説明

電子部品搭載装置および電子部品搭載方法

【課題】電子部品の搭載時間を短縮する。
【解決手段】供給される電子部品10を受け取る受け取り部3a〜3eと、受け取り部3a〜3eで受け取った電子部品10を保持して予め決められた搭載位置に移動させる移動機構4と、移動機構4を制御する制御部とを備えて、電子部品10を基板100に搭載可能に構成され、受け取り部3a〜3eは、供給された電子部品10を支持する支持部と、支持部によって支持されている電子部品10の電気的特性を測定する測定部とを備えて構成され、制御部は、測定部によって測定された電子部品10の電気的特性が予め決められた条件を満たすときに移動機構4を制御して電子部品10を搭載位置に移動させて基板100に搭載させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、供給される電子部品を搭載対象体に搭載する電子部品搭載装置および電子部品搭載方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の基板検査装置として、特開平8−250897号公報に開示されたマウンタが知られている。このマウンタは、部品供給部、部品チャック、電気特性検査部、部品認識部などを備えて、電子部品をプリント配線基板上に搭載可能に構成されている。このマウンタでは、部品供給部によって供給された電子部品を部品チャックに保持(チャック)させ、次いで、その部品チャックを移動させて電子部品を電気特性検査部にセットする。続いて、電気特性検査部が電子部品の電気特性をチェックして良否判定を行う。次いで、電気的特性が良品と判定された部品を部品チャックに保持させ、その部品チャックを移動させて電子部品を部品認識部にセットする。続いて、部品認識部が部品の外形寸法およびリード端子形状をチェックした後に、部品チャックを移動させてプリント配線基板上の所定の搭載位置に電子部品を搭載する。このマウンタでは、搭載前に電子部品の電気特性をチェックして良否判定を行うため、電気的特性が不良な電子部品が搭載されたり、搭載すべき電子部品とは異なる電子部品が誤って供給されているときにその電子部品が搭載されたりする事態を防止することが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−250897号公報(第3頁、第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記のマウンタには、解決すべき以下の課題がある。すなわち、このマウンタでは、電子部品を供給位置から電気特性検査部および部品認識部に移動させて、電気特性、外形寸法およびリード端子形状のチェックを行い、その後に、プリント配線基板上の所定の位置に電子部品を移動させて搭載を行っている。このため、このマウンタでは、供給位置から搭載位置までの間において電気特性検査部および部品認識部によってチェックが行われている間は移動を一旦停止する必要があり、その分、電子部品の搭載時間が長くなるという課題が存在する。また、電気特性検査部において行われる電気特性のチェックの際には、電子部品の端子にプローブ等を接触させる必要があるため、電子部品の端子の位置によっては、電気特性検査部に電子部品をセットした際に部品チャックによる保持を一旦解除する(電子部品から部品チャックを離間させる)必要がある。このときには、電気特性のチェックの終了後に電子部品を保持し直す必要があるため、電子部品の搭載時間がさらに増加することとなる。
【0005】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、電子部品の搭載時間を短縮し得る電子部品搭載装置および電子部品搭載方法を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成すべく請求項1記載の電子部品搭載装置は、供給される電子部品を受け取る受け取り部と、当該受け取り部で受け取った前記電子部品を保持して予め決められた搭載位置に移動させる移動機構と、当該移動機構を制御する制御部とを備えて、前記電子部品を搭載対象体に搭載する電子部品搭載装置であって、前記受け取り部は、供給された前記電子部品を支持する支持部と、当該支持部によって支持されている前記電子部品の電気的特性を測定する測定部とを備えて構成され、前記制御部は、前記測定部によって測定された前記電子部品の前記電気的特性が予め決められた条件を満たすときに前記移動機構を制御して当該電子部品を前記搭載位置に移動させて前記搭載対象体に搭載させる。
【0007】
