説明

電子装置および電子装置の媒体制御方法

【課題】 本発明は、記録媒体に格納された情報を読み出す時間を短縮することを目的とする。
【解決手段】 着脱可能な記録媒体に対してアクセスを行う媒体読出装置を有し、記録媒体に対して適切なアクセスを保証するための初期的な処理を行う電子装置100において、メモリ220は、媒体読出装置への電源の供給が遮断される場合においても記憶内容を保持する。媒体読出装置への電源の供給が遮断される場合に初期的な処理の結果をメモリに格納する。媒体読出装置への電源の供給が再開される場合に、媒体読出装置はメモリに保持された初期的な処理の結果を利用して記録媒体にアクセスする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子装置の構造および電子装置の媒体制御方法に関し、より詳細には、記録媒体に格納された情報を読み出す時間を短縮する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ゲーム装置やパーソナルコンピュータのような電子機器における省電力に対する意識が高まっており、特に携帯型のゲーム装置やパーソナルコンピュータのように、電池により電源が供給される電子機器の場合、電子機器の駆動時間を長く確保するために省電力の必要性が高い。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
電子機器の省電力化のために、電子機器に通常モードのほかに電子機器を使用しない時間のために省電力モードが設けられ、電子機器の省電力化が図られている。一方、これらの電子機器は、CD(Compact Disc)やDVD(Degital Video Disk)、携帯型のゲーム装置などにおけるゲーム装置専用の記録媒体など、着脱自在な記録媒体と一般にアクセス可能となっている。
【0004】
これらの記録媒体を読み込む際には、例えば記録媒体とのアクセスを安定化させるために、記録媒体に固有の情報を読み取ったり記録媒体に固有の特性を検知するなどの初期的な処理が行われる場合があり、この初期的な処理を行うためにはある程度の時間を要する。
【0005】
本発明は、上述の事情を鑑みてなされたものであり、記録媒体に格納された情報を読み出す時間を短縮することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の電子装置は、着脱可能な記録媒体に対してアクセスを行う媒体読出装置を有し、記録媒体に対して適切なアクセスを保証するための初期的な処理を行う電子装置であって、媒体読出装置への電源の供給が遮断される場合においても記憶内容を保持するメモリを有する。媒体読出装置への電源の供給が遮断される場合に初期的な処理の結果をメモリに格納し、媒体読出装置への電源の供給が再開される場合に、媒体読出装置はメモリに保持された初期的な処理の結果を利用して記録媒体にアクセスする。この態様によると、媒体読み出し装置への電源の供給が再開される場合に再度初期的な処理を行わなくても記録媒体にアクセスでき、記録媒体に格納された情報を読み出す時間を短縮することができる。
【0007】
媒体読出装置への電源の供給が遮断される場合は、省電力モードであってもよい。この態様によると、電力の消費を低減しながら記録媒体に格納された情報を読み出す時間を短縮することができる。
【0008】
媒体読出装置への電源の供給が遮断される場合は、他の記録媒体を読み出すモードであってもよい。この態様によると、電力の消費を低減しながら記録媒体に格納された情報を読み出す時間を短縮することができる。
【0009】
記録媒体が交換された可能性の有無を判定する交換判定部と、交換判定部により、媒体読出装置への電源の供給の遮断後電源の供給の再開までの間に記録媒体が交換された可能性がないと判定されたときに、初期的な処理をスキップする初期的処理制御部とをさらに備えてもよい。初期的処理制御部が初期的な処理をスキップする場合は、メモリに保持された初期的な処理の結果を利用して記録媒体にアクセスしてもよい。この態様によると、記録媒体が交換された可能性がない場合に、効果的に記録媒体に格納された情報を読み出す時間を短縮することができる。
【0010】
本発明にかかる電子装置は、開かれることにより記録媒体を交換可能とする開閉部をさらに備えてもよく、交換判定部は、省電力モードに移行した後通常動作モードへ復帰する間に開閉部が開かれない場合に、記録媒体が交換された可能性がないと判定してもよい。この態様によると、簡易に記録媒体が交換された可能性の有無を判定することができる。
【0011】
