説明

電子部品搭載用基板の製造方法および電子部品搭載用母基板の製造方法

【課題】 絶縁基板の上下のパッドを高い精度で位置合わせして製作することが可能な電子部品搭載用基板(電子部品搭載用母基板)の製造方法を提供する。
【解決手段】 1つのセラミックグリーンシート21に上層貫通孔24aを電極パッド2(金属ペースト22)に対して一定の位置に形成する工程と、他のセラミックグリーンシート21に開口が大きい下層貫通孔24bを形成する工程と、最下層のセラミックグリーンシート21の下面に接続パッド3(金属ペースト23)と下層貫通孔を囲む導体パターン5(金属ペースト25)とを同時に印刷する工程と、上層貫通孔24aと下層貫通孔24bとが連続して貫通孔4を形成するように、下層貫通孔24b側から見通す上層貫通孔24aの開口に金属ペースト25を位置合わせして積層する工程とを備える製造方法である。上層貫通孔24aの開口と導体パターン5とを介して電極パッド2と接続パッド3とを高い精度で位置合わせすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、絶縁基板の上面に電子部品と電気的に接続される電極パッドを有し、下面に外部接続用の接続パッドを有してなる電子部品搭載用基板の製造方法、および母基板に電子部品搭載用基板となる領域を有する電子部品搭載用母基板の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体素子や弾性表面波素子等の電子部品を搭載するために用いられる電子部品搭載用基板として、ガラスセラミック焼結体や酸化アルミニウム質焼結体等のセラミック焼結体からなる複数の絶縁層が積層されてなる絶縁基板の上面に、電子部品の電極と接続される電極パッドが配置されたものが多用されている。
【0003】
また、絶縁基板の下面には、外部電気回路に接続される外部接続用の接続パッドが配置され、接続パッドと電極パッドとは、いわゆるビア導体や絶縁層の層間に配置された内部配線等の接続用の導体を介して互いに電気的に接続されている。
【0004】
このような電子部品搭載用基板は、従来、次のような製造方法で製作されていた。
【0005】
すなわち、まず、酸化アルミニウム等の原料粉末を有機溶剤,バインダとともにドクターブレード法等の方法でシート状に成形して複数のセラミックグリーンシートを作製する。
【0006】
次に、タングステンやモリブデン等の金属粉末を有機溶剤,バインダと混合して金属ペーストを作製し、この金属ペーストを、積層したときに最上層となるセラミックグリーンシートの上面に所定の電極パッドのパターンに印刷する。
【0007】
次に、積層したときに最下層となるセラミックグリーンシートの下面に所定の接続パッドのパターンに金属ペーストを印刷し、その後、電極パッドとして印刷した金属ペーストが最上面に位置し、接続パッドとして印刷した金属ペーストが最下面に位置するように複数のセラミックグリーンシートを積層する。
【0008】
この積層の際、複数のセラミックグリーンシートの上下の位置合わせは、例えばセラミックグリーンシートの外縁に平面視でV字状やU字状等の切り欠き部分を設けておいて、この切り欠き部分を上下で合わせる方法で行なわれる。
【0009】
また、上記工程において焼成前に、例えば電極パッドや接続パッドを形成するのと同様の金属ペーストをセラミックグリーンシートに所定パターンに印刷しておけば、積層体との一体焼成により接続導体を形成することができる。
【0010】
なお、このような電子部品搭載用基板は、上記と同様の複数の絶縁層が積層されてなる母基板の中央部にそれぞれが電子部品搭載用基板となる多数個の絶縁基板領域を有し、外周部にダミー領域を有する電子部品搭載用母基板を作製しておいて、その後、ダミー領域を母基板から分割し、絶縁基板領域を個片に分割する方法で製作する場合もある。
【0011】
電子部品搭載用母基板は、上記と同様の方法で製作される。すなわち、まず複数のセラミックグリーンシートを作製し、次に、積層したときに最上層の絶縁層となるセラミックグリーンシートの上面の中央部に電極パッドとなる金属ペーストを印刷するとともに、最下層の絶縁層となるセラミックグリーンシートの下面に接続パッドとなる金属ペーストを印刷し、その後、複数のセラミックグリーンシートを積層して作製した母基板用積層体を焼成する。以上の工程により、電子部品搭載用母基板が製作される。電子部品搭載用母基板の個片への分割は、例えば、あらかじめ絶縁基板領域の境界に分割溝を設けておき、分割溝に沿って母基板を分割する方法や、ダイシング加工等の方法で行なわれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2002−299818号公報
【特許文献2】特開2005−277078号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、上記従来技術の電子部品搭載用基板の製造方法および電子部品搭載用母基板の製造方法では、絶縁基板の上面の電極パッドと下面の接続パッドとが、平面視したときに、互いに所定の位置関係から位置ずれする場合があるという問題があった。これは、上記のようにセラミックグリーンシートを上下に位置合わせしたとしても、セラミックグリーンシートのわずかな伸縮等の変形や位置合わせ時のずれ等のために、積層体の上面の電極パッドと下面の接続パッドとの間を平面視で互いに正確に位置合わせすることが難しいことによる。電極パッドと接続パッドとの間で上記のような位置ずれが生じると、絶縁基板の外縁から電極パッドおよび接続パッドのそれぞれまでの距離が所定の値からずれるので、例えば電子部品を搭載した電子部品搭載用基板を外部電気回路に接続する際の位置合わせが難しくなる可能性がある。また、電極パッドの位置を基準にした電子部品搭載用母基板の個片へのダイシング加工等による切断の際に、接続パッドの一部が誤って切断されるような不具合を生じる可能性もある。
