説明

電気光学装置、電気光学装置の製造方法、および投射型表示装置

【課題】入射光を画素開口領域に導く反射性斜面を備えた断面V字形状の偏向溝が形成された偏向用基板において、偏向溝の交差部分で発生する画素開口領域内への大きなはみ出しを防止することのできる電気光学装置、この電気光学装置の製造方法、および当該電気光学装置を備えた投射型表示装置を提供すること。
【解決手段】液晶装置100において、対向基板20に用いた透光性基板20bは、断面V字形状の偏向溝26を備えた偏向用基板であり、入射光を画素開口領域100dに効率よく導くため、入射光の利用効率を高めることができる。偏向溝26は第1方向に延びた第1延在部26xと第2方向に延びた第2延在部26yとを備えているが、第1延在部26xには、第1延在部26xと第2延在部26yとのX字状交差を避けるための途切れ部分26zが設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶装置などの電気光学装置、該電気光学装置の製造方法、および当該電気光学装置を備えた投射型表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気光学装置では、配線領域の確保や混色防止を目的に縦横に延在する格子状の遮光領域を設け、この遮光領域で囲まれた画素開口領域から変調光を出射する。例えば、代表的な電気光学装置である液晶装置は、図14(a)に示すように、画素電極が形成された素子基板10と、この素子基板10に対向配置された対向基板20と、素子基板10と対向基板20との間に保持された液晶層50とを備えており、素子基板10において配線および画素スイッチング用のトランジスタが形成された領域14、および対向基板20においてブラックマトリクスやブラックストライプと称せられる遮光層24が形成された領域によって、遮光領域100cが規定され、遮光領域100cの内側は、画素電極を備えた画素開口領域100dになっている。このように構成した液晶装置は、素子基板10の側から入射した光を液晶層50によって光変調した後、対向基板20から出射する構成、あるいは、対向基板20の側から入射した光を液晶層50によって光変調した後、素子基板10から出射する構成になっているため、入射光を効率よく利用するには、入射光を画素開口領域100dに効率よく導く必要がある。
【0003】
そこで、対向基板20の側から入射した光を液晶層50によって光変調した後、素子基板10から出射する構造の液晶装置においては、図14(a)、(b)において、対向基板20側において遮光領域100cと重なる領域に、入射光を画素開口領域100dに導く反射性の斜面261を備えた断面V字形状の偏向溝26(図14(b)において右下がりの斜線を付した領域)を縦横に形成した偏向用基板20eを用いることが提案されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2006−215427号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図14(a)、(b)に示すような偏向溝26を形成するには、図15(a)に示すように、偏向溝26を形成するためのエッチング対象領域に対応する開孔部61を備えたレジストマスク60を偏向用基板20eに形成した後、偏向用基板20eの基板面およびレジストマスク60にドライエッチングを行う。その際、偏向用基板20eとレジストマスク60とのエッチング選択比を例えば4:1とすれば、図15(b)に示すように、レジストマスク60の厚みに対して略4倍の深さを有する断面V字形状の偏向溝26を形成することができる。偏向溝26を形成した後は、図14(a)に示すように、偏向用基板20eより屈折率が低い樹脂材料や空気などの低屈折率材料267を偏向溝62に充填した状態で、偏向用基板20eの基板面に接着剤20fを介してカバー基板20gを貼り付けた後、カバー基板20gの表面に遮光層24および共通電極21を順に形成し、対向基板20を得る。
【0005】
しかしながら、偏向用基板20eの基板面およびレジストマスク60にドライエッチングを行なった際、レジストマスク60を平面的にみた場合の角部分において、偏向用基板20eは、角部分を介して隣接する両辺からのエッチングを受けて他の部分よりも速くエッチングされるため、図14(b)に示すように、偏向溝26を縦横に交差するパターンに形成しようとすると、偏向溝26において縦方向への延在部と横方向の延在部との交差部分では、横方向に大幅にエッチングされる結果、図14(b)に点線260で示すように、偏向溝26が画素開口領域100dに大きくはみ出してしまうという問題点がある。その結果、偏向溝26において画素開口領域100dに大きくはみ出してしまう部分では、入射光が所定の方向に反射されず、入射光の利用効率の低下や迷光が発生するという問題点がある。
【0006】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、入射光を画素開口領域に導く反射性斜面を備えた断面V字形状の偏向溝が形成された偏向用基板において、偏向溝の交差部分で発生する画素開口領域内への大きなはみ出しを防止することのできる電気光学装置、この電気光学装置の製造方法、および当該電気光学装置を備えた投射型表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明において、互いに交差する第1方向および第2方向に延在する格子状の遮光領域と、該遮光領域の内側領域で変調光を出射するための複数の画素開口領域とを有する電気光学装置において、入射光を前記画素開口領域に導く反射性斜面を備えた断面V字形状の偏向溝が前記遮光領域と重なる領域に沿って形成された偏向用基板を備え、前記偏向溝において前記第1方向に延びた第1延在部および前記第2方向に延びた第2延在部のうちの少なくとも一方には、前記偏向溝における前記第1方向と前記第2方向との交差部分での前記第1延在部と前記第2延在部とのX字状交差を避けるための途切れ部分が設けられていることを特徴とする。
【0008】
本発明では、互いに交差する第1方向および第2方向に延在する格子状の遮光領域と、該遮光領域の内側領域で変調光を出射するための複数の画素開口領域とを有する電気光学装置の製造方法において、入射光を前記画素開口領域に導く反射性斜面を備えた断面V字形状の偏向溝が前記遮光領域と重なる領域に沿って形成された偏向用基板を製造するにあたって、前記偏向用基板の基板面にエッチングを行なって前記偏向溝を形成するエッチング工程では、前記偏向溝において前記第1方向に延びた第1延在部を形成すべき第1エッチング対象領域および前記第2方向に延びた第2延在部を形成すべき第2エッチング対象領域のうちの少なくとも一方には、前記偏向溝における前記第1方向と前記第2方向との交差部分での前記第1エッチング対象領域と前記第2エッチング対象領域とのX字状交差を避けるための途切れ部分を設けることを特徴とする。
【0009】
本発明では、偏向用基板に形成した断面V字形状の偏向溝によって入射光を画素開口領域に効率よく導くため、入射光の利用効率を高めることができる。また、偏向溝は第1方向に延びた第1延在部と第2方向に延びた第2延在部とを備えているが、第1延在部および第2延在部のうちの少なくとも一方には、第1延在部と第2延在部とのX字状交差を避けるための途切れ部分が設けられている。言い換えると、偏向用基板を製造する際、第1延在部を形成すべき第1エッチング対象領域および第2延在部を形成すべき第2エッチング対象領域のうちの少なくとも一方には、第1エッチング対象領域と第2エッチング対象領域とのX字形状の交差を避けるための途切れ部分を設けてある。このため、偏向溝が横方向に大幅にエッチングされて画素開口領域に大きくはみ出すことを防止することができる。すなわち、偏向用基板の基板面をエッチングして偏向溝を形成する際、第1延在部(第1エッチング対象領域)と第2延在部(第2エッチング対象領域)とが交差する角部分では、他の領域に比して基板面が横方向に大幅にエッチングされるので、第1延在部(第1エッチング対象領域)と第2延在部(第2エッチング対象領域)とがX字形状の交差を形成すると、4つの角部分のいずれにも、偏向溝が画素開口領域に大きくはみ出した部分が発生し、入射光の利用効率の低下や迷光が発生するが、本発明では、第1延在部(第1エッチング対象領域)および第2延在部(第2エッチング対象領域)の少なくも一方には、X字形状の交差を避けるための途切れ部分を設けてあるので、4つの角部分で偏向溝が画素開口領域に大きくはみ出すのを防止することができ、入射光の利用効率の低下や迷光の発生を防止することができる。