本発明の別の態様は、電子装置の媒体制御方法である。この方法は、着脱可能な記録媒体に対して適切なアクセスを保証するための初期的な処理を行うステップと、初期的な処理の結果を、記録媒体に対してアクセスを行う媒体読出装置への電源の供給が遮断される場合においても記憶内容を保持するメモリに格納するステップと、媒体読出装置への電源の供給の遮断後電源の供給の再開される場合に、媒体読出装置がメモリに保持された初期的な処理の結果を利用して記録媒体にアクセスするステップと、を備える。この態様によると、記録媒体に格納された情報を読み出す時間を短縮することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、記録媒体に格納された情報を読み出す時間を短縮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態(以下、「実施形態」という。)について説明する。
【0014】
図1は、本実施形態にかかる電子装置100の正面図である。電子装置100の筐体10は、全体として横長の長円形状を有している。筐体10の両端は、中心線から一定の距離偏心した位置を中心とする円弧状に湾曲形成されている。
【0015】
筐体10の中央部分には、表示装置としての液晶ディスプレイ(以下、「LCD」という)12が嵌め込まれている。このLCD12には、例えば、電子装置100がゲーム装置として機能する場合には、ゲーム画面が表示され、電子装置100がいわゆる個人情報端末として機能する場合には、スケジュール帳や住所録などが表示される。
【0016】
筐体10の上側部10aの表面、つまりユーザに対する面は、主に、ユーザの左手により把持される左手領域48Lと、右手により把持される右手領域48Rと、LCD12の下方に位置し各種ボタンが配置される横長のボタン領域50と、LCD12の上方に位置する装飾領域16とから構成される。
【0017】
左手領域48Lには、主に方向指示入力をするための十字キー20と、主に方向指示のアナログ入力をするためのアナログデバイス22が設けられている。右手領域48Rには、主に単一の指示を入力するための押しボタン30a、30b、30c、30d(以下、これらを総称するときには、「押しボタン30」という)が設けられている。
【0018】
ボタン領域50は、電子装置100を保持するユーザから近い側の、筐体10の上側部の外縁近傍に配置される。ボタン領域50は、十字キー20、アナログデバイス22、押しボタン30以外の各種ボタンが配置される領域である。
【0019】
Lボタン46L、Rボタン46Rは、それぞれユーザの左手人差し指または中指、右手人差し指または中指で操作されるボタンである。Lボタン46L、Rボタン46Rは、十字キー20または押しボタン30だけでは操作できない特別な指示を与えるために使用される。
【0020】
図2は、本実施形態にかかる電子装置100の上面図である。筐体10は、上側部10a、中間部10bおよび下側部10cから構成され、その内部に各種ボタン操作による信号を発生するスイッチ接点と、その信号を処理し各種演算を実行する中央処理装置200などが搭載された回路基板(図示せず)を内蔵している。図示しない回路基板は、上側部10aまたは下側部10cに固定されている。また、中間部10bは上側部10aおよび下側部10cに比して剛性が高く、筐体10全体の剛性を確保している。
【0021】
筐体10の背面の両端には膨らみ42L、42Rが形成されている。これら2つの膨らみの間は平面となっており、その平面のほぼ全体が、小型ディスクドライブの開閉カバー44となっている。この開閉カバー44は、中間部10bに設けられたOPENスイッチをスライドすることによって、図2の上方に開き、その下部にある図示しない小型ディスクドライブにディスクを着脱可能に載置できるようになっている。このディスクは、電子装置100のアプリケーションプログラムやゲームプログラムを提供するものであって、ディスクを交換することにより、様々なゲームプログラムを実行することができる。
【0022】
開閉カバー44の内部には、開閉センサ240が設けられている。この開閉センサ240は、開閉カバー44が開くことによりバネなどの付勢部材により検知子を移動し、通電を開始または解除することにより開閉を検知する。ディスクドライブ不使用モードへの移行であれば後述する中央処理装置200が開閉センサ240に検知させ、検知データを取得し、省電力モードへの移行であれば後述する交換判定装置230が開閉センサ240に検知データを入力させる。これにより、記録媒体であるディスク80が交換された可能性があるか否かを判断することができ、開閉カバー44が開いていなければ、ディスク80が交換された可能性がないと判断することができる。
【0023】
本実施形態の電子装置100は、ディスク80に格納されたプログラムに応じて、様々な種類の装置として機能することができる。ディスクがゲームプログラムを格納していれば、電子装置100はゲーム装置として機能し、またディスクが音楽データを格納していれば、電子装置100が音声再生装置として機能する。さらに、ディスクが動画データを格納していれば、電子装置100は、動画再生装置として機能することになり、ユーザは、映画などの映像コンテンツを楽しむことができる。また電子装置100は、無線通信機能を有し、外部からのデータのダウンロードを可能とし、また外部に対して自身のデータを送信することができる。