【0014】
特に、近年、搭載される電子部品の高機能化,高集積化に応じて電極パッドの小型化、高集積化が進んでいるため、このような電極パッドと接続パッドとの位置ずれがさらに発生しやすくなってきている。また、わずかな位置ずれでも、それによる上記のような不具合が発生しやすくなってきている。
【0015】
本発明は、このような従来の問題点に鑑みて完成されたものであり、その目的は、絶縁基板の上面の電極パッドと下面の接続パッドとを高い精度で位置合わせして形成し配置することが可能な電子部品搭載用基板の製造方法、および電子部品搭載用母基板の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の電子部品搭載用基板の製造方法は、複数の絶縁層が積層されてなる絶縁基板の上面に電子部品の電極を接続するための電極パッドが配置され、下面に外部接続用の接続パッドが配置されてなる電子部品搭載用基板の製造方法であって、複数の前記絶縁層となるセラミックグリーンシートを準備し、1つの前記セラミックグリーンシートに、上面に前記電極パッドとなる金属ペーストを印刷するとともに、該印刷される金属ペーストに対して一定の位置において厚み方向に貫通する上層貫通孔を形成する工程と、他の前記セラミックグリーンシートに前記上層貫通孔よりも開口が大きい下層貫通孔を、前記上層貫通孔の位置に対応させて形成する工程と、他の前記セラミックグリーンシートのうちで最下層の前記絶縁層となる前記セラミックグリーンシートの下面に、前記接続パッドとなる金属ペーストを、および前記下層貫通孔を囲む導体パターンとなる金属ペーストを同時に印刷する工程と、複数の前記セラミックグリーンシートを、1つの前記セラミックグリーンシートが最上層となり、他の前記セラミックグリーンシートを最下層の前記絶縁層となる前記セラミックグリーンシートまで、前記上層貫通孔と前記下層貫通孔とが連続して1つの貫通孔を形成するようにして、前記下層貫通孔側から前記上層貫通孔の開口を見通して該開口に対して前記導体パターンとなる金属ペーストを位置合わせして積層して、積層体を形成する工程と、該積層体を焼成する工程とを備えることを特徴とするものである。
【0017】
また、本発明の電子部品搭載用母基板の製造方法は、複数の絶縁層が積層されてなる母基板の中央部に多数個の絶縁基板領域を有するとともに外周部にダミー領域を有し、前記絶縁基板領域の上面に電子部品の電極を接続するための電極パッドが配置されるとともに下面に外部接続用の接続パッドが配置されてなる電子部品搭載用母基板の製造方法であって、複数の前記絶縁層となるセラミックグリーンシートを準備し、1つの前記セラミックグリーンシートに、上面の中央部に前記電極パッドとなる金属ペーストを印刷するとともに、該印刷される金属ペーストに対して一定の位置において厚み方向に貫通する上層貫通孔を外周部に形成する工程と、他の前記セラミックグリーンシートの外周部に前記上層貫通孔よりも開口が大きい下層貫通孔を、前記上層貫通孔の位置に対応させて形成する工程と、他の前記セラミックグリーンシートのうちで最下層の前記絶縁層となる前記セラミックグリーンシートの下面の中央部に、前記接続パッドとなる金属ペーストを、および前記下層貫通孔を囲む導体パターンとなる金属ペーストを同時に印刷する工程と、複数の前記セラミックグリーンシートを、1つの前記セラミックグリーンシートが最上層となり、他の前記セラミックグリーンシートを最下層の前記絶縁層となる前記セラミックグリーンシートまで、前記上層貫通孔と前記下層貫通孔とが連続して1つの貫通孔を形成するようにして、前記下層貫通孔側から前記上層貫通孔の開口を見通して該開口に対して前記導体パターンとなる金属ペーストを位置合わせして積層して、母基板用積層体を形成する工程と、該母基板用積層体を焼成する工程とを備えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明の電子部品搭載用基板の製造方法によれば、上記各工程を備えることから、電極パッドとなる印刷された金属ペーストに対して一定の位置にある上層貫通孔の開口と、下層貫通孔を囲む導体パターンとなる金属ペーストとを正確に位置合わせすることができる。また、この導体パターンとなる金属ペーストと接続パッドとなる金属ペーストとは、同時に、例えば同じ印刷用の製版(版面)で印刷されるため、互いの位置ずれを効果的に抑制することができる。したがって、接続パッドおよび電極パッドを、導体パターンおよび上層貫通孔の開口を用いた位置合わせにより、互いの位置ずれを効果的に抑制して配置することが可能である。
【0019】
また、本発明の電子部品搭載用母基板の製造方法によれば、上記電子部品搭載用基板の製造方法と同様に、母基板の外周部(ダミー領域)に形成した上層貫通孔の開口および導体パターンを用いた位置合わせにより、母基板の中央部(絶縁基板領域)に電極パッドおよび接続パッドを、互いの位置ずれを効果的に抑制して配置することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の製造方法で製作した電子部品搭載用基板の一例を示す断面図である。
