説明

電子部品実装システムおよび電子部品実装システムにおける実装基板の製造方法

【課題】複数の個片基板が形成された多面取り基板を対象とする場合にあっても、各個片基板に印刷された半田ペーストの位置と部品搭載位置との位置ずれを減少させることができる電子部品実装システムおよび電子部品実装システムにおける実装基板の製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】スクリーン印刷工程に先立ってマスク認識マーク22aおよび基板認識マーク4aを認識して得られた認識結果および実装位置データに基づいて当該基板4において電極43にペーストを印刷すべき複数の印刷目標位置を求めるに際し、マスク認識マーク22aの認識結果および印刷位置データに基づいて複数の印刷目標位置に複数のパターン孔22bが近似的に一致する度合いが、バッドマークBMが検出された要素基板42*を除外した条件下で極大となるように基板4をスクリーンマスク22に位置合わせする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品を基板に実装して実装基板を製造する電子部品実装システムおよび電子部品実装システムにおける実装基板の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子部品を基板に半田接合により実装して実装基板を製造する電子部品実装システムは、基板の電極に部品接合用の半田ペーストを印刷する印刷装置、半田ペーストが印刷された基板に電子部品を搭載する電子部品搭載装置、半田ペーストを溶融固化させるリフロー装置など複数の電子部品実装用装置を連結して構成されている。このような電子部品実装システムにおいては、近年電子部品の小型化や実装密度の高度化に伴って、基板に電子部品を実装する際に必要とされる位置精度も高度化している。すなわち印刷装置において電極位置に半田ペーストを印刷する際の印刷位置精度や、印刷後の基板において半田ペーストに対して電子部品を搭載する際の搭載位置精度を高いレベルで確保することが求められる。このため、印刷装置として、基板とスクリーンマスクとの位置合わせを精度良く行うことを目的とした構成が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に示す先行技術例では、2つの認識手段を水平方向に並列した構成の認識装置をスクリーンマスクと基板との間に位置させて基板とスクリーンマスクをそれぞれ同時に認識することにより、基板とマスクの位置合わせの際の昇降ストロークを小さくして、位置合わせ動作時に生じる位置ずれ誤差を極小にする例が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−130910号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら上述の先行技術例を含め従来技術においては、基板とスクリーンマスクの位置合わせに際して、以下のような不具合が生じていた。すなわち、従来は基板とスクリーンマスクとを位置合わせする際の位置基準として、スクリーンマスクの中心位置に対して基板の中心を一致させるようにしていたことから、基板に材質の特性や製造過程における熱変形などに起因する伸縮が生じている場合には、基板の周辺領域では伸縮変形がほとんどないスクリーンマスクのパターンと基板の電極とが一致せず、位置ずれを生じる結果となっていた。そしてこのような状態でスクリーン印刷が実行されると、半田ペーストは電極から位置ずれした状態で基板に印刷される。
【0006】
部品実装の対象となる基板には、部品実装点の位置と関連づけられて複数の認識マークが設けられており、部品搭載工程ではこれらの認識マークを撮像して認識した認識結果に基づいて、各部品実装点へ電子部品を搭載する際の目標位置となる搭載位置データが演算される。そして上述のように基板に伸縮が生じている場合には認識マークの位置も同様に変位していることから、認識マークの認識結果に基づいて演算される搭載位置データは基板の伸縮に伴う変位分が補正されたものとなっている。
【0007】
したがって、スクリーンマスクのパターンによって印刷された半田ペーストの位置と、認識マークの認識によって補正された補正後の部品搭載位置とは一致せず、搭載後の電子部品は半田ペーストから位置ずれした状態となる。そしてこのように生じる位置ずれ量が過大になると、リフロー過程において溶融半田の表面張力の不均衡によって「部品立ち」や「ブリッジ」などの接合不具合を生じる。このような不具合を極力防止するためには、スクリーンマスクのパターンと認識マークの認識によって補正された補正後の部品搭載位置とが極力一致するように、基板とスクリーンマスクとの位置合わせ時の位置補正を行うことが望ましい。
【0008】
ところで部品実装の対象となる基板には、複数の個片基板が形成された多面取り基板がある。これらの多面取り基板は予め前工程の基板検査において各個片基板毎に良否が検査され、不良基板と判定された個片基板には後工程において作業対象とする必要がないことを示すバッドマークが形成される。そしてこれ以降の工程においてバッドマークが検出された個片基板は作業対象から除外されるが、スクリーン印刷においては多面取り基板の全体に対して一括して印刷作業が実行されることから、上述の基板とスクリーンマスクとの位置合わせにおいてはバッドマークが付された個片基板のランドも位置合わせの対象となる。
【0009】
そしてバッドマークを伴うランドが正規位置から位置ずれしている場合には、これらの位置ずれ状態のランドを含めて位置補正がなされることから、必ずしも適正な位置補正結果が得られるとは限らず、必要とされる位置合わせ精度を低下させる結果となっていた。このように、従来技術においては、複数の個片基板が形成された多面取り基板を対象とする場合に、各個片基板に印刷された半田ペーストの位置と部品搭載位置に位置ずれが生じ、接合不具合を生じる場合があるという課題があった。
【0010】
そこで本発明は、複数の個片基板が形成された多面取り基板を対象とする場合にあっても、各個片基板に印刷された半田ペーストの位置と部品搭載位置との位置ずれを減少させることができる電子部品実装システムおよび電子部品実装システムにおける実装基板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の電子部品実装システムは、複数の電子部品実装用装置を連結して構成され、複数の個片基板が形成された多面取りの基板に電子部品を実装して実装基板を製造する電子部品実装システムであって、前記電子部品実装用装置には、前記個片基板に形成された電極に部品接合用のペーストを印刷するスクリーン印刷装置と、部品供給部から搭載ヘッドによって電子部品をピックアップし前記ペーストが印刷された個片基板に搭載する電子部品搭載装置とを含み、前記スクリーン印刷装置は、前記ペーストが供給されたスクリーンマスク上でスキージを摺動させることにより、前記スクリーンマスクに形成されたパターン孔を介して基板位置決め部に位置決め保持された前記基板の各個片基板にペーストを印刷するスクリーン印刷機構と、前記スクリーンマスクに形成されたマスク認識マークおよび前記基板に形成された位置基準マークを認識する第1のマーク認識手段と、前記個片基板に形成され当該個片基板が後工程における作業実行を必要としない