説明

電子部品内蔵配線基板の製造方法

【課題】半導体素子等を内蔵した配線基板を製造するにあたり、工程の簡素化を図り、配線の微細化を実現するとともに、より一層の高密度実装を比較的簡単に実現すること。
【解決手段】基板40Aの電極パッド41上に突起部を有するバンプ43を形成し、シート状の部材51を絶縁層44に圧着して突起部43bの一部を絶縁層44の上面に露出させたものを個片化して電子部品40を得る。さらに、この電子部品40を第2の絶縁層内に再配置して再配線を行う。さらに、絶縁層44を覆う第3の絶縁層(半硬化状態)を形成後、上記再配線を介して突起部43bに接続される導体が形成された第1の構造体と、これと同様の工程を経て作製された第2の構造体とを重ね合わせ、第3の絶縁層を熱硬化させて一体化したものに対し、さらに再配線を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品内蔵配線基板の製造方法に関し、特に、高密度化及び高機能化に対応すべく半導体素子等の電子部品を内蔵した配線基板(電子部品内蔵配線基板)の製造方法に関する。
【0002】
かかる配線基板は、半導体素子等の電子部品を表面実装する役割も果たすことから、以下の記述では便宜上、「半導体パッケージ」もしくは単に「パッケージ」ともいう。
【背景技術】
【0003】
近年、半導体素子(チップ)等の電子部品を組み込んだ半導体装置を用いた電子機器の高性能化が進められており、かかる半導体装置において配線基板(パッケージ)に半導体チップを実装する場合の高密度化や、チップを搭載した基板の小型化、省スペース化などが要求されている。このため、半導体チップ等の電子部品が埋め込まれた配線基板が提案されており、半導体チップ等を内蔵させるための様々な構造や方法が提案されている。
【0004】
例えば、チップ内蔵基板を形成する場合、チップに接続される配線を形成する必要があり、チップ上(電極面側)に形成される絶縁層に、当該チップの電極パッドに接続されるビア配線を形成する必要がある。この場合、当該チップ上に形成された絶縁層にビアホールを形成し、当該電極パッドに電気的に接続されるように、当該ビアホール内にビア配線を形成する方法がとられてきた。そして、ビアホールの形成にレーザが用いられることが一般的であった。
【0005】
かかる従来技術に関連する技術の一例は、下記の特許文献1に記載されている。この文献に開示されている技術では、下層配線上に突起部を有するバンプを形成し、このバンプ上に絶縁層(樹脂層)を形成した後、この絶縁層にレーザ加工によりバンプに到達するビアホールを形成し、その際、バンプをレーザのストッパ層として利用し、さらに、ビアホールに充填されるビア配線とこのビア配線に接続される上層配線とを形成することで、下層配線と上層配線が接続されてなる多層配線を形成している。
【0006】
また、これに関連する他の技術は特許文献2に記載されている。この文献に開示されている技術では、半導体チップの接続端子(パッド)に突起部を有するバンプを形成しておき、このバンプ付チップをプリント基板に形成された凹部内にフェイスアップの態様で実装し、バンプの部分も含めてチップを覆うように基板上に絶縁層(樹脂層)を形成後、その樹脂層にレーザで孔明け(ビアホールを形成)してバンプを露出させ、その露出したバンプ上に配線パターンを形成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−332887号公報
【特許文献2】特許第2842378号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したように従来のチップ内蔵基板の形成方法では、上記の特許文献1等にも記載されているように、基板に内蔵されたチップの端子(電極パッド/バンプ)から配線パターンをひき出すためには、チップを埋め込むよう形成された絶縁層(樹脂層)の所要の箇所にレーザで孔明け(ビアホールを形成)してバンプを露出させる必要があった。このため、孔明け工程の手間がかかり、その分、製造工程が複雑になるといった問題があった。
【0009】
また、現状の技術では、レーザ加工により絶縁層(樹脂層)へのビア開口(ビアホールの形成)を行うと、その開口径に依存して配線のピッチが150μm程度に制限されるため、150μm程度のピッチまでしか微細化できないといった問題もあった。
【0010】
また、より一層の高密度実装に対応するためには、パッケージ(配線基板)に複数のチップを内蔵させる(二次元的にチップを配置するとパッケージサイズが大きくなるため、三次元的にチップを積み重ねる)ことが考えられる。この場合、上述した従来の技術を適用してこの三次元実装を実現しようとすると、チップの埋め込み(チップ上への絶縁層の形成)→その絶縁層にレーザで孔明け(バンプの露出)→当該チップの端子からの配線パターンのひき出し、といった一連の処理を、積層するチップの数だけ繰り返し行わなければならない。これは、製造工程を複雑にするものであり、改善の余地が残されている。
【0011】
