電子機器
【課題】筐体の回動可能角度を大きくすることができるバッテリ実装構造を提供する。
【解決手段】一つの実施形態によれば、バッテリ実装構造は、第1筐体と、表示装置が収容された第2筐体と、ヒンジと、バッテリとを具備する。ヒンジは、前記表示装置の表示画面が前記第1筐体に覆われる第1位置と、前記表示画面が露出される第2位置との間で回動可能に、前記第1筐体と前記第2筐体とを連結している。バッテリは、前記第1筐体に取り付けられ、前記第1筐体とは反対側となる端部に、前記第2筐体の一部が前記第2位置で収容される凹部が設けられている。
【解決手段】一つの実施形態によれば、バッテリ実装構造は、第1筐体と、表示装置が収容された第2筐体と、ヒンジと、バッテリとを具備する。ヒンジは、前記表示装置の表示画面が前記第1筐体に覆われる第1位置と、前記表示画面が露出される第2位置との間で回動可能に、前記第1筐体と前記第2筐体とを連結している。バッテリは、前記第1筐体に取り付けられ、前記第1筐体とは反対側となる端部に、前記第2筐体の一部が前記第2位置で収容される凹部が設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、バッテリ実装構造に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器は、本体筐体に取り付けられたバッテリを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−318732号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
機器のいくつかは、回動可能な筐体を備える。このような機器のなかには、筐体の回動可能角度が大きい方が好ましいものもある。
【0005】
本発明の目的は、筐体の回動可能角度を大きくすることができるバッテリ実装構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態によれば、バッテリ実装構造は、第1筐体と、表示装置が収容された第2筐体と、ヒンジと、バッテリとを具備する。ヒンジは、前記表示装置の表示画面が前記第1筐体に覆われる第1位置と、前記表示画面が露出される第2位置との間で回動可能に、前記第1筐体と前記第2筐体とを連結している。バッテリは、前記第1筐体に取り付けられ、前記第1筐体とは反対側となる端部に、前記第2筐体の一部が前記第2位置で収容される凹部が設けられている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】第1実施形態の電子機器の平面図。
【図2】図1中に示された電子機器の下面を示す斜視図。
【図3】図1中に示された電子機器のA−A線に沿う断面図。
【図4】図1中に示された電子機器のバッテリパックの断面図。
【図5】図1中に示された電子機器のA−A線に沿う断面図。
【図6】図1中に示された電子機器のA−A線に沿う断面図。
【図7】図1中に示された電子機器のB−B線に沿う断面図。
【図8】図1中に示された電子機器の表示筐体の内部を示す平面図。
【図9】図8中に示された表示装置の背面図。
【図10】図8中に示された表示装置の背面を示す斜視図。
【図11】図1中に示された電子機器のヒンジ周りを示す斜視図。
【図12】図1中に示された電子機器の側面図。
【図13】図1中に示された電子機器の一つの変形例の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。
図1乃至図12は、一つの実施形態に係る電子機器1を開示している。電子機器1は、例えばノートブック型パーソナルコンピュータである。なお本実施形態が適用可能な電子機器は、上記に限定されるものではない。本実施形態は、例えば携帯電話や、スマートフォン、PDA(Personal Digital Assistant)、ゲーム機などを含む種々の電子機器に広く適用可能である。電子機器1は、「バッテリ実装構造」の一例である。
【0009】
図1に示すように、電子機器1は、本体ユニット2(第1のユニット)と、表示ユニット3(第2のユニット)と、一対のヒンジ4a,4bとを備えている。本体ユニット2は、メインボードを搭載した電子機器本体である。本体ユニット2は、本体筐体5を備えている。本体筐体5は、「第1の筐体」の一例である。図1及び図2に示すように、本体筐体5は、上壁6、下壁7、及び周壁8を有し、扁平な箱状に形成されている。
【0010】
下壁7は、電子機器1を机の上に置いた時に、その机上面D(図3参照)に向かい合う。下壁7は、机上面Dに対して略平行になる。上壁6は、下壁7との間に空間を空けて、下壁7と略平行(すなわち略水平)に広がる。上壁6には、キーボード9が取り付けられている。キーボード9は、「入力部」の一例である。なお入力部としては、例えばタッチパネルなど他の入力機構であってもよい。周壁8は、下壁7に対して起立し、下壁7の周縁部と上壁6の周縁部との間を繋いでいる。
【0011】
表示ユニット3は、ヒンジ4a,4bによって、本体ユニット2の後端部に回動可能(開閉可能)に連結されている。表示ユニット3は、本体ユニット2を上方から覆うように倒された第1位置と、本体ユニット2に対して開かれた第2位置との間で回動可能である。
【0012】
図1に示すように、表示ユニット3は、表示筐体11と、この表示筐体11に収容された表示装置12とを備えている。表示筐体11は、「第2の筐体」の一例である。表示筐体11は、前壁13、背壁14、及び周壁15を有する。表示装置12は、例えば液晶ディスプレイであるが、これに限定されるものではない。表示装置12は、画像や映像が表示される表示画面12aを有する。
【0013】
表示筐体11の前壁13は、表示ユニット3が上記第1位置にあるとき、本体ユニット2に向かい合う。前壁13は、表示装置12の表示画面12aが露出される開口部13aを有する。換言すれば、表示筐体11は、表示画面12aが本体筐体5に覆われる上記第1位置と、表示画面12aが露出される上記第2位置との間で回動可能に、ヒンジ4a,4bによって本体筐体5に連結されている。
【0014】
背壁14は、前壁13との間に空間を空けて、前壁13と略平行に広がる。周壁15は、前壁13及び背壁14に対して起立し、前壁13の周縁部と背壁14の周縁部との間を繋いでいる。前壁13は、表示筐体11の「第1壁部」の一例である。背壁14は、表示筐体11の「第2壁部」の一例である。背壁14は、前壁13とは反対側から表示装置12に対向する。
【0015】
図1及び図2に示すように、本体筐体5の後端部には、バッテリパック17が取り付けられている。バッテリパック17は、「バッテリ」の一例である。表示筐体11は、当該表示筐体11の左右の端部に分かれて設けられた一対の突出部18a,18bを有する。突出部18a,18bは、表示筐体11からバッテリパック17の両側に突出している。
【0016】
図1に示すように、突出部18a,18bとバッテリパック17との間には、ヒンジ取付部19が設けられている。ヒンジ取付部19は、本体筐体5の後端部の一部である。ヒンジ4a,4bは、ヒンジ回転軸20を有する。ヒンジ回転軸20は、バッテリパック17のセル(後述)の軸方向と略平行に配置されている。
【0017】
ヒンジ回転軸20は、表示筐体11の突出部18a,18bと、本体筐体5のヒンジ取付部19との間に延びるとともに、突出部18a,18b及びヒンジ取付部19にそれぞれ取り付けられて支持されている。これにより、表示筐体11は、ヒンジ回転軸20を回転中心として本体筐体5に対して回動される。
【0018】
まず、バッテリパック17の構造について説明する。
図3及び図4に示すように、バッテリパック17は、ケース21(バッテリケース)と、このケース21に収容されたセル22(バッテリセル)とを有する。セル22は、例えば乾電池のような円筒状に形成されている。セル22は、例えば6個設けられている。
【0019】
図3及び図4に示すように、セル22は、前後2列に分かれて配置されている。セル22は、第1列(前列)に配置された第1セル22aと、第2列(後列)に配置された第2セル22bとを含む。なお本明細書では、ユーザーから見て前後左右を定義している。すなわちユーザーに近い方を「前」、ユーザーから遠い方を「後」と定義する。
【0020】
図4に示すように、第1列には、2つの第1セル22aが並べられている。第2列には、4つの第2セル22bが並べられている。第1セル22a及び第2セル22bは、各列でそれぞれ直列状、すなわちセル22の軸方向に並べられている。
【0021】
図3に示すように、バッテリパック17は、第1セル22aが収容された第1部分24(前部)と、第2セル22bが収容された第2部分25(後部)とを有する。第1部分24は、第1セル22aの外形に沿う第1円弧部24aを有する。第2部分25は、第2セル22bの外形に沿う第2円弧部25aを有する。第2部分25は、第1部分24よりも、本体筐体5の中央部から離れている。すなわち第2部分25は、第1部分24よりも、キーボード9から離れている。第1部分24と第2部分25は、互いに一体に形成されている。
【0022】
