説明

電子装置、電子システム及び音声出力制御方法

【課題】 携帯電子装置の取り外し時に、ノイズ音の発生を抑制することができる電子装置を提供する。
【解決手段】 ポータブル機器10が車載機器100に取り付けられている時に、ポータブル機器10から出力される音声信号を出力するスピーカ155と、ポータブル機器10の車載機器100からの取外しを検出する検出回路200と、ポータブル機器10の取外しを検出すると、音声信号のスピーカ155への出力を弱める、又はカットする制御部140とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載される電子装置と、電子装置に着脱可能な携帯電子装置とを含む電子システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のナビゲーション装置として、PND(パーソナルナビゲーションデバイス)と呼ばれる、簡易的ではあるが可搬性を持った小型のポータブルナビゲーション装置(以下、ポータブルナビと呼ぶ)と、車両のダッシュボードに形成された凹部(DIN開口)内に収容し固定される車載用のナビゲーション装置とが広く一般的に知られている。車載用のナビゲーション装置は、車両からの車速等の情報により高精度な案内が可能であり、さらにはオーディオ装置を備えたものも提案されている。
【0003】
近年、ポータブルナビの可搬性と、車載用ナビゲーション装置の高精度な案内性能とを兼ね備えたナビゲーション装置が検討されている。
特許文献1〜4には、車両に搭載された車載機器からナビゲーション部を着脱可能とする構成が開示されている。車載機器からナビゲーション部を取り外すことで、ナビゲーション部をポータブルナビとして単体で使用することが可能となる。
【0004】
また、特許文献5は、ナビゲーション装置を車両から取り外して、歩行時にもナビゲーション装置を使用することが可能となっている。また、車両搭載時には、カーナビモードとなり、車両から取り外した時にはマンナビモードを実行することが開示されている。
【特許文献1】特開平8-318792号公報
【特許文献2】特開2002-328026号公報
【特許文献3】特表2005-524570号公報
【特許文献4】特開2001-239895号公報
【特許文献5】特開2003-166848号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ポータルブナビの音声案内を、このポータブルナビを取り付けた車載機器側のスピーカから出力した状態で、ポータブルナビが車載機器から取り外されると、取り外す際に発生するノイズ音が車載機器側のスピーカから出力されてしまい、車両の搭乗者に不快感を与えてしまう。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、携帯電子装置の取り外し時に、ノイズ音の発生を抑制することができる電子装置、電子システム及び音声出力制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するために本発明の電子装置は、携帯電子装置を着脱自在に装着可能な電子装置であって、前記携帯電子装置が前記電子装置に取り付けられている時に、前記携帯電子装置から出力される音声信号を出力する音声出力部と、前記携帯電子装置の前記電子装置からの取り外しを検出する検出部と、前記携帯電子装置の取り外しを検出すると、前記音声信号の前記音声出力部への出力を抑制する制御部とを有する構成としている。
本発明は、携帯電子装置が車載機器から取り外されるときに、音声信号の音声出力手段への出力を弱める、又はカットすることで、携帯電子装置取り外し時のノイズ音の発生を抑制することができる。
【0008】
上記電子装置において、前記制御部は、前記音声信号が前記携帯電子装置の取り外しに起因するものであるか否かを判定し、取り外しに起因するものであると判定された場合に、前記音声信号の前記音声出力部への出力を抑制することを特徴としている。
従って、携帯電子装置の取り外しの際に生じるノイズ音の発生を抑制することができる。
【0009】
上記電子装置において、前記制御部は、前記音声信号の音量を調整するボリューム調整部を制御して、前記音声出力部から出力される前記音声信号を調整することを特徴としている。
【0010】
また、上記電子装置において、前記制御部は、前記音声信号を増幅する増幅部を制御して、前記音声出力部から出力される前記音声信号を調整することを特徴としている。
従って、音声出力部から出力される音声信号の調整を簡単に行うことができる。
【0011】