また、請求項2記載の電子部品搭載装置は、請求項1記載の電子部品搭載装置において、前記支持部は、前記電子部品を支持可能に構成されると共に検査用のプローブを挿通可能な挿通孔が形成された支持板を備えて構成され、前記測定部は、前記プローブを前記挿通孔に挿通させて前記支持板によって支持されている前記電子部品における当該支持板に対向する面側から当該電子部品の端子に当該プローブをプロービングさせるプロービング機構と、前記端子にプロービングさせた前記プローブを介して入出力する電気信号に基づいて前記電気的特性を測定する測定回路とを備えて構成されている。
【0008】
また、請求項3記載の電子部品搭載装置は、請求項1または2記載の電子部品搭載装置において、供給される前記電子部品の種類に対応して前記支持部がそれぞれ形成された複数の前記受け取り部を備えている。
【0009】
また、請求項4記載の電子部品搭載方法は、供給される電子部品を受け取り位置において受け取り、当該受け取った電子部品を保持して予め決められた搭載位置に移動させて搭載対象体に搭載する電子部品搭載方法であって、前記受け取り位置において、前記電子部品を支持すると共に当該支持している前記電子部品の電気的特性を測定し、測定した前記電子部品の前記電気的特性が予め決められた条件を満たすときに当該電子部品を前記搭載位置に移動させて前記搭載対象体に搭載する。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の電子部品搭載装置、および請求項4記載の電子部品搭載方法では、供給される電子部品を受け取る受け取り部が、電子部品を支持する支持部と、支持部によって支持されている電子部品の電気的特性を測定する測定部とを備えて構成され、電子部品の受け取り位置において、電子部品を支持すると共に電子部品の電気的特性を測定して、電気的特性の測定が終了した後の電子部品を移動させて搭載対象体に搭載する。このため、この電子部品搭載装置および電子部品搭載方法によれば、電子部品の受け取り位置(供給位置)とは別の位置に配置された測定部に電子部品を移動させて電気特性のチェックを行う従来の構成および方法とは異なり、受け取り位置から搭載位置まで電子部品を移動させる途中において測定のためにその移動を一旦停止させる必要がなく、また、測定のために測定部において電子部品の保持解除や再保持を行う必要もない。したがって、この電子部品搭載装置および電子部品搭載方法によれば、移動を一旦停止させている時間に加えて、移動を停止させる際の減速に要する時間、移動を再開させる際の加速に要する時間、および保持解除や再保持を行うために要する時間がすべて不要となる結果、電子部品の搭載時間を全体として十分に短縮することができる。また、この電子部品搭載装置および電子部品搭載方法では、受け取り部(受け取り位置)において電気的特性の測定が終了した後の電子部品を移動させるため、受け取り部(受け取り位置)から搭載位置まで電子部品を移動させている間に、新たな電子部品の電気的特性の測定、およびその電気的特性の測定値が予め決められた条件を満たすか否かの判定を並行して行うことができる。このため、この電子部品搭載装置および電子部品搭載方法によれば、新たな電子部品の電気的特性の測定値が予め決められた条件を満たすと判定したときには、1つの電子部品の搭載後直ちに、その新たな電子部品を移動させることができる結果、電子部品を連続して搭載するときには、電子部品の搭載時間をさらに短縮することができる。また、この電子部品搭載装置および電子部品搭載方法によれば、受け取り部が、電子部品の電気的特性を測定する機能を有している(受け取り位置において電気的特性を測定する)ため、受け取り位置とは別の位置に測定部を配置する従来の構成と比較して、電子部品搭載装置を全体として小形化することができる。
【0011】
また、請求項2記載の電子部品搭載装置では、プローブを支持板の挿通孔に挿通させて、支持板によって支持されている電子部品の下面(支持板に対向する面)側から電子部品の端子にプローブをプロービングさせて電子部品の電気的特性を測定する。このため、この電子部品搭載装置によれば、電子部品の両側部を2つの電極で挟んで電気的特性を測定する構成とは異なり、電子部品の下面に3つ以上の端子が配設されている場合においても、それらの端子の数および位置に応じて挿通孔の形成位置やプローブの固定位置が規定された支持板や測定部に交換することで、このような電子部品の電気的特性を確実に測定することができる。
【0012】
また、請求項3記載の電子部品搭載装置では、供給される電子部品の種類に対応して支持部がそれぞれ形成された複数の受け取り部において電子部品の電気的特性をそれぞれ測定することにより、異なる種類の電子部品の電気的特性の測定を各受け取り部において並行して行うことができる。このため、この電子部品搭載装置によれば、1つの電子部品の搭載が行われている間に、他の種類の電子部品の電気的特性の測定を終了させることができる結果、複数種類の電子部品を搭載する場合においても、電子部品の搭載時間をさらに短縮することが可能となっている。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】電子部品搭載装置1の構成を示す構成図である。