【0010】
本発明に係る電気光学装置を液晶装置として構成する場合には、透光性の画素電極、画素トランジスタおよび配線が形成された透光性の素子基板と、該素子基板に対向配置された透光性の対向基板と、前記素子基板と前記対向基板との間に保持された液晶層とを備え、前記遮光領域は、前記画素トランジスタおよび前記配線の形成領域を含んでいる構成となる。
【0011】
本発明において、前記対向基板は、前記遮光領域と重なる領域に遮光層を備えておらず、前記遮光領域は、前記素子基板に形成された遮光層のみにより規定されていることが好ましい。本発明では、偏向用基板に形成した断面V字形状の偏向溝によって入射光を画素開口領域に導くため、対向基板には、ブラックマトリクスやブラックストライプなどと称せられる遮光層を設ける必要がないので、その分、製造工程数を減らすことができる。
【0012】
本発明において、前記偏向用基板は、前記対向基板の側に含まれていることが好ましい。
【0013】
本発明において、前記第1延在部および前記第2延在部のうちの一方の延在部は連続して一体に延在し、他方の延在部は、前記一方の延在部を挟む両側に前記途切れ部分をもって断続的に延在していることが好ましい。このように構成すると、第1延在部と第2延在部とが交わる箇所が一切ないので、偏向溝における第1方向と第2方向との交差部分に、偏向溝が画素開口領域に大きくはみ出した部分が発生するのを完全に防止することができる。
【0014】
本発明において、前記偏向溝は、前記複数の交差部分のうちの1つを基点として前記第1方向で隣接する別の前記交差部分および前記第2方向で隣接するさらに別の交差部分に向けて延びた複数のL字部分が、当該L字部分同士が離間する位置に互いに同一の向きに配列されてなる構成を採用してもよい。このように構成すると、偏向溝における第1方向と第2方向との交差部分には、L字部分の内側のみに、偏向溝が画素開口領域に大きくはみ出した部分が発生するだけであるため、入射光の利用効率の低下や迷光がほとんど発生しない。
【0015】
本発明において、前記偏向溝内には、前記斜面を覆うように金属材料が反射性付与材料として形成されていることが好ましい。
【0016】
本発明において、前記偏向溝内には、前記斜面を覆うように前記偏向用基板よりも屈折率が低い反射性付与材料が配置されている構成を採用してもよい。
【0017】
本発明において、前記偏向溝内は、前記反射性付与材料、あるいは前記反射性付与材料に加えて他の充填材により埋められて、前記偏向用基板において前記偏向溝が開口する基板面が平坦化されていることが好ましい。このように構成すると、偏向用基板において偏向溝が開口する基板面に直接、電極などを形成することができ、偏向用基板において偏向溝が開口する基板面にカバー基板を貼り付ける必要がない。
【0018】
本発明に係る電気光学装置を投射型表示装置に用いることが好ましく、この場合、投射型表示装置は、光源部および投射光学系を有し、前記光源部から出射された光を前記電気光学装置に入射させ、当該電気光学装置により光変調した光を前記投射光学系により投射する。投射型表示装置の場合には特に、入射光の利用効率が高いことが求められることから、本発明を電気光学装置に適用した場合の効果が顕著である。
【0019】
本発明に係る電気光学装置の製造方法において、前記エッチング工程では、前記偏向用基板に対して、前記第1エッチング対象領域および前記第2エッチング対象領域に対応する開孔部を備えたエッチングマスクを形成するマスク形成工程と、前記偏向用基板および前記エッチングマスクに対してドライエッチングを行なうドライエッチング工程とを行なう。
【0020】
本発明において、前記エッチング工程では、前記偏向用基板に対して、前記第1エッチング対象領域および前記第2エッチング対象領域に沿ってレーザビームを照射するレーザエッチングを行なってもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
図面を参照して、本発明を適用した電気光学装置(液晶装置)を用いた投射型表示装置、電気光学装置、および電気光学装置の製造方法を説明する。なお、対応関係を明確化することを目的に、以下の説明では、図14および図15を参照して説明した構成と同一の機能を有する部分には同一の符号を付して説明する。また、以下の説明で参照する図においては、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材毎に縮尺を異ならしめてある。
【0022】
[実施の形態1]
[投射型表示装置の構成]
図1を参照して、本発明の実施の形態1に係る電気光学装置をライトバルブとして用いた投射型表示装置を説明する。図1は、本発明を適用した投射型表示装置の概略構成図である。
【0023】
図1に示す投射型表示装置110は、観察者側に設けられたスクリーン111(被投射面)に光を照射し、このスクリーン111で反射した光を観察する。投射型表示装置110は、光源112、ダイクロイックミラー113、114、およびリレー系120などを備えた光源部140と、液晶ライトバルブ115〜117と、クロスダイクロイックプリズム119(合成光学系)と、投射光学系118とを備えている。
【0024】
光源112は、赤色光、緑色光および青色光を含む光を供給する超高圧水銀ランプで構成されている。ダイクロイックミラー113は、光源112からの赤色光を透過させると共に緑色光および青色光を反射する構成となっている。また、ダイクロイックミラー114は、ダイクロイックミラー113で反射された緑色光および青色光のうち青色光を透過させると共に緑色光を反射する構成となっている。このように、ダイクロイックミラー113、114は、光源112から出射した光を赤色光と緑色光と青色光とに分離する色分離光学系を構成する。
【0025】
ダイクロイックミラー113と光源112との間には、インテグレータ121および偏光変換素子122が光源112から順に配置されている。インテグレータ121は、光源112から照射された光の照度分布を均一化する構成となっている。また、偏光変換素子122は、光源112からの光を例えばs偏光のような特定の振動方向を有する偏光にする構成となっている。
【0026】
液晶ライトバルブ115は、ダイクロイックミラー113を透過して反射ミラー123で反射した赤色光を画像信号に応じて変調する透過型の電気光学装置(液晶装置)である。液晶ライトバルブ115は、λ/2位相差板115a、第1偏光板115b、液晶パネル115cおよび第2偏光板115dを備えている。ここで、液晶ライトバルブ115に入射する赤色光は、ダイクロイックミラー113を透過しても光の偏光は変化しないことから、s偏光のままである。
【0027】
λ/2位相差板115aは、液晶ライトバルブ115に入射したs偏光をp偏光に変換する光学素子である。また、第1偏光板115bは、s偏光を遮断してp偏光を透過させる偏光板である。液晶パネル115cは、p偏光を画像信号に応じた変調によってs偏光(中間調であれば円偏光又は楕円偏光)に変換する構成となっている。さらに、第2偏光板115dは、p偏光を遮断してs偏光を透過させる偏光板である。従って、液晶ライトバルブ115は、画像信号に応じて赤色光を変調し、変調した赤色光をクロスダイクロイックプリズム119に向けて射出する構成となっている。