本発明の電子システムは、電子装置に着脱自在に装着される携帯電子装置と、前記携帯電子装置が前記電子装置に取り付けられている時に、前記携帯電子装置から出力される音声信号を出力する音声出力部と、前記携帯電子装置の前記電子装置からの取り外しを検出する検出部と、前記携帯電子装置の取り外しを検出すると、前記音声信号の前記音声出力部への出力を抑制する制御部とを有する前記電子装置と、を有する構成としている。
従って、携帯電子装置が電子装置から取り外されるときに、音声信号の音声出力部への出力を抑制することで、携帯電子装置取り外し時のノイズ音の発生を抑制することができる。
【0012】
上記電子システムにおいて、前記携帯電子装置は、外部接続された外部機器からの音声信号を前記電子装置に出力し、前記制御部は、前記携帯電子装置の取り外しを検出すると、前記音声信号の前記音声出力部への出力を抑制することを特徴としている。
【0013】
本発明の音声出力制御方法は、携帯電子装置を着脱自在に装着可能な電子装置の音声出力制御方法であって、前記携帯電子装置の前記電子装置からの取り外しを検出するステップと、前記携帯電子装置が取り外されると、前記電子装置から出力されている音声出力を抑制するステップとを有することを特徴としている。
【0014】
本発明の音声制御方法は、携帯電子装置を着脱自在に装着可能な電子装置の音声制御方法であって、前記携帯電子装置の前記電子装置からの取り外しを検出するステップと、前記携帯電子装置が取り外されると、前記電子装置から出力されている音声出力を抑制するステップとを有する音声制御方法が提供される。
これにより、携帯電子装置取り外し時のノイズ音の発生を抑制することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、携帯電子装置が車載機器から取り外されるときに、音声信号の音声出力手段への出力を弱める、又はカットすることで、携帯電子装置取り外し時のノイズ音の発生を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図面を参照に、本発明の実施例について説明する。
【実施例】
【0017】
図1(A)、図1(B)に電子システムの一例である車載システム1の外観形状を示す。図1(A)、図1(B)に示すように車載システム1は、車両に搭載される車載機器100(電子機器)と、ナビゲーション機能を備えたポータブル機器10(携帯機器)とから構成される。ポータブル機器10は、図1(A)に示すように車載機器100の前面部120に取り付けて使用したり、図1(B)に示すように車載機器100から取り外して使用することができる。
【0018】
車載機器100は、ラジオ放送の再生機能や、CD(Compact Disc)等の記録媒体に書き込まれた音楽データを再生可能な機器であり、CD再生部やCD挿排口を有する車載機器本体110と、表示部131や操作部132を有する前面部120とを備えている。
【0019】
ポータブル機器10は、目的地までの誘導経路を検索し、地図上に検索した誘導経路を重ねて表示するナビゲーションの機能を備えている。
【0020】
図2は、ポータブル機器10を取り外した車載機器100の前面部120を示している。車載機器100の前面部120には、ポータブル機器10を装着するための凹部が形成された着脱部170が設けられている。この着脱部170には、車載機器100とポータブル機器10とを電気的に接続するためのコネクタ150(収納部側コネクタ)と、ポータブル機器10を前面部120に固定するためのロック機構(不図示)が設けられている。前面部120に設けた取り外しボタン160を操作すると、不図示のロック機構が解除され、車載機器100からポータブル機器10が取り外し可能となる。
【0021】
図3には、前面部120を車載機器本体110に対して傾斜させ、CD挿排口180を露出させた状態を示す。
不図示の駆動機構によって図3に示すスライダー181を駆動させることで、前面部120を車載機器本体110に対してチルトさせることができる。チルト動作によって、車載機器本体110に設けられたCD挿排口180を露出させ、CDの挿排を行うことができる。車載機器100の前面部120には、操作ボタン(図7に示すチルト/イジェクトボタン132a)が設けられており、このボタンの操作に応じたチルト角度に設定することができる。
【0022】
図4は、車載システム1の車両への搭載例を示す。
車載システム1は、例えば図4に示すように、運転席52と助手席51とのほぼ中央のダッシュボード部分に配置される。