第2部分25は、上記第1位置にある表示筐体11に向いて第1部分24に対して位置ずれして設けられている。詳しく述べると、第2セル22bは、第1セル22aよりも高い位置に配置されている。第1部分24及び第2部分25は、第1セル22a及び第2セル22bの外形にそれぞれ実質的に沿って設けられている。このため、第2部分25は、第1部分24に対して上方に持ち上げられた位置に設けられ、第1部分24よりも上方に盛り上がっている。
【0023】
バッテリパック17は、前端部となる第1端部27と、後端部となる第2端部28とを有する。第1端部27は、本体筐体5に隣接し、本体筐体5に接続されるコネクタ29(図4参照)が設けられている。第2端部28は、第1端部27とは反対側、すなわち本体筐体5とは反対側に位置され、電子機器1の外観の一部を形成している。
【0024】
上述のように第2部分25が第1部分24に対して上方に位置ずれして設けられることで、バッテリパック17の第2端部28には、凹部30(第1の凹部)が設けられている。凹部30は、バッテリパック17の下端部に設けられている。
【0025】
凹部30は、第1部分24と第2部分25との間の段差に対応して設けられている。すなわち、凹部30は、第2部分25が上方に位置ずれして第1部分24に対して高くなった分だけ、第2部分25の下方に生じた空間部である。凹部30と本体筐体5が載置される机上面Dとの間には空間Sが規定される。
【0026】
図5に示すように、バッテリパック17の凹部30には、表示筐体11の一部が上記第2位置で収容される。すなわち、表示筐体11の一部は、上記第2位置で、バッテリパック17の第2部分25の下方にもぐり込み、凹部30と机上面Dとの間の空間Sに入り込む。これにより、表示筐体11の一部が、凹部30と机上面Dとの間の空間Sに収容される。
【0027】
図5に示すように、上記第2位置は、表示筐体11が上記第1位置から例えば略180度開かれた位置である。表示筐体11の一部は、上記第1位置から略180度開かれた上記第2位置において、凹部30と机上面Dとの間の空間Sに入り込む。換言すれば、表示筐体11の一部が上記空間Sに入り込むことで、表示筐体11は、上記第1位置から略180度まで開くことができる。なお表示筐体11は、略180度まで開くことができなくてもよく、略180度以上開くことができてもよい。
【0028】
図5に示すように、ヒンジ回転軸20は、バッテリパック17の第2端部28の中心に対して偏心している。バッテリパック17の第2端部28の中心とは、本実施形態ではバッテリパック17の第2セル22bの中心Cのことである。ヒンジ回転軸20は、第2セル22bの中心Cよりも、上記第1位置にある表示筐体11から離れて位置されている。
【0029】
より詳しく述べると、ヒンジ回転軸20は、第2セル22bの中心Cよりも、下側に位置されている。さらにヒンジ回転軸20は、第2セル22bの中心Cに対して後側に偏心している。すなわちヒンジ回転軸20は、第2セル22bの中心Cよりも、第1セル22aから離れている。
【0030】
図6に示すように、バッテリパック17は、第1部分24と第2部分25との間に、第1セル22a及び第2セル22bの外形に対して膨らんだ膨らみ部31を有する。膨らみ部31は、第1部分24と第2部分25との間の段差の大きさに対応して設けられている。膨らみ部31には、機能部品32が収容されている。機能部品32の一例は、セル22の動作を安定させる回路基板である。なお機能部品32は、上記例に限られない。
【0031】
表示筐体11の先端部33は、上記第2位置で、バッテリパック17の膨らみ部31に当接する。本実施形態のヒンジ4a,4bは、ストッパーを有しない。表示筐体11は、当該表示筐体11の一部がバッテリパック17の膨らみ部31に当接することで、それ以上の回転が規制される。換言すれば、膨らみ部31は、表示筐体11の回転を規制するストッパーとなる。さらに換言すれば、バッテリパック17に膨らみ部31を設けることで、ヒンジ4a,4bのストッパーを省略することができる。
【0032】
図7に示すように、表示筐体11は、上記第2位置で、キーボード9の上面及びバッテリパック17の上面よりも下方に位置する。表示筐体11の背壁14は、上記第2位置で、本体筐体5の下壁7と略同一面上に位置する。
【0033】
次に、表示筐体11の構造について説明する。
図3に示すように、バッテリパック17の第2部分25は、第1部分24に対して上方に位置ずれし、第1部分24よりも盛り上がっている。これにより、バッテリパック17には、上記第1位置にある表示筐体11に向いた凸部35(第1の凸部)が設けられている。
【0034】
表示筐体11は、バッテリパック17の凸部35に対応した凹部37(第2の凹部)が設けられている。凹部37は、上記第1位置で、バッテリパック17の凸部35に対向する。バッテリパック17の凸部35の少なくとも一部は、表示筐体11が上記第1位置にあるとき、表示筐体11の凹部37に入り込み、凹部37に収容される。
【0035】
図8に示すように、表示筐体11は、本体部40と、第1端部41と、第2端部42とを有する。本体部40は、表示装置12を収容している。第1端部41及び第2端部42は、それぞれ表示装置12を外れた位置に設けられている。第1端部41は、ヒンジ4a,4bに連結された端部であり、表示筐体11が立て起こされたとき、表示筐体11の下端部となる。第2端部42は、第1端部41とは反対側に位置され、表示筐体11が立て起こされたとき、表示筐体11の上端部となる。
【0036】
図3に示すように、上記凹部37は、表示筐体11の第1端部41に設けられている。凹部37が設けられることで、表示筐体11の第1端部41は、表示筐体11の他の部分、例えば本体部40に比べて薄くなっている。図6に示すように、この薄くなった第1端部41が、前記第2位置で、バッテリパック17の凹部30と机上面Dとの間の空間Sに入り込み、凹部30に収容される。
【0037】
図1に示すように、凹部37は、表示筐体11の第1端部41に沿って、表示筐体11の幅方向に延びている。凹部37は、上記一対の突出部18a,18bの間に亘って延びている。
【0038】
次に、表示筐体11の実装構造について説明する。
図3及び図8に示すように、表示筐体11は、ハーネス43を収容している。なお図8では、説明の便宜上、ハーネス43にハッチングを施してある。ハーネス43は、複数のケーブル44を束に纏めたものである。ハーネス43は、例えば複数のケーブル44を纏めて包む保護材45を有する。保護材45は、例えば絶縁材料で形成されている。
【0039】
図8に示すように、ハーネス43は、表示筐体11の第1端部41に収容されている。表示装置12は、凹部37に沿って延びた端部47を有する。ハーネス43は、表示装置12の端部47に沿って延びた第1部分43aと、表示筐体11のひとつの突出部18a内に延びた第2部分43bとを有する。
【0040】
図3及び図8に示すように、ハーネス43の第1部分43aは、複数のケーブル44が横一列に並べられ、平坦状になっている。図3に示すように、複数のケーブル44は、表示筐体11の厚さ方向(第1方向X)にそれぞれ表示筐体11の凹部37に対向している。複数のケーブル44は、表示筐体11の厚さ方向とは交差する方向に並べられている。本実施形態では、複数のケーブル44は、表示筐体11の厚さ方向とは略直交する方向(第2方向Y)に並べられている。
【0041】
図3及び図8に示すように、ハーネス43の第1部分43aは、表示筐体11の凹部37に沿って延びている。ハーネス43の第1部分43bでは、複数のケーブル44のそれぞれの少なくとも一部は、上記第2方向Yで表示装置12に対向している。
【0042】
図3及び図8乃至図10に示すように、表示装置12は、表示画面12aを有する前面51と、この前面51とは反対側に位置された背面52と、前面51及び背面52に対して起立し、前面51の周縁部と背面52周縁部との間を繋ぐ周面53とを有する。前面51は、「第1面」の一例である。
【0043】
背面52は、当該背面52のなかで前面51との間の距離が最も離れた第1部分52aと、この第1部分52aに対して窪んだ第2部分52bとを有する。つまり、前面51と背面52の第1部分52aとの間の距離が表示装置12の最大厚さとなる。第2部分52bでは、第1部分52aに比べて表示装置12が薄くなっている。第1部分52aの表面は、「第2面」の一例である。
【0044】
第2部分52bは、表示装置12の端部47に設けられている。この第2部分52bには、ハーネス43が接続されるコネクタ54が設けられている。コネクタ54の厚さは、第1部分52aと第2部分52bとの間の段差と実質的に同じ大きさかそれよりも小さい。このため、コネクタ54は、表示装置12の最大厚さ内に位置され、第1部分52aよりも外部に実質的に突出していない。すなわち、コネクタ54は、上記第1面と、上記第2面との間に設けられている。
【0045】
表示装置12は、当該表示装置12の周面53を形成するフレーム55を有する。フレーム55は、コネクタ54に対応した切欠き部55aが設けられている。切欠き部55aは、コネクタ54に対向し、ハーネス43の挿入方向にコネクタ54を開放している。
【0046】