【図2】電子部品搭載装置1の構成を示す平面図である。
【図3】受け取り部3a〜3eの構成を示す斜視図である。
【図4】電子部品搭載装置1の動作を説明する第1の説明図である。
【図5】電子部品搭載装置1の動作を説明する第2の説明図である。
【図6】電子部品搭載装置1の動作を説明する第3の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る電子部品搭載装置および電子部品搭載方法の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0015】
最初に、電子部品搭載装置の一例としての図1に示す電子部品搭載装置1の構成について説明する。電子部品搭載装置1は、基台2(図2参照)、複数(例えば5個)の受け取り部3a〜3e(以下、区別しないときには「受け取り部3」ともいう)、移動機構4、基板搬送機構5、カメラ6a,6b(以下、区別しないときには「カメラ6」ともいう)および制御部7を備えて、搭載対象体としての基板100(図2参照)に電子部品10(図2,4参照)を搭載可能に構成されている。
【0016】
基台2は、電子部品搭載装置1を構成する各部および各機構を取り付け可能に構成されている。また、基台2は、図2に示すように、電子部品10を供給する複数(例えば、5個)のパーツフィーダ200を着脱することが可能に構成されている。
【0017】
受け取り部3は、図3に示すように、支持部11および測定部12を備え、パーツフィーダ200によって供給される電子部品10を受け取ると共に、受け取った電子部品10の電気的特性を測定可能に構成されている。この電子部品搭載装置1では、図2に示すように、5個の受け取り部3a〜3eを備えているため、複数(この例では最大で5個)のパーツフィーダ200によってそれぞれ供給される種類の異なる電子部品10を各受け取り部3a〜3eがそれぞれ受け取り、それらの電子部品10の電気的特性を各受け取り部3a〜3eが個別に(並行して)測定することが可能となっている。なお、基台2における各受け取り部3の配設位置、つまりパーツフィーダ200によって供給される電子部品10を受け取る位置を以下「受け取り位置」ともいう。
【0018】
支持部11は、図3に示すように、支持板21および突起部22を備えて構成されている。支持板21は、パーツフィーダ200によって供給される(送り出される)電子部品10を支持面(同図における上面)で支持する(受け取る)。また、支持板21には、吸気管34を挿通させる挿通孔21aが中央部に形成されると共に、後述する測定部12のプローブ33を挿通させる複数(一例として、3つ)の挿通孔21bが形成されている。また、各挿通孔21bは、支持板21によって支持されている電子部品10の各端子10a(図4参照)に対向する位置にそれぞれ形成されている。この場合、この電子部品搭載装置1では、複数の受け取り部3を備えているため、各受け取り部3に供給する電子部品10の種類(端子10aの位置)が異なるときには、各受け取り部3毎に挿通孔21bの形状、数および形成位置が異なる支持板21が備えられている。
【0019】
突起部22は、図3に示すように、支持板21の支持面に配設されている。この突起部22は、電子部品10を支持板21の支持面で支持する際に、その電子部品10を位置決めする部材であって(図5参照)、この支持部11では、一例として、支持板21の支持面に沿った方向に長尺で支持面に立設された直方体状の3つの突起部22を備えている。
【0020】
測定部12は、支持部11によって支持されている電子部品10の電気的特性を測定可能に構成されている。具体的には、測定部12は、図1,3に示すように、テーブル31、プロービング機構32、複数(例えば、3個)のプローブ33、吸気管34および測定回路35を備えて構成されている。
【0021】
テーブル31は、図3に示すように、一例として板状に形成されて、プローブ33および吸気管34が固定されている。プロービング機構32は、制御部7の制御に従ってテーブル31を同図に示すZ方向(図2における紙面の厚み(奥行き)方向)に移動させることによってプロービングを行う。
【0022】
プローブ33は、基端部がテーブル31に固定されて、プロービング機構32によってテーブル31が支持板21に向けて移動させられたときに支持板21の挿通孔21bに挿通させられて、支持板21によって支持されている電子部品10の下面(支持板21に対向する面)側から端子10aに先端部がプロービング(接触)させられる(図6参照)。この場合、上記したように、複数の受け取り部3に供給する電子部品10の種類(端子10aの位置)が異なるときには、各受け取り部3毎に挿通孔21bの形状、数および形成位置が異なる支持板21が備えられている。このため、このときには、各受け取り部3毎にプローブ33の数や固定位置が異なるテーブル31が備えられている。
