説明

電気調理器

【課題】一般家庭で、簡単にアレルギー物質等特定の物質の含まれる食材が直接確認できる使用勝手の良い電気調理器を提供する。
【解決手段】メニュー選択や調理条件等を入力する操作部10と、食パンミックス12の包装12cに付されたその食材の情報を読み取る2次元バーコードリーダー13と、入力された前記メニュー等を表示する表示部11と、前記2次元バーコードリーダー13が読み取った特定の食材情報を前記表示部11に警告表示する食材警告部14aを有するもので、使用者は、普段使用している電気調理器自体で、アレルギー物質など特定の物質が含まれた食材を容易に確認することができるので、摂取してはならない特定物質を含んだ食材を誤って用いることを防止することができ、使い勝手がよい電気調理器を提供できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般家庭で使用する電気調理器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
昨今、アレルギー体質の患者が増え、場合によってはアレルギー物質の摂取が身体に危険を及ぼすこともあるため、患者は、食事に細心の注意を払わなければならない。その対策として、アレルギー物質となる食物をデーターベース等に登録しておき、食事の献立の際に、登録してある食物が混入しないようにする大掛かりなシステムがあった(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図7は、上記特許文献1に記載されたシステムの構成を示すネットワーク図である。このシステムは、アレルギー疾患を持つ人の献立を提供するもので、図7に示すように、医療事務装置20と、献立管理装置21と、患者装置(コンピュータ)22と、患者装置(携帯電話)23等から構成されている。
【特許文献1】特開2003−216738号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の大規模なネットワークを利用したシステムでは、高価で、一般の家庭で日常容易に利用できるものではなく、非常に不便であった。
【0005】
本発明は、上記従来の問題を解決するもので、調理を行う際、アレルギー物質等特定の物質の含まれる食材を誤って摂取するのを防ぐ、使い勝手の良い電気調理器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記従来の課題を解決するために、本発明の電気調理器は、メニュー選択や調理条件等を入力する操作部と、食材の包装に付された前記食材の情報を読み取る入力装置と、入力された前記メニュー等を表示する表示部と、前記入力装置が読み取った特定の食材情報を前記表示部に警告表示する食材警告部を有するもので、使用者は、普段使用している電気調理器自体で、アレルギー物質など特定の物質が含まれた食材を容易に確認することができるので、摂取してはならない特定物質を含んだ食材を誤って用いることを防止することができ、使い勝手のよい電気調理器を提供できる。
【発明の効果】
【0007】
本発明の電気調理器は、食材の包装に添付された食材情報を読み取り、普段使用する電気調理器自体で、アレルギー物質等の特定の物質が含まれているかが容易に確認することができるので、誤って摂取するのを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
第1の発明は、メニュー選択や調理条件等を入力する操作部と、食材の包装に付された前記食材の情報を読み取る入力装置と、入力された前記メニュー等を表示する表示部と、前記入力装置が読み取った特定の食材情報を前記表示部に警告表示する食材警告部を有するもので、使用者は、普段使用している電気調理器自体で、アレルギー物質など特定の物質が含まれた食材を容易に確認することができるので、摂取してはならない特定物質を含んだ食材を誤って用いることを防止することができ、使い勝手のよい電気調理器を提供できる。
【0009】
第2の発明は、特に、第1の発明の食材警告部で、特定の食材に含まれるアレルギー物質を表示するもので、アレルギー物質が含まれた食材が誤って使用されるのが防止できるので、急激に増加しているアレルギー疾患を持つ多数の患者に対して、安心で使い勝手のよい電気調理器を提供できる。
【0010】
第3の発明は、特に、第1又は第2の発明の入力装置が読み取った食材の情報に応じてメニューが選択されるもので、予め決められたメニューに応じて準備された食材を調理する際には、表示部による表示により特定物質を含む食材の有無を確認して、その特定物質を含む食材を誤って用いることを防ぐと同時に、自動的にメニューが設定されるので、使用者の手間を省くと共にメニューの選択ミスも防ぐことができる使い勝手がよい電気調理器を提供できる。