図3及び図8に示すように、ハーネス43は、表示装置12の端部47でコネクタ54に接続されている。ハーネス43は、表示装置12の最大厚さ内で、表示装置12に接続されている。なお「表示装置12の最大厚さ内で接続」とは、上記第1面と上記第2面との間で接続との意味である。図8に示すように、ハーネス43は、表示装置12の端部47から凹部37に対向する領域に延びている。
【0047】
図8に示すように、ハーネス43の第2部分43bは、複数のケーブル44が円柱状に束ねられて、第1部分43aよりも厚くなっている。この第2部分43bは、表示筐体11の突出部18aから本体筐体5のヒンジ取付部19に導かれ、本体筐体5内に延びている。
【0048】
図11及び図12に示すように、ヒンジ取付部19の上面は、バッテリパック17の第2部分25の上面と略同じ外形形状を有するように盛り上がっている。これにより、ヒンジ取付部19は、上記第1位置にある表示筐体11に向いた凸部61が設けられている。ヒンジ取付部19の凸部61は、バッテリパック17の凸部35に一続きとなる。ヒンジ取付部19の凸部61の少なくとも一部は、上記第1位置にある表示筐体11の凹部37に対向し、その凹部37に収容される。
【0049】
図12に示すように、ヒンジ取付部19の凸部61の内面61aは、凸部61の外形形状に沿って、本体筐体5の外部に向いて膨らむ曲面状に形成されている。これによりヒンジ取付部19の内部空間は、本体筐体5の他の領域の内部空間に比べて大きくなっている。ハーネス43は、本体筐体5に対する表示筐体11の回動時に伸縮される。このときハーネス43は、上記凸部61の内部空間で伸縮可能である。すなわち、ハーネス43は、凸部61の比較的大きな内部空間で緩んだり、曲がったりすることができる。これにより、ハーネス43に加わるストレスが小さくなる。
【0050】
図2に示すように、ヒンジ取付部19の下面は、バッテリパック17の下面と略同じ外形形状を有するように窪んでいる。つまり、ヒンジ取付部19の下面は、バッテリパック17の凹部30に一続きとなる凹部62が設けられている。表示筐体11の一部は、上記第2の位置で、バッテリパック17の凹部30と同様に、ヒンジ取付部19の凹部62に収容される。
【0051】
図4に示すように、バッテリパック17の第1端部27は、コネクタ29を収容している。図3に示すように、この第1端部27は、第1部分24に比べて薄くなっており、第1部分24との間に厚さの違いに基づく段差を有する。換言すれば、バッテリパック17は、第1部分24が他の部分に比べて下方に突出し、バッテリパック17の突出部64が設けられている。
【0052】
図2に示すように、本体筐体5の後端部は、バッテリパック17の突出部64に一続きになる他の突出部65を有する。バッテリパック17の突出部64と本体筐体5の突出部65は、互いに連続し、本体筐体5の後端部の下面に、本体筐体5の略全幅に亘る一連の突出部66を形成している。この突出部66は、本体筐体5の脚部67が設けられるとともに、ユーザーが電子機器1を持ち運ぶ時に手をかけることができるつまみ部となる。
【0053】
このような構成によれば、表示筐体11の回動可能角度を大きくすることができる。すなわち、本実施形態のバッテリパック17は、当該バッテリパック17の後端部に、表示筐体11の一部を上記第2位置で収容可能な凹部30が設けられている。この凹部30が設けられていることで、表示筐体11は、本体筐体5やバッテリパック17に接触することなく、より大きな角度まで回動できるようになる。このため、表示筐体11の回動可能角度を大きくすることができる。
【0054】
さらに、凹部30がバッテリパック17の下端部に設けられていることで、電子機器1が後方から見られたときに、電子機器1を薄く見せることができる。これはデザイン性の向上に寄与する。
【0055】
本実施形態では、バッテリパック17は、第1セル22aが収容された第1部分24と、第2セル22bが収容された第2部分25とを有する。第2部分25が第1部分24に対して位置ずれして設けられることで、バッテリパック17に凹部30が設けられている。これによれば、凹部30を設けてもバッテリの容量を確保することができる。さらに凹部30を設けてもバッテリパック17内にデッドスペースが生じにくくなる。
【0056】
本実施形態では、バッテリパック17の凹部30は、当該凹部30と机上面Dとの間に表示筐体11の一部が収容される空間Sを規定する。これによれば、バッテリパック17の凹部30の厚さ(大きさ)をある程度狭くしても、表示筐体11の一部を十分に収容することができる。このため、バッテリパック17の凹部30を小さくし、電子機器1の薄型化を図ることができる。
【0057】
本実施形態では、表示筐体11は、上記第1位置から略180度開かれた上記第2位置まで回動可能である。このような構成によれば、電子機器1を完全に開いた状態で使用することができる。電子機器1が例えばタッチパネルなどを有して表示画面12aに入力機能を有する場合、表示筐体11を略180度開いて使用することができると、表示筐体11が机上面Dによっても支持されるので、入力操作を行いやすくなる。
【0058】
さらに表示筐体11を略180度開くことができると、ハーネス43などの取付性が良好になる。すなわち、表示筐体11を略180度開いた状態で組立作業を行うことができる。これによれば、ハーネス43を最も伸びた状態で電子機器1に取り付けることができる。このため、通常の使用時でハーネス43が過度に伸ばされる状態を避けることができ、ハーネス43の負担を軽減し、断線などの可能性をより小さくすることができる。
【0059】
次に比較のため、ヒンジ回転軸20が第2セル22bの中心Cと一致した構造について考える。この場合、表示筐体11が180度に達しない所定角度だけ回転したときに、表示筐体11がバッテリパック17に接触することになり、それ以上の表示筐体11の回転が規制される。
【0060】
一方で、本実施形態では、ヒンジ回転軸20は、第2セル22bの中心Cよりも、上記第1位置にある表示筐体11から離れた位置、例えば第2セル22bの中心Cよりも下側に配置されている。これによれば、表示筐体11がバッテリパック17及び本体筐体5と接触するのを避けて、表示筐体11をより大きな角度まで回転させることができるようになる。
【0061】
本実施形態では、ヒンジ回転軸20は、第2セル22bの中心Cよりも、第1セル22aから遠い位置、すなわち電子機器1の後側に偏心して配置されている。これによれば、バッテリパック17の凹部30の奥行き(水平方向の深さ)を小さくしても、上記第2位置まで回転させられた表示筐体11の一部を凹部30で収容することができる。換言すれば、バッテリパック17に膨らみ部31を設け、バッテリパック17内の実装スペースを広げることができる。
【0062】
本実施形態では、表示筐体11は、当該表示筐体11からバッテリパック17の両側に突出した一対の突出部18a,18bを有し、この突出部18a,18bがヒンジ回転軸20に支持されている。これによれば、ヒンジ回転軸20を、第2セル22bの中心Cよりも、上記第1位置にある表示筐体11から遠くに配置しやすくなる。
【0063】
本実施形態では、バッテリパック17は、第1部分24と第2部分25との間に、第1セル22a及び第2セル22bの外形に対して膨んだ膨らみ部31を有する。そして膨らみ部31に機能部品32が収容されている。すなわち、第1部分24と第2部分25との間の段差が活用され、この段差に対応した膨らみ部31が設けられることで、バッテリパック17内に追加的な実装スペースが創出されている。このような膨らみ部31に機能部品32を配置することで、高密度実装をより実現することができる。
【0064】
本実施形態では、表示筐体11は、上記第1位置でバッテリパック17の第2部分25に対向し、第2部分25の一部が収容される凹部37が設けられている。これによれば、バッテリパック17の第2部分25が第1部分24に対して上方に位置ずれして設けられても、表示筐体11の凹部37で第2部分25の盛り上がりを吸収し、電子機器1の薄さを維持することができる。これは電子機器1の薄型化に寄与する。
【0065】
表示筐体11の第1端部41は、表示装置12が実装されず、デッドスペースになりやすい。本実施形態では、上記凹部37は、表示筐体11の第1端部41に設けられている。すなわち、第1端部41のデッドスペースを有効に活用し、凹部37が設けられている。
【0066】
本実施形態では、表示筐体11の第1端部41は、凹部37が設けられて表示筐体11の他の部分に比べて薄くなっており、この薄くなった第1端部41が上記第2位置でバッテリパック17の凹部30に収容される。これによれば、バッテリパック17の凹部30を小さく(狭く)しても表示筐体11の回動可能角度を大きく確保することができる。つまり、凹部30を小さくし、電子機器1の薄型化を同時に図ることができる。
【0067】
次に、別の観点から見た本実施形態の構造について述べる。
本実施形態の構成によれば、電子機器1の薄型化及び高密度実装を実現することができる。すなわち本実施形態では、電子機器1は、凸部35が設けられたバッテリパック17が取り付けられた本体筐体5と、バッテリパック17の凸部35に対応する凹部37が設けられた表示筐体11とを備える。これにより、表示筐体11の凹部37によってバッテリパック17の凸部35の盛り上がりを吸収することができるので、電子機器1の薄型化を図ることができる。