本発明は、かかる従来技術における課題に鑑み創作されたもので、半導体素子等の電子部品を内蔵した配線基板を製造するにあたり、工程の簡素化を図り、配線の微細化を実現するとともに、より一層の高密度実装を比較的簡単に実現することができる電子部品内蔵配線基板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の従来技術の課題を解決するため、本発明に係る電子部品内蔵配線基板の製造方法は、基板本体に形成された電極パッド上に突起部を有するバンプを形成後、前記基板本体上に前記バンプを覆うように第1の絶縁層を形成し、該絶縁層にシート状の部材を圧着して前記突起部の一部を前記絶縁層の上面に露出させた後、前記シート状の部材を除去して電子部品を得る工程と、前記電子部品の少なくとも側面周囲を覆い、その一方の面が前記第1の絶縁層の表面と同一面となるように第2の絶縁層を形成する工程と、前記第1、第2の絶縁層上に、前記突起部の露出した一部に直接接続される第1の配線層を所要のパターン形状に形成する工程と、前記第1の配線層を覆うように熱硬化性材料からなる第3の絶縁層を半硬化状態で形成後、該第3の絶縁層に前記第1の配線層に達するビアホールを形成し、該ビアホールに導電性材料を充填する工程と、以上の工程を経て作製された第1の構造体と、同様の工程を経て作製された第2の構造体とを、それぞれ前記導電性材料が充填されている側の面を対向させ、その充填されている箇所を位置合わせして重ね合わせた後、半硬化状態にある前記第3の絶縁層を熱硬化させて一体化する工程と、該一体化された構造体の両面に、前記電子部品の実装エリアの周囲の領域に対応する部分において前記第1、第2の各構造体における前記第1の配線層にそれぞれ達する複数のビアホールを形成した後、該ビアホールを充填して前記第1の配線層に接続される第2の配線層を所要のパターン形状に形成する工程と、前記第2の配線層の所定の箇所に画定されたパッドの部分を露出させて保護膜を形成する工程とを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る電子部品内蔵配線基板の製造方法によれば、基板本体の電極パッド上に突起部を有するバンプを形成し、さらにシート状の部材を第1の絶縁層に圧着して突起部の一部を第1の絶縁層の上面に露出させたもの(電子部品)を、第2の絶縁層内に再配置して再配線(第1の配線層)を行っている。さらに、その再配線を行った構造体に対し、第1の絶縁層を覆う第3の絶縁層(半硬化状態)を形成後、第1の配線層を介してバンプの突起部に接続される導電性材料を充填してなる第1の構造体とし、これと同様の工程を経て作製された第2の構造体と重ね合わせ、第3の絶縁層を熱硬化させて一体化したものに対し、さらに再配線(第2の配線層)を行っている。
【0014】
このように本発明に係る方法では、再配線に先立ち、従来技術で行われていたような、突起部を有するバンプの部分も含めてチップを絶縁樹脂で埋め込み、レーザで孔明けして当該バンプを露出させる、といった面倒な処理を行わなくても、シート状の部材を第1の絶縁層に圧着することでバンプの先端(突起部の一部)を第1の絶縁層から容易に露出させることができる。これにより、その露出したバンプの先端から直接配線パターン(第1の配線層)をひき出すことができる。つまり、内蔵される電子部品の端子との接続に際し、従来技術で行われていたようなレーザによる孔明け工程が省略できるので、工程の簡素化を図ることができる。
【0015】
また、レーザ加工による絶縁層へのビア開口(ビアホールの形成)を行う必要がなく、第1の絶縁層から露出したバンプの先端(突起部の一部)に直接パターニングを行うことができる。これにより、従来のレーザによる孔明けに起因して制限されていた配線のピッチ(150μm程度までのピッチ)に左右されることなく、現状の技術で可能とされている100μm以下のピッチの微細配線を行うことが可能となる。
【0016】
また、本配線基板には2個の電子部品が積層された形で内蔵されているが、この積層構造は、第1、第2の構造体を重ね合わせて一体化することにより、形成されている。つまり、従来のようにチップの埋め込み(チップ上への絶縁層の形成)→その絶縁層にレーザで孔明け(バンプの露出)→当該チップの端子からの配線パターンのひき出し、といった一連の処理を、積層するチップの数だけ繰り返し行う必要がなく、あらかじめユニット化された第1、第2の構造体を組み合わせることで、より一層の高密度実装を比較的簡単に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態に係る電子部品内蔵配線基板(パッケージ)の構成を示す断面図である。
【図2】図1の電子部品内蔵配線基板の製造工程の一例(その1)を示す断面図である。
【図3】図2の製造工程に続く製造工程(その2)を示す断面図である。
【図4】図3の製造工程に続く製造工程(その3)を示す断面図である。
【図5】図4の製造工程に続く製造工程(その4)を示す断面図である。
【図6】図5の製造工程に続く製造工程(その5)を示す断面図である。
【図7】図6の製造工程に続く製造工程(その6)を示す断面図である。
【図8】図7の製造工程に続く製造工程(その7)を示す断面図である。
【図9】図8の製造工程に続く製造工程(その8)を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の好適な実施の形態について、添付の図面を参照しながら説明する。
【0019】
図1は本発明の一実施形態に係る電子部品内蔵配線基板(パッケージ)の構成を断面図の形態で示したものである。
【0020】
本実施形態に係る電子部品内蔵配線基板(パッケージ)10は、基本的には、それぞれ電子部品40を内蔵する下半分体20と上半分体30とが上下に積層されて一体化された構造を有している。各半分体20,30に内蔵される電子部品40は、後述するようにウエハレベルパッケージのプロセスを用いてシリコン(Si)ウエハに作り込まれた複数のデバイスを各デバイス単位にダイシング(個片化)して得られたチップ(「ダイ」ともいう。)である。
【0021】
