説明

電子部品を製品に取り付ける方法

本発明は、支持シートと、支持シートの前面の一部を覆う少なくとも1つの移転可能層とを含む移転シートの使用に関する移転方法を用いて、電子部品を製品に取り付ける方法に関する。移転方法は、製品に接触した状態で移転可能層を配置するステップと、支持シートの後面側に圧力をかけるステップと、少なくとも1つの移転可能層を製品に貼り付けたまま支持シートを取外すステップとを有する。加えて、取付方法は、支持シートの取外し後に各組立品の少なくとも一部が移転可能層によって場所を維持するように、製品と支持シートとの間で、少なくとも1つのワイヤに取り付けられる少なくとも1つの電子チップを備える少なくとも1つの電子組立品の位置を合わせる、移転方法の前のステップを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品を製品に取り付ける方法、より具体的には、製品の製造後に、該製品の修正又は変更なしに実行することができる取付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、より具体的には、大きさが小さく、手動による取扱いが難しい少なくとも1つの電子チップを備える電子部品の取付に関する。このような電子チップは、例えば、一般的に厚さが1ミリメートルよりも小さく(一般的には数百マイクロメートルであり)、体積が1立方ミリメートルよりも小さいRFID(Radio Frequency Identification Data)カードとして知られる非接触型カードを製造するために使用されるチップである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2003/124769号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
非接触型カードの場合、電子部品はアンテナに接続される電子チップの形状を成す。このような電子部品は、一般的にステッカーを用いて製品に取り付けられる。このようなステッカーの製造は、少なくともアンテナ製造のステップを備える。アンテナ製造のステップの後には、アンテナと同時にアンテナに沿って形成され、2つの伝導性パッド上にある電子チップの位置を調整するステップがある。チップの位置調整には、数百マイクロメートル、更には数十マイクロメートルの範囲内にチップの位置を合わせる非常に正確で高価な機器を必要とする。
【0005】
このようなステッカーの形成の複雑性に加えて、この種類の取付方法は、全種類の製品、特に、洗濯される可能性が高い衣類等の製品に適さない。
【0006】
本発明の目的は、実行が簡単で安価である、製品に電子部品を取り付ける方法を提供することにある。
【0007】
本発明の他の目的は、小さな電子チップを製品に取り付けることが可能な方法を提供することにある。
【0008】
本発明の他の目的は、使用された場合でも製品上での電子部品の確実な保持を保証する、製品に電子部品を取り付ける方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
これらの目的を達成するため、本発明は、製品に接触した状態で移転可能層を配置するステップと、支持シートの後面側に圧力をかけるステップと、前記支持シートの前面の一部を覆う少なくとも1つの移転可能層が前記製品に接着されたまま前記支持シートを取り外すステップとを有する移転方法を、前記支持シートと、前記少なくとも1つの移転可能層とを備える移転シートを用いて実行する、前記製品に電子部品を取り付ける方法であって、前記支持シートの取外し後に各組立品の少なくとも一部が移転可能層によって維持されるように、前記製品及び支持シート間で、少なくとも1つのワイヤに貼られる少なくとも1つの電子チップを備える少なくとも1つの電子組立品の位置を合わせる先のステップを備える方法を提供する。
【0010】
前述の方法における実施の形態によれば、各組立品のワイヤの少なくとも一部は、前記支持シートの取外し後に移転可能層によって維持される。
【0011】
前述の方法における実施の形態によれば、当該方法は、各組立品の少なくとも一部の一部又は全部を前記移転シートの移転可能層に挿入するステップを予め備え、前記少なくとも1つの電子組立品は、前記移転シートが前記製品に配置される前に前記移転シートに取り付けられている。
【0012】
前述の方法における実施の形態によれば、前記各組立品の少なくとも一部は、前記移転可能層の接着層に全体的に又は部分的に配置される。
【0013】