なお、図示していないが、後述するGPS(Global Positioning System)情報受信部133のGPSアンテナは、ダッシュボード上に配置、又はフロントガラスの車室側に貼り付けられる。
【0023】
図5は、車載システム1の概略構成を示すブロック図である。
車載機器100とポータブル機器10とは、コネクタで電気的に接続される。車載機器100側には、コネクタ150が設けられており、ポータブル機器10には、コネクタ30(携帯機器側コネクタ)が設けられている。これらのコネクタ150、30を接続することで、車載機器100とポータブル機器10との間で各種信号が送受信され、車載システム1として機能する。また、コネクタ150、30には、車両のバッテリからの電力をポータブル機器10に供給するための電力供給端子が設けられており、ポータブル機器10が車載機器100に接続された状態で、車載機器100に電力が供給されていると、電力供給端子を介してポータブル機器10にも電力が供給される。
【0024】
また、車載機器100とポータブル機器10との接続部分には、車載機器100にポータブル機器10が接続されているか否かを検出する検出回路200が設けられている。検出回路200の構成を図6に示す。
ポータブル機器10が、ポータブル機器10に電源を供給する電源線220に接続されると、トランジスタ210がオンする。従って、ポータブル機器10が電源線220に接続されると、車載機器100の制御部140には、電源からの3.3Vの信号が出力される。また、ポータブル機器10が電源線220から取り外されると、トランジスタ210はオフするので、車載機器100の制御部140には、0Vの信号が出力される。
制御部140は、トランジスタ210と制御部140とを接続するポータブル機器検出端子の出力電圧が3.3Vであれば、接続状態として検知し、0Vであれば、未接続状態として検知する。
【0025】
車載機器100は、表示部131、操作部132、GPS情報受信部133、ラジオ受信部134、CD再生部135、音声調整部136、メモリ137、マイク138、外部音声/映像入力部139、制御部140、コネクタ150を備えている。車載機器100は、エンジンキーがAcc又はIGの位置にあるときに、車両側のバッテリから電力を供給されて動作する。以下、各部の機能の詳細について説明する。
【0026】
表示部131は、液晶パネルやバックライトを備え、13セグメント表示によって受信放送周波数、再生楽曲トラックNo、再生楽曲名等を表示する。
【0027】
操作部132は、車載機器100の動作モードを切り替えるための操作や、切り替えた各種モードでの操作を行うためのものである。操作部132には、図7に示すようにチルト/イジェクトボタン132a、ファンクション(図中にはFUNCと表記する)/AFボタン132b、TEXTボタン132c、SCREENボタン132d、SOURCE/PWRボタン132e、MODEボタン132f、MUTEボタン132g、BAND切換ボタン132h、ロータリーボタン132i、十字キー/エンターキーボタン132jとからなるボタン群を備える。
【0028】
ここで、ボタン群の操作によるポータブル機器10と車載機器100の表示の切り替えについて説明する。
まず、車載機器100のSOURCE/PWRボタン132eを押下することで、車載機器100がオンされる。また車載機器100がオンしているときに、SOURCE/PWRボタン132eを短押しすることでCD再生やラジオ等のソースの移行が行われる。このとき、車載機器100の表示部131には、選択されたソースにおける情報が表示され、ポータブル機器10の表示部11には、ソースに関係なくナビゲーション画像が表示される。
【0029】
次に、SCREENボタン132dを押下すると、ポータブル機器10の表示部11の表示をナビゲーション画像から車載機器100で選択されたソースに対応する画像に切り替えることができる。
図8(A)は車載機器100でCDを再生中にポータブル機器10を装着し、ポータブル機器10でナビゲーション画像を表示している状態を示している。
図8(A)の状態から、SOURCE/PWRボタン132eを短押しして、CD再生からラジオのソースに切換操作を行うと、図8(B)に示すように、表示部131にラジオソースにおける情報が表示される。また、ポータブル機器10の表示部11には、ナビゲーション画像が表示されたままである。
【0030】
次に、ユーザがSCREENボタン132dを押下すると、図8(C)に示すようにポータブル機器10の表示部11に、車載機器100で処理中のソースに対応する画像が表示される(図8(C)ではラジオ画像)。ポータブル機器10の表示部11には、後述するタッチパネルが設けられており、ユーザはタッチパネルを介して表示部11に表示される操作ボタンを選択することで、現在処理中のソースに対する操作をすることができる。