内蔵された各チップ(電子部品)40の回路が形成されている側の面(フェイス面)には、電極パッド41の部分のみを露出させて保護膜(パッシベーション膜)42が形成されている。電極パッド41は、回路形成面上に所要のパターン形状で形成されたアルミニウム(Al)等の配線層の一部分に画定され、パッシベーション膜42は、例えば、窒化シリコン(SiN)やリンガラス(PSG)等からなる。チップ40の電極パッド41上には突起部を有するバンプ43が形成されており、このバンプ43は、電極パッド41に接合されるバンプ本体43aと、このバンプ本体43aから突出する突起部43bとから構成されている。例えば、ワイヤボンディング装置を用いて、金(Au)のボンディングワイヤにより形成することができる。
【0022】
さらに、チップ40のパッシベーション膜42上には、バンプ43の突起部43bの端面のみを露出させて絶縁層44が形成されている。この絶縁層44は、例えば、エポキシ系の樹脂により形成されており、チップ40の回路形成面及びバンプ43を保護するとともに、バンプ43の先端に接続される配線パターン(後述する再配線)を形成する際のベース材となるものである。
【0023】
各半分体20,30において、それぞれ内蔵された各チップ40(絶縁層44の部分も含む)の側面周囲を覆うように絶縁層21,31が形成されている。図示の例では、各絶縁層21,31の両面は、それぞれチップ40の裏面(フェイス面と反対側の面)及びチップ40の絶縁層44の面と同じ高さ(同一面)となるように形成されているが、チップ40の裏面側については、必ずしも絶縁層21,31の面と同じ高さにする必要はない。つまり、各絶縁層21,31は、それぞれチップ40の裏面を覆うように形成されていてもよいし、あるいは、チップ40の裏面が僅かに突出するように形成されていてもよい。絶縁層21,31の材料としては、例えば、モールド樹脂として広く使用されている熱硬化性のエポキシ系樹脂が好適に用いられる。
【0024】
また、各半分体20,30においてチップ40の絶縁層44が形成されている側の面には、それぞれ配線層(配線パターン)22,32が所要の形状で形成されている。各配線層22,32は、それぞれ対応するチップ40の電極パッド41上のバンプ43(絶縁層44から露出している突起部43bの端面)に直接接続されている。つまり、各チップ40の接続端子(電極パッド41/バンプ43)から直接配線パターン22,32がひき出されている。また、各配線パターン22,32は、図示のようにその一部が当該チップ40の実装エリアの外側の絶縁層21,31上に延在している。
【0025】
さらに、各配線層(配線パターン)22,32を覆うように絶縁層23,33が形成されており、各絶縁層23,33には、それぞれ所定の箇所において対応する配線層22,32に達するビアホールが形成され、各ビアホールに導体(ビア)24,34が充填されている。下半分体20と上半分体30は、各々の絶縁層23,33を介して一体化されており、各半分体20,30にそれぞれ内蔵されたチップ40は、各絶縁層23,33の所定の箇所に設けられた導体ビア24,34を介して電気的に接続されている。
【0026】
また、各半分体20,30において絶縁層23,33が形成されている側と反対側の面には、それぞれ当該チップ40及び絶縁層21,31を覆うように絶縁層25,35が形成されている。下半分体20の絶縁層25には、所定の箇所においてそれぞれ配線層22及び上半分体30の配線層32に達するビアホールが形成され、各ビアホールにそれぞれ導体(ビア)26a及び26bが充填されている。同様に、上半分体30の絶縁層35には、所定の箇所においてそれぞれ配線層32及び下半分体20の配線層22に達するビアホールが形成され、各ビアホールにそれぞれ導体(ビア)36a及び36bが充填されている。また、各絶縁層25,35上には、それぞれ対応する導体ビア26a,26b,36a,36bに接続される配線層(配線パターン)27,37が所要の形状で形成されている。本実施形態では、これら配線層27,37は、本パッケージ10の最外層の配線層となっている。
【0027】
配線層22,27,32,37及び導体ビア24,34,26a,26b,36a,36bの材料としては、代表的に銅(Cu)が用いられ、絶縁層23,25,33,35の材料としては、ビルドアップ樹脂として広く使用されている熱硬化性のエポキシ系樹脂やポリイミド系樹脂等が用いられる。
【0028】
各配線パターン22,27,32,37は、「再配線」とも呼ばれており、内蔵された各チップ40の電極パッド41(バンプ43)の位置と、後述する外部接続端子等が接合される外部接続用のパッド27P,37Pの位置とを異ならせるために設けられている。本実施形態では、この再配線により、外部接続用のパッド27P,37Pが配置されるエリアがチップ実装エリアの周囲に拡張された形態(ファンアウト)を実現している。
【0029】
また、本パッケージ10において最外層の配線層27,37には、それぞれ所定の箇所にパッド27P,37Pが画定されている。さらに、各パッド27P,37Pの部分を露出させてそれぞれ表面を覆うように保護膜としてのソルダレジスト層28,38が形成されている。
【0030】
各ソルダレジスト層28,38から露出するパッド27P,37Pには、本パッケージ10をマザーボード等の実装用基板に実装する際に使用される外部接続端子(図示の例では、はんだボール29)や、本パッケージ10に表面実装される半導体素子(図示せず)の電極端子等が接合されるので、各パッド(Cu)27P,37Pにニッケル(Ni)めっき及び金(Au)めっきをこの順に施しておくのが望ましい。これは、外部接続端子等を接合したときのコンタクト性を良くするためと、パッド(Cu)とAu層との密着性を高め、CuがAu層中へ拡散するのを防ぐためである。つまり、パッド27P,37PはCu/Ni/Auの3層構造となっている。