【図2】(a)〜(d)は、それぞれ本発明の電子部品搭載用基板の製造方法の実施の形態の一例を工程順に示す断面図である。
【図3】本発明の製造方法で製作した電子部品搭載用母基板の一例の要部を示す要部拡大断面図である。
【図4】本発明の製造方法で製作した電子部品搭載用母基板の一例を示す平面図である。
【図5】(a)〜(d)は、それぞれ本発明の電子部品搭載用母基板の製造方法の実施の形態の一例を工程順に示す断面図である。
【図6】(a)〜(c)は、それぞれ図4に示す電子部品搭載用母基板の変形例を示す要部拡大下面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(電子部品搭載用基板の製造方法)
本発明の電子部品搭載用基板の製造方法について、添付の図面を参照しつつ説明する。
【0022】
図1は、本発明の製造方法で製作された電子部品搭載用基板の一例を示す断面図であり、図2(a)〜(d)は、それぞれ本発明の電子部品搭載用基板の製造方法の実施の形態の一例を工程順に示す断面図である。例えば図2に示す製造方法により、図1に示す電子部品搭載用基板が製作される。
【0023】
図1および図2において、1は複数の絶縁層1aが積層されてなる絶縁基板、2は電極パッド、3は接続パッド、4は貫通孔である。絶縁基板1の上面に設けられた搭載部1bに複数の電極パッド2が配置され、下面に複数の接続パッド3が配置されて電子部品搭載用基板9が基本的に構成されている。
【0024】
絶縁基板1は、例えば直方体状(平板状)であり、四角平板状の複数の絶縁層1aが積層されて形成されている。絶縁層1aは、ガラスセラミック焼結体や酸化アルミニウム質焼結体,窒化アルミニウム質焼結体,炭化珪素質焼結体,窒化珪素質焼結体,ムライト質焼結体等のセラミック焼結体により形成されている。
【0025】
絶縁基板1は、半導体素子や弾性表面波素子等の電子部品(図示せず)を搭載するための基体であり、上面に電子部品の搭載部1bが設けられている。電子部品の搭載部1bは、例えば、搭載される電子部品よりも各辺の寸法が平面視で少し大きい四角形状である。
【0026】
搭載部1bに搭載される電子部品(図示せず)としては、ICやLSI等の半導体集積回路素子、およびLED(発光ダイオード)やPD(フォトダイオード),CCD(電荷結合素子)等の光半導体素子を含む半導体素子、弾性表面波素子や水晶振動子等の圧電素子、容量素子、抵抗器、半導体基板の表面に微小な電子機械機構が形成されてなるマイクロマシン(いわゆるMEMS素子)等の種々の電子部品が挙げられる。
【0027】
この絶縁基板1の上面(搭載部1b)に、電子部品の電極を電気的に接続するための電極パッド2が配置されている。また、絶縁基板1の下面に外部電気回路に接続される外部接続用の接続パッド3が配置されている。接続パッド3は、外部電気回路に電子部品搭載用基板9を電気的に接続するための端子である。これらの電極パッド2および接続パッド3は、例えば、銅,銀,パラジウム,白金,金,タングステン,モリブデンまたはマンガン等の金属材料により形成されている。
【0028】
電極パッド2および接続パッド3は、絶縁層1aを厚み方向に貫通する貫通導体(いわゆるビア導体等)(符号なし)や絶縁層1aの層間に配置された内部配線(符号なし)等の接続用の導体を介して、互いに電気的に接続されている。貫通導体および内部配線は、電極パッド2と接続パッド3とを互いに電気的に接続させるための接続用の導体であり、例えば電極パッド2や接続パッド3と同様の金属材料により形成されている。
【0029】
そして、搭載部1bに電子部品を搭載して電極パッド2に電子部品の電極を電気的に接続し、接続パッド3を外部電気回路に電気的に接続すれば、電子部品の電極と外部電気回路とが互いに電気的に接続され、電子部品と外部電気回路との間で各種の電気信号の授受や電源の供給等が行なわれる。電子部品の電極と電極パッド2との電気的な接続は、例えば、電極と電極パッド2とをはんだ等の導電性接続材を介して対向させ、導電性接続材で両者を接合することにより行なわれる。
【0030】
なお、このような導電性接続材の電極パッド2や接続パッド3に対する接合を容易とすること等のために、電極パッド2や接続パッド3の露出する表面にニッケルや金等のめっき層を被着させてもよい。
【0031】
電子部品搭載用基板9において、搭載部1bの外側に、最上層の絶縁層1aにおける開口が他の絶縁層1aよりも小さい上層貫通孔としての貫通孔4が形成されており、この貫通孔4の開口は、絶縁基板1の下面側から下層貫通孔としての他の貫通孔4を通して見通すことができる。また、絶縁基板1の下面には、下層貫通孔としての貫通孔4を囲む導体パターン5が形成されている。これらの貫通孔4および導体パターン5は、電子部品搭載用基板9を製造する方法において、電極パッド2と接続パッド3とを高い精度で位置合わせして形成することを可能とするためのものである。
【0032】
このような電子部品搭載用基板9は、例えば以下の工程により製作される。この実施の形態の例においては、絶縁基板1がガラスセラミック焼結体(ホウケイ酸系ガラス−酸化アルミニウム系等)からなる場合を例に挙げて説明する。
【0033】
まず、図2(a)に示すように、それぞれが絶縁層1aとなる複数のセラミックグリーンシート21を準備し、そのうちの1つのセラミックグリーンシート21aに、上面に電極パッド2となる金属ペースト22を印刷するとともに、印刷される金属ペースト22に対して一定の位置において厚み方向に貫通する上層貫通孔24aを形成する。
【0034】