不良基板であることを示すバッドマークの有無を検出する第1のバッドマーク検出手段と、前記第1のマーク認識手段の認識結果に基づいて前記基板位置決め部を制御することにより、前記スクリーンマスクに対して前記基板を位置合わせする位置合わせ制御部とを備え、前記電子部品搭載装置は、前記搭載ヘッドによって電子部品を前記ペーストが印刷された個片基板の部品搭載位置に搭載する部品搭載機構と、前記個片基板に形成された基板認識マークを認識する第2のマーク認識手段と、前記バッドマークの有無を検出する第1のバッドマーク検出手段と、前記第2のマーク認識手段の認識結果に基づいて前記部品搭載機構を制御することにより、前記電子部品を前記部品搭載位置に搭載する搭載制御部とを備え、さらに前記基板の位置合わせにおいて用いられる参照データであって、前記パターン孔の配列と前記マスク認識マークとの位置関係を示す印刷位置データおよび前記基板における部品実装点の位置と前記位置基準マークとの位置関係を示す実装位置データとを基板品種毎に記憶するデータ記憶部とを備え、前記位置合わせ制御部は、前記第1のマーク認識手段による位置基準マークの認識結果および実装位置データに基づいて当該基板において前記ペーストを印刷すべき複数の印刷目標位置を求め、次いで前記マスク認識マークの認識結果および前記印刷位置データに基づいて前記複数の印刷目標位置に複数の前記パターン孔が近似的に一致する度合いが、前記複数の個片基板のうち前記バッドマークが検出された個片基板を除外した条件下で極大となるように前記基板を位置合わせし、前記搭載制御部は、前記バッドマークが検出された個片基板を除外して前記第2のマーク認識手段の認識結果に基づいて前記部品実装点の位置を予め定められた位置補正アルゴリズムに従って補正して前記部品搭載位置を求める。
【0012】
本発明の電子部品実装システムにおける実装基板の製造方法は、複数の電子部品実装用装置を連結して構成され、複数の個片基板が形成された多面取りの基板に電子部品を実装して実装基板を製造する電子部品実装システムにおける実装基板の製造方法であって、前記電子部品実装用装置には、前記個片基板に形成された電極に部品接合用のペーストを印刷するスクリーン印刷装置と、部品供給部から搭載ヘッドによって電子部品をピックアップし前記ペーストが印刷された個片基板に搭載する電子部品搭載装置とを含み、前記スクリーン印刷装置は、前記ペーストが供給されたスクリーンマスク上でスキージを摺動させることにより、前記スクリーンマスクに形成されたパターン孔を介して基板位置決め部に位置決め保持された前記基板の各個片基板にペーストを印刷するスクリーン印刷工程に先立って、前記スクリーンマスクに形成されたマスク認識マークおよび前記基板に形成された位置基準マークを認識する第1のマーク認識工程と、前記個片基板に形成され当該個片基板が後工程における作業実行を必要としない不良基板であることを示すバッドマークの有無を検出する第1のバッドマーク検出工程と、前記第1のマーク認識工程で得られた認識結果に基づいて前記基板位置決め部を制御することにより、前記スクリーンマスクに対して前記基板を位置合わせする位置合わせ制御工程とを実行し、前記電子部品搭載装置は、前記搭載ヘッドによって電子部品を前記ペーストが印刷された個片基板の部品搭載位置に搭載する部品搭載工程に先立って、前記個片基板に形成された基板認識マークを認識する第2のマーク認識工程と、前記バッドマークを検出する第2のバッドマーク検出工程とを実行し、前記部品搭載工程において前記第2のマーク認識工程で得られた認識結果に基づいて前記部品搭載機構を制御することにより、前記電子部品を前記部品搭載位置に搭載し、さらに前記電子部品実装システムは、前記基板の位置合わせにおいて用いられる参照データであって、前記パターン孔の配列と前記マスク認識マークとの位置関係を示す印刷位置データおよび前記基板における部品実装点の位置と前記位置基準マークとの位置関係を示す実装位置データとを基板品種毎に記憶するデータ記憶部を備え、前記位置合わせ制御工程において、前記第1のマーク認識工程における位置基準マークの認識結果および実装位置データに基づいて当該基板において前記ペーストを印刷すべき複数の印刷目標位置を求め、次いで前記マスク認識マークの認識結果および前記印刷位置データに基づいて前記複数の印刷目標位置に複数の前記パターン孔が近似的に一致する度合いが、前記複数の個片基板のうち前記バッドマークが検出された個片基板を除外した条件下で極大となるように前記基板を位置合わせし、前記部品搭載工程において、前記バッドマークが検出された個片基板を除外して前記第2のマーク認識工程における認識結果に基づいて前記部品実装点の位置を予め定められた位置補正アルゴリズムに従って補正して前記部品搭載位置を求める。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、スクリーン印刷工程に先立ってマスク認識マークおよび基板認識マークを認識する第1のマーク認識工程で得られた認識結果および実装位置データに基づいて当該基板において前記ペーストを印刷すべき複数の印刷目標位置を求めるに際し、マスク認識マークの認識結果および印刷位置データに基づいて複数の印刷目標位置に複数のパターン孔が近似的に一致する度合いが、バッドマークが検出された個片基板を除外した所定の条件下で極大となるように基板を位置合わせすることにより、複数の個片基板が形成された多面取り基板を対象とする場合にあっても、各個片基板に印刷された半田ペーストの位置と部品搭載位置との位置ずれを減少させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施の形態の電子部品実装システムの構成を示すブロック図
【図2】本発明の一実施の形態の電子部品実装システムにおけるスクリーン印刷装置の側面図
【図3】本発明の一実施の形態の電子部品実装システムにおけるスクリーン印刷装置による基板認識およびマスク認識の説明図
【図4】本発明の一実施の形態の電子部品実装システムにおけるスクリーンマスクのパターン孔配置および多面取りの基板の構成説明図
【図5】本発明の一実施の形態の電子部品実装システムにおける電子部品搭載装置の平面図
【図6】本発明の一実施の形態の電子部品実装システムにおける電子部品搭載装置による基板認識の説明図
【図7】本発明の一実施の形態の電子部品実装システムの制御系の構成を示すブロック図
【図8】本発明の一実施の形態の電子部品実装システムにおける実装基板の製造処理のフロー図
【図9】本発明の一実施の形態の電子部品実装システムにおけるスクリーン印刷方法を示すフロー図
【図10】本発明の一実施の形態のスクリーン印刷装置における基板位置合わせ処理の工程説明図
【図11】本発明の一実施の形態のスクリーン印刷装置における基板位置合わせ処理の工程説明図
【図12】本発明の一実施の形態のスクリーン印刷装置における基板位置合わせ処理の工程説明図
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。まず図1を参照して電子部品実装システムについて説明する。図1において電子部品実装システムは、いずれも電子部品実装用装置であるスクリーン印刷装置M1、印刷検査装置M2、電子部品搭載装置M3、搭載状態検査装置M4、リフロー装置M5の各装置を連結して成る電子部品実装ライン1を通信ネットワーク2によって接続し、全体を管理コンピュータ3によって制御する構成となっており、基板に電子部品を実装して実装基板を製造する機能を有している。本実施の形態においては、基板として複数の個片基板が形成された多面取り基板を作業対象とする例を示している。
