(iv)円筒状外型302を嵌合した状態で、円筒状内型301の気体給排気口にベルト状部材201の外表面と円筒状外型302の内周面が密着する程度の圧力(例えば0.5MPa)の気体を導入する。この状態で、ベルト状部材の熱変形温度以上まで加熱、冷却後、気体給排気口からPFAチューブ内の気体を抜くことにより、加熱処理されたエンドレスベルトを得ることができる。この際、図9のように外型302の端部領域の放射率を中央部より高くすることで、端部領域の加熱温度を高くすることが出来る。
【0045】
また、加熱温度差の設定に関しては端部領域と中央部の放射率を変えることで調整可能である。また、(A−1)〜(A−3)のように端部領域付近の高放射率部の幅や位置を調整することで、高温加熱領域の幅や位置を調整することが出来る。また、片方の端部のみの抵抗は(B−1)のような型を使用することで調整可能となる。
【0046】
また、上記ベルト状部材の作成方法としては、環状ダイスを有する押出機を用いた円筒押出し成形法や、遠心成形法等が挙げられる。
【0047】
本発明においては、製造効率が高くてコストを抑制できる製造方法が好ましく、熱可塑性樹脂を材料として用い、環状ダイスを有する押出機を用いた円筒押出成形法によりエンドレスベルトを製造する方法が好ましい。特に、インフレーション成形がより好ましい。
【0048】
ここで、図4にインフレーション成形の概略を示す。ただし、それにより何ら制限を受けるものではない。図4には、2層構成ベルト成形用に押出機100及び101の2基具備されているが、本発明においては少なくとも1基あればよい。
【0049】
まず、成形用樹脂、導電剤及び添加剤などを所望の処方に基づき、あらかじめ予備混合後、混練分散を行った成形用原料を押出機100に具備されたホッパー102に投入する。押出機100においては、成形用原料が、後工程でのベルト成形が可能となる溶融粘度となり、また、原料が相互に均一に分散するように、設定温度及び押出機のスクリュー構成が選択される。成形用原料は押出機100中で溶融混練されて溶融体となり環状ダイス103に入る。環状ダイス103には気体導入路104が配設されており、気体導入路104より空気が環状ダイス103に吹き込まれることにより環状ダイス103を通過した溶融体は径方向に拡大膨張する。
【0050】
この時吹き込まれる気体は空気の他に、窒素、二酸化炭素及びアルゴンなど選択することができるが、これらに限定されない。
【0051】
膨張した成形体は冷却リング105により冷却されつつ上方向に引き上げられ、筒状フィルム105が形成される。これを所望の幅に切断することにより、ベルト状部材を得ることができる。
なお、106は安定板、107はピンチローラー、108はカット装置である。
【0052】
以上の様にして、ベルト状部材を得ることができる。
【0053】
前述の説明は単層ベルト状部材に関してであったが、2層の場合は図4に示されるようにさらに押出機101を配置し、押出機100の混練溶融体と同時に2層用の環状ダイス103へ、押出機101の混練溶融体を送り込み、2層同時に拡大膨張させて2層ベルトを得ることができる。
もちろん3層以上であってもよく、層数に応じて押出機を準備すればよい。
【0054】
上記のようにして処理されたエンドレスベルトは、ゴム、エラストマーやその発泡体からなる蛇行防止部材を設けて使用される。また、ポリエチレンテレフタレート樹脂等からなる端部補強テープをエンドレスベルトの内周面端部または外周面端部に設けてもよい。
【0055】
次に、本発明の電子写真用エンドレスベルトを転写搬送ベルトとして用いたフルカラー画像形成装置の概略構成を図1に示す。図1に示された画像形成装置は、電子写真プロセス手段として4つの画像形成部を並設しており、各画像形成部は、電子写真感光体1、一次帯電器2、現像器4及びクリーニング部材19を含んで構成されている。なお、現像器4Y,4M,4C,4Kにはそれぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(BK)のトナーが収容されている。
【0056】