【0023】
吸気管34は、基端部がテーブル31に固定されている。また、吸気管34は、図外の吸気装置に接続され、その先端部から吸気を行う。この場合、吸気管34は、プロービング機構32によってテーブル31が支持板21に向けて移動させられたときに、支持板21に形成されている挿通孔21aに挿通させられて、先端部が支持板21の支持面(載置面)よりもやや下側に位置する長さに形成されている。この支持部11では、吸気管34が支持板21の挿通孔21aに挿通させられた状態で吸気管34の先端部からの吸気が行われることにより、支持板21に支持されている電子部品10を吸着して固定することが可能となっている。
【0024】
測定回路35は、制御部7の制御に従い、電子部品10の端子10aにプロービングされたプローブ33を介して入出力する電気信号に基づいて電子部品10の電気的特性を測定する。
【0025】
移動機構4は、受け取り部3に供給された電子部品10を保持して、搭載位置P2に搬送された基板100における予め決められた搭載位置に移動可能に構成されている。具体的には、移動機構4は、図2に示すように、保持ヘッド41、X方向移動機構42、Y方向移動機構43およびZ方向移動機構44を備えて構成されている。
【0026】
保持ヘッド41は、電子部品10を吸着して保持可能に構成されている。また、保持ヘッド41は、図2に示すように、X方向移動機構42のスライダ42cに取り付けられているZ方向移動機構44に固定されている。X方向移動機構42は、同図に示すように、例えば、モータ42a、ボールネジ42bおよびスライダ42cを備えて構成されている。このX方向移動機構42は、制御部7の制御に従ってモータ42aが作動してボールネジ42bを回転させ、その回転によってボールネジ42bに係合しているスライダ42cを同図に示すX方向(同図における左右方向)に移動させる。
【0027】
Y方向移動機構43は、図2に示すように、例えば、リニアアクチュエータ43aおよびガイドレール43bを備えて構成され、制御部7の制御に従ってX方向移動機構42を同図に示すY方向(同図における上下方向)に移動させる。Z方向移動機構44は、X方向移動機構42のスライダ42cに取り付けられて、制御部7の制御に従って保持ヘッド41をZ方向に移動させる。
【0028】
基板搬送機構5は、制御部7の制御に従って作動し、供給位置P1(図2参照)に供給される基板100を搭載位置P2(同図参照)に搬送すると共に、搭載位置P2において電子部品10が搭載された搭載後の基板100を搬出位置P3(同図参照)に搬送する。
【0029】
カメラ6aは、制御部7の制御に従い、保持ヘッド41、および保持ヘッド41によって保持されている電子部品10を撮像する撮像処理(以下、カメラ6aによる撮像処理を「第1撮像処理」ともいう)を実行する。カメラ6bは、制御部7の制御に従い、基板搬送機構5によって搭載位置P2に搬送された基板100に設けられている位置補正用のマーク(フィデューシャルマーク)を撮像する撮像処理(以下、カメラ6bによる撮像処理を「第2撮像処理」ともいう)を実行する。
【0030】
制御部7は、受け取り部3、基板搬送機構5、移動機構4およびカメラ6a,6bを制御して、基板100に電子部品10を搭載する搭載処理を実行する。具体的には、制御部7は、基板搬送機構5を制御して、基板100を供給位置P1から搭載位置P2に搬送させると共に、電子部品10の搭載が終了した基板100を搭載位置P2から搬出位置P3に搬送させる。また、制御部7は、受け取り部3の測定部12を制御して、パーツフィーダ200によって供給された電子部品10の電気的特性を測定させる。
【0031】
また、制御部7は、測定部12によって測定された電子部品10の電気的特性が予め決められた条件を満たすときに、移動機構4を制御して保持ヘッド41によって保持されている電子部品10を搭載位置に移動させて基板100に搭載させる。また、制御部7は、カメラ6a,6bを制御して撮像処理をそれぞれを実行させると共に、各撮像画像に基づき、保持ヘッド41の中心と電子部品10の中心との位置ずれ量、および搭載位置P2に搬送された基板100の位置ずれ量を特定して、移動機構4による電子部品10の移動量を補正する。
【0032】
次に、電子部品搭載装置1を用いて搭載対象体としての基板100に電子部品10を搭載する電子部品搭載方法、およびその際の電子部品搭載装置1の動作について、図面を参照して説明する。
