説明

電子回路基板及び電子回路基板の管理方法

【課題】リフロー半田とフロー半田とが混在する電子回路基板において、各半田の無鉛・有鉛を目視判定できる識別マークを半田工程の直前に形成する。
【解決手段】電子回路基板10の第一面10aには表面実装部品12が半田ペーストの溶融・冷
却によってリフロー半田され、リード部品11が基板貫通孔に挿入されて第二面10b側から
溶融半田との接触・冷却によってフロー半田される。第一面10aに設けられた第一の識別
マーク20cはリフロー半田が無鉛であれば円形中核部25のメタルマスクが開口して半田ペ
ーストが塗布され、有鉛であればメタルマスクが閉口して半田ペーストは塗布されない。第一面10aに設けられた第二の識別マーク30cは第二面10bのフロー半田が無鉛であれば方
形中核部35のメタルマスクが開口して半田ペーストが塗布され、有鉛であればメタルマスクが閉口して半田ペーストは塗布されない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、リフロー半田とフロー半田とが混在する電子回路基板において、各半田の無鉛・有鉛を目視判定するための識別マークの形状・配置とその活用方法の改善を行う電子回路基板及び電子回路基板の管理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子回路部品を搭載して半田付けされた電子回路基板において、リサイクル効率を高めるために、適用された半田が有鉛材であるか無鉛材であるかを識別表示することが行なわれている。
例えば、特許文献1の「部品実装回路形成体およびそれを含む電気製品のリサイクル方法」には、鉛を含まないはんだ材料によって部品が実装され、かつ鉛を含まないことを示す識別情報を有することを特徴とする部品実装回路形成体であって、識別情報は識別マーク、バーコードまたはICが使用され、識別マークは、はんだ材料の種類に応じて異なり、バーコードまたはICは、はんだ材料の種類および配合比率、実装される部品、ならびに部品実装回路形成体の材質に関する情報を含むことが開示されている。
また、特許文献2の「はんだの使用部材」は、電気部品等の使用部材の取り付け、使用部材間の接続等に使用されるはんだの種類若しくは修理時に使用可能なはんだの種類を識別する識別手段を備えてなる基板であって、この識別手段は、はんだの種類に応じて色を変えることにより、はんだの種類を識別するものである。この識別手段は、はんだの種類に対応してはんだの使用部材上に施された文字、図形若しくは記号若しくはこれらの結合若しくはバーコード、またははんだの使用部材上に設けられ、はんだの種類に対応した磁性若しくは反射率を有する物質により、はんだの種類を識別するものとなっている。
【0003】
さらに、特許文献3の「部品実装用基板」には、作業者が各々プリント配線板毎に適用されるリフロー炉の温度プロファイル情報が記載された製作図面あるいは、文書等の紙面を検索する手間をなくし、且つリフロー炉の温度プロファイル設定の人為的作業ミスを削減するために、部品を加熱装置によってはんだ付けする部品実装用基板において、加熱装置の設定情報を部品実装用基板に表示し、この表示の少なくとも1つをバーコードで表示したことを特徴とする部品実装用基板が開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開2000−269614号公報(第3〜7頁、図1)
【特許文献2】特開2001−352164号公報(第3〜5頁、図1)
【特許文献3】特開2006−278815号公報(第3頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1、2による電子回路基板は、適用する予定の半田が有鉛半田であるか無鉛半田であるかを基板メーカ側で表示し、この基板を用いた製品メーカでは、表示内容に従った部品実装と半田付け作業を行なうものであって、無鉛半田の表示があるものに誤って有鉛半田を行なっても、識別表示は無鉛半田のままとなって、意図に反した製品ができあがるという問題がある。
一方、特許文献3による電子回路基板では、加熱装置の温度設定情報を基板にバーコードで表示し、多様な無鉛半田に対するリフロー半田炉やフロー半田炉の温度管理に反映するものであって、誤った製品が作られる危険性は低下するものの、無鉛半田であるか有鉛半田であるかの目視確認は行なえない問題がある。
【0006】
この発明の第一の目的は、無鉛半田と有鉛半田とが混在する可能性のある電子回路基板
において、有鉛半田の使用状況が目視判定できると共に、目視判定用の識別マークが基板製造工程ではなくて、基板組立工程において形成されて、正しい実態を正確に反映することができる電子回路基板を提供することである。
また、この発明の第二の目的は、電子回路基板に設けられた有鉛/無鉛半田の識別マークが、製品のリサイクル効率を高めるためのものだけではなくて、電子回路基板の実装組立工程においても有効活用されて、誤った製品または誤った表示を持った製品の製造が行なわれないようにする電子回路基板の管理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係わる電子回路基板においては、表面実装部品と基板貫通孔に挿入されるリード部品とが搭載され、無鉛半田または有鉛半田によって接続用銅箔ランドに半田接続される電子回路基板であって、
電子回路基板は、メタルマスクを介して半田ペーストが塗布された接続用銅箔ランド上に、表面実装部品の電極部を載置してから過熱溶着するリフロー半田が行なわれると共に、リード部品に対する部品取付面となる第一面と、この第一面と同様の表面実装部品がリフロー半田されてから、リード部品の端部と接続用銅箔ランドとを溶融半田に接触付着させる局部フロー半田が行なわれる第二面によって構成されている。
第一面には第一の識別マークと第二の識別マークとが施され、第二面には第一の識別マークが施されている。
第一の識別マークは、表面実装部品に対するリフロー半田が無鉛半田であるか有鉛半田であるかによってメタルマスクの開口部を開口または閉口することによって異なる概観を有するものである。
第二の識別マークは、リード部品に対する局部フロー半田が無鉛半田であるか有鉛半田であるかによってメタルマスクの開口部を開口または閉口することによって異なる概観を有するものである。
第一及び第二の識別マークは、メタルマスクの開口部の形状を異なるものにすることによって、第一の識別マークと第二の識別マークとが区分されるものであり、第二面に設けられた第一の識別マークは、局部フロー半田が行なわれない部位に設けられている。
【発明の効果】
【0008】
この発明は、以上説明したように、リフロー半田面となる第一面と第二面に設けられた第一及び第二の識別マークによって、第一面と第二面のリフロー半田部が無鉛半田であるか有鉛半田であるかを個別に識別すると共に、フロー半田部が無鉛半田であるか有鉛半田であるかを区別して識別するようになっていて、各識別マークは、銅箔を用いて形成され、メタルマスクの開口の有無と開口部の形状によって外観を変化させて識別するようになっている。
従って、無鉛または有鉛のリフロー半田と無鉛または有鉛のフロー半田が混在しても簡単に目視識別することができると共に、シルク印刷工程が不要となって電子回路基板が安価となる効果がある。
また、電子回路基板自体の製造工程でシルク印刷によって識別表示するものに比べて、電子部品の実装組み立て工程において識別マークが形成されるので、現品に対応して間違いのない識別マークを形成することができる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
実施の形態1.
(1)構成と作用の詳細な説明
図1は、この発明の実施の形態1による電子回路基板を示す両面図であり、図1(A)は、リード部品が搭載される基板第一面(C面)を示す図、図1(B)は、反対側の半田面である基板第二面(S面)を示す図、図1(C)は、第一の識別マークの詳細を示す図、図1(D)は、第二の識別マークの詳細を示す図である。
図1において、電子回路基板10は、例えば入出力コネクタであるリード部品11と大型コンデンサであるリード部品14が搭載される第一面10aと、その反対面となる半田面である第二面とを有している。表面実装部品12は、第一面10aに設置された電子部品である。表面実装部品13は、第二面10bに設置された電子部品である。
【0010】
第一の識別マーク20c、20sは、表面実装部品12、13に対するリフロー半田が無鉛半田であるか有鉛半田であるかを識別するためのものであって、第一の識別マーク20cは、リフロー半田が行なわれる第一面10aに設けられ、第一の識別マーク20sは、第二面10bにおいてリフロー半田が行なわれる場合に第二面10bに設けられる。
第一の識別マーク20c、20sは、図1(C)のように、島状の銅箔部である円形の中核部25と、この中核部25の外周に設けられた銅箔部である外郭部21〜24とから構成される。
【0011】
第二の識別マーク30c、30sは表面実装部品12、13またはリード部品11、14に対するフロー半田が無鉛半田であるか有鉛半田であるかを識別するためのものであって、第二の識別マーク30cは、リフロー半田が行なわれる第一面10aに設けられ、第二の識別マーク30sは、第二面10bにおいてリフロー半田が行なわれる場合に第二面10bに設けるのが望ましいが、第二の識別マーク30cによって同じ内容の表示が行なわれているので、必ずしも必要とされるものではない。
第二の識別マーク30c、30sは、島状の銅箔部である方形の中核部35と、中核部35の外周に設けられた銅箔部の外郭部31〜34とから構成される。
【0012】
ID情報媒体40c、40sは、第一面10aと第二面10bにそれぞれ設けられた例えば銅箔パターンまたは半田レジスト膜またはスタンプまたは貼付シートによる面状または線状のバーコードである。
【0013】
図2は、この発明の実施の形態1による電子回路基板の第一の識別マークを示す詳細図である。
図2(A)は、半田メッキが行なわれていない無鉛半田基板に対する第一の識別マークを示す上面図、図2(B)は、半田メッキによるプリコートが行なわれていない有鉛半田基板に対する第一の識別マークを示す上面図、図2(C)は、半田メッキによるプリコートが行なわれている有鉛半田基板に対する第一の識別マークを示す上面図、図2(D)は、図2(A)のA−A線による断面図、図2(E)は、図2(B)のB−B線による断面図、図2(F)は、図2(C)のC−C線による断面図である。
図2において、21〜26は図1におけるものと同一のものである。第一の識別マーク201、202、203は、図2(A)、図2(B)、図2(C)に対応している。図2(D)では、中核部25の表面には半田ペースト27が塗布され、図2(E)では、円形の中核部25と外郭部21〜24の表面はプリフラックス29が施され、図2(F)では、円形の中核部25と外郭部21〜24の表面は半田メッキ28が施されている。
【0014】
図3は、この発明の実施の形態1による電子回路基板の第二の識別マークを示す詳細図である。
図3(A)は、半田メッキが行なわれていない無鉛半田基板に対する第二の識別マークを示す上面図、図3(B)は、半田メッキによるプリコートが行なわれていない有鉛半田基板に対する第二の識別マークを示す上面図、図3(C)は、半田メッキによるプリコートが行なわれている有鉛半田基板に対する第二の識別マークを示す上面図、図3(D)は、図3(A)のA−A線による断面図、図3(E)は、図3(B)のB−B線による断面図、図3(F)は、図3(C)のC−C線による断面図である。
図3において、10、31〜36は図1におけるものと同一のものである。第二の識別マーク301、302、303は図3(A)、図3(B)、図3(C)に対応している。図
3(D)では、中核部25の表面には半田ペースト37が塗布され、図3(E)では、円形の中核部25と外郭部21〜24の表面はプリフラックス39が施され、図3(F)では、円形の中核部25と外郭部21〜24の表面は半田メッキ38が施されている。
【0015】
図4は、この発明の実施の形態1による電子回路基板の変形型の第一・第二の識別マークを示す詳細図である。
図4(A)は、第一の識別マークの上面図、図4(B)は、第二の識別マークの上面図、図4(C)は、図4(A)のA−A線による断面図、図4(D)は、図4(B)のB−B線による断面図である。
図4において、10、21〜26、31〜36は図1におけるものと同一のものである。第一の識別マーク204は、図4(A)に、第二の識別マーク304は、図4(B)にそれぞれ対応している。図4(C)では、半田ペースト27が塗布され、図4(D)では、半田ペースト37が塗布されている。
【0016】
図5は、この発明の実施の形態1による電子回路基板の改良型の第一・第二の識別マークを示す詳細図である。
図5(A)は、寿命表示機能を持つ特殊無鉛半田基板に対する第一の識別マークの上面図、図5(B)は、第二の識別マークの上面図、図5(C)は、図5(A)のA−A線による断面図、図5(D)は、図5(B)のB−B線による断面図である。
図5において、10、21〜26、31〜36は図1におけるものと同一のものである。第一の識別マーク205、第二の識別マーク305は、それぞれ図5(A)、図5(B)に対応している。メタルマスク50には、開口部55a、53a及び開口部55b、53bが設けられている。また、メタルマスク50に肉薄部54a、54bが形成されている。
【0017】
次に、動作について説明する。
まず、図1について説明する。
電子回路基板10の第一面10aを示す図1(A)において、例えば入出力コネクタであるリード部品11と大型コンデンサであるリード部品14は、電子回路基板10に設けられた図示しない基板貫通孔に対してリード線が挿入され、このリード部品11、14が搭載される面を第一面またはC面、その反対面となる半田面を第二面またはS面と呼称するようになっている。表面実装部品12は、第一面10aの図示しない銅箔ランドに対して半田ペーストを介在して設置され、リフロー炉によって加熱接着される。
