説明

電子部品の実装装置及び実装方法

【課題】この発明は基板の品種によって基板に貼着された粘着テープの長さが変わっても、一定の生産性を維持することができる実装装置を提供することにある。
【解決手段】粘着テープをTCPの幅寸法に応じて複数に分断した長さで基板の側辺部に貼着する第1の貼着ユニット3と、粘着テープを基板の側辺部のほぼ全長にわたる長さ或いはTCPの幅寸法に応じて複数に分断した長さのどちらか一方の選択した長さで基板の側辺部に貼着する第2の貼着ユニット4と、各貼着ユニットで粘着テープが貼着された基板の側辺部に複数のTCPを実装する実装ユニット6を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は基板の側辺部の上面に電子部品を粘着テープによって実装する電子部品の実装装置及び実装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、液晶ディスプレイパネルやプラズマディスプレイパネルに代表されるフラットパネルディスプレイなどの製造工程においては、ガラス製のセルの側辺部の上面に、電子部品としてのTCP(Tape Carrier Package)を介して回路基板が実装される。
【0003】
上記セルにTCPを介して回路基板(以下、単に基板という)を接続する場合、上記回路基板に上記TCPの一端を異方性導電部材からなる粘着テープによって本圧着(実装)する。そして、上記TCPの他端を上記セルの側辺部の上面に粘着テープによって本圧着するようにしている。このようにしてセルに回路基板を接続する技術は特許文献1に示されている。
【0004】
上記電子部品を上記基板の側辺部の上面に貼着するには、まず、基板の側辺部の上面に所定の長さに切断された上記粘着テープを貼着するということが行なわれる。粘着テープは離型テープに貼着されていて、これらは供給リールに巻装されている。
【0005】
基板の側部上面に電子部品を粘着テープによって貼着する場合、まず、供給リールから繰り出された離型テープと粘着テープのうち、粘着テープだけをカッタによって所定長さに切断する。
【0006】
ついで、離型テープとともに粘着テープをチャックなどの送り機構によって送ることで、粘着テープの所定長さに切断された部分をテーブルに載置された基板の側部上面に対して位置決めした後、その部分を基板に加圧して貼着する。貼着後、粘着テープから離型テープを剥離してから、基板に貼着された粘着テープに電子部品を実装するようにしている。
【0007】
上記基板の側辺部の上面には第1の端子が設けられ、上記電子部品には第2の端子が設けられている。そして、上記基板の第1の端子に上記電子部品の第2の端子が上記粘着テープを介して電気的に接続されることになる。
【0008】
通常、図7に示すように、基板Wの側辺部の上面には粘着テープ5が上記基板Wのほぼ全長にわたって貼着され、電子部品としてのTCP8は上記基板Wの側辺部の予め設定された位置である、第1の端子(図示せず)が設けられた部分に所定間隔で実装される。
【0009】
ところで、図8に示すように基板Wの品種などによっては、その側辺部に粘着テープ5を介してTCP8を実装する前に、抵抗やコンデンサなどの他の電子部品Pが予め実装されている場合がある。そのような品種の基板Wに粘着テープ5を介して上記TCP8を実装する場合、予め実装された他の電子部品Pが邪魔になるため、基板Wの側辺部に粘着テープ5を全長にわたって貼着できないということがある。
【0010】
そこで、基板Wの側辺部に予め他の電子部品Pが実装されている場合、粘着テープ5を基板Wの側辺部に実装されるTCP8の幅寸法とほぼ同じ長さに切断し、その粘着テープ5を上記基板WのTCP8が実装される箇所に、粘着テープ5とほぼ同じ長さ寸法の加圧ツールによって上記基板Wに1つずつ加圧して貼着するということが行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2007−220727号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ところで、上述したように基板Wの側辺部の全長にわたって粘着テープ5を貼着する場合、基板Wの側辺部とほぼ同じ長さの加圧ツールによって粘着テープ5を基板Wの側辺部に加圧して貼着する。