【0011】
第4の発明は、特に、第1〜3のいずれか一つの発明の入力装置を、食材の包装に付され前記食材の情報を含む2次元バーコードを読み取る2次元バーコードリーダーで形成したもので、食材の包装に食材情報を付する際には印刷で済み、製造コストが抑えられる。
【0012】
第5の発明は、特に、第1〜3のいずれか一つの発明の入力装置を、食材の包装に付され前記食材の情報を含むICタグを読み取るICタグリーダーで形成したもので、食材の包装に付された食材の情報を読み取るのに、ICタグリーダ−に非接触で近づけるだけでよいので、食材情報の読み取り作業が簡単な電気調理器を提供できる。
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、電気調理器の一つである自動製パン機を例に、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0014】
(実施の形態1)
本発明の第1の実施の形態における自動製パン機について、図1〜4を用いて説明する。図1は、本実施の形態における自動製パン機の全体構成図である。図1において、自動製パン機の本体1の内部には、パンを焼成する焼成室2を設けている。そして、焼成室2には焼成室2を加熱する加熱部であるヒータ3とパン生地を練る練り羽根4を有するパン焼き型5を設けている。練り羽根4はモータ6により駆動され、焼成室2には焼成室2内の温度を検知するサーミスタ7と、イースト菌を投入するイースト投入装置8とを設けている。
【0015】
電源コード9は、本体1に電源を供給するものであり、その他に本体1には、調理メニューの選択等調理条件の入力や調理の開始等の操作を行う操作部10と、選択されたメニュー及びでき上がり時間等の各種情報を表示すると共に液晶等で構成された表示部11と、食材である食パンの材料が予め計量、混合準備された食パンミックス12の材料情報を記録すると共に食パンミックス12の包装12cに印刷された2次元バーコード12aを光学的に読み込む入力装置である2次元バーコードリーダ−13と、サーミスタ7、操作部10からの信号を受けてヒータ3やモータ6、イースト投入装置8、表示部11を内蔵された各種パンの調理方法に従って制御するマイクロコンピュータ14を備えている。
【0016】
さらに、マイクロコンピュータ14内には、2次元バーコードリーダー13が読み取った食材の情報から、アレルギー物質を含む食材を表示部11に点滅表示する食材警告部14aを設けている。
【0017】
図2は、本実施の形態における操作部10、表示部11の詳細図であり、操作部10内には、調理するメニューを選択するメニューキー10a、現在時刻やタイマー調理でできあがり時刻を設定する時キー10b、分キー10c、タイマー調理を設定可能な状態にする予約キー10d、加熱調理や使用者が設定したメニュー等の情報をキャンセルする切キー10e、メニューキー10aで選択したメニューの調理を開始するスタートキー10fが備えられている。表示部11には、自動製パン機の製パン機能が停止している状態で、時計機能として、例えば、現在時刻が19時00分であることをマイクロコンピュータ14が表示部11に表示している。
【0018】
以上のように構成された自動製パン機について、以下その動作、作用を説明する。
【0019】
図3は、本実施の形態における食材警告部14aが動作した時の表示部11を示す図である。図2に示すような製パン機能が停止している状態で、2次元バーコードリーダー13に、調理材料である食パンミックス12の包装12cに付された2次元バーコード12aのバーコードパターンを正しくかざすと、食材警告部14aは、2次元バーコードリーダー13を通して2次元バーコード12aから食パンミックス12の食材情報を読み込む。
【0020】
図4は、本実施の形態における2次元バーコード12aの詳細図である。2次元バーコード12aには、この2次元バーコード12aが付された製品が、食パン用の材料が予め計量、混合された食パンミックスであり、材料として小麦粉、植物性油脂、脱脂粉乳、食塩で構成されており、その内アレルギー対象材料として小麦粉に小麦が、脱脂粉乳には乳が含まれていることが、白と黒の印字パターンによって記録されており、食材警告部14aは読み込んだ食パンミックス12の食材情報の中から、アレルギー対象材料として小麦粉に小麦が、脱脂粉乳には乳が含まれている旨を図3に示すように表示部11にて点滅表示する。
【0021】