【0016】
スクリーン印刷装置M1は、基板に形成された電極に部品接合用のペースト(半田ペースト)をスクリーン印刷する。印刷検査装置M2は、印刷後の基板におけるペーストの印刷状態を検査する。電子部品搭載装置M3は、部品供給部から搭載ヘッドによって電子部品をピックアップしペーストが印刷された基板に搭載する。搭載状態検査装置M4は、電子部品搭載後の基板上における電子部品の有無や位置ずれを検査する。リフロー装置M5は、電子部品搭載後の基板を加熱することにより、半田を加熱溶融させて電子部品を基板に半田接合する。
【0017】
次に図2を参照してスクリーン印刷装置M1の構造および機能を説明する。図2において、スクリーン印刷装置M1は、基板位置決め部11の上方にスクリーン印刷機構5を配設して構成されている。基板位置決め部11は、印刷対象の基板4を保持してスクリーン印刷機構5のスクリーンマスク22に対して相対的に位置合わせする機能を有している。基板位置決め部11は、Y軸テーブル12、X軸テーブル13およびθ軸テーブル14を段積みし、更にθ軸テーブル14の上面に設けられた水平なベースプレート14aの上面に、水平なベースプレート15a、16aをそれぞれ独立して昇降させる第1のZ軸テーブル15、第2のZ軸テーブル16を組み合わせて構成されている。
【0018】
ベースプレート15aには2つの垂直フレーム15bが立設されており、垂直フレーム15bの上端部には基板搬送機構18が保持されている。基板搬送機構18は基板搬送方向(X方向−−図1において紙面垂直方向)に配設されており、コンベア機構よって印刷対象の基板4の両端部を支持して搬送する。第1のZ軸テーブル15を駆動することにより、基板搬送機構18によって保持された状態の基板4をスクリーン印刷機構5に対して昇降させることができる。ベースプレート16aの上面には、基板下受部17が着脱自在に装着される。基板下受部17は、スクリーン印刷機構5による印刷位置に搬送された基板4を下方から下受けして保持する。
【0019】
第2のZ軸テーブル16を駆動することにより、基板下受部17は基板搬送機構18に保持された状態の基板4に対して昇降する。そして基板下受部17の下受面が基板4の下面に当接することにより、基板下受部17は基板4を下面側から支持する。基板搬送機構18の上面には左右対向して配置された2つのクランプ部材19を備えており、一方側のクランプ部材19を駆動機構19aによって進退させることにより、基板4を両側からクランプして固定する。
【0020】
次に基板位置決め部11の上方に配設され、印刷位置に搬送された基板4に対してペーストを印刷するスクリーン印刷機構5について説明する。図2において、スクリーン印刷機構5は、マスク枠21にスクリーンマスク22を展張した構成のマスクユニット20の上方に、スキージユニット23をスキージ移動機構24によって水平移動自在に配置した構成となっている。スクリーンマスク22には図3(b)に示すように、基板4を対象とする印刷対象エリア22dが設定されており、印刷対象エリア22dの対角位置にはマスク認識マーク22aが形成されている。図3(c)に示すように、印刷対象の基板4は多面取り基板であり、基板4には複数(ここでは3個)の個片基板41が形成されている。
【0021】
ここで図4を参照して、印刷対象エリア22d内におけるパターン孔22bの配置および基板4の構成について説明する。図4(b)に示すように、基板4はベースとなる基板キャリア40に複数の個片基板41を装着した構成となっている。基板キャリア40の表面には粘着性を有する貼着面が形成されており、樹脂基板より成る個片基板41を着脱自在に貼着保持することができるようになっている。個片基板41を基板キャリア40に装着する際には、基板キャリア40に設けられた位置決めピンなどの位置合わせ手段によって基板キャリア40に対して位置合わせした状態で、基板キャリア40の貼着面に対して押しつける。
【0022】
基板キャリア40の対角位置には1対の位置基準マークとしての基板認識マーク4aが形成されており、基板認識マーク4aを撮像して位置認識することにより、基板4全体の位置が検出される。位置基準マークは、基板4とスクリーンマスク22との位置合わせにおける位置基準として用いられる。またそれぞれの個片基板41の対角位置には基板認識マーク41aが形成されており、基板認識マーク41aを撮像して位置認識することにより、個片基板41の位置が個別に検出される。なお、基板4の位置検出において、基板認識マーク4aを基板キャリア40に設ける替わりに、各個片基板41に形成された基板認識マーク41aのうち、基板キャリア40に貼着された状態において基板4の対角に位置する1対の基板認識マーク41a(例えば矢印Aにて示す1対の基板認識マーク41a)を、基板4の全体位置検出用の位置基準マークとして用いてもよい。
【0023】
個片基板41は1枚の樹脂基板に複数面(ここでは2面)の要素基板42を作り込んだ構成となっている。すなわち親基板としての基板4は、子基板としての個片基板41および孫基板としての要素基板42より構成されている。要素基板42には、実装対象の電子部品の電極が接合される複数の電極43が形成されており、図4(a)に示すように、印刷対象エリア22dの内部には、基板4における各電極43の配置に対応して、複数のパターン孔22bが形成されている。スクリーン印刷動作においては、複数の要素基板42の各電極43に、スクリーンマスクのパターン孔22bを介して半田ペーストが一括して印刷される。
【0024】
それぞれの要素基板42には、マーク印加用のマーク形成用ランド42aが設けられており、マーク形成用ランド42aには前工程においてバッドマークBMが印加される。図4(b)に示す例では、中央の個片基板41の上側の要素基板42*にバッドマークBMが印加されている。バッドマークBMは前工程にて行われた検査の結果によって、当該要素基板42が後工程における作業実行を必要としない不良基板であることを示すものであり、電気的特性の検査装置によって不良と判定された場合に自動的に印加されるか、または作業者の目視検査により不良と判定された場合に手動で印加される。そして後工程においてバッドマークBMが検出された要素基板42については、以降の作業実行の必要なしと判断されて、作業対象から除外される。
【0025】
すなわちここに示す実施例では、個片基板41は後工程においてそれぞれがさらに複数の要素基板42に分割される複合基板であり、バッドマークBMは要素基板42毎に形成された形態となっている。そしてバッドマークBMが検出された要素基板42を除外した条件下で、基板4の位置合わせのための演算処理が実行される。なお本実施例では、多面取り基板として基板キャリア40に複数の樹脂性の個片基板41を貼着して構成した例を示したが、本発明において対象となる多面取り基板には、1枚の親基板としての固形基板に複数の子基板としての個片基板を作り込んだ構成も含まれる。この場合には、作業完了後において親基板は、各個片基板毎に分割される。
【0026】