【0031】
また、表示部11にラジオ画像が表示された状態で、SCREENボタン132dを押下すると、図8(B)に示すようにラジオ画像からナビゲーション画像に戻ることができる。ポータブル機器10が車載機器100から取り外されている状態では、SCREENボタン132dの操作は無効となる。
【0032】
また、ポータブル機器10が車載機器100から取り外されている状態で、外部音声/映像入力部139にUSB(Universal Serial Bus)等が接続された場合には、SOURCE/PWRボタン132eを押下しても、USBのソースには切り替わらないようにすることもできる。
【0033】
図5に戻って、GPS情報受信部133は、GPSアンテナとチューナ部とを有し、衛星からのGPS信号を受信する。GPS情報受信部133で受信したGPS信号は、制御部140、コネクタ150、コネクタ30及び制御部20を介してポータブル機器10のナビゲーション部19に出力され、GPS信号に基づいてポータブル機器10が収納された車載機器100が搭載される車両の位置が割り出される。
なお、GPS情報受信部133で受信したGPS信号を制御部20を介さずに、制御部140を介してポータブル機器10のナビゲーション部19に出力するようにしてもよい。また、GPS情報受信部133をGPSアンテナのみで構成し、GPSアンテナで受信したGPS信号を、制御部140、制御部20を介さず、後述するGPS情報受信部13のチューナに出力するようにしてもよい。さらにGPSアンテナで受信したGPS信号を、制御部20は介するが、制御部140を介さずGPS情報受信部13のチューナに出力するようにしてもよい。これら以外にも適宜変更が可能である。
【0034】
ラジオ受信部134は、アンテナとチューナ部とを有しており、AM放送、FM放送、多重放送等の放送波を受信して、音声信号の出力、多重データの受信、復調を行い、復調信号を制御部140に出力する。
CD再生部135は、CDに記録されたデータを再生し、再生信号を制御部140に出力する。
なお、ラジオ受信部134から出力される復調信号を制御部140を介さずに、後述する音声調整部136に出力するようにしてもよい。
【0035】
音声調整部136は、ラジオ受信部134で受信、復調された音声信号や、CD再生部135で再生された音声信号に、音量調整や音質調整等の信号処理をしてスピーカ155(第1音声出力部)に出力する。
【0036】
メモリ137は、データの読み出しと書き込みとが可能なRAM(Random Access Memory)で構成することができ、制御のために必要な情報を一時的に記憶しておく。
【0037】
マイク138は、ハンズフリー通話を行うためのものであって、車室内のユーザの音声を取り込む。
【0038】
外部音声/映像入力部139は、USBメモリや、携帯型オーディオ装置等の外部機器との接続端子を備え、外部機器からの音声信号やデータを入力して制御部140に送り、制御部140からの制御信号、音声信号やデータ等を接続した外部機器に出力する。
【0039】
制御部140は、操作部132の操作に従って、ラジオ受信部134、CD再生部135、音声調整部136などを制御する。
また、制御部140は、コネクタ150を介してポータブル機器10に各種信号を出力し、ポータブル機器10から入力した各種信号に基づいて車載機器100を制御する。例えば、制御部140は、GPS情報受信部133で受信したGPS信号や、マイク138で入力された音声信号を、コネクタ150を介してポータブル機器10に出力する。
なお、マイク138で入力された音声信号を、制御部140を介さずに、コネクタ150を介してポータブル機器10に出力してもよい。
【0040】
また、制御部140は、ポータブル機器10と接続された携帯電話からの通話音声をコネクタ150を介して入力し、音声調整部136を介してスピーカ155に出力する。
さらに、制御部140は、ポータブル機器10の表示部11に表示される、各種モードのメニュー画像に対する操作信号をポータブル機器10の制御部20から取得し、ラジオ受信部134やCD再生部135の制御を行う。
また、制御部140には、車両に搭載されたバッテリからの電源が入力されている。制御部140は、ポータブル機器10が接続されている場合に、バッテリの電源をポータブル機器10に出力する。