【0024】
本実施形態の電子装置100は、ディスク80とは異なる場所にスティック型またはカード型の外部メモリを挿入する外部メモリ挿入部が設けられている。この外部メモリ挿入部にことにより、外部メモリに格納された情報を読み出すことができる。例えばこの外部メモリが音楽データを格納していれば、電子装置100はこの外部メモリから音楽データを読み出すことにより、スピーカ212からこの音楽データを音声出力することができる。
【0025】
図3は、本実施形態にかかる電子装置100のハードウェア構成を示す。電子装置100は、装置全体を制御する中央処理装置200、装置全体に電力を供給するバッテリ210、表示装置であるLCD12、音声を出力するスピーカ212、無線通信を実行する無線モジュール214、ディスク80を載置するディスクドライブを回転するモータ216、およびモータ216を駆動するモータドライバ218、ディスク80からデータやプログラムの読出しなどを制御する媒体制御装置300、およびディスクドライブからディスク80が交換された可能性の有無を判定する交換判定装置230を備える。なお、以下では、データおよびプログラムを、統一的に「データ」として表現する。
【0026】
媒体制御装置300は、ディスク80に格納されているデータを読み出して媒体制御装置300内のメモリに一時記憶する。中央処理装置200はこのデータを読み出し、プログラムの実行やデータの演算などのデータの処理を行い、その結果をLCD12に表示し、またスピーカ212から出力を行う。また、電子装置100の操作者による十字キー20や押しボタン30などからの入力を受け付け、同様にプログラムの実行やデータの演算などのデータの処理を行い、その結果をLCD12に表示し、またスピーカ212から音声出力を行う。このように、例えばディスク80にゲームに関するデータが格納されている場合は、電子装置100のユーザーは、十字キー20や押しボタン30などからの入力を行うことによりLCD12やスピーカ212からの出力を受けることができ、ゲームを楽しむことができる。
【0027】
バッテリ210は、交換判定装置230および中央処理装置200を介してLCD12、スピーカ212、無線モジュール214、交換判定装置230、媒体制御装置300、モータドライバ218などに電源を供給する。
【0028】
媒体制御装置300は、ディスクドライブにディスク80が装着されると、ディスク80に記録されたディスクの固有の識別情報であるID情報の読み出しなど記録媒体に固有な情報の読み出しや、光学系または駆動系の調整など記録媒体に固有な特性の検知や調整など、ディスク80に固有な処理である初期的な処理を行う。この初期的な処理により、着脱可能な記録媒体に対して適切なアクセスを保証することができる。適切なアクセスとは、読み込みエラーが少ないアクセスなどをいう。これにより、ディスクドライブに搭載されたディスク80の固有の情報や特性に応じた制御を行うことができ、媒体制御装置300のディスク80に対するアクセス、すなわちデータ読み込みの信頼性を向上することができる。
【0029】
初期的な処理が終了すると、媒体制御装置300は、ディスク80のID情報や光学系または駆動系の調整結果など、初期的な処理の結果である初期データを媒体制御装置300内にあるメモリに格納する。中央処理装置200は、媒体制御装置300のメモリから初期データを読み出し、メモリ220に格納する。メモリ220は、DRAMによる構成されるメモリであり、省電力モードにおいても、バッテリ210からの電源の供給が維持されるので、メモリ220に格納されたデータは保持される。
【0030】
交換判定装置230は、ディスクドライブの開閉カバー44の内部に設けられた開閉センサ240からの検知データの入力を受け付ける。例えば、開閉カバー44が閉められている場合には、開閉センサ240の通電が遮断されており、開閉カバー44が開けられた場合に開閉センサ240の通電が開始される場合、開閉センサ240の通電が遮断されている場合に開閉フラグをゼロに設定し、開閉センサ240の通電が開始された場合に開閉フラグを1に設定する。電子装置100が省電力モードの場合において、開閉カバー44が開けられたことにより開閉センサ240の通電が開始され、開閉フラグが1に設定された場合、通常モードに移行する前に開閉カバー44が閉められることにより通電が遮断されても、交換判定装置230は開閉フラグを1に設定したまま維持する。交換判定装置230が設定した開閉フラグは、ディスクドライブ不使用モードであれば中央処理装置200のメモリに、省電力モードであれば交換判定装置230内のメモリに格納される。
【0031】