【0033】
この電子部品搭載装置1は、5個の受け取り部3a〜3eを備えているため、異なる種類の電子部品10をそれぞれ供給するパーツフィーダ200を最大で5台装着することができる。この場合、基板100に対して、例えば、5種類の電子部品10を搭載する際には、図2に示すように、各種類の電子部品10をそれぞれ供給する5台のパーツフィーダ200を基台2の各装着位置に装着し、次いで、各パーツフィーダ200を作動させる。
【0034】
この場合、図4に示すように、各パーツフィーダ200によって供給される各電子部品10は、各受け取り部3における支持部11の支持板21に送り出されて、支持板21によってそれぞれ支持される(受け取られる)。また、図5に示すように、電子部品10が支持板21に送り出されて支持される際に、支持板21の支持面に配設されている各突起部22に電子部品10の側面が当接し、これによって電子部品10が位置決めされる。なお、図5および後述する図6では、パーツフィーダ200の図示を省略する。また、発明の理解を容易とするため、図6では、電子部品10および支持板21を透過した状態で図示する。
【0035】
続いて、図外の操作部を操作して、処理の開始を指示する。これに応じて、制御部7が、搭載処理を実行する。この搭載処理では、制御部7は、まず、基板搬送機構5を制御して、図2に示すように、供給位置P1に供給される基板100を搭載位置P2に搬送させる。
【0036】
次いで、制御部7は、移動機構4を制御して、基板100に設けられているフィデューシャルマークの上方にカメラ6bを移動させる。次いで、制御部7は、カメラ6bを制御して、第2撮像処理を実行させる。この第2撮像処理では、カメラ6bは、フィデューシャルマークを撮像する。
【0037】
一方、制御部7は、上記した移動機構4、基板搬送機構5およびカメラ6bに対する制御(基板100を搬送させ、フィデューシャルマークを撮像させる制御)に並行して各受け取り部3a〜3eの各測定部12を制御して、各パーツフィーダ200によってそれぞれ供給された電子部品10の電気的特性を測定させる。なお、以下の説明において、1つの受け取り部3に対して制御部7が行う制御の内容を説明するが、実際には、制御部7が各受け取り部3に対して同様の制御を並行して行うことにより、各受け取り部3の各測定部12が電子部品10の電気的特性の測定を並行して行う。
【0038】
制御部7は、測定部12に対して電子部品10の電気的特性を測定させる際に、具体的には、次のような制御を行う。まず、各測定部12のプロービング機構32を制御して、図5に示すように、テーブル31を上方(同図に示す矢印の向きであって、支持部11の支持板21に近接する向き)に移動させる。この際に、図6に示すように、テーブル31に固定されている吸気管34の先端部側が、支持板21に形成されている挿通孔21aに挿通させられて、先端部が、支持板21によって支持されている電子部品10の下面に近接する。この場合、吸気管34は、図外の吸気装置に接続されて先端部から吸気が行われている。このため、電子部品10の下面に近接した吸気管34の先端部からの吸気によって電子部品10が支持板21の支持面に吸着されて固定される。
【0039】
また、図6に示すように、テーブル31に固定されている各プローブ33の先端部側が、テーブル31の上方への移動によって支持板21に形成されている挿通孔21bに挿通させられて、先端部が、支持板21によって支持されている電子部品10の端子10aにプロービング(接触)させられる。この場合、上記したように、吸気管34の先端部からの吸気によって電子部品10が支持板21の支持面に固定されているため、プローブ33のプロービングの際に支持面から電子部品10が離反(浮き上がる)する事態が防止されて、プロービングが確実に行われる。
【0040】
この場合、この電子部品搭載装置1では、支持板21に形成した挿通孔21bにプローブ33を挿通させて、支持板21によって支持されている電子部品10の下面側から端子10aにプローブ33をプロービングさせて電子部品10の電気的特性を測定するように構成されている。このため、電子部品10の両側部を2つの電極(プローブ)で挟んで電気的特性を測定する従来の電子部品搭載装置に一般的に採用されている測定部とは異なり、電子部品10の下面に数多く(例えば、3つ以上)の端子10aが配設されている場合においても、それらの端子10aの数および位置に応じて挿通孔21bの形成位置やプローブ33の固定位置が規定された支持板21やテーブル31に交換することで、このような電子部品10の電気的特性を確実に測定することが可能となっている。
【0041】
