説明

電気化学キャパシタ

【課題】容量を高めることが可能な電気化学キャパシタを提案する。
【解決手段】基板の一平面上に正極と負極が形成される電気化学キャパシタである。また、電解質と、電解質の同一平面に接する正極及び負極とを有する。即ち、電解質の一平面上に接する正極活物質及び負極活物質と、正極活物質に接する正極集電体と、負極活物質に接する負極集電体とを有する電気化学キャパシタである。当該構成により、電気化学キャパシタの容量を増大させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気化学キャパシタ及びその作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電気化学キャパシタの開発が行われている。電気化学キャパシタには、電極及び電解液の界面において正と負の電荷が静電的に蓄積された容量を利用する電気二重層キャパシタ(EDLC)と、電極表面での電子移動過程(ファラデー過程)を伴って蓄積された容量を利用するレドックスキャパシタがある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−123833号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の一態様では、新規の構造の電気化学キャパシタ及びその作製方法を提供する。本発明の一態様では、容量を高めることが可能な電気化学キャパシタを提案する。本発明の一態様では、生産性を高めることが可能な電気化学キャパシタの作製方法を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一形態は、基板の一平面上に正極と負極が形成されることを特徴とする電気化学キャパシタである。また、本発明の一形態は、電解質と、電解質の同一平面に接する正極及び負極とを有することを特徴とする電気化学キャパシタである。即ち、電解質の一平面上に接する正極活物質及び負極活物質と、正極活物質に接する正極集電体と、負極活物質に接する負極集電体とを有する電気化学キャパシタである。
【0006】
電気化学キャパシタがレドックスキャパシタの場合、電解質は基板上に形成される。または、電解質が支持体として機能する。これらの場合、電解質はプロトン伝導体で形成される。プロトン伝導体としては、硫酸水素セシウム、リン酸水素セシウム、酸化シリコン、または水素を含む非晶質半導体を用いることを特徴とする。水素を含む非晶質半導体としては、非晶質シリコン、非晶質シリコンゲルマニウム、または非晶質ゲルマニウムがある。または、水素を含む非晶質半導体としては、水素を含む酸化物半導体があり、水素を含む酸化物半導体としては、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化ニッケル、酸化バナジウム、酸化スズ、または酸化インジウムがある。または、水素を含む非晶質半導体としては、In−M−Zn−酸化物半導体(MはAl、Ga、Fe、Ni、Mn及びCoから選ばれた一の金属元素または複数の金属元素)があり、非晶質構造中にInMO(ZnO)(m>0)の結晶を含んでいてもよい。更には、In−M−Zn−酸化物半導体中に窒素を含んでいてもよい。窒素を含むことでIn−M−Zn−酸化物半導体の水素濃度を高めることができる。
【0007】
電気化学キャパシタが電気二重層キャパシタの場合、正極及び負極は基板の一表面に形成される。また、電解液及び正極及び負極が形成された基板が封止部材により封止される。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様により、電気化学キャパシタの生産性を高めることができる。また、本発明の一形態の電気化学キャパシタの容量を増大させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】電気化学キャパシタの構造を示す断面図である。
【図2】電気化学キャパシタの構造を示す上面図である。
【図3】電気化学キャパシタの構造を示す断面図である。
【図4】電気化学キャパシタの構造を示す断面図である。
【図5】電気化学キャパシタの構造を示す断面図である。
【図6】電気化学キャパシタの構造を示す断面図である。
【図7】電気化学キャパシタのサイクリックボルタモグラムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施の形態の一例について、図面を用いて以下に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではないとする。なお、説明中に図面を参照するにあたり、同じものを指す符号は異なる図面間でも共通して用いる場合がある。また、同様のものを指す際には同じハッチパターンを使用し、特に符号を付さない場合がある。