以上のように、本実施の形態によれば、食材が入った包装12cに付された食材の情報を表す2次元バーコード12aを読み取る入力装置であるところの2次元バーコードリーダー13と、メニュー等各種情報を表示する液晶で構成された表示部11と、バーコードリーダー13が読み取ったアレルギー対象材料を表示部11に点滅表示する食材警告部14aを設けたことにより、普段使用する電気調理器自体で、使用する食材にアレルギー物質が含まれているか否かを容易に確認することができるので、アレルギー体質の患者が誤ってアレルギー物質の食材を摂取するのを確実に防止することができる。
【0022】
(実施の形態2)
図5は、本発明の第2の実施の形態における自動製パン機の食材警告部14aが動作した時の表示部11の平面図である。なお、上記第1の実施の形態と同一部分について同一符号を付してその説明を省略する。
【0023】
本実施の形態は、2次元バーコードリーダー13が読み取った食材の情報に応じて自動的にメニューが選択されるようにしたものである。
【0024】
具体的には、最初に、図2の製パン機能が停止している状態で、2次元バーコードリーダー13に調理材料である食パンミックス12に付された2次元バーコード12aをかざすと、食材警告部14aは2次元バーコードリーダー13を通して2次元バーコード12aから食パンミックス12の食材情報を読み込み、食材警告部14aは、読み込んだ食パンミックス12の食材情報の中から、アレルギー対象材料として小麦粉に小麦が、脱脂粉乳には乳が含まれている旨を、図5に示すように表示部11にて点滅表示する。
【0025】
表示部11での点滅表示と同時に、操作部10内のメニューキー10aを動作させ、自動製パン器が調理実行するメニューとして、読み込んだ食パンミックス12aの食材情報に対応して食パンメニューを選択し、図5に示すように、表示部11に「食パン」がメニュー選択された旨を表示するとともに、食パンメニューのできあがり時刻として、現在時刻である19時に食パンメニューの調理時間である4時間30分をプラスした23時30分を表示する。この状態でスタートキー10fをONすると、食パン調理を開始するようにしたものである。
【0026】
以上のように、本実施の形態によれば、食材の包装12cに付された食材の情報を表す2次元バーコード12aを読み取る入力装置となる2次元バーコードリーダー13と、バーコードリーダー13が読み取ったアレルギー対象材料を表示部11に点滅表示するとともに、読み取った食材に応じた調理メニューを設定する食材警告部14aを設けたことにより、予め決められたメニューに応じて準備された食材を調理する際に、表示部11による表示によりアレルギー食材の有無を確認して、アレルギー食材を誤って用いることを防ぐと同時に、使用者がメニューを選択しなくても自動的にメニューが設定されるので、使用者の手間を省くと共にメニューの選択ミスも防ぐことができる。
【0027】
なお、上記実施の形態において、食材として、予め食パン用の材料が計量混在された食パンミックス12を用いたが、その他のフランスパンミックス、ソフト食パンミックス等それぞれのメニュー用の混合食材を用いても効果は同じである。
【0028】
また、食パンミックスのような混合食材でなく、小麦粉、脱脂粉乳等それぞれの食材の包装に2次元バーコード12aを付して、2次元バーコードリーダー13で読み取り確認する構成にしても効果は同じである。
【0029】
また、上記実施の形態において、2次元バーコード12aにアレルギー対象材料が予め記録されていたが、2次元バーコード12aに、小麦粉、植物性油脂、脱脂粉乳、食塩などの材料の情報のみを記録しておき、食材警告部14aがその内からアレルギー対象材料を検索し、警告表示する構成にしても効果は同じである。
【0030】
(実施の形態3)
図6は、本発明の第3の実施の形態における自動製パン機の全体構成図である。なお、上記実施の形態と同一部分について同一符号を付してその説明を省略する。
【0031】
本実施の形態は、食材である食パンの材料が予め計量、混合準備された食パンミックス12の包装12cに、その材料情報を記録するICタグ12bを付けておき、製パン機能が停止した状態で、食パンミックス12に取り付けたICタグ12bが近づくと、ICタグ12bに記録された情報を電波で読み込む入力装置となるICタグリーダー15を備えたものである。
【0032】
マイクロコンピュータ14内には、ICタグリーダー15が読み取った食材の情報から、アレルギー物質を含む食材を表示部11に点滅表示する食材警告部14aを設けている。なお、本実施の形態におけるICタグ12bに記録された情報は、実施の形態1における2次元バーコード12aに記憶されたものと同じものであり、食材警告部14aの動作も実施の形態1と同じであるため説明を省略する。
【0033】
