説明

電気光学装置及び電子機器

【課題】従来は一般的にAlによって形成されていた光反射膜を間に挟んでCrの電極の上にITOの画素電極が設けられる構造の電気光学装置において、Crの電極とITOの画素電極との間で信頼性の高い導電接続を得られるようにする。
【解決手段】基板7a上に設けられていて第2素子電極34bを備えたTFD素子31を有する電気光学装置である。この電気光学装置は、TFD素子31を覆う層間絶縁膜22と、TFD素子31に電気的につながると共に絶縁膜22から露出したコンタクト部25aを備える導電膜25と、絶縁膜22上に設けられると共にコンタクト部25aにおいて導電膜25に積層された光反射膜23と、コンタクト部25aにおいて光反射膜23に積層された画素電極24とを有する。コンタクト部25aはCr又はCr合金によって形成され、画素電極24はITOによって形成され、光反射膜23はAlNiによって形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置、有機EL装置、プラズマディスプレイ装置等といった電気光学装置に関する。また、本発明は、その電気光学装置を用いて構成される電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話機、携帯情報端末機、PDA(Personal Digital Assistant)等といった電子機器に液晶表示装置等といった電気光学装置が広く用いられている。例えば、電子機器に関する各種の表示を行うために電気光学装置が用いられている。なお、液晶表示装置は、電気光学物質である液晶によって光を変調することにより文字、数字、図形等といった像を表示する電気光学装置である。
【0003】
液晶表示装置は、一般に、それぞれが電極を有する一対の基板間にシール材によって囲まれた空間を形成し、その空間内に液晶を封止する構造を有する。それらの電極を平面的に重ねて見ると、電極が重なる領域が行方向及び列方向にマトリクス状に並び、これらの各領域が画素を構成する。そして、個々の画素内に存在する液晶に印加する電圧を画素ごとに制御して液晶の配向を制御することにより、表示が行われる。
【0004】
このような液晶表示装置として、従来、画素に印加する電圧をスイッチング素子を用いて制御することにより液晶の配向を制御する構造のアクティブマトリクス方式の液晶表示装置が知られている。また、この種の液晶表示装置において、画素電極とスイッチング素子とを層間絶縁膜によって異なる層に分ける構造が知られている。さらにまた、反射型表示を実現するために画素電極と層間絶縁膜との間に光反射膜を介在させる構造も知られている。
【0005】
上記のように、スイッチング素子、層間絶縁膜、光反射膜、画素電極をその順に積層する構造を有する電気光学装置においては、層間絶縁膜によって互いに絶縁されたスイッチング素子と画素電極とを電気的に導通させる必要がある。この場合に一般的に考えられる導通方法としては、例えば、スイッチング素子の電極を層間絶縁膜から部分的に露出させ、その電極の露出部分も含めて層間絶縁膜上に光反射膜を形成し、その後、その電極の露出部分上の光反射膜を除去した上で、光反射膜及び電極の露出部分の上に画素電極を形成する、という導通方法が考えられる。この場合には、電極の露出部分の上に画素電極を形成することにより、スイッチング素子の電極と画素電極との導通がとられることになる。
【0006】
しかしながら、この導通方法に関しては、次のような問題が考えられる。すなわち、この方法の場合には、スイッチング素子の電極の上に一旦、光反射膜の材料を載せた後にその材料を除去してからスイッチング素子の電極の上に画素電極を載せなければならないので、仮に、スイッチング素子の電極をCr(クロム)によって形成し、光反射膜をAl(アルミニウム)によって形成し、画素電極をITO(Indium-Tin-Oxide:インジウム錫酸化物)によって形成する場合には、Crの電極上に一旦Alを載せた後にそのAlを除去するという処理を行うことになり、その処理時にCrの表面が改質してその接触抵抗が上昇し、その結果、その後にCrの上にITOを載せたときに、両者間で接触不良が発生するおそれがあるということである。
【0007】
本発明者は、この問題を解消すべく、種々の従来文献を検討した。その結果、スイッチング素子を構成する素子電極をCrによって形成し、このCrにAlの反射電極を導電接続する技術があることを知見した(例えば、特許文献1参照)。また、画素電極をAl又はITOによって形成し、スイッチング素子の電極をCrによって形成し、画素電極と素子電極とを直接に接触させる技術があることも知見した(例えば、特許文献2参照)。
【0008】
【特許文献1】特開平11−153804号公報(第3頁、図1)
【特許文献2】特開平8−211410号公報(第3頁、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1に開示された導通方法、すなわち、CrとAlとを直接に導電接続させる方法については、それ自体は特に問題はないのであるが、Alの上にITOを載せた上でそのITOとCrとを導電接続させようとすると、やはり、上述したようにCrの改質によってCrとITOとの導電接続に不良が発生するおそれがある。
【0010】
また、特許文献2に開示された導通方法、すなわち、CrをAlやITOに直接に導電接続させる方法については、CrとAlとを直接に導電接続させることに関しては特許文献1と同じ問題がある。また、CrとITOとを導電接続させることに関しては、それ自体は特に問題はないのであるが、Crの上にITOを載せる前にAlの積層及び除去の処理を介在させる場合には、やはり、上述したようにCrの改質によってCrとITOとの導電接続に不良が発生するおそれがある。
【0011】
本発明は、上記の問題点に鑑みて成されたものであって、従来は一般的にAlによって形成されていた光反射膜を間に挟んでCrの電極の上にITOの画素電極が設けられる構造の電気光学装置及び電子機器において、Crの電極とITOの画素電極との間で信頼性の高い導電接続を得られるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る電気光学装置は、基板と、該基板上に設けられたスイッチング素子と、該スイッチング素子を覆う絶縁膜と、前記スイッチング素子に電気的につながると共に前記絶縁膜から露出したコンタクト部を備える導電膜と、前記絶縁膜上に設けられると共に、前記コンタクト部において前記導電膜に積層された光反射膜と、前記コンタクト部において前記光反射膜に積層された画素電極とを有し、前記コンタクト部はクロム又はクロムを含む合金によって形成され、前記画素電極はITOによって形成され、前記光反射膜はアルミニウムとニッケルとを含んで成る合金によって形成されることを特徴とする。
【0013】
本発明に係る電気光学装置としては、電気光学物質として液晶を用いる液晶表示装置、電気光学物質として有機ELを用いる有機EL装置、電気光学物質としてプラズマ用ガスを用いるプラズマディスプレイ装置等がある。さらには、電気泳動ディスプレイ装置(EPD:Electrophoretic Display)、フィールドエミッションディスプレイ装置(FED:電界放出表示装置:Field Emission Display)等がある。
【0014】
上記構成において、基板とは、ガラス、プラスチック等といった透光性材料によって形成された板材である。この基板上に、電極、配向膜、その他各種の要素を形成することにより、素子基板、カラーフィルタ基板、その他、電気光学装置の種類に応じて必要とされる各種の基板が製造される。
【0015】
本発明に係る電気光学装置において、導電膜はスイッチング素子に電気的につながっている。この導電膜は、スイッチング素子を形成する電極と同じ層に一体に形成することができる。他方、導電膜は、スイッチング素子と電気的に接続していれば、スイッチング素子を形成する電極と異なる層に別体に形成することもできる。また、コンタクト部は、導電膜の一部の領域であって、絶縁膜から露出した領域である。このコンタクト部は、Cr単体又はCrを含んで成る合金(以下、本明細書中においてCr合金と記す場合がある。)によって形成される。
【0016】