電子回路基板10の第二面10bを示す図1(B)において、表面実装部品13は、図示しない銅箔ランドに対して半田ペーストを介在して設置され、リフロー炉によって加熱接着される電子部品であるか、または銅箔ランド上に直接設置され接着材によって第二面10bに仮止めされ、リード部品11、14と共に溶融半田を接触付着させるフロー半田が行なわれる電子部品であり、フロー半田が行なわれる場合の表面実装部品13は、当該部品全体が溶融半田液内を通過するものとなっている。
【0018】
第一の識別マーク20c、20sは、図2で後述するとおり、表面実装部品12、13に対するリフロー半田が無鉛半田であるか有鉛半田であるかを識別するためのものであって、第一の識別マーク20cは、リフロー半田が行なわれる第一面10aに設けられ、第一の識別マーク20sは第二面10bにおいてリフロー半田が行なわれる場合に第二面10bに設けられる。
第一の識別マーク20c、20sの詳細を示す図1(C)において、円形の中核部25は、電子回路基板10の銅箔をエッチング処理して生成された島状の銅箔部である。中核部25の外周に設けられた外郭部21〜24は、環状の銅箔部であり、当該外郭部21〜24と中核部25とは、半田レジスト膜26の切抜部分に相当するものであって全体として連通した銅箔部であっても差し支えないものである。
【0019】
第二の識別マーク30c、30sは、図3で後述するとおり、表面実装部品12、13またはリード部品11、14に対するフロー半田が無鉛半田であるか有鉛半田であるかを識別するためのものであって、第二の識別マーク30cは、リフロー半田が行なわれる第一面10aに設けられ、第二の識別マーク30sは、第二面10bにおいてリフロー半田が行なわれる場合に第二面10bに設けるのが望ましいが、第二の識別マーク30cによって同じ内容の表示が行なわれているので、必ずしも必要とされるものではない。
第二の識別マーク30c、30sの詳細を示す図1(D)において、方形の中核部35は、電子回路基板10の銅箔をエッチング処理して生成された島状の銅箔部である。中核部35の外周に設けられた外郭部31〜34は、環状の銅箔部であり、外郭部31〜34と中核部35とは、半田レジスト膜36の切抜部分に相当するものであって、全体として連通した銅箔部であっても差し支えないものである。
【0020】
ID情報媒体40c、40sは、第一面10aと第二面10bにそれぞれ設けられた、例えば銅箔パターンまたは半田レジスト膜またはスタンプまたは貼付シートによる面状または線状のバーコードであり、このバーコードは、バーコードがどちらの面に設けられたものであるかの配置情報と、リフロー半田が無鉛半田であるか有鉛半田であるかの第一の材質情報と、フロー半田が無鉛半田であるか有鉛半田であるかの第二の材質情報とに関する直接情報を包含しているか、或いは後述のリフロー半田設備またはフロー半田設備において認定登録された基板型名コード番号とを包含している。
なお、ID情報媒体40c、40sとしては、バーコードに代わって、タグリーダによって非接触読出しできるIDタグメモリを接着固定して使用することも可能である。
【0021】
次に、図1の第一の識別マーク20c、20sの詳細図である図2について説明する。図2(A)は、半田メッキが行なわれていない無鉛半田基板に対する第一の識別マーク201の上面図を示したものであり、そのA−A線による断面図である図2(D)と合わせて説明する。
電子回路基板10の銅箔パターンをエッチングして生成された外郭部21〜24と中核部25は、半田レジスト膜26によって相互に区画分離されていて、中核部25の表面には、図示しないメタルマスクの開口部を介して半田ペースト27が塗布されており、外郭部21〜24の表面には、メタルマスクの開口部が設けられず半田ペーストが塗布されないようになっている。
その結果、図2(A)で示すとおり、円形の中核部25の表面は、半田ペースト27の色相となり、外郭部21〜24の表面は、銅箔表面に施されているプリフラックス29の色相となっている。
【0022】
図2(B)は、半田メッキによるプリコートが行なわれていない有鉛半田基板に対する第一の識別マーク202の上面図を示したものであり、そのB−B線による断面図である図2(E)と合わせて説明する。
この例では、中核部25と外郭部21〜24の表面には、メタルマスクの開口部が設けられず半田ペーストが塗布されないようになっている。
その結果、図2(B)で示すとおり、円形の中核部25と外郭部21〜24の表面は、銅箔表面に施されているプリフラックス29の色相で統一されている。
【0023】
図2(C)は、半田メッキによるプリコートが行なわれている有鉛半田基板に対する第一の識別マーク203の上面図を示したものであり、そのC−C線による断面図である図2(F)と合わせて説明する。
この例でも、中核部25と外郭部21〜24の表面にはメタルマスクの開口部が設けられず、半田ペーストが塗布されないようになっている。
その結果、図2(C)で示すとおり、円形の中核部25と外郭部21〜24の表面は、銅
箔表面に施されている半田メッキ28の色相で統一されている。
図2(A)〜図2(C)のものは、半田メッキ28と半田ペースト27は、同じ色相であっても、プリフラックス29部分の色相との差異が明確であれば、容易に三者の区分が識別できる造形となっている。
【0024】
次に、図1の第二の識別マーク30c、30sの詳細図である図3について説明する。
図3(A)は、半田メッキが行なわれていない無鉛半田基板に対する第二の識別マーク301の上面図を示したものであり、そのA−A線による断面図である図3(D)と合わせて説明する。
電子回路基板10の銅箔パターンをエッチングして生成された外郭部31〜34と中核部35は、半田レジスト膜36によって相互に区画分離されていて、中核部35の表面には図示しないメタルマスクの開口部を介して半田ペースト37が塗布されており、外郭部31〜34の表面には、メタルマスクの開口部が設けられず半田ペーストが塗布されないようになっている。
その結果、図3(A)で示すとおり、方形の中核部35の表面は、半田ペースト37の色相となり、外郭部31〜34の表面は、銅箔表面に施されているプリフラックス39の色相となっている。
【0025】
図3(B)は、半田メッキによるプリコートが行なわれていない有鉛半田基板に対する第二の識別マーク302の上面図を示したものであり、そのB−B線による断面図である図3(E)と合わせて説明する。
この例では、中核部35と外郭部31〜34の表面にはメタルマスクの開口部が設けられず、半田ペーストが塗布されないようになっている。
その結果、図3(B)で示すとおり、方形の中核部35と外郭部31〜34の表面は、銅箔表面に施されているプリフラックス39の色相で統一されている。
【0026】
図3(C)は、半田メッキ38によるプリコートが行なわれている有鉛半田基板に対する第二の識別マーク303の上面図を示したものであり、そのC−C線による断面図である図2(F)と合わせて説明する。
この例でも、中核部35と外郭部31〜34の表面にはメタルマスクの開口部が設けられず、半田ペーストが塗布されないようになっている。
その結果、図3(C)で示すとおり、方形の中核部35と外郭部31〜34の表面は、銅箔表面に施されている半田メッキ38の色相で統一されている。
図3(A)〜図3(C)のものは、半田メッキ38と半田ペースト37は同じ色相であっても、プリフラックス39部分の色相との差異が明確であれば、容易に三者の区分が識別できる造形となっている。
また、第一の識別マークと第二の識別マークとの差異は、中核部の形状が円形であるか、方形であるかによって容易に識別できるように工夫されている。
【0027】
次に、図1のものの変形型の第一・第二の識別マークの詳細図である図4について説明する。
なお、図4は、適用される無鉛半田の材質成分に一般無鉛半田と特殊無鉛半田の2種類のものがあって、これを相互に分離識別するためのものとなっている。
図4(A)は、半田メッキが行なわれていない特殊無鉛半田基板に対する第一の識別マーク204の上面図を示したものであり、そのA−A線による断面図である図4(C)と合わせて説明する。
電子回路基板10の銅箔パターンをエッチングして生成された外郭部21〜24と中核部25は、半田レジスト膜26によって相互に区画分離されていて、中核部25と外郭部21、23の表面には図示しないメタルマスクの開口部を介して半田ペーストが塗布されており、外郭部22、24の表面にはメタルマスクの開口部が設けられず半田ペーストが塗
布されないようになっている。
その結果、図4(A)で示すとおり、円形の中核部35と円弧状の外郭部21、23の表面は、半田ペースト27の色相となり、外郭部22、24の表面は、銅箔表面に施されているプリフラックスの色相となっている。
【0028】
図4(B)の上面図と図4(D)の断面図で示された第二の識別マーク304も同様であり、円弧状の外郭部の一部に半田ペーストが塗布されるか塗布されないかによって一般無鉛半田であるか特殊無鉛半田であるかが識別されるようになっている。
すなわち、円形中核部を持つ第一の識別マークは、図2(A)が一般無鉛、図4(A)が特殊無鉛となり、方形中核部を持つ第二の識別マークは、図3(A)が一般無鉛、図4(B)が特殊無鉛となって相互に識別されるようになっている。
【0029】
(2)その他の実施の形態
以上の説明では、第一面10aと第二面10bに対して表面実装部品12、13がリフロー半田され、第一面10aにはリード部品11、14が実装されて第二面10b側でフロー半田が行なわれる両面リフロー半田+フロー半田の形態について説明した。
しかし、第一面10aに対して表面実装部品12がリフロー半田され、第二面10bには表面実装部品13が接着仮取付けされるかリード部品11、14が実装されて第二面10b側でフロー半田が行なわれる片面リフロー半田の形態についても同様の識別マークを使用することができる。
ただし、リフロー半田が第一面側だけで実施される場合には、図1(B)で示した第二面側の第一・第二の識別マーク20s、30sは不要であり、第一面側の第一・第二の識別マーク20c、30cだけでリフロー半田とフロー半田の無鉛・有鉛が識別される。
なお、リフロー半田が第一面と第二面で実施される場合でも、図1(B)で示した第二面側の第二の識別マーク30sは、第一面側の第二の識別マーク30cと同じものであるから、必ずしも必要とされるものではないが、どちら側の面からでも目視判定できることになるので設けておくのが望ましいものである。
【0030】
以上の説明では、識別マークの外郭部は中核部の全周を包囲するように環状銅箔によって構成されているが、例えば外郭部は、中核部の三方を包囲し、一対の中核部を六個の外郭部で全体包囲するような構成にすることも可能である。
要は、単なる円形標識であれば偶然に発生する円形マークとの識別が行なえないことになるので、意図された識別マークであることを示す造形形状のものであって、しかも一対の識別マークが散逸せず、容易に相互の違いを識別できるものであることが肝要である。
また、電子回路基板に対して、目視観察部位を設けるからには、その観察部位が散在せず各種電子回路基板に対して統一された部位に設けることが肝要である。
【0031】
次に、図1の第一・第二の識別マークを用いて、メタルマスクの寿命の判定表示が行なえるように工夫された改良型の識別マークを示した図5について説明する。
図5(A)は、寿命表示機能を持つ特殊無鉛半田基板に対する第一の識別マーク205の上面図を示したものであり、そのA−A線による断面図である図5(C)と合わせて説明する。
電子回路基板10の銅箔パターンをエッチングして生成された外郭部21〜24と中核部25は半田レジスト膜26によって相互に区画分離されていて、中核部25と外郭部21〜24の一部の表面にはメタルマスク50の開口部55a、53aを介して半田ペーストが塗布されるようになっており、外郭部21〜24の残りの表面にはメタルマスク50の開口部が設けられず半田ペーストが塗布されないようになっている。
その結果、図5(A)に示すとおり、円形の中核部35と円弧状の外郭部21、23の表面は半田ペーストの色相となり、外郭部22、24の表面は、銅箔表面に施されているプリフラックスの色相となっている。
しかし、外郭部22、24に位置するメタルマスク50の閉口部は、肉薄部54aによって閉口されているので、メタルマスク50が磨耗すると、まず最初に肉薄部54aが破れて半田ペーストが漏出し、外郭部22、24の色相が変化することによって早期発見を行なうことができるようになっている。
【0032】
図5(B)の上面図と図5(D)の断面図で示された第二の識別マーク305も同様であり、円弧状の外郭部の一部に対するメタルマスクの閉口部に対して肉薄部54bを設けて、メタルマスクの寿命検出を行なうようにしたものであるが、この寿命表示に関しては第一面の第一の識別マーク20cのみに限定しておくことも可能である。
図2(B)の外郭部22、24や図3(B)の外郭部32、34に対しても同様に、メタルマスク50の肉薄部を設けてメタルマスク50の寿命検出を行なうことができる。
図2(C)と図3(C)の場合には、銅箔パターンに半田メッキが施されているので、半田メッキと半田ペーストの光沢が異なることによって寿命検出が行なえるものである。
【0033】
(3)実施の形態1の要点と特徴
この発明の実施の形態1による電子回路基板によれば、表面実装部品12、13と基板貫通孔に挿入されるリード部品11とが搭載され、無鉛半田または有鉛半田によって接続用銅箔ランドに半田接続される電子回路基板10であって、電子回路基板10は、メタルマスク50を介して半田ペーストが塗布された接続用銅箔ランド上に、表面実装部品12の電極部を載置してから過熱溶着するリフロー半田が行なわれると共に、リード部品11に対する部品取付面となる第一面10aと、この第一面10aと同様の表面実装部品13がリフロー半田されてから、リード部品11の端部と接続用銅箔ランドとを溶融半田に接触付着させる局部フロー半田が行なわれる第二面10bによって構成されている。
第一面10aには、電子回路基板10の銅箔によって形成された第一の識別マーク20cと第二の識別マーク30cとが施され、第二面10bには、少なくとも電子回路基板10の銅箔によって形成された第一の識別マーク20sが施されている。
第一の識別マーク20c、20sは、表面実装部品12、13に対するリフロー半田が無鉛半田であるか有鉛半田であるかによってメタルマスク50の開口部を開口または閉口することによって異なる概観を有するものである。
