説明

電子打楽器

【課題】パッド状の操作面で演奏操作を行う電子打楽器において、演奏操作に対する楽音表現を多様化させる。
【解決手段】一の区画操作面であるパッドP、または複数のパッドPを組み合わせてなるグループ操作面Gのいずれかである一の操作領域に対して、記憶した演奏音のいずれかを割り当てておき、該操作領域に対する演奏操作に応じて割り当てた演奏音を発生させる電子打楽器1において、一の操作領域に対して複数回の演奏操作が行われる場合、各演奏操作に対して、そのうちいずれかの演奏操作に対しては、当該一の操作領域に割り当てられた演奏音を発生させ、他の演奏操作に対しては、他の操作領域に割り当てられた演奏音を発生させるパッドチェイン機能を備える。これにより、一の操作領域に対する複数回の演奏操作に対して、他の操作領域に割り当てられた演奏音を含む多種類の演奏音を切り換えて発音できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パッド状の演奏操作子に対する演奏操作に応じて電子的な演奏音を発生させる電子打楽器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1,2に示すように、パッド状の操作面(演奏操作子)を備え、該パッドを打撃する操作に応じてドラムやシンバルなどの打楽器を模擬した演奏音を発生させる電子打楽器がある。このようなパッド状の演奏操作子を備えた電子打楽器では、スティックあるいは手など身体の一部でパッドを打撃することで、打撃されたパッドに対応付けられた演奏情報が読み出され、それに応じて演奏音や短いフレーズの発音が行われるようになっている。
【0003】
ところで、特許文献1,2に示す電子打楽器は、複数のパッドを備えている。このような複数のパッドを備えた電子打楽器では、一のパッドの打撃操作に対して発生させる演奏音として、一種類の演奏音のみが割り当てられているのが通常であるが、中には、一のパッドに対して複数種類の演奏音が割り当てられている場合がある。その場合、一のパッドに割り当てられた複数種類の演奏音を、当該パッドに対する複数回の打撃に対応させて順番に発音させることができる。これによれば、同一のパッドを連続して打撃操作した場合、打撃操作ごとに異なる演奏音が発生するようになるので、一のパッドのみを用いた演奏でも、楽音表現の幅を広げることができる。しかしながら、従来は、一のパッドに複数種類の演奏音が割り当てられる場合でも、あくまで、当該パッドに割り当てられた演奏音のみの発音が可能であったため、当該パッドの操作だけでは、例えば、他のパッドに割り当てられた演奏音まで含むような、広い範囲の発音を行わせることができなかった。
【特許文献1】特許第3835163号公報
【特許文献2】特許第3554770号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上述の点に鑑みてなされたものでありその目的は、一の操作領域に対して行う複数回の演奏操作に対して、当該一の操作領域に割り当てられた演奏音だけでなく、他の操作領域に割り当てられた演奏音を含む多種類の演奏音を切り換えて発音できるようにして、演奏操作による楽音表現の多様化を図ることができる電子打楽器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため本発明にかかる電子打楽器は、複数の区画操作面(P)で構成された演奏操作部(10)と、複数種類の演奏音を記憶する記憶手段(43,47)と、一の区画操作面(P)、または少なくとも2つの区画操作面(P)を組み合わせてなるグループ操作面(G)のいずれかである操作領域(P,G)に対して、記憶手段(43,47)に記憶された演奏音のいずれかを割り当てる演奏音割当手段(45)と、操作領域(P,G)に対して行われた演奏操作を検出する演奏操作検出手段(22,26)と、該演奏操作検出手段(22,26)で検出した演奏操作に基づいて、操作領域(P,G)に割り当てられた演奏音を発生させる演奏音発生手段(45,41)と、を備え、演奏音発生手段(45,41)は、一の操作領域(P,G)に対して複数回の演奏操作が行われる場合、そのうちいずれかの演奏操作に対しては、当該一の操作領域(P,G)に割り当てられた演奏音を発生させ、他の演奏操作に対しては、他の操作領域(P,G)に割り当てられた演奏音を発生させることを特徴とする。なお、ここでの括弧内の符号は、後述する実施形態の対応する構成要素の符号を本発明の一例として示したものである。
【0006】
本発明によれば、一の区画操作面、または複数の区画操作面を組み合わせてなるグループ操作面のいずれかである一の操作領域に対して、複数回の演奏操作が行われる場合、そのうちいずれかの演奏操作に対しては、当該一の操作領域に割り当てられた演奏音を発生させ、他の演奏操作に対しては、他の操作領域に割り当てられた演奏音を発生させるようにしたので、一の操作領域に対する複数回の演奏操作に対して、他の操作領域に割り当てられた演奏音を含む多種類の演奏音を切り換えて発音させることができる。したがって、演奏操作に対する楽音表現の多様化を図ることができる。さらに、ここでの操作領域は、一の区画操作面またはグループ操作面のいずれかなので、一の区画操作面に対する複数回の演奏操作だけでなく、グループ操作面に対する複数回の演奏操作に対しても、他の操作領域に割り当てられた演奏音を発生させることができる。したがって、区画操作面とグループ操作面の両方を効果的に活用できるので、電子打楽器による演奏表現をより多様化させることが可能となる。
【0007】
また、上記の電子打楽器においては、他の操作領域(P,G)に割り当てられた演奏音が複数の操作領域(P,G)に割り当てられた複数の演奏音を含む場合、演奏音発生手段(45,41)は、一の操作領域(P,G)の複数回の演奏操作に対して、複数の領域(P,G)に割り当てられた複数の演奏音を所定の順番に従って発生させるとよい。これによれば、一の操作領域に対する複数回の演奏操作に対して、他の操作領域に割り当てられた演奏音を所定の順番で発生させることができ、一の操作領域の演奏操作に対して発生させる演奏音に規則性を持たせることできる。
【0008】
また、上記の電子打楽器においては、演奏音発生手段(45,41)は、一の操作領域(P,G)に対する複数回の演奏操作の間に、当該一の操作領域(P,G)以外の操作領域(P,G)に対する演奏操作が行われる場合、その前後に行われる一の操作領域(P,G)に対する演奏操作に対して発生させる演奏音は、前に行われた演奏操作に対して発生させた演奏音の順番を継続して、後に行われる演奏操作に対する演奏音を発生させるか、あるいは、その前後に行われる一の操作領域(P,G)の演奏操作に対して発生させる演奏音は、前に行われた演奏操作に対して発生させた演奏音の順番をリセットして、後に行われる演奏操作に対する演奏音を最初から順に発生させるようにしてよい。これによれば、一の操作領域に対して行う複数回の演奏操作に対して発生させる演奏音に規則性を持たせながらも、発生させる演奏音を多様化することができる。
【0009】
また、上記の電子打楽器においては、記憶手段(43,47)には、一の操作領域(P,G)及び他の操作領域(P,G)に割り当てる演奏音及びその順番に関する複数種類のデータが記憶されており、演奏音発生手段(45,41)は、一の操作領域(P,G)の演奏操作に対して発生させる演奏音及びその順番を、記憶手段(43,47)に記憶された複数種類のデータから選択して設定するようにしてもよい。これによれば、一の操作領域の演奏操作に対して発生させる演奏音の設定が簡単に行えるようになり、電子打楽器の操作性が向上する。
【0010】
