説明

電子機器

【課題】操作の内容および/または処理の状況に即した高い利便性を与えることのできる電子機器を提供する。
【解決手段】床面に対して垂直方向に立設される複数の支柱部3と、各支柱部3に沿って昇降可能に係合する係合部材と、各係合部材に支持されるとともに使用者の操作に応じて所定の処理を行う本体部1と、本体部1を係合部材と共に昇降させるための昇降駆動部と前記操作の内容および/または処理の状況に応じて昇降駆動部を制御する昇降制御部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子機器に関し、より詳細には本体の高さを調節可能な電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置をはじめとする比較的大型の電子機器は、床面上に設置された後、その位置をずらすことなく使用されるのが一般的である。また、機器の各部、例えば、画像形成装置における操作パネル部、給紙トレイ部、排紙トレイ部、原稿読取部、トナー補給部などの部分の床面からの高さは当初設計された高さに固定されている。例えば、操作パネル部の高さは、平均的な身長の大人が操作し易い高さに基づいて設計される。一般的に、その高さは、床面から80〜120cmの程度である。
【0003】
しかし、使用者が操作する箇所は操作パネル部だけにとどまらない。例えば、画像形成装置の場合、給紙トレイ部にシートを補給したり、排紙トレイ部に排出されたシートを取り出したりすることもある。あるいは、原稿読取部(読取部)に原稿をセットしたり、トナー補給部にトナーを補給したりすることもある。占有面積や機構上の制約等から、それら各部を同じ高さに配置するのは困難であり、各部が異なる高さに設けられる。従って、全てのケースで高い利便性を提供することはむずかしい。
【0004】
一方で、機器の高さを調整できるように高さ調整機構を設けた電子機器が知られている(例えば、特許文献1参照)。しかし、それらは、機器が設置される床面に応合わせて高さを微調整するためのものであって、機器に対する操作や処理の状況に応じて高さを調整するためのものではない。
【特許文献1】特開2005−180471号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述のように、機器の処理の状況によって操作の対象となる部位が異なる。そこで操作の内容および/または処理の状況に応じて機器の床面からの高さを変えることができれば、操作の内容あるいは処理の状況に即した高い利便性を使用者に与えることができる。
【0006】
この発明は、このような事情を考慮してなされたものであって、操作の内容および/または処理の状況に即した高い利便性を与えることのできる電子機器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、床面に対して垂直方向に立設される複数の支柱部と、各支柱部に沿って昇降可能に係合する係合部材と、各係合部材に支持されるとともに使用者の操作に応じて所定の処理を行う本体部と、本体部を係合部材と共に昇降させるための昇降駆動部と前記操作の内容および/または処理の状況に応じて昇降駆動部を制御する昇降制御部とを備えることを特徴とする電子機器を提供する。
【発明の効果】
【0008】
この発明の電子機器は、操作の内容および/または処理の状況に応じて昇降駆動部を制御する昇降制御部を備えるので、操作の内容および/または処理の状況に応じた操作し易い高さに本体部を昇降させ、使用者に高い利便性を与えることができる。
【0009】
前記本体部が、その水平断面における周縁部、好ましくは隅の部分で各係合部材を支持するものであってもよい。
【0010】
また、床面上に配置され、各支柱部を軸支する脚部をさらに備え、各支柱部が、その外周面にネジ山が形成されてなる雄ネジ部を有し、各係合部材が、前記雄ネジ部と回動自在に螺合する雌ネジ部を有し、昇降駆動部が、各支柱部を回動させて本体部を昇降させるものであってもよい。このようにすれば、各支柱部の回動によって本体部を昇降させることができる。
【0011】
さらに、前記昇降駆動部が、各支柱部を独立して回動させて本体部の傾き調節を可能とするものであってもよい。このようにすれば、専用の機構を設けることなく本体部の傾きを調整することができる。
【0012】