前述の方法における実施の形態によれば、前記各組立品の少なくとも一部は、前記移転可能層の伝導層に接触した状態で配置される。
【0014】
前述の方法における実施の形態によれば、前記各組立品の少なくとも一部の全部又は一部を移転可能層に挿入するステップは、プレス機を用いて行われる。
【0015】
前述の方法における実施の形態によれば、移転過程で、前記移転可能層は、該移転可能層の融点よりも高い温度にある。
【0016】
本発明は、支持シートと、該支持シートの前面の一部を覆う少なくとも1つの移転可能層とを備え、該少なくとも1つの移転可能層が、前記支持シートの後面側を押し付けるプレス機を用いて製品に配置されることを目的とされる移転シートであって、少なくとも1つのワイヤに貼られる少なくとも1つの電子チップを備える少なくとも1つの電子組立品を備え、前記少なくとも1つの組立品が、各組立品の少なくとも一部が移転可能層によって維持されるように配置されている移転シートを更に提供する。
【0017】
前述の移転シートの実施の形態によれば、各組立品のワイヤの少なくとも一部は移転可能層によって維持されている。
【0018】
前述の移転シートの実施の形態によれば、少なくとも1つの移転可能層は少なくとも1つの伝導層を備え、組立品のワイヤの少なくとも一部は移転可能層の伝導層に接触した状態である。
【0019】
前述の移転シートの実施の形態によれば、各組立品のワイヤの少なくとも一部はアンテナの全部又は一部を成す。
【0020】
前述の移転シートの実施の形態によれば、組立品の少なくとも1つのチップは、アンテナの全部又は一部を成すワイヤの一部に接続されており、前記チップが接続されている前記アンテナを介したデータの送信及び/又は受信を行うことが可能な電子回路を有する。
【0021】
前述の移転シートの実施の形態によれば、組立品の少なくとも1つのチップは発光ダイオードを有する。
【0022】
前述の移転シートの実施の形態によれば、組立品の少なくとも1つの電子チップはセンサを有する。
【0023】
前述の移転シートの実施の形態によれば、前記少なくとも1つの組立品は移転可能層に一体的に配置されている。
【0024】
前述の移転シートの実施の形態によれば、前記電子チップの最大寸法は1ミリメートルよりも小さく、前記電子チップの体積は1立方ミリメートルよりも小さい
【0025】
前述の移転シートの実施の形態によれば、少なくとも1つの電子チップが取り付けられている少なくとも1つのワイヤは伝導部分を有する。
【0026】
前述の移転シートの実施の形態によれば、少なくとも1つのチップは少なくとも1つの溝を有し、当該チップが取り付けられている前記少なくとも1つのワイヤの少なくとも1つは、該チップの溝内に配置されている。
【0027】
前述の移転シートの実施の形態によれば、少なくとも1つの伝導性パッドは電子チップの溝内に配置され、該伝導性パッドは当該チップの前記溝内に配置されるワイヤの伝導部分に電気的に接触している。
【0028】
前述の移転シートの実施の形態によれば、移転可能層によって維持される前記各組立品の少なくとも一部は、該各組立品の少なくとも一部を維持する前記移転可能層の厚さよりも小さい厚さを有する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明に係る移転シートにおける1つの実施の形態の平面図である。
【図2】本発明に係る移転シートにおける1つの実施の形態の平面図である。
【図3】本発明に係る移転シートにおける1つの実施の形態の平面図である。
【図4】本発明に係る移転シートにおける1つの実施の形態の平面図である。
【図5】本発明に係る移転シートにおける1つの実施の形態の平面図である。
【図6】本発明に係る移転シートにおける1つの実施の形態の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の前述した目的、特徴及び利点、並びに、他の目的、特徴及び利点を、具体的な実施の形態における以下の限定されない説明で添付図面に関連して詳しく述べる。
明確にするために、異なる図面において同様の構成要素に同様の参照番号を付している。更に、種々の図面は正確な縮尺ではない。
【0031】
本発明に係る取付方法は、移転シートを用いた移転方法を実行することによって電子部品を製品に取り付けることを目的とする。移転シートは、支持シートと、支持シートの前面の一部を覆う少なくとも1つの移転可能層とを備える。移転方法は、移転可能層が製品に接触するように、製品に移転シートを配置するステップと、移転可能層が製品に接着するように支持シートの後面側に圧力をかけるステップとを備える。移転可能層が製品に接着するとすぐに、支持シートを取外す。