さらに、上記の電子打楽器においては、操作領域(P,G)の演奏操作に対して発生させる演奏音に特殊奏法の効果を付加する奏法効果付加手段(45)と、特殊奏法に関する指示を入力するための操作領域(P,G)を設定する奏法指示領域設定手段(45)と、を備え、奏法指示領域設定手段(45)は、特殊奏法に関する指示を入力するための操作領域(P,G)を、演奏操作が行われる操作領域(P,G)に対応付けて設定するようにしてもよい。このように、演奏操作が行われる操作領域に対応付けて特殊奏法に関する指示を入力する操作領域を設定すれば、特殊奏法の効果を付加する操作が行い易くなり、電子打楽器による演奏表現の幅をさらに広げることができる。
【0011】
さらに、上記の電子打楽器では、演奏操作が行われる操作領域(P,G)、および特殊奏法に関する指示を入力するための操作領域(P,G)は、いずれもグループ操作面(G)としてよい。これによれば、グループ操作面の演奏操作に対して発生する演奏音に特殊奏法の効果が付加できる上に、特殊奏法の効果を付加する操作が行い易くなるので、電子打楽器による演奏表現の幅をさらに広げることができる。
【0012】
さらに、特殊奏法の指示を入力するための操作領域(P,G)として、複数種類の奏法で共通の区画操作面(P)あるいはグループ操作面(G)を設定してもよい。これによれば、特殊奏法に関する指示を入力するための操作領域の設定や特殊奏法の指示の入力が簡単に行えるようになるので、電子打楽器の演奏性、操作性が向上する。
【発明の効果】
【0013】
本発明にかかる電子打楽器によれば、一の操作領域に対して行う複数回の演奏操作に対して、他の操作領域に割り当てられた演奏音を含む多種類の演奏音を切り換えて発音させることができるので、演奏表現の多様化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、以下の説明で前後方向もしくは手前側及び奥側、あるいは左右(横)方向というときは、後述する電子打楽器1の演奏者側から見た前後方向もしくは手前側及び奥側、あるいは左右(横)方向を指すものとする。
【0015】
〔第1実施形態〕
図1及び図2は、本発明の一実施形態にかかる電子打楽器1を示す図で、図1は電子打楽器1の平面図、図2(a)は電子打楽器1の側面図、(b)は後述するパッドPの概略断面図である。電子打楽器1は、卓上型の電子楽器であり、概略平板形状に形成されたケース2に収容されている。ケース2の上面の奥側には、複数の区画操作面(以下、「パッド」という。)Pで構成された演奏操作部10が配置されており、手前側の角部には、パネル面31を備えた設定操作部30が設置されている。また、図2(a)に示すように、ケース2の後面には、電源接続用あるいは外部機器接続用の複数の端子を備えた端子部3が設けられている。
【0016】
演奏操作部10は、ケース2の上面を覆うように配置されている。演奏操作部10は、外形が略長方形状で、演奏者側(手前側)から見た前後方向と左右方向に沿って格子状に区画されており、各区画にそれぞれ一のパッドPが配置されている。本実施形態では、演奏操作部10は、前後方向が4区画(4列)、左右方向が3区画(3列)に分割されており、合計12個のパッドP1〜P12が配置されている。
【0017】
パッドP1〜P12のうち、奥側の横一列に配列された3個のパッドP7,P8,P9と、手前側の横一列に配列された3個のパッドP10,P11,P12はいずれも、図1に示すように、外形が横長の長方形状であり、かつ、図2(a)に示すように、打面(操作面)Vが左右方向を軸方向とする円筒面状に隆起した立体形状を有している。以下では、奥側のパッドP7〜P9が属する領域を第1立体部16と称し、手前側のパッドP10〜P12が属する領域を第2立体部17と称す。
【0018】
また、第1立体部16と第2立体部17の間に配置した6個のパッドP1〜P6はいずれも、図1に示すように、外形が略正方形状で、かつ、図2(a)に示すように、打面Vが平面形状を有している。以下では、これら6個のパッドP1〜P6が属する領域を平面部18と称す。平面部18のパッドP1〜P6は、それらの打面Vが演奏者側を向くようにケース2の手前側に向かって若干下降する傾斜状態で設置されている。そして、奥側3個のパッドP1〜P3は互いに同じ傾斜角度であり、手前側3個のパッドP4〜P6も互いに同じ傾斜角度であるが、奥側のパッドP1〜P3の方が手前側のパッドP4〜P6よりも傾斜角度が大きくなっている。これにより、演奏者が奥側のパッドP1〜P3と手前側のパッドP4〜P6の両方を視認し易くなり、スティックや手による打撃操作が行い易くなる。さらに、奥側のパッドP1〜P3と手前側のパッドP4〜P6との間には、若干の段差(打面Vの高低差)Tが設けられている。この段差Tにより、演奏者が奥側のパッドP1〜P3と手前側のパッドP4〜P6との境界を認識し易くなる上に、奥側のパッドP1〜P3を狙った打撃操作と、手前側のパッドP4〜P6を狙った打撃操作とを区別して行い易くなるので、演奏操作性が向上する。また、図2(a)に示すように、パッドP1〜P3の手前側の縁部Wが突出しているので、縁部Wを利用した打撃操作(例えば、縁部Wをスティックの腹部分で打撃する操作)なども可能となるので、平面部18のパッドP1〜P6に対する演奏操作の幅が広がる。
【0019】
また、本実施形態の電子打楽器1では、図2(a)に示すように、段差Tを境界として、第1立体部16のパッドP7〜P9と平面部18の奥側のパッドP1〜P3とが同一面上に設置されており、第2立体部17のパッドP10〜P12と平面部18の手前側のパッドP4〜P6とが同一面上に設置されている。
【0020】
なお、第1立体部16のパッドP7〜P9と第2立体部17のパッドP10〜P12は、円筒面状に隆起した打面Vをスティックの腹部分(側面)で打撃する演奏操作に適している。一方、平面部18のパッドP1〜P6は、平面状の打面Vをスティックの先端で打撃する演奏操作に適している。なお、パッドPに対する演奏操作は、スティックによる打撃には限らず、手など身体の一部で行う打撃でも良いし、後述するミュート奏法やチョーク奏法の指示を行う演奏操作では、打撃以外にも、パッドPの打面を手の平などで押える演奏操作を行うことが可能である。また、平面部18の奥側と手前側にそれぞれ第1立体部16と第2立体部17とを配置したことで、例えば、平面部18をドラムの打面として取り扱い、かつ、第1立体部16と第2立体部17をドラムの打面周りに設置したリムとして取り扱うような演奏操作が可能となる。なお、平面部18の奥側に配置した第1立体部16だけでなく手前側に配置した第2立体部17も設けたことで、平面部18の周囲が第1、第2立体部16,17で囲まれたような状態になるので、打面の全周を囲むリムを有してなる実際のドラムに近い状態が再現されている。
【0021】
パッドPの打面Vは、図2(b)に示すように、ゴムなどの弾性材料からなる表面材21で構成されている。隣接するパッドPの間には、格子状の溝部12が設けられている。溝部12により各パッドP1〜P12が区画されている。また、表面材21の裏側には、接触センサ(シートセンサ)22が配置されている。接触センサ22は、シート状の感圧センサであり、後述するミュート奏法やチョーク奏法において演奏者が手などで打面を押える押え操作を行った場合、それを検出できるようになっている。また、この接触センサ22により、パッドPに対する打撃操作が行われた場合、打撃位置を検出することができる。また、接触センサ22の下側には補強板23が設置されている。補強板23は、演奏操作部10の下方に設置した基部24に対して、ゴムなどの弾性部材25を介して弾性的に支持されている。補強板23の下面側には、補強板23に対して面接触する板状に形成された打撃センサ26が設置されている。打撃センサ26には、パッドPの打撃による振動を検出して電気信号を出力可能なピエゾ素子などが用いられる。打撃センサ26により、パッドPに対する打撃操作が行われた場合の打撃強さを検出することができる。