セラミックグリーンシート21の準備は、例えば、酸化ケイ素や酸化ホウ素等のガラス成分と酸化アルミニウム等のセラミック成分とを主成分する原料粉末を、有機溶剤,バインダと混練するとともに、ドクターブレード法やリップコータ法等の成形方法でシート状に成形することにより行なうことができる。
【0035】
電極パッド2となる金属ペースト22は、例えば銅の粉末を有機溶剤およびバインダに混合して作製する。この金属ペースト22を、スクリーン印刷法等の方法で1つのセラミックグリーンシート21aの上面に、所定の電極パッド2のパターンを設けた印刷用の版面を用いて印刷すれば、電極パッド2となる金属ペースト22を印刷することができる。
【0036】
なお、金属ペースト22には、焼成したときのセラミックグリーンシート21a(絶縁層1a)に対する接合強度を高めること等のために、ガラス成分等の添加物を添加しておいてもよい。
【0037】
図2に示す例では、電極パッド2となる金属ペースト22の下側に1つのセラミックグリーンシート21aを厚み方向に貫通する貫通孔(符号なし)を形成して、この貫通孔にも上記と同様の金属ペースト(符号なし)を充填している。貫通孔に充填された金属ペーストは、後述する焼成の工程を経て、金属ペースト22による電極パッド2と後述する金属ペースト23による接続パッド3とを電気的に接続させる接続用の導体の一部である、貫通導体になる。なお、電極パッド2は、上記のような貫通孔に充填した金属ペーストの露出する端面のみで構成されたものでもよい。
【0038】
1つのセラミックグリーンシート21aを厚み方向に貫通する上層貫通孔24aは、前述したように金属ペースト22による電極パッド2と金属ペースト23による接続パッド3との位置合わせのための貫通孔4の一部となるものである。この上層貫通孔24aは、例えば打ち抜き用の金属ピンを備えた金型を用いる機械的な孔あけ加工や、レーザ光を用いた孔あけ加工等の方法で形成することができる。
【0039】
この上層貫通孔24aを形成する際に、例えば画像認識装置を用いた位置合わせにより、電極パッド2となる金属ペースト22に対して上層貫通孔24aを位置決めすれば、金属ペースト22に対して上層貫通孔24aを一定の位置に形成することができる。
【0040】
また、先に上層貫通孔24aを形成しておいて、その位置を基準にして電極パッド2となる金属ペースト22を印刷してもよい。この場合、上層貫通孔24aを囲むパターン(図示せず)を、上記の電極パッド2となる金属ペースト22と同様の金属ペーストで印刷しておいて、このパターンを基準にすれば、電極パッド2となる金属ペースト22を、その金属ペースト22に対して上層貫通孔24aが一定の位置になるように印刷することが容易である。
【0041】
上層貫通孔24aの開口形状は、例えば、金属ピンやレーザ光による孔あけの範囲として一般的な円形状であり、外縁に多少の凹凸が生じる場合もある。また、上層貫通孔24aは、後の工程で電極パッド2と接続パッド3(金属ペースト)との位置合わせを行なうためのものであるため、例えば開口が円形状であれば直径を100μm程度以上として、視認しやすくしておくことが好ましい。
【0042】
この上層貫通孔24aの形成位置は、電極パッド2となる金属ペースト22に対する位置合わせを容易で精度の高いものとする上では、電極パッド2に近いほどよい。また、上層貫通孔24aは、後の工程で他のセラミックグリーンシート21を積層したときに、そのセラミックグリーンシート21に形成した内部配線等の導体と平面視で重ならない位置がよい。
【0043】
次に、図2(b)に示すように、他のセラミックグリーンシート21に上層貫通孔24aよりも開口が大きい下層貫通孔24bを、上層貫通孔24aの位置に対応させて形成する。
【0044】
下層貫通孔24bは、例えば上層貫通孔24aと同様に、機械的な孔あけ加工やレーザ光による孔あけ加工等の方法で形成する。この下層貫通孔24bは、上層貫通孔24aの位置に対応して、つまり後の工程で複数のセラミックグリーンシート21を積層したときに上層貫通孔24aと下層貫通孔24bとが上下に連続するような位置に形成する。下層貫通孔24bも、上層貫通孔24aと同様の開口形状(円形状等)に形成される。
【0045】
下層貫通孔24bを形成する際の位置決めは、例えばセラミックグリーンシート21の外縁を基準にして、この外縁から下層貫通孔24bの中心までの距離が、1つのセラミックグリーンシート21aの外縁から上層貫通孔24aの中心までの距離と同じになるようにすればよい。
【0046】
また、下層貫通孔24bの開口寸法は、後の工程でセラミックグリーンシート21(21a)を積層したときに位置ずれしても、下層貫通孔24bの側から上層貫通孔24aの開口を確認することができる程度以上の寸法とする必要がある。
【0047】
例えば、上層貫通孔24aの開口を直径約100μmの円形状としたときに、セラミックグリーンシートの厚みが約50〜200μmで、層数が5〜15層程度であれば、下層貫通孔24bは、直径が約150〜400μmで、上層貫通孔24aよりも50〜300μm程度大きい円形状にすればよい。
【0048】
次に、図2(c)に示すように、他のセラミックグリーンシート21のうちで最下層の絶縁層1aとなるセラミックグリーンシート21の下面に、接続パッド3となる金属ペースト23を、および下層貫通孔24bを囲む導体パターン5となる金属ペースト25を同時に印刷する。
【0049】
このように導体パターン5となる金属ペースト25と接続パッド3となる金属ペースト23とを同時に、例えば同じ印刷用の製版(版面)で印刷するため、互いの位置ずれを効果的に抑制することができる。
