説明

電子機器用冷却ファンのファンクラッチ

【課題】軸受及びモーターのうち少なくともいずれかが故障した際に、冷却ファンをモーターから外し空転させ、故障したファンを通過する空気流が妨げられるのを防止する。
【解決手段】装置(100)は、故障すると外れて空転するように構成されているクラッチ(104)を備える電子機器用冷却ファン(102)を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器用冷却ファンのファンクラッチに関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータシステム、ネットワークインターフェース、ストレージシステム及び電気通信設備等の電子システム及び電子設備は通常、これらを支持するため、物理的に保護するため及び空間の効率的使用のために、シャーシ、キャビネット又はハウジングに封入されている。ハウジングに収容された電子設備は、かなりの量の熱を発生する。この熱を逃がさなければ、電子設備に熱損傷が生じてしまう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
軸受が故障した結果として生じるファンの故障及びロックされたローターによって、空気流が妨げられ冷却に悪影響が及ぼされる。場合によっては伝熱が不十分になって、設備が過熱し、そして熱損傷を受けてしまうおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
冷却装置の一実施の態様によれば、電子機器用冷却ファンは、軸受及び/又はモーターが故障するとファンを自由にして空転させるようになったクラッチを備える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
構造と動作方法の両方に関する本発明の実施形態は、以下の説明及び添付図面を参照することによって最良に理解することができる。
【0006】
図1A及び図1Bを参照すると、図1A及び図1Bはそれぞれ、故障するとファンを自由にして空転させるように構成されるクラッチ104を備える電子機器用冷却ファン102を含む冷却装置100の一実施形態を示す概略等角斜視図及び側面断面図である。
【0007】
モーター106と電子機器用冷却ファン102との間に配置されたクラッチ104によって、モーター106又は主軸受110が故障すると電子機器用冷却ファン102は空転することができる。
【0008】
クラッチ104は、通常の故障状態で、電子機器用冷却ファン102をモーター106と接続させ、且つ、モーター106から外れるように自動的に動作するように構成されている。さまざまな実施形態においては、クラッチ104は、例えば遠心クラッチ、ラチェットクラッチ、磁気クラッチ、磁気粘性クラッチ、油圧クラッチ、流体摩擦クラッチ等の任意の好適なタイプのクラッチである。クラッチ104によって、モーター106は電子機器用冷却ファン102を駆動することができるが、モーター106又は軸受110が故障した場合には、モーター106から電子機器用冷却ファン102を外して、電子機器用冷却ファン102の回転を続けさせる。
【0009】
図1Bは、電子機器用冷却ファン102を示し、ハブ108、ハブ108に収容されたモーター106及びハブ108の内部に収容されたクラッチ104を示す。クラッチ104は、通常の回転動作中は電子機器用冷却ファン102をモーター106に連結させるようになっており、電子機器用冷却ファン102による空気移動の機動力となる。クラッチ104はさらに、電子機器用ファン102内のモーター106及び/又は軸受110が故障すると、電子機器用冷却ファン102をモーター106から外すように構成されている。
【0010】
図示の実施形態において、モーター106とクラッチ104とはファン102の中央ハブ108に収容されている。通常の動作中、モーター106は図示の向き112に回転してクラッチ104につながっており、それによって電子機器用冷却ファン102を駆動して空気を動かす。モーター106又は軸受110が故障すると、クラッチ104は外れる。
【0011】
