説明

電子部品実装基板およびその製造方法

【課題】アンダーフィル材等の特別の部材を必要とせず、電子部品と配線基板との接合部における外部衝撃や熱ストレスによるクラックの発生が抑制された電子部品実装基板を提供すること。
【解決手段】樹脂を含む絶縁性基板、および、該絶縁性基板の少なくとも一方の表面に形成された導体配線層を有するプリント基板を少なくとも1枚備え、表面に複数のランド電極を有する配線基板と、表面に複数の端子電極を有する電子部品と、を含む電子部品実装基板であって、上記ランド電極と上記端子電極とが、接合部材を介して電気的に接続されており、上記接合部材は、Snを含有する第1金属と該第1金属よりも高い融点を有する第2金属との反応により生成する300℃以上の融点を有する金属間化合物を含み、上記第2金属の表面に最初に生成する金属間化合物の格子定数と上記第2金属の格子定数との差が、上記第2金属の格子定数に対して50%以上であり、かつ、複数の気孔を有することを特徴とする、電子部品実装基板。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マザーボード等に実装される電子部品実装基板およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、絶縁基板の表面に導体配線層を形成した、いわゆるプリント基板が、回路基板や半導体素子を搭載したパッケージ等に適用されている。また、プリント基板の表面電極(ランド電極)と、半導体素子や受動部品などの電子部品の端子電極をはんだを用いて接合することにより、電子部品をプリント基板に実装して、マザーボード等に実装される電子部品実装基板が製造されている。
【0003】
特許文献1(特開2009−76611号公報)には、Sn系はんだ層とNi系層との間にCuNiSn系化合物を主体とする化合物をバリア層として用いたはんだ接続部が記載されている。また、バンプを有するプリント基板に半導体素子、チップ部品がはんだ接続されたモジュール(電子部品実装基板)が開示されている。
【0004】
しかし、このような配線基板にICや受動部品を表面実装した表面実装型モジュール製品(電子部品実装基板)において、外部からの衝撃や熱ストレスによる衝撃により、配線基板と実装部品を接合するはんだにクラックが入り、接続不良を生じるといった問題があった。
【0005】
そこで、対応策として、はんだ接合部にアンダーフィル材(特許文献2:特開2007−128982号公報参照)を注入して応力を緩和するなどの方策がとられていたが、コストが負担になる他、アンダーフィル塗布エリアが無駄になるなどにより、半導体装置の小型化に不利になるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−76611号公報
【特許文献2】特開2007−128982号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、アンダーフィル材等の特別の部材を必要とせず、電子部品と配線基板との接合部における外部衝撃や熱ストレスによるクラックの発生が抑制された電子部品実装基板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、樹脂を含む絶縁性基板、および、該絶縁性基板の少なくとも一方の表面に形成された導体配線層を有するプリント基板を少なくとも1枚備え、表面に複数のランド電極を有する配線基板と、
表面に複数の端子電極を有する電子部品と、を含む電子部品実装基板であって、
上記ランド電極と上記端子電極とが、接合部材を介して電気的に接続されており、
上記接合部材は、Snを含有する第1金属と該第1金属よりも高い融点を有する第2金属との反応により生成する300℃以上の融点を有する金属間化合物を含み、
上記第2金属の表面に最初に生成する金属間化合物の格子定数と上記第2金属の格子定数との差が、上記第2金属の格子定数に対して50%以上であり、かつ、複数の気孔を有することを特徴とする、電子部品実装基板である。
【0009】
上記第2金属はCu−Ni合金またはCu−Mn合金であることが好ましい。
上記絶縁性基板は熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。
【0010】
上記電子部品は、チップコンデンサ、チップ抵抗およびチップインダクタからなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
【0011】
上記配線基板は、複数の上記プリント基板が積層されてなる多層配線基板であることが好ましい。
【0012】
上記導体配線層を相互に電気的に接続するためのビアホール導体を上記絶縁性基板の内部に有し、上記ビアホール導体は上記接合部材と同じ材質からなることが好ましい。
【0013】
また、本発明は、樹脂を含む絶縁性基板、および、該絶縁性基板の少なくとも一方の表面に形成された導体配線層を有するプリント基板を少なくとも1枚備え、表面に複数のランド電極を有する配線基板と、
表面に複数の端子電極を有する電子部品とを準備するステップと、
上記配線基板の表面上の上記ランド電極の表面を含む所定の位置に導電性ペーストを塗布するステップと、
上記導電性ペーストと上記端子電極が接触するように、上記電子部品を上記配線基板に搭載するステップと、