第二の識別マーク30cは、リード部品11に対する局部フロー半田が無鉛半田であるか有鉛半田であるかによってメタルマスク50の開口部を開口または閉口することによって異なる概観を有するものである。
第一・第二の識別マークは、メタルマスク50の開口部の形状を異なるものにすることによって、第一の識別マーク20c、20sと第二の識別マーク30cとが区分されるものであり、第二面10bに設けられた第一の識別マーク20sは局部フロー半田が行なわれない部位に設けられている。
【0034】
また、表面実装部品12、13と基板貫通孔表面実装部品12と基板貫通孔に挿入されるリード部品11とが搭載され、無鉛半田または有鉛半田によって接続用銅箔ランドに半田接続される電子回路基板10であって、当該電子回路基板10は、メタルマスク50を介して半田ペーストが塗布された接続用銅箔ランド上に、表面実装部品12の電極部を載置してから過熱溶着するリフロー半田が行なわれる第一面10aと、この第一面の反対面に仮接着された表面実装部品13の電極部と接続用銅箔ランドとを溶融半田に接触付着させるフロー半田、または第一面10aから基板貫通孔を通して挿入実装されたリード部品11、14のリード線端部と接続用銅箔ランドを溶融半田に接触付着させるフロー半田の少なくとも一方または両方のフロー半田が行なわれる第二面10bによって構成されている。
第一面10aには、電子回路基板10の銅箔によって形成された第一の識別マーク20cと第二の識別マーク30cとが施されている。
第一の識別マーク20cは、表面実装部品12に対するリフロー半田が無鉛半田であるか
有鉛半田であるかによって、メタルマスク50の開口部を開口または閉口することによって異なる概観を有するものである。
第二の識別マーク30cは、表面実装部品13またはリード部品11、14に対するフロー半田が無鉛半田であるか有鉛半田であるかによってメタルマスク50の開口部を開口または閉口することによって異なる概観を有するものであり、第一・第二の識別マークは、メタルマスク50の開口部の形状を異なるものにすることによって、第一の識別マーク20cと第二の識別マーク30cとが区分されるものである。
【0035】
以上のとおり、リフロー半田面となる第一面に設けられた第一・第二の識別マークによって、第一面のリフロー半田部が無鉛半田であるか有鉛半田であるかを識別すると共に、フロー半田部が無鉛半田であるか有鉛半田であるかを区別して識別するようになっていて、各識別マークは電子回路基板の銅箔部を用いて形成され、メタルマスクの開口の有無と開口部の形状によって外観を変化させて識別するようになっている。
従って、無鉛または有鉛のリフロー半田と無鉛または有鉛のフロー半田が混在しても簡単に目視識別することができると共に、シルク印刷工程が不要となって電子回路基板が安価となる効果がある。
また、電子回路基板自体の製造工程でシルク印刷によって識別表示するものに比べて、電子部品の実装組み立て工程において識別マークが形成されるので、現品に対応して間違いのない識別マークを形成することができる効果がある。
【0036】
また、第一・第二の識別マークは、半田レジスト膜26、36によって分離された中核部25、35と外郭部21〜24、31〜34とによって構成されている。
無鉛半田が行なわれる場合の電子回路基板10の接続用銅箔ランドと各識別マークの中核部25、35と外郭部21〜24、31〜34は、半田メッキによるプリコートが行なわれておらず、プリフラックスによって防錆処理が施されていて、各識別マーク201、301に対するメタルマスクは中核部25、35のみに半田ペースト27、37を塗布するための開口部が設けられている。
有鉛半田が行なわれる場合の電子回路基板10の接続用銅箔ランドと各識別マークの中核部25、35と外郭部21〜24、31〜34は半田メッキ28、38によるプリコートが行なわれているものであるか、または半田メッキによるプリコートが行なわれずプリフラックスによって防錆処理が施されているものであるかの二種類のものがあり、有鉛半田に対しては、半田メッキ28、38が施された場合の各識別マーク203、303に対するメタルマスクと、半田メッキが施されない場合の各識別マーク202、302に対するメタルマスクとは、いずれも中核部25、35と外郭部21〜24、31〜34に対して開口部が設けられず、半田ペーストが塗布されないようになっている。
【0037】
以上のとおり、各識別マークは、中核部と外郭部によって構成され、半田メッキを有する有鉛基板と半田メッキを施さない無鉛基板との外観上の差異を外郭部によって表現するようになっている。
従って、多様な製法の電子回路基板に対して有鉛・無鉛の違いを簡単に識別することができる特徴がある。
【0038】
さらにまた、中核部25、35は、無鉛半田であるか有鉛半田であるかによってメタルマスクの開口部を開口または閉口することによって異なる概観を有する部分である。
外郭部21〜24、31〜34の一部は、メタルマスクの開口部を開口または閉口することによって異なる概観による第一・第二の識別マーク204、304を得て、適用される無鉛半田の材質種別を示すものとなっている。
以上のとおり、各識別マークは中核部と外郭部によって構成され、外郭部の一部に半田ペーストを塗布するか否かによって無鉛半田の材質が区分できるようになっている。
従って、多様な製法の電子回路基板に対して有鉛・無鉛の違いを区別するだけでなく、無
鉛半田の材質の違いを簡単に識別することができる特徴がある。
【0039】
また、中核部25、35は、無鉛半田であるか有鉛半田であるかによってメタルマスク50の開口部55a、55bを開口または閉口することによって異なる概観を有する部分である。
外郭部21〜24、31〜34の一部は、メタルマスクの肉薄部54a、54bによって閉鎖されて半田ペーストの塗布が行なわれない部分であって、メタルマスクの磨耗によって肉薄部が摩滅開口することによって半田ペーストが漏出塗布されてメタルマスクの寿命が到来したことを示す第一または第二の識別マーク205、305である。
以上のとおり、各識別マークの少なくとも一方にはメタルマスクの磨耗によって半田ペーストが塗布される磨耗検出機能が付加されている。
従って、製造工程管理の過程において注目監視する部位が散在せず、速やかにメタルマスクの異常を発見することができる特徴がある。
【0040】
さらに、電子回路基板の第一面10aと第二面10bには線状または面状のバーコード、またはIDタグメモリによるID情報媒体40c、40sが設けられている。
ID情報媒体40c、40sは、どちらの面に設けられたものであるかの配置情報と、リフロー半田が無鉛半田であるか有鉛半田であるかの第一の材質情報と、フロー半田が無鉛半田であるか有鉛半田であるかの第二の材質情報とに関する直接情報を包含しているか、或いはリフロー半田設備またはフロー半田設備において認定登録された基板型名コード番号とを包含している。
以上のとおり、電子回路基板の両面に半田材質情報に関する直接または間接情報を含むID情報媒体が設けられている。
従って、間違ったメタルマスクによって間違った識別マークが生成されることを防止する手段として活用することができる特徴がある。
【0041】
実施の形態2.
(1)構成の詳細な説明
以下に、この発明の実施の形態2による電子回路基板の部品実装半田工程について説明する。
図6は、この発明の実施の形態2による電子回路基板の製造工程の第一部分を示す説明図である。
図6において、基板スタッカ600には、部品実装されていない多数の電子回路基板10が第二面を上面として収納されている。
初段工程となる半田印刷工程610にはメタルマスク50が設けられ、半田容器90に収納されていたクリーム半田がメタルマスク50の上面に注入される。フリーフローコンベアで移送された電子回路基板10は、メタルマスク50の下面に上昇停止し、摺動片91がメタルマスク50の上面で摺動掃引されることによって、メタルマスク50の開口部から半田ペーストが塗布される。
電子回路基板10の第二面10bには、例えばバーコードによるID情報媒体40sが設けられていて、情報端末であるバーコードリーダ690によって、投入された電子回路基板10の素性となる機種番号が確認される。
メタルマスク50には、例えばバーコードによるID情報媒体691が設けられていて、情報端末であるバーコードリーダ692によって、適用されたメタルマスク50の素性となる管理番号が確認される。
半田容器90には、例えばバーコードによるID情報媒体693が設けられていて、情報端末であるバーコードリーダ694によって、使用された半田容器90の素性となる管理番号が確認される。
半田印刷工程610で使用される半田印刷機械には、例えば作業指示書に掲載されたバーコードによる作業指示媒体695が設けられていて、情報端末であるバーコードリーダ6
96によって、これから実施される半田印刷工程に適用される電子回路基板10の機種番号とメタルマスク50の管理番号と、半田容器90の管理番号が読み出されるようになっている。
【0042】
中段工程となる部品設置実装工程620では、フリーフローコンベアで移送された電子回路基板10が所定位置に上昇停止し、三次元ロボットであるサーフェースマウンタによって表面実装部品13が設置される。
後段工程となるリフロー半田工程630では、フリーフローコンベアで移送される電子回路基板10を予備加熱・半田付け本加熱・冷却を行なって、リフロー半田を行い、仮保存工程640において移送用スタッカに段積み仮収納される。
電子カメラ699は、リフロー半田工程630の直前位置に設けられ、電子回路基板10の第二面10bに設けられた第一の識別マーク20sを撮像する。
リフロー半田工程630で使用される半田付け機械には、例えば作業指示書に掲載されたバーコードによる作業指示媒体697が設けられていて、情報端末であるバーコードリーダ698によって、これから実施されるリフロー半田工程に適用される温度管理仕様が電子回路基板10に設けられた第一の識別マーク20sに対応したものとなっているかどうかが読み出されるようになっている。
【0043】
次に、図6の製造工程に続く第二工程ブロックの説明図である図7について説明する。
図7は、この発明の実施の形態2による電子回路基板の製造工程の第二部分を示す説明図である。
図7において、仮保存工程640によって電子回路基板10が仮保存された基板スタッカ700には、多数の仕掛り電子回路基板10が第二面を上面として収納されている。
初段工程となる表裏反転工程710は、電子回路基板10の表裏を反転させて次段工程の半田印刷工程720に投入する工程となっている。
半田印刷工程720と部品設置実装工程730とリフロー半田工程740と仮保存工程750は、図6における半田印刷工程610と部品設置実装工程620とリフロー半田工程630と仮保存工程640に相当するものであり、図6の工程ブロックに比べると表裏反転工程710が追加されたことによって、電子回路基板10の第一面10aに対する表面実装部品12のリフロー半田が行なわれるようになっている。
【0044】
次に、図7の製造工程に続く第三工程ブロックの説明図である図8について説明する。図8は、この発明の実施の形態2による電子回路基板の製造工程の第三部分を示す説明図である。
図8において、仮保存工程750によって電子回路基板10が仮保存された基板スタッカ800には、多数の仕掛り電子回路基板10が第一面を上面として収納されている。
挿入実装工程810では、基板スタッカ800から仕掛り電子回路基板10の供給を受けて、フリーフローコンベアで移送された電子回路基板10が所定位置に上昇停止し、三次元ロボットであるインサータによって、リード部品11が図示しない基板貫通孔に挿入される。
中段工程となる局部フロー半田工程820では、フリーフローコンベアで移送される電子回路基板10のリード部品11のリード端子部にフラックスを塗布し、予備加熱を行なってから局部フロー半田を行ない、冷却工程830を経て、完成保存工程840において製品組立工程への移送用スタッカに段積み収納される。
電子カメラ899は、局部フロー半田工程820の直前位置に設けられ、電子回路基板10の第一面10aに設けられた第二の識別マーク30cを撮像する。
局部フロー半田工程820で使用される半田付け機械には、例えば作業指示書に掲載されたバーコードによる作業指示媒体891が設けられていて、情報端末であるバーコードリーダ892によって、これから実施されるフロー半田工程に適用される温度管理仕様が電子回路基板10に設けられた第二の識別マーク30cに対応したものとなっているかどう
かが読み出されるようになっている。
【0045】
なお、電子回路基板10の第一面10aには、例えばバーコードによるID情報媒体40cが設けられていて、情報端末であるバーコードリーダ890によって、投入された電子回路基板10の素性となる機種番号が確認される。
局部フロー半田工程820で使用されるフロー半田機械には、前述の作業指示媒体891が設けられていて、情報端末であるバーコードリーダ892によって、これから実施される局部フロー半田工程に適用される電子回路基板10の機種番号が読み出されるようになっている。
挿入実装工程810は、バーコードリーダ890と892の情報が一致していることによって動作開始し、局部フロー半田工程820は、電子カメラ899から得られる情報と、バーコードリーダ892から得られる情報とが一致しているときに動作を開始するようになっている。
【0046】
図9は、図6の製造工程を示す工程フロー図である。
図10は、図7の製造工程を示す工程フロー図である。
図11は、図8の製造工程を示す工程フロー図である。
【0047】
(2)作用動作の詳細な説明
以上のとおりに構成された実施の形態2の車載電子基板の部品実装半田工程について、その作用動作を説明する。
まず、図6に対応する動作説明用フローチャートである図9において、ステップ611は、第一工程ブロックの動作開始ステップ、続くステップ612aは、基板スタッカ600が設置され、情報端末690によって電子回路基板10の第二面に設けられたID情報媒体40sから電子回路基板10の機種情報を読み出すステップである。