交換判定装置230には、電子装置100のモードを制御する第2モード制御部225を有し、この第2モード制御部225は、第2レジューム制御部227を有している。第2レジューム制御部227は、省電力モード時に、例えば電源のオンオフを行う電源ボタンなどの通常モードへ移行するためのボタンの入力があった場合に、省電力モードから通常動作モードへ移行させる。また、十字キー20や押しボタン30による入力、または電源のオンオフを行う電源ボタンの入力など電子装置100の所定の入力部への入力があることにより、省電力モードから通常動作モードへ復帰する。この際、省電力モードから通常動作モードへの復帰に先立って、第2レジューム制御部227は、交換判定装置230のメモリに格納される開閉フラグを読み出す。
【0032】
中央処理装置200は、モード制御部222を有する。さらにモード制御部222は、ディスクドライブ不使用モード制御部223、サスペンド制御部224および第1レジューム制御部226を有する。
【0033】
メモリ220には、前述のとおり媒体制御装置300から入力された初期データなどが格納される。前述のとおり、省電力モードにおいても、バッテリ210からの電源の供給が維持され、メモリ220に格納されたデータは保持される。
【0034】
モード制御部222は、電子装置100の通常モードと省電力モードまたはディスクドライブ不使用モードの相互の移行を制御する。ここで、省電力モードとは、電力の消費を低減するために、中央処理装置200、およびLCD12やスピーカ212などへの電源の供給を遮断するモードをいう。またディスクドライブ不使用モードとは、例えば外部メモリが外部メモリ挿入部に挿入された状態で、LCD12の表示される媒体選択表示に従って十字キー20や押しボタン30などを操作して外部メモリに格納された情報の読み出しを選択することにより、外部メモリなどの他の記録媒体から情報を読み出す場合に、ディスク80を挿入して情報を読み出すディスクドライブは使用しないと判断し、媒体制御装置300およびモータドライバ218などを有するディスクドライブへの電源の供給を遮断するモードをいう。なお、外部メモリが外部メモリ挿入部に挿入されることにより、ディスク80を挿入して情報を読み出すディスクドライブは使用しないと判断し、媒体制御装置300およびモータドライバ218などを有するディスクドライブへの電源の供給を遮断してもよい。また、通常モードとは、省電力モードおよびディスクドライブ不使用モード以外のモードであり、媒体制御装置300およびモータドライバ218などを有するディスクドライブ、中央処理装置、およびLCD12やスピーカ212などへ電力が供給されるモードをいう。
【0035】
モード制御部222のディスクドライブ不使用モード制御部223は、例えば外部メモリ挿入部に外部メモリが挿入された状態でユーザーの操作により外部メモリからの情報の読み出しが選択された場合に、通常モードからディスクドライブ不使用モードへ移行させる。ディスクドライブ不使用モードへ移行すると、中央処理装置200は、媒体制御装置300およびモータドライバ218などを有するディスクドライブへの電源の供給を遮断することを交換判定装置230に要求し、交換判定装置230はディスクドライブへの電源の供給を遮断する。ただし、例えば外部メモリに格納された音楽データの再生を行うなどのため、中央処理装置200、LCD12、スピーカ212などへの電力供給は遮断せず維持される。これにより、ディスクドライブを使用しない場合はディスクドライブへの電源供給を遮断することができ、電子装置100の省電力化を行うことができ、また、例えば本実施形態にかかる携帯ゲーム装置のように、電子装置100が電池により駆動できる場合は、電子装置100の電池による駆動時間を長くすることができる。
【0036】
モード制御部222のサスペンド制御部224は、例えばオンオフを行う電源ボタンなどの省電力モードへ移行するためのボタンが入力があった場合に、通常モードから省電力モードに移行する。また、例えば十字キー20や押しボタン30が操作されない非操作期間をタイマにより計測することなどにより、電子装置100の操作状況の検知を行い、ユーザによる電子装置100への操作が所定期間ないと判断した場合は、サスペンド制御部は、通常モードから省電力モードに移行させる。省電力モードに移行すると、中央処理装置200は、LCD12、スピーカ212、無線モジュール214、媒体制御装置300、モータドライバ218などの電源の供給を遮断することを交換判定装置230に要求することにより、交換判定装置230は、これらへの電源の供給を遮断する。また、交換判定装置230にサスペンド要求を行い、交換判定装置230は、中央処理装置200への電源の供給を遮断する。ただし、メモリ220は格納された記憶内容を保持するため電源の供給は遮断されず維持される。また、交換判定装置230は省電力モード時にディスクドライブの開閉カバー44が開閉されたかを検知するため、また省電力モードから通常モードへ復帰するために第2レジューム制御部227が電子装置100を監視するため、電源の供給は遮断されず維持される。これにより、電子装置100の省電力化を行うことができ、また、例えば本実施形態にかかる携帯ゲーム装置のように、電子装置100が電池により駆動できる場合は、電子装置100の電池による駆動時間を長くすることができる。