【0011】
(実施の形態1)
本実施の形態では、電気化学キャパシタの一形態であるレドックスキャパシタの構造について、図1を用いて説明する。
【0012】
図1(A)に示すレドックスキャパシタは、基板120上に形成される電解質126と、電解質126上に形成される第1の活物質124及び第2の活物質128と、第1の活物質124上に形成される第1の集電体122と、第2の活物質128上に形成される第2の集電体130とを有する。
【0013】
図1(B)に示すレドックスキャパシタは、基板140上に形成される第1の集電体142及び第2の集電体150と、第1の集電体142上に形成される第1の活物質144と、第2の集電体150上に形成される第2の活物質148と、第1の集電体142及び第2の集電体150の側面並びに第1の活物質144及び第2の活物質148の表面及び側面を覆う電解質146を有する。
【0014】
基板120及び基板140は、ガラス、石英、アルミナ等のセラミック、プラスチックを用いることができる。なお、プラスチックとしては、FRP(Fiberglass−Reinforced Plastics)板、PVF(ポリビニルフルオライド)フィルム、ポリエステルフィルム、またはアクリル樹脂フィルムを用いることができる。または、絶縁表面を有する基板を用いることができる。
【0015】
第1の集電体122、142、及び第2の集電体130、150の一方は正極集電体として機能し、他方は負極集電体として機能する。第1の集電体122、142、及び第2の集電体130、150は、アルミニウム、ニッケル、チタン、銅、金、銀、白金、コバルト等の単体、合金あるいは化合物を用いる。
【0016】
また、第1の集電体122、142、及び第2の集電体130、150は、活性炭などの導電性カーボン、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロールなどの導電性ポリマーを用いることができる。
【0017】
なお、図1においては図示していないが、第1の集電体122、142、及び第2の集電体130、150の一方は正極端子または負極端子の一方に接続し、第1の集電体122、142、及び第2の集電体130、150の他方は正極端子または負極端子の他方に接続する。
【0018】
第1の活物質124、144、及び第2の活物質128、148の一方は正極活物質として機能し、他方は負極活物質として機能する。第1の活物質124、144、及び第2の活物質128、148は、酸化ルテニウム、酸化イリジウム、酸化コバルト、酸化マンガン、酸化タングステン、酸化ニオブ、酸化鉄等の一または複数を用いることができる。
【0019】
なお、第1の集電体122、142、及び第2の集電体130、150に、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロールなどの導電性ポリマーを用いる場合は、第1の活物質124、144、及び第2の活物質128、148を設けずとも、導電性ポリマーが集電体と共に活物質として機能する。
【0020】
電解質126、146は、硫酸水素セシウム、リン酸水素セシウム、酸化シリコン、または水素を含む非晶質半導体等の固体のプロトン伝導体で形成する。水素を含む非晶質半導体としては、非晶質シリコン、非晶質シリコンゲルマニウム、または非晶質ゲルマニウムがある。水素を含む非晶質半導体としては、水素を含む酸化物半導体があり、代表的には酸化亜鉛、酸化チタン、酸化ニッケル、酸化バナジウム、酸化スズ、または酸化インジウムがある。また、水素を含む酸化物半導体として、In−M−Zn−酸化物半導体(MはAl、Ga、Fe、Ni、Mn及びCoから選ばれた一の金属元素または複数の金属元素)があり、非晶質構造中にInMO(ZnO)(m>0)の結晶を含んでいてもよい。更には、In−M−Zn−酸化物半導体中に窒素を含んでいてもよい。窒素を含むことでIn−M−Zn−酸化物半導体の水素濃度を高めることができる。
【0021】
また、水素を含む酸化物半導体として上記の他にも、In−Sn−酸化物半導体、In−Sn−Zn−酸化物半導体、In−Al−Zn−酸化物半導体、Sn−Ga−Zn−酸化物半導体、Al−Ga−Zn−酸化物半導体、Sn−Al−Zn−酸化物半導体、In−Zn−酸化物半導体、Sn−Zn−酸化物半導体、またはAl−Zn−酸化物半導体を適用することができる。また上記金属酸化物に酸化シリコンを含ませてもよい。
【0022】
硫酸水素セシウム、リン酸水素セシウム、または水素を含む酸化物半導体は、水和酸化物であってもよい。水和物の好ましい水和数は金属の種類によって異なる。
【0023】
また、電解質126、146として、プロトン伝導性高分子材料を用いることもできる。プロトン伝導性高分子材料としては、パーフルオロスルホン酸型イオン交換樹脂やその他のイオン交換樹脂、プロトンを伝導可能な高分子材料を用いることができる。