また、制御部140には、車両から車速パルスとイルミ電源信号が入力される。制御部140は、入力した車速パルスをポータブル機器10の制御部20に転送する。なお、車載機器100に車速パルスが入力されない構成であってもよい。
【0041】
図9に、音声調整部136の構成を示す。
音声調整部136は、図9に示すようにボリュームコントロール部141、プリアンプ部142、パワーアンプ143を有している。
【0042】
ボリュームコンロール部141は、ラジオ受信部134、CD再生部135、外部音声/映像入力部139、ナビゲーション部19と接続される。ラジオ受信部134、CD再生部135、外部音声/映像入力部139と、ボリュームコンロール部141とは制御部140を介して接続されている。また、ナビゲーション部19は、図5に示すように制御部20に接続されており、制御部20と制御部140とをつなぐ音声信号LINEによって制御部140に音声信号が出力される。制御部140は、図9に示すPND−LINEによって音声信号をボリュームコンロール部141に出力する。なお、図9に示す外部入力ラインが外部音声/映像入力部139に接続された外部機器からの音声を入力するラインであり、PND−LINEがポータブル機器10からの音声を入力するラインである。
ボリュームコントール部141は、ラジオ受信部134から出力されるラジオの音声信号、CD再生部135から出力されるCDの音声信号、外部接続器から出力される音声信号、ナビゲーション部19から出力されるナビゲーションの音声信号のうちのいずれか一つを制御部140の指示に従って選択する。ボリュームコントロール部141は、選択した音声信号の音量レベルがユーザによって設定された音量レベルとなるように音声信号を設定してプリアンプ142に出力する。
【0043】
スピーカ155は、車両の前部両側と、後部両側とにそれぞれ配置するのが一般的であるが、本実施例では、さらにサブウーハーを設けて、より迫力のある臨場感溢れた音響が得られるようにしている。
このためプリアンプ部142にも、車両前部両側に付けられたフロントスピーカ用プリアンプ145と、車両後部両側に付けられたリアスピーカ用プリアンプ144と、サブウーハ用プリアンプ143との3つが用意されている。
【0044】
フロントスピーカ用プリアンプ145と、リアスピーカ用プリアンプ144に出力された音声信号は、プリアンプ144、145で予備の増幅が行われ、さらにパワーアンプ146で電力増幅されてスピーカ155に出力される。サブウーハ用プリアンプ143に出力された音声信号は、サブウーハ用プリアンプ143で増幅されてスピーカ155に出力される。
【0045】
次に、ポータブル機器10について説明する。ポータブル機器10は、表示部11、操作部12、GPS情報受信部13、スピーカ(第2音声出力部)14、蓄電池15、充電回路16、無線通信送受信部17、メモリ18、ナビゲーション部19、制御部20、コネクタ30を備えている。以下、各部の機能の詳細について説明する。
【0046】
表示部11は、液晶パネルとバックライトとを備え、ナビゲーション部19で生成された地図情報や目的地までの誘導経路情報、また車載機器100から転送された受信放送周波数、再生楽曲トラックNO、再生楽曲名等を表示することができる。
なお、表示部11、131には、液晶パネル以外のフラットパネルディスプレイ、例えば、有機ELディスプレイパネル、プラズマディスプレイパネル、冷陰極フラットパネルディスプレイ等を用いることができる。
【0047】
タッチパネル12は、例えば、表示部11の表示画面の下に配置されるものであり、指や専用のペンにより画面が接触されると、その接触された位置が検知されて、入力操作の有無が判別できるようになっている。
【0048】
GPS情報受信部13は、アンテナとチューナ部とを有しており、衛星からのGPS信号を受信する。受信したGPS信号はナビゲーション部19に出力され、GPS信号に基づいて自車位置が割り出される。なお、車載装置100にもGPS情報受信部133が設けられているが、車載機器100にポータブル機器10が取り付けられているときには、GPS情報受信部133で受信したGPS信号を用いて自車位置を特定し、ポータブル機器10単独で使用する場合には、GPS情報受信部13で受信したGPS信号を用いて自車位置を特定する。
【0049】
スピーカ14は、ナビゲーション部19からの音声情報を出力するためのものであり、ポータブル機器10が車載機器100から取り外された状態、つまり単体で使用されるときに、音声情報を出力する。