【0037】
モード制御部222の第1レジューム制御部226は、ディスクドライブ不使用モード時に、例えば外部メモリ挿入部から外部メモリが取り外された場合に、ディスクドライブ不使用モードから通常動作モードへ移行させる。この際、ディスクドライブ不使用モードから通常動作モードへの復帰に先立って、第1レジューム制御部226は、中央処理装置200のメモリに格納される開閉フラグを読み出す。
【0038】
中央処理装置200のメモリまたは交換判定装置230のメモリに格納された開閉フラグがゼロの場合、第1レジューム制御部226は、ディスクドライブの開閉カバー44が開けられなかった、すなわちディスク80が交換された可能性はないと判断し、通常動作モードへ復帰する。ディスクドライブ不使用モードからの復帰であれば、中央処理装置200は、交換判定装置230に要求することにより、媒体制御装置300およびモータドライバ218などを含むディスクドライブへの電源の供給を再開する。省電力モードからの復帰であれば、交換判定装置230は、中央処理装置200、LCD12、スピーカ212、無線モジュール214、媒体制御装置300、およびモータドライバ218などへの電源の供給を再開する。このとき、ディスク80が交換された可能性がないため、メモリ220に格納された初期データを利用しても、ディスク80に対して適切なアクセスを行うことができる。このため、中央処理装置200は、メモリ220に格納された初期データを媒体制御装置300に入力する。初期データの入力を受け付けた媒体制御装置300は、前記初期的な処理を行わずスキップし、この初期データを利用して、ディスク80に対するアクセスを行う。これにより、ディスク80が交換されない場合は、ディスク80に対して適切なアクセスを保証しながら前記初期的な処理をスキップすることができ、ディスク80に格納された情報を読み出す時間を短縮することができる。
【0039】
中央処理装置200のメモリまたは交換判定装置230のメモリに格納された開閉フラグが1の場合、第1レジューム制御部226は、ディスクドライブの開閉カバー44が開けられたため、ディスク80が交換された可能性があると判断し、中央処理装置200は、媒体制御装置300に初期的な処理を行わせる。初期的な処理が終了すると、第1レジューム制御部226は、ディスクドライブ不使用モードまたは省電力モードから通常動作モードへ復帰させる。これにより、ディスク80が交換された可能性がある場合は、初期的な処理を行うことができ、媒体制御装置300によるディスク80の情報の読み出しの信頼性を向上することができる。
【0040】
図4は、本実施形態にかかる電子装置100の動作フローである。本フローは、電子装置100がディスクドライブ不使用モードまたは省電力モードにある間に開始するものであり、所定時間ごとに開始してもよい。中央処理装置200または交換判定装置230は、通常動作モードからディスクドライブ不使用モードまたは省電力モードに移行すると、開閉カバー44が開いたか否かを示す情報である開閉フラグfをゼロに設定し、その後本フローを開始する。
【0041】
交換判定装置230は、省電力モード時も電源の供給が遮断されず、開閉センサ240の検知結果の入力を受け付けている。交換判定装置230は、開閉センサ240の検知結果から開閉カバー44が開いたか否かを判断する(S11)。
【0042】
開閉センサ240の検知結果から開閉カバー44が開いたと判断した場合には(S11のY)、中央処理装置200または交換判定装置230は、開閉フラグfを1に設定し(S12)、ディスクドライブ不使用モードであれば中央処理装置200のメモリに格納し、省電力モードであれば交換判定装置230のメモリに格納する。開閉センサ240の検知結果から開閉カバー44が開いていないと判断した場合には(S11のN)、開閉フラグを設定されたまま保持する。例えば、省電力モードに移行してから開閉カバー44が開けられることにより開閉フラグfが1に設定され、その後、開閉カバー44が閉めらることにより、中央処理装置200または交換判定装置230が開閉カバー44が開いていないと判断した場合においても、開閉フラグfをゼロに設定せず、開閉フラグfを1のまま保持する。これにより、電子装置100がディスクドライブ不使用モード中または省電力モード中に、開閉カバー44が開けられその後閉められたとしても、開閉カバー44が開けられた、すなわちディスク80が交換された可能性を判断することができる。
【0043】