あるいは、各支柱部が、その外周面にネジ山が形成されてなる雄ネジ部を有し、各係合部材が、前記雄ネジ部と回動自在に螺合する雌ネジ部を有し、本体部が、各係合部材を回動可能に支持し、前記昇降駆動部が、各係合部材を回動させて本体部を昇降させるようにしてもよい。このようにすれば、各係合部材の回動によって本体部を昇降させることができる。
【0013】
さらに、前記昇降駆動部が、各係合部材を独立して回動させ得るものであり、これによって本体部の傾き調節が可能であってもよい。このようにすれば、専用の機構を設けることなく本体部の傾きを調整することができる。
【0014】
また、前記支柱部が室内に設置される場合に前記室内の天井面に配置され、各支柱部の頂上部を支持する頂上支持部をさらに備えていてもよい。このようにすれば、各支柱部を、頂上指示部で支持することができる。
【0015】
さらに、前記支柱部が室内に設置される場合に、各支柱部が、略床面高さから前記室内の略天井面高さまでの範囲に雄ネジ部を有し、当該範囲内で本体部の高さが変更可能であってもよい。
【0016】
さらにまた、この発明の電子機器は、複数の支柱部の下部を互いに連結する1以上の下方連結部と、複数の支柱部の上部を互いに連結する1以上の上方連結部とをさらに備え、下方連結部と上方連結部と各支柱部とによって本体部を保持するラック部が構成されてなるものであってもよい。このようにすれば、ラックの支柱部に沿って本体部を昇降させることができる。
【0017】
また、前記本体部が、使用者の操作に応じて原稿の読取および/またはシートへの印刷を行うものであってもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を用いてこの発明をさらに詳述する。以下の説明により、この発明をよりよく理解することが可能であろう。なお、以下の説明は、すべての点で例示であって、限定的なものではないと考えられるべきである。
【0019】
(実施の形態1)
図1は、この発明の電子機器の一例としての画像形成装置、具体的にはプリンタの外観を示す斜視図である。図1に示すように、この発明に係るプリンタは、垂直な4本の支柱3が、本体1の四隅を貫通し、本体1は、支柱3に沿って昇降可能である。支柱3の下端は、脚部7を介して床面上に設置される。支柱3の上端は、天井面で支持される。
【0020】
図2は、図1の本体1が昇降する様子を示す説明図である。各支柱3の周面には、ネジ山が形成されている。ここで、ねじ山が形成されている周面を雄ネジ部という。本体1の内部には、各支柱3のねじ山と螺合するねじ山(雌ネジ部)が形成されたナット5が設けられている。ナット5は、支柱3に対して相対的に回動することによって、雄ネジ部の範囲内で矢印Aの方向に昇降する。本体1は、ナット5を介して各支柱3に支持されている。
【0021】
脚部7の内部には、図示しない昇降駆動モータが設けられ、昇降駆動モータの回転に伴って支柱3が回転する。ナット5は、本体1に固定されており支柱3が回転すると、本体1がナット5と共に昇降する。
【0022】
図5は、図1の支柱3とナット5の詳細を示す説明図である。図5で、脚部7の内部には、前述の昇降駆動モータ9と、それを駆動するドライバ回路(不図示)が配置されている。昇降駆動モータ9の回転軸は、支柱3の軸と平行である。昇降駆動モータ9が回転すると、支柱3は、矢印Bの方向に回転する。ナット5は、本体1に固定されている。昇降駆動モータ9のドライバ回路は、本体1の内部に設けられた昇降制御回路からの制御信号によって制御される。なお、各昇降駆動モータ9は、互いに独立して駆動され、本体1の傾きを調節できるようになっていてもよい。
【0023】
支柱3は、請求項にいう支柱部に相当し、ナット5は、請求項にいう係合部材に相当する。本体1は、請求項にいう本体部に相当し、昇降駆動モータ9は昇降駆動部に相当する。さらに、前述した本体1内の制御回路は、請求項にいう昇降制御部に相当する。
【0024】
昇降制御回路は、本体1の各部の動作を制御する本体制御回路の一部として構成されてもよい。昇降制御回路は、例えば、マイクロコンピュータと、マイクロコンピュータが処理を実行するためのプログラムを格納するROM、入出力回路で構成される。入出力回路は、本体各部に配置されるセンサやスイッチ類からの信号が入力される入力回路部と、コンピュータの処理に基づいて本体各部の負荷を駆動する駆動信号あるいは各負荷を制御する制御信号を出力する出力回路部を含む。昇降駆動モータ9を制御する制御信号は、マイクロコンピュータの処理によって発生し、出力回路部から制御信号として出力され、IrDAなどの光通信を介して脚部7内のドライバ回路に伝達されるようにしてもよい。あるいは、前記制御信号の伝達は、Bluetoothなど電波を用いた通信によって実現してもよい。