従来の電気光学装置においては、一般に、光反射膜をAl単体又はAlNd(アルミニオブ)合金によって形成していた。これらの金属材料に関しては、画素電極の材料であるITOとの間で良好なコンタクト、すなわち導電接触性が得られない場合があるので、光反射膜材料を間に挟んで、Cr又はCr合金によって形成されたコンタクト部の上にITOの画素電極を載せることが難しかった。これに対し、本発明の電気光学装置では、AlとNiとを含んで成る合金(以下、AlNiという場合がある)を用いて光反射膜を形成した。このAlNiはITOとの間で良好な導電接触性を得ることができるので、本発明では、AlNiの光反射膜材料を挟んだ状態のままでCr又はCr合金から成るコンタクト部にITOの画素電極を載せた場合でも、良好な導電接続を得ることができる。
【0017】
また、本発明に係る電気光学装置では、Cr又はCr合金によって形成されていて絶縁膜から露出したコンタクト部に光反射膜を積層して、該コンタクト部を光反射膜で覆うことにした。そのため、光反射膜を所定の形状に形成する際のフォトエッチング処理時に、コンタクト部の表面が酸化等によって改質するおそれがなくなった。この結果、Cr又はCr合金から成るコンタクト部とITOの画素電極との導電接続を長期間にわたって安定した良好な状態に維持できるようになった。
【0018】
次に、本発明に係る電気光学装置は、個々が表示の最小単位となる複数のサブ画素と、個々の前記サブ画素の領域内に設けられていて前記光反射膜が無い領域を透過した光を用いて表示を行う透過表示領域と、個々の前記サブ画素の領域内に設けられていて前記光反射膜によって反射した反射光を用いて表示を行う反射表示領域とを有し、前記絶縁膜は前記透過表示領域と前記反射表示領域との境界部に端辺を有し、前記コンタクト部は前記絶縁膜の端辺から当該絶縁膜の外部へ張り出して露出することが望ましい。この構成は、コンタクトホールを介してコンタクトを行う構成の場合に比べてコンタクト部の面積を大きくとることができるので、コンタクト部と画素電極との間で安定した導電接続を得ることができる。
【0019】
次に、本発明に係る電気光学装置において、前記絶縁膜は平面的に見て互いに交差する2つの端辺を有し、前記コンタクト部は前記絶縁膜の前記2つの端辺から当該絶縁膜の外部へ張出して露出することが望ましい。絶縁膜は、例えばフォトリソグラフィ処理等といったパターニング手法によって形成されるのであるが、仮に、絶縁膜の位置がずれて形成された場合、本来コンタクト部であるべき部分が絶縁膜に覆われてしまうことが考えられる。本発明態様のようにコンタクト部を絶縁膜の互いに交差する2つの端辺に沿って設ければ、絶縁膜の位置がずれたとしても、絶縁膜の2つの端辺のうち少なくとも1つの端辺からはコンタクト部を露出させることができるので、コンタクト部と画素電極との間で常に確実に電気的なコンタクトを得ることができる。
【0020】
次に、本発明に係る電気光学装置において、前記絶縁膜は前記コンタクト部に平面的に重なる位置に当該絶縁膜をその厚み方向に貫通するコンタクトホールを有することが望ましい。この構成は、絶縁膜の端辺からコンタクト部を外部へ露出させる構成に代えて採用されるものである。
【0021】
コンタクトホールを用いて導電膜と画素電極とを導電接続する場合には、その導電接続部分であるコンタクト部の面積が比較的小さくなることが考えられる。しかしながらその場合でも、本発明のようにAlNiによって形成された光反射膜材料をコンタクト部と画素電極との間に配置すれば、安定した良好な導電接続を得ることができる。
【0022】
次に、本発明に係る電気光学装置は、前記基板上であって前記画素電極が複数設けられる領域以外の領域に設けられた半導体チップと、前記基板上であって前記画素電極が複数設けられる領域以外の領域に設けられていて前記半導体チップと導電接続される端子とをさらに有し、前記端子は、クロム又はクロムを含む合金によって形成された第1層と、該第1層の上に設けられアルミニウムとニッケルとを含んで成る合金によって形成された第2層と、該第2層の上に設けられITOによって形成された第3層とから成る積層構造を有することができる。
【0023】
基板上に設けられる端子は、従来、スイッチング素子やコンタクト部と同じ材料で同時に形成されていた。すなわち、端子部分においても、コンタクト部と同じく、光反射膜を形成する際に、Cr又はCr合金の表面、すなわち第1層の表面が酸化するおそれがあった。
【0024】
本発明態様の電気光学装置では、Cr又はCr合金で形成された端子の第1層に第2層を積層した。こうすれば、第1層は第2層で覆われているので、第1層の表面、すなわちCr又はCr合金の表面が酸化等することを防止できる。特に、光反射膜を所定の形状に形成する際のフォトエッチング処理では、Cr又はCr合金の表面が酸化等によって改質するおそれがある。しかしながら、このフォトエッチング処理の際、第1層は第2層によって覆われているので、第1層の表面が酸化等することを確実に防止できる。また、第2層をAlとNiとを含んで成る合金を用いて形成したので、第2層上に積層される第3層、すなわちITOとの間で良好なコンタクトを得ることができる。
【0025】
次に、本発明に係る電気光学装置において、前記端子の前記第3層は、前記第1層及び前記第2層の両方の側面を覆う形状に形成されることが望ましい。こうすれば、第1層のCr又はCr合金と第2層のAlNiを第3層のITOによって保護できるので、端子の耐蝕性をより一層向上できる。
【0026】
次に、本発明に係る電子機器は、以上に記載した構成の電気光学装置を有することを特徴とする。本発明に係る電気光学装置は、Cr又はCr合金で形成されたコンタクト部に、AlNiで形成された光反射膜を積層しているので、そのコンタクト部を有する導電膜と画素電極との間で良好な電気的コンタクトを得ることができ、安定した表示を行うことができる。従って、本発明に係る電気光学装置を用いた電子機器においても、安定した表示を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
(電気光学装置の第1実施形態)
以下、電気光学装置の一例として、半透過反射型でTFD(Thin Film Diode)駆動方式でカラー表示が可能な液晶表示装置に本発明を適用した場合を例に挙げて本発明の実施形態を説明する。なお、本発明がその実施形態に限定されるものでないことは、もちろんである。また、これからの説明では必要に応じて図面を参照するが、この図面では、複数の構成要素から成る構造のうち重要な構成要素をわかり易く示すため、各要素を実際とは異なった相対的な寸法で示す場合がある。
【0028】
図1は、本発明に係る電気光学装置の一実施形態である液晶表示装置を示している。図2は、図1におけるZ1−Z1線に従った断面図である。また、図3は、図1の液晶表示装置における画素部分を拡大して示す平面図である。また、図4は、図3のZ2−Z2線に従ってサブ画素の長手側の断面構造、すなわち図2の矢印Bで示す部分を示している。
【0029】
図1において、液晶表示装置1は、電気光学パネルとしての液晶パネル2と、この液晶パネル2に付設された照明装置3とを有する。液晶パネル2にはFPC(Flexible Printed Circuit:可撓性プリント回路)基板4が接続されている。この液晶表示装置1に関しては矢印Aが描かれた側が観察側であり、上記の照明装置3は液晶パネル2に関して観察側と反対側に配置されてバックライトとして機能する。
【0030】
液晶パネル2は、長方形又は正方形で環状のシール材6によって互いに貼り合わされた一対の基板7及び8を有する。基板7はスイッチング素子が形成される素子基板である。また、基板8はカラーフィルタが形成されるカラーフィルタ基板である。シール材6は図2に示すように素子基板7とカラーフィルタ基板8との間に間隙、いわゆるセルギャップGを形成する。シール材6は図1に示すようにその一部に液晶注入口6aを有し、この液晶注入口6aを介して素子基板7とカラーフィルタ基板8との間に電気光学物質としての液晶が注入される。注入された液晶は図2に示すようにセルギャップG内で液晶層12を形成する。図1の液晶注入口6aは液晶の注入が完了した後に樹脂によって封止される。液晶の注入方法としては、上記のような液晶注入口6aを通して行う方法以外に、液晶注入口を持たない連続する環状のシール材6によって囲まれる領域内に液晶滴を供給する方法も採用できる。
【0031】
図2において、セルギャップGの間隔、従って液晶層12の層厚は、セルギャップG内に設けられる複数のスペーサ(図示せず)によって一定に維持される。このスペーサは、複数の球状の樹脂部材を素子基板7又はカラーフィルタ基板8の表面上にランダム(すなわち、無秩序)に置くことによって形成できる。また、スペーサは、フォトリソグラフィ処理によって所定の位置に柱状に形成することもできる。