【0028】
なお、λ/2位相差板115aおよび第1偏光板115bは、偏光を変換させない透光性のガラス板115eに接した状態で配置されており、λ/2位相差板115aおよび第1偏光板115bが発熱によって歪むのを回避することができる。
【0029】
液晶ライトバルブ116は、ダイクロイックミラー113で反射した後にダイクロイックミラー114で反射した緑色光を画像信号に応じて変調する透過型の電気光学装置(液晶装置)である。液晶ライトバルブ116は、液晶ライトバルブ115と同様に、第1偏光板116b、液晶パネル116cおよび第2偏光板116dを備えている。液晶ライトバルブ116に入射する緑色光は、ダイクロイックミラー113、114で反射されて入射するs偏光である。第1偏光板116bは、p偏光を遮断してs偏光を透過させる偏光板である。また、液晶パネル116cは、s偏光を画像信号に応じた変調によってp偏光(中間調であれば円偏光又は楕円偏光)に変換する構成となっている。第2偏光板116dは、s偏光を遮断してp偏光を透過させる偏光板である。従って、液晶ライトバルブ116は、画像信号に応じて緑色光を変調し、変調した緑色光をクロスダイクロイックプリズム119に向けて射出する構成となっている。
【0030】
液晶ライトバルブ117は、ダイクロイックミラー113で反射し、ダイクロイックミラー114を透過した後でリレー系120を経た青色光を画像信号に応じて変調する透過型の電気光学装置(液晶装置)である。液晶ライトバルブ117は、液晶ライトバルブ115、116と同様に、λ/2位相差板117a、第1偏光板117b、液晶パネル117cおよび第2偏光板117dを備えている。ここで、液晶ライトバルブ117に入射する青色光は、ダイクロイックミラー113で反射してダイクロイックミラー114を透過した後にリレー系120の後述する2つの反射ミラー125a、125bで反射することから、s偏光となっている。
【0031】
λ/2位相差板117aは、液晶ライトバルブ117に入射したs偏光をp偏光に変換する光学素子である。第1偏光板117bは、s偏光を遮断してp偏光を透過させる偏光板である。液晶パネル117cは、p偏光を画像信号に応じた変調によってs偏光(中間調であれば円偏光又は楕円偏光)に変換する構成となっている。第2偏光板117dは、p偏光を遮断してs偏光を透過させる偏光板である。従って、液晶ライトバルブ117は、画像信号に応じて青色光を変調し、変調した青色光をクロスダイクロイックプリズム119に向けて射出する構成となっている。なお、λ/2位相差板117aおよび第1偏光板117bは、ガラス板117eに接した状態で配置されている。
【0032】
リレー系120は、リレーレンズ124a、124bと反射ミラー125a、125bとを備えている。リレーレンズ124a、124bは、青色光の光路が長いことによる光損失を防止するために設けられている。ここで、リレーレンズ124aは、ダイクロイックミラー114と反射ミラー125aとの間に配置されている。また、リレーレンズ124bは、反射ミラー125a、125bの間に配置されている。反射ミラー125aは、ダイクロイックミラー114を透過してリレーレンズ124aから出射した青色光をリレーレンズ124bに向けて反射するように配置されている。また、反射ミラー125bは、リレーレンズ124bから出射した青色光を液晶ライトバルブ117に向けて反射するように配置されている。
【0033】
クロスダイクロイックプリズム119は、2つのダイクロイック膜119a、119bをX字型に直交配置した色合成光学系である。ダイクロイック膜119aは青色光を反射して緑色光を透過する膜であり、ダイクロイック膜119bは赤色光を反射して緑色光を透過する膜である。従って、クロスダイクロイックプリズム119は、液晶ライトバルブ115〜117のそれぞれで変調された赤色光と緑色光と青色光とを合成し、投射光学系118に向けて射出するように構成されている。
【0034】
なお、液晶ライトバルブ115、117からクロスダイクロイックプリズム119に入射する光はs偏光であり、液晶ライトバルブ116からクロスダイクロイックプリズム119に入射する光はp偏光である。このようにクロスダイクロイックプリズム119に入射する光を異なる種類の偏光としていることで、クロスダイクロイックプリズム119において各液晶ライトバルブ115〜117から入射する光を有効に合成できる。ここで、一般に、ダイクロイック膜119a、119bはs偏光の反射特性に優れている。このため、ダイクロイック膜119a、119bで反射される赤色光および青色光をs偏光とし、ダイクロイック膜119a、119bを透過する緑色光をp偏光としている。投射光学系118は、投影レンズ(図示略)を有しており、クロスダイクロイックプリズム119で合成された光をスクリーン111に投射するように構成されている。
【0035】
このように構成した投射型表示装置110において、光源112から出射された光の利用効率が高いことが求められることから、液晶ライトバルブ115〜117としての液晶装置については以下に説明する構成が採用されている。
【0036】
(電気光学装置の全体構成)
図2(a)、(b)は、図1に示した投射型表示装置において液晶ライトバルブ(電気光学装置/液晶装置)に用いた液晶パネルの構成を模式的に示す説明図、およびその液晶装置の電気的構成を示すブロック図である。なお、図1に示す液晶ライトバルブ115〜117および液晶パネル115c〜117cは、変調する光の波長領域が異なるだけであり、基本的構成が共通するので、液晶ライトバルブ115〜117を液晶装置100とし、液晶パネル115c〜117cを液晶パネル100xとして説明する。
【0037】
図2(a)に示すように、液晶装置100において、液晶パネル100xは、素子基板10と、この素子基板10に対向する対向基板20とを備えており、対向基板20の側から入射した光を変調して素子基板10の側から出射する透過型の液晶パネルである。素子基板10と対向基板20とは、シール材(図示せず)を介して貼り合わされて対向しており、シール材の内側領域にはTN(Twisted Nematic)液晶などからなる液晶層50が保持されている。詳しくは後述するが、素子基板10において対向基板20と対向する面側には島状の画素電極9aなどが形成され、対向基板20において素子基板10と対向する面側には、その略全面に共通電極21が形成されている。
【0038】
図2(b)に示すように、液晶装置100の素子基板10において、画像表示領域10aを構成するマトリクス状の複数の画素100aの各々には、画素電極9aと、画素電極9aをスイッチング制御するための画素トランジスタとしてのMOS型の電界効果型トランジスタ30とが形成されている。また、画像表示領域10aには、画像信号を供給するための複数のデータ線6aと、走査信号を供給するための複数の走査線3aとが互いに交差する方向に延びており、データ線6aはデータ線駆動回路101に接続され、走査線3aは走査線駆動回路104に接続されている。電界効果型トランジスタ30のソースにはデータ線6aが接続し、電界効果型トランジスタ30のゲートには走査線3aが接続されている。画素電極9aは、電界効果型トランジスタ30のドレインに電気的に接続されており、電界効果型トランジスタ30を一定期間だけそのオン状態とすることにより、データ線6aから供給されるデータ信号を各画素100aに所定のタイミングで書き込む。そして、図2(a)に示す画素電極9a、液晶層50、および共通電極21により構成された液晶容量50aに書き込まれた所定レベルの画素信号は一定期間保持される。
【0039】