【0025】
また、本体1は、それに対応するリモコンからの指示を受信する受信部を備えていてもよい。前記リモコンは、例えば赤外光を用いて本体1へ指示を送信する。本体1は、リモコンからの指示を受信するために、図示しない受光部を備えていてもよい。本体1の受光部で受信された指示は、前述の本体制御回路のマイクロコンピュータによって処理さる。本体制御回路は、その指示に応じて昇降制御回路に指示を送り、本体1を昇降させてもよい。
【0026】
(実施の形態2)
実施の形態1では、支柱3が床面と天井面とで支持されていたが、支柱3が、床面に設置されて本体を支持するラックを構成するものであってもよい。図3は、この発明の電子機器の異なる一例としてのプリンタの外観を示す斜視図である。図3に示すように、この実施形態のプリンタは、本体1を垂直方向に貫通する4本の支柱3のうち、2本が互いに下端と上端とで連結されている。下端は、脚部7を構成する部材によって連結され、上端は、連結部材15でそれぞれ連結されている。各支柱3は、本体1の四隅を貫通し、本体1は、支柱3に沿って昇降可能である。
【0027】
図4は、図3の本体1が昇降する様子を示す説明図である。各支柱3の周面には、ネジ山が形成されている。周面にねじ山が形成された部分を雄ネジ部という。本体1の内部には、各支柱3のねじ山と螺合するねじ山(雌ネジ部)が形成されたナット5が設けられている。ナット5は、支柱3に対して相対的に回動することによって、雄ネジ部の範囲内を矢印Cの方向に昇降する。本体1は、ナット5を介して各支柱3に支持されている。
【0028】
図6は、図3の支柱3とナット5の詳細を示す説明図である。図5で、本体1の内部には、昇降駆動モータ9と、それを駆動するドライバ回路(不図示)が配置されている。ナット5は、本体1に対して水平面内(矢印Dで示す)で回動可能に支持されている。昇降駆動モータ9の回転は、駆動機構によってナット5に伝達される。昇降駆動モータ9が回転すると、ナット5が回転し、支柱3に形成されたねじ山に沿って移動する。これによって、ナット5を回動自在に支持する本体1が支柱3に沿って昇降する。
【0029】
脚部7は、請求項にいう下方連結部に相当し、連結部材15は、請求項にいう上方連結部に相当する。
【0030】
昇降駆動モータ9は、図示しないドライバ回路で駆動され、ドライバ回路は、図示しない昇降制御回路からの制御信号によって制御される。昇降制御回路は、本体1内に配置される。昇降制御回路は、本体1の各部の動作を制御する本体制御回路の一部として構成されてもよい。昇降制御回路は、例えば、マイクロコンピュータと、マイクロコンピュータが処理を実行するためのプログラムを格納するROM、入出力回路で構成される。
【0031】
(実施の形態3)
この実施の形態では、この発明の電子機器の一例として画像形成装置の詳細な構成を説明する。
【0032】
図7は、この発明の電子機器のさらに異なる一例としての画像形成装置を示す断面図である。図7に示すように、この実施の形態の画像形成装置は、本体1として、スキャナ1aとプリンタ1bとを有する複合機である。図7の複合機は、コピー、プリンタ、スキャナ、ファックスの各ジョブを処理できるものである。スキャナ1aは、大略的に、走査光学系16と、その上方に配置される原稿搬送装置17とを備えて構成されており、原稿搬送装置17は、原稿の両面を読取り可能に構成されている。
【0033】
走査光学系16は、読取り手段であるCCD読取りユニット18を備えて構成され、原稿台19(プラテンガラス)上に置かれた原稿の画像を走査光学系16で走査し、CCD読取りユニット18で読取りを行う。CCD読取りユニット18は、結像レンズ、CCDイメージセンサなどを備えて構成される。
【0034】
原稿搬送装置17は、原稿トレイ30上に積層状態で載置された原稿を1枚ずつ取り込んでゆき、取り込んだ原稿を原稿台19へ搬送した後、原稿排紙トレイ36へ排出する。原稿が搬送される過程で、原稿台19の所定の読取位置に待機している走査光学系16のCCD読取りユニット18によって原稿下面側の画像が読み取られる。また、原稿搬送路の上面側に設けられた密着型イメージセンサ35によって原稿上面側の画像が読み取られる。読み取られた原稿画像のデータは、プリンタ1bに送出され、図示しない画像メモリに格納される。
【0035】
