説明

電子装置

【課題】 電子装置の気密性を維持できる電子装置を提供すること。
【解決手段】 配線基板3と、一方の主面21Aが、配線基板3の一方の主面に対向するように実装される複数の電子部品2と、電子部品2に密着するように複数の電子部品2および配線基板3を覆い、配線基板3に接着された樹脂層4とを備えており、1つの電子部品2は、他の少なくとも1つの電子部品2と、互いに側面を当接させて配置されている電子装置1である。電子部品2を配線基板3に接合している接合材6が溶融した場合であっても、1つの電子部品2と、他の少なくとも1つの電子部品2とが互いに位置を固定し合って、位置ずれを防ぐことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の電子装置においては、複数の電子部品が配線基板の一方の面に、はんだ等の接合材を介して実装されていた。また、電子部品に密着し、かつ、これら複数の電子部品および配線基板を覆うようにして樹脂層が設けられていた。この樹脂層が配線基板に接着されることにより、複数の電子部品が、樹脂層および配線基板で形成される封止空間に収容されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−313828号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、例えば従来の電子装置を他の実装基板に対してはんだ等の接合材で実装するためにリフローした際に、このリフロー工程の加熱によって電子部品と配線基板との間のはんだが溶融して、はんだによる固定力が低下した電子部品の位置がずれてしまう可能性があった。このとき、電子装置の外周部は樹脂層が配線基板に接着されているので、電子部品は、電子部品間の空間の方へ位置ずれしやすかった。このような電子部品の位置ずれが発生すると、電子部品と配線基板との電気的接続性が良好に確保できなくなる可能性があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一つの態様に係る電子装置は、配線基板と、一方の主面が、配線基板の一方の主面に対向するように実装される複数の電子部品と、電子部品に密着するように複数の電子部品および配線基板を覆い、配線基板に接着された樹脂層とを備えており、1つの電子部品は、他の少なくとも1つの電子部品と、互いに側面を当接させて配置されていることを特徴とするものである。
【0006】
本発明の他の一つの態様に係る電子装置は、配線基板と、一方の主面が、配線基板の一方の主面に対向するように実装される複数の電子部品と、電子部品に密着するように複数の電子部品および配線基板を覆い、配線基板に接着された樹脂層とを備えており、複数の前記電子部品の間に当接部材が配置されており、当接部材の両側面は、当接部材の両側に位置する電子部品の側面にそれぞれ当接していることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一つの態様に係る電子装置によれば、配線基板と、一方の主面が、配線基板の一方の面に対向するように実装される複数の電子部品と、電子部品に密着するように複数の電子部品および配線基板を覆い、配線基板に接着された樹脂層とを備えており、1つの電子部品は、他の少なくとも1つの電子部品と、互いに側面を当接させて配置されていることから、電子部品を配線基板に接合している接合材が溶融した場合であっても、1つの電子部品と、他の少なくとも1つの前記電子部品とが互いに位置を固定し合って、位置ずれを防ぐことができる。
【0008】
本発明の一つの態様に係る電子装置によれば、配線基板と、一方の主面が、配線基板の
一方の主面に対向するように実装される複数の電子部品と、電子部品に密着するように複数の電子部品および配線基板を覆い、配線基板に接着された樹脂層とを備えており、複数の電子部品の間に当接部材が配置されており、当接部材の両側面は、当接部材の両側に位置する電子部品の側面にそれぞれ当接していることから、電子部品を配線基板に接合している接合材が溶融した場合であっても、隣接する電子部品どうしが、当接部材を介して互いに位置を固定し合って、位置ずれを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】(a)は、本発明の実施形態に係る電子装置の外観を示す斜視図であり、(b)は、(a)のA−Aにおける断面図である。
【図2】図1に示された電子装置の電子部品を示す平面図である。