マスクユニット20上には、スキージユニット23が配設されている。スキージユニット23は、対向配置された1対のスキージ部材26をそれぞれ昇降させる2つのスキージ昇降機構27を、水平なプレート25に配設した構成となっている。スキージ昇降機構27を駆動することによりスキージ部材26は昇降し、下降状態においてスキージ部材26はスクリーンマスク22の上面に当接する。スキージユニット23は送りねじ24bをスキージ移動モータ24aによって回転駆動する構成のスキージ移動機構24によって水平方向に往復移動自在となっている。
【0027】
スクリーンマスク22の下面と基板位置決め部11に保持された基板4の上面との間には、カメラユニット28がカメラ移動機構(図示省略)によってX方向、Y方向に水平移動自在に配設されている。図3(a)に示すように、カメラユニット28は、基板4を上方から撮像するための基板認識カメラ28aと、スクリーンマスク22を下面側から撮像するためのマスク認識カメラ28bとを備えており、カメラ移動機構を駆動してカメラユニット28を移動させることにより、スクリーンマスク22に形成されたマスク認識マーク22aおよび基板4に形成された位置基準マークとしての基板認識マーク4a(または基板認識マーク41a)および各要素基板42のマーク形成用ランド42aを、それぞれマスク認識カメラ28b、基板認識カメラ28aによって撮像することができる。そしてこの撮像結果を認識処理部55(図6参照)によって認識処理することにより、マスク認識マーク22aおよび位置基準マーク(基板認識マーク4aまたは基板認識マーク41a)の位置および各要素基板42のバッドマークBMが検出される。
【0028】
次にスクリーン印刷機構5による印刷動作について説明する。まず基板搬送機構18によって、印刷対象の基板4が印刷位置に搬入され、基板下受部17に対して位置合わせされる。次いで第2のZ軸テーブル16を駆動して基板下受部17を上昇させ、基板4の下面を下受けする。次いで基板位置決め部11を駆動して、基板4をスクリーンマスク22に対して位置合わせした後、第1のZ軸テーブル15を駆動して基板4を基板搬送機構18とともに上昇させて、パターン孔22bが設けられたスクリーンマスク22の下面に当接させる。この後、基板4をクランプ部材19によってクランプすることにより、基板4の水平位置が固定される。
【0029】
そしてこの状態で、2つのスキージ部材26のうちいずれか1つを下降させ、ペーストが供給されたスクリーンマスク22に当接させる。次いでスクリーンマスク22上でスキージ部材26をスキージング方向(Y方向)に摺動させることにより、基板位置決め部11に保持された基板4を構成する複数の要素基板42の各電極43にはパターン孔22bを介してペーストが印刷される。
【0030】
上述の印刷動作においては、印刷対象の基板4がスクリーンマスク22に対して正しく位置合わせされて、複数の要素基板42の各電極43と各パターン孔22bの位置とが精度良く合致していることが極めて重要であるが、基板4における基板キャリア40への個片基板41の位置合わせ精度や個片基板41自体の経時的な伸縮変形により個別の電極43の位置とパターン孔22bの位置とは必ずしも一致せず、印刷にずれが生じる場合が多い。このため本実施の形態においては、このような基板4の各個片基板41とスクリーンマスク22との位置合わせの誤差に起因する印刷の位置ずれを極力防止するため、後述の方法によって位置ずれを補正するようにしている。
【0031】
次に図5を参照して電子部品搭載装置M3の構成および機能について説明する。図5において基台31の中央部には基板搬送機構32がX方向に配設されている。基板搬送機構32は印刷検査装置M2にて印刷検査後の基板4を受け渡されて、以下に説明する部品搭載機構による搭載作業位置に位置決めして保持する。基板4は、基板キャリア40に複数の個片基板41を貼着した多面取り基板である。基板搬送機構32の両側には部品供給部33が配置されており、部品供給部33には複数のテープフィーダ34が並設されている。テープフィーダ34は基板4に実装される電子部品を保持したキャリアテープをピッチ送りすることにより、部品搭載機構による部品取り出し位置に供給する。
【0032】
基台31のX方向の一端部にはリニアモータ駆動の直動機構を備えたY軸移動テーブル36YがY方向に配設されており、Y軸移動テーブル36Yには同様にリニアモータ駆動の直動機構を備えた2基のX軸移動テーブル36XがY方向に往復動自在に結合されている。X軸移動テーブル36Xには複数の吸着ノズル37aを備えた搭載ヘッド37がX方向の往復動自在に装着されており、Y軸移動テーブル36Y、X軸移動テーブル36Xを駆動することにより、搭載ヘッド37はX方向およびY方向に水平移動する。
【0033】
これにより、搭載ヘッド37は部品供給部33のテープフィーダ34から電子部品P(図6(a)参照)を取り出して、ペーストが印刷され基板搬送機構32によって位置決め保持された基板4の部品搭載位置に電子部品Pを搭載する。Y軸移動テーブル36Y、X軸移動テーブル36Xおよび搭載ヘッド37は、搭載ヘッド37によって電子部品Pをペーストが印刷された基板4の部品搭載位置に搭載する部品搭載機構35を構成する。
【0034】
基板搬送機構32と部品供給部33との間の搭載ヘッド37の移動経路には部品認識カメラ39が配設されており、テープフィーダ34から電子部品を取り出した搭載ヘッド37が部品認識カメラ39の上方を移動することにより、部品認識カメラ39は搭載ヘッド37に保持された状態の電子部品を下方から撮像する。搭載ヘッド37には、Y軸移動テーブル36Yの下面側に位置して搭載ヘッド37と一体的に移動する基板認識カメラ38が撮像方向を下向きにして配設されている。
【0035】
図6(a)に示すように、搭載ヘッド37を基板搬送機構32に保持された基板4の上方に移動させることにより、基板認識カメラ38もともに基板4の上方に移動し、基板4の基板キャリア40に形成された位置基準マーク(基板認識マーク4aまたは図4(b)において矢印Aで示す基板認識マーク41a)および各要素基板42のマーク形成用ランド42aを撮像する。この撮像結果を認識処理部64(図7参照)によって認識処理することにより、位置基準マークの位置認識および各要素基板42におけるバッドマークBMの有無が検出される。
【0036】
そして位置基準マークの位置認識結果に基づいて所定の位置補正アルゴリズムを用いて位置補正処理を実行することにより、基板4における各要素基板42に形成された電極43に対応した部品実装点の位置が補正され、部品搭載位置が求められる。そして搭載ヘッド37による部品搭載動作においては、このようにして補正された部品搭載位置を目標として電子部品を搭載する。そしてバッドマークBMが検出された要素基板42は、部品搭載動作の実行対象から除外される。
【0037】
次に図7を参照して、制御系の構成を説明する。なおここでは、電子部品実装ライン1を構成する複数の電子部品実装用装置のうちスクリーン印刷装置M1、電子部品搭載装置M3の制御系についてのみ記載している。図7において、管理コンピュータ3は外部記憶装置としてデータ記憶部30を備えており、データ記憶部30には、印刷位置データ30a、実装位置データ30bなどの作業実行用データが記憶されている。印刷位置データ30a、実装位置データ30bは、スクリーン印刷装置M1において基板4の位置合わせに用いられる参照データであって、印刷位置データ30aは、パターン孔22bの配列とマスク認識マーク22aとの位置関係を示すものであり、実装位置データ30bは基板4における部品実装点の位置、すなわち電極43と基板認識マーク4aの位置関係を示すものである。ここでは、基板認識マーク4aと基板認識マーク41aとの相対位置を示すマーク位置データと、個片基板41における基板認識マーク41aと電極43との相対位置を示す電極位置データとを組み合わせたデータが記憶されている。