続くステップ612bは、作業指示媒体695から得られる電子回路基板10の機種情報を読み出して、ステップ612aで読み出された機種情報と合致しているかどうかを判定するステップであり、ステップ612bが一致判定であれば、OKとなってステップ613aへ移行し、不一致判定であれば、NGとなってステップ612cへ移行するようになっている。
ステップ612cでは、オペレータに異常報知し、オペレータによって修復処理を行って、再度ステップ612aへ復帰移行するようになっている。
【0048】
ステップ613aは、メタルマスク50を設置して、情報端末692によってメタルマスク50に設けられたID情報媒体691から適用される電子回路基板10の機種情報を読み出すステップである。
続くステップ613bは、作業指示媒体695から得られる電子回路基板10の機種情報を読み出して、ステップ613aで読み出された機種情報と合致しているかどうかを判定するステップであり、ステップ613bが一致判定であれば、OKとなってステップ614aへ移行し、不一致判定であれば、NGとなってステップ613cへ移行するようになっている。
ステップ613cでは、オペレータに異常報知し、オペレータによって修復処理を行って、再度ステップ613aへ復帰移行するようになっている。
ステップ614aは、半田容器90からクリーム半田を出してメタルマスク50に注入し、情報端末694よって半田容器90に設けられたID情報媒体693から適用された半田の材質情報を読み出すステップである。
続くステップ614bは、作業指示媒体695から得られる半田材質情報を読み出して、ステップ614aで読み出された材質情報と合致しているかどうかを判定するステップであり、ステップ614bが一致判定であれば、OKとなってステップ616へ移行し、不一致判定であれば、NGとなってステップ614cへ移行するようになっている。
ステップ614cでは、オペレータに異常報知し、オペレータによって修復処理を行って再度ステップ614aへ復帰移行するようになっている。
ステップ616によって、適切なメタルマスク50と半田クリームとによる半田印刷が電子回路基板10の第二面にある接続用銅箔ランドに塗布されて、基板スタッカ600内の電子回路基板10の全てに対する半田印刷が完了するまで、逐次投入された電子回路基板10に対する半田印刷が実行される。
【0049】
ステップ612a〜ステップ616は、半田印刷工程610に相当するものとなっている。
続くステップ627は、半田印刷工程610に続いて逐次、表面実装部品13を設置する部品設置実装工程620に相当するものである。
続くステップ635aは、作業指示媒体697に基づいてリフロー炉の温度設定を行うステップ、続くステップ635bは、電子カメラ699によって電子回路基板10の第二面に設けられた第一の識別マーク20sの情報を読み出して、ステップ635aにおける作業指示媒体697の内容と合致しているかどうかを判定するステップであり、ステップ635bが一致判定であれば、OKとなってステップ638へ移行し、不一致判定であれば、NGとなってステップ635cへ移行するようになっている。
ステップ635cでは、オペレータに異常報知し、オペレータによって修復処理を行って、再度ステップ635aへ復帰移行するようになっている。
ステップ638によって適切な温度プロファイルに基づくリフロー半田が行なわれ、基板スタッカ600内の電子回路基板10の全てに対するリフロー半田が完了するまで、逐次投入された電子回路基板10に対するリフロー半田が実行される。
ステップ635a〜ステップ638は、リフロー半田工程630に相当するものとなっている。
第二面に対する表面実装部品13のリフロー半田が行なわれた電子回路基板10は、仮保存工程640において基板スタッカに仕掛収納されて、全電子回路基板10が収納されたことによって第一工程ブロックの動作終了ステップ641へ移行する。
【0050】
次に、図7に対応する動作説明用フローチャートである図10について説明する。
ステップ711は、第二工程ブロックの動作開始ステップ、続くステップ712aは、基板スタッカ700が設置され、情報端末790によって電子回路基板10の第一面に設けられたID情報媒体40cから電子回路基板10の機種情報を読み出すステップである。続くステップ712bは、作業指示媒体795から得られる電子回路基板10の機種情報を読み出して、ステップ712aで読み出された機種情報と合致しているかどうかを判定するステップであり、ステップ712bが一致判定であれば、OKとなってステップ712へ移行し、不一致判定であれば、NGとなってステップ712cへ移行するようになっている。
ステップ712cでは、オペレータに異常報知し、オペレータによって修復処理を行って、再度ステップ712aへ復帰移行するようになっている。
ステップ712は、電子回路基板10の表裏反転を順次行なうステップであり、ステップ712a〜ステップ712によって基板反転工程710が構成されている。
続くステップ723a〜ステップ726は、半田印刷工程720を構成し、部品設置実装工程730とリフロー半田工程740と仮保存工程750を経て、ステップ751によって第二工程ブロックに対する動作が終了する。
なお、図10の動作フローチャートは、図9のものに比べて表裏反転工程710が付加されている点だけが異なっている。
【0051】
次に、図8に対応する動作説明用フローチャートである図11について説明する。
ステップ811は、第三工程ブロックの動作開始ステップ、続くステップ812aは、基板スタッカ800が設置され、情報端末890によって電子回路基板10の第一面に設け
られたID情報媒体40cから電子回路基板10の機種情報を読み出すステップである。続くステップ812bは、作業指示媒体891から得られる電子回路基板10の機種情報を読み出して、ステップ812aで読み出された機種情報と合致しているかどうかを判定するステップであり、ステップ812bが一致判定であれば、OKとなってステップ817へ移行し、不一致判定であれば、NGとなってステップ812cへ移行するようになっている。
ステップ812cでは、オペレータに異常報知し、オペレータによって修復処理を行って、再度ステップ812aへ復帰移行するようになっている。
ステップ817は、電子回路基板10の第一面から図示しない基板貫通孔を通してリード部品11のリード端子を挿入するステップであり、基板スタッカ800内の電子回路基板10の全てに対する部品実装が完了するまで、逐次投入された電子回路基板10に対する部品挿入が実行される。
ステップ812a〜ステップ817によって挿入実装工程810が構成されている。
【0052】
続くステップ825aは、作業指示媒体891に基づいてフロー半田炉の温度設定を行うステップ、続くステップ825bは、電子カメラ899によって電子回路基板10の第一面に設けられた第二の識別マーク30cの情報を読み出して、ステップ825aにおける作業指示媒体891の内容と合致しているかどうかを判定するステップであり、ステップ825bが一致判定であれば、OKとなってステップ828へ移行し、不一致判定であれば、NGとなってステップ825cへ移行するようになっている。
ステップ825cでは、オペレータに異常報知し、オペレータによって修復処理を行って、再度ステップ825aへ復帰移行するようになっている。
ステップ828によって適切な半田材質と温度プロファイルに基づくフロー半田が行なわれ、基板スタッカ800内の電子回路基板10の全てに対するフロー半田が完了するまで、逐次投入された電子回路基板10に対するフロー半田が実行される。
ステップ825a〜ステップ828は、局部フロー半田工程820に相当するものとなっている。
リード部品11のリード端子に対するフロー半田が行なわれた電子回路基板10は、ステップ839による冷却工程830を経て、完成保存工程840において基板スタッカに収納されて、全電子回路基板10が収納されたことによって、第三工程ブロックの動作終了ステップ841へ移行する。
【0053】
なお、動作フローチャート全体の概要を説明すると、図6、図7、図8で示した各工程ブロックの動作開始に当たっては、対象となる電子回路基板10のCADデータを基にして、工程620や工程730で使用されるサーフェースマウンタの制御プログラムや、工程810で使用されるインサータの制御プログラムが格納され、工程630や工程740で使用されるリフロー半田炉の温度プロファイルが設定され、工程820で使用される半田の材質と温度プロファイルが設定される。
各工程ブロックの冒頭位置に到来設置された電子回路基板10の収納ラック600、700、800の出口では、情報端末690、790、890によって電子回路基板10に設けられたバーコード、またはIDタグメモリによるID情報媒体40c、40sから得られる第一の基礎情報が読み出される。
当該工程ブロックの上流位置の設備機械に設けられた情報端末696、796、892は、作業指示媒体695、795、891から得られる第二の基礎情報を読み出す。
第一・第二の基礎情報は、当該工程ブロックにおいて処理される基板面が、第一面または第二面のどちらの面に関するものであるかの処理面情報を包含すると共に、第一・第二の基礎情報の少なくとも一方または両方は、リフロー半田が無鉛半田であるか有鉛半田であるかの第一の材質情報と、フロー半田が無鉛半田であるか有鉛半田であるかの第二の材質情報とに関する直接情報を包含している。
直接情報が第一・第二の基礎情報の中の一方だけに含まれている場合には、相互に適正な
一対の組合せとなっていることを認証するための連携番号を共有するようになっている。例えば、作業指示媒体から得られる第二の基礎情報が、第一・第二の材質情報と適用される電子回路基板の機種番号情報を包含し、電子回路基板10から得られる第一の基礎情報が機種番号情報であった場合には、当該機種番号情報が連携番号に相当するものとなっている。
動作開始監視手段となるステップ612b、712b、812bは、第一・第二の基礎情報が合致しているときに、当該工程ブロックの動作開始を許可する手段となっている。
【0054】
第一の監視手段となるステップ613b、723bは、電子回路基板10に設けられたID情報媒体40s、40c、または半田印刷工程610、720に対応した作業指示媒体695、795に設けられた運転仕様情報の少なくとも一方に基づく基礎情報と、メタルマスク50に設けられたバーコードまたはIDタグメモリによるID情報媒体691、791から読み出された現品情報とが合致していて、適正な管理番号のメタルマスクが使用されているかどうかを監視する手段となっている。
第二の監視手段となるステップ614b、724bは、電子回路基板10に設けられたID情報媒体40s、40c、または半田印刷工程610、720に対応した作業指示媒体695、795に設けられた運転仕様情報の少なくとも一方に基づく基礎情報と、半田容器90に設けられたバーコードまたはIDタグメモリによるID情報媒体693、793から読み出された現品情報とが合致していて、適正な管理番号の半田容器90に収納された半田が使用されているかどうかを監視する手段となっている。
【0055】
第三の監視手段となるステップ635b、745bは、電子回路基板10の第二面10bまたは第一面10aに設けられた第一の識別マーク20s、20cを電子カメラ699、799で撮像して得られる識別情報と、リフロー半田工程630、740に対応した作業指示媒体697、797に設けられた運転仕様情報とが合致していて、リフロー半田炉の設定温度が無鉛または有鉛半田に適合しているかどうかを監視する手段となっている。第四の監視手段となるステップ825bは、電子回路基板10の第一面10aに設けられた第二の識別マーク30cを電子カメラ899で撮像して得られる識別情報と、局部フロー半田工程820に対応した作業指示媒体891に設けられた運転仕様情報とが合致していて、フロー半田炉の半田材料の種別と設定温度が無鉛または有鉛半田に適合しているかどうかを監視する手段である。
作業指示媒体695、697、795、797、891は、半田印刷工程610、720またはリフロー半田工程630、740または局部フロー半田工程820で動作する設備機械の駆動制御用プログラマブルコントローラに格納されたプログラムメモリであるか、または当該設備機械に掲示された作業指示書に掲載されたバーコードである。
【0056】
(3)実施の形態2の要点と特徴
この発明の実施の形態2による電子回路基板の管理方法によれば、表面実装部品13、12と基板貫通孔に挿入されるリード部品11とが搭載され、無鉛半田または有鉛半田によって接続用銅箔ランドに半田接続される電子回路基板10に対する半田種別の管理方法であって、電子回路基板10は表面実装部品13、12に対するリフロー半田が無鉛半田であるか有鉛半田であるかによってメタルマスクの開口部を開口または閉口することによって異なる概観を得る第一の識別マーク20s、20cと、リード部品11に対するフロー半田が無鉛半田であるか有鉛半田であるかによってメタルマスクの開口部を開口または閉口することによって異なる概観を得る第二の識別マーク30cとを備え、電子回路基板10の第二面10bに対する半田印刷工程610と、部品設置実装工程620と、リフロー半田工程630と、電子回路基板10の第一面10aに対する半田印刷工程720と、部品設置実装工程730と、リフロー半田工程740と、第一面10aに対するリード部品11の挿入実装工程810と、第二面10bに対する局部フロー半田工程820とを含んでいる。
【0057】
第二・第一面の半田印刷工程610、720は、いずれも第一・第二の監視手段613b、723b、614b、724bの管轄下において、電子回路基板10の銅箔ランドに対してメタルマスク50を介して半田ペーストを塗布する工程であって、当該半田印刷工程610、720において、第一・第二の識別マーク20s、20c、30cで必要とされる識別用の半田ペーストが施される。
第一の監視手段613b、723bは、電子回路基板10に設けられたID情報媒体40s、40c、または当該半田印刷工程に対応した作業指示媒体695、795に設けられた運転仕様情報の少なくとも一方に基づく基礎情報と、メタルマスク50に設けられたバーコードまたはIDタグメモリによるID情報媒体691から読み出された現品情報とが合致していて、適正な管理番号のメタルマスクが使用されているかどうかを監視する手段である。