続いて、制御部7は、測定回路35を制御して、端子10aにプロービングさせたプローブ33を介して入出力する電気信号に基づいて電子部品10の電気的特性を測定させる。次いで、制御部7は、測定回路35による測定が終了した時点で、プロービング機構32を制御してテーブル31を下方に移動させ、端子10aに対するプローブ33のプロービングを解除させると共に、吸気管34による吸着(固定)を解除させる。
【0042】
続いて、制御部7は、測定部12によって測定された電子部品10の電気的特性の測定値が予め決められた条件を満たすか否かを判定する。この場合、制御部7は、一例として、測定値が基準範囲内のときには、予め決められた条件を満たすと判定して、測定値が基準範囲外のときには、予め決められた条件を満たさないと判定する。
【0043】
次いで、制御部7は、例えば、測定値が予め決められた条件を満たすと判定したときには、移動機構4を制御して、各受け取り部3の1つ(例えば、受け取り部3a)の支持部11によって支持されている電子部品10の上方に保持ヘッド41を移動させる。続いて、制御部7は、移動機構4を制御して、保持ヘッド41を電子部品10に近接させて保持ヘッド41によって電子部品10を吸着して保持させる。
【0044】
次いで、制御部7は、移動機構4を制御して、保持ヘッド41によって保持されている電子部品10をカメラ6aの上方に移動させる。続いて、制御部7は、カメラ6aを制御して、第1撮像処理を実行させる。この第1撮像処理では、カメラ6aは、保持ヘッド41、および保持ヘッド41によって保持されている電子部品10を撮像する。一方、電子部品10の移動によって空き状態となった受け取り部3aにおける支持部11の支持板21には、パーツフィーダ200によって新たな電子部品10が供給され、この新たな電子部品10が支持板21によって保持される。
【0045】
続いて、制御部7は、カメラ6aによって撮像された撮像画像に基づき、保持ヘッド41と電子部品10との位置ずれ量(以下、「第1の位置ずれ量」ともいう)を特定する。また、制御部7は、カメラ6bによって撮像された撮像画像に基づき、搭載位置P2に搬送された基板100の位置ずれ量(以下、「第2の位置ずれ量」ともいう)を特定する。
【0046】
次いで、制御部7は、電子部品10を搭載する位置として予め決められた基板100上の搭載位置まで保持ヘッド41を移動させる移動量を、図外の記憶部に記憶されている位置データに基づいて特定する。また、制御部7は、上記した第1の位置ずれ量、および第2の位置ずれ量に基づいて移動量を補正する。続いて、制御部7は、補正後の移動量に基づいて移動機構4を制御して、基板100上における予め決められた搭載位置の上方に、保持ヘッド41によって保持されている電子部品10を移動させる。次いで、制御部7は、移動機構4を制御して、電子部品10を下方に移動させて、電子部品10を搭載位置に位置させ、続いて、保持ヘッド41による保持を解除させる。これにより、1つ目の電子部品10が搭載位置に搭載される。
【0047】
この場合、この電子部品搭載装置1では、パーツフィーダ200によって供給される電子部品10を受け取る受け取り部3において(つまり、電子部品10を受け取る受け取り位置において)、その電子部品10の電気的特性が測定される。このため、この電子部品搭載装置1では、電子部品10の受け取り位置(供給位置)とは別の位置に配置された測定部に電子部品10を移動させて電気特性のチェックを行う従来の構成とは異なり、受け取り位置から搭載位置に電子部品10を移動させる途中において、測定のためにその移動を一旦停止させる必要がなく、また、測定部において電子部品10の保持解除や再保持を行う必要もない。このため、移動を一旦停止させている時間に加えて、移動を停止させる際の減速に要する時間、移動を再開させる際の加速に要する時間、および保持解除や再保持を行うために要する時間がすべて不要となる結果、電子部品10の搭載時間を全体として十分に短縮することが可能となっている。
【0048】
また、制御部7は、上記した移動機構4およびカメラ6aに対する制御(支持板21から搭載位置に電子部品10を移動させる制御)に並行して、新たな電子部品10が供給された受け取り部3(この例では、受け取り部3a)の測定部12を制御して、新たな電子部品10の電気的特性を測定させると共に、その測定値が予め決められた条件を満たすか否かを判定する。
【0049】
次いで、制御部7は、新たな電子部品10を搭載する。ここで、この電子部品搭載装置1では、上記したように、支持板21から搭載位置に電子部品10を移動させている間に、新たな電子部品10の電気的特性の測定、およびその電気的特性の測定値が予め決められた条件を満たすか否かの判定が並行して行われる。このため、制御部7は、1つの電子部品10を搭載した後に、同種の新たな電子部品10(この例では、受け取り部3aに供給されている新たな電子部品10)を搭載する場合において、新たな電子部品10の電気的特性の測定値が予め決められた条件を満たすと判定したときには、1つの電子部品10の搭載後直ちに、新たな電子部品10を移動させることができる。このため、この電子部品搭載装置1では、電子部品10の搭載時間をさらに短縮することが可能となっている。