【0038】
スクリーン印刷装置M1の制御系について説明する。通信部50は通信ネットワーク2に接続されており、管理コンピュータ3や印刷検査装置M2などの他装置と以下の各部との間の信号の授受は通信部50を介して行われる。印刷制御部51はスクリーン印刷機構5によるスクリーン印刷動作を制御する。位置合わせ制御部52は基板位置決め部11による基板位置決め動作を制御する。記憶部53は位置補正プログラム53a、印刷位置データ53b、実装位置データ53cを記憶する。
【0039】
位置補正プログラム53aは、基板4において基板認識マーク41aの位置検出結果に基づいて電極43を対象として印刷目標位置を求めるための位置補正を行う演算処理プログラムである。印刷位置データ53b、実装位置データ53cは、データ記憶部30に記憶された印刷位置データ30a、実装位置データ30bと同目的・同内容の作業実行用データである。なお、ここでは管理コンピュータ3のデータ記憶部30とスクリーン印刷装置M1の記憶部53にこれらのデータを重複して記憶させた例を示したが、いずれか一方のみにこれらのデータを記憶させるようにしてもよい。
【0040】
機構駆動部54は印刷制御部51、位置合わせ制御部52に制御されて、基板位置決め部11、スクリーン印刷機構5を駆動する。これにより、スクリーン印刷動作が実行される。認識処理部55は、基板認識カメラ28a、マスク認識カメラ28bによる撮像結果を認識処理する。これにより、スクリーンマスク22におけるマスク認識マーク22aの位置および基板4における位置基準マークの位置認識、各要素基板42におけるバッドマークBMの有無が検出される。基板4のスクリーンマスク22への位置合わせは、これらの位置認識結果に基づいて、位置合わせ制御部52が基板位置決め部11を制御することにより行われる。
【0041】
基板認識カメラ28a、マスク認識カメラ28bおよび認識処理部55は、スクリーンマスク22に形成されたマスク認識マーク22aおよび基板4に形成された位置基準マークを認識する第1の認識手段を構成する。基位置合わせ制御部52は、この第1のマーク認識手段の認識結果に基づいて基板位置決め部11を制御することにより、スクリーンマスク22に対して基板4を位置合わせするようになっている。さらに基板認識カメラ28aおよび認識処理部55は、要素基板42に形成され当該要素基板42が後工程における作業実行を必要としない不良基板であることを示すバッドマークBMの有無を検出する第1のバッドマーク検出手段となっている。
【0042】
本実施の形態においては、位置合わせ制御部52が基板4の位置合わせを実行するに際し、以下に説明するように、基板4に対して電子部品搭載装置M3において適用される位置補正、すなわち基板認識マーク4aの認識結果に基づいて所定の位置補正アルゴリズムを適用して行われる電極43を対象とした部品搭載位置の補正を、スクリーン印刷装置M1において電極43を対象としてペーストを印刷するための印刷目標位置の設定に援用するようにしている。
【0043】
換言すれば、基板キャリア40に個片基板41を装着する際の位置ずれや個片基板41自体の経時変化などに起因する基板4における電極43の位置ずれを、スクリーン印刷装置M1における位置基準マークの認識結果に基づいて、位置補正プログラム53aとして記憶部53に記憶された位置補正アルゴリズムを用いて推定する。ここで位置補正アルゴリズムとしては、電子部品搭載装置M3における搭載位置補正において適用される位置補正アルゴリズムと同様の手法によって印刷目標位置を求めるものであることが望ましいが、完全に一致している必要はなく位置補正の傾向が近似している限りにおいては部分的に異なっていてもよい。
【0044】
そしてスクリーンマスク22を基板4に対して位置合わせする際には、スクリーンマスク22の伸縮は基板4における電極43の位置ずれに対して無視できるくらいに微小であることから、基板4における電極43の位置ずれ傾向とスクリーンマスク22におけるパターン孔22bの伸縮による変位とは一致しない。このため位置合わせのための位置調整においては、スクリーンマスク22のパターン孔22bと、基板4の電極43とが、半田接合に極力支障を生じない態様で近似的に一致するように、基板4の位置を調整する。
【0045】
本実施の形態においては、近似的に一致する度合いが予め定められた所定の条件、すなわち複数の要素基板42のうちバッドマークBMが検出された要素基板42を除外した条件下で極大となるよう、この位置調整を行う。すなわち、相互に位置ずれ誤差を有する複数の電極43とパターン孔22bとを近似的に位置合わせする際には、一般に対象となる電極43とパターン孔22bの数が少ないほど、両者が近似的に一致する度合いが高くなる。このためここでは、バッドマークBMが検出されて後工程での作業対象とならない要素基板42を位置調整の対象から除外することにより、位置合わせ対象の電極43とパターン孔22bの数を減少させるようにしている。
【0046】
すなわち、位置合わせ制御部52は、基板認識マーク4aの認識結果および実装位置データ53cに基づいて当該基板4においてペーストを印刷すべき複数の印刷目標位置を求め、次いでマスク認識マーク22aの認識結果および印刷位置データ53bに基づいて複数の印刷目標位置に複数のパターン孔22bが近似的に一致する度合いが、複数の要素基板42のうちバッドマークBMが検出された要素基板42を除外した条件下で極大となるよう、基板4を位置合わせする機能を有している。
【0047】
電子部品搭載装置M3の制御系について説明する。通信部60は通信ネットワーク2に接続されており、管理コンピュータ3やスクリーン印刷装置M1などの他装置と以下の各部との間の信号の授受は通信部60を介して行われる。搭載制御部61は部品搭載機構35による部品搭載動作を制御する。位置補正プログラム62aは、部品搭載機構35において基板認識マーク4a、基板認識マーク41aの位置検出結果に基づいて電極43などの位置補正を行うための演算処理プログラムであり、スクリーン印刷装置M1の位置補正プログラム53aと同様の位置補正アルゴリズムを用いるようにしている。
【0048】
実装位置データ62bはデータ記憶部30に記憶された印刷位置データ30aと同目的・同内容の作業実行用データである。なお、ここでは管理コンピュータ3のデータ記憶部30と電子部品搭載装置M3の記憶部62にこれらのデータを重複して記憶させた例を示したが、いずれか一方のみにこれらのデータを記憶させるようにしてもよい。
【0049】
機構駆動部63は搭載制御部61に制御されて、基板搬送機構32、部品搭載機構35を駆動する。これにより、部品搭載動作が実行される。認識処理部64は、基板認識カメラ38、部品認識カメラ39による撮像結果を認識処理する。これにより、基板搬送機構32に位置決め保持された状態の基板4の基板認識マーク4a、個片基板41における基板認識マーク41aの位置認識、各要素基板42に形成されたバッドマークBMの有無の検出および搭載ヘッド37に保持された状態における電子部品が認識される。基板4への電子部品Pの搭載は、これらの位置認識結果に基づいて、搭載制御部61が部品搭載機構35を制御することにより行われる。