【0032】
照明装置3は、光源としてのLED(Light Emitting Diode)13と、導光体14とを有する。光源としては、LEDのような点状光源以外に、冷陰極管のような線状光源を用いることもできる。導光体14は、例えば、透光性を有する樹脂を材料とする成形加工によって形成され、LED13に対向する側面が光入射面14aであり、液晶パネル2に対向する面が光出射面14bである。矢印Aで示す観察側から見て導光体14の背面には、必要に応じて、光反射層16が設けられる。また、導光体14の光出射面14bには、必要に応じて、光拡散層17が設けられる。
【0033】
素子基板7は、第1の透光性の基板7aを有する。この第1透光性基板7aは、例えば、透光性のガラス、透光性のプラスチック等によって形成される。この第1透光性基板7aの外側表面には偏光板18aが、例えば、貼着によって装着される。必要に応じて、偏光板18a以外の光学要素、例えば位相差板を付加的に設けることもできる。他方、第1透光性基板7aの内側表面には、矢印Bで示す部分の拡大図である図4にも示すように、配線としてのデータ線19が列方向Yに延びて形成されている。そして、アクティブ素子として機能するスイッチング素子であるTFD(Thin Film Diode)素子31がデータ線19に接続して形成されている。データ線19は図1に示すように複数本が互いに平行に設けられている。本実施形態において、データ線19は、Crによって形成されている。なお、このデータ線19はCr以外の金属、例えばMo(モリブデン)等によって形成することもできる。また、TFD素子31は複数個が各データ線19に沿って等間隔に設けられている。
【0034】
それらのTFD素子31及びデータ線19の上に、図4に示すように、それらを覆うように絶縁膜としての層間絶縁膜22が形成され、その上に光反射膜23が形成され、その上に画素電極24が形成され、その上に配向膜26aが形成されている。層間絶縁膜22は、例えば、透光性、感光性、及び絶縁性を有する樹脂、例えばアクリル樹脂、ポリイミド樹脂等をフォトリソグラフィ処理によってパターニングすることによって形成される。また、光反射膜23は、AlとNiとを含む合金であるAlNi(アルミニッケル)を用いて形成されている。このAlNiは光反射性材料である。光反射膜23は、AlNiをフォトエッチング処理(すなわち、フォトリソグラフィ処理及びエッチング処理)によってパターニングすることによって形成される。画素電極24は、例えばITO(Indium Tin Oxide:インジウムスズ酸化物)等といった金属酸化物をフォトエッチング処理によってパターニングすることによって形成される。配向膜26aは、例えばポリイミド等を塗布することによって形成される。
【0035】
光反射膜23及び画素電極24は、図1に示すように、素子基板7上にドットマトリクス状に複数形成される。これらの光反射膜23及び画素電極24は、個々のTFD素子31に接続されて各データ線19に沿って設けられている。複数の画素電極24は図示の通り個々がドット状に形成されており、それらが縦横方向、すなわち行列方向へマトリクス状に並ぶように形成される。図4の配向膜26aは図2において素子基板7の表面の略全域に形成される。そして、この配向膜26aに配向処理、例えばラビング処理が施され、これにより、素子基板7の近傍における液晶分子の初期配向が決められる。
【0036】
図4において、TFD素子31は、互いに電気的に直列につながれた一対のTFD要素31a及び31bによって形成されている。第1のTFD要素31aは、第1素子電極32、絶縁膜33、そして第2素子電極34aをその順で重ねることによって形成されている。また、第2のTFD要素31bは、第1素子電極32、絶縁膜33、そして第2素子電極34bをその順で重ねることによって形成されている。第1素子電極32は、例えば、Ta(タンタル)又はTa合金によって形成される。Ta合金としては、例えば、TaW(タンタル・タングステン)を用いることができる。絶縁膜33は、例えば、陽極酸化処理によって形成される。第2素子電極34a,34bは、例えばCrによって形成される。
【0037】
第1TFD要素31a内の第2素子電極34aは図3に示すようにデータ線19から延びている。また、第2TFD要素31b内の第2素子電極34bは画素電極24に接続されている。データ線19から画素電極24へ信号が伝送されることを考えたとき、第1TFD要素31aと第2TFD要素31bは電気的に逆極性である2つのTFD要素が直列に接続されることになる。この構造はバック・ツー・バック(Back-to-Back)構造と呼ばれることがある。本実施形態では、このようにバック・ツー・バック構造のTFD素子を用いたが、単一のTFD要素によってTFD素子を形成しても良い。
【0038】
第2TFD要素31bは画素電極24に導電接続される要素であるが、この第2TFD要素31bの第2素子電極34bは、導電膜25によって画素電極24と導電接続されている。導電膜25は、第2素子電極34bから導出されており、その先端には面積の広い平面部分が形成されている。この平面部分は、一部が層間絶縁膜22に覆われ、他の一部が層間絶縁膜22の1つの端部Eから外部に露出している。この導電膜25のうち、層間絶縁膜22の1つの端部Eから外部に露出した部分(すなわち、図3の斜線部分)がコンタクト部25aである。また、コンタクト部25aと第2素子電極34bとをつなぐ部分がコネクト部25bである。図3において、表示の最小単位の領域をサブ画素Dと呼ぶことにすれば、層間絶縁膜22が在る部分から層間絶縁膜22が無い部分にわたってサブ画素Dの中に形成された画素電極24が導電膜25のコンタクト部25aに接触し、これにより、TFD素子31と画素電極24との間の電気的な接続が行われている。
【0039】
本実施形態では、図4に示すように、画素電極24の下に層間絶縁膜22を設けることにより、画素電極24の層とTFT素子31の層とを別の層に分けている。この構造は、画素電極24とTFD素子31とを同じ層に形成する構造に比べて、以下のような利点を有する。
【0040】
まず、TFD素子31とデータ線19とを覆う層間絶縁膜22を形成し、その層間絶縁膜22上に画素電極24を形成するものとしているため、画素電極24とTFD素子31及び/又はデータ線19との間の寄生容量を低減することができる。また、層間絶縁膜22を介して画素電極24とTFD素子31及び/又はデータ線19とを積層構造にて形成しているため、TFD素子31及び/又はデータ線19を覆う形にて画素電極24を構成することができ、画素電極24をTFD素子31及び/又はデータ線19と同一平面上に形成する場合に比して、画素電極24を大きく構成することができ、ひいては有効画素領域を大きくとることができるようになる。
【0041】
以上のような効果を齎す結果、非常に信頼性の高い電気光学装置を提供することが可能となり、特にこれを表示装置として用いた場合には、開口率の大きい視認性に優れた表示を実現することが可能となる。
【0042】
図2において、素子基板7に対向するカラーフィルタ基板8は、矢印Aで示す観察側から見て長方形又は正方形の第2の透光性の基板8aを有する。この第2透光性基板8aは、例えば、透光性のガラス、透光性のプラスチック等によって形成される。この第2透光性基板8aの外側表面には偏光板18bが、例えば、貼着によって装着される。必要に応じて、偏光板18b以外の光学要素、例えば位相差板を付加的に設けることもできる。
【0043】
第2透光性基板8aの内側表面には、図4にも示すように、着色膜41が形成され、その周囲に遮光膜42が形成され、着色膜41及び遮光膜42の上にオーバーコート層43が形成され、その上に帯状電極44が形成され、その上に配向膜26bが形成されている。帯状電極44は、図4の紙面垂直方向(すなわち、行方向X)に延びている。配向膜26bは、例えばポリイミド等を塗布することによって形成される。
【0044】
個々の着色膜41に関して、素子基板7に設けられた光反射膜23に平面的に重なる領域内の一部には、着色膜41が設けられていない領域Qが設けられている。図3に示すように、この領域Qは平面的に見て楕円形状に形成されている。この領域Qは、必要に応じて楕円形状以外の任意の形状、例えば、円形状、長円形状、方形状等に形成することもできる。この着色膜41が設けられていない領域Qでは光の波長選択は行われず、入射した光が強度を減衰されることなくこの領域Qを通過する。このため、本実施形態では、図4の光反射膜23において反射する光を用いた反射型表示時に明るい画像を表示できる。