図2を参照すると、図2は、ハブ208、ハブ208に収容された複数のモーター206A、206B及び複数のクラッチ204A、204Bをさらに備える電子機器用冷却ファン200の他の実施形態を示す概略断面図である。複数のクラッチ204A及び204Bはハブ208に収容され、それぞれがモーター206A、206Bに対応する。複数のクラッチ204A及び204Bは、通常の回転動作中、電子機器用冷却ファン200につながるようになっており、電子機器用冷却ファン200による空気移動を駆動する。複数のクラッチ204A及び204Bはまた、それぞれのモーター206Aもしくは206B及び/又は関連する軸受210Aもしくは210Bが故障すると外れるようになっている。
【0012】
図2に示す、冗長構成において、クラッチ204A及び204Bによって、2つのモーター206A、206Bがローターを駆動することができる。モーター206A、206Bのうちの一つ、または、それぞれの関連する軸受210A又は210Bが故障すると、クラッチ204A及び204Bは組み合わさって動作して、故障していないファンを単独で駆動する。
【0013】
図3を参照すると、図3は、シャーシ314、シャーシ314に収容された1つ又は複数の電子部品316及びシャーシ314に収容された複数の電子機器用冷却ファン302を備える電子システム300の一実施形態を示す概略斜視図である。複数の電子機器用冷却ファン302は、少なくとも2つの電子機器用冷却ファン、例えば直列接続された電子機器用ファン302A及び302Bを含む。直列接続された電子機器用冷却ファン302A及び302Bは、例えば図1A及び図1Bに示すようなクラッチを含み、このクラッチは、故障の際には外れて電子機器用冷却ファン302A、302Bを空転させるように構成されている。
【0014】
故障状態では、直列接続された電子機器用冷却ファン302A又は302Bのうちの少なくとも1つの故障していない電子機器用冷却ファンが接続されたままであり、空気流を作り出して、それによって外された電子機器用冷却ファンが回転する。したがって、取り付けられたモーター又は軸受の故障のために、もはや動作していない電子機器用冷却ファンは、クラッチによってモーターから外され、空転することができる。外された電子機器用冷却ファンは、その電子機器用冷却ファンに連結されたモーターが動かない場合、すなわちモーターが元の位置で停止している場合であっても、他の直列接続された故障していない電子機器用冷却ファンが生成する空気流によって、回転を開始する。
【0015】
図示の電子機器用冷却ファン及び関連するシステムによって、モーターの故障又はその他の故障の場合にファンのブレードが回転することができ、それによって気流の抵抗が低減する。これとは対照的に、従来のシステムにおいては、ファンモーター又は軸受が故障すると、その結果、ローターのファンがロックされてしまう。ローターのファンがロックされると、一般に気流の抵抗が実質的に増大し、したがって、ファンをモータから外して空転できるようにする図示のシステムと比較して、シャーシ温度がかなり上昇することになる。
【0016】
クラッチを採用する電子機器用冷却ファンの実施形態によって、ファンが故障した結果として生じる冷却性能の低下を克服するのにより強力なファンを必要とすることなく、十分なシステム冷却が可能になる。図示の実施形態はまた、(N+1個のうち、1個の電子機器用冷却ファンのモーター及び/又は軸受が故障していても)冗長なN+1冷却(N+1個の電子機器用冷却ファンが回転している際に得られる冷却)を可能にする。
【0017】
図示のクラッチを提供する電子機器用冷却ファンによって、故障したファンを通過する気流の抵抗を低減させ、ファンが故障した状態で部品を適切に冷却するためのさらなるファンを付け加えることなく十分なシステム冷却が可能になる。図示の電子機器用冷却ファンによってさらに、組み立てられるシステムを小型化することができ、モーターロックによる故障に対処する一方でファンの大型化を不要にする。
【0018】
図示の電子システム300は、電子機器用冷却ファン302A、302Bを含む複数の電子機器用冷却ファンを備えている。ローターは、クラッチを用いてモーターに連結されており、故障状態が発生した場合にはファン302A又は302Bをモーターから外すことができるようにしている。電子機器用冷却ファン302A、302Bは、シャーシ314内の、電子部品316を冷却するのに好適な位置に選択的に配置されることによって用いられる。典型的な有用な配置においては、1つ又は複数の電子機器用冷却ファン302A、302Bは、シャーシ314内で直列に配置される。電子システム300は、クラッチに連結されるプロセッサ、中央処理装置、コンピュータ、ロジック等の制御素子を含んでもよく、それによって動作中にローターとモーターとを連結し、且つ代替的に、電子機器用冷却ファンが故障するとローターが空転するようにクラッチを外す。