【0050】
基板認識カメラ38および認識処理部64は、印刷検査装置M2において基板4に形成された基板認識マーク4aを認識する第2のマーク認識手段を構成する。そして搭載制御部61は、この第2のマーク認識手段の認識結果に基づいて部品搭載機構35を制御することにより、電子部品Pを基板4に搭載するようになっている。また基板認識カメラ38および認識処理部64は、基板4の要素基板42に形成されたバッドマークBMの有無を検出する第2のバッドマーク検出手段となっている。
【0051】
次に、図1に示す電子部品実装システムにおける実装基板の製造方法について、図8を参照して説明する。図8において、まずスクリーン印刷装置M1に作業対象の基板4を搬入する(ST1)。次いで第1のマーク認識が実行される(ST2)。すなわち、スクリーンマスク22に形成されたマスク認識マーク22aおよび基板4に形成された位置基準(基板認識マーク4a、または基板認識マーク41a)を、それぞれマスク認識カメラ28b、基板認識カメラ28aによって撮像し、この撮像結果を認識処理部55によって認識処理することにより、マスク認識マーク22a、位置基準マークの位置を認識する(第1のマーク認識工程)。次いで第1のバッドマーク検出が実行される(ST3)。すなわち各要素基板42のマーク形成用ランド42aを撮像して、撮像結果を認識処理部55によって認識処理することにより、バッドマークBMの有無を検出する(第1のバッドマーク検出工程)。
【0052】
次いで第1のマーク認識工程のマーク認識結果および第1のバッドマーク検出工程のバッドマークBMの検出結果に基づいて、基板4をスクリーンマスク22に対して位置合わせする位置合わせ制御が実行される(ST4)。すなわち、位置合わせ制御部52が第1のマーク認識工程で得られた認識結果に基づいて基板位置決め部11を制御することにより、スクリーンマスク22に対して基板4を位置合わせする(位置合わせ制御工程)。
【0053】
次いでスクリーン印刷が実行される(ST5)。すなわちペーストが供給されたスクリーンマスク22上でスキージ部材26を摺動させることにより、スクリーンマスク22に形成されたパターン孔22bを介して基板位置決め部11に位置決め保持された基板4にペーストを印刷する(スクリーン印刷工程)。この後、基板4は印刷検査装置M2に搬入され、基板4を撮像することにより印刷されたペーストの印刷状態の良否が光学的に判定される(ST6)。そしてここで印刷状態が良好と判定された基板4は電子部品搭載装置M3に搬入される(ST7)。
【0054】
次いで第2のマーク認識が実行される(ST8)。すなわち基板4を基板認識カメラ38によって撮像し、この撮像結果を認識処理部64によって認識処理することにより、基板認識マーク4aの位置を認識する(第2のマーク認識工程)。次いで第2のバッドマーク検出が実行される(ST9)。すなわち各要素基板42のマーク形成用ランド42aを撮像して、撮像結果を認識処理部64によって認識処理することにより、バッドマークBMの有無を検出する(第2のバッドマーク検出工程)。なお、(ST3)の第1のバッドマーク検出工程における検出結果を通信ネットワーク2を介して受信して、第2のバッドマークを省略するようにしてもよい。
【0055】
次に部品搭載機構35による電子部品搭載動作を実行する(ST10)。そして電子部品搭載後の基板4は搭載状態検査装置M4に搬入され、搭載状態検査が実行される(ST11)。ここで搭載状態が良好と判定されたならば、リフロー装置M5に基板4を搬入する(ST12)。ここで所定の加熱プロファイルにしたがって基板4を加熱することによりペースト中の半田が溶融して電子部品Pを基板4に半田接合する(ST13)。これにより、実装基板の製造処理が終了する。
【0056】
上述の実装基板の製造処理においては、スクリーン印刷装置M1は、スクリーン印刷工程に先立って、第1のマーク認識工程と、第1のバッドマーク検出工程と、第1のマーク認識工程で得られた認識結果に基づいてスクリーンマスク22に対して基板4を位置合わせする位置合わせ制御工程とを実行するようにしている。そして電子部品搭載装置M3は、部品搭載機構35による部品搭載工程に先立って、基板認識マーク4aを認識する第2のマーク認識工程と、バッドマークBMを検出する第2のバッドマーク検出工程とを実行し、部品搭載工程において第2のマーク認識工程で得られた認識結果に基づいて電子部品Pを部品搭載位置に搭載するようにしている。
【0057】
そして位置合わせ制御工程において、第1のマーク認識工程における基板認識マーク4aの認識結果および実装位置データ53cに基づいて当該基板4においてペーストを印刷すべき複数の印刷目標位置を求め、次いでマスク認識マーク22aの認識結果および印刷位置データ53bに基づいて、複数の印刷目標位置に複数のパターン孔22bが近似的に一致する度合いが、複数の個片基板41の要素基板42のうちバッドマークBMが検出された要素基板42を除外した条件下で極大となるように、基板4を位置合わせするようにしている。
【0058】
そして後続の部品搭載工程においては、バッドマークBMが検出された要素基板42を除外して第2のマーク認識工程における認識結果に基づいて部品実装点の位置を予め定められた位置補正アルゴリズムに従って補正して、搭載ヘッド37によって実際に電子部品Pを搭載する際の部品搭載位置を求める。ここで位置合わせ制御工程において部品搭載工程で用いられる位置補正アルゴリズムと同様の手法によって複数の印刷目標位置を求めることにより、部品搭載位置と印刷目標位置とを極力近似させることができる。これにより、印刷されたペーストと搭載された電子部品Pの位置ずれに起因する不具合を減少させることが可能となっている。
【0059】
次に上述の電子部品実装システムにおいて、電子部品搭載装置M3による電子部品搭載に先立って、基板4に形成された電極にスクリーン印刷装置M1によって部品接合用のペーストを印刷する電子部品実装システムにおけるスクリーン印刷方法について、図9のフローに則して、図10〜図12を参照しながら説明する。
【0060】
まずスクリーン印刷装置M1に作業対象の基板4が搬入され(ST21)、基板下受部17によって基板4を下受けした状態で基板位置決め部11によって基板4がクランプされる(ST22)。図10(a)に示すように、基板4を構成する基板キャリア40には対角位置に形成された位置基準マークとしての基板認識マーク4aと、基板キャリア40に貼着された個片基板41に作り込まれた要素基板42に、電子部品を半田接合により実装するための電極43が形成されている。
【0061】
次いで、カメラユニット28を移動させて、基板認識カメラ28a、マスク認識カメラ28bによって位置基準マーク(ここでは基板認識マーク4a)およびマスク認識マーク22aを認識する(ST23)。これにより、図10(b)に示すように、基板認識マーク4aの正規位置(破線で示す基板認識マーク4a*参照)からの位置ずれが検出される。ここでは矢印a1,a2で位置ずれの方向および位置ずれ量をベクトル表示している。そして基板認識カメラ28aによって各要素基板42のマーク形成用ランド42aを撮像して、撮像結果を認識処理部55によって認識処理することにより、バッドマークBMの有無を検出する(ST24)(バッドマーク検出工程)。