【0013】
一方、TCP8の幅寸法とほぼ同じ長さに切断された粘着テープ5を基板Wに貼着する場合、上述したように所定長さに切断された粘着テープ5を、その粘着テープ5の長さとほぼ同じ長さの加圧ツールで1つずつ加圧して基板Wに貼着するようにしている。つまり、基板Wに貼着される粘着テープ5の長さに応じて異なる長さの加圧ツールが用いられる。
【0014】
通常、実装装置には基板Wの側辺部の全長にわたって粘着テープ5を貼着することができる長さの加圧ツール或いはTCP8の幅寸法に対応する長さの加圧ツールのどちらか一方の長さの加圧ツールを有する貼着ユニットが備えられている。
【0015】
そのため、基板の側辺部の全長にわたって粘着テープ5を貼着することができる長さの加圧ツールを備えた実装装置において、基板Wの品種が側辺部に予め他の電子部品Pが実装された品種に変更になり、粘着テープ5を基板Wの側辺部に実装される複数のTCP8の幅寸法に対応する長さに分割して所定間隔で貼着しなければならない場合、その実装装置では貼着作業を行なうことができなくなる。
【0016】
したがって、粘着テープ5の長さがいずれの場合であっても、その粘着テープ5を基板Wに貼着してから、TCP8を実装できるようにするためには、異なる長さの粘着テープ5を貼着することができる2台の実装装置を予め用意しておかなければならないから、設備費の上昇や設置スペースの増大を招くということがあった。
【0017】
この発明は、粘着テープを基板の側辺部の全長にわたる長さで貼着したり、電子部品の幅寸法に分割して貼着する場合のいずれであっても、粘着テープの貼着作業を同じ装置で行えるようにした電子部品の実装装置及び実装方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
この発明は、基板の上面の側辺部に粘着テープを介して複数の電子部品を所定の間隔で実装する実装装置であって、
上記粘着テープを上記電子部品の幅寸法に応じて複数に分断した長さで上記基板の側辺部に貼着する第1の貼着ユニットと、
上記粘着テープを上記基板の側辺部のほぼ全長にわたる長さ或いは上記電子部品の幅寸法に応じて複数に分断した長さのどちらか一方の選択した長さで上記基板の側辺部に貼着する第2の貼着ユニットと、
上記各貼着ユニットで粘着テープが貼着された基板の側辺部に複数の電子部品を実装する実装ユニットと
を具備したことを特徴とする電子部品の実装装置にある。
【0019】
上記各貼着ユニットは、上下方向に駆動される加圧ヘッドと、この加圧ヘッドの下面に設けられ所定長さに切断された上記粘着テープを上記基板の側辺部の上面に加圧貼着する加圧ツールを有し、
上記第2の貼着ユニットの加圧ヘッドには、上記基板の側辺部のほぼ全長にわたる長さの第1の加圧ツール或いは上記電子部品の幅寸法に対応する長さの第2の加圧ツールの一方が着脱可能に設けられることが好ましい。
【0020】
上記第2の貼着ユニットの加圧ヘッドに上記第1の加圧ツールを設けて上記粘着テープを上記基板の側辺部のほぼ全長にわたる長さで貼着するときには上記第1の貼着ユニットを休止させ、上記第2の貼着ユニットの加圧ヘッドに上記第2の加圧ツールを設けてこの第2の貼着ユニットで上記粘着テープを上記電子部品の幅寸法に応じて複数に分断した長さで貼着するときには上記第1の貼着ユニットを稼動させることが好ましい。
【0021】
この発明は、基板の上面の側辺部に粘着テープを介して複数の電子部品を所定の間隔で実装する実装方法であって、
第1の貼着ユニットによって上記粘着テープを上記電子部品の幅寸法に応じて複数に分断した長さで上記基板の側辺部に貼着する工程と、
第2の貼着ユニットによって上記粘着テープを上記基板の側辺部のほぼ全長にわたる長さ或いは上記電子部品の幅寸法に応じて複数に分断した長さのどちらか一方の選択した長さで上記基板の側辺部に貼着する工程と、
第1の貼着ユニットと第2の貼着ユニットの両方或いは第2の貼着ユニットで上記基板の側辺部に貼着された粘着テープに上記電子部品を実装する工程とを具備したことを特徴とする電子部品の実装方法にある。
【0022】