【0019】
図4Aを参照すると、図4Aは、複数のファンとファンクラッチとを備える電子機器用冷却装置400の一実施形態を示す概略断面図である。図示の実施形態において、電子機器用冷却装置400は、ハウジングすなわちシャーシ410、シャーシ410内部に収容された第1及び第2の冷却ファン402A、402B、第1及び第2の冷却ファン402A、402Bにそれぞれ連結された第1及び第2のモーター406A、406B、並びに第1及び第2の冷却ファン402A、402Bを直列に連結するファンクラッチ404を備える。
【0020】
ファンクラッチ404は、冷却ファン402A、402Bを自動的に駆動モーターにつなげるように動作するか、又は典型的には冷却ファン402A、402Bが空転できるようにするために駆動モーターから冷却ファン402A、402Bを外すよう動作する。このように冷却ファン402A、402Bを空転できるようにすることによって、モーター又は軸受が故障した結果として生じるロックに起因して起こり得る気流の抵抗を低減する。
【0021】
クラッチ404は、通常の動作において第1及び第2の冷却ファン402A、402Bと接続するように構成されている。モーター406A又は406Bが故障した場合には、クラッチ404は、故障していないモーター406A又は406Bを用いて、故障しているモーターに連結された冷却ファン402A又は402Bを駆動する。したがって、クラッチ404は、モーター406A、406Bが両方とも動作可能なときには第1の冷却ファン402Aと第2の冷却ファン402Bとが互いに独立して動作できるようにし、モーターが故障しているファンを動作し続けるようにすることができる。例示的な一実施形態において、第1及び第2の冷却ファン402A、402Bは、同じ向きに回転するよう構成されている。
【0022】
図示の実施形態においては、クラッチ404を流体クラッチとして示すが、他の実施形態においては、遠心クラッチ、ラチェットクラッチ、磁気クラッチ、磁気粘性クラッチ、油圧クラッチ、流体摩擦クラッチ等の他のタイプのクラッチを用いてもよい。
【0023】
遠心クラッチは半径方向の動きによって作動し、典型的には、駆動装置上に搭載された半径方向に移動可能な遠心おもりを有する。遠心力によって、遠心おもりは特定のトルク摩擦をクラッチに伝える。半径方向の速度の限界に達すると、自動的に連結が行われ、その結果負荷なしで駆動モーターが始動する。
【0024】
ラチェットクラッチは、ホイール又はバーの傾斜のついた歯と噛み合って一方向にのみ動けるようにする歯止めを含む、一般的な機構である。
【0025】
磁気クラッチは一般に、磁場/ローターの組立品と滑車/電機子の組立品とを含む。磁場/ローターの組立品は、コイルとバッキングプレートとを含む。コイルは、クラッチがつながること及びクラッチの引っ張り動作を可能にする磁束を発生する。ローターは入力回転を発生し、通常、定速で回転する。滑車/電機子の組立品は、電機子ディスク、ばね、ハブ及び滑車すなわち搭載フランジを含む。電機子は、磁力によってローターに連結される。磁束は、ローター内へ、次いで電機子へ伝達される。ローター及び電機子のスロットによって、磁束は複数の場所でローター及び電機子に接触することができる。磁束の接続点が複数あることによって、トルクを増大することができる。クラッチは、コイルに印加する電圧を下げる又はなくすことによって、外すことができる。電圧を解除すると、電機子とハブとの間のばねがローターから遠ざかる方向に電機子を引っ張り、電機子とローターとを分離するエアギャップを形成する。磁気クラッチの見地として挙げられることは、電気システムにおいて制御しやすいということである。
【0026】
磁気粘性クラッチの例示的な一実施形態では、鉱油やシリコーン等の流体に懸濁した鉄又は鉄合金の微粉末を含有する磁気粘性流体を用いる。このクラッチは、回転可能な入力シャフト、及び内部キャビティを有するハウジングの壁を形成するよう配置されたクラッチプレートを含む。磁気粘性流体は、キャビティ内に運ばれ、入力クラッチプレートとハウジングとの間に流体的にトルクを伝達するのに用いられる。クラッチはさらに、可変電流を伝えて入力クラッチプレートの端から端まで、及び磁気粘性流体の中に可変磁場を作り出すコイルを含み、入力クラッチプレートとハウジングとの間に変調トルクを伝達する。
【0027】