【0032】
従来、移転シートの移転可能層は、一般的に色付きのインク層と接着層との積み重ねの形状を成している。色付きのインク層は、実際には、移転可能層が製品に接着するとすぐに、透過性効果を避ける基本的な、一般的には白のインク層と同様に、様々な色のインクのいくつかの層の形状を成してもよい。
【0033】
移転シートの支持シートは、移転シートが製品に配置されている条件で、移転可能層が製品により強く接着し、支持シートを取外した場合に製品から分離することなく製品に接着するように、接着しないコーティングで覆われている。
【0034】
移転方法を実行する場合、少なくとも80℃、好ましくは120℃以上の高い融点を持つ接着層を有する移転可能層を備える移転シートと共に、移転可能層を加熱する手段を使用することが好ましい。加熱手段は、移転可能層を、移転可能層の融点以上に加熱するように構成してある。このような熱移転方法は、例えば洗濯されている製品により高い抵抗力がある移転可能層を提供する。
【0035】
更に、本発明に係る方法は、少なくとも1つの電子組立品を備える電子部品を支持物に取り付けることを目的とする。ここで、各電子組立品は少なくとも1つのワイヤに取り付けられた少なくとも1つの電子チップを備える。本発明に係る取付方法の実行では、移転方法が実行された後、各組立品の少なくとも一部が移転可能層によって製品に維持されるように、各組立品の位置を合わせる。
【0036】
本発明に係る取付方法の第1実施の形態によれば、初めに、少なくとも1つの電子組立品を製品に配置する。各組立品について、少なくとも1つの移転可能層が当該組立品の一部を覆うように、移転シートを製品に配置することによって移転方法を実行する。移転シートの移転可能層が製品に接着するとすぐに、支持シートを取外す。各組立品は、少なくとも1つの移転可能層によって製品に維持される。
【0037】
本発明に係る取付方法の第2実施の形態によれば、各組立品の少なくとも一部の一部又は全部を移転シートの移転可能層に挿入するステップは、移転の前に行われる。この挿入を、移転シートの製造後、又は、移転シートの製造中に行ってもよい。
【0038】
取付方法に係るこの第2実施の形態の利点は、移転可能層の上端又は内部での各組立品の位置合わせを容易にする点である。
【0039】
以下の説明では、「維持部分」は、少なくとも1つの移転可能層によって維持されることを目的とする電子組立品の全ての要素を指定するために使用される。従って、組立品の全部又は一部を、1つ又はいくつかの移転可能層によって維持することができる。言い換えると、組立品の維持部分は、この組立品の全部又は一部を備えてもよい。
【0040】
移転シートの製造後に挿入を行う場合、例えば、移転可能層上で各組立品の位置を調整して、移転可能層内に入れられた組立品の維持部分が存在するように圧力を各組立品にかけてもよい。移転可能層の上部における接着層は、この接着層に一体的に挿入される組立品の維持部分全体に対して十分な厚さを有利に有してもよい。
【0041】
特に、接着層が熱溶融性接着剤である場合、組立品の維持部分の挿入中に、又は、接着層への挿入後にこの接着層を加熱してもよい。これにより、冷却後、組立品はこの接着層に接着する。
【0042】
移転シートを製造している間に挿入を行う場合、例えば、最後の接着層以外の移転可能層を成す中間層の上端又は内部に組立品の維持部分を配置してもよい。このような中間層は、本発明に係る実施の形態に関連して以下に示すように、例えば、伝導層であってもよい。この場合、組立品の維持部分を、少なくとも1つの層、例えば、接着層で覆い、組立品が取り付けられた製品に組立品を確実に接着することが好ましい。
【0043】
組立品の維持部分の挿入中での加圧を、機械プレスを用いて有利に行ってもよい。更に、挿入中、又は、挿入後に、組立品の維持部分の接着を促進させるために移転シートを加熱してもよい。この加熱を、例えば、加熱している機械プレスを用いることによって押付操作と同時に行ってもよい。
【0044】
本発明で有利に用いてもよい一種の組立品は、特許文献WO2008/025889及びWO2009/013409に記載されているような組立品である。このような組立品には、それらの表面の1つに少なくとも1つの溝を有する電子チップを使う。夫々が溝に配置されている1つ又はいくつかのワイヤに1つ又はいくつかのチップが接着されている。逆に言えば、機械的な手段(締め付け、若しくは、ラッチ結合等)及び/又は接着手段によって各溝でチップをワイヤに取り付ける。