【0024】
なお、レドックスキャパシタの周りに保護層132、152を設けてもよい。保護層132、152としては、窒化シリコン、DLC(Diamond Like Carbon)、酸化シリコン等を用いることができる。レドックスキャパシタの周りに保護層132、152を設けることで、レドックスキャパシタの安定な動作が可能であり、劣化を低減することができる。
【0025】
図1(A)に示すレドックスキャパシタの上面図を図2に示す。
【0026】
図2(A)に示すように、第1の集電体122と第2の集電体130を平行に配置することができる。または、図2(B)に示すように、第1の集電体122と第2の集電体130を櫛型にすることができる。このように第1の集電体122及び第2の集電体130を平行または櫛型とすることで、第1の集電体122と第2の集電体130の対向面積を広げることが可能であり、レドックスキャパシタの容量を増加させることができる。
【0027】
なお、第1の集電体122は正極端子または負極端子の一方136に接続し、第2の集電体130は、正極端子または負極端子の他方134に接続する。ただし、集電体と正極端子または負極端子の接続方法を限定するものではなく、集電体と正極端子または負極端子の組み合わせは適宜変更しても構わない。
【0028】
なお、図1(B)に示すレドックスキャパシタの第1の集電体142と第2の集電体150も、図2に示す上面形状とすることができる。
【0029】
次に、図1(A)に示すレドックスキャパシタの作製方法について説明する。
【0030】
図1に示すように、基板120上に電解質126を形成する。電解質126は、スパッタリング法、CVD法、蒸着法、印刷法、ゾルゲル法、ディップコート法等を用いて形成する。
【0031】
電解質126として硫酸水素セシウム、またはリン酸水素セシウムを形成する場合は、蒸着法、印刷法、ゾルゲル法、ディップコート法を適宜用いることができる。
【0032】
電解質126として水素を含む非晶質半導体をスパッタリング法により形成する場合は、水素を含むターゲットに用い、スパッタリングガスとして希ガスまたは希ガスと水素を用いてスパッタリングして、基板120上に、水素を含む非晶質半導体を堆積することができる。なお、スパッタリングガスに水素を用いる場合は、ターゲットは水素を含まなくともよい。代表的には、水素を含むシリコンターゲット、水素を含むゲルマニウムターゲット、または水素を含むシリコンゲルマニウムターゲットと、スパッリングガスとして希ガスまたは/及び水素とを用いてスパッタリングして、非晶質シリコン、非晶質ゲルマニウム、または非晶質シリコンゲルマニウムを堆積する。または、水素を含む酸化亜鉛、水素を含む酸化チタン、水素を含む酸化ニッケル、水素を含む酸化バナジウム、水素を含む酸化スズ、水素を含む酸化インジウム、または水素を含むIn−M−Zn−酸化物半導体(MはAl、Ga、Fe、Ni、Mn及びCoから選ばれた一の金属元素または複数の金属元素)をターゲットとして用い、スパッタリングガスとして希ガスまたは希ガスと水素を用いてスパッタリングして、基板120上に、水素を含む非晶質半導体を堆積することができる。なお、スパッタリングガスに水素を用いる場合は、ターゲットは水素を含まなくともよい。さらには、反応性スパッタリングを用いることができる。代表的には、亜鉛、チタン、ニッケル、バナジウム、スズ、インジウム、またはIn−M−Zn−合金(Mは、Ga、Fe、Ni、Mn及びCoから選ばれた一の金属元素または複数の金属元素)をターゲットとして用い、スパッタリングガスとして希ガスと酸素または希ガスと酸素と水素を用いてスパッタリングして、基板120上に、水素を含む非晶質半導体を堆積することができる。
【0033】
または、原料ガスに水素原子を含むガスを用いたCVD法によって、水素を含む非晶質半導体を基板120上に堆積することができる。代表的には、シラン、ジシラン、または/及びゲルマンを用いたプラズマCVD法により、基板120上に、水素を含む非晶質半導体を堆積することができる。なお、原料ガスに水素または水素と希ガスを用いてもよい。
【0034】
また、基板120上に非晶質半導体を形成した後、非晶質半導体に水素を添加して、水素を含む非晶質半導体を形成することができる。代表的には、非晶質半導体を基板120上に堆積した後、水素雰囲気で加熱することで、水素を含む非晶質半導体を形成することができる。または、非晶質半導体を基板120上に堆積した後、イオンドーピング法またはイオン注入法により非晶質半導体に水素を添加して、水素を含む非晶質半導体を形成することができる。
【0035】