【図3】図1に示された電子装置の変形例であり、(a)は平面図、(b)は(a)のA−Aにおける断面図である。
【図4】(a)および(b)は、図3(a)に示された電子装置の変形例を示す平面図である。
【図5】(a)および(b)は、図3に示された電子装置の変形例を示す平面図である。
【図6】(a)および(b)は、図3に示された電子装置の他の変形例を示す平面図である。
【図7】(a)〜(d)は、電子装置の配線基板におけるパッド電極の形状の他の例を示す平面図である。
【図8】(a)〜(c)は、電子装置の製造方法の一例を示す断面図である。
【図9】(a)は、第2の実施形態の電子装置を示す斜視図であり、(b)は(a)のA−Aにおける断面図である。
【図10】(a)および(b)ともに、本発明の電子装置の他の実施形態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の電子装置の実施の形態の一例について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、電子装置1は、いずれの方向が上方もしくは下方とされてもよいものであるが、便宜的に、直交座標系xyzを定義するとともに、z方向の正側を上方として、上面もしくは下面の語を用いるものとする。
【0011】
(第1実施形態)
図1に示す電子装置1は、電子部品2と、配線基板3と、樹脂層4とを具備している。図1に示す例においては、電子装置1として、電子部品2が弾性表面波(SAW:Surface Acoustic Wave)素子である、弾性表面波装置を示している。このような電子装置1(
弾性表面波装置)は、例えば、携帯電話機その他の小型通信機器等の電子機器においてフィルタ等として使用される。
【0012】
電子部品2の寸法は、縦が0.5〜1.5mm程度であり、横が0.5〜1.5mm程度である。また、厚みは、0.1〜0.5mm程度である。
【0013】
図2は電子部品2を一方の主面21A側から見た平面図(下面図)であり、電子部品2は、基板21と、基板21の一方の主面21A上に設けられたIDT(Interdigital Transducer
)電極22および端子電極23とを有している。
【0014】
基板21は、例えば、LiTaOまたはLiNbO等の圧電性を有する単結晶基板である。基板21の厚さは適宜に設定されてよいが、例えば、0.1〜0.5mmである。基板21の主面の形状は適宜に設定されてよいが、例えば矩形である。また、基板21の一方の主面21
Aの寸法は、1辺の長さが、例えば、0.5〜1.5mmである。
【0015】
図2に示す例においては、IDT電極22は、基板21の一方の主面21A上の中央近傍に、2個並べて配置されている。各IDT電極22は、櫛歯状に形成された2つの電極22a(以下、櫛歯状電極22aという)によって構成されている。各櫛歯状電極22aは、互いに対向し、電極指が互いに噛み合うように配置されている。IDT電極22は、電子装置1に求められる特性に応じて、ピッチや対数が決められるものである。
【0016】
端子電極23は、接合材6を介してパッド電極32に接続されることで各IDT電極22に電気信号を入出力するための電極であり、基板21の一方の主面21A上におけるIDT電極22の外側に設けられている。
【0017】
これらIDT電極22、端子電極23は、いずれもAlまたはAl合金(例えば、Al−Cu系、Al−Ti系)等の金属膜で形成することができる。
【0018】
また、図示しないが、IDT電極22の露出した表面上には、Si,SiO,SiN,Al等の絶縁性の高い材料から成る保護膜を設けてもよい。これによって、導電性の異物がIDT電極22の電極指間に付着することによって短絡が生じることを抑制できる。
【0019】
配線基板3は、図1に示す例においては、基板本体31と、この基板本体31の上面に設けられているパッド電極32と、基板本体31の下面に設けられている外部電極33と、基板本体31の内部に設けられている、パッド電極32と外部電極33とを接続する貫通導体34とを有している。また、基板本体31の内部、上面および下面等の表面には、他の配線(図示せず。)が設けられていてもよい。配線基板3の寸法は、縦が1〜2mm程度で、横が1.5〜3
mm程度である。また、厚みは、0.1〜1mm程度である。
【0020】