【0050】
導体パターン5は、次の工程で複数のセラミックグリーンシート21(21a)を積層した後に、下層貫通孔24b側から上層貫通孔24aの開口に対して位置合わせするためのものであり、そのために下層貫通孔24bを囲むパターンで金属ペースト25を印刷する必要がある。
【0051】
導体パターン5となる金属ペースト25は、例えば円形状の下層貫通孔24bを囲む円環状のパターンに印刷する。この場合、上記のような上層貫通孔24aの開口に対する導体パターン5の位置合わせを容易とするためには、円環状の導体パターン5の内周が円形状の下層貫通孔24bの外周に接する程度に近くしておくのがよい。
【0052】
接続パッド3となる金属ペースト23および導体パターン5となる金属ペースト25は、電極パッド2となる金属ペースト22と同様の材料を用い、同様の方法で作製することができる。また、これらの金属ペースト23,25は、電極パッド2となる金属ペースト22と同様の方法で最下層の絶縁層1aとなるセラミックグリーンシート21の下面に印刷することができる。つまり、複数のセラミックグリーンシート21の主面のうち、接続パッド3となる金属ペースト23を印刷した面が最下層の絶縁層1aの下面になる。
【0053】
なお、これらの金属ペースト22,23,25は、それぞれに印刷のしやすさや電気抵抗の調整等のために、添加物や組成比等が互いに多少異なっていてもよい。例えば、図1に示したように、電極パッド2が接続パッド3よりも小さい(平面視で面積が小さい)場合には、電極パッド2のセラミックグリーンシート21に対する接合強度を高めるために、ガラス成分をより多く添加するようにしてもよい。
【0054】
また、この図2(c)に示す工程においては、他のセラミックグリーンシート21に、電極パッド2と接続パッド3とを電気的に接続する貫通導体や内部配線となる金属ペースト(符号なし)を、絶縁基板1の内部となるセラミックグリーンシート21の表面や、セラミックグリーンシート21に形成した貫通孔(符号なし)の内部に印刷(塗布または充填)している。これらの金属ペーストも、電極パッド2となる金属ペースト22と同様の金属ペーストを用いることができる。また、これらの金属ペーストの印刷も、電極パッド2となる金属ペースト22等と同様の方法で行なうことができる。
【0055】
次に、図2(d)に示すように、複数のセラミックグリーンシート21(21a)を、1つのセラミックグリーンシート21aが最上層となるようにして、他のセラミックグリーンシート21を最下層の絶縁層1aとなるセラミックグリーンシート21まで、上層貫通孔24aと下層貫通孔24bとが連続して1つの貫通孔4を形成するように、下層貫通孔側24bから上層貫通孔24aの開口を見通して、その見通した上層貫通孔24aの開口に対して導体パターン5となる金属ペースト25を位置合わせして積層して、積層体29を形成する。
【0056】
上層貫通孔24aおよび下層貫通孔24bは、前述したように互いに対応した位置に形成しているので、例えばセラミックグリーンシート21(21a)の外縁を上下に揃えて積層すれば、上層貫通孔24aと下層貫通孔24bとを連続させて1つの貫通孔4を形成することができる。
【0057】
また、下層貫通孔24bの開口を上層貫通孔24aの開口よりも大きく(例えば前述したように、積層時に位置ずれしても下層貫通孔24bの側から上層貫通孔24aの開口を確認することができる程度以上の寸法として)しているので、下層貫通孔側24bから上層貫通孔24aの開口を見通すことも容易である。
【0058】
上層貫通孔24aの開口に対する導体パターン5となる金属ペースト25の位置合わせは、例えば、最下層の絶縁層1aとなるセラミックグリーンシート21以外のセラミックグリーンシート21(21a)を積層した後、下層側が上になるようにひっくり返して、画像認識装置で開口の位置を確認しながら、開口に対して金属ペースト25を位置合わせして、最下層の絶縁層1aとなるセラミックグリーンシート21を積層すれば行なうことができる。
【0059】
このようにすることによって、電極パッド2となる印刷された金属ペースト22に対して一定の位置にある上層貫通孔24aの開口と、下層貫通孔24bを囲む導体パターン5となる金属ペースト25とを正確に位置合わせすることができる。
【0060】
そして、上記の積層体29を、例えば還元雰囲気中にて約900〜1000℃の温度で焼成すれば、電子部品搭載用基板9を製作することができる。
【0061】
このような電子部品搭載用基板9の製造方法によれば、上記各工程を備えることから、接続パッド3および電極パッド2を、導体パターン5および上層貫通孔24aの開口を用いた位置合わせにより、互いの位置ずれを効果的に抑制して配置することが可能である。
【0062】
つまり、電極パッド2に対して接続パッド3を、電極パッド2(金属ペースト22)に対して一定の位置にある上層貫通孔24aと、接続パッド3(金属ペースト23)と同時に形成(印刷)されて一定の位置にある導体パターン5(金属ペースト25)とを直接に位置合わせすることにより、互いの位置ずれを効果的に抑制して配置することができる。
【0063】
(電子部品搭載用母基板の製造方法)
次に、本発明の電子部品搭載用母基板の製造方法について説明する。図3は本発明の製造方法で製作された電子部品搭載用母基板の一例における要部を示す要部断面図であり、図4は、図3に示す電子部品搭載用母基板の上面図である。また、図5(a)〜(d)は、本発明の電子部品搭載用母基板の製造方法の実施の形態の一例を工程順に示す要部断面図である。図3〜図5において、図1および図2と同様の部位には同様の符号を付している。また、以下の電子部品搭載用母基板の製造方法の説明において、前述した電子部品搭載用基板9の製造方法と同様の部分については説明を省略する。