蓄電池15は、ポータブル機器10が車載機器100から取り外された状態では、ポータブル機器10の各部に電力を供給する。またポータブル機器10を車載機器100に装着すると、コネクタ30の電力供給端子を介して車両のバッテリから電力が供給され、充電回路16によって蓄電池15を充電する。また、充電回路16はUSBスロット57(図10(A)参照)を介して接続端末から電力の供給を受けて、蓄電池15を充電することができる。
【0050】
無線通信送受信部17は、携帯電話との間で通話音声の送受信を行ったり、携帯電話を介してナビゲーションに利用する情報を取得する。無線通信送受信部17には、例えば、2.4GHz帯域の無線伝送方式である、Bluetoothが用いられる。
【0051】
メモリ18は、例えば、読み出しと書き込みとが可能なRAMであり、各制御のために読み出された情報を一時的に記憶しておく。
【0052】
ナビゲーション部19は、ナビゲーションのために利用される地図情報を記憶した地図情報記憶部を備え、GPS情報受信部133、又は13からのGPS信号によって現在位置情報を割り出し、ナビゲーションのための地図画像を作成する。作成した地図画像は、表示部11で表示させることができる。また、車載機器100とポータブル機器10とが接続されている場合には、車両から車速パルスを取得して、自車両の位置検出の精度を高めることができる。
【0053】
制御部20は、ポータブル機器10の各部を制御する。また、制御部20は、コネクタ30を介して車載機器100に各種信号を出力し、車載機器100から入力した各種信号に基づいてポータブル機器10を制御する。例えば、制御部20は、車載機器100のGPS情報受信部133で受信したGPS信号を車載機器100の制御部140から取得し、ナビゲーション部19に出力する。また、制御部20は、車載機器100のマイク138で入力した音声信号を車載機器100の制御部140から取得し、取得した音声信号に応じてナビゲーション部19を制御する。すなわち、ナビゲーション部19をハンズフリーで操作することができる。また、無線通信送受信部17にて接続された携帯電話からの通話音声を、コネクタ30を介して車載機器側に出力し、車載機器100のスピーカ155から出力させる。また、表示部11に表示されたメニュー画面やコンテンツ画面に対する操作信号をコネクタ30を介して車載機器100の制御部140に出力する。制御部140は、ポータブル機器10の制御部20から送られた操作信号に応じて、ラジオ受信部134やCD再生部135を制御する。
【0054】
図10(A)に、ポータブル機器10の正面図、上面図、下面図、左側面図、右側面図を示し、図10(B)にポータブル機器10の背面図を示す。
【0055】
ポータブル機器10の上面には、ポータブル機器の電源をオン、オフさせる電源ボタン55が設けられており、下面には、SD(Secure Digital)メモリカードスロット56、USBスロット57が設けられている。SDカードやUSBメモリには地図情報が記録されており、これらのスロットに差し込むことで制御部20からナビゲーション部19に地図情報が出力される。
【0056】
また、ポータブル機器10の上面には、電源ボタン55が設けられている。ポータブル機器10の電源は、ポータブル機器を車載機器100に装着したときには、車載機器100からの制御によって電源がオン、オフされる。また、車載機器100から取り外してポータブル機器10を単体で使用する場合には、電源ボタン55のオン、オフ操作に基づいて電源が操作される。
【0057】
さらに、ポータブル機器10の背面側には、車載機器100との電気的な接続をとるためのコネクタ30と、車載機器100側に設けたロック機構(不図示)と係合する係合部58とが設けられている。
【0058】
本実施例は、検出回路200でポータブル機器10が車載機器100から取り外されたことを検出すると、ポータブル機器10からの音声出力がスピーカ155に出力されないようにこの音声出力をカット(ミュート)する。制御部140は、ボリュームコントロール部141又はパワーアンプ146を制御して、ポータブル機器10の音声出力をカットする。
なお、制御部140が、スピーカ155への出力にミュートをかけるのは、ポータブル機器10のナビゲーションの音声が車載機器100のスピーカ155に出力されている時と、外部機器と外部音声/映像入力部139で接続し、外部機器からの音声信号をポータブル機器10に一旦取り込んで、ポータブル機器10から車載機器100のスピーカ155に音声信号を出力しているときである。外部音声/映像入力部139で接続した外部機器からの音声信号は、コネクタ150を介してポータブル機器10側に一旦出力される。この音声信号は、ポータブル機器10の制御部20によって車載機器100の制御部140に出力される。