基板本体31は、酸化アルミニウム質焼結体、窒化アルミニウム質焼結体、ムライト質焼結体、炭化珪素質焼結体、ガラスセラミックス焼結体等のセラミック材料が用いられる。また、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂等の有機樹脂材料を用いてもよい。また、セラミックスまたはガラス等の無機材料をエポキシ樹脂等の有機樹脂材料に混合させて成る複合材等を用いてもよい。例えば、基板本体31が酸化アルミニウム質焼結体から成る場合であれば、酸化アルミニウムとガラス粉末等の原料粉末をシート状に成形して成るグリーンシートを積層し、焼成することにより形成される。
【0021】
また、例えば、パッド電極32、外部電極33により伝送される電気信号の遅延を防止するような場合には、ポリイミド・ガラスエポキシ樹脂等の有機樹脂材料、セラミックスやガラス等の無機粉末をエポキシ樹脂等の有機樹脂で結合して成る複合材、または、酸化アルミニウム−ホウ珪酸ガラス系や酸化リチウム系等のガラスセラミックス焼結体等のような比誘電率の小さい材料で、基板本体31を形成することが好ましい。
【0022】
パッド電極32は、基板本体31の上面における、電子部品2の端子電極23の位置と対応する位置に設けられている。電子部品2は配線基板3のパッド電極32、貫通導体34、外部電極33(および配線)を介して、電子装置1が実装される外部回路(図示せず)に電気的に接続されることとなる。
【0023】
これらのパッド電極32、外部電極33、貫通導体34および配線は、例えば、W、Cu、Ag、Au等の金属材料で形成されている。また、パッド電極32、外部電極33がW、Cu、Agで形成されている場合には、パッド電極32、外部電極33の表面に、Niめっき、およびその上からAuめっきを施すことが好ましい。
【0024】
基板本体31にパッド電極32、外部電極33および配線を形成する方法としては、メタライズ層、めっき層、蒸着等の金属を、薄膜層として被着させる手段を用いることができる。例えば、基板本体31がアルミニウム質焼結体等のセラミック材料の場合であれば、WおよびAgのペーストを配線基板3の基板本体31となるグリーンシートに印刷して、これをグリーンシートとともに焼成することにより形成される。また、エポキシ樹脂等の有機樹脂材料の場合であれば、所定の形状を有する金属箔を樹脂シートに転写する方法を採用できる。
【0025】
複数の電子部品2は、一方の主面21A(下面)が配線基板3の一方の主面(上面)に対向するように実装される。そして、1つの電子部品2は、他の少なくとも1つの電子部品2と、互いに側面を当接させて配置されて実装されている。図1に示す例においては、2つの電子部品2が配線基板3上に実装されており、一方の電子部品2は、隣り合う他方の電子部品2と、互いに側面を当接させて配置されている。
【0026】
このような構成によれば、電子部品2を配線基板3に接合している接合材6が溶融した場合であっても、一方の電子部品2と、他方の電子部品2とが互いに位置を固定し合って、位置ずれを防ぐことができる。また、図1に示す例では、電子部品2同士が互いに接し合っていない側面も樹脂層4と接しているので、各電子部品2は、いずれの側面も固定されることとなり、位置ずれが防止されることとなる。
【0027】
電子部品2は、一方の主面21Aが配線基板の一方の面に対向するように、いわゆるフェイスダウン方式で、配線基板3に実装されている。このとき、電子部品2の端子電極23と配線基板3のパッド電極32とは、接合材6で接合される。接合材6は、例えばSn−Ag系、Sn−Ag−Cu系またはAu−Sn系のはんだやろう材である。また、例えば、端子電極23上に、Au線によるAuバンプを形成しておき、別途接合材6を介してパッド電極32と接合させてもよい。なお、端子電極23上にAuバンプを形成する方法としては、熱圧着法、または熱超音波圧着法等が用いられている。
【0028】
樹脂層4は、電子部品2に密着するように複数の電子部品2および配線基板3を覆い、配線基板3に接着されている。図1に示す例においては、樹脂層4は、複数の電子部品2の上面と密着し、かつ、電子部品2の側面のうち他の電子部品2の側面と当接していない側面とも密着している。
【0029】
樹脂層4は、配線基板3と接着することによって、樹脂層4と配線基板3とで囲まれた封止空間を形成している。複数の電子部品2は、封止空間内に収納されるように実装されている。また、電子部品2の下面(一方の主面21A)と配線基板3の上面との間の対向空間が形成されており、電子部品2の下面においてSAWの伝搬が容易になっている。
【0030】