上記電子部品が搭載された上記配線基板に熱処理を行い、上記導電性ペースト由来の接合部材を形成して上記ランド電極と上記端子電極を相互に電気的に接続するステップと、を含む電子部品実装基板の製造方法であって、
上記導電性ペーストは、SnまたはSnを85重量%以上含有する合金である第1金属粉末、および、上記第1金属よりも高い融点を有する第2金属粉末からなる金属成分と、フラックス成分とからなり、
上記接合部材は、上記第1金属粉末と上記第2金属粉末との反応により生成する300℃以上の融点を有する金属間化合物を含み、
上記熱処理において上記第2金属粉末の表面に最初に生成する金属間化合物の格子定数と上記第2金属の格子定数との差が、上記第2金属の格子定数に対して50%以上であり、かつ、複数の気孔を有することを特徴とする、電子部品実装基板の製造方法にも関する。
【0014】
上記第2金属はCu−Ni合金またはCu−Mn合金であることが好ましい。
上記金属成分中の上記第2金属の比率が30重量%以上であることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、実装後の再加熱(リフロー)によっても接続部が溶融することがない安定した接合を保持するため、アンダーフィル材等の特別の部材を必要とせず、電子部品と配線基板との接合部における外部衝撃や熱ストレスによるクラックの発生が抑制された電子部品実装基板を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の電子部品実装基板の製造方法の一例において、接合部材を形成する際の金属成分の挙動を模式的に示す図である。(a)は、加熱前の状態を示す図である。(b)は、加熱が開始され、第1金属が溶融した状態を示す図である。(c)は、さらに加熱が継続され、第1金属のすべてが、第2金属との金属間化合物を形成した状態を示す図である。
【図2】実施形態1の電子部品実装基板の製造方法の一例を説明するための第1の模式図である。
【図3】実施形態1の電子部品実装基板の製造方法の一例を説明するための第2の模式図である。
【図4】実施形態1の電子部品実装基板の製造方法の一例を説明するための第3の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<電子部品実装基板>
以下に、本発明の電子部品実装基板の各構成について詳細に説明する。
【0018】
[絶縁性基板]
絶縁性基板は、電気絶縁性を有する材料からなる板状またはフィルム状の基板であれば特に限定されないが、少なくとも樹脂を含むものである。樹脂としては、熱可塑性樹脂を含むものであることが好ましい。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリイミド、液晶ポリマー(LCP)、ポリエーテルケトン樹脂(PEEK)、ポリフェニレンスルフィド樹脂(PPS)が挙げられる。ただし、熱可塑性樹脂を含む絶縁性基板に限定されず、例えば、接着剤を予めコーティングした熱硬化性樹脂(ポリイミド:PI)フィルムなどを用いることもできる。
【0019】
[導体配線層]
導体配線層としては、種々公知の配線基板に用いられる導体配線層を使用することができる。導体配線層の材料としては、例えば、銅、銀、アルミニウム、SUS、ニッケル、金や、それらの合金などを用いることができ、好ましくは銅である。
【0020】
[接合部材]
本発明の電子部品実装基板における接合部材は、Snを含有する第1金属と該第1金属よりも高い融点を有する第2金属との反応により生成する300℃以上の融点を有する金属間化合物を含んでいる。
【0021】
第1金属は、具体的には、Sn単体からなる金属、または、SnとCu、Ni、Ag、Au、Sb、Zn、Bi、In、Ge、Al、Co、Mn、Fe、Cr、Mg、Mn、Pd、Si、Sr、Te、Pからなる群より選ばれる少なくとも1種とを含む合金などが挙げられる。第1金属が合金である場合、Snを85重量%以上含有することが好ましい。これにより、所望の金属間化合物(Cu2NiSn、Cu2MnSn、Ni-Sn金属間化合物、Mn-Sn金属間化合物、Sn−Cu金属間化合物など)を生成するために必要な、第2金属(Cu−Ni合金、Cu−Mn合金など)との反応成分であるSnの量を十分に供給することができる。第1金属におけるSnの含有量が85重量%未満である場合、Snの量が不足して所望の量の金属間化合物が生成されず、耐熱性に優れた接合部材が得られなくなる。
【0022】
第2金属は、該第2金属の表面に最初に形成される上記金属間化合物と上記第2金属との格子定数の差が、上記第2金属の格子定数に対して50%以上となるような金属(合金を含む)が用いられる。ここで、「第2金属の表面に最初に生成する金属間化合物」とは、加熱処理を開始してから最初に第2金属の表面に生成する金属間化合物であり、通常は、第1金属および第2金属を構成する金属からなる3元系合金(例えば、Cu2NiSn、Cu2MnSn)であり、好ましくは、Cu、NiおよびSnからなる合金、または、Cu、MnおよびSnからなる合金である。
【0023】
「第2金属の表面に最初に形成される金属間化合物と第2金属との格子定数の差」とは、金属間化合物の格子定数(結晶軸の長さ)から第2金属成分の格子定数(結晶軸の長さ)を差し引いた値の絶対値である。すなわち、この格子定数の差は、第2金属との界面に新たに生成する金属間化合物の格子定数が、第2金属の格子定数に対してどれだけ差があるかを示すものであり、いずれの格子定数が大きいかを問わないものである。通常は、金属間化合物の格子定数の方が第2金属成分の格子定数よりも大きい。