【0045】
着色膜41は矢印A方向から見て長方形又は正方形のドット状に形成されている。また、着色膜41は複数個が矢印A方向から見て図4の紙面垂直方向(行方向X)及び左右方向(列方向Y)にマトリクス状に配列されている。遮光膜42はそれらの着色膜41を囲む格子状に形成されている。着色膜41の個々はB(青)、G(緑)、R(赤)の1つを通過させる光学的特性に設定され、それらB,G,Rの着色膜41が矢印A方向から見て所定の配列、例えばストライプ配列に並べられている。ストライプ配列とは、列方向YにB,G,Rの同色が並び、行方向XにB,G,Rが交互に順番に並ぶ配列である。
【0046】
なお、着色膜41の配列はストライプ配列以外の任意の配列とすることができ、例えば、モザイク配列、デルタ配列等とすることもできる。また、着色膜41の光学的特性はB,G,Rの3原色に限られず、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)の3原色を通過させる特性とすることもできる。遮光膜42は、本実施形態では、B,G,Rの3原色のうちのいずれか2色を重ねることによって形成されている。しかしながら、遮光膜42は、B,G,Rの3色を重ねて形成することもできるし、所定の材料をフォトリソグラフィ処理によってパターニングすることによって形成することもできる。この場合の所定の材料としては、例えば、Cr、Mo等といった遮光性の材料が考えられる。
【0047】
着色膜41及び遮光膜42の上に形成されたオーバーコート層43は、着色膜41及び遮光膜42の表面を平坦化するものであり、帯状電極44はこうして平坦化されたオーバーコート層43の上に形成される。帯状電極44は、例えばITO等といった金属酸化物をフォトエッチング処理によってパターニングすることによって形成される。帯状電極44は、図1に示すように、カラーフィルタ基板8上に複数本が互いに平行に並ぶように設けられている。個々の帯状電極44は行方向Xに延びている。図4において帯状電極44の上に形成された配向膜26bには配向処理、例えばラビング処理が施され、これにより、カラーフィルタ基板8の近傍における液晶分子の初期配向が決められる。
【0048】
図1において、素子基板7上に設けられた複数の画素電極24は矢印A方向から平面的に見て、行方向X及び列方向Yにマトリクス状に並んでいる。一方、カラーフィルタ基板8上に設けられた複数の帯状電極44は、行方向Xに並ぶ複数の画素電極24と矢印A方向から平面的に見て重なるようにストライプ状に並んでいる。このように画素電極24と帯状電極44とは矢印A方向から見て重なり合っており、その重なり合った領域が表示のための最小単位であるサブ画素Dを形成している。そして、複数のサブ画素Dが行方向X及び列方向Yにマトリクス状に並ぶことにより図1の有効表示領域Vが形成され、この有効表示領域Vに文字、数字、図形等といった像が表示される。
【0049】
本実施形態のように、B,G,Rの3色から成る着色膜41を用いてカラー表示を行う場合は、B,G,Rの3色に対応する3つの着色膜41に対応する3つのサブ画素Dによって1つの画素が形成される。他方、白黒又は任意の2色でモノカラー表示を行う場合は、1つのサブ画素Dによって1つの画素が形成される。1つの画素部分を平面的に示す図面である図3に示すように、サブ画素Dは長方形状に形成されている。
【0050】
図4において、光反射膜23は、例えばフォトエチング処理によって形成される。この光反射膜23はサブ画素Dのうちの一部の領域Rに設けられており、残りの領域Tには設けられていない。領域Tは図3に示すようにサブ画素D内の一部の長方形状の領域である。一方、領域Rはサブ画素D内の残りの領域であって、本実施形態では領域Tをコ字状に囲む領域である。
【0051】
個々のサブ画素Dの中で光反射膜23が存在する領域が反射表示領域Rであり、光反射膜23が存在しない領域Tが透過表示領域である。図4において矢印Aで示す観察側から入射した外部光L0は反射表示領域R内で光反射膜23で反射する。一方、図1の照明装置3の導光体14から出射した図4の光L1は、透過表示領域Tを透過する。これらの反射表示領域Rと透過表示領域Tとの境界部に、層間絶縁膜22の端部Eが設けられている。
【0052】
層間絶縁膜22の表面であって個々のサブ画素D内の反射表示領域Rに対応する部分には凸部又は凹部が形成されて凹凸パターンが形成されている。この凹凸パターンは矢印A方向から見てランダム(すなわち、無秩序)なパターンとなっている。光反射膜23は、そのような凹凸パターンが形成されている層間絶縁膜22の上に形成されていて、それ自身も同じ凹凸パターンを有している。このように光反射膜23に凹凸パターンを形成することにより、光反射膜23で反射する光L0を、鏡面反射ではなくて、散乱光や指向性を持った光とすることができる。
【0053】
本実施形態の層間絶縁膜22は反射表示領域Rに設けられており、透過表示領域Tには設けられていない。このため、反射表示領域R内の液晶層12の層厚t0は、透過表示領域T内の液晶層12の層厚t1よりも薄くなっている。望ましくはt0=t1/2になっている。このような液晶層12の層厚の調整は、反射表示領域R内で光L0が液晶層12を2回通過する反射表示の場合と、透過表示領域T内で光L1が液晶層12を1回しか通過しない透過表示の場合とで、液晶層12のリタデーション(Δnd)を均一にして鮮明な表示を得るために行われるものである。但し、“Δn”は屈折率異方性、“d”は液晶層厚を示している。
【0054】
次に、図2において、素子基板7を構成する第1透光性基板7aはカラーフィルタ基板8の外側へ張り出す張出し部46を有している。この張出し部46の表面には、配線47がフォトエチング処理等によって形成されている。配線47は矢印A方向から見て複数本形成されており、それらの複数本が紙面垂直方向へ互いに等間隔で平行に並べられている。これらの配線47の個々には、端子としてのランド部47aが設けられている。また、張出し部46の辺端には複数の外部接続用端子48が紙面垂直方向へ互いに等間隔で平行に並ぶように形成されている。これらの外部接続用端子48は、図1に示したFPC基板4に形成される複数の配線(図示せず)に導電接続される。また、これらの外部接続用端子48の個々には、端子としてのランド部48aが設けられている。
【0055】
複数の配線47の一部は、シール材6によって囲まれた領域内に向けて列方向Yに延びてデータ線19に繋がっている。また、複数の配線47の他の一部は、シール材6の中に含まれる導通材49を介してカラーフィルタ基板8上の各帯状電極44につながっている。
【0056】
図2の張出し部46の表面には、ACF(Anisotropic Conductive Film:異方性導電膜)51を用いたCOG(Chip On Glass)技術によって、半導体チップとしての駆動用IC52が実装されている。駆動用IC52は、本実施形態では図1に示すように複数、例えば3個実装されている。例えば、中央の1つの駆動用IC52は、データ線19へデータ信号を伝送する。他方、両側の駆動用IC52,52は、帯状電極44へ走査信号を伝送する。
【0057】
図2において、駆動用IC52は、複数の入力用バンプ52a及び複数の出力用バンプ52bを有する。これら入力用バンプ52a及び出力用バンプ52bは、複数個が図2の紙面垂直方向(行方向X)へ、例えば互いに等間隔に並べられている。複数の入力用バンプ52aは、ACF51内の導通粒子を介して外部接続用端子48のランド部48aに導電接続される。また、複数の出力用バンプ52bは、ACF51内の導通粒子を介して配線47のランド部47aに導電接続される。
【0058】
以上のように構成された液晶表示装置1によれば、図2において、液晶表示装置1が明るい室外や明るい室内に置かれる場合は、太陽光や室内光等といった外部光を用いて反射型の表示が行われる。一方、液晶表示装置1が暗い室外や暗い室内に置かれる場合は、照明装置3をバックライトとして用いて透過型の表示が行われる。
【0059】