【0068】
本実施形態では、複数のケーブル44は、凹部37が設けられた表示筐体11の第1端部41に収容され、表示筐体11の厚さ方向とは交差する方向に並べられている。これによれば、凹部37を設けることで内部が狭くなった表示筐体11の第1端部41を有効活用して部品を実装することができる。これにより電子機器1の高密度実装を図ることができる。
【0069】
本実施形態では、表示筐体11は、表示装置12が収容された本体部40と、表示装置12を外れた第1端部41とを有し、この第1端部41に凹部37が設けられている。これによれば、表示装置12を外れた位置に凹部37が設けられるので、表示筐体11に凹部37を設けやすい。また表示装置12を外れた位置であれば、例えば比較的深い凹部37を設けることも可能になる。
【0070】
本実施形態では、凹部37は、表示筐体11の端部41に沿って延びており、ハーネス43は、凹部37に沿って延びた第1部分43aを有する。これによれば、凹部37が設けられた比較的長い領域に亘って、その領域の内部空間を有効活用できるので、電子機器1の高密度実装をより図ることができる。
【0071】
本実施形態では、表示装置12は、凹部37に沿って延びた端部47を有する。そしてケーブル44は、表示装置12の端部47に接続され、表示装置12の端部47から凹部37に対向する領域まで延びている。これによれば、表示装置12の左右のスペースではなく、表示筐体11の第1端部41のスペースを有効活用してケーブル44を実装することができる。
【0072】
本実施形態では、表示装置12は、表示画面12aを有した第1面と、この第1面とは反対側に位置された第2面と、上記第1面と第2面との間に設けられたコネクタ54とを有する。ケーブル44は、上記コネクタ54に接続されている。これによれば、表示筐体11をより薄く形成することができる。
【0073】
本実施形態では、ケーブル44の少なくとも一部は、表示筐体11の厚さ方向とは略直交する方向で表示装置12に対向している。これによれば、ケーブル44が、ほとんど屈曲されることなく表示装置12から表示筐体11の第1端部41まで延びることができる。そのため、電子機器1の薄型化及び高密度実装をより図ることができる。
【0074】
本実施形態では、本体筐体5の端部は、バッテリパック17の凸部35に一続きとなる他の凸部61を有する。ケーブル44は、表示筐体11から一対の突出部18a,18bのひとつを通じて本体筐体5の端部に導かれるとともに、上記他の凸部61内の空間で伸縮可能になっている。これによれば、表示ユニット3を閉じる時に縮むケーブル44の一部を、この凸部61内の膨らんだスペースで受けることができ、ケーブル44に加わるストレスを低減することができる。これは断線の可能性をより低いものにし、電子機器1の信頼性をより向上させる。
【0075】
次に、図13を参照して電子機器1のひとつの変形例について説明する。
複数のケーブル44は、表示筐体11の厚さ方向とは略直交する方向に並んでいる必要はなく、図13に示すように、凹部37の内面に沿って並んでいてもよい。このような構成であっても、電子機器1の薄型化及び高密度実装の実現を図ることができる。
【0076】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具現化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0077】
表示筐体11の回動角度を大きくするための観点から言えば、表示筐体11の凹部37は設けられなくてもよい。凹部37がない表示筐体11であっても、バッテリパック17に凹部30を設けることで、表示筐体11の回動可能角度を大きくすることができる。
【0078】
電子機器1の薄型化及び高密度実装を実現するための観点から言えば、バッテリパック17の凹部30は設けなくてもよい。バッテリパック17の凸部35に対応した凹部37を表示筐体11に設けることで電子機器1の薄型化を図ることができる。そして凹部37が設けられた表示筐体11の端部41に、複数のケーブルを表示筐体11の厚さ方向とは交差する方向に並べることで高密度実装を実現することができる。なお上記複数のケーブルは、表示装置12に接続されたケーブルに限らず、例えばアンテナやカメラモジュールに接続されたケーブルであってもよい。
【0079】
また上記いずれの観点においても、バッテリパック17は、第1セル22a及び第2セル22bを有するものでなくてもよい。ヒンジ4a,4bは、上記実施形態のようなバッテリパック17の両側に突出した突出部18a,18bを支持するものに限らず、他の機構のものでもよい。表示筐体11は、必ずしも略180度まで開くことができる必要はなく、180度以下の所定角度までしか回転できないものであってもよい。
【0080】
表示筐体11は、上記第2の位置で、キーボード9の上面よりも下方に位置されなくてもよい。バッテリパック17は、膨らみ部31を有しなくてもよい。ケーブル44は、表示装置12の凹部37に沿って延びた端部47ではなく、表示装置12の左端部や右端部などに接続されてもよい。ケーブル44は、表示装置12の背面から突出したコネクタに接続されるものでもよい。ヒンジ取付部19は、凸部61を有さずに、平坦状に形成されてもよい。
【0081】
また本明細書では、いくつかの部材に「第1」「第2」などと付して説明したが、これらは説明の便宜上付されたものであり、適宜数字を入れ替えて読み替え可能である。
【符号の説明】
【0082】
D…机上面、S…空間、C…第2セルの中心、1…電子機器、2…本体ユニット、3…表示ユニット、4a,4b…ヒンジ、5…本体筐体、11…表示筐体、12…表示装置、12a…表示画面、17…バッテリパック、18a,18b…突出部、20…ヒンジ回転軸、22a…第1セル、22b…第2セル、24…第1部分、25…第2部分、30…バッテリパックの凹部、31…膨らみ部、32…機能部品、35…バッテリパックの凸部、37…表示筐体の凹部、43…ハーネス、44…ケーブル、61…本体筐体の凸部。
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、バッテリ実装構造に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器は、本体筐体に取り付けられたバッテリを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−318732号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
機器のいくつかは、回動可能な筐体を備える。このような機器のなかには、筐体の回動可能角度が大きい方が好ましいものもある。
【0005】
本発明の目的は、筐体の回動可能角度を大きくすることができるバッテリ実装構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態によれば、バッテリ実装構造は、第1筐体と、表示装置が収容された第2筐体と、ヒンジと、バッテリとを具備する。ヒンジは、前記表示装置の表示画面が前記第1筐体に覆われる第1位置と、前記表示画面が露出される第2位置との間で回動可能に、前記第1筐体と前記第2筐体とを連結している。バッテリは、前記第1筐体に取り付けられ、前記第1筐体とは反対側となる端部に、前記第2筐体の一部が前記第2位置で収容される凹部が設けられている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】第1実施形態の電子機器の平面図。
【図2】図1中に示された電子機器の下面を示す斜視図。
【図3】図1中に示された電子機器のA−A線に沿う断面図。
【図4】図1中に示された電子機器のバッテリパックの断面図。
【図5】図1中に示された電子機器のA−A線に沿う断面図。
【図6】図1中に示された電子機器のA−A線に沿う断面図。
【図7】図1中に示された電子機器のB−B線に沿う断面図。
【図8】図1中に示された電子機器の表示筐体の内部を示す平面図。
【図9】図8中に示された表示装置の背面図。
【図10】図8中に示された表示装置の背面を示す斜視図。
【図11】図1中に示された電子機器のヒンジ周りを示す斜視図。
【図12】図1中に示された電子機器の側面図。
【図13】図1中に示された電子機器の一つの変形例の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。
図1乃至図12は、一つの実施形態に係る電子機器1を開示している。電子機器1は、例えばノートブック型パーソナルコンピュータである。なお本実施形態が適用可能な電子機器は、上記に限定されるものではない。本実施形態は、例えば携帯電話や、スマートフォン、PDA(Personal Digital Assistant)、ゲーム機などを含む種々の電子機器に広く適用可能である。電子機器1は、「バッテリ実装構造」の一例である。
【0009】