液体クラッチ、油圧クラッチ、又は流体摩擦クラッチは一般に、トルク伝達チャンバに供給される油又はその他の液体によって駆動ディスクの駆動トルクがケースに伝達される構造を有する。
【0028】
クラッチ404は、2つの冷却ファン402A、402Bを共通のハウジング410内で直列に接続する連結機構として機能する。クラッチ404は、2つのファン402Aと402Bとの間に配置され、両ファンが互いに独立して動作できるようにする。モーター406A、406Bのどちらかが故障する場合は、連結機構は、故障したモーターによって駆動されるファンをモーターから外す。2つの冷却ファン402A、402Bは同じ向きに回転し、これにより、動作しているファンからの空気流が空気流を作り出して、その作り出された空気流が故障したファンを回転し、空気流の低減を防止又は軽減するようになっている。したがって、クラッチ404は、故障事象に応答して性能を向上させる連結機構として機能する。冗長なファン構成において、N+1個の冷却ユニットを用いる冷却からN個の冷却ユニットを有する冷却に低下する結果となる、ファンシステムに関連する故障の場合に、連結機構は性能を向上させるよう動作する。ここで、Nは特定のシステムを冷却するのに十分な冷却ユニットの指定された数を表す。
【0029】
2つの冷却ファン402A、402Bを直列に配置することは、N+1冷却を行う典型的な技法であり、それによって、1個のファンが損なわれても動作しているファンがN個残って、有害な熱影響なしでシステム冷却を維持する。従来のN+1冷却システムの問題の1つは、1個のファンが故障すると、その結果N個のファンを用いて得られる空気流よりも空気流の能力が落ちてしまうということである。その理由は、故障したファンによって空気流抵抗が生まれ、それによって空気流全体の流れが低下してしまうからである。モーター及び/又は軸受が故障してファンがその位置にロックされると、空気流抵抗の増大が強まる。通常、空気流抵抗が増大しても、より多くのファンを付け加えること又はファンの出力を上げること等の過剰な設計の労力によって相殺されるが、これら労力はシステムのコストをかなり上昇させる技法である。
【0030】
図示の電子機器用冷却装置400は、ファンの故障の結果生じる冷却の低下を抑えるか又はなくす。図示の電子機器用冷却装置400によってまた、より小型の冷却システムを用いることができ、したがってより小型の電子システムを用いることができるようになる。その理由は、ローターロックを克服するのに十分強力なより大型のモーター及び/又はファンの使用を回避することができるからである。
【0031】
いくつかの実施形態において、クラッチ404は、冷却ファン402A又は402Bに直接連結されたモーター406A又は406Bのロックをもたらす故障に応答して、それぞれの冷却ファン402A又は402Bを空転させるよう構成されてもよい。ロックをもたらす故障とは、影響を受けるモーターをその位置にロックさせる故障である。
【0032】
いくつかの構成において、図示の冗長な電子機器用冷却装置400においてモーターが故障すると、冷却ファン402A、402Bが空転できるようにするクラッチ404が設けられているにもかかわらず、空転するファンが作り出す気流の抵抗のために、動作しているモーター406A又は406Bの速度が落ちる可能性がある。しかし図示の状況においては、連結機構としてのクラッチ404の動作によって2つのローターを回転させる単一のモーターは、単一のローターを回転させる単一のモーターと比較して、空気流を作り出す能力が同等であるか又はすぐれている。
【0033】
図4Bは、流体連結したプロペラ412の形式のファンクラッチ404の一実施形態を示す概略断面図である。所望の連結効果にしたがって選択される粘性を有する流体が、容器414に封入されており、羽416が流体内へと延びるとともにファンローターに連結している。
【0034】