上記の反射型表示を行う場合、図4において、観察側である矢印Aの方向からカラーフィルタ基板8を通して液晶パネル2内へ入射した外部光L0は、液晶層12を通過して素子基板7内へ入った後、反射表示領域Rにおいて光反射膜23で反射して再び液晶層12へ供給される。他方、上記の透過型表示を行う場合、図2の照明装置3の光源13が点灯し、それからの光が導光体14の光入射面14aから導光体14へ導入され、さらに、光出射面14bから面状の光として出射する。この出射光は、図4の符号L1で示すように透過表示領域Tにおいて光反射膜23が存在しない領域を通って液晶層12へ供給される。
【0060】
以上のようにして液晶層12へ光が供給される間、素子基板7側の画素電極24とカラーフィルタ基板8側の帯状電極44との間には、走査信号およびデータ信号によって特定される所定の電圧が印加され、これにより、液晶層12内の液晶分子の配向がサブ画素Dごとに制御され、この結果、液晶層12に供給された光がサブ画素Dごとに変調される。この変調された光が、カラーフィルタ基板8側の偏光板18b(図2参照)を通過するとき、その偏光板18bの偏光特性に従ってサブ画素Dごとに通過を許容又は通過を阻止され、これにより、カラーフィルタ基板8の表面に文字、数字、図形等といった像が表示され、これが、矢印A方向から視認される。
【0061】
以上に説明したように、素子基板7の内側表面は図4で示すような積層構造となっている。具体的には、基板7a上にTFD素子31、データ線19及び導電膜25が形成され、それらの上に層間絶縁膜22が形成され、その上に光反射膜23が形成され、その上に画素電極24が形成され、さらにその上に配向膜26aが形成されている。
【0062】
これらの各要素のうち、光反射膜23を製造するには、まず、TFD素子31、データ線19、導電膜25、及び層間絶縁膜22が形成された素子基板7上の全域に、光反射膜23の材料であるAlNiをスパッタ処理によって一様な厚さに成膜する。そして次に、このAlNiの膜をフォトエッチング処理によって所定の形状にパターニングする。こうして所定の形状を有した光反射膜23が形成される。この光反射膜23はサブ画素Dの一部に形成され、残りの一部には形成されない。光反射膜23が形成された領域が反射表示領域Rとなり、光反射膜23が形成されない領域が透過表示領域Tとなる。
【0063】
ところで、素子基板7上のコンタクト部25aには、従来、光反射膜23は積層されず、画素電極24が直接に積層されていた。すなわち、光反射膜23は、従来、層間絶縁膜22の端辺Eから透過表示領域T内へ張出さないように形成されていた。しかしながら、コンタクト部25aに直接に画素電極24を積層する構造では、光反射膜23を形成する際に一旦、光反射膜の材料をコンタクト部25a上に載せた後にその材料を除去するという処理を行わなければならなかった。そのため、この処理時において、Crによって形成されたコンタクト部25aの表面が改質するおそれがあった。例えば、光反射膜23を所定の形状にパターニングする際に行われるフォトエッチング処理において、Crの表面が水やエッチング液等に直接に触れて酸化等することがあった。こうなると、TFD素子31と画素電極24との間において接触抵抗が上昇し、その結果、両者間で接触不良が発生するおそれがあった。
【0064】
これに対して、本実施形態に係る液晶表示装置では、Crによって形成されていて層間絶縁膜22から露出したコンタクト部25aに光反射膜23を積層して、そのコンタクト部25aを光反射膜23で覆うことにした。具体的には、光反射膜23を層間絶縁膜22の端辺Eからわずかに張出すように形成することで、層間絶縁膜22の端辺Eから露出したコンタクト部25aに光反射膜23が被るようにした。そのため、光反射膜23を所定の形状に形成する際のフォトエッチング処理時に、コンタクト部25aの表面に水やエッチング液等が直接に触れることがなくなるので、Crの表面が酸化等によって改質するおそれがなくなった。この結果、Crのコンタクト部25aとITOの画素電極24との導電接続を長期間にわたって安定した良好な状態に維持できる。
【0065】
また、従来の液晶表示装置では、一般に、光反射膜をAl単体又はAlNd(アルミニオブ)合金によって形成していた。これらの金属材料に関しては、画素電極の材料であるITOとの間で良好なコンタクト、すなわち導電接触性が得られない場合があるので、光反射膜材料を間に挟んでCrのコンタクト部の上にITOの画素電極を載せることが難しかった。これに対し、本実施形態では、図4の光反射膜23をAlとNiとを含んで成る合金であるAlNiを用いて形成した。このAlNiはITOとの間で良好な導電接触性を得ることができるので、本発明では、AlNiの光反射膜材料を挟んだ状態のままでCrのコンタクト部25aにITOの画素電極24を載せた場合でも、良好な導電接続を得ることができる。
【0066】
(電気光学装置の第2実施形態)
次に、本発明に係る電気光学装置の他の実施形態を図5を用いて説明する。図6は本実施形態に係る電気光学装置としての液晶表示装置の画素部分の構造を平面的に示している。先の第1実施形態では、図3において、導電膜25のうちの面積の広い平面部分を、反射表示領域Rと透過表示領域Tとの境界であって層間絶縁膜22の1つの端辺Eに沿って形成することにより、コンタクト部25aを1つの端辺Eに沿って設けていた。これに対し本実施形態では、図5に示すように、互いに交差する2つの端辺を有する絶縁膜として、例えばコ字状の3つの端辺E0,E1,E2を有する層間絶縁膜22を設け、導電膜55のうちの面積の広い平面部分を層間絶縁膜22のコ字状の3つの端辺E0,E1,E2に沿ってコ字状に形成し、それら3つの端辺E0,E1,E2に沿ってコンタクト部55aを設けるようにした。以下、本実施形態を先の実施形態と異なる点を中心として説明するものとし、共通する構成については説明を省略する。
【0067】
本実施形態における液晶表示装置の外観形状は、概ね、図1と同じである。また、この液晶表示装置の内部の構成は、概ね、図2及び図4に示す構成と同じである。
【0068】
本実施形態おいても、図2に示すように、素子基板7とカラーフィルタ基板8との間にセルギャップGが形成され、そのセルギャップG内に液晶が封入されて液晶層12が形成されている。素子基板7は第1透光性基板7aを有し、この第1透光性基板7aの内側表面の全域には、データ線19が列方向Yに延びて形成され、さらに、TFD素子31がデータ線19に接続して形成されている。
【0069】
それらのTFD素子31及びデータ線19の上には、それらを覆うように層間絶縁膜22が形成され、その上に光反射膜23が形成され、その上に画素電極24が形成され、その上に配向膜26aが形成されている。層間絶縁膜22は、例えば、透光性、感光性、及び絶縁性を有する樹脂、例えばアクリル樹脂、ポリイミド樹脂等をフォトリソグラフィ処理によってパターニングすることによって形成される。この層間絶縁膜22は、透過表示領域Tと反射表示領域Rの境界部分に3つの端辺E0,E1,E2を有している。これらのうちE0とE1の2つの端辺は互いに交差している。他方、E0とE2の2つの端辺も互いに交差している。
【0070】
光反射膜23は、光反射性材料であるAlNiをフォトエッチング処理によってパターニングすることによって形成される。画素電極24は、例えばITO等といった金属酸化物をフォトエッチング処理によってパターニングすることによって形成される。配向膜26aは、例えばポリイミド等を塗布することによって形成される。この配向膜26aに配向処理、例えばラビング処理が施され、これにより、素子基板7の近傍における液晶分子の初期配向が決められる。
【0071】
素子基板7に対向するカラーフィルタ基板8は第2透光性基板8aを有し、この第2透光性基板8aの内側表面には、着色膜41が形成され、その周囲に遮光膜42が形成され、着色膜41及び遮光膜42の上にオーバーコート層43が形成され、その上に帯状電極44が形成され、その上に配向膜26bが形成されている。帯状電極44は、図4の紙面垂直方向(すなわち、行方向X)に延びている。また、配向膜26bは、例えばポリイミド等を塗布することによって形成される。配向膜26bには配向処理、例えばラビング処理が施され、これにより、カラーフィルタ基板8の近傍における液晶分子の初期配向が決められる。
【0072】