第二の監視手段614b、724bは、電子回路基板10に設けられたID情報媒体40s、40c、または当該半田印刷工程に対応した作業指示媒体695、795に設けられた運転仕様情報の少なくとも一方に基づく基礎情報と、半田容器90に設けられたバーコードまたはIDタグメモリによるID情報媒体693、793から読み出された現品情報とが合致していて、適正な管理番号の半田容器90に収納された半田が使用されているかどうかを監視する手段である。
【0058】
第二・第一面の部品設置実装工程620、730は、表面実装部品13、12を半田ペーストが塗布された銅箔ランド上に搭載する工程である。
第二・第一面のリフロー半田工程630、740は、第三の監視手段635b、745bの管轄下において、表面実装部品13、12が搭載された電子回路基板10を加熱・冷却して半田ペーストを溶融して半田付けする工程である。
第三の監視手段635b、745bは、電子回路基板10の第二面10bまたは第一面10aに設けられた第一の識別マーク20s、20cを電子カメラ699、799で撮像して得られる識別情報と、当該リフロー半田工程に対応した作業指示媒体697、797に設けられた運転仕様情報とが合致していて、リフロー半田炉の設定温度が無鉛または有鉛半田に適合しているかどうかを監視する手段である。
挿入実装工程810は、電子回路基板10の貫通孔を通して第一面10a側からリード部品11のリード端子を挿入する工程である。
局部フロー半田工程820は、第四の監視手段825bの管轄下において、挿入実装工程810において仮取付されたリード部品11に関し、第二面10bの下側から溶融半田を接触付着させて半田付けする工程である。
【0059】
第四の監視手段825bは、電子回路基板10の第一面10aに設けられた第二の識別マーク30cを電子カメラ899で撮像して得られる識別情報と、当該局部フロー半田工程に対応した作業指示媒体891に設けられた運転仕様情報とが合致していて、フロー半田炉の半田材料の種別と設定温度が無鉛または有鉛半田に適合しているかどうかを監視する手段である。
作業指示媒体695、697、795、797、891は、半田印刷工程またはリフロー半田工程または局部フロー半田工程で動作する設備機械の駆動制御用プログラマブルコントローラに格納されたプログラムメモリであるか、または当該設備機械に掲示された作業指示書に掲載されたバーコードである。
【0060】
以上のとおり、この発明の実施の形態2による電子回路基板の管理方法によれば、局部フロー半田が付加された両面リフロー半田が施され、無鉛または有鉛半田が使用される電子回路基板の半田付け工程において、リフロー半田の無鉛・有鉛を識別する第一の識別マークと、フロー半田の無鉛・有鉛を識別する第二の識別マークとが半田印刷工程で形成され、当該第一・第二の識別マークは半田工程の直前に電子カメラによって撮像されて半田
の材質に依存した適性な温度管理がなされているかどうかが確認されるようになっている。
また、半田印刷工程においては適正なメタルマスクと半田が使用されているかどうかが確認されるようになっている。
従って、誤った識別マークが形成されないようにすると共に、当該識別マークは、リサイクル処理の段階で活用されるだけでなく、電子回路基板の製造工程の中でも活用され、誤った工程管理の発生を防止することができる効果がある。
【0061】
また、各工程の実行順序として、まず、電子回路基板10の第二面10bに対する半田印刷工程610と、部品設置実装工程620と、リフロー半田工程630とが実行される。
続いて基板の表裏反転工程710を経て、電子回路基板10の第一面10aに対する半田印刷工程720と、部品設置実装工程730と、リフロー半田工程740とが実行される。
さらに、第一面10aに対するリード部品11の挿入実装工程810と、第二面10bに対する局部フロー半田工程820とが実行されるものである。
以上のとおり、リード部品に対する局部フロー半田が付加された表面実装部品の両面リフロー半田が施される電子回路基板の半田付け工程において、リード部品が取付られない第二面のリフロー半田を先行し、最終工程で局部フロー半田を行なうようになっている。
従って、電子回路基板の表裏反転は、1回だけ行えばよいので、全体工程が簡略化される特徴がある。
【0062】
また、各工程は、動作開始監視手段612b、712b、812bの管轄下で動作を開始する複数の工程ブロックに分割されて構成されている。
工程ブロックの冒頭位置に設置された電子回路基板の収納ラック600、700、800の出口には、電子回路基板10に設けられたバーコード、またはIDタグメモリによるID情報媒体40c、40sから得られる第一の基礎情報を読み出す情報端末690、790、890が設置されると共に、当該工程ブロックの上流位置の設備機械に設けられた作業指示媒体695、795、891から得られる第二の基礎情報を読み出す情報端末696、796、892が設置されている。
リフロー半田工程630、740またはフロー半田工程820は、分割された工程ブロックの最終位置に配置されている。
動作開始監視手段612b、712b、812bは、第一・第二の基礎情報が合致しているときに当該工程ブロックの動作開始を許可する手段である。
以上のとおり、全体工程が複数の工程ブロックに分割され、リフロー半田工程またはフロー半田工程は分割された工程ブロックの最終位置に配置されると共に、各工程ブロックの開始工程では動作開始監視手段によって第一・第二の基礎情報の照合が行なわれるようになっている。
従って、異常発生に伴う工程間の滞留によって電子回路基板が高温炉中に放置されることがない特徴がある。
また、電子回路基板に設けられたIDコード情報と作業指示媒体から得られる運転仕様情報を照合して、誤った電子回路基板の投入が行なわれないようにすることができる特徴がある。
【0063】
さらにまた、第一・第二の基礎情報は、工程ブロックにおいて処理される基板面が、第一面または第二面のどちらの面に関するものであるかの処理面情報を包含すると共に、第一・第二の基礎情報の少なくとも一方または両方は、リフロー半田が無鉛半田であるか有鉛半田であるかの第一の材質情報と、フロー半田が無鉛半田であるか有鉛半田であるかの第二の材質情報とに関する直接情報を包含している。
直接情報が第一・第二の基礎情報の中の一方だけに含まれている場合には、相互に適正な
一対の組合せとなっていることを認証するための連携番号を共有するものである。
以上のとおり、動作開始監視手段で適用される第一・第二の基礎情報は半田材質情報に加えて処理面情報を包含している。
従って、各工程ブロックの冒頭において電子回路基板の第一・第二面を誤って投入することがない特徴がある。
【0064】
実施の形態3.
(1)構成の詳細な説明
以下に、この発明の実施の形態3による電子回路基板の部品実装半田工程について説明する。
なお、前述の実施の形態2の場合に比べて実施の形態3の場合には、リフロー半田が第一面のみで行なわれ、たとえ第二面に表面実装部品があったとしても、この表面実装部品は、リード部品と共にフロー半田が行なわれ、第二面でのリフロー半田が行なわれない点が主な相違点となっていて、これに応じて工程順序も変更されている。
図12は、この発明の実施の形態3による電子回路基板の製造工程の第一部分を示す説明図である。
図12において、基板スタッカ200、半田印刷工程210、部品設置実装工程220、リフロー半田工程230、仮保存工程240は、図6で示された基板スタッカ600、半田印刷工程610、部品設置実装工程620、リフロー半田工程630、仮保存工程640と全く同じ工程ブロックとなっているが、図12の場合は、第一面に対するリフロー半田を行なう工程ブロックとなっている。
【0065】
次に、図12の製造工程に続く第二工程ブロックを示す図13について説明する。
図13は、この発明の実施の形態3による電子回路基板の製造工程の第二部分を示す説明図である。
図13において、仮保存工程240によって電子回路基板10が仮保存された基板スタッカ300には、多数の仕掛り電子回路基板10が第一面を上面として収納されている。
初段工程となる表裏反転工程310は、電子回路基板10の表裏を反転させて、次段工程の接着材塗布工程320に投入する工程となっている。
電子回路基板10の第一面10aには、例えばバーコードによるID情報媒体40cが設けられていて、情報端末であるバーコードリーダ390によって、投入された電子回路基板10の素性となる機種番号が確認される。
表裏反転工程310で使用される反転機械には、例えば作業指示書に掲載されたバーコードによる作業指示媒体391が設けられていて、情報端末であるバーコードリーダ392によって、これから実施される表面実装部品の接着工程に適用される電子回路基板10の機種番号が読み出されるようになっている。
【0066】
接着材塗布工程320では、フリーフローコンベアで移送された電子回路基板10を所定位置で上昇静止させて接着材が塗布される。
接着材は、接着材容器92から三次元ロボットハンドの先端部に設けられたノズルを経て、電子回路基板10の各部に塗布されるものである。
接着材の塗布部位は、予め当該電子回路基板10のCADデータから抽出された表面実装部品13の取付位置となっている。
部品設置実装工程330では、フリーフローコンベアで移送された電子回路基板10を所定位置で上昇静止させて、三次元ロボットハンドによって表面実装部品13が設置される。
表面実装部品13の設置位置は、予め当該電子回路基板10のCADデータから抽出されたデータに基づいている。
フリーフローコンベアで順次移送される電子回路基板10は、接着材乾燥工程340によって加熱乾燥・冷却を行なって、表面実装部品13を電子回路基板10の所定部位に接着
し、表裏反転工程350を経て仮保存工程360で基板スタッカに仮収納される。
【0067】
次に、図13の製造工程に続く第三工程ブロックを示す図14について説明する。
図14は、この発明の実施の形態3による電子回路基板の製造工程の第三部分を示す説明図である。
図14において、仮保存工程360によって電子回路基板10が仮保存された基板スタッカ400には、多数の仕掛り電子回路基板10が第一面を上面として収納されている。
挿入実装工程410では、基板スタッカ400から仕掛り電子回路基板10の供給を受けて、フリーフローコンベアで移送された電子回路基板10が所定位置に上昇停止し、三次元ロボットであるインサータによってリード部品14が図示しない基板貫通孔に挿入される。
電子回路基板10の第一面10aには、例えばバーコードによるID情報媒体40cが設けられていて、情報端末であるバーコードリーダ490によって投入された電子回路基板10の素性となる機種番号が確認される。
引き続く挿入実装工程420では、フリーフローコンベアで移送された電子回路基板10が所定位置に上昇停止し、三次元ロボットであるインサータによってリード部品11が図示しない基板貫通孔に挿入され、仮保存工程430によって基板スタッカに仮収納される。
なお、挿入実装工程410、420におけるリード部品14、11の挿入位置は、予め当該電子回路基板10のCADデータから抽出されたデータに基づいている。
挿入実装工程410、420で使用されるインサータには、例えば作業指示書に掲載されたバーコードによる作業指示媒体491、493が設けられていて、情報端末であるバーコードリーダ492、494によって、これから実施される部品挿入で適用される電子回路基板10の機種番号が読み出されるようになっている。
【0068】
次に、図14の製造工程に続く第四工程ブロックを示す図15について説明する。
図15は、この発明の実施の形態3による電子回路基板の製造工程の第四部分を示す説明図である。
図15において、仮保存工程430によって電子回路基板10が仮保存された基板スタッカ500には、多数の仕掛り電子回路基板10が第一面を上面として収納されている。
フロー半田工程510では、フリーフローコンベアで移送される電子回路基板10のリード部品11、14のリード端子部と表面実装部品13の電極部にフラックスを塗布し、予備加熱を行なってからフロー半田を行ない、冷却工程520を経て、完成保存工程530において製品組立工程への移送用スタッカに段積み収納される。
電子カメラ599は、フロー半田工程510の直前位置に設けられ、電子回路基板10の第一面10aに設けられた第二の識別マーク30cを撮像する。
フロー半田工程510で使用される半田付け機械には、例えば作業指示書に掲載されたバーコードによる作業指示媒体591が設けられていて、情報端末であるバーコードリーダ592によって、これから実施されるフロー半田工程に適用される温度管理仕様が電子回路基板10に設けられた第二の識別マーク30cに対応したものとなっているかどうかが読み出されるようになっている。
【0069】
なお、電子回路基板10の第一面10aには、例えばバーコードによるID情報媒体40cが設けられていて、情報端末であるバーコードリーダ590によって、投入された電子回路基板10の素性となる機種番号が確認される。
フロー半田工程510で使用されるフロー半田機械には、前述の作業指示媒体591が設けられていて、情報端末であるバーコードリーダ592によって、これから実施されるフロー半田工程に適用される電子回路基板10の機種番号が読み出されるようになっている。
フロー半田工程510は、バーコードリーダ590と592の情報が一致していると共に
、電子カメラ599から得られる情報とバーコードリーダ592から得られる情報とが一致しているときに動作を開始するようになっている。
【0070】
図16は、図12の製造工程を示す工程フロー図である。
図17は、図13の製造工程を示す工程フロー図である。
図18は、図14の製造工程を示す工程フロー図である。
図19は、図15の製造工程を示す工程フロー図である。
【0071】
(2)作用動作の詳細な説明
以上のとおりに構成された実施の形態3の車載電子基板の部品実装半田工程について、その作用動作を説明する。
まず、図12に対する動作説明用フローチャートである図16について説明する。
ステップ211は、第一工程ブロックの動作開始ステップであり、開始ステップ211から第一工程ブロックの動作終了ステップ241に至る一連のステップは、電子回路基板10の第一面に表面実装部品12をリフロー半田するものであり、その作用動作は、図9の場合と同一である。