図5を参照すると、図5は、冗長クラッチに連結されたファンの形式の電子機器用冷却装置500の一実施形態を示す概略断面図である。図示の実施形態は、連結された電子機器用冷却ファンを自動的に制御することができる制御部品すなわち素子を含む。電子機器用冷却装置500は、シャーシすなわちハウジング510内の複数の冷却ファン502A、502Bを接続するファンクラッチ504の形で示す連結器を含む。この連結器は、例えば磁気クラッチであり、2つのファン502A及び502B間のファンクラッチ504の形式で示され、冷却ファン502A、502Bの両方を互いから独立して動作できるようにしている。ファン502A又は502Bにそれぞれ接続されたモーター506A又は506Bが故障すると、故障しているモーターは動作を終了し、ファンが空転できるようにする。ほぼ同時に、図では磁気ファンクラッチである磁気連結機構504を作動する信号を電子アクチュエータ512に送ることができ、この信号は、電子機器用冷却装置500におけるさまざまな部品及び装置にエラー状態を通知する信号を生成することができる。クラッチ504によって、故障しているモーターに連結された冷却ファンはそのモーターから外される。外された冷却ファンは、故障していないモーターに接続されたファンが作り出す空気流によって回転する。故障していないモーターは、例えば故障していないモーターをより速い角速度で回転すること等、空気流駆動能力を向上させることによって、故障状態に応答するよう制御してもよい。特定の例においては、故障していないモーターを高速又は最高速度で動作して、故障していない状態で生成される典型的な空気流までシステムの空気流を増大してもよい。
【0035】
電子機器用冷却装置500は、第1及び第2の冷却ファン502A、502Bと、これらファンにそれぞれ連結するモーター506A、506Bとを収容するシャーシすなわちハウジング510を有する。クラッチ504は、冷却ファン502A、502Bを直列に連結する。第1及び第2のセンサ508A、508Bはそれぞれ、第1及び第2のモーター506A、506Bに連結し、接続されたモーター506A、506Bの動作状態を感知するようになっている。クラッチ504にはアクチュエータ512が連結され、アクチュエータ512は、センサ508A、508Bからの信号に基づいて冷却ファン502A、502Bを作動及び作動停止するよう、クラッチ504を選択的に動作させるように構成されている。例えば、制御ライン514によってセンサ508A、508Bをアクチュエータ512に接続し、モーター状態を示す通信信号を運んでもよい。
【0036】
典型的な一実施形態において、センサ508A、508Bはローターロックセンサであってもよく、冷却ファン502A、502Bはローターロック空転ファンであってもよい。ローターロックセンサは、モーターを過負荷状態から保護するのに用いられる一般的な制御部品である。このセンサは、抵抗のしきい値等の電気的しきい値を超えると作動する。典型的なローターロックセンサとしては、変流器、トランスデューサ及びインターフェースが挙げられる。
【0037】
図示の実施形態において、クラッチ504は、アクチュエータ512によって制御される接続及び切断をするように構成されている磁気クラッチであってもよい。図示の実施形態において、磁気ファンクラッチ504の実施は有用である。その理由は、磁気ファンクラッチ504はアクチュエータ512による制御を容易にするからである。しかし、さまざまな実施形態において、同様に制御能力を有する他のタイプのファンクラッチを用いてもよい。
【0038】
モーター506A又は506Bが故障すると、故障したモーターに連結されたセンサ508A又は508Bが、故障状態を感知してアクチュエータ512に信号を送り、それによって、故障したモーターに連結された冷却ファン502A又は502Bが、故障したモーターから外される。すると、外された冷却ファンは空転することができる。電子機器用冷却装置500はさらに、第1のセンサ508Aから第2のモーター506Bへの通信リンク516Aを含んでもよい。第2のモーター506Bは、第1のセンサ508Aによるモーター故障信号からの信号に応答して、第2の冷却ファンの速度を調整するよう制御されてもよい。同様に、第2のセンサ508Bから第1のモーター506Aへの通信リンク516Bは、第2のセンサ508Bによるモーター故障信号からの信号に応答して、第1の冷却ファンの速度を調整してもよい。
【0039】
電子機器用冷却装置500は、モーター506A、506B、センサ508A、508B及びアクチュエータ512への通信接続を有するコントローラ518を含んでもよい。コントローラ518は、モーターが故障していることを示すセンサから故障信号を受け取って、故障しているモーターに連結された冷却ファンの取り外しを要求する信号をアクチュエータ512へ送ることができる。
【0040】
いくつかの実施形態において、コントローラ518は、モーターの故障を示す、シグナルセンサから故障信号を受け取り、故障していないモーターへのコマンドを感知して故障していないモーターに連結された冷却ファンの回転速度を上げることによって応答するよう、プログラムされていてもよい。