【0022】
本実施形態の電子打楽器1では、パッドPの演奏操作に対して発生させる演奏音の音源データとして、後述するROM43または記憶部47にあらかじめ記憶された音色データを使用することができる。なお、それ以外にも、外部からの音を取り込むサンプリング機能を備えている場合は、演奏音の音源データとして、サンプリングした波形データを使用することも可能である。
【0023】
図1に示すように、設定操作部30のパネル面31には、カーソルスイッチや入力スイッチなどからなる各種操作キー32、及びボリューム調節用のつまみ33などが配列されている。また、液晶パネルからなる表示部34、演奏音などの各種音声を出力するためのスピーカが内蔵された音声出力部36が設けられている。表示部34は、各種の設定操作を行うための設定操作画面を表示するものである。パネル面31は、図2(a)に示すように、ケース2の手前側の角部において、奥側の端辺が演奏操作部10と同じ高さ位置に配置され、そこから手前側に向かって次第に下降する傾斜平面状に形成されている。この傾斜角度は、演奏操作部10の傾斜角度よりも急になっている。パネル面31の配置及び傾斜角度をこのようにしたことで、設定操作部30に近い位置のパッドPをスティックや手で打撃操作する場合にも、パネル面31や操作キー32やつまみ33などを誤って打撃するおそれが少なくなる。したがって、電子打楽器1の演奏操作性を向上させることができる。また、図2(b)に示すように、パネル面31との境界に隣接する第2立体部17が演奏者側に突出した状態となるので、第2立体部17に属する立体状のパッドP10〜P12をスティックの腹部分で打撃する演奏操作が行い易くなる。
【0024】
また、本実施形態では、表示部34のサイズ及び形状をパネル面31の一部に収まるように小型化・簡素化している。これにより、電子打楽器1の外形寸法を小型化できる。また、表示部34を簡素化したことにより電子打楽器1の低コスト化を図ることもできる。さらに、表示部34を小型化したことで、電子打楽器1の外形寸法を大型化せず演奏操作部10の設置スペースを十分に確保できる。これにより、電子打楽器1の演奏操作性を向上させることができる。
【0025】
図3は、電子打楽器1の機能構成を示すブロック図である。電子打楽器1は、演奏操作部10、設定操作部30、音源(音源回路)41、サウンドシステム42、ROM43、RAM44、主制御部(CPU)45、タイマー46、記憶部47、表示部34、インターフェース(I/F)48の各部を備えており、これら各部はバス50を介して互いに接続されている。
【0026】
演奏操作部10は、上記のように12個のパッドP1〜P12を備えており、各パッドPには、打撃センサ(ピエゾセンサ)26及び接触センサ(シートセンサ)22が備えられている。演奏操作部10は、操作インターフェース13を介してバス50に接続されている。主制御部(CPU)45は、電子打楽器1の全体の制御を司る働きをする。主制御部45は、後述するように、電子打楽器1で設定操作や演奏操作が行われる際、当該設定操作や演奏操作に対する各種処理を実行するための手段(例えば、演奏音割当手段やグループ設定手段)として機能する。
【0027】
タイマー46は、タイマー割込処理における割込時間や各種時間を計時する。ROM43は、主制御部45が実行する制御プログラムや、データテーブルや制御プログラムを含む各種アプリケーションプログラムや各種データ等を記憶する。また、各パッドPに割り当てる演奏音に関するデータを記憶することもできる。RAM44は、自動演奏データ、各種入力情報および演算結果等を一時的に記憶する。記憶部47は、HDDやフラッシュメモリなどの記憶媒体を備えて構成されており、各種設定情報や演奏データなどを記憶することができる。表示部34は、各種情報を表示するための液晶ディスプレイ(LCD)で構成されている。なお、表示部34は、発光ダイオード(LED)などで構成してもよい。インターフェース(I/F)48は、外部演奏機器49を接続するもので、外部演奏機器49からの各種信号(例えば、MIDI(Musical Instrument Digital Interface)信号)を入力したり、外部演奏機器49に対して信号を出力したりする。音源41は、演奏操作部10の操作で入力された演奏データや予め設定された自動演奏データを楽音信号に変換するものである。サウンドシステム42は、音源41からの楽音信号を音響に変換するアンプやスピーカなどで構成されている。
【0028】
本実施形態の電子打楽器1では、演奏操作部10が備える12個のパッドP1〜P12にパッド番号及びパッド名を付している。図4は、パッドP1〜P12に付したパッド番号とパッド名の一例を示す図である。同図に示す例では、平面部18内の奥側に位置する3個のパッドP1〜P3を順に1,2,3番とし、平面部18内の手前側に位置する3個のパッドP4〜P6を順に4,5,6番とし、第1立体部16に属する3個のパッドP7〜P9を順に7,8,9番とし、第2立体部17に属する3個のパッドP10〜P12を順に10,11,12番としている。また、12個のパッドP1〜P12には、それぞれ異なる英文字記号が付されている。パッド番号に対応するパッド名称を列記すると、1:HHU,2:HNU,3:HMU,4:HHS,5:HNS,6:HMS,7:RHU,8:RNU,9:RMU,10:RHS,11:RNS,12:RMSとなる。これらパッド番号とパッド名称のデータは、記憶部47に記憶されている。なお、ここで示したパッド番号及びパッド名称はあくまでも一例であり、パッドP1〜P12に適当な順番及び識別記号を付するものであれば、上記以外の番号あるいは記号を付することも可能である。
【0029】
図5は、表示部34に表示する設定操作画面35の一例を示す図である。設定操作画面35は、パッドPに対応する演奏音や奏法の設定など、各種設定に関する情報を入力するための一覧表形式になっている。なお、表示部34は、図5に示す一覧表の全体を一度に表示させる必要はなく、一部を選択することで表示範囲を切り替えるようにして、設定入力が必要な箇所を順に表示できれば良い。電子打楽器1では、この設定操作画面35を用いて、パッドPの演奏操作に対する演奏音(発音)の設定、後述するミュート奏法やチョーク奏法の指示に用いるパッドPの設定、パッドPのグループ設定、複数回のパッド操作の発音順序に関するパッドチェイン設定など各種の設定を行うことができる。各設定の具体的な内容については以下で説明する。なお、図5において、太枠Sで囲まれた範囲内の値は、操作者による設定操作に応じて変更が可能な値である。
【0030】
<演奏音の設定>
図5に示す例では、1番から12番のパッドP1〜P12には、互いに異なる音色(音色A〜音色O)が割り当てられている。ここでの音色A〜音色Oとしては、例えば、バスドラム、スネアドラム、ハイハット、ハイタム、ミッドタム、ロータム、クラッシュシンバル、ライドシンバル、ハイハットシンバルなど各種の打楽器を模擬した音色を用いることができる。上記以外の種類の打楽器を模擬した音色を用いてもよい。各音色データは、ROM43あるいは記憶部47に記憶されており、主制御部45は、パッドPの演奏操作が行われた際にROM43あるいは記憶部47から対応する音色データを呼び出して発音させることができる。
【0031】
また、図5に示す例では、2番,8番,12番パッドに対してオルタネート設定がされている。オルタネート設定とは、一のパッドPに対して順番を付した複数の演奏音を割り当てる設定である。この場合、一のパッドPが複数回連続して演奏操作されると、一回目の操作に対しては、割り当てられた一番目の演奏音(音色)が発音され、2回目の操作に対しては、二番目の演奏音が発音される。図5に示す具体例で説明すると、2番パッドに対して音色B−音色Mが割り当てられているが、これは、2番パッドを連続して打撃操作した場合、音色Bと音色Mが交互に発音されるという意味である。なお、一のパッドPに対して3つ以上の音色を割り当てることも可能である。