図5において、第2素子電極34bは、導電膜55によって画素電極24と導電接続されている。導電膜55は、第2素子電極34bから導出された導電膜であり、その先端には面積の広い平面部分が、反射表示領域Rと透過表示領域Tとの境界である層間絶縁膜22の3つの端辺E0,E1,E2に沿って平面的に見てコ字状に形成されている。このコ字状の平面部分は、一部が層間絶縁膜22に覆われ、他の一部が層間絶縁膜22の3つの端辺E0,E1,E2から外部に露出している。この導電膜55のうち、層間絶縁膜22の3つの端辺E0,E1,E2から外部に露出した部分(すなわち、図5の斜線部分)がコンタクト部55aである。また、コンタクト部55aと第2素子電極34bとをつなぐ部分がコネクト部55bである。本実施形態においては、層間絶縁膜22が在る部分から層間絶縁膜22が無い部分にわたってサブ画素領域Dの中に形成された画素電極24が、層間絶縁膜22から露出した導電膜55のコンタクト部55aに接触し、これにより、TFD素子31と画素電極24との間の電気的な接続が行われる。
【0073】
導電膜55のうちの面積の広い平面部分はコ字状に形成されている。これにより、反射表示領域Rと透過表示領域Tとの境界である層間絶縁膜22の3つの端辺E0,E1,E2においてコンタクト部55aと画素電極24とが確実に接触できる。また、仮に、コ字状に形成された中継導電膜55の平面部分に対して層間絶縁膜22の位置がずれた場合であっても、コンタクト部55aは、層間絶縁膜22の3つの端辺E0,E1,E2のうちの少なくとも1つの端辺の外側、すなわち透過表示領域T内に必ず露出できるので、コンタクト部55aと画素電極24とが確実に接触できる。
【0074】
本実施形態においても、Crによって形成されていて層間絶縁膜22から露出したコンタクト部55aに光反射膜23を積層して、そのコンタクト部55aを光反射膜23で覆うことにした。具体的には、光反射膜23を層間絶縁膜22の3つの端辺E0,E1,E2からわずかに張出すように形成することで、層間絶縁膜22の3つの端辺E0,E1,E2から露出したコンタクト部55aに光反射膜23が被るようにした。そのため、光反射膜23を所定の形状に形成する際のフォトエッチング処理時に、コンタクト部55aの表面に水やエッチング液等が直接に触れることがなくなるので、Crの表面が酸化等によって改質するおそれがなくなった。この結果、Crのコンタクト部55aとITOの画素電極24との導電接続を長期間にわたって安定した良好な状態に維持できる。
【0075】
また、光反射膜23をAlとNiとを含んで成る合金であるAlNiを用いて形成した。このAlNiはITOとの間で良好な導電接触性を得ることができるので、本発明では、AlNiの光反射膜材料を挟んだ状態のままでCrのコンタクト部55aにITOの画素電極24を載せた場合でも、良好な導電接続を得ることができる。
【0076】
(変形例)
上記の第2実施形態では、図5に示すように、導電膜55のうちの面積の広い平面部分は、層間絶縁膜22のコ字状の3つの端辺E0,E1,E2に沿って平面的に見てコ字状に形成した。そして、コンタクト部55aは層間絶縁膜22の3つの端辺E0,E1,E2から外部に露出するようにした。しかしながら、導電膜55の面積の広い平面部分は、絶縁膜22のコ字状の3つの端辺のうち互いに交差する2つの端辺に沿って設けても良い。具体的には、導電膜55の平面部分を層間絶縁膜22の互いに交差する2つの端辺E0,E1に沿ってL字状に形成し、コンタクト部55aを2つの端辺E0とE1から外部へ露出させるように設けることもできる。また、導電膜55の平面部分を層間絶縁膜22の互いに交差する2つの端辺E0,E2に沿ってL字状に形成し、コンタクト部55aを2つの端辺E0とE2から外部へ露出させるように設けることもできる。
【0077】
また、層間絶縁膜22は、コ字状の3つの端辺に代えて、L字状の2つの端辺を有するようにしても良い。この場合には、導電膜55の面積の広い平面部分を、層間絶縁膜22のL字状の2つの端辺、すなわち互いに交差する2つの端辺に沿ったL字状に設けることができる。なお、導電膜55の平面部分は、層間絶縁膜22のコ字状の3つの端辺又はL字状の2つの端辺からコンタクト部55aが露出することができれば、コ字状又はL字状に沿って直角に設ける必要はない。例えば、導電膜55の平面部分は、平面的に見て直角以外の鈍角又は鋭角に形成したり、角が無い曲線状に形成することもできる。これらいずれの実施形態であっても、コンタクト部55aは、層間絶縁膜22の端辺の外側、すなわち透過表示領域T内に必ず露出できるので、コンタクト部55aと画素電極24とが確実に接触できる。
【0078】
(電気光学装置の第3実施形態)
次に、本発明に係る電気光学装置のさらに他の実施形態を図6を用いて説明する。図6は本実施形態に係る電気光学装置としての液晶表示装置の画素部分の構造を平面的に示している。第1実施形態では、図3において、画素電極24とTFD素子31とは導電膜25のコンタクト部25aを介して導電接続されていた。また、第2実施形態では、図5において、画素電極24とTFD素子31とは導電膜55のコンタクト部55aを介して導電接続されていた。これに対し本実施形態では、図6において、TFD素子31の第2素子電極34bにつながる導電膜65に平面的に重なる位置の層間絶縁膜22に、その層間絶縁膜22の厚み方向(すなわち、図6の紙面垂直方向)に貫通するコンタクトホール66を設け、そのコンタクトホール66を通して外部に空間的につながっているコンタクト部65aを介して、画素電極24とTFD素子31とを導電接続するようにした。以下、本実施形態を先の実施形態と異なる点を中心として説明するものとし、共通する構成については説明を省略する。
【0079】
本実施形態における液晶表示装置の外観形状は、概ね、図1と同じである。また、この液晶表示装置の内部の構成は、概ね、図2及び図4に示す構成と同じである。
【0080】
本実施形態おいても、図2に示すように、素子基板7とカラーフィルタ基板8との間にセルギャップGが形成され、そのセルギャップG内に液晶が封入されて液晶層12が形成されている。素子基板7は第1透光性基板7aを有し、この第1透光性基板7aの内側表面の全域には、データ線19が列方向Yに延びて形成され、さらに、TFD素子31がデータ線19に接続して形成されている。
【0081】
それらのTFD素子31及びデータ線19の上には、それらを覆うように層間絶縁膜22が形成され、その上に光反射膜23が形成され、その上に画素電極24が形成され、その上に配向膜26aが形成されている。層間絶縁膜22は、例えば、透光性、感光性、及び絶縁性を有する樹脂、例えばアクリル樹脂、ポリイミド樹脂等をフォトリソグラフィ処理によってパターニングすることによって形成される。
【0082】
光反射膜23は、光反射性材料であるAlNiをフォトエッチング処理によってパターニングすることによって形成される。画素電極24は、例えばITO等といった金属酸化物をフォトエッチング処理によってパターニングすることによって形成される。配向膜26aは、例えばポリイミド等を塗布することによって形成される。この配向膜26aに配向処理、例えばラビング処理が施され、これにより、素子基板7の近傍における液晶分子の初期配向が決められる。
【0083】
素子基板7に対向するカラーフィルタ基板8は第2透光性基板8aを有し、この第2透光性基板8aの内側表面には、着色膜41が形成され、その周囲に遮光膜42が形成され、着色膜41及び遮光膜42の上にオーバーコート層43が形成され、その上に帯状電極44が形成され、その上に配向膜26bが形成されている。帯状電極44は、図4の紙面垂直方向(すなわち、行方向X)に延びている。また、配向膜26bは、例えばポリイミド等を塗布することによって形成される。配向膜26bには配向処理、例えばラビング処理が施され、これにより、カラーフィルタ基板8の近傍における液晶分子の初期配向が決められる。
【0084】
図6において、導電膜65は、第2素子電極34bにつながる導電膜である。コンタクトホール66は、反射表示領域R内であって、導電膜65の先端の部分に平面的に重なる位置に設けられている。このコンタクトホール66は、層間絶縁膜22の厚み方向に貫通する穴である。中継導電膜65の先端の部分のコンタクトホール66に平面的に重なって層間絶縁膜22の外部に空間的につながっている部分(すなわち、図6の斜線部分)がコンタクト部65aである。一方、コンタクト部65aと第2素子電極34bとをつなぐ部分がコネクト部65bである。画素電極24は、コンタクトホール66を介してコンタクト部65aと直接に接触することができる。これにより、第2素子電極34bと画素電極24(すなわち、TFT素子31と画素電極24)との間の電気的な接続が行われる。
【0085】