図1に示すように、電子機器1は、本体ユニット2(第1のユニット)と、表示ユニット3(第2のユニット)と、一対のヒンジ4a,4bとを備えている。本体ユニット2は、メインボードを搭載した電子機器本体である。本体ユニット2は、本体筐体5を備えている。本体筐体5は、「第1の筐体」の一例である。図1及び図2に示すように、本体筐体5は、上壁6、下壁7、及び周壁8を有し、扁平な箱状に形成されている。
【0010】
下壁7は、電子機器1を机の上に置いた時に、その机上面D(図3参照)に向かい合う。下壁7は、机上面Dに対して略平行になる。上壁6は、下壁7との間に空間を空けて、下壁7と略平行(すなわち略水平)に広がる。上壁6には、キーボード9が取り付けられている。キーボード9は、「入力部」の一例である。なお入力部としては、例えばタッチパネルなど他の入力機構であってもよい。周壁8は、下壁7に対して起立し、下壁7の周縁部と上壁6の周縁部との間を繋いでいる。
【0011】
表示ユニット3は、ヒンジ4a,4bによって、本体ユニット2の後端部に回動可能(開閉可能)に連結されている。表示ユニット3は、本体ユニット2を上方から覆うように倒された第1位置と、本体ユニット2に対して開かれた第2位置との間で回動可能である。
【0012】
図1に示すように、表示ユニット3は、表示筐体11と、この表示筐体11に収容された表示装置12とを備えている。表示筐体11は、「第2の筐体」の一例である。表示筐体11は、前壁13、背壁14、及び周壁15を有する。表示装置12は、例えば液晶ディスプレイであるが、これに限定されるものではない。表示装置12は、画像や映像が表示される表示画面12aを有する。
【0013】
表示筐体11の前壁13は、表示ユニット3が上記第1位置にあるとき、本体ユニット2に向かい合う。前壁13は、表示装置12の表示画面12aが露出される開口部13aを有する。換言すれば、表示筐体11は、表示画面12aが本体筐体5に覆われる上記第1位置と、表示画面12aが露出される上記第2位置との間で回動可能に、ヒンジ4a,4bによって本体筐体5に連結されている。
【0014】
背壁14は、前壁13との間に空間を空けて、前壁13と略平行に広がる。周壁15は、前壁13及び背壁14に対して起立し、前壁13の周縁部と背壁14の周縁部との間を繋いでいる。前壁13は、表示筐体11の「第1壁部」の一例である。背壁14は、表示筐体11の「第2壁部」の一例である。背壁14は、前壁13とは反対側から表示装置12に対向する。
【0015】
図1及び図2に示すように、本体筐体5の後端部には、バッテリパック17が取り付けられている。バッテリパック17は、「バッテリ」の一例である。表示筐体11は、当該表示筐体11の左右の端部に分かれて設けられた一対の突出部18a,18bを有する。突出部18a,18bは、表示筐体11からバッテリパック17の両側に突出している。
【0016】
図1に示すように、突出部18a,18bとバッテリパック17との間には、ヒンジ取付部19が設けられている。ヒンジ取付部19は、本体筐体5の後端部の一部である。ヒンジ4a,4bは、ヒンジ回転軸20を有する。ヒンジ回転軸20は、バッテリパック17のセル(後述)の軸方向と略平行に配置されている。
【0017】
ヒンジ回転軸20は、表示筐体11の突出部18a,18bと、本体筐体5のヒンジ取付部19との間に延びるとともに、突出部18a,18b及びヒンジ取付部19にそれぞれ取り付けられて支持されている。これにより、表示筐体11は、ヒンジ回転軸20を回転中心として本体筐体5に対して回動される。
【0018】
まず、バッテリパック17の構造について説明する。
図3及び図4に示すように、バッテリパック17は、ケース21(バッテリケース)と、このケース21に収容されたセル22(バッテリセル)とを有する。セル22は、例えば乾電池のような円筒状に形成されている。セル22は、例えば6個設けられている。
【0019】
図3及び図4に示すように、セル22は、前後2列に分かれて配置されている。セル22は、第1列(前列)に配置された第1セル22aと、第2列(後列)に配置された第2セル22bとを含む。なお本明細書では、ユーザーから見て前後左右を定義している。すなわちユーザーに近い方を「前」、ユーザーから遠い方を「後」と定義する。
【0020】
図4に示すように、第1列には、2つの第1セル22aが並べられている。第2列には、4つの第2セル22bが並べられている。第1セル22a及び第2セル22bは、各列でそれぞれ直列状、すなわちセル22の軸方向に並べられている。
【0021】
図3に示すように、バッテリパック17は、第1セル22aが収容された第1部分24(前部)と、第2セル22bが収容された第2部分25(後部)とを有する。第1部分24は、第1セル22aの外形に沿う第1円弧部24aを有する。第2部分25は、第2セル22bの外形に沿う第2円弧部25aを有する。第2部分25は、第1部分24よりも、本体筐体5の中央部から離れている。すなわち第2部分25は、第1部分24よりも、キーボード9から離れている。第1部分24と第2部分25は、互いに一体に形成されている。
【0022】
第2部分25は、上記第1位置にある表示筐体11に向いて第1部分24に対して位置ずれして設けられている。詳しく述べると、第2セル22bは、第1セル22aよりも高い位置に配置されている。第1部分24及び第2部分25は、第1セル22a及び第2セル22bの外形にそれぞれ実質的に沿って設けられている。このため、第2部分25は、第1部分24に対して上方に持ち上げられた位置に設けられ、第1部分24よりも上方に盛り上がっている。
【0023】
バッテリパック17は、前端部となる第1端部27と、後端部となる第2端部28とを有する。第1端部27は、本体筐体5に隣接し、本体筐体5に接続されるコネクタ29(図4参照)が設けられている。第2端部28は、第1端部27とは反対側、すなわち本体筐体5とは反対側に位置され、電子機器1の外観の一部を形成している。
【0024】
上述のように第2部分25が第1部分24に対して上方に位置ずれして設けられることで、バッテリパック17の第2端部28には、凹部30(第1の凹部)が設けられている。凹部30は、バッテリパック17の下端部に設けられている。
【0025】
凹部30は、第1部分24と第2部分25との間の段差に対応して設けられている。すなわち、凹部30は、第2部分25が上方に位置ずれして第1部分24に対して高くなった分だけ、第2部分25の下方に生じた空間部である。凹部30と本体筐体5が載置される机上面Dとの間には空間Sが規定される。
【0026】
図5に示すように、バッテリパック17の凹部30には、表示筐体11の一部が上記第2位置で収容される。すなわち、表示筐体11の一部は、上記第2位置で、バッテリパック17の第2部分25の下方にもぐり込み、凹部30と机上面Dとの間の空間Sに入り込む。これにより、表示筐体11の一部が、凹部30と机上面Dとの間の空間Sに収容される。
【0027】
図5に示すように、上記第2位置は、表示筐体11が上記第1位置から例えば略180度開かれた位置である。表示筐体11の一部は、上記第1位置から略180度開かれた上記第2位置において、凹部30と机上面Dとの間の空間Sに入り込む。換言すれば、表示筐体11の一部が上記空間Sに入り込むことで、表示筐体11は、上記第1位置から略180度まで開くことができる。なお表示筐体11は、略180度まで開くことができなくてもよく、略180度以上開くことができてもよい。
【0028】
図5に示すように、ヒンジ回転軸20は、バッテリパック17の第2端部28の中心に対して偏心している。バッテリパック17の第2端部28の中心とは、本実施形態ではバッテリパック17の第2セル22bの中心Cのことである。ヒンジ回転軸20は、第2セル22bの中心Cよりも、上記第1位置にある表示筐体11から離れて位置されている。
【0029】
より詳しく述べると、ヒンジ回転軸20は、第2セル22bの中心Cよりも、下側に位置されている。さらにヒンジ回転軸20は、第2セル22bの中心Cに対して後側に偏心している。すなわちヒンジ回転軸20は、第2セル22bの中心Cよりも、第1セル22aから離れている。
【0030】
図6に示すように、バッテリパック17は、第1部分24と第2部分25との間に、第1セル22a及び第2セル22bの外形に対して膨らんだ膨らみ部31を有する。膨らみ部31は、第1部分24と第2部分25との間の段差の大きさに対応して設けられている。膨らみ部31には、機能部品32が収容されている。機能部品32の一例は、セル22の動作を安定させる回路基板である。なお機能部品32は、上記例に限られない。
【0031】
表示筐体11の先端部33は、上記第2位置で、バッテリパック17の膨らみ部31に当接する。本実施形態のヒンジ4a,4bは、ストッパーを有しない。表示筐体11は、当該表示筐体11の一部がバッテリパック17の膨らみ部31に当接することで、それ以上の回転が規制される。換言すれば、膨らみ部31は、表示筐体11の回転を規制するストッパーとなる。さらに換言すれば、バッテリパック17に膨らみ部31を設けることで、ヒンジ4a,4bのストッパーを省略することができる。
【0032】
図7に示すように、表示筐体11は、上記第2位置で、キーボード9の上面及びバッテリパック17の上面よりも下方に位置する。表示筐体11の背壁14は、上記第2位置で、本体筐体5の下壁7と略同一面上に位置する。