【0031】
また、半導体素子が表面実装される側のパッド37Pには、顧客等の便宜を考慮して、半導体素子の実装時にその電極端子(Auバンプやはんだバンプ等)と接続し易いように予めプリソルダ等によりはんだ39が被着されている。このはんだ39には、例えば、錫(Sn)−鉛(Pb)系の共晶はんだ(Sn:62%、Pb:38%)、環境に配慮した鉛フリーはんだ(例えば、Sn−銀(Ag)系、Sn−亜鉛(Zn)系、Sn−Cu系)などが適宜用いられる。
【0032】
なお、図1の例ではパッド27P上に外部接続端子29を設けているが、これは必ずしも設ける必要はない。要は、必要なときに外部接続端子(はんだボールやピン等)を接合できるように当該パッド27Pが露出していれば十分である。
【0033】
次に、本実施形態に係る電子部品内蔵配線基板(パッケージ)10を製造する方法について、その製造工程の一例を示す図2〜図9を参照しながら説明する。各工程図のうち図2(a)〜図3(c)は、本パッケージ10に内蔵される電子部品(半導体チップ40)を作製する工程を示している。
【0034】
先ず最初の工程では(図2(a)参照)、公知のウエハレベルパッケージのプロセスを用いて、それぞれ所要の電子回路が形成された複数の領域DR(それぞれ1個の半導体チップ40に相当する)を有する半導体基板(ウエハ)40Aを作製する。例えば、所定の大きさ(8インチ、12インチ等)のシリコンウエハに対し、その一方の面側に所要のデバイスプロセスを施して複数のデバイスをアレイ状(各領域DR)に作り込み、そのデバイスが形成されている側の面に、各デバイス上に所要のパターンで形成されたアルミニウム(Al)の配線の一部に画定される電極パッド41の部分のみを露出させて、例えば、窒化シリコン(SiN)からなる保護膜(パッシベーション膜)42を形成する。
【0035】
次の工程では(図2(b)参照)、基板(ウエハ)40Aから露出する電極パッド41上に、例えば、ワイヤボンディング装置を用いてバンプ43を形成する。このバンプ43は、金(Au)からなるボンディングワイヤ(太さが20〜50μm程度)により形成される。すなわち、ワイヤボンディング装置を用いて、Auワイヤの電極パッド41への接合と、その接合後のAuワイヤの切断を連続的に行うことで、電極パッド41に接合されるバンプ本体43aと、このバンプ本体43aから突出する突起部43bを形成することができる(突起部43bを有するバンプ43の形成)。この場合、突起部43bの端面の大きさは、切断されたAuワイヤの太さ(20〜50μm程度)によって決まる。
【0036】
次の工程では(図2(c)参照)、基板40Aの保護膜42上に、例えば、エポキシ系の樹脂材料からなる絶縁層44を形成する。この絶縁層44は、例えば、NCFと呼ばれる、フィラー等の硬度調整材料が殆ど添加されていない軟らかい樹脂材料を用いることが好ましい。この絶縁層44が形成された状態で、電極パッド41上のバンプ43は絶縁層44内に位置している。このとき、バンプ43の先端(突起部43bの端面)は、図示のように必ずしも絶縁層44の上面から露出させる必要はない。
【0037】
次の工程では(図3(a)参照)、絶縁層44上に、この絶縁層44と対向する側の面が粗面とされたシート状の部材(例えば、銅箔51)を配設し、図中矢印で示すように銅箔51を絶縁層44に圧着する。これにより、絶縁層44も押圧され、バンプ43の突起部43bの一部は絶縁層44の上面に露出した状態となる。
【0038】
その際、絶縁層44を構成するNCF等は軟らかい樹脂材料であるため、絶縁層44から突起部43bを確実に露出させることができる。このため、絶縁層44の厚さは、この圧着処理時に突起部43bが確実に絶縁層44の上面から露出される厚さに選定されている。この圧着処理により、各バンプ43の突起部43bは銅箔51により押圧され、各々の先端部の高さが均一化(レベリング)される。また、この際に用いられる銅箔51は、その絶縁層44と対向する側の面が粗面とされているため、絶縁層44の銅箔51が圧接された面(突起部43bの端面を含む)は、銅箔51の粗面が転写された状態(つまり、粗化された状態)となる。
【0039】
なお、絶縁層44の材料は上記のNCFに限定されるものではなく、他の絶縁材料(樹脂材料)を用いることも可能である。例えば、ビルドアップ樹脂(フィラー入りのエポキシ系樹脂)や、ACFと呼ばれる樹脂材料等を用いてもよい。また、絶縁層44に圧着されるシート状の部材は、必ずしも銅箔51である必要はない。例えば、PET等の樹脂材料からなるテンポラリーフィルムや、予め樹脂フィルムの片面に銅箔が設けられた片面銅箔付き樹脂フィルム等を用いることも可能である。
【0040】
次の工程では(図3(b)参照)、上記の圧着処理において使用した銅箔51を、例えば、エッチング法を用いて除去する。上述したように、圧着処理時において各バンプ43の突起部43bは、絶縁層44の上面に露出されると共にレベリングされている。このため、銅箔51が除去された状態において、各バンプ43の突起部43b(端面)は、図示のように絶縁層44の上面に露出した状態となっている。
【0041】
次の工程では(図3(c)参照)、必要に応じて基板(ウエハ)40Aの裏面研削を行い、所要の厚さに薄くした後、各領域DRの境界に沿って基板40Aのダイシングを行い個片化する。これにより、図示のように絶縁層44が形成されている側の面にバンプ43の突起部43b(端面)が露出したチップ(ダイ)40を得ることができる。
【0042】