本実施形態においても、Crによって形成されたコンタクト部65aに光反射膜23を積層して、そのコンタクト部65aを光反射膜23で覆うことにした。具体的には、光反射膜23をコンタクトホール66の内側の空間にも形成することで、コンタクト部65aに光反射膜23が被るようにした。そのため、光反射膜23を所定の形状に形成する際のフォトエッチング処理時に、コンタクト部65aの表面に水やエッチング液等が直接に触れることがなくなるので、Crの表面が酸化等によって改質するおそれがなくなった。この結果、Crのコンタクト部65aとITOの画素電極24との導電接続を長期間にわたって安定した良好な状態に維持できる。
【0086】
また、光反射膜23をAlとNiとを含んで成る合金であるAlNiを用いて形成した。このAlNiはITOとの間で良好な導電接触性を得ることができるので、本発明では、AlNiの光反射膜材料を挟んだ状態のままでCrのコンタクト部65aにITOの画素電極24を載せた場合でも、良好な導電接続を得ることができる。なお、本実施形態のように、コンタクトホール66を用いてTFD素子31と画素電極24とを導電接続する場合には、その導電接続部分の面積、すなわちコンタクト部65aの面積が比較的小さくなることが考えられる。しかしながらその場合でも、本実施形態のようにAlNiによって形成された光反射膜材料をコンタクト部65aと画素電極24との間に配置すれば、安定した良好な導電接続を得ることができる。
【0087】
(電気光学装置の第4実施形態)
次に、本発明に係る電気光学装置のさらに他の実施形態を図7を用いて説明する。本実施形態における液晶表示装置の外観形状は、概ね、図1と同じである。また、この液晶表示装置の内部の構成は、概ね、図2及び図4に示す構成と同じである。図7(a)は、図2のZ3−Z3線に従ったランド部48aの断面構造、及びZ4−Z4線に従ったランド部47aの断面構造を示している。第1実施形態において説明したように、図2のランド部48aは駆動用IC52の入力用バンプ52aと導電接続される端子である。また、ランド部47aは駆動用IC52の出力用バンプ52bと導電接続される端子である。
【0088】
図7(a)に示すように、ランド部47a及び48aは3層の積層構造を有している。この積層構造は、第1透光性基板7aの上にCrによって形成された第1層61と、当該第1層61の上にAlとNiとを含んで成る合金であるAlNiによって形成された第2層62と、当該第2層62の上にITOによって形成された第3層63とから成っている。本実施形態において、第2層62は、第1層61に対して小さい幅に形成されている。すなわち、第2層62の側面62aが第1層61の側面61aより内側に位置するように形成され、第1層61と第2層62とが階段状の積層構造となっている。こうすることにより、第3層63は、第1層61の側面61a及び第2層62の側面62aの両方を覆う形状に形成することができる。
【0089】
ところで、基板上に設けられるランド部は、従来、TFD素子やコンタクト部と同じ材料でそれらと同時に形成されていた。すなわち、ランド部においても、コンタクト部と同じく、光反射膜を形成する際に、Crの表面、すなわち第1層の表面が酸化するおそれがあった。
【0090】
本実施形態では、Crで形成された端子の第1層61に第2層62を積層した。こうすれば、第1層61は第2層62で覆われているので、第1層61の表面、すなわちCrの表面が酸化等することを防止できる。特に、図4の光反射膜23を所定の形状に形成する際のフォトエッチング処理では、Crの表面が酸化等によって改質するおそれがある。しかしながら、このフォトエッチング処理の際、図7(a)の第1層61は第2層62によって覆われているので、第1層61の表面が酸化等することを確実に防止できる。また、第2層62をAlNiを用いて形成したので、第2層62上に積層される第3層63、すなわちITOとの間で良好なコンタクトを得ることができる。
【0091】
また、本実施形態では、第2層62を、第1層61に対して小さい幅に形成した。これにより、第3層63を、第1層61の側面61a及び第2層62の側面62aの両方を覆う形状に形成することができる。その結果、第1層61を形成するCrと第2層62を形成するAlNiとを第3層63を形成するITOによって保護できるので、ランド部47a及び48aの耐蝕性をより一層向上できる。
【0092】
(変形例)
上記の第4実施形態では、図7(a)に示すように、ランド部47a,48aの第2層62を第1層61対して小さい幅に形成するようにした。しかしながら、ランド部47a,48aは、図7(b)に示すように、第2層62と第1層61とを略同じ幅とすることもできる。すなわち、第1層61の側面61aと第2層62の側面62aとを揃えて形成することもできる。この場合であっても、第1層61を形成するCrと第2層62を形成するAlNiとを第3層63を形成するITOによって保護できるので、ランド部47a及び48aの耐蝕性をより一層向上できる。
【0093】
(その他の実施形態)
以上、好ましい実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明はその実施形態に限定されるものでなく、請求の範囲に記載した発明の範囲内で種々に改変できる。
例えば、上記これまでの実施形態では、図4に示すように、ITOで形成された画素電極24はサブ画素D内の全域に設けられている。すなわち、画素電極24のITOと光反射膜23のAlNiとは、コンタクト部25a以外に反射表示領域R内の全域で接触する構造としている。しかしながら、ITOで形成された画素電極24とAlNiで形成された光反射膜23とはコンタクト部25aのみにおいて接触する構造とすることもできる。この場合、透過表示領域T内ではITOで形成された電極24が画素電極として機能し、反射表示領域R内ではAlNiで形成された光反射膜23が画素電極(すなわち、反射電極)として機能する。
【0094】
また、上記それぞれの実施形態では、図3のコンタクト部25a、図5のコンタクト部55a、図6のコンタクト部65a及び図7のランド部47a,48aの第1層をCr単体によって形成している。しかしながら、図3のコンタクト部25a、図5のコンタクト部55a、図6のコンタクト部65a及び図7のランド部47a,48aの第1層は、Crを含んで成る合金を用いて形成することもできる。
【0095】
また、上記それぞれの実施形態では、TFD素子を用いた液晶表示装置に本発明を適用したが、本発明は、TFD素子以外の2端子型スイッチング素子を用いたアクティブマトリクス方式の液晶表示装置にも適用できる。また、本発明は、TFT(Thin Film Transistor)等といった3端子型スイッチング素子を用いたアクティブマトリクス方式の液晶表示装置にも適用できる。
【0096】
また、本発明は、液晶表示装置以外の電気光学装置、例えば、有機EL装置、無機EL装置、プラズマディスプレイ装置(PDP:Plasma Display)、電気泳動ディスプレイ(EPD:Electrophoretic Display)、フィールドエミッションディスプレイ装置(FED:Field Emission Display:電界放出表示装置)にも適用できる。
【0097】
(電子機器の実施形態)
以下、本発明に係る電子機器を実施形態を挙げて説明する。なお、この実施形態は本発明の一例を示すものであり、本発明はこの実施形態に限定されるものではない。
【0098】
図8は、本発明に係る電子機器の一実施形態を示している。ここに示す電子機器は、液晶表示装置101と、これを制御する制御回路100とを有する。制御回路100は、表示情報出力源104、表示情報処理回路105、電源回路106及びタイミングジェネレータ107によって構成される。そして、液晶表示装置101は液晶パネル102及び駆動回路103を有する。
【0099】
表示情報出力源104は、RAM(Random Access Memory)等といったメモリや、各種ディスク等といったストレージユニットや、ディジタル画像信号を同調出力する同調回路等を備え、タイミングジェネレータ107により生成される各種のクロック信号に基づいて、所定フォーマットの画像信号等といった表示情報を表示情報処理回路105に供給する。
【0100】