【0050】
また、この電子部品搭載装置1では、複数の受け取り部3を備え、各受け取り部3の各測定部12が電子部品10の電気的特性の測定を並行して行うため、1つの電子部品10の搭載が行われている間に、他の受け取り部3において他の電子部品10の電気的特性の測定、およびその電気的特性の測定値が予め決められた条件を満たすか否かの判定が終了している。このため、制御部7は、1つの電子部品10を搭載した後に、種類の異なる新たな電子部品10(例えば、受け取り部3bに供給されている電子部品10)を搭載する
場合において、新たな電子部品10の電気的特性の測定値が予め決められた条件を満たすと判定したときには、1つの電子部品10の搭載後直ちに、新たな電子部品10を移動させることができる。このため、この電子部品搭載装置1では、複数種類の電子部品10を搭載する場合においても、電子部品10の搭載時間をさらに短縮することが可能となっている。
【0051】
一方、制御部7は、上記した電子部品10の電気的特性の測定値が予め決められた条件を満たすか否かの判定において、その条件を満たさないと判定したときには、その旨を報知する。この場合、報知の形態としては、図外の表示部にその旨を表示したり、その旨を示す音声を出力したり、図外の発光部を発光させるなどの各種の報知形態を採用することができる。
【0052】
このように、この電子部品搭載装置1および電子部品搭載方法では、供給される電子部品10を受け取る受け取り部3が、電子部品10を支持する支持部11と、支持部11によって支持されている電子部品10の電気的特性を測定する測定部12とを備えて構成され、電子部品10の受け取り位置において、電子部品10を支持すると共に電子部品10の電気的特性を測定して、電気的特性の測定が終了した後の電子部品10を移動させて搭載対象体に搭載する。このため、この電子部品搭載装置1によれば、電子部品10の受け取り位置(供給位置)とは別の位置に配置された測定部に電子部品10を移動させて電気特性のチェックを行う従来の構成および方法とは異なり、受け取り位置から搭載位置まで電子部品10を移動させる途中において測定のためにその移動を一旦停止させる必要がなく、また、測定のために測定部において電子部品10の保持解除や再保持を行う必要もない。したがって、この電子部品搭載装置1および電子部品搭載方法によれば、移動を一旦停止させている時間に加えて、移動を停止させる際の減速に要する時間、移動を再開させる際の加速に要する時間、および保持解除や再保持を行うために要する時間がすべて不要となる結果、電子部品10の搭載時間を全体として十分に短縮することができる。また、この電子部品搭載装置1および電子部品搭載方法では、受け取り部3(受け取り位置)において電気的特性の測定が終了した後の電子部品10を移動させるため、受け取り部3(受け取り位置)から搭載位置まで電子部品10を移動させている間に、新たな電子部品10の電気的特性の測定、およびその電気的特性の測定値が予め決められた条件を満たすか否かの判定を並行して行うことができる。このため、この電子部品搭載装置1および電子部品搭載方法によれば、新たな電子部品10の電気的特性の測定値が予め決められた条件を満たすと判定したときには、1つの電子部品10の搭載後直ちに、その新たな電子部品10を移動させることができる結果、電子部品10を連続して搭載するときには、電子部品10の搭載時間をさらに短縮することができる。また、この電子部品搭載装置1および電子部品搭載方法によれば、受け取り部3が、電子部品10の電気的特性を測定する機能を有している(受け取り位置において電気的特性を測定する)ため、受け取り部3とは別の位置に測定部を配置する従来の構成と比較して、電子部品搭載装置1を全体として小形化することができる。
【0053】
また、この電子部品搭載装置1および電子部品搭載方法では、プローブ33を支持板21の挿通孔21bに挿通させて、支持板21によって支持されている電子部品10の下面(支持板に対向する面)側から電子部品10の端子10aにプローブ33をプロービングさせて電子部品10の電気的特性を測定する。このため、この電子部品搭載装置1および電子部品搭載方法によれば、電子部品10の両側部を2つの電極で挟んで電気的特性を測定する構成とは異なり、電子部品10の下面に3つ以上の端子10aが配設されている場合においても、それらの端子10aの数および位置に応じて挿通孔21bの形成位置やプローブ33の固定位置が規定された支持板21やテーブル31に交換することで、このような電子部品10の電気的特性を確実に測定することができる。