特に図示はしないが、各チップ単位に個片化する際には、そのウエハ40Aを、ダイシング用フレームに支持されたダイシング用テープ上に、ダイ・アタッチ・フィルムを介在させて、ウエハ40Aの回路形成面側と反対側の面を接着させて搭載し、ダイサーのブレードにより、各領域DRを画定する線に沿ってウエハ40Aを切断した後、個々に分割された各チップ40をピックアップする。その際、個々のチップ40の裏面にはダイ・アタッチ・フィルムが付いているが、図3(c)の例ではその図示を省略している。
【0043】
次の工程では(図4(a)参照)、上記の工程を経て作製された半導体チップ40を、その電極パッド41(バンプ43)が形成されている側の面を下にしたフェイスダウンの態様で、支持基材52上に所要個数、配置する。この支持基材52は、例えば、片面に粘着剤が塗布されたポリイミド樹脂等のテープであり、このテープ52の粘着剤が塗布されている側の面(図示の例では上側)に各チップ40が貼り付けられる態様で搭載される。つまり、このテープ(支持基材)52は、各チップ40をそれぞれ規定の位置に保持するための一時的な基材としての役割を果たす。
【0044】
チップ40を支持基材52上の規定の位置に搭載する際には、例えば、以下の方法を用いて搭載する。先ず、シリコン基板やガラス基板等の別の基材を用意し、この基材の一方の面に薄膜配線プロセスを用いて高い精度(1μm以下)のアライメントパターンを形成しておき、この基材を支持基材52の下面側に配置した状態で、支持基材52の上方から透かして見えるアライメントパターンを顕微鏡等で読み取り、その検出位置(パターン位置)に合わせて各チップ40をそれぞれ規定の位置に搭載する。この方法によれば、支持基材52上に搭載される各チップ40を高精度で整列させることができる。
【0045】
次の工程では(図4(b)参照)、支持基材52のチップ40が搭載されている側の面に、各チップ40(絶縁層44の部分も含む)の少なくとも側面周囲を覆うように絶縁層21を形成する。この絶縁層21の材料としては、モールド樹脂として使用されている熱硬化性のエポキシ系樹脂やポリエステル系樹脂等、あるいはアンダーフィル樹脂として使用されている液状エポキシ樹脂等が用いられる。つまり、樹脂材料を用いて各チップ40間を充填するように絶縁層21を形成する。
【0046】
また、使用する樹脂の形態としては、液状の樹脂に限らず、タブレット状の樹脂や粉末状の樹脂を用いてもよい。絶縁層21の形成(樹脂の充填)は、トランスファモールド法やポッティング法などの方法を用いて実施することができる。あるいは、印刷法によりペースト状の樹脂を塗布する方法でも可能である。
【0047】
なお、本工程において絶縁層(樹脂層)21を形成した際に樹脂の一部がチップ40の裏面(バンプ43が形成されている側と反対側の面)上に残存する場合も考えられるが、この場合であっても、後述するように最終的にチップ40の裏面は絶縁層25,35で被覆されるので、特に問題が生じることはない。
【0048】
次の工程では(図4(c)参照)、チップ40を保持する一時的な基材として利用したテープ(支持基材)52を剥離し、除去する。その際、図4(a)の工程においてアライメントパターンの付いた基材を使用した場合には、この基材も併せて除去する。
【0049】
これによって、図示のようにチップ40のバンプ43の先端(突起部43bの端面)が絶縁層44の表面と同じ面上に露出し、かつ、チップ40の側面周囲を覆う絶縁層21の上面及び下面がそれぞれチップ40の裏面及び絶縁層44の表面と同一面とされた構造体53が作製されたことになる。
【0050】
次の工程では(図5(a)参照)、その構造体53においてチップ40の絶縁層44が形成されている側の面に、この絶縁層44から露出するバンプ43の突起部43bの端面に直接接続される配線層(配線パターン)22を形成する。この配線パターン22を形成する方法としては、セミアディティブ法やサブトラクティブ法等を用いることができる。以下に説明する具体例では、セミアディティブ法を用いている。
【0051】
先ず、チップ40の絶縁層44が形成されている側の全面(絶縁層21上も含む)に、スパッタリングや無電解めっき等によりシード層(図示せず)を形成する。例えば、全面にクロム(Cr)もしくはチタン(Ti)をスパッタリングにより堆積させ(密着金属層:Cr層もしくはTi層)、その上に銅(Cu)をスパッタリングにより堆積させて、2層構造のシード層を形成する。その際、上述したように絶縁層44の表面は粗化された状態(粗面)にあるので(図3(a)の工程)、この粗面上にCr層(Ti層)が形成されると、このCr層(Ti層)は粗面の凹凸に食い込んだ状態となり、絶縁層44との間にアンカー効果が生じる。また、絶縁層44の粗面はCr層(Ti層)の表面にも履歴されるため、その上に形成されるCu層との間にもアンカー効果が生じる。これにより、絶縁層44とシード層(Cr(Ti)/Cu)の密着度が向上し、このシード層上に形成される配線パターンとバンプ43の突起部43bとの接続信頼性を高めることができる。
【0052】
このようにしてシード層を形成した後、その表面(Cu層表面)の脱水ベークを行い、液状のフォトレジスト(ノボラック系樹脂、エポキシ系樹脂等の液状レジスト)を塗布して乾燥させた後、マスク(図示せず)を用いて露光及び現像(フォトレジストのパターニング)を行い、レジスト層を形成する。このフォトレジストのパターニングは、形成すべき配線パターン22の形状に従って行う。液状のフォトレジストの代わりに、感光性のドライフィルム(レジスト材料をポリエステルのカバーシートとポリエチレンのセパレータシートの間に挟んだ構造のフィルム)をラミネートして、そのパターニングを行ってもよい。さらに、このパターニングされたレジスト層をマスクにして、シード層を給電層として利用した電解Cuめっきにより、所要の形状にCuの配線パターン22を形成する。