各画像形成部においては、電子写真感光体1が矢印の方向に所定の速度で回転駆動され、これらは一次帯電器2により所定の極性・電位にそれぞれ一様に帯電される。このように帯電処理された各電子写真感光体1はスリット露光やレーザービーム走査露光、LED露光などの露光手段(不図示)から出力される露光3を受けることによって、目的のカラー画像の各色の色成分像に対応した静電潜像が形成され、各静電潜像は各現像器4Y,4M,4C,4Kによって現像されてイエロートナー像、マゼンタトナー像、シアントナー像及びブラックトナー像としてそれぞれ顕像化される。
【0057】
電子写真感光体1上に形成担持された上記各色トナー画像(イエロートナー像、マゼンタトナー像、シアントナー像及びブラックトナー像)は、転写材Pが給紙ローラー13から転写材ガイド14を通って転写搬送ベルト5に吸着されて移動し、各画像形成部を通過する際に、転写部材(転写ローラー)6から印加される転写バイアスによって順次重ねて転写され、目的のカラー画像に対応した合成カラートナー画像が形成される。転写バイアスは、トナーとは逆極性でバイアス電源30から印加される。ネガトナー(負帯電性トナー)を使用した場合、その印加電圧は例えば+100V〜2kVの範囲である。
【0058】
上述のように各カラートナー像の転写を受けた記録紙Pは転写搬送ベルト5から分離された後、定着器12に搬送されてカラートナー像の加熱定着を受け印刷物として出力される。
【0059】
また、濃度検知や位置検知は、転写搬送ベルト5上にトナーパッチ像を作成することによって行われる。
【0060】
前記転写搬送ベルト5上のトナーは、電子写真感光体1とのニップ部及びその近傍において通常とは逆極性のバイアスを印加することにより、電子写真感光体1に静電的に転写され、転写搬送ベルトがクリーニングされる。
【0061】
次に、本発明の電子写真用エンドレスベルトを中間転写ベルトとして用いた4プロセスのフルカラー画像形成装置の概略構成を図2に示す。
【0062】
図2において、1は円筒状の電子写真感光体であり、矢印の方向に所定の周速度(プロセススピード)をもって回転駆動される。
【0063】
電子写真感光体1は回転過程で、一次帯電器2により所定の極性・電位に一様に帯電処理され、次いで、スリット露光やレーザービーム走査露光、LED露光などの露光手段(不図示)から出力される露光(画像露光)3を受けることにより目的のカラー画像の第1の色成分像(例えば、イエロー色成分像)に対応した静電潜像が形成される。
【0064】
次いで、その静電潜像が第1の現像器(イエロー色現像器4Y)により第1色であるイエロートナーYにより現像される。この時第2〜第4の現像器(マゼンタ色現像器4M、シアン色現像器4C及びブラック色現像器4K)は作動−オフになっていて電子写真感光体1には作用せず、上記第1色のイエロートナー画像は上記第2〜第4の現像器により影響を受けない。
【0065】
中間転写ベルト15は時計方向に電子写真感光体1とほぼ同じ周速度(例えば電子写真感光体1の周速度に対して97〜103%)で回転駆動される。
【0066】
電子写真感光体1上に形成担持された上記第1色のイエロートナー画像が、電子写真感光体1と中間転写ベルト15とのニップ部を通過する過程で、一次転写部材(一次転写ローラー)16から中間転写ベルト15に印加される一次転写バイアスにより形成される電界により、中間転写ベルト15の外周面に中間転写(一次転写)される。一次転写バイアスは、トナーとは逆極性でバイアス電源32から印加される。ネガトナーを使用した場合、その印加電圧は例えば+100V〜2kVの範囲である。中間転写ベルト15に対応する第一色のイエロートナー画像の転写を終えた電子写真感光体1の表面は、クリーニング部材19により清掃される。
【0067】
以下、同様に第2色のマゼンタトナー画像、第3色のシアントナー画像、第4色のブラックトナー画像が順次中間転写ベルト15上に重ね合わせて転写され、目的のカラー画像に対応した合成カラートナー画像が形成される。
【0068】
17は二次転写部材(二次転写ローラー)で、二次転写対向ローラー18に対応し平行に軸受させて中間転写ベルト15の下面部に離間可能な状態に配設してある。10は張架ローラーである。