ここで、液晶容量50aに並列に蓄積容量55が形成されており、蓄積容量55によって、画素電極9aの電圧は、例えば、ソース電圧が印加された時間よりも3桁も長い時間だけ保持される。これにより、電荷の保持特性は改善され、コントラスト比の高い表示を行うことのできる液晶装置100を実現できる。本形態では、蓄積容量55を構成するために、走査線3aと並列するように容量線5bが形成されており、かかる容量線5bは共通電位線(COM)に接続され、所定の電位に保持されている。なお、蓄積容量55は前段の走査線3aとの間に形成される場合もある。
【0040】
(画素の具体的構成)
図3は、本発明を適用した液晶装置の画素1つ分の断面図である。図4(a)、(b)は各々、本発明を適用した液晶装置に用いた素子基板において相隣接する画素の平面図、およびこの素子基板上における遮光領域を右上がりの斜線によって示した説明図である。図3は、図4(a)のA−A′線に相当する位置で液晶装置100を切断したときの断面図に相当する。なお、図4(a)、(b)では、半導体層は細くて短い点線で示し、走査線3aは太い実線で示し、データ線6aおよびそれと同時形成された薄膜は一点鎖線で示し、容量線5bは二点鎖線で示し、画素電極9aおよびそれと同時形成された薄膜は太くて長い点線で示し、後述する中継電極は細い実線で示してある。
【0041】
図3および図4(a)に示すように、素子基板10上には、複数の画素100aの各々に矩形状の画素電極9aが形成されており、各画素電極9aの縦横の境界に各々沿ってデータ線6aおよび走査線3aが形成されている。データ線6aおよび走査線3aは各々、直線的に延びている。また、データ線6aと走査線3aとが交差する領域に電界効果型トランジスタ30が形成されている。また、素子基板10上には、走査線3aと重なるように容量線5bが形成されている。本形態において、容量線5bは、走査線3aと重なるように直線的に延びた主線部分と、データ線6aと走査線3aとの交差部分でデータ線6aに重なるように延びた副線部分とを備えている。
【0042】
素子基板10は、石英基板やガラス基板などの透光性材料からなる支持基板11(基板本体)、その液晶層50側の表面に形成された画素電極9a、画素スイッチング用の電界効果型トランジスタ30、および配向膜16を主体として構成されており、対向基板20は、石英基板やガラス基板などの透光性基板20b、その液晶層50側表面に形成された共通電極21、および配向膜22を主体として構成されている。
【0043】
素子基板10において、画素電極9aに隣接する位置には電界効果型トランジスタ30が形成されている。電界効果型トランジスタ30は、例えば、LDD(Lightly Doped Drain)構造を有しており、半導体層1aには、走査線3aに対してゲート絶縁層2を介して対向するチャネル領域1a′、低濃度ソース領域1b、低濃度ドレイン領域1c、高濃度ソース領域1dおよび高濃度ドレイン領域1eが形成されている。
【0044】
半導体層1aは、例えば、石英基板からなる支持基板11上に下地絶縁膜12を介して形成された単結晶シリコン層によって構成され、このような構成の素子基板10は、石英基板と単結晶シリコン基板とが絶縁層を介して貼り合わされたSOI(Silicon On Insulator)基板を用いることにより実現することができる。このようなSOI基板は、例えば、単結晶シリコン基板上にシリコン酸化膜を形成した上で石英基板と貼り合わせる方法、あるいは石英基板と単結晶シリコン基板の双方にシリコン酸化膜を形成した上でシリコン酸化膜同士を接触させて貼り合わせる方法を採用できる。このような基板を用いた場合、ゲート絶縁層2(第2絶縁膜)は、半導体層1aに対する熱酸化膜により形成できる。走査線3aには、ポリシリコンやアモルファスシリコン、単結晶シリコン膜などのシリコン膜や、これらのポリサイドやシリサイド、さらには金属膜が用いられる。
【0045】
走査線3aの上層側には、高濃度ソース領域1dへ通じるコンタクトホール82、および高濃度ドレイン領域1eへ通じるコンタクトホール83を備えたシリコン酸化膜などからなる第1層間絶縁膜41が形成されている。第1層間絶縁膜41の上層には中継電極4a、4bが形成されている。中継電極4aは、走査線3aとデータ線6aとの交差する位置を基点として走査線3aおよびデータ線6aに沿って延出する略L字型に形成されており、中継電極4bは、中継電極4bと離間した位置において、データ線6aに沿うように形成されている。中継電極4aは、コンタクトホール83を介して高濃度ドレイン領域1eに電気的に接続され、中継電極4bは、コンタクトホール82を介して高濃度ソース領域1dに電気的に接続されている。
【0046】
中継電極4a、4bの上層側には、シリコン窒化膜などからなる誘電体膜42が形成されており、この誘電体膜42を介して、中継電極4aと対向するように容量線5bが形成され、蓄積容量55が形成されている。中継電極4a、4bは導電性のポリシリコン膜や金属膜等からなり、容量線5bは、導電性のポリシリコン膜、高融点金属を含む金属シリサイド膜、それらの積層膜、金属膜からなる。
【0047】
容量線5bの上層側には、中継電極4aへ通じるコンタクトホール87、および中継電極4bへ通じるコンタクトホール81を備えたシリコン酸化膜などからなる第2層間絶縁膜43が形成されている。第2層間絶縁膜43の上層にはデータ線6aおよびドレイン電極6bが形成されている。データ線6aはコンタクトホール81を介して中継電極4bに電気的に接続し、中継電極4bを介して高濃度ソース領域1dに電気的に接続している。ドレイン電極6bはコンタクトホール87を介して中継電極4aに電気的に接続し、中継電極4aを介して、高濃度ドレイン領域1eに電気的に接続している。データ線6aおよびドレイン電極6bは、導電性のポリシリコン膜、高融点金属を含む金属シリサイド膜、それらの積層膜、金属膜からなる。
【0048】
データ線6aおよびドレイン電極6bの上層側には、シリコン酸化膜などからなる第3層間絶縁膜44が形成されている。また、第3層間絶縁膜44の上層側には、シリコン酸化膜などからなる第4層間絶縁膜45が形成されている。第3層間絶縁膜44および第4層間絶縁膜45には、ドレイン電極6bへ通じるコンタクトホール86が形成されている。
【0049】
第4層間絶縁膜45の上層には、ITO(Indium Tin Oxide)膜などからなる透光性の画素電極9aが形成されており、画素電極9aは、コンタクトホール86を介してドレイン電極6bに電気的に接続されている。画素電極9aの表面には配向膜16が形成されている。
【0050】
これに対して、対向基板20では、透光性基板20bにおいて素子基板10と対向する面側に共通電極21および配向膜22が形成されている。
【0051】
このように構成した液晶装置100においては、走査線3a、容量線5b、データ線6aおよび電界効果型トランジスタ30の形成領域によって、表示に直線寄与しない格子状の遮光領域100c(図4(b)に右上がりの斜線を付した領域)が形成されており、かかる遮光領域100cは、互いに交差する第1方向(矢印Xで示す方向)および第2方向(矢印Yで示す方向)に延在し、かかる遮光領域100cで周りが囲まれた領域が、変調光を出射して表示に直接寄与する画素開口領域100dになっている。本形態では、対向基板20には、いわゆるブラックマトリクスやブラックストライプと称せられる遮光膜が形成されていない。このため、遮光領域100cは、走査線3a、容量線5b、データ線6aおよび電界効果型トランジスタ30の形成領域によって規定されている。
【0052】
(偏向溝および偏向用基板の構成)
図5(a)、(b)は各々、本発明の実施の形態1に係る液晶装置の断面を模式的に示して偏向溝の断面構成を示す説明図、および偏向溝の平面構成を示す説明図である。なお、図5(a)では、配向膜などの図示を省略してある。