次に、電解質126上に第1の活物質124及び第2の活物質128を形成する。第1の活物質124及び第2の活物質128は、スパッタリング法、蒸着法、印刷法、インクジェット法等を用いて形成する。
【0036】
次に、第1の活物質124及び第2の活物質128上に第1の集電体122及び第2の集電体130をそれぞれ形成する。第1の集電体122及び第2の集電体130は、スパッタリング法、蒸着法、印刷法、インクジェット法等を用いて形成する。
【0037】
本実施の形態で示すレドックスキャパシタは、第1の集電体122と第2の集電体130を同時に形成することが可能である。また、第1の活物質124と第2の活物質128を同時に形成することが可能である。このため、工程数を削減することができる。
【0038】
この後、スパッタリング法、CVD法等により保護層132を形成してもよい。また、粘着性シートを貼り付けてもよい。
【0039】
以上の工程により、図1(A)に示すレドックスキャパシタを作製することができる。
【0040】
図1(B)に示すレドックスキャパシタは、基板140上に第1の集電体142及び第2の集電体150を形成する。次に、第1の集電体142及び第2の集電体150上に第1の活物質144及び第2の活物質148を形成する。次に、電解質146を形成する。次に、保護層152を形成する。それぞれの作製方法は、図1(A)に示す第1の集電体122及び第2の集電体130、第1の活物質124及び第2の活物質128、電解質126、及び保護層132と同様である。
【0041】
本実施の形態では、半導体製造装置を用いてレドックスキャパシタを作製することが可能であるため、生産性を高めることができる。また、本実施の形態で示すレドックスキャパシタの一形態は、集電体を電解質が覆う形状であるため、集電体と電解質の接触面積を増大させることができる。この結果、レドックスキャパシタの容量を増大させることができる。
【0042】
(実施の形態2)
本実施の形態では、実施の形態1より容量を増大させることが可能なレドックスキャパシタに関して、図3を用いて説明する。本実施の形態に示すレドックスキャパシタは、基板上に形成される集電体または電解質が凹凸状であることを特徴とする。
【0043】
図3(A)に示すレドックスキャパシタは、基板180上に形成される凹凸状の電解質186と、電解質186上に形成される第1の活物質184及び第2の活物質188と、第1の活物質184上に形成される第1の集電体182と、第2の活物質188上に形成される第2の集電体190とを有する。
【0044】
図3(B)に示すレドックスキャパシタは、基板200上に形成される凹凸状の第1の集電体202及び第2の集電体210と、第1の集電体202上に形成される第1の活物質204と、第2の集電体210上に形成される第2の活物質208と、第1の集電体202及び第2の集電体210の側面並びに第1の活物質204及び第2の活物質208の表面及び側面を覆う電解質206を有する。
【0045】
第1の集電体182、202、及び第2の集電体190、210は、実施の形態1に示す第1の集電体122、142、及び第2の集電体130、150と同様の材料を用いることができる。
【0046】
第1の活物質184、204、及び第2の活物質188、208は、実施の形態1に示す第1の活物質124、144、及び第2の活物質128、148と同様の材料及び作製方法を用いることができる。
【0047】
本実施の形態で示すレドックスキャパシタは、第1の集電体182、202と第2の集電体190、210を同時に形成することが可能である。また、第1の活物質184、204と第2の活物質188、208を同時に形成することが可能である。このため、工程数を削減することができる。
【0048】
電解質186、206は、実施の形態1に示す電解質126、146と同様の材料を用いることができる。
【0049】
図3(A)に示す凹凸状の電解質186や図3(B)に示す凹凸状の第1の集電体202及び第2の集電体210は、基板上に薄膜を形成し、薄膜上に凹凸状のレジストマスクをフォトリソグラフィ工程により形成した後、当該レジストマスクを用いて基板上の薄膜を異方性エッチングすることにより、形成することができる。なお、凹凸状のレジストマスクは、ハーフトーンマスクまたはグレートーンマスクを用いたフォトリソグラフィ工程により形成することができる。また、ステッパによる縮小投影露光により凹凸状のレジストマスクを形成することができる。
【0050】
なお、レドックスキャパシタの周りに保護層192、212を設けてもよい。保護層192、212としては、実施の形態1に示す保護層132と同様の材料を用いることができる。
【0051】
基板上に形成する集電体を凹凸状とすることで、その上に積層される活物質及び電解質の接触面積が増大する。また、基板上に形成する電解質を凹凸状にすることで、その上に形成される活物質と電解質の接触面積が増大する。これらのため、レドックスキャパシタの容量を増大させることができる。