【0024】
このように第2金属の表面に最初に生成する金属間化合物の格子定数と第2金属との格子定数の差を一定以上とすることで、第1金属と第2金属との金属間化合物を生成する反応を高速化することが可能となり、比較的低温で短時間の熱処理により、金属間化合物を生成させることができるため、接合部材中の低融点の第1金属が高融点の金属間化合物に短時間で変化し、耐熱性に優れた接合部材が形成される。本発明者らにより、第2金属の表面に最初に形成される金属間化合物と上記第2金属との格子定数の差が、上記第2金属の格子定数に対して50%未満となるような、第1金属と第2金属を使用しても、このような効果を得ることができないことが分かっている。
【0025】
また、SnとCu−Niとの反応により金属間化合物が生成する際、SnとCu−Niの拡散速度は、SnとBi、Pb、Zn、Ag、Cuなどといった金属系より10倍以上早いため、Snが液相状態でいる時間が短いために、通常のはんだと異なり、SnとCu−Niの界面での反応が進行する際に、界面張力により体積を最小化する前に固相である金属間化合物が生成するために、得られる接合部材は、内部に多数の微小な気孔(ボイド)を有する構造体となる。このため、外部からの衝撃・荷重等に対して、気孔がクッションとなり、内蔵される電子部品への衝撃・荷重を低減してくれる。こうして、薄型であっても強度および外部応力の吸収性に優れた電子部品実装基板を得ることができる。
【0026】
第2金属としては、例えば、Cu−Ni合金(Cu−10Niなど)、Cu−Mn合金などが挙げられ、好ましくは、Cu−Ni合金またはCu−Mn合金である。なお、本明細書において、たとえば「Cu−10Ni」の数字10は当該成分(この場合はNi)の重量%の値を示しており、他の記載についても同様である。
【0027】
ここで、Cu−Ni合金中のNiの比率は10〜15重量%であることが好ましい。また、上記Cu−Mn合金中のMnの比率は10〜15重量%であることが好ましい。これにより、所望の金属間化合物を生成するのに必要十分なNiまたはMnを供給することができる。Cu−Ni合金中のNiの比率およびCu−Mn合金中のMnの比率が10重量%未満である場合、第1金属中のSnが全て金属間化合物とならずに残留しやすくなることが分かっている。また、Cu−Ni合金中のNiの比率およびCu−Mn合金中のMnの比率が15重量%を超える場合も、第1金属中のSnが全て金属間化合物とならずに残留しやすくなることが分かっている。
【0028】
また、第1金属と第2金属との反応によって得られる金属間化合物は、Cu2NiSnまたはCu2MnSnを含んでいることが好ましい。融点が300℃以上であるこれらの金属間化合物で形成された接合部材を含む電子部品実装基板は、耐熱性に優れたものとなる。
【0029】
(電子部品)
電子部品としては、例えば、ICなどの能動部品や、コンデンサ、抵抗、インダクタなどの受動部品が挙げられる。電子部品は、チップコンデンサ、チップ抵抗およびチップインダクタからなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
【0030】
電子部品は端子電極を備えており、該端子電極はプリント基板のランド電極と電気的に接続される。端子電極としては、例えば、表面にSnめっきが施されたNi、Ag等の金属電極や、はんだバンプ電極(Auバンプ電極)が挙げられる。
【0031】
<電子部品実装基板の製造方法>
[実施形態1]
本発明の電子部品実装基板の製造方法の一実施形態について、以下に図2〜図4を用いて詳細に説明する。
【0032】
(1) 配線基板と電子部品とを準備するステップ
まず、樹脂を含む絶縁性基板、および、該絶縁性基板の少なくとも一方の表面に形成された導体配線層を有するプリント基板を少なくとも1枚備え、表面に複数のランド電極を有する配線基板と、表面に複数の端子電極を有する電子部品とを準備する。
【0033】
図2は、導体配線層を有するプリント基板が複数積層され、それらが圧着されてなる配線基板を示している。複数のプリント基板の絶縁性基板1は一体化されており、その内部に複数の導体配線層2を有している。
【0034】
絶縁性基板1としては、上述の樹脂を含む絶縁性基板が用いられる。絶縁性基板が樹脂を含んでいると、熱処理により樹脂が流れる恐れがあるため、後述のプレス時などの熱処理は比較的低温であることが望ましい。特に、樹脂として熱可塑性樹脂を含む場合は、熱処理により樹脂が流れ易いため、比較的低温で熱処理する製造方法を用いることが望ましい。
【0035】
導体配線層を形成する方法としては、種々公知の方法を用いることができるが、例えば、絶縁性基板の表面に導体箔を接着した後、これをエッチングして配線回路を形成する方法や、配線回路の形状に形成された導体箔を絶縁性基板に転写する方法、絶縁性基板の表面に金属メッキ法によって回路を形成する方法が挙げられる。
【0036】
導体配線層の形成に用いる導体箔の材料としては、例えば、銅、銀、アルミニウム、SUS、ニッケル、金や、それらの合金などを用いることができ、好ましくは銅である。導体箔の厚さは回路形成可能であれば特に制限されず、3〜40μm程度の範囲で適宜調整することができる。また、導体箔は、熱可塑性樹脂フィルムとの接着性を高めるために片面に粗化処理が施されていてもよく、粗化された面の表面粗さ(Rz)は、例えば1〜15μmである。