【0033】
次に、表示筐体11の構造について説明する。
図3に示すように、バッテリパック17の第2部分25は、第1部分24に対して上方に位置ずれし、第1部分24よりも盛り上がっている。これにより、バッテリパック17には、上記第1位置にある表示筐体11に向いた凸部35(第1の凸部)が設けられている。
【0034】
表示筐体11は、バッテリパック17の凸部35に対応した凹部37(第2の凹部)が設けられている。凹部37は、上記第1位置で、バッテリパック17の凸部35に対向する。バッテリパック17の凸部35の少なくとも一部は、表示筐体11が上記第1位置にあるとき、表示筐体11の凹部37に入り込み、凹部37に収容される。
【0035】
図8に示すように、表示筐体11は、本体部40と、第1端部41と、第2端部42とを有する。本体部40は、表示装置12を収容している。第1端部41及び第2端部42は、それぞれ表示装置12を外れた位置に設けられている。第1端部41は、ヒンジ4a,4bに連結された端部であり、表示筐体11が立て起こされたとき、表示筐体11の下端部となる。第2端部42は、第1端部41とは反対側に位置され、表示筐体11が立て起こされたとき、表示筐体11の上端部となる。
【0036】
図3に示すように、上記凹部37は、表示筐体11の第1端部41に設けられている。凹部37が設けられることで、表示筐体11の第1端部41は、表示筐体11の他の部分、例えば本体部40に比べて薄くなっている。図6に示すように、この薄くなった第1端部41が、前記第2位置で、バッテリパック17の凹部30と机上面Dとの間の空間Sに入り込み、凹部30に収容される。
【0037】
図1に示すように、凹部37は、表示筐体11の第1端部41に沿って、表示筐体11の幅方向に延びている。凹部37は、上記一対の突出部18a,18bの間に亘って延びている。
【0038】
次に、表示筐体11の実装構造について説明する。
図3及び図8に示すように、表示筐体11は、ハーネス43を収容している。なお図8では、説明の便宜上、ハーネス43にハッチングを施してある。ハーネス43は、複数のケーブル44を束に纏めたものである。ハーネス43は、例えば複数のケーブル44を纏めて包む保護材45を有する。保護材45は、例えば絶縁材料で形成されている。
【0039】
図8に示すように、ハーネス43は、表示筐体11の第1端部41に収容されている。表示装置12は、凹部37に沿って延びた端部47を有する。ハーネス43は、表示装置12の端部47に沿って延びた第1部分43aと、表示筐体11のひとつの突出部18a内に延びた第2部分43bとを有する。
【0040】
図3及び図8に示すように、ハーネス43の第1部分43aは、複数のケーブル44が横一列に並べられ、平坦状になっている。図3に示すように、複数のケーブル44は、表示筐体11の厚さ方向(第1方向X)にそれぞれ表示筐体11の凹部37に対向している。複数のケーブル44は、表示筐体11の厚さ方向とは交差する方向に並べられている。本実施形態では、複数のケーブル44は、表示筐体11の厚さ方向とは略直交する方向(第2方向Y)に並べられている。
【0041】
図3及び図8に示すように、ハーネス43の第1部分43aは、表示筐体11の凹部37に沿って延びている。ハーネス43の第1部分43bでは、複数のケーブル44のそれぞれの少なくとも一部は、上記第2方向Yで表示装置12に対向している。
【0042】
図3及び図8乃至図10に示すように、表示装置12は、表示画面12aを有する前面51と、この前面51とは反対側に位置された背面52と、前面51及び背面52に対して起立し、前面51の周縁部と背面52周縁部との間を繋ぐ周面53とを有する。前面51は、「第1面」の一例である。
【0043】
背面52は、当該背面52のなかで前面51との間の距離が最も離れた第1部分52aと、この第1部分52aに対して窪んだ第2部分52bとを有する。つまり、前面51と背面52の第1部分52aとの間の距離が表示装置12の最大厚さとなる。第2部分52bでは、第1部分52aに比べて表示装置12が薄くなっている。第1部分52aの表面は、「第2面」の一例である。
【0044】
第2部分52bは、表示装置12の端部47に設けられている。この第2部分52bには、ハーネス43が接続されるコネクタ54が設けられている。コネクタ54の厚さは、第1部分52aと第2部分52bとの間の段差と実質的に同じ大きさかそれよりも小さい。このため、コネクタ54は、表示装置12の最大厚さ内に位置され、第1部分52aよりも外部に実質的に突出していない。すなわち、コネクタ54は、上記第1面と、上記第2面との間に設けられている。
【0045】
表示装置12は、当該表示装置12の周面53を形成するフレーム55を有する。フレーム55は、コネクタ54に対応した切欠き部55aが設けられている。切欠き部55aは、コネクタ54に対向し、ハーネス43の挿入方向にコネクタ54を開放している。
【0046】
図3及び図8に示すように、ハーネス43は、表示装置12の端部47でコネクタ54に接続されている。ハーネス43は、表示装置12の最大厚さ内で、表示装置12に接続されている。なお「表示装置12の最大厚さ内で接続」とは、上記第1面と上記第2面との間で接続との意味である。図8に示すように、ハーネス43は、表示装置12の端部47から凹部37に対向する領域に延びている。
【0047】
図8に示すように、ハーネス43の第2部分43bは、複数のケーブル44が円柱状に束ねられて、第1部分43aよりも厚くなっている。この第2部分43bは、表示筐体11の突出部18aから本体筐体5のヒンジ取付部19に導かれ、本体筐体5内に延びている。
【0048】
図11及び図12に示すように、ヒンジ取付部19の上面は、バッテリパック17の第2部分25の上面と略同じ外形形状を有するように盛り上がっている。これにより、ヒンジ取付部19は、上記第1位置にある表示筐体11に向いた凸部61が設けられている。ヒンジ取付部19の凸部61は、バッテリパック17の凸部35に一続きとなる。ヒンジ取付部19の凸部61の少なくとも一部は、上記第1位置にある表示筐体11の凹部37に対向し、その凹部37に収容される。
【0049】
図12に示すように、ヒンジ取付部19の凸部61の内面61aは、凸部61の外形形状に沿って、本体筐体5の外部に向いて膨らむ曲面状に形成されている。これによりヒンジ取付部19の内部空間は、本体筐体5の他の領域の内部空間に比べて大きくなっている。ハーネス43は、本体筐体5に対する表示筐体11の回動時に伸縮される。このときハーネス43は、上記凸部61の内部空間で伸縮可能である。すなわち、ハーネス43は、凸部61の比較的大きな内部空間で緩んだり、曲がったりすることができる。これにより、ハーネス43に加わるストレスが小さくなる。
【0050】
図2に示すように、ヒンジ取付部19の下面は、バッテリパック17の下面と略同じ外形形状を有するように窪んでいる。つまり、ヒンジ取付部19の下面は、バッテリパック17の凹部30に一続きとなる凹部62が設けられている。表示筐体11の一部は、上記第2の位置で、バッテリパック17の凹部30と同様に、ヒンジ取付部19の凹部62に収容される。
【0051】
図4に示すように、バッテリパック17の第1端部27は、コネクタ29を収容している。図3に示すように、この第1端部27は、第1部分24に比べて薄くなっており、第1部分24との間に厚さの違いに基づく段差を有する。換言すれば、バッテリパック17は、第1部分24が他の部分に比べて下方に突出し、バッテリパック17の突出部64が設けられている。
【0052】
図2に示すように、本体筐体5の後端部は、バッテリパック17の突出部64に一続きになる他の突出部65を有する。バッテリパック17の突出部64と本体筐体5の突出部65は、互いに連続し、本体筐体5の後端部の下面に、本体筐体5の略全幅に亘る一連の突出部66を形成している。この突出部66は、本体筐体5の脚部67が設けられるとともに、ユーザーが電子機器1を持ち運ぶ時に手をかけることができるつまみ部となる。
【0053】
このような構成によれば、表示筐体11の回動可能角度を大きくすることができる。すなわち、本実施形態のバッテリパック17は、当該バッテリパック17の後端部に、表示筐体11の一部を上記第2位置で収容可能な凹部30が設けられている。この凹部30が設けられていることで、表示筐体11は、本体筐体5やバッテリパック17に接触することなく、より大きな角度まで回動できるようになる。このため、表示筐体11の回動可能角度を大きくすることができる。
【0054】
さらに、凹部30がバッテリパック17の下端部に設けられていることで、電子機器1が後方から見られたときに、電子機器1を薄く見せることができる。これはデザイン性の向上に寄与する。
【0055】
本実施形態では、バッテリパック17は、第1セル22aが収容された第1部分24と、第2セル22bが収容された第2部分25とを有する。第2部分25が第1部分24に対して位置ずれして設けられることで、バッテリパック17に凹部30が設けられている。これによれば、凹部30を設けてもバッテリの容量を確保することができる。さらに凹部30を設けてもバッテリパック17内にデッドスペースが生じにくくなる。