電子装置100がディスクドライブ不使用モードである場合には、中央処理装置200の第1レジューム制御部226は、ユーザがディスクドライブを選択したか否かを判断する。電子装置100が省電力モードであれば、交換判定装置230の第2レジューム制御部227は、電子装置100の例えば十字キー20または押しボタン30などによる入力または電源のオンオフを行う電源ボタンの入力があるか否かを判断する(S13)。ディスクドライブが選択されない場合、または電子装置100に入力がない場合は(S13のN)、第1レジューム制御部226および第2レジューム制御部227は、ディスクドライブ不使用モードまたは省電力モードを維持し、本フローを終了する。
【0044】
ディスクドライブが選択された場合または電子装置100に入力がある場合は(S13のY)、第1レジューム制御部226または第2レジューム制御部227は、中央処理装置200のメモリまたは交換判定装置230のメモリに格納される開閉フラグfを取得し、開閉フラグfが1か否かを判断する(S14)。
【0045】
開閉フラグfが1の場合は(S14のY)、中央処理装置200は、ディスクドライブの開閉カバー44が開けられたため、ディスク80が交換された可能性があると判断し、媒体制御装置300に初期データの転送を行わない。媒体制御装置300は、初期データの転送が行われないため、中央処理装置200からディスク80が交換された可能性があると判断し、前記初期的な処理を行う(S15)。
【0046】
開閉フラグfがゼロの場合は(S14のN)、中央処理装置200は、ディスクドライブの開閉カバー44が開けられなかった、すなわちディスク80が交換された可能性はないと判断し、メモリ220に格納された初期データを媒体制御装置300に転送し、媒体制御装置300内のメモリに格納する。媒体制御装置300は初期データが転送されたことから、ディスク80が交換された可能性がないと判断し、前記初期的な処理を行わずスキップする。この場合、媒体制御装置300は、中央処理装置200から転送された初期データを利用して、ディスク80に対するアクセスを行う。
【0047】
これにより、ディスク80が交換された可能性がない場合は、メモリ220に格納された初期データを利用することによりディスク80に対して適切なアクセスを保証しながら前記初期的な処理をスキップすることができ、省電力モードから通常モードへの移行時間を短縮することができる。また、ディスク80が交換された可能性がある場合は、初期的な処理を行うことができ、媒体制御装置300のディスク80に対するアクセスの信頼性の向上を図ることができる。
【0048】
初期的な処理を行う(S15)、または初期的な処理をスキップすると(S14のN)、第1レジューム制御部226は、電子装置100をディスクドライブ不使用モードまたは省電力モードから通常動作モードへ復帰させる(S16)。ディスクドライブ不使用モードからの復帰であれば、中央処理装置200は、交換判定装置230に要求することにより、媒体制御装置300およびモータドライバ218などを含むディスクドライブへの電源の供給を再開する。省電力モードからの復帰であれば、中央処理装置200は、LCD12、スピーカ212、無線モジュール214、媒体制御装置300、およびモータドライバ218などへの電源の供給を再開し、本フローを終了する。
【0049】
図5は、本実施形態にかかる通常動作モードから省電力モードまたはディスクドライブ不使用モードに移行するまでの電子装置100の各構成の動作フローを示す図である。中央処理装置200は、媒体制御装置300の電源オフが、省電力モードまたはディスクドライブ不使用モードへ移行ためか否かを判断する(S22)。
【0050】
省電力モードまたはディスクドライブ不使用モードへの移行であると判断すると(S22のY)、中央処理装置200は、媒体制御装置300に格納されている初期データを読み出す(S23)。媒体制御装置300に格納されている初期データは、媒体制御装置300がディスク80の情報を読み出すために初期的な処理を行い(S29)、媒体制御装置300内のメモリに格納したものである(S30)。中央処理装置200は、媒体制御装置300のメモリから初期データを読み出すと、メモリ220に初期データを格納する(S24)。なお、省電力モードまたはディスクドライブ不使用モードへの移行ではない場合は、本フローを終了する(S22のN)。
【0051】
中央処理装置200は、交換判定装置230に電源のオフを要求し(S25)、交換判定装置230は、媒体制御装置300の電源をオフにする。これにより媒体制御装置300は電源の供給が遮断される(S31)。
【0052】
次に、中央処理装置200は、省電力モードへの移行であるか否かを判断する(S26)。省電力モードへの移行である場合は(S26のY)、中央処理装置200のサスペンド制御部224は、省電力モードの開始を交換判定装置230に要求し(S27)、交換判定装置230は、中央処理装置200の電源の供給を停止して省電力モードを開始し(S20)、交換判定装置230に開閉センサ240に開閉カバー44の開閉の検知を開始させる(S21)。省電力モードへの移行でない場合は(S26のN)、中央処理装置200は、開閉センサ240の検知を開始する(S28)。
【0053】