【0037】
なお、図示していないが、導体配線層2は必要に応じて相互にビアホール導体などにより接続されている。ビアホール導体による接続は種々公知の方法で行うことができ、後述の接合部材の形成に用いられる導電性ペーストと同じ材料を用いてビアホール導体を形成することが好ましい。
【0038】
また、絶縁性基板1の両面には、電子部品に接続されるランド電極3とマザーボード等に接続される表面実装用電極4とが設けられている。ランド電極3は、例えば、金属電極31の表面にNi、Auなどからなるめっき32やOSP処理(Organic Solderbility Preservative処理:耐熱プリフラックス処理)を施したものである。表面実装用電極4も同様に、例えば、金属電極41の表面にNi、Auなどからなるめっき42やOSP処理を施したものである。なお、絶縁性基板1の表面実装用電極4側の表面のうち、表面実装用電極4のない部分には、絶縁性材料からなるはんだレジスト5が形成されている。
【0039】
(2) ランド電極の表面に導電性ペーストを塗布するステップ
このようにして形成されたランド電極の表面を含む所定の位置に、第1金属81および第2金属82を含む導電性ペーストを塗布する(図3)。導電性ペーストの塗布は、メタルマスクを用いたコンタクト印刷法もしくはディスペンス法などにより行われる。
【0040】
導電性ペーストとしては、上記第1金属および第2金属からなる金属成分と、フラックス成分とを混練してなるペーストが用いられる導電性ペーストの各成分について、以下に詳述する。
【0041】
(金属成分)
金属成分としては、上述の第1金属および第2金属と同様のものが用いられる。導電性ペースト中における金属成分とは、具体的には、例えば、ペースト中に分散された状態で存在する第1金属からなる粉末(第1金属粉末)および第2金属からなる粉末(第2金属粉末)である。
【0042】
第1金属粉末および第2金属粉末の算術平均粒径は、3〜30μmであることが好ましい。小さすぎると製造コストが高くなる。また金属粉の酸化が進み反応を阻害し易い問題がある。大きすぎるとビアホールに充填できなくなる問題が起きる。また、第1金属と第2金属との接続性や反応性を考慮すると、第1金属粉末および第2金属粉末中の酸素濃度は2000ppm以下であることが好ましく、特に10〜1000ppmが好ましい。
【0043】
また、導電性ペースト中の金属成分に占める第2金属の割合を30重量%以上とすること(すなわち、第1金属の割合を70重量%以下とすること)が好ましい。これにより、製造後の接合部材における、Snの残留割合がより低減され、第1金属と第2金属との反応生成物である金属間化合物の割合が増すため、接合部材の導電性、耐熱性をより高めることができる。
【0044】
また、上記第1金属粉末および第2金属粉末として、比表面積が0.05m2・g-1以上のものを用いることにより、第1金属粉末と第2金属粉末との接触確率が高くなり、第1金属と第2金属との間で、さらに金属間化合物を形成しやすくなるため、一般的なリフロープロファイルで高融点化を完了させることが可能になる。
【0045】
また、第1金属粉末のうち少なくとも一部を、第2金属粉末の周りにコートすることにより、第1金属と第2金属の間で、さらに金属間化合物を形成しやすくすることが可能になり、本願発明をより実効あらしめることができる。
【0046】
また、第2金属として、Cu−Mn合金またはCu−Ni合金を用いることにより、さらには、Mnの割合が10〜15重量%であるCu−Mn合金、または、Niの割合が10〜15重量%であるCu−Ni合金を用いることにより、より低温、短時間で第1金属との間で金属間化合物を形成しやすくすることが可能になり、その後のリフロー工程でも溶融しないようにすることが可能になる。
【0047】
なお、第2金属には、第1金属との反応を阻害しない程度で、例えば、1重量%以下の割合で不純物が含まれていてもよい。不純物としては、Zn、Ge、Ti、Sn、Al、Be、Sb、In、Ga、Si、Ag、Mg、La、P、Pr、Th、Zr、B、Pd、Pt、Ni、Auなどが挙げられる。
【0048】
なお、導電性ペースト中に占める上記金属成分の比率は、70〜90重量%であることが好ましい。この範囲内であれば、メタルマスクを用いた印刷において、良好な印刷性が得られる。
【0049】
(フラックス成分)
フラックス成分としては、導電性ペーストの材料に用いられる種々公知のフラックス成分を用いることができ、例えば、ビヒクル、溶剤、チキソ剤、活性剤などが挙げられる。
【0050】
上記ビヒクルとしては、例えば、ロジンおよびそれを変性した変性ロジンの誘導体などからなるロジン系樹脂、合成樹脂、または、これらの混合体などが挙げられる。上記ロジンおよびそれを変性した変性ロジンなどの誘導体からなるロジン系樹脂としては、例えば、ガムロジン、トールロジン、ウッドロジン、重合ロジン、水素添加ロジン、ホルミル化ロジン、ロジンエステル、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、ロジン変性アルキド樹脂、その他各種ロジン誘導体などが挙げられる。上記ロジンおよびそれを変性した変性ロジンなどの誘導体からなる合成樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、フェノキシ樹脂、テルペン樹脂などが挙げられる。