ただし、図9の場合は、第二面に対する表面実装部品13のリフロー半田となっていて、図9では、600番台(図6に対応)の符号が用いられているに対して、図16では、200番台(図12に対応)の符号が用いられている。
【0072】
次に、図13に対する動作説明用フローチャートである図17について説明する。
ステップ311は、第二工程ブロックの動作開始ステップ、続くステップ311aは、第二面に装着される表面実装部品13があれば、YESの判定を行なってステップ312aへ移行し、無ければ、動作終了ステップ361へ移行する判定ステップであり、当該判定ステップ311aは、オペレータによって判定されるものである。
続くステップ312aは、基板スタッカ300が設置され、情報端末390によって電子回路基板10の第一面に設けられたID情報媒体40cから電子回路基板10の機種情報を読み出すステップである。
続くステップ312bは、作業指示媒体391から得られる電子回路基板10の機種情報を読み出して、ステップ312aで読み出された機種情報と合致しているかどうかを判定するステップであり、当該ステップ312bが一致判定であれば、OKとなってステップ312へ移行し、不一致判定であれば、NGとなってステップ312cへ移行するようになっている。
ステップ312cでは、オペレータに異常報知し、オペレータによって修復処理を行って、再度ステップ312aへ復帰移行するようになっている。
ステップ312は、電子回路基板10の表裏反転を順次行なうステップであり、ステップ312a〜ステップ312によって基板反転工程310が構成されている。
【0073】
続くステップ326aは、接着材を塗布するステップであって、接着材塗布工程320に相当し、続くステップ337は、表面実装部品13を設置するステップであって、部品設置実装工程330に相当し、続くステップ347は、接着材を加熱乾燥・冷却するステップであって、接着材乾燥工程340に相当し、続くステップ352は、電子回路基板10の表裏を再度反転して元に戻しておく表裏反転工程350に相当し、続いて仮保存工程360を経て動作終了ステップ361へ移行するようになっている。
【0074】
次に、図14に対する動作説明用フローチャートである図18について説明する。
ステップ411は、第三工程ブロックの動作開始ステップ、続くステップ411aは、第二面に装着されるリード部品14があれば、YESの判定を行なって、ステップ412aへ移行し、無ければ、ステップ422aへ移行する判定ステップであり、当該判定ステップ411aは、オペレータによって判定されるものである。
続くステップ412aは、基板スタッカ400が設置され、情報端末490によって電子回路基板10の第一面に設けられたID情報媒体40cから電子回路基板10の機種情報を読み出すステップである。
続くステップ412bは、作業指示媒体491から得られる電子回路基板10の機種情報を読み出して、ステップ412aで読み出された機種情報と合致しているかどうかを判定するステップであり、当該ステップ412bが一致判定であれば、OKとなってステップ417へ移行し、不一致判定であれば、NGとなってステップ412cへ移行するようになっている。
ステップ412cでは、オペレータに異常報知し、オペレータによって修復処理を行って、再度ステップ412aへ復帰移行するようになっている。
ステップ417は、電子回路基板10の第一面から図示しない基板貫通孔を通してリード部品14のリード端子を挿入するステップであり、基板スタッカ400内の電子回路基板10の全てに対する部品実装が完了するまで、逐次投入された電子回路基板10に対する部品挿入が実行される。
ステップ412a〜ステップ417によって挿入実装工程410が構成されている。
同様に、続くステップ422a〜ステップ427によって、挿入実装工程420が構成され、ステップ427によってリード部品11が挿入されて、続いて仮保存工程430を経て、動作終了ステップ431へ移行するようになっている。
【0075】
次いで、図15に対する動作説明用フローチャートである図19について説明する。
ステップ511は、第四工程ブロックの動作開始ステップ、続くステップ512aは、基板スタッカ500が設置され、情報端末590によって電子回路基板10の第一面に設けられたID情報媒体40cから電子回路基板10の機種情報を読み出すステップである。続くステップ512bは、作業指示媒体591から得られる電子回路基板10の機種情報を読み出して、ステップ512aで読み出された機種情報と合致しているかどうかを判定するステップであり、当該ステップ512bが一致判定であれば、OKとなってステップ515aへ移行し、不一致判定であれば、NGとなってステップ512cへ移行するようになっている。
ステップ512cでは、オペレータに異常報知し、オペレータによって修復処理を行って、再度ステップ512aへ復帰移行するようになっている。
【0076】
続くステップ515aは、作業指示媒体591に基づいてフロー半田炉の温度設定を行うステップ、続くステップ515bは、電子カメラ599によって電子回路基板10の第一面に設けられた第二の識別マーク30cの情報を読み出して、ステップ515aにおける作業指示媒体591の内容と合致しているかどうかを判定するステップであり、当該ステップ515bが一致判定であれば、OKとなってステップ518へ移行し、不一致判定であれば、NGとなってステップ515cへ移行するようになっている。
ステップ515cでは、オペレータに異常報知し、オペレータによって修復処理を行って、再度ステップ515aへ復帰移行するようになっている。
ステップ518によって適切な半田材質と温度プロファイルに基づくフロー半田が行なわれ、基板スタッカ500内の電子回路基板10の全てに対するフロー半田が完了するまで、逐次投入された電子回路基板10に対するフロー半田が実行される。
ステップ512a〜ステップ518は、フロー半田工程510に相当するものとなっている。
表面実装部品13とリード部品14、11のリード端子に対するフロー半田が行なわれた電子回路基板10は、ステップ529による冷却工程520を経て、完成保存工程530において基板スタッカに収納されて、全電子回路基板10が収納されたことによって、第四工程ブロックの動作終了ステップ531へ移行する。
【0077】
なお、動作フローチャート全体の概要を説明すると、図12〜図15で示した各工程ブ
ロックの動作開始に当たっては、対象となる電子回路基板10のCADデータを基にして、工程220と工程330で使用されるサーフェースマウンタの制御プログラムや、工程410と工程420で使用されるインサータの制御プログラムや、工程320で使用される接着材塗布位置データが格納されると共に、工程230で使用されるリフロー半田炉の温度プロファイルが設定され、工程510で使用される半田の材質と温度プロファイルが設定され、工程340で使用される接着材乾燥温度プロファイルが設定される。
各工程ブロックの冒頭位置に到来設置された電子回路基板10の収納ラック200、300、400、500の出口では、情報端末290、390、490、590によって電子回路基板10に設けられたバーコード、またはIDタグメモリによるID情報媒体40c、40sから得られる第一の基礎情報が読み出される。
当該工程ブロックの上流位置の設備機械に設けられた情報端末296、392、492、494、592は、作業指示媒体295、391、491、493、591から得られる第二の基礎情報を読み出す。
第一・第二の基礎情報は、当該工程ブロックにおいて処理される基板面が、第一面または第二面のどちらの面に関するものであるかの処理面情報を包含すると共に、第一・第二の基礎情報の少なくとも一方または両方は、リフロー半田が無鉛半田であるか有鉛半田であるかの第一の材質情報と、フロー半田が無鉛半田であるか有鉛半田であるかの第二の材質情報とに関する直接情報を包含している。
直接情報が第一・第二の基礎情報の中の一方だけに含まれている場合には、相互に適正な一対の組合せとなっていることを認証するための連携番号を共有するようになっている。動作開始監視手段となるステップ212b、312b、412b、422b、512bは、第一・第二の基礎情報が合致しているときに、当該工程ブロックの動作開始を許可する手段となっている。
【0078】
第一の監視手段となるステップ213bは、電子回路基板10に設けられたID情報媒体40c、または半田印刷工程210に対応した作業指示媒体295に設けられた運転仕様情報の少なくとも一方に基づく基礎情報と、メタルマスク50に設けられたバーコードまたはIDタグメモリによるID情報媒体291から読み出された現品情報とが合致していて、適正な管理番号のメタルマスクが使用されているかどうかを監視する手段となっている。
第二の監視手段となるステップ214bは、電子回路基板10に設けられたID情報媒体40c、または半田印刷工程210に対応した作業指示媒体295に設けられた運転仕様情報の少なくとも一方に基づく基礎情報と、半田容器90に設けられたバーコードまたはIDタグメモリによるID情報媒体293から読み出された現品情報とが合致していて、適正な管理番号の半田容器90に収納された半田が使用されているかどうかを監視する手段となっている。
【0079】
第三の監視手段となるステップ235bは、電子回路基板10の第一面10aに設けられた第一の識別マーク20cを電子カメラ299で撮像して得られる識別情報と、リフロー半田工程230に対応した作業指示媒体297に設けられた運転仕様情報とが合致していて、リフロー半田炉の設定温度が無鉛または有鉛半田に適合しているかどうかを監視する手段となっている。
第四の監視手段となるステップ515bは、電子回路基板10の第一面10aに設けられた第二の識別マーク30cを電子カメラ599で撮像して得られる識別情報と、フロー半田工程510に対応した作業指示媒体591に設けられた運転仕様情報とが合致していて、フロー半田炉の半田材料の種別と設定温度が無鉛または有鉛半田に適合しているかどうかを監視する手段である。
作業指示媒体295、297、391、491、493、591は、半田印刷工程210またはリフロー半田工程230または表裏反転工程310または部品挿入実装工程410、420またはフロー半田工程510で動作する設備機械の駆動制御用プログラマブルコ
ントローラに格納されたプログラムメモリであるか、または当該設備機械に掲示された作業指示書に掲載されたバーコードである。
【0080】
(3)実施の形態3の要点と特徴
この発明の実施の形態3による電子回路基板の管理方法によれば、表面実装部品12、13と基板貫通孔に挿入されるリード部品14、11とが搭載され、無鉛半田または有鉛半田によって接続用銅箔ランドに半田接続される電子回路基板10に対する半田種別の管理方法であって、電子回路基板10は、表面実装部品12に対するリフロー半田が無鉛半田であるか有鉛半田であるかによってメタルマスクの開口部を開口または閉口することによって異なる概観を得る第一の識別マーク20cと、リード部品14、11に対するフロー半田が無鉛半田であるか有鉛半田であるかによってメタルマスクの開口部を開口または閉口することによって異なる概観を得る第二の識別マーク30cとを備えると共に、電子回路基板10の第一面10aに対する半田印刷工程210と、部品設置実装工程220と、リフロー半田工程230と、電子回路基板10の第二面10bに対する表面実装部品13の接着実装工程320、330、340または第一面10aに対するリード部品14、11の挿入実装工程410、420の少なくとも一方または両方の工程と、第二面10bに対するフロー半田工程510とを備えている。
【0081】
半田印刷工程210は、第一・第二の監視手段213b、214bの管轄下において電子回路基板10の銅箔ランドに対してメタルマスク50を介して半田ペーストを塗布する工程であって、当該半田印刷工程210において第一・第二の識別マーク20c、20s、30cで必要とされる識別用の半田ペーストが施される。
第一の監視手段213bは、電子回路基板10に設けられたID情報媒体40c、または当該半田印刷工程210に対応した作業指示媒体295に設けられた運転仕様情報の少なくとも一方に基づく基礎情報と、メタルマスク50に設けられたバーコードまたはIDタグメモリによるID情報媒体291から読み出された現品情報とが合致していて、適正な管理番号のメタルマスクが使用されているかどうかを監視する手段である。
第二の監視手段214bは、電子回路基板10に設けられたID情報媒体40c、または当該半田印刷工程210に対応した作業指示媒体295に設けられた運転仕様情報の少なくとも一方に基づく基礎情報と、半田容器90に設けられたバーコードまたはIDタグメモリによるID情報媒体293から読み出された現品情報とが合致していて、適正な管理番号の半田容器に収納された半田が使用されているかどうかを監視する手段である。
【0082】
部品設置実装工程220は、表面実装部品12を半田ペーストが塗布された銅箔ランド上に搭載する工程である。
リフロー半田工程230は、第三の監視手段235bの管轄下において表面実装部品12が搭載された電子回路基板10を加熱・冷却して半田ペーストを溶融して半田付けする工程である。
第三の監視手段235bは、電子回路基板10の第一面10aに設けられた第一の識別マーク20cを電子カメラ299で撮像して得られる識別情報と、当該リフロー半田工程230に対応した作業指示媒体297に設けられた運転仕様情報とが合致していて、リフロー半田炉の設定温度が無鉛または有鉛半田に適合しているかどうかを監視する手段である。
接着実装工程は、電子回路基板10の第二面10bに対する接着材塗布工程320と表面実装部品13の設置実装工程330と接着材乾燥工程340によって構成されて、表面実装部品13を接着乾燥させて仮取付を行なう工程である。
挿入実装工程410、420は、電子回路基板10の貫通孔を通して第一面10a側からリード部品14、11のリード端子を挿入する工程である。
【0083】
フロー半田工程510は、第四の監視手段515bの管轄下において、接着実装工程3