【0056】
本実施形態では、バッテリパック17の凹部30は、当該凹部30と机上面Dとの間に表示筐体11の一部が収容される空間Sを規定する。これによれば、バッテリパック17の凹部30の厚さ(大きさ)をある程度狭くしても、表示筐体11の一部を十分に収容することができる。このため、バッテリパック17の凹部30を小さくし、電子機器1の薄型化を図ることができる。
【0057】
本実施形態では、表示筐体11は、上記第1位置から略180度開かれた上記第2位置まで回動可能である。このような構成によれば、電子機器1を完全に開いた状態で使用することができる。電子機器1が例えばタッチパネルなどを有して表示画面12aに入力機能を有する場合、表示筐体11を略180度開いて使用することができると、表示筐体11が机上面Dによっても支持されるので、入力操作を行いやすくなる。
【0058】
さらに表示筐体11を略180度開くことができると、ハーネス43などの取付性が良好になる。すなわち、表示筐体11を略180度開いた状態で組立作業を行うことができる。これによれば、ハーネス43を最も伸びた状態で電子機器1に取り付けることができる。このため、通常の使用時でハーネス43が過度に伸ばされる状態を避けることができ、ハーネス43の負担を軽減し、断線などの可能性をより小さくすることができる。
【0059】
次に比較のため、ヒンジ回転軸20が第2セル22bの中心Cと一致した構造について考える。この場合、表示筐体11が180度に達しない所定角度だけ回転したときに、表示筐体11がバッテリパック17に接触することになり、それ以上の表示筐体11の回転が規制される。
【0060】
一方で、本実施形態では、ヒンジ回転軸20は、第2セル22bの中心Cよりも、上記第1位置にある表示筐体11から離れた位置、例えば第2セル22bの中心Cよりも下側に配置されている。これによれば、表示筐体11がバッテリパック17及び本体筐体5と接触するのを避けて、表示筐体11をより大きな角度まで回転させることができるようになる。
【0061】
本実施形態では、ヒンジ回転軸20は、第2セル22bの中心Cよりも、第1セル22aから遠い位置、すなわち電子機器1の後側に偏心して配置されている。これによれば、バッテリパック17の凹部30の奥行き(水平方向の深さ)を小さくしても、上記第2位置まで回転させられた表示筐体11の一部を凹部30で収容することができる。換言すれば、バッテリパック17に膨らみ部31を設け、バッテリパック17内の実装スペースを広げることができる。
【0062】
本実施形態では、表示筐体11は、当該表示筐体11からバッテリパック17の両側に突出した一対の突出部18a,18bを有し、この突出部18a,18bがヒンジ回転軸20に支持されている。これによれば、ヒンジ回転軸20を、第2セル22bの中心Cよりも、上記第1位置にある表示筐体11から遠くに配置しやすくなる。
【0063】
本実施形態では、バッテリパック17は、第1部分24と第2部分25との間に、第1セル22a及び第2セル22bの外形に対して膨んだ膨らみ部31を有する。そして膨らみ部31に機能部品32が収容されている。すなわち、第1部分24と第2部分25との間の段差が活用され、この段差に対応した膨らみ部31が設けられることで、バッテリパック17内に追加的な実装スペースが創出されている。このような膨らみ部31に機能部品32を配置することで、高密度実装をより実現することができる。
【0064】
本実施形態では、表示筐体11は、上記第1位置でバッテリパック17の第2部分25に対向し、第2部分25の一部が収容される凹部37が設けられている。これによれば、バッテリパック17の第2部分25が第1部分24に対して上方に位置ずれして設けられても、表示筐体11の凹部37で第2部分25の盛り上がりを吸収し、電子機器1の薄さを維持することができる。これは電子機器1の薄型化に寄与する。
【0065】
表示筐体11の第1端部41は、表示装置12が実装されず、デッドスペースになりやすい。本実施形態では、上記凹部37は、表示筐体11の第1端部41に設けられている。すなわち、第1端部41のデッドスペースを有効に活用し、凹部37が設けられている。
【0066】
本実施形態では、表示筐体11の第1端部41は、凹部37が設けられて表示筐体11の他の部分に比べて薄くなっており、この薄くなった第1端部41が上記第2位置でバッテリパック17の凹部30に収容される。これによれば、バッテリパック17の凹部30を小さく(狭く)しても表示筐体11の回動可能角度を大きく確保することができる。つまり、凹部30を小さくし、電子機器1の薄型化を同時に図ることができる。
【0067】
次に、別の観点から見た本実施形態の構造について述べる。
本実施形態の構成によれば、電子機器1の薄型化及び高密度実装を実現することができる。すなわち本実施形態では、電子機器1は、凸部35が設けられたバッテリパック17が取り付けられた本体筐体5と、バッテリパック17の凸部35に対応する凹部37が設けられた表示筐体11とを備える。これにより、表示筐体11の凹部37によってバッテリパック17の凸部35の盛り上がりを吸収することができるので、電子機器1の薄型化を図ることができる。
【0068】
本実施形態では、複数のケーブル44は、凹部37が設けられた表示筐体11の第1端部41に収容され、表示筐体11の厚さ方向とは交差する方向に並べられている。これによれば、凹部37を設けることで内部が狭くなった表示筐体11の第1端部41を有効活用して部品を実装することができる。これにより電子機器1の高密度実装を図ることができる。
【0069】
本実施形態では、表示筐体11は、表示装置12が収容された本体部40と、表示装置12を外れた第1端部41とを有し、この第1端部41に凹部37が設けられている。これによれば、表示装置12を外れた位置に凹部37が設けられるので、表示筐体11に凹部37を設けやすい。また表示装置12を外れた位置であれば、例えば比較的深い凹部37を設けることも可能になる。
【0070】
本実施形態では、凹部37は、表示筐体11の端部41に沿って延びており、ハーネス43は、凹部37に沿って延びた第1部分43aを有する。これによれば、凹部37が設けられた比較的長い領域に亘って、その領域の内部空間を有効活用できるので、電子機器1の高密度実装をより図ることができる。
【0071】
本実施形態では、表示装置12は、凹部37に沿って延びた端部47を有する。そしてケーブル44は、表示装置12の端部47に接続され、表示装置12の端部47から凹部37に対向する領域まで延びている。これによれば、表示装置12の左右のスペースではなく、表示筐体11の第1端部41のスペースを有効活用してケーブル44を実装することができる。
【0072】
本実施形態では、表示装置12は、表示画面12aを有した第1面と、この第1面とは反対側に位置された第2面と、上記第1面と第2面との間に設けられたコネクタ54とを有する。ケーブル44は、上記コネクタ54に接続されている。これによれば、表示筐体11をより薄く形成することができる。
【0073】
本実施形態では、ケーブル44の少なくとも一部は、表示筐体11の厚さ方向とは略直交する方向で表示装置12に対向している。これによれば、ケーブル44が、ほとんど屈曲されることなく表示装置12から表示筐体11の第1端部41まで延びることができる。そのため、電子機器1の薄型化及び高密度実装をより図ることができる。
【0074】
本実施形態では、本体筐体5の端部は、バッテリパック17の凸部35に一続きとなる他の凸部61を有する。ケーブル44は、表示筐体11から一対の突出部18a,18bのひとつを通じて本体筐体5の端部に導かれるとともに、上記他の凸部61内の空間で伸縮可能になっている。これによれば、表示ユニット3を閉じる時に縮むケーブル44の一部を、この凸部61内の膨らんだスペースで受けることができ、ケーブル44に加わるストレスを低減することができる。これは断線の可能性をより低いものにし、電子機器1の信頼性をより向上させる。
【0075】
次に、図13を参照して電子機器1のひとつの変形例について説明する。
複数のケーブル44は、表示筐体11の厚さ方向とは略直交する方向に並んでいる必要はなく、図13に示すように、凹部37の内面に沿って並んでいてもよい。このような構成であっても、電子機器1の薄型化及び高密度実装の実現を図ることができる。
【0076】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具現化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0077】
表示筐体11の回動角度を大きくするための観点から言えば、表示筐体11の凹部37は設けられなくてもよい。凹部37がない表示筐体11であっても、バッテリパック17に凹部30を設けることで、表示筐体11の回動可能角度を大きくすることができる。
【0078】