【0051】
上記溶剤としては、アルコール、ケトン、エステル、エーテル、芳香族系、炭化水素類などが知られており、具体的な例としては、ベンジルアルコール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、ジエチレングリコール、エチレングリコール、グリセリン、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、酢酸エチル、酢酸ブチル、安息香酸ブチル、アジピン酸ジエチル、ドデカン、テトラデセン、α−ターピネオール、テルピネオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2−エチルヘキサンジオール、トルエン、キシレン、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジイソブチルアジペート、へキシレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、2−ターピニルオキシエタノール、2−ジヒドロターピニルオキシエタノール、それらを混合したものなどが挙げられる。好ましくは、テルピネオール、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルである。
【0052】
また、上記チキソ剤の具体的な例としては、硬化ヒマシ油、カルナバワックス、アミド類、ヒドロキシ脂肪酸類、ジベンジリデンソルビトール、ビス(p−メチルベンジリデン)ソルビトール類、蜜蝋、ステアリン酸アミド、ヒドロキシステアリン酸エチレンビスアミドなどが挙げられる。また、これらに必要に応じてカプリル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸のような脂肪酸、1,2−ヒドロキシステアリン酸のようなヒドロキシ脂肪酸、酸化防止剤、界面活性剤、アミン類などを添加したものもチキソ剤として用いることができる。
【0053】
上記活性剤としては、例えば、アミンのハロゲン化水素酸塩、有機ハロゲン化合物、有機酸、有機アミン、多価アルコールなどが挙げられる。
【0054】
上記アミンのハロゲン化水素酸塩としては、例えば、ジフェニルグアニジン臭化水素酸塩、ジフェニルグアニジン塩酸塩、シクロヘキシルアミン臭化水素酸塩、エチルアミン塩酸塩、エチルアミン臭化水素酸塩、ジエチルアニリン臭化水素酸塩、ジエチルアニリン塩酸塩、トリエタノールアミン臭化水素酸塩、モノエタノールアミン臭化水素酸塩などが挙げられる。
【0055】
上記有機ハロゲン化合物としては、例えば、塩化パラフィン、テトラブロモエタン、ジブロモプロパノール、2,3−ジブロモ−1,4−ブタンジオール、2,3−ジブロモ−2−ブテン−1,4−ジオール、トリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレートなどが挙げられる。
【0056】
上記有機酸としては、例えば、マロン酸、フマル酸、グリコール酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、フェニルコハク酸、マレイン酸、サルチル酸、アントラニル酸、グルタル酸、スベリン酸、アジピン酸、セバシン酸、ステアリン酸、アビエチン酸、安息香酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ドデカン酸などが挙げられる。
【0057】
上記有機アミンとしては、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリブチルアミン、アニリン、ジエチルアニリンなどが挙げられる。
【0058】
上記多価アルコールとしては、例えば、エリスリトール、ピロガロール、リビトールなどが挙げられる。
【0059】
(3) 前記電子部品を前記配線基板に搭載するステップ
次に、図3に示すように、導電性ペースト第1金属成分81および第2金属成分82を含む導電性ペーストと、端子電極(端子電極61、Auバンプ71)が接触するように、電子部品6および電子部品(IC)7を配線基板に搭載する。
【0060】
(4) 配線基板のランド電極と電子部品の端子電極を相互に電気的に接続するステップ
次に、電子部品6および電子部品(IC)7が搭載された配線基板に熱処理を施す。熱処理の温度は、少なくとも一定時間の間、230℃以上に達することが好ましい。230℃に達しない場合は第1金属中のSn(融点:232℃)が溶融状態とならず、金属間化合物を生成することができない。
【0061】
このようにして熱処理することで、接合部材となる導電性ペースト中のフラックス成分が金属表面の酸化膜を還元し、第1金属中のSnと第2金属(Cu−Ni、Cu−Mnなど)が反応して金属間化合物を生成し、また、ランド電極3および端子電極61,71と導電性ペーストとが接する部分において、ランド電極3および端子電極61,71の表面を形成する金属と導電性ペーストに含まれる第1金属81とが反応して合金層を形成する。この熱処理により、上記導電性ペースト由来の接合部材8が形成されて(図4)、配線基板のランド電極3と内蔵される電子部品の端子電極61,71とが電気的に接続される。この接合部材8には複数の気孔84が形成されている(図4)。