【0041】
本開示はさまざまな実施形態を説明しているが、このような実施形態は、例示的であると理解されなければならず、特許請求の範囲を限定するものではない。説明される実施形態の多くの変形、変更、付加及び改良が可能である。例えば、当業者であれば本明細書において開示する構造及び方法を提供するのに必要な各段階を容易に実施し、且つ、プロセスパラメータ、材料及び寸法は例としてのみ呈示されているということを理解するであろう。これらパラメータ、材料、及び寸法を変化させて、特許請求の範囲内にある所望の構造及び変更形態を達成してもよい。例えば、特定のタイプのファンクラッチを図示し且つ説明しているが、任意の好適なファンクラッチを用いてもよい。同様に、ファンが複数であるさまざまな簡単な配置を示すことで、構造及び技法の表現を容易にしている。任意の好適な数及び配置のファン、モーター、クラッチ等を用いてもよく、これらは本明細書の範囲内にある。
【0042】
特許請求の範囲においては、特段の指示がない限り、構成要素は、1つ又は複数の構成要素を意味するものとする。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1A】故障すると離れて空転するようになっているクラッチを備える電子機器用冷却ファンを含む冷却装置の一実施形態を示す概略等角斜視図である。
【図1B】故障すると離れて空転するようになっているクラッチを備える電子機器用冷却ファンを含む冷却装置の一実施形態を示す側面断面図である。
【図2】ハブ、複数のモーター及び複数のクラッチをさらに含む電子機器用冷却ファンの他の実施形態を示す概略断面図である。
【図3】図示の冷却ファンを用いる電子システムの一実施形態を示す概略斜視図である。
【図4A】複数のファンとファンクラッチとを備える電子機器用冷却装置の一実施形態を示す概略断面図である。
【図4B】図4Aに示す流体クラッチの一実施形態を示す概略断面図である。
【図5】冗長なクラッチに連結されたファンの一実施形態を示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0044】
100 冷却装置(装置)
102、200 電子機器用冷却ファン
104、204A、204B クラッチ
106、206A、206B モーター
110、210A、210B 軸受
208 ハブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
故障すると外れて空転するように構成されているクラッチを有する電子機器用冷却ファンを備えることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記電子機器用冷却ファンは、
ハブと、
前記ハブに収容された複数のモーターと、
前記ハブに収容され、前記複数のモーターの各々にそれぞれ対応する複数のクラッチをさらに備え、前記複数のクラッチは、通常の回転動作中に接続して前記電子機器用冷却ファンによる空気移動を起こすように構成され、前記複数のクラッチの各々は、前記モーター及び軸受のうちの少なくともいずれかが故障すると外れるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記電子機器用冷却ファンは、
ハブと、
前記ハブに収容されたモーターと、
前記ハブに収容され、通常の回転動作中に接続して前記電子機器用冷却ファンによる空気移動を起こすように構成されており、且つ、前記モーター及び軸受のうちの少なくともいずれかが故障すると外れるように構成されている前記クラッチとをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記クラッチは、遠心クラッチ、ラチェットクラッチ、磁気クラッチ、磁気粘性クラッチ、油圧クラッチ及び流体摩擦クラッチから成る群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項5】
シャーシと、
前記シャーシによって収容された少なくとも1つの電子部品と、
前記シャーシによって収容された複数の複数の電子機器用冷却ファンとを備え、
前記複数の電子機器用冷却ファンは、直列接続された少なくとも2つの電子機器用冷却ファンを含み、前記直列接続された電子機器用冷却ファンは、故障すると離れて空転するように構成されているクラッチを有することを特徴とする電子システム。