樹脂層4は、例えば、フェノール系樹脂,ポリイミド系樹脂またはエポキシ系樹脂等の熱硬化性樹脂が使用される。また、樹脂層4は、例えば、10〜100μmの厚みで形成され
ている。
【0031】
図3は図1に示された電子装置1の変形例であり、(a)は平面図、(b)は(a)のA−Aにおける断面図である。図1に示された例との違いは、配線基板3のパッド電極32の形状である。すなわち、互いに側面を当接させて配置された2つの電子部品2間において、少なくとも一方の電子部品2の端子電極23が接続されているパッド電極32は、側面が当接された他方の電子部品2の方に近づくにつれて幅広となる形状である。図3においては、左側の電子部品2の端子電極23が接続されているパッド電極32は、右側の電子部品2の方に近づくにつれて幅広となる形状であり、右側の電子部品2の端子電極23が接続され
ているパッド電極32は、左側の電子部品2の方に近づくにつれて幅広となる形状である。
【0032】
このような構成であると、電子部品2を配線基板3に接合している接合材6(はんだ)が溶融した場合であっても、セルフアライメント効果によって、一方の電子部品2がパッド電極32の幅広となっている方向へ移動する、すなわち一方の電子部品2が他方の電子部品2の方へと移動するような力が作用することとなるので、一方の電子部品2の側面が他方の電子部品2の側面を押さえるようになり、位置ずれを防ぐ効果をより高めることができる。図3に示された電子装置1おいては、左側の電子部品2は右方向(図3におけるx方向の正側)へ、右側の電子部品2は左方向(図3におけるx方向の負側)へ移動するような力が作用する。
【0033】
また、電子装置1を製造する工程において、配線基板3の上に複数の電子部品2を、互いに側面を当接させて実装するのが容易となる。2つの電子部品2側面を当接させるには、一方の電子部品2を配線基板3上に載置して、この電子部品2の側面に他方の電子部品2の側面を当接させつつ他方の電子部品2を配線基板3上に載置しなければならないが、位置ずれなく2つの電子部品2を当接させるのは非常に困難である。また、2つの電子部品2の側面を当接させた状態で保持するのも困難であるため、同時に載置することも困難である。パッド電極32の形状を上述したようにすると、2つの電子部品2の間に隙間を設けて配線基板3上に載置することができる。隙間を設けても、接合材6であるはんだを溶融させて電子部品2を配線基板3上に実装する際に、セルフアライメント効果によって電子部品2が移動するので、側面を互いに当接させることができる。
【0034】
図3に示された電子装置1では、1つの電子部品2に対応する4つのパッド電極32の全てが、他方の電子部品2の方に近づくにつれて幅広となる形状である。また、互いに側面を当接させて配置された2つの電子部品2間において、一方の電子部品2に対応するパッド電極32と、他方の電子部品2に対応するパッド電極32との両方とも、他方または一方の電子部品2の方に近づくにつれて幅広となる形状である。このような場合には、セルフアライメント効果によって、両方の電子部品2が互いに近付く方向に力が作用し、2つの電子部品2は側面で互いに当接する。
【0035】
これに対して、図4(a)に示された電子装置1では、互いに側面を当接させて配置された2つの電子部品2間において、一方の電子部品2に対応するパッド電極32のみが他方の電子部品2の方に近づくにつれて幅広となる形状である。このような場合には、セルフアライメント効果によって、一方の電子部品2が他方の電子部品2に近付く方向に力が作用し、2つの電子部品2は側面で互いに当接する。
【0036】
また、図4(b)に示された電子装置1では、互いに側面を当接させて配置された2つの電子部品2間において、一方の電子部品2に対応するパッド電極32も、他方の電子部品2に対応するパッド電極32も、4つのパッド電極32のうち、2つのパッド電極32のみが他方または一方の電子部品2の方に近づくにつれて幅広となる形状である。このような場合には、セルフアライメント効果によって、両方の電子部品2が互いに近付く方向に力が作用し、2つの電子部品2は側面で互いに当接する。
【0037】
このように、1つの電子部品2の実装用に存在する複数のパッド電極32のうち一部が、幅が変化する形状であればよい。幅広となる形状のパッド電極32が複数のパッド電極32のうちの一部である場合は、電子部品2の当接する側面と一方の主面との間の稜線、すなわち一方主面の当接する側面側の辺に平行に配置されたパッド電極32は同じ形状であるのが好ましい。例えば、図4(b)においては、1つの電子部品2に対応するパッド電極32は4つあるが、そのうち2つのパッド電極32が幅広となる形状であり、この2つは平面視で電子部品2の当接する側面に沿って配置されている。この2つのうち1つだけが幅広とな