【0062】
次に基板認識マーク4aの認識結果に基づき、バッドマークBMが検出された個片基板41の要素基板42を除外して印刷目標位置を算出する(ST25)。すなわち、実装位置データ53cにて示される電極43の位置座標を、所定の位置補正アルゴリズムに従って基板認識マーク4aの位置ずれ分だけ補正した補正座標系上の位置座標に変換することにより、位置ずれ補正後の印刷目標位置が求められる。すなわち図10(b)において楕円で囲んだ電極43のように、正規位置(破線で示す電極43*)から、位置ずれ補正がなされてそれぞれ矢印b1,b2だけ変位した電極43の位置が、印刷目標位置として算出される。
【0063】
ここで用いられる位置補正アルゴリズムとしては、当該技術分野で公知の座標変換式を用いた位置補正演算式を適宜選択して用いる。このような位置補正演算を実行することにより、基板4における実際の電極43を認識することなく、印刷目標位置を効率的に求めることが可能となっている。なお、ここでは基板4の対角位置に配置された2つの基板認識マーク4aを位置基準マークとして用いる例を示しているが、位置補正精度を高めることを目的として、各個片基板41の基板認識マーク41aの位置を認識して印刷目標位置を求めるようにしてもよい。これにより、基板キャリア40における個片基板41の位置ずれに起因する誤差を低減することができ、より高精度の位置補正を行うことができる。
【0064】
次いで演算により求められた印刷目標位置に基づき、スクリーンマスク22に基板4を位置合わせする(ST26)。ここで、図10(c)に示すマスクユニット20におけるパターン孔22bの位置は、図10(b)における電極43に対応している。したがってスクリーンマスク22に基板4を位置合わせする際には、パターン孔22bと電極43との相対位置を調整する必要がある。この相対位置の調整について説明する。
【0065】
図11(a)、(b)は、スクリーンマスク22、基板4の位置合わせ基準線を示している。すなわち図11(a)に示すマスクユニット20においては、2つのマスク認識マーク22aを認識することにより、スクリーンマスク22の中心点22CPを通ってXY方向に直交するマスクX軸22X、マスクY軸22Yが求められる。同様に図11(b)に示す基板4においては、2つの基板認識マーク4aを認識することにより、基板4の中心点4CPを通ってXY方向に直交する基板X軸4X、基板Y軸4Yが求められる。そして図11(c)に示すように、マスクX軸22Xと基板X軸4XとのY方向のオフセット量を示すδy、マスクY軸22Yと基板Y軸4YとのX方向のオフセット量を示すδxを指定することにより、基板4をスクリーンマスク22に対して位置合わせする際の態様が規定される。なお基板4においてバッドマークBMが検出された要素基板42*については、部品搭載作業の対象から除外されることから、パターン孔22bと電極43との相対位置の調整の対象から除外して差し支えない。
【0066】
すなわち図12に示すように、基板4の位置合わせに際しては、バッドマークBMが検出された要素基板42*の電極43を除外した条件下で、基板4をスクリーンマスク22に対して位置合わせする際の、電極43とパターン孔22bとの一致度合いの最適化を図る。ここでは、基板4を構成する各要素基板42の全ての電極43について、パターン孔22bとの位置ずれ度合いが均一となるよう、オフセット量δx、δyを演算する。
【0067】
このとき、バッドマークBMが検出された要素基板42*の電極43を除外した条件下でパターン孔22bと電極43の位置調整が行われることから、位置調整演算が容易になるとともに、位置合わせ精度を向上させることが可能となっている。すなわち、図12(b)に示すように、バッドマークBMが検出された要素基板42*が大きな位置ずれdを生じているような場合には、位置ずれ状態の電極43を除外して位置調整演算が行われることとなる。したがって、全体的な位置ずれ量を各印刷位置に振り分けることにより電極43とパターン孔22bとを近似的に位置合わせする方式において、位置ずれ要因を除外することができ、位置合わせ精度を向上させることができる。
【0068】
このようにして基板4の位置合わせが完了した後に、第1のZ軸テーブル15を駆動してクランプ状態の基板4を上昇させて、スクリーンマスク22に当接させる(ST27)。次いで、ペーストが供給されたスクリーンマスク22の上面にスキージ部材26を当接させた状態でスキージ部材26を摺動させるスキージング動作を実行する(ST28)。これにより、パターン孔22bを介して基板4の電極43にはペーストが印刷される。そしてこの後、基板4を下降させてスクリーンマスク22の下面から離隔させる版離れ動作が実行され(ST29)、これによりスクリーン印刷動作が終了する(ST30)。
【0069】
上記説明したように、本実施の形態に示す電子部品実装システムに用いられるスクリーン印刷においては、基板4にペーストを印刷するスクリーン印刷工程に先立って、マスク認識マーク22aおよび位置基準マークとしての基板認識マーク4aを認識するマーク認識工程と、バッドマークBMを検出するバッドマーク検出工程と、マーク認識工程で得られた認識結果および予め記憶された実装位置データ53cに基づいて、基板位置決め部11を制御することによりスクリーンマスクに対して基板4を位置合わせする位置合わせ制御工程を実行するようにしている。
【0070】
そしてこの位置合わせ制御工程において、位置基準マークの認識結果および実装位置データ30bに基づいて当該基板4においてペーストを印刷すべき複数の印刷目標位置を求め、次いでマスク認識マーク22aの認識結果および印刷位置データ53bに基づいて複数の印刷目標位置に複数のパターン孔が近似的に一致する度合いが、複数の個片基板41の要素基板42のうちバッドマークBMが検出された要素基板42を除外した条件下で極大となるように、基板4を位置合わせするようにしている。これにより、複数の個片基板が形成された多面取り基板を対象とする場合にあっても、基板4に印刷されたペーストの位置と部品搭載位置との位置ずれを減少させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明の電子部品実装システムおよび実装基板の製造方法は、複数の個片基板が形成された多面取り基板を対象とする場合にあっても、各個片基板に印刷された半田ペーストの位置と部品搭載位置との位置ずれを減少させることができるという効果を有し、複数の電子部品実装用装置を連結して構成され基板に電子部品を半田接合により実装して実装基板を製造する分野に有用である。
【符号の説明】
【0072】
1 電子部品実装ライン
2 通信ネットワーク
3 管理コンピュータ
4 基板
4a 基板認識マーク
5 スクリーン印刷機構
11 基板位置決め部
22 スクリーンマスク
22a マスク認識マーク
22b パターン孔
23 スキージユニット
28a 基板認識カメラ
28b マスク認識カメラ
33 部品供給部
35 部品搭載機構
37 搭載ヘッド
38 基板認識カメラ
40 基板キャリア
41 個片基板
41a 基板認識マーク