【0053】
この後、アセトンやアルコール等を用いてフォトレジストを除去する。フォトレジストの代わりにドライフィルムを使用した場合には、水酸化ナトリウム(NaOH)やモノエタノールアミン系等のアルカリ性の薬液を用いてドライフィルムを除去する。さらに、ウエットエッチングにより、露出しているシード層を除去する。この場合、先ずCuを溶かすエッチング液でシード層の上層部分のCu層を除去し、次にCr(Ti)を溶かすエッチング液で下層部分のCr層(Ti層)を除去する。そして、所定の表面洗浄を行う。
【0054】
これによって、図5(a)に示すように構造体53の一方の面に、チップ40のバンプ43の先端(突起部43bの端面)に接続された配線層22が形成されたことになる。
【0055】
なお、Cuを溶かすエッチング液を用いたとき、配線層22を構成するCuも除去されてそのパターンが断線するように見えるが、実際にはかかる不都合は生じない。その理由は、上述したようにシード層の上層部分はCuのスパッタリングにより形成されるためその膜厚はミクロンオーダー以下であるのに対し、配線層22は電解Cuめっきにより形成されるためその膜厚は少なくとも10μm程度であるので、シード層のCuは完全に除去されても、配線層(Cu)22についてはその表層部分のみが除去される程度であり、配線パターンが断線することはないからである。
【0056】
次の工程では(図5(b)参照)、その構造体53の配線層22が形成されている側の面に、この配線層22を覆うようにして絶縁層23を形成する。例えば、ビルドアップ樹脂として使用されている熱硬化性のエポキシ系樹脂やポリイミド系樹脂等からなる樹脂フィルムをラミネートして樹脂層(絶縁層23)を形成する。ただし、この段階では、その樹脂層(絶縁層23)を硬化させずに、半硬化状態にしておく。
【0057】
次の工程では(図5(c)参照)、その半硬化状態とされた樹脂層(絶縁層23)の所定の箇所に、炭酸ガスレーザ、エキシマレーザ等による穴明け加工により、その下層の配線層22に達するビアホールVHを形成する。
【0058】
次の工程では(図6(a)参照)、その形成されたビアホールVH(図5(c)参照)に、スクリーン印刷法により導電性ペースト(例えば、銀(Ag)ペーストや銅(Cu)ペースト等)24Aを充填する。この充填された導電性ペースト24Aは、後の工程で熱硬化されて導体ビア24を構成する。
【0059】
これによって、図示のように構造体53の一方の面に形成された絶縁層23の表面と同じ面上に導電性ペースト24Aの端面が露出し、かつ、この導電性ペースト24Aが配線パターン(再配線)22を介してチップ40のバンプ43の先端(突起部43bの端面)に接続された構造体54が作製されたことになる。
【0060】
次の工程では(図6(b)参照)、その構造体54に対し、上記の工程と同様の工程を経て作製された別の構造体54aを用意し、両者を重ね合わせる。すなわち、同様にしてチップ40を内蔵し、このチップ40の絶縁層44が形成されている側の面(絶縁層31上を含む)に形成された絶縁層33の表面と同じ面上に導電性ペースト34Aの端面が露出し、この導電性ペースト34Aが配線パターン(再配線)32を介して当該チップ40のバンプ43の先端(突起部43bの端面)に接続された構造体54aを作製し、上記の構造体54とこの構造体54aとを、それぞれ導電性ペースト24A,34Aが充填されている側の面を対向させ、その充填されている箇所を位置合わせして重ね合わせる。
【0061】
次の工程では(図7(a)参照)、その重ね合わされた2つの構造体54,54aを、その間に介在された半硬化状態にある樹脂層(絶縁層23,33)を熱硬化させて、接着する。これにより、各構造体54,54aは、硬化された樹脂層(絶縁層23,33)を介して一体化されるとともに、各導体ビア24,34(導電性ペースト24A,34Aを熱硬化させたもの)を介して電気的に接続される。つまり、各構造体54,54aに内蔵された各チップ40のバンプ43(突起部43b)は、それぞれ配線パターン(再配線)22,32及び導体ビア24,34を介して電気的に接続される。
【0062】
また、上述したように絶縁層44の表面は粗化された状態(粗面)にあるので、この粗面上に形成された樹脂層(絶縁層23,33)は、熱硬化された際に粗面の凹凸に食い込んだ状態となる。これにより、各絶縁層23,33と各チップ40の絶縁層44との間にアンカー効果が生じ、両絶縁層間の密着度が向上する。
【0063】
次の工程では(図7(b)参照)、前の工程で一体化された構造体54,54aの両面に、それぞれエポキシ系樹脂やポリイミド系樹脂等からなる絶縁層25及び35を形成する。例えば、エポキシ系樹脂フィルムを両面にラミネートし、各樹脂フィルムをプレスしながら130〜150℃の温度で熱処理して硬化させることにより、それぞれ樹脂層(絶縁層25,35)を形成することができる。
【0064】
次の工程では(図8(a)参照)、一体化された構造体54,54aの両面に形成された各絶縁層25,35の所定の箇所に、炭酸ガスレーザ、エキシマレーザ等による穴明け加工により、ビアホールVH1,VH2,VH3及びVH4を形成する。図示の例では、ビアホールVH1は、構造体54側の絶縁層25から絶縁層21を貫通して配線層22に達するように形成され、ビアホールVH2は、構造体54側の絶縁層25から絶縁層21及び絶縁層23を貫通し、さらに構造体54a側の絶縁層33を貫通して配線層32に達するように形成されている。また、ビアホールVH3は、構造体54a側の絶縁層35から絶縁層31を貫通して配線層32に達するように形成され、ビアホールVH4は、構造体54a側の絶縁層35から絶縁層31及び絶縁層33を貫通し、さらに構造体54側の絶縁層23を貫通して配線層22に達するように形成されている。