【0062】
図1は、本発明の電子部品実装基板の製造方法の一例において、導電性ペーストから接合部材が形成される際の金属成分の挙動を模式的に示す図である。
【0063】
まず、図1(a)に、第1金属81および第2金属82を含む導電性ペースト800が、下側の配線基板の表面に設けられたのランド電極3と、上側の電子部品の表面に設けられた端子電極61とに接触している状態を示す。
【0064】
次に、この状態で加熱処理を行い、導電性ペースト800の温度が第1金属81の融点以上に達すると、図1(b)に示すように、第1金属81が溶融する。
【0065】
その後、さらに加熱を続けると、第1金属81が第2金属82と反応することにより、金属間化合物83(図1(c))が生成する。そして、本発明に用いられる導電性ペーストでは、第1金属81と第2金属82との界面に生成する金属間化合物83と、第2金属82間の格子定数差が大きい(すなわち、金属間化合物と第2金属との格子定数の差が、第2金属の格子定数に対して50%以上である)ため、溶融した第1金属中で金属間化合物が剥離、分散しながら反応を繰り返し、金属間化合物の生成が飛躍的に進行し、短時間のうちに第1金属81(図1(a),(b))の含有量を十分に低減させることができる。さらに、第1金属81と第2金属82との組成比を最適化することにより、図1(c)に示すように、第1金属81をすべて金属間化合物83とすることができる。その結果、耐熱性に優れた接合部材801を形成することが可能となる。
【0066】
また、金属間化合物の生成が飛躍的に進行することにより、図1(c)に示すように複数の気孔84が形成される。その結果、外部からの衝撃・荷重等に対して、接合部材の気孔がクッションとなり、内蔵される電子部品への衝撃・荷重を低減することが可能となる。
【0067】
また、第1金属81の全てが第2金属82と反応して高融点の金属間化合物83を形成しているため、接合部材が高融点の第2金属82および高融点の金属間化合物83のみから構成されているため、耐熱性に優れた接合部材を形成することができる。
【実施例】
【0068】
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0069】
(実施例1)
実施形態1で説明した図2に示すようなランド電極を有する配線基板を用意する。なお、ランド電極3は、Cu電極31の表面にNi/Auめっき32が施されたものである。
【0070】
次に、この配線基板上のランド電極の表面を含む所定の位置に、メタルマスクを用いて導電性ペーストを80μm程度の厚さで塗布した。導電性ペーストとしては、SnおよびCu−Niを主成分とし、ロジンなどを含むフラックス成分とそれらとを混練して得られるペーストを用いた。具体的には、算術平均粒径25μmのSn粉末と、算術平均粒径25μmのCu−10Ni合金粉末(Cu/Niの重量比は90/10)とを、60重量%対40重量%の比率で配合した金属成分に対し、ロジンからなるフラックス成分を、金属成分対フラックス成分の比率が90重量%対10重量%となるように配合し、それらを混練することで調製されたペーストを用いた。
【0071】
さらに、実施形態1で図3、図4を用いて説明した方法で、半導体素子やコンデンサ、フィルタなどの電子部品(接続端子の表面はSnから構成されている)を高速マウンターを用いて実装し、窒素雰囲気にパージしたリフロー炉を用いて260℃で20秒程度加熱処理することで、導電性ペースト由来の接合部材を形成し、配線基板のランド電極と内蔵される電子部品の端子電極とを電気的に接続する。この接合部材には複数の気孔が形成されている。これにより、本発明の電子部品実装基板を得ることができる。
【0072】
第1金属であるSnと第2金属であるCu−10Niとが反応すると、金属間化合物としてCu2NiSnが生成する。ここで、第2金属(Cu−10Ni)の格子定数Aは0.357nm、金属間化合物(Cu2NiSn)の格子定数Bは0.597nmであるから、上記第2金属の格子定数に対する金属間化合物と第2金属との格子定数の差の比率[(B−A)/A×100]は67%となる。なお、格子定数はa軸を基に評価している。
【0073】
また、Cu−Ni合金の格子定数は、Niの含有量が10重量%から15重量%の範囲では、Cuの格子定数とほぼ同じである。
【0074】
なお、金属間化合物はCu2NiSnばかりでなく、高融点のNi-Sn金属間化合物や高融点のCu−Sn金属間化合物も生成される。Cu−Ni粉末の表面に最初に生成される金属間化合物Cu2NiSnと第2金属(Cu−10Ni)の格子定数の差が大きいので金属間化合物Cu2NiSnがその上に形成されたNi-Sn金属間化合物やCu−Sn金属間化合物とともに剥離する。すなわち、生成した金属間化合物層と、ベース金属である第2金属間の格子定数差が大きいと,溶融した第1金属中で金属間化合物が剥離、分散しながら反応を繰り返すため金属間化合物化が飛躍的に進行することにより、融点の低い第1金属がすべて高融点の金属間化合物に変化すると考えられる。
【0075】
(試験例1)
[リフロー接合]
Sn粉末とCu−10Ni合金粉末の算術平均粒径および配合比率を表1に示すように変化させた導電性ペースト1〜6を用い、電子部品としてAuバンプを有する導通検査用IC(デイジーチェーンIC)を用いた以外は、実施例1と同様にして、試験用の電子部品実装基板を作製した。なお、配線基板には、一端がランド電極に接続された貫通ビアホール導体が形成されており、このビアホール導体の他端には配線基板の外部電極が形成されている。