上記第2の貼着ユニットによって上記粘着テープを上記基板の側辺部のほぼ全長にわたる長さで貼着するときには上記第1の貼着ユニットを休止させ、上記第2の貼着ユニットで上記粘着テープを上記電子部品の幅寸法に応じて複数に分断した長さで貼着するときには、この第2の貼着ユニットとともに上記第1の貼着ユニットを稼動させることが好ましい。
【発明の効果】
【0023】
この発明によれば、第1の貼着ユニットでは粘着テープを電子部品の幅寸法に応じて複数に分断した長さで貼着できるようにし、第2の貼着ユニットでは粘着テープを基板の側辺部のほぼ全長にわたる長さ或いは電子部品の幅寸法に応じて複数に分断した長さのどちらか一方の選択した長さで貼着できるようにしたから、基板に粘着テープを、側辺部の全長にわたる長さ或いは電子部品の幅寸法に対応する長さのどちらの長さで貼着する場合であっても、対応することができる。
【0024】
粘着テープを電子部品の幅寸法に応じて複数に分断した長さで貼着する場合、粘着テープを基板の側辺部のほぼ全長にわたる長さで貼着する場合に比べて作業時間が長く掛かるが、その場合は第1の貼着ユニットと第2の貼着ユニットの両方で貼着作業を行なうことができる。
【0025】
そのため、基板にいずれの長さの粘着テープを貼着する場合であっても、粘着テープが貼着された基板に電子部品を実装する実装ユニットへの基板の供給を円滑に行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】この発明の一実施の形態の実装装置の概略的構成を示す平面図。
【図2】第1の貼着ユニットを示す側面図。
【図3】第2の貼着ユニットを示す側面図。
【図4】(a)は加圧ツールの長手方向と交差する方向に沿う断面図、(b)は長手方向に沿う断面図。
【図5】実装ユニットを示す正面図。
【図6】実装ユニットを示す側面図。
【図7】基板の側辺部の全長にわたって粘着テープを貼着した場合の説明図。
【図8】基板の側辺部に部分的に粘着テープを貼着した場合の説明図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、この発明の一実施の形態を図1乃至図6を参照しながら説明する。
図1は実装装置の概略的構成を示す平面図であって、この実装装置は装置本体1を有し、この装置本体1の前後方向の後端部にはたとえばトレイなどに収容された基板Wを供給するための供給部2が設けられている。この実施の形態における上記基板Wは、フラットパネルディスプレイなどのセルに電子部品としてのTCP8(図6、図7に示す)を介して接続される回路基板である。
【0028】
上記供給部2の基板Wは、図示しない搬送ロボットなどによって上記トレイから取り出され、上記装置本体1の前後方向(この方向を矢印で示すY方向とする。)の中途部に、この前後方向と交差する左右方向(この方向を矢印で示すX方向とする。)に対称に配設された第1の貼着ユニット3と第2の貼着ユニット4の一方或いは両方に供給されるようになっている。
【0029】
上記第1の貼着ユニット3と第2の貼着ユニット4とでは、後述するように基板Wの側辺部の上面に所定の長さに切断された粘着テープ5が貼着される。粘着テープ5が貼着された基板Wの上面の側辺部には、上記各貼着ユニット3,4よりもY方向の前端側に配置された実装ユニット6によって電子部品としてのTCP8が本圧着、つまり実装されるようになっている。
【0030】
図1に示すように、上記第1の貼着ユニット3の−X方向側と、第2の貼着ユニット4の+X方向側にはそれぞれ駆動機構12が設けられている。図2と図3に示すように、上記駆動機構12は上面に上記基板Wを保持する保持テーブル11を有する。この保持テーブル11はベース13、このベース13にX方向に沿って移動可能に設けられたXテーブル14を有し、このXテーブル14に上記保持テーブル11がY方向に沿って移動可能に設けられている。
【0031】
上記ベース13のX方向に沿う端面には上記Xテーブル14をX方向に沿って駆動するX駆動源15が設けられ、上記Xテーブル14のY方向に沿う端面には上記保持テーブル11をY方向に沿って駆動するY駆動源16が設けられている。それによって、上記保持テーブル11はX方向とY方向に駆動されるようになっている。
【0032】
各駆動機構12の保持テーブル11に保持された基板Wの上面の側辺部には、上記第1の貼着ユニット3と第2の貼着ユニット4によって所定の長さに切断された上記粘着テープ5が貼着される。