【0053】
図5(a)に示すように、本形態の液晶装置100においては、対向基板20の側から入射した光を液晶層50によって画素毎に光変調した後、素子基板10から出射する。このため、入射光を効率よく利用するには、入射光を画素開口領域100dに効率よく導く必要がある。
【0054】
そこで、本形態では、対向基板20の透光性基板20bは、遮光領域100cと重なるように、入射光を画素開口領域100dに導く反射性の斜面261を備えた断面V字形状の偏向溝26が形成された偏向用基板として構成されている。すなわち、図1を参照して説明した光源部140からは様々な入射角度の光が入射し、かかる入射光のうち、画素開口領域100dへ直接入射した光は、矢印L1で示すように、そのまま進行させる一方、矢印L2で示すように、画素開口領域100dに向かう方向から外れた方向に向かう光については、矢印L3で示すように、偏向溝26の反射性斜面261で反射させ、画素開口領域100dに向かわせる。
【0055】
ここで、偏向溝26は、斜面261を一辺とする略二等辺三角形形状の断面を有しており、三角形形状の頂点は、遮光領域100cの幅方向の中心に位置している。また、偏向溝26の幅寸法(三角形形状の底辺の長さ)は、遮光領域100dの幅寸法と略同一寸法、あるいはやや幅広に設定されており、これにより、画素開口領域100dに向かう方向から外れた方向に向かう光についても有効に利用することができる。なお、斜面261の傾きについては、特開2006−215427号公報に開示されているように、例えば、透光性基板20bの基板面に対する法線となす角度が3°以下になるように設定される。かかる構成によれば、斜面261で光を反射した際、光線角度の増大を低減しながら入射光を偏向することができるとともに、入射光を、例えば、Fナンバーが2.5である投射光学系(図1参照)で十分取り込むことが可能な光線角度の光に変換することができ、コントラストの向上および入射光を利用効率の向上を図ることができる。
【0056】
本形態では、偏向溝26の斜面261に反射性を付与するにあたって、偏向溝26の内部には斜面に261対して、アルミニウム、アルミニウム合金、銀、銀合金などといった光反射性の金属層262が形成されている。また、偏向溝26の内部は、シリコン酸化膜や感光性樹脂などの充填材263で埋められており、透光性基板20bの基板面は、偏向溝26が開口している領域も含めて全体が平坦化されている。このため、対向基板20では、偏向用基板20bの基板面に対して直接、共通電極21が形成され、その表面に配向膜22(図3参照)が形成されている。
【0057】
ここで、偏向溝26は、図5(a)に示すように、図4(b)に示す遮光領域100cに沿って形成されており、第1方向(矢印Xで示す方向)に延びた第1延在部26xと、第2方向(矢印Yで示す方向)に延びた第2延在部26yとを備えている。但し、本形態では、第1延在部26xおよび第2延在部26yのうち、第1延在部26xには、偏向溝26における第1方向と第2方向との交差部分26wでの第1延在部26xと第2延在部26yとのX字状交差を避けるための途切れ部分26zが設けられている。すなわち、本形態では、第2延在部26yは、第2方向に連続して一体に延在している一方、第1延在部26xは、第2延在部26yを挟む両側に途切れ部分26zをもって断続的に第1方向に延在している。このため、本形態では、第1延在部26xと第2延在部26yとは一切、交差しないように形成されている。
【0058】
従って、詳しくは後述するが、本形態によれば、偏向溝26を形成する際、交差部分26wで透光性基板20bが横方向に大幅にエッチングされて偏向溝26が画素開口領域100dに大きくはみ出すことを防止することができる。
【0059】
(対向基板20および偏向用基板の製造方法)
図6は、本発明の実施の形態1に係る液晶装置に用いた対向基板20(偏向用基板)の製造方法を示す工程断面図である。なお、図6では、対向基板20は、図3および図5とは逆に偏向溝26が上方に向けて開口するように表してある。
【0060】
本形態に係る液晶装置100に用いた対向基板20(偏向用基板)を製造するには、まず、図6(a)に示すように、透光性基板20bに対して感光性レジスト層62を例えば50〜200μmの厚さで塗布した後、露光、現像し、図6(b)に示すように、開孔部61を備えたエッチングマスク60を形成する。ここで、開孔部61は、図5(b)に示す偏向溝26と略同一パターンに形成されており、偏向溝26の第1延在部26xを形成すべき第1エッチング対象領域を規定する第1開孔部61xと、偏向溝26の第2延在部26yを形成すべき第2エッチング対象領域を規定する第2開孔部61yとを含んでいる。また、開孔部61では、第2開孔部61yが第2方向に連続して一体に延在している一方、第1開孔部61xは第2開孔部61yを挟む両側に途切れ部分61zをもって断続的に延在している。このため、本形態では、第1開孔部61xと第2延在部61yとは一切、交差しないように形成されている。
【0061】
次に、透光性基板20bの基板面にエッチングマスク60を形成した状態で、透光性基板20bの基板面にドライエッチングを行なう。かかるドライエッチングには、高密度プラズマを形成可能なICPドライエッチング装置を用い、エッチングエリアに高密度プラズマを均一に形成できるエッチングガスとして、例えば、C48、CHF3等のフッ化物系ガスを用いる。また、透光性基板20bとエッチングマスク60とのエッチング選択比を例えば4:1とする。その結果、図6(c)に示すように、エッチングマスク60の厚みに対して略4倍の深さを有する偏向溝26を形成することができる。
【0062】
次に、透光性基板20bの基板面にアルミニウム、アルミニウム合金、銀、銀合金などといった光反射性の金属膜を形成した後、パターニングし、図6(d)に示すように、偏向溝26の斜面261に反射性を付与するための金属層262を形成する。
【0063】
次に、図6(e)に示すように、透光性基板20bの基板面に対して、偏向溝26を埋めるようにシリコン酸化膜などの充填層263を形成した後、透光性基板20bの基板面を研磨し、図6(f)に示すように、偏向溝26の内部に充填層263を残す一方、偏向溝26の外部に形成されていた充填層263を除去する。かかる研磨工程において、本形態では、化学機械研磨を行なう。この化学機械研磨では、研磨液に含まれる化学成分の作用と、研磨剤と透光性基板20bとの相対移動によって、高速で平滑な研磨面を得ることができる。より具体的には、研磨装置において、不織布、発泡ポリウレタン、多孔質フッ素樹脂などからなる研磨布(パッド)を貼り付けた定盤と、対向基板を保持するホルダとを相対回転させながら、研磨を行なう。その際、例えば、平均粒径が0.01〜20μmの酸化セリウム粒子、分散剤としてのアクリル酸エステル誘導体、および水を含む研磨剤を研磨布と透光性基板20bの基板面との間に供給する。なお、本形態では、透光性基板20bの基板面が露出するまで研磨を行なった後、透光性基板20bの基板面もわずかに研磨する。このようにして透光性基板20bを偏向用基板とする。
【0064】
しかる後には、透光性基板20bの基板面にITO膜などを形成した後、パターニングし、図3、図4(a)および図5(a)に示すように共通電極21を形成する。なお、透光性基板20bの基板面に共通電極21を形成する際には、マスク成膜を行い、透光性基板20bの基板面の所定領域にITO膜などを選択的に形成してもよい。しかる後には、図3に示すように、共通電極21の表面に配合膜22を形成する。このようにして対向基板20を得る。
【0065】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、対向基板20に用いた透光性基板20bを断面V字形状の偏向溝26を備えた偏向用基板として構成することによって、入射光を画素開口領域100dに効率よく導くため、入射光の利用効率を高めることができる。