【0032】
なお、各パッドPの一回の演奏操作に対して割り当てる音は、単音とするほか、連続する複数音を組み合わせてフレーズ化したものを割り当てることも可能である。また、ここでは、各パッドPに対して電子打楽器1にあらかじめ記憶されている音色を割り当てる場合を説明したが、これ以外にも、外部音をサンプリングする機能を備えている場合には、各パッドPに対してサンプリングした音色波形を割り当てることも可能である。なお、上記のオルタネート設定以外の設定として、スタック発音設定を行えるようにしてもよい。ここでいうスタック発音設定とは、一のパッドPに複数の演奏音を割り当てておき、当該パッドPが演奏操作された際、割り当てられた複数の演奏音を同時に発音させる設定である。
【0033】
<パッドチェイン設定>
パッドチェイン設定とは、同一のパッドPが複数回連続して演奏操作された場合、一回目の操作に対しては、当該パッドPに割り当てられている演奏音(音色)を発音し、2回目以降の操作に対しては、他のパッドPに割り当てられている演奏音を決められた順序で発音する設定である。なお、パッドチェイン設定では、発音される音色及びその順番を操作者が任意に設定することができるユーザー設定と、各パッドに対して発音される音色とその順番があらかじめ固定されている固定設定とがある。さらに、ユーザー設定では、発音する音色及び順番を演奏者が任意に設定できるようにしても良いし、あらかじめ記憶されている複数種類の音色及び順番の組から演奏者が選択して設定できるようにしても良い。
【0034】
図5に示す例では、1番パッドのパッドチェイン設定(ユーザー設定)として、1番、2番、3番パッドに割り当てられた音色がこの順番で設定されている。したがって、1番パッドを4回続けて打撃すると、音色A、音色B、音色M、音色Cが順に発音される。5回目以降の打撃では、再び音色Aから順に発音される。また、2番パッドのパッドチェイン設定として、2番、3番、1番パッドに割り当てられた音色がこの順番で設定されている。
【0035】
図5に示すユーザー設定に基づいて発生する演奏音の具体例をさらに示す。以下、打撃操作されたパッド番号とそれに対して発音される音色との組み合わせを例示する。
〔パターン1〕1番パッド(音色A)→3番パッド(音色C)→1番パッド(音色A)→1番パッド(音色B)→2番パッド(音色B)
〔パターン2〕5番パッド(音色E)→5番パッド(音色E)→5番パッド(音色E)→1番パッド(音色A)→1番パッド(音色B)
〔パターン3〕2番パッド(音色B)→2番パッド(音色M)→2番パッド(音色C)→7番パッド(音色G)→1番パッド(音色A)
【0036】
パッドチェイン設定では、パッドチェイン設定がされている一のパッドPが打撃操作された後、続けて他のパッドPが打撃操作され、その後、再度元のパッドPが打撃操作される場合、再度の打撃操作に対して発音される演奏音は、当該パッドPのパッドチェインの順番を前回の打撃操作から引き継ぐようにしても良いし、一度他のパッドPが演奏された場合は、パッドチェインの順番がリセットされ、再度最初から開始されるようにしても良い。具体例を示すと、1番パッド(音色A)→1番パッド(音色B)→3番パッド(音色C)と打撃操作された後、再度1番パッドが打撃操作される場合、それに対する演奏音としては、パッドチェイン順を引き継いで音色M→音色Cを発生させても良いし、パッドチェイン順をリセットして音色A→音色Bを発生させても良い。
【0037】
<ミュート奏法>
ミュート奏法とは、自然打楽器において、打面をスティックあるいは手などで打撃する際に、該打面を手などで押えながら打撃することで、通常の音色ではなくミュートがかかった音色(以下、「ミュート音」という。)を発生させる奏法である。本実施形態の電子打楽器1では、パッドPが備える接触センサ22により、パッドPが押えられたことを検出できる。そして、パッドPが押えられたことを検出した場合、打撃操作に対して発生させる演奏音として、通常の音色とは異なるミュート音を発生させることで、自然打楽器のミュート音を再現可能となっている。また、複数のパッドPを有する電子打楽器1では、打撃するパッドPとミュート指示のために押えるパッドPを同一のパッドPに設定することもできるし、異なるパッドPに設定することもできる。
【0038】
図5に示す例では、1番パッドを打撃する際に7番パッドを押えることで、1番パッドに対するミュートが指示され、音色Aに対するミュート音が発生するようになっている。すなわちこの場合、1番パッドに対するミュート指示用のパッドは7番パッドに設定されている。同様に、4番、5番、6番、10番、12番の各パッドに対するミュート指示用のパッドは、それぞれ1番、2番、3番、4番、3番のパッドに設定されている。ミュート指示用のパッドは、図5に示す設定操作画面において操作者が任意に設定できるようにしても良いし、あらかじめ記憶されている中から操作者が選択して設定できるようにしても良い。
【0039】
<チョーク奏法>
チョーク奏法とは、自然打楽器において、打面をスティックや手などで打撃した後、打撃による演奏音が発生している間に打面を手などで押えることで、発生している演奏音を消音させたり、急激に減衰させたりする奏法である。本実施形態の電子打楽器1では、打撃後にパッドPが押えられたことを検出した場合、それまで発生していた演奏音を消音させるか、あるいは急激に減衰させることで、自然打楽器のチョーク奏法での演奏音の消音あるいは急激な減衰を再現可能となっている。なお、チョーク奏法の効果としては、演奏音を消音したり急激に減衰したりする以外にも、元の演奏音に代えてチョーク奏法に伴い発生する別の演奏音(いわゆるチョーク音)を発生させるようにすることも可能である。
【0040】
図5に示す例では、1番パッドを打撃した後に7番パッドが押えられると、1番パッドに対するチョークが指示され、その時点で音色Aが消音するか急激に減衰するようになっている。すなわち、1番パッドに対するチョーク指示用のパッドは7番パッドに設定されている。同様に、4番、6番、10番の各パッドに対するチョーク指示用のパッドはそれぞれ1番、2番、4番のパッドに設定されている。チョーク指示用のパッドは、後述するように、設定操作画面35において操作者が任意に選択できるようにしても良いし、あらかじめ記憶されている中から操作者が選択して設定できるようにしても良い。
【0041】
なお、打撃するパッドPとチョーク指示のために押えるパッドPを同じパッドに設定することもできるし、異なるパッドPに設定することもできる。また、一のパッドPの打撃操作に対してチョーク奏法あるいはミュート奏法の指示を行うためのパッドPは、チョーク奏法とミュート奏法で共通のパッドPに設定することもできるし、奏法ごとに異なるパッドPに設定することもできる。図5に示す例では、1番パッドの打撃操作に対するミュート指示及びチョーク指示は、いずれも7番パッドで行うようになっている。一方、6番パッドの打撃操作に対するミュート指示は3番パッドで行い、チョーク指示は2番パッドで行うようになっている。
【0042】
さらに、パッドチェイン設定時にミュート奏法あるいはチョーク奏法を実施する場合は、ミュートあるいはチョーク指示用のパッドPは、打撃操作されたパッドPに対して設定されているものを機能させるほか、パッドチェイン設定に基づいて発音されている演奏音が割り当てられたパッドPに対して設定されているものを機能させてもよい。
【0043】
<グループ設定>