【0069】
電子写真感光体1から中間転写ベルト15への第1〜第3色のトナー画像の一次転写工程において、二次転写部材17は中間転写ベルト15から離間することも可能である。
【0070】
中間転写ベルト15上に転写された合成カラートナー画像は、中間転写ベルトの回転に同期して給紙ローラー13から転写材ガイド14を通って中間転写ベルト15と二次転写ローラー17との当接ニップに所定のタイミングで給送される転写材Pに、二次転写部材17から印加される二次転写バイアスによって転写(二次転写)される。二次転写バイアスの印加電圧は例えば+100V〜2kVの範囲である。
【0071】
トナー画像の転写を受けた転写材Pは定着器12へ導入され加熱定着を受け印刷物として出力される。
【0072】
転写材Pへの画像転写終了後、中間転写ベルト15にはクリーニング用帯電部材20が当接され、電子写真感光体1とは逆極性のバイアスを印加することにより、転写材Pに転写されずに中間転写ベルト5上に残留しているトナー(転写残トナー)に電子写真感光体1と逆極性の電荷が付与される。34はバイアス電源である。前記転写残トナーは、電子写真感光体1とのニップ部及びその近傍において電子写真感光体1に静電的に転写されることにより、中間転写部材がクリーニングされる。
【0073】
また、本発明の電子写真用エンドレスベルトを中間転写ベルトとして用いた4連感光体方式のフルカラー画像形成装置の概略構成を図3に示す。
【0074】
図3に示された画像形成装置は、電子写真プロセス手段として4つの画像形成部を並設しており、各画像形成部は、電子写真感光体1、一次帯電器2、現像器4及びクリーニング部材19を含んで構成されている。なお、現像器4Y,4M,4C,4Kにはそれぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(BK)のトナーが収容されている。
【0075】
各画像形成部においては、電子写真感光体1が矢印の方向に所定の速度で回転駆動され、これらは一次帯電器2により所定の極性・電位にそれぞれ一様に帯電処理される。このように帯電処理された各電子写真感光体1は露光手段(不図示)から出力される露光3を受けることによって、目的のカラー画像の各色の色成分像に対応した静電潜像が形成され、各静電潜像は各現像器4Y,4M,4C,4Kによって現像されてイエロートナー像、マゼンタトナー像、シアントナー像及びブラックトナー像としてそれぞれ顕像化される。
【0076】
中間転写ベルト5は時計方向に電子写真感光体1とほぼ同じ周速度(例えば電子写真感光体1の周速度に対して97〜103%)で回転駆動される。
【0077】
電子写真感光体1上に形成担持された上記各色トナー画像は、電子写真感光体1と中間転写ベルト15とのニップ部を通過する過程で、一次転写部材(一次転写ローラー)16から中間転写ベルト15に印加される一次転写バイアスによって、中間転写ベルト15の外周面に重ねて転写(一次転写)され、目的のカラー画像に対応した合成カラートナー画像が形成される。一次転写バイアスは、トナーとは逆極性でバイアス電源32から印加される。その印加電圧は例えば+100V〜2kVの範囲である。
【0078】
17は二次転写部材(二次転写ローラー)で、二次転写対向ローラー18に対応して平行に軸受させて中間転写ベルト15の下面部に離間可能な状態に配設してある。
【0079】
中間転写ベルト5上に転写された合成カラートナー画像は、中間転写ベルトの回転に同期して給紙ローラー13から転写材ガイド14を通って中間転写ベルト15と二次転写ローラー17との当接ニップに所定のタイミングで給送される転写材Pに、二次転写部材17から印加される二次転写バイアスによって転写(二次転写)される。二次転写バイアスの印加電圧は例えば+100V〜2kVの範囲である。
【0080】
トナー画像の転写を受けた転写材Pは定着器12へ導入され加熱定着を受け印刷物として出力される。中間転写ベルトに残留したトナーは、ベルトクリーニング部材21で除去される
【0081】