【0045】
このような方法は、小さな厚さを有する組立品を設計することを可能にする。実際には、数百マイクロメートル、典型的には200から600マイクロメートルの厚さを有するチップを、50から300マイクロメートルの直径を有するワイヤに取り付けることができる。
【0046】
一般的に、各組立品は、組立品を容易に操作することができる機能を有する少なくとも1つの支持ワイヤを備える。組立品の位置合わせをより容易にするために、本発明に係る方法を実行する上で、少なくとも2つの支持ワイヤを備える組立品を使うことが好ましい。ここで、各電子チップは、チップの様々な箇所に取り付けられる少なくとも2つの支持ワイヤに取り付けられている。使用される組立品が前述した特許文献に記載した種類の組立品に対応する場合、2つの支持ワイヤを、例えば、各電子チップの向かい合った側面に形成される溝に配置してもよい。
【0047】
本発明に係る方法の利点は、少なくとも1つの支持ワイヤの使用によって、電子チップを容易に操作することができる点である。本発明に係る方法は、最大寸法が1ミリメートルよりも小さい小さな電子チップを手動で取り扱うことを可能にする。
【0048】
更に、各組立品は、支持ワイヤであると共に他の機能を有するワイヤを備えてもよい。このようなワイヤは、例えば、電子チップに接続されているアンテナを成すことを目的とした伝導性ワイヤ、組立品内の少なくとも1つのチップの電源リード線、又は、チップ間若しくはチップ及び組立品の外部の機器間のデータ伝送バスである。ワイヤはいくつかの機能を有利に果たしてもよい、即ち、ワイヤは支持体、アンテナ、電力供給、データ伝送又は他の機能を果たしてもよい。
【0049】
本発明に係る方法の他の利点は、多種多様の機能を有することが可能な多数の電子組立品を成すことができる点である。これは、後述する移転シートの実施の形態の説明からより明らかになる。
【0050】
後述する全ての実施の形態において、各移転シートは、灰色で示される少なくとも1つの移転可能層で覆われ、長方形で示される支持シートを備える。電子チップは小さな黒い四角形で示されている。チップが取り付けられたワイヤは黒い線によって示されている。
【0051】
図1は、移転可能層2で覆われた支持シート1を備える移転シートを示す。ワイヤ4に貼られたチップ3の形状を成す組立品は移転可能層2に配置されている。組立品全体は移転可能層2内に配置されている。従って、移転可能層が製品に取り付けられる場合、組立品は、目に見えず、かつ/又は、手触りで感知できないかもしれない。
【0052】
手触りで感知できない組立品について、チップ3の厚さ、及び、ワイヤの厚さは、好ましくは移転可能層の厚さよりも薄くて同じオーダの厚さでなければならない。実際には、色付きのインク層、基本の白色層、及び接着層の組立品の形状を成す移転シートの移転可能層は、数百マイクロメートルの厚さを有する。(最近ではFLOCと呼ばれる)髪又はマイクロボール等の小さな塊になった部品の層を有する支持シートを備える移転シートの具体的な場合では、移転可能層は、製品に取り付けた後に、1ミリメートル又は数ミリメートルオーダで厚さを有してもよい。組立品の厚さは数百マイクロメートルに達してもよいので、製品に配置されたらすぐに、手触りでこの組立品を感知できるようにすることが可能である。
【0053】
更に、組立品が取り付けられた後に十分に不透明な層で覆われた場合、組立品は目に見えなくてもよい。実際には、白色の基本層を備える移転可能層は、標準家庭の照明条件で組立品を目に見えなくするには十分である。
【0054】
更に、組立品が、発光ダイオード(LED)等の光を発することが可能なチップを備える場合、チップが発光しない場合にチップを目に見えなくすることができ、かつ、チップが発した光を通過させ更には拡散させることができる層の下に前記チップを配置してもよい。移転シートの製造で一般的に使用される白色の基本層はそのような効果を得ることを可能にする。従って、300マイクロメートル又は400マクロメートルの小さなLEDから、数ミリメートル、更には1センチメートルの「光スポット」を形成することが可能になる。
【0055】
図2は、2つの移転可能層11,12で覆われた支持シート10を備える移転シートを示している。移転層は、チップ13の両側に延びるワイヤ14に貼られた単一チップ13の形状を成す組立品を備える。ワイヤ14の両端夫々は、移転可能層11及び12に配置されている。チップ13は、支持シートの上に配置され、移転可能層11及び12の間にある。