グループ設定とは、複数のパッドPを組み合わせてグループ操作面を形成し、該グループ操作面をあたかも一のパッドのように取り扱う演奏操作を可能とする設定である。ここでは、12個のパッドP1〜P12を任意に組み合わせてグループ化できる。パッドP1〜P12の組み合わせは、あらかじめ記憶されている中から操作者が選択した組み合わせに基づいて設定できるようにしても良いし、操作者が複数のパッドPを任意に組み合わせるようにしても良い。図5に示す例では、グループ設定が行われていない状態(グループ設定がオフの状態)を示している。すなわち12個のパッドP1〜P12それぞれが独立して機能するように設定されている。
【0044】
図6は、グループ設定におけるパッドPの組み合わせの例を示す図である。(a)は、グループ操作面を設定せず、12個のパッドP1〜P12すべてが個別に機能するように設定した場合(図5の設定操作画面35に示す場合)を示している。また(b)は、縦3列にそれぞれ配置された3組(パッドP1,P4,P7,P10の組と、パッドP2,P5,P8,P11の組と、パッドP3,P6,P9,P12の組)のうち、左列に属する4個のパッドP1,P4,P7,P10を組み合わせてグループ操作面G1を設定し、中央列と右列に属する残りパッドPはグループ化せず個別に機能するように設定した場合を示している。(c)は、平面部18のパッドP1〜P6を組み合わせてグループ操作面G3を設定し、第1立体部16のパッドP7〜P9を組み合わせてグループ操作面G2を設定し、第2立体部17のパッドP10〜P12を組み合わせてグループ操作面G4を設定した場合を示している。(d)は、左列、右列、中央列のパッドPをそれぞれ組み合わせてグループ操作面G5,G6,G7を設定した場合を示している。(e)は、第1立体部16のパッドP7〜P9と平面部18の奥側3個のパッドP1〜P3とを組み合わせてグループ操作面G8を設定し、かつ、第2立体部17のパッドP10〜P12と平面部18の手前側3個のパッドP4〜P6を組み合わせてグループ操作面G9を設定した場合を示している。(f)は、12個全部のパッドP1〜P12を組み合わせて一のグループ操作面G10を設定した場合を示している。なお、グループ操作面Gの設定におけるパッドPの具体的な組み合わせは、同図に示すものには限定されず、これ以外の組み合わせとすることもできる。
【0045】
図7は、表示部34に表示される他の設定操作画面35−2を示す図である。同図に示す設定操作画面35−2では、パッドチェイン設定、グループ設定、グループ設定時の奏法モードの設定に関する初期入力を行うことができる。パッドチェイン設定は、パッドチェインオフ、ユーザー設定、固定設定の中から選択できる。ユーザー設定を選択すると、図5に示す詳細設定画面35の「パッドチェイン/ユーザー設定」が表示され、各パッドPの複数回操作に対する発音順序を操作者が任意に入力できる。また、固定設定を選択した場合は、「パッドチェイン/固定設定」の欄に示すように、各パッドPの複数回操作に対する発音順序があらかじめ記憶されたデータに基づいて設定される。すなわち、パッドチェイン設定においては、操作者が発音の順番を任意に決めて設定することもできるし、あらかじめ発音の順序が決められている中から選択して設定することもできる。
【0046】
グループ設定では、グループ設定オフ、ユーザー設定、固定設定A,固定設定B・・・の各種設定が可能である。ユーザー設定を選択すると、図5に示す詳細設定画面35の「グループ設定」が表示され、演奏者が複数のパッドPを任意に組み合わせてグループ操作面Gに関する情報を入力可能となる。また、固定設定A、固定設定Bを選択すると、あらかじめ記憶されたグループに関するデータから固定設定A、固定設定Bに対応するデータが呼び出され、それに従いグループ操作面を設定できる。また、グループ設定時の奏法モードの設定では、グループ設定時のチョーク奏法やミュート奏法における奏法指示パッドPの設定などに関するモードであるモードA、モードBを選択して設定できる。
【0047】
図8は、表示部34に表示される設定操作画面35の他の例を示す図である。図8では、図6(c)に示すグループ操作面G2,G3,G4が設定された場合を示している。すなわち、1〜6番パッド、7〜9番パッド、10〜12番パッドをそれぞれ組み合わせてグループ操作面G3,G2,G4を設定している。このようにグループ操作面Gを設定した上で、一のグループ操作面Gに属する複数のパッドPに共通の演奏音を代表音として割り当てている。これにより、グループ操作面Gを代表音を発生する一のパッドPのように機能させることができる。また、グループG2及びグループG3では、グループ操作面Gの代表音として、当該グループ操作面G内で一番若い番号が付されたパッドPに割り当てられている演奏音を割り当てている。すなわち、グループ操作面G3に属する1〜6番パッドに1番パッドの音色Aを割り当て、グループ操作面G2に属する7〜9番パッドに7番パッドの音色Gを割り当てている。
【0048】
また、ここでは、第1立体部16のパッドP7〜P9を組み合わせたグループ操作面G2と、第2立体部17のパッドP10〜P12を組み合わせたグループ操作面G4とに対して、共通の演奏音である音色Gを割り当てている。したがって、第1立体部16と第2立体部17をドラムのリムのように扱う演奏操作において、第1立体部16と第2立体部17を合わせてドラムの打面周りに設けた一つのリムとして扱うことが可能となる。なお、これ以外にも、グループ操作面G2とグループ操作面G4とに異なる演奏音を割り当てることも可能である。
【0049】
また、ここでは、一のグループ操作面Gに対して一の演奏音を割り当てるので、グループ操作面Gに2以上のパッドPが含まれていても、グループ操作面Gに対する演奏音の設定は一の操作で一括して行える。すなわち、一のグループ操作面Gに代表音を設定すれば、当該グループ操作面Gに属する各パッドPにそれぞれ代表音が設定された状態になる。
【0050】
さらに、本実施形態の電子打楽器1では、一のグループ操作面Gに属する複数のパッドPを一度に打撃操作した場合、それに対して一の演奏音のみが発生するように設定している。なお、ここでいう複数のパッドPを一度に打撃操作した場合とは、複数のパッドPを同時に打撃操作した場合、あるいは同時とみなせる僅かな時間差で続けて打撃操作した場合を指すものとする。これにより、グループ操作面Gを単一の操作領域として取り扱う演奏操作が可能となる。
【0051】
なお、これ以外にも、一のグループ操作面Gに属する複数のパッドPを一度に演奏操作したときに、複数の演奏音が発生する(一の演奏音が消えずに他の演奏音が発生する)ような設定も可能である。なお、一のグループ操作面Gに属する複数のパッドPを一度に打撃操作したときに発生する演奏音を単音とするか複数音とするかは、設定操作画面35,35−2でモードの切り替えを行えるようにして、演奏者が任意に選択できるようにすることが望ましい。さらに付言すれば、一のグループ操作面Gに属する複数のパッドPを打撃操作したときに発生する演奏音を単音とするか複数音とするかの設定は、複数の打撃操作の間隔が所定時間以内であるか否かに基づいて決めることも可能である。その場合、当該所定時間を演奏者が任意に設定できるようにすることも可能である。例えば、10ms〜50msの間で任意の時間設定を行うことができるようにする。そして、設定した時間内に複数回の打撃操作(打撃センサ26の反応)があった場合は、初回の打撃操作に対してのみ演奏音を発生させ、以降の打撃操作に対しては演奏音を発生させないように制御する。これにより、演奏者が打撃操作を1回のみ行った場合に2回の打撃操作と誤って判断されることを防止でき、いわゆるリジェクション(チャタリング)対策となる。
【0052】
次に、グループ設定がされている状態で、ミュート奏法またはチョーク奏法が行われる場合、またはパッドチェイン設定がされる場合について説明する。
<グループ設定+ミュート奏法又はチョーク奏法>