【0065】
次の工程では(図8(b)参照)、一体化された構造体54,54aの両面に形成された各絶縁層25,35上に、それぞれ所定の箇所に形成された各ビアホールVH1,VH2,VH3,VH4を充填(導体ビア26a,26b,36a,36bを形成)して各配線層22,32に接続される配線層(配線パターン)27及び37を形成する。この配線層27,37は、例えば、図5(a)の工程で行った処理と同様にしてセミアディティブ法により形成することができる。
【0066】
ここで形成された配線層27,37は、本実施形態では最外層の配線層を構成する。しかし、必要に応じて、図7(b)〜図8(b)の工程で行った処理と同様の処理を繰り返して所要の層数となるまで、絶縁層と配線層を交互に積み重ねて積層してもよい。
【0067】
次の工程では(図9(a)参照)、最外層の配線層27,37に対し、必要に応じてその表面に粗化処理を施した後、各配線層27,37の所定の箇所に画定されたパッド27P,37Pの部分を露出させてそれぞれ表面(絶縁層25,35及び配線層27,37)を覆うようにソルダレジスト層(絶縁層)28,38を形成する。例えば、感光性のソルダレジストフィルムをラミネートし、又は液状のフォトレジストを塗布し、当該レジストを所要の形状にパターニングすることで、ソルダレジスト層28,38を形成することができる。これによって、各ソルダレジスト層28,38の開口部からパッド27P,37Pが露出する。
【0068】
さらに、その露出しているパッド(Cu)27P,37Pに、Niめっき及びAuめっきをこの順に施す。Ni/Auめっきを施す理由は、上述した通りである。
【0069】
最後の工程では(図9(b)参照)、一方のソルダレジスト層28から露出しているパッド27Pに、表面処理剤としてのフラックスを塗布した後、外部接続端子として用いるはんだボール29を搭載し、240〜260℃程度の温度でリフローして固定する。同様にして、他方のソルダレジスト層38から露出しているパッド37Pには、適量のはんだ39を被着させる。その後、表面を洗浄してフラックスを除去する。
【0070】
さらに、図中破線D−D’で示すように、個々のファンアウト構造のパッケージ(上下方向に配置された2個のチップ40を内蔵し、各チップ40に対応する外部接続用のパッド27P,37Pの配置エリアがチップ実装エリアの周囲に拡張された部分を含む基板)単位に切断分割して、本実施形態の電子部品内蔵配線基板10(図1)を得ることができる。
【0071】
なお、図9(b)の例ではパッド27P上に外部接続端子29を設けているが、上述したように必ずしも設ける必要はなく、必要なときに外部接続端子を接合できるように当該パッド27Pを露出させた状態のままにしておいてもよい。
【0072】
以上説明したように、本実施形態に係る電子部品内蔵配線基板10(図1)及びその製造方法(図2〜図9)によれば、ウエハレベルパッケージのプロセスを用いて基板(シリコンウエハ)40Aの電極パッド41上に突起部43bを有するバンプ43を形成し、さらに銅箔51(又は樹脂フィルム)を絶縁層44に圧着して突起部43bの一部を絶縁層44の上面に露出させたものを個片化し、その個片化されたチップ40を樹脂層(絶縁層21,31)内に再配置して再配線(配線パターン22,32)を行っている。さらに、その再配線を行った構造体を2つ(54,54a)用意し、これら構造体を重ね合わせて一体化したものに対し、再配線(配線パターン27,37)を行っている。
【0073】
その再配線は、各チップ40の電極パッド41上のバンプ43からそれぞれ直接配線パターン22,32をひき出し、そのひき出された配線パターン22,32が、最外層の配線層27,37の、チップ実装エリアの下方(上方)に対応する部分だけでなくその外側エリアに対応する部分にも画定された外部接続用のパッド27P,37Pに電気的に繋がるように行っている。
【0074】
このように本実施形態では、再配線に先立ち、従来技術(前述した特許文献1等)で行われていたような、突起部を有するバンプの部分も含めてチップを絶縁樹脂で埋め込み、レーザで孔明けして当該バンプを露出させる、といった面倒な処理を行わなくても、図3に示したように銅箔51を絶縁層44に圧着することでバンプ43の先端(突起部43bの端面)を絶縁層44から容易に露出させることができる。これにより、その露出したバンプ43の先端から直接配線パターンをひき出し、所望の再配線を行ってファンアウト構造のパッケージ(電子部品内蔵配線基板10)を得ることができる。つまり、内蔵される電子部品(チップ40)の電極端子との接続に際し、レーザによる孔明け工程が省略できるので、工程の簡素化を図ることができる。
【0075】
また、従来技術で行われていたようなレーザ加工による絶縁層へのビア開口(ビアホールの形成)を行う必要がなく、絶縁層44から露出したバンプ43の先端(突起部43bの端面)に直接パターニングを行うことができる。これにより、従来のレーザによる孔明け(ビアホールの形成)に起因して制限されていた配線のピッチ(150μm程度までのピッチ)に左右されることなく、現状の技術で可能とされている100μm以下のピッチの微細配線を行うことが可能となる。ちなみに、バンプ43の突起部43bは、上述したように金(Au)のボンディングワイヤ(太さが20〜50μm程度)を切断することによって形成されるので、絶縁層44から露出している突起部43bの端面の大きさは20〜50μm程度であり、上記の微細配線は十分に実現可能である。
【0076】