【0056】
この例では、移転可能層が製品に取り付けられるとすぐにチップが明らかになる。組立品は、移転可能層に埋め込まれたワイヤの2つの端部によって製品に維持される。この種類の実施の形態は、チップを製品から取外すことができることが要求されている場合に有利である。このようなチップは、例えば、製品の製造、調整及び輸送の期間、並びに、販売期間では役立つが、一旦、製品が売却されると役に立たずに無用であるRFIDチップである。
【0057】
図3は、移転可能層21で覆われた支持シート20を備える移転シートを示す。2つの電子組立品22及び23は移転可能層21に配置される。各組立品は6つの電子チップを備え、各電子チップは2つの共通の支持ワイヤで取り付けられている。支持ワイヤは移転可能層を超えて延びている。
【0058】
組立品は、例えば、6つの発光ダイオードと、導体として機能する2つのワイヤとの形状を成してもよい。一旦、移転可能層及び組立品が製品に取り付けられると、伝導性の支持ワイヤを電源に接続してもよい。ここで、ワイヤ夫々は例えばグランドと電源電圧とに接続されている。
【0059】
他の組立品は、様々な種類の電子チップ、例えば、センサを成すチップ、動力回収装置を成す他のチップ、データ処理ユニットを成す他のチップの形状を成してもよい。このようなチップは、導体として機能する支持ワイヤを介して動力を供給されてデータを交換してもよい。チップの電源とデータの転送媒体とを別々に成す図示しない1つ又はいくつかの伝導性ワイヤによってチップを相互接続することが可能になる。
【0060】
図4は、2つのワイヤ34及び35に取り付けられたチップ33を備える組立品が配置される移転可能層31で覆われた支持シート30を備える移転シートを示す。これらの支持機能とは別に、ワイヤは、双極子型のアンテナの要素を形成する。従って、各ワイヤの一端は電子チップの伝導性パッドに接続される。ワイヤの長さは、当業者によって知られている、送信又は受信で要求される電磁波信号の波長によって規定される。従って、電磁波信号の送信及び/又は受信を行うことができる電子チップを容易に製品に配置することができる。このようなチップは、例えばRFIDチップである。アンテナを成す2つのチップを、図に示すように一列に、又は、円、楕円若しくはらせんの一部分内に配置してもよい。アンテナを成す2つの伝導性ワイヤに接続されるRFIDチップを備える組立品の一例は特許文献WO2008/051079に記載されている。
【0061】
図5は、2つの伝導性ワイヤ44及び45に取り付けられたチップ43を備える組立品が配置される移転可能層41で覆われた支持シート40を備える移転シートを示す。伝導性ストリップ46は移転可能層41内に配置されている。伝導性ストリップ46は、自身をほとんど閉じているので、内側の表面積Sを定義する。伝導性ワイヤ44及び45夫々は、伝導性ストリップ46の両端に接続されている。ここで、伝導性ワイヤ44はストリップの第1端に電気的に接触し、伝導性ワイヤ45はストリップの第2端に電気的に接触する。伝導性ストリップと、より少ない程度にワイヤ44及び45とは、チップ上に配置されてワイヤ44及び45に接触している伝導性パッドによって電子チップ43に接続されることが可能なアンテナを成している。比較的に大きい表面積Sを有するこの種類のアンテナは、チップが接続されている組立品のチップを遠隔的に有利に供給することができる。
【0062】
このような移転シートの伝導性ストリップを、移転可能層を成す様々な層の製造で形成してもよい。この伝導性ストリップを、例えば、スクリーン印刷方法によって形成してもよい。
【0063】
図6は、2つの伝導性ワイヤ54及び55に取り付けられたチップ53を備える組立品が配置される移転可能層51で覆われた支持シート50を備える移転シートを示す。移転可能層51は、更に、本例では、楕円形状を有する2つの伝導層56及び57を備える。伝導性ワイヤ54は一方の端で伝導層56に接触している。同様に、伝導性ワイヤ55は、一方の端で伝導層57に接触している。ワイヤ54及び55夫々の他方の端は、チップ53の伝導性パッドに電気的に接触している。伝導層56及び57は電磁波信号の送受信アンテナの主な要素を成す。
【0064】
なお伝導層56及び57の形状は単なる実例であり決して制限するものではない。それどころか、多くの他の形状を、要求される種類のアンテナ、即ち、動作周波数、帯域、Q値等に応じて用いてもよい。
【0065】
本発明に係る方法の利点は、アンテナに接続される電子チップを備える組立品を形成することができ、容易に製品に取り付けることができる点にある。