【0059】
図11に示すフローチャートを参照しながら車載機器100の制御部140の処理手順を説明する。
制御部140は、まず、検出回路200からの信号によりポータブル機器10が車載機器100に接続されているか否かを判定する(ステップS1)。ポータブル機器10が車載機器100に接続されていると判定した場合には(ステップS1/YES)、このポータブル機器10が目的地までの音声案内を行っているか否か(ポータブル機器10からの音声信号が出力されているか否か)を判定する(ステップS2)。ポータブル機器10から音声信号が出力されていない場合には(ステップS2/NO)、外部機器が外部音声/映像入力部139に接続されているか否かを判定する(ステップS3)。外部機器が外部音声/映像入力部139に接続されていない場合には(ステップS3/NO)、ステップS2でポータブル機器10の音声信号の出力を監視する。
【0060】
また、外部機器が外部音声/映像入力部139に接続されている場合には(ステップS3/YES)、外部機器の音声信号をスピーカ155へ出力中であるか否かを判定する(ステップS4)。
【0061】
外部機器から出力された音声信号をスピーカ155に出力している場合には(ステップS4/YES)、制御部140は、検知回路200でポータブル機器10の車載機器100からの取り外しを監視する(ステップS5)。
検知回路200でポータブル機器10の車載機器100からの取り外しを検出すると(ステップS5/YES)、外部入力ラインから入力している外部機器の音声信号を抑制(カット、ミュート)する(ステップS7)。
【0062】
また、車載機器100に取り付けたポータブル機器10から音声信号が出力されている場合には(ステップS2/YES)、制御部140は、検知回路200でポータブル機器10の車載機器100からの取り外しを監視する(ステップS6)。
検知回路200でポータブル機器10の車載機器100からの取り外しを検出すると(ステップS6/YES)、外部入力ラインから入力しているポータブル機器10の音声案内の出力を抑制(カット、ミュート)する(ステップS7)。
【0063】
このように本実施例は、ポータブル機器10の車載機器100からの取り外しを検出すると、ポータブル機器10からの音声案内、又は外部入力している音声信号のスピーカ155への出力を抑制(カット、ミュート)することにより、ポータブル機器の取り外し時にノイズ音の発生を抑制することができる。
【0064】
なお、上述した実施例の変形例として、ポータブル機器10が取り外されたことを検知回路200の検知信号で検出すると、制御部140がポータブル機器10から入力される音声信号がポータブル機器10を取り外したことに起因するものであるか否かを判定する構成であってもよい。例えば、図12に示す構成では、制御部140内のマイコン1000によって、音声信号のレベル変動を監視し、レベル変動が所定値以上になった場合に、論理回路1100に音声信号の出力を抑制する制御信号を出力する。これによって、スピーカ155から出力される音声出力が抑制されることになる。
【0065】
本発明の実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施例に限定されるものではなく、請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
例えば、上述した実施例では、車載機器100の制御部140がメイン制御部として機能し、ポータブル機器10を制御していたが、ポータブル機器10の制御部20をメイン制御とし、車載機器100を制御するものであってもよい。
【0066】
また、上述した実施例では、ポータブル機器10の取り外しを検出すると、スピーカ155の出力を抑制する制御としてカット(ミュート)する制御を制御部140で行っていたが、スピーカ155の出力を弱める制御を制御部140で行ってもよい。すなわち、スピーカ155の出力を抑制する制御とは、ポータブル機器10を取り外した際にスピーカからノイズ音が発生しない程度の出力に制御することである。
【0067】
また、ポータブル機器10は、ナビゲーション機能付き携帯電話、携帯端末(PDA)等で構成されてもよい。さらに、CD挿排口180及びCD再生部135の代わりにMD(Mini Disc),DVD(Digital Versatile Disc),メモリカード等の他の記憶媒体の挿排口及び再生部を設ける構成にしてもよいし、複数種の記憶媒体の挿排口及び再生部を設ける構成にしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】(A)は車載システムの外観を示す図であり、(B)は車載機器からポータブル機器を取り外した状態を示す図である。