図6は、本実施形態にかかる省電力モードまたはディスクドライブ不使用モードから通常動作モードに復帰するまでの電子装置100の各構成の動作フローを示す図である。中央処理装置200は、交換判定装置230に媒体制御装置300の電源のオンを要求し(S45)、交換判定装置230は、媒体制御装置300の電源をオンにして(S44)、媒体制御装置に電源が供給される(S51)。
【0054】
次に中央処理装置200は、省電力モードから通常モードへの復帰か否かを判断する(S46)。省電力モードでは、交換判定装置230が開閉センサ240に検知データの入力をさせ、交換判定装置230のメモリに開閉フラグが格納されていることから、省電力モードから通常モードへの復帰である場合(S46のY)、開閉フラグは交換判定装置230のメモリに格納されていることから、中央処理装置200は、交換判定装置230のメモリから、開閉フラグを取得する。ディスクドライブ不使用モードでは、中央処理装置200が開閉センサ240に検知データの入力をさせ、中央処理装置200のメモリに開閉フラグが格納されていることから、省電力モードから通常モードへの復帰でない場合、すなわちディスクドライブ不使用モードから通常モードへの復帰である場合は、中央処理装置200は、開閉フラグを取得しない(S46のN)。
【0055】
次に、中央処理装置200は、開閉フラグが1か否かを判断する(S48)。開閉フラグfが1である場合は(S48のY)、開閉カバー44が開けられたため、ディスク80が交換された可能性があると判断し、媒体制御装置300に初期的な処理を再度させて初期データを取得させるために、メモリ220に格納された初期データを媒体制御手段に転送することなく媒体制御装置300に動作開始要求を行う(S50)。開閉フラグfが1でない場合は(S48のN)、開閉カバー44が開けられていないため、ディスク80が交換された可能性がないと判断し、メモリ220に格納された初期データを利用して媒体制御装置300にディスク80の情報を読み出させるために、中央処理装置200は、媒体制御装置300のメモリに、メモリ220に格納された初期データを格納する(S52)。
【0056】
開閉フラグfが1か否かの判断を終了すると、中央処理装置200は、媒体制御装置300に動作開始要求を行う(S50)。中央処理装置200からの動作開始要求を受けて、媒体制御装置300は、初期データが媒体制御装置300のメモリに格納されたか否かを判断する(S52)。媒体制御装置300のメモリに初期データが格納された場合(S52のY)、媒体制御装置300は、この初期データを利用してディスク80の情報を読み出す(S55)。これにより、ディスク80に格納された情報を読み出す時間を短縮することができる。
【0057】
初期データが媒体制御装置300のメモリに格納されなかった場合(S52のN)、媒体制御装置300は、ディスク80が交換された可能性があると判断し、初期的な処理を行う(S54)。これにより、ディスク80が交換された可能性がある場合は、初期的な処理を行うことができ、媒体制御装置300のディスク80に対するアクセスの信頼性を向上することができる。
【0058】
なお、ディスク80の情報読出時に(S55)、ディスクの読出エラーが生じた場合は、中央処理装置200から転送された初期データを利用してディスク80の情報読み出しを行ったか(S53のY)、初期的な処理を行ってディスク80の情報読み出しを行ったか(S53のN)にかかわらず、媒体制御装置300は、初期的な処理を行い、ディスク80の情報読み出しを再度行う。
【0059】
本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、また、当業者の知識に基づいて各種の設計変更等の変形を各実施形態に対して加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施形態も本発明の範囲に含まれうる。以下、そうした例をあげる。
【0060】
メモリ220は、電源の供給が遮断されてもメモリ220に格納されたデータが保持されるよう、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリをメモリ220に使用してもよい。これにより、メモリ220も省電力モードなどにおいて電源の供給を遮断することができる。
【0061】
ディスク80が交換された可能性の有無は、ディスク80の着脱を検知することにより判定してもよい。これにより、より確実に記録媒体であるディスク80が交換された可能性があるか否かを判断することができ、ディスク80が着脱されていなければ、ディスク80が交換された可能性がないと判断することができる。ディスク80の着脱の検知は、例えば、ディスク80がカセット方式のディスクであれば、カセットが挿入された場合に伸縮自在に突出した検知子が押されて収縮することにより通電を開始し、カセットが取り外された場合に検知子が解除されて突出することにより通電が解除されるなどにより検知してもよい。また、例えばディスク80が円板状のディスクであれば、ディスク中央の中心孔がディスクドライブの固定部に挿入されているか否かを検知してもよい。ディスク80の着脱の検知結果は、交換判定装置230に入力される。
