説明

電子機器

【課題】小型化を可能とするとともに高い冷却性能を確保することのできる電子機器を提供する。
【解決手段】底面2aの脚部10は後部11に吸気口12を有している。発熱部品21には冷却装置30が熱的に接続されている。冷却装置30は発熱部品21に熱的に接続される受熱部31と、受熱部31に伝熱された熱を移送するヒートパイプ32、ヒートパイプ32の他端が複数のフィン33により構成されるヒートシンク34とを有している。脚部10内部には円筒ファン装置40が配置されている。円筒ファン装置40は円筒ファン42とこの円筒ファン42を回転駆動するモータ部41とを有している。円筒ファン42の一旦は吸気口12と対向して配置されており、円筒ファン装置40は電子機器の前後方向に長手方向を向けて配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器およびその冷却構造に係り、特に、冷却ファンで発熱体を強制冷却する電子機器およびその冷却構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パーソナルコンピュータをはじめとして、電子機器の情報処理速度の向上は著しく、これを実現するCPU(Central Processing Unit)や周辺半導体デバイスの処理速度は従来に比べて格段と高速化が図られている。
【0003】
CPUや周辺半導体デバイスの高速化に伴って、これらのデバイスの発熱量も増大してきており、特にCPUの多くは強制冷却無しでは正常な動作を維持できなくなってきていいる。
【0004】
また、電子機器の性能向上や多機能化に伴って部品点数や部品の種類は増加傾向にあるものの、他方では小型・軽量化への要望も益々高まってきており、特に携帯型情報機器の分野では小型・軽量化技術が必要不可欠となってきている。
【0005】
従来から、CPU等の発熱デバイスを強制冷却する方法として、冷却ファンを用いて冷却空気の流れを発生させ、この冷却空気をCPU等の発熱デバイスに熱的に接続された放熱フィンに吹き付けることによって冷却する方法が多くとられている。この場合例えば冷却ファンを筐体に取り付け、冷却ファンの近傍にCPU等の発熱デバイスを配設することが多い。
【0006】
また、小型の冷却ファンをCPU等の発熱デバイスの上面に密着させて冷却させる形態も多くとられている。
【0007】
冷却ファンの種類には種々のものがあるが、軸流ファンと呼ばれるものは、羽根車の回転軸に沿って直線的な空気の流れを発生させるものである。また、遠心型多翼ファン(シロッコファンとも呼ばれる)と呼ばれるものは、回転軸の中心から空気を吸い込み、遠心方向に空気を吐き出す方式のファンである。
【0008】
この他、特許文献1には、円筒体の形状を有し、かつ、その軸方向に沿って複数のブレードが円周方向に配設され、回転軸に直交する一方から空気を吸い込み、反対方向に空気を吐き出す方式のファン(リニアフローファン)に関する技術が開示されている。このファンによれば、円筒体の長さ方向の全幅にわたって均一な強さの流れが発生できるとしている。
【特許文献1】特開2001−168564号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述した冷却方法や冷却ファンは、いずれも発熱体(CPU等)或いは発熱体と熱的に接続された受熱体(放熱フィン等)(以下発熱体等という。)と冷却ファンとが物理的に分離された形態となっている。
【0010】
即ち、冷却ファンで発生させた空気流を、冷却ファンに近接して配置された発熱体等や、冷却ファンと所定の距離をもって配置された発熱体等に吹き付けて冷却する形態となっている。
【0011】
このため、冷却ファンと発熱体等とはそれぞれ独立した空間を占有せざるを得ず、小型・高密度を必要とする電子機器にとっては部品配置上の大きな制約となっている。
【0012】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、小型化を可能とするとともに高い冷却性能を確保することができる電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明の電子機器は、底面を有する本体と、底面に設けられるとともに吸気口を有する脚部と、本体内部に設けられる発熱部品と、発発熱部品に熱的に接続され、発熱部品の熱を放熱する冷却装置と、脚部内に配置され吸気口を介して吸気冷却装置に吸気した空気を導くファン装置と、を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、小型化を可能とするとともに高い冷却性能を確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下本発明に係る実施の形態を、図面を参照して説明する。
図1は、電子機器の斜視図である。ノート型コンピュータ(電子機器)1は本体2を有し、ヒンジ部3を介して表示装置4が本体2に対して回動可能に接続されている。本体2の上面にはキーボード2が配置されている。本体2の側面6には排気口7が設けられている。
図2は、電子機器の脚部分を側方より見た概略断面図である。本体2の底面2aには脚部10が設けられている。本体2の後部2b側に位置する脚部10の後部11には吸気口12が設けられている。本体2内部には回路基板20が設けられている。回路基板20にはCPU等の発熱部品21が実装されている。発熱部品21には冷却装置30が熱的に接続されている。冷却装置30は発熱部品21に熱的に接続される受熱部31を有している。受熱部31はグリース、電熱シート等を介して発熱部品21に熱的に接続される。冷却装置30は、受熱部31に伝熱された熱を移送するヒートパイプ32を有しており、ヒートパイプ32の一端がカシメ、半田付け等の手法により受熱部31に熱的に接続されている。ヒートパイプ32の他端は複数のフィン33により構成されるヒートシンク34に熱的に接続される。ヒートパイプ32の他端もカシメ、半田付け等によりヒートシンク34に熱的に接続される。ヒートシンク34は脚部10の上方近傍に配置される。
【0016】
脚部10内部には円筒ファン装置40が配置されている。円筒ファン装置40は円筒ファン42とこの円筒ファン42を回転駆動するモータ部41とを有している。円筒ファン42の一旦は吸気口12と対向して配置されており、円筒ファン装置40は電子機器1の前後方向に長手方向を向けて配置されている。