【0033】
図2に示すように、上記第1の貼着ユニット3は供給リール17を有する。この供給リール17には上記粘着テープ5が離型テープ7の一側面に貼着されて巻装されている。上記供給リール17からは上記粘着テープ5を下に向けてこの粘着テープ5が上記離型テープ7とともに引き出される。
【0034】
上記供給リール17から離型テープ7とともに引き出された粘着テープ5は、一対のガイドローラ18によって上記保持テーブル11に保持された基板Wの上面と平行に離間して走行するようガイドされる。そして、上記粘着テープ5は上記基板Wと対向する位置で、後述するように上記基板Wに貼着される。
【0035】
上記粘着テープ5が基板Wに貼着されると、離型テープ7は基板Wに貼着された粘着テープ5から図示しない剥離ローラなどによって剥離される。そして、離型テープ7は図示しないチャック機構によって所定長さピッチ送りされるとともに、送られた長さだけ回転駆動源20によって回転駆動される巻取りリール19に巻き取られる。
【0036】
上記供給リール17から引き出された粘着テープ5は、一方のガイドローラ18よりも走行方向下流側の箇所で二枚刃を有するカッタ22によって切断される。上記カッタ22はシリンダなどの上下駆動源24によって上昇方向に駆動されるようになっている。カッタ22が上昇方向に駆動されると、上記粘着テープ5は離型テープ7を介してブロック23の下面に押圧される。それによって、上記粘着テープ5にはカッタ22の二枚の刃によって一対の切断線が所定間隔で形成される。つまり、粘着テープ5が切断される。
【0037】
上記粘着テープ5の一対の切断線によって切断された間の部分は図示しない抜き取りテープによって除去される。それによって、粘着テープ5には図2に示す抜き取り部5aが形成される。
【0038】
上記粘着テープ5は、上記離型テープ7が上記チャック機構によってピッチ送りされる長さに応じて上記カッタ22により切断される。つまり、上記回転駆動源20によって回転駆動される上記巻取りリール19によって巻き取られる上記離型テープ7の長さに応じて上記上下駆動源24が作動して上記粘着テープ5が上記カッタ22によって切断される。
【0039】
それによって、粘着テープ5に形成される抜き取り部5aの間隔、つまりカッタ22によって切断される粘着テープ5の長さを設定することができるようになっている。
【0040】
各貼着ユニット3,4には上記粘着テープ5の一対のガイドローラ18によって水平に走行するようガイドされた部分の上方に対向して加圧ヘッド26が設けられている。各加圧ヘッド26はシリンダなどの上下駆動源27によって上下方向に駆動可能に設けられている。
【0041】
図3に示すように、上記第2の貼着ユニット4の加圧ヘッド26の下端面には、上記基板Wの側辺部の長さとほぼ同じ長さ寸法を有する第1の加圧ツール28が長手方向をX方向に沿わせて設けられている。
【0042】
図4(a),(b)に示すように、上記第2の貼着ユニット4の加圧ヘッド26の下端面には取り付け部を形成する凹溝29がX方向全長にわたって形成されている。この凹溝29には、上記X方向に沿って所定間隔で複数のねじ孔31が形成されている。
【0043】
そして、上記凹溝29には上記第1の加圧ツール28或いは上記基板Wの側辺部の上面に実装される電子部品としての上記TCP8の幅寸法とほぼ同じ長さ寸法に形成された第2の加圧ツール32のいずれかが上記供給部2に供給される基板Wの品種に応じて取り付けられる。なお、図3では上記凹溝29に第1の加圧ツール28を上記ねじ孔31を利用してねじ33で着脱可能に取り付けた状態を示している。
【0044】
図5と図6に示すように、上記実装ユニット6は実装テーブル35を有する。この実装テーブル35はXY駆動機構36によってX、Y方向に駆動されるようになっている。上記第1、第2の貼着ユニット3,4で側辺部の上面に粘着テープ5が貼着された基板Wは上記実装テーブル35に供給保持される。
【0045】
実装テーブル35に保持された基板Wの粘着テープ5が貼着された側部上面には上記TCP8がヒータ37aを内蔵した実装ツール37によって加圧加熱されて本圧着される。上記実装ツール37は上記TCP8の幅寸法と略同じ長さ寸法を有し、シリンダなどの上下駆動源38によって上下方向に駆動されるようになっている。そして、図示しない受け渡しツールによって上記TCP8が供給されると、図6に示すようにその一端部の上面を吸着保持する。