【0052】
本実施の形態では、半導体製造装置を用いてレドックスキャパシタを作製することが可能であるため、生産性を高めることができる。また、本実施の形態で示すレドックスキャパシタは、集電体を電解質が覆う形状であるため、集電体と電解質の接触面積を増大させることができる。この結果、レドックスキャパシタの容量を増大させることができる。
【0053】
(実施の形態3)
本実施の形態では、実施の形態1及び実施の形態2とは異なる構造のレドックスキャパシタについて、図4を用いて説明する。
【0054】
図4に示すレドックスキャパシタは、電解質226と、電解質226上に形成される第1の活物質224及び第2の活物質228と、第1の活物質224上に形成される第1の集電体222と、第2の活物質228上に形成される第2の集電体230とを有する。
【0055】
本実施の形態では、電解質226がレドックスキャパシタの支持体として機能することを特徴とする。代表的には、硫酸水素セシウム、リン酸水素セシウム、または水素を含む酸化物半導体ペレットを電解質226として用いる。
【0056】
次に、本実施の形態に示すレドックスキャパシタの作製方法について、以下に説明する。
【0057】
電解質226の材料となる粉末を粉砕し、粉末の粒径を小さくする。次に、錠剤形成機に砕いた粉末を入れた後、加圧してペレットを形成する。
【0058】
次に、ペレット上に第1の活物質224及び第2の活物質228並びに第1の集電体222及び第2の集電体230を形成する。次に、第1の活物質224及び第2の活物質228並びに第1の集電体222及び第2の集電体230を覆う保護層232を形成する。第1の活物質224及び第2の活物質228は、実施の形態1に示す第1の活物質124及び第の活物質128と同様に形成することができる。また、第1の集電体222及び第2の集電体230は、実施の形態1に示す第1の集電体122及び第2の集電体130と同様に形成することができる。また、保護層232は実施の形態1に示す保護層132と同様の材料を用いることができる。さらには、第1の集電体222及び第2の集電体230をシート状または板状とし、第1の集電体222及び第2の集電体230の一方の面に第1の活物質224及び第2の活物質228の原料となる粉末を含む混練物を塗布した後、当該混練物がペレットに接するように第1の集電体222及び第2の集電体230をペレットに押圧してもよい。この後、加熱して混錬物中を乾燥させてもよい。
【0059】
本実施の形態は、電解質をレドックスキャパシタの支持体として機能させるため、別途基板を必要とせず、コスト削減が可能である。
【0060】
(実施の形態4)
実施の形態1乃至実施の形態3に示すレドックスキャパシタの封止構造について、図5を用いて説明する。本実施の形態では実施の形態1に示すレドックスキャパシタを用いて説明する。
【0061】
図5(A)に示すように、レドックスキャパシタを封止部材302で封止する。この場合、図示しないが、第1の集電体122に接続する外部端子と、第2の集電体130に接続する外部端子が封止部材302の外部に突出している。なお、封止部材302の内部は、減圧されていてもよい。または、不活性ガスが充填されていてもよい。封止部材302としては、ラミネートフィルム、金属封止缶等を用いることができる。また、図5(A)においては、レドックスキャパシタが形成された基板を複数積層し、それぞれのレドックスキャパシタを直列または並列に接続してもよい。
【0062】
また、図5(B)に示すように、レドックスキャパシタを有機樹脂304で封止することができる。この場合、図示しないが、第1の集電体122に接続する外部端子と、第2の集電体130に接続する外部端子が有機樹脂304の外部に突出している。実施の形態1乃至実施の形態3に示すレドックスキャパシタは電解質が固体であるため、有機樹脂304での封止が容易となる。なお、図5(B)においては、レドックスキャパシタが形成された基板を複数積層し、それぞれのレドックスキャパシタを直列または並列に接続したものを有機樹脂304で封止してもよい。
【0063】
異なる基板上に形成されたレドックスキャパシタを直列に接続することにより、充放電の電圧を大きくすることができる。また、異なる基板上に形成されたレドックスキャパシタを並列に接続することにより、静電容量を増大させることができる。
【0064】
(実施の形態5)
本実施の形態では、電気化学キャパシタの一形態である電気二重層キャパシタについて、図6を用いて説明する。
【0065】
図6に示す電気二重層キャパシタは、基板240に形成された第1の集電体242及び第2の集電体250と、第1の集電体242及び第2の集電体250上に形成された第1の活物質244及び第2の活物質248と、電解液246とが封止部材251内に封止されている。