以上のように本実施の形態によれば、食材の包装12cに付され食材の情報を表すICタグ12bと、食材警告部14aと、ICタグ12bを読み取る入力装置であるICタグリーダー15と、ICタグリーダー15が読み取ったアレルギー対象食材を表示部11に点滅表示する食材警告部14aを設けたことにより、食材情報の読み込みが電波でできるため、作業も簡単で読み込みミスも少なく、普段使用する電気調理器自体で食材にアレルギー物質が含まれているか容易に確認することができるので、アレルギー体質の患者が誤ってアレルギー物質の食材を摂取するのを防止することができる。
【0034】
なお、上記実施の形態において、食材として、予め食パン用の材料が計量混在された食パンミックスを用いたが、小麦粉、脱脂粉乳等それぞれの食材の包装にICタグ12bを付して、ICタグリーダー15で読み取り確認する構成にしても効果は同じである。
【0035】
また、本実施の形態において、ICタグ12bにアレルギー対象材料が予め記録されていたが、ICタグ12bには小麦粉、植物性油脂、脱脂粉乳、食塩などの材料の情報のみを記録しておき、食材警告部14aがその内からアレルギー対象材料を検索し、警告表示する構成にしても効果は同じである。
【0036】
なお、上記実施の形態において、電気調理器の例として自動製パン機を用いたが、その他のレンジ、炊飯器等、複数の食材を使用する電気調理器を用いても効果は同じである。
【0037】
また、上記実施の形態においては、食材警告部14aが警告する食材の中の特定の物質として、アレルギー物質を用いたが、例えば腎臓病疾患の患者さんに対応するよう、塩、カリウム、リン等、食事で摂取してはならない特定物質に対応しても、本実施の形態と同様の効果がある。
【0038】
さらに、上記実施の形態において、食材警告部14aがアレルギー物質を警告するのに液晶で構成された表示部11を用いたが、音や音声による警告等ほかに警告できる装置、手段を用いても効果は同じである。
【産業上の利用可能性】
【0039】
以上のように、本発明にかかる電気調理器は、メニュー毎に使用される食材の内、特定物質を含む食材が一目で分かるもので、メニュー毎に異なる食材を用いる全ての電気調理器に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の実施の形態1における自動製パン機の全体構成図
【図2】同自動製パン機における操作部、表示部の平面図
【図3】同自動製パン機における食材警告部の動作時の表示部の平面図
【図4】同自動製パン機における2次元バーコードの詳細図
【図5】本発明の実施の形態2における自動製パン器の食材警告部の動作時の表示部の平面図
【図6】本発明の実施の形態3における自動製パン機の全体構成図
【図7】従来のアレルギー疾患を持つ人の献立を提供するシステムの構成を示すネットワーク図
【符号の説明】
【0041】
10 操作部
10a メニューキー
11 表示部
12 食パンミックス(食材)
12a 2次元バーコード
12b ICタグ
12c 包装
13 2次元バーコードリーダー(入力装置)
14 マイクロコンピュータ
14a 食材警告部
15 ICタグリーダー(入力装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メニュー選択や調理条件等を入力する操作部と、食材の包装に付された前記食材の情報を読み取る入力装置と、入力された前記メニュー等を表示する表示部と、前記入力装置が読み取った特定の食材情報を前記表示部に警告表示する食材警告部を有する電気調理器。
【請求項2】
食材警告部で、特定の食材に含まれるアレルギー物質を表示することを特徴とする請求項1に記載の電気調理器。
【請求項3】
入力装置が読み取った食材の情報に応じてメニューが選択されることを特徴とする請求項1又は2に記載の電気調理器。
【請求項4】
入力装置を、食材の包装に付され前記食材の情報を含む2次元バーコードを読み取る2次元バーコードリーダーで形成した請求項1〜3のいずれか1項に記載の電気調理器。
【請求項5】
入力装置を、食材の包装に付され前記食材の情報を含むICタグを読み取るICタグリーダーで形成した請求項1〜3のいずれか1項に記載の電気調理器。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図1】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−288852(P2006−288852A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−115311(P2005−115311)
【出願日】平成17年4月13日(2005.4.13)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】