また、本パッケージ10には2個のチップ40が積層された形で内蔵されているが、この積層構造は、図6(a)に示す構造体54(個片化されたチップ40を樹脂層21内に再配置して再配線(配線パターン22)を行い、さらに絶縁層23で被覆し、その絶縁層23の表面と同じ面上に、チップ40のバンプ43の先端(突起部43bの端面)に電気的に接続された導電性ペースト24Aの端面が露出したもの)に対し、この構造体54を作製した工程と同様の工程を経て作製された別の構造体54aを重ね合わせて一体化することにより、形成されている。
【0077】
つまり、従来のようにチップの埋め込み(チップ上への絶縁層の形成)→その絶縁層にレーザで孔明け(バンプの露出)→当該チップの端子からの配線パターンのひき出し、といった一連の処理を、積層するチップの数だけ繰り返し行う必要がなく、あらかじめユニット化された構造体54,54aを組み合わせることで、三次元実装(より一層の高密度実装)を比較的簡単に実現することができる。
【0078】
上述した実施形態に係る電子部品内蔵配線基板10(図1)の構成では、2個のチップ40を内蔵させた場合を例にとって説明したが、本発明の要旨からも明らかなように、配線基板に内蔵されるチップの個数が2個に限定されないことはもちろんである。必要に応じて、積層方向のスペースが許容される範囲内で3個以上のチップを積層して内蔵させることも可能である。この場合、更なる高密度化及び高機能化に対応することができる。
【符号の説明】
【0079】
10…電子部品内蔵配線基板(パッケージ)、
21,23,25,31,33,35,44…樹脂層(絶縁層)、
22,27,32,37…配線層(配線パターン/再配線)、
24,26a,26b,34,36a,36b…導体ビア、
28,38…ソルダレジスト層(保護膜/絶縁層)、
27P,37P…外部接続用のパッド、
40…半導体チップ(電子部品)、
40A…半導体基板(基板本体)、
41…電極パッド、
43(43a,43b)…突起部を有するバンプ、
51…銅箔(シート状の部材)、
52…テープ(支持基材)、
54,54a…(第1、第2の)構造体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板本体に形成された電極パッド上に突起部を有するバンプを形成後、前記基板本体上に前記バンプを覆うように第1の絶縁層を形成し、該絶縁層にシート状の部材を圧着して前記突起部の一部を前記絶縁層の上面に露出させた後、前記シート状の部材を除去して電子部品を得る工程と、
前記電子部品の少なくとも側面周囲を覆い、その一方の面が前記第1の絶縁層の表面と同一面となるように第2の絶縁層を形成する工程と、
前記第1、第2の絶縁層上に、前記突起部の露出した一部に直接接続される第1の配線層を所要のパターン形状に形成する工程と、
前記第1の配線層を覆うように熱硬化性材料からなる第3の絶縁層を半硬化状態で形成後、該第3の絶縁層に前記第1の配線層に達するビアホールを形成し、該ビアホールに導電性材料を充填する工程と、
以上の工程を経て作製された第1の構造体と、同様の工程を経て作製された第2の構造体とを、それぞれ前記導電性材料が充填されている側の面を対向させ、その充填されている箇所を位置合わせして重ね合わせた後、半硬化状態にある前記第3の絶縁層を熱硬化させて一体化する工程と、
該一体化された構造体の両面に、前記電子部品の実装エリアの周囲の領域に対応する部分において前記第1、第2の各構造体における前記第1の配線層にそれぞれ達する複数のビアホールを形成した後、該ビアホールを充填して前記第1の配線層に接続される第2の配線層を所要のパターン形状に形成する工程と、
前記第2の配線層の所定の箇所に画定されたパッドの部分を露出させて保護膜を形成する工程とを含むことを特徴とする電子部品内蔵配線基板の製造方法。
【請求項2】
前記電子部品を得る工程において、前記シート状の部材として、前記第1の絶縁層と対向する側の面が粗面とされた銅箔又は樹脂フィルムを用い、該銅箔又は樹脂フィルムの圧着により前記粗面を前記第1の絶縁層及び前記突起部の露出した一部に転写することを特徴とする請求項1に記載の電子部品内蔵配線基板の製造方法。
【請求項3】
前記電子部品を得る工程において、前記電極パッド上に形成される前記突起部を有するバンプは、ボンディングワイヤの前記パッドへの接合と、該接合後の該ボンディングワイヤの切断を連続的に行うことで形成されることを特徴とする請求項2に記載の電子部品内蔵配線基板の製造方法。
【請求項4】
前記第2の絶縁層を形成する工程は、支持基材上に前記電子部品をフェイスダウンの態様で配置する工程と、前記支持基材上に前記電子部品の側面周囲を覆うように前記第2の絶縁層を形成する工程と、前記支持基材を除去する工程とを含むことを特徴とする請求項2に記載の電子部品内蔵配線基板の製造方法。
【請求項5】
前記電子部品は、ウエハレベルパッケージのプロセスを用いて半導体ウエハに作り込まれた複数のデバイスに対し、前記電子部品を得る工程で行った処理を施した後に、各デバイス単位に個片化して得られた半導体チップであることを特徴とする請求項2に記載の電子部品内蔵配線基板の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2010−219477(P2010−219477A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−67639(P2009−67639)
【出願日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(000190688)新光電気工業株式会社 (1,516)
【Fターム(参考)】