ここでは、図6(c)のグループ操作面G2,G3,G4が設定されている場合について説明する。ミュートあるいはチョーク指示用パッドの設定は、グループ操作面Gが設定されていても個別のパッドPに対する設定がそのまま有効になる。すなわちこの場合は、図8のミュート指示、チョーク指示の欄に入力されているミュート指示、チョーク指示用のパッドPを用いてミュート指示、チョーク指示を行うことができる。一方、パッドPの打撃操作に応じて発音される演奏音(発音データ)は、設定されたグループ操作面G2〜G4に割り当てられている。したがって、この場合、例えば4番パッドを押えながら1番パッドを打撃すると、1番パッドに対するミュート指示がされて音色Aのミュート音が発音される。一方、4番パッドを押えながら3番パッドを打撃しても、4番パッドは3番パッドに対するミュート指示用のパッドではないため、ミュート指示はされず音色Aがそのまま発音される。また、3番パッドと6番パッドは、互いのパッドを含む複数のパッドに対するミュート指示を行えるように設定されている。ここでは、3番パッドにより3番パッドと6番パッドの両方に対するミュート指示が行え、かつ、6番パッドによっても3番パッドと6番パッドの両方に対するミュート指示が行える。したがって、3番パッドを押えながら3番パッドあるいは6番パッドを打撃すると、3番パッドあるいは6番パッドに対するミュート指示がされて音色Aのミュート音が発音される。6番パッドを押えた場合も同じである。
【0053】
<グループ設定+パッドチェイン設定>
ここでも、図6(c)のグループ操作面G2,G3,G4が設定されている場合について説明する。グループ設定がされている状態でパッドチェイン設定がされた場合、順に打撃操作されるパッドPがグループ操作面Gに属するパッドPのみである場合は、グループ操作面Gに設定された演奏音が順に発音される。ここでは、図8に示すように、グループ操作面G3のパッドチェイン設定(ユーザー設定)として、グループ操作面G3,G2,G4に割り当てられた音色A、音色G、音色Gがこの順番で設定されている。したがって、演奏操作に応じて発生する演奏音の具体例を挙げると、1番パッド(音色A)→3番パッド(音色G)→5番パッド(音色G)となる。また、順に打撃操作されるパッドPがグループ操作面G3に属するパッドP以外のパッドPを含む場合は、それぞれのグループ操作面G2,G3,G4に割り当てられた代表音が順に発音される。具体例を挙げると、1番パッド(音色A)→7番パッド(音色G)→10番パッド(音色G)となる。
【0054】
<グループ設定+パッドチェイン設定+ミュート奏法又はチョーク奏法>
さらに、グループ設定時に、パッドチェイン設定がされた状態で、ミュート奏法あるいはチョーク奏法を実施する場合は、ミュートあるいはチョーク指示用のパッドPは、打撃操作されたパッドPあるいはグループ操作面Gに対して設定されているものが機能するようにできるほか、パッドチェイン設定に基づいて発音される演奏音が割り当てられたパッドP又はグループ操作面Gに対して設定されているものが機能するようにしても良い。
【0055】
次に、上記構成の電子打楽器1において行われる各種処理の手順について説明する。図9乃至図14は、電子打楽器1による処理の流れを示すフローで、図9は、メインフロー、図10は、設定操作受付処理のサブルーチンを示すフロー、図11乃至図14は、演奏操作受付処理のサブルーチンを示すフローである。
【0056】
図9に示すメインフローは、電子打楽器1の電源がオンになると開始され、電源がオフになるまでの間、実行される。ここでは、まず、電子打楽器1の各部の設定が初期化される(ステップST1−1)。その後、設定操作受付処理が実行される(ステップST1−2)。設定操作受付処理が終了したら、続けて、演奏操作受付処理及び発音処理が実行される(ステップST1−3)。以降、設定操作受付処理と演奏操作受付処理及び発音処理とが繰り返して実行される。
【0057】
図10は、設定操作受付処理の流れを示すフローである。設定操作受付処理では、まず、設定操作部30による設定操作入力が有るか否かを判断する(ステップST2−1)。設定操作入力が無ければ(N)、設定操作受付処理においては特段の処理を行わない。一方、設定操作入力が有れば(Y)、当該設定操作入力がパッドPに対する演奏音の設定、グループ設定、ミュートあるいはチョーク指定の設定、パッドチェイン設定のいずれかの呼び出しであるか否かを判断する(ステップST2−2)。その結果、これら以外の設定処理の呼び出しである場合(N)は、当該設定処理を呼び出して実行する(ステップST2−3)。一方、設定操作入力が上記いずれかの設定の呼び出しであれば(Y)、設定操作画面35を表示部34に表示する(ステップST2−4)。そして、設定操作画面35において項目選択及び入力を受け付ける(ステップST2−5)。続けて、新たな入力が、既に入力されている内容の実行指示であるか否かを判断し(ステップST2−6)、実行指示である場合(Y)は、その時点で設定操作画面35に入力されている内容を確定するとともに、該内容を記憶部47に記憶する。一方、実行指示でない場合(N)は、入力位置(入力カーソルの位置)の移動指示であるか否かを判断し(ステップST2−7)、移動指示であれば、それに従って入力カーソルの位置を移動させる(ステップST2−8)。一方、入力位置の移動指示で無ければ(N)、パラメータ(各種設定値)の変更入力を受け付ける(ステップST2−9)。以後、ステップST2−4以降の処理を繰り返して実行する。
【0058】
図11乃至図14は、演奏操作受付処理の手順を説明するためのフローチャートである。ここでは,設定操作受付処理が完了した後の演奏操作受付処理について、グループ設定がされている場合、チョーク奏法、ミュート奏法が行われる場合、パッドチェイン設定がされている場合に分けて説明する。
図11は、グループ設定に関する演奏操作受付処理の手順を説明するためのフローチャートである。ここでは、まず、何れかのパッドPに対する打撃操作(打撃センサ26の入力)が有るか否かを判断する(ステップST3−1)。その結果、打撃操作が無ければ(N)、打撃操作があるまで待機する。一方、打撃操作があれば(Y)、グループ設定がオンであるか否かを判断する(ステップST3−2)。グループ設定がオンで無ければ(N)、打撃操作されたパッドPに割り当てられた演奏音を発生させる(ステップST3−5)。一方、グループ設定がオンであれば(Y)、続けて、打撃操作されたパッドPがいずれかのグループ操作面Gに属するパッドが否かを判断する(ステップST3−3)。グループ操作面Gに属するパッドPであれば(Y)、当該パッドPの操作に対する演奏音として、属するグループ操作面Gに割り当てられた代表音を発生させる(ステップST3−4)。一方、グループ操作面Gに属するパッドPでなければ(N)、当該パッドPに割り当てられた演奏音を発生させる(ステップST3−5)。
【0059】
図12は、ミュート奏法に関する演奏操作受付処理の手順を説明するためのフローチャートである。まず、何れかのパッドPに対する押え操作(接触センサ22の入力)が有るか否かを判断する(ステップST4−1)。ここでいう押え操作とは、パッドPの打面を手の平などで押える操作である。その結果、パッドPに対する押え操作が無ければ(N)、押え操作があるまで待機する。一方、押え操作があれば(Y)、続けて何れかのパッドPに対する打撃操作(打撃センサ26の入力)があるか否かを判断する(ステップST4−2)。打撃操作が無ければ(N)、打撃操作があるまで待機する。打撃操作が有った場合(Y)、押え操作されたパッドPが打撃操作されたパッドPに対するミュート指示用のパッドであるか否かを判断する(ステップST4−3)。その結果、押え操作されたパッドPがミュート指示用のパッドPである場合(Y)、打撃操作されたパッドPに割り当てられたミュート音を発音させる(ステップST4−4)。一方、押え操作されたパッドPがミュート指示用のパッドPでない場合(N)は、打撃操作されたパッドPに割り当てられた演奏音をそのまま発音させる(ステップST4−5)。