本発明の電子写真用エンドレスベルトは、電子写真装置本体にそのまま装着してもよいし、エンドレスベルトカートリッジとして、電子写真装置本体と着脱自在な形として用いてもよい。例えば、本発明の電子写真用エンドレスベルトと、電子写真感光体や一次帯電部材などの電子写真プロセス部材とを一体化したプロセスカートリッジとしてもよい。
【0082】
以下に、具体的な実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0083】
[実施例1]・配合
ポリフッ化ビニリデン 90質量%
(カイナー720(アルケマ(株)社製))
ポリエーテルエステルアミド 1質量%
(ペレスタットNC6321(三洋化成工業(株)))
カーボンブラック 9質量%
(デンカブラック粉状品(電気化学工業(株)社製)
【0084】
・混練
タンブラーによる混合によって得られた上記配合の樹脂組成物を二軸混練機で混練して粒径2〜3mmの混練物とした。ここで、二軸混練機及び混練条件は以下のとおりとした。
混練機:直径65mm同方向回転噛合二軸混練機(TEX65αII:(株)日本製鋼所製)
スクリュー:2条タイプ、L/D=35
樹脂組成物の温度:215℃
スクリュー回転:100rpm
吐出速度:100kg/h
【0085】
・インフレーション成形
上記の粒径2〜3mmの混練物(樹脂組成物)を図4に示される構成の装置のホッパー102から210〜230℃に調節した押し出し機101の中に投入し、これを溶融させて環状ダイ103(直径:100mm;ダイギャップ:800μm)から押し出し、樹脂組成物の筒体とした。
引き続き、気体導入路104から空気を吹き込み、樹脂組成物の筒体を拡大膨張させてフィルム状とし、これを250mmごとに母線方向に対して垂直の方向に連続的に切断することにより、エンドレス形状のベルト状部材とした。
【0086】
・加熱処理
このベルト状部材について、図8、9の装置を用いてハロゲンヒーターにより加熱処理を行った後、ベルト状部材の両端部を均等に精密にカットして、裏面に蛇行防止部材を取り付け、周長480mm、幅250mm、厚さ100μmの電子写真用エンドレスベルトを得た。加熱条件は以下のとおりであった。また、加熱処理に用いた外型としては、幅250mmのものを使用した。
高温部(端部)加熱幅:ベルト状部材の端部から12.5mm
加熱処理位置:両端部処理
高温部(端部)加熱温度:210℃
低温部(中央部)加熱温度:185℃
【0087】
・特性評価
本発明において規定された方法によって電子写真用エンドレスベルトの電気特性の測定を行ったところ、電子写真用エンドレスベルトの抵抗は以下のとおりとなった。
中央部の抵抗Rc:7.50×107(Ω)
式(1)を満たす抵抗Reを有する領域:エンドレスベルト幅の5.0%の幅(両端部とも)
(1/10×7.50×10≦Re≦1/2×7.50×10の領域)
【0088】
・画像評価
また、この電子写真用エンドレスベルトを転写搬送ベルトとして、図1の電子写真装置において用いて画像評価を行った。その結果、いずれの環境下においても横スジ等の画像不良や紙詰まりが発生せず良好な画像を得ることができた。以上、電気特性及び評価結果を表1に示す。また、表1に、評価に用いた電子写真装置(電子写真用エンドレスベルトの用途)をあわせて示す。
【0089】
以下に、本発明の電子写真用エンドレスベルトの評価方法を説明する。
(画像評価方法)
電子写真用エンドレスベルトを図1〜3に示す電子写真装置(カラーレーザープリンター)に装着し、低温/低湿環境(5℃、5%RH)環境下において、つぎの紙を用いてフルカラー画像の出力試験を1000枚について行った。
Badger Bond/OFFSET(坪量60g/m)レターサイズ
(Badger Paper Mills,Inc.社製)
出力画像の評価結果を横スジ、色ずれ、飛び散り、紙詰まりの観点から総合的に4段階(◎、○、△、×)で評価し、△以上を実用上可能なレベルと判定した。
◎・・・画像不良、紙詰まりが発生しない。
○・・・極軽微な画像不良が発生したが、実用上問題ない(紙詰まりが発生しない)。
△・・・画像不良が複数発生したが、実用上問題ない(紙詰まりが発生しない)。
×・・・重大な画像不良や紙詰まりが発生した。