また、原稿搬送装置17は、原稿台19の奥側(紙面奥側)に設けられたヒンジ(図示せず)を回動支点として、手前の部分が上方に回動するようになっている。これにより、原稿台19の上面を開放できるようになっている。原稿搬送装置17が搬送できない原稿、例えば、ブック原稿等を読み取る場合は、操作者が原稿搬送装置17を上方に回動させて原稿を原稿台19上にセットする。走査光学系16は、原稿台19の下を移動しながら原稿を走査して原稿画像を読み取る。
【0036】
プリンタ1bは、画像を形成させるための記録材であるシートの搬送系、レーザー書き込みユニット46、および画像を形成するための電子写真プロセス部を備えている。電子写真プロセス部は、その表面に静電潜像を形成するための感光体ドラム48を有する。レーザー書き込みユニット46は、画像メモリ(不図示)から読み出した画像データに応じてレーザー光を出射する半導体レーザー光源(不図示)、レーザー光を偏向するポリゴンミラー46b、偏向されたレーザー光が感光体ドラム48の表面を等角速度で走査するようにレーザーの光路を補正するf−θレンズ46cなどを有している。
【0037】
電子写真プロセス部は、感光体ドラム48の周囲に帯電器45、現像器47、トナー容器47a、転写器44、剥離器43、クリーニング器42、除電器41が配置されてなる。帯電器45は、感光体ドラム48の表面を一様に帯電させる。その後、レーザー書き込みユニット46によって感光体ドラム48の表面にレーザー光が照射され、これによって原稿画像に対応する静電潜像が形成される。現像器47は、形成された静電潜像に対応して感光体ドラム48の表面にトナーを付着させる。これによって、感光体ドラム48の表面に原稿に対応するトナー像が形成される。トナー容器47aは、現像器47にトナーを供給する。
【0038】
前述のシートの搬送系は、給紙カセット51、52、53、シート搬送部40、定着器49、再供給ユニット55を有する。給紙カセット51、52、53は、シートを収容する。各給紙カセットに対応して給紙部が設けられており、各給紙カセットからシート搬送部40へ一枚ずつシートを送り込む。シート搬送部40は、送り込まれたシートを転写器44が配置される転写位置へ搬送する。転写位置で、感光体ドラム48の表面に形成されたトナー像がシートに転写される。定着器49は、転写されたトナー像をシートに定着させる。再供給ユニット55は、シートの表裏両面に画像を転写するために、シートを転写位置へ再供給するためのものである。
【0039】
画像が記録されたシートは、本体排紙ローラ57を通過して本体排紙トレイ63へ排出される。あるいは、後処理装置60へ搬送される。後処理装置60は、画像が記録されたシートを受け取り、受け取ったに所定の後処理を施すものである。所定の後処理とは、例えば、シートを一部単位でオフセットさせてスタックしたり、ステープルしたり、パンチしたりする処理である。後処理装置60は、シートを排紙トレイ65aあるいは排紙トレイ65bに排出する。
【0040】
また、プリンタ1bの底部には、昇降ホームポジションセンサ10が配置されている。昇降ホームポジションセンサ10は、プリンタ1bが床面に到達する前に床面への近接を検知して信号を出力する。昇降制御回路は、この信号を昇降の基準位置(最下点)を把握するために用いる。また、昇降駆動モータ9にステッピングモータを用いれば、昇降制御回路は、基準位置からのステップ数でスキャナ1aとプリンタ1bとの昇降位置を常に把握して制御することができる。あるいは、昇降駆動モータ9がステッピングモータでない場合、エンコーダ付きのモータを用いることによって、昇降制御回路は、基準位置からのエンコーダパルス数で本体1の昇降位置を常に把握して制御することができる。
【0041】
(実施の形態4)
この実施の形態では、実施の形態3の画像形成装置の各操作部位について説明する。さらに、装置に対する操作あるいは装置の処理の状況に応じて各操作部位を最適な高さに調整する具体例を説明する。
【0042】
図7の画像形成装置に対して、操作者が操作を行う内容とその部位としては、次のようなものがある。
1.操作パネル
図7で、原稿台19の手前側には、操作パネル67が設けられている。操作パネル67上には、画像形成装置の状態を表示する表示部と、画像形成装置に対する指示を使用者が入力するための操作キーが設けられている。コピー、スキャナ、ファックス送信など、原稿を読み取らせて実行するジョブの場合、使用者は、原稿を画像形成装置の所定位置にセットし、操作パネル67を用いてジョブの設定を行う。また、スタートキー70aを用いてジョブのスタートを指示する。