図3は、円筒ファンの斜視図である。
円筒ファン42は、回転軸線Aの周囲の円周方向に配設される複数のフィン45と、これらのフィン45を支持する支持部43,44とを備えて構成される。支持部43は図2に示すモータ部41が接続されモータ部41の回転動力が支持部43に伝達されることで円筒ファン42が回転軸線Aを中心に回転する。
【0017】
各フィン45は、軸方向に直線状に伸びた細長の略短冊形状をなし、幅方向は適宜の曲率をもって湾曲している。各フィン45の両端は図3に示したように支持部43,44の支持面43a,44aの円周方向に連接される。支持部43は円盤状に形成されており、支持部44は円環状に形成されている。支持部44には開口部44bを備えている。また、隣接する各フィン45の間には細長い隙間46が形成された略円筒形状を形成する。
【0018】
フィン45の数、細部形状、或いはフィン45の支持部43,44に対する取り付け角度等は、必要とする冷却性能等によって適宜最適なものに設定されるもので、本発明において特に限定するものではない。
【0019】
円筒ファン42を形成する材質は特に限定するものではないが、例えば軽量化の点から合成樹脂等を用いて形成できる。また、複数のフィン45と支持部21とを合成樹脂等で一体的に成形する形態であっても良い。
円筒ファン42がモータ41により回転させられると、支持部44の開口部44bより吸気され、開口部46を介して回転軸Aより遠心方向に吸気した空気が排気される。図2において、円筒ファン装置40は、支持部44の開口部44bは脚部10の吸気口12と対向するように配置されている。
図4は、電子機器の脚部分を後方より見た概略断面図である。図5は、冷却装置と円筒ファン装置との位置関係を示した平面図である。
図4に示すように円筒ファン装置40の周りにはダクト50が設けられている。ダクト50は円筒ファン42の周囲を囲う本体部51を有している。円筒ファン40の開口部44bより吸気された空気は複数のフィン45間の開口部46を介して遠心方向に排気される。排気された空気はダクト本体部51により本体部51の一箇所にある排気口52より排気される。
ダクト50は排気口52よりより延びるダクト部53を有している。ダクト部53の一端53aはヒートシンク34の一端43aに接続される。ヒートシンク34の他端33bは本体2の側面6に設けられている排気口7と対向している。排気口52より排気される空気はダクト部53を通ってヒートシンク34に流れ込む。
図5に示すようにヒートシンク34に流れ込んだ空気はヒートシンク34を構成する複数のフィン33の間隙を介して排気口7を介して電子機器1の外部へ排出される。フィン33には受熱部31よりで発熱部品21の熱が伝熱されており、フィン33の間を通る空気によりフィン33に伝わった熱は冷やされる。
【0020】
このように円筒ファン40を電子機器1の脚部10内部に配置することで本体2内部における他の部品の配置の自由度、設計自由度をあげることができ、機器の小型化、高密度実装を可能とし、効率良く冷却効果を発揮することができる。
【0021】
なお、本発明は実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】電子機器の斜視図。
【図2】電子機器の脚部分を側方より見た概略断面図。
【図3】円筒ファンの斜視図。
【図4】電子機器の脚部分を後方より見た概略断面図。
【図5】冷却装置と円筒ファン装置との位置関係を示した平面図。
【符号の説明】
【0023】
1…電子機器、2…本体、3…ヒンジ部、4…表示装置、5…キーボード、6…側面、7…排気口、10…脚部、12…吸気口、20…回路基板、21…発熱部品、30…冷却装置、31…受熱部、32…ヒートパイプ、33…フィン、34…ヒートシンク、40…円筒ファン装置、41…モータ部、42…円筒ファン、43,44…支持部、45…フィン、44b…開口部、50…ダクト、51…本体部、52…排気口、53…ダクト部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面を有する本体と、
上記底面に設けられるとともに吸気口を有する脚部と、
上記本体内部に設けられる発熱部品と、
上記発発熱部品に熱的に接続され、上記発熱部品の熱を放熱する冷却装置と、
上記脚部内に配置され上記吸気口を介して吸気上記冷却装置に吸気した空気を導くファン装置と、
を具備することを特徴とする電子機器。
【請求項2】
上記ファン装置は、
モータと、
このモータにより回転駆動される円筒ファンと、を有し、
上記円筒ファンは、
上記モータの回転軸を中心に同心円状には配置されるとともに、上記モータの回転により回転される複数のフィンと、
上記モータの回転軸上に設けられた開口部と、を有し、
上記開口部を介して吸気した空気を上記複数のフィンの間を介して遠心方向に排気する円筒ファン装置である事を特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項3】
上記円筒ファン装置から延心情に排気された空気はダクトを介して上記冷却装置に導かれることを特徴とする請求項2記載の電子機器。
【請求項4】
冷却装置は、
上記発熱部品に熱的に接続される受熱部と、
上記受熱部に熱的に接続され、上記受熱部に伝わった熱を移送するヒートパイプと、
上記ヒートパイプの一端に熱的に接続され上記ヒートパイプにより移送された熱を放熱するヒートシンクと、を有し、
上記ダクトを介して導かれた空気は上記ヒートシンクに吹き付けられることを特徴とする請求項3記載の電子機器。
【請求項5】
上記本体は排気口を有し、上記ヒートシンクは上記本体の排気口と対向することを特徴とする請求項4記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−210635(P2006−210635A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−20576(P2005−20576)
【出願日】平成17年1月28日(2005.1.28)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】