【請求項6】
前記直列接続された電子機器用冷却ファンにおける少なくとも1つの故障していない電子機器用冷却ファンは、接続されたままであり、切断されて空転する故障した電子機器用冷却ファンのファン回転を起こす空気流を作り出すことを特徴とする請求項5に記載の電子システム。
【請求項7】
前記電子機器用冷却ファンは、
ハブと、
前記ハブ内に収容されたモーターと、
前記ハブ内に収容され、通常の回転動作中に接続して前記電子機器用冷却ファンによる空気移動を起こすように構成されており、且つ、前記モーター及軸受のうちの少なくともいずれかが故障すると外れるように構成されている前記クラッチとをさらに備えることを特徴とする請求項5に記載の電子システム。
【請求項8】
シャーシと、
前記シャーシに収容された第1及び第2の冷却ファンと、
前記第1及び第2の冷却ファンにそれぞれ連結された第1及び第2のモーターと、
前記第1及び第2の冷却ファンを直列に連結するクラッチとを備えることを特徴とする電子機器用冷却装置。
【請求項9】
前記第1及び第2のモーターにそれぞれ連結され、前記第1及び第2のモーターの各々の動作状態を感知するように構成されている第1及び第2のセンサと、
前記クラッチに連結され、前記クラッチを制御可能に作動及び作動停止するように構成されているアクチュエータとをさらに備え、前記アクチュエータが前記第1及び第2のセンサに通信可能に連結され前記第1及び第2のセンサからの信号によって制御されることを特徴とする請求項8に記載の電子機器用冷却装置。
【請求項10】
前記第1のセンサから前記第2のモーターへの通信リンクであって、前記第2のモーターは、前記第1のセンサからのモーター故障信号による信号に応答して前記第2の冷却ファンの速度を調整するよう制御可能に構成されている通信リンクと、
前記第2のセンサから前記第1のモーターへの通信リンクであって、前記第1のモーターは、前記第2のセンサからのモーター故障信号による信号に応答して前記第1の冷却ファンの速度を調整するよう制御可能に構成されている通信リンクと
をさらに備え、
前記第1及び第2のモーターの一方のモーターが故障した場合には、前記故障したモーターに連結されたそれぞれの前記センサは、前記故障状態を感知し且つ前記アクチュエータに信号を送り、前記アクチュエータは、前記故障したモーターに連結された前記冷却ファンを離して空転できるようにすることを特徴とする請求項9に記載の電子機器用冷却装置。
【請求項11】
前記第1及び第2のモーターと、前記第1及び第2のセンサと、前記アクチュエータとに連結されたコントローラをさらに備え、前記コントローラは、前記第1及び第2のモーターのうちの故障している各モーターを示す前記第1及び第2のセンサからなる信号伝達センサからの故障信号を受け取って、前記アクチュエータに応答信号を送ることによって、前記故障しているモーターに連結された前記冷却ファンを離すように構成されていることを特徴とする請求項9に記載の電子機器用冷却装置。
【請求項12】
前記クラッチは、遠心クラッチ、ラチェットクラッチ、磁気クラッチ、磁気粘性クラッチ、油圧クラッチ及び流体摩擦クラッチから成る群から選択されることを特徴とする請求項8に記載の装置。

【図1A】
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【図3】
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【図4B】
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【図1B】
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【図2】
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【図4A】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−220146(P2006−220146A)
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−13723(P2006−13723)
【出願日】平成18年1月23日(2006.1.23)
【出願人】(503003854)ヒューレット−パッカード デベロップメント カンパニー エル.ピー. (1,145)
【Fターム(参考)】