また、操作パネル67は、前述した本体の傾きを調整するために設けられた自己診断プログラムを本体1に実行させるために用いられる。作業者が、所定の手順で操作パネル67に設けられた操作キーを操作すると前述の自己診断プログラムが実行される。自己診断プログラムの中で、作業者が、各昇降駆動モータ9を昇降させる高さを操作パネル67を用いて入力すると、昇降制御回路は、入力された高さに応じて各昇降駆動モータ9を回転させる。
【0043】
図8は、図7に示す操作パネル67の詳細を示す説明図である。図8に示すように、操作部67には、装置の設定や状態を表示する液晶表示部69、各種の操作キーなどが配置されている。操作キーには、例えば、画像形成装置にコピージョブやスキャナジョブを実行させるとき、それらのジョブ開始を指示するスタートキー70aや、コピーの部数を設定するテンキー70bなどが含まれる。前述の本体制御回路は、表示部の表示内容を制御するとともに、操作キーが操作されたことを検出する。
【0044】
使用者が操作パネルを操作するとき、使用者が操作しやすい高さに操作パネル67が位置していることが好ましい。
2.原稿トレイ、原稿台
前述のように、コピー、スキャナ、ファックス送信などのジョブを実行させる場合、操作者は、読み取らせる原稿を所定位置にセットする必要がある。シート原稿は、原稿トレイ30にセットする。ブック原稿など、原稿搬送装置17が扱えない原稿は、原稿台19にセットする。原稿トレイ30には、トレイに原稿がセットされているか否かを検知するセンサが配置されており、前記本体制御回路は、センサからの信号に基づいて原稿の有無を把握できる。また、スキャナ1aには、原稿搬送装置17を開放して原稿台19上に原稿がセットされたときに、原稿台19上に原稿がセットされたかどうかを検知する原稿検知センサが設けられている。前記本体制御回路は、原稿検知センサからの信号に基づいて、原稿台19上に原稿がセットされたか否かを把握できる。また、原稿排紙トレイ36には、トレイ上に排出された原稿があるか否かを検知するセンサが配置されており、前記本体制御回路は、センサからの信号に基づいて原稿の有無を把握できる。原稿をセットする際に、使用者が原稿をセットし易い高さに原稿トレイ30あるいは原稿台19が位置していることが好ましい。また、原稿搬送装置17を用いたときは、排出された原稿を取り出し易い高さに原稿排紙トレイ36が位置していることが好ましい。
3.排紙トレイ
プリンタから出力されたシートは、本体排紙トレイ63または後処理装置60の排紙トレイ65aまたは65bに排出される。各排紙トレイには、排紙トレイにシートがあるか否かを検知するセンサが配置されており、前記本体制御回路は、センサからの信号に基づいてシートの有無を把握できる。印刷終了後、使用者は、それらのトレイ上に排出されたシートを取り出す必要がある。そのとき、使用者がシートを取り出し易い高さに排紙トレイが位置していることが好ましい。
4.給紙カセット
給紙カセットに収容されたシートがすべて給紙されてなくなると、シートを補給する必要がある。各給紙カセットトレイには、給紙カセット内にシートがあるか否かを検知するセンサが配置されており、前記本体制御回路は、センサからの信号に基づいてシートの有無を把握できる。前記本体制御回路は、給紙カセットのシートがなくなったとき、操作パネル67の表示部にその旨を表示して使用者にシートを補給するように促す。あるいは、各給紙カセットの外装部に用紙補給を促すための表示ランプを有していてもよい。給紙カセットは、プリンタの手前側(紙面手前側)に引き出せるようになっている。使用者は、用紙切れの表示を見て、シートの補給を行う。このとき、使用者がシートを補給し易い高さに給紙カセットが位置していることが好ましい。
5.トナー容器
トナー容器47aは、使用者がプリンタの手前側にある図示しないトナー容器交換用の開閉扉を開くと露出し、交換することができる。プリンタ1bには、トナー容器47aに収容されたトナーがなくなった場合に、トナー切れを検知するトナーセンサが設けられている。また、トナー容器交換用の開閉扉には、扉の開閉を検知するセンサが設けられている。前記本体制御回路は、トナーセンサからの信号に基づいてトナー容器47内のトナーの有無を把握できる。また、前記扉に設けられたセンサの信号に基づいて、扉の開閉状態を把握できる。前記本体制御回路は、トナー切れが検知されたとき、操作パネル67の表示部にその旨を表示して使用者にトナー容器47を交換するように促す。あるいは、外装部にトナー容器47aの交換を促すための表示ランプを有していてもよい。使用者は、表示部の表示を見て、トナー容器47aを新しいものに取り替える。このとき、使用者が交換し易い高さにトナー容器47aが位置していることが好ましい。