【0066】
また、偏向溝26は第1方向に延びた第1延在部26xと第2方向に延びた第2延在部26yとを備えているが、第1延在部26xには、第1延在部26xと第2延在部26yとのX字状交差を避けるための途切れ部分26zが設けられている。言い換えると、透光性基板20bを偏向用基板として形成する際、第1延在部26xを形成すべき第1開孔部61x(第1エッチング対象領域)、および第2延在部26yを形成すべき第2開孔部61y(第2エッチング対象領域)のうち、第1開孔部61x(第1エッチング対象領域)には、第1開孔部61x(第1エッチング対象領域)と第2開孔部61y(第2エッチング対象領域)とのX字形状の交差を避けるための途切れ部分61zを設けてある。このため、偏向溝26が横方向に大幅にエッチングされて画素開口領域100dに大きくはみ出すことを防止することができる。すなわち、透光性基板20bの基板面をエッチングして偏向溝26を形成する際、第1開孔部61xと第2開孔部61yとが交差する角部分では、他の領域に比して基板面が横方向に大幅にエッチングされるので、第1開孔部61xと第2開孔部61yとがX字形状の交差を形成すると、4つの角部分のいずれにも、偏向溝26が画素開口領域100dに大きくはみ出した部分が発生し、入射光の利用効率の低下や迷光が発生するが、本形態では、第1開孔部61xにX字形状の交差を避けるための途切れ部分26zを設けてあるので、偏向溝26が画素開口領域100dに大きくはみ出すのを防止することができ、入射光の利用効率の低下や迷光の発生を防止することができる。
【0067】
また、本形態では、開孔部61では、第2開孔部61yが第2方向に連続して一体に延在している一方、第1開孔部61xは第2開孔部61yを挟む両側に途切れ部分61zをもって断続的に延在しているため、本形態では、第1開孔部61xと第2延在部61yとは一切、交差しない。従って、偏向溝26における第1方向と第2方向との交差部分26wに、偏向溝26が画素開口領域100dに大きくはみ出した部分が発生するのを完全に防止することができる。
【0068】
また、本形態は、断面V字形状の偏向溝26によって入射光を画素開口領域100dに導くため、対向基板20には、ブラックマトリクスやブラックストライプなどと称せられる遮光層を設ける必要がないので、その分、製造工程数を減らすことができる。
【0069】
さらに、透光性基板20bは、偏向溝26内が充填材263により埋められて、基板面が平坦化されているため、偏向溝26が開口する基板面に直接、共通電極21などを形成することができ、偏向溝26が開口する基板面にカバー基板を貼り付ける必要がないという利点がある。
【0070】
(偏向用基板の別の製造方法)
図7は、本発明の実施の形態1に係る液晶装置に用いた別の対向基板20(偏向用基板)の製造方法を示す工程断面図である。
【0071】
本形態に係る液晶装置100に用いた対向基板20(偏向用基板)を製造するには、まず、図7(a)に示すように、透光性基板20bに金属層71を形成する。金属層71の材料としては、例えばクロムやニッケルを用いることができる。次に、図7(b)に示すように、金属層71の上に感光性レジスト層72を形成した後、露光、現像し、図7(c)に示すように、レジストマスク73を形成する。次に、図7(c)に示すように、レジストマスク73を介して金属層71をパターニングした後、図7(d)に示すように、レジストマスク73を介して金属層71をパターニングし、金属マスク74を形成する。このようにして、金属マスク74およびレジストマスク73からなるエッチングマスク70を形成する。かかるエッチングマスク70は、偏向溝26を形成するためのエッチング対象領域を規定する開孔部75を備えており、かかる開孔部75は、図6を参照して説明したエッチングマスク60の開孔部61と同様なパターンを有している。
【0072】
次に、透光性基板20bの基板面にエッチングマスク70を形成した状態で、透光性基板20bの基板面にドライエッチングを行なう。かかるドライエッチングには、高密度プラズマを形成可能なICPドライエッチング装置を用い、エッチングエリアに高密度プラズマを均一に形成できるエッチングガスとして、例えば、C48、CHF3等のフッ化物系ガスを用いる。また、エッチング選択比は、透光性基板20bにおけるエッチングレートが高くなるような条件とすることで大きくする。その結果、図7(e)、(f)に示すように、エッチングマスク60の厚みに対して略4倍の深さを有する偏向溝26を形成することができる。
【0073】
次に、図7(g)に示すように、エッチングマスク70を除去する。以降の工程は、図6を参照して説明した方法と同様であるので、説明を省略する。
【0074】
(偏向用基板のさらに別の製造方法)
図8は、本発明の実施の形態1に係る液晶装置に用いたさらに別の対向基板20(偏向用基板)の製造方法を示す工程断面図である。
【0075】
本形態に係る液晶装置100に用いた対向基板20(偏向用基板)を製造するには、まず、図8(a)に示すように、透光性基板20bに感光性樹脂81を塗布した後、露光現像し、図8(b)に示すように、樹脂パターン82を形成する。次に、図8(c)に示すように、クロムやニッケルなどの金属層83を形成した後、樹脂パターン82を除去する。その結果、図8(d)に示すように、金属層83のうち、樹脂パターン82の上に被さっていた部分が除去され、残った金属層により、エッチングマスク80が形成される。かかるエッチングマスク80は、偏向溝26を形成するためのエッチング対象領域を規定する開孔部85を備えており、かかる開孔部85は、図6を参照して説明したエッチングマスク60の開孔部61と同様なパターンを有している。
【0076】
次に、透光性基板20bの基板面にエッチングマスク80を形成した状態で、透光性基板20bの基板面にドライエッチングを行なう。かかるドライエッチングには、高密度プラズマを形成可能なICPドライエッチング装置を用い、エッチングエリアに高密度プラズマを均一に形成できるエッチングガスとして、例えば、C48、CHF3等のフッ化物系ガスを用いる。また、エッチング選択比は、透光性基板20bにおけるエッチングレートが高くなるような条件とすることで大きくする。その結果、図8(e)、(f)に示すように、エッチングマスク80の厚みに対して略4倍の深さを有する偏向溝26を形成することができる。
【0077】
次に、図8(g)に示すように、エッチングマスク80を除去する。以降の工程は、図6を参照して説明した方法と同様であるので、説明を省略する。
【0078】
(偏向用基板のさらに別の製造方法)
図6〜図8に示す方法ではエッチングマスクを介して透光性基板20bの基板面にエッチングを行なって、偏向溝26を形成したが、透光性基板20bの基板面に対して、図5(b)に示す第1延在部26xおよび第2延在部26yを形成するための第1エッチング対象領域および第2エッチング対象領域に沿ってレーザビームを照射するレーザエッチングを行なってもよい。
【0079】
[実施の形態2]
図9(a)、(b)は各々、本発明の実施の形態2に係る液晶装置の断面を模式的に示して偏向溝の断面構成を示す説明図、および偏向溝の平面構成を示す説明図である。なお、本形態の基本的な構成は、実施の形態1と同様であるため、共通する部分には同一の符号を付して図示し、それらの説明を省略する。
【0080】
図9(a)に示すように、本形態の液晶装置100においても、実施の形態1と同様、対向基板20の透光性基板20bは、遮光領域100cと重なるように、入射光を画素開口領域100dに導く反射性の斜面261を備えた断面V字形状の偏向溝26が形成された偏向用基板として構成されている。ここで、偏向溝26は、図9(a)に示すように、図4(b)に示す遮光領域100cに沿って形成されており、第1方向(矢印Xで示す方向)に延びた第1延在部26xと、第2方向(矢印Yで示す方向)に延びた第2延在部26yとを備えている。