【0064】
図3および図4において、10は複数の絶縁層1aが積層されてなる母基板、11は母基板10の中央部の絶縁基板領域、12は母基板10の外周部のダミー領域である。母基板10の上面の中央部(絶縁基板領域11)に設けられた搭載部1bに複数の電極パッド2が配置され、下面の中央部(絶縁基板領域11)に複数の接続パッド3が配置されて、電子部品搭載用母基板19が基本的に構成されている。
【0065】
母基板10は、例えば直方体状(平板状)であり、四角平板状の複数の絶縁層1aが積層されて形成されている。この母基板10を絶縁基板領域11毎に分割することにより、図1および図2に示したような、個片の電子部品搭載用基板9を作製することができる。
【0066】
母基板10を構成する絶縁層1aも、電子部品搭載用基板9の絶縁基板1を構成する絶縁層1aと同様の材料を用いて同様の方法で製作することができる。
【0067】
母基板10の中央部に配列された絶縁基板領域11は、それぞれが電子部品搭載用基板9となる領域であり、例えば、平面視で搭載される電子部品よりも各辺の寸法が少し大きい四角形状である。搭載部1bに搭載される電子部品も、電子部品搭載用基板9の場合と同様である。
【0068】
それぞれの絶縁基板領域11において、上面(搭載部1b)に電極パッド2が配置され、下面に外部接続用の接続パッド3が配置されている。また、電極パッド2および接続パッド3は、電子部品搭載用基板9と同様に貫通導体(符号なし)や内部配線(符号なし)等の接続用の導体を介して、互いに電気的に接続されている。
【0069】
そして、絶縁基板領域11を個片に分割して作製した電子部品搭載用基板9の搭載部1bに電子部品を搭載して電極パッド2に電子部品の電極を電気的に接続し、接続パッド3を外部電気回路に電気的に接続すれば、電子部品の電極と外部電気回路とが互いに電気的に接続される。
【0070】
電子部品搭載用母基板19において、母基板10の上面の外周部に、最上層の絶縁層1aにおける開口が他の絶縁層1aよりも小さい上層貫通孔としての貫通孔4が形成され、この上層貫通孔としての貫通孔4の開口は、母基板10の下面側から下層貫通孔としての貫通孔4を通して見通すことができる。また、母基板10の下面の外周部には、貫通孔4を囲む導体パターン5が形成されている。これらの貫通孔4および導体パターン5は、電子部品搭載用母基板19を製造する方法において、電極パッド2と接続パッド3とを平面視で高い精度で位置合わせして形成することを可能とするためのものである。
【0071】
なお、ダミー領域12は、電子部品搭載用母基板19の取り扱いを容易とすることや、電極パッド2および接続パッド3に電解めっき法でニッケルや金等のめっき層(図示せず)を被着させる場合に、めっき用引き出し線(図示せず)を引き回すスペースを確保すること等のために設けられている。
【0072】
このような電子部品搭載用母基板19は、例えば以下の工程により製作される。この実施の形態の例においては、母基板10がガラスセラミック焼結体(ホウケイ酸系ガラス−酸化アルミニウム系等)からなる場合を例に挙げて説明する。
【0073】
まず、図5(a)に示すように、複数の絶縁層1aとなるセラミックグリーンシート21を準備し、そのうちの1つのセラミックグリーンシート21aに、上面の中央部(絶縁基板領域11)に電極パッド2となる金属ペースト22を印刷するとともに、その印刷される金属ペースト22に対して一定の位置において厚み方向に貫通する上層貫通孔24aを外周部(ダミー領域12)に形成する。
【0074】
これらの加工は、電子部品搭載用基板9の製造方法の場合と同様の材料を用いて、同様の方法で作製した複数のセラミックグリーンシート21のうち1つのセラミックグリーンシート21aに、同様の孔あけ加工を施すことにより行なうことができる。
【0075】
また、この電子部品搭載用母基板19の製造方法においては、母基板10の外周部のダミー領域12に上層貫通孔24aを形成している。この1つのセラミックグリーンシート21aを厚み方向に貫通する上層貫通孔24aは、前述したように、電極パッド2と接続パッド3との位置合わせのための貫通孔4の一部となるものである。
【0076】
ダミー領域12における上層貫通孔24aの配置位置は、例えば図4に示したように、四角枠状のダミー領域12の対向する2辺のそれぞれに配置すればよい。この場合、後の工程で積層する最下層の絶縁層1aとなるセラミックグリーンシート21が上層貫通孔24aに対して回転してずれる、いわゆるθずれの影響がダミー領域12の辺の中央部分よりも角に近い部分で大きくなる可能性が高い。そのため、そのような位置ずれをより有効に検知して抑制する上では、上層貫通孔24aの形成位置は、ダミー領域12の角に近い部分の方が適している。
【0077】
なお、この図5(a)に示す例においても、上記の電子部品搭載用基板9の製造方法と同様に、電極パッド2の下側に貫通孔(符号なし)を形成し、この貫通孔に接続用の導体の一部である貫通導体となる金属ペースト(符号なし)を充填している。
【0078】
次に、図5(b)に示すように、他のセラミックグリーンシート21の外周部に上層貫通孔24aよりも開口が大きい下層貫通孔24bを、上層貫通孔24aの位置に対応させて形成する。下層貫通孔24bも、電子部品搭載用基板9の製造方法と同様の方法で形成することができる。