【0060】
図13は、チョーク奏法に関する演奏操作受付処理の手順を説明するためのフローチャートである。まず、何れかのパッドPに対する打撃操作が有るか否かを判断する(ステップST5−1)。パッドPに対する打撃操作が無ければ(N)、打撃操作があるまで待機する。一方、打撃操作があれば(Y)、当該パッドPに割り当てられている演奏音を発生させる(ステップST5−2)。その後、打撃操作から所定時間以内に何れかのパッドPに対する押え操作が有るか否かを判断する(ステップST5−3)。その結果、パッドPに対する押え操作が無ければ(N)、パッドPの打撃操作に基づいて発生している演奏音をそのまま継続して発音する(ステップST5−6)。一方、パッドPに対する押え操作があれば(Y)、押え操作されたパッドPが打撃操作されたパッドPに対するチョーク指示用のパッドPであるか否かを判断する(ステップST5−4)。その結果、押え操作されたパッドPがチョーク指示用のパッドPである場合(Y)、先の打撃操作により発生している演奏音を消音する。(ステップST5−5)。一方、押え操作されたパッドPがチョーク指示用のパッドでない場合(N)は、先の打撃操作により発生している演奏音をそのまま継続して発音する(ステップST5−6)。なお、ステップST5−5では、演奏音を消音する以外にも、演奏音を急激に減衰させたり、それまで発生している演奏音に代えてチョーク音を発生させたりしてもよい。
【0061】
図14は、パッドチェイン設定に関する演奏操作受付処理の流れを示すフローである。なお、ここでは、グループ設定がオフである場合について説明する。まず、何れかのパッドPに対する打撃操作が有るか否かを判断する(ステップST6−1)。その結果、打撃操作が無ければ(N)、打撃操作があるまで待機する。一方、打撃操作が有れば(Y)、打撃操作されたパッドPに割り当てられている演奏音を発生させる(ステップST6−2)。その後、引き続き何れかのパッドPに対する打撃操作があるか否かを判断する(ステップST6−3)。なお、2回目の打撃操作は、1回目の打撃操作が行われた後に行われるものであれば、必ずしも1回目の打撃操作の後に短時間で連続して行われる必要はなく、1回目と2回目の打撃操作には時間差があってもよい。最終的に2回目の打撃操作が行われなかった場合やパッドPの打撃操作以外の操作が行われた場合(ステップST6−3でN)は、以降の処理は行われない。一方、打撃操作が有る場合(Y)、今回打撃操作されたパッドPが前回打撃操作されたパッドPと同じパッドか否かを判断する(ステップST6−4)。その結果、両者が異なるパッドであれば(N)、今回打撃操作されたパッドPに割り当てられている演奏音を発生させる(ステップST6−7)。一方、両者が同じパッドであれば(Y)、当該パッドPに対するパッドチェイン設定の有無を判断し(ステップST6−5)、パッドチェイン設定がされていれば(Y)、パッドチェイン設定の順番に従って演奏音を発生させる(ステップST6−6)。ここでの演奏音の発生は、図5に示すパッドチェイン設定欄で入力された演奏音とその順番に従って行われる。一方、パッドチェイン設定がされていなければ(N)、今回打撃操作されたパッドPに割り当てられている演奏音を発生させる(ステップST6−7)。その後、引き続き何れかのパッドPに対する打撃操作があるか否かを判断する(ステップST6−8)。その結果、打撃操作が無ければ(N)、ステップST6−1に戻る。一方、打撃操作が有れば(Y)、ステップST6−4に戻る。
【0062】
なお、ここでは、説明の都合上、図11乃至図14において、グループ設定、ミュート奏法、チョーク奏法、パッドチェイン設定に関する演奏操作受付処理をそれぞれ別のフローとして示したが、これらグループ設定やミュートあるいはチョーク奏法やパッドチェイン設定に関する演奏操作受付処理は、操作者による設定操作入力の内容に応じて、電子打楽器1による一連の演奏操作受付処理として実行されるものである。したがって、上記のグループ設定、ミュート奏法、チョーク奏法、パッドチェイン設定に関する演奏操作受付処理は別々に実行されるのみでなく、複数種類の処理が同時に実行される場合もある。
【0063】
以上説明したように、本実施形態の電子打楽器1によれば、2以上のパッドPをグループ化したグループ操作面Gを設定することができる。したがって、同一のグループ操作面Gに属する2以上のパッドPを一の操作面として扱う演奏操作を実現できる。その一方で、グループ操作面Gの設定を行わない場合には、各パッドPの演奏操作に対して異なる演奏音を発生させて、各々のパッドPを独立の操作面として機能させることができる。このようにパッドPのグループ設定を任意に行えるようにしたことで、複数のパッドPを有効に活用して電子打楽器1の演奏操作を多様化させることができる。
【0064】
また、本実施形態の電子打楽器1では、平面状のパッドP1〜P6で構成された平面部18に対する打撃操作と、立体状のパッドP7〜P12で構成された第1、第2立体部16,17に対する打撃操作とを異なる態様で行えるので、幅広い演奏操作が行えるようになる。特に、平面状のパッドP1〜P6に加えて、立体状に隆起したパッドP7〜P12を備えたことにより、例えば、パッドP1〜P6をスティックの先端で打撃し、パッドP7〜P12をスティックの腹で打撃する演奏操作など、様々な態様の演奏操作を行うことが可能となる。そのうえ、平面部18の奥側と手前側にそれぞれ第1立体部16と第2立体部17とを配置したので、平面部18と第1、第2立体部16,17の両方を効果的に活用でき、演奏操作の幅がさらに広がる。
【0065】
また、本実施形態の電子打楽器1では、パッドチェイン設定を行うことで、一の区画操作面P、または2以上の区画操作面Pを組み合わせてなるグループ操作面Gのいずれかである一の操作領域に対して複数回の演奏操作が行われる場合、1回目の演奏操作に対しては、当該一の操作領域に割り当てられた演奏音を発生させ、2回目以降の演奏操作に対しては、他の操作領域に割り当てられた演奏音を発生させることができる。したがって、一の操作領域に対する複数回の演奏操作に対して、他の操作領域に割り当てられた演奏音を含む多種類の演奏音を切り替えて発音させることができる。これにより、演奏操作に対する楽音表現の多様化を図ることができる。
【0066】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態にかかる電子打楽器について説明する。なお、第2実施形態の説明及び対応する図面においては、第1実施形態と同一又は相当する構成部分には同一の符号を付し、以下ではその部分の詳細な説明は省略する。また、以下で説明する事項以外の事項については、第1実施形態と同じである。これらの点は他の実施形態についても同様とする。
【0067】
図15は、本発明の第2実施形態にかかる電子打楽器1−2の概略側面図である。電子打楽器1−2では、平面部18の奥側3個のパッドP1〜P3と手前側3個のパッドP4〜P6との間に段差が無く、パッドP1〜P3の打面VとパッドP4〜P6の打面Vとが略同一の高さで連続して配置されている。また、パッドP1〜P3とパッドP4〜P6はそれらの打面Vがケース2の手前側に向かって傾斜しているが、パッドP1〜P3の打面VとパッドP4〜P6の打面Vの傾斜角度が同一角度となっている。また、平面部18と第1、第2立体部16,17に属するすべてのパッドP1〜P12が同一の傾斜平面上に配置されている。
【0068】