42 要素基板
43 電極
BM バッドマーク
P 電子部品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電子部品実装用装置を連結して構成され、複数の個片基板が形成された多面取りの基板に電子部品を実装して実装基板を製造する電子部品実装システムであって、
前記電子部品実装用装置には、前記個片基板に形成された電極に部品接合用のペーストを印刷するスクリーン印刷装置と、部品供給部から搭載ヘッドによって電子部品をピックアップし前記ペーストが印刷された個片基板に搭載する電子部品搭載装置とを含み、
前記スクリーン印刷装置は、前記ペーストが供給されたスクリーンマスク上でスキージを摺動させることにより、前記スクリーンマスクに形成されたパターン孔を介して基板位置決め部に位置決め保持された前記基板の各個片基板にペーストを印刷するスクリーン印刷機構と、
前記スクリーンマスクに形成されたマスク認識マークおよび前記基板に形成された位置基準マークを認識する第1のマーク認識手段と、
前記個片基板に形成され当該個片基板が後工程における作業実行を必要としない不良基板であることを示すバッドマークの有無を検出する第1のバッドマーク検出手段と、
前記第1のマーク認識手段の認識結果に基づいて前記基板位置決め部を制御することにより、前記スクリーンマスクに対して前記基板を位置合わせする位置合わせ制御部とを備え、
前記電子部品搭載装置は、前記搭載ヘッドによって電子部品を前記ペーストが印刷された個片基板の部品搭載位置に搭載する部品搭載機構と、前記個片基板に形成された基板認識マークを認識する第2のマーク認識手段と、前記バッドマークの有無を検出する第2のバッドマーク検出手段と、前記第2のマーク認識手段の認識結果に基づいて前記部品搭載機構を制御することにより、前記電子部品を前記部品搭載位置に搭載する搭載制御部とを備え、
さらに前記基板の位置合わせにおいて用いられる参照データであって、前記パターン孔の配列と前記マスク認識マークとの位置関係を示す印刷位置データおよび前記基板における部品実装点の位置と前記位置基準マークとの位置関係を示す実装位置データとを基板品種毎に記憶するデータ記憶部とを備え、
前記位置合わせ制御部は、前記第1のマーク認識手段による位置基準マークの認識結果および実装位置データに基づいて当該基板において前記ペーストを印刷すべき複数の印刷目標位置を求め、次いで前記マスク認識マークの認識結果および前記印刷位置データに基づいて前記複数の印刷目標位置に複数の前記パターン孔が近似的に一致する度合いが、前記複数の個片基板のうち前記バッドマークが検出された個片基板を除外した条件下で極大となるように前記基板を位置合わせし、
前記搭載制御部は、前記バッドマークが検出された個片基板を除外して前記第2のマーク認識手段の認識結果に基づいて前記部品実装点の位置を予め定められた位置補正アルゴリズムに従って補正して前記部品搭載位置を求めることを特徴とする電子部品実装システム。
【請求項2】
前記位置合わせ制御部は、前記位置補正アルゴリズムと同様の手法によって前記複数の印刷目標位置を求めることを特徴とする請求項1記載の電子部品実装システム。
【請求項3】
前記個片基板は後工程においてそれぞれがさらに複数の要素基板に分割される複合基板であり、前記バッドマークは前記要素基板毎に形成されており、前記複数の要素基板のうち前記バッドマークが検出された要素基板を除外した条件下で前記基板を位置合わせすることを特徴とする請求項1または2に記載の電子部品実装システム。
【請求項4】
複数の電子部品実装用装置を連結して構成され、複数の個片基板が形成された多面取りの基板に電子部品を実装して実装基板を製造する電子部品実装システムにおける実装基板の製造方法であって、
前記電子部品実装用装置には、前記個片基板に形成された電極に部品接合用のペーストを印刷するスクリーン印刷装置と、部品供給部から搭載ヘッドによって電子部品をピックアップし前記ペーストが印刷された個片基板に搭載する電子部品搭載装置とを含み、
前記スクリーン印刷装置は、前記ペーストが供給されたスクリーンマスク上でスキージを摺動させることにより、前記スクリーンマスクに形成されたパターン孔を介して基板位置決め部に位置決め保持された前記基板の各個片基板にペーストを印刷するスクリーン印刷工程に先立って、前記スクリーンマスクに形成されたマスク認識マークおよび前記基板に形成された位置基準マークを認識する第1のマーク認識工程と、前記個片基板に形成され当該個片基板が後工程における作業実行を必要としない不良基板であることを示すバッドマークの有無を検出する第1のバッドマーク検出工程と、前記第1のマーク認識工程で得られた認識結果に基づいて前記基板位置決め部を制御することにより、前記スクリーンマスクに対して前記基板を位置合わせする位置合わせ制御工程とを実行し、
前記電子部品搭載装置は、前記搭載ヘッドによって電子部品を前記ペーストが印刷された個片基板の部品搭載位置に搭載する部品搭載工程に先立って、前記個片基板に形成された基板認識マークを認識する第2のマーク認識工程と、前記バッドマークを検出する第2のバッドマーク検出工程とを実行し、前記部品搭載工程において前記第2のマーク認識工程で得られた認識結果に基づいて前記部品搭載機構を制御することにより、前記電子部品を前記部品搭載位置に搭載し、
さらに前記電子部品実装システムは、前記基板の位置合わせにおいて用いられる参照データであって、前記パターン孔の配列と前記マスク認識マークとの位置関係を示す印刷位置データおよび前記基板における部品実装点の位置と前記位置基準マークとの位置関係を示す実装位置データとを基板品種毎に記憶するデータ記憶部を備え、
前記位置合わせ制御工程において、前記第1のマーク認識工程における位置基準マークの認識結果および実装位置データに基づいて当該基板において前記ペーストを印刷すべき複数の印刷目標位置を求め、次いで前記マスク認識マークの認識結果および前記印刷位置データに基づいて前記複数の印刷目標位置に複数の前記パターン孔が近似的に一致する度合いが、前記複数の個片基板のうち前記バッドマークが検出された個片基板を除外した条件下で極大となるように前記基板を位置合わせし、
前記部品搭載工程において、前記バッドマークが検出された個片基板を除外して前記第2のマーク認識工程における認識結果に基づいて前記部品実装点の位置を予め定められた位置補正アルゴリズムに従って補正して前記部品搭載位置を求めることを特徴とする電子部品実装システムにおける実装基板の製造方法。
【請求項5】
前記個片基板は後工程においてそれぞれがさらに複数の要素基板に分割される複合基板であり、前記バッドマークは前記要素基板毎に形成されており、前記複数の要素基板のうち前記バッドマークが検出された要素基板を除外した条件下で前記基板を位置合わせすることを特徴とする請求項5に記載の電子部品実装システムにおける実装基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−906(P2013−906A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−130875(P2011−130875)
【出願日】平成23年6月13日(2011.6.13)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】