20、330、340または挿入実装工程410、420において仮取付された表面実装部品13またはリード部品14、11の少なくとも一方に関し、第二面10bの下側から溶融半田を接触付着させて半田付けする工程である。
第四の監視手段515bは、電子回路基板10の第一面10aに設けられた第二の識別マーク30cを電子カメラ599で撮像して得られる識別情報と、当該フロー半田工程510に対応した作業指示媒体591に設けられた運転仕様情報とが合致していて、フロー半田炉の半田材料の種別と設定温度が無鉛または有鉛半田に適合しているかどうかを監視する手段である。
作業指示媒体295、297、391、491、493、591は、半田印刷工程またはリフロー半田工程またはフロー半田工程で動作する設備機械の駆動制御用プログラマブルコントローラに格納されたプログラムメモリであるか、または当該設備機械に掲示された作業指示書に掲載されたバーコードである。
【0084】
以上のとおり、この発明の実施の形態3による電子回路基板の管理方法によれば、第一面に無鉛または有鉛半田によるリフロー半田が施され、第二面に無鉛または有鉛半田によるフロー半田が施される電子回路基板の半田付け工程において、リフロー半田の無鉛・有鉛を識別する第一の識別マークと、フロー半田の無鉛・有鉛を識別する第二の識別マークとが半田印刷工程で形成され、当該第一・第二の識別マークは半田工程の直前に電子カメラによって撮像されて半田の材質に依存した適性な温度管理がなされているかどうかが確認されるようになっている。
また、半田印刷工程においては適正なメタルマスクと半田が使用されているかどうかが確認されるようになっている。
従って、誤った識別マークが形成されないようにすると共に、当該識別マークは、リサイクル処理の段階で活用されるだけでなく、電子回路基板の製造工程の中でも活用され、誤った工程管理の発生を防止することができる効果がある。
【0085】
また、各工程の実行順序として、まず、電子回路基板10の第一面10aに対する半田印刷工程210と、部品設置実装工程220と、リフロー半田工程230とが実行される。
続いて基板の表裏反転工程310と、電子回路基板10の第二面10bに対する表面実装部品13の接着実装工程320、330、340と、再度の表裏反転工程350を経るか、または第一面10aに対するリード部品14、11の挿入実装工程410、420の少なくとも一方の工程が実行され、さらに、第二面10bに対するフロー半田工程510が実行されるものである。
以上のとおり、第一面に表面実装部品のリフロー半田が施され、第二面にリード部品または表面実装部品に対するフロー半田が施される電子回路基板の半田付け工程において、第一面のリフロー半田を先行し、第二面に表面実装部品がある場合には一旦電子回路基板の表裏反転を行なってから表面実装部品の接着仮取付を行い、再度電子回路基板の表裏反転を行なってからリード部品の挿入と第二面のフロー半田を行なうようになっている。
従って、電子回路基板の表裏反転は、第二面の表面実装があれば2回、第二面の表面実装部品がなければ表裏反転は無しとなって全体工程が簡略化される特徴がある。
【0086】
さらにまた、各工程は、動作開始監視手段212b、312b、412b、422b、512bの管轄下で動作を開始する複数の工程ブロックに分割されて構成されている。
工程ブロックの冒頭位置に到来設置された電子回路基板の収納ラック200、300、400、500の出口には、電子回路基板10に設けられたバーコード、またはIDタグメモリによるID情報媒体40c、40sから得られる第一の基礎情報を読み出す情報端末290、390、490、590が設置されると共に、当該工程ブロックの上流位置の設備機械に設けられた作業指示媒体295、391、491、493、591から得られる第二の基礎情報を読み出す情報端末296、392、492、592が設置されている。
リフロー半田工程230またはフロー半田工程510または接着材乾燥工程340は、分割された工程ブロックの最終位置に配置されている。
動作開始監視手段212b、312b、412b、422b、512bは、第一・第二の基礎情報が合致しているときに当該工程ブロックの動作開始を許可する手段である。
以上のとおり、全体工程が複数の工程ブロックに分割され、リフロー半田工程またはフロー半田工程または接着材乾燥工程は、分割された工程ブロックの最終位置に配置されると共に、各工程ブロックの開始工程では、動作開始監視手段によって第一・第二の基礎情報の照合が行なわれるようになっている。
従って、異常発生に伴う工程間の滞留によって電子回路基板が高温炉中に放置されることがない特徴がある。
また、電子回路基板に設けられたIDコード情報と作業指示媒体から得られる運転仕様情報を照合して、誤った電子回路基板の投入が行なわれないようにすることができる特徴がある。
【0087】
また、第一・第二の基礎情報は、工程ブロックにおいて処理される基板面が、第一面10aまたは第二面10bのどちらの面に関するものであるかの処理面情報を包含すると共に、第一・第二の基礎情報の少なくとも一方または両方は、リフロー半田が無鉛半田であるか有鉛半田であるかの第一の材質情報と、フロー半田が無鉛半田であるか有鉛半田であるかの第二の材質情報とに関する直接情報を包含している。
直接情報が第一・第二の基礎情報の中の一方だけに含まれている場合には、相互に適正な一対の組合せとなっていることを認証するための連携番号を共有するものである。
以上のとおり、動作開始監視手段で適用される第一・第二の基礎情報は、半田材質情報に加えて処理面情報を包含している。
従って、各工程ブロックの冒頭において電子回路基板の第一・第二面を誤って投入することがない特徴がある。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】この発明の実施の形態1による電子回路基板を示す両面図である。
【図2】この発明の実施の形態1による電子回路基板の第一の識別マークを示す詳細図である。
【図3】この発明の実施の形態1による電子回路基板の第二の識別マークを示す詳細図である。
【図4】この発明の実施の形態1による電子回路基板の変形型の第一・第二の識別マークを示す詳細図である。
【図5】この発明の実施の形態1による電子回路基板の改良型の第一・第二の識別マークを示す詳細図である。
【図6】この発明の実施の形態2による電子回路基板の製造工程の第一部分を示す説明図である。
【図7】この発明の実施の形態2による電子回路基板の製造工程の第二部分を示す説明図である。
【図8】この発明の実施の形態2による電子回路基板の製造工程の第三部分を示す説明図である。
【図9】図6の製造工程を示す工程フロー図である。
【図10】図7の製造工程を示す工程フロー図である。
【図11】図8の製造工程を示す工程フロー図である。
【図12】この発明の実施の形態3による電子回路基板の製造工程の第一部分を示す説明図である。
【図13】この発明の実施の形態3による電子回路基板の製造工程の第二部分を示す説明図である。
【図14】この発明の実施の形態3による電子回路基板の製造工程の第三部分を示す説明図である。
【図15】この発明の実施の形態3による電子回路基板の製造工程の第四部分を示す説明図である。
【図16】図12の製造工程を示す工程フロー図である。
【図17】図13の製造工程を示す工程フロー図である。
【図18】図14の製造工程を示す工程フロー図である。
【図19】図15の製造工程を示す工程フロー図である。
【符号の説明】
【0089】
10 電子回路基板
10a 第一面
10b 第二面
11 リード部品(コネクタ)
12,13 表面実装部品
14 リード部品(大型部品)
20c 第一の識別マーク(第一面)
20s 第一の識別マーク(第二面)
201 第一の識別マーク(無鉛・メッキ無し)
202 第一の識別マーク(有鉛・メッキ無し)
203 第一の識別マーク(有鉛・メッキ有り)
204 第一の識別マーク(特殊無鉛・メッキ無し)
205 第一の識別マーク(寿命表示・メッキ無し)
21〜24 外郭部
25 中核部
26 半田レジスト膜
27 半田ペースト
28 半田メッキ
29 プリフラックス
30c 第二の識別マーク(第一面)
301 第二の識別マーク(無鉛・メッキ無し)
302 第二の識別マーク(有鉛・メッキ無し)
303 第二の識別マーク(有鉛・メッキ有り)
304 第二の識別マーク(特殊無鉛・メッキ無し)
305 第二の識別マーク(寿命表示・メッキ無し)
31〜34 外郭部
35 中核部
36 半田レジスト膜
37 半田ペースト
38 半田メッキ
39 プリフラックス
40c ID情報媒体(第一面)
40s ID情報媒体(第二面)
50 メタルマスク
53a 外郭開口部
54a 肉薄部
53b 外郭開口部
54b 肉薄部
90 半田容器
210 半田印刷工程
212b 動作開始監視手段
213b 第一の監視手段
214b 第二の監視手段
220 部品設置実装工程
230 リフロー半田工程
235b 第三の監視手段
290,292 バーコードリーダ(情報端末)
291 ID情報媒体(メタルマスク)
293 ID情報媒体(半田容器)
294,296 バーコードリーダ(情報端末)
295 作業指示媒体(作業指示書)
297 作業指示媒体(作業指示書)
298 バーコードリーダ(情報端末)
299 電子カメラ
310 表裏反転工程
312b 動作開始監視手段
320 接着材塗布工程
330 部品設置実装工程
340 接着材乾燥工程
350 表裏反転工程
390
バーコードリーダ(情報端末)
391 作業指示媒体(作業指示書)
392 バーコードリーダ(情報端末)
410 挿入実装工程
412b,422b 動作開始監視手段
420 挿入実装工程
490 バーコードリーダ(情報端末)
491,493 作業指示媒体(作業指示書)
492,494 バーコードリーダ(情報端末)
510 フロー半田工程
512b 動作開始監視手段
515b 第四の監視手段
590 バーコードリーダ(情報端末)
591 作業指示媒体(作業指示書)
592 バーコードリーダ(情報端末)
599 電子カメラ
610 半田印刷工程
612b 動作開始監視手段
613b 第一の監視手段
614b 第二の監視手段
620 部品設置実装工程
630 リフロー半田工程
635b 第三の監視手段
690,692 バーコードリーダ(情報端末)
691 ID情報媒体(メタルマスク)
693 ID情報媒体(半田容器)
694,696 バーコードリーダ(情報端末)
695 作業指示媒体(作業指示書)
697 作業指示媒体(作業指示書)
698 バーコードリーダ(情報端末)
699 電子カメラ
710 表裏反転工程
712b 動作開始監視手段
720 半田印刷工程
723b 第一の監視手段
724b 第二の監視手段
730 部品設置実装工程
740 リフロー半田工程
745b 第三の監視手段
790 バーコードリーダ(情報端末)
791 ID情報媒体(メタルマスク)
792 バーコードリーダ(情報端末)
793 ID情報媒体(半田容器)
794 バーコードリーダ(情報端末)
795 作業指示媒体(作業指示書)
796 バーコードリーダ(情報端末)
797 作業指示媒体(作業指示書)
798 バーコードリーダ(情報端末)
799 電子カメラ
810 挿入実装工程
812b 動作開始監視手段
820 局部フロー半田工程
825b 第四の監視手段
890 バーコードリーダ(情報端末)
891 作業指示媒体(作業指示書)
892 バーコードリーダ(情報端末)
899 電子カメラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面実装部品と基板貫通孔に挿入されるリード部品とが搭載され、無鉛半田または有鉛半田によって接続用銅箔ランドに半田接続される電子回路基板であって、
上記電子回路基板は、メタルマスクを介して半田ペーストが塗布された接続用銅箔ランド上に、上記表面実装部品の電極部を載置してから過熱溶着するリフロー半田が行なわれると共に、上記リード部品に対する部品取付面となる第一面と、この第一面と同様の上記表面実装部品がリフロー半田されてから、上記リード部品の端部と上記接続用銅箔ランドとを溶融半田に接触付着させる局部フロー半田が行なわれる第二面とによって構成され、
上記第一面には、第一の識別マークと第二の識別マークとが施され、上記第二面には、第一の識別マークが施され、上記第一の識別マークは、上記表面実装部品に対するリフロー半田が無鉛半田であるか有鉛半田であるかによって上記メタルマスクの開口部を開口または閉口することによって異なる概観を有するものであり、上記第二の識別マークは、上記リード部品に対する局部フロー半田が無鉛半田であるか有鉛半田であるかによって上記メタルマスクの開口部を開口または閉口することによって異なる概観を有するものであり、上記第二面に設けられた上記第一の識別マークは、上記局部フロー半田が行なわれない部位に設けられていることを特徴とする電子回路基板。
【請求項2】
表面実装部品と基板貫通孔に挿入されるリード部品とが搭載され、無鉛半田または有鉛半田によって接続用銅箔ランドに半田接続される電子回路基板であって、
上記電子回路基板は、メタルマスクを介して半田ペーストが塗布された接続用銅箔ランド上に、上記表面実装部品の電極部を載置してから過熱溶着するリフロー半田が行なわれる第一面と、この第一面の反対面に仮接着された上記表面実装部品の電極部と上記接続用銅箔ランドとを溶融半田に接触付着させるフロー半田、または上記第一面から上記基板貫通孔を通して挿入実装されたリード部品のリード線端部と上記接続用銅箔ランドを溶融半田に接触付着させるフロー半田の少なくとも一方または両方のフロー半田が行なわれる第二面によって構成され、
上記第一面には、第一の識別マークと第二の識別マークとが施され、上記第一の識別マークは、上記表面実装部品に対するリフロー半田が無鉛半田であるか有鉛半田であるかによって上記メタルマスクの開口部を開口または閉口することによって異なる概観を有するものであり、上記第二の識別マークは、上記表面実装部品または上記リード部品に対するフロー半田が無鉛半田であるか有鉛半田であるかによって上記メタルマスクの開口部を開口または閉口することによって異なる概観を有するものであることを特徴とする電子回路基板。
【請求項3】