る形状であると、電子部品2の側面が平面視で斜めになり、2つの電子部品2の側面全体が当接しなくなる可能性が高くなる。図3(a)に示された例や図4(a)の右側の電子部品2のように、1つの電子部品2に対応するパッド電極32の全てが幅広となる形状であるのがより好ましい。
【0038】
図3に示された電子装置1のように、互いに側面を当接させて配置された2つの電子部品2間において、一方の電子部品2に対応するパッド電極32と、他方の電子部品2に対応するパッド電極32との両方とも他方または一方の電子部品2の方に近づくにつれて幅広となる形状であるのが好ましい。電子部品2の実装工程において、電子部品2を配線基板3上に載置する際に2つの電子部品2の間の隙間を大きくとっても、2つの電子部品2の側面を互いに当接させることが可能であるので、電子部品2の配線基板3上への載置が容易になる。
【0039】
図5(a)に示された電子装置1は、3つの電子部品2a,2b,2cを有する例であり、図3に示された電子装置1の例に対して、x方向に並んで配置された2つの電子部品2a,2bのうち、右側の電子部品2bにさらにy方向から電子部品2cが当接している。図5(b)に示された電子装置1のように、1つの電子部品2cはx方向に並んで配置された2つの電子部品2a,2bの両方に当接するようにしてもよい。このようにすると、1つの電子部品2cがセルフアライメント効果によって、x方向に並んで配置された2つの電子部品2a,2b側(図5におけるy方向の負側)へ移動する力を、x方向に並んで配置された2つの電子部品2a,2bの側面で受けるため、1つの電子部品2cの移動によってx方向に並んで配置された2つの電子部品2a,2bの位置がずれてしまう可能性を低減できる。
【0040】
図6に示された電子装置1は、4つの電子部品2を有する例である。図6(a)に示された電子装置1では、電子部品2aに対応するパッド電極32はy方向の正側が幅広となる形状であり、電子部品2aに対してy方向の正側に位置する電子部品2dに対応するパッド電極32はx方向の正側が幅広となる形状である。また、電子部品2dに対してx方向の正側に位置する電子部品2cに対応するパッド電極32はy方向の負側が幅広となる形状であり、電子部品2cに対してy方向の負側に位置する電子部品2bに対応するパッド電極32はx方向の負側が幅広となる形状である。4つの電子部品2a,2b,2c,2dに対応するパッド電極32が、それぞれy方向の正側、x方向の負側、y方向の負側、x方向の正側が幅広となる形状となっていることで、4つの電子部品2a,2b,2c,2dは、x方向およびy方向に隣接する電子部品と側面同士が当接して配列されている。
【0041】
図6(b)に示された電子装置1では、図6(a)に示された電子装置1と同様に、4つの電子部品2a,2b,2c,2dは、x方向、y方向にそれぞれ2つならべて配置されている。これらに対応するパッド電極32は、4つの電子部品2a,2b,2c,2dの配置における、4つの電子部品2a,2b,2c,2dの角部が当接する中心と、4つの電子部品2a,2b,2c,2dそれぞれの平面視の中心とを結ぶ線に平行な方向で、角部が当接する中心側が幅広となる形状となっている。この場合も、4つの電子部品2a,2b,2c,2dは、x方向およびy方向に隣接する電子部品と側面同士が当接して配列されている。
【0042】
パッド電極32の、幅広となる形状は、例えば、図7(a)〜(d)に示された例が挙げられる。いずれも、当接する側面側に位置する幅広の主電極部32aと、主電極部32aから当接する側面とは反対側に延設され、主電極部32aよりも幅が小さい副電極部32bとから構成されている。主電極部32aは副電極部32bより幅が広く、面積も大きい。そのため、電子部品2を配線基板3に実装する際に、溶融した接合材6(はんだ)は、パッド電極32上で濡れ広がり、表面張力によってその多くは主電極部32a上に移動して配置される。ま
た、接合材6は端子電極23の表面にも接合されていることから、溶融した接合材6の移動にともなって端子電極23も主電極部32aの上に移動する。このようにして、配線基板3上に載置された電子部品2は、セルフアライメント効果によって副電極部32bから主電極部32aへ向かう方向、すなわち側面が当接された他方の電子部品2の方に移動する。
【0043】