6.電子写真プロセス部
電子写真プロセス部の感光体ドラム48は、寿命がきたら交換する必要がある。同時に、周辺部の清掃等も行う必要がある。前記本体制御回路は、感光体ドラム48の印字枚数を記憶し、所定枚数に達したら保守の時期が来たことを操作パネル67の表示部に表示させる。使用者は、その表示を見て自ら保守の作業を行ったり、専門の保守要員に連絡したりする。保守作業を行うとき、作業者は、プリンタ1aの手前側にある保守用の開閉扉を開いて電子写真プロセス部にアクセスする。また、保守用の開閉扉には、その扉の開閉を検知するセンサが設けられている。本体制御回路は、そのセンサの信号に基づいて、扉の開閉状態を把握できる。このとき、作業者が作業し易い高さに電子写真プロセス部が位置していることが好ましい。
【0045】
以上のような画像形成装置の各状況は、前述の本体制御回路が把握している。昇降制御回路は、本体制御回路が把握している装置の状況に基づいて、本体の昇降を制御する。
【0046】
たとえば、昇降制御回路は、処理待ちの待機状態において、使用者が操作パネル67を操作し易い高さに本体部を位置させる。操作パネル67の高さは、原稿台19の高さとほぼ同じであり、原稿トレイ30の高さとも大差ない高さである。
【0047】
待機状態で、使用者が原稿を原稿トレイ30にセットし、コピージョブの各条件を操作パネル67で設定してスタートキー70aを押下すると、コピージョブが開始される。まず、原稿トレイ30にセットした原稿が読み込まれる。全ての原稿が原稿排紙トレイ36に排出され、排出された原稿が原稿排紙トレイ36から取り出されたとき、昇降制御回路は、その状況を本体制御回路から取得する。昇降制御回路は、取得した状況に応じて使用者が排出されたシートを排紙トレイから取り出し易い高さにプリンタ1bを昇降させる。本体制御回路は、シートがどの排紙トレイに排出されるかを把握している。昇降制御回路は、本体制御回路から、シートがどの排紙トレイに排出されるかの情報を取得する。取得した情報に応じて、昇降制御回路は、プリンタ1bを昇降させる高さを決定する。
【0048】
使用者が、排紙トレイからシートを取り出したことを本体制御回路が検出すると、昇降制御回路は、その情報を本体制御回路から取得して本体1をもとの高さ、即ち操作パネル67が操作しやすい高さに昇降させる。
【0049】
また、コピー処理中に給紙カセットのシートがなくなると、本体制御回路は、シートがなくなったことを検知してコピーの印刷処理を中断する。そして、シートの補給を促すメッセージを表示部に表示させる。また、給紙カセットに表示ランプがある場合は、そのランプを用いて表示をする。昇降制御回路は、シートの補給が必要であることを本体制御回路から取得する。取得した情報に応じて、昇降制御回路は、使用者がシートのない給紙カセットにシートを補給し易い高さに本体1を昇降させる。
【0050】
あるいは、トナー容器47aのトナーがなくなると、本体制御回路は、トナーがなくなったことを検知してそのコピージョブの終了後、トナーの補給を促すメッセージを表示部に表示させる。外装部にトナー補給の表示ランプがある場合は、そのランプを用いて表示をする。なお、トナー容器47aにトナーがなくなっても、現像器47にトナーがあれば仕掛かりのコピーは継続可能である。昇降制御回路は、トナーの補給が必要であることを本体制御回路から取得する。取得した情報に応じて、昇降制御回路は、使用者がトナー容器47aを交換し易い高さに本体1を昇降させる。
【0051】
さらに、感光体ドラム48の交換等の保守作業を行う場合、作業者が保守用の開閉扉を開くと、本体制御回路がそれを検知して作業員が保守作業をし易い高さに本体1を昇降させる。
【0052】
最後に、前述した実施の形態の他にも、この発明について種々の変形例があり得ることは明らかである。そのような変形例は、この発明の特徴及び範囲に属さないと解釈されるべきものではない。本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更とが含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】この発明の電子機器の一例としてのプリンタの外観を示す斜視図である。