【0076】
作製した電子部品実装基板の隣合う外部電極の一方に信号を入力し、ビアホール導体と導電性ペースト由来の接合部材を通りIC内で折り返され、さらに導電性ペースト由来の接合部材とビアホール導体とを通った信号を、隣合う外部電極の他方から取り出すことにより導通検査を行って、導電性ペースト由来の接合部材での電気的導通の有無を測定した。導電性ペースト1〜6を用いて作製した電子部品実装基板の各々についての結果を、表1の「リフロー接合」に示す。表1の「リフロー接合」では、導通している場合を「可」、導通していないオープン(導通不良)の場合を「不可」と表示した。
【0077】
[反転リフロー]
Sn粉末とCu−10Ni合金粉末の算術平均粒径および配合比率を表1に示すように変化させた導電性ペースト1〜6を用い、電子部品として1005コンデンサを用いた以外は、実施例1と同様にして、試験用の電子部品実装基板を作製した。
【0078】
作製した電子部品実装基板を裏返しにして(コンデンサ側を下にして)、窒素雰囲気にパージしたリフロー炉を用いて260℃で30秒間の再加熱(リフロー)を行った後、リフローの際のコンデンサの落下の有無を確認した。導電性ペースト1〜6を用いて作製した電子部品実装基板の各々についての結果を、表1の「反転リフロー」に示す。表1の「反転リフロー」では、コンデンサの落下がなかった場合を「可」、コンデンサが落下した、もしくはクラックが入るなどして導通しなくなった場合を「不可」と表示した。
【0079】
【表1】

【0080】
表1の「リフロー接合」の結果から、導電性ペースト1〜6を用いて作製した試験用の電子部品実装基板の全てで、接合部材において配線部品と電子部品とが導通されていることがわかる。また、「反転リフロー」の結果から、Snの配合比率が多い導電性ペースト3および4では、リフロー時の接合部材の耐熱性が低いことが示され、導電性ペースト中の金属成分に占める第1金属の割合を70重量%以下とすること(すなわち、第2金属の割合を30重量%以上とすること)が好ましいことが分かる。
【0081】
(試験例2)
配線基板にICおよびコンデンサ(1005コンデンサ、0603コンデンサおよび0402コンデンサ)を実装した以外は、実施例1と同様にして(実施例1と同様の導電性ペーストを用いて)、試験用の電子部品実装基板(試料1)を作製した。なお、本試験例で用いた配線基板には、ICを実装するための、直径300μmの円形のランド電極が0.6mmピッチで形成されている。また、1005コンデンサ、0603コンデンサ、0402コンデンサを実装するための、一辺の長さがそれぞれ0.4mm、0.3mm、0.2mmの正方形のランド電極とが形成されている。
【0082】
比較として、上記導電性ペーストの代わりに、はんだ(Sn−3Ag−0.5Cu)ペーストを用いた以外は、試料1と同様の電子部品実装基板を作製した(比較試料1)。また、上記導電性ペーストの代わりに、はんだ(Sn−45Bi)ペーストを用いた以外は、試料1と同様の電子部品実装基板を作製した(比較試料2)。
【0083】
試料1および比較試料1、2について、上記試験例1の「リフロー接合」、「反転リフロー」と同様の評価、および、以下の「繰り返しリフロー」、「ヒートショック耐性(H/S)、落下衝撃耐性の評価を行った。結果を表2に示す。
【0084】
[繰り返しリフロー]
260℃で30秒間の再加熱(リフロー)を10回繰り返した後に、試験例1と同様にして、導電性ペースト由来の接合部材での電気的導通の有無を測定した。表2の「繰り返しリフロー」では、導通している場合を「可」、導通していないオープン(導通不良)の場合を「不可」と表示した。
【0085】
[ヒートショック耐性(H/S)]
−55℃/+125℃で1000サイクルのヒートショック耐久試験を行い、耐久試験前後の接合不良を評価した。表2の「H/S」では、接合部材のクラックが発生しないものを「可」、接合部材のクラックが発生した場合を「不可」と評価した。
【0086】
[落下衝撃耐性]
1.8mの高さからコンクリート上に落下試験を行い、落下試験前後の接合不良を評価した。表2の「落下衝撃耐性」では、接合部材のクラックが発生しないものを「可」、接合部材のクラックが発生した場合を「不可」と評価した。
【0087】
【表2】

【0088】
はんだペーストで接合した比較試料1、2では接合不良が発生したが、導電性ペースト由来の接合部材で接合した試料1では接合不良が発生しなかった。導電性ペースト由来の接合部材は、接合部材の気孔がクッションとなり、基板に実装した電子部品への衝撃・荷重を低減することがわかる。
【0089】
(試験例3)
導電性ペースト中のCu−Ni合金中のNiの比率を10重量%から15重量%に変更した導電性ペースト7を用いた以外は、上記試験例1の「リフロー接合」、「反転リフロー」と同様にして、導電性ペースト由来の接合部材での電気的導通の有無を測定した。結果を表3に示す。
【0090】
【表3】

【0091】
(試験例4)
Cu−10Ni合金をCu−10Mn合金に変更した導電性ペースト8を用いた以外は、上記試験例1の「リフロー接合」、「反転リフロー」と同様にして、導電性ペースト由来の接合部材での電気的導通の有無を測定した。結果を表4に示す。
【0092】
【表4】