パッド電極32の、主電極部32aの幅Waは、例えば、副電極部32bの長さ方向の平均の幅Wbの2倍〜10倍程度である。主電極部32aの面積は、例えば、副電極部32bの面積の1.5倍〜10倍程度である。主電極部32aおよび副電極部32bの形状は、特に制限はないが、主電極部32aの形状は、例えば図7(a)〜(c)に示されたような矩形状あるいは図7(d)に示されたような円形状であり、副電極部32bの形状は、例えば図7(a)および(d)に示されたような長方形状、あるいは図7(b)および(c)に示されたような主電極部32a側を底辺とする三角形状(二等辺三角形)である。図7(d)に示された副電極部32bのように、主電極部32aとの接続部において角部を丸めて、はんだ(接
合材6)の副電極部32bから主電極部32aへの流れ性(濡れ広がり性)をよくしてもよい

【0044】
以下に、図3に示す例の電子装置1の製造方法の一例を示す。図8(a)〜(c)は、電子装置1の製造方法の一例を示す断面図である。
【0045】
まず、図8(a)に示されているように、基板21の一方の主面21Aに、IDT電極22、端子電極23を有する複数の電子部品2と、基板本体31にパッド電極32、外部電極33および配線(図示せず。)を有する配線基板3とを準備する。電子部品2の端子電極23には、接合材6となる、はんだバンプ6aを形成しておく。
【0046】
そして、電子部品2を配線基板3の上に載置する。このとき、電子部品2の端子電極23およびはんだバンプ6aを配線基板3のパッド電極32の副電極部32b上に配置する。そのため、複数の電子部品2の間には隙間ができている。上述したように、電子部品2の載置工程において2つの電子部品2の側面を当接させる必要がないので、電子部品2の載置が容易となる。載置工程において、電子部品2の位置ずれや電子部品2同士の衝突による破損等が発生する可能性が低減される。
【0047】
次に、電子部品2が載置された配線基板3をリフロー炉等で加熱することによって、はんだバンプ6aを溶融させる。はんだバンプ6aが溶融すると、配線基板3のパッド電極32上にはんだが濡れ広がり、セルフアライメント効果によって、電子部品2が対応するパッド電極32の副電極部32bから主電極部32aへ向かう方向(図8(b)における白抜き矢印の方向、x方向)へ電子部品2が移動する。そして、図8(b)に示されているように、隣接して載置された電子部品2は、互いに側面が当接した配置となる。冷却して、溶融したはんだを固化させて、電子部品2の端子電極23と、配線基板3のパッド電極32とを接合材6によって電気的・機械的に接続させる。
【0048】
次に、加熱硬化する前のBステージ状態の樹脂層4をチップ部品2の基板21の上面に載せ、樹脂層4を連続加熱炉やオーブン等で加熱することによって軟化させ、樹脂層4をチップ部品2の表面形状に沿って変形させる。そして、所定の温度で加熱して樹脂層4を硬化させて、図8(c)に示されているような電子装置1を得る。
【0049】
(第2実施形態)
図9に示す電子装置1は、電子部品2と、配線基板3と、樹脂層4、当接部材5とを具備している。ここで、当接部材5以外の部材は、基本的には第1実施形態と同様である。よって、以下では、第1実施形態と異なる点についてのみ説明する。
【0050】
図9に示す例においては、複数の電子部品2の間に当接部材5が配置されており、当接部材5の両側面は、この当接部材5の両側に位置する電子部品2の側面にそれぞれ当接している。
【0051】
このような構成によって、電子部品2を配線基板3に接合している接合材6が溶融した場合であっても、隣接する電子部品2どうしが、当接部材5を介して互いに位置を固定し合って、位置ずれを防ぐことができる。また、図9に示す例では、当接部材5に接し合っていない側面も樹脂層4と接しているので、各電子部品2は、いずれの側面も固定されることとなり、位置ずれが防止されることとなる。また、電子部品2間に当接部材5を配置することで、電子部品2間の絶縁性を高めることができる。
【0052】