【0079】
この下層貫通孔24bも、上層貫通孔24aと同様に母基板10のダミー領域12に形成している。ダミー領域12に上層貫通孔24aおよび下層貫通孔24bを形成すれば、個片の電子部品搭載用基板9に上層貫通孔24aおよび下層貫通孔24bが残らないので、例えば搭載部1bに電子部品を搭載したときの気密性を高めたり、個片の電子部品搭載用基板9としての機械的強度を高く確保したりする上で有利である。
【0080】
これらの上層貫通孔24aおよび下層貫通孔24bの開口形状および寸法も、電子部品搭載用基板9の製造方法の場合と同様に設定すればよい。
【0081】
次に、図5(c)に示すように、他のセラミックグリーンシート21のうちで最下層の絶縁層1aとなるセラミックグリーンシート21の下面の中央部に、接続パッド3となる金属ペースト23を、および下層貫通孔24bを囲む導体パターン5となる金属ペースト25を同時に印刷する。接続パッド3は、母基板10の中央部に位置する絶縁基板領域11のそれぞれの下面に、個片の電子部品搭載用基板9と同様に配置されるものである。
【0082】
これらの接続パッド3となる金属ペースト23および導体パターン5となる金属ペースト25も、電子部品搭載用基板9の製造方法の場合と同様の材料を用いて同様の方法で印刷することができる。
【0083】
次に、図5(d)に示すように、複数のセラミックグリーンシート21(21a)を、1つのセラミックグリーンシート21aが最上層となるようにして、他のセラミックグリーンシート21を最下層の絶縁層1aとなるセラミックグリーンシート21まで、上層貫通孔24aと下層貫通孔24bとが連続して1つの貫通孔4を形成するように、下層貫通孔24b側から上層貫通孔24aの開口を見通して、その見通した上層貫通孔24aの開口に対して導体パターン5となる金属ペースト25を位置合わせして積層して、母基板用積層体30を形成する。
【0084】
この電子部品搭載用母基板19の製造方法においても、電子部品搭載用基板9の製造方法の場合と同様に、上層貫通孔24aおよび下層貫通孔24bを互いに対応した位置に形成しているので、上層貫通孔24aと下層貫通孔24bとを連続させて1つの貫通孔4を形成することができる。
【0085】
また、下層貫通孔24bの開口を上層貫通孔24aの開口よりも大きくしているので、下層貫通孔24b側から上層貫通孔24aの開口を見通すことも容易である。
【0086】
上層貫通孔24aの開口に対する導体パターン5となる金属ペースト25の位置合わせも、前述した電子部品搭載用基板9の製造方法の場合と同様に行なうことができる。
【0087】
そして、上記の母基板用積層体30を、例えば還元雰囲気中にて約900〜1000℃の温度で焼成すれば、電子部品搭載用母基板19を製作することができる。
【0088】
このような電子部品搭載用母基板19の製造方法によれば、上記各工程を備えることから、接続パッド3および電極パッド2を、導体パターン5および上層貫通孔24aの開口を用いた位置合わせにより、互いの位置ずれを効果的に抑制して配置することが可能である。
【0089】
つまり、電極パッド2に対して接続パッド3を、電極パッド2(金属ペースト22)に対して一定の位置にある上層貫通孔24aと、接続パッド3(金属ペースト23)と同時に形成(印刷)された導体パターン5(金属ペースト25)とを直接に位置合わせすることにより、互いの位置ずれを効果的に抑制して配置することができる。
【0090】
具体例として、ホウケイ酸系ガラスと酸化アルミニウム等のセラミック成分とを主成分とするガラスセラミック焼結体からなる厚みが約100μmの絶縁層1aを10層積層し、平面視で1辺の長さが約50mmの母基板10を作製して、本発明の電子部品搭載用母基板19の製造方法の効果を確認した。
【0091】
この例において、母基板10の中央部に1辺の長さが約5mmの正方形状の絶縁基板領域11を9×9(個)の縦横の並びに配置し、外周部に幅が約2.5mmの四角枠状のダミー領域12を設けて、電子部品搭載用母基板19を作製した。このとき、絶縁基板領域11の上面に直径が約75μmの電極パッド2を、下面に直径が約250μmの接続パッド3を、それぞれ12×12(個)の縦横の並びに配置して製作した。
【0092】
また、上層貫通孔24aは開口が直径約100μmの円形状とし、下層貫通孔24bはいずれも平面視で開口の直径が約250μmの円形状とした。導体パターン5は、下層貫通孔24bを囲む内径が約300μmの円環状とした。電極パッド2,接続パッド3および導体パターン5は、いずれも銀の金属ペーストを印刷して形成し、上層貫通孔24aの開口に対する導体パターン5となる金属ペースト25の位置合わせは画像認識装置を用いて行なった。
【0093】
この製作した電子部品搭載用母基板19について、電極パッド2および接続パッド3それぞれの、絶縁基板領域11の端からの距離を拡大投影装置で拡大して測定し、電極パッド2および接続パッド3の位置ずれの程度を確認した。その結果、上記の具体例では、電極パッド2および接続パッド3の所定の位置からの位置ずれは約1%程度以下(約10μm程度以下)であった。これに対し、従来技術の製造方法で製作した電子部品搭載用母基板(図示せず)においては、電極パッド2および接続パッド3ともに約2〜5%程度の位置ずれが発生していた。
【0094】
なお、導体パターン5は、図4に示したような位置および個数に限らず、例えば図6(a)〜(c)に示すような配置形態でもよい。図6(a)〜(c)は、それぞれ図4に示す電子部品搭載用母基板19の変形例を示す要部拡大下面図である。図6において図4と同様の部位には同様の符号を付している。