【0046】
上記実装テーブル35は上記基板WをY方向、つまりTCP8が実装される側辺部を上記実装ツール37の下方に位置決めした後、その側辺部に貼着されるTCP8の間隔に応じてX方向にピッチ送りする。基板Wがピッチ送りされてX方向に位置決めされる毎に、上記実装ツール37が上記上下駆動源38によって下降方向に駆動される。それによって、上記基板Wの側辺部の上面にTCP8が加圧加熱されて本圧着されることになる。
【0047】
つぎに、上記構成の実装装置によって基板WにTCPを実装するときの動作について説明する。
まず、供給部2に供給される基板Wが図7に示すように上部側辺部にコンデンサや抵抗などの電子部品が実装されていない品種の基板W(この基板Wを第1の基板Wとする。)であって、この第1の基板Wの側辺部にTCP8を実装する場合、第2の貼着ユニット4の加圧ヘッド26の凹溝29には、図3に示すように上記第1の基板Wの側辺部の長さ寸法とほぼ同じ長さを有する第1の加圧ツール28を取り付ける。
【0048】
さらに、上記第2の貼着ユニット4のカッタ22によって切断される粘着テープ5の長さ寸法は、上記基板Wの側辺部の長さ寸法とほぼ同じになるよう、チャック機構による離型テープ7の送り長さと、上記カッタ22の上昇のタイミングを図示しない制御装置などによって設定する。
【0049】
このような設定を行ったならば、上記供給部2から第2の貼着ユニット4に対向して配置された駆動機構12の保持テーブル11に第1の基板Wを供給する。第1の基板Wが供給された上記保持テーブル11は−X方向に移動してその上面に保持された第1の基板Wの側辺部の上面が上記第2の貼着ユニット4の一対のガイドローラ18によって水平に走行する粘着テープ5の下方に位置決めされる。
【0050】
このようにして第1の基板Wが位置決めされ、その基板Wの側辺部の上方に、その側辺部とほぼ同じ長さに切断された粘着テープ5が位置決めされると、加圧ヘッド26が上下駆動源27によって下降方向に駆動される。それによって、第1の基板Wの側辺部には第1の加圧ツール28によって上記側辺部の長さのほぼ全長にわたって粘着テープ5が貼着される。
【0051】
第1の基板Wに粘着テープ5が貼着されると、その粘着テープ5から離型テープ7が剥離された後、駆動機構12は第1の基板Wを+X方向に移動させる。つまり、第1の基板Wは第2の貼着ユニット3から外れた位置に移動される。
【0052】
そして、粘着テープ5が貼着された第1の基板Wは図示しない搬送ロボットによって上記駆動機構12の保持テーブル11から取り出されて実装ユニット6の実装テーブル35に供給される。
【0053】
第1の基板Wが供給された実装テーブル35は−Y方向に駆動された粘着テープ5が貼着された側辺部が実装ユニット6のTCP8の一端部の上面を吸着保持した実装ツール37の下方に位置決めされる。
【0054】
第1の基板Wが位置決めされると、上記実装ツール37が上下駆動源38によって下降方向に駆動され、実装ツール37に吸着保持されたTCP8が第1の基板Wの側辺部の上面に本圧着されることになる。
【0055】
実装ツール37が1つのTCP8を本圧着すると、その実装ツール37が上昇し、下端面に新たなTCP8が供給される。それと同時に、第1の基板WがX方向に所定の距離でピッチ送りされた後、上記実装ツール37が下降方向に駆動されたTCP8を第1の基板Wの側辺部に、最初に実装されたTCP8と所定の間隔で実装されると言うことが繰り返して行われる。それによって、図7に示すように基板Wの側辺部には複数のTCP8が所定間隔で実装される。
【0056】
一方、上記供給部2に供給される基板Wの品種が第1の基板Wから、図8に示すように側辺部の上面に予め抵抗やコンデンサなどの電子部品Pが実装された品種の第2の基板Wに切り換わったときには、第2の貼着ユニット4の加圧ヘッド26に設けられた第1の加圧ツール28を、TCP8の幅寸法とほぼ同じ長さを有する第2の加圧ツール32に取り換える。
【0057】