上記第一及び第二の識別マークは、半田レジスト膜によって分離された中核部と外郭部とによって構成されると共に、上記無鉛半田が行なわれる場合の上記電子回路基板の接続用銅箔ランドと上記各識別マークの中核部と外郭部は、半田メッキによるプリコートが行なわれておらず、プリフラックスによって防錆処理が施されていて、上記各識別マークに対する上記メタルマスクは、中核部のみに半田ペーストを塗布するための開口部が設けられ、上記有鉛半田が行なわれる場合の上記電子回路基板の接続用銅箔ランドと上記各識別マークの中核部と外郭部は、半田メッキによるプリコートが行なわれているものであるか、または半田メッキによるプリコートが行なわれずプリフラックスによって防錆処理が施されているものであるかの二種類のものがあり、上記有鉛半田に対しては半田メッキが施された場合の上記各識別マークに対する上記メタルマスクと、半田メッキが施されない場合の上記各識別マークに対する上記メタルマスクとは、いずれも上記中核部と上記外郭部に対して開口部が設けられず、上記半田ペーストが塗布されないようになっていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電子回路基板。
【請求項4】
上記中核部は、無鉛半田であるか有鉛半田であるかによって、上記メタルマスクの開口
部を開口または閉口することによって異なる概観を有する部分であり、上記外郭部の一部は、上記メタルマスクの開口部を開口または閉口することによって異なる概観による上記第一及び第二の識別マークを得て、適用される無鉛半田の材質種別を示すものであることを特徴とする請求項3に記載の電子回路基板。
【請求項5】
上記中核部は、無鉛半田であるか有鉛半田であるかによって上記メタルマスクの開口部を開口または閉口することによって異なる概観を有する部分であり、上記外郭部の一部は、上記メタルマスクの肉薄部によって閉鎖されて上記半田ペーストの塗布が行なわれない部分であって、上記メタルマスクの磨耗によって上記肉薄部が摩滅開口することによって上記半田ペーストが漏出塗布されて上記メタルマスクの寿命が到来したことを示すことを特徴とする請求項3に記載の電子回路基板。
【請求項6】
上記電子回路基板の上記第一面と上記第二面には、線状または面状のバーコード、またはIDタグメモリによるID情報媒体が設けられ、上記ID情報媒体は、どちらの面に設けられたものであるかの配置情報と、上記リフロー半田が無鉛半田であるか有鉛半田であるかの第一の材質情報と、上記フロー半田が無鉛半田であるか有鉛半田であるかの第二の材質情報とに関する直接情報を包含しているか、或いは上記リフロー半田を行う設備または上記フロー半田を行う設備において、認定登録された基板型名コード番号とを包含していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電子回路基板。
【請求項7】
上記第一及び第二の識別マークは、上記メタルマスクの開口部の形状を異なるものにすることによって、上記第一の識別マークと上記第二の識別マークとが区分されるものであることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載の電子回路基板。
【請求項8】
表面実装部品と基板貫通孔に挿入されるリード部品とが搭載され、無鉛半田または有鉛半田によって接続用銅箔ランドに半田接続される電子回路基板に対する半田種別を管理する電子回路基板の管理方法であって、
上記電子回路基板は、上記表面実装部品に対するリフロー半田が無鉛半田であるか有鉛半田であるかによってメタルマスクの開口部を開口または閉口することによって異なる概観を有する第一の識別マークと、上記リード部品に対するフロー半田が無鉛半田であるか有鉛半田であるかによって上記メタルマスクの開口部を開口または閉口することによって異なる概観を有する第二の識別マークとを有するとともに、
上記電子回路基板の第二面に対する半田印刷工程と、部品設置実装工程と、リフロー半田工程と、上記電子回路基板の上記第二面の反対側の第一面に対する半田印刷工程と、部品設置実装工程と、リフロー半田工程と、上記第一面に対するリード部品の挿入実装工程と、上記第二面に対する局部フロー半田工程とによって形成され、
上記第二面及び第一面の半田印刷工程は、いずれも第一及び第二の監視手段の管轄下において、上記電子回路基板の銅箔ランドに対してメタルマスクを介して半田ペーストを塗布する工程であって、当該半田印刷工程において、上記第一及び第二の識別マークで必要とされる識別用の半田ペーストが施され、上記第一の監視手段は、上記電子回路基板に設けられたID情報媒体、または当該半田印刷工程に対応した作業指示媒体に設けられた運転仕様情報の少なくとも一方に基づく基礎情報と、上記メタルマスクに設けられたバーコードまたはIDタグメモリによるID情報媒体から読み出された現品情報とが合致していて、適正な管理番号のメタルマスクが使用されているかどうかを監視する手段であり、上記第二の監視手段は、上記電子回路基板に設けられたID情報媒体、または当該半田印刷工程に対応した作業指示媒体に設けられた運転仕様情報の少なくとも一方に基づく基礎情報と、上記半田を収納する半田容器に設けられたバーコードまたは上記IDタグメモリによるID情報媒体から読み出された現品情報とが合致していて、適正な管理番号の半田容器に収納された半田が使用されているかどうかを監視する手段であり、上記第二面及び第一面の部品設置実装工程は、上記表面実装部品を上記半田ペーストが塗布された銅箔ランド
上に搭載する工程であり、上記第二面及び第一面のリフロー半田工程は、第三の監視手段の管轄下において、上記表面実装部品が搭載された電子回路基板を加熱・冷却して、上記半田ペーストを溶融して半田付けする工程であり、上記第三の監視手段は、上記電子回路基板の第二面または第一面に設けられた第一の識別マークを電子カメラで撮像して得られる識別情報と、当該リフロー半田工程に対応した作業指示媒体に設けられた運転仕様情報とが合致していて、リフロー半田炉の設定温度が無鉛または有鉛半田に適合しているかどうかを監視する手段であり、上記挿入実装工程は、上記電子回路基板の貫通孔を通して第一面側から上記リード部品のリード端子を挿入する工程であり、上記局部フロー半田工程は、第四の監視手段の管轄下において、上記挿入実装工程において仮取付された上記リード部品に関し、上記第二面の下側から溶融半田を接触付着させて半田付けする工程であり、上記第四の監視手段は、上記電子回路基板の第一面に設けられた第二の識別マークを電子カメラで撮像して得られる識別情報と、当該局部フロー半田工程に対応した作業指示媒体に設けられた運転仕様情報とが合致していて、フロー半田炉の半田材料の種別と設定温度が無鉛または有鉛半田に適合しているかどうかを監視する手段であり、上記作業指示媒体は、上記半田印刷工程またはリフロー半田工程または局部フロー半田工程で動作する設備機械の駆動制御用プログラマブルコントローラに格納されたプログラムメモリであるか、または当該設備機械に掲示された作業指示書に掲載されたバーコードであることを特徴とする電子回路基板の管理方法。
【請求項9】
上記各工程の実行順序として、まず、上記電子回路基板の第二面に対する半田印刷工程と、上記部品設置実装工程と、上記リフロー半田工程とが実行され、続いて上記電子回路基板の表裏反転工程を経て、上記電子回路基板の第一面に対する上記半田印刷工程と、上記部品設置実装工程と、上記リフロー半田工程とが実行され、さらに、上記第一面に対する上記リード部品の挿入実装工程と、上記第二面に対する局部フロー半田工程とが実行されるものであることを特徴とする請求項8に記載の電子回路基板の管理方法。
【請求項10】
表面実装部品と基板貫通孔に挿入されるリード部品とが搭載され、無鉛半田または有鉛半田によって接続用銅箔ランドに半田接続される電子回路基板に対する半田種別を管理する管理方法であって、
上記電子回路基板は、上記表面実装部品に対するリフロー半田が無鉛半田であるか有鉛半田であるかによってメタルマスクの開口部を開口または閉口することによって異なる概観を有する第一の識別マークと、上記リード部品に対するフロー半田が無鉛半田であるか有鉛半田であるかによって上記メタルマスクの開口部を開口または閉口することによって異なる概観を有する第二の識別マークとを有するとともに、
上記電子回路基板の第一面に対する半田印刷工程と、部品設置実装工程と、リフロー半田工程と、上記電子回路基板の上記第一面の反対側の第二面に対する上記表面実装部品の接着実装工程または上記第一面に対する上記リード部品の挿入実装工程の少なくとも一方または両方の工程と、上記第二面に対するフロー半田工程とによって形成され、
上記半田印刷工程は、第一及び第二の監視手段の管轄下において、上記電子回路基板の銅箔ランドに対して上記メタルマスクを介して半田ペーストを塗布する工程であって、当該半田印刷工程において、上記第一及び第二の識別マークで必要とされる識別用の半田ペーストが施され、上記第一の監視手段は、上記電子回路基板に設けられたID情報媒体、または当該半田印刷工程に対応した作業指示媒体に設けられた運転仕様情報の少なくとも一方に基づく基礎情報と、上記メタルマスクに設けられたバーコードまたはIDタグメモリによるID情報媒体から読み出された現品情報とが合致していて、適正な管理番号のメタルマスクが使用されているかどうかを監視する手段であり、上記第二の監視手段は、上記電子回路基板に設けられたID情報媒体、または当該半田印刷工程に対応した作業指示媒体に設けられた運転仕様情報の少なくとも一方に基づく基礎情報と、上記半田を収納する半田容器に設けられたバーコードまたはIDタグメモリによるID情報媒体から読み出された現品情報とが合致していて、適正な管理番号の半田容器に収納された半田が使用され
ているかどうかを監視する手段であり、上記部品設置実装工程は、上記表面実装部品を上記半田ペーストが塗布された銅箔ランド上に搭載する工程であり、上記リフロー半田工程は、第三の監視手段の管轄下において、上記表面実装部品が搭載された電子回路基板を加熱・冷却して上記半田ペーストを溶融して半田付けする工程であり、上記第三の監視手段は、上記電子回路基板の第一面に設けられた上記第一の識別マークを電子カメラで撮像して得られる識別情報と、当該リフロー半田工程に対応した作業指示媒体に設けられた運転仕様情報とが合致していて、リフロー半田炉の設定温度が無鉛または有鉛半田に適合しているかどうかを監視する手段であり、上記接着実装工程は、上記電子回路基板の第二面に対する接着材塗布工程と上記表面実装部品の設置実装工程と接着材乾燥工程によって構成されて、上記表面実装部品を接着乾燥させて仮取付を行なう工程であり、上記挿入実装工程は、上記電子回路基板の貫通孔を通して上記第一面側から上記リード部品のリード端子を挿入する工程であり、上記フロー半田工程は、第四の監視手段の管轄下において、上記接着実装工程または挿入実装工程において仮取付された表面実装部品またはリード部品の少なくとも一方に関し、上記第二面の下側から溶融半田を接触付着させて半田付けする工程であり、上記第四の監視手段は、上記電子回路基板の第一面に設けられた第二の識別マークを電子カメラで撮像して得られる識別情報と、当該フロー半田工程に対応した作業指示媒体に設けられた運転仕様情報とが合致していて、フロー半田炉の半田材料の種別と設定温度が無鉛または有鉛半田に適合しているかどうかを監視する手段であり、上記作業指示媒体は、上記半田印刷工程またはリフロー半田工程またはフロー半田工程で動作する設備機械の駆動制御用プログラマブルコントローラに格納されたプログラムメモリであるか、または当該設備機械に掲示された作業指示書に掲載されたバーコードであることを特徴とする電子回路基板の管理方法。
【請求項11】
上記各工程の実行順序として、まず、上記電子回路基板の第一面に対する上記半田印刷工程と、上記部品設置実装工程と、上記リフロー半田工程とが実行され、続いて上記電子回路基板の表裏反転工程と、上記電子回路基板の第二面に対する上記表面実装部品の接着実装工程と、再度の表裏反転工程を経るか、または上記第一面に対する上記リード部品の挿入実装工程の少なくとも一方の工程が実行され、さらに、上記第二面に対するフロー半田工程が実行されるものであることを特徴とする請求項10に記載の電子回路基板の管理方法。
【請求項12】
上記各工程は、動作開始監視手段の管轄下で動作を開始する複数の工程ブロックに分割されていて、上記工程ブロックの冒頭位置に設置された上記電子回路基板の収納ラックの出口には上記電子回路基板に設けられたバーコード、またはIDタグメモリによるID情報媒体から得られる第一の基礎情報を読み出す情報端末が設置されると共に、当該工程ブロックの上流位置の設備機械に設けられた作業指示媒体から得られる第二の基礎情報を読み出す情報端末が設置され、上記リフロー半田工程または上記フロー半田工程または上記接着材乾燥工程は、上記分割された工程ブロックの最終位置に配置され、上記動作開始監視手段は、上記第一及び第二の基礎情報が合致しているときに当該工程ブロックの動作開始を許可する手段であることを特徴とする請求項8または請求項10に記載の電子回路基板の管理方法。
【請求項13】
上記第一及び第二の基礎情報は、上記工程ブロックにおいて処理される上記電子回路基板面が第一面または第二面のどちらの面に関するものであるかの処理面情報を包含すると共に、上記第一及び第二の基礎情報の少なくとも一方または両方は、上記リフロー半田が無鉛半田であるか有鉛半田であるかの第一の材質情報と、上記フロー半田が無鉛半田であるか有鉛半田であるかの第二の材質情報とに関する直接情報を包含し、上記直接情報が第一及び第二の基礎情報の中の一方だけに含まれている場合には、相互に適正な一対の組合せとなっていることを認証するための連携番号を共有するものであることを特徴とする請求項12に記載の電子回路基板の管理方法。

【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2009−21486(P2009−21486A)
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−184314(P2007−184314)
【出願日】平成19年7月13日(2007.7.13)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】