【0054】
また、この電子部品搭載装置1および電子部品搭載方法では、供給される電子部品10の種類に対応して支持部がそれぞれ形成された複数の受け取り部3において電子部品10の電気的特性をそれぞれ測定することにより、異なる種類の電子部品10の電気的特性の測定を各受け取り部3において並行して行うことができる。このため、この電子部品搭載装置1および電子部品搭載方法によれば、1つの電子部品10の搭載が行われている間に、他の種類の電子部品10の電気的特性の測定を終了させることができる結果、複数種類の電子部品10を搭載する場合においても、電子部品10の搭載時間をさらに短縮することが可能となっている。
【0055】
なお、電子部品搭載装置1は、上記の構成に限定されない。例えば、5個の受け取り部3を備えた例について上記したが、受け取り部3の数は、1個でもよいし、2個から4個、または6個以上の任意の数に規定することができる。また、支持した電子部品10を吸着によって固定するように支持部11を構成した例について上記したが、例えば、上記した各突起部22をスライド可能に形成して、各突起部22によって電子部品10を挟み込むことで、電子部品10の位置決めと固定の双方を行う構成を採用することもできる。また、支持板21に形成した挿通孔21bにプローブ33を挿通させて、支持板21によって支持されている電子部品10の下面側から端子10aにプローブ33をプロービングさせる構成例について上記したが、電子部品10の上面に形成されている端子10aに対して電子部品10の上面側からプローブ33をプロービングさせる構成や、電子部品10の側面に形成されている端子10aに対して電子部品10の側面側からプローブ33をプロービングさせる構成を採用することもできる。
【符号の説明】
【0056】
1 電子部品搭載装置
3a〜3e 受け取り部
5 移動機構
7 制御部
10 電子部品
11 支持部
12 測定部
21 支持板
21a 挿通孔
21b 挿通孔
31 テーブル
32 プロービング機構
33 プローブ
34 吸気管
35 測定回路
41 保持ヘッド
100 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給される電子部品を受け取る受け取り部と、当該受け取り部で受け取った前記電子部品を保持して予め決められた搭載位置に移動させる移動機構と、当該移動機構を制御する制御部とを備えて、前記電子部品を搭載対象体に搭載する電子部品搭載装置であって、
前記受け取り部は、供給された前記電子部品を支持する支持部と、当該支持部によって支持されている前記電子部品の電気的特性を測定する測定部とを備えて構成され、
前記制御部は、前記測定部によって測定された前記電子部品の前記電気的特性が予め決められた条件を満たすときに前記移動機構を制御して当該電子部品を前記搭載位置に移動させて前記搭載対象体に搭載させる電子部品搭載装置。
【請求項2】
前記支持部は、前記電子部品を支持可能に構成されると共に検査用のプローブを挿通可能な挿通孔が形成された支持板を備えて構成され、
前記測定部は、前記プローブを前記挿通孔に挿通させて前記支持板によって支持されている前記電子部品における当該支持板に対向する面側から当該電子部品の端子に当該プローブをプロービングさせるプロービング機構と、前記端子にプロービングさせた前記プローブを介して入出力する電気信号に基づいて前記電気的特性を測定する測定回路とを備えて構成されている請求項1記載の電子部品搭載装置。
【請求項3】
供給される前記電子部品の種類に対応して前記支持部がそれぞれ形成された複数の前記受け取り部を備えている請求項1または2記載の電子部品搭載装置。
【請求項4】
供給される電子部品を受け取り位置において受け取り、当該受け取った電子部品を保持して予め決められた搭載位置に移動させて搭載対象体に搭載する電子部品搭載方法であって、
前記受け取り位置において、前記電子部品を支持すると共に当該支持している前記電子部品の電気的特性を測定し、
測定した前記電子部品の前記電気的特性が予め決められた条件を満たすときに当該電子部品を前記搭載位置に移動させて前記搭載対象体に搭載する電子部品搭載方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−84641(P2013−84641A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−221462(P2011−221462)
【出願日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【出願人】(000227180)日置電機株式会社 (982)
【Fターム(参考)】