さらに、上記第2の貼着ユニット4のカッタ22によって切断される粘着テープ5の長さ寸法が上記TCP8の幅寸法とほぼ同じになるよう、図示しないチャック機構による離型テープ7の送り長さと、上記カッタ22の上昇のタイミングを図示しない制御装置などによって設定する。
なお、第1の貼着ユニット3によって切断される粘着テープ5の長さ寸法は、予めTCP8の幅寸法と同じになるよう設定されている。
【0058】
このような設定を行ったならば、上記供給部2から第1の貼着ユニット3に対向して配置された駆動機構12の保持テーブル11と、第2の貼着ユニット4に対向して配置された駆動機構12の保持テーブル11に第2の基板Wを順次供給する。
【0059】
第2の基板Wが供給されたそれぞれの保持テーブル11は、第1、第2の貼着ユニット3,4にそれぞれ接近するX方向に移動してその上面に保持された第2の基板Wの側辺部の上面が各貼着ユニット3,4の一対のガイドローラ18によって水平に走行する粘着テープ5の下方に対向するよう位置決めされる。
【0060】
このようにして第2の基板Wが位置決めされ、その基板Wの側辺部の上方に、TCP8の幅寸法とほぼ同じ長さに切断された粘着テープ5が位置決めされると、加圧ヘッド26が上下駆動源27によって下降方向に駆動される。それによって、第2の基板Wの側辺部には第2の加圧ツール32によって側辺部にTCP8の幅寸法とほぼ同じ長さの粘着テープ5が貼着される。
【0061】
第2の基板Wの側辺部に1つの粘着テープ5を貼着したならば、その粘着テープ5から離型テープ7を剥離した後、第2の基板WをY方向に所定の距離で駆動する。それと同時に、離型テープ7を図示しないチャック機構によって第2の基板WのY方向に沿う移動距離と対応する長さで送った後、第2の加圧ツール32を下降させてTCP8の幅寸法とほぼ同じ長さに切断された粘着テープ5を貼着するということを繰り返す。
【0062】
それによって、第2の基板Wの側辺部の上面にはTCP8の幅寸法とほぼ同じ長さに切断された複数の粘着テープ5が所定間隔で貼着されることになる。
【0063】
第1の貼着ユニット3と第2の貼着ユニット4で側辺部に所定長さに切断された複数の粘着テープ5が貼着された第2の基板Wは、各貼着ユニット3,4から交互に実装ユニット6に供給される。そして、この実装ユニット6では、図8に示すように上記第2の基板Wの側辺部の粘着テープ5が貼着された箇所に、それぞれTCP8が実装ツール37によって本圧着される。
【0064】
第2の基板Wの側辺部に、TCP8の幅寸法とほぼ同じ長さに切断して複数の粘着テープ5を貼着する場合、第1の基板Wの側辺部に、その側辺部の全長にわたる長さで粘着テープ5を貼着する場合に比べて貼着作業に要する時間が長く掛かることになる。
【0065】
しかしながら、第1の基板Wの側辺部に、その側辺部の全長にわたる長さで粘着テープ5を貼着する場合には第2の貼着ユニット4だけを稼動させたが、第2の基板Wの側辺部に所定長さに切断された複数の粘着テープ5を貼着する場合には、第2の貼着ユニット4の加圧ヘッド26の第1の加圧ツール28を第2の加圧ツール32に交換し、第1の貼着ユニット3と一緒に第2の貼着ユニット4も稼動するようにした。
【0066】
そのため、それぞれの貼着ユニット3,4での粘着テープ5の貼着に時間が掛かっても、実装ユニット6へは複数の粘着テープ5が貼着された第2の基板Wを2つの貼着ユニット3,4から交互に供給することができるから、実装ユニット6でTCP8が実装された第2の基板を、第1の基板Wと同様のタクトタイムで次工程に供給することができる。
【0067】
すなわち、TCP8を実装する基板Wの品種が変更になることで、基板Wの側辺部に貼着する粘着テープ5の貼着作業に要する時間が変わっても、粘着テープが貼着された基板を実装ユニット6にほぼ同じタクトタイムで供給することができる。したがって、実装ユニット6を常に同じ稼働率で稼動させ、その稼働率を低下させることがないから、生産性の向上を図ることができる。
【0068】
しかも、実装装置に2つの貼着ユニット3,4を設け、第2の貼着ユニット4の加圧ヘッド26は第1の加圧ツール28と第2の加圧ツール32のどちらかを選択的に取り付けることができるようにした。
【0069】
そのため、1台の実装装置によって基板Wに貼着できる粘着テープ5の長さを変更することができるから、基板Wの品種が変わった場合でも、その基板Wに対して所定の長さで粘着テープ5を貼着することができる。つまり、従来のように複数台の実装装置を用意しておく必要がないから、設備費の削減や生産性の向上を図ることができる。