電子機器1の薄型化及び高密度実装を実現するための観点から言えば、バッテリパック17の凹部30は設けなくてもよい。バッテリパック17の凸部35に対応した凹部37を表示筐体11に設けることで電子機器1の薄型化を図ることができる。そして凹部37が設けられた表示筐体11の端部41に、複数のケーブルを表示筐体11の厚さ方向とは交差する方向に並べることで高密度実装を実現することができる。なお上記複数のケーブルは、表示装置12に接続されたケーブルに限らず、例えばアンテナやカメラモジュールに接続されたケーブルであってもよい。
【0079】
また上記いずれの観点においても、バッテリパック17は、第1セル22a及び第2セル22bを有するものでなくてもよい。ヒンジ4a,4bは、上記実施形態のようなバッテリパック17の両側に突出した突出部18a,18bを支持するものに限らず、他の機構のものでもよい。表示筐体11は、必ずしも略180度まで開くことができる必要はなく、180度以下の所定角度までしか回転できないものであってもよい。
【0080】
表示筐体11は、上記第2の位置で、キーボード9の上面よりも下方に位置されなくてもよい。バッテリパック17は、膨らみ部31を有しなくてもよい。ケーブル44は、表示装置12の凹部37に沿って延びた端部47ではなく、表示装置12の左端部や右端部などに接続されてもよい。ケーブル44は、表示装置12の背面から突出したコネクタに接続されるものでもよい。ヒンジ取付部19は、凸部61を有さずに、平坦状に形成されてもよい。
【0081】
また本明細書では、いくつかの部材に「第1」「第2」などと付して説明したが、これらは説明の便宜上付されたものであり、適宜数字を入れ替えて読み替え可能である。
【符号の説明】
【0082】
D…机上面、S…空間、C…第2セルの中心、1…電子機器、2…本体ユニット、3…表示ユニット、4a,4b…ヒンジ、5…本体筐体、11…表示筐体、12…表示装置、12a…表示画面、17…バッテリパック、18a,18b…突出部、20…ヒンジ回転軸、22a…第1セル、22b…第2セル、24…第1部分、25…第2部分、30…バッテリパックの凹部、31…膨らみ部、32…機能部品、35…バッテリパックの凸部、37…表示筐体の凹部、43…ハーネス、44…ケーブル、61…本体筐体の凸部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリが取り付けられた本体筐体と、
表示装置が収容された表示筐体と、
前記表示装置の表示画面が前記本体筐体に覆われる第1位置と、前記表示画面が露出される第2位置との間で回動可能に、前記本体筐体と前記表示筐体とを連結したヒンジと、
を具備し、
前記バッテリは、第1セルが収容された第1部分と、前記本体筐体の中央部から前記第1部分よりも離れて位置され、第2セルが収容された第2部分とを有し、前記第1位置にある前記表示筐体に向いて前記第2部分が前記第1部分に対して位置ずれして設けられることで、前記本体筐体とは反対側となる当該バッテリの端部に、前記表示筐体の一部が前記第2位置で収容される凹部が設けられ、
前記ヒンジの回転軸は、前記第2セルの中心よりも、前記第1位置にある前記表示筐体から離れて位置されたバッテリ実装構造。
【請求項2】
請求項1の記載において、
前記凹部は、前記第2部分の下端部に設けられ、前記凹部と前記本体筐体が載置される机上面との間の空間に前記表示筐体の一部が前記第2位置で入り込むバッテリ実装構造。
【請求項3】
請求項1または請求項2の記載において、
前記表示筐体は、当該表示筐体から前記バッテリの両側に突出した一対の突出部を有し、この突出部が前記ヒンジの回転軸に支持されたバッテリ実装構造。
【請求項4】
請求項1または請求項3の記載において、
前記表示筐体は、前記第2位置において前記第1位置から略180度開かれるバッテリ実装構造。
【請求項5】
請求項1または請求項4の記載において、
前記本体筐体に取り付けられたキーボードを備え、
前記表示筐体は、前記第2位置で、前記キーボードの上面よりも下方に位置されるバッテリ実装構造。
【請求項6】
請求項1または請求項5の記載において、
前記バッテリは、前記第1部分と前記第2部分との間に、前記第1セル及び前記第2セルの外形に対して膨んだ膨らみ部を有し、この膨らみ部に機能部品が収容されたバッテリ実装構造。
【請求項7】
請求項1または請求項6の記載において、
前記表示筐体は、前記第1位置で前記バッテリの第2部分に対向し、前記第2部分の一部が収容される第2の凹部が設けられたバッテリ実装構造。
【請求項8】
請求項7の記載において、
前記表示筐体は、前記第2の凹部が設けられ、前記表示筐体の他の部分に比べて薄くなった端部を有し、この薄くなった端部が前記第2位置で前記バッテリの凹部に収容されるバッテリ実装構造。
【請求項9】
第1筐体と、
表示装置が収容された第2筐体と、
前記表示装置の表示画面が前記第1筐体に覆われる第1位置と、前記表示画面が露出される第2位置との間で回動可能に、前記第1筐体と前記第2筐体とを連結したヒンジと、
前記第1筐体に取り付けられ、前記第1筐体とは反対側となる端部に、前記第2筐体の一部が前記第2位置で収容される凹部が設けられたバッテリと、
を具備したバッテリ実装構造。
【請求項10】
請求項9の記載において、
前記ヒンジの回転軸は、前記凹部が設けられたバッテリの端部の中心よりも、下側に位置されたバッテリ実装構造。
【請求項1】
バッテリが取り付けられた本体筐体と、
表示装置が収容された表示筐体と、
前記表示装置の表示画面が前記本体筐体に覆われる第1位置と、前記表示画面が露出される第2位置との間で回動可能に、前記本体筐体と前記表示筐体とを連結したヒンジと、
を具備し、
前記バッテリは、第1セルが収容された第1部分と、前記本体筐体の中央部から前記第1部分よりも離れて位置され、第2セルが収容された第2部分とを有し、前記第1位置にある前記表示筐体に向いて前記第2部分が前記第1部分に対して位置ずれして設けられることで、前記本体筐体とは反対側となる当該バッテリの端部に、前記表示筐体の一部が前記第2位置で収容される凹部が設けられ、
前記ヒンジの回転軸は、前記第2セルの中心よりも、前記第1位置にある前記表示筐体から離れて位置されたバッテリ実装構造。
【請求項2】
請求項1の記載において、
前記凹部は、前記第2部分の下端部に設けられ、前記凹部と前記本体筐体が載置される机上面との間の空間に前記表示筐体の一部が前記第2位置で入り込むバッテリ実装構造。
【請求項3】
請求項1または請求項2の記載において、
前記表示筐体は、当該表示筐体から前記バッテリの両側に突出した一対の突出部を有し、この突出部が前記ヒンジの回転軸に支持されたバッテリ実装構造。
【請求項4】
請求項1または請求項3の記載において、
前記表示筐体は、前記第2位置において前記第1位置から略180度開かれるバッテリ実装構造。
【請求項5】
請求項1または請求項4の記載において、
前記本体筐体に取り付けられたキーボードを備え、
前記表示筐体は、前記第2位置で、前記キーボードの上面よりも下方に位置されるバッテリ実装構造。
【請求項6】
請求項1または請求項5の記載において、
前記バッテリは、前記第1部分と前記第2部分との間に、前記第1セル及び前記第2セルの外形に対して膨んだ膨らみ部を有し、この膨らみ部に機能部品が収容されたバッテリ実装構造。
【請求項7】
請求項1または請求項6の記載において、
前記表示筐体は、前記第1位置で前記バッテリの第2部分に対向し、前記第2部分の一部が収容される第2の凹部が設けられたバッテリ実装構造。
【請求項8】
請求項7の記載において、
前記表示筐体は、前記第2の凹部が設けられ、前記表示筐体の他の部分に比べて薄くなった端部を有し、この薄くなった端部が前記第2位置で前記バッテリの凹部に収容されるバッテリ実装構造。
【請求項9】
第1筐体と、
表示装置が収容された第2筐体と、
前記表示装置の表示画面が前記第1筐体に覆われる第1位置と、前記表示画面が露出される第2位置との間で回動可能に、前記第1筐体と前記第2筐体とを連結したヒンジと、
前記第1筐体に取り付けられ、前記第1筐体とは反対側となる端部に、前記第2筐体の一部が前記第2位置で収容される凹部が設けられたバッテリと、
を具備したバッテリ実装構造。
【請求項10】
請求項9の記載において、
前記ヒンジの回転軸は、前記凹部が設けられたバッテリの端部の中心よりも、下側に位置されたバッテリ実装構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−138218(P2012−138218A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−288822(P2010−288822)
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【特許番号】特許第4956665号(P4956665)
【特許公報発行日】平成24年6月20日(2012.6.20)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【特許番号】特許第4956665号(P4956665)
【特許公報発行日】平成24年6月20日(2012.6.20)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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