【0066】
このような移転シートの適用に係る他の方法と同様に、本発明に係る移転シートの他の実施の形態は当業者によって考案されるかもしれない。
【0067】
更に、組立品の形成に使用されるワイヤは、様々な形状の断面を有してもよい。ワイヤは、例えば、細くて狭いストリップという形をとってもよい。
【0068】
接着層で覆われた色付きのインク層を備える従来の移転シートを用いて本発明に係る方法を実行することを可能にするために、移転可能層に配置されるワイヤの部分、及び、チップは、製品に取り付ける支持シートから適切に取外すために、全体の移転可能層に対して十分に小さい幅を有しなければならない。実際に、ワイヤ又はチップの幅が大きすぎる場合、ワイヤ又はチップによって覆われた移転可能層の部分が、支持シートに取り付けられたままになり、製品に移転しない虞がある。従って、各組立品を製品によく接着させるためには、組立品の少なくとも一部は、この組立品を製品に維持することを目的とした移転可能層の好ましい移転を保証するのに十分に狭くなければならない。このため、各組立品の維持部分は、支持シートの面に平行であり、好ましくは1ミリメートルよりも小さい最大幅を有する。本発明に係る方法に応じて取り付けることが可能な組立品を形成するために、様々な種類の電子チップを使用してもよい。
【0069】
例えば、センサタイプの小型の機器を電子組立品内に配置してもよい。特にゲーム機器又は携帯端末の分野では、磁力計、加速度計又はレート・ジャイロスコープ等のセンサを、例えば、服飾品又はその他に配置してもよい。センサは、また、化学センサ、例えば汗センサであってもよい。温度センサ及び圧力センサを使用してもよい。
【0070】
小型の電力回収装置を電子組立品に配置してもよい。このような電力回収装置は、例えば、機械的な動作、振動、若しくは、水粒子の衝突から電力を回収することによって、又は、太陽光発電若しくは熱発電による電力を回収することによって組立品の他のチップに電力を供給してもよい。
【0071】
例えば、放電することが可能な小型の作動装置タイプの機器を、更に電子組立品内に配置してもよい。
【0072】
更に、本発明に係る方法を、服飾品、備品、製造された商品、又は、壁等の様々な種類の製品に適用してもよい。
【0073】
本発明に係る方法の利点は、具体的に定義することができる電子組立品を備品に取り付けることによって、容易に備品の一部を自分流にアレンジすることができる点である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品に接触した状態で移転可能層を配置するステップと、支持シートの後面側に圧力をかけるステップと、前記支持シートの前面の一部を覆う少なくとも1つの移転可能層が前記製品に接着されたまま前記支持シートを取り外すステップとを有する移転方法を、前記支持シートと、前記少なくとも1つの移転可能層とを備える移転シートを用いて実行する、前記製品に電子部品を取り付ける取付方法であって、
前記支持シートの取外し後に各組立品の少なくとも一部が移転可能層によって維持されるように、前記製品及び支持シート間で、少なくとも1つのワイヤに取り付けられる少なくとも1つの電子チップを備える少なくとも1つの電子組立品の位置を合わせる、前記移転方法より前のステップを備えること
を特徴とする取付方法。
【請求項2】
各組立品のワイヤの少なくとも一部は、前記支持シートの取外し後に移転可能層によって維持されること
を特徴とする請求項1に記載の取付方法。
【請求項3】
各組立品の少なくとも一部の一部又は全部を前記移転シートの移転可能層に挿入するステップを予め備え、
前記少なくとも1つの電子組立品は、前記移転シートが前記製品に配置される前に前記移転シートに取り付けられていること
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の取付方法。
【請求項4】
前記各組立品の少なくとも一部は、前記移転可能層の接着層に全体的に又は部分的に配置されること
を特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の取付方法。
【請求項5】
各組立品の少なくとも一部は、前記移転可能層の伝導層に接触した状態で配置されること
を特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1つに記載の取付方法。
【請求項6】