【0081】
但し、本形態では、実施の形態1とは逆に、第1方向に延びた第1延在部26xおよび第2方向に延びた第2延在部26yのうち、第2延在部26yには、偏向溝26における第1方向と第2方向との交差部分26wでの第1延在部26xと第2延在部26yとのX字状交差を避けるための途切れ部分26zが設けられている。すなわち、本形態では、第1延在部26xは、第1方向に連続して一体に延在している一方、第2延在部26yは、第1延在部26xを挟む両側に途切れ部分26zをもって断続的に延在している。このため、本形態では、第1延在部26xと第2延在部26yとは一切、交差しないように形成されている。
【0082】
なお、図9(b)には、図6を参照して説明した方法で、偏向溝26を形成する際、エッチングマスク60の開孔部61(第1開孔部61xおよび第2開孔部61y)およびその途切れ部分61zも示してある。
【0083】
このように構成した場合も、実施の形態1と同様、偏向溝26を形成する際、交差部分26wで透光性基板20bが横方向に大幅にエッチングされて偏向溝26が画素開口領域100dに大きくはみ出すことを防止することができる。
【0084】
[実施の形態3]
図10(a)、(b)は各々、本発明の実施の形態3に係る液晶装置の断面を模式的に示して偏向溝の断面構成を示す説明図、および偏向溝の平面構成を示す説明図である。なお、本形態の基本的な構成は、実施の形態1と同様であるため、共通する部分には同一の符号を付して図示し、それらの説明を省略する。
【0085】
図10(a)に示すように、本形態の液晶装置100においても、実施の形態1と同様、対向基板20の透光性基板20bは、遮光領域100cと重なるように、入射光を画素開口領域100dに導く反射性の斜面261を備えた断面V字形状の偏向溝26が形成された偏向用基板として構成されている。ここで、偏向溝26は、図9(a)に示すように、図4(b)に示す遮光領域100cに沿って形成されており、第1方向(矢印Xで示す方向)に延びた第1延在部26xと、第2方向(矢印Yで示す方向)に延びた第2延在部26yとを備えている。
【0086】
但し、本形態では、偏向溝26は、複数の交差部分26wのうちの1つを基点として第1方向で隣接する別の交差部分26wおよび第2方向で隣接するさらに別の交差部分26wに向けて延びた複数のL字部分26sが、L字部分26s同士が離間する位置に互いに同一の向きに配列されてなる構成を有している。このため、第1延在部26xおよび第2延在部26yの双方に、第1延在部26xと第2延在部26yとのX字状交差を避けるための途切れ部分26zが設けられている。すなわち、第1延在部26xは、交差部分26wに途切れ部分26zをもって断続的に第1方向に延在し、第2延在部26yは、交差部分26wに途切れ部分26zをもって断続的に第2方向に延在している。本形態では、第1延在部26xと第2延在部26yとは、交わってはいるが、交差部分26wで角を1つのみ形成している。
【0087】
なお、図10(b)には、図6を参照して説明した方法で、偏向溝26を形成する際、エッチングマスク60の開孔部61(第1開孔部61xおよび第2開孔部61y)およびその途切れ部分61zも示してある。
【0088】
このように構成した場合、偏向溝26を形成する際、点線260で示すように、L字部分26sの角の内側で、透光性基板20bが横方向に大幅にエッチングされて偏向溝26が画素開口領域100dにはみ出すが、かかるはみ出し部分は1箇所のみである。従って、入射光の利用効率の低下や迷光がほとんど発生しない。
【0089】
また、本形態では、図4(a)に示すように、電界効果型トランジスタ30がデータ線6a、走査線3aおよび容量線6bの形成領域と完全に重なる領域に形成されているが、配線の形成領域内に電界効果型トランジスタ30を形成できず、配線の形成領域からはみ出るように電界効果型トランジスタ30を形成する必要がある場合、点線260で示す偏向溝26の画素開口領域100dへのはみ出し領域を電界効果型トランジスタ30の形成領域として利用すれば、電界効果型トランジスタ30に起因する入射光の利用効率の低下を最小限に止めることができる。
【0090】
[偏向用基板の他の実施の形態]
図11および図12は、本発明を適用した液晶装置で用いられる偏向用基板の変形例を示す説明図である。
【0091】
上記実施の形態では、偏向溝26の斜面261に反射性を付与するにあたって、斜面261に対して金属層262を形成したが、図11(a)、(b)に示すように、金属層262を形成する代わりに、偏向溝26に低屈折率材料267を充填してもよい。すなわち、透光性基板20bを構成する材料の屈折率をn1とし、低屈折率材料267の屈折率をn2とし、斜面261の法線に対する光の入射角度をθ1とした場合、n1>n2で、かつ、n1、n2、θ1が以下の式
sinθ1>n2/n1
を満たせば、全反射が起こるので、斜面261に反射性を付与することができる。ここで、図11(a)に示す低屈折率材料267は樹脂であり、図11(b)に示す低屈折率材料267は、空気である。図11(b)に示す構成は、減圧雰囲気下で透光性基板20bの基板面に接着剤20fを介してカバー基板20gを貼り付けることにより、実現することができる。
【0092】
また、上記実施の形態では、偏向溝26の断面が二等辺三角形である例を説明したが、図12(a)に示すように、二等辺三角形の頂部が丸まっている構成や、図12(b)に示すように、斜面261が、透光性基板20bの基板面に対する法線方向に対して異なる傾きの第1斜面261aと第2斜面261bを有する構成を採用してもよい。ここで、二等辺三角形の底部側に位置する第2斜面261bが、第1斜面261aに比して、透光性基板20bの基板面に対する法線方向に対して大きな角度を形成していれば、液晶のドメインなどが発生しやすい画素開口領域100dの端部分を避けて、画素開口領域100dの中央に入射光を導くことができる。
【0093】
[他の実施の形態]
図1には、ライトバルブを3枚用いた投射型表示装置を例示したが、液晶装置100がカラーフィルタを内蔵している場合、図13に示す投射型表示装置において、本発明を適用した1枚の液晶装置100をライトバルブとして用いて、カラー画像をスクリーン211に投射表示するように構成してもよい。すなわち、図13に示す投射型表示装置210は、白色光源212、インテグレータ221および偏光変換素子222を備えた光源部240と、液晶装置100と、投射光学系218とを備えている。また、液晶装置100では、カラーフィルタ内蔵の液晶パネル100xの両側に第1偏光板216aおよび第2偏光板216bが配置されている。
【0094】
また、上記形態では、電気光学装置として、投射型表示装置に用いる透過型の液晶装置を例示したが、投射型表示装置に用いる反射型の液晶装置に本発明を適用してもよい。また、バックライト装置から出射された光を入射光として画像を表示する直視型の透過型あるいは半透過反射型の液晶装置や、外光を入射光として画像を表示する直視型の反射型の液晶装置に本発明を適用してもよい。
【0095】
さらに、上記形態では、電気光学装置として液晶装置を例に説明したが、自発光素子から出射された変調光によって画像表示面で画像を表示する電気光学装置において混色などを防止することを目的に、縦横に延在する格子状の遮光領域を設け、この遮光領域で囲まれた画素開口領域から変調光を出射する電気光学装置に本発明を適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】本発明を適用した投射型表示装置の概略構成図である。