当接部材5は、2つの電子部品2に挟まれて、それぞれの側面に当接するよう配置すればよい。このとき、図9(b)に示す例のように、樹脂層4と当接していてもよい。このような構成とすると、当接部材5と樹脂層4との間に不要な空間が生じなくなる。よって、樹脂層4の上面側から衝撃が加わった際であっても、この空間の上の樹脂層4が変形して破れたりすることを防止できるので、樹脂層4による気密性が損なわれる可能性を低減することができる。この場合、樹脂層4とは別体の当接部材5の上面が樹脂層4に当接していてもよいし、樹脂層4の一部が電子部品2間に延在した部分を当接部材5とする、すなわち樹脂層4と一体の当接部材5であってもよい。また、当接部材5は配線基板3と当接していてもよい。このようにすると、当接部材5自体が動きにくくなるので、電子部品2の位置がずれる可能性をより低減することができる。さらには、当接部材5が配線基板3に接着されるなどして固定されている場合には、電子部品2の位置ずれをより効果的に防止することができる。また、2つの電子部品2の互いに対向する側面(当接部材5に当接する側面)の両側にある側面と当接部材5の側面とが面一になるように当接部材5を配置するのが好ましい。これは、上述したのと同様の理由であり、樹脂層4と電子部品2の対向する側面と当接部材5(の側面)との間、あるいは樹脂層4と当接部材5と対向する側面の両側にある側面との間に不要な空間ができることがないからである。
【0053】
当接部材5の厚さ(図9におけるz方向の長さ)は、2つの電子部品2の側面に当接して位置ずれしないように支持できるような厚さであればよく、電子部品2の側面と当接する部分の厚さが例えば、0.1〜1.0mmである。
【0054】
当接部材5の幅(図9におけるx方向の長さ)は、電子部品2間の間隔にもよるが、例えば、0.05〜0.2mmである。また、その長さ(図9におけるy方向の長さ)は、例えば
、0.5〜1.5mmである。また、図9に示す例において、当接部材5の長さは、電子部品2の1辺の長さと同程度として示されているが、電子部品2の1辺の長さより短くても長くてもよいが、2つの電子部品2の側面が互いに対向する部分の長さと同じであるのが好ましい。このようにすると、2つの電子部品2の互いに対向する側面(当接部材5に当接する側面)の両側にある側面と当接部材5の側面とが面一になる。
【0055】
当接部材5の材料は、特に限定されないが、樹脂等の絶縁部材であることが好ましい。この場合には、当接部材5を挟んで当接する一方の電子部品2の端子電極23および電子素子22と、他方の電子部品2の端子電極23等との絶縁性を向上させることができる。また、当接部材5がシリコン系の樹脂等の弾性を有する部材である場合には、一方の電子部品2から伝わった衝撃が他方の電子部品2に伝わるのを当接部材5で抑制できるので好ましい。
【0056】
この当接部材5は、樹脂層4と同じ材料を用いることが好ましい。この場合には、当接部材5の熱膨張率が樹脂層4と同一になる。よって、電子装置1がリフロー工程で加熱された際、電子部品2の一方側側面が当接部材5の熱膨張から受ける力と、一方側側面に対
向する他方側側面が樹脂層4の熱膨張から受ける力とが同一となる。従って、リフロー工程で接合材6が溶融した場合であっても、電子部品2は、対向する両側面間に働く力が釣り合うので、位置ずれがしにくくなる。
【0057】
また、当接部材5の材料は、熱伝導が良好であることが好ましい。特に、当接部材5は、電子部品2よりも熱伝導率が高いことが好ましい。この構成によれば、一方の電子部品2の温度が他方の電子部品2の温度より高い場合に、一方の電子部品2の温度を他方の電子部品2に逃がすことによって、両電子部品2の温度を均一に近づけることができる。従って、両電子部品2の温度は同様に上昇するので、温度による特性変化も同様に生じる。結果、両電子部品2間において温度による特性変化に差が生じにくいので、信頼性の高い電子装置1を提供することができる。なお、電子部品2が弾性表面波素子の場合であって、一方および他方がそれぞれ送信側および受信側として機能するような場合には、両電子部品2間で特性差が生じないことによるメリットは非常に大きい。
【0058】
絶縁部材であり、かつ、熱伝導性が良好である当接部材5の例としては、絶縁性樹脂に、アルミ、銅等から成る金属または、窒化ホウ素、アルミナ、窒化アルミ等から成るセラミックの粉末を混ぜたものが挙げられる。また、窒化アルミ等の、熱伝導性の良好なセラミック部材をそのまま用いてもよい。また、アルミ、銅等の金属板の両側に樹脂等から成る絶縁膜を被覆させた部材を用いてもよい。
【0059】
以下に、図9に示す例の、当接部材5を有する電子装置1の製造方法を示す。なお、ここでは第1実施形態とは異なる点だけ述べる。第2実施形態では、電子部品2を配線基板3に実装する前に、予め一方の電子部品2の側面に当接部材5を接着させておく。そして、この当接部材5を有する側面が、他方の電子部品2の側面と対向するように、両電子部品2を配線基板3に配置する。そして、第1実施形態と同様にセルフアライメント効果を利用することによって、当接部材5を他方の電子部品2の側面に当接させて、電子部品2を配線基板3に実装する。