【0093】
(試験例5)
第1金属をSn−0.75Cu(Snを主成分とするはんだ)に変更した導電性ペースト9を用いた以外は、上記試験例1の「リフロー接合」、「反転リフロー」と同様にして、導電性ペースト由来の接合部材での電気的導通の有無を測定した。結果を表5に示す。
【0094】
【表5】

【0095】
(試験例6)
第1金属をSn−3Ag−0.5Cu(Snを主成分とするはんだ)に変更した導電性ペースト10を用いた以外は、上記試験例1の「リフロー接合」、「反転リフロー」と同様にして、導電性ペースト由来の接合部材での電気的導通の有無を測定した。結果を表6に示す。
【0096】
【表6】

【0097】
なお、Sn−0.75Cu、Sn−3Ag−0.5Cuは鉛フリーはんだである。第1金属として、各種の鉛フリーはんだを用いることができる。上記以外にも、Bi、Znを含有する鉛フリーはんだが市販されている。第1金属としてこれらのはんだの内、Snが85重量%以上のものを用いることができる。
【0098】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0099】
1 絶縁性基板、2 導体配線層、3 ランド電極、31 金属電極、32 めっき、4 表面実装用電極、41 金属電極、42 めっき、5 はんだレジスト、6 電子部品、61 端子電極、7 電子部品(IC)、71 Auバンプ、800 導電性ペースト、801 接合部材、81 第1金属、82 第2金属、83 金属間化合物、84 気孔。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂を含む絶縁性基板、および、該絶縁性基板の少なくとも一方の表面に形成された導体配線層を有するプリント基板を少なくとも1枚備え、表面に複数のランド電極を有する配線基板と、
表面に複数の端子電極を有する電子部品と、を含む電子部品実装基板であって、
前記ランド電極と前記端子電極とが、接合部材を介して電気的に接続されており、
前記接合部材は、Snを含有する第1金属と該第1金属よりも高い融点を有する第2金属との反応により生成する300℃以上の融点を有する金属間化合物を含み、
前記第2金属の表面に最初に生成する金属間化合物の格子定数と前記第2金属の格子定数との差が、前記第2金属の格子定数に対して50%以上であり、かつ、複数の気孔を有することを特徴とする、電子部品実装基板。
【請求項2】
前記第2金属はCu−Ni合金またはCu−Mn合金である、請求項1に記載の電子部品実装基板。
【請求項3】
前記絶縁性基板は熱可塑性樹脂を含む、請求項1または2に記載の電子部品実装基板。
【請求項4】
前記電子部品は、チップコンデンサ、チップ抵抗およびチップインダクタからなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の電子部品実装基板。
【請求項5】
前記配線基板は、複数の前記プリント基板が積層されてなる多層配線基板である、請求項1〜4のいずれかに記載の電子部品実装基板。
【請求項6】
前記導体配線層を相互に電気的に接続するためのビアホール導体を前記絶縁性基板の内部に有し、前記ビアホール導体は前記接合部材と同じ材質からなる、請求項1〜5のいずれかに記載の電子部品実装基板。
【請求項7】
樹脂を含む絶縁性基板、および、該絶縁性基板の少なくとも一方の表面に形成された導体配線層を有するプリント基板を少なくとも1枚備え、表面に複数のランド電極を有する配線基板と、
表面に複数の端子電極を有する電子部品とを準備するステップと、
前記配線基板の表面上の前記ランド電極の表面を含む所定の位置に導電性ペーストを塗布するステップと、
前記導電性ペーストと前記端子電極が接触するように、前記電子部品を前記配線基板に搭載するステップと、
前記電子部品が搭載された前記配線基板に熱処理を行い、前記導電性ペースト由来の接合部材を形成して前記ランド電極と前記端子電極を相互に電気的に接続するステップと、を含む電子部品実装基板の製造方法であって、
前記導電性ペーストは、SnまたはSnを85重量%以上含有する合金である第1金属粉末、および、前記第1金属よりも高い融点を有する第2金属粉末からなる金属成分と、フラックス成分とからなり、
前記接合部材は、前記第1金属粉末と前記第2金属粉末との反応により生成する300℃以上の融点を有する金属間化合物を含み、
前記熱処理において前記第2金属粉末の表面に最初に生成する金属間化合物の格子定数と前記第2金属の格子定数との差が、前記第2金属の格子定数に対して50%以上であり、かつ、複数の気孔を有することを特徴とする、電子部品実装基板の製造方法。
【請求項8】
前記第2金属はCu−Ni合金またはCu−Mn合金である、請求項7に記載の電子部品実装基板の製造方法。
【請求項9】
前記金属成分中の前記第2金属の比率が30重量%以上である、請求項7または8に記載の電子部品実装基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−182293(P2012−182293A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−43974(P2011−43974)
【出願日】平成23年3月1日(2011.3.1)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】