【0070】
上記一実施の形態では基板としてフラットパネルディスプレイなどのセルの側辺部に電子部品としてのTCPを介して接続される回路基板を例に挙げて説明したが、基板の種類や電子部品の種類は限定されるものではなく、要は粘着テープを所定の長さに切断して基板に電子部品を貼着した後、その電子部品を本圧着する場合であれば、この発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0071】
3…第1の貼着ユニット、4…第2の貼着ユニット、5…粘着テープ、6…実装ユニット、8…TCP(電子部品)、26…加圧ヘッド、28…第1の加圧ツール、29…凹溝(取り付け部)、32…第2の加圧ツール、35…実装テーブル、37…実装ツール。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の上面の側辺部に粘着テープを介して複数の電子部品を所定の間隔で実装する実装装置であって、
上記粘着テープを上記電子部品の幅寸法に応じて複数に分断した長さで上記基板の側辺部に貼着する第1の貼着ユニットと、
上記粘着テープを上記基板の側辺部のほぼ全長にわたる長さ或いは上記電子部品の幅寸法に応じて複数に分断した長さのどちらか一方の選択した長さで上記基板の側辺部に貼着する第2の貼着ユニットと、
上記各貼着ユニットで粘着テープが貼着された基板の側辺部に複数の電子部品を実装する実装ユニットと
を具備したことを特徴とする電子部品の実装装置。
【請求項2】
上記各貼着ユニットは、上下方向に駆動される加圧ヘッドと、この加圧ヘッドの下面に設けられ所定長さに切断された上記粘着テープを上記基板の側辺部の上面に加圧貼着する加圧ツールを有し、
上記第2の貼着ユニットの加圧ヘッドには、上記基板の側辺部のほぼ全長にわたる長さの第1の加圧ツール或いは上記電子部品の幅寸法に対応する長さの第2の加圧ツールの一方が着脱可能に設けられることを特徴とする請求項1記載の電子部品の実装装置。
【請求項3】
上記第2の貼着ユニットの加圧ヘッドに上記第1の加圧ツールを設けて上記粘着テープを上記基板の側辺部のほぼ全長にわたる長さで貼着するときには上記第1の貼着ユニットを休止させ、上記第2の貼着ユニットの加圧ヘッドに上記第2の加圧ツールを設けてこの第2の貼着ユニットで上記粘着テープを上記電子部品の幅寸法に応じて複数に分断した長さで貼着するときには上記第1の貼着ユニットを稼動させることを特徴とする請求項2記載の電子部品の実装装置。
【請求項4】
基板の上面の側辺部に粘着テープを介して複数の電子部品を所定の間隔で実装する実装方法であって、
第1の貼着ユニットによって上記粘着テープを上記電子部品の幅寸法に応じて複数に分断した長さで上記基板の側辺部に貼着する工程と、
第2の貼着ユニットによって上記粘着テープを上記基板の側辺部のほぼ全長にわたる長さ或いは上記電子部品の幅寸法に応じて複数に分断した長さのどちらか一方の選択した長さで上記基板の側辺部に貼着する工程と、
第1の貼着ユニットと第2の貼着ユニットの両方或いは第2の貼着ユニットで上記基板の側辺部に貼着された粘着テープに上記電子部品を実装する工程と
を具備したことを特徴とする電子部品の実装方法。
【請求項5】
上記第2の貼着ユニットによって上記粘着テープを上記基板の側辺部のほぼ全長にわたる長さで貼着するときには上記第1の貼着ユニットを休止させ、上記第2の貼着ユニットで上記粘着テープを上記電子部品の幅寸法に応じて複数に分断した長さで貼着するときには、この第2の貼着ユニットとともに上記第1の貼着ユニットを稼動させることを特徴とする請求項4記載の電子部品の実装方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−9513(P2011−9513A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−152255(P2009−152255)
【出願日】平成21年6月26日(2009.6.26)
【出願人】(000002428)芝浦メカトロニクス株式会社 (907)
【Fターム(参考)】