前記各組立品の少なくとも一部の全部又は一部を移転可能層に挿入するステップは、プレス機を用いて行われること
を特徴とする請求項3に記載の取付方法。
【請求項7】
移転過程の間、前記移転可能層は、該移転可能層の融点よりも高い温度にあること
を特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1つに記載の取付方法。
【請求項8】
支持シート(1,10,20,30,40,50)と、該支持シートの前面の一部を覆う少なくとも1つの移転可能層(2,11,12,21,31,41,51)とを備え、該少なくとも1つの移転可能層が前記支持シートの後面側を押し付けるプレス機を用いて製品に配置されることを目的とされる移転シートであって、
少なくとも1つのワイヤ(4,14,34,35,44,45,54,55)に取り付けられる少なくとも1つの電子チップ(3,13,33,43,53)を備える少なくとも1つの電子組立品(22,23)を備え、
各組立品の少なくとも一部は移転可能層によって維持されていること
を特徴とする移転シート。
【請求項9】
各組立品のワイヤの少なくとも一部は移転可能層によって維持されていること
を特徴とする請求項8に記載の移転シート。
【請求項10】
前記少なくとも1つの移転可能層は少なくとも1つの伝導層(46,56,57)を備え、
組立品のワイヤの少なくとも一部は移転可能層の伝導層に接触した状態であること
を特徴とする請求項8又は請求項9に記載の移転シート。
【請求項11】
組立品のワイヤ(34,35,44,45,54,55)の少なくとも一部はアンテナの全部又は一部を成すこと
を特徴とする請求項8から請求項10のいずれか1つに記載の移転シート。
【請求項12】
組立品の少なくとも1つのチップは、
アンテナの全部又は一部を成すワイヤの一部に接続されており、
前記チップが接続されている前記アンテナを介したデータの送信及び/又は受信を行うことが可能な電子回路を有すること
を特徴とする請求項11に記載の移転シート。
【請求項13】
組立品の少なくとも1つのチップは発光ダイオードを有すること
を特徴とする請求項8から請求項12のいずれか1つに記載の移転シート。
【請求項14】
組立品の少なくとも1つの電子チップはセンサを有すること
を特徴とする請求項8から請求項13のいずれか1つに記載の移転シート。
【請求項15】
前記少なくとも1つの組立品は移転可能層に一体的に配置されていること
を特徴とする請求項8から請求項14のいずれか1つに記載の移転シート。
【請求項16】
前記電子チップの最大寸法は1ミリメートルよりも小さく、前記電子チップの体積は1立方ミリメートルよりも小さいこと
を特徴とする請求項8から請求項15のいずれか1つに記載の移転シート。
【請求項17】
少なくとも1つの電子チップが取り付けられている少なくとも1つのワイヤは伝導部分を有すること
を特徴とする請求項8から請求項16のいずれか1つに記載の移転シート。
【請求項18】
前記少なくとも1つのチップは少なくとも1つの溝を有し、当該チップが取り付けられている前記少なくとも1つのワイヤの少なくとも1つは、該チップの溝内に配置されていること
を特徴とする請求項8から請求項17のいずれか1つに記載の移転シート。
【請求項19】
少なくとも1つの伝導性パッドは電子チップの溝内に配置され、
該伝導性パッドは当該チップの前記溝内に配置されるワイヤの伝導部分に電気的に接触していること
を特徴とする請求項17又は請求項18に記載の移転シート。
【請求項20】
移転可能層によって維持される前記各組立品の少なくとも一部は、該各組立品の少なくとも一部を維持する前記移転可能層の厚さよりも小さい厚さを有すること
を特徴とする請求項8又は請求項19に記載の移転シート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−525619(P2012−525619A)
【公表日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−507806(P2012−507806)
【出願日】平成22年4月29日(2010.4.29)
【国際出願番号】PCT/FR2010/050823
【国際公開番号】WO2010/125320
【国際公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【出願人】(507362786)コミサリア ア エナジー アトミック エ オックス エナジーズ オルタネティヴ (22)
【出願人】(511264733)
【Fターム(参考)】