【0062】
ディスクドライブ不使用モードにおいて、開閉センサの開閉信号の検出は、中央処理装置200ではなく交換判定装置230が行ってもよい。この場合、開閉フラグは交換判定装置230のメモリに一時格納され、中央処理装置200は、交換判定装置230のメモリに格納された開閉フラグを取得し、中央処理装置200のメモリに格納する。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】 本実施形態にかかる電子装置の正面図である。
【図2】 本実施形態にかかる電子装置の上面図である。
【図3】 本実施形態にかかる電子装置のハードウェア構成を示す図である。
【図4】 本実施形態にかかる電子装置の動作フローである。
【図5】 本実施形態にかかる通常動作モードから省電力モードまたはディスクドライブ不使用モードに移行するまでの電子装置の各構成の動作フローを示す図である。
【図6】 本実施形態にかかる省電力モードまたはディスクドライブ不使用モードから通常動作モードに復帰するまでの電子装置の各構成の動作フローを示す図である。
【符号の説明】
【0064】
1 LCD、 44 開閉カバー、 80 ディスク、 100 電子装置、 200 中央処理装置、 210 バッテリ、 212 スピーカ、 214 無線モジュール、 216 モータ、 218 モータドライバ、 220 メモリ、 222 モード制御部、 223 ディスクドライブ不使用モード制御部、 224 サスペンド制御部、 226 第1レジューム制御部、 230 交換判定装置、 240 開閉センサ、 300 媒体制御装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
着脱可能な記録媒体に対してアクセスを行う媒体読出装置を有し、記録媒体に対して適切なアクセスを保証するための初期的な処理を行う電子装置であって、
前記媒体読出装置への電源の供給が遮断される場合においても記憶内容を保持するメモリを有し、
前記媒体読出装置への電源の供給が遮断される場合に前記初期的な処理の結果を前記メモリに格納し、
前記媒体読出装置への電源の供給が再開される場合に、前記媒体読出装置は前記メモリに保持された前記初期的な処理の結果を利用して記録媒体にアクセスすることを特徴とする電子装置。
【請求項2】
前記媒体読出装置への電源の供給が遮断される場合は、省電力モードであることを特徴とする請求項1に記載の電子装置。
【請求項3】
前記媒体読出装置への電源の供給が遮断される場合は、他の記録媒体を読み出すモードであることを特徴とする請求項1に記載の電子装置。
【請求項4】
記録媒体が交換された可能性の有無を判定する交換判定部と、
前記交換判定部により、前記媒体読出装置への電源の供給の遮断後電源の供給の再開までの間に記録媒体が交換された可能性がないと判定されたときに、前記初期的な処理をスキップする初期的処理制御部とをさらに備え、
前記初期的処理制御部が前記初期的な処理をスキップする場合は、前記メモリに保持された前記初期的な処理の結果を利用して記録媒体にアクセスすることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の電子装置。
【請求項5】
開かれることにより記録媒体を交換可能とする開閉部をさらに備え、
前記交換判定部は、省電力モードに移行した後通常動作モードへ復帰する間に前記開閉部が開かれない場合に、記録媒体が交換された可能性がないと判定することを特徴とする請求項4に記載の電子装置。
【請求項6】
着脱可能な記録媒体に対して適切なアクセスを保証するための初期的な処理を行うステップと、
前記初期的な処理の結果を、記録媒体に対してアクセスを行う媒体読出装置への電源の供給が遮断される場合においても記憶内容を保持するメモリに格納するステップと、
前記媒体読出装置への電源の供給の遮断後電源の供給の再開される場合に、前記媒体読出装置が前記メモリに保持された前記初期的な処理の結果を利用して記録媒体にアクセスするステップと、
を備えることを特徴とする電子装置の媒体制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−164203(P2006−164203A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−382295(P2004−382295)
【出願日】平成16年12月3日(2004.12.3)
【出願人】(395015319)株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメント (871)
【Fターム(参考)】