【0095】
例えば、図6(a)に示す例は、図4に示した貫通孔4および導体パターン5を四角枠状のダミー領域12の角部分に配置した例である。この場合は、最下層のセラミックグリーンシート21について、前述したθずれ等の位置ずれの影響が大きい角部分において位置ずれをより効果的に検知しながら、位置合わせすることができる。
【0096】
また、図6(b)に示す例では、導体パターン5を正方形の枠状としている。この場合にも、円環状の場合と同様に、最下層の絶縁層1aとなるセラミックグリーンシート21を、位置ずれを効果的に検知しながら、位置合わせすることができる。
【0097】
また、図6(c)に示す例では、円環状の導体パターン5を四角枠状のダミー領域12の1つの辺に複数配置して、最下層の絶縁層1aとなるセラミックグリーンシート21の位置ずれをより効果的に抑制することができるようにしている。また、複数の導体パターン5のうち1つを他と異なる形状(この例では菱形の枠状)にして、電子部品搭載用母基板19におけるインデックスマーク(複数の絶縁基板領域11の並んでいる方向を示すマーク等)として機能させるようにしている。
【符号の説明】
【0098】
1・・・絶縁基板
1a・・絶縁層
1b・・搭載部
2・・・電極パッド
3・・・接続パッド
4・・・貫通孔
5・・・導体パターン
9・・・電子部品搭載用基板
10・・・母基板
11・・・絶縁基板領域
12・・・ダミー領域
19・・・電子部品搭載用母基板
21・・・セラミックグリーンシート
22・・・電極パッドとなる金属ペースト
23・・・接続パッドとなる金属ペースト
24a・・上層貫通孔
24b・・下層貫通孔
25・・・導体パターンとなる金属ペースト
29・・・積層体
30・・・母基板用積層体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の絶縁層が積層されてなる絶縁基板の上面に電子部品の電極を接続するための電極パッドが配置され、下面に外部接続用の接続パッドが配置されてなる電子部品搭載用基板の製造方法であって、
複数の前記絶縁層となるセラミックグリーンシートを準備し、1つの前記セラミックグリーンシートに、上面に前記電極パッドとなる金属ペーストを印刷するとともに、該印刷される金属ペーストに対して一定の位置において厚み方向に貫通する上層貫通孔を形成する工程と、
他の前記セラミックグリーンシートに前記上層貫通孔よりも開口が大きい下層貫通孔を、前記上層貫通孔の位置に対応させて形成する工程と、
他の前記セラミックグリーンシートのうちで最下層の前記絶縁層となる前記セラミックグリーンシートの下面に、前記接続パッドとなる金属ペーストを、および前記下層貫通孔を囲む導体パターンとなる金属ペーストを同時に印刷する工程と、
複数の前記セラミックグリーンシートを、1つの前記セラミックグリーンシートが最上層となり、他の前記セラミックグリーンシートを最下層の前記絶縁層となる前記セラミックグリーンシートまで、前記上層貫通孔と前記下層貫通孔とが連続して1つの貫通孔を形成するようにして、前記下層貫通孔側から前記上層貫通孔の開口を見通して該開口に対して前記導体パターンとなる金属ペーストを位置合わせして積層して、積層体を形成する工程と、
該積層体を焼成する工程とを備えることを特徴とする電子部品搭載用基板の製造方法。
【請求項2】
複数の絶縁層が積層されてなる母基板の中央部に多数個の絶縁基板領域を有するとともに外周部にダミー領域を有し、前記絶縁基板領域の上面に電子部品の電極を接続するための電極パッドが配置されるとともに下面に外部接続用の接続パッドが配置されてなる電子部品搭載用母基板の製造方法であって、
複数の前記絶縁層となるセラミックグリーンシートを準備し、1つの前記セラミックグリーンシートに、上面の中央部に前記電極パッドとなる金属ペーストを印刷するとともに、該印刷される金属ペーストに対して一定の位置において厚み方向に貫通する上層貫通孔を外周部に形成する工程と、
他の前記セラミックグリーンシートの外周部に前記上層貫通孔よりも開口が大きい下層貫通孔を、前記上層貫通孔の位置に対応させて形成する工程と、
他の前記セラミックグリーンシートのうちで最下層の前記絶縁層となる前記セラミックグリーンシートの下面の中央部に、前記接続パッドとなる金属ペーストを、および前記下層貫通孔を囲む導体パターンとなる金属ペーストを同時に印刷する工程と、
複数の前記セラミックグリーンシートを、1つの前記セラミックグリーンシートが最上層となり、他の前記セラミックグリーンシートを最下層の前記絶縁層となる前記セラミックグリーンシートまで、前記上層貫通孔と前記下層貫通孔とが連続して1つの貫通孔を形成するようにして、前記下層貫通孔側から前記上層貫通孔の開口を見通して該開口に対して前記導体パターンとなる金属ペーストを位置合わせして積層して、母基板用積層体を形成する工程と、
該母基板用積層体を焼成する工程とを備えることを特徴とする電子部品搭載用母基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−258189(P2010−258189A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−105960(P2009−105960)
【出願日】平成21年4月24日(2009.4.24)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】