【0066】
基板240は、実施の形態1に示す基板100と同様の材料を用いることができる。また、基板240をポリオレフィン系樹脂性の多孔性フィルム、不織布等のセルロース多孔質材料を用いることができる。
【0067】
第1の集電体242及び第2の集電体250は、アルミニウム、ステンレス等を用いて形成することができる。
【0068】
第1の活物質244及び第2の活物質248は、炭素材料、導電性材料、及びバインダーを用いて形成することができる。炭素材料としては、ヤシガラ活性炭やフェノール活性炭等を用いることができる。導電性材料としては、アセチレンブラック、ファーネスブラック、カーボンブラックや黒鉛を用いることができる。バインダーとしては、ポリテトラフルオロエチレン、フッ化ビニリデン共重合体等を用いることができる。
【0069】
電解液246は、硫酸水溶液や塩酸水溶液等の水系電解液や、プロピレンカーボネート溶媒にアンモニウム塩またはホスホニウム塩を溶解した非水系電解液を用いることができる。
【0070】
封止部材251は、アルミニウムを有機樹脂で挟んだラミネ―トフィルムを用いることができるが、これに限定されず、他のラミネートフィルムを適宜用いることができる。
【0071】
なお、図6に示す電気二重層キャパシタは、基板240に第1の集電体242及び第2の集電体250が形成され、第1の集電体242及び第2の集電体250上に第1の活物質244及び第2の活物質248が形成されているが、基板240上に第1の活物質244及び第2の活物質248が形成され、第1の活物質244及び第2の活物質248上に、第1の集電体242及び第2の集電体250が形成されてもよい。
【0072】
次に、図6に示す電気二重層キャパシタの作製方法について、説明する。
【0073】
基板240上に第1の集電体242及び第2の集電体250を形成する。第1の集電体242及び第2の集電体250は、実施の形態1に示す第1の集電体122及び第2の集電体130と同様に作製することができる。
【0074】
次に、第1の集電体242及び第2の集電体250上に第1の活物質244及び第2の活物質248として、炭素材料、導電性材料、及びバインダーと溶媒の混錬物を印刷した後、乾燥することで形成する。混錬物の印刷及び乾燥は複数回繰り返してもよい。
【0075】
次に、第1の集電体242及び第2の集電体250並びに第1の活物質244及び第2の活物質248が形成された基板240を封止部材251内に設置し、電解液を封止部材251中に注入する。その後、封止部材を減圧封止する。
【0076】
以上の工程により電気二重層キャパシタを作製することができる。本実施の形態で示す電気二重層キャパシタは、集電体を電解質が覆う形状であるため、集電体と電解質の接触面積を増大させることができる。この結果、電気二重層キャパシタの容量を増大させることができる。
【実施例1】
【0077】
本実施例では、電解質に水素を含むIn−Ga−Zn−酸化物半導体を用いたレドックスキャパシタの作製方法及び当該レドックスキャパシタの電気特性をサイクリックボルタンメトリ(CV:Cyclic Voltammetry)により測定した結果を示す。
【0078】
ガラス基板上にスパッタリング法により厚さ100nmの水素を含むIn−Ga−Zn−酸化物半導体を電解質として形成した。このときの成膜を以下に示す。ターゲットの組成をIn:Ga:Zn=1:1:0.5、スパッタリングガスを30sccmのArと15sccmのO、圧力を0.4Pa、供給電力を0.5kW、電極間距離を60mm、成膜温度を室温とした。ガラス基板上に堆積したIn−Ga−Zn−酸化物半導体の組成は電子線マイクロアナライザ(EPMA:Electron Probe X−ray MicroAnalyzer)分析で、原子比がO:Ga:In:Zn=61.3:15.8:16.8:6であった。また、二次イオン質量分析計(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)による水素の濃度は7×1020atoms/cmであった。
【0079】
次に、集電体として厚さ0.5mm、幅10mm、長さ63mmのカーボン板を2つ準備し、当該カーボン板に酸化ルテニウムを含む混練物を塗布した後、酸化ルテニウムを含む混練物が塗布された面を電解質に押圧した。このときの2つのカーボン板の間隔を1mmとした。また、このときの酸化ルテニウム混練物は、0.05gの酸化ルテニウムと1mlの水とを混錬したものを使用した。
【0080】
次に、二つのカーボン板の間の絶縁を保つため、露出しているIn−Ga−Zn−酸化物半導体に粘着性を有する絶縁性のテープを圧着してレドックスキャパシタを作製した。
【0081】