【図2】図1の本体1が昇降する様子を示す説明図である。
【図3】この発明の電子機器の異なる一例としてのプリンタの外観を示す斜視図である。
【図4】図3の本体1が昇降する様子を示す説明図である。
【図5】図1の支柱3とナット5の詳細を示す説明図である。
【図6】図3の支柱3とナット5の詳細を示す説明図である。
【図7】この発明の電子機器のさらに異なる一例としての画像形成装置を示す断面図である。
【図8】図7に示す操作パネル67の詳細を示す説明図である。
【符号の説明】
【0054】
1 本体
1a スキャナ
1b プリンタ
3 支柱
5 ナット
7 脚部
9 昇降駆動モータ
10 昇降ホームポジションセンサ
11 床
13 天井
15 連結部材
16 走査光学系
17 原稿搬送装置
18 CCD読取りユニット
19 原稿台
24 光源ランプ
30 原稿トレイ
35 密着型イメージセンサ
36 原稿排紙トレイ
40 シート搬送部
41 除電器
42 クリーニング器
44 転写器
45 帯電器
46 レーザー書き込みユニット
46b ポリゴンミラー
46c f−θレンズ
47 現像器
47a トナー容器
48 感光体ドラム
49 定着器
50 給紙搬送路
51,52,53 給紙カセット
55 再供給ユニット
56 再給紙搬送路
57 本体排紙ローラ
60 後処理装置
61 ステープラー
63 本体排紙トレイ
65a、65b 排紙トレイ
67 操作パネル
69 液晶表示部
70a スタートキー
70b テンキー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
床面に対して垂直方向に立設される複数の支柱部と、
各支柱部に沿って昇降可能に係合する係合部材と、
各係合部材に支持されるとともに使用者の操作に応じて所定の処理を行う本体部と、
本体部を係合部材と共に昇降させるための昇降駆動部と
前記操作の内容および/または処理の状況に応じて昇降駆動部を制御する昇降制御部とを備えることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記本体部が、その水平断面における周縁部、好ましくは隅の部分で各係合部材を支持する請求項1記載の電子機器。
【請求項3】
床面上に配置され、各支柱部を軸支する脚部をさらに備え、
各支柱部が、その外周面にネジ山が形成されてなる雄ネジ部を有し、
各係合部材が、前記雄ネジ部と回動自在に螺合する雌ネジ部を有し、
昇降駆動部が、各支柱部を回動させて本体部を昇降させる請求項1記載の電子機器。
【請求項4】
前記昇降駆動部が、各支柱部を独立して回動させて本体部の傾き調節を可能とするものである請求項3記載の電子機器。
【請求項5】
各支柱部が、その外周面にネジ山が形成されてなる雄ネジ部を有し、
各係合部材が、前記雄ネジ部と回動自在に螺合する雌ネジ部を有し、
本体部が、各係合部材を回動可能に支持し、
前記昇降駆動部が、各係合部材を回動させて本体部を昇降させる請求項1記載の電子機器。
【請求項6】
前記昇降駆動部が、各係合部材を独立して回動させ得るものであり、これによって本体部の傾き調節が可能である請求項5記載の電子機器。
【請求項7】
前記支柱部が室内に設置される場合に前記室内の天井面に配置され、各支柱部の頂上部を支持する頂上支持部をさらに備える請求項1記載の電子機器。
【請求項8】
前記支柱部が室内に設置される場合に、各支柱部が、略床面高さから前記室内の略天井面高さまでの範囲に雄ネジ部を有し、当該範囲内で本体部の高さが変更可能である請求項3または5記載の電子機器。
【請求項9】
複数の支柱部の下部を互いに連結する1以上の下方連結部と、
複数の支柱部の上部を互いに連結する1以上の上方連結部とをさらに備え、
下方連結部と上方連結部と各支柱部とによって本体部を保持するラック部が構成されてなる請求項1記載の電子機器。
【請求項10】
前記本体部が、使用者の操作に応じて原稿の読取および/またはシートへの印刷を行うものである請求項1記載の電子機器。

【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−259287(P2007−259287A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−83616(P2006−83616)
【出願日】平成18年3月24日(2006.3.24)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】