【図2】(a)、(b)は、図1に示した投射型表示装置において液晶ライトバルブに用いた液晶パネルの構成を模式的に示す説明図、およびその液晶装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図3】本発明を適用した液晶装置の画素1つ分の断面図である。
【図4】(a)、(b)は各々、本発明を適用した液晶装置に用いた素子基板において相隣接する画素の平面図、およびこの素子基板上における遮光領域を右上がりの斜線によって示した説明図である。
【図5】(a)、(b)は各々、本発明の実施の形態1に係る液晶装置の断面を模式的に示して偏向溝の断面構成を示す説明図、および偏向溝の平面構成を示す説明図である。
【図6】本発明の実施の形態1に係る液晶装置に用いた対向基板(偏向用基板)の製造方法を示す工程断面図である。
【図7】本発明の実施の形態1に係る液晶装置に用いた対向基板(偏向用基板)の別の製造方法を示す工程断面図である。
【図8】本発明の実施の形態1に係る液晶装置に用いた対向基板(偏向用基板)のさらに別の製造方法を示す工程断面図である。
【図9】(a)、(b)は各々、本発明の実施の形態2に係る液晶装置の断面を模式的に示して偏向溝の断面構成を示す説明図、および偏向溝の平面構成を示す説明図である。
【図10】(a)、(b)は各々、本発明の実施の形態3に係る液晶装置の断面を模式的に示して偏向溝の断面構成を示す説明図、および偏向溝の平面構成を示す説明図である。
【図11】本発明を適用した液晶装置で用いられる偏向用基板の変形例を示す説明図である。
【図12】本発明を適用した液晶装置で用いられる偏向用基板の別の変形例を示す説明図である。
【図13】本発明を適用した別の投射型表示装置の概略構成図である。
【図14】(a)、(b)は各々、従来の液晶装置の断面を模式的に示して偏向溝の断面構成を示す説明図、および偏向溝の平面構成を示す説明図である。
【図15】図14に示す偏向溝を形成する方法を示す工程断面図である。
【符号の説明】
【0097】
10・・素子基板、20・・対向基板、20a・・透光性基板(偏向用基板)、26・・偏向溝、26x・・偏向溝の第1延在部、26y・・偏向溝の第2延在部、26z・・偏向溝の途切れ部分、100・・液晶装置(電気光学装置)、100c・・遮光領域、100d・・画素開口領域、261・・偏向溝の斜面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに交差する第1方向および第2方向に延在する格子状の遮光領域と、該遮光領域の内側領域で変調光を出射するための複数の画素開口領域とを有する電気光学装置において、
入射光を前記画素開口領域に導く反射性斜面を備えた断面V字形状の偏向溝が前記遮光領域と重なる領域に沿って形成された偏向用基板を備え、
前記偏向溝において前記第1方向に延びた第1延在部および前記第2方向に延びた第2延在部のうちの少なくとも一方には、前記偏向溝における前記第1方向と前記第2方向との交差部分での前記第1延在部と前記第2延在部とのX字状交差を避けるための途切れ部分が設けられていることを特徴とする電気光学装置。
【請求項2】
透光性の画素電極、画素トランジスタおよび配線が形成された透光性の素子基板と、該素子基板に対向配置された透光性の対向基板と、前記素子基板と前記対向基板との間に保持された液晶層とを備え、
前記遮光領域は、前記画素トランジスタおよび前記配線の形成領域を含んでいることを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項3】
前記対向基板は、前記遮光領域と重なる領域に遮光層を備えておらず、
前記遮光領域は、前記素子基板に形成された遮光層のみにより規定されていることを特徴とする請求項2に記載の電気光学装置。
【請求項4】
前記偏向用基板は、前記対向基板の側に含まれていることを特徴とする請求項2または3に記載の電気光学装置。
【請求項5】
前記第1延在部および前記第2延在部のうちの一方の延在部は連続して一体に延在し、他方の延在部は、前記一方の延在部を挟む両側に前記途切れ部分をもって断続的に延在していることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の電気光学装置。
【請求項6】
前記偏向溝は、前記複数の交差部分のうちの1つを基点として前記第1方向で隣接する別の前記交差部分および前記第2方向で隣接するさらに別の交差部分に向けて延びた複数のL字部分が、当該L字部分同士が離間する位置に互いに同一の向きに配列されてなることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の電気光学装置。
【請求項7】
前記偏向溝内には、前記斜面を覆うように金属材料が反射性付与材料として形成されていることを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項に記載の電気光学装置。
【請求項8】
前記偏向溝内には、前記斜面を覆うように前記偏向用基板よりも屈折率が低い反射性付与材料が配置されていることを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項に記載の電気光学装置。
【請求項9】
前記偏向溝内は、前記反射性付与材料、あるいは前記反射性付与材料に加えて他の充填材により埋められて、前記偏向用基板において前記偏向溝が開口する基板面が平坦化されていることを特徴とする請求項1乃至8の何れか一項に記載の電気光学装置。
【請求項10】
互いに交差する第1方向および第2方向に延在する格子状の遮光領域と、該遮光領域の内側領域で変調光を出射するための複数の画素開口領域とを有する電気光学装置の製造方法において、
入射光を前記画素開口領域に導く反射性斜面を備えた断面V字形状の偏向溝が前記遮光領域と重なる領域に沿って形成された偏向用基板を製造するにあたって、前記偏向用基板の基板面にエッチングを行なって前記偏向溝を形成するエッチング工程では、
前記偏向溝において前記第1方向に延びた第1延在部を形成すべき第1エッチング対象領域および前記第2方向に延びた第2延在部を形成すべき第2エッチング対象領域のうちの少なくとも一方には、前記偏向溝における前記第1方向と前記第2方向との交差部分での前記第1エッチング対象領域と前記第2エッチング対象領域とのX字状交差を避けるための途切れ部分を設けることを特徴とする電気光学装置の製造方法。
【請求項11】
前記エッチング工程では、前記偏向用基板に対して、前記第1エッチング対象領域および前記第2エッチング対象領域に対応する開孔部を備えたエッチングマスクを形成するマスク形成工程と、前記偏向用基板の基板面および前記エッチングマスクに対してドライエッチングを行なうドライエッチング工程とを行なうことを特徴とする請求項10に記載の電気光学装置の製造方法。
【請求項12】
前記エッチング工程では、前記偏向用基板に対して、前記第1エッチング対象領域および前記第2エッチング対象領域に沿ってレーザビームを照射して前記偏向用基板の基板面にレーザエッチングを行なうことを特徴とする請求項10に記載の電気光学装置の製造方法。
【請求項13】
請求項1乃至9の何れか一項に記載の電気光学装置を用いた投射型表示装置であって、
光源部および投射光学系を有し、
前記光源部から出射された光を前記電気光学装置に入射させ、当該電気光学装置により光変調した光を前記投射光学系により投射することを特徴とする投射型表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2009−47825(P2009−47825A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−212644(P2007−212644)
【出願日】平成19年8月17日(2007.8.17)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】