【0060】
以上で説明した第1および第2実施形態の各製造方法は、いずれも単体の電子装置1を製造する方法であったが、多数個取りの方法を用いることによって製造してもよい。その場合は、例えば、配線基板3となる多数個取り用の集合基板に、素子領域毎に複数の電子部品2を搭載し、上述の方法で、樹脂層4を設けた後に、ダイシング又はカッター等の切削工具によって切断し、複数の電子装置1を得ればよい。
【0061】
なお、本発明は上述した実施の形態の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更,改良等が可能である。
【0062】
例えば、電子部品2は、弾性表面波素子以外にも、振動子、高周波回路部品等であってもよい。また、複数の電子部品は、同じ種類の電子部品であってもよいし、異なる種類の電子部品であってもよく、また、その大きさ、あるいは端子電極の数や配置が異なるものであってもよい。電子部品2の数や配置についても特に制限はなく、1つの電子部品2の側面は、少なくとも1つの他の電子部品2の側面に当接していればよい。また、電子部品2の側面の全面が当接していなくてもよい。
【0063】
また、例えば、図10に示す例のように、電子装置1は、マイクロミラーデバイス、光デバイス、マイクロポンプ等として使用されてもよい。この場合、電子部品2は、半導体基板(基板)21bおよび微小電気機械機構(MEMS:Micro Electro Mechanical Systems)22bを有する構成とする。微小電気機械機構22bとしては、例えば、電気スイッチ、インダクタ、アンテナ等のいずれかの機能を有するものを使用する。
【0064】
また、例えば図1において、樹脂層4は、電子部品2同士で当接している側面と対向する側面とさえ接着していれば、他の側面とは離間していてもよい。このような構成であれば、電子部品2は、対向する両側面が少なくとも固定されているので、位置ずれしにくい状態となる。図4に示す例でも同様に、樹脂層4は、当接部材5と当接している側面と対向する側面とさえ接着していれば、他の側面とは離間していてもよい。
【符号の説明】
【0065】
1:電子装置
2:電子部品
3:配線基板
4:樹脂層
5:当接部材
6:接合材(はんだ)
23:端子電極
32:パッド電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線基板と、
一方の主面が、前記配線基板の一方の主面に対向するように実装される複数の電子部品と、
該電子部品に密着するように複数の前記電子部品および前記配線基板を覆い、前記配線基板に接着された樹脂層とを備えており、
1つの前記電子部品は、他の少なくとも1つの前記電子部品と、互いに側面を当接させて配置されていることを特徴とする電子装置。
【請求項2】
前記電子部品の端子電極と前記配線基板のパッド電極とがはんだで接続されており、互いに側面を当接させて配置された2つの前記電子部品間において、少なくとも一方の前記電子部品の前記端子電極が接続されている前記パッド電極は、側面が当接された他方の前記電子部品の方に近づくにつれて幅広となる形状であることを特徴とする請求項1記載の電子装置。
【請求項3】
配線基板と、
一方の主面が、前記配線基板の一方の主面に対向するように実装される複数の電子部品と、
該電子部品に密着するように複数の前記電子部品および前記配線基板を覆い、前記配線基板に接着された樹脂層とを備えており、
複数の前記電子部品の間に当接部材が配置されており、
該当接部材の両側面は、前記当接部材の両側に位置する前記電子部品の側面にそれぞれ当接していることを特徴とする電子装置。
【請求項4】
前記当接部材は、前記電子部品よりも熱伝導率が高いこと特徴とする請求項3に記載の電子装置。
【請求項5】
前記当接部材は、絶縁性を有すること特徴とする請求項3又は請求項4に記載の電子装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−33947(P2013−33947A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−142107(P2012−142107)
【出願日】平成24年6月25日(2012.6.25)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】