【図2】ポータブル機器を取り外した車載機器の前面部を示す図である。
【図3】前面部を車載機器本体部に対してチルトし、CD挿排口を露出させた状態を示す図である。
【図4】車載システムを車両に搭載した状態を示す図である。
【図5】車載システムの構成を示す図である。
【図6】検出回路の構成を示す図である。
【図7】前面部の構成を示す図である。
【図8】(A)〜(C)は、本体部に装着されたポータブル機器の表示を示す図である。
【図9】音声調整部の構成を示すブロック図である。
【図10】(A)はポータブル機器の正面図、上面図、下面図、左側面図、右側面図であり、(B)はポータブル機器の背面図である。
【図11】車載機器の制御部の処理手順を示すフローチャートである。
【図12】携帯電子装置取り外し時にノイズ音を判定して、音声出力を抑制する構成を示す図である。
【符号の説明】
【0069】
10 ポータブル機器
11 表示部
12 操作部
13 GPS情報受信部
14 スピーカ
15 蓄電池
16 充電回路
17 無線通信送受信部
18 メモリ
19 ナビゲーション部
20 制御部
30 コネクタ
131 表示部
132 操作部
133 GPS情報受信部
134 ラジオ受信部
135 CD再生部
136 音声調整部
137 メモリ
138 マイク
139 外部音声/映像入力部
140 制御部
141 ボリュームコントロール部
142 プリアンプ部
146 パワーアンプ
150 コネクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯電子装置を着脱自在に装着可能な電子装置であって、
前記携帯電子装置が前記電子装置に取り付けられている時に、前記携帯電子装置から出力される音声信号を出力する音声出力部と、
前記携帯電子装置の前記電子装置からの取り外しを検出する検出部と、
前記携帯電子装置の取り外しを検出すると、前記音声信号の前記音声出力部への出力を抑制する制御部とを有することを特徴とする電子装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記音声信号が前記携帯電子装置の取り外しに起因するものであるか否かを判定し、取り外しに起因するものであると判定された場合に、前記音声信号の前記音声出力部への出力を抑制することを特徴とする請求項1記載の電子装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記音声信号の音量を調整するボリューム調整部を制御して、前記音声出力部から出力される前記音声信号を調整することを特徴とする請求項1記載の電子装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記音声信号を増幅する増幅部を制御して、前記音声出力部から出力される前記音声信号を調整することを特徴とする請求項1記載の電子装置。
【請求項5】
電子装置に着脱自在に装着される携帯電子装置と、
前記携帯電子装置が前記電子装置に取り付けられている時に、前記携帯電子装置から出力される音声信号を出力する音声出力部と、前記携帯電子装置の前記電子装置からの取り外しを検出する検出部と、前記携帯電子装置の取り外しを検出すると、前記音声信号の前記音声出力部への出力を抑制する制御部とを有する前記電子装置と、
を有することを特徴とする電子システム。
【請求項6】
前記携帯電子装置は、外部接続された外部機器からの音声信号を前記電子装置に出力し、
前記制御部は、前記携帯電子装置の取り外しを検出すると、前記音声信号の前記音声出力部への出力を抑制することを特徴とする請求項5記載の電子システム。
【請求項7】
携帯電子装置を着脱自在に装着可能な電子装置の音声出力制御方法であって、
前記携帯電子装置の前記電子装置からの取り外しを検出するステップと、
前記携帯電子装置が取り外されると、前記電子装置から出力されている音声出力を抑制するステップとを有することを特徴とする音声出力制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−191142(P2008−191142A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−330877(P2007−330877)
【出願日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】