【0090】
[実施例2〜10]
加熱処理条件を変更した以外は実施例1と同様にして電子写真用エンドレスベルトを得た。この電子写真用エンドレスベルトを、実施例1と同様にして、転写搬送ベルトとして用い、図1の電子写真装置によって画像評価を行った。加熱処理条件、電気特性及び評価結果を表1に示す。
【0091】
[比較例1]
実施例1と同様にしてベルト状部材を得た。表面の放射率が均一である外型を使用して加熱処理を行った以外は実施例1と同様にして電子写真用エンドレスベルトを得た。この電子写真用エンドレスベルトを、実施例1と同様にして、転写搬送ベルトとして用い、図1の電子写真装置によって画像評価を行った。加熱処理条件、電気特性及び評価結果を表1に示す。
【0092】
[比較例2、3]
加熱処理条件を変更した以外は実施例1と同様にして電子写真用エンドレスベルトを得た。この電子写真用エンドレスベルトを、実施例1と同様にして、転写搬送ベルトとして用い、図1の電子写真装置によって画像評価を行った。加熱処理条件、電気特性及び評価結果を表1に示す。
【0093】
[実施例11〜16]
加熱処理条件を変更した以外は実施例1と同様にして電子写真用エンドレスベルトを得た。この電子写真用エンドレスベルトを中間転写ベルトとして用い、図3の電子写真装置によって画像評価を行った。加熱処理条件、電気特性及び評価結果を表2に示す。
【0094】
[比較例4]
実施例1と同様にしてベルト状部材を得た。表面の放射率が均一である外型を使用して加熱処理を行った以外は実施例1と同様にして電子写真用エンドレスベルトを得た。この電子写真用エンドレスベルトを中間転写ベルトとして用い、図3の電子写真装置によって画像評価を行った。加熱処理条件、電気特性及び評価結果を表2に示す。
【0095】
[比較例5、6]
加熱処理条件を変更した以外は実施例1と同様にして電子写真用エンドレスベルトを得た。この電子写真用エンドレスベルトを中間転写ベルトとして用い、図3の電子写真装置によって画像評価を行った。加熱処理条件、電気特性及び評価結果を表2に示す。
【0096】
【表1】

【0097】
【表2】

【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】本発明の電子写真用エンドレスベルトを転写搬送ベルトとして用いたフルカラー画像形成装置の概略構成を示す図である。
【図2】本発明の電子写真用エンドレスベルトを中間転写ベルトとして用いた4プロセスのフルカラー画像形成装置の概略構成を示す図ある。
【図3】本発明の電子写真用エンドレスベルトを中間転写ベルトとして用いた4連感光体方式のフルカラー画像形成装置の概略構成を示す図ある。
【図4】本発明の押出し成形機の概略構成を示す図である。
【図5】本発明の電子写真用エンドレスベルトの電気特性測定用試料作成方法を示す図である。
【図6】本発明の電子写真用エンドレスベルトの電気特性測定方法を示す図である。
【図7】本発明の電子写真用エンドレスベルトの電気特性測定結果の一例を示す図である。
【図8】本発明の電子写真用エンドレスベルトの加熱処理部材を示す図である。
【図9】本発明の電子写真用エンドレスベルトの加熱処理方法を示す図である。
【図10】本発明の電子写真用エンドレスベルトの加熱処理部材(外型)を示す図である。
【符号の説明】
【0099】
1‥‥ 電子写真感光体
2‥‥ 一次帯電器
3‥‥ 露光
4Y, 4M,4C,4K‥‥ 現像器
5‥‥ 転写搬送ベルト
6‥‥ 転写部材
8‥‥ 駆動ローラー
9‥‥ 従動ローラー
10‥‥ 張架ローラー
12‥‥ 定着器
13‥‥ 給紙ローラー
14‥‥ 転写材ガイド
15‥‥ 中間転写ベルト
16‥‥ 一次転写部材
17‥‥ 二次転写部材
18‥‥ 二次転写対向ローラー
19‥‥ クリーニング部材
20‥‥ クリーニング用帯電部材
21‥‥ ベルトクリーニング部材
30,31,32,33, 34‥‥ バイアス電源
100,101‥‥ 押出機
102‥‥ ホッパー
103‥‥ 環状ダイス
104‥‥ 気体導入路
105‥‥ 外部冷却リング
106‥‥ 安定板
107‥‥ ピンチローラー