次に、レドックスキャパシタの電気特性をサイクリックボルタンメトリにより測定した。このときの測定条件は、充放電の電圧を0V〜1V、スキャン速度を100mV/s、サイクル数を5回、測定間隔を100msとした。このときのサイクリックボルタモグラムを図7に示す。
【0082】
図7から、電解質にIn−Ga−Zn−酸化物半導体を用いたレドックスキャパシタを作製することができたことがわかる。
【符号の説明】
【0083】
100 基板
112 保護層
120 基板
122 集電体
124 活物質
126 電解質
128 活物質
130 集電体
132 保護層
134 正極端子または負極端子
136 正極端子または負極端子
140 基板
142 集電体
144 活物質
146 電解質
148 活物質
150 集電体
152 保護層
180 基板
182 集電体
184 活物質
186 電解質
188 活物質
190 集電体
192 保護層
200 基板
202 集電体
204 活物質
206 電解質
208 活物質
210 集電体
222 集電体
224 活物質
226 電解質
228 活物質
230 集電体
232 保護層
240 基板
242 集電体
244 活物質
246 電解液
248 活物質
250 集電体
251 封止部材
302 封止部材
304 有機樹脂

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電解質と、前記電解質の同一平面に接する正極及び負極とを有することを特徴とする電気化学キャパシタ。
【請求項2】
請求項1において、前記正極は、前記電解質に接する活物質と、前記活物質に接する集電体であることを特徴とする電気化学キャパシタ。
【請求項3】
請求項1において、前記負極は、前記電解質に接する活物質と、前記活物質に接する集電体であることを特徴とする電気化学キャパシタ。
【請求項4】
請求項1において、前記電解質は基板上に形成されることを特徴とする電気化学キャパシタ。
【請求項5】
請求項1において、前記電解質は、硫酸水素セシウム、またはリン酸水素セシウムであることを特徴とする電気化学キャパシタ。
【請求項6】
請求項1において前記電解質は、酸化シリコンであることを特徴とする電気化学キャパシタ。
【請求項7】
請求項1において、前記電解質は、水素を含む非晶質半導体であることを特徴とする電気化学キャパシタ。
【請求項8】
請求項7において前記水素を含む非晶質半導体は、非晶質シリコン、非晶質シリコンゲルマニウム、または非晶質ゲルマニウムであることを特徴とする電気化学キャパシタ。
【請求項9】
請求項7において、前記水素を含む非晶質半導体は、水素を含む酸化物半導体であることを特徴とする電気化学キャパシタ。
【請求項10】
請求項9において、前記水素を含む酸化物半導体は、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化ニッケル、酸化バナジウム、酸化スズ、または酸化インジウムであることを特徴とする電気化学キャパシタ。
【請求項11】
請求項7において、前記水素を含む非晶質半導体は、In−M−Zn−酸化物半導体(MはAl、Ga、Fe、Ni、Mn及びCoから選ばれた一の金属元素または複数の金属元素)であることを特徴とする電気化学キャパシタ。
【請求項12】
基板と、同一の絶縁表面に接する前記基板上の正極及び負極と、前記基板及び電解液を封止する封止部材とを有することを特徴とする電気化学キャパシタ。
【請求項13】
請求項12において、前記正極は、前記電解質に接する活物質と、前記活物質に接する集電体であることを特徴とする電気化学キャパシタ。
【請求項14】
請求項12において、前記負極は、前記電解質に接する活物質と、前記活物質に接する集電体であることを特徴とする電気化学キャパシタ。
【請求項15】
請求項12において、前記電解質は基板上に形成されることを特徴とする電気化学キャパシタ。
【請求項16】
請求項12において、前記電解質は、硫酸水素セシウム、またはリン酸水素セシウムであることを特徴とする電気化学キャパシタ。
【請求項17】
請求項12において、前記封止部材は、アルミニウムを有機樹脂で挟んだラミネ―トフィルムを用いることを特徴とする電気化学キャパシタ。
【請求項18】
請求項12において、前記絶縁表面は、前記基板の表面であることを特徴とする電気化学キャパシタ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2011−97031(P2011−97031A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−208936(P2010−208936)
【出願日】平成22年9月17日(2010.9.17)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】