次に、表示情報処理回路105は、増幅・反転回路や、ローテーション回路や、ガンマ補正回路や、クランプ回路等といった周知の回路を多数備え、入力した表示情報の処理を実行して、画像信号をクロック信号CLKと共に駆動回路103へ供給する。ここで、駆動回路103は、走査線駆動回路やデータ線駆動回路と共に、検査回路等を総称したものである。また、電源回路106は、上記の各構成要素に所定の電源電圧を供給する。
【0101】
液晶表示装置101は、例えば、図2に示した液晶表示装置1を用いて構成できる。図2の液晶表示装置1では、図4において、Crで形成されたコンタクト部25aに、AlNiで形成された光反射膜23を積層しているので、コンタクト部25aと画素電極24との間で良好な電気的コンタクトを得ることができ、安定した表示を行うことができる。従って、本発明に係る液晶表示装置を用いた電子機器においても、安定した表示を行うことができる。
【0102】
図9は、本発明に係る電子機器の他の実施形態である携帯電話機を示している。ここに示す携帯電話機110は、本体部111と、これに開閉可能に設けられた表示体部112とを有する。液晶表示装置等といった電気光学装置によって構成された表示装置113は、表示体部112の内部に配置され、電話通信に関する各種表示は、表示体部112において表示画面114によって視認できる。本体部111には操作ボタン115が配列されている。
【0103】
表示体部112の一端部にはアンテナ116が伸縮自在に取付けられている。表示体部112の上部に設けられた受話部117の内部には、図示しないスピーカが配置される。また、本体部111の下端部に設けられた送話部118の内部には図示しないマイクが内蔵されている。表示装置113の動作を制御するための制御部は、携帯電話機の全体の制御を司る制御部の一部として、又はその制御部とは別に、本体部111又は表示体部112の内部に格納される。
【0104】
表示装置113は、例えば、図2に示した液晶表示装置1を用いて構成できる。図2の液晶表示装置1では、図4において、Crで形成されたコンタクト部25aに、AlNiで形成された光反射膜23を積層しているので、コンタクト部25aと画素電極24との間で良好な電気的コンタクトを得ることができ、安定した表示を行うことができる。従って、本発明に係る液晶表示装置を用いた電子機器においても、安定した表示を行うことができる。
【0105】
(変形例)
なお、電子機器としては、以上に説明した携帯電話機等の他にも、パーソナルコンピュータ、液晶テレビ、ビューファインダ型又はモニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話機、POS端末器等が挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】本発明に係る電気光学装置の一実施形態である液晶表示装置の一例を示す斜視図である。
【図2】図1のZ1−Z1線に従った断面図である。
【図3】図1の画素部分を拡大して示す平面図である。
【図4】図3のZ2−Z2線に従った断面、すなわち図2の矢印Bで示す部分を拡大して示す断面図である。
【図5】本発明に係る電気光学装置の他の実施形態の要部を示す平面図である。
【図6】本発明に係る電気光学装置のさらに他の実施形態の要部を示す平面図である。
【図7】本発明に係る電気光学装置のさらに他の実施形態の要部を示す断面図であり、(a)は一実施形態を示し、(b)は他の実施形態を示している。
【図8】本発明に係る電子機器の一実施形態を示すブロック図である。
【図9】本発明に係る電子機器の他の実施形態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0107】
1.液晶表示装置(電気光学装置)、 2.液晶パネル(電気光学パネル)、
3.照明装置、 4.FPC基板、 6.シール材、 6a.液晶注入口、
7.素子基板、 7a.第1透光性基板、 8.カラーフィルタ基板、
8a.第2透光性基板、 12.液晶層、 13.LED、 14.導光体、
16.光反射層、 17.光拡散層、 18a,18b.偏光板、
19.データ線、 22.層間絶縁膜(第2絶縁膜)、 23.光反射膜、
24.画素電極、 25,55、65.導電膜、
25a,55a,65a.コンタクト部、 26a,26b.配向膜、
31.TFD素子(スイッチング素子)、 31a.第1TFD要素、
31b.第2TFD要素、 32.第1素子電極、 33.絶縁膜、
34a,34b.第2素子電極、 41.着色膜、 42.遮光膜、
43.オーバーコート層、 44.共通電極、 46.張出し部、 47.配線、
47a,48a.ランド部(端子)、 48.外部接続用端子、 49.導通材、
51.ACF、 52.駆動用IC、 52a.入力用バンプ、
52b.出力用バンプ、 61.第1層、 61a.第1層の側面、 62.第2層、
62a.第2層の側面、 63.第3層、 66.コンタクトホール、
100.制御回路、 101.液晶表示装置(電気光学装置)、
102.液晶パネル(電気光学パネル)、 103.駆動回路、
110.携帯電話機(電子機器)、 111.本体部、 112.表示体部、
113.表示装置、 G.セルギャップ、 L0.外部光、 L1.透過光、
R.反射表示領域、 T.透過表示領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
該基板上に設けられたスイッチング素子と、
該スイッチング素子を覆う絶縁膜と、
前記スイッチング素子に電気的につながると共に前記絶縁膜から露出したコンタクト部を備える導電膜と、
前記絶縁膜上に設けられると共に、前記コンタクト部において前記導電膜に積層された光反射膜と、
前記コンタクト部において前記光反射膜に積層された画素電極と、を有し、
前記コンタクト部はクロム又はクロムを含む合金によって形成され、
前記画素電極はITOによって形成され、
前記光反射膜はアルミニウムとニッケルとを含んで成る合金によって形成される
ことを特徴とする電気光学装置。
【請求項2】
請求項1記載の電気光学装置において、個々が表示の最小単位となる複数のサブ画素と、個々の前記サブ画素の領域内に設けられていて前記光反射膜が無い領域を透過した光を用いて表示を行う透過表示領域と、個々の前記サブ画素の領域内に設けられていて前記光反射膜によって反射した反射光を用いて表示を行う反射表示領域とを有し、前記絶縁膜は前記透過表示領域と前記反射表示領域との境界部に端辺を有し、前記コンタクト部は前記絶縁膜の端辺から当該絶縁膜の外部へ張り出して露出することを特徴とする電気光学装置。
【請求項3】
請求項1記載の電気光学装置において、前記絶縁膜は平面的に見て互いに交差する2つの端辺を有し、前記コンタクト部は前記絶縁膜の前記2つの端辺から当該絶縁膜の外部へ張出して露出することを特徴とする電気光学装置。
【請求項4】
請求項1記載の電気光学装置において、前記絶縁膜は前記コンタクト部に平面的に重なる位置に当該絶縁膜をその厚み方向に貫通するコンタクトホールを有することを特徴とする電気光学装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1つに記載の電気光学装置において、
前記基板上であって前記画素電極が複数設けられる領域以外の領域に設けられた半導体チップと、
前記基板上であって前記画素電極が複数設けられる領域以外の領域に設けられていて前記半導体チップと導電接続される端子と、をさらに有し、
前記端子は、
クロム又はクロムを含む合金によって形成された第1層と、該第1層の上に設けられアルミニウムとニッケルとを含んで成る合金によって形成された第2層と、該第2層の上に設けられITOによって形成された第3層とから成る積層構造を有する
ことを特徴とする電気光学装置。
【請求項6】
請求項5記載の電気光学装置において、前記端子の前記第3層は、前記第1層及び前記第2層の両方の側面を覆うことを特徴とする電気光学装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1つに記載の電気光学装置を有することを特徴とする電子機器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−114337(P2007−114337A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−303971(P2005−303971)
【出願日】平成17年10月19日(2005.10.19)
【出願人】(304053854)エプソンイメージングデバイス株式会社 (2,386)
【Fターム(参考)】