本実施形態では、パッドP1〜P3とパッドP4〜P6との間に段差を設けていないことで、例えば、平面部18の6個のパッドP1〜P6を組み合わせて一のグループ操作面G3を設定する場合(図6(c)参照)、グループ操作面G3に属するパッドP1〜P6の打面Vが同一平面上に配列されるので、グループ操作面G3を単一の操作領域として扱う演奏操作が行い易くなる。特にこの場合、平面部18の全体を一のグループ操作面G3として設定することで、同一平面上に配置された単一の操作領域が非常に広い領域となるので、グループ操作面G3を効果的に活用する演奏操作が可能となる。例えば、平面部18をドラムの打面として取り扱う場合に、広い平らな打面となるので実際のドラムを模擬した演奏操作が行い易くなる。このような演奏操作を始めとして、様々な態様の演奏操作を行うことが可能となる。
【0069】
以上本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。例えば、本発明にかかる電子打楽器が備える区画操作面の数や具体的な配置は、上記実施形態に示すパッドPの数や配置には限定されず、それ以外の数や配置とすることも可能である。また、各パッドPの具体的な形状も一例であり、例えば、立体形状のパッドPは、打面が円筒状に隆起した形状以外にも、球形状に隆起したものなど他の形状とすることも可能である。
【0070】
また、上記実施形態の電子打楽器1では、演奏操作部10は、前後方向が4区画、左右方向が3区画に分割されて合計12個のパッドで構成されている場合を示したが、演奏操作部10の区画数はこれに限定されるものではく、複数のパッドPを備えていれば、他の区画数であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる電子打楽器の平面図である。
【図2】(a)は、第1実施形態の電子打楽器の側面図、(b)は、パッドの概略断面図である。
【図3】電子打楽器の機能構成を示すブロック図である。
【図4】パッドに付したパッド番号とパッド名の一例を示す図である。
【図5】表示部に表示する設定操作画面の一例を示す図である。
【図6】グループ設定におけるパッドの組み合わせの例を示す図である。
【図7】表示部に表示する設定操作画面の他の例を示す図である。
【図8】表示部に表示する設定操作画面の他の例を示す図である。
【図9】電子打楽器による処理の流れを示すメインフローである。
【図10】設定操作受付処理のサブルーチンを示すフローである。
【図11】グループ設定に関する演奏操作受付処理の流れを示すフローである。
【図12】ミュート奏法に関する演奏操作受付処理の流れを示すフローである。
【図13】チョーク奏法に関する演奏操作受付処理の流れを示すフローである。
【図14】パッドチェイン設定に関する演奏操作受付処理の流れを示すフローである。
【図15】本発明の第2実施形態にかかる電子打楽器の概略側面図である。
【符号の説明】
【0072】
1 電子打楽器
10 演奏操作部
16 第1立体部
17 第2立体部
18 平面部
22 接触センサ(演奏操作検出手段)
26 打撃センサ(演奏操作検出手段)
30 設定操作部
31 パネル面
32 操作キー
33 つまみ
34 表示部
35 設定操作画面
36 音声出力部
41 音源(演奏音発生手段)
43 ROM(記憶手段)
45 主制御部(演奏音割当手段、グループ設定手段、演奏音発生手段、奏法効果付加手段、奏法指示領域設定手段)
47 記憶部(記憶手段)
G(G1〜G10) グループ操作面
P(P1〜P12) パッド(区画操作面)
T 段差
V 打面(操作面)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の区画操作面で構成された演奏操作部と、
複数種類の演奏音を記憶する記憶手段と、
一の区画操作面、または少なくとも2つの区画操作面を組み合わせてなるグループ操作面のいずれかである操作領域に対して、前記記憶手段に記憶された演奏音のいずれかを割り当てる演奏音割当手段と、
前記操作領域に対して行われた演奏操作を検出する演奏操作検出手段と、
該演奏操作検出手段で検出した演奏操作に基づいて、前記操作領域に割り当てられた演奏音を発生させる演奏音発生手段と、
を備え、
前記演奏音発生手段は、
前記一の操作領域に対して複数回の演奏操作が行われる場合、そのうちいずれかの演奏操作に対しては、当該一の操作領域に割り当てられた演奏音を発生させ、他の演奏操作に対しては、他の操作領域に割り当てられた演奏音を発生させる
ことを特徴とする電子打楽器。
【請求項2】
前記他の操作領域に割り当てられた演奏音が複数の操作領域に割り当てられた複数の演奏音を含む場合、
前記演奏音発生手段は、前記一の操作領域の複数回の演奏操作に対して、前記複数の操作領域に割り当てられた複数の演奏音を所定の順番に従って発生させる
ことを特徴とする請求項1に記載の電子打楽器。
【請求項3】
前記演奏音発生手段は、
前記一の操作領域に対する複数回の演奏操作の間に、当該一の操作領域以外の操作領域に対する演奏操作が行われる場合、その前後に行われる前記一の操作領域に対する演奏操作に対して発生させる演奏音は、前に行われた演奏操作に対して発生させた演奏音の順番を継続して、後に行われる演奏操作に対する演奏音を発生させる
ことを特徴とする請求項2に記載の電子打楽器。
【請求項4】
前記演奏音発生手段は、
前記一の操作領域に対する複数回の演奏操作の間に、当該一の操作領域以外の操作領域に対する演奏操作が行われる場合、その前後に行われる前記一の操作領域の演奏操作に対して発生させる演奏音は、前に行われた演奏操作に対して発生させた演奏音の順番をリセットして、後に行われる演奏操作に対する演奏音を最初から順に発生させる
ことを特徴とする請求項2に記載の電子打楽器。
【請求項5】
前記記憶手段には、前記一の操作領域及び他の操作領域に割り当てる演奏音及びその順番に関する複数種類のデータが記憶されており、
前記演奏音発生手段は、
前記一の操作領域の演奏操作に対して発生させる演奏音及びその順番を、前記記憶手段に記憶された複数種類のデータから選択して設定する
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の電子打楽器。
【請求項6】
前記操作領域の演奏操作に対して発生させる演奏音に特殊奏法の効果を付加する奏法効果付加手段と、
前記特殊奏法に関する指示を入力するための操作領域を設定する奏法指示領域設定手段と、
を備え、
前記奏法指示領域設定手段は、
前記特殊奏法に関する指示を入力するための操作領域を、前記演奏操作が行われる操作領域に対応付けて設定し、
前記演奏音発生手段は、前記特殊奏法の指示が入力された場合、対応する操作領域の演奏操作に対して特殊奏法による効果を付加した演奏音を発生させる
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の電子打楽器。
【請求項7】
前記演奏操作が行われる操作領域、および前記特殊奏法に関する指示を入力するための操作領域は、いずれも前記グループ操作面である
ことを特徴とする請求項6に記載の電子打楽器。
【請求項8】
前記奏法指示領域設定手段は、
前記特殊奏法の指示を入力するための操作領域として、複数種類の奏法で共通の区画操作面あるいはグループ操作面を設定する
ことを特徴とする請求項6又は7に記載の電子打楽器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2010−66660(P2010−66660A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−234589(P2008−234589)
【出願日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】