108‥‥ カット装置
110‥‥ 筒状フィルム
P‥‥ 転写材
201‥‥ ベルト状部材
301‥‥ 円筒状内型
302‥‥ 円筒状外型
600‥‥ 測定試料
601‥‥ 駆動及び電極ローラー
602‥‥ 対抗電極ローラー
HV‥‥ 高圧電源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子写真用エンドレスベルトにおいて、エンドレスベルトの軸方向中央部60%の領域の抵抗の平均値をRc(Ω)としたとき、エンドレスベルトの少なくとも一方の端部領域に、式(1):
1/10×Rc≦Re≦1/2×Rc (1)
を満たす抵抗Re(Ω)を有する領域が、エンドレスベルト端部からエンドレスベルトの幅の0.5%以上10.0%以下の幅で存在することを特徴とする電子写真用エンドレスベルト。
【請求項2】
前記エンドレスベルトの軸方向中央部60%の領域の抵抗の平均値Rcが1.0×10≦Rc≦1.0×10(Ω)であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真用エンドレスベルト。
【請求項3】
前記エンドレスベルトの両端部の領域に、式(1)を満たす抵抗Re(Ω)を有する領域が、エンドレスベルト端部からエンドレスベルトの幅の0.5%以上10.0%以下の幅で存在することを特徴とする請求項1又は2の電子写真用エンドレスベルト。
【請求項4】
軸方向に亘って同一の組成からなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電子写真用エンドレスベルト。
【請求項5】
前記電子写真用エンドレスベルトが単層からなることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電子写真用エンドレスベルト。
【請求項6】
熱可塑性樹脂及び導電剤を含有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の電子写真用エンドレスベルト。
【請求項7】
前記熱可塑性樹脂が結晶性樹脂であることを特徴とする請求項6に記載の電子写真用エンドレスベルト。
【請求項8】
前記結晶性樹脂がポリフッ化ビニリデンであることを特徴とする請求項7に記載の電子写真用エンドレスベルト。
【請求項9】
前記電子写真用エンドレスベルトが転写搬送ベルトであることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の電子写真用エンドレスベルト。
【請求項10】
前記電子写真用エンドレスベルトが中間転写ベルトであることを特徴とする請求項1乃至8に記載の電子写真用エンドレスベルト。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれかに記載の電子写真用エンドレスベルトの製造方法であって、少なくとも熱可塑性樹脂と導電剤を含有するベルト状部材を加熱処理する工程を含み、エンドレスベルトの少なくとも一方の端部領域に、エンドレスベルト端部からエンドレスベルトの幅の0.5%以上10.0%以下の幅で存在する領域の加熱処理が、エンドレスベルトの幅方向中央部60%の領域の加熱処理よりも高い温度で行われることを特徴とするエンドレスベルトの製造方法。
【請求項12】
前記少なくとも熱可塑性樹脂と導電剤を含有するベルト状部材を、環状ダイスを有する押出機を用いる円筒押出成形法によって製造することを特徴とする請求項1に記載の電子写真用エンドレスベルトの製造方法。
【請求項13】
請求項1〜10の電子写真用エンドレスベルトを用いることを特徴とする電子写真装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−155987(P2007−155987A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−349160(P2005−349160)
【出願